ランドスケープ、基本性能、価格設定に感動 人気当然 横浜公社建て替え「青葉台」
「プロミライズ青葉台」
横浜市住宅供給公社とURリンケージが参加組合員として事業参画・分譲している築50年の「桜台団地」建て替えマンション「プロミライズ青葉台」を見学した。ランドスケープデザイン、基本性能、価格設定が素晴らしい。これまで見学した建て替えマンションでは最高レベルだと思う。販売総戸数556 戸のうち半数を超える343戸が成約済みというのも納得できる。第3期販売は今夏を予定している。
物件は、東急田園都市線青葉台駅から徒歩10~14分、横浜市青葉区桜台の第1種中高層住居専用地域、第2種中高層住居専用地域に位置する総開発面積約44,635㎡、5~6階建て6棟全761戸(地権者住戸205戸含む)。竣工予定は2025年9月〜2026年5月。設計・監理は松田平田設計。施工は五洋建設。管理は横浜市住宅供給公社。販売代理は長谷工アーベスト、東急リバブル。
現地は、1967年竣工の「桜台団地」(4階建て全18棟456戸)の建て替え事業で、両社は参加組合員として事業参画。市内の建て替えマンションとしては最大級。昨年4月下旬に物件ホームページを開設し、同7月下旬にモデルルームをオープン後、9月下旬から第1期横浜市民優先枠の登録を開始。これまで2月末現在、問い合わせは4,000件超、モデルルーム来場数は延べ1,180件超。
供給戸数は385戸(横浜市民優先枠93戸含む)で、2月末で343戸を成約。専有面積は31.50~91.76㎡、販売価格は3,298万~9,298万円。坪単価は290万円。契約者は地元青葉区を中心に横浜市内在住の30代プレファミリー、ファミリー層や東急田園都市線沿居住者、60歳以上のシニアなど。幅広い層から支持されている。都内居住者も2割弱。
評価ポイントは、①東急田園都市線急行停車駅青葉台駅という都心へのアクセスの良さ②大規模敷地を活用した“自然との一体感”と“充実した共用施設”③将来を見据えたユニバーサルデザインや利便性を叶えた設計や設備④横浜市住宅供給公社とUR リンケージが手掛ける建替え事業という“安心感”-など。
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上段は、物件ホームページと3月8日に公表されたリリースをほぼそのままコピペしたものだ。記者は、単にコピペするだけでは〝か・ち・も・な・い〟と判断し取材を申し込んで実現した。これまで見学した横浜市公社のマンションの質が保たれているのかどうかを確認するのがその目的だ。
最初に約9分のシアターをみたのだが、記者はシアターを聞き流すことにしている。販促に結びつきそうもない、こけおどしの技巧を凝らしてどうするのだと辟易している(例外は野村不動産他「Tomihisa Cross」だ。「第九」が流れたのには感動したし、商品企画も素晴らしかった)。
今回はどうかというと、だしぬけに在原業平の「世の中にたえて桜のなかりせば春の心はのどけからまし」の歌が流れた。なかなかの導入だ。テーマは「愛」だった。地域への、建物への、自然への、人々への「愛」を分かりやすく説明されていた。この時点で、どうして人気になっているのかを理解した。質は落ちていないと。「人生は愛」-これが小生のモットーだ。
ここで「愛」の一つひとつを紹介しないが、比高差20mの高低差を生かしたランドスケープデザインが素晴らしい。敷地の東西軸ほぼ中央に幅24.5m(一部は公道)の「センターウォーク」「シーズンズウォーク」「セントラルガーデン」や共用施設などを配置し、隣接する桜台公園とマンション入り口のバス停を結んでいる。敷地が広いから可能になったのだろうが、設計した松田平田設計はさすがというべきか(同社は東建の諏訪団地の建て替え「Brillia 多摩ニュータウン」も担当している)。
基本性能・設備仕様では平均72㎡、二重床・二重天井、ディスポーザー、食洗機、Low-Eガラス(廊下側のみ)、浴室タオル掛け2か所、スロップシンク、奥行き2mバルコニーなど。
これは、他の優れたマンションと変わりはないのだが、嬉しいのは単価設定だ。記者は見学する前、坪単価は300万円を超えても不思議ではないと思いつつ、ひょっとしたら300万円を切るかもしれないと考えていたのだが、290万円と聞いて公社、URの〝良心〟を見た。(敷地に隣接している、駅に近い野村不動産「プラウド青葉台」は坪単価320万円で早期完売したようだが、これはこれで納得)。
全国の住宅供給公社について。ネットで調べたら全国住宅供給公社等連合会の会員は公社が37団体(他に4法人)とあった。この中で分譲事業を継続して行っているのは横浜公社のみではないか。今後の事業展開について、案内していただいた同公社街づくり事業部街づくり事業課事業推進担当係長・石井浩基氏と同課主事・都出祐司氏に聞いたら「未定」とのことだった。ただ「他の公社と異なり、当公社は賃貸は約700戸しかなく、今後も建て替えを中心に分譲事業を継続して行っていく」とのことだった。
横浜の建て替えマンションでは、新日鉄都市開発・三菱地所「横濱紅葉坂レジデンス」がいい物件だった。設計は日建ハウジングシステム。
現地
桜台公園
今度は横浜のど真ん中人気必至の横浜公社「横浜MIDベースタワー」(2016/1/28)
横浜市住宅供給公社定借戸建て「十日市場」全11戸即日完売へ(2011/2/2)
「横浜ポートサイド」の再現なるか横浜市住宅供給公社「マークワンタワー長津田」(2011/7/22)
横浜市住宅公社&伊藤忠都市開発「アイマークス横浜桜木町」(2009/2/9)
横浜公社が全国初の億ション その英断に拍手喝采(2007/11/2)
東京建物「Brillia 多摩ニュータウン」1期から3期2次まで617戸が即日完売(2012/10/22)
花咲団地建替えマンション 人気必至 新日鉄都市・三菱地所「横濱紅葉坂レジデンス」(2010/5/24)
お茶の水女子大学 国際学生宿舎跡地 定借「大山」好調 首都圏事業強化へ 阪急阪神不
「ジオ板橋大山」
阪急阪神不動産が分譲中のマンション「ジオ板橋大山」を見学した。ハッピーロード大山商店街から一歩入った、お茶の水女子大学国際学生宿舎跡地の事業期間(居住期間)70年の定期借地権付き分譲マンション(総戸数285戸)。昨年12月から販売を開始しており、年明けからも勢いは変わらず成約数は100戸を突破している。
物件は、東武東上線大山駅から徒歩6分、板橋区仲町の第1種住居地域(許容建ぺい率60%、許容容積率254.52%)に位置する敷地面積8,000㎡超、10階建て総戸数285戸。専有面積は55.85~88.65㎡。3月10日現在の先着順で分譲中の住戸(9戸)の専有面積は68.42~72.16㎡、価格は6,190万~7,430万円(最多価格帯6,300万円台)。平均価格は6,900万円台。借地期間は2098年7月31日まで(建物解体期間を含む)。月額地代は13,350円~14,080円、月額解体準備金は11,640円~12,270円。竣工予定は2025年2月。設計・施工・監理は長谷工コーポレーション。販売代理は伊藤忠ハウジング。
昨年6月からのエントリー数は約1,700件、9月からオープンしたモデルルーム来場者は約500件、12月から第1期(1・2次)を供給。追加供給も含めて約100戸を成約済み。
現地は、お茶の水女子大学国際学生宿舎跡地で、事業期間(居住期間)は70年。敷地南側と西側に接道。隣地との間隔は東側が約14m、西側が約16m。建物はコの字型で、標準階の住戸プランは南向きが8戸、東向きが13戸、西向きが12戸。
主な基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、リビング天井高2450ミリ、ディスポーザー、食洗機、御影石キッチン天板、Low-E複層ガラス、廊下960ミリ(一部除く)、防犯ガラス(一部)、浴室タオル掛け2か所など。共用施設はブックラウンジ、ワークラウンジ、パーティラウンジ、ゲストルームなど。他に棟内児童福祉施設の開設が予定されている。
販売担当の同社住宅事業本部首都圏マンション事業部販売グループ・生方遼氏は、「フラッグシップの位置づけ。販売は順調で想定内。御影石キッチン天板は当物件の標準仕様。販売は伊藤忠ハウジング様に委託していますが、今後供給予定の物件については自社での販売体制を強化していきたい」と語った。
緑道
エントランスホール
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同社単独のマンション見学は2017年の隈研吾氏がデザイン監修した「ジオグランデ元麻布」(19戸)、2018年分譲の「ジオ元赤坂」(22戸)以来久々だった。
坪単価はこれくらいだろうと予想していたのでぴったりだった。少し気になったのは、同社に限ったことではないが、モデルルームを約68㎡にしているように、全体として専有圧縮型が中心だったことだ。
これは、坪500万円をはるかに突破している池袋駅圏や東武東上線のマーケット、大山の地域特性を考慮した結果だと思う。ストライクゾーンを外さない戦略と見た(冒険もしてほしかったが…100㎡超でも何戸かは売れるはず)。商品企画では御影石キッチン天板、浴室タオル掛け2か所、タンクレストイレなどに同社のこだわりがみられる。
定期借地権付きはネックにならないはずだ。平成3年(1991年)に借地法と借家法が改正され、定期借地権制度が創設されてから30年が経過した。すっかり市民権を得ている。最近の首都圏マンションでは東京建物の「西早稲田」(454戸)や三菱地所レジデンス「市谷加賀町」(228戸)が人気になっている。
平成6年に分譲された首都圏初のサミュエル「グランビューあざみ野」(34戸)は定借期間は確か40年のはず。カウントダウンが始まった。中古市場でどのように評価されているか分からないが、残存期間の賃料に換算した価格で取り引きされているのではないか。
販売部隊を拡大というのは正解だと思う。販売部隊を持たない大手(系)マンションをたくさん取材してきたが、貴重な顧客情報が蓄積されず、物件によって商品企画が異なり、売れ行きにばらつきがみられる。
マンションだけでなく、同社はビル事業なども首都圏で強化するというから見ものだ。
坪単価399万円 圧倒的な割安感あり 野村不・阪急阪神不「平井」最終分譲へ(2024/2/10)
息をのむ自然共生・歴史継承の取り組み 三菱地所レジ「板橋大山 大楠ノ杜」完成(2023/11/13)
〝すべて免震〟宣言から9年 ナイス「鶴見ミッドパーク」販売順調
「ノブレス横濱鶴見ミッドパーク」
ナイスが分譲中の「ノブレス横濱鶴見ミッドパーク」を見学した。同社が基本性能として標準化している免震工法のほか、嫌悪施設がない住環境などが評価され、販売は極めて順調に推移している。
物件は、JR鶴見駅から徒歩9分、京浜急行本線京急鶴見駅から徒歩7分、横浜市鶴見区本町通一丁目の商業地域(建ぺい率80%、容積率400%)・準工業地域(建ぺい率60%、容積率200%)に位置する敷地面積約1,308㎡、10階建て全59戸。専有面積は45.67~71.68㎡。3月20日から販売する住戸(2戸)の専有面積は66.25・66.55㎡、価格は7,090万円・7,290万円。坪単価は300万円から350万円の間。竣工予定は2025年3月。設計・監理はクレイズプラン。施工はファーストコーポレーション。
現地は、京急・鶴見駅東口から商店街を抜け、鶴見川を渡った三方道路の角地。建物は全戸南西向き。主な基本性能・設備仕様は、免震、直床、リビング天井高2400ミリ、食洗機、フィオレストーンキッチン天板(一部)、浴室タオル掛け、奥行き2mバルコニーなど。住戸プランは標準階1フロア8戸構成で、南向きが3戸、東向きが2戸、西向きが2戸、北向きが1戸。
昨年9月から販売を開始しており、全59戸のうち残りは4戸のみ。購入者はプレファミリーが多数派を占めている。モデルルーム来場者は200件弱。地元居住者を中心に広域から集客もできている。
販売担当の同社・渕辺努氏は、「販売は極めて順調。駅に近い割に騒音などの嫌悪施設がなく、免震も高い評価を得ています」と語った。
昨年10月から分譲開始した京浜急行線花月総持寺駅から徒歩5分の11階建て「ノブレス鶴見花月総持寺」(43戸)は坪単価300万円を切っており、約半数が販売済みとのことだった。(現地は見ていないが、横浜の半値以下だ)
モデルルーム キッチン
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先月、明和地所「クリオ横濱鶴見セントラルマークス」を見学しており、駅から徒歩5分で坪単価は350~360万円だったので、今回の物件はそれよりは低いだろうと予想したが、その通りだった。
都内はもちろん川崎、横浜はとんでもない価格に上昇しており、その周辺駅圏でも駅に近い物件なら間違いなく坪単価は400万円を超える。購入検討者の取得能力を考えたら、20坪で7,000万円が取得限界だろう。ぴったりの値付けだ。
同社が、分譲するすべてのマンションに免震工法を採用すると発表したのは2015年10月だ。それ以前の免震物件を含め2023年3月現在、首都圏・仙台市を中心に83物件・8,128戸供給しているという。
免震工事費はいくらか同社は公表しないだろうが、倒れないだけでなく揺れない、家具などの飛散もない安心・安全を価格に換算したらいくらになるのだろう。一定規模でないと戸当たり単価は上昇するだろうが、かといって工事費上昇分をそのまま価格に転化するのは難しい市場が続いている。こういう会社を応援したい。
販売事務所(免震構造、体験コーナーもある)
現地(南側から撮影)
ナイス 分譲するマンション全てに免震構造を採用(2015/10/30)
JRと京急駅まで5分リーズナブルな単価設定ZEH-M対応の明和地所「鶴見」(2024/2/27)
〝劣等生〟の管理組合&管理会社も積極登録目指せ マンション適正管理評価制度
高松氏
マンション管理業協会(理事長:高松茂・三井不動産レジデンシャルサービス会長)は3月14日、恒例の記者懇親会を開催。マンション適正管理評価制度の登録件数は2024年2月末で3,336件と発表した。
★の数の内訳は、★5つが808件(24%)、★4つが1,358件(41%)、★3つが896件(27%)、★2つが274件(85)、★1つが0件(0%)。都道府県別では東京都の物件が最多で1,001件(30%)。戸数別では50戸未満が全体の52%を占めている。竣工別では1991年~2000年が全体の29%。管理組合の形態は単棟型が87%。★5つの割合がもっとも多いのは2021年竣工で50%を占めている。
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記者懇では国か推進する「管理計画認定制度」も紹介された。同制度は、管理協の適正管理評価制度と同時期の2022年4月にスタートした制度だが、2023年12月末現在、全国の認定実績は378件しかない。ほとんどといっていいほど普及していない。
一方で、前段で紹介したように管理協は、3,300件超の登録があり、協会会員が管理している全国約10万件の1割に該当する1万件登録を2024年度末まで達成する目標を掲げている。
この1万件が多いのか少ないのか分からないのだが、同協会副理事長・小佐野台氏(日本ハウズイング代表取締役社長CEO)が昨年の同協会総会後の懇親会で「会員354社の管理件数の1割で達成できます。ちょうど1割、たった1割」と発言したのを記者は忘れない。残り1年で約6,700件。高松理事長は明言を避けたが、目標を達成するのではないか。
しかし、大事なのはそんな数字ではない。肝心なのは認可・登録マンションが市場で適正に評価されることだ。
そのためには、やはり管理協が主導して、★5つや4つのマンションは相場と比べて高く売れるとか、売り出しから成約時までの期間が短いとかなどのデータを示すべきだと思う。そうすれば登録件数は飛躍的に伸びるはずだ。
この点について同協会は、シンクタンクや学識経験者の協力を得てデータ収集を行っているようだが、1日も早く公表して欲しい。
もう一つ、知りたいのは登録物件を管理会社別にみたらどうなるのかのデータだ。管理会社は〝劣等生〟の烙印を押されたくないだろうからデータ公表に難色を示すだろうが、みんながみんな〝優等生〟だけを求めているわけではない。そうだったら、中古マンション市場など成り立たない。正直に〝私は劣等生〟と表明する管理組合&管理会社を応援したくなるし、仲介会社はきちんと評価するはずだ。高松理事長も「検討する」と答えた。期待したい。
第三者管理者方式の採用についても質問した。新築の富裕層向けや商住の複合開発、投資家向けは今後激増するはずだが、一般的な中小規模マンションは契約金をねん出する余裕はないはずだ。高松理事長は「現段階で委員会も設けていない。これからの課題」と話した。
「知の結集。やればできる」齊藤審査委員長が激賞管理協バリューアップアワード(2024/2/29)
マンション管理計画認定制度の普及、基準見直し論議国交省ワーキンググループ(2024/2/27)
反社への譲渡禁止をマンションの実態把握していない自治体が圧倒的多数国交省会合(2024/2/1)
登録件数1000件突破 ★5つ最多は伊藤忠アーバンマンション管理適正評価(2023/4/2)
「販売のネックになるものがない」 全241戸竣工完売へ 大和ハウス他「大倉山」
「プレミスト大倉山」
大和ハウス工業(事業比率40%)・東京建物(同30%)・中央日本土地建物(同25%)・三信住建(同4%)・ナイス(同1%)の5社JVマンション「プレミスト大倉山」を見学した。販売責任者が「販売のネックになるものがない、ないものがない」と話したように、商品企画が奏功した好例ではないか。
物件は、東急東横線大倉山駅から徒歩9分、横浜市港北区大豆戸町の近隣商業地域、第一種住居地域に位置する敷地面積約8,276㎡、7階建て241戸。3月16日現在、先着順で分譲中の住戸(9戸)の専有面積は69.03~75.61㎡、価格は6,980万~8,980万円(最多価格帯7,800万円台)。坪単価は約360万円。機械式駐車場は90台(ほかに身障者用、来客用、カーシェア用)。竣工予定は2024年8月。施工はファーストコーポレーション。全体デザイン監修は入江三宅設計事務所、外構空間・ランドスケープ監修はタウンスケープ研究所。
現地は、敷地北側の市道に接道。従前はナイスが所有していた土地。オリンピック大倉山店に隣接するほか、徒歩10分圏内に大型スーパーが3店、大小9つの公園やいくつもの保育園・幼稚園が集積。港北区役所は徒歩4分。
建物は6棟構成で、ABINC認証、「BELS」最高等級、「ZEH-M Oriented」と住戸ごとの「ZEH Oriented」をダブル採用。南向き2棟が139戸(57.6%)、東向き2棟が55戸(22.8%)、西向き2棟が47戸(19.52%)。平均専有面積は72.57㎡。
主な基本性能・設備仕様は、直床、リビング天井高2400ミリ、食洗機、ディスポーザー、吊戸棚、リビング&主寝室床暖房、Low-E複層ガラス、浴室タオル掛け1か所、スロップシンク、全住戸収納率10%以上など。共用施設はパーティ&キッズスペース、ワーキングスペース、オーナーズスイート、リンクラウンジなど。
エントリー数は4,000件を突破しており、モデルルーム来場者は週に約15件。東横線、田園都市線居住者中心だが、都内も約3割。販売開始は2023年5月。これまで約190戸を成約済み。
販売事務所長の大和ハウス工業・島田隆弘氏は、「大倉山駅圏で200戸超は20年ぶりの供給。新横浜までバスで6~7分で行けるのも特徴で、競合する物件はほとんどありません。専有面積は平均72㎡、収納率を全戸10%以上確保しているのが評価されています。また、管理費は218円/㎡で、修繕積立金も100円台の前半/㎡程度。長期修繕費を抑えるための工夫もしています。単価はもっと高く設定できたかもしれませんが、これくらいがちょうどいい。販売のネックになるものがない、ないものはないといえる物件。残りは月に10件くらい成約すれば竣工までに完売できると考えています」と話した。
リンクラウンジ
センターフォレスト
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大倉山のマンション見学は2020年の日本エスコン「レ・ジェイド大倉山」(25戸)以来だった。駅から徒歩12分の準工エリアだったが、坪単価320万円くらいで早期完売したはずだ。
今回の物件は、最低でも坪350万円で、高値挑戦すれば400万円近くもあるかと考えていたが、360万円と聞いて納得した。記者は富裕層向けはどんどん高値挑戦すべきだと思っているが、そうでない物件は〝腹八分目〟にして、残りは購入者が得をするようにすべきだというのが持論だ。
単価を低めに抑え、一方で専有面積を72㎡確保し、収納率全戸10%以上、ZEH、管理費・修繕積立金の低減(第三者管理者方式を採用)のほか、各住戸の玄関を外階段からセットバックさせて設けているのにも好感が持てた。
天井高が2400ミリなのは気になったが、高度地区規制で絶対高さが20mと定められているからではないか。
現地
高層ZEH-M プラン秀逸日本エスコン「レ・ジェイド大倉山」(2020/2/1)
新京成線五香駅圏で17年ぶり ウルトラファインバブル装備 坪単価250万円超 ポラス
「ルピアコート松戸五香」
ポラスグループ中央住宅は3月15日、 「ルピアコート松戸五香」のメディア向け見学会を開催し、3月16日に契約開始する第1期10戸は9戸に申し込みが入ったと発表した。新京成線五香駅圏では17年ぶりのマンション供給で、同社の18番「ピアキッチン」のほかZEH-M Oriented認定、ウルトラファインバブル、顔認証システムを採用しているのが特徴。
物件は、新京成線五香駅から徒歩2分、松戸市常盤平5丁目の近隣商業地域・商業地域に位置する11階建て全38戸。専有面積は54.88~84.40㎡、価格は3,900万円台~8,000万円台、第1期(10戸)の坪単価は252万円。竣工予定は2025年2月中旬。売主は同社のほか三信住建。施工は川村工営。販売代理は東京中央建物。
現地は、幅員約6mの南側道路と北側のサンロード五香商店街に接道。建物は全戸南向きで1フロア4住戸。主な基本性能・設備仕様は、ZEH-M Oriented認定、二重床・二重天井、リビング天井高2400ミリ、食洗機、リビング床暖房、Low-Eガラス、ピアキッチン(27戸)、食器棚・収納、ウルトラファインバブル給湯器、顔認証システム、浴室タオル掛け2か所、変身クローク、アクンダナ、片寄マイギャラリーなど。平均面積は72㎡。
昨年11月からエントリーを開始しており、これまでの反響数は200件超、1月20日からオープンしたモデルルーム来場者は約60件、3月14日から契約開始した10戸には9戸の申し込みが入った。五香駅圏でのマンション分譲は、三交不動産「サンマンションアトレ五香」(77戸)以来17年ぶりという。
同社マインドスクェア事業部マンションディビジョンDv営業企画課課長・湯村元昭氏は「今期の予定契約戸数は前年度比30%増の約420戸。用地仕入れが厳しく、工期の延長、労務費の上昇などの影響が顕著で、前半は苦戦が続いたが、競合物件などの価格が上昇し、割安感が出たことから好調に転じた。千葉県では久々の分譲だが、市場は読めている」と語った。
また、同事業部マンションディビジョンDv事業推進係リーダー・宮本理圭氏は「駅から徒歩2分の南向きと豊かな緑環境を掛け合わせたコンセプト『千載一遇』にふさわしい外観デザイン、商品企画にした。ピアキッチンタイプを27戸用意したほか、ZEH-M、ウルトラファインバブル、顔認証などで差別化している」と話した。
販売代理の東京中央建物プロジェクトリーダー・郡誠氏はいくつかの競合物件を紹介しながら、「来場、申込者は地元の30~40代が中心。ピアキッチン、アクンダナなど゛の人気は高く、これから真価が問われる」と気を引き締めていた。
ピアキッチン
ピアキッチン
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モデルルームを見学する前、坪単価は220万円と予想していた。五香駅に降り立ったのは午後2時過ぎ。取材時間まで1時間あったので、駅前の「日高屋」に入った。ビール310円と何かを食べても1,000円でお釣りが出る店だ。
昼食時間がとっくに過ぎていたのに33席は満席で少し待った。記者の後からも数人が入ってきた。これには驚いた。五香を過小評価しすぎたと感じ、単価も240万円に上方修正した。(宮本氏に聞いたら、五香駅の1日当たり乗降客数は2.3万人で、新京成線の乗り換えがない駅では№1とのことだった)
実際の単価は10万円高かったが、これはピアキッチンを70%以上の住戸に採用し、ウルトラファインバブル・食器棚を標準装備しているので当たらずとも遠からず。
皆さんはウルトラファインバブルの威力を知っているだろうか。記者はもう20年以上も昔から、タカラレーベン(MIRARTH)が採用しているのでよく知っている。どうして他社は採用しないのか不思議に思っていたが、最近では東急他「ドレッセタワー新綱島」、大和地所レジデンス・三菱地所レジデンス「ヴェレーナシティ鎌倉深沢」でも同様のものが採用されていた。
この日も、同社女性スタッフが実演してくれた。YUSKINを手に塗って、左側の普通の水道水で洗ってもなかなか落ちなかったのが、右側のウルトラファインバブルで洗ったらすぐ落ちた。YUSKINは白色なので、美しい女性の手ではその差がよく分からないので、記者の万年筆のインクで試してもらった。結果は同じだった(皆さんも試していただきたい。インクは水で洗ってもなかなか落ちない)。この威力はマンション単価にして1万円以上、20坪で20万円の価値があると思うがどうだろう。(顔認証は同業他社も結構採用している)
それにしても、興味深いのはデベロッパーの郊外進出だ。17年ぶり供給というのは、つい先日見学した野田市のJR西プロパティーズ「プレディア梅郷ステーションフロント」(48戸)も、中央日土地の「バウス我孫子天王台」(89戸)もそうだ。を見学したばかりだ。NTT都市開発他「ウエリス三浦海岸」(237戸)は13年ぶりの同駅圏での分譲で、三井不動産レジデンシャルは、取手市で10年ぶりという「パークホームズ取手」(53戸)を分譲開始した。〝みんなで渡れば怖くない〟-バブルでないことを祈ろう。
左は普通の水道水、右がウルトラファインバブル(水道水では落ちないインクが分かる)
現地
野田市内で17年ぶりマンション坪単価200万円JR西プロ「梅郷」(2024/3/9)
絶景かな 日本の道100選のさくら通りに近接 総合地所「ルネ常盤平さくら通り」(2017/10/21)
築47年+88年 三井不&青木茂建築工房 「リファイニング建築®」7件目「本駒込」
「インスタイルレジデンス本駒込」
三井不動産と青木茂建築工房は3月14日、「リファイニング建築®」を活用した第7号物件となる「インスタイルレジデンス本駒込」が竣工したのに伴うメディア向け見学会を行った。前日13日の関係者・一般向け含め見学会には、2日間で約300人が集まった。
「本駒込」は、築47年の旧耐震物件をリファイニング建築®を活用し、建物規模を維持するとともに耐震補強を行い、給排水管、エレベーターなどを更新し、新築の賃貸物件に近い賃料設定を可能としたほか、工事費の30%低減、 CO2排出量の大幅削減を実現した。竣工後は三井不動産レジデンシャルリースでサブリースする。
物件は、東京メトロ本駒込駅から徒歩11分、JR田端駅から徒歩12分、文京区本駒込4丁目の商業地域(建ぺい率80%、容積率500%)に位置する敷地面積約550㎡、7階建て賃貸住宅39戸(従前32戸)、店舗2区画。専用面積は35~55㎡。月額賃料は13.2万~21.8万円。設計は青木茂建築工房。施工は日本建設。2023年4月 着工、2024年3月竣工。既存建物は1977年竣工(築47年)。
募集開始は昨年12月からで、募集住戸37戸に対して32戸に申し込みが入っている。7階の40.5㎡で賃料は16.4万円(坪賃料1.4万円)。相場とほぼ同等の賃料が実現している。残り2室は同社が7月まで借り上げ、サロン兼モデルルームとして利用する。
見学会に出席したオーナーのスタイルビル代表取締役・住本雅昭氏(59)は、「建物は祖父の代からのもので、お城のような雰囲気もあり愛着を感じていたが、耐震性に問題があり、間取りも陳腐化していたので建て替えを検討した。しかし、建築基準法の規制(北側の後背地は第1種住居地域)で3~4階建てしか建てられないことが分かった。そんな折、うわさに聞いていた『リファイニング建築®』と巡り会えた。あと88年大丈夫というお墨付きも頂いた。脱炭素、サステナブル社会の実現に少しでも貢献したい」と話した。外観のブルーのグラテーションは住本氏の案を採用したという。
青木氏は、「『リファイニング建築®』手法による建築物は今回がちょうど100棟目。記念碑的物件。19年前、(わたしと)東大、理科大の研究結果でCO2の発生量は83%削減できると発表したときは〝ああそうか〟という反応しかなかった。今回の建物も73%削減できている。リフォームやリノベと異なり、耐震性など法的裏付けをきちんと受けている」などと語った。
「リファイニング建築®」は、青木茂建築工房独自の建物再生手法で、既存躯体以外はすべて解体し、躯体補修・耐震補強により現行法規のレベルまで耐震性能を向上させるとともに、デザインの転換や設備の刷新を行い、新築同等に再生する。リノベーションとは異なり、建物の長寿命化を図るとともに、竣工後に新たに検査済証を取得することで法的根拠を担保できるのも特徴の一つ。
青木氏(左)と住本氏
◇ ◆ ◇
青木氏は見学会で、既存分譲マンションについて10例くらい提案したが採用されなかったのを残念がっていた。合意形成が難しいのがその理由だと思うが、建て替え、大規模修繕のほかに「リファイニング建築®」を選択肢の一つに加えてもいいような気がする。建て替えは立地に恵まれたものに限られ、大規模修繕は現状維持が精いっぱいだ。「リファイニング建築®」なら隣り合う住戸だけでなく上下の2戸を1戸にするのも窓面を増やしたりするのも容易のはずだ。
これまでの「リファイニング建築®」に関するを記事を添付した。関心のある方は参照していただきたい。「千駄ヶ谷 緑苑ハウス」の記事へのアクセス数は1万件を突破している。少しは普及に貢献しているのではないか。
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分譲マンションにスマートホームサービス「HOMETACT」初導入 三菱地所レジ
左から「ザ・パークハウス 大濠翠景」(福岡県福岡市)「ザ・パークハウス 大手門」(同)「ザ・パークハウス 芝御成門」
三菱地所レジデンスは3月13日、新築分譲マンション「ザ・パークハウス 大濠翠景」(福岡県福岡市)「ザ・パークハウス 大手門」(同)「ザ・パークハウス 芝御成門」(東京都港区)に、同社が開発した開発・提供している総合スマートホームサービス「HOMETACT(ホームタクト)」を導入すると発表した。新築分譲マンションへの「HOMETACT」の導入は今回が初めて。
「HOMETACT」は、スマホアプリやスマートスピーカーを使い、エアコンや照明、カーテンといった複数メーカーの幅広い IoT 機器をまとめてコントロールすることができる。
また、「ザ・パークハウス 芝御成門」では、共用部・専有部ともに DXYZの顔認証セキュリティ「FreeiD(フリード)」を採用するとともに、家庭内でのエネルギー使用量をわかりやすく管理するエネルギーマネジメント機能「HOMETACT Energy Window」の導入、スマート照明と「HOMETACT」を連動させたウェルビーイングな空間の提供も行っていく。
従来のHEMSと一線画す 世界に通用する「HOMETACT」体験施設開設 三菱地所(2023/12/8)
2月の中古マンション 契約件数、単価、価格とも増加 東日本レインズ
東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は3月11日、首都圏の2024年2月の不動産流通市場の動向をまとめ発表。中古マンションの成約件数は3,350件(前年同月比3.4%増)、坪単価は249.22万円(同9.9%増)、価格は4,859万円(同11.5%増)、専有面積は64.34㎡(同1.4%増)となり、成約件数は9か月連続で前年同月を、成約単価は46か月連続、成約価格は45か月連続の増加。
一戸建ての成約件数は1,167件(同10.4%増)、価格は3,895万円(同0.8%増)、土地面積は137.32㎡(同8.5%減)、建物面積は102.28㎡(同1.8%減)となり、成約件数は3か月連続で前年同月を上回った。
価格高騰・専有圧縮に対応 長谷工の新提案採用 総合地所・三交不「マツドリーム」
「マツドリームプロジェクト/ルネまつどみのり台」
総合地所と三交不動産は3月8日、分譲マンション「マツドリームプロジェクト/ルネまつどみのり台」の事前案内会を3月2日から開始したと発表した。長谷工コーポレーションの新しい提案「Be-Fit」を採用しているのが特徴。
「Be-Fit」は、分譲価格が高騰し、専有面積圧縮が進行し設備仕様レベルが退行している現状に対し、収納力を高めるのが狙いの新提案。各住戸の収納を集約し、柱を廊下側に出すことで整形な空間を創出し、棚やボックスなどの位置や高さを調節できる、背面支持金物とビーフィットシェルフを活用することで自由な空間「Fit-Zone」を生み出す。また、テレビ朝日の「art to ART Project」とコラボレーションし、組み立て式の家具により共用施設を整備し、アートなどの展示なども行う。
物件は、新京成線みのり台駅から徒歩10分、松戸市稔台7丁目に位置する12階建て全173戸。専有面積は58.70〜82.75㎡。竣工予定は2026年1月。設計・施工は長谷工コーポレーション。
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価格高騰・設備仕様レベルの退行をどうするかが今のデベロッパー・建設会社の最大の課題の一つだ。その意味で、長谷工コーポの「Be-Fit」には注目しているのだが、これは実物を見ないとどのようなものか分からない。取材を申し込んでいるので実現したらレポートしたい。
坪単価を200万円に抑えられたら売れると思うが、そんなに安くはまずならない。坪225万円、20坪で4,500万円はどうか。もっと高いか。
場所はおおよそ見当がつく。2000年竣工の有楽土地(現・大成有楽不動産)・平和不動産「ティアラシティ」(279戸)の近くだ。このマンションは、イメージキャラクターにオードリー・ヘップバーンが起用された。販売事務所をピンク色に染めたのがまざまざと蘇る。〝ティアラ〟は、ヘップバーンが「ローマの休日」で演じたアン王女が身につけていたティアラから名づけられた。取材したとき頂いたパンフレットを入れる袋、テレホンカードは押し入れのどこかにあるはずだ。