爆発的にヒットするか 長谷工コーポの新提案「Be-Fit」 総合地所「みのり台」公開
「ルネ松戸みのり台(マツドリームPJ)」
総合地所(事業比率非公表)と三交不動産(同)は4月10日、長谷工コーポレーションの新しい間取り提案「Be-Fit」を初採用した「ルネ松戸みのり台(マツドリームPJ)」のメディア向け見学会を行った。価格上昇・専有圧縮が続く中、建築コストを抑制しながら収納スペースを集約し、廊下収納などを提案することで限られた空間を効率的に利用できるようにしている。田の字型プランから脱却し、デッドスペースを生かすアイデアだ。劇的にヒットする可能性を秘めているとみた。販売開始は5月中旬予定。
物件は、新京成線みのり台駅から徒歩10分、松戸市稔台七丁目の準工業地域に位置する12階建て全173戸。専有面積は58.70~82.75㎡、予定価格は3,500万円台~7,200万円台(最多価格帯4,200万円台)、坪単価は230万円の予定。竣工予定は2026年1月。施工は長谷工コーポレーション。
現地は、駅前の商店街、戸建て住宅街を抜けた一角で、従前は聖徳大学学生寮。用途地域は準工業地域だが嫌悪施設はほとんどない。建物はくの字型で、南東向き(85戸)と南西向き(88戸)がほぼ半々。
主な基本性能・設備仕様は、ZEH-M Oriented認定、直床、リビング天井高2550ミリ(階数により異なる)、Low-Eガラス、浴室タオル掛けなど(食洗機、バックカウンター・収納などはアイセルコ対応)。共用施設はワークラウンジ、クリエイティブラウンジなど。
これまで資料請求は約250件、モデルルーム来場者は約60組。来場者の居住地は松戸市内が約80%、年代は30代の第一次取得層が中心。
「Be-Fit」の開発提案を行った総合地所分譲事業部の女性担当者は、「当社など長谷工グループ15名ほどのプロジェクトチームがあり、多様性が謳われる社会の中で、田の字型プランに追加して、お客さまの選択肢を増やす間取りを作りたい、という考え方から『Be-Fit』は誕生しました。モデルルームをオープンしたばかりですが、いい評価をいただいている」などと語った。
「Be-Fit」
モデルルーム
◇ ◆ ◇
20数年前だ。当時、需要を喚起する〝タレントマンション〟が流行しており、大成有楽不動産(当時有楽土地)・平和不動産「ティアラシティ」(279戸)はオードリー・ヘプバーンを起用した。販売事務所からパンフレットの袋にいたるまですべてピンク色に統一され、ヘプバーンのテレホンカードも来場者にプレゼントされた。記者も2枚もらった。その効果は絶大で、駅から10分以上あったにも関わらず人気となった。故人であるため、肖像権は格安だったことを関係者から聞いた。
どうして、ヘプバーンを持ち出したか。今回の分譲マンションは、この「ティアラシティ」に近接しているからだ。現地も見学会前に確認した。準工地域だが嫌悪施設はなく、まずまずの立地だった。ただ、このところ新京成線や東武スカイツリーラインなどでは坪200~250万円の物件がかなり供給されており、販売は容易ではないと判断した。完売まで3年はかかるだろうと考えた。
「Be-Fit」も報道で知っていた。もはや常識の収納を集約した「Large-Storage(ラージ・ストレージ)」や「Out-Frame(アウトフレーム)」が強調されており、その効果は限定的と思っていた。
女性担当者の話を聞き、モデルルームの玄関・廊下の「Fit-Zone」を見てびっくりした。記者は廊下幅をメーターモジュールにすべきというのが持論なのだが、なんと通常の廊下幅930ミリに収納スペース奥行き幅450ミリを足した幅1,380ミリもあるではないか。
「Fit-Zone」の奥行き450ミリの分だけ居室面積は狭くなるが、玄関・廊下の空間は劇的に広くなる。その価値は天井高2100ミリ×幅1365ミリ×奥行き450ミリ=1.29㎥だ。同社の「アイセルコ」も利用できるので、35年ローンで月額601円だ。酒1合より安い。現金で購入することも可能で、その場合は24万円。背面支持金具と棚板は自由自在に移動することができる。女性担当者も「来場者に評価されている」と話した。爆発的にヒットするかもしれない。
似たものでは、ポラスの実用新案取得済みでキッズデザイン賞を受賞した「AKUNDANA(アクンダナ)」がある。これは可動式なので、奥行きはそれほどなく、重いものは置けない。コスモスイニシアもマンションや戸建ての〝魅せる玄関〟に力を入れており、大きな支持を得ている。
現地
問われるメディアリテラシー JKK東京の賃貸「石川台」は「完全禁煙」が人気の要因か
「カーメスト石川台」(JKK東京のホームページから)
4月8日付週刊住宅Web版トップ記事を読んで仰天した。黒地紋・白抜き文字の見出しに「『完全禁煙賃貸』人気/大田区石川町で最高倍率…JKK東京」とあるではないか。
物件は、石川町住宅の建て替え事業として建設された「カーメスト石川台」で、東急池上線石川台駅から徒歩9分、大田区石川町二丁目に位置する4階建てA号棟と3階建てB号棟の2棟構成の全118戸(募集戸数:106戸)。専用面積は34.30~94.09㎡、家賃は119,400~280,900円。抽選は3月12日(どうして記事は1か月遅れなのか)。
4つのこだわりをテーマとしており、「Comfort」ではシャワーブースタイプや多世代家族の同居を想定したコネクティングルーム、「Health」では完全禁煙棟、「Ecology」では太陽光発電設備、「Community」では共用部をそれぞれ整備している。
記事には、「募集戸数106戸に対して1,019件の申し込みが入り、全体平均倍率が9.6倍となった。同物件は2棟構成だが、専有(用の誤り=記者)部分以外を禁煙としたB号棟の平均倍率は6.2倍、専有(用)部分を含め敷地内全体を完全禁煙としたA号棟の平均倍率は12.1倍という結果となり、A号棟の方が好まれた」とある。
喫煙家の記者は、これにはぐうの音も出ない-わけではない。むしろ逆だ。A号棟の倍率がB号棟の2倍になった理由を「完全禁煙」と断定するには根拠が希薄だ。A号棟とB号棟のプランを比較してみた。一目で異なることがわかる。
A号棟は62戸で、内訳は1DK・1LDK20戸、2K7戸、2DK4戸、2LDK14戸、3LDK15戸、2LDK+1DK2戸。B号棟は44戸で、内訳は1DK・1LDK・1DK+S23戸、2K4戸、2DK6戸、2LDK11戸。
A号棟は専用面積50㎡超の2LDK以上が半数を占めるのに対し、B号棟は逆に2LDKは25%しかなく、他は面積が44㎡以下の2DK以下だ。家賃は高くても広めの住戸を希望するファミリー層が多いであろうということは容易に想像がつく。倍率は広めの住戸のほうが総じて高い。「全面禁煙」も物件選考要因の一つかもしれないが、すべてではない。JKK東京のリリースを鵜呑みにした業界紙のリテラシーが問われる。JKK東京もそのようなリリースを発表したのか。
JKK東京にも一言いいたい。民間がペット飼育を禁止しようが、専有・専用部を禁煙にしようが勝手だ。しかし、公共住宅が「受動喫煙防止」のためとして敷地全体、専有・専用部を全面禁煙にし、ペット飼育を禁止するのはいかがなものか。
もう馬鹿馬鹿しくて書きたくなどないが、受動喫煙と発がん発症との因果関係は医学的に証明されていない。国立がん研究センターの「がん発生の要因別PAF」データによると、間接喫煙によるがん発生率は男性0.2%、女性1.2%だ。男性1.9%、女性1.2%の塩分摂取、男性0.8%、女性1.6%の過体重・肥満のほうがリスクは大きい。喫煙、感染性要因、飲酒、その他の要因全てを含めても要因が判明しているのは男性が66.1%、女性が31.2%にしか過ぎない。要するに「日本人のがんの半分以上は原因がわからないまま」(同センター)ということだ。
断っておくが、受動喫煙によるがんの発生・死亡が取るに足りない数字だと言っているのではない。どうして受動喫煙のみをやり玉に挙げるのかということが言いたいのだ。人の嗜好、生き方に土足で踏み込むようなことはやってはならない。
小池都知事は嫌煙家として知られるが、「たばこを吸う人も吸わない人も、誰もが快適に生活できる街づくりというのを目指していきたいと考えております」(平成30年4月20日記者会見)とどう整合するのか。
もう一つ、気になるのはペットの飼育は禁止で、住宅内では小鳥、魚類以外の動物の飼育は不可になっていることだ。これも理解できない。金魚はよくて、カブトムシ、スズムシ、カメなどはどうしてダメなのか。なぜそこまで規制するのか。面積だけでなく窮屈な生活を強いられるから賃貸を脱出し、分譲住宅に向かうのだ。
昨年、JKKの「カーメスト興野町」を取材して、そのレベルの高さに驚き、見直したのだが、下方修正する。お金持ちも貧乏人も、お年寄りも若者も、あらゆる階層の人が住めるようにすべきだ。多様な人が住んでこそ豊かなコミュニティが形成される。
公園隣接 分譲に負けない設備仕様 圧倒的人気 JKK東京「カーメスト興野町」(2023/2/18)
舎人ライナー江北駅13分の賃貸「カーメスト興野町」98戸 申込み倍率8.6倍 JKK東京(2023/2/8)
課題山積、前途多難 道・街に背を向ける建物「FUN MORE TIME SHINJUKU」(2022/11/23)
多様な価値観生かせる多摩ニュータウン 多摩市市制50周年 コンセプトムービー(2022/7/24)
レベル高い 天井高は3.5m コスモスイニシア レンタルオフィス第三弾「武蔵小杉」(2020/7/21)
二・二六事件の日に 社会的弱者=喫煙者に対する全面攻撃「喫煙室」閉鎖!(2020/2/26)
タバコ消費税は税金の三重、四重取りではないか 愛用タバコの総額据え置きには安堵(2019/10/4)
駅へ6分、練馬城址公園(前としまえん)へ5分 1低層の大成有楽「練馬春日町」
「オーベル練馬春日町ヒルズ]
大成有楽不動産が近く分譲開始する「オーベル練馬春日町ヒルズ]を見学した。練馬春日町駅から徒歩6分の第一種低層住居専用地域に位置し、練馬城址公園(「としまえん」跡地)へも徒歩5分。南向き70㎡超のワイドスパンが特徴だ。
物件は、都営大江戸線練馬春日町駅から徒歩6分、練馬区春日町三丁目の第一種低層住居専用地域に位置する敷地面積約2,279㎡、3階建て全31戸。専有面積は68.40~80.07㎡、価格は未定だが、坪単価は300万円台の後半、400万円には届かない模様。竣工予定は2025年1月下旬。設計・監理はアーバンライフ建築事務所。施工は南海辰村建設。販売代理は伊藤忠ハウジング。
現地は、駅からフラットの高台の一角。従前は賃貸マンションで、周辺は低層戸建て・マンション街。2029年度開園予定の練馬城址公園(前豊島園遊園地)には徒歩5分。
建物は3棟構成で、南向き24戸、東向き5戸、西向き2戸。住戸プランは東向きを除きすべて専有面積70㎡超、6,250~6,500ミリのワイドスパンが特徴。
主な基本性能・設備仕様は、リビング天井高2,550ミリ(1階)・2,400ミリ(2・3階)、顔認証、食洗機、O-range LABOなど。
モデルルーム(コンセプトルーム)オープンから5週目で、来場者は60件超。
「OBER LOUNGE(オーベルラウンジ)」
「OBER LOUNGE(オーベルラウンジ)」
「OBER LOUNGE(オーベルラウンジ)」(「練馬春日」のキッチン仕様)
◇ ◆ ◇
都心へのアクセス(新宿まで直通23分、池袋へ21分、渋谷へ33分)の良さを考えたら坪単価は400万円を突破しても不思議でないと考えていたが、同社はファミリー向けとして平均専有面積を70㎡以上確保したことから、単価は抑制気味で300万円台の後半に設定する模様だ。
現地も確認した。閑静な住宅地だ。単価設定にも納得した。価格は8,000万円台の前半に落ち着くのではないか。高台なので南側の眺望も確認したかったが、工事用シートに覆われていたのでできなかった。図面によると、南側の隣地は4m前後低い戸建て住宅街のようだ。
一部完成した練馬城址公園も見学した。「ワーナー ブラザース スタジオツアー東京– メイキング・オブ・ハリー・ポッター」は好きな人にはたまらないのだろう。城址公園も年々成長する。
同社本社1階に先月オープンした「OBER LOUNGE(オーベルラウンジ)」は、天井高が約3m超あり、とても気持ちがいい。コンセプトルームは、都内の坪単価にして500万円前後の物件を想定したもので、全体として設備仕様レベルは高い。今回のような「練馬春日町」レベルの設備も設置している。
現地
一部完成した練馬城址公園(「としまえん」跡地)
駅東側10分、70㎡以上では8年ぶり ポラス「大宮」 坪単価400万円に挑戦
「ルピアコート大宮The VISTA」
ポラスグループ中央住宅は4月4日、大宮駅から徒歩10分圏の平均専有面積70㎡以上としては8年ぶり、同社の大宮駅圏としては5棟目となるマンション「ルピアコート大宮The VISTA」のメディア向けモデルルーム見学会を開催した。専売特許の「ピアキッチン」のテーブル・カウンターに、樹齢350年以上の天然木・ヨーロピアンオーク材を用い、防災の取り組み「マモルピア」を採用しているのが特徴。同社は「価格は未定」としているが、坪単価400万円を超えるかどうかが最大の関心事だ。
物件は、JR大宮駅から徒歩8分、さいたま市大宮区下町2丁目の商業地域に位置する15階建て全56戸(地権者住戸3戸含む)。専有面積は40.00~70.59㎡、価格は未定だが、坪単価は400万円前後になる模様。入居予定は2025年10月下旬。施工は埼玉建興。販売代理は長谷工アーベスト。
現地は、駅東口の氷川参道、大宮区役所・図書館に近接。敷地は東西軸が長いT字形で、住戸は長辺と短辺の結節点に位置し、1フロア4戸の西向き(東側は共用施設、西側は駐車場)。
住戸プランは北西角の70.59㎡の3LDK(13戸)、中住戸の50.40㎡の2LDK(13戸)・66.50㎡の3LDK(14戸)、南西角住戸の3LDK(14戸)が中心。
主な基本性能は、ZEH-M Oriented、二重床・二重天井、リビング天井高2400ミリ、バックカウンター・収納付きピアキッチン(41戸)、食洗機、浴室・シューズインクローク窓付き(一部除く)、浴室タオル掛け2か所、ウルトラファインバブル「やさしい水工房」、実用新案のマイギャラリー、とどかない錠、変身クローク、かくれんBOX、FUTONクローク、まもるんスペースなど。
見学会に臨んだ同社マンションディビジョン部長・中島教介氏は、「都心部では価格高騰が続き、郊外部でも少しずつ上昇しているが、駅力の弱い物件は苦戦するケースもある。また、グロスを抑制するため専有圧縮型も増加しているが、当社は長く住み続けられるようファミリータイプはピアキッチンを標準装備とし、70㎡を確保するよう差別化を図っており、ブランド力も浸透している。今後は、用地取得から分譲開始までの期間を7か月くらいにし、建築費を抑制するため支持層が強固な都内西側でも展開していく。今回の物件は『大宮駅圏』としては5物件目。価格は未定だが、最近の『浦和』の坪383万円、『大宮』の坪370万円を超える高値にチャレンジする。ハード・ソフト両面で防災・減災に取り組む『マモルピア』も装備した」などと坪単価400万円を匂わせた。
販売担当の長谷工アーベスト担当者は、1月からの反響数は700組、3月30日からオープンしたモデルルームは4月中旬まで100組の予約が入っていると話した。居住地、年齢とも幅広い支持を得ており、5月中旬に分譲する第1期は即日完売を目指すという。
ピアキッチン
ピアキッチン
ピアキッチン
中島氏
◇ ◆ ◇
〝売り〟の一つである、全住戸の77%(41戸)に標準装備しているピアキッチンについて。これまでは集成材たったのを、ドイツ産の樹齢350年超の無垢のヨーロピアンオークを今回初めて採用したという。寸法は、キッチンカウンター部分が2400×350ミリ、テーブル部分が850×1500ミリ。厚さはいずれも50ミリ。新木場の老舗・東京木材企業から特注で仕入れたという。
料亭などでよく目にするものだ。「100万円はしないはず」と質問したら「いい線」とのことだ。このピアキッチンとバックカウンター・収納を合わせたら価格は百数十万円で収まるかどうか。これだけで20坪にしたら単価を7~8万円アップさせる要因となるが、設備仕様レベルを落とし、オプションにするよりは良心的だ。(軽くて傷もつきにくいナイスの「Gywood®」もいい。提携を申し込むべき)
坪単価について。正直に言って高いと思う。しかし、浦和駅東口駅前の再開発マンションは坪500万円をはるかに突破するはずだ。これと単純比較はできないが、駅力などを考慮すると大宮で坪400万円はありうる単価だと思う。第1期の即日完売を狙うというが、戸数は何戸になるのか。
些細なことだが、モデルルームの観葉植物はほとんどが本物。こうした仕掛けがじわじわと浸透し、ブランド力を高める。
1階共用部
Low-Eの効果体験じわじわと浸透する〝まじめな〟取り組みポラス「大宮」(2023/4/22)
〝駅近〟の半値か6掛け駅徒歩22分(徒歩2分バス約11分)大成有楽不「大宮」 (2024/2/9)
免震再開発マンション全216戸 1年半で完売 フージャース・日本エスコン「いわき」
「ミッドタワーいわき」
日本エスコンは4月3日、福島県いわき市駅前の免震再開発マンション「ミッドタワーいわき」(216戸、権利者住戸10戸含む)が4月1日までに全戸完売したと発表した。
物件は、JR常磐線・磐越東線いわき駅から徒歩3分、いわき市並木の杜に位置する21階建て全216戸(権利者住戸10戸含む)。専有面積は62.89~131.57㎡。価格は3,500万円台~12,000万円台。駐車場は自走式222台。設計・監理は熊谷組、UG都市建築。施工は熊谷組・加地和組・堀江工業特定建設工事共同企業体。入居予定は2024年12月下旬。売主は同社(事業比率49%)のほかフージャースコーポレーション(同51%)。
「いわき駅並木通り地区第一種市街地再開発事業」(並木の杜シティ)の住宅棟として2022年秋、分譲開始された。
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このマンションは、販売開始前の記者見学会で取材している。いわき駅圏の一等地だ。坪単価は聞いていたが、「書かないで」という約束だったので書かなかった。坪200万円の前半、210万円くらいではなかったか。
いまではありえない単価だが、当時としてはそんなに安いとは思わなかった。それが1年半で完売とは。凄い数字だ。
シニア層もターゲットいわき駅前の免震再開発フージャースコーポ・日本エスコン(2022/9/17)
マンション管理適正評価 ★5つは11%のプレミアム 横浜市立大・齊藤教授らが報告
マンション管理業協会(理事長:高松茂・三井不動産レジデンシャルサービス会長)は4月2日、マンション管理適正評価制度の登録マンションのデータを解析した結果を横浜市立大学(国際教養学部・齊藤広子教授)、同大(データサイエンス学部・鈴木雅智准教授)が2024年3月21日に開催された戦略的都市づくり研究会公開シンポジウム「持続可能な郊外地域づくり」で報告したと発表した。
横浜市立大学による調査分析は、同協会のマンション管理適正評価制度に登録があるマンションと国土交通省公表の不動産取引情報とをマッチングさせ、登録があるマンションとそうでないマンションとを比較し、市場で価格に与える影響を紹介したもの。
それによると、同制度で総合評価水準が★3以上の場合、評価を取得していない物件と比べ価格は高いとし、★5のマンションの場合、11%の価格プレミアムが生じていることが確認できたとしている。
◇ ◆ ◇
マンション管理協のリリースからはシンポジウムの詳細は分からないが、★5つのマンションが市場価格より11%プレミアムが生じているというのはよく分かる。記者が期待していた通りの結果が出たようだ。レインズのデータによると、今年2月の首都圏中古マンションの平均成約価格は4,859万円(専有面積64.34㎡)だ。これと単純比較はできないにしろ、プラス11%といえば5,393万円になる。ものすごい数字だ。
この点について、記者は先月14日に行われたマンション管理協の記者懇親会で、登録件数は2024年2月末で3,336件に達しているのだから★5つや4つのマンションは相場と比べて高く売れるとか、売り出しから成約時までの期間が短くなったとかのデータを公表すべきと質問したが、管理協はデータ数が少なくて公表できる段階ではないと答えている。
齊藤教授などはどうして調べたのか。n値も公表して欲しい。登録不動産業者のみが閲覧できるレインズデータを一般に開放すべきだと思う。そうすれば一発で調べられる。⇒マンション管理協に問い合わせたら、管理協の登録物件と国交省の取引情報をマッチングさせた結果、首都圏(1都3県)で427棟2,567戸のデータを分析することができたとのことだった。嬉しいのは★3つでも基準値を上回っているとのことだ。同制度が加速度的に普及することに期待したい。齊藤氏と鈴木氏にもエールを送りたい。
〝劣等生〟の管理組合&管理会社も積極登録目指せマンション適正管理評価制度(2024/3/16)
長期優良、ZEHに★3つの「みどり」 住友不・長谷工の建て替え「多摩川」900戸
「シティテラス多摩川」
住友不動産・長谷工コーポレーションが分譲中の建て替え「シティテラス多摩川」を見学した。全体で約49ha、賃貸・分譲合わせ約3,900戸の住宅団地「多摩川住宅」の再生を図るプロジェクトの先陣を切るもの。長期優良、ZEH、CASBEE、緑環境などで高い評価を受けているのが特徴で、同社が現在分譲している都内マンションの〝最安値〟の物件でもある。分譲は始まったばかりだが、まずまずのスタートを切った。
物件は、京王線調布駅からバス13分、バス停から徒歩4~6分(小田急線狛江駅からバス9分、徒歩4~5分)、調布市染地三丁目の第一種中高層住居専用地域(建ぺい率60%、容積率200%)に位置する敷地面積約37,638㎡、12階建て10棟全900戸(非分譲住戸244戸含む)。専有面積は30.68~87.01㎡。先着順で販売中の住戸(17戸)の専有面積は55.57~82.62㎡、価格は4,200万円~7,200万円。坪単価は250万円。完成予定はⅠ工区:2024年12月上旬、Ⅱ工区:2025年10月上旬。設計・施工は長谷工コーポレーション。
主な基本性能・設備仕様は、長期優良住宅認定、ZEH-M Oriented認定、直床、リビング天井高2500ミリ(4階までは2550ミリ)、御影石キッチン天板、ミストサウナ、Low-Eガラス(廊下側)など。共用施設はオープンラウンジ、キッズルーム、ゲストルームなど。
これまでの反響数は1,200~1,300件、モデルルーム来場者は約300件。1月から販売開始しており、これまで約100戸を成約。同社販売担当者は、調布、狛江駅からのバス便だが、住環境、居住環境がいいこと、リモートワークが定着し、都心へのアクセスもよいことからファミリー、プレファミリーのほか近隣の高齢者などからも幅広い支持を受けていると話した。坪単価は同社が現在分譲中の都内物件では〝最安値〟だという。
「多摩川住宅」は、東京都調布市と狛江市にまたがる約48.9ha(調布市約32.9ha・狛江市約16.0ha)のエリアに、東京都住宅供給公社によって賃貸住宅(1,826戸)と分譲住宅(2,048戸)の3,878戸のほか商業施設、幼稚園、小・中学校などの生活利便施設が整備された1968年竣工の大規模住宅団地。当時、モデル団地として話題になった。
建物の老朽化が進んだことから2007年に「多摩川住宅まちづくり協議会」が結成され、2017年、調布市・狛江市は地区の地区計画を決定。全体を生活拠点地区、住宅福祉複合地区、住宅再生地区(A地区・B地区)、住宅再生促進地区、住宅公益複合地区、公共公益地区に分け、12の地区計画が定められている。建て替えは「住宅再生地区」計画に沿って行われるもので、両社は事業協力者として2015年11月に選定された。
隣接地の狛江市側では、積水ハウス、小田急不動産、長谷工コーポレーションの3社が参加組合員として事業参画している「多摩川住宅ニ棟団地マンション建替事業」1,217戸(分譲戸数未定)が進行しており、2024年度内に着工される予定。このほか12ある計画のうち、調布市内に位置する約820戸の「イ」号棟、約1,400戸の東京都供給公社の賃貸住宅「ロ」・「ハ」号棟は現段階で具体的な建て替え案は決まっていない。
多摩川住宅(建て替え工事前)
◇ ◆ ◇
記者は、結婚したときに調布に住み、それ以降今日までずっと京王線沿線に住んでいる京王線ファンで、同社には貸し借りなど一銭もないが、取材をセットしてもらった女性広報担当者の名前を聞くと年甲斐もなく胸がキュンとなり、彼女が眉をしかめるような記事は書けない。マンション購入検討者の方は、このことを念頭に置いて、以下の記事は多少割り引いて読んでいただきたい。
京王線沿線に住んで40年以上が経過する。見学すべき沿線のマンションはほとんど観ている。数にして数十物件をくだらない。従前の「多摩川住宅」も何度か訪れている。団地が完成してから56年。建物の老朽化、間取りの陳腐化は避けられないが、樹木は年を経るごとに成長し続けている。ケヤキを中心とする保存樹木は調布市、狛江市双方で数十本はあるはずだ。多摩川もすぐそばだ。緑環境・住環境は申し分ない。地区計画の目標でも「豊かに育った街路樹等を活かして,景観性及び機能性を備えた快適な歩行者空間ネットワークの形成を図る」と明記されている。
この緑環境についてもう少し触れる。2005年(平成17年)10月、住宅用途の床面積が2,000㎡以上の建築物(分譲又は賃貸マンション)を対象とした東京都マンション環境性能評価制度がスタートした。「建物の断熱性」「設備の省エネ性」「再エネ設備・電気」「維持管理・劣化対策」「みどり」の5つの環境性能をそれぞれ★1~3個(満点は★15個)で広告に表示を義務付けているものだ。これまで認定を受けた分譲マンションは845件、このうち「みどり」で★3つを獲得しているものは186件だ。都内では年間1,000物件くらい供給されているはずで、認定を受けている物件比率は4.2%、「みどり」★3つの比率は0.9%だ。調布・狛江市内に限定すると、「みどり」★3つは8件しかなく、うち「多摩川」が7件を占めている。(認定物件は棟数でカウントされているので、物件比率にするともっと低くなる)
ちなみに、先の5項目すべて★3つ(15点満点)のマンションは9物件しかない。そのうち一物件は同社が事業参画した「武蔵小山パルム駅前地区第一種市街地再開発事業」だ。
同社を含めたマンションデベロッパーは、高さが日本一だとか規模が最大だとか駅距離が近いとかなどを最大の売りにして宣伝するが、この「みどり」の価値についてもしっかり伝えるべきだと思う。欧米では、街路樹などが果たしている役割・価値を金額に換算する樹木による生態系サービス評価ツール「i-Tree」が普及していると聞く。わが国も導入すべきだ。
このように考えると、今回の物件の現段階での坪単価250万円は妥当どころか割安感がある。ディスポーザーは付いておらず食洗機はオプション、浴室タオル掛けは1か所などにはやや驚いたが、このレベルが当たり前になりつつあるということだ。このところ供給が目立つ東武野田線(東武アーバンパークライン)でも駅に近い物件の坪単価は250万円になっている(同社の女性広報担当はこの東武野田線を知らなかった)。バス利用を含めて新宿まで30分圏内の「調布」と、都心まで1時間はかかる野田線がどうして等価なのか。
積水ハウスなどがいつ分譲するか分からないが、記者は坪300万円超もありうるとみている。10月に完成販売される小田急不動産の調布駅近マンションは坪450万円くらいになるのではないか。「多摩川」は半値に近い。多摩川住宅はバス便だが、通勤時は1時間に7~8本運行されている。渋滞も少ないはずだ。
建築現場
爛漫の春 咲き乱れるハナニラ
「多摩川住宅ニ棟団地マンション建替事業」(これから解体工事が始まる)
◇ ◆ ◇
記者の昼食(隠れているのは2個入りカツサンド)
現地取材を終えたのが午後3時過ぎ。何か食べようと思ったが、飲食店はなし。マンションの建築現場に近い「CO-OP」では店内で買ったものを食べられると聞いたので利用した。酒もたばこも不可だったので、スタッフの了解を得てノンアルコールの白ワインを水代わりに飲んだ。
すると、別の女性スタッフから声をかけられた。「お客さん、上の者に確認しましたら、嗜好品(酒肴品と聞こえたが)のノンアルコールも酒扱いでして…もう飲まれているので今回は結構ですが、お子さんもいますし…次回以降はよろしくお願いします」と言われた。つまり、ノンアルコールはダメだと。
スーパーで食事をしたのは初めてだった。ノンアルコールも酒扱いとはこれまた初めて。嗜好品の定義はよく分からないが、品名を確認した。「21%ぶどう果汁入り飲料」とあった。隣の小さい子どもとお母さんらしき女性が飲んでいたジュースと変わらないのではないか。子どもに見せたくないのは、雑草を紙コップに活け、ビニールに包まれたトマトを食べる風変わりな枯れ木のような小生を指すのか。
トマトが好きなので、調布市産のトマトも買って食べた。アメーラほどではないが、美味しかった。
積水ハウス・小田急不・長谷工コーポ多摩川住宅ニ号棟建て替えへ(2023/8/7)
長期優良、ZEH、CASBEE…レベル高いはず住友不&長谷工「多摩川住宅」着工(2022/9/2)
大成有楽不動産 富裕層向け賃貸マンションブランド「UNUS.」(ウヌス)立ち上げ
「UNUS.」ブランド メインビジュアル
大成有楽不動産は3月28日、富裕層向け高級賃貸マンションの新ブランド「UNUS.」(ウヌス)を立ち上げたと発表。現在、第一弾物件「UNUS.白金長者丸」(16戸)を建設中で、今後も「UNUS.」ブランドにふさわしい都心立地での取り組みを検討していく。
「UNUS」は、「ひとつの」「唯一の」意味を持つラテン語。ブランドコンセプトは「普通じゃない、ちょっと特別な日常。」
同社は2014年、新築賃貸マンションシリーズ「TERRACE(テラス)」を、2020 年に既存賃貸マンションシリーズ「ReTERRACE(リテラス)」を立ち上げ、TERRACE シリーズはこれまで22物件・1,064戸を供給している。
2024年3月期引き渡し696戸全て完売 来期進捗も80% 大和地所レジ デンス
大和地所レジデンスは3月27日、2024年3月期に完成したマンション9物件696戸が全戸完売、全て引渡しを終え、来期(2025年3月期)完成を予定しているマンションの契約は、80%進捗していると発表した。
また、2023年は、首都圏で1,068戸のマンションを発売し、新築分譲マンション供給ランキングで第6位となった。主な供給物件は、設立30周年プロジェクトの「ヴェレーナグラン北赤羽(総戸数318戸)」や「ヴェレーナグラン菊名の杜(総戸数125戸)」など。
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これほど供給して完成在庫を出さないのは同社くらいだろう。オープンエアリビング・バルコニー、メーターモジュール廊下、御影石キッチン・洗面カウンター、ミストサウナ、スロップシンクなどの標準装備が他社を圧倒している。
RCと木造の住み心地比較を 東急不&三井ホーム 混構造学生マンション「生田」
「キャンパスヴィレッジ生田」
東急不動産、三井ホーム、学生情報センターは3月26日、2層RC造と4層木造の混構造の学生レジデンス「キャンパスヴィレッジ生田」が竣工したのに伴うメディア向け見学会を行った。家具家電付きで、「ZEH-M Oriented」を取得しているのが特徴。専用部の内観はほとんど同じだが、RC造と木造とで住み心地は変わるのか変わらないのか注目される。
物件は、小田急線生田駅から徒歩9分、川崎市多摩区三田四丁目に位置する敷地面積約1,5511㎡、6階建て(1~2階:RC造、3~6階:木造枠組壁工法)延べ床面積約3,197㎡130室。専用面積は15.87~16.71㎡、月額賃料は56,500~70,000円。1~4階は男性、女性の区別はなく、5階以上は女性専用フロア。食費(任意)は25,300円。建築主は東急不動産、設計・施工は三井ホーム、管理運営は学生情報センター。工期は2022年12月着工~2024年3月竣工。
内外観に木を多用しているのが特徴で、エントランスや共用スペースの壁面に天然木をランダムに張り付けたデザインを施し、キッチンと一体となったダイニングテーブル、ソファ、ベンチなども木調で統一。居室番号板、EV・CVCAFEサインには東急リゾートタウン蓼科で伐採されたカラマツを活用。共用部置き家具(アクタス)も使用後は廃棄物にしない仕組みを導入している。
エリア内に存在する明治大学、専修大学などの学生の入居を想定しており、2年後の満室を目指す。
東急不動産の学生レジデンス「CAMPUS VILLAGE(キャンパスヴィレッジ)」としては23棟目で、木造を採用するのは今回が初めて。脱炭素社会の実現に向けた取り組みの一つで、同社は着工ベースで2025年度以降に開発する学生レジデンス「CAMPUS VILLAGE(キャンパスヴィレッジ)」シリーズはすべてZEH水準にするとしている。
施工を担当した三井ホームとしては、木造マンション「MOCXION」の 6階建ては同社初で、スギの木1,526本分(炭素貯蔵量 771t-CO₂)に相当する炭素を固定化し、「ZEH-M Oriented」を取得。天然木や木調のデザインを豊富に採用しており、木のぬくもりを感じられる空間設計としている。
RC(左)と木造
部屋番号サイン
1階共用部分
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賃料が1階と最上階では1万円近く差があるのは理解できるのだが、どうして5~6階が女性専用なのかはよく分からない(親の気持ちはよく分かる)。
そんなことより、記者が注目したいのはRCと木造の部屋とでは住み心地が同じなのか異なるかだ。混構造だからよりはっきり分かるはずだ。三井ホーム担当者は「可能であれば入居者アンケートを実施し、結果を公表したい」と語ったが、実現するかどうか。メディアを含めて関係者はコストの話をするが、環境負荷、住み心地の価値を金額に換算したら木造がいいに決まっているが…。
今回の物件でも明らかに異なるのは居室内の柱・梁型だ。間取り図でもそれは確認できる。ところが、専用面積を調べたら逆だった。面積は壁芯で計算するのでRCも木造も同じはずだが、例えばRCの1~2階は16.03㎡なのに対して3~6階は15.87㎡だった。その差0.16㎡。どうして木造のほうが狭いのか聞いたら、メーターボックスは木造のほうが0.09㎡だけ広いことなどによるとのことだった(メーターボックスは専用面積に入らないはずだが…些細なことなのでそれ以上聞かなかった)。