三井不 国内初の舟運プロジェクト「&CRUISE」船内はほぼ100%再生材 他社も見習え

「Nihonbashi e-LINER」
三井不動産は1月28日、舟運プロジェクト「&CRUISE」のメディア向け説明会&試乗内覧会を開催し、国内初の民間企業によるフル電動旅客船の定期航路「Nihonbashi e-LINER」を4月から日本橋-豊洲間で運行を開始すると発表した。
同社は船主として、日本橋を起点とした舟運ネットワーク構築に向け、三重県伊勢市の造船所で建造した、リチウムイオン二次電池を電源としたフル電動旅客船2隻を「Nihonbashi e-LINER」と命名し、観光汽船興業により運航事業を実施する。同船は東京都舟運活性化事業費補助金を適用する予定で、将来的には日本橋-築地-豊洲-羽田まで結ぶことも検討している。
「Nihonbashi e-LINER」は、「Edo」(舟運)」Experience」(体験)「Expand」(繫がり)「Emergency」(有事対応)「Ecology」(環境共生)の5つの「E」で始まるキーワードを合わせたもので、日本橋川沿いエリアのまちづくり「日本橋リバーウォーク」を象徴するデザイン、機能性を備えているのが特徴。
船体は全長17m、型幅4m、重さ17t。定員62名(うち2名は船員)。船室天井高は約190cm(高くないのは潮位変動に対応するため)。推進装置は永久磁石式水冷電動モーター・90kW・2基。給電時間は約3時間30分。運転最高出力は8ノット以上。航続時間は8時間以上(速力6ノット・空調機未使用・電池環境温度25度)。フリーWi-Fi、充電コンセント、バリアフリー対応、自転車積載可(船外2台)。365日100%航行可能(但し、異常潮位除く)。酒は可だが、タバコは不可。「アーバンドックららぽーと豊洲」に新設した給電設備により、実質ゼロエミッション船(CO2排出ゼロ)とする。
「日本橋リバーウォーク」は、日本橋川沿いの再開発区域とその周辺一帯を指すエリア名称で、このエリアでは首都高速道路日本橋区間地下化事業と現在5つの再開発事業が互いに連携し、空と川に開かれた街づくりを国・東京都・中央区・首都高・再開発事業者が連携し、地域一体の整備を進めている。開発区域を合わせた面積は約11haで、広大な親水空間を創り出すことで、日本橋・八重洲エリアが東京の“水都”としての新しい顔となることを目指している。
電気推進システムを監修した東京海洋大学・大出剛特任教授は「本船は、電気エネルギーのみで航行できる環境にも人にも優しい船としており、システムを分散することにより動力を失うリスクを抑制し、ますます増えていくエコシップの先端を走る船として期待できます」とコメントしている。

豊洲船着場(ららぽーと豊洲=左)と日本橋船着場(中央区防災船着場)

0夜の水上体験~水辺の夜景と調和するNihonbashi e-LINER のライトアップ

豊洲船着場隣接の給電設備(周辺にはここしかないのが課題)

船内
◇ ◆ ◇
「舟(船)」は、記者にとって日常だった。母が盆暮れに帰省する実家は、日本一美しいとされる宮川の支流・一ノ瀬川の近くにあった。渡し舟は重要な交通手段だった。記者の田舎も、伊勢湾台風で橋が流されたとき、しばらくは竹橋(10mくらいあったか)を利用して学校に通った。台風などの増水時は橋板が外されるので学校は休みになったり(あんな嬉しいことはなかった)、渡し船で通ったりした。姉が嫁いだ漁港では、漁船に乗り釣りを行い、サザエを獲った。尿意を催すと、船上から〝放水〟した。あんな楽しいことはない。夜中の漁漁も体験した。船酔いは二日酔いの比ではない。あんな苦しいことはない。
もう一つ、「舟」といえば小説だ。伊藤左千夫の「野菊の墓」の矢切の渡しであり、森鴎外の「高瀬舟」、メルヴィルの「白鯨」(丸山健二の作品の方が優れていると思う、「酔鯨」は高知の名酒)、小林多喜二の「蟹工船」、吉田満の「戦艦武蔵」、吉村昭の「戦艦大和」などがすぐ浮かぶ。映画では「戦艦ポチョムキン」「タイタニック」などがある。
そんなわけで、「舟運プロジェクト」の取材は、当たり前過ぎてスルーしようと思ったのだが、欠席するのも失礼かと参加することにした。
参加して驚いたのはメディアの数だった。40人くらいが駆けつけていた。関心が高いということだろうが、前日のポラスのマンション見学会は10人もいなかった。これは何だ。
三井不の女性担当者に「『野菊の墓』はいいですよ。少年少女の淡い恋を描いたもの。泣ける」と勧めたら、「その彼女、死んじゃうの」「そう」「そんなの絶対いや」
今は悲恋など流行らないのか。そんなことはない。船中で「船中八策」(高知のこれも名酒)を提供しながら、名作の読書会をやったら大ヒットするはずだ。あるいは、船中から左右に見えるタワマンが分譲された時の価格や市況、現在の中古価格を解説するイベントをやったら、申し込みが殺到するはずだ(記者は30~40棟のタワマンを取材している)。課題は船賃のはずで、ただ人を運ぶだけでは普及は進まないと見ている。「5つのE」をどう〝見える化〟するかだ。

メディア向け説明会(豊洲ベイサイドクロスタワー)
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今回の船の何が素晴らしいかといえば、静かで揺れも少なく、車椅子でも利用できる昇降機やバリアフリーのトイレなどもそうだが、船内はほとんど全てが再生材を利用していることだった。
客室座具は、高耐久ポリエステルテキスタイル、客室床面・操舵席床面は、廃棄漁網や使用済みペットボトルなどを再利用した100%再生カーペット、壁面はほぼ100%リサイクルが可能なエコ建材などだ。
さすが三井だ。コストを聞くのを忘れたが、マンションにこれらを採用したら大爆発する。壁は高級材の布クロスとほとんど変わらない。グルーフの三井デザインテックは「CIRCULAR FURNITURE」の提供を開始したが、この種の取り組みでは同社が先頭を走っていることを確認した。他社も頑張れ。三井に負けてどうする。
とにかく、取材は大正解だった。伊勢市に造船所があったのもよく知っている。神鋼電機(現シンフォニアテクノロジー伊勢製作所)に勤めていた人がたくさんいた。造船所も頑張れ。〝船は帆で持つ帆は船で持つ〟

試乗した「Nihonbashi e-LINER」(ららぽーと豊洲で)

昇降機(左)とバリアフリートイレ

船内の仕上げはほとんど再生材(記者もそのうち再生可能なロボットに代わられるか)

船中から豊洲、月島方面を望む
循環可能な未来へ第一歩三井デザインテック「CIRCULAR FURNITURE」提供開始(202/12/6)
世界の水辺の再生・街づくりに学ぶ野村不「BLUE FRONT SHIBAURA」セミナー(2024/11/19)
野村不&JR東日本芝浦PJ「BLUE FRONT SHIBAURA」イメージは寄り添う夫婦(2024/5/31)
パークシステムの復活はあるか都市再生は可能か「川」を考える(2023/12/23)
「日の出」の新しい顔「Hi-NODE(ハイ-ノード)」開業野村不グループ×東京都(2019/8/2)
これでいいのか 川に背を向ける日本橋の街(2008/5/19)
東武不動産の木造ホテル「T-home 景」 竣工 施工の三井ホーム「門は現し」

「江戸の長屋」をイメージした「T-home 景(KEI)」外観
三井ホームは1月27日、地域の賑わいづくりを目指す東武不動産「ことまちプロジェクト」の一環である宿泊施設「T-home 景(KEI)」が竣工したのに伴うメディア向け見学会を行った。施工は同社が担当した。
施設は、東武スカイツリーライン押上駅から徒歩3分、墨田区押上一丁目の近隣商業地域(建ぺい率80%、容積率300%)に位置する定期借地権付き木造2階建て全6棟。用途は宿泊施設(29室)、店舗(3区画)。客室面積は46.44~58.70㎡。定員は6~10名。宿泊料金は平均5万円。構造は2×4耐火構造。延床面積は約1,785㎡。木材使用量は419㎥。設計はアトリエ9建築研究所。施工は三井ホーム。開業予定は2026年2月11日。
現地は総合病院跡地で、期間20年の定期借地権付きで建設するもの。法定容積率300%に対して消化容積率は100%程度。建物外観は黒で、和瓦を採用しているのが特徴。主なターゲットはインバウンド。
プロジェクトは、東武不動産が展開する「ことまちプロジェクト」の一環で、東京スカイツリータウン®の来訪者を周辺地域へ誘導し、地域全体の賑わい創出を目指すもの。押上の街並みに調和するよう和のデザインを基調に、「江戸の長屋」をイメージした全6棟の分棟形式を採用。室内は「和モダン」をコンセプトに、畳の小上がりや無垢材の質感を取り入れつつ、キッチンや洗濯機などの設備を完備。長期滞在にも対応できる。
「ことまちプロジェクト」では、スカイツリー南側の賑わいを創出するため、コミュニティ施設「ことまちラボ」を設け、牛嶋神社例祭、もちつきイベント、こども食堂、おしゃべり座談会、トークイベントなど様々な取り組みを行っている。
東武不動産開発事業本部企画運営部次長・岡崎真二氏は、「当社は2020年から押上エリアでキッチンや洗濯機などを備え、4名から12名までの家族やグループといった大人数での宿泊も可能な“暮らすように泊まる”ホテルを複数(6施設13施設)展開しています。『T-home 景(KEI)』は、高度利用も可能な都市計画エリアではあるものの、木造2階建の長屋を分棟配置し、広場と路地で江戸の街並みをイメージしました。当ホテルが押上の新たな観光拠点となって街の賑わいづくりに貢献していけることを目指しています」とコメントした。
三井ホーム施設・賃貸事業本部コンサルティング第二営業部マネジャー・和井田 響平氏は、「建設地は押上の防火地域内に位置し、高度な耐火性能が求められる一方で、周辺環境との調和や集いの場としての魅力も同時に追求する必要がありました。これに対し、当社が培ってきた『2×4工法耐火構造』を採用。さらに『ダブルシールドパネル』や遮音床などの独自技術を導入することで、高い耐火性・断熱性・快適性を維持しつつ、開放感あふれる空間を実現いたしました」とコメントした。

オープンスペース

各客室をつなぐ路地

「和モダン」の内観

岡崎氏(左)と和井田氏
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インバウンドを中心とする宿泊客が周辺の飲食店舗を利用するよう誘導する「ことまちプロジェクト」の企画意図と、断熱・遮音性能が高い三井ホームの施工力が一致したのだろう。法定容積率の約3分の1しか消化していないことからコストを抑制していることにも納得した。デザインは外国人に受け入れられるはずだ。
何より嬉しかったのは、三井ホーム施設・賃貸事業本部施設・賃貸設計部設計グループ長・小松弘昭氏と約5年ぶりにお会いし、「門は本物のヒノキ材を用いて私が設計した」ことを聞いたことだ。
小松氏は、同社の木造マンション「MOCXION INAGI(モクシオン稲城)」のメディア向け見学会で、女性記者の「これって鉄かコンクリか木造か分かりませんよね」と質問したのに対して、「現しにしないといけないというのは木造コンプレックスの裏返し。木の性能、コストなど科学的・合理的なことのほうが大事」と言い放った。木造は「現し」がいいに決まっていると思っていた(今でも変わらない)記者は頭をどやされたような気がした。当時の記事も添付するので、是非読んでいただきたい。
その小松氏が、眼に見える部分はほとんどがケミカル仕上げなのに対し、何とヒノキ材を使用した立派な門を自ら設計し、建てたという。門もまたすべて黒に塗り込められていたが、「現し」には変わりはない。

小松氏


東武不動産からのお土産「すみだの街歩き」

〝こんぶのソムリエ〟の店主がお客様の用途に合わせて商品を紹介する「こんぶの岩﨑」(左)と、創業100年超の「隅田屋商店」の米

外観
AIレコメンド・カメラ解析 PPMを可視化 robot home 一橋大・清水教授招き発表会

古木氏(左)と清水氏
〝テクノロジーで、住宅を変え、世界を変えていく。〟をミッションに掲げるrobot homeは1月20日、新サービス発表会を開催。同社代表取締役CEO・古木大咲氏(46)は、新たな展開として、AIレコメンド機能をアプリに実装することでポートフォリオ(PPM)全体を可視化し、賃貸アパート共用部カメラをAIが分析しリスクを回避し、IoT導入による再配達課題の解消や、入居者アプリを通じた入居者満足度の向上を図っていくと発表した。発表会では、ゲストとして招かれた一橋大学ソーシャル・データサイエンス研究科教授の清水千弘氏(58)と古木氏が「AIが変える不動産経営のスタンダードとは」をテーマにクロストークとモデルルーム見学会も行われた。
古木氏は、新たな展望として「AIエージェントの活用」により、AIレコメンド機能をアプリに実装することで投資家に最適な物件を提案するシステムを開発し、共用部カメラをAIが解析することで放置ごみや不審者、盗難などの異常を早期発見してリスクを回避、物件の美観維持や入居者満足度の向上を図り、新しいサービスの提供により様々な社会課題の解決につなげたいと語った。
クロストークでは、古木氏はAIがアセットマネジメントの役割を果たし、情報格差・非対称性の解消を図ることを強調した。清水氏は、古木氏とはシンガポール大学に勤務していた10年前からの付き合いであることを明かし、「われわれ教授が話すことの95%はAIで得られる」「1990年代のリート市場は投資利回りしか考えていなかったが、これからは管理が大事になってくる」「ポートフォリオに不動産を入れリスク分散を図るのは必須要件。良質な住宅は不足している」などと語った。
古木氏は鹿児島県出身で、26歳の2006年にrobot homeを起業、36歳の2016年に東証一部に上場。同社は2025年に土地から始めるアパート経営robot homeサービスを開始。管理戸数は約27,600戸/入居率は約98%。
〝土地を選ぶ-デザインを選ぶ-シミュレーション-建築進捗の確認-不動産経営‧売却〟までをアプリ一つで完了するのがビジネスモデルで、ターゲットは、5大都市を中心に、市場規模が949兆円、1,133.9万世帯のアッパーマス層から富裕層・超富裕層。
同社の2024年12月期決算は売上高13,157百万円(前期比52.6%増)、営業利益1,043百万円(同39.4%増)、経常利益1,018百万円(同38.0%増)、純利益912百万円(同3.0%増)。2025年12月期決算予想は売上高24,000百万円(同82.4%増)、営業利益1,400百万円(同34.1%増)、経常利益1,350百万円(同32.6%増)、純利益1,100百万円(同20.5%増)。
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スマホを満足に扱えない記者だが、AI技術が長足の進歩を遂げているのはよくわかる。例えばChatGPT。記者は2023年4月、自治体として初めてChatGPTを採用した横須賀市のリリースの粗捜しをやったところ、A4一枚の短い文章で4か所の文法的なミスを見つけた。普及に課題があると思った。
今はどうか。小生は月に400字原稿用紙にして200~300枚、年間にして源氏物語の2,500枚くらいの「こだわり記事」を書いているが、この記事をChatGPTが〝読んでいる〟ことが分かった。いつも馬鹿な記事を書いている小生のような記者はもちろん、清水氏が話した大学教授や弁護士、裁判官もその職をAIに奪われる時代がやってくるかもしれない。恐ろしいの一言だ。
ただ、AIは考える力がない、ものを見る目がない(いま、ChatGPTに「ChatGPTの欠点は、考える力がない、ものを見る目がないと思いますが、いかがか」と聞いたところ、「ご指摘はかなり本質を突いていると思います。結論から言うと、その認識は概ね正しいです。ただし、『どういう意味で欠点なのか』を整理すると、誤解も減ると思います」と即座に答えた)。
◇ ◆ ◇
取材の目的の一つに、LIFULL HOME'S総研の「Sensuous City(センシュアス・シティ)[官能都市] 2025」報告書に寄稿している清水氏の論文についていろいろ聞くことがあった。
清水氏は論文で、首都圏の人口分布と様々な施設分布、子育てしやすい街、各国料理を楽しめる街、老後に安心して生活できる街の分布などを図示し、「東京駅から概ね10㎞圏内の都心部においては、(a)施設数が集中しているのみならず、(b)多様な種類の施設-すなわち都市機能の多様性-が高密度に立地している」「1990年から2020年の30年間における夜間人口の推移をみると、(千代田区・中央区・港区は)30年間でおよそ18万5000人の夜間人口が増加している」としている。
これはこれで結構、よくわかるのだが、記者は東京駅を中心に都市の魅力を考えることはやめたほうがいいと思っている。都心3区のマンション価格は坪1,000万円どころか2,000万~5,000万円が当たり前になる。住めるのは東京都民の人口比率にしてほんの数%だろう。
清水氏に聞きたかったのは、例えばわが多摩センター、この前取材した調布を中心に半径5キロ圏(清水氏は自転車で移動できる20分圏としている)にどのような施設が分布しているか分かる図はないのかということだった。清水氏はAIと同様即座に「私の研究室と日建設計総研が開発したものがある」と答えた。「無料ですか」と聞いたら「有料」だったが、これは使える。
もう一つ、「Love of Variety」(都市アメニティの多様性=清水氏の造語ではないようだ)をひっくり返し「Variety of Love」にしたらどのような街になるかだったが、聞き忘れた。清水さん、是非、LIFULL HOME'S総研の島原万丈さんらと「官能都市」に関するシンポジウムを開いていただきたい。街づくりは劇的に変わるはずだ。
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モデルルームは木造による23㎡。観葉植物は全て本物で、引き戸が多用されているのはいいと思ったが、外観・室内仕上げはケミカル製品ばかりだった。〝木質化を図った方がいい〟とAIもアドバイスするのではないか。

モデルルーム

ホームエントランス(宅配業者と外出先からでも会話ができ、オートロック開錠も可能)
「都市は、想像力を要求する。」 CCBT渋谷から原宿へ移転・リニューアル(2025/12/15)
誰のための調査か 森記念財団「日本の都市評価特性」とLIFULL「官能都市」比較(2025/10/11)
「Sensuous City(センシュアス・シティ)[官能都市] 2025」発刊 LIFULL HOME'S(2025/9/25)
業務削減時間10%以上目指す 三井不 ChatGPT Enterprise導入(2025/12/23)
驚嘆 2030年の年間DX投資額350億円に拡大三井不「DX VISION 2030」策定(2024/8/5)
自治体初 横須賀市のChatGPT作成リリースの粗探し 文法・用法の誤り発見(2023/4/21)
「管理の〝見える化〟適正化に貢献」世古理事長 マンション管理協 賀詞交歓会

世古氏(第一ホテル東京で)
マンション管理業協会は1月15日、「令和8年 マンション管理業協会賀詞交歓会」を開催した。関係者ら約470名が参加した。冒頭、同協会理事長・世古洋介氏(三井不動産レジデンシャルサービス取締役会長)は次のようにあいさつした。
ご紹介いただきました理事長の世古でございます。一言ご挨拶申し上げます。
本日はお忙しいところ、マンション管理業協会賀詞交歓会に多数ご参加いただきありがとうございます。
国土交通大臣政務官の永井学様をはじめ多くのご来賓にもお越しいただきました。重ねて御礼申し上げます。
さて、いわゆる「2つの老い」は年々進行しており、ますますマンションの管理・再生の円滑化の重要性が増しています。一方、人手不足や人件費上昇といった課題も継続しています。
そんな中、昨年は、国会議員の先生がた、国交省の皆様をはじめ多くの方のご努力により、無事マンション関連の改正法が成立いたしました。改めて感謝申し上げます。
当協会としても、会員各社を通して、その周知等に貢献してまいる所存であります。
また、改正法においては、管理業者管理者方式についても様々な規定がなされました。
議論の過程で、利益相反リスクについて多くのご意見があったことを肝に銘じ、当協会としても、改めて襟を正し、法規制やガイドラインの趣旨を踏まえ、適切な対応に努めてまいりたいと考えております。
さて新年にあたりまして、今後の当協会が果たしていくべき役割について、3点申し上げたいと思います。
第一に、会員会社が、培ってきた管理の経験や知見を活かし、マンションの長寿命化に向けて、管理組合に対して適切なサポートが行えるよう、協会としても様々な形で貢献してまいります。
第二に、国その他の行政機関の政策立案や会員各社の事業活動に資するべく、現場の課題を的確に伝えられるよう、データ整備と情報発信力を高めていきます。
第三に、そうした取組を通し、業界の社会的評価の確立を図り、当業界で働く人々が働き甲斐をもって働ける環境づくりを目指します。
具体的な施策についていくつかコメントします。
まずは、引き続き、適正評価制度の登録促進につとめ、国の認定制度との両輪で、管理の〝見える化〟適正化に貢献してまいりたいと考えています。お陰様で、昨年末には、登録数1万件を超えました。
この制度は管理の現状を〝見える化〟することで、その改善を促し、お住まいの方々の居住価値を高めることはもちろん、仲介市場でこれを開示することでマンションの市場価値を高めることにも繋がります。
さらに、管理組合の皆様と管理会社が同じ物差しで、管理の状況を把握することで、管理会社の役割や貢献を見える化し、管理会社の社会的意義についての理解を深めていただける、いわば管理会社の価値も高めていける仕組みだと考えています。
昨年は、SUUMOにおいての掲載も始まりました、住宅金融支援機構様のご協力により、本年4月からは、すまい・る債の金利優遇の制度も始めていただけることになりました。改めてご協力に感謝いたします。
こうした後押しも受けながら、引き続き伸長・定着に取り組んでまいります。
また、この評価制度に登録いただいた1万件を超えるマンションの管理に関する情報、その他、協会で実施する各種調査により得られたデータ、これら有用なデータの活用にも今年からはさらに積極的に取り組んでまいりたいと思います。
先ほども押し上げた通り、政策立案や会員各社の事業活動のサポートに資するデータ提供に、これまで以上に努力して参ります。
さらに、こうした活動に加え、様々な協会としての広報活動にも工夫を凝らしながら、我我々業界の専門性や役割などを、マンションにお住いの皆様によく理解していただき、評価していただくことで、管理業界で働く人々が活き活きと働ける環境を整えていきたいと考えています。
国としての課題である、マンションの長寿命化に、業界として貢献できるよう、しっかり取り組んでまいりますので、本日お集りの皆様におかれましては、引き続きのご指導・ご協力を賜りますようよろしくお願いいたします。
結びに、本日お集りの皆様のますますのご健勝、ご発展を祈念いたしまして、私の新年のご挨拶とさせていただきます。

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上段は、先に行われた不動産協会とプレハブ建築協会の賀詞交歓会もそうだったが、賀詞交歓会の終了後、同協会事務局から理事長あいさつ文全文を送っていただき、そのまま転載したものだ。記事は鮮度が第一、どこよりも早いはずだ。あいさつは約6分40秒、文字数にして1,624字。話すのは1分間に300字が理想とされるので、1,624÷3≒5.4分。やや長いが、ほぼ完ぺきだ。各団体もマンション管理協と世古氏を見習っていただきたい。
腹を突きだし、腕組みをし、ふんぞり返り、メモなど取っていなかったメディア関係者も多かったが、記事にするのならクレジットなどいらないから、上段のあいさつ文を参照していただきたい。(以下、随時更新)
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左から永井氏、小池氏、松島氏
マンション管理協の賀詞交歓会には毎年多くの国会議員や友好団体の方が参加されるのだが、この日は、政局が揺れ動いていることもあってか、たくさんの方があいさつされた。一人ひとり詳しく紹介する余裕はないので最小限にとどめる。
国土交通大臣政務官・永井学氏(参議院議員・山梨県選挙区)は、「国民の1割以上が住むマンションにとって適切な管理が行われるのはとても重要。今年4月には改正マンション法が本格施行される。国交省としても新築から再生まで安心・安全の住環境の整備に取り組んでいく」と述べた。
東京都知事・小池百合子氏は「都民1,400万人のうちマンション居住者は900万人。住宅価格はうなぎのぼりに上昇しており、子育て、高齢者対応は重要なテーマ。また、各地で地震も多発しており、都は災害時対策として『東京とどまるマンション』登録制度を設け、12万戸の登録を目指している。出生率も昨年は9年ぶりに0.9%伸びた。人口を増やすのが基本なのに、国からはお叱りを受けている。誰が国を動かしているのか」と、国が進める税制改革をチクリと皮肉った。
自民党の住宅土地・都市政策調査会長を務めるなどマンション政策にも深くかかわっている内閣総理大臣補佐官(外国人政策担当)・松島みどり氏(衆議院議員・東京14区)は、外国人対策と民泊対応が重要と話した。

左から青島氏、宮崎氏、井上氏
元ヤクルトスワローズの野球選手で、日本維新の会・青島健太氏(参議院比例区)は、「私は京都と東京都で二地域居住を行っているが、わが国のマンション管理は素晴らしい」と褒めた。
公明党参議院議員・宮崎勝氏(比例区)は「昨年末から野党出発となったが、中道改革・人間主義の基本理念に変化はない」と語った。このほか同党からは山口那津男元代表、井上義久常任顧問も登壇しあいさつした(記者は、同党がマンション関連法の整備に深くかかわってきたことをよく知っている。記者は政治とは距離を置いており、30年くらい選挙を拒否しているが、日中関係の改善に同党は大きな役割を果たしてきた。三跪九叩頭してもいいから、原理原則・面子を重んじる中国との関係修復に努めていただきたい)

左から毛利氏、間田氏
〝宴会担当〟を自認する住宅金融支援機構理事長・毛利利信二氏は、マンション適正評価制度に対する支援や大規模修繕のローン金利優遇などの取り組みを強化すると述べたあと、「挨拶は短く、幸せは長く。今年はマンション再生元年にしよう」と呼び掛けた。
中締めの音頭を取った同協会副理事・問田和宏氏(野村不動産パートナーズ社長)は「今年はマンション改正法が本格施行され、適正評価制度の登録も伸びている。管理会社の価値が問われる一年になる。一丸となって管理組合とのコミュニケーションを深め、信頼されるよう頑張ろう」と締めくくった。
「令和の都市(まち)リノベーション」推進 都市計画基本問題小委員会
国土交通省・社会資本整備審議会「都市計画基本問題小委員会」は1月14日、「令和の都市(まち)リノベーション」の推進に向けた中間とりまとめを表した。
小委員会は、現在、地方部を中心に人口減少が急速に進み、仕事やまちなかの魅力の不足によって若者の地方離れが深刻化し、地方都市の生活サービスの維持は一層困難な局面に差し掛かっていることから、都市計画に起因し、又は関連する基本的かつ構造的な諸課題の解決に向けた講ずべき施策の方向性を幅広く検討するため設けられたもの。令和7年2月から議論が行われてきた。中間とりまとめの主な内容は次の通り。
①働く場所を始めとした都市機能の更なる集積による地域活力の向上
・地域の稼ぐ力・賑わいの創出、職住近接での生活利便性の向上等を図るため、立地適正化計画に業務施設、業務支援施設、集客施設を新たに位置づけ、まちなかへの誘導を促進
•立地適正化計画に係る都道府県の役割・権限を明確化し、広域的な調整を促進
②地域の歴史・文化や景観・環境等の地域固有の魅力に根ざすまちづくりの推進
•地域資源の活用を通じたエリアの価値・魅力の向上を推進する区域を都市再生整備計画に位置づけ。既存建築物の改修や周辺での同様の取組を官民連携で支援
•エリア一体のリノベーションを通じた景観の再生を推進するため、第三者による既存建造物群の連鎖的改修・利活用を協定に基づき行う制度を創設
③地域の付加価値を高めるマネジメントの強化
•環境面やソフト面を含む多様な工夫を講じる貢献を積極的に評価。都市再生に貢献する公共公益施設の整備・管理運営を協定等の手法で担保しながら、管理運営に関するインセンティブを確保
・ウォーカブル政策とほこみち制度の連携強化等により、パブリックライフ(公共的空間での地域の人々の交流機会や繋がり)を育む空間の創出等を推進
④激甚化・頻発化する災害からの安全性の向上・防災力の強化
•都市の防災力の強化に資する民間の貢献を積極的に評価する等、幅広い災害への防災力の強化に民間投資を活用
⑤これらを推進するための政策間、地域間での連携
•互いの政策目的に対して相乗効果を図りながら、新たな政策分野とも連携
•今後の政策の方向性等を適時情報共有できる場を活用する等、省庁・部局等の横串の関係を深化
•各省庁・部局との連携により「まちづくりの健康診断」を更に活用しての立地適正化計画の実効性向上
・地域間連携の合意形成の円滑化に向けた政策効果の定量化と、指針や技術的助言への反映による自治体のまちづくりへの活用促進
2025年12月の首都圏投資用一棟アパート1億円超 利回りは低下 健美家レポート
LIFULLグループの健美家は1月14日、2025年12月版の「収益物件 市場動向マンスリーレポート」で、投資用一棟アパートの首都圏平均価格が1億円超え、一棟マンションも全国平均価格が2億円を突破したと発表した、
レポートは、健美家に登録された全国の住宅系収益不動産3種別(区分マンション・一棟アパート・一棟マンション)のデータ(表面利回り、物件価格)を集計し、最新の市場傾向として公開しているもの。
レポートによると、「区分マンション」は東北と九州・沖縄で平均価格が下落したものの、全国平均価格は前月比4.93%上昇。利回りは6.52%と前月の6.60%から小幅な変動にとどまった。
「一棟アパート」は、全国平均価格が9,000万円を超え、首都圏の平均価格も1億円の大台を超え、前年同月比ではすべての地域で価格が上昇。利回りは前月の7.98%から7.90%に下落した。
「一棟マンション」は、全国平均価格が2億円を超え、前月比ではすべての地域で価格が上昇し、10%を超える大幅な上昇となった。利回りは前月の7.35%と同じ。
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アットホームが昨年12月に公表した居住用賃貸マンション・アパートの募集家賃動向によると、マンションは、カップル向き・ファミリー向きが全13エリアで前年同月を上回っている。東京23区の30㎡以下(シングル向き)は105,236円(前年同月比110%上昇)、30~50㎡(カップル向き)は154,188円(同8.8%上昇)、50~70㎡(ファミリー向け)は251,448円(同10.0%上昇)、70㎡超(同)は397,895円(同10.2%上昇)となり、5か月連続で全面積帯が最高値となっている。
アパートも、カップル向き・ファミリー向きが全13エリアで前年同月を上回、東京23区は2か月連続で全面積帯が最高値となっている。
住宅広報連絡会のレジェンド三人組FAK 藤原氏(83)・青柳氏(82)・木村氏(80)
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右から青柳氏、藤原氏、木村氏、記者
一昨日は、記者を育ててくれたアンビシャス安倍徹夫社長(81)を、先日は尊敬するジャーナリスト大越武氏(81)を紹介した。今日は、わが敬愛してやまない住宅業界のレジェンド三人組〝FAK〟を紹介する。藤原利彦氏(83)、青柳栄一氏(82)、木村久明氏(80)だ。
藤原氏は、記者の前職「週刊住宅」の先輩記者で編集長だった。何が凄いかといえば、食べることと記事を書くスピードだ。食べるのが速いのは、食糧難の時代に生まれ育った世代の方たちの特徴で、記者などの団塊の世代とは全然異なる。記事を書くスピードは記者の2~3倍速かった。せっかちなところがあったが、これもまた戦後の復興期を生きるための処世術だったのではないか。
なぜ速く書けたかといえば、当時、デベロッパーやハウスメーカー担当だった藤原氏の人脈の広さと決断力だ。記者などは取材のアポを取るのに半日くらいかかったのに、藤原氏は「もたもたするな。ついてこい」と、上場会社の広報室にアポも取らずに堂々と乗り込み〝ニュースはないか〟と凄んだ。
広報担当者と人間関係が構築できているからこその芸当だ。そんな藤原氏が、遅筆の記者に対して言い放ったのは「俺はグリーン上で記事を書いている」だった。
グリーンとはゴルフのことで、藤原氏はほとんど毎週1回、年間40~50回は業界人とゴルフをしていた。取材先の会社役員が圧倒的に多かったはずで、プレー中に記事ネタを仕入れていたようだ。うたい文句は〝〇〇の時代の到来〟だった。毎週のように〝革命〟を起こしていた。
これには勝てないと判断した記者の対策は、「人」ではなく分譲マンションや戸建てにターゲットを絞ることだった。週に3~5件、年間にして200件くらいの現場取材を行った。今でも単価予想をことごとく的中させることができるのはそのお陰だ。記者の値打ちは、どれだけ多く人の話を聞くか、どれだけたくさんモノを見るか、いずれかで決まる。
青柳氏と木村氏は、藤原氏を介して知るようになった。青柳氏はミサワホームの広報責任者として同社を取り仕切っていた。知名度はミサワ創業者の三澤千代治氏を上回っていたかもしれない。当時流行だったものまねが得意技で、片岡千恵蔵などは絶品だった。テレビ番組などで優勝したこともあったようだ。
木村氏は、旭化成ホームズの広報責任者だった。記者は直接取材を申し込んだ記憶はないのだが、同社のDNAなのだろう。お会いするといつも笑顔で歓迎してくれた。RBA野球大会の取材を通じ初代監督の堀井慶一氏、元社長・代表の故・土屋友二氏、元社長の平居正仁氏などから本業の話もよく聞いていたので、木村氏は記者の動静をすべて把握されていたはずだ。
冒頭の写真は、昨日(1月13日)、恒例のハウスメーカーなどで組織する住宅広報連絡会主催の新年会で主催者に撮影してもらったものだ。記者は固辞したのだが「お前も座れ」と指示されたので一緒に収まることになった。
3人からは「今年の一言」を聞いた。藤原氏は「休息の年(今でも精力的に活躍されている)」、青柳氏は「元気で過ごす」、木村氏は「若返りたい(年に30回くらいゴルフをされている)」だ。
今年も南越谷阿波踊り堪能 住宅広報連絡会(2025/8/23)
業界団体・各社の年頭所感もいいが、アンビシャス安倍社長「苛政の時代」に驚愕

2026年の住宅・不動産業界団体と各社の年頭所感を一通り読んだ。現状認識について各団体はどのように見ているか、いくつか紹介する。同じ世界に身を置くのだから、似たようなものになるのは当然だが、立ち位置によって微妙に異なるのが読み取れる。
不動産理事長・吉田淳一氏 日本経済は全体としては堅調に推移しており、「失われた30年」における「デフレ・コストカット型経済」から、ようやく脱却したように思います。しかしながら、物価上昇と賃上げのバランスにおいて、国民の景気回復の実感はまだまだ乏しいというのが現実ではないでしょうか。ウクライナ危機等に端を発した「コストプッシュ型の物価上昇」から、経済成長と所得増加を伴う「健全な物価上昇」の社会へ移行しなければなりません
全国宅地建物取引業協会連合会会長・坂本久氏 昨年の不動産市場は、金利情勢や資材価格、地価の高騰などにより、消費者の住宅取得が難しさを増す一年となりました
不動産流通経営協会理事長・遠藤靖氏 わが国の景気は、米国の通商政策による影響が一部産業を中心にみられるものの、緩やかに回復しております。今後、雇用・所得環境の改善や各種政策の効果が緩やかな回復を支えることを強く期待しております
全国住宅産業協会会長・肥田幸春氏 昨年を振り返りますと、賃上げの動きが広がりを見せた一方で、物価上昇の影響は家計や企業経営に重くのしかかり、実感としての景気回復には力強さを欠く一年でありました。加えて、金利動向への関心の高まりや先行き不透明感は、消費者心理に慎重さをもたらし、住宅取得を含む大きな意思決定に影響を与えたといえます
住宅生産団体連合会会長・仲井嘉浩氏 住宅市場に目を向けますと、持家着工は7か月連続で対前年比減となり総戸数の年率換算値は80万戸程度の低水準であり、厳しい状況が続いています
プレハブ建築協会会長・芳井敬一氏 住まいを取り巻く環境は大きく変わってきています。少子高齢化、単身化の進行などのニーズの変化があるなか、生産年齢人口減少や労働環境への対応による人手不足、建設資材の価格上昇など、建築費における供給側の課題に加え、金利の上昇などお客さまの負担の課題もあります」「着工戸数は、依然として厳しい状況にあります
日本ツーバイフォー建築協会会長・野島秀敏氏 最近の住宅を巡る動きを見ますと、資材・人件費の高止まり、円安などの環境が続く中、住宅市場は継続的に厳しい事業環境が続いている
日本木造住宅産業協会会長・市川晃氏 国内住宅市場は、人口減少等による新築需要の低迷、資材価格や人件費の上昇、住宅ローン金利の引き上げ傾向など、厳しい状況が続いています
一方、各社の年頭所感はそれぞれ目指す方向性が示されておりとても面白い。弊紙に寄せられたものと40社以上の年頭所感を発表した「Re.Port」から主だったものを以下に紹介する。(順不同)
三井不動産代表取締役社長・植田俊氏 当社グループ約2.6万人の社員一丸となり「OneTeam」の精神で、時代の変化は当社グループが付加価値創出力という強みを発揮できる
三菱地所執行役社長・中島篤氏 我々が歩みを緩めることはない。2026年は三菱地所グループの強みを再定義する年であり、長期経営計画2030の達成に向けて邁進する。三菱地所グループは、高い専門性と実行力を基盤に、不動産との多様な関わりを通じて、まちの価値を持続的に高めていく
住友不動産代表取締役社長・仁島浩順氏 東京都心とインド・ムンバイでのプライム資産開発で更なる強固な事業基盤を築き、開発分譲型事業ではマンション分譲事業に並ぶ二本目の柱として収益物件分譲事業を育てる
東京建物代表取締役社長執行役員・小澤克人氏 当社は創立130周年を迎える。先人のたゆまぬ努力と、それを大切に引継ぎ、今を支える人々の情熱が、今日の当社を築き上げてきたことに感謝しつつ、この歴史と伝統を胸に、未来への新たな一歩を踏み出す年にしたい
野村不動産ホールディングス代表取締役社長グループCEO・新井聡氏 野村不動産グループはグループビジョンで謳っている「幸せと豊かさの最大化」を目指し、既存の枠組みにとらわれず新たな価値創造に今年さらに挑戦していきます
東急不動産ホールディングス代表取締役社長 ・西川弘典氏 今年も当社の特色の一つである「環境経営」を推進し、成長領域で当社の強みを発揮できる3つの重点テーマに取り組むことで、強固で独自性のある事業ポートフォリオを構築し、更なる成長を遂げていく
長谷工コーポレーション代表取締役社長・熊野聡氏 恒例の今年のキーワードは、「人」。漢字一文字としました
森ビル代表取締役社長・辻慎吾氏 世界も日本も変化の激しい時代だが、「都市の本質」「人間の本質」はどんな時代になっても変わることはない。企業が成長し続ける良の方法は、その会社にしかない、絶対的な強みを持つことだ
西武ホールディングス代表取締役社長・後藤高志氏 グループシナジーをさらに強化し、働き甲斐のある職場環境の実現に向けて、一人ひとりの「最高の処遇」へ挑戦していく1年にします
三菱地所レジデンス取締役社長・宮島正治氏 「ザ・パークハウス」のコアバリューは「一生ものに、住む。」。一生ものに相応しい安全・安心や資産性を約束するとともに、価格に見合う価値の追求を続ける。お客様の暮らしに寄り添い、満足度の高い体験を提供することで、選ばれ続ける企業を目指していく
東急リバブル代表取締役社長・小林俊一氏 今までの常識は、もしかすると明日には非常識なものになってしまうかもしれません…当社では、AIの活用による業務効率化と並行して、「変化への感度」と「プロとしての徹底した専門性」を高めていく考えです
三菱地所リアルエステートサービス代表取締役社長執行役員・清水秀一氏 今年、私たちが目指すべきは、「結果(最高益の更新)とプロセスの高次元での融合」です
大和ハウス工業代表取締役社長・大友浩嗣氏 企業の持続的成長は、現状維持を選んだ瞬間に停滞します
積水ハウス代表取締役兼CEO社長執行役員・仲井嘉浩氏 当社のビジョンである「積水ハウスのテクノロジーをデファクトスタンダードにする」ための基盤整備を、この第7次中計で実施したいと考えています
積水化学工業住宅カンパニープレジデント・吉田匡秀氏 当社は、自然体で自分らしい暮らしが未来まで続く住まいを目指し、「Life Sustainable 鉄の家は、つよくて、やさしい。」を新たなブランドメッセージと定めました
トヨタホーム代表取締役社長・西村祐氏 今後、「住まいのことならトヨタホーム」とお話しいただけるよう、地域に愛される「町いちばんの住宅会社」を目指して努力を重ねてまいります
ミサワホーム代表取締役社長執行役員・作尾徹也氏 従来のビジネスモデルは岐路に立たされています。この環境を乗り越えるには、改善や改革と異なり、既存の仕組みを根本からつくり変える「変革」が不可欠と考えています
三井ホーム代表取締役社長・野島秀敏氏 「高品質な木造建築の提供を通して、時を経るほどに美しい、持続可能なすまいとくらしを世界に広げていく」ことを使命と考え、環境負荷の低減と災害に強い木造建築の開発に取り組んでまいります
ポラスグループ代表・中内晃次郎氏 国内外の情勢が目まぐるしく変化し、予測が難しい不透明な状況が続くことが予想されていますが、そんな時こそ、現状をしっかり見据え、失敗を恐れずに試行錯誤し、果敢に挑戦する姿勢こそが大切と考えています
大東建託代表取締役社長執行役員CEO・竹内啓氏 大東建託グループの総合力をより一層結集し、コア事業の深化とグループの特長を活かした新規事業の開拓を追求し、更なる飛躍と成長に邁進していきます
クリアル代表取締役社長執行役員CEO・横田大造氏 「不動産投資を変え、社会を変える。」 これは、当社グループが掲げるミッションであり、我々の揺るぎない信念です。かつてはごく一部の人だけのものであった不動産投資を、誰もが手軽にアクセスできることで、安定した資産運用を当たり前のものにする
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「苛政の時代」「バブル期には家は買えた」アンビシャス・安倍社長
上段で各業界団体・各社の年頭所感を紹介したが、記者がもっとも驚いたのは、2026年1月5日付「週刊住宅タイムズ」新年号で、アンビシャス・安倍徹夫社長(81)が同紙のインタビューに答え、現在の社会経済状況を「苛政の時代」と喝破したことだ。安倍氏は、バブル期と現在の不動産市場について次のように語っている。( )内は記者。
「(1989年12月に就任した)三重野日銀総裁の政策転換(金融引き締めと大蔵省の不動産融資の総量規制)で、大手の銀行、証券会社、不動産会社が破綻した。急ブレーキで市場が一気に冷えた。当時は全国津々浦々がバブルだったが、今は大都市の都心とその周辺に限定され、局所的なもの。円安の影響で物価が上昇し、実質賃金が落ち込み、取引価格が天井を超えて売り圧力が強くなっているところもある。日銀の政策転換で大きく流れが変わるとすれば、どのように規制をかけていくのか非常に難しい課題だと思う」とし、現在の市場を「孔子の言葉で『苛政は虎よりも猛し』とあるが…(略※)…60年近くマンション事業に取り組んできたが『持てる人と持てない人の差』が、これほどの格差は過去に経験がない」
安倍氏はまた「かつてのバブル期でも家は買えた」と話しているが、その具体的記述はないので、バブル期の市場について少し補足する。
〝地価は上がる〟という土地神話を全国民が妄信していた昭和61年(1986年)、〝民活第一号〟マンション「西戸山タワーホウムズ」(576戸)が分譲された。パンフレットは有料だったが、真夏のさなか、販売事務所の周りはとぐろのように人が渦を描き、来場者は約6万人に、申し込み倍率は44.2倍に達した。
昭和57年(1982年)11月に分譲された「広尾ガーデンヒルズ」第1期187戸は坪単価252万円(最多価格帯7,300万円台)だったが、最高209倍、平均40.8倍で即日完売した。その後、昭和60年(1985年)の最終期63戸(最多価格帯16,000万円台)の坪単価は420万円)となり、3年間で67%値上がりした。「広尾」は〝マンション転がし〟の代表格で、平成2年(1990年)には瞬間的に坪単価は2,000万円を突破した。最終分譲からの5年間で約10倍という異常ぶりだった。
東京都住宅供給公社が平成元年(1989年)に分譲した戸建て「多摩ニュータウン南大沢四季の丘」(45戸)の平均競争倍率は270倍に達した。この競争倍率はいまだに破られていない。
バブル絶頂期の平成2年(1990年)の7月には、首都圏で約4,400戸のマンションが供給された。高額物件では坪単価1,200万円の「パレ神楽坂」9戸(4億円台)、坪単価744万円の「藤和代沢ホームズ」8戸(1億5,000万円台)、坪単価478万円の「グランフォルム菊名」11戸(2億円台)などがある。一方、郊外物件では坪単価212万円の「ライオンズマンション若葉台第2」30戸(4,200万円台)、坪単価175万円の「ネオハイツ深谷」1期50戸(3,800万円台)など坪単価が200万円台の物件も全114物件のうち4割近くを占め、ファミリータイプでグロスが4,000万円台以下も相当数に上っていた。
分譲戸建ても、都内や神奈川県の物件は軒並み1億円を超えたが、都心からの距離・駅からの距離を考えなければ「鳩山ニュータウン」「蓮田グリーンタウン」「牛久みどり野」「昭苑台」などの大規模ニュータウンは5,000万円台で購入できた。安倍氏が「かつてのバブル期でも家は買えた」ことが分かる。
もう一つ、投資用マンションもそうだが、首都圏近郊で年間数千戸から1万戸くらい供給されたリゾートマンションもバブル期を象徴する事象だった(安倍氏が当時務めていた大京東京支店はほとんど手掛けていなかったはずだが)。平成2年完成の熱海のリブラン「別邸桜乃庄」(25戸)の坪単価は550万円くらいだった。伊東の三武「ウェルネスの森」は全300戸の大型で、価格は全てが1億2,000万円だった(このマンションはバブル崩壊で工事が中断したが、施工の大成建設が完成させ、一部はホテルとして利用されている)。
現在はどうか。これは皆さんもご存じだろうから詳細は省くが、マンションデベロッパーはバブル期の数百社から十分の一に激減、大手デベロッパー(系)の寡占状態に拍車が掛っている。都心からの距離・駅圏=資産性を喧伝するデベロッパーの戦略が奏功し、山手線内は坪単価1,000万円以上、23区内は坪500万円以上が相場となっている。安倍氏の「郊外のマンションはつい最近まで70㎡で3,000万円~4,000万円だったものが、今は7,000万円、8,000万円となり、一般の人達ではとても手が出ない価格になっている」言葉通りだ。(住宅ローンの面積要件の緩和は賛成だが、敷地面積が60㎡未満の「狭小住宅」は課題も多い。広めに誘導する対策も必要)
安倍氏が「60年近くマンション事業に取り組んできたが、〝持てる人と持てない人の差〟がこれほどまでに拡大したのは過去に経験がない」と話した所得格差はどうか。
記者は毎年、東京都港区の段階別課税状況を調べているのだが、課税標準額が1億円以上の高額納税者は平成28年度(2016年度)の957人(全納税者に占める割合は0.7%)から、令和7年度(2025年度)は1,677人(同1.1%)に大幅に増加。この層の収める所得割額は9年前の約163億円(全体の24.2%)から令和7年度は約334億円(全体の30.3%)と2倍に膨れ上がっている。また、課税標準額が3,000万円以上の納税者の全体に占める割合は平成28年度の3.0%から令和7年度には8.8%へ5.8ポイント増加しており、いわゆるパワーカップルも激増していることがうかがえる。
ボリュームゾーンの所得が400~500万円台で課税標準額が200~300万円台の層は9年前の約32,561人(全納税者の24.3%)から令和7年度は3,6146人(同23.4%)となっている。この数値からも〝富める者はより富み、貧しき者はさらに貧しく〟を読み取ることができる。
安倍氏が言う「苛政」-「虎」はわが国には棲息しておらず、レッドリストになっているようだから、敢えて言えば「熊」か。熊から逃れて東京に移住しようにも「家」は買えないし家賃も高い。記者は、都心3区などが制度化している「付置住宅」をさらに拡充し、一定規模以上のビルやマンションを建設する場合、容積率を緩和してもいいから低所得者用の住宅などを確保すべきだと思う。誰も利用しない公園などが適地になるのではないか。
※苛政 重税。[礼記]婦人の墓に哭する者ありて哀し。~曰く、昔者吾が舅、虎に死し、吾が夫又死す。今吾が子も又死せりと。夫子曰く、何爲すれぞ去らざるやと。曰く、苛政無ければなりと。夫子曰く、小子之れを識せ。苛政は虎よりも猛しと。(大辞林)
興味津々「週刊住宅」の記事アンビシャス安倍社長・RIA土屋社長・田舎暮らし(2022/4/5)
「太陽のような明るさ、情熱、決断力を発揮」芳井会長 プレ協 新年賀詞交歓会

芳井氏(アルカディア市ヶ谷で)
プレハブ建築協会は1月9日、令和8年新年賀詞交換会を開催。同協会会員会社をはじめ国土交通省、経済産業省、内閣府、環境省などの関連行政機関、友好団体、報道陣など約450人が参加。同協会会長・芳井敬一氏(大和ハウス工業代表取締役会長CEO)が、次のようにあいさつした。
新年あげましておめでとうございます。プレハブ建築協会会長を務めさせていただいております芳井でございます。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
本日は、当協会賀詞交歓会に、日頃よりお世話になっております行政、友好団体、研究機関及び会員会社の皆様に、多数ご出席いただき、誠に有難うございます。
また、本日 は公務 ご多忙の中、元内閣総理大臣補佐官、住宅生産団体連合会特別顧問・和泉洋人様、国土交通省住宅局長・宿本尚吾様、経済産業省大臣官房審議官・畑田浩之様、内閣府防災監・長橋和久様ほか、国土交通省、経済産業省、内閣府、環境省の幹部の方々にご臨席を頂いております。厚く御礼を申し上げます。
住宅を取り巻く環境は建築費や金利の上昇など厳しい状況にありますが、そうした中、昨年11月には「強い経済を実現する総合経済対策」が打ち出され、住宅取得支援や、住宅の環境性能の向上、ストック対策に重点をおいた補正予算が成立し、令和8年度政府予算案、与党の税制改正大綱が決定されました。
具体的には、①「みらい工コ住宅2026事業」の「GX志向型住宅」をはじめとする各種支援の継続と拡充②また、当協会が強く要望してきた、フラット35の融資限度額の引き上 げなど③さらに、住宅ローン減税制度で、新築の借入限度額の上限の継続、既存住宅の借入限度額及び控除期間の拡充、床面積要件の40㎡への緩和など④そして、期限を迎える各税制の延長、拡充などがなされることとなりました。
これらの施策の実現と、重要な支援措置の継続に、特段のご尽力、ご配慮を賜りました関係者の皆さまには、心より感謝申し上げます。当協会といたしまして、この施策を丁寧にお客様にお伝えし、「良質な住宅ストック社会」に向けて、活用させていただき、国民の大切な財産である住まいを提供してまいります。
さて、当協会は住団連の中核メンバーとして良質な住宅ストックを形成しております。
国交省におかれましては、住生活基本計画の見直しを検討されており、これを踏まえて、当協会としましても、次期「住生活向上推進プラン2030」を今年度末までを目途に立案いたします。高い環境性能や耐震性能を有する質の高い住宅ストックの形成と円滑な市場流通の先導役を担うべく、次期プランで様々な高い目標値を掲げて、豊かな住生活の実現に適進してまいります。
また、当協会の大きな使命である応急仮設住宅等の供給についてです。一昨年の能登半島地震での対応を始め、これまでの多くの災害に真掌に対応してまいりました。今後想定される南海トラフ地震、首都直下地震、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震などの大規模災害においても、これまでの経験を活かし、平時から事前対策に取り組むことが重要と認識しています。このため、当協会では、発災直後の初動期における BCP対応を重点的に取り組んでおります。
まず、防災機能強化のための本部事務所移転は昨年6月に実現し、重要なデータの電子化、災害対応マニュアルの改定、想定訓練なども進めました。
さらに、多様化、多発化している災害に対応するため、平時から全ての都道府県との一層の連携を強化しております。実効性を高める共同訓練の実施、応急仮設住宅の短期施工型の導入、DX推進による業務の効率化に取り組むなどにより、地域のニーズに応じた迅速な供給が出来る体制を整えてまいります。引き続き、大きな役割を果たしていく覚悟です。
加えて、国際貢献にも取り組んでまいります。昨年11月、当協会内に「国際貢献WGJを設置いたしました。海外の甚大な自然災害発生後や戦争・紛争終結後の復興を見据え、要請があれば、蓄積してきたノウハウを活用し、支援の提案ができるよう準備を進めていきたいと考えています。国内外を含め積極的に取り組んでまいりますので、ご指導やお力添えのほど、よろしくお願いいたします。
本年の干支「丙午(ひのえ・うま)」は「太陽のような明るさ、情熱、決断力」を象徴しているといいます。このような姿勢で、当協会も大きく活動を広げて展開し、目標に突き進んでいく所存です。
結びとなりますが、本日ご参加の皆様のご健勝とご多幸を心より祈念いたしまして、新年のご挨拶とさせて頂きます。本日は誠にありがとうございます。

会場
◇ ◆ ◇
記者は、昨年8月に享年82歳で亡くなった画家・絹谷幸二氏の30年来のファンだ。絵画を買いそびれてしまったので、絹谷氏がデザインしたネクタイを愛用している。7~8年に買ったものはくたびれてきたので、新たにネットを通じ3本セットを格安で買った。そのうちの1本は派手過ぎて締める勇気がない。捨てるのももったいないので、新年賀詞交歓会に出席するはずの「絹谷幸二 天空美術館」を設立・運営している積水ハウス仲井嘉浩社長兼CEOに高値で売りつけようと企んだ。
しかし、残念ながら仲井氏は欠席。同社関係者にも勧めたが断られた。そこで思いついたのは、大和ハウス芳井会長をそそのかし、売りつけることだった。
にべもなく断られるかと思ったら、何と芳井会長は満面に笑みを浮かべ〝試着〟したではないか。〆た。早速、価格交渉に持ち込もうと思ったが、名刺交換を希望する参加者が殺到していたため断念せざるをえなかった。
お世辞じゃない。芳井会長、よく似合う。冒頭のネクタイよりこちらのほうがずっといい。今日の挨拶の「太陽のような明るさ、情熱、決断力を発揮」にどんぴしゃりだ。住宅・不動産業界でこのネクタイが似合う人はそういない。芳井氏と同じように何が飛び出すか分からない〝日々妄想〟の三井不動産・植田俊社長くらいではないか。あるいは他を圧する旭化成ホームズ川畑文俊会長か。
来年の賀詞交歓会で〝仲井さんには似合わないと思うので、私が絹谷幸二のネクタイを締めた〟とでも挨拶したら爆笑ものだ。株価が100円くらい上がるかもしれない。いかがか芳井会長、妙案ではないか。
それとも、ネクタイはオークションにかけようか、リースにするか。

絹谷幸二デザインのネクタイをあてがう芳井会長

記者が所有する絹谷幸二のネクタイ(右端が芳井会長が〝試着〟したネクタイ)
「絹谷幸二天空美術館」特別展「追悼絹谷幸二」2025/12/12~2026/6/29(2025/12/13)
「今年に託す言葉」プレハブ建築協会 新年賀詞交歓会 出席者に聞く(2025/1/11)
「巳年にふさわしくヘビー・ローテーションで臨む」プレ協・仲井会長 賀詞交歓会(2025/1/11)
日本を強く豊かにし、将来世代への責任を果たす 吉田理事長 不動協・FRK賀詞交歓会

吉田氏(オークラ東京で)
不動産協会と不動産流通経営協会は1月7日、「不動産協会・不動産流通経営協会新年合同賀詞交歓会」を開催。不動産協会理事長・吉田淳一氏(三菱地所取締役会長)があいさつしたほか、金子恭之国土交通大臣、片山 さつき財務大臣が来賓として祝辞を述べ、不動産流通経営協会理事長・遠藤靖氏(三井不動産リアルティ社長)が乾杯の音頭を取った。賀詞交歓会には1,150人が参加した。
賀詞交歓会の冒頭、吉田理事長は次のように述べた。
皆様、新年あけましておめでとうございます。不動産協会理事長の吉田でございます。
本日は不動産協会、不動産流通経営協会合同の新年賀詞交歓会に、金子国土交通大臣をはじめ、日頃よりご指導いただいております、国会議員の先生方、関係諸官庁・友好団体や報道関係の皆様など、多数ご出席いただき、誠にありがとうございます。主催者を代表いたしまして、ひとこと年頭のご挨拶を申し上げます。
まず、令和8年度の税制改正についてお話をしたいと思います。
昨年末に与党の大綱が決定されました。今回の税制改正は、非常に数多くの不動産関連税制が期限切れを迎える、大きな節目の年にあたりました。結果として、最重点項目であった住宅ローン減税、長期保有土地等にかかる事業用資産の買換え特例、都市再生促進税制、国家戦略特区税制などの延長をはじめ、ほぼ当協会の要望を認めていただく形となり、胸を撫で下ろしております。
特に最大の焦点であった住宅ローン減税については、新築住宅はほぼ現行の制度を維持しつつ、中古住宅における拡充が行われ、また、今後5年間にわたって枠組みが堅持されることとなりました。特に若年層世帯の方々の住宅取得を支援する環境を継続することができたこと誠に喜ばしい結果であったと感謝いたしております。ご尽力いただいた先生方、関係の皆様方に、厚く御礼申し上げます。
昨年を振り返ってみますと、春先は、いわゆる「トランプ関税」に国際社会が翻弄される事態となりました。日々風向きの変わる米国の経済政策や地政学リスクの高まりなど、先行きが不透明な状況が続いています。我が国においても、7月の参院選で参議院においても少数与党となり、10月に高市新内閣が発足するなか、連立与党の枠組みが変わるなど、政治においては目まぐるしい変化が起こった激動の1年でした。
新しい年を迎え、先行きを展望しますと、日本経済は全体としては堅調に推移しており、「失われた30年」における「デフレ・コストカット型経済」から、ようやく脱却したように思います。しかしながら、物価上昇と賃上げのバランスにおいて、国民の景気回復の実感はまだまだ乏しいというのが現実ではないでしょうか。ウクライナ危機等に端を発した「コストプッシュ型の物価上昇」から、経済成長と所得増加を伴う「健全な物価上昇」の社会へ移行しなければなりません。
政府の新しい経済対策に「“強い経済”の実現」ということが謳われています。政官民の総力を挙げて、我が国経済を牽引し、社会課題の解決にも資する投資を拡大し、暮らしの安全・安心を確保して、日本を強く、豊かにし、将来世代への責任を果たす。
私ども不動産業界は、まさしくその重要な一翼を担っていくと、あらためて意を強くしています。
こうした認識のもとで、今後の課題とそれに対する当協会の活動について、ポイントを絞ってお話をします。
まず、環境政策の分野ですが、2050カーボンニュートラルの実現に向けて、官民一体となって、省エネ・再エネを加速・深化させる取り組みを推進して参ります。さらに、ライフサイクルカーボンの削減にも本格的に取り組んで参ります。
次に、都市政策の分野では、骨太の方針、国土強靭化計画等に基づき、都市の個性の確立と質や価値の向上に資する「成熟社会」における都市再生を推進しなければなりません。
しかしながら、昨今の建築費の高騰、人手不足などの問題により都市再生に大きな支障が生じる事態となっています。これらは、我が国における、国土強靭化、国際競争力の強化、インフラの再整備などにも影響が出る、非常に重要な問題であると考えています。建設業界だけではなく、私どもも、国も、一緒になってこの問題を考え、10年後、20年後も見据えて、サステナブルにまちづくりを推進できるよう、できることから実行に移していく必要があると考えています。
最後に、住宅政策の分野ですが、改正されたマンション関係法が今年4月に施行されるほか、新しい「住生活基本計画」が今年3月に閣議決定がなされる予定となっております。住宅ニーズが多様化するなか、政策の背景も踏まえ、引き続き安心・安全で良質な住宅ストックの形成・循環の実現に貢献して参ります。
ここで分譲マンションの投機的短期転売についても触れておきたいと思います。今までも繰り返し申し上げてきたことですが、現在のマンション価格の上昇は、建築費高騰などによる「原価の上昇」と供給戸数の減少と旺盛な需要という「タイトな需給バランス」が主な要因であると認識しております。
しかしながら、私どもが分譲したマンションが単なる投機の対象となる、これは決して好ましいことではない、という思いは一貫して変わっておりません。そのために、当協会として、現実的に実行可能な対策を考え、昨年11月に公表させていただきました。今後はこの対策を、会員会社においてしっかりと実行していくことが重要であると考えています。
当協会としては、国民の暮らしを豊かにするまちづくりや、住環境の整備を通じ、我が国の経済・社会の発展に向けて、貢献していきたいと考えておりますので、引き続きご理解、ご支援賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
結びにあたりまして、皆様の一層のご活躍とご健勝をお祈りし、また今年一年が皆様や国民にとって明るく良い年となることを祈念申し上げて、私の挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。

金子氏
続いて登壇した金子国交相は、「わが国経済は引き続き緩やかな回復基調にあるが、人口減少、少子高齢化をはじめ様々な課題に直面しており、豊かで魅力ある社会築く重要な役割を担っている不動産業界の皆さんの力が存分に発揮できるよう、国土交通省も各種施策を推進していく。
税制については、皆さんの心強い支援を頂き、令和8年度の税制改正大綱では、基幹税制である住宅ローンの延長など頂いた要望を全て盛り込むことができた。マンションの投機的取引対策としては昨年11月、調査結果を公表した。引き続き実態把握に努め、皆さんと連携し投機的取引の抑制に取り組んでいく。また、今年4月にはマンション改正法が本格施行されるが、マンションの新築から再生までを見通した管理の適正化を進めていく」と述べた。

遠藤氏
乾杯の音頭を取った遠藤氏は、税制改正で住宅ローン減税の延長や、減税の対象となる面積要件の緩和、融資額の引き上げが不動産流通市場の活性化につながると謝意を表し、「私からはこれ以上申し上げることはない」と締めくくり、参加者の喝さいを浴びた。
◇ ◆ ◇
記者は、高市内閣が意欲を見せている「デフレ脱却宣言」について、業界関係者はどう考えているか、片っ端から声を聴こうと準備していたのだが、同業の記者から「何をいまさら」と一喝されたので止めた。インフレとデフレが同時進行するスタグフレーションでもなく、なし崩し的にうやむやにされるのか。バブルが崩壊したのは平成2年(1990年)だ。あれから「失われた30年」ではなく35年だ。
年末から年始にかけて、ディストピア(反理想郷)小説の代表作であり、ジョージ・オーウェルの「一九八四年」(ハヤカワ文庫)の真逆の世界を描いたオルダス・ハクスリーの「すばらしき新世界」(光文社文庫)を難儀しながら読んだ。その矢先、年明けにはアメリカのベネズエラ攻撃が報じられた。それでも株価は上がる。善も悪も正も邪も美も醜も何もかもがあいまいに済まされる白内障の世界が蔓延しているということか。
今年も、記者のモットーである「記事はラブレター」=「誰も寝てはならぬ」(プッチーニ)記事を配信します。
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