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喜多川歌麿「寛政三美人」

 全国市長会長を務める福島県相馬市の立谷秀清市長(70)が連合初の女性会長に就任した芳野友子会長を「美人会長」と発言したことに対し、容姿に着目したセクハラ発言であると批判が相次ぎ、立谷市長は「軽率だった。配慮が足りなかった」と謝罪した問題に、記者はショックを受けた。

 「美人」「きれい」「美しい」を連発してきたからだし、もうセクハラの権化だ。RBA野球記事では「それでも男か」と罵り、「メタボ」「相撲取り」「片玉」「美女と野獣」などと貶めてきたし、醜悪な顔をアップで写真にしてきた。さらに封殺、三重殺、刺殺、憤死、死球、挟殺、盗塁…殺し合いや戦争を唆してきた。犯罪者そのものだ。訴えられたら、体がいくつあっても足りない。これからは、おててつないで仲良しこよしの記事を書かないとだめなのか。

◇      ◆     ◇

 立谷氏は、「福島市での連合福島定期大会での挨拶で、少子化対策について『労働分配率を上げて、男性の所得、女性に悪いけど、男性の所得を上げていかないと人口問題は解消しない』と主張」(10月30日付朝日新聞)した後で「今度の美人会長も楽しみにしている。色々と協議しながら、日本にとっての問題は何なのかを連合と共通の立場で考えていきたい」(同)と、男性の所得や人口問題に絡めて「美人会長」と語ったのが批判を浴びたようだ。

 確かに文脈からして不適切だとは思う。しかし、深読みかもしれないが、立谷氏は芳野会長の外見ではなく、「共産党との閣外協力はありえない」と野党共闘に牽制球を投げた芳野会長の政治姿勢を「楽しみにしている」と語ったのではないか。自らの6期目を狙う政治的な発言だと思う。

 それはともかく、「美人会長」の言葉はどこがセクハラなのか。謝ったのでなかったことにしたのは是なのか。

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 記者は、マンションなどを見学するとき、基本性能や設備仕様を重視するが、意匠デザインの美しさも必ずチェックする。〝見た目〟はとても重要だ。〝美しいか美しくないか〟-この審美眼こそ記者の生命線だと思う。それを養うのはただひたすらに観る以外に方法はないと断言できる。

 ただ、人間を観るときは、〝見た目〟よりは何を話すか、何を行うか、心の奥底まで観るよう心がけている。心の美しさはしぐさや言動ににじみ出るからだ。女性を「美人」「きれい」「かわいい」などと表現するときも、ただ外見だけで評価しているわけではない。ただの見てくれの美しい人は間違いなく化けの皮がはがれる。

 「美人」に関して、熱烈な阪神ファンで知られる風俗史、風俗評論が専門の、記者か好きな井上章一氏は「日本の女が好きである。」(PHP研究所)という身もふたもない著書で次のように述べている。少し長いが引用する。

 「『美人』かそうでないかは、顔以外の部分できまる。性格や知性こそが、その判断材料になる。もし、人々が本気でそう思っていれば、顔の悪い『美人』もイメージできるはずだ。しかし、そういう人のことは、とうてい脳裏に思い描けない。

 やはり、『美人』か否かは、顔で決まると、みんなそう思っているせいだろう。たてまえはともかく、たいていの人、日本語を話すほどの人は、そう思っているはずである。すくなくとも、心の奥底では。」

 井上氏はまた「あとがき」で、現在の男社会の職場は以前とくらべ男をまどわすチャラチャラした女性を排除する力が弱まり、受容的になってきたとし、「私は、こういうところにも女権の成長=フェミニズムのいきおいを、かいま見る。

 今のファッション雑誌には、セクシーな女の衣装が、数多く紹介されている。フェミニズムの先頭的な論客は、そこに男の権力を読みとろう、男たちがメディアを支配し、女を性的な奴隷にしむけている。女を性的な奉仕者、それこそメイドにしたがっているのだ、と。

 しかし、わたしはそこから逆の趨勢が、見えてくる。女たちは、目に見えぬチャドルから、ときはなたれてきた。男をそそってあやつる、いわばエロ力の発揮を、社会へみとめさるようになっている。それをおしとどめようとするおっさんの壁は、つきくずされてきた。つまりは、女権がのし上がってきたのである。」と述べている。

 記者は、この前半の部分については賛成しかねるのだが、後半の部分はその通りだと考えている。女性議員や会社役員が増えないのは「女性差別」が最大の理由だとは思うが、男をおだてあげ担ぎ上げ、利用したほうが賢明と考える賢い女性が増えてきたような気がしてならない。

 選択制夫婦別姓は今回の衆院選で争点になるかと思ったが、そうはならなかった。姓だけ差別がなくなっても世の中は変わらないと考える強かな女性の計算が働いたのではないか。それとも〝男による男のための男の選挙〟に絶望して選挙そのものを拒否したか、あるいは男を見限った判断かもしれない。

 前半の部分は賛成しかねると書いたのは、小生は女性の外見だけで美人か非美人であるかを判断していないからだ。マンションに十全がないように、男も女も同じだ。たかが外見だけで判断したら、誰もが生きていけない。しかし、だからといって「美人」を封印したら世の中は真っ暗闇になる。

 これは記者の〝特技〟だと思っているのだが、たとえ外見が美しくなくても、その人の美しいところだけを見て褒めるようにしている。例えば「心が美しい」「声が美しい」のほか髪、目、口…もうこれだけで人生がばら色に輝いて見えてくる。女は全て美しいと。

 外見だけで美人だとか非美人だとかで判断したら、小説、歌謡、絵画など芸術は成り立たない。芸術は人間の醜さ弱さ、生きる世界の理不尽さ、差別社会、わいせつ性を暴き出すから人々に感動を与える。

 そういえば、埼玉県戸田市には全然美しくないのに「美女木(びじょぎ)」という地名がある。「美魔女」という言葉もあるではないか。将棋には「女流名人戦」があるし、わが国のメディアは北朝鮮の「美女軍団」を大々的に報じたではないか。ミス・ユニバースを筆頭とするミス・コンは知性や・人間性も重視されるというが、水着審査(ミス日本は今年から廃止したそうだが)もあるではないか。

 これらに目をつぶり、ちょっと「美人」だとか「美しい」と書いただけでセクハラだと批判される。直截的に褒めるのが差別というなら、比喩的に褒めるのは許されるのか。立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花はいいのだろうか。散り際のサクラとか、日陰のドクダミのようなたたずまい、イヌノフグリのような可憐さ、女郎花のような妖しさ…と書けばいのだろうか。この前、「若い女性担当者」と記事に書こうとしたら、広報担当者からは「『若い』と『女性』をくっつけないで頂きたい。『若い担当者』か『女性担当者』にしていただきたい」とやんわりNOといわれた。

 そんなことより、「女性蔑視」そのものの言葉のほうが問題ではないのか。鹿児島大学教授・小寺初世子氏は「女性差別をなくすために」(明石書店)で、「『女偏漢字』が、われわれの意識内の女性にたいする偏見、女性蔑視を植えつける原因のひとつになっていないか」とし、「なくしたい女偏漢字」として「汝」「奴」「奸」「妄」「妨」「妖」「嫉」「妬」「姦」「媚」「嫌」「委」「嬲」などを挙げている。

 なるほど。その通りだろう。漢字は中国由来の儒教思想に基づいた男尊女卑の言葉であるならば当然だ。

 女偏の漢字で言えば、記者は「努」は「女」の「又」(股)の「力」は凄いと覚えた。大人になってそれは事実であることを知った。ところが、「努」は形声文字で、「女」は「奴婢」(奴隷)を意味し、「又」は股ではなく手の形で、「力」は農奴が農耕に勤労する意味と、白川静「字統」(平凡社)にはある。同著の象形文字「美」は、羊の角から後脚までの全形を写した形で、成熟した羊の肥美を示すとある。

 つまり、昔の儒教思想に凝り固まった男は、「女」とは奴隷であって、「美」は雄か雌かは不明だが羊だと認識していたようだ。

 そのあからさまな儒教思想による性差別を改めようとする意図があったのかなかったのか、わが国は万葉仮名-平仮名を開発した。

 考えてみれば、そもそもわが国にはそのような男尊女卑の思想はなかったのではないか。神道における「神」とは自然そのものだ。だから八百万の神と崇めた。わが伊勢神宮が奉る天照大神は女帝・女神だ。平塚らいてうが「元始、女性は太陽であった」(「青鞜」発刊の辞)と書いた通りだと思う。

 話は横道にそれる。記者は、誰が誰と結婚しようがまったく興味はないのだが、眞子内親王殿下と小室圭氏の婚約内定会見で、眞子内親王殿下が「最初に惹かれたのは、太陽のような明るい笑顔であったと思います」と述べられ、小室圭氏は「宮様は私のことを月のように静かに見守ってくださる存在でございます」と返したのに、えっと思った。若い二人がこんな時代遅れの言葉を吐いたのに絶句した。

 世間はどうであれ、結婚する二人にとって一方が太陽で他方が月というのはありえないはずだ。ともに太陽であり月だ。私事で恐縮だが、小生は結婚するときの案内状に「彼女をいつまでも太陽のように輝くように」と書いた。これが相手の親戚から「ふざけている」との顰蹙を買い、改めて普通の案内状を送った。結婚式の案内状を2種類作ったのはそうないはずだ。

 もう一つ私事。記者の母系は美形が多い。母親はろくに文字も書けない「土偶」そのものであったが、風呂上がりの全身からゆらゆらと湯気が立ち上るすっぽんぽんの姿は美しいと思った。母親の妹は真逆で、病弱だったため農耕作業はあまり行わなかったという。色が白く〝ミス〇〇〟と呼ばれたそうで、百人一首をそらんじていえた。記者のいとこは「ミス〇〇」に選ばれた。

 しかし、そんな外見だけで男女を差別する思想・風土は田舎にはなかった。貧しい農家は老若男女、牛も含めてみんな貴重な労働力だった。差別する余裕などなかった。とはいえ、記者は、家父長的社会・経済体制の中で生まれ育った。「アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)」で女性を見ていることは否定できない。しかし、その一方で、自らの劣等性もしっかり自覚している。この劣等意識が差別を買い使用するヒントだとも考えている。

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 ここまで取り留めなく書いてきた。堂々巡りでさっぱり先が見通せない。このあたりでやめる。結論などない。

 一つだけ言えるのは、「差別」の最たるものは、女性(あるいは男性)の家事や育児、介護、夫の世話(妻の世話もあるからfifty-fiftyか)などの無償労働だと思う。この労働の価値を可視化すれば世の中はひっくり返る。女偏は男偏(一つもない)に変換される。

 興味深い例を示す。厚労省「厚生労働白書」の「専業主婦世帯」とは「夫が非農林業雇用者で妻が非就業者(非労働力人口及び完全失業者)」とある。これを逆読みすれば、農林業に従事する世帯には「専業主婦(夫)」はおらず、「兼業農家」という概念はあるのに「兼業主婦(夫)」という言葉はない。

「目指すは企業価値の向上」タカラレーベン・髙荒美香氏 女性活躍の視点から注目(2021/11/4)

「202030は可能か」 日本学術会議 ジェンダー研究分科会セミナーに参加して(2016/10/25)

涌井・都市大特別教授 「わが国の自然はかみさんと一緒。美しいが扱いも難しい」(2016/12/11)

大成有楽・三井レジ 狭山ヶ丘でママ支援「ママココロPROJECT」(2015/7/30)

日本建築学会 「もうひとつの居場所(サードプレイス)をどこに持つ」(2014/3/18)

加速する「フレックス」「モバイル・ワーク」リージャスのリリース(2014/3/13)

旭化成ホームズ くらしノベーション研究所「子育て・共働き」テーマのフォーラム(2113/2/15)

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「プレミスト和光丸山台」

 大和ハウス工業が分譲中の「プレミスト和光丸山台」を見学した。最近の東上線・有楽町線沿線の人気化・価格上昇を受け、坪単価は307万円と300万円を突破しているが、販売は順調に進んでいる。

 物件は、東京メトロ有楽町線・副都心線和光市駅から徒歩10分、和光市丸山台ニ丁目の第一種住居地域、第一種中高層住居専用地域に位置する5階建て全36戸。先着順で分譲中の住戸(10戸)の専有面積は55.22~72.33㎡、価格は5,070万~6,650万円(最多価格帯6,100万円台・6,300万円台)、坪単価は307万円。施工は新日本建設。竣工予定は令和4年2月。売主は同社のほか三信住建。

 同社東日本初の抗ウイルス・抗菌加工の建材を採用しているほか、在宅ワークスペースを確保し、同社初の「埼玉県子育て応援マンション」に認定されているのが特徴。販売開始は9月11日からで、11月12日現在、半数強が成約・申し込み済み。

 現地は、東側と北側に接道。東側の道路は幅員16mあり、北側は幅員6mを挟んで東武線の線路。敷地の西側は中学校に隣接。建物は全戸東南向き。27戸が65~66㎡の3LDK。他は72㎡が4戸、55㎡が5戸。

 主な基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、ディスポーザー、食洗機、リビング天井高2450~2500ミリなど。トイレドアを壁面までセットバックさせている。

 販売担当の同社東京本店統括マンション事業部東京マンション事業部第三課・大原正義氏は、「和光市は、埼玉県下で浦和、大宮に次ぐ都心に近くてポテンシャルの高い街。しかも始発駅。駅北口には5年後くらいに34階建ての再開発タワーマンションが予定されているなど将来性も期待されている。65㎡中心だが、アウトポールを採用し収納に工夫を凝らしているので70㎡と遜色ない。RBA野球? 春日部共栄時代の甲子園組で東海大卒の新人が入社した。わたし? 4番は無理だが代打、DHならいける。トミー? 冨長さんは50歳を超えだが、投げられるよう調整している。来年、グラウンドで会いましょう」と語った。

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建築中の建物

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 大原氏(45)とは、RBA野球大会で20年来のお付き合いだ。若いときは主砲として活躍し、チームの高齢化で勝てなくなったときはプレーイングマネージャーとしてチームを引っ張ってきた。口達者で、決して弱音を吐かず、選手をけなすこともなかった。

 今回、大原氏がこの「和光」を担当しているということを聞いて取材を申し込んだ。注文住宅の戸建てを20年担当し、マンション担当になってから2年目とのことだった。

 饒舌は野球と一緒。坪単価307万円は決して安くないが、同じ沿線の「大山」は坪単価350万円で、3年前に坪単価265万円で分譲された近接物件はそれより高い値段で取引されていることなどを説明した。この物件についても「65㎡でも70㎡の機能がある」と自信たっぷりに話したのには口をあんぐりさせるほかなかった。

 「トミー」とは、和歌山の名門・箕島高校から立命大に進み、抑えのエースとして活躍した冨長氏だ。50歳を超えてまだ投げる気力があるのか。ストレートは100キロか。投げたらつるべ打ちにあうのではないか。それでも必死に投げる姿を見たい。

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大原氏

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 現地を見学するため舗道を歩いていたら、元素番号が付されたプレートが7~8メートル置きに埋設されていた。元素は100くらいあったはずで、学校で暗記させられたものだと思った。

 後で確認したら、これは理化学研究所和光研究所(理研)の森田浩介博士を中心とした研究グループが原子番号113番の新元素の合成に成功し、平成28年11月30日に国際純正応用科学連合(IUPAC)がこの新元素の名称を「ニホニウム」とすることを認定したことを受け、その偉業を記念するため、和光市駅から理研までの道を「ニホニウム通り」と命名。元素記号1番から118番までのプレートを路面に埋設し、駅南口に記念碑、外環上部にモニュメント、市道113号線に通り名表示板などを設置したとある。

 いい取り組みだ。市によると「ニホニウム通り」の総延長は約1,070m。一方で、街路樹には名前は付けられておらず、市のホームページには街路樹の本数、樹種などは記載されていない。緑被率は33.8%。これは埼玉県の各市と比較して高いほうではないか。

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和光市駅南口の原子番号1「水素」のプレート

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駅前の記念碑


 

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「グランマーレ船橋二和向台 カームライフ」 

 ポラスグループの中央グリーン開発は11月12日、千葉県船橋市で開発中の大規模分譲戸建て「グランマーレ船橋二和向台 カームライフ」(62区画)の販売が好調で、分譲開始から約半年で59戸残り3戸と発表した。同日、メディア向け見学会を行った。

 物件は、新京成電鉄二和向台駅から徒歩8分、船橋市咲が丘3丁目の第一種低層住居専用地域(建ぺい率50%、容積率100%)に位置する全62区画。土地面積は115.71~198.73㎡、建物面積は88.19~109.30㎡、価格は3,280万~4,880万円(平均は4,000万円前後)。建物は木造在来工法2階建て。施工はポラテック。

 4月30日から販売を開始し、11月4日現在、751組の来場を集め、59戸を成約。残りは3戸となっている。立地と価格のバランスの良さが評価され、インスタグラムの反響が効果的だったという。

 契約者は、船橋市居住者が29%、都内が14%、松戸市が12%。平均年齢は34.1歳の第一次取得層。53%が都内勤務。

 場所・モノ・楽しみをシェアできるコミュニティタウンを目指し、約1,200㎡の調整池を地下化し、上部を公園として利用できるように整備したほか、幅9m×長さ約73m(657㎡)の施設緑地にはヤシの木などの緑を配し、石畳の散策路には3か所にベンチ(うち1か所は防災ベンチ)を設置。分譲戸建てでは珍しいカーシェア(1台)を導入しているのも特徴の一つ。調整池の地下化は2021年グッドデザイン賞を受賞した。

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階段の上が調整池を地下化した公園&緑地

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街並み

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モデルハウス

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 同業の記者の方が「これはため池か」と担当者に聞いた。記者は「ため息」をつくほかなかった。大規模開発が少なくなった今は「調整池」などは死語に近いのだろうが、「ため池」とは似て非なるものだ。戸建て住宅街を取材するとき、いつも考えたのは「調整池」の活用だった。柵・フェンスを取っ払って、子どもの遊び場などにできないかと。皆無ではないが、調整池に蓋をし、地域住民に開放した事例は全国的にも珍しいはずで、整備費には数千万円かかっているのではないか。

 グッドデザイン賞審査員が「公園としての居心地や環境整備については今後少しずつ改善していくことが望まれます」と述べているように、管理する行政と利用する地域住民が話しあって、いろいろなイベントを行えるように公園利用のあり方を検討すべきだと思う。同社は管理組合を通じ、地域とのつながり・コミュニティ醸成に取り組んでいくとしている。

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緑道(この手前に調整池を地下化した公園がある)

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 記者が驚いたのは、1本数十万円はするはずのヤシの木やドラテナなどの樹木を緑地だけでなく敷地内5カ所に惜しげもなく配していることで、ベンチは草花の手入れ用具が入れられるようになっていた。環境にやさしいガビオンが全戸に採用されており、隣り合う数戸で構成されるコモンスペース(コースタルウォークパーク)もいい。

 住戸プランでは、2戸だが平屋の提案がいい。個人情報もあるので詳細は書けないが、ニーズは間違いなくある。公開された1戸のリビング天井高は最大3.5mあった。1階住戸は防犯合わせガラスが採用されていた。

 担当者によると、エリアの相場は2,000万円台の半ばから3,000万円台の半ばだそうだが、この価格帯では今回のようなランドスケープデザインや設備仕様レベルは絶対確保できない。都民にはなじみのない「二和向台」でも契約比率が14%(8戸か)というのもよく分かる。別掲の「怒り心頭 イチョウは殺していいのか 船橋・二和向台の無残な街路樹」の記事と合わせて読んでいただきたい。

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販売センター所長の上津原祐樹氏(上津原氏はRBA野球大会で活躍しているポラスグループ野球部の主力の一人。お会いできてとても嬉しかった。商品企画がいいので販売には苦労しなかったと思うが、地元相場の3,500万円の壁を打ち破ったのはさすがだ)

怒り心頭 イチョウは殺していいのか 船橋・二和向台の無残な街路樹(2021/11/12)

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二和向台駅前の商店街(イチョウの存在感はまったくない)

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二和向台駅前の商店街の無残な姿をさらけ出すイチョウ

名前は知っていたが、京成線「二和向台」駅に降り立ったのは初めてだった。ポラスグループ中央グリーン開発の好調な分譲戸建て「グランマーレ船橋二和向台 カームライフ」(62区画)を取材するためだ。

駅北口には商店街があった。郊外住宅地によくある光景だ。ぎょとしたのは街路樹のイチョウだった。幹の太さからいって樹齢は数十年、自然に育てば樹高は少なくとも10mはあるはずなのに、何と2階建て商店街と同じ、6mに届くか届かないくらいの高さにぶった切られていた。すべての枝も数十センチ以下に強剪定されていた。

紅葉が終わった後なら分からないではないが、瘤だらけの姿は、長年にわたってそうされてきたのが一目瞭然だった。幹にへばりつくように必死で生き延びようとする未成熟の若葉が痛々しかった。それが延々と200300m、本数にして数十本はあった。イチョウ並木の墓標、葬列だ。

怒り心頭、かっと頭に血が上った。私は知らない。どうしてイチョウは雄株と雌株があるのか。葉っぱは扇形になり、切り込みは何の意味があるのか。実はどうして異臭を放つのか。俎板に重宝されるのか。東大のマークになったのか。

おそらく、樹齢数百年という巨木も珍しくないというから、成長力が強く、劣悪な環境でも生き延びられるからだろうと思う。だからこそ神社やお寺などのシンボルツリーになったのだろう。

そんな畏怖・敬愛すべきイチョウが、雄と雌が交わり、次の世代に子孫を残す目的を達した後に黄色く染まることさえ許されない-人間でいえば男は陰部や脇の下、鼻の下に髭か生え、女は初潮を迎えるころに、声帯を切除され、割礼の儀式を受けるのと一緒ではないか。

怒りの矛先は行政に向かった。どうしてこんな乱暴なことをする権利があるのかと。〝落ち葉の処理に困る〟とか何とかの〝住民〟の苦情を受けないための事なかれ主義がそうさせているのだろうが、角を矯めて牛を殺すのと一緒だ。街のポテンシャルを引き下げることを行政が先頭に立って推し進めている。許せない。

しかし、これは行政だけの責任ではない。生きるため金を稼ぐためとはいえ、イチョウにとって「死」を意味することが分かっていながら、目をつぶり、唯々諾々と受け入れる造園業者がいる。どうしてプロとして〝NO〟と言えないのか。情けない。

さらに考えた。これは行政や造園業者だけに責任があるのではない。そんな暴挙を容認する市民のほうがずっと罪が重いのではないか。試しに駅近くで、買い物帰りの若くもない市民らしき女性(これは差別だという人もいるかもしれないが)に聞いてみた。「これはあんまりではないか」と。その女性は「イチョウ? 言われればそうかもしれない」と答えた。

ここに問題のすべてがある。普通の男も女もイチョウくらいは認識できるはずなのに、この街路樹がイチョウであることを市民は認識していない。いかに異形であり、葉っぱは蘖(ひこばえ=大人になり切っていない若い芽)であるかを物語っている。

言いたいことはまだある。こちらのほうが問題かもしれない。ポラスの担当者によると、地元の住宅購入検討者は「2,000万円台の後半から3,000万円台の後半が相場だと思っている人が多い」そうだ。

なるほど。イチョウが成長しないまま電柱のようにぶった切られてもなんの痛痒も感じない、緑を愛でるゆとりもない所詮その程度の人たちが住むところかと納得もした。

「グランマーレ船橋二和向台 カームライフ」の記事は明日以降に書く。こんなひどい地域でよくぞ売ったと思う。商品企画が素晴らしい。都内居住者からも支持を得たのは当然だ。

取材の帰り。駅前の飲食店で390円と790円の白ワインを飲み比べた。どっちがおいしかまずいかわからなかった。私も船橋市民と一緒か。

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高さ4mくらいにぶった切られているイチョウ

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このように〝お花〟を添える人もいる

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これが都内でいま見られるイチョウ

またまた「街路樹が泣いている」 千代田区 街路樹伐採で賛否両論(2016/9/8)

 

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22/3は予想

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 三菱地所は11月10日、2022年3月期第2四半期決算を発表。売上高5,790億円(前年同期比9.8%増)、営業利益1,116億円(同13.9%増)、経常利益946億円(同3.3%増)、純利益552億円(同8.5%増)となり、売上高・営業利益・経常利益は2Qとして過去最高。コマーシャル不動産事業や海外事業におけるキャピタルゲインの増加が要因。

 セグメント別では、「コマーシャル不動産事業」はオフィスビル・物流施設等の売却632億円(前年同期は192億円)によるキャピタルゲインの増加により前年同期比増収増益。オフィスビルの空室率は3.18%(同1.12%)。

 「住宅事業」は、国内分譲マンションの売上計上戸数の減少、賃貸マンションの売却棟数の減少などにより減収減益。マンション販売状況は好調で、今期計上予定に対する進捗率は約97%。利益率も21.5%(前年同期は19.5%)と向上した。

 「アウトレットモール等商業施設」「ホテル」は、新型コロナの影響を受けたが、期間を通した収益は前年同期比改善した。

 「海外事業」は、物流施設等の売却によるキャピタルゲインの増加により前年同期比増収増益。

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「MID POINT(ミッドポイント)川崎」個室フロア

 今年4月に開設したコスモスイニシアのレンタルオフィス「MID POINT(ミッドポイント)」の第5弾「MID POINT川崎」を見学した。設計を担当したケミカルデザイン一級建築士事務所のデザインが〝めっちゃ、いい〟と思った。

 物件は、JR川崎駅から徒歩3分、川崎市幸区中幸町3丁目のLoc’s KAWASAKI BLDGの7~9Fの総区画77区画。区画面積は2.55~14.26㎡。設計はケミカルデザイン一級建築士事務所。施工はハヤカワ。

 入居者が利用できるラウンジにはコミュニティマネージャーが常駐し、食器や調理器具を常備したキッチンを備えており、多様な使い方を想定した個室を提案しているのが特徴。

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ラウンジ

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 立地がいい。道路を挟んだ対面は「ラゾーナ川崎」「東芝未来科学館」で、いま分譲マンションが分譲されたら坪単価は400万円以上するのではないか。若い方は信じられないだろうが、三井不動産レジデンシャルが2004年に分譲した「ラゾーナ川崎レジデンス」(667戸)を分譲したときの平均坪単価は180万円台だった。

 それとデザイン・意匠だ。9階のコワーキングスぺース・ラウンジの天井にランダムに吊るされた丸い照明は調光機能付きで美しい。個室ブースのうちも外もミッドナイトブルー(濃紺)が基調で、落ち着いて仕事をするのにぴったりだ。コーティングされたガラス扉もいい。

 8階も基調は同じだが、こちらはライトグレー。微妙に異なる。さらに個室ブースの外と内の天井には格子デザインがあしらわれている。

 記者は、「ケミカルデザイン」を初めて聞いたが、ネットで調べたら奥村俊慈氏と奥村靖子氏が共同で2001年に設立した会社のようだ。格子デザインを多用し、照明デザインにもこだわっている建築家だと思う。

 こだわりといえば、コスモスイニシアの担当者である賃貸事業部運営二部MID POINT推進課の白崎雄太氏はコーヒーに相当こだわっている方のようで、キッチン・カウンタースペースには、だれでも自由に利用できるコーヒーミルがセットされていた。かなり高価なもののようだ(記者も欲しい。豆から挽いて淹れたコーヒーは味が全然異なる)。入居者にも評価が高いのだろう。写真を撮るため空くのを待ったが、なかなか空かなかった。

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キッチンカウンターコーナー

初期投資抑え安定賃料保証 コスモスイニシア 駐車場上空活用ソリューション第一弾(2020/7/20)

レベル高い 天井高は3.5m コスモスイニシア レンタルオフィス第三弾「武蔵小杉」(2020/7/21)

 


 

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「nears(二アーズ)川崎」

 コスモスイニシアのシェアレジデンス「nears(二アーズ)川崎」とシェアオフィス「MID POINT川崎」を見学した。まず前者から。

 「nears」は、従来のシェアハウスや一般的な賃貸住宅にはなかった要素をハード・ソフト両面に取り入れ、プライベート空間を維持しながら、入居者同士が“ゆるやかにつながる”心地よい暮らしを実現する新しいタイプのシェアレジデンス。

 ハード面では、約100㎡の共用フロアには複数の用途に対応した空間を備え、気分やすごし方に合わせた居場所の選択が可能とし、全居室にトイレ・シャワー室・洗面など水回りを完備、収納スペースや家具家電の配置に工夫を施している。

 ソフト面では、コミュニティデザイナーを採用し、入居者同士の会話のきっかけづくりや共用フロアに集まる仕掛けを実施。コミュニティインフラツール「station」を全国で初めて賃貸住宅に導入し、オフラインとオンラインの両面から入居者同士のコミュニケーションを促進することで、“ゆるやかな隣人”が生まれやすい環境を提供する。

 さらに、スマートロック、freeアルコール、Freeコーヒー・ナッツ、ライブラリー、引っ越し&買取、クラウド倉庫などのサービスも行う。

 物件は、JR川崎駅から徒歩4分、川崎市幸区中幸町3丁目に位置する14階建て69戸(他に共用スペース、店舗2戸)。専用面積は14.4㎡66戸と18.2㎡3戸。賃料は14.4㎡が賃料99,500円+共益費で122,500円/月~、18.2㎡が126,000+共益費で149,000円/月~。契約期間は3か月、1年、2年の選択が可能。竣工は2021年10月22日。入居開始は11月21日。

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共用部

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ライブラリー

◇       ◆     ◇

 前段はほとんどプレス・リリースのコピペだ。記者はこれまで「シェアハウス」を見学したのは数えるほどしかなく、いいのか悪いのかさっぱり分からないので、そうするほかないからだ。

 見出しに「めっちゃ、珍しい」と取ったのは、女性担当者がそう話したからだ。記者はこれまで「めっちゃ」など使ったことは一度もないが、これほど端的に特徴を言い表した言葉はないのではないか。

 その「めっちゃ、珍しい」のはシャワー室、トイレ、洗面などの水回りが完備していることと、乾式戸境壁は分譲マンション並みの138ミリ確保することで遮音性を高めていることだ。一般的なシェアハウスの水回り共用部分にしかなく、使いたいときに使えないケースも多く、遮音性が劣るものも少なくないそうだ。

 なるほど。シャワー室にはタオル掛けが付いていたし、トイレも便ふたが自動開閉するタンクレスだった。これは単価が低い郊外マンションよりランクは上かもしれない。戸境壁も最近は薄いものを採用するケースが増えていそうな気がする。

 共用部分の水回り備品もいいものが採用されていた。ダイニングテーブルは〝この木なんの木〟で知られるモンキーポットの無垢材だったが、価格は70~80万円はするはずだし、炊飯器、湯沸かしポット、トースターなどは「BALMUDA」だった(「BALMUDA」を知らないのはあなただけとかみさんに言われた)。

 隔週土曜日にはfreeアルコールを設け、予算内ではあるが地ビールや入居者ゆかりの日本酒を提供するという。酒飲みにはたまらないサービスだ。

 難点は喫煙が居室も共用部分では不可で、1階まで下りないとだめだという。喫煙は文化だ。多様性の時代だ。ホテルもそうだが、専用部での喫煙は認めるべきだと記者は思うが、どうだろう。

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モンキーポットの無垢材のテーブル

〝駒込駅圏ナンバーワン〟 三菱地所レジ 第2号シェアハウス「駒込」完成(2018/6/12)

壁面にアートがいっぱい 三菱地所レジ 初のシェアハウス「永福町」完成(2018/4/27)

日土地 〝業界最高水準〟の共用部を備えたシェアハウス第2弾「船橋」(2013/9/17)

イヌイ倉庫 「企業寮をシェアする」新発想の「月島荘」が竣工(2013/9/29)


 

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「TSUBANA」

 事業主のユーミーらいふグループ・丸山アーバンと企画・設計・監理を担当したブルースタジオは11月9日、茅ヶ崎市の「なりわい暮らし賃貸住宅」と店舗棟からなる商住複合施設「TSUBANA」の街びらき内覧会を実施した。「風土」「地域」「文化」に「ねざす」をテーマにした「nezasu house」の第5弾で、不整形の土地に建つ築50年の賃貸住宅をリノベーションし、街に開かれた施設によみがえらせたランドスケープデザイン、商品企画が素晴らしい。

 物件は、JR茅ヶ崎駅から徒歩7分、茅ヶ崎市幸町7丁目の第一種住居地域(法定建ぺい率60%、容積率160%)に位置する敷地面積約1,613㎡、PC造2階建て改修店舗棟1棟と新築木造2階建て店舗併用住宅2棟(長屋3戸、共同住宅4戸)、長屋3棟(23戸)。事業主はユーミーらいふグループの丸山アーバン。企画・設計・監理はブルースタジオ。構造設計は長坂設計工舎、設備設計はEOSplus。施工はmarukan。店舗、賃貸住宅ともほぼ満室稼働。賃料は53㎡で共益費込み17.8万円。相場より高くてもリーシングは進んだという。

 店舗棟には地元にファンの多い「CAFE POE」がリニューアルオープンし、賃貸住宅棟にはアーティストやキッチンカー+カフェ、デザイン事務所など個性豊かなテナントが開業しているという。

 丸山アーバン・西山和成社長は、「物件は2018年に取得。築50年の賃貸をリノベーションすることでスタートしたが、PC造は構造に問題が多く、1棟を除いて新築に建て替えた。コンセプトは地域の活性化。一緒にパートナーを組もうとする方がたくさんいらっしゃる。この輪を広げたい」と語った。

 ブルースタジオ専務取締役クリエイティブディレクター・大島芳彦氏は「暮らしの本質は人と人、人と自然、人と文化などコミュニケーションの価値を高めることにあり、『nezasu house』は、これら風土、地域、文化の三つを『なにわい暮らし』ににじみ出る、可視化するブランド。ランドスケープデザインには力を注いだ」と話した。

 「TSUBANA」は、茅ヶ崎市に自生していた茅(ちがや)から名付けたもの。

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賃貸住宅棟

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大島氏(左)と西山氏

◇       ◆     ◇

 丸山アーバンとブルースタジオがコラボレーションした地域価値再生プロジェクトの取材は、第一弾「稜文舘」に次いで二度目だった。

 「稜文舘」もそうだったが、両社はいい仕事をしている。感嘆した。今回は何が素晴らしいかといえばランドスケープデザインだ。敷地はかなり不整形なL字型で、法定容積率は160%なのに建物の容積率は92.24%であることからも分かるように、容積を余さざるを得なかったのだろうと理解した。

 従前の賃貸住宅も画像で見せてもらったが、樹木など一つもない古い賃貸アパートだった。それが緑をふんだんに盛り込んだ、誰もが散歩がてら立ち寄りたくなるお洒落な街に一変した。

 環境への配慮も忘れない。PC造の既存棟を除き他の住棟のUA値は0.6でZEH基準を満たしている。

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賃貸住宅棟

◇                 ◆     ◇

 この日は土砂降りの雨。行きはタクシーを利用した。帰りは小降りになったので歩くことにし、大島氏から勧められた同じプロジェクトの一つ「たかすなヴィレッジ」も見学することにした。ところが、途中から雨が激しくなり、あげく道に迷ったため駅から往復で十数分のはずが、30分以上もさまよった。安物の折りたたみ傘は用をなさず、布を通して雨水がしたたり落ち、靴の中までしみこんだ。

 しかし、期待を上回る素晴らしいプロジェクトに出会えてとても嬉しくなった。この日は他の3つの現地取材もこなしたので、万歩計は一万歩を超えた。

出来すぎだ!焼杉! 見どころ多い小田急バス×ブルースタジオ「hocco(ホッコ)」(2021/10/7)

地域価値再生プロジェクト第一弾「稜文舘」完成 ブルースタジオ・湘南ユーミー(2017/2/22)

 


 

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村部(左)と成瀬(大手町パークビルで)

配布された20223月期第2四半期決算資料は字が小さくほとんど読めなかった。しかも、大した質問は出なかったとは思うが、最後列に座ったのと耳が遠くなったせいか、質疑応答で何が話されたか全くわからなかった。

何の収穫もなく帰るのは記者の沽券にかかわる。一つくらいコメントを取ろうと、決算説明会に臨んでいた三菱地所代表執行役執行役専務・片山浩氏に聞いた。「マンションの完成在庫が半減し、営業利益率が改善し、計上予定の契約進捗率が97%というのは初めてではないか」と。片山氏は「その通り。都心部も郊外部も好調に推移している」と答えた。

午後6時過ぎだった。あとはおいしい生カキでも食べようと、エレベータに向かって歩いていた。掃除ロボットが懸命に働いているお陰だろう、塵一つない通路の向こうから二人の男が歩いてきた。だしぬけに「牧田さん」と声を掛けられた。「ムラベです」

すぐ、東京建物野球部の村部であることは分かった。その村部がこんなところで何をしているんだろうと思ったら、「トラバーユしました」というではないか。名刺には「再開発事業部副主事  村部裕哉」のほかに、小さい文字ではあるが「不動産鑑定士」「再開発プランナー」の肩書が添えられていた。悪事を働いて資格をはく奪された末のトラバーユではなさそうだ。

だとするならば、その理由はなにか。選手として活躍したのはほんの23年で、口だけは達者なのが災いして戦力外通告を申し渡されたのか。それとも、誰憚ることなくずげずげとものいう態度が嫌われたのか、不動産鑑定士の資格を入社後数年で取得したのが煙たがられたのか-記者は頭をフル回転させた。ひょっとしたら実績が認められてFA権を行使したのかもしれないと。

真相は分からないし、そんなことはどうでもいい。東京建物から三菱地所への電撃トレードが成立したのは事実であり、なによりも本人が「投手? もう肩が痛くて投げられない。レギュラー獲りに必死。声も健在。仕事はとても楽しい」と語ったのが嬉しい。

傍にいたのは、村部と同期・同い年の2013年入社のキャプテン成瀬だと紹介された。肩書には「総務部副主事  成瀬隆彦」とあった。記憶に全然なかった。家に帰って検索したら、20166月のRBA記事には、東大卒の4年目で「宅建? ようやっと3年目で取りました」とコメントがあるではないか。

5年前の成瀬とこの日の成瀬は多分同一人物なのだろう。その成瀬が「早大硬式野球部の柴田が今年入社した。MAX150キロ。今年の丸の内大会3回戦で敗退したが、柴田がボコボコに打たれた。来年までには再生させる」と話した。

「鉄は熱いうちに打て」-成瀬が柴田を叩き直せば、来季の三菱地所チームはRBA大会で8強に勝ちあがるかもしれない。村部の咆哮が聞きたい。柴田がんばれ。

東京建物に奇跡をもたらすか 新人の村部投手(2013/7/16

 

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「パークコート神宮北参道 ザ タワー」

 三井不動産レジデンシャルは11月10日、フジタ本社跡地に建設中の「パークコート神宮北参道 ザ タワー」(471戸)の第1期販売2021年4月29日から開始し、第1期222戸のうち211戸(平均約2億2,800万円)が販売済みと発表した。同日、モデルルーム記者見学会を行った。

 物件は、東京メトロ副都心線北参道駅から徒歩1分、JR代々木駅から徒歩6分、渋谷区千駄ヶ谷4丁目に位置する敷地面積約4,837㎡、27階建て全471戸。第1期222戸の専有面積61.35~237.49㎡、価格は1億2,880万~13億7,000万円。全体の平均坪単価は900万円弱になる模様。竣工予定は2023年6月下旬。設計・監理は清水建設。施工は清水・フジタ建設共同企業体。デザイン監修はホシノアーキテクツ。

 10月31日現在の来場者は1,659組で、申込者の年齢は30代が約15%、40代が約25%、50代が約26%、家族数は1人が約23%、2人が約30%、3人が約14%、居住地は渋谷区が約17%、新宿・港区がそれぞれ約9%、その他都内が約48%。

 現地はフジタ本社跡地で、「明治神宮・代々木公園」「新宿御苑」「神宮外苑」の3つの公園が眺望できる立地が最大の特徴。

 デザイン監修に、同社の「TOKYO MIDTOWN HIBIYA」「パークコート渋谷 ザ タワー」などを手掛けた星野裕明氏を起用。「鳥や動物が羽を休め、生命を育てる安全で居心地の良い巣=NEST」に見立て、緩やかな曲線と編み込まれた形状を内外装デザインに採用。ランドスケープは、総合設計制度の認可を受け公開空地を確保しているほか、屋上緑化、基壇部の壁面緑化などの植栽にも力を入れている。

 共用部には、屋上にフィーリングデッキ、パブリックビューイングや貸切パーティーを満喫できるスクリーンデッキを設け、地下1階~2階の3層吹抜け空間に5つの多層構造の共用空間を用意。このほかフィットネスルーム、ゲストルーム、パーティーラウンジ、ゴルフラウンジ、シネマラウンジ、ランドリーラウンジを装備。スポーツバイクのレンタサイクル、サイクルワークショップサービスも行う。

 また、大建工業と共同で開発したCO2最大約48%削減が可能な冷暖房システム「AirLOGY」を3住戸に初採用。ZEH Orientedを取得している。

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グランドエントランス

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フィーリングデッキ

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パーティーラウンジ

◇       ◆     ◇

 フジタの本社跡地を空から見たら「明治神宮・代々木公園」「新宿御苑」「神宮外苑」に近いなどと考えたことは一度もない。「北参道」駅もこれまでほとんど利用したことがない。「代々木」駅といえば、代ゼミ、大京本社、共産党本部、NTTドコモビルのイメージしかない。そこにタワーマンションを建て、その眺望を最大限の売りにする同社の企画力・発信力には舌を巻くほかない。

 坪単価900万円弱は、とてつもなく高いとも思うが、最近の新築・中古マンションの値上がりを考えると、こんなものかとも思う。

 この単価でわずか半年の間に211戸を販売済みとしたのはやはり凄い。同社担当者も「好評」「連日満室」「想定外」「高い評価」などを連発した。約130戸ある1LDKタイプは未分譲だが、坪単価からして全て億ションにはならないようだ。

 競合する物件は、同社の「パークコート渋谷 ザ タワー」はともかく、担当者によると「パークタワー勝どき」を観ている人が多いというのにはびっくりした。単価が全然違うし、住環境もまったく異なる。最近の〝お金持ち〟は何を考えているのかさっぱり分からない。

 総合設計制度の適用を受け、屋上緑化のほか外周約370mにわたって基壇部の8割を壁面緑化し、明治通り沿いの公開空地は2列並木を配する計画としているのがいい。完成すれば見事な景観になるのは間違いない。

 冷暖房システム「AirLOGY」は3戸にしか装備しないのは〝三井ともあろうものが〟と不思議に思ったが、コストを削減するためではなく、開発に時間がかかり間に合わなかったという説明だった。先行する三菱地所「エアロテック」、野村不動産「床快full」との比較を聞いたら、「いいとこ取り。冷暖房の効きが速い。今後他の物件にも採用していく」とのことだった。全館空調が当たり前の時代がやってくるかもしれない。期待したい。

◇       ◆     ◇

 2つあるモデルルームのうち、スタンダードの90㎡は窓側がアール形状のLDK(34.7帖大)のほか「NEST Room」とホテルライクな主寝室(11.5帖大)や「Dressing Room」の提案はいいと思ったが、シート張りの建具・家具はやや拍子抜けした。

 星野氏がデザインしたペントハウスの237㎡のタイプは白が基調。やはり窓側が曲線のLDK(80.2帖大)は「パークコート青山 ザ タワー」でも感じたのだが、正直目が回った。この種のデザインを好む人はどのような人種か。

 この他、リビング天井高は最大3200ミリとしているほか、モザイクタイルを多用した壁面、Lavatory にはTOTOのネオレストNXを採用しているのが目を引いた。

 一つ納得できなかったのがBette社製のLuxury Bathの浴槽だった。夜景も眺められるものだが、跨ぎは50cm以上あった(間違っていたらごめんなさい)。踏み台か手摺がないと年寄りは入れない。上層階だから周辺ビル・マンションから覗かれる心配はなさそうだが、ブラインドがないと女性は利用できないのではないか。貧乏人のひがみか。

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主寝室(11.5帖大)と「Dressing Room」

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237㎡のLDK(80.2帖大)

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Bette社製のLuxury Bathの浴槽

渋谷区庁舎・公会堂 建替え事業 定借の三井不レジ「渋谷」竣工 一部は賃貸化も(2020/12/15

星野裕明氏がデザイン 柔らかな曲線が美しい外観 三井レジ「駒沢二丁目」(2019/12/5)

マンションはアートだ 三井不レジ「パークコート青山 ザ タワー」竣工(2018/4/11)

 

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