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 三菱地所グループは、2030年を目標に「長期経営計画2030」を策定し、事業を推進している。時代の変化をチャンスに変えていく企業グループへの変革を目指しており、新しい領域にも積極的にチャレンジしている。

 新型コロナウイルス感染症の継続的な流行による環境の変化は激しく、これまでの成功体験が役に立たない時代になった。新入社員の皆さんにはこれから様々なことを学んでいただくが、基礎が分からないから意見を言っていけないということはない。チームの中で様々な視点を持って遠慮なく発言し、議論を深めて、より良い価値を世の中に提供していただきたい。

 まちづくりは、100年後を見据えた長期的な視点が必要となる。まちを利用するお客様や働く方々といった様々なステークホルダーと連携しながら、サステナブルにまちを育てていくという観点が欠かせない。また、仕事をするうえでは「誠実・信頼」を常に念頭においてほしい。


 

 

 新型コロナウイルスの感染拡大やウクライナ問題など、私たちを取り巻く環境は先行きが読みづらい状況になっています。これまで、日本経済は長い間、物の価値が上がらないデフレの時代でしたが、昨今の原材料高などの状況を見るとインフレ傾向になってきています。住宅業界にもこの傾向はすでに表れており、今後、局面ごとに難しい判断に迫られることも想定されます。是非、新入社員の皆さんと一緒に様々な難局を臨機応変に乗り越えていきたいと思います。
 社会人となった皆さんには、自己投資をお願いします。特に新聞の購読と資格取得とお願いします。新聞は、自分が興味のない分野でも俯瞰的に紙面を見ることで、時代背景が理解できたり、一見関係がないように見える記事でも繋がっていることに気が付いたり、仕事に直結することがあります。資格取得は業界の知識やルール、法律を学ぶことができ、プロとしての知識と知恵と力量を身に付けることができます。
 今日から、皆さんが社会人として世の中の役に立つ本番がスタートしました。採用選考の過程において、ポラスグループで頑張れる、プロとして活躍できると判断した方々を採用させていただいておりますので、今後大きく成長する皆さんと一緒に仕事をすることを楽しみにしています。そして会社だけでなく皆さん一人一人が各分野で成功されることを期待しております。

 

【最高の価値を提供してきた60年】

 新入社員の皆さん、本日は入社おめでとうございます。

さて、皆さんは本日から社会人となったわけですが、社会人になるということはどのようなことでしょうか。
 皆さんは今まで学生として様々なことを学び、体験して社会人になる準備をされてきたと思いますが、学生の時と違い社会人になるということは、世の中に対してある価値を提供する立場になったということです。
 価値というのは様々な価値がありますが、皆さんが積水ハウスグループに入社されたということは、積水ハウスのブランドや技術、先輩達が構築してきた顧客基盤などを活用してお客様に対して価値を提供していく、そういう立場になられたのだと考えています。そして、これから皆さんと一緒に多くの価値を世の中に提供していきたいと思います。
 当社は戦後の高度経済成長期に入った1960年に創業しました。当時はまだ非常に住宅難であり、それを救いたいということで工業化住宅にチャレンジすべく創業した会社です。創業から30年間である第1フェーズの1960年~1990年では、耐震性能や防火性能、耐風圧性能、耐衝撃性能のような住まい手の命と財産をいかに守るか、そういう研究を重ね提供してきました。1990年~2020年までの第2フェーズでは「快適性」を提供してきました。
 断熱性能や、お年寄りからお子様までに優しいバリアフリー、ユニバーサルデザインの研究などです。特に断熱性能に関しては進化を続けた結果、世界最多のネット・ゼロ・エネルギー・ハウスの販売実績に繋がり、これが第2フェーズ30 年間の功績になりました。
【これからの30年ビジョン “「わが家」を世界一幸せな場所にする。”】
 そして2020年から第3フェーズが始まっています。第3フェーズからのグローバルビジョンとして“「わが家」を世界一幸せな場所にする”を掲げ、「幸せ」を提供していこうと考えています。
 グローバルビジョンでは、サブビジョンの一つとして「ハード・ソフト・サービスを融合し幸せを提案」することを掲げています。「ハード」は断熱性能や耐震性で、「ソフト」では生活提案を進めています。
 今好評なのが、「Family Suite」という大空間リビングでの新しい家族の住まい方提案で、住まい方に共感をいただいた多くのお客様に採用いただいています。「サービス」は幸せに資するサービスを考えており、幸せを「健康」と「つながり」と「学び」の3つに因数分解しています。
 これらのサービスを提供する「プラットフォームハウス構想」では、中でも健康が重要と考え、住宅内の非接触のセンシング技術により脳卒中や心筋梗塞を早期発見し、急性疾患から救う「HED-Net」の研究を進めています。
 このような健康に関するサービスを住宅業界としても積極的に提供していきたいと考えています。
【キーワードは「イノベーション&コミュニケーション」】
 このような第3フェーズの価値提供へ向けての社内のキーワードは「イノベーション&コミュニケーション」です。
 住宅を通じてお客様にどのように「幸せ」を提供していくのかというアイデアを常に考えていれば、イノベーションは起こるのではないでしょうか。皆さんのアイデアをコミュニケーションとりながらブラッシュアップしていくと、それが一つの事業になる可能性もあります。どのような「ハード」「ソフト」「サービス」を提案していくべきなのか、皆さんにも積極的にアイデアを出してイノベーションを起こしてほしいと思います。

 今年から新たな人事制度もスタートします。年功序列ではなく価値を提供するスキル、ノウハウ、経験によって評価が反映される当社独自のオリジナルな人事制度です。住宅業界では、建築、不動産法規や、ファイナンシャルに加え「ソフト」や「サービス」に関することまで非常に多岐に渡る勉強と知識が必要になります。新たな価値の提供に向けてこれから一つひとつスキルを積み重ねていただければと思います。
 最後になりますが、お客様に幸せを提供するためには、まず皆さんが幸せになっていただきたいと思います。
 皆さん自身が自律的にキャリアを伸ばし、スキルを高めていくことが重要です。“「わが家」を世界一幸せな場所にする”の実現に向けて一緒に頑張っていきましょう。

 

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「エクセレント ザ タワー」(右側は新日本建設の14階建て賃貸棟)

 新日本建設など5社JVの「エクセレント ザ タワー」(397戸)を見学した。千葉駅の中心市街地の千葉パルコ跡地に建設中の31階建て商・住一体再開発マンションで、第1期1次100戸が即日完売するなど人気を呼んでいる。坪単価は270万円。全国に20ある政令指定都市の中では最安値圏レベルだ。

 物件は、JR千葉駅から徒歩9分、千葉都市モノレール1号線葭川公園駅から徒歩2分、千葉市中央区中央二丁目の商業地域(許容建ぺい率80%、許容容積率800%)に位置する敷地面積約3,877㎡の31階建て全397戸(事業協力者住戸6戸含む)。4月中旬に分譲予定の第2期(戸数未定)の専有面積は32.44~100.84㎡、予定価格は2,800万円台~1億500万円台(最多価格帯4,900万円台)。坪単価は270万円。建物竣工予定は2023年12月中旬。売主は同社(事業比率60%)のほか中央日本土地建物(同15%)、あなぶきホームライフ(同10%)、長谷工コーポレーション(同10%)、東方地所(同5%)。設計・施工・監理は長谷工コーポレーション。販売代理は長谷工アーベスト。

 モデルルームオープンは1月中旬。これまで約600組の来場者があり、うち15~18%は都内居住者。都内居住者は、価格・単価が安い前建がある東向き・西向き下層階住戸を希望する人が多いという。3月上旬に分譲開始した第1期1次100戸は最高15倍で即日完売している。

 現地は、銀行や文化センター、美術館などが建ち並ぶ千葉駅の中心市街地の一角。敷地は2016年に閉店した千葉パルコ跡地。道路を挟んだ北側は中央公園と三井ガーデンホテル。

 建物は1~2階が店舗など、3階がエントランス、ガーデンテラスのほか各種の共用施設。住戸は4階から。主な基本性能・設備仕様は、制震構造、二重床・二重天井、リビング天井高2450ミリ(1LDK住戸)・2650ミリ(4~29階の標準階)・2800ミリ(30・31階プレミアム住戸)、ディスポーザー、食洗機、オートロック顔認証、浴室タオル掛け2か所など。共用施設としてパーティルーム、キッズルーム、ライブラリー、フィットネスルーム、ゲストルーム(2戸)など。

 同社マンション販売部マンション販売第二部理事部長・田中正宣氏は、「『エクセレント』の冠付きでは当社最大規模。売りづらいと考えていた前建・下層階住戸は投資目的で購入される方が多く、坪単価360万円の100㎡も4倍の倍率が付きました。8戸ある億ションはまもなく販売終了します。竣工する2023年12月までに売り切るのが目標。在庫を残さないのは当社の基本姿勢。施工を長谷工さんにお願いしたのは、建設コストを抑制し、かつ設備仕様レベルを当社基準にするため」と話した。

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モデルルーム

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 坪単価は270~280万円くらいになりそうなのを事前に聞いており、モデルルームを見学する前までは〝質〟が心配だったが、72㎡のモデルルームはこの単価水準では間違いなく上位だ。標準階のリビング・居室天井高が2650ミリというのが何よりもいい。28戸ある北向きの32㎡の1LDKタイプでも床暖房、食洗機、三ツ口コンロ付き。浴室タオル掛け2か所は同社の標準装備だそうだ。

 売れ行きに関連するので、同社の業績について少し触れる。2021年3月期決算は売上高1,017億円(前期比9.6%減)、営業利益139億円(同4.1%減)、経常利益139億円(同4.6%減)、純利益96億円(同8.6%減)。このうちマンションなどの開発事業は売上高452億円、営業利益83億円(セグメント利益率18.4%)となっており、利益率は他のデベロッパーと比較してトップクラスだ。

 また、マーキュリーリアルテックイノベーター調査によると、2021年の首都圏マンションランキングで、同社は事業主別で第4位の1,153戸だ。地盤とする千葉県に限れば、事業主別でトップの695戸になっており、2位・三井不動産レジデンシャルの435戸以下を引き離している。

 特筆できるのは、これほど多く供給しても同社は「完成在庫は毎期ほとんどゼロ」(田中氏)ということだ。供給量が多いデベロッパーで完成在庫が極端に少ないのは三井不動産レジデンシャルや東京建物のほかモリモト、大和地所レジデンス、ポラス中央住宅くらいしか記者は知らない。

 これが高い利益率を確保できている要因の一つで、地域を熟知した仕入れ-企画-設計・施工-分譲-管理までの「自社製販一貫責任体制」が奏功していると見た。今回の「エクセレント ザ タワー」の施工は自社ではなく、長谷工コーポとし、しかも設備仕様などは長谷工コーポの「アイセルコ」ではなく自前で調達していることにもそれは読み取れる。

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タオル掛けはちゃんと2か所についていた

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建設現地(中央公園から写す。右後方はオリックス不動産が分譲したマンション)

 

 

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 千葉駅前では、千葉駅前大通りに面した三越千葉店跡の再開発事業も進んでいるようだ。敷地面積は約3,804㎡で、23階建てマンション491戸と看板にはあった。施工はファーストコーポレーションで、デベロッパーは東京建物、野村不動産、中央住宅。

 いつ分譲されるか分からないが、立地条件からしてこちらは坪単価300万円を突破するのではないか。

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三越千葉店跡地の再開発マンション建設現地

 

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 取材を終えたのは昼頃だった。一服しようと現地に隣接する三井ガーデンホテルに立ち寄った。喫煙もアルコールも不可だったので、喫煙室もあるダイワロイネットホテル千葉駅前の1階のレストランに入り、白のグラスワインを注文した。今まで飲んだことのないかなり渋みが強い味がした。

 吃驚したのは値段だった。消費税込みで何と286円。マンション相場は都内より2~3割安い千葉と関係があるのかどうかは不明。

坪300万円の壁厚く…駅2分のマリモ「千葉駅前」はいくらか 競合物件は早期完売狙う(2022/1/17)

 


 

 

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お猪口に活けた春爛漫のハナニラ

りそな銀行は317日、Zoomによるオンラインセミナー「『リファイニング建築』による環境への貢献と物件価値の向上~SDGs意識向上に伴う不動産の在り方の変化~」を開催した。

セミナーは2部制で、1部では大和不動産鑑定・竹内一雅氏が「不動産マーケット~コロナ期の不動産市況とSDGs意識の高まり~」と題する講演を行い、わが国の不動産投資マーケットのほか、新築マンション市場、中古住宅市場、オフィス市場、消費動向などについて話した。

2部では、「リファイニング建築」の発案者である建築家の青木茂建築工房 代表取締役・青木茂氏が「リファイニング建築が社会を変える」をテーマに、1時間近くにわたって具体的な事例を画像を示しながら熱弁を揮った。

りそな銀行 不動産コンサルティング部部長・浦井英文氏は「りそなホールディングスは2030SDGs達成に向けたコミットメントを決定し、環境不動産への関心の高まりを受け、当行も企業価値の向上に貢献すべくCASBEEZEBZEHの普及促進のコンサルティングに力を入れている。一級建築士も複数在職しており、ファンドの組成も検討している」と挨拶した。

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 セミナーは「視聴」以外の利用は許可されておらず、同行と青木先生にお願いして、記事化することの了承を得た。同行と青木先生に感謝申し上げる。

さて、今回のセミナーで青木先生が事例として紹介した建築物は数十物件にも上る。どれも素晴らしいプロジェクトばかりだ。一つひとつ紹介しきれない。敢えて一つ選ぶとすれば、青木先生が「地域リファイン構想」と名付けた地域の6つの建築物を3期に分けてリファイニングした「光第六ビル」(福岡県大野城市)だ。このプロジェクトは、今日的課題である地域全体の活性化、ポテンシャル向上に寄与する。関係者が連携してこの種のプロジェクトに取り組んでほしい。

この「光第六ビル」を含め、セミナーの模様を同行は3月末にもネットで公開するそうだから、詳細は同行に聞いていただきたい。記者の記事は「RBA 青木茂」で検索したら33件ヒットした。こちらも文末に添付する。以下、記者と「リファイニング建築」とのかかわりについて参考までに紹介する。

 青木先生の「リファイニング建築」は2013年の「緑苑ハウス」の建築現場見学会が最初だった。見学者はデベロッパーが実施するマンション見学会の10倍以上に達したのにびっくりしたのだが、リフォームとかリノベーションとは似て非なる手法に唖然茫然、驚愕した。明治の伝説的画家「青木繁」と重ね合わせた。(その後分かったのだが、青木繁は福岡県、青木先生は大分県出身)

 これがきっかけに病みつきになり、首都圏で実施された見学会、講演などはほとんど取材し、記事化してきた。

 いま調べてみたら、最初の「千駄ヶ谷のリファイニング建築に見学者300人」の記事には約3,500件、翌年の「リファイニング建築のすごさを見た 『千駄ヶ谷 緑苑ハウス』完成」の記事には約7,900件のアクセスがあった。双方で約11,000件だ。これほどのアクセス数があるのは年に1,2本しないはずだ。

 このアクセス数だけで「リファイニング建築」の凄さが読者の皆さんにも分かっていただけるはずだ。言うまでもなく、多少は私見を交えたが、記者は見学会などの模様を客観的に伝えてきた。

 今回の講演で初めて知ったことを12つ紹介する。青木先生の自宅は「YSビル」(既知)だが、「Y」は奥さんの「YOKO」で、「S」はご自身の「SHIGERU」だと話し、「力関係を示す」と明かした。「Y」と「S」を前後することでどれほどの差があるのか。天と地ほどか、ただのつがいの鴉ほどか、聞きたかった(セミナーは質疑応答はなし)。

もう一つ。ウェビナー用の説明資料全320ページの最後の1ページには「母の家」とだけ記されていた。先生曰く。「建築は、愛する人のためにつくる。これが長寿命化につながる」と。簡にして要を得るとはこのことをいう。

 「母」といえば、記者はゴーゴリ―の「母」を思い出す。「戦艦ポチョムキン」と並び称されるソビエトの反戦映画にもなった。ラストシーンの絶望の中にも平和な明日を希求する母の毅然とした顔が蘇ってくる。プーチンさんも読み、観ているはずだが…。

世界へ 建築業界に新風 青木茂リファイニング×服部夏子アート 「信濃町」見学会(2021/10/8)

デザイン一新 藤沢翔陵高/不可解 防衛省補助金 青木茂建築工房リファイニングPJ(2021/4/3)

I'm fine 桜もハナニラも満開 青木茂建築工房「目黒」リファイニング完成(2021/3/22)

築84年 都内に現存する唯一の木造見番建築物見学会 青木茂建築工房が設計監理(2020/12/15)

築51年の礼拝堂⇒診療所 青木茂氏「リファイニング」解体見学会に満席120人超(2020/10/26)

安藤忠雄氏を超えた? 青木茂氏×三井不 「氷川台」リファイニング見学会に200人超(2020/9/16)

美しい公衆トイレ 発信できた 安藤忠雄氏/世界からオファー 日本財団プロジェクト(2020/9/15)

大和ハウス工業「平和台」 同社初の「ZEH-M Ready」 申し込み殺到 早期完売へ(2020/9/15)

三井不動産×青木茂建築工房 リファイニング「初台」で見学会 過去記事も紹介(2019//12/8)

駅4分の1低層 息をのむほど美しいサペリの建具 三菱地所レジ「代々木上原」(2018/12/14)

省エネ対策に感服 三井不動産+青木茂建築工房 「林マンション」リファイニング完成(2018/3/30)

青木茂建築工房×ミサワホーム 「千代田富士見」のリファイニング見学会に450名(2018/3/1)

リファイニング建築の考案者 首都大学東京特任教授・青木茂氏が退官へ 記念講演会(2018/2/13)

ミサワホーム&青木茂建築工房 千代田区富士見のリファイニング建築見学会に250名(2017/11/9)

三井不&青木茂建築工房 築52年の市場性ない共同住宅をリファイニングで再生(2017/10/16)

三井不動産&青木茂建築工房 練馬区のリファイニング見学会に200名(2017/3/27)

築44年の寄宿舎をリファイニング手法で賃貸に一新 見学者100名超 青木茂建築工房(2016/12/21)

建築の魔術師・青木リファイニングの真髄を見た 「竹本邸」完成見学会(2015/11/17)

「リファイニング」に熱い視線60坪の建物見学に250人殺到 青木茂建築工房(2015/3/11)

リファイニング建築のすごさを見た 「千駄ヶ谷 緑苑ハウス」完成(2014/3/24)

全てが腑に落ちる 首都大学東京「リーディングプロジェクト最終成果報告会」(20143/19)

再生建築学の設置を 青木茂氏が三井不動産のセミナーで語る(2013/12/10)

千駄ヶ谷のリファイニング建築に見学者300人(2013/11/12)

 

 

 

 企業メセナ協議会は3月30日、全国の企業・企業財団を対象に毎年実施している「メセナ活動実態調査」2021年度の結果をまとめ発表した。回答企業・財団は約2割減り、コロナの影響で活動に変更があったと回答したのは6割に達した。

 調査の結果、コロナ禍前後でのメセナ活動の変更について60%以上の企業が「変わった点がある」と回答。変わったのは、「運営面」が107件のほか、「オンライン」が82件、「施設の休館・閉鎖」が6件、「開催延期・中止」が56件、「支援先の開催延期・中止」が16件だった。オンライン化の限界について言及する記述もみられたとしている。

 メセナの取り組み目的については、「芸術文化支援のため」と「社業との関連、企業価値創造のため」に7割近くの企業が回答。

 調査対象は国内企業2,085社、国内企業財団300団体で、回答があったのは企業503社、企業財団186団体で、メセナ活動総件数は企業が1,266件、財団が596件(前年度比:企業は383件減、財団は96件減)。メセナ活動費総額は企業が214億円(回答社数240社、1社平均8,930万円)、財団が448億円(回答団体数150団体、1団体平均2億9,929万円)。

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 今回の調査結果は、コロナがメセナ活動も直撃したことがよく分かる。それでも多くの企業・財団が継続して活動しているのに敬意を表したい。

 気になったのは、活動で重視している点について「SDGs」は28.4%(2016年は5.8%)へ大幅に伸びているのは当然として、「育児支援」「人権」「雇用創出・就労支援」「平和」などは7%台以下にとどまっていることだ。これらはSDGsの大きな柱の一つではないか。「人権」や「平和」に関与するのを嫌うわが国の国民性のためなのか。どれだけたくさんの人を合法的に殺すかが勝敗の分かれ目となる戦争を前にして、文化や芸術は何と無力なことか。いうべき言葉もない。

 


 

 

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「イニシア和光」

コスモスイニシアが分譲中の「イニシア和光」を見学した。アドレスは「埼玉県和光市」だが、最寄り駅は板橋区の「地下鉄成増駅」で、隣接する公園とのとの生物多様性保全の取り組みを行い、居住棟と渡り廊下でつながっているクラブハウス付き共用ガーデンを整備しているのが特徴だ。

物件は、有楽町線・副都心線地下鉄成増駅から徒歩10分、東武東上線成増駅から徒歩13分、東武東上線和光市駅から徒歩21分、和光市白子2丁目の第1種住居地域、準住居地域に位置する敷地面積約3,839㎡、地下1階・地上8階建て全100戸。先着順で分譲中の住戸(6戸)の専有面積は68.3890.15㎡、価格は4,948万~6,558万円、坪単価は240万円。建物は202111月に竣工済み。施工は大豊建設。

20209月から販売を開始しており、現在、残りは28戸。来場者は約700組。購入者の約6割が30代のプレファミリーだが、単身者も約1割。居住地は和光市が10%、板橋区と練馬区が各15%、その他、同じような価格帯の都心から同心円状のエリアに広がっている。

現地は東京都板橋区と埼玉県和光市の都県境に位置しており、「大坂ふれあいの森」公園に隣接。

主な基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、リビング天井高2450ミリ、食洗機、ミストサウナ、浴室タオル掛け2か所など。共用施設として多目的に利用できる約90㎡のクラブハウスと共用ガーデン「もりラボ」を整備している。

同社分譲事業部分譲一部プロジェクトマネージャー・宮川香織氏は、「購入者の方に評価されているのは、70㎡以上の広い3LDKと都心への交通利便性、5,000万円台の価格。近接する物件のほか、価格帯がほぼ同じの都心部から同心円状の城東エリアなどとも競合しています。広さを求める単身者の購入も約1割に達しています」と語っている。

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エントランスホール(木の香りと光の演出がなかなかいい。壁は左官仕上げ)

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クラブハウス

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 この物件について同社は竣工時にプレス・リリースを発表しており、記事にもしているのでそちらも参照していただきたい。これほどの規模で、別棟の約90㎡のクラブハウスを備えているのは価値がある。

 嬉しかったのは、浴室にタオル掛けが2か所ついていたことだ。同社はタオル掛け2か所を標準としているようだ。こういうところに企業姿勢が表れる。ミストサウナもついていたのには驚いた。

 宮川氏に聞けばよかったのだが、どうして物件名が「和光」なのかは不思議に思った。

 不動産公正取引協議会連合会の自主規制「不動産の表示に関する公正競争規約」の物件の名称の使用基準には、「当該物件の最寄りの駅、停留場又は停留所の名称を用いることができる」とあるように、デベロッパーはポテンシャルにもよるが、物件の名称を物件が所在するアドレスより最寄り駅名を使用するケースのほうが圧倒的に多い。

 典型的な例としては「ひばりヶ丘」がそうで、物件所在地は埼玉県新座市でも物件名に西武池袋線の「ひばりヶ丘」を使用するのがほとんどだ。ずいぶん昔だが、最寄り駅は東急東横線「二子新地駅」なのに、物件名に「二子玉川」を使ったマンションがあった。

今回のケースでは、記者が企画を担当したら「イニシア成増 和光の丘(あるいは森)」とでもする。公取規約に違反しないはずだ。「成増」と「和光」の訴求力は、「川口」と「赤羽」くらいの差があるのではないか。

本旨ではないので書かないが、マンション敷地と隣接公園の境には金網が張り巡らされていた。よくある光景だが、公園は地域居住者に開かれているはずなのに、どこも管理を優先して垣根を設け、居住者から遠ざけようとしている。

都市公園の利用実態調査報告などもほとんどない。国土交通省の平成26年度都市公園利用実態調査は273か所しかなく、しかもアンケートなどが主体だが、これによると「特に不満はない」は50%台で、街区公園、近隣公園などの公園利用率は10%前後にとどまっている。これを逆読みすると、都市公園を利用する人は利用想定圏内のわずか10%くらいしかいなく、しかも満足している人は半分しかないということになる。これが民間施設ならみんな破綻するのだが、指定管理者制度を導入しているのは46%しかなく、民間活力を活用しているのは18.2%しかない。

記者はコロナ禍でもっとも安心して飲食・喫煙できるのは公園だと思っているが、喫煙・飲食を禁止する公園はむしろ増えているはずだ〝そして誰もいなくなった〟に限りなく近づいている。その一方で、公園とマンション・施設との垣根を取っ払った事例の記事も添付する。

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浴室のタオル掛け

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渡り廊下(その後方左の白い建物がクラブハウス、右後方は市民にも公開しているガーデン。そのガーデンと公園の間には金網が張られている)

隣接公園との生物多様性保全の取り組み コスモスイニシア「和光」完成(2021/12/25

 

出来すぎだ!焼杉! 見どころ多い小田急バス×ブルースタジオ「hocco(ホッコ)」(2021/10/7

「街のシンボルになる」来場者 公園との垣根なくしたフージャース「つくば」に感動(2021/4/28

 プレハブ建築協会は3月29日、調査開始から28回目となる2021年度「信頼される住まいづくり」アンケート調査結果をまとめ発表した。同協会に加盟する住宅メーカー9社でマイホームを新築し、2020年に入居した1,200名が対象で、有効回答は636名(回答率53.0%)だった。

 結果によると、メーカー選定の理由は、「安心できる会社だった」「品質・性能が優れていた」「営業担当者の説明に納得できた」など。

 住宅に対しての満足度は前回(98%)より、やや低下しているものの、「とても満足」+「満足」+「まあ満足」の合計は95%と高い評価を維持している。

 営業担当者に対する総合評価は、「とても満足」+「満足」+「まあ満足」の合計は95%と高い評価を維持している。

 営業担当者への期待では、「迅速な対応」「報告・連絡・相談を密にしてくれる」「分かりやすく説明してくれる」といった回答が多かった。

 役に立ったアドバイスとしては「商品の特徴」が68%と最も多く、次いで「間取り等のプラン内容」が54%、「資金やローン」が53%と多くなっている。

 営業担当者に期待することは、「迅速に対応してくれる」が59%ともっとも多い。

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 調査結果から、住宅メーカーや営業担当への評価がたかいことが分かる。記者は、この種のアンケートで重視するのは回答率だ。今回は53%に上っているので極めて高い回収率だと思う。

 しかし、考えてみれば、顧客としては「信頼できる」「安心できる」住宅ローカーであり、営業担当も「期待に応えてくれる」と考え発注するのだから、結果が「満足できる」となるのは当然だ。

 それよりも、回答しなかった残りの47%の顧客はどうして回答しなかったのか、その理由が気になる。質問に答えるのが面倒だったというのが大半を占めるのだろうが、回答することのメリットを感じていない人も相当数にのぼることが予想できる。

 質問項目に「不満だった点」「改善すべき点」などを加えたら、また違った結果になるのではないか。

 さらにまた、ハウスメーカー9社を選ばなかった(潜在的な)顧客の声も聞きたいものだ。むしろこちらが大事か。

 

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「ザ・パークハウス 川越タワー」

 三菱地所レジデンスは3月28日、2022年2月25日から販売開始した「ザ・パークハウス 川越タワー」(全173戸、うち募集対象住戸4戸)第1期1次~3次全98戸に登録申し込みが入ったと発表した。第2期は5月上旬の予定。

 同社は、①駅徒歩1分、川越市最高層タワーの希少性と資産性②川越駅西口の生活利便性の高さ、健やかな学びを育む文化・教育環境③免震構造、平均75㎡のゆとりある間取りなどが評価されたとしている。

 資料請求は約1,700件(2021年9月7日~2022年2月28日)、来場数は約500 件(2021年11月12日~2022年2月28日)、第1期1次~3次(98戸)の専有面積は44.36~117.16㎡、価格は4,588万~20,300万円。登録申込件数は107件、最高倍率3倍、平均倍率1.09倍。

 登録者の居住地は川越市38%が最も多く、次いで川越近接エリア(鶴ヶ島市、坂戸市等)25%、東京都18%、その他埼玉県18%。年齢層は20代~70代と幅広く、40代、30代が最も多い。職業は会社員・公務員が36%、経営者・会社役員が32%、次いで医師が15%。

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「ザ・ホール」

駅前の免震タワーは坪320万円 京王・聖蹟桜ヶ丘を抜き去る 三菱地所レジ他「川越」(2021/12/11)

 

 

 

 

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岩本氏(左)と井上氏(「常盤橋タワー」3階「MY shokudo」で)

 三菱地所は3月25日、新しいワークスタイルを実現するフレキシブルオフィス発表会・内覧会を開催。「丸の内NEXTステージ」を加速させるため、エリアでのフレキシブルな働き方や多様な企業・人の交流を促し、「多様な100万人」の街づくりを推進すると発表。同時に、その具体的な取り組みの一つとして同日にオープンしたスタートアップ向け新施設「TOKIWA BRIDGE」をメディアに公開した。

 新しいフレキシブルオフィス提案の背景について、同社執行役員・井上俊幸氏は、「当社は2020年1月に『丸の内NEXTステージ』を、2020年7月には『ポスト・コロナ時代の街づくり』発表したが、その後2年間のコロナで環境は一変した。『就業者28万人×8時間』から『多様な就業者100万人×最適な時間、交流する』街への取り組みを加速させる必要性があることから、今回の再定義となった」と語った。

 同社は2020年7月、「ポスト・コロナ時代のまちづくり」を公表したが、その後2年近くの間に環境が激変したことを踏まえ、同社が積み重ねてきた130年以上のまちのインフラを基盤に、具体化戦略として①多様な場の提供②多様なテーマ・コミュニティ③面でのつながり・発信④クリエイティブな活動⑤デジタルビジョン・スマートシティの実現-の5つを前面に掲げた。

 「一人ひとりに即した1億通りの刺激・学びがある」「最適な仲間・コミュニティに参加できる」「協創・アウトプットが最大化する」まちの実現を目指す。

 「TOKIWA BRIDGE」は、「TOKYO TORCH」の一角にあるオフィスビル「TOKIWAブリッジ」(旧・JFE商事ビル)の13階と地下2階に設けた約1,100㎡。創業間もないスタートアップや大企業からのカーブアウト企業を対象としているのが特徴で、いつでも共用施設を利用できる「ホットデスクプラン」と、共用施設も利用できる「個室プラン」を用意。個室プランでは月単位のほか曜日のみ利用できる「曜日貸し」を設け、様々な働き方に対応する。

 入居企業は、「常盤橋タワー」3階「MY shokudo」のほか新東京ビル4階、大手町ビル7階などを利用でき、同社が手掛ける他の「EGG JAPAN」「Global Business Hub Tokyo」「FINOLAL Inspired Lab」のスタートアップ向け施設やビジネスクラブ「東京21cクラブ」が主催するイベント・セミナーの参加が可能。

 また、入居企業の製品やサービスなどプロダクトを積極的に施設に導入し、製品・サービスの社会実装を進め、入居企業を支援していく。

 4人4名で利用する場合、利用料金は月単位だと会員ID(2万円×4万円)+個室料金(20万円)=28万円となるが、曜日指定だと会員ID(2万円×4万円)+個室料金(6万円)=14万円となる。施設開設時現在、入居企業は23社。うち月単位企業は8社、12社が曜日特定入居。

 新しい施設運営について、同社xTECH運営部ユニットリーダー・岩本祐介氏は、「これまで様々な国内外の成長企業やスタートアップ企業の成長ステージに合わせた施設を運営してきた。5拠点目となる今回の施設は、創業7年以内を対象としているのが特徴で、施設は常盤橋公園に生まれ変わるが、入居企業が『Torch Tower』(2027年竣工予定)に入居できるよう成長していただきたいし、当社もブリッジの役割を果たしたい」と話した。

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記者発表会場(「常盤橋タワー」3階「MY shokudo」)

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 記者は、コロナが発生して間もない2020年5月まで同社の「丸の内北口ビル」に通勤していた。その後、完全テレワークに移行したので、取材以外は東京駅に行くことはなくなったが、街の様子が一変したのを実感している。

 コロナ禍では「常盤橋タワー」のレストランも〝閑古鳥〟が鳴いていたが、緊急事態・まん防解除後は、どこからこのような人が湧いてくるのだろうと不思議に思うほど、若いカップルや小さい子どもをベビーカーに乗せた女性の姿で溢れかえるレストランなどを目撃している。あり得ない光景だ。この前も「三菱一号館」に隣接するカフェ・バーを利用としたらテラス席は満席だった。丸の内だけでなく、渋谷などもそうだ。人の流れは完全に変わった。

 同社が今回、「就業者28万人×8時間」から「多様な就業者100万人」の取り組みを強化すると発表したのは大正解だろう。

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 「TOKIWA BRIDGE」もいい取り組みだ。発表会場で岩本氏から声を掛けられて記者はもうその段階で舞い上がり、いつもは最後列に座るのだが、この日は最前列(最前線)に座って必死でメモを取った。

 岩本氏はどうして真黒に日焼けしているのか聞き忘れたが、説明はとても分かりやすかった。

 だが、岩本氏は会見の真打・取りではなかった。それより感動を覚えたのは、施設をただ見学するだけでなく(そんなのは他にもたくさん見ている)、入居企業5社の代表者の声が聞け、質問もできる機会を設けたことだ。海のものとも山のものともつかない代物ではあるが、決して海千山千のしたたか者でなく、どこかダイヤモンドの原石のようにきらりと光る起業家に会え、その声を聞けたのが何よりの収穫だった。

 例えばSoftRoid。この会社は独自に開発したデバイスを用いて建設現場のデータ収集し、施工状況を可視化・分析するソフトウェアを提供する社員4名の会社だ。2020年7月が創業だから、生まれたてほやほやだ。社員は4名。

 職人にカメラを装着するそうで、仕事以外はカメラをオフにすることもできる。海外ではかなり普及しているそうだ。

 話を聞いて、現場監督が必要でなくなる時代が到来するのではないかと考え質問したら、同社代表取締役CEO・野﨑大幹氏はその可能性を否定しなかった。用途は他にもありそうで、この会社は世の中をひっくり返す可能性があるのではないか。

 マルチスクリーン、サラウンド音響システム、自然のアロマなどを駆使して没入自然空間を開発・提供しているフォレストデジタルも無限の可能性を秘めている。

 スクリーンをどうするかだが、初期費用はそれほど掛からないとか。医療・介護施設、ホテル、商業・観光施設だけでなく、一般家庭へ普及するはずだ。居ながらにして世界の秘境を訪ねることも可能だろうし、小説や詩の朗読などと組み合わせればその利用範囲は拡大する。

 顔認証による入館管理サービスを提供しているTRIBAWL(トライバル)のロボティクス事業には驚愕した。搬送ロボットは最速30キロメーター/1時間まで6段階に設定でき、重量は150㎏まで運べるのだそうだ。

 これは平たんな道路などでしか利用できないのだろうが、そのうちに太陽光で自家発電し動力とし、ときには巨岩や倒木に擬態し、道なき道を匍匐前進して救援物資を確実に届けるロボットも開発されるのだろう。

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TRIBAWL(トライバル)の顔認証による入館管理サービスを実装した「TOKIWA BRIDGE」エントランス

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TRIBAWL(トライバル)の搬送ロボット

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没入自然空間(フォレストデジタルのリリースから)

 

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