目を見張る 710坪のマンションギャラリー 住友不「汐留」開設/第一弾は「虎ノ門」
「総合マンションギャラリー新橋館」
住友不動産は1月15日、同社はもちろん同業他社の同様のマンションギャラリーとしても最大と思われる「総合マンションギャラリー新橋館」をオープンし、第一弾の「シティタワー虎ノ門」のモデルルームを公開する。開業の前日14日、同社はメディア向けに施設・モデルルームを公開した。
「新橋館」は、JR新橋駅から徒歩6分・ゆりかもめ汐留駅から徒歩1分の汐留住友ビルB2階と21階に設けたもので、広さは同社の総合マンションギャラリーとしては最大の710坪。21階にはエントランスウェイティング、ラウンジ、カフェカウンター、カフェエリア(20席予定)、コンセプトシアター(2か所)、ギャラリーコーナー、接客コーナー、個室、キッズルーム、眺望コーナー(シティタワー虎ノ門周辺)、展示コーナー(ミストサウナ体験、セキュリティなど)を備える。
同社は2011年、マンション販売に関する相談・体感・物件選択ができる「総合マンションギャラリー」を業界に先駆けて都内5か所に同時オープンし、現在、都内7か所、大阪2か所、名古屋1か所、仙台1か所の計11施設を展開している。これまでの来館者は約3万組、新橋館は港・中央・江東・品川区エリアを中心に物件情報約80物件を紹介するほか、現地案内を進めていく。
「シティタワー虎ノ門」は、東京メトロ日比谷線神谷町駅から徒歩2分、港区虎ノ門三丁目に位置する28階建て普通借地権付き144戸(非分譲住戸2戸、その他住戸14戸含む)。専有面積は60.06~75.13㎡、価格は未定。竣工予定は2024年6月中旬。設計・施工は西松建設。住戸部分は5階からで、1フロア6戸構成。販売開始は2月。
生花
カフェカウンター
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地下2階のエレベータに乗り、施設に着いたとたん、その圧倒的な広さに目がくらみ足がすくんだ。総合マンションギャラリーは同業他社も含めてかなり体験しているが、これほど広いギャラリーはおそらく他社にもないはずだ。同社に賃料相場を聞いたら「3万円台/坪」ということだった。年間賃料は710坪×3万円×12か月=2億5,560万円だ。
建具・家具、什器などは〝5つ星〟並みの伊藤忠都市開発「ギャラリークレヴィア有楽町イトシア」や汐留エリアにある「コンラッド東京」などのホテルを意識したのか、床には大きな生花が2つ活けられていた。
カフェカウンターには白と赤のワインとグラスが置かれていた。振舞ってくれるのかと思ったが、これは〝飾り〟(伊藤忠都市開発も同様)、で、顧客に提供することはないという。
「虎ノ門」の価格は未定だが、どれくらいになるか。立地は最高。1フロア6戸のうち半分の3戸は敷地南側に広がる東京タワーや芝公園の緑が眺望できそうだ。建物の設備仕様水準も水準以上だ。リビング天井高は2650ミリ、サッシは一般的な複層ガラスサッシの2倍の断熱性能を有するとされる真空ガラスサッシを採用している。
同業の記者の中には1,000万円と予想した人もいるが、記者は借地権でもあり1,000万円はありえないと思う。近隣の供給物件と比較して坪単価は800万円くらいが妥当と読んだがどうだろう。
「シティタワー虎ノ門」モデルルーム
これは凄い ホテルなら5つ星 伊藤忠都市 「ギャラリークレヴィア有楽町イトシア」(2020/9/10)
2030年までにCO2排出量50%削減 三菱地所レジ 建設と入居後双方で〝見える化〟
宮島社長
三菱地所レジデンスは1月12日、マンションの建設時から入居後50年にわたるサプライチェーンでのCO₂排出量を2030年までに2019年比で50%削減すと発表した。同日、並行して行われたメディア向け「ザ・パークハウス新浦安マリンヴィラ」第一工区竣工見学会で同社・宮島正治社長が宣言した。三菱地所グループは2030年までにCO2排出量を2017年度比で35%削減する目標を掲げているが、三菱地所レジデンスはそれを加速させる先導役となる。
業界で初めてSBTの認証を取得し、マンション建設時でのCO2排出量100t/戸と、入居後ランニングの排出量135t/戸を見える化し、建設時では省CO2現場造成杭の高炉セメントなどを採用し、入居後では「マンション家計簿」を改訂し、電力の非化石化、ZEH化、太陽光発電の搭載、EV対応を加速化させる。
具体的には、屋上に搭載する太陽光発電パネルで発電した電力を共用部分で使用し、マンションで使われるエネルギーの6割を占める電力を非化石化証明付電力とする。
さらに、断熱性の向上と高効率機器を採用することで2025年以降の全ての分譲・賃貸マンションをZEH-M Oriented以上とする。同社はZEH-M Oriented 以上とすることで、使用エネルギーを2割程度削減することが可能としている。
そのため、2010年から導入してきた高圧一括受電と太陽光パネルを組み合わせた創エネシステム「soleco(ソレッコ)」ではカバーしきれなかった賃貸マンションもカーボンオフセットする仕組みを構築することで、40戸未満の物件にも太陽光パネルを設置する。
その他のCO2排出量削減への取り組みとして、レジデンスギャラリーで使用する電力を再生可能エネルギー由来の電力に切り替え、CO2排出量をオフセットするほか、オンライン接客・バーチャルモデルルーム、ペーパーレス(電子契約)などの採用により人の移動、紙製造や印刷、郵送などに係わるCO2排出量を削減し、顧客に提供する飲料の一部をペットボトルから紙製容器の「カートカン」に変更、クリアファイルの一部をFSC認証の「紙ファイル」に変更する。
発表会に臨んだ宮島社長は「マンション市場はタワーマンションや再開発が注目されているが、コロナ禍で郊外の広い住宅も再認識されており、『環境配慮』がキーワードにもなっている。CO2削減は待ったなし。新たなチャレンジとして2030年までに50%削減を宣言し、建設時と入居後のCO2排出量の見える化を実践していく」と語った。
「ザ・パークハウス新浦安マリンヴィラ」に設置した太陽光パネル
三菱地所レジ 賃貸の空間創出第二弾 浴槽なしのシャワー室開発 「亀戸」に導入
「Roomot(ルーモット)」イメージ図
三菱地所レジデンスは1月11日、賃貸マンション「ザ・パークハビオ」の空間創出プロジェクト「Roomot(ルーモット)」の第二弾として浴槽をなくしたシャワーユニット「Roomot Shower」を開発、「ザ・パークハビオ亀戸」に導入すると発表した。
同社は昨年6月、洗面化粧台にキッチンを合体させた「Roomot MIXING」の第一弾「ザ・パークハビオ(品川区西五反田二丁目計画)」61戸に採用しており、今回はShower」」と「MIXING」と併せて採用することでより大きな空間を創出したという。導入例では、居室スペース7.0畳大から9.3畳大に拡大し、拡大したスペースはワークスペース(デスク、机、書類棚)やダブルベッドなどの大型家具を設置できる空間に変えた。
また、トイレなどの水回り設備をコの字型に配置し、囲まれた中央部分を「マルチスペース」として提案している。
同社は「MIXING」と「Shower」を採用することで、合わせて259.7㎏のCO2削減を可能にするなどSDGsにも貢献できるとしている。
「ザ・パークハビオ亀戸」は、JR亀戸駅から徒歩8分、江東区大島3丁目に位置する14階建て52戸。専用面積は25.24~35.47㎡。引き渡し予定は2023年9月30日。
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風呂が大嫌いな記者も大賛成だ。さすがに真冬には浴槽に湯を張り、そのまま30分くらい眠ってしまうこともあるが、ほかの季節ではシャワーだけで済ます。これで十分だ。最近は宿泊特化型のホテルでも浴槽なしは増えているし、伊藤忠都市開発は分譲マンションでもシャワー室のみの物件を供給している。昨年見学したコスモスイニシアのシェアレジデンス「nears(二アーズ)川崎」もシャワー室のみだった。
ただしかし、キッチンとシャワー室とトイレをコの字型に配し、その中央部分を「マルチスペース」にしたら、毎日クサヤのような匂いをかぎながらコーヒーを飲み、朝食を済ますことができるのか。公衆トイレアンケートではトイレ内で食事をする人もいるらしいが…。
いっそのことシャワー室とトイレを一緒にしたらどうだろう。用を足しながらシャワーを浴び、シャワーを浴びながら用を足せばすべてを水に流せるではないか。もう一つ提案。冷え性の人には足湯がいい。シャワー室は足湯も可能な仕様にしてはどうか。
「Roomot(ルーモット)」イメージ図
真新しい中身なし 質疑応答も5分で打ち切り 「HARUMI FLAG」概要説明会
古谷氏
「HARUMI FLAG」広報事務局は1月11日、オンラインによる「HARUMI FLAG SUN VILLAGE第1期2次/PARK VILLAGE 第2期 販売概要説明会」を行った。
幹事会社の三井不動産レジデンシャル 東京オリンピック・パラリンピック選手村事業部推進室・古谷歩氏が販売概要や人気の要因などについて説明したほか、販売当初から担当している同推進室・中塚純太氏、不動産コンサルタント・岡本郁雄氏、立命館大学産業社会学部教授・筒井淳也氏、ワーク・ライフバランス ワーク・ライフバランスコンサルタント・浜田紗織氏の4氏による「有識者と考えるこれからの住宅・暮らし ~HARUMI FLAGをモデルに~」と題したトークセッションが行われた。
古谷氏からはパビリオン見学会開始は2022年1月14日(金)からで、販売開始は2022年3月下旬になることが報告された。「SUN VILLAGE(A棟・B棟・C棟・D棟・F棟)」第1期2次(戸数未定)の専有面積は61.06~106.57㎡、予定価格は4,900万円台~10,700万円台(最多価格帯6,400万円台)。「PARK VILLAGE(A棟・B棟・C棟・E棟・F棟)」2期(戸数未定)専有面積は66.85~91.73㎡、予定価格は6,000万円台~10,400万円台(最多価格帯7,900万円台)。
入居開始はいずれも2024年3月下旬。
左から中塚氏、岡本氏、筒井氏、浜田氏
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どのようなものになるか期待していた。受信環境は良好で、古谷氏ほか皆さんの声はとてもよく聞こえた。
しかし、概要や購入者属性、人気の要因など中身はこれまで発表されたこと以外は真新しいものはなく、トークセッションも時間が限られていたためか、テーマであるコロナ禍で変化した①働き方②コミュニケーション・人とのかかわり方③環境意識④住まい機能について話し合われたが、一般論に終始し深まることがなかった。中塚氏が「時間が短かった」と感想を述べたように、テーマを絞り各氏が持論を展開すれば面白いトークセッションになったのではないか。この物件はいろんな切り口で論じることが可能だと思う。
「今回の説明会に関することに限って」質疑応答時間も10分間用意されていた。
他のメディア関係者(4氏)からは坪単価や販売戸数などの質問が飛んだが、同社は「未定」として明言を避けた。(「SUN VILLAGE第1期1次の坪単価は300万円と同社は答えているので、第2次も同じくらいだろうと記者は予想しているが…答えが返ってきそうもない質問をするべきではない)。
記者も質問しないのは失礼だと考え、「現在の現地は都が管理しており、見学を申し込んだが『工事中なので』と断られた。工事が休みの日曜日を利用して、現場見学会を行っていただきたい。建物デザイン・街区・道路・緑化計画にとても興味がある。BRTの停留所は街区内に何か所予定されているのか」との主旨の質問をしたが、回答は得られなかった。結局、質疑応答は5分で打ち切られた。
リアルであろうとオンラインであろうと、主催者はメディアの質問にはきちんと答えるべきだと思うがどうだろう。答えない・答えたくないのならそのような時間を設けないほうがいい。
期待が大きかっただけに、何だか肩透かしを食らった説明会だった。
「HARUMI FLAG」「SUN」1期465戸・「SEA」2期166戸 平均8.7倍で即日完売(2021/12/2)
タカラレーベン タイ・バンコクで1,101戸の分譲事業に参画 ベトナムに次ぐ海外2例目
「ATMOZ BANGNA」
タカラレーベンは1月11日、タイ・バンコクのデベロッパーASSETWISE PUBLIC COMPANY LIMITEDと共同でコンドミニアム事業「ATMOZ BANGNA」に参画すると発表した。
同プロジェクトは、バンコク中心部から南東に約15kmの新興開発地区「バンナーエリア」に位置する敷地面積16,748㎡、8階建て5棟からなる住居1,101戸と商業施設2戸。竣工予定は20123年3月。
同社の海外事業としてはベトナム・ハイフォンでの「THE MINATO RESIDENCE」に次ぐ2例目。
三井不レジ 「カーボンニュートラルデザイン」提案 米国・ラスベガス展示会に出展
「CES2022」ブースイメージ図
三井不動産レジデンシャルは1月5日、カーボンニュートラル社会の実現に向けたこれからのすまいづくりの考え方を「カーボンニュートラルデザイン」と位置づけ、コンセプトプランを世界最大規模のエレクトロニクス展示会「CES2022」(アメリカ合衆国ネバダ州ラスベガス、現地日付2022年1月5日~7日開催)に初めて出展すると発表した。
同社は2021年11月に策定した脱炭素社会実現に向けた「グループ行動計画」に基づき、自然の力を活かしながら快適に過ごしていた昔のすまいづくりの知恵(パッシブデザイン)と、「効率的」かつ「抑制的」にエネルギーを使う最小限の技術補完の2つを融合させることが、カーボンニュートラル社会における日本の住宅の新しい在り方と捉え、今後同社の分譲マンションで順次展開していくとしている。
「CES2022」では実物大の昔から馴染みのあった日本家屋を再現。庭園スペースや縁側に実際に触れながら、エネルギーを使わない「パッシブ」なくらしを体感していただくコーナーを設置する。
パッシブデザインを生かした工夫例として①季節ごとに室内の日射しを調整する、深い庇に守られた中間領域の設置(バルコニー、屋外廊下)②常時通風させることが可能な通風口を設けた建具やサッシの採用③季節の変化、ライフスタイルの変化などによって間取り変更が可能な「可動式キッチン」「可動式収納」「ウォールドア」を採用。
最新テクノロジーの主な例として、①消費電力および CO2排出量を最大約 48%削減する「全館空調システム AirLOGY」②各住戸に湯や電気を生み出すコジェネレーションシステム「家庭用燃料電池 エネファーム」③ バルコニー手摺・外壁利用による自家発電電力を共用部へ充当する「オンサイトでの太陽光発電」を提案する。
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パッシブデザインとアクティブデザインの融合は永遠のテーマでもある。今回のプレス・リリースだけではよく分からない部分もあるが、注目すべき提案がいくつもある。まず、パッシブデザインでは季節ごとに日射しを調整できるバルコニーだ。欧米では一般化しているというサッシの外側にブラインドを取り付けるのだろうか。
深い庇のマンションは、野村不動産「プラウド中野本町」を取材して感動したことがあるが、最近はほとんど見たことがない。
「可動式キッチン」も面白い。「可動式収納」「ウォールドア」はかなり普及してきたが、「可動式キッチン」はないはずだ。技術的には可能だろうが、果たしてどのようなシーンだろうか。外気温、室内温度によって自動的に開閉できるシャッター・サッシは開発されているが、分譲マンションへの導入はないのではないか。
アクティブデザインでは、大建工業と共同で開発した「全館空調システム AirLOGY」に注目したい。同社はすでに「パークコート神宮北参道ザ タワー」でも採用を決めている。三井ホームもマンションに導入することを想定したエアコン一基のみで全館空調が可能なシステムの実験を行っている。同業他社と比べて性能はどうなのか。
バルコニー手摺・外壁利用による自家発電電力は間違いなく伸びる。記者は自然採光システムにも注目しているのだが、期待しているほど伸びないのはなぜか。コストがかかるためなのだろうが、影が生じないなど快適性は蛍光灯などと比べてはるかに高い。これが普及すれば、北向き住戸の値付けが一変すると思うのだが…。
屋敷跡の歴史を継承する 野村不動産「プラウド中野本町」(2012/8/27)
隣接公園との生物多様性保全の取り組み コスモスイニシア「和光」完成
「イニシア和光」と渡り廊下
コスモスイニシアは12月23日、いきもの共生事業推進協議会「ABINC(エイビンク)」認証を取得しているマンション「イニシア和光」(全100)が竣工し、2021年12月から入居が始まったと発表した。
物件は、有楽町線地下鉄成増駅から徒歩10分、和光市白子2丁目に位置する敷地面積約3,839㎡の8階建て全100戸。現在分譲中の住戸(6戸)の専有面積は68.38~90.15㎡、価格は4,498万~6,558万円。建物は2021年11月に竣工済み。施工は大豊建設。
敷地北西面に隣接する「大坂ふれあいの森」(1,427㎡)との生物多様性保全の取り組みを行い、敷地内に芝生の共用ガーデンやシンボルツリー、地域の人も利用可能な提供公園などを配したランドプランが特徴。
緑被率を敷地の3分の1以上確保し、10mのケヤキをはじめとする地域に自然植生する在来種の植物を計画的に配置し、野鳥や蝶が好む木の植栽や小さな生き物が隠れ家にできるエコスタックを設置。周囲のエコロジカル・ネットワークとして機能するよう計画。
敷地内に設置したクラブハウス付き共用ガーデン「もりラボ」は、居住棟と渡り廊下でつながっており、アウトドアライフの楽しさを提案する「BE-PAL」とプログラミング教育を導入・推進する「MAZDA Incredible Lab」監修のもと、子どもも大人も憧れる秘密基地となるようさまざまな仕掛けを提案。子ども用ボルダリング、100冊の図鑑が揃う図書コーナー、プログラミングキットなどを設置、Wi-Fiを完備してワークスペースとして利用できるようにしている。
また、マンション建設時に伐採した木の切り株をベンチとして再利用したほか、雨水や落ち葉を有効利用するために、緑地の散水に再利用可能な貯水槽や、落ち葉溜めなどを設置している。
入居者の居住地は和光市(約13%)、板橋区(約13%)、練馬区(約18%)、23区(約37%)など。世帯主の年齢層は~29歳(約10%)、30~39歳(約65%)、40~49歳(約20%)など。契約者からは、通勤利便性やゆとりある空間設計、敷地内で安心して子どもが遊べる環境が魅力的であると評価されているという。
物件は、「ABINC(エイビンク)」認証のほか「埼玉県子育て応援マンション」に認定されている。
共用ガーデン
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今年11月、大和ハウス工業「プレミスト和光丸山台」を取材したとき、コスモスイニシアがこのマンションを分譲していることは聞いたが、和光市駅からは遠いのでそのまま聞き流した。
このような取り組みをしているマンションだとはプレス・リリースを読むまで知らなかった。今年は、記事を添付したように公園との垣根を取り払ったフージャースコーポレーション「デュオヒルズつくばセンチュリー」フォレスト」と小田急バス・ブルースタジオ「hocco(ホッコ)」、敷地内に里山を有する小田急不動産ほか「リーフィアレジデンス橋本」を見学したが、この物件も遜色ない。分譲中の住戸の単価も安いと思う。
ケヤキ(左)とエコスタック
出来すぎだ!焼杉! 見どころ多い小田急バス×ブルースタジオ「hocco(ホッコ)」(2021/10/7)
東急不動産「BRANZ(ブランズ)」 リブランディングに注目・期待
東急不動産がマンションブランド「BRANZ(ブランズ)」のリブランディングに着手したのに注目し期待もしている。
同社は12月20日付のプレス・リリースで、2030年度までに全ての分譲マンションでZEHを標準仕様にするほか、ブランドスローガンに「住まいを、未来のはじまりに。」を掲げ、分譲・賃貸・学生レジデンス事業など住宅事業の全領域で「社会課題を、暮らし心地に変えていく」という行動指針のもと、"誰もが自分らしく、生き生きと輝ける未来の実現"を目指すとしている。2022年1月からは俳優の長谷川博己さんを起用した「BRANZ」の新CMを放映するとしている。
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バブル前から〝街づくりの東急〟を取材してきた記者は、同社が軸足を住宅からオフィス・商業施設に移すのは理解できても、何よりの財産であるはずの分譲戸建てが激減し、マンションもいま一つ伸び悩んでいるのに一抹の寂しさをずっと感じてきた。
今回のプレス・リリースは、翌日発表した東急ハンズの全株式をカインズへ譲渡することとセットだと記者は理解している。東急不動産や東急リバブルより一般に馴染みのある東急ハンズを身売りしてでも経営資源を住宅事業に集中する意気込みの表れのはずだ。
現段階でどのような戦略を打ち出すか分からないが、住宅事業で他の大手と互角に戦うには課題も多い。決算数字などから問題点を探ってみた。
同社のマンション事業の粗利益率はここ数年20%前後で推移している。大手他社と比較して低くはない。問題は売上高営業利益率だ。2021年3月期の同社の住宅事業は売上高1,463億円で、営業利益は84億円、営業利益率は5.7%だ。
この営業利益率は、20.5%と突出している住友不動産はともかくとして、三井不動産の12.3%(分譲戸建て含む)、野村不動産の8.2%(同)、東京建物の7.2%(2020年12月期)、三菱地所の6.6%と比較してもっとも低い。
粗利益率は高いのに営業利益率が低いのは販管費などの増大が利益を圧迫しているからだ。同社の2021年3月期の完成在庫は827戸だ。計上戸数1,777戸に対する割合は46.5%に達している。
同業他社はどうか。完成在庫の多いのは住友不動産も同様で、2021年3月期は1,184戸だ。しかし、同社の計上戸数は4,164戸なので在庫比率は28.4%だ。他では野村不動産が11.5%、三菱地所が6.1%、東京建物が14.8%となっており、三井不動産はわずか167戸(戸建て含む)で、割合は3.4%にしか過ぎない。
どうして東急不動産の完成在庫が突出しているのか。その原因を探るには詳細な分析が必要だが、やはりブランド力(価格競争力)、個別物件の基本性能・設備仕様レベルの差だろうと思う。
例えば、京王線調布駅から徒歩7分の「ブランズシティ調布」(305戸)で見てみよう。
この物件については2020年春ころ、同社に取材を申し込んだが断られているので、基本性能・設備仕様レベルは分からないのだが、現地周辺は分譲戸建てやマンションの取材で数回訪れている。布多天神社の緑が素晴らしく、敷地北側にはスーパー・マルエツもあり、敷地南側は第一種低層住居専用地域だ。甲州街道を渡らなければならないハンディがあり、当初聞いた坪単価320~330万円はやや高いような気もしたが、これは許容範囲というものだ。他の沿線と比べ割り負けしている京王線とはいえ、新宿から特急で15分のアクセスを考えたら妥当な単価だと思った。
売れ行きは好調に推移するのではと考えていたが、どうもそうではないらしい。もうすぐ竣工後1年が経過するが、相当数残っているようだ(同業他社から残戸数は聞いているが、未確認なので書かない)。物件ホームページで確認したら、12月下旬登録予定の5戸の専有面積は70.00~70.15㎡、価格は5,400万円台(1戸)~6,000万円台とある。坪単価に換算したら255~294万円だ。新築も中古もどんどん価格が上がっているというのに、この安さは何だろう。競合物件では最安値ではないか。
基本性能・設備仕様レベルも物件ホームページから確認した。大規模ならではのランドスケープデザイン、子育てサービスのほかディスポーザー、タンクレストイレ、トランクルーム、スロップシンクなどが確認できたが、このほかに特筆できるものはない。つつじヶ丘-調布-府中-聖蹟桜ヶ丘にかけて10物件くらい供給されている激戦区にしてはアピールポイントに欠けると言わざるを得ない。
参考までに、記者が大手と互角以上に戦えると思っているモリモト、大和地所レジデンス、ポラス中央住宅の〝中堅御三家〟の基本性能・設備仕様を少し紹介する。
この3社に共通しているのは完成在庫が少なく、どこにも負けない〝売り〟の商品企画があることで、それぞれターゲットは異なるが年間供給量も1,000戸くらいなのもよく似ている。
モリモトはデザイン・意匠のほかワイドスパン、設備仕様レベルが総じて高い。中堅で三菱地所、丸紅、東急不動産などの大手との共同事業(売主)の実績があるのは同社のみだ。〝モリモトファン〟は数万人いるはずだ。
大和地所レジデンスは、奥行き4m×幅4mのオープンエアリビングバルコニーや100㎡住宅などの商品企画が突出している。
ポラス中央住宅はキッチンとキッチンカウンター・ダイニングテーブルを一体化したピアキッチンがある。しかも価格にしたら数十万円はするはずのバックカウンター・食器棚付きだ。このほか、生活者目線の細かな工夫がユーザーの心を捉えている。最近は長谷工コーポレーション施工が増えているが、販売代理の長谷工アーベスト担当者も絶賛するほどだ。
東急不動産は他の大手から差を付けられ、後続の中堅の追撃も受けている。かつての輝きを取り戻すには2倍、3倍の努力、エネルギーを注ぐ必要がありそうだが、ヒントは現場にある。何が足りないかは現場担当者がよく知っているはずだ。それを企画に生かすことではないか。「プラウド」も「ブリリア」もヒットする前は〝並〟だったではないか。
バス便ながら半年で半数77戸成約 県立公園に近接 中央住宅「船橋行田公園」
「西船橋ソレイユプロジェクト(ルピアグランデ船橋行田公園)」
ポラスグループ中央住宅は12月21日、分譲中の「西船橋ソレイユプロジェクト(ルピアグランデ船橋行田公園)」のメディア向けモデルルーム見学会を行った。西船橋駅からバス9分徒歩6分の全154戸。立地にハンディを抱えながら価格の安さ(坪単価173万円)、県立行田公園に近接する住環境、近接する公務員宿舎の跡地開発などの将来期待が人気を呼び、6月の販売開始からこれまで約半数の77戸が成約済みとなっている。
物件は、JR・東京メトロ・東葉高速線西船橋駅からバス9分、バス停徒歩6分、船橋市行田3丁目の第一種中高層住居専用地域、第一種住居地域(建ぺい率60%、容積率200%)に位置する7階建て全154戸。12月下旬に分譲予定の第2期(戸数未定)の専有面積は61.65~70.64㎡、予定価格は2,700万円台~3,900万円台(最多価格帯3,200万円台)、坪単価は173万円。竣工予定は2022年2月中旬。設計・施工は長谷工コーポレーション。販売代理は長谷工アーベスト。
現地は社宅跡地で、約11.9haの県立行田公園も徒歩2分。敷地南側はスーパー、戸建て住宅街。周辺には船橋行田住宅跡地(5.6ha)、JR社宅跡地などがあり、中学校、小学校にも近接。
建物は3棟構成で、標準階は南向き13戸、東向き6戸、西向き6戸。間取りは61~63㎡台の2LDKが25戸、76~80㎡台の4LDKが4戸、他は70㎡台が中心の3LDK。
主な基本性能・設備仕様は、直床、リビング天井高2400ミリ、食洗機、ピアキッチン付き(約半数)、食器棚、かくれんボックス、マイギャラリーなど。
同社マンションディビジョン課長・湯村元昭氏は、「南仏プロバンスと船橋の花であるヒマワリをモチーフに世界観を演出した」と語った。
販売代理の長谷工アーベスト東京支社販売部門プロジェクトマネージャー・清水慎二氏は、「1月から資料請求を受け付けてからこれまで反響は800件、来場は300件、決定率(歩留まり)は25%に達している。駅からは少し離れているものの、複合開発期待、行田公園に近接する住環境、価格の安さと設備仕様レベルの高さが評価されている。購入者の居住地は地元市内が60%、市川市が10%、江戸川区が8%。世帯主の年収は300~600万円台が中心」などと語った。
エントランス
◇ ◆ ◇
見学会はモデルルームのみ。湯村氏や清水氏の話からは価格が安く、その割に設備仕様レベルも高いのはよく伝わってきたのだが、新船橋駅や塚田駅のように生活利便施設が整っているという印象を受けず、どのような立地条件なのかいま一つ分からなかった。このまま帰ったら「ボーっと生きてんじゃねーよ!」とチコちゃんに叱られそうなので、現地を見学することにした。
現地について驚いた。JRの社宅として利用されていた廃墟のような5階建て建物が5棟、戸数にして200戸くらいが建っていた。その先に中規模のスーパーと戸建て街区があり、マンションはその背後で建築中だった。その先、建物の北側にはフェンスで覆われた公務員宿舎が広がっていた。スーパーのほかに生活利便施設はほとんど皆無。立派な樹木が茂る行田公園も閑散としていた。
それでも同社のマンションがよく売れているのは、公務員宿舎やJR社宅跡地の再開発に期待している購入者多いということだろうと納得するほかなかった。
競合しているのではないかと思った大和ハウス工業「プレミスト塚田」(571戸)とは単価にして20万も差があり、「塚田」は先月で完売していると聞いた。確かに坪20万円の差は大きい。
見学会では話題に上らなかったが、中央競馬・中山競馬場は徒歩圏。マンションの上層階からはターフが見えるのではないか。
建築中の現地
県立行田公園
実質10か月で300戸超の驚異的売れ行き 大和ハウス「プレミスト船橋塚田」(2020/10/20)
全戸二重サッシ・樹脂サッシ 坪450万円にも納得 大京のコンパクト「新中野」
「ライオンズミレス新中野」
大京は12月19日、コンパクトマンション「ライオンズミレス新中野」の竣工販売を開始した。20日、メデイア向けにモデルルームを公開した。
物件は、東京メトロ丸ノ内線新中野駅から徒歩4分、JR中野駅から徒歩12分、中野区本町6丁目の商業地域に位置する10階建て35戸(特定分譲住戸10戸、一般分譲対象外住戸5戸含む)。第1期1次の専有面積は34.31~40.89㎡、価格は4,690万~5,540万円。坪単価は450万円。竣工予定は2022年1月13日。設計はSD建築企画研究所。施工は斎藤工業。デザイン監修は船田徹夫氏。
現地は、二方道路に接道。歩道を挟んだ北側は青梅街道。建物は内廊下方式を採用、1階エントランスにアートと各住戸専用の宅配ボックスを設置。住戸は2階からで、標準階は1フロア4タイプ4戸構成。うち3戸が角住戸(全35戸中26戸)。
主な基本性能・設備仕様は二重床・二重天井、二重サッシ・樹脂サッシ、リビング天井高2400ミリ、食洗機(25㎡の1DK除く)。
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価格はこんなもんだろうと思った。23区内のコンパクトは軒並み坪400万円を突破し、500万円以上というのも珍しくなくなってきた。今春分譲開始された、敷地北側が甲州街道に面している坪430万円の同じような条件の旭化成不動産レジデンス「アトラス笹塚駅前」(45戸)も残りはわずかだ。大京の物件は丸の内線で都心に繋がっているというのも強みなのだろう。対面にはスーパー三徳がある。
モデルルームは全4タイプ、コンパクトではあるが、間取りはよくできている。間口を4200ミリ確保することで居室を1~2室設けることができるようにしている。中野駅方面が見渡せる北西角住戸の専有面積は25.30㎡だが、バルコニーの幅は4m以上あった。
それより驚いたのは、道路側に面した窓は全戸二重サッシで、しかも居室側は樹脂サッシが採用されていることだった。同じような二重サッシ・樹脂サッシはコスモスイニシアの「大森町」で見学しているが、コンパクトでは極めて珍しいはずだ。
樹脂サッシのよさは実際に経験しないと理解できないかもしれないが、熱伝導率はアルミとは天地ほどの差がある。アルミは熱さも冷たさもストレートに伝わるが、樹脂は外気温をほとんど遮断できる。結露も生じない。同社はプレス・リリースにそのことを一切記載していない。ZEHマンションの供給実績が多く、当たり前と思っているからだろうか。記者などはこれが最大の売りだと思う。
1階エントランス
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見学会の席に案内された途端、記者が60年以上の西鉄・西武ライオンズファンであることを知ってか知らずか、知っていたとしても傷口に塩をすり込むような悪意は込められていないとは思うが、同社の女性広報担当者が「マンションの資料のほかオリックス・バファローズの来年のカレンダーも入っております」としらっと話したではないか。
とっくに忘れていたのに一挙に悪夢がよみがえった。わが西武は今季42年ぶりに最下位に転落した。オリックスにはコテンパンにやっつけられた。宮城には1つも勝てず6連敗、山本には5敗(1勝)し、通算8勝15敗(2分け)と惨敗。
あろうことか来季の西武は、前半戦の3連戦×3度=9戦の表ロードでオリックスと対戦することが決まった。山本と宮城が登板するのは間違いない。
家に帰って、もらった月めくり卓上カレンダーを見てみた。12人とも顔を見るのも嫌な選手ばかりだ。どうすればいいのか。2つもある。ほしい人がいたらくれてやるのに…。
現地