東急不他「十条」1期1次は105戸(当初予定の約半分)坪単価は470万円か

「ザ・タワー十条」
業界関係者の間で話題になっている東急不動産・日鉄興和不動産の「ザ・タワー十条」578戸の第1期1次105戸の登録申し込みが9月23日から始まった。当初、第1期1次の販売戸数は分譲対象394戸の半分近い186戸とされていたが、その半数強に減少した。申し込み締め切りは10月2日で、3日に抽選が行われる。
物件は、JR十条駅から徒歩1分、北区上十条二丁目の商業地域(建ぺい率66%、容積率797%)に位置する39階建て全578戸(事業協力者住戸184戸含む)。第1期1次(105戸)の専有面積は58.23~127.37㎡、価格は8,290万~30,000万円(最多価格帯11,100万円台)。竣工予定は2024年9月末日。販売代理は東急リバブル。施工は前田建設工業。事業コンサルタントは日本設計。
現地は、住宅・商業・公益一体の複合開発「十条駅西口地区第一種市街地再開発事業」(地区面積約1.7ha)。2005年11月に十条駅西口地区まちづくり協議会が発足してから2012年10月の都市計画決定、2021年3月の着工を経て今回の分譲開始となった。両社は参加組合員として事業参画している。
1階〜4階の一部は商業・業務フロア、住戸は6階からで平均専有面積74.32㎡と広いのが特徴。今回の分譲対象は26階以上の高層階となっている。
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物件ホームページには基本性能・設備仕様レベルなどは公開されておらず、記者は見学していないのでいい加減なことは書かない。いいか悪いか、買うか買わないかは検討者が考えることだ。
ただ、坪単価にはびっくりした。最低価格の住戸が専有面積約58㎡の住戸であるとすれば坪470万円だし、最高価格住戸の専有面積が約127㎡であれば坪777万円だ。(比較にはならないが、今春に分譲開始され、3か月で完売した十条駅から徒歩4分の三菱地所レジデンス「ザ・パークハウス十条」41戸の坪単価は353万円だった。地所レジ関係者はどう思っているのか、切歯扼腕しているのか)
建物の四方は開けており、下層階でも眺望が妨げられる要因は今のところなく、この26階の坪470万円が平均値になる可能性が高い。(個人的には最上階と思われる住戸はとても安いと思う。単価通りのラッキーセブンだ。どこにでもお金持ちはいる。坪1,000万円でも安いのではないか)。
だとすると、この坪470万円は周辺の今後予定されている周辺物件の値付けに大きな影響を与えるのは必至だ。さしずめ、同じような立地条件から競合しそうなのは、先に分譲開始された三菱地所レジデンス他「ザ・パークハウス 戸越公園タワー」であり、住友不動産の各物件だ。中でも住友不動産は周辺エリア、あるいは単価的に同レベルと思われる大規模物件を続々供給する。以下の通りだ。
・住友不動産「シティタワーズ板橋大山」(ノースタワー88戸、サウスタワー239戸) 来年1月分譲予定。竣工は2024年7月上旬。
・住友不動産「シティタワー千住大橋」466戸(駅5分、今年11月分譲予定)。竣工予定は2025年4月中旬。
・住友不動産「シティタワー綾瀬」427戸(駅1分、来年1月分譲予定)。竣工は2024年12月中旬。
・住友不動産「シティテラス赤羽」438戸(駅7分、THE EAST300戸、THE WEST 138戸)。今秋から来年1月分譲予定。竣工予定は2024年12月。
・「赤羽一丁目第一地区第一種市街地再開発事業」(住友不動産が事業参画。開発準備組合が設立された段階)
・「上板橋駅南口駅前地区第一種市街地再開発事業」(住友不動産が事業参画する)
上記のうち「赤羽一丁目」と「上板橋」はあと2~3年先にならないと詳細は固まらないだろうが、「十条」によって価格を上方修正するのではないか(その逆もあり得ないわけではないが)。ほくそ笑んでいるかもしれない。
同じ北区では、企画力がある大和地所レジデンスが30周年記念プロジェクトとしてフラッグシップブランド〝グラン〟を冠した「ヴェレーナグラン北赤羽 マスタープレイス&マナープレイス」571戸(駅5分、マスタープレイス318戸、マナープレイス253戸)のエントリーを開始した。来春分譲開始予定で、竣工は2024年末から2025年初。概要には「工業地域」とあるので、価格を抑え、企画で勝負に出るのは間違いない。
また、着工したばかりで競合は微妙だが、板橋駅前では野村不動産と東日本旅客鉄道が事業参画している「板橋駅板橋口地区第一種市街地再開発事業」がある。
「十条」の影響はこれだけにとどまらない。再開発計画がたくさんある城東エリアだ。野村不動産が事業参画している「平井五丁目駅前地区第一種市街地再開発事業」(住宅は370戸、竣工予定は2024年度内)や三井不動産レジデンシャルと日鉄興和不動産が事業参画している「JR小岩駅北口地区第一種市街地再開発事業」(住宅は730戸、竣工予定は2027年度)にも影響を及ぼすことになる。街のポテンシャル、東京駅までの交通便を考えれば、「十条」には負けないと考えるのが妥当だ。坪単価は400万円をはるかに突破してもおかしくない。
参考までに、最近分譲された周辺物件と準都心部のマンションの記事を以下に紹介する。
反響3000件超 ランドスケープ抜群 三菱地所レジ他「板橋大山大楠ノ杜」(2021/12/11)
三菱地所レジ「十条」41戸は坪353万円3か月で完売/台風の目「ザ・タワー十条」(2022/8/1)
南北・銀座戦争か? 北の「十条」と競合あるか 三菱地所レジ他「戸越公園」(2022/9/10)
エリアの最高値更新へ 三菱地所レジ コンパクト&ファミリー「赤羽」(2021/9/17)
第1期は全227戸の約6割の135戸 大和ハウス他「王子神谷」圧倒的な人気(2021/12/3)
総武線(亀戸~小岩)の開発に拍車 再開発中心に5000戸超 「亀戸」の上値圧力も(2021/9/1)
隈研吾氏が設計 坪700万円超でも好調スタート プロポライフ「札幌 宮の森」

「プロスタイル札幌 宮の森」(写真は全てリリース、物件ホームページ)
プロポライフグループのログスイート(LogSuite)とプロスタイル(Prostyle)は9月21日、隈研吾氏が設計を担当した「プロスタイル札幌 宮の森」が3年3か月の工期を経て8月31日に竣工。同時に、棟内モデルルームと現地事務所を設け、販売を開始したと発表した。第一種低層住居専用地域の高級住宅地に立地する全20戸の傾斜地マンションで、坪単価は市内のこれまでの記録を大幅に更新する700万円超ながら、すでに申し込みが5件入ったという。
物件は、札幌市営地下鉄東西線円山公園駅から車で約7分、札幌市中央区宮の森4 条の第一種低層住居専用地域(建ぺい率40%、容積率60%)に位置する敷地面積約4,413㎡、11階建て(建基法では地下2階地上3階建)延べ床面積約4,997㎡(容積対象面積約2,634㎡)の全20戸。専有面積は124.26~176.65㎡(他にテラス26.78~122.75㎡、プライベートガーデン17.58~105.87㎡など)、価格は18,800万~40,000万円(最多価格帯26,000万円台3戸)、坪単価は700万円強。設計・監修は隈研吾建築都市設計事務所。施工は砂子組。
現地は、「例えるならば渋谷・松濤、横浜・山手町」「札幌の街を一望できる眺望と残された自然の借景を、全ての住戸に取り入れています。特徴である天然木を贅沢に用いたデザインで、自然に溶け込んだ斬新な集合住宅」(リリース)というのが特徴。
建物は、モノレール型のエレベーターを採用、外気に面する梁・壁の室内側に約55㎜厚、最下階住戸の床下に約35㎜~約50㎜厚の結露発生を抑制する断熱材を施工。主な基本性能・設備仕様は、IHヒーター、食洗機、天然無垢材建具・家具・床仕上げ、デュポン・コーリアン製天板、DURAVIT社製スタルク浴槽、プライベートサウナ、高断熱トリプルガラスなど。
隈氏は、物件ホームページのインタビューで「今回僕自身で現地に足を運び、非常に魅力的な敷地だと感じました。丘を生かした建築を構想していました。それを実際に成立させるためにはかなりの時間をかけたプロジェクトでしたね(設計期間は3年半、施工期間は3年3か月)。恐らく今後、そう容易く誰もがここまでの建築に取りくむチャンスがあるわけではないと思う」「事業主のProstyle社とLogSuite社は、天然無垢材を必ず採用することにこだわった会社です。これに共鳴した部分が大きくあります」「コンクリートを流す枠に無垢の丸太を使うことは大変稀で、技術としても非常に難しいものです。木を自然な形で使用できるこの丸太の残存型枠は、一般的な都会型のマンションではできない、今回ならではの挑戦でした」などと語っている。
現地の販売担当者は「数か月で完売できるのではないか」と話していた。

外壁は北海道産のスギ


エントランス

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このマンションは、不動産流通研究所のWeb「R.E.port」が9月22日に報じるまで全く知らなかった。隈氏が設計したのに驚いたのだが、それ以上に仰天したのは価格だった。最低でも坪単価は500万円を突破するではないか。現在の札幌市内の最高値マンションは、大和ハウス「ONE 札幌ステーションタワー」の415万円のはずだが、それを一気に抜き去った。(抜かれた大和ハウスは福岡・大濠公園の近くでこれまでの市内の最高単価をはるかに超えるマンションを計画していると聞く)
早速、ログスイートとプロスタイル、物件ホームページで確認した。両社は持ち株会社プロポライフグループの会社で、同社グループは創業15年間で約2,000件のリノベーションマンションの実績があるとしている。しかも全てスケルトンリノベを施し、二重床・二重天井にし、床から建具・家具、天井に至るまで無垢材仕上げにしているとあった。扱う物件も都心部のアッパーミドル・富裕層をターゲットにした億ションが中心だった。
これに合点がいった。床や建具・家具は天然木がいいのに決まっている。バブル期は最高級のマホガニー、チーク、紫檀・黒檀などが当たり前だったし、数年前まではモリモトが突板仕上げなどで他社との差別化を図って成功していた。分譲戸建てではポラスグループが「木」にこだわっており、構造材の現し、挽板仕上げが多い。
話を元に戻す。「プロスタイル札幌 宮の森」の物件概要には、建ぺい率40%、容積率60%(田園調布、山手町、芦屋市・六麓荘も40%、80%)とあるではないか。設計に3年半、施工に3年3か月かけたことでも法規制をクリアするのに苦労したであろうことは素人の記者でも分かる。傾斜地であることを巧みに生かし、建基法の地盤面規定を利用して実現したのだろう。
傾斜地マンションといえば、〝傾斜の魔術師〟と呼ばれた故・井出共治氏設計の「ヒルサイド久末」(清水建設施工)「ヒルサイドテラス平山城址」(同)「ゆりが丘ヴィレッジ」(鹿島建設施工)を思い出す。他では、竹中工務店施工の「テラス寺尾台」もいい物件だった(安藤忠雄氏の「六甲」は見ていない)。「プロスタイル札幌 宮の森」もまた、わが国の代表的な傾斜地マンションとして歴史に刻まれるのだろうか。近ければ飛んでいきたい。以下に隈氏が手掛けたマンションを紹介する。


隈研吾氏がデザイン 〝グランデ〟首都圏第一号 阪急不「ジオグランデ元麻布」(2017/3/6)
新国立競技場だけでない 三井レジ「赤坂檜町」も隈氏デザイン監修 圧倒的人気(2015/12/22)
究極の隈研吾マンション 豊島区庁舎と一体の東京建物「Brillia Tower 池袋」(2013/3/19)
「神楽坂『赤城の杜』プロジェクト」完成 三井不レジが見学会(2010/8/20)
驚嘆の安さ 坪318万円 隈研吾氏がデザイン監修 三井不・東電不「パークコート神宮前」(2008/11/19)
大和ハウス 再生可能エネルギー供給を加速 全商業・事業施設に太陽光発電

「オンサイトPPA」を採用した物流施設「DPL 三郷Ⅱ」
大和ハウス工業は9月22日、再生可能エネルギー供給を加速するため、同社が建設・開発する商業施設・事業施設の全ての屋根に、太陽光発電システムを提案すると発表した。
同社グループは、「第7次中期経営計画(2022~2026 年度)」で、2023年度には業界初となる「RE100」達成、2030年度までに国内でZEB・ZEH率100%を目指すことを打ち出している。今年度から分譲住宅を含む戸建て住宅全商品をZEH仕様としたほか、賃貸住宅もZEH-M仕様の提案を強化している。
また、着工中の一部の事業施設でも10月1日から商業施設・事業施設の全ての屋根に、太陽光発電システムの提案を本格的に開始する。
今回の提案では、顧客との通常の請負方式に加え、同社が屋根を借りて太陽光発電システムを無償で設置し、発電した電力を供給する「オンサイトPPA」方式を活用。発電した再生可能エネルギーを入居テナント企業に使用してもらうことで、顧客のCO2削減にも寄与する。
静音空間&睡眠解析サービス提供開始 カプセルホテル「ナインアワーズ大手町」

「ナインアワーズ大手町」(Nine Hours Otemachi - Imperial Palace)
コスモスイニシアは9月26日、同社が保有するカプセルホテル「ナインアワーズ大手町」(Nine Hours Otemachi - Imperial Palace)に遮音性の高い新型静音カプセル「9h sleep dock」を初導入し、睡眠解析サービス「9h sleep fitscan」の提供を開始する。運用・サービス提供を前にした9月21日、プレス内覧会を実施した。
新型カプセル「9h sleep dock」(計8床)は、ヤマハ発動機と共同開発したもので、従来はロールカーテンで仕切られていたカプセルの入り口を遮音性に優れたハッチ型にすることで、いびき音や廊下を歩く音などを聞こえづらくする「静音空間」のほか「個別温湿度管理」「クリーン換気」機能を持つ。
睡眠解析サービス「9h sleep fitscan」は、2021年12月から導入を開始したもので、宿泊客に了解の上で、睡眠データを赤外線カメラ、集音マイク、体動センサーで収集・解析し、後日、心拍数やいびき、無呼吸になった回数・時間などをレポート形式で提供する。サービス利用者は現在1万人を超え、約7%の睡眠時無呼吸症候群が検出されている。
今後、同社が運営する19店舗、年間利用者100万人に近い利用者へサービスを拡大することで、数年以内には数百万人~1千万人規模の睡眠データベースの構築を見据えている。
この種の「睡眠ビッグデータ」は世界に類がなく、睡眠障害は統合失調症、うつ病、パーキンソン病、認知症などの疾患と関連があることから、データが疾病メカニズムの解明や治療に貢献すると期待されているという。
施設は、東京メトロ東西線竹橋駅から徒歩3分・神保町駅から徒歩4分、千代田区神田錦町3丁目に位置する敷地面積約166㎡、8階建て延べ床面積約829㎡、客室数129室(男性76室/女性53室)。チェックイン・アウトは14:00~10:00、宿泊料金は変動制でこの日(21日)は約3,000円(「9h sleep dock」は+1,000円)。
東京駅や大手町、皇居に近いため出張や旅行の際のトランジットサービスとして、宿泊や仮眠などさまざまな需要に応えるカプセルホテルで、皇居ランナーなどにはシューズロッカーの提供やランニングウェア、ランニングシューズのレンタルサービスも行っている。
10月には、コワーキングスペースとして電源・Wi-Fi完備のデスク・ラウンジが使える当日/月額プランの販売を開始する予定。

新型カプセル「9h sleep dock」

ピクトサイン

洗面室
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カプセルホテルは苦い経験しかない。大成有楽不動産が一昨年開業した「BAYHOTEL東京浜松町」を取材したときも書いたが、終電に間に合わず家に帰るよりはるかに安く済むので同僚などと何回か利用したことがある。ゴムひも付きのカギを手首にはめさせられ、囚人服のようなパジャマを着せられ、2段ベッドに押し込められるのには閉口した。浜に打ち寄せられたトドの死骸のよう格好の湯上り姿のサラリーマン(さすがにそんな女性はいなかった)を見ると、情けないやら悲しいやら、酔いがぶり返した。その都度〝絶対、お前らとは飲まないぞ〟と誓ったが、酒の誘惑には勝てなかった。
今回のカプセルは、昔利用したものとは異なっていた。テレビはなかった。スマホがあればいいのだそうだ。酔っぱらいなどはあまり利用しないことも初めて知った。
白を基調にした内装デザイン、廣村デザイン事務所によるピクトサインは美しく、シャワー室のシャワーヘッドは立派なものだったのが印象に残った。ただ、人間洗濯機のようなカプセルはどうしても馴染めなかった。
睡眠解析サービスについてはよく分からないが、無呼吸、いびき・歯ぎしりは重大な疾患と関係があることは身内、知人を通じてよく知っている。カプセルだけでなく、同社の「MIMARU」に導入してもいいのではないか。

コワーキングスペース

外観
大成有楽不 ホテル&カプセル 「BAYHOTEL東京浜松町」4月24日開業(2020/3/18)
中央住宅と積水ハウスが奨励賞受賞 第16回キッズデザイン賞36点発表

キッズデザイン賞 受賞36作品
キッズデザイン協議会は9月21日、第16回「キッズデザイン賞」受賞作品214点の中から優秀作品へノミネートされた最優秀賞、優秀賞、奨励賞、特別賞など36点を発表した。9月28日に表彰式、シンポジウムが開催される。
最優秀賞の内閣総理大臣賞には茨城県の黒田潤三アトリエ/なないろレディースクリニック「なないろこまち」が選ばれた。受賞理由は「カフェのような待合室、別荘のような病室など、クリニックの枠を超えて、小さな町をそのまま実現し、リアルな触れ合いを大切にした良質な取組」であること。
住宅・不動産業界からは、奨励賞(キッズデザイン協議会会長賞)に中央住宅「育てることで育む『農』のある暮らし ハナミズキ春日部・藤塚」と、積水ハウス「エルミタージュクール」がそれぞれ選ばれた。
中央住宅の受賞作は「住まいながら農に関わり、自らの食の成り立ちや消費を学べる、社会提案性の高い取組であり、建築はベーシックな機能と意匠を押さえており、すっきりとしたデザインで評価できる」点が、積水ハウスの受賞作は「子育て世帯ならではのニーズ、例えば見守りをしながら家事のしやすい動線、外遊びを自由にさせられるような中庭、一時預かりに使えるような空間や遊び場などを備えた、『子育て』に特化した思い切った空間提案」が評価された。
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両社の受賞作のうち「ハナミズキ春日部・藤塚」は見学取材している。記者は調整区域で開発したことに価値があり、だからこそ農園付きで土地面積が広く、価格もリーズナブルな商品にしたのが肝だと思う。受賞理由にある、子どもが「住まいながら農に関わり、自らの食の成り立ちや消費を学べる」かどうかは親次第だ。
積水ハウスの受賞作は機会があったら見学したい。

中央住宅「育てることで育む『農』のある暮らし ハナミズキ春日部・藤塚」

積水ハウス「エルミタージュクール」
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今回から受賞作品発表・表彰式の方法が変わった。従来は受賞作発表と表彰式は同時だったのが、今回は受賞作発表と表彰式まで1週間の期間が設けられた。メディアがこの間に各受賞作を見学取材できるよう配慮したと小生は受け止めた。結構なことだと思う。小生は前回の第15回表彰式の記事でも「記者が見る機会を与えてほしい」旨の記事を書いた。
しかし、28日までは3連休を挟んでいるので、休祝日を取材に充てられないことはないが、実質3日間しかない。しかも、多くのメディア関係者はすでに日程を組んでいるはずで、自分の目で確認できる機会は限られる。もう少し期間を開けていただきたい。
さらに言えば、キッズデザイン賞に限ったことではないが、応募・審査の方法を改め、直接消費者が参加できるようにしてはどうかということだ。
建築物などは竣工から1~2年が経過しているものが多いはずだ。応募する側としては、実態・実績がないと応募しづらい事情もあるのだろうが、中央住宅の受賞作は2年前、積水ハウスの賃貸住宅は3年前の竣工だ。今回、総理大臣賞を受賞した「なないろこまち」も1年以上前だ。これだけ間延びすると、受賞の有難みも薄れるというものだ。
いまの若い人は新聞もテレビも観ないと聞く。スマホ一つであらゆる情報を収集するのだそうだ。ならば、SNSを利用して、消費者から推奨してもらえるようにすれば賞の〝格〟は飛躍的に高まるはずだ。前回の第15回のときの菅義偉総理も今回の岸田文雄総理も人気がないようだ。そんなお墨付きをもらって嬉しい子どもなどいるのだろうか。ネットで調べたら、世の中には内閣総理大臣賞・杯は競馬、競輪をはじめ院展、パソコン入力など60以上あった(岸田総理はいくつご存じか)。いい加減、このような事大主義から脱却すべきだ。権威に縋りつこうとする国民性にも問題がある。それより赤胴鈴之助とか月光仮面、ドラえもん、クレヨンしんちゃん、アンパンマン…はどうか。
厳しくなる調整区域の宅地開発/ポラス・春日部の記事 メディアはなぜ触れない(2020/7/10)
調整区域の市民農園付き200㎡邸宅 ポラス「ハナミズキ春日部・藤塚」企画秀逸(2021/7/3)
積水、旭化成、ケイアイスターが受賞/記者にも見る機会を 第15回キッズデザイン賞(2021/9/30)
並のマンションはるかにしのぐ 三井不 フラッグシップ「MFLP海老名Ⅰ」満床稼働

「三井不動産ロジスティクスパーク(MFLP)海老名I」
三井不動産は9月20日、同社のロジスティクス事業のフラッグシップとなる「三井不動産ロジスティクスパーク(MFLP)海老名I」が竣工、満床稼働すると発表した。免震構造、太陽光発電、地中熱活用、屋上緑化、グリーンインフラ、間伐材利用、天井高3.5mのスケルトン天井ワークプレイス、雨水貯留池などを整備して同社初の最高ランク「ZEB」認証を取得しているのが特徴。同日、メディア向け内覧会を行った。
施設は、圏央道「海老名」ICと海老名運動公園に隣接する海老名市中新田の工業・準工業地域に位置する敷地面積約54,847㎡、鉄骨造・免震構造6階建て延べ床面積約122,180 ㎡。設計・施工は日鉄エンジニアリング。着工は2021年5月、竣工は2022年9月20日。
施設は、従前採石場として利用されていたところで、建物デザインはオーストラリアのデザイン事務所JACKSON TEECEを起用。圏央道からよく見える3階以上は見る角度によって表情が変わる木調ルーバー(ある女性記者は「木琴のよう」と形容した)を採用。
最大の特徴は、同社初の「ZEB」(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)認証を取得したことで、太陽光発電、Low-Eガラス、地中熱ヒートポンプ、デシカント空調、屋上緑化などを整備することで、全体のCO2排出量を実質ゼロにする「グリーンエネルギー倉庫」を実現した。
このほか、環境配慮では「海老名の森・グリーンインフラ」をコンセプトに、桜並木をはじめ約1,500本の高中木、約15,000本の低木類などを植樹。最大貯水量2,100m³の雨水貯水池を整備し、樹木の水遣りなどに活用する。また、三井不動産グループの約5,000haの社有林から生じる間伐材をエントランスやラウンジの仕上げ材に多用している。
さらに、地域との親和性を重視し、施設の使用開始(10月1日)前の9月25日(日)に、近隣の子どもや住民に開放し、マルシェ、ランニング教室、ヨガ教室、間伐材工作プログラム、スノーピークビジネスソリューションズ監修によるテント設営体験会や焚火体験などのイベントを行う。この種の取り組みは継続して行っていく予定。
快適なワークプレイスを提供するため、共用部にはスケルトン天井(約6m)の開放感あるワークプレイス(天井高3.5m)や、WEB会議にも対応した個人ブースを設置するほか、事務所に面したバルコニーやスカイデッキには緑化を施し、最上階には相模川越しに丹沢連峰や富士山を一望できるラウンジを配している。BCP対応は72時間稼働の非常用発電機や免震装置など。
同社ロジスティクス本部ロジスティクス事業部事業グループ統括・田中耕一郎氏は「フラッグシップと位置づけた施設で、インターチェンジに隣接する恵まれた立地を生かし、当社初のZEB認定などの環境配慮、デザイン、地域連携などで他社との差別化を図っている。テナントからもお褒めの言葉を頂いている」と話した。

表情が変わる木調ルーバー

エントランス

スケルトン天井の事務所スペース

スカイデッキの横の屋上緑化(草はセダン)
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免震にZEB認証、天井高3.5m(倉庫部分は5.5m)、Low-Eガラス、スカイラウンジ・スカイデッキ、間伐材利用のラウンジ仕上げ、木調ルーバーの外観デザイン…素晴らしい施設だ。同社がメディア向け内覧会を実施した理由がよく分かる。
マンションに例えたら、同社の〝パークホームズ〟に負けないどころか、はるかに勝るレベルだと思った。厚木駅前では坪単価200万円のマンション「ファーストリンクレジデンス」(193戸のうち170戸超が成約済みとか)が建設中で人気にもなっているが、ここなら坪単価250万円でも売れるのではないかと思ったほどだ。
実際は圏央道の騒音が凄いのでマンションは無理だが、これほど高いレベルであれば共同住宅などとの複合開発(同社の「羽田」は梓設計の本社が入居している)の可能性もあるのではと田中氏に聞いた。田中氏も「機会があれば商業、オフィス、住宅などの複合開発をやってみたい」とまんざらでもなさそうだった。バブル期は倉庫がディスコなどで賑わったではないか。
もう一つ。田中氏が「倉庫は車の出入りが多いことなどで『嫌悪施設』と言われるが、そうでないことを地域の方々にも理解してもらえるよう9月25日には施設を開放し、マルシェや子供のかけっこ、ヨガ教室気などを行う」と語った「嫌悪施設」について。
記者は2018年の記者会見で、当時、常務執行役員ロジスティクス本部長だった三木孝行氏(現取締役専務執行役員)が「もはや、後発ではない。嫌悪施設ではない」と語ったのを鮮明に覚えている。昨年には、「嫌悪施設」とは何かの記事も書いた。「嫌悪施設」は不動産流通促進センターが例示したのを業界がそのまま受け入れ運用しているもので、概念などない。「嫌悪施設」は、風俗も含めていわゆるエッセンシャルワーカーが働いている施設も多い。職業差別にもなりかねない。見直す必要があるのではないか。「駅近」がいいと決めたのは誰だ。
さらにもう一つ。今回の施設は最高に素晴らしいのだが、画竜点睛、だからこそ欠けているものが一つだけある。オフィス内のフェイクの観葉植物だ。本物の緑を配置すれば就労環境は劇的に向上し、「倉庫」のイメージは一変する。用途規制も見直されることになるかもしれない。やらない、やります、やる、やるとき、やれば、やろう…号令を下せるのは三木さんしかいない。

スカイラウンジ

間伐材を活用したラウンジ

非常用発電機

スカイラウンジと分散配置となるサブラウンジ
「心理的瑕疵」「嫌悪施設」とは何か 釈然としない国交省「死の告知ガイドライン」(2021/10/10)
梓設計が本社機能 三井不 街づくり型「インダストリアルパーク羽田」満床稼働(2019/7/5)
「最早、後発でない」「嫌悪施設でもない」 三井不 ロジスティクス本部長・三木氏(2018/5/21)
平均74㎡、競合物件意識した商品企画 マリモ・小田急不の駅前再開発「厚木」(2021/11/3)
購入者の4割が道外 日本エスコン 日ハム新球場に隣接マンション118戸完売

「レ・ジェイド北海道ボールパーク」
日本エスコンは9月20日、来春に開業する北海道日本ハムファイターズの新球場「ES CON FIELD HOKKAIDO」に徒歩1分のマンション「レ・ジェイド北海道ボールパーク」全118戸が9月19日に全戸完売したと発表した。2022年2月の分譲開始からわずか8か月だった。
物件は、北海道日本ハムファイターズの新球場「ES CON FIELD HOKKAIDO(エスコンフィールド北海道)」を核とする約23,814haの「北海道ボールパークFビレッジ」プロジェクトの一角にあり、JR千歳線北広島駅から車で約5分・徒歩22分、北海道北広島市共栄の商業地域(建ぺい率80%、容積率400%)に位置する14階建て全118戸。専有面積は43.43~137.55㎡。価格は3,500万円台~1.5億円台。竣工予定は2023年2月下旬。設計・監理は浅井謙建築研究所、施工は中山組。販売代理はライズパートナーズ。
商品企画は、暖炉を囲んで過ごせる憩いの場「ウォームリビング」や、本格的なキッチンを備えた「クラブハウス」、北海道の原生林を見渡せる「屋上共用テラス」など共用部の充実を図り、専有部は、セカンドハウスやワーケーションなど様々なライフスタイルに合わせて選択できる20タイプを用意。バルコニーの隣にサンルーム「Fテラス」を設けた。購入者は引渡しから10年間利用できる球場への入場フリーパス付き。
同社は人気の要因を、①新球場から約80mの希少立地②物件周辺の「沢エリア」が広がり、BBQやキャンプ・グランピングといったアクティビティが充実③最寄りのJR北広島駅は、新千歳空港駅へ電車で約21分、札幌駅へ電車で約17分などが評価されたとしている。
購入者の属性は、居住地は6割が道内、4割が道外。年齢は50代が4割、40代、60代が各2割。日ハムファンを中心にスポーツ好きの人が多いという。
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話は聞いていたが、凄いの一言だ。ハウスメーカーは逆だが、首都圏に進出し成功した大阪発祥のデベロッパーは少ないはずだが、平成27年分譲の「レ・ジェイド世田谷 砧」(25戸)を取材し、28~29年の「若松町」「渋谷富ヶ谷」と30年の中部電力との資本提携あたりで、何かをしでかすのではないかという予感はあった。
そして、2020年1月、北海道日本ハムファイターズの新球場のネーミングライツ(命名権)を取得したとき、予感は確信に変わった。他の球団のように単なるCM看板にとどまらず、不動産事業と抱き合わせであるはずだと思った。その後の経緯は省略するが、その通りになった。
昨年分譲し、早期完売した「パーク レ・ジェイド白金レジデンス」(55戸)は三菱地所レジデンスとのJVだが、メインは同社だ。大手デベロッパーを従えさすことができる中堅デベロッパーは同社のほかはモリモトくらいだ。
シニア層もターゲット いわき駅前の免震再開発 フージャースコーポ・日本エスコン(2022/9/17)
坪235万円でも7割近い144戸成約100㎡超58戸も人気 日本エスコン「つくば」(2021/4/24)
高層ZEH-M プラン秀逸 日本エスコン「レ・ジェイド大倉山」(2020/2/1)
3帖大の「Fテラス」ヒット 日本エスコン「豊田」 坪236万円も割安(2019/11/8)
全戸にホワイエ(屋内廊下)土地の価値を最大限引き出す日本エスコン「渋谷富ヶ谷」(2017/4/24)
ライトコート付きのプラン秀 日本エスコン 首都圏初の〝グラン〟「若松町」(2016/11/4)
大京 環境省「中高層ZEH」に3物件採択 経産省「高層ZEH」と合わせ断トツ31物件
大京は9月20日、環境省の「令和4年度 集合住宅の省CO2化促進事業」のうち「中高層ZEH-M(ゼッチ・マンション)支援事業」に「(仮称)盛岡菜園プロジェクト」(ZEH-M Oriented)、「(仮称)琴似1条プロジェクト」(同)、「(仮称)ライオンズ南塚口町7丁目」(ZEH-M Ready)の3物件が採択されたと発表した。
この結果、オリックスグループの大京と穴吹工務店が「経済産業省 高層ZEH-M(ゼッチ・マンション)実証事業」と「環境省 中高層ZEH-M(ゼッチ・マンション)支援事業」に採択された累計採択数は31物件になった。
両社は、開発する全ての新築分譲マンションで原則「ZEH-M Oriented」基準を満たす仕様で推進するとしている。
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これまで環境省の「中高層ZEH-M」は31物件、経産省の「高層ZEH-M」は33物件、合計64物件が採択されているが、うちオリックスグループは半分近くを占めている。天晴れ。
大京は、マンションの商品企画もそうだが、「環境共生」「ユニバーサルデザイン」でも業界をリードしてきた。なのに、最近は大手デベロッパー6社の後塵を拝している。戸数だけではないが、ブランディング、情報発信力に課題があるのではないか。
「今期分譲戸建て1,600戸の8割はZEH仕様」本間部長 大和ハウス 記者レクチャー
大和ハウス工業は9月15日、9月下旬に発表される基準地価を前に、記事を書くのに参考となる「記者レクチャー会〈2022年基準地価〉」を開催した。記者は別の取材のため録画で視聴した。
分譲マンションについては同社マンション事業本部事業統括部部長・角田卓也氏が、分譲戸建てについては同社住宅事業本部事業統括部分譲住宅グループ部長・本間生志氏が、物流事業についてはDプロジェクト推進室上席主任・藤田渉氏が、オフィス・ホテルについては流通店舗事業本部事業統括部開発事業部開発グループグループ長・和田康紀氏がそれぞれ約10分間、事業環境などについて説明した。
角田氏は、首都圏マンションは引き続き好調に推移し、DINKSやDEWKS、富裕層の資産性を重視する旺盛な需要を背景に、販売価格も引き続き上昇しているとした。近畿圏や地方都市でも首都圏ほどではないが、再開発・複合開発などに対する需要の高まりがみられると説明した。
このような需給関係から、仕入れ競争も激化し、マンション用だけではなく賃貸用として取得するデベロッパーとの競合もあり、良好な適地には各社が群がり入札になると話した。
本間氏は、今年度上半期は在庫減少が要因で低調に推移したが、下半期はZEH仕様比率を大幅に高め、人気の家事シェアタウンなどを積極的に分譲すると話した。在庫(販売物件)が減少(最小期2,800区画⇒現在は3,400区画)したことから、今年設けた82名の用地企画マネージャーを通じて仕入れを強化し、3月末には年間在庫数(販売数)4,000区画に戻すという。
今後の地価動向については「全く読めない。いつ下落してもおかしくない」と警戒感も強めている。
物流市場について藤田氏は、EC・通信販売の継続進展、コロナ禍によるEC利用の定着・決済環境の充実などからBtoC、EC市場規模は順調に拡大し2026年度は29兆円を超えると話した。また、消費形態の変化と冷凍技術の進化に伴う冷蔵冷凍倉庫需要の増加などから物流適地が不足しており、好立地の物流用地は高値で取引されていると説明した。
オフィス・ホテルマーケットについて和田氏は、東京・大阪・名古屋圏のオフィスはテレワークやサテライトオフィスなど働き方の多様化により、乱立する都心のオフィスビルは波乱含みとした。
ホテルはコロナ禍で固定賃料の大幅減額や固定賃料が負担となり撤退を余儀なくされるホテルも見受けられ、本格回復は2024年と読み、これからは、売上に応じた変動賃料やホテル運営委託が主流になってくるとした。ホテルオペレーターの質(運営力 ・組織力・サービス・財源)が求められる時代になったと語った。
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これまでもそうだが、同社の記者レクチャーは非常に面白い。今回も4氏の説明は40分くらいで、残りの約50分間を質疑応答に割いた。そのため、メディアの質問が相次いだのだが、ハウスメーカー担当記者の関心事でもあるのだろうか、分譲戸建てに関する質問が多かった。
意図したことかどうかは分からないが、本間氏が質問を誘発するような本音の話をしたからでもある。本間氏は冒頭、各地区別の分譲戸建ての表データを示し「これは未公表資料ですので、転載は控えていただきたい」と前置きしながら、「赤字が目立ちかっこ悪いのだが、これが実態。今年度上半期の分譲戸建ては低調に推移した。分譲は〇%、土地は〇%減少した(戸数のことか)。大幅な在庫減が要因…価格は建売住宅が〇万円、戸建ては〇万円上昇した。要因は建売住宅はZEHを推進しており、土地は一等地戦略を取っているから(金額的には小幅減少にとどまったということか)…下期にはZEH比率を飛躍的に高める」などと具体的な数字を交えながら話したからだ。
(本間さん、ご安心ください。わたしのパソコンは表の映りが鮮明ではなく、ほとんど読めませんでした。転載のしようがありません。ただ、上記に書いたように、本間さんが話されたことのうち数字は〇にしましたが…これは書いてよろしいのでしょうか)
当然のように、この件にメディアは反応した(本間氏の計算通りか)。本間氏は具体的な数値を示し丁寧に対応した。小生もそこまで赤裸々に〝内幕〟を話したのには驚いたのだが、それは同社だけでなく戸建て業界全体の実態を話したのに過ぎない。この件についてはこれ以上触れない。
本間氏はポータルサイトによる反響が大幅に減少していることにも言及したので(検討者の知りたいのはセカンドオピニオンだ。ポータルサイトにはこれが全然ないのが課題だと記者は思う)、〝一強〟サイトの東京都の新築戸建てを検索した。約11,000件がヒットした。東京都の令和3年の分譲住宅の着工戸数は48,610戸だ(マンション31,221戸、戸建て17,389戸)。全着工戸数に占めるこのポータルサイトの捕捉率がどれくらいか分からないが、年間着工戸数の63%が分譲中というのはあり得ない数字だと思うが…。
そして「ZEH」で検索しようと思ったら、その項目はない。仕方なく「長期優良住宅」で検索したら503件だった。
「ZEH」でヒットしないのは、分譲戸建てのZEH比率は微々たるものであるからだろう。国土交通省のデータによると、2019年度の分譲戸建ての着工戸数146,154戸のうちZEH住宅は1,901戸、わずか1.3%しかない。年間400~500戸をコンスタントに供給している三井不動産レジデンシャルはZEHに取り組み始めたばかりで、2025年度までに50%という目標を公開している。野村不動産もこれからではないか。
なので、同社がZEHを標準仕様にするのは大賛成だ。本間氏は「時代に沿って先頭を走ろうと舵を切った。今期計上する約1,600戸の分譲戸建てのうち8割はZEH対応。5年後には100%にする」と話した。先頭を走るから価値がある。後ろからついていくのは誰だってできる。依拠すべきは良質住宅を求める顧客だ。価格が多少上昇しても、ZEHの魅力を丁寧に説明できれば購入検討者はみんな買いあがる。同業の積水ハウスは分譲戸建てもZEHが標準仕様と聞いている。
首都圏マンションはどうかというと、23区内は軒並み坪300万円以上で、駅近(どれほどの価値があるか分からないが)は400万円、500万円以上だ。20坪で1億円の相場となりつつある。神奈川、埼玉、千葉だって主要都市は坪250万円以上で、300万円を突破してきている。ZEHマンションは相場より坪単価(総額ではない)は1、2割高くてもみんなよく売れている。分譲戸建てをZEH化することで分譲価格が上昇しても、マンションにしたら1坪くらいではないか。
参考までに、年間4万戸以上販売する飯田グループホールディングスの2023年度第1四半期決算を紹介すると、分譲住宅の販売棟数は9,266戸(前年同期比9.5%減)で、平均価格は3,007万円(前年同期比5.0%、143万円増)に上昇。建物原価、土地原価上昇分を販売価格に反映しきれずに、1棟当たりの売上総利益額は35万円減少した。2年前の1棟単価は2,656万円だったので、この2年間で351万円上昇している。同社グループでZEH住宅を分譲しているのは東栄住宅のみで、同社は今後すべてZEH化すると打ち出した。
三井不「東京ミッドタウン八重洲」来春3月10日開業 「都心生活者」取り込む戦略

「東京ミッドタウン八重洲」
三井不動産は9月15日、八重洲二丁目北地区市街地再開発組合の一員として事業参画しているミッドタウンブランド3施設目の「東京ミッドタウン八重洲」を2023年3月10日(金)にオープンすると発表。同日、施設が竣工したのに伴う記者会見を行い、9月17日に先行オープンする地下1階の13店舗、オフィスゾーン、地下4階のエネルギーセンターの内覧会を実施した。
東京駅八重洲駅前で進行中の隣接する「八重洲一丁目地区」(51階建て延べ床面積約225,200㎡、2025年度竣工予定)と「八重洲二丁目中地区」(43階建て延べ床面積約388,300㎡、2028年度竣工予定)の先陣を切るプロジェクトで、施設コンセプトに「ジャパン・プレゼンテーション・フィールド ~日本の夢が集う街。世界の夢に育つ街~」を掲げ、世界中・日本中から人や情報、モノ・コトが集まり、交わり、新しい価値を生み出し、世界に向けて発信していく街づくりを目指す。
施設は、ミクストユース型の多様な機能を備えているのが特徴で、セントラルタワーの地下1~2階の「バスターミナル東京八重洲」と地下1階の13店舗からなる商業施設を9月17日に先行オープンしたほか、地下4階に八重洲エネルギーセンター、地下1~3階に商業ゾーン、1~4階に中央区立城東小学校、4~5階にビジネス交流施設「イノベーションフィールド八重洲」、5階に屋上テラス、7階にワークスタイリング、24階にテナント向け会員制施設・サービス「mot.三井のオフィスfor Tomorrow」を備える。オフィスフロアは7~38階。40~45階には日本初の「ブルガリ ホテル東京」が2023年4月に開業する。セントラルスクエア2~3階には「認定こども園」が開設される。
「日本橋」「豊洲」に次ぐ第三弾となる「八重洲エネルギーセンター」も今秋から稼働する。
施設概要は、JR東京駅地下直結(八重洲地下街経由)、中央区八重洲二丁目地内の区域面積約1.5haに位置する地下4階・地上45階建て延べ床面積約約283,900㎡の「八重洲セントラルタワー」と、地下2階・地上7階建て延べ床面積約5,850㎡の「八重洲セントラルスクエア」で構成。基本設計・実施設計・監理は日本設計、実施設計・施工は竹中工務店、マスターアーキテクトはPickard Chilton。建物は2022年8月31日に竣工。

オフィスロビー

24階オフィス

「八重洲エネルギーセンター」のコージェネレーションシステム(CGS)
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他の取材もあり途中で退席したので、地下1階の商業施設は見学できなかったのだが、記者会見・内覧会で同社ビルディング本部ビルディング事業三部長・藤井卓也氏と同社商業施設本部アーバン事業部長・牛河孝之氏が「類を見ない再開発」「周辺エリアを包含する再開発」「行きたくなるオフィス」「国内最大級のZEB Ready認証」「ワーカー・ツーリスト・ファミリーなど、全ての人の好奇心をくすぐる」「東京の新名所の多彩な店舗」「SC初」などと強調したように、コロナ以後を見据えた新しい働き方の提案や、オフィスワーカーはもちろんバスタ利用者、観光客のほか「都心生活者」も大きなターゲットの一つにしているのに注目した。
記者は、コロナ前までは三菱地所の「丸の内北口ビル(丸の内オアゾ)」が勤務地で、オフィスにいるときは必死でキーワードを叩き、取材で外出するときは街路樹と建物ばかり眺めていたので、街行く人には関心を払わなかったので確証は得られないのだが、コロナ禍の三井不動産「コレド室町」「COREDO室町テラス」「MIYASHITA PARK」、三菱地所の仲通りをはじめとする「大丸有」エリアの街は、コロナ前とは様相が一変したように感じる。目立って増えたのは小さな子ども連れた女性グループだ。これだけでオフィスワーカーでないことが一目瞭然だし、着ている衣服も労働者のそれではないし、昼間から平気でワインなどを飲んでいる。
どこから湧き出てくるのだろうと考えるのだが、おそらく人口が爆発的に増えている中央区を始めとする千代田、港区、渋谷区居住のアッパーミドル・富裕層だろう。
この仮説が当たっていれば、「都心生活者」のキーワードの謎が解ける。今後、来街者の争奪戦はますます激化する。負ければ商業施設だけにとどまらず、オフィス空室率の悪化を招く。いかに来街者を増やし、滞在時間を延ばすかが大きなテーマになってくるのではないか。

藤井氏(左)と牛河氏

「東京ミッドタウン八重洲」
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オフィスロビーと24階の会員向け施設は整備途中だったが、それぞれ2層吹抜けで床材・壁材には天然石や天然目の突板が多用されている。24階はカーペット敷きだった。(通常階のオフィスフロア天井高は2800ミリとか)
顔認証による「完全タッチレスオフィス」や「デリバリーロボット」の導入は驚きはしなかったが、小生のようにタバコを吸うためにしょっちゅう席を外す人は全部カウントされ、配達料は取らないというが、ロボットに趣向まで知られるのは気持ちのいいものではない。そのうち〝カロリーの取りすぎですよ〟〝もっとましなものを食べなさい〟などと注文をつけるロボットが出現するのではないか。
今年3月に行われた施設見学会でも確認しているのだが、今回の内覧会でもセントラルタワーの外観はゆるやかなカーブを描いたシンメトリー形状であることを再確認した。この前見学した三菱地所レジデンス「ザ・パークハウス グラン三番町26」もそうだった。

顔認証完全タッチレス(認証されない人はたちまち赤い警報が出る)

デリバリ―ロボット

