3.11から14年 仙台市も2年連続人口減 増加は名取市のみ 太平洋岸39市町村人口
2011年3月11日の東日本大震災から明後日で14年が経過する。警察庁の発表によると、令和7年3月7日現在、死者は19,500人、行方不明者は2,520人で、昨年からの増加はなかった。復興庁によると、関連死は令和6年12月31日現在、3,808人で、前年より6人増加した。令和7年2月現在、避難者は27,615人で、前年から988人減少した。施設別では仮設住宅や賃貸住宅が10,515人(前年より97人減)、親族・知人宅などが16,995人(同888)人減)となっている。
令和7年度の復興庁の予算概算(東日本大震災復興特別会計)は4,864億円(れいわ6年度当初予算は4,707置く円)。「第2期復興・創生期間」の最終年度においても必要な取組を精力的に進めるとしている。
別表の通り、震災被害を受けた太平洋岸に位置する岩手、宮城、福島、茨城県の39市町村の令和7年2月1日現在の人口をまとめた。
前年同月比で人口が増加したのは宮城県名取市のみで、仙台市も0.2%減少(前年より0.1ポイント増)。39市町村全体では前年から0.9%(前年より0.1ポイント増)、約2.2万人減少した。
被災前人口との比較では、人口が増加しているのは仙台市(4.7%増)、名取市(7.9%増)、利府町(3.0%)のみ。女川町が40.5%、南三陸町が36.5%、大槌町が34.5%それぞれ減少している(原発被災地は除く)。
3.11から13年前年比で仙台市も人口減少増加は名取市のみ太平洋湾岸の39市町村(2024/3/10)
「死んだ家が蘇った」オーナー 空き家リノベラボ「太子堂の家」完成 Jam
「太子堂の家」
〝不動産・建築・リノベーションのプロフェッショナルチーム〟をうたうJam(Japan asset management株式会社)は3月8日、空き家活用プロジェクト「太子堂の家」竣工見学会&懇親会を開催。築68年の借地権付き64㎡の専用住宅オーナーと同社が8年間の定期賃貸借契約を結び、共同投資して約1,200万円の工事費をかけ、隣接地事業者に転貸する仕組み。転借人は「民泊」として活用する。プロジェクトには同社のほか、地元でコミュニティ施設を運営する空き家リノベラボパートナー・三茶ワークカンバニーなど多くの企業・団体がかかわっている。
プロジェクトは、オーナーが相続で建物を取得したが、再建築が不可であることから世田谷区の空き家相談を介してJamが紹介されスタート。現行法では第一種住居地域・近隣常行地域にまたがっており、建ぺい率60%・80%、容積率200%・300%のエリア。建物は耐震補強を行っているが、「大規模修繕」「大規模の模様替え」に該当せず、2025年4月以降の建基法改定による申請は不要だった。現在の土地所有者は、底地権者が物納したため財務省。
建物オーナー(61)は「三茶WORK 茶や」で行われた懇親会で、「もともとは祖母の家で、祖母、父母と私の4人で30年くらい住んでいた。私は30代のとき大田区に移り住んだ。以後は父が住んでいたが、死亡してから4~5年空き家になっていた。家も死んだと思っていたが、生き返った。心から嬉しい」と語った。
Jam代表取締役/仕掛人・内山博文氏は「この3年間、地域の方々とつながるプロジェクトに取り組んできた。今回の物件はその集大成。街づくりの形が見えてきた。わくわくしている」と話した。
空き家リノベラボ(通称「あきラボ」)は、不動産・建築・金融 の多角的な視点から、空き家・相続不動産の課題解決をあきラボパートナーと連携し、ワンストップでサポートするプラットフォーム。
耐震補強の柱と梁
階段
水槽(オーナーのお父さんは30センチもする金魚を飼っていたとか)
道路幅は約1.5m
内山氏
◇ ◆ ◇
Googleの地図検索を頼りに現地に向かったのだが、丁目と番地までしか表示がなく、号にたどり着くまでは番地を一周りしなければならなかった。細い路地に入ってすぐ既存不適格建築物であることが分かった。道路幅は2mどころか1.5mくらいしかなかった。同様の既存不適格建物はこのほか数軒あった。
頂いた資料のBeforeには接道なし、再建築不可/旧法借地権付き、用途/規模は専用住宅木造2階建て、築年数は昭和31年、建築面積/延床面積は40.94㎡/64.12㎡とあった。
昭和31年は記者が7歳のときだ。既存の玄関ドア、天井現し、13段の階段、柱、窓、壁、水槽、庭石、樹木などを見て、懐かしさがこみあげてきた。
と同時に、合法的に建てられたのかの疑問が湧いた。関係者によると、現状の敷地面積は83.9㎡だが、当時の敷地面積は不明で、着地権でもあることから建築当時はおおらかな形で申請がなされ、当時の建ぺい率60%(容積率は定めがなかった)には適合していたのではないかということだった。
和室(6畳)
現し天井
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懇親会では多くの方と歓談した。不動産は排他的・絶対的な支配権を有し、空き家はテーマが大きすぎ、権利関係も複雑なので記者は取材を避けてきた。この種の対症療法的な空き家リノベは根本的な問題の解決にはつながらないと考えているが、「古いものが残ってよかった。新しいものとの共存が大事」「地域の住民にとって(空き家のままより)安心できる」「転借人は地域とのコミュニケーションを大切にしている方」「路地が大好き」「私も相模原に空き家がある。何とかしたく、見学会に参加した」などと切実な声を聴いた。
メディアは信用されていないことも感じた。「取材です」と声を掛けると、眉をしかめる人もいた。「あなた、神宮外苑をどう思ってるの? 」と問われたので、「三井不動産は『経年優化』を目指している。いい街になると思いますよ」と答えたのがいけなかった。集中砲火を浴びた。(RBAタイムズのホームページで「神宮外苑」を検索していただきたい。野球記事もあるが全部で143件ヒットする。記者は嘘は書かない)
築60年、既存不適格、借地権…難問クリア空き家リノベラボ「house matsubara」(2024/8/7)
自立と低自立の二重円構造くっきり 高齢者の住まいと暮らし ケアリングデザイン調査
小野氏(左)と阿久津氏
一般社団法人ケアリングデザイン(代表理事:小野由記子氏)は3月7日、2024年「100年人生 自立をかなえる住まいと暮らし」をテーマにした調査報告発表会&トークセッションを開催。小野氏がショッキングな調査結果を報告したほか、国内外のエイジングテックの第一人者である千葉大学医学部附属病院特任准教授・阿久津靖子氏がデンマークなどの先進的な取り組みを紹介し、小野氏と阿久津氏のトークセッションも行われた。
調査は、75歳以上の高齢者1,000人を対象に、外出習慣や生活動作など身体的機能6項目と、意思決定などの人生マインド8項目の回答を点数化し自立度を設定。調査の結果、自立度の高い「自立シニア」は39.0%の390人、「中自立シニア」は38.9%の389人、自立度の低い「低自立シニア」は22.1%の221人となった。
自立して暮らすことが難しくなった場合、すまいをどうするかの問いに対しては、自立シニアも低自立シニアも自宅に住み続けたいと回答した人は約70%に達した。
自立シニアは外出機会が多く、周囲とのコミュニケーションが活発で、有職者も2割。食事の準備、掃除や洗濯、お金の管理を自分で行い、外出に積極的であることを明らかにした。一方、低自立シニアは健康上の課題を抱えている人が4割程度に達し、外出頻度は33.0%(自立シニアは68.7%)と低い数値にとどまっていることが分かった。
自立シニアの考えや行動については、①自分の意見や行動に責任を持っている②人から指図されず自分で判断して行動する③自分の考えに自信を持っている④趣味や楽しみ、好きでやっていることがある⑤状況や他人の意見に流されないほう⑥何か夢中になれることがある⑦これからの人生に目的を持っている⑧何か人のためになることをしたい-と答えた人は8~9割に上った。他方で、非自立シニアは①②⑤以外は5割を割っている。⑦は19.0%、⑧は26.2%の結果になった。
自立シニアの住まいに関する考えでは、50%以上の人がポジティブな考えを持っている反面、低自立シニアは20%未満の回答となった。
住まいで大切だと思う点のトップ10を自立シニアと低自立シニアとで比較したところ、日当たり、風通しや湿度、くつろげる場所、機密性・断熱性、浴室・洗面所の室温。生活上十分な広さ、収納、安全な階段などすべての項目で自立シニアはほぼ6割の人が高い関心を示した一方で、低自立シニアは2~3割台にとどまり、ドーナツ状の二重円を描いた。
ありたい暮らしの実現度では、自立シニアは様々な項目で高い実現度に達している一方で、低自立シニアは低い数値にとどまり、「自宅に人を招く」は31.0%(自立シニアは75.1%)と大きな隔たりがみられる。
住まいの満足度と自立度は比例しており、幸福度については自立シニアは「高い」が28.7%(低自立は5.4%)、「ふつう」が56.4%(同43.9%)、「低い」が14.9%(同50.7%)と大きな差が出ている。
調査結果について小野氏は「心身共に健康な自立シニアは思い通りに生き生きと暮らしを楽しんでいることが分かった。100年人生を自立して幸福に過ごすために、暮らしを下支えする住まいのあり方について今後も調査していきたい」と語った。
調査は、公益財団法人日本財団の2024年度助成プログラムを受けて実施したもの。
小野氏に続いて登壇した阿久津氏は、国内外の高齢者政策を紹介し、わが国はデンマークなどの先進国と比べかなり遅れていると指摘。今後必要なのは、高齢者が自立して暮らす、テクノロジーと一緒に暮らすことが必要と強調した。エイジング・イン・プレイス(Aging in Place)があるかどうか、テクノロジーを活用するかどうかで経済格差、健康格差が広がると語った。具体的には、高齢者の「孤独」「移乗・移動」をサポートするかが重要であると指摘した。
一方で、高齢者の金融資産は増加し、スマートシティ、スマートホームが普及し、住宅メーカーの取り組みも加速し、最近の人は抵抗なくスマホ・アプリ、AIなどを自由に扱えるようになったプラス面での現状にも触れ、マンションの管理会社が日常的にサービスを提供する絶好のチャンスであり、今後は図書館やスーパー、薬局などで相談ができる仕組みを構築したいと語った。
阿久津氏は今後3年間、千葉大大学院で研究し、具体的な取り組みなどを提案するのだそうだ。
会場(KARIMOKU RESEARCH CENTER)
◇ ◆ ◇
もうすぐ76歳になる記者は、調査結果が自立シニアと低自立シニアのドーナツ状の二重円構造を明らかにしたことにショックを受けた。住宅価格が上昇し、あらゆる面で分譲より劣る賃貸住宅の賃料も安くない現実を改めて突きつけられた。6割以上の高齢者が自立できない何らかの問題を抱えているということだ。〝お前は自立できているか〟と問われれば自信はない。
社会全体が高齢者の居住環境の改善に取り組まないといけないことを痛感させられたセミナーだった。
小野由記子氏もハイブリッドキッチン提案 西武池袋本店「くらしのデザイン展2022」(2022/3/21)
わが国初の女性活躍推進に特化した支援ファンド設立 東京都、三菱地所など
東京都、三菱UFJ銀行、三菱地所、塩野義製薬、MPower Partnersは3月7日、女性活躍推進に特化した国内初のスタートアップ支援ファンド「WPower Fund I投資事業有限責任組合(WPowerファンド)」を設立したと発表した。同ファンドを通じ、日本から世界へ羽ばたき活躍する女性起業家を育成し、女性活躍を推進するスタートアップを支援する。ファンド規模は最大80億円。
同ファンドは、わが国のスタートアップ投資はこの10年で10倍になったものの、女性起業家への投資額は全体のわずか2%にとどまっている一方で、女性創業者の数は年々増加し、新規起業の34%は女性によるものに着目。多くの優れた女性創業のスタートアップおよび女性関連ビジネスが資金調達に困難を抱えていることにより、イノベーションが阻害され、経済の活力が失われているとし、同ファンドを通して女性起業家および女性活躍推進に資する事業を支援する。
ファンド名はWPower Fund I 投資事業有限責任組合。投資対象はアーリーステージの女性創業スタートアップ、女性活躍の推進等に資するサービス・商品を展開するスタートアップ。投資家は無限責任組合:WPower Fund GP有限責任事業組合、有限責任組合員は東京都、株式会社三菱UFJ銀行、三菱地所株式会社、塩野義製薬など。ファンド規模は最大80億円。
三菱UFJ銀行は、「女性活躍推進は世界を大きく変貌させる可能性を秘める重要な取組として捉えており、この度組成する本ファンドが担う社会的な意義・責任は極めて大きいものと感じております。三菱UFJ銀行はアンカー投資家として、本ファンドを通じて日本を、世界を前に進めるチカラとして全力で支援してまいります」とコメントしている。問い合わせは広報部TEL:03-5218-1814。
三菱地所は、「多様性豊かなまちづくり、多様な価値観・人材が生み出すイノベーションこそが、当社が社会に対して提供すべき価値と捉えており、国内の総合デベロッパーとしては初めて、女性のエンパワーメント原則(WEPs)に参画するなど、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの取り組みを推進しています」とコメント。問い合わせは広報部TEL:03-5218-1814。
塩野義製薬は「本パートナーシップを通じて、社会課題解決に貢献するとともに、年齢や性別、人種、異文化等を超越したダイバーシティを有するSHIONOGIとして、今後一層、その融合を図り、継続的なイノベーション創出につなげ、持続性ある経営を推進し社会に対する責任を果たしていきたいと考えています」とコメント。問い合わせは塩野義製薬 https://www.shionogi.com/jp/ja/quest.html#3
街区名称は「TOFROM YAESU(トフロム ヤエス)」 東建「八重洲プロジェクト」
「TOFROM YAESU TOWER」(左)と「TOFROM YAESU THE FRONT」
東京建物は3月3日、東京駅前の再開発「八重洲プロジェクト」記者発表会を開催し、街区名称を「TOFROM YAESU(トフロム ヤエス)」に決定したと発表。プロジェクトA地区の再開発組合理事長で特定業務代行者代表企業でもある同社代表取締役社長執行役員・小澤克人氏と、プロジェクトB地区の再開発組合理事長・加藤一男氏がYNK(八重洲・日本橋・京橋)の玄関口にふさわしいウェルビーイングな街づくりを進めると語った。発表会には60名を超えるメディアと関係者など約100名が集まった。
「TOFROM」のロゴは、伝統と最先端が溶け合う、進化を続けていく東京の最前線のエリアであるYNKエリアにふさわしい「八重洲へ(TO)/八重洲から(FROM)」多様な価値観を“つなげていく”という思いが込められた造語。
ワーカーのウェルビーイング向上をオフィス全体でサポートするため、予防医学研究者・石川善樹氏監修のもと、個人のウェルビーイング状態を簡易に測定できるツール「ウェルビーイングスコア」を開発し、20個の「ウェルビーイング向上因子」をもとにした①わが国初の「喫泉室」や仮眠室を備えたリフレッシュ空間「YAESU SKY LOUNGE」②47都道府県の郷土料理などを提供する食堂・カフェ&バー・ビュッフェカウンター、サードプレイスとして多様な過ごし方を選択できるラウンジ空間、緑化やアート・お茶に特化した会議室などのウェルビーイングフロア「Wab.」③東京駅を眼下に望む「Rooftop Terrace」④短期でも利用可能なハイグレードフレキシブルオフィス「EXEVIA TOKYO YAESU」-などを整備する。
国際都市東京の玄関口にふさわしい都市機能の強化としては、「日本医科大学八重洲健診ステーション」や約800名収容可能な劇場・カンファレンス施設を整備する。
また、TOFROM YAESU TOWER地下階には、UR都市機構が整備する「バスターミナル東京八重洲」の第2期エリアを整備。今回のプロジェクトを含む第3期エリアの開業後には国内最大級の高速バスターミナル(3エリア合計20バース)となる。
商業施設には、江戸の食文化を継承する創業100年超の老舗のほか個性的な飲食店など約70店舗がオープンする予定。
加藤氏は「今から25年前、小さな夢と希望があった。その後、大きな夢に変化した。しかし、半面、目標が大きくなるにつれて相応の困難が伴った。長い長い時間との戦いでもあった。それでも、この再開発を我々の力でなし遂げるのだという強い思いがその困難を乗り越える糧となった。竣工まであと1年。我々の目標が形となる。これが次の世代への力強いスタートとなることを願う」とあいさつした。加藤氏は78歳。東京建物本社ビルに近接する創業175年(寛永3年)の「割烹 嶋村」の8代目代表取締役。
小澤氏は、現段階でのオフィステナントの入居内定率は60%であることを明らかにし、「当初からの予定通りの進捗。急いで稼働率を上げるより、GDPからGDWを重視する世界的な流れであるウェルビーイングのコンセプトを十分理解していただいて入居していただくことを優先する」と語った。
「八重洲プロジェクト」は、2000年、東京都駅前地区再生推進懇談会発足、2008年、京駅前八重洲一丁目東地区市街地再開発準備組合設立、2015年、都市計画決定。施行者・東京駅前八重洲一丁目東A地区市街地再開発組合による敷地面積約1,300㎡、10階建て延べ床面積12,000㎡の「TOFROM YAESU THE FRONT(トフロム ヤエス ザ フロント)」と施行者・東京駅前八重洲一丁目東B地区市街地再開発組合による敷地面積約10,600㎡、51階建て延床面積225,000㎡の「TOFROM YAESU TOWER(トフロム ヤエス タワー)」2棟で構成。主要用途は事務所、店舗、診療所、劇場・カンファレンス、バスターミナル、住宅など。設計はA地区が大成建設、B地区が大林組。施工はA地区が大成建設、B地区が大林・大成建設共同企業体。全体竣工は2026年7月。
加藤氏(左)小澤氏(東京スクエアガーデン 東京コンベンションホール)
Rooftop Terrace イメージ
Wab.緑の会議室 イメージ
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これまで数えきれないほど再開発組合理事長のあいさつを聞いてきた。計画から完成までスムーズに運んだものなど一つもない。加藤氏は「今から25年前」と語りだし、「小さな夢と希望」が「大きな目標」となり、「相応の困難」「長い長い時間」との戦いが続いたことを淡々と語った。
記者は穏やかな語りに感銘を受けた。いつものように会場の最後尾に座っていたので、加藤氏の年齢や割烹料理店の8代目店主などとは全く知らなかったが、ちょうど昼時だったので利用することにした。ホッケの日替わり定食はとてもおいしかった。
頂いた資料には桜田門外の変などの歴史や久保田万次郎、獅子文六、田山花袋、豊島与志雄、永井荷風などか贔屓にしたことなどが記されていた。ビールと芋焼酎「嶋村」を2杯飲んだので、料金はいつもの「日高屋」の4倍だったが、文豪が利用した店で食事ができ、酒を飲める価値は値段には代えられない価値がある。
嶋村
日替わり定食
ヒノキのカウンター
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発表会後にメディアに紹介されたデモ施設では、「喫泉室」が最高に素晴らしかった。ブース(2m×2m)に入った途端、樹木(ヒバ)の香りが全身を貫いた。ブースは4つの予定で、価格をどうするか、樹木の香りを定期的に変更するかなどは検討中とのことだ。かつて、三菱地所が同じような商品を開発したのを思い出したが、値段が高かった。どうなったのだろう。
「喫泉室」イメージ
公開された「喫泉室」デモ
Wab.ラウンジ イメージ
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「TOFROM」には「住宅」も整備されるが、これは分譲でも賃貸でもなく、地権者用住居で、戸数は十数戸になる模様だ。建物の所有や処分に関する契約がどうなるのかわからないが、仮に区分所有建物であれば、記者は坪5,000万円、30坪で15億円(もっと高いか)で売れると思うが、みなさんいかがか。
現場
横浜市初のPark-PFI「横浜市大通り公園1区~3区リニューアル」 三井不など4社
「横浜市大通り公園1区~3区リニューアル事業」
三井不動産を代表企業とする京浜急行電鉄、ディー・エヌ・エー、東急の4社は2月28日、横浜市初の大型Park-PFI事業「横浜市大通り公園1区~3区リニューアル事業」に選定されたと発表した。
大通り公園は、JR関内駅東側の1区から、西方向の横浜市営地下鉄阪東橋駅西側までの8区に至る全長約1.2㎞、幅員30~40m、面積約3.57haの地区公園。今回選定された1区~3区は、JR関内駅から横浜市営地下鉄伊勢佐木長者町駅までに至る面積約1.5ha。
近接する「BASEGATE横浜関内」の事業者でもある4社がウェルカムガーデン、芝生広場、デッキテラス、イベント広場、ルーフトップテラス、デッキテラス、飲食店舗、プレイグラウンド、会員制農園、飲食・物販店舗などを整備する。2026年1月に工事開始し、2027年春に竣工・開園する予定。
◇ ◆ ◇
工事期間が1年少しと短いのがいい。比較はできないだろうが、渋谷区は全長約2.6㎞の都市公園「玉川上水旧水路緑道」の整備事業を行っているが、費用が100億円を超えること、多くの樹木が伐採されることなどに対する住民の反対もあり、構想段階から7年が経過するが、いつ完成するかわからない。
わが多摩市もPark-PFI制度による「多摩中央公園改修事業」を行っているが、工事は令和5年6月から今年4月5日の全面開園まで2年近くかかる。公園内の樹木5,000本の2割以上の1,125本が伐採されることに記者は驚愕したのだが、市によると伐採予定の8割は実生ということだったので納得した。しかし、完成間近の公園を見ると、丸裸にされたように思う。伐採された樹木のリストを請求するつもりだ。
木調ルーバー多用した施設デザイン抜群東急不など「代々木公園 Park PFI」(2025/2/25)
「多摩中央公園改修」の疑問氷解樹木5000本うち伐採予定1125本の8割は実生木(2023/5/23)
1月の住宅着工 9か月連続減 分譲戸建ては27か月連続減 首都圏マンションは増加
国土交通省は2月28日、令和7年1月の住宅着工戸数をまとめ発表。総戸数は56,134戸(前年同月比4.6%減、9か月連続の減少)で、利用関係別では持家13,525戸(同8.6%減、4か月ぶりの減少)、貸家24,387戸(同1.2%減、先月の増加から再びの減少)、分譲住宅17,899戸(同6.0%減、9か月連続の減少)。分譲住宅の内訳はマンション9,051戸(同0.3%増、先月の減少から再びの増加)、一戸建住宅8,715戸(同11.7%減、27か月連続の減少)。
首都圏マンションは5,514(同24.1%増)で、都県別は東京都3,577戸(同8.8%増)、神奈川県862戸(同87.8%増)、埼玉県249戸(同56.6%減)、千葉県826戸(同577.0%増)。
首都圏戸建ては3,734戸(同18.8%減)で、都県別は東京都1,202戸(同23.3%減)、神奈川県952戸(同10.3%減)、埼玉県945戸(同11.8%減)、千葉県635戸(同29.4%減)。
三井不 食の研究開発拠点「&mog Food Lab」1フロア10坪5階建て75坪の古いビル
「&mog Food Lab」
三井不動産は2月26日、日本橋を中心に取り組む食のイノベーション創出プロジェクト「&mog by Mitsui Fudosan」の一環として、食の研究開発拠点「&mog Food Lab」を開設したと発表。同日、プレス内覧会を行った。
同社は、2019年に発表した「日本橋再生計画 第3ステージ」で「食」を「新たな産業の創造」の戦略カテゴリーとしており、昨年3月に食の事業開発を支援するプラットフォーム「&mog」を始動した。&mogでは、同社が運営するハードアセットに加え、地元飲食店や商社など30以上のパートナーとの連携によるソフトを活用した事業開発の支援を通じて、食産業が抱える社会課題解決への貢献を目指している。
今回の「&mog Food Lab」は、食関連企業の「自前の研究開発施設を整備する投資余力が無い」「新規事業開発用の活動拠点が無い」「試食会に適したスペースが無い」などの事業課題に応える施設。オーブン・製氷機・食洗機・ミキサーなど飲食店レベルの厨房設備のほか、試食会スペース、撮影スタジオを完備し、一部は入居者以外も利用が可能。賃料は非公開だが、エリアの相場を上回るという。
ラボで開発された商品は同社の商業施設や日本橋の飲食店で販売し、新規事業の開発から都市実装までをワンストップで支援する。
施設は、日比谷線小伝馬町駅から徒歩約5分(人形町駅から徒歩約10分)、中央区日本橋富沢町に位置するワンフロア10坪、5階建て延床面積75坪。6年前に同社が取得し、耐震補強を行って賃貸するもの。
内覧会で同社日本橋街づくり推進部事業グループ主査・柿野陽氏は「施設は75坪単価の規模。入居企業へはハード・ソフト両面で食の研究開発を支援するとともに、商品は当社の商業施設や日本橋エリアのホテル向けやイベントで販売するなど、ワンストップで支援する。今後もブラッシュアップして街づくりに貢献していく」とあいさつした。
内覧会では、入居しているCOLDRAW、マチルダ、食の会のそれぞれの飲食品の試飲・試食が行われた。
ダイニング
フードラポ
試食会・商談スペース
フォトスタジオ
◇ ◆ ◇
この前は、三菱地所ホームが行った神戸・元町の一等地の敷地面積10坪、延床面積20坪の木造2階建てを見学取材したばかりだ。この日は、〝食文化の聖地〟日本橋・人形町の5階建て75坪のエレベータもない古いビル(1フロア10坪だから、階段などで1フロア5坪か)の施設見学会だった。
売上高が1兆円を超えるわが国を代表するデベロッパーのこのような取り組みが都問題を解決し、やがて大きなビジネスにつなげるのだろうと思った。
◇ ◆ ◇
試飲・試食させてもらったものの中で、記者の一押しは、日本橋の人気レストラン「食の會」のカレーだ。一口食べた瞬間、60~70年前に食べたカレーの味が口腔を満たし、当時の食事風景がよみがえった。これは我々のような高齢者には昔の懐かしい味を思い出させてくれるし、若い人はわが国の食文化・歴史を学べる。
「食の会」代表取締役・長内あや愛さんの説明によると、福澤諭吉が160年前に「Curry」を「コルリ」と訳してわが国に紹介して、カレーは広まったのだそうだ。肉の代わりに赤カエルを入れ、ネギ、ショウガ、メリケン粉を使用したという。(試食会では赤カエルではなく鶏肉が入っていた)
独自の冷温減圧技術で、多様な植物素材を使った唯一無二のノンアルコール飲料の開発に取り組んでいるCOLDRAWの「阿波柑」は、酒飲みの記者は日常的に飲みたいとは思わなかったが、開発意図は理解できる。酒が飲めない人、飲めるのに飲めないときに樹木や植物などの香りを楽しみながら酒飲みと会話が交わせる。(カラマツ、アカマツ、アブラチャン、ヒノキ、タイムなどの香りをブレンドした「KAMOSHIKA Drinks(カモシカ飲料)」はおいしい)
日替わりの家庭料理を約30か所の「テイクアウトステーション」で販売しているマチルダのしば漬けソース添え「アジフライ」は、二つの味が楽しめる。しば漬けは主菜のフライをしのぐ存在感があった。
COLDRAW代表取締役・西川信太郎氏
記者のデジカメで撮影したマチルダの試作品(スタジオブースで)
現地
代々木公園「魚ジャパンフェス・ふくしま魚まつり」に長蛇の列 4日間で来場20万人
「SAKANA&JAPAN FESTIVAL(魚ジャパンフェス)2025 in 代々木公園」「発見!ふくしまお魚まつり&食べて応援!ニッポンの幸エリア」
2月20日から24日の4日間、渋谷区・代々木公園イベント広場~ケヤキ並木で行われた「SAKANA&JAPAN FESTIVAL(魚ジャパンフェス)2025 in 代々木公園」と同時開催の「発見!ふくしまお魚まつり&食べて応援!ニッポンの幸エリア」を見学取材した。主催は前者がSAKANA&JAPAN FESTIVAL実行委員会、後者が発見!ふくしまお魚まつり実行委員会、後援は前者が水産庁、後者が復興庁/経済産業省/福島県。イベントは、全国各地の魚介料理を提供するフードフェスを通じて、日本の魚食の活性化を図るのが目的で、総店舗数は82ブース。主催者によると4日間で約20万人が集まった模様。
「魚ジャパンフェス」は、2019年2月に東京・代々木公園でスタートしたもので、東京・お台場、大阪・扇町公園の3会場で毎年開催されているもの。これまで累計来場者は約210万人。今回もアユやのどぐろの塩焼き、あんこう、イクラ、イカ、マグロ、カニ、カニの甲羅焼き、カキ、ホタテ、タコ焼き、日本酒、クラフトビールなどのブースはどこも長打の列ができていた。
「発見!ふくしまお魚まつり」は、東京電力ホールディングスが取り組んでいるもので、ノドグロ、ヒラメなどの福島各地の旬の魚介類を使った海鮮丼や郷土料理、地酒などが提供された。
アユ(左)とノドグロの塩焼き
◇ ◆ ◇
この種のイベントを取材するのは初めてだった。「代々木公園Park PFI」の取材の帰りに寄ってみたものだが、「報道」受付コーナーがあったので、写真撮影などの許可を得ようと申し込んだら許可された(事前申し込みが必要のようだったが)。
なにしろ、初めてだったのでどこと何と比較していいのかわからなかったが、代々木公園は「屋外フェスの聖地」と言われているようで、来場者の多さにびっくりした。いくつか声を紹介する。( )は記者
・30代の男性 世田谷区に隣接した川崎から家族4人で来ました。イベントはネットで知りました。予算? 1万円くらい
・60代の女性 墨田区から来ました。魚が好きで、毎年来ています。予算? いくらでも(イクラ丼を食べていた)
・20代の西荻窪、北海道、愛知出身の学生3人組 ネットで知ったので来てみました
・30代の男性 所沢から来ました。遠い? そんなことありません
・20代の女性 江戸川区から来ました。能登、石川を応援したい
・60代の夫婦 (久々、記憶にないくらいに味噌ラーメンを食べたが、あの野性的な味はせず、和風ラーメンの味がした)今は昔と違って、店によって味はまちまちですよ
・30代の女性2人 目的は他にあったのですが、長野市からです。値段? そんなに高くない
・30代と思われる女性 中国・北京からです。このほやのから揚げはとてもおいしい(記者はほやが大好きだが、ほやそのものの味は全くしなかった。ほやはそもそも夏のもの)
記者が食べたものでは(報道陣には無料チケット5枚がプレゼントされた)、大好きなアユの塩焼きが抜群においしかった。新潟産で養殖のはずだが、骨まで食べられた。ただ、1匹1,000円は高い。石川・七尾の蒸しカキは3個で1,000円。小粒だが安いと思った。
寒かったので、月桂冠の熱燗を飲んだ。月桂冠は甘口のイメージが強く、この40年間は飲んでいなかったが、甘みはそれほど強くなく、おいしかった。アルコール度数5度の「アルゴ5」を試飲させてもらった。水のように飲める。女性におすすめだ。福島・楢葉町の芋ようかん、富岡町のラーメンも買った。
木調ルーバー多用した施設デザイン抜群 東急不など「代々木公園 Park PFI」
「代々木公園 Park PFI」のカフェ、レストラン棟(供用開始は3月中旬)
東京都の公募設置管理制度(Park-PFI)を活用した東急不動産、東急、石擔エクステリア、東急コミュニティーの4社による「代々木公園 Park PFI」の一部施設が2月20日、一部供用開始されたので見学した。東急設計コンサルタントが設計を担当している木調ルーバーを多用したカフェ、レストランなどの施設デザインが抜群。
供用が開始されたのはにぎわい広場、発信テラス、スケートボード広場、管理所など。カフェ、レストランなどは3月中旬、その他の施設の供用開始は6月の予定。
施設は、原宿駅から徒歩7分、渋谷駅から徒歩12分、渋谷区神南1丁目の敷地面積約4,182㎡。設計は東急設計コンサルタント、施工は東急建設。
都のPark-PFI制度を活用した公園は、2024年1月に供用開始された東京建物を代表とする「都立明治公園(渋谷区・新宿区)」に次いで2例目。
「代々木公園 Park PFI」にぎわい広場
水色の部分がカフェ、レストラン棟