RBA OFFICIAL
 

211214 センチュリー中野南台 LDK4.jpg
「センチュリー中野南台」モデルルーム

 コスモスイニシアが分譲開始したDINKSやLGBT世帯向けリノベーションマンション左利きの数ほどいるLGBTのニーズ満たす コスモスイニシアのリノベマンション「センチュリー中野南台」を見学した。百聞は一見に如かず。SDGsやユニバーサルデザインを考えるうえでもとても参考になった。

 物件はLGBT当事者が中心となって運営を行っている不動産仲介会社「IRIS」(アイリス)と共同で開発したもので、東京メトロ丸の内線中野新橋駅から徒歩10分、中野区南台1丁目に位置する2001年5月竣工の14階建て「センチュリー中野南台」(全57戸)の2LDKで、専有面積64.55㎡、価格は6,180万円。

 昨年末から予約制で住戸を公開しており、毎週コンスタントに集客があり、これまで案内したのは16件。見学者の2~3割が同性カップル、他は家族、プレファミリーがそれぞれ同率。同社は来場者の声を聞きながら、LGBTでも住宅ローンが組める「パートナーシップ証明書」を発行済みの渋谷区、中野区などを中心に導入を検討していく。

 同社流通事業部流通二部一課・末吉渉氏は「従来、LGBTカップルは収入合算やペアローンで住宅ローンが組めなかったのですが、自治体が『パートナーシップ証明書』を発行するようになってから借り入れ可能な金融機関が出てきました。この『証明書』はLGBTカップルが2人でローンを組んで購入するという選択肢を付与したという点で意義深い。LGBTカップルの世帯年収は1,000万円を超え、個性的な飲食店やスポーツジム、花屋さんが近くにあることを重視されることも分かりました。SDGsが当たり前になったように、数年後にはLGBTカップル対応のプランが当たり前の時代がやってくる」

  また、同課・阿久澤恵里氏は「LBGTの方は左利きの方と同じくらいいらっしゃる」との興味深い話をした。(「私の彼は左利き」という歌を思い出した)

211214 センチュリー中野南台 外観.jpg
「センチュリー中野南台」外観

◇        ◆     ◇

 百聞は一見に如かず。プレス・リリースではよく分からなかった部分がすんなりと理解できた。〝なるほど〟と合点がいくものがたくさんあった。

 物件はフルリノベーションしたもので、原形をとどめるのは2400ミリのリビング天井高、1800ミリのサッシ高くらいで、梁型の存在が気にならないようダウンライトを設けるなどの工夫を行っている。

 玄関に入ってほとんど瞬時にLGBT仕様の企画意図を理解した。玄関サイドに設置されている「ハーフ土間収納」だ。扉はソフトクローズ機能付きの引き戸で、大きさは1坪くらいか。ゴルフバッグが2つ入るスペースも確保されていた。ゴルフバッグが2つ入るクローゼットが用意されている一般的な20坪程度のマンションモデルルームなど見たことがない。カップルがそれぞれの趣味を共有できるようにという配慮が伝わってきた。

 居室は5.5畳大と4.8畳大の2つ。これは高齢者世帯のニーズも満たすものだが、洗面所は普通のモデルルームと全然違っていた。高級マンション並みの2ボウルで鏡も2つ。一つは調光機能付きで朝の顔、昼の顔、夜の顔に使い分けることができ、音楽が流せるスピーカー付き。床にはヘルスメーター。共働き世帯が多く、出勤時間が同じだとバッティングすることを解消するためだという。

 浴室は16×16サイズで、扉にはタオル掛けが2つついており、調光機能付き。浴槽は自動洗浄機能付き。これも家事労働の負担を軽減するためだ。

 L字型キッチンにも工夫があった。従前は6畳の和室だったのを模様替えしたもので、システムキッチンはL字型で、二人で調理したり友人を呼んで語らいをしたりできるよう、カウンタートップは敢えてフラットにし、幅は90cm確保している。シンクはユーティリティ。

 このプランはDINKSや高齢者世帯にも通用し、SDGsやユニバーサルデザインの考えとも合致する。

211214 センチュリー中野南台 ハーフ土間収納3.jpg
「ハーフ土間収納」

211214 センチュリー中野南台 洗面3.jpg
洗面室

211214 センチュリー中野南台 洗面4.jpg
ヘルスメーター

211214 センチュリー中野南台 浴室3.jpg
浴室(タオル掛けも2か所)

◇        ◆     ◇

 記者は、スーツの襟にSDGsバッジをつけるようになって2年以上経過する。「誰一人残さない」持続可能な社会を2030年までに実現するという趣旨に賛同するからだ。

 しかし、SDGsが掲げる17のゴール目標を全て実践しているかと問われると自信はない。思うことと実践することは異なるからで、実践しているのは17項目のうち半分くらいではないか。

 LGBTも同様だ。LGBTに対する差別に反対するが、住宅購入に際して共有名義でローンが借りられないとか、住宅の設備にも改善すべきことがあることなど考えたことなど全くない。

 考えてみれば、様々な法律の壁や世間の冷たい風にさらされながら、自己の人間としての尊厳、自由を希求し実行しているのはLGBTだ。花屋を求めるのも「美しい生き方」を貫き通すためだと理解した。これは名もない野草をこよなく愛す記者と通じるものがある。

 LGBT対応をテーマにした分譲マンションを企画したのはおそらく同社が初めてだろう。これは、いつも先進的な取り組みをする同社のDNAだ。拍手喝さいを送りたい。

 IRISによると、「パートナーシップ証明書」を発行しているのは東京都では12、全国では130の自治体だという。また、LGBTの全人口に占める割合は1.6~8.9%と推定されるという。推定値の幅が大きいのは潜在的な人数の把握が難しいためのようだ。

◇        ◆     ◇

 「パートナーシップ証明書」を最初に導入したのは渋谷区だ。同区は平成27年11月、「渋谷区男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例」に基づき、男女の人権の尊重とともに、「性的少数者の人権を尊重する社会」の形成を推進することを目的に同証明書を発行した。

 同証明書は、戸籍上の性別が同じ二者間の社会生活における関係を「パートナーシップ」と定義し、一定の条件を満たした場合、法律上の男女の婚姻関係と実質的に異ならないパートナー関係であることを証明するものだ。

 条件として付されているのは、①区内に居住し、住民登録があること②20歳以上であること③配偶者がいないこと及び相手方当事者以外のパートナーがいないこと④近親者でないこととなっている。

 同証明書の交付を受けることで、ペアローン、連帯債務型、連帯保証型(収入合算)の住宅ローンの借り入れも可能になった。このほか、公営住宅などへ家族として入居可能で、生命保険の受取人として指定でき、クレジットカードの作成、社会福祉施設の利用が可能となった。

DINKSやLGBTs向けのリノベマンション開発・分譲 コスモスイニシア&IRIS(2022/1/16)

 

カテゴリ: 2021年度

 不動産経済研究所は1月25日、2021年の首都圏マンション市場動向をまとめ発表。新規発売戸数は前年比23.5%増の3万3,636戸となった。エリア別では東京23区が1万3,290戸(前年比21.8%増)、都下が2,921戸(同9.9%減)、神奈川県が8,609戸(同54.1%増)、埼玉県が4,451戸(同32.2%増)、千葉県が4,365戸(同5.9%増)。

 契約率は、毎月の初月契約率は前年の66.0%を7.3ポイント上回る73.3%となり、2015年以来6年ぶりの70%台となった。エリア別では23区が72.5%(前年比6.3ポイント増)、都下が74.8%(同25.2ポイント増)、神奈川県が71.8%(同1.8ポイント増)、埼玉県が70.6%(同9.4ポイント増)、千葉県が80.3%(同3.4ポイント増)。累積契約率は前年の78.5%から9.6ポイント増の88.1%となった。

 1戸当たりの平均価格は前年比2.9%上昇の6,260万円で、1㎡当たり単価は前年比1.2%上昇の93.6万円(坪308.9万円)となり、平均価格は3年連続、1㎡単価は9年連続の上昇。過去最高だった1990年の平均価格6,123万円、1㎡単価93.4万円(坪308.2万円)より平均価格は177万円(2.2%上昇)、1㎡単価は1.1万円(0.2%上昇)それぞれ上回る最高値となった。

 エリア別の平均価格・坪単価は、23区が8,293万円(前年比7.5%上昇)・423.1万円(同2.5%上昇)、都下が5,061万円(同7.3%下落)・244.5万円(同8.0%下落)、神奈川県が5,270万円(同3.1%下落)・257.4万円(同4.6%下落)、埼玉県が4,801万円(同5.2%上昇)・233.3万円(同6.0%上昇)、千葉県が4,314万円(同1.4%下落)・203.3万円(同0.8%上昇)。

 億ションは2,760戸で、前年の1,818戸からほぼ倍増した。(過去最多は1990年の3,079戸)。

 12月末の販売在庫は6,848戸で、前年12月末の8,905戸より2,057戸減少している。

◇        ◆     ◇

 コロナ禍であるにも関わらず供給量が増え、売れ行きも好調に推移し、平均価格、分譲単価とも過去最高となったのは、ひとえに住宅ローン金利が低水準にあり、旺盛な住宅取得意欲(賃貸住宅の賃料が高く、質が劣ることの裏返し)、価格の先高観が背景にありそうだ。バブル崩壊までは市場としてなかった単身者向けが一定の比率を占めるようになったのも大きな要因だと思う。アフターコロナの働き方改革を見据えた住宅取得意向の変化も市場を後押ししているのではないか。

 ただ、同じような調査を行っている調査会社を含めて、肝心な質についても調査して報告してほしい。

 今回の調査結果からも分かるように、平均価格を単価で割った専有面積は23区では19.6坪で、他のエリアも20坪前後だ。価格、単価は上昇の一途で、肝心の居住面積はどんどん縮小している。さらにまた、天井高や各種の設備仕様レベルも退行する一方だ。

 基本性能・設備仕様レベルダウンを考慮すると、実質的な価格上昇は前年比でも10%くらい上昇しているではないかというのが記者の実感だ。

 販売在庫は、供給量からして高水準にあるような気がする。12月末の販売在庫6,848戸のうち大半は完成在庫と思われる2017~2020年分の残戸数は2,829戸になっており、販売在庫に占める割合は41.3%に上っている。

 活況を呈し、しかも大手デベロッパーの市場占有率が高まっている中で、根雪のように積みあがっていくこれらの完成在庫はどのような物件なのか。ものすごく興味がある。

 さらにもう一つ。同研究所の調査は専有面積30㎡以下や投資向け、一棟売り、地権者住戸などは調査対象外で、記者はこれらだけで年間1.5万戸はあるとみている。

 それらを足してもなお、毎年5~6万戸台で推移している首都圏マンション着工戸数とは1万戸くらいの〝空白〟がある。この毎年消える1万戸の行方が知りたい。不動産リートへの売却なのだろうか…。

カテゴリ: 2021年度

完成予定CG.jpg
「THE YOKOHAMA FRONT」(ザ ヨコハマ フロント)

 相鉄不動産(事業比率50%)と東急(同)は1月26日、日本で初となる国家戦略住宅整備事業「横浜駅きた西口鶴屋地区第一種市街地再開発事業」(施設名称 THE YOKOHAMA FRONT/ザ ヨコハマ フロント)内のタワーマンション「THE YOKOHAMA FRONT TOWER」(ザ ヨコハマ フロント タワー)のモデルルームを横浜ベイシェラトン ホテル&タワーズ内に2月下旬にオープンすると発表した。同日、メディア向け記者発表会・モデルルーム内覧会を行った。

 すでに高層階の住戸を中心とする第1期129戸を供給済みで、坪単価は717万円の高額ながら、ほとんど申し込み済み。記者が懸念した〝嫌悪施設〟が隣接することに対して、関係者は「減価要因にはまったくなっていない」と断言した。

 物件は、JR他横浜駅きた西口から徒歩3分、横浜市神奈川区鶴屋町1丁目の商業地域(建ぺい率75%、容積率850%)の敷地面積約6,687㎡に位置する43階建て全459戸(一般販売対象外住戸35戸含む)。第1期129戸の専有面積は55.48~161.62㎡、価格は1億630万~6億6,800万円。坪単価は717万円。施工は大林組。竣工予定は2024年3月。販売代理は東急リバブル、三井不動産レジデンシャル、東急ラフィア。ファサードデザインは光井純&アソシエーツ建築設計事務所。

 現地は、市のまちづくりガイドラインによって、地域の就業者や居住者の利便性を高め。賑わい機能を誘導するとともに多世代の交流を支援する機能や安全・安心をサポートする機能の集積を図るべき地域として指定されているエリアの一角。

 「横浜駅きた西口鶴屋地区第一種市街地再開発事業」は施行面積約0.8haで、2010年5月、再開発準備組合が設立され、2016年9月に都市計画決定。組合員は11名。事業コンサルタントとして松田平田設計、UG都市建築、東急設計コンサルタントが参画。2016年9月、全国第1号の国家戦略住宅整備事業に認定されている。

 建物は、2階部分に既設の歩行者デッキで駅と結ばれており、1階から4階は複合施設(4階にホテルロビー)、5階は住宅共用・ラウンジ(居住者専用ガーデン)、6階から10階がホテル、11階から12階がサービスアパートメント、13階以上が住宅ゾーン。

 共用施設としては、39階の「ベイビューラウンジ」のほか、5階にはラウンジ、ガーデン、パーティラウンジ、キッズスペース、ランドリー、ライブラリー、ワークプレイス、シガールーム、フィットネスルームなどを設置する。

 居住者サービスとして、横浜ベイシェラトンのレストランシェフの派遣、デリバリー、横浜高島屋の外商サービス、ジョイナスの提携サービスを用意している。

 専有部の主な基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井(スラブ厚260~330ミリ)、リビング天井高2700~3500ミリ、シーザーストーンキッチン天板、ディスポーザー、食洗機、グローエ水栓、食器棚、ミストサウナ、Low-Eガラス、良水工房など。

 記者発表会に臨んだ再開発組合理事長・中山久招氏は「準備組合を設立してから12年の歳月が流れた。事業を通じて地域の発展と駅周辺の賑わいの創出に貢献したい」と述べた。

 分譲事業について、相鉄不動産分譲事業部分譲事業センター課長・菅沼圭太氏は「当社と東急さん2社の集大成のプロジェクト。グローバルな視点でホテルライクな様々なサービスを提供する。第1期の購入者からは立地の希少性、複合開発の資産性・先進性、2社の安全・信頼のブランドが高い評価を頂いている」と話した。

 第1期の申込者の属性は、居住地は横浜が6割、東京都が3割、その他が1割。購入動機は実需が6割、2割が買い増し・セカンド利用、投資が2割。

眺望CG.jpg
眺望

◇        ◆     ◇

 記者はつい最近まで、このようなプロジェクトがあることを全く知らなかった。横浜出身の同業の記者の方から見学会が行わることを聞いたとき、とっさに昨年末に見学した東京建物「Brillia Tower 堂島」と住友不動産「梅田ガーデンレジデンス」が思い出され、坪単価は700万円でも不思議でないと予想した。

 ところが、その記者の方から、「鶴屋町」は地元の人なら知らない人はいない歓楽街で、物件の目の前には「ソープランド」=「嫌悪施設」があると知らされた。さらにまた、別の取材でやはり横浜出身のマンション販売担当者にそのことを話したら、その方も眉をしかめた。

 その時点で、予想単価を大幅に下方修正した。「歌舞伎町」「黄金町」と同じだったら坪単価600万円でも高いと。

 この嫌悪施設について少し補足する。嫌悪施設の定義はなく、不動産の広告規制を行っている不動産取引公正協議会も嫌悪施設の有無について広告に表示することを義務付けていないし、宅建業法の重要事項説明項目には嫌悪施設の項目はない。ただ、購入者に嫌悪施設があることを知らせなかったケースで、民事裁判で訴えられた不動産会社が敗訴した判例もあり、行政も不動産会社には嫌悪施設の有無を告知するよう指導しているようだ。(嫌悪施設について説明している不動産流通促進センターの記事を添付する)

 記者はこのことが頭にあったので、はぐらかされることを承知の上で菅沼氏にストレートにその対応と、仮に嫌悪施設が減価要因になるとすればいくらくらいかと質問した。

 菅沼氏は「重説に盛り込んでいるが、嫌悪施設が減価要因には全くなっていない」と断言した。

 疑り深い記者は現地を確認した。確かに「ソープランド〇〇」がマンションの敷地の裏側(西側)に存在した。とてもクラシックな歴史を感じさせる3階建てで、派手な呼び込み広告看板などはなく、老いぼれ記者の生き写しそのものの侘しい佇まいに拍子抜けした。小さな窓から若い女性が手を振る気配はまるでなく、手摺には全て赤さびが浮き出ていた。「男性スタッフ急募」の張り紙が張ってあった。

 これで菅沼氏の言葉に嘘がないことを確信した。さらに言えば、「心理的瑕疵」のガイドラインもできたことだ。「嫌悪施設」についても国土交通省ははっきりした見解を示すべきだ。施設側から見たらマンションこそが「嫌悪施設」になることもありうる。〝なんでもあり〟の用途指定をしておきながら、現実はそうなっていない。

 しかし、問題は簡単ではない。記者発表の後で、どこかの女性記者に「嫌悪施設って何ですか」と聞かれた。仕方なく「ソープランドです」と答えた。また別の女性記者はこう話した。「私にも子どもがいますから…でも、買えるなら買いたい」と。

ベイビューラウンジ.jpg
ベイビューラウンジ

ライブラリーサロン.jpg
ライブラリーサロン

◇        ◆     ◇

 嫌悪施設について長々と書いたが、この問題が氷解した。坪単価予想は700万円に再び上方修正する。650万円の「堂島」、600万円超の「梅田」との単純比較はできないにしろ、「横浜」と「大阪」を比較したらやはり「横浜」に軍配を記者は挙げる(「大阪」では〝負けたらいかんぞ、東京に〟と発破をかけたが)。2期以降の価格は未定で、常識的には600万円台の半ばだろうが、坪700万円台に乗っても記者は驚かない。

 根拠を示せと言われても困るが、物件の基本性能・設備仕様レベルは極めて高い。一つひとつ紹介する余裕はないが、鈴木ふじゑ氏と門井鮎美氏がモデルルームのコーディネートを担当している161㎡の「PREMIUM」は間違いなく富裕層の心を捉えるはずだ。

 もう一つ、91㎡の「SUPERIOR」を担当しているJun SAKAGUCHI氏と、55㎡の「SUPERIOR」を担当している三井デザインテックの辻瑠衣氏のデザインがよく、設備仕様レベルは都内の坪単価500万円クラスよりはるかに高いと断言できる。

 菅沼氏は「物件エントリーは1日100組のペース」と語った。分譲開始まで数千件に達するのではないか。

 モデルルーム会場になっている「横浜ベイシェラトン」の宴会場の広さは500~600坪とか。この前オープンした住友不動産「汐留」は710坪なので広さは負けるが、グレードは負けない。ホテルに聞いたら、850㎡の宴会場は会議用で2時間100万円だそうだ。

Four Seasonsとの複合 東建「堂島」第1期1・2次185戸 平均4.6倍で完売(2021/12/17)

〝どう見ても美しい〟大阪の市場を変える 東京建物「堂島」は坪単価650万円(2021/11/25)

「心理的瑕疵」「嫌悪施設」とは何か 釈然としない国交省「死の告知ガイドライン」(2021/10/10)

 


 

カテゴリ: 2021年度

外観(西側)完成予想CG.jpg
「クレヴィア大泉学園」

 伊藤忠都市開発が3月に分譲する予定の「クレヴィア大泉学園」のモデルルームを見学した。常設の「ギャラリークレヴィア新宿」内に1月8日にオープンしたもので、1月16日現在、913件の反響を呼んでいる。坪単価は300~350万円の予定でかなりレンジ幅はあるが、基本性能・設備仕様レベルは高い。

 物件は、西武池袋線大泉学園駅から徒歩7分、練馬区東大泉1丁目の第一種中高層住居専用地域に位置する5階建て全68戸。専有面積は45.56~102.12㎡、価格は未定だが、坪単価は300~350万円になる模様。竣工予定は2023年3月下旬。売主は同社のほか日鉄興和不動産。設計・監理は三輪設計。施工は谷津建設。販売代理は伊藤忠ハウジング。

 現地は、敷地西側と東側の2方に接道。建物は西向きが中心の34戸のA棟、南向き20戸のB棟、東向き14戸の3棟構成。主な基本性能・設備仕様は二重床・二重天井、リビング天井高2400~2450ミリ、扁平梁、ディスポーザー、食洗機、フィオレストーンキッチン天板、グローエ水栓、ユーティリティシンク、床暖房、ミストサウナ、Low-Eガラス、サッシ高2150ミリなど。

 1階共用部にワークスペースを備えたコミュニティラウンジや中庭を設けたほか、外出先から空調・家電などをスマートフォンで操作できるIoT設備を全戸に導入しているのが特徴。

コミュニティラウンジ完成予想CG.jpg
コミュニティラウンジ

◇        ◆     ◇

 まずは、オミクロンが猛威をふるっているにもかかわらず見学をセットしていただいた同社広報担当と、物件の説明をしていただいた同社都市住宅本部都市事業第一部(兼)リノベーションチーム・瀬谷匠氏、伊藤忠ハウジング販売営業第2部販売営業第6課長補佐・西水祐雄氏にお礼申し上げる。

 この物件についてはプレス・リリースが発表されており、そのままコピペすることもできたのだが、それでは記者の役割は果たせない。言うまでもないことだが、企業が伝えたいことと記者が知りたいこと、読者に伝えたいことは微妙に異なるからだ。記者の仕事で大事なのは住宅購入希望者の視点からものを見る目だ。これまで何度も書いてきた。この視点がいまの業界紙記者に欠けている。マンションの質が落ちているのはメディアの責任でもある。

 さて、見学して小生がとても新鮮に映ったのはIoT設備だ。スマホ一つで外出先からふろの湯を沸かしたりエアコンなどを作動させたりすることは三菱地所レジデンスの取材などで知っているが、室内の映像を確認するカメラがあることは知らなかった。同社はそれを購入者にプレゼントするそうだ。

 驚いたのは、「ダメ、待て、お座り」などと呼び掛けることができることだ。ただ、これは夫婦間では具合が悪い。かみさんが留守のときこっそり酒を飲もうと冷蔵庫を開けたとたん、そんな叱声を浴びせかけられたらたまったものではない。奥さんだって夫のいない間に肌もあらわに化粧に夢中になっている姿など覗かれたくないはずだ。間違いなく不仲の原因になる。しかし、ペットや介護にはこれは使える。同社もそのようなシーンを想定している。

 防犯カメラもセットすることができる。暴漢が闖入しようものなら警報ブザーがけたたましく鳴り、一発で痴漢を撃退できる銃や火災を予知する機器も開発されるのではないか。

 西水氏の説明も堂に入っていた。キッチンパネルは樹脂とホーローが選べることのほかに、スパイスラックはコンロの左端とシンクとの間に2か所ついていることの便利さについて身振り手振りで説明した。びっくりしたので聞いてみたら、西水氏(45)は冷蔵庫の残り物などを使って料理するのが好きで、トンポーローが十八番とか。

 上段で書いた設備機器は、坪300~350万円の物件では間違いなくトップレベルだろう。沿線には人気になっている三菱地所レジデンス「ザ・パークハウス石神井公園テラス」86戸(坪単価360万円)などもあるが、互角に戦えるはずだ。

 二人の説明を聞きながら、同社のものづくりのDNAは全然退行していないどころか、どんどん進化していることを確認できた。瀬谷氏も建築費が上昇しているからといって、必要な設備仕様を落とすようなことはしないと話した。西水氏も「タオル掛けがないマンションなど想像がつかない」と語った。同じ沿線で分譲して人気になった「中村橋」と「練馬」の記事も添付する。一緒に読んでいただきたい。 

IMG_1136.jpg IMG_1137.jpg
室内の様子を写すカメラ(左)とスマホに映し出される室内の様子

IMG_1138.jpg
室内の温度なども自動でセットできる

IMG_1141.jpg
2か所にあるスパイスラック(この便利さは調理をしないと分からない)

スマホ一つで住設機器・家電など操作・ 管理 三菱地所 スマートホームサービス開始(2021/11/4)

1階は花屋 坪270万円は安い 伊藤忠都市開発「クレヴィア練馬中村橋」(2015/1/25)

プロの見学目立つ「土間収納」付き 伊藤忠都市開発「クレヴィア練馬」(2011/9/30)

野村不「プラウドタワー大泉学園」竣工 現金購入33%、買い増し46%(2015/4/14)

カテゴリ: 2021年度

1.jpg
「Torch Tower」完成予想図

 三菱地所は1月13日、東京駅日本橋口前の日本最高層の「Torch Tower」の地上高さ約300mのフロアに約50戸(70㎡台~400㎡台)の賃貸マンションを導入すると発表した。

 大手町・丸の内・有楽町エリアでは初めての賃貸レジデンスとなり、東京駅前かつ東京駅・大手町駅直結という高い利便性、日本最高層クラスの圧倒的 な眺望、高層部に導入するスーパーラグジュアリーホテルとのサービス連携、足元の約2.0haの屋外空間や複合機能集積により、TOKYO TORCHでしか味わえないエクスクルーシブな超都心住機能を提供するとしている。

◇        ◆     ◇

 読者の皆さんもそうだろう。一番関心があるのは賃料がいったいいくらになるかだ。記者にもプレス・リリースが届いたが、ただコピペするだけでは意味がないとそのままにしていたが、思い切って賃料を予想することにした。記事化に当たっては、同社広報に「ヒントになる情報提供を」とお願いしたのだが、「賃料については全くの未定」としか返ってこなかった。

 なので、以下の記事は同社とは全く関係なく、競馬予想と同じくらいの価値もない記事のつもりで読んでいただきたい。予想が外れたからといって責任を取れと言われても困るし、〝あのバカが〟と笑って済ませていただきたい(いま小生はドストエフスキーの「白痴」=「馬鹿」に挑戦している)。

 なにしろ竣工予定は5年も先の2027年だし、大・丸・有エリアで初の賃貸だ。予想は至難を極める。ただ、これが分譲マンションだったら、そこそこ的中させる自信はある。それなりの実績もある。

 「HARUMI FLAG」だ。7年前、都がオリンピック選手村となった用地を事業者に売却した時点で坪単価は250万円と大胆予想した。その後、「週刊文春」が2019年、「日本不動産研究所の『調査報告書』をもとに不動産鑑定士らの手を借りて分析した結果、当初分譲1㎡当たり単価は74万円(坪単価244万円)であった」と報じた。真偽のほどはともかく坪250万円と差額はわずか6万円だ。

 三菱地所レジデンスが2013年に分譲したフラッグ・シップマンション「ザ・パークハウス グラン千鳥ヶ淵」の坪単価800万円もズバリ的中させているし、「六本木ヒルズ」の地権者住戸が分譲されれば坪1,000万円と予想したが、ほぼその通りになったはずだ。

マンションだけではない。東京ミッドタウンの用地(元防衛庁施設跡地)を2001年に三井不動産など6社が1,850億円で落札したが、記者はその半年前に「落札価格は1,800億円」と予測記事を書いた。

 さて、では「Torch Tower」に分譲マンションを導入したらいくらになるか。地価公示で一番高いのは中央区銀座4丁目「鳩居堂」の坪1億7,688万円(2021年)だが、記者は利便性と居住性を兼ね備えた日本一のマンション適地は「東京駅」だと思っている。JRは容積を周辺ビルに売却したが、駅上にマンションを建てたら坪単価は最低で3,000万円、ひょっとしたら坪5,000万円でも売れるのではないかと考えている。駅前の「丸ビル」も同じ評価だ。(東京駅周辺の居住環境としての最大の難点は図書館がないこと。どこかの再開発ビルが誘致すべき)

 「東京駅」より「Torch Tower」はやや割引だが、足元の約2.0haの屋外空間は価値がある。よって坪単価は価格時点で2,000万円と評価する。(もっと高いか)

 賃貸の利回りを3.5%とすると、2,000万円×3.5%=70万円/坪が年間家賃。月額で坪5.8万円だ。70㎡換算で約124万円となる。最大400㎡だと月額家賃は約703万円。もちろん、社会経済状況次第では坪6万円もありうるし、「Torch」=トイチに合わせた110万円(70㎡)もありうると見た。

 この賃料水準は〝日本一〟のはずで、かなりいい線ではないかと思う。申し込みが殺到するのではないか。周辺には名だたるラグジュアリーホテルがたくさんあり、サービスアパートメントもあるが、居住の自由度、たとえばペット飼育などホテルでは禁止されていることも可能なはずで、それらと十分勝負になる。

 参考となる賃貸マンションは皆無ではない。三井不動産の全54室の「パークアクシスプレミア日本橋室町」だ。賃料は40万~160万円(54~140㎡)=2014年発表当時。天井高は最大3m、家具付きモデルやナラ材の突板を用いたナグリ仕上げの空間提案もあった。賃料単価は「ミッドタウン六本木」と同じくらいだった。

④室町古河三井ビルディング外観.jpg
「パークアクシスプレミア日本橋室町」が入居する「室町古河三井ビル」

三井不動産 ビルも賃貸も億ション並み「和」盛り込んだ「日本橋再生」(2014/1/29)

「晴海」坪250万円予想の根拠 「週刊文春」も裏付け 当初単価は244万円と報道(2019/5/10)

皇居が一望できる唯一無二の地所レジ「千鳥ケ淵」(2013/8/5)

カテゴリ: 2021年度

20220117_02.jpg
「ATLAS GALLERY SHIBUYA」受付

20220117_05.jpg

 旭化成不動産レジデンスは117日、渋谷マークシティ内に18日にオープンしたマンションブランド「ATLAS」の新コンセプトが体感できる「ATLAS GALLERY SHIBUYA」をメディアに公開した。モデルルームは2つで、坪単価500万円台を想定した「Superior」はともかく、坪単価800万円以上の高額物件に対応した「Premium」は同業他社も含めてトップレベルだ。

開設したのは、京王井の頭線渋谷駅改札上に位置する渋谷マークシティWEST11階で、広さは全体で約160坪。「Superior」「Premium」の2つのモデルルームのほか、アロマの香りが漂う「Corridor」、アーティスト・野口真理氏のガラスアートを配した「Foyer」、商談個室「Meeting Room10室、事務所など。

新しい「ATLAS」を立ち上げるに当たっては、社内ヒアリングをおこない、「入居者に対する発信力」「課題は(JVの際)頭(=トップシェアという意味か)を取らないと名前が付かない」「現状のアトラスは上質感がない」などの声が上がったとした一方で、販売会社に対するヒアリングでは「マンション建て替えナンバーワンの実績がある」「地権者の声をよく聞き粘り強く事業を進めている」「将来のリフォームにも対応している」などと評価されたとしている。

新ブランドロゴは、これまでのゴシック体の「ATLAS」はフォルムの弱さや文字間のバラツキにより印象に残らないことなどから、明朝体のクラシカルな「ATLAS」に変更。ブランドメッセージは「こころ躍る、上質。」とした。

冒頭、同社取締役経営戦略部長・加藤宣広氏は、これまで取り組んできた等価交換132件、マンション建て替え42件、法定再開発27件の実績を紹介し、中でも建て替えは国土交通省が把握している295件のうち同社が最多で、都心物件を中心にSDGs11番目の都市再生にも貢献してきたと語り、「他社の総合ギャラリーを見学したが、当社は敢えてリアルにこだわり、五感に訴えるギャラリーとした」と話した。

販売を開始した「アトラスタワー白金レジデンシャル」(96)は坪単価660万円、間もなく販売を開始する「アトラス青山レジデンシャル」(61戸)は坪単価650万円前後、「アトラス恵比寿景丘」(57戸)は坪単価680万円前後となる見込みであることも明らかにした。

20220117_03.jpg
コリドー

IMG_1128.jpg
Foyer

       ◆     ◇

 見学会は午後4時から。先週取材した見学会の報道陣は、大和ハウス工業「空中タッチインターホン」が約40名、三菱地所レジデンス「ザ・パークハウス新浦安マリンヴィラ」が約20名だった。住友不動産の「総合マンションギャラリー新橋館」の広さは圧巻の710坪だった。「ATLAS GALLERY SHIBUYA」はどうかと胸をときめかせながら参加した。

 会見途中で流されたCMは人間の肉声にもっとも近い音域を持つチェロのパッヘルベルのカノン変奏曲とかで、チェリストは崎元蘭奈さん。これはなかなかいいと思ったのだが、ギャラリーの広さは〝惨敗〟だ。加藤氏が紹介した「名前が付かない」「上質感がない」などのあからさまな自己批判を覆すことなどできるのかと不安も募った。

 最初に見学したモデルルーム「Superior」は〝並〟で、失望感はさらに大きくなった。ところが「Premium」を見たとたん、不安・失望は雲散霧消、期待感が一挙に広がった。〝これはいい〟と。

 モデルルームは、案内担当の一級建築士で同社営業本部再開発営業部企画グループグループ長・和田悠氏自ら関わったもので、記者は約8畳大の独立型キッチンにほれ込んだ。アイランド、対面、ペニンシュラ(同社もこれが多いが)も悪くはないが、独立型がもっともいいのは言うまでもない。来客があったときなど、てんてこ舞いの台所など見せたくない。誰が見ていようときっちり調理をこなせるのはプロしかいない。

 さらに驚いたのは、全体の端正できりりとしたデザインだ。天井高は浴室も含めて全て2400ミリで統一。建具・家具類もその高さに合わせている。織り上げ天井は派手ではなく抑制気味で、多用しているアッパーライトの間接照明が実によく馴染んでいる。

 天井高について補足するが、低く感じるのはリビング天井高と廊下・キッチン、トイレ、サッシなどの高さがまちまちで、柱・梁型もあるので全体としてバランスが悪いからだ。全体を同じにすればその低さはあまり感じられない。

 設備仕様レベルも一級品だ。BOSCHMieleHANSGROHEのほか、ドアノブはCOLOMBOだ。(このほかも確認したかったのだが時間がなかった。他の方は分からないが、約30分に2つのモデルルーム見学は短すぎる

和田氏に「社長さんは見学されたのか」と質問したら、ややあって「『こころ躍る』と話された」と返ってきた。

ハスウメーカー担当の記者の方にも〝毒〟をまた一発。マンション事業にはデベロッパーとハスウメーカーの垣根などないのに、皆さんはデベロッパーのマンションを全然取材しない。木を見て森を見ないのと一緒だ。今回の同社のモデルルームがいいのか悪いのか、判断などできないだろう

一つ肝心なことを書き忘れた。紹介された「白金」「青山」「恵比寿景丘」は現地を見ていないが、価格は安すぎないか。

20220117_04.jpg
ブランドキービジュアル

IMG_1132.jpg
Premium」リビング

IMG_1130.jpg
Premium」キッチン

 

 

 

カテゴリ: 2021年度

facade_img.jpg
「グラディス千葉駅前」

 マリモが1月29日、千葉駅前の再開発マンション「グラディス千葉駅前」のモデルルームをオープンする。14日、準備中の販売事務所を訪ねた。千葉駅から徒歩3分圏では実に20年ぶりの新規物件であり、いったいいくらになるか興味津々だ。販売担当者は「競合物件もありますので、坪単価は300万円を切りたいのですが…」と語っている。

 再開発事業者は、新千葉2・3地区市街地再開発組合(事業名称:新千葉2・3地区第一種市街地再開発事業)で施行面積は約0.3ha。9階建てN棟(ワンルームマンション)と、同社のマンションS棟で構成されており、施行期間は令和2年度~令和5年度。総事業費は約47億円。同社は参加組合員として事業に参画している。

 S棟の「グラディス千葉駅前」は、JR千葉駅西口から徒歩2分、千葉市中央区新千葉二丁目に位置する15階建て87戸(販売戸数79戸)。専有面積58.59~113.85㎡、価格は未定。1階は商業施設、2階は駐輪場と千葉市の防災備蓄倉庫、住戸は3階以上で南西向き・西向き。完成予定は2023年1月末日。設計・監理・施工は奥村組。

 マンションギャラリー所長で同社マンション事業部おもてなし課・中村巡洋氏は、「『グラディス』は当社の最上位のブランド。施工の奥村組さんは、わたしも担当した『昭和記念公園』と同じ。直床ですが、リビング天井高は2480~2600ミリ、食洗機、床暖房、ソフトクローズ引き戸、タンクレストイレ、浴室タオル掛けのほか、玄関には姿見を標準装備します。設備仕様レベルは競合物件に負けないはず」と語っている。

entrance_img.jpg
エントランス

◇       ◆     ◇

 記者がもっとも注目しているのは価格・坪単価がいくらになるかだ。首都圏の県都では横浜は坪単価500万円を突破し、浦和、大宮も坪400万円を突破しているのに、千葉駅圏はこれまで坪300万円以上はなく、県下でも坪300万円を突破しているのは浦安市、市川市、船橋市の一部しかない。

 千葉駅から徒歩2分なら坪300万円を突破しても不思議ではないが、中村氏は競合物件を意識してか詳細は語らなかった。競合物件とは、駅東側の千葉パルコ跡地の新日本建設・中央日本土地建物・あなぶきホームライフ・長谷工コーポレーション・東方地所の5社JV再開発「エクセレント ザ タワー」(397戸)だ。この物件の値付けがカギを握っている。

 「エクセレント ザ タワー」はJR千葉駅から徒歩9分、千葉都市モノレール葭川公園駅から徒歩2分の31階建て全397戸。専有面積は32.44~101.54㎡。価格は未定。竣工予定は2023年12月中旬。施工は新日本建設、長谷工コーポレーション。

 こちらは、千葉駅からはややあるが、三井ガーデンホテル、中央公園、43階建て「千葉セントラルタワー」(436戸)が近接。市の一等地でもある。しかし、関係者によると早期完売を狙っているようで、価格は坪300万円を割り、坪280万円くらいに抑えられそうだ。

 記者の記憶は確かでないのだが、「千葉セントラルタワー」はオリックス不動産・ニチモが売主で、2006年に分譲開始された。最高に素晴らしいマンションだった。坪単価は200万円を割っていたにも関わらず、高額住戸が完売するまで数年かかった。「エクセレント ザ タワー」関係者もこの悪夢から抜け出せないのかもしれない。(記事参照)

 となると、マリモも強気な価格設定は難しくなる…千葉の価格が低いのは、デベロッパー同士が〝価格優先〟の足の引っ張り合いをしているからと言ったら怒られるか。マンションの壁は薄くなり、天井も低くなる一方なのに、坪300万円の壁は厚い。

IMG_1104.jpg
現地

平均74㎡、競合物件意識した商品企画 マリモ・小田急不の駅前再開発「厚木」(2021/11/3)

平均75㎡ レベル高いマリモ「昭和記念公園」4カ月で半分以上の90戸超成約済み(2021/1/13)

即完条件揃った「CHIBA CENTRAL TOWER」だが(2006/9/13)

カテゴリ: 2021年度

220113_centurynakano_01.jpg
「センチュリー中野南台」イメージ図

 コスモスイニシアは1月14日、DINKSやLGBTs世帯の“大人の二人世帯”向けのリノベーションマンションをLGBTs当事者が中心となって運営を行っている不動産仲介会社IRIS(アイリス)と共同で開発し、昨年末から販売を開始したと発表した。

 物件は、東京メトロ丸の内線中野新橋駅から徒歩10分、中野区南台1丁目に位置する2001年5月竣工の14階建て「センチュリー中野南台」(全57戸)の2LDKで、専有面積64.55㎡、価格は6,380万円。

 商品開発に当たってはIRISの意見を聞き企画に反映。洋室2部屋をそれぞれ独立した空間とし、1室は寝室として、もう1室をワークスペースとして使用することも、それぞれ寝室を分けて使用することも選択可能な間取りとし、洗面室は2ボウルの洗面台を採用、鏡も2種類設置。

 キッチンは二人での調理もスムーズにできるL字型とし、玄関からも室内からもアクセスできる「ハーフ土間収納」はゴルフやアウトドア用品も収納できるようにしている。浴室は調光機能・間接照明・全自動浴室洗浄機能付き。

カテゴリ: 2021年度

外観②.jpg
「ザ・パークハウス新浦安マリンヴィラ」

 三菱地所レジデンスは1月12日、2030年までにCO2排出量を50%削減すると発表したが、その先陣を切る同社初の「ZEH-M(ゼッチマンション)Ready」の認定を受けた「ザ・パークハウス新浦安マリンヴィラ」第Ⅰ工区(234戸)のメディア向け竣工見学会を行った。バス便で第一種低層住居専用地域の厳しい建築規制を受けながら、そのハンディを巧みに利用した商品企画が評価され、人気を呼んでいる。

 物件は、JR新浦安駅からバス13分、バス停下車徒歩2分。浦安市高洲6丁目の第一種低層住居専用地域(建ぺい率50%、容積率100%)・第一種住居地域(建ぺい率60%、容積率200%)に位置する敷地面積約47,199㎡で、建物は「テラスプラザ」(101戸)と「ベイプラザ」(133戸)からなる第Ⅰ工区(234戸)と「サニープラザ」(168戸)と「カームプラザ」(126戸)からなる第Ⅱ工区(294戸)の4階建て15棟構成の全528戸。このほか木造1階建ての「ヴィラハウス」、鉄骨造2階建ての「アネックスハウス」(パーティールーム・ゲストルーム・ジム施設棟)。第Ⅰ工区は2021年10月に竣工済みで、第Ⅱ工区の竣工予定は2022年8月上旬。売主は同社(事業比率90%)のほか近鉄不動産(同10%)。設計・施工は長谷工コーポレーション。

 同社としては初の「ZEH-M Ready」認定を受けているのが特徴。建物は開口部のほか戸境壁と天井の断熱性能を向上させるため5面断熱構造とし、太陽光発電による太陽光エネルギーを湯に変えて蓄熱(蓄エネ)するシステムを構築。蓄電池なしで日中の太陽光発電電力を100%使い切ることで、一次エネルギー消費量の削減率50%を実現した。

 同社は、断熱性能を向上させるため200万円/戸のコストを掛けたというが、50万円/戸の補助金が出るため、エアコン2台を標準装備することで入居者にも一部を還元した。

 販売開始は2020年11月で、第Ⅰ工区の価格は5,148万~9,998万円、専有面積は86.09~126.67㎡。坪単価は225万円。これまで第1工区の全戸と第二工区の約130戸が成約済み。総問い合わせは約7,000件、総来場件数は約2,700件。

 顧客の属性は、居住地は地元浦安市が4割強、東京都は4割弱、その約半分が湾岸エリア、年齢層は30代~40代で6割、職業は会社員が7割弱、会社役員が1割強。

 購入者からは、平均約96㎡の住戸の広さ、海・川・公園が隣接している自然環境の良さ、低層4階建てのランドスケープ、「ZEH-M Ready」の環境配慮などが評価されたという。

外観①.jpg

外観③.jpg
手前は境川

ヴィラハウスデッキ.jpg
ヴィラハウスデッキ

ウィズラウンジ.jpg
ウィズラウンジ

◇       ◆     ◇

 現地の周辺には、UR都市機構のほか「パークシティ新浦安」「プラウド新浦安」「クオン新浦安」など民間の優れたマンションもあるが、今回のマンションはこれらと肩を並べるか、あるいはそれ以上の価値があるとみた。坪単価は信じられないくらい安いが、平均96㎡なのでグロス価格が張るにもかかわらず分譲開始から1年強で残り約160戸という数字にも、購入者から高い評価を受けていることが分かる。

 何が素晴らしいかといえば、ランドスケープデザインだ。空地率は敷地面積約47,199㎡の半分以上の54%で、数千本の中高木を植栽し、リゾートマンションのような雰囲気を演出している。1低層の大規模マンションといえば、同社の「ザ・パークハウス 上鷺宮」をはじめいくつか思い浮かぶのだが、これほどの規模は首都圏に他にないのではないか。

 用途地域について少し補足する。同社は2017年、千葉県企業局から用地を取得しているのだが、敷地の大部分は建ぺい率50%、容積率100%の第一種低層住居専用地域(1低層)だ。

 周辺エリアはどうかというと、ほとんどは建ぺい率60%、容積率200%の住居系だ。同地も従前は建ぺい率60%、容積率200%の第一種住居専用地域だったが、市は平成20年2月、地区計画の見直しを行い1低層に変更した。

 4階建てになっているのは、「建築物の高さの限度が10メートルと定められた第1種低層住居専用地域又は第2種低層住居専用地域内においては、その敷地内に政令で定める空地を有し、かつ、その敷地面積が政令で定める規模以上である建築物であって、特定行政庁が低層住宅に係る良好な住居の環境を害するおそれがないと認めるものの高さの限度は、同項の規定にかかわらず、12メートルとする」という建築基準法第55条第2項の適用を受けているからだ。リビング天井高が2450ミリというのもそのためだ。

 記者はこの建基法の高さ規制を緩和すべきだとずっと以前から主張してきた。10m、12m、15m、20m…とほとんど3mと5mの倍数の現行規制は合理的ではない。階高を3.2~3.3mとしてその倍率まで緩和し、容積の割り増しを行えば良好なマンションが建てられる。

 人気の要因の一つになっている共用施設も目を見張るものがある。見学会ではブックカフェ、ウィズラウンジ、キッズルーム、サイクルスペース、パーティルーム、フィットネス、ゲストルーム、レンタルコーナーなどが紹介されたが、24時間利用可能の施設も多く、使用料は無料か低料金に設定されているのにびっくりした。単価では計れない価値があるマンションだ。

 設備仕様レベルについて。用地取得費が安かったためもあるのだろうが、坪単価225万円でこれほど質の高いものができるのに嬉しくなった。リビング天井高2450ミリが低い(今は普通か)のは規制があるためで、床暖房が付いていないのには驚いたが、断熱性能を高めたことでどれほどの光熱費を削減できるか、その効果を知りたいものだ。

 他では、ディスポーザー、食洗機、1620バス(一部除く)、ワークカウンター、メーターモジュール廊下(一部)など。浴室にはタオル掛けが2つ、シャワースライドバーのフックも2つついている。モデルルームの浴室には脱衣スペースもあった。

IMG_1077.JPG
レンタルコ―ナー

IMG_1082.jpg
浴室脱衣スペース

2030年までにCO2排出量50%削減 三菱地所レジ 建設と入居後双方で〝見える化〟(2022/1/12)

〝オールスターツ〟「QUWON(クオン)新浦安」始動 新浦安ブランド回復のシンボル(2017/8/9)

全701戸が平均120㎡ テーマは「家族の絆」「パークシティ東京ベイ新浦安」(2010/12/14)

早期完売間違いない 野村不動産「プラウド新浦安」(2007/1/17)

県企業庁の最後のマンション処分用地  野村不「プラウド新浦安パームコート」(2010/2/9)

カテゴリ: 2021年度

空中タッチインターホン.jpg
「空中タッチインターホン」実証実験

 大和ハウス工業、パナソニック、アスカネットの3社は1月13日、空中で操作できるインターホン「空中タッチインターホン」の共同実証実験を1月15日から開始すると発表。実験対象となる大和ハウス工業の分譲マンション「プレミスト津田山」のマンションサロンエントランスをメディア向けに公開した。

 実証実験では、アスカネットが開発した「ASKA3D」(空中ディスプレイ)とパナソニック製インターホンを連携させ、マンションモデルルーム見学者の声を聞きながら実用化に向けた取り組みを行う。期間は約6か月間。この種の実験を行うのは業界初という。

 「空中タッチインターホン」は、空中ディスプレイに集合住宅のロビーインターホンの画面を表示し、空中タッチディスプレイから送られるボタンの入力情報を信号変換し、ロビーインターホンへ入力することで、住戸番号の入力を完全非接触で操作できる。直接接触しないため、指紋などで汚れることもなく、濡れた手や汚れた手でも操作が可能。

 大和ハウスとしては、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、不特定多数の人が触れる箇所に直接接触することに抵抗や不安を感じる人が増加し、衛生意識が高まっていることに対応するもので、分譲マンションの専有部での抗ウイルスや抗菌剤を施した床材や建具などの採用や、共用部での非接触キーやハンズフリーエレベーターの導入など「非接触化」を進めている取り組みの一環。

 3社は今後、分譲マンションだけでなく、店舗やオフィスビルなど大型施設での導入の可能性も検討し、実用化を目指していく。

IMG_1089.jpg
実証実験デモ

IMG_1094.jpg
見学会に駆け付けた黒山の報道陣(記者はコロナが怖くこの輪の中に加わらなかった)

◇       ◆     ◇

 記者が驚いたのは、発表会場となった「プレミスト津田山」のマンションサロンに集まったメディアの多さただった。ざっと数えただけで40人はいた。前日の三菱地所レジデンスの新浦安のZEHマンション竣工見学会の倍だった。

 取材対象、主旨が異なると言ってしまえばそれまでだが、3社のメディア動員力の凄さなのだろう。特に大和ハウスはリアル・オンラインの記者発表会をコロナ禍でも住宅・不動産業界の中でもっとも積極的に行ってきた。その成果だろう。率直に評価したい。

 「空中タッチインターホン」の実証実験の結果がどう出るかは分からないが、マンション購入者にも理解されるはずだ。

 実は記者は昨年2度、同じような機能を持つ非接触型のディスプレイを取材している。一つはLIXILが7月21日(水)~9月5日(日)行った多様なニーズに対応した誰もが使いやすいトイレをテーマにした「LIXIL PARK」で、もう一つは日本財団が主導し、大和ハウスが施工を担当している「THE TOKYO TOILET」プロジェクトの一つである渋谷区幡ヶ谷2丁目の「七号通り公園トイレ」だ。

 大和ハウスが今回の実証実験を行うのは、「THE TOKYO TOILET」プロジェクトがヒントになっているのではないか。

 さて「プレミスト津田山」。JR南武線津田山駅から徒歩3分の6階建て全106戸で、専有面積は49.20~98.50㎡、価格は未定だが、坪単価は275万円になる模様だ。

 単価的には〝売れる〟価格だと思うが、用途地域は建築物の絶対高さ15mの規制があるためかリビング天井高は2400ミリで、浴室のドアにはタオル掛けがない(オプション)のが気になった。

 タオル掛けでいえば、最近はタオル掛けを付けない大手デベロッパーの物件も目立つようになっている。いうまでもなくグロス価格を抑えるためだだが、三菱地所レジデンスはもう数年も前からタオル掛けは2本設置し、浴室にはシャワースライドバーにフックを2つ設置することを標準装備としている。

 三菱地所レジデンスの立派なのはこういうところだ。どんなに市況が厳しかろうと、必要なものは必要だ。タオル掛けがなかったら、バスタオルはどこに置くのか、濡れたまま浴室の外に出なければならない不愉快さを考えてほしい。たかが数万円の出費を惜しむ結果、購入希望者が難色を示し、販売担当も苦労する。

  記者の方々にも一言。皆さんは「空中タッチインターホン」に夢中になっていたようだが、肝心のマンションの商品企画には全く関心を示さなかった。木を見て森を見ずといったら失礼か。

IMG_1102.jpg
タオル掛けが2本ついているある郊外マンションのモデルルーム(社名は明かせないが、この会社は郊外中心に年間1000戸以上を供給しているが、在庫はほとんどない。販売担当者は大手デベロッパーが付けないのを喜んでいた)

誰もが使いやすいトイレ「LIXIL PARK」 フジテレビ広場で公開LIXIL 7/21~9/5(2021/7/20)

日本初の手をつかわないトイレ「Hi Toilet」誕生 佐藤カズー氏デザイン 日本財団PJ(2021/8/12)

カテゴリ: 2021年度
 

rbay_ayumi.gif

 

ログイン

アカウントでログイン

ユーザ名 *
パスワード *
自動ログイン