RBA OFFICIAL
 

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イメージパース

 三井不動産、明治神宮、日本スポーツ振興センター、伊藤忠商事の4社は5月19日、東京都から2022年3月10日に「神宮外苑地区地区計画」都市計画決定の告示を受けたことにより、プロジェクトサイトを新設し今後の具体的な整備計画を順次公表していくと発表した。

 三井不動産らは「スポーツを核とした神宮外苑地区の新たな100年に向け、誰もが気軽に訪れ楽しむことが出来る公園の再編と、広域避難場所としての防災性を高める複合型の公園まちづくり」をビジョンとし、誰もが利用しやすく、安全・安心・快適で魅力的なまちを、各関係機関等との協議を進めながら形成するとしている。

 神宮外苑地区地区計画は約66.0haの規模で、大規模スポーツ施設、公園、既存施設等の再編・整備を図る地区(A地区)、明治神宮聖徳記念絵画館、神宮外苑いちょう並木を中心とした緑豊かな風格ある都市景観を保全し、緑と調和した空間整備を図る地区(B地区)、スポーツクラスターへの玄関口として、印象に残る景観形成を図る地区(C地区)からなる。三井不動産などが整備するのはB地区の約28.4ha。

 今回のプレス・リリースは、東京都が2018年11月に策定した「東京2020大会後の神宮外苑地区のまちづくり指針」を踏まえ、2020年2月に東京都公園まちづくり制度実施要綱に基づく公園まちづくり計画の提案書を提出し、2021年7月の同制度の適用許可を経て、同年7月14日に都市計画提案を行い、2022年3月10日に「神宮外苑地区地区計画」都市計画決定の告示を受けて行った。着工は2024年で、全体竣工は2036年の予定。

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18回RBA野球大会水曜ブロック準々決勝戦で旭化成ホームズ・今野投手から先制打を放った〝ミスターRBA〟東急リバブル岡住選手(試合は旭化成が勝利し、そのまま総合優勝した)

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第30回RBA野球大会(平成30年)水曜ブロック準決勝戦でオープンハウスに快勝した野村不動産アーバンネットナイン(コブシ球場)

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この日、台風24号で倒れた球場内の巨木ヒマラヤスギの撤去作業が行われていた(数本倒れた模様)

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 記者は、整備計画でテニスコートに変わることになっている神宮外苑軟式野球場にはRBA野球大会の取材で100回は訪れている。全6面あり、それぞれ「日の丸球場」「ヒマラヤ球場」「桜球場」「ケヤキ球場」「大銀杏球場」「コブシ球場」と名付けられているように樹齢100年近くの巨木がたくさん植えられている。

 それだけに思い入れが深い。三井不動産らが「新たな100年に向けた多様な緑化を計画」としている緑環境はどうなるのか。同社は「経年優化」「残しながら、蘇らせながら、創っていく」を街づくりのコンセプトに掲げている。歴史ある巨木をぶった切るようなことはしないと思う。

 リリースには、樹木について、「神宮外苑創建の成り立ちを踏まえ、計画地における先人の想いや歴史に想いをはせながら1本1本の樹木を大切に扱い、樹木の状態などの詳細な調査を行い極力保存または移植をします。また新たな植栽にあたりましても、計画地周辺に残存する緑地の構成種を中心としつつ、動植物の生息・生育環境にも配慮しながら、例えば市民参加の植樹など、皆様の思いを表すことができるよう、新たな神宮外苑のみどりを作り、守る取組みも検討し、より多くの人々に開かれた良質な公園的空間を実現すべく今後具体的な検討を進めて参ります」と多くのスペースを割いている。

 都が平成30年に行った「東京2020 大会後の神宮外苑地区のまちづくり指針(素案)」に対するパブリックコメントには76通の意見が寄せられ、既存樹を残すよう求める声も多数あった。

 都もこれらの声を意識したのか、「みどり・交流ゾーン」の建築物の高さは15m以下、いちょう並木沿道の建築物の高さはいちょう並木の高さ以下とするとしている。(記者は建築物の高さを樹木の高さ以下に抑えるのは合理的根拠がないと思うが)

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いずれも神宮外苑軟式野球場で行われた第18回大会RBA野球大会

山本の3ランで生還した森を迎える野村アーバンナイン(2018/10/3)

先の台風24号で倒れた球場内の巨木ヒマラヤスギが撤去されていた(数本倒れたとか)

旭化成ホームズ山本が決勝弾 中山は3安打猛打賞の2打点の活躍(2006/10/4)

 

 野村不動産は518日、東京電力エナジーパートナー(東電EP)が提供する太陽光PPAサービス「エネカリプラス」を活用し、同社の分譲戸建て「プラウドシーズン」年間供給戸数約300戸にメガソーラー発電と同規模の太陽光発電(総発電出力1,000kW)を導入する「バーチャルメガソーラー」を始動すると発表した。この種の取り組みは業界初という。

同社は、メガソーラー発電は発電規模が1,000kW以上の大規模な太陽光発電システムを指し、効率良く電力を生み出す仕組みとして全国的に発電設備が増加しているが、休閑地が少ない首都圏での導入はハードルが高い状況で、年間約300戸のプラウドシーズン」に「エネカリプラス」を導入することで、メガソーラー発電と同規模の追加性のある再生可能エネルギーの創出を毎年実現していくとしている。

プラウドシーズン購入者は、エネカリプラス契約期間中(10年間)、初期費用無料で太陽光発電設備で発電した電気を利用することができ、月額サービス料も無料。契約期間満了後は太陽光発電設備が無償で譲渡される。また、電気式給湯機「おひさまエコキュート4」を併用することで、太陽光発電の自家消費を促進し、光熱費を削減できる。

「バーチャルメガソーラー」のスキームは次の通り。
 ① 野村不動産の分譲戸建「プラウドシーズン」年間約300戸に太陽光発電設備を設置
 ② プラウドシーズンオーナーは、東電 EP とエネカリプラスを契約
 ③ プラウドシーズンオーナーは、太陽光発電設備で発電した電気を使用(自家消費)
 ④ 東電EPは、余剰電力を固定価格買取制度(FIT)を通じて電力会社へ売電
 ⑤ 東電EPは、プラウドシーズンオーナーが自家消費した太陽光発電の環境価値を J-クレジット制度を活用し J-クレジット付電力として野村不動産へ供給。また、余剰電力の環境価値は、トラッキング付FIT非化石証書として調達し FIT非化石証書付電力として野村不動産へ供給
 ⑥ 追加性のある再生可能エネルギーが創出され、野村不動産は環境価値を事業に活用する。(野村不動産ホールディングス)

野村不動産ホールディングスは、グループ全体の温室効果ガス(CO)排出総量を2030年度までに2019年度比35%削減、2050年までに100%再エネ導入を目指している。

東京電力グループは、販売電力由来のCO2排出量を2013年度比で2030年度に50%削減、2050年におけるエネルギー供給由来のCO2 排出実質ゼロを目指している。

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.ルーフトッププール

 三菱地所は5月18日、同社が参加組合員として参画している「道玄坂二丁目南地区第一種市街地再開発事業」のホテル棟にテイクアンドギヴ・ニーズ(T&G)が運営する「TRUNK(HOTEL) DOGENZAKA(仮称)」の出店が決定したと発表した。

 ホテルは、渋谷・道玄坂にありながらカジュアルに染まらない、遊び慣れた大人をターゲットにしたラグジュアリーブティックホテル。エリア最大級のルーフトッププールをはじめ、ルーフトップレストラン&バーやシアタールーム、最新ウェルネスを体験できるスパや多彩なジャンルのレストランなどを備える。建物は11階建て延べ床面積約13,000㎡。客室は120~130室、客室面積は28〜120㎡。開業予定は2027年3月頃。

 再開発事業は、京王井の頭線渋谷駅に直結、渋谷マークシティに隣接する渋谷区道玄坂二丁目に位置する敷地面積約6,720㎡、延床面積約87,100㎡。30階建てオフィス棟と11階建てホテル棟を整備する。設計は三菱地所設計・山下設計。デザイン総合監修は北川原温建築都市研究所、事業コンサルタントは都市企画。施工は未定。竣工予定は2026年度。

 

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「ルピアシェリール武蔵浦和」

 ポラスグループ中央住宅が分譲中のコンパクトマンション「ルピアシェリール武蔵浦和」を見学した。駅から徒歩3分の全55戸で、桜並木の緑道に面しているのが特徴。販売は好調。

 物件は、JR埼京線・JR武蔵野線武蔵浦和駅から徒歩3分、さいたま市南区別所6丁目の第一種住居地域に位置する7階建て全55戸。専有面積は32.28~47.46㎡、坪単価は300万円超。現在先着順で分譲中の3期(5戸)の価格は3,090万~3,750万円(32.28~32.79㎡)。竣工予定は2023年1月下旬。売主は同社のほかアートランド。施工はCMC。販売代理はアートランド。昨年11月から販売開始しており、販売は順調。

 現地は、埼京線高架線に沿って整備された花と緑の散歩道・道路に隣接。建物は南西向きで、1フロア7~10戸構成。全て散歩道向き。

 主な基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、リビング天井高2400ミリ、複層ガラス(一部Low-Eガラス)、食器棚、ピクチャーレール、物干しポール、マイギャラリーなど。このほか自動ドアゴミ置き場、シェアリングサービスとしてスクリーン、電動工具、ロボット掃除機、ロボット窓拭機、高圧洗浄機、脚立などの貸し出しなど。

 同社マインドスクェア事業部マンションDv担当者は、「広域からも集客できているのが特徴で、販売は順調です。食器棚、ピクチャーレール、物干しポールなど設備仕様に高い評価を頂いています」と話している。

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モデルルーム(LDK)

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キッチン

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 埼京線の県南エリアは緑被率が低いとこれまで何度も書いてきたが、今回の物件は緑環境に恵まれている。桜並木と遊歩道が整備された幅員約23mの道路・歩行空間に隣接。2車線(各4m)の交通量はそれほど多くなさそうだ。

 間取りもよくできている。コンパクトマンションだが、32㎡の住戸の間口は4.3m確保されている。食器棚、物干しポール、ピクチャーレールなどを標準装備としているのも評価できる。

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現地

 

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 世界貿易センタービルディング、野村不動産、東日本旅客鉄道、東京モノレール、鹿島建設の5社は5月18日、浜松町駅西口開発計画と芝浦プロジェクトに合わせ、浜松町駅エリアの整備計画を発表。駅周辺エリアを広域的につなぐ歩行者ネットワークを構築し、浜松町駅の交通結節点としての機能強化を図る。主な整備計画は次の通り。

 ①浜松町駅北口を中心に竹芝・汐留方面、芝大門方面の各エリアをつなぐ歩行者ネットワークを形成。線路を跨いで東西を繋ぐ自由通路はJR浜松町駅・東京モノレール浜松町駅の北口に新たに整備される改札(3階レベル)からフラットにアクセスできます。2026年度使用開始予定。

 ②浜松町駅南口には既存の自由通路に加え新たな自由通路を整備し、混雑緩和やバリアフリーへの対応を図る。新たな自由通路は2024年度使用開始予定。2026年度全面使用開始予定。

 ③竹芝・汐留方面と芝浦方面をつなぐ歩行者空間として、浜松町駅東側には、旧芝離宮庭園に沿って歩行者専用道路を整備。竹芝・汐留方面と芝浦方面を緑豊かな空間でつなぐ。

 ④浜松町駅中央改札前にひろがる「中央広場」と、「ステーションコア」と呼ばれる歩行者ネットワークを一体整備することで、JR山手線・京浜東北線、東京モノレール、都営地下鉄、バスターミナル、タクシーの各交通機関とのスムーズな乗換を実現する。

 「浜松町駅西口開発計画」は、世界貿易センタービルディング、鹿島建設、東京モノレール、東日本旅客鉄道が共同で開発を進めている東京都市計画都市再生特別地区の特定事業。全体竣工予定は2029年度。

 「芝浦プロジェクト」は、野村不動産と東日本旅客鉄道が共同で推進する国家戦略特別区域計画の特定事業。全体竣工は2030年度。

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信濃町駅近くの外苑東通りのイチョウ並木

 千代田区監査委員会は5月16日、「神田警察通りⅡ期道路整備計画」でエリアに植えられている街路樹であるイチョウ32本を伐採せずに工事することを求めた住民監査請求に基づく意見陳述の場を設けた。記者は傍聴した。

 冒頭、請求人の代理人弁護士・山下幸夫氏が工事請負契約は違法・不当である旨を記載した「意見陳述書」を提出したほか、出席した6名の住民は「神田祭を通じて話せばわかることを学んできた。話し合いの場を設けなかったのは地域にしこりを残す」「工事はⅠ期と同じ工法で行われると信じて疑わなかった」「車椅子利用者は木陰が必要。伐採決定には憤りを覚える」「戦後、祖母に背負われて育った。イチョウは戦後復興のシンボル。それを励みに生きてきた。子どもや孫に残してほしい」などと意見を述べた。

 住民監査請求は、住民が監査委員に対し、関係職員が違法若しくは不当な財務会計上の行為又は怠る事実について監査を請求し、是正を請求する制度で、違法とは、法令の規定に違反することをいい、不当とは、違法ではないものの行政上実質的に妥当性を欠き、適当でないことを指す。議会や議員を訴えることはできない。

 住民らは今年4月21、街路樹の伐採は違法・不当として監査請求を行った。陳述とは、請求人が監査委員に対し請求の趣旨を補足して説明するもの。監査委員は監査請求があった翌日から60日以内に監査結果を報告することになっている。

 総務省の調べによると、平成19年4月1日から平成21年3月31日までの間に請求があった住民監査請求件数は1,798件で、請求に基づき勧告を行ったのは91件となっている。

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 今回の「意見陳述書」は次の通り。

1 本件監査請求で対象としているのは、千代田区長が、令和3年10月14日、「神田警察通りⅡ期自転車通行環境整備工事」のために大林道路との間で締結した工事請負契約が違法又は不当な契約の締結であるという点です。

2 この件については、令和3年9月21日の企画総務委員会において審議され、街路樹を伐採して工事を実施することが決まり、その後、同年10月13日の本会議において賛成多数により、本件契約の締結についての議案が可決されています。これを受けて、千代田区長が本件契約を締結しています。

3 しかしながら、イチョウを伐採して道路の整備を行うという本件契約に基づく工事は、本件が都市計画法上の計画そのものではないとしても、土地の合理的な利用が図られるべきであるとする都市計画法の趣旨に反していると考えられます。これは、最低でも歩道幅員2メートルが必要であると説明されている点と、車椅子の障がい者にとって本件街路樹が伐採されることによって新たなバリアが作り出されるおそれがあるという点から、合理性があるとは認められません。

4 また、地方議会における議決には、「住民の利益を保障」し、「住民の代表の意思に基づいて適正に行われる」ことが期待されており、そのための民主的プロセスを経て議決されることが必要です。

 ところが、街路樹を伐採して工事を実施することについての千代田区議会における義烈(まま)は、次に述べるように、十分な住民の合意プロセスを経ないで行われています。

5 住民監査請求書で述べたとおり、住民に対する情報公開が極めて不十分かつ不適切であったこと、住民アンケートが極めて不十分かつ不適切であったこと、「既存の街路樹を活用する」と明記していた「神田警察通り沿道賑わいガイドライン」を変更したことが千代田区議会にも報告されず、変更のためのパブリックコメントの手続きが取られていないこと、そして、今回の工事については、千代田区が決めた「附属機関等の設置及び運営並びに会議等の公開に関する基準」、「意見公募手続要綱」そして「参画・協働のガイドライン」に基づく当然になされるべき手続が全くとられていません。

 また、令和2年12月25日の企画総務委員会で配布された資料において、保存を優先すべきとした藤井名誉教授の意見が、本人の確認を経ないまま、異なる要約をされて、伐採に賛成する意見のようにして配布されています。

 さらに、千代田区議会は令和4年3月17日の陳情審査で、工事を行うに当たって、「沿道住民の想いを大切にし、常民(まま)同士の一致点を見いだせるよう努力する」ことを申し入れると集約しましたが、千代田区は、令和4年4月9日に双方の意見交換の場を1度設けただけで打ち切っており、陳情審査の集約の趣旨に反しています。

6 このように、住民の意向を十分に反映しないだけでなく、千代田区の職員が、千代田区議会に対して事実に反する説明をしたり、正確な情報を伝達せずに結論を誘導しており、その結果なされた千代田区議会の議決には重大な瑕疵があるといわなければなりません。

 また、千代田区長と業者との契約にも、本件街路樹は「枯損木」として記載されていますが、樹木医の診断でも健全な樹木であり、「枯損木」と評価されるべきものではなく、契約自体にも瑕疵があります。

 以上のように、千代田区議会の議決自体に重大な瑕疵があり、それに基づいて締結された千代田区長の本件契約の締結は違法又は不当であると考えます。

以上

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 皆さんは、上段の住民の意見陳述や意見陳述書をどう理解されるか。記者は街路樹伐採に反対する住民の方の敵でも味方でもない。イチヨウの味方だ。今回の問題について6回に分けて記事にしている。それらの記事と共に読んでいただきたい。間違ったことを書いていないはずだ。

 傍聴した限りでは、何らかの是正措置を取るよう勧告する可能性はあるようでないとも考えられるというのが率直な感想だ。

 上段でも書いたように、監査請求が認められる割合はほんの数パーセントしかないからだ。今回の問題で住民らが指摘している「瑕疵」は、区議会当事者が認めているように確かにある。だからといて、区の手続きに瑕疵があることを証明するのは容易ではない。具体的な法令違反を証明しないといけないからだ。情に訴えても監査委員はまず考慮しない。「意見陳述書」には都市計画法(2条と思われる)についての言及もあるが、同法2条は基本理念を示したものだ。これに逸脱しているからといって、街路樹の伐採の違法性・不当性を証明するのは至難の業だろう。

 区の環境まちづくり部地域まちづくり課が令和3年9月15日付の課長決済で、「第17回神田警察通り沿道整備推進協議会(令和2年12月2日)において、神田警察通り沿道賑わいガイドラインの記載との相違についての確認を行い了承された。その後、旧ガイドラインに基づく指摘が多数あったため、内容の一部を修正し、あわせて広報広聴課にホームページの改正の手続きを行う」(主文)とガイドラインの「など」を削除したのは大問題だと思うが、「軽微な修正」という区側の言い分をどう覆すか。(ガイドラインは法律ではないが、区も住民も縛る極めて重大な文書だ。公文書の改ざんとも解釈できる)

 区のガイドラインには、「千代田区職員コンプライアンス・ガイドライン」もある。このガイドラインには「法令等を遵守し、適正に職務を行います」などのほか「区民等に信頼感を持ってもらえる応対をします」とある。「区民等」は注釈付きで「区民、区内事業者に限らず、職員が職務において接するすべての人を、『区民等』としています」とあるように、「等」は単なる例示を示す文言ではない。

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 記者は以前から、街路樹や緑の価値を可視化できないかとずっと考えてきた。今回の住民監査請求でも、住民側はイチョウが伐採されることでどれほどの価値が棄損されるか具体的な数値を示すべきだと思う。監査委員からも「(伐採による)区の損害額はいくらと想定されているか」という質問に対し、代理弁護士は「計算していない。調べて後ほど報告する」にとどめた。

 しかし、その額を算定するのは極めて難しいはずだ。算定する方法がないからだ。ところが、ネットで調べたらそのような研究を行っている人や団体があることが分かった。

 真っ先にヒットしたのは、Alexis Ellisの平林聡氏や徳江義宏氏・伊藤綾氏・今村史子氏・森岡千恵氏らによる「川崎市川崎区を事例としたi-Tree Eco による街路樹の生態系サービスおよびその貨幣価値の推定」という論文だ。

 論文の冒頭には、次のような記述がある。都市の樹林等の生態系サービス(生物・生態系に由来する、人類の利益になる機能)の定量的・経済的な評価方法について、国外ではEnviroAtlasやInVEST等の評価・可視化ツールが開発され、維持管理や政策決定等の実務面において活用されている。しかし、国内では都市の樹林地の生態系サービスについて事例的な研究は行われているものの、貨幣価値までを含めた総合的な評価を行った事例は少ない。さらには、樹木等データの測定・収集、生態系サービスの算出、政策立案を行うための統一的な方法論や標準的なツール、システムは確立されていないと。

 川崎区の街路樹研究は、米国で開発された「i-Tree Eco」(Eco)を用いて1)炭素蓄積・固定、2)冷暖房使用量増減、3)乾性沈着による大気汚染物質除去とそれに伴う4)健康被害軽減、5)雨水流出量削減を数値化し、その結果、「川崎区の全街路樹について,年間約530万円の貨幣価値(炭素蓄積が約84万円、炭素固定が約6万円、冷暖房使用量が約3万円増加、大気浄化による健康被害軽減が約200万円,雨水流出量削減が約243万円)と推定された」としている。

 また、「Ecoでは街路樹の主な役割である景観向上の貨幣価値算出機能が実装されていないが、標本調査に基づいた解析では、樹木そのものの貨幣価値が算出可能である。しかし、今回は全数調査であったこと、算出方法が米国内限定であったことを理由に解析を行わなかった」としている。

 この論文を読んで、わが国は米国などと比べて緑の価値の可視化の研究が遅れているのを知った。これまで都市計画や緑に関する会合などをかなり取材してきたが、その価値の可視化について触れた学者先生は一人もいなかった。

 平林氏らの今回の川崎区の街路樹の貨幣価値が530万円というのは、景観価値が考慮されていないのでこのような額になったと理解した。

 みなさんは街路樹の景観価値をお金に換算したらいくらになると考えられるか。記者は、信濃町駅近くの外苑東通りのイチョウ並木は1本当たり最低300万円、神田警察通りⅡ期のイチョウはまだ若いので100万円くらいではないかと思う。(イチョウは〝バカにするな、俺はそんなに安くないぞ〟と怒るかもしれないが)

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千代田区 明大通りの歩道空間の整備工事(プラタナスはそのまま残される)

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同じ明大通りの歩行空間整備工事で全て街路樹が伐採されたお茶の水駅近くの街並み

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 「枯損木」について。意見陳述書には「本件街路樹は『枯損木』として記載されていますが、樹木医の診断でも健全な樹木であり、『枯損木』と評価されるものではなく、契約自体にも瑕疵があります」とある。

 記者も目視したので「枯損木」ではないと断言できる。いったい誰が「枯損木」と判断したのか。樹木医がそのような報告を区にするはずがないと思い、区に確認した。

 環境まちづくり部は「東京都の工事積算基準には街路樹を伐採する場合は『枯損木』という文言を使用することになっており、区はそれに従った。樹木診断も受けているが、樹木医さんはそのようなことは仰っていない」と答えている。

 だとするならば、街路樹を道路の附属物としか見ていない道路行政に問題はあるが、区が「枯損木」として処分することを決めたことを瑕疵として認定するのは難しいような気がする。監査委員はどう判断するか。

住民は必ずしもイチョウ伐採に賛成ではない 千代田区の「街路樹が泣いている」(2022/5/14)

 

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「シャトレ信濃町」

三井不動産と青木茂建築工房は517日、両社が共同で取り組む「リファイニング建築」の6物件目となる賃貸マンション「シャトレ信濃町」の竣工見学会を行った。建て替えと比較して建築コストを約3割、CO2削減量を72%それぞれ削減し、工期を3分の1程度に短縮し、さらに市場価格以上の賃料設定を可能にした物件だ。

物件は、JR中央線信濃町駅から徒歩7分、新宿区信濃町3丁目の第一種中高層住宅専用地域に位置する敷地面積約968㎡のSRC9階建て延べ床面積約2,610㎡の全35戸(うち3戸は自家用、従前は21戸と店舗1戸)。専用面積は4182㎡。賃料は45㎡で2223万円(管理費含む)。三井不動産レジデンシャルリースがサブリースを行う。大規模模様替えとして確認申請を行い、検査済証を取得。設計は青木茂建築工房。施工は大末建設。改修竣工は2022516日(従前は1971年)。工期は13か月。

耐震性に問題があり、建て替えた場合は日影規制などの規制を受けるため5階程度しか建てられず、間取りも3LDKが中心だったため十分な事業採算を確保できない課題を抱えていたのを、リファイニング建築を活用して再生した。

既存躯体の耐震性を向上させるため、コンクリートの既存バルコニー手摺をポリカーボネートに変更することで建物の軽量化を図り、耐震補強したうえで84%を再利用しているのが特徴。建物は東京大学との共同研究により建替えの場合と比較して、CO272%削減することも実証されている。

また、従前は1フロア3LDK3戸構成だったのを、周辺の賃貸マーケットニーズに合わせた各階1LDK~2LDK5戸構成とすることで事業性能の向上と安定稼働の実現を図っている。

共用部の再生にも力を入れており、従前の植栽をそのまま継承するとともに、エントランスにあった御影石の壁・フェンスを取り払い外に開かれた空間にし、御影石は共用部や専用部に用いることでデザイン性を高めている。既存の水盤は既存庭園が写り込むように一新。1階のロビー・応接室は事業性を高めるため87㎡の住戸に変更し、別にエントランスを新設している。

見学会でオーナーのケーズコート代表取締役社長・木村達央氏(72、昨年10月の段階)は、「耐震診断を行ったら南側の窓、駐車場などに×点がつき、建て替えたら5階程度にしかならず大幅に事業採算が悪化することが分かった。リファイニングは費用が7掛け、8掛けになり、工事期間も3年くらいが約1年に短縮できた。間取りもマーケットにふさわしいものになった」などと語った。

青木茂氏は、「18年前に、スクラップ&ビルドよりCO283%削減できると発表したときは『あっそう』という反応しかなかった。今回は構造面で苦労したが、かなりやりたいことができた。これからは脱炭素の有力な手法の一つとして普及させたい」と話した。

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左端が木村氏、一人置いて青木氏

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Before(左)とAfter
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Before(左)とAfter

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Before(左)とAfter

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Before(左)とAfter

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 今回の物件については、昨年10月に行われた解体見学会を取材しており、記事にもしているのでそちらも併せて読んでいただきたい。この日は、解体見学会でお会いした服部夏子さんにお会いできるのではないかと楽しみにしていたのだが、作品をロビーに展示するとそのまま帰られたそうだ。残念。

 百聞は一見に如かず。物件内にはリファイニング建築サロン(モデルルーム)も7月下旬まで設けられるので、興味のある方にお勧めだ。目からうろこが落ちるのは間違いない。フランク・ロイド・ライトは“空間の魔術師”と呼ばれるそうだが、記者は青木茂氏を〝建築の魔術師〟と呼ぶ。

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服部夏子さんのアート

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水盤

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ポリカーボネートの手摺(サッシは全てLow-Eガラス)

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以上、御影石の再利用

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家歴書の一部

「建築は愛。母の家と一緒」青木茂氏 りそな銀行「リファイニング」セミナー(2022/3/30

世界へ 建築業界に新風 青木茂リファイニング×服部夏子アート 「信濃町」見学会(2021/10/8

 

 

 東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は513日、首都圏の20224月の不動産流通市場動向をまとめ発表。中古マンションの成約件数は3,094件(前年同月比9.7%減)で4か月連続して前年同月を下回った。成約坪単価は226.8万円(同16.3%上昇)で205月から24か月連続、成約価格は4,363万円(同14.0%上昇)で206月から23か月連続してそれぞれ前年同月を上回った。専有面積は63.5㎡(同1.9%縮小)となった。在庫件数は37,360件(同9.3%増)、在庫坪単価は240.1万円(前年同月比13.3%上昇)となった。坪単価は182月の190.1万円から51か月連続、26.3%上昇している。

地域別では、成約件数はすべての地域が前年比で減少が続き、埼玉県は前年比2割台、横浜・川崎市と多摩、千葉県は1割台の減少となった。成約単価はすべての地域が前年比で上昇が続き、東京都区部は24か月連続、横浜・川崎市と埼玉県は23か月連続、千葉県は21か月連続で前年同月を上回った。

中古戸建ての成約件数は1,190件(同11.7%減)となり、4か月連続で前年同月を下回った。成約価格は3,664万円(同7.6%上昇)となり、2011月から18か月連続で前年同月を上回った。土地面積は前年比3.5%縮小し、建物面積は同3.1%縮小した。

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 中古市場のことはいま一つよく分からない。毎月の成約件数はこの1年間3,000件前後で推移している一方で、成約単価・価格、在庫坪単価がどんどん上昇し、在庫も積みあがっているのをどうとらえればいいのか。

 成約坪単価は24か月前の205月は171.7万円から32.1%、成約価格は23か月前の206月の3,541万円から23.2%それぞれ上昇したことになる。単価の上昇幅のほうが大きいのは、その分専有面積が縮小しているためで、215月の65.08㎡から11か月連続して縮小している。

 問題はこの先どうなるかだが、さっぱり分からない。可処分所得はこのところ伸びているようだが、円安による物価高は家計を直撃し、新型コロナも第7波が懸念され、ロシアのウクライナ侵攻も収束する気配がない。

 中古市場と連動する新築住宅市場は、マンションの着工戸数が減少していることから供給は減ることになるだろうが、分譲価格を左右する建築資材・労務費が上昇するのは間違いない。価格はすでに一般的な世帯の取得限界を超えている。大幅なローン金利の引き上げはないと読んでいるが、マインド一つで新築も中古も市場は崩れる可能性があるとみている。

 この1か月の新築マンション市場は来場者が減り、成約も伸び悩んでいるという声を聞いた。これまで市場のターニングポイントはなぜか正月休み明け、ゴールデンウイーク明け、夏休み明けが多い。踊り場に差し掛かっているのかもしれない。現場取材が激減しているのも不安を増大させている。

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神田警察通りの学術総合センターの公開空地の樹木(カツラだと思ったが何の木か)

 神田警察通り期道路整備計画について、千代田区環境まちづくり部道路公園課は201912月、次の住民アンケートを実施した。対象は整備計画エリアに住む住民ら約4,700通(うち地権者約10%)。回答者は680通で、回答率は14.5%。質問と回答は次の通り。

【問1】『現在の神田警察通りの歩道について、どのように考えますか?』

①通行しやすい 11
 ②通行しにくい 60
 ③どちらとも言えない 26

【問2】『神田警察通りを通行の際に、接触などで不安を感じたことはありますか?』

①ある 56
 ②ない 29
 ③どちらとも言えない 12

【問3】『神田警察通りの歩道の幅を拡げることについて、どのように考えますか?』

 ①今のままで良い 10
 ②拡げてほしい 75
 ③どちらとも言えない 12

【問4】『神田警察通りを自転車で通行の際に、危険や不便を感じたことはありますか?』

 ①ある 57
 ②ない 15
 ③どちらとも言えない 22

【問5】『神田警察通りに自転車走行空間を整備することについて、どのように考えますか?』

 ①今のままで良い 8
 ②整備してほしい 75
 ③どちらとも言えない 13

【問6】『神田警察通りの路上パーキングについて、どのように考えますか?』

 ①今のままで良い 29
 ②整理して(減らして)ほしい 44
 ③どちらとも言えない 24

【問7】『大型車両が長い時間駐車している状況について、どのように感じていますか?』

①仕方がない 21
②迷惑している 44
③どちらとも言えない 31

【問8】『神田警察通りの街路樹について、どのように考えますか?』
今のままで良い 29
植替えを含め課題解決してほしい 47
どちらとも言えない 14

【問9】『神田警察通りの街路樹の樹種について、どのように考えますか?』<問8で②を選択された方>

 ①今と同じ樹種が良い 29
 ②新たな樹種に替えてほしい 47
 ③どちらとも言えない 14
 無回答 1%

【問10『神田警察通りの街路樹には、どのような樹木が相応しいと考えますか?』【複数回答可】<問9でまたはを選択された方>

 ①花の咲く樹木  15
 ②落ち葉の少ない樹木 21
 ③紅葉(落葉)する樹木 9
 ④病害虫の少ない樹木 16
 ⑤樹冠の大きな樹木 5
 ⑥街路空間に適した樹木 25
 ⑦その他 8
 無回答 1%

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皆さんはこの木の名前をご存じか(神田警察通りの学術総合センターの公開空地の樹木)

        ◆     ◇

 皆さんは、この質問と回答をどう受け止められるか。記者は、全体として区の意向に沿う回答が得られるように計算された極めて稚拙で恣意的な質問だと思うが、回答率が低いのが気になる。約1割の地権者(法人か)の回答率は高いはずで、住民(住民も地権者だろうが)は10%くらいにとどまっているのではないか。回答率を高める工夫など行っていないことが分かる。

 それよりも悲しいのは、地球温暖化やCO2削減、SDGsなど眼中にない行政の道路担当部署のこの種のアンケート実施を認める区の姿勢だし、それを是とする議会だ。設問にイチョウが果たす役割について少しでも触れていたら結果はまったく違ったものになったはずだ。

 質問に対する回答では、国道であろうと都道府県道、区市町村道の歩道であろうと通行しやすいと感じる人は少数派のはずで、【問1】で6割の方が「通行しにくい」と回答したのもよく分かる。【問2】以下【問7】までは当然の回答だろう。(記者は、東西に走る神田警察通りⅡ期区間のうち北側は公開空地が整備されており、区道としては優れているほうだと思う)

 問題は【問8】以下だ。【問8】でもっとも回答が多かったのは「新たな樹種に替えてほしい」の47%だが、「今のままで良い」(29%)と「どちらとも言えない」(14%)を合わせると43%あり、ほぼ拮抗している。

 【問9】「新たな樹種に替えてほしい」と回答した人を対象にした質問で、その樹種について「新たな樹種に替えてほしい」と答えた人は47%に上っているが、同時に「今と同じ樹種が良い」の29%と「どちらとも言えない」の14%を合わせると43%に上る。

 これらの回答から判断して、地域の人は必ずしもイチョウを伐採することにもろ手を挙げて賛成していないことが分かる。【問10は至極もっともな回答だ。誰だってイチョウのように花(記者も見たことがない)が咲かない樹木より花が咲くのを選ぶし、病害虫が少なく、紅葉はしても葉を落とさない樹木(あるようだ)かいいと回答するに決まっている。「街路空間に適した樹木」の回答が25%ともっとも多いのも当然だ。

 記者は、街路樹にふさわしいのはきれいな花を咲かせるものもいいが、やはり一番いいのは常緑樹だと思う。好きなのはクスノキだ。剪定などしなくても見事な樹形を描くし、好き嫌いはあるだろうが、記者は葉っぱの香りがたまらない。いつもちぎっては香りをかぐ。鎮静剤の役割を果たしてくれる。多摩センターのようにいい街はこのクスノキが多い。(その代用として値段の安いシラカシが最近は増えている)。

 イチョウは、本来は剪定など必要ない広い幅員が確保された道路にふさわしいとは思うが、これまでの千代田区の道路整備課はイチョウをよしとして植えたのだろうから、行政の無謬主義を継承するのであれば、何とか残しながら整備すべきだと考える。受忍義務とはこのことだ。

「苦汁」を飲まされたイチョウ 「苦渋の決定」には瑕疵 続「街路樹が泣いている」(2022/5/14

民主主義は死滅した 千代田区のイチョウ伐採 続またまた「街路樹が泣いている」(2022/5/13)

千代田区の主張は根拠希薄 イチョウの倒木・枯死は少ない 「街路樹が泣いている」(2022/5/12)

ぶった斬らないで 神田警察通りのイチョウの独白 続またまた「街路樹が泣いている」(2022/5/11)

なぜだ 千代田区の街路樹伐採強行 またまたさらにまた「街路樹が泣いている」(2022/5/10) 



 

 

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既に伐採された神田警察署通りⅡ期道路整備区域のイチョウ(ブルーシートがかかっている)

 前回の記事では、千代田区は神田警察署通りⅡ期道路整備区域に植えられている街路樹のイチョウ32本を全て伐採することを少なくとも2020年12月の段階で決定していたことを明らかにした。

 そして、2021年5月28日に行われた書面開催による第18回神田警察通り沿道整備推進協議会(協議会)では、「台風などの倒木の危険性や根上りによる歩道空間の通行障害の問題、新たな歩道や自転車道整備に支障があるのであれば、街路樹の伐採は止むを得ず、全ての更新を望む」「協議会の多数の委員で決めてきたことが、少数の意見で中断されるのかわからない」「II期工事区間の植栽については、色彩も良く、ヨウコウザクラとオタフクナンンテンの組み合わせで問題なし」とし、「既存の街路樹は同位置には置けないため、すべて更新します」と決定している。

 その後、令和4年1月28 日の協議会で区のまちづくり担当部長は「これまで十何年話し合いをしてきた当協議会は大切なものであり、最後は皆様の意見を聞いたうえで協議会に諮ることになる。その結果を受け、最終的には区が決める」と語ったのをはじめ第19回、第20回協議会、2019年12月に実施した住民アンケート、区議会企画総務委員会の論議もすべて、既定路線に沿わせるためのアリバイ作りであることが分かる。

 令和4年3月17日行われた区議会企画総務委員会での小枝委員と嶋崎委員長のやり取りはそのことを否定していない。

 ・小枝委員今日出された資料の一番最初、沿道まちづくり検討委員会のときには、街路樹、樹木の専門家が入っていたんですよね。その後は、もうぱんと切ってしまって、いなくなってしまっているという問題に行き当たりました。非常に進め方にやはり瑕疵があったなと。

 ○嶋崎委員長 そうだね。それは、協議会の合意が必要だよね…そこのところの知恵出しというか、やり方というか…多少瑕疵があったのかもしれないけれども…そういうことでよろしいですよね。

◇      ◆     ◇

 不動産業界では、物理的・法律的瑕疵だけでなく隠れた瑕疵、心理的な瑕疵を含めて「瑕疵」に対しては契約解除などかなり重い損害賠償責任が課される。

 今回の問題ではその行政の「瑕疵」が問われている。住民らは強行伐採を決めた区に対して損害賠償裁判を起こしたが、結果はどうなるか。死滅しつつある民主主義が復活するかどうかの問題でもある。

 記者は今回の問題を通じて、「戦争は平和なり 自由は隷従なり 無知は力なり」-ジョージ・オーウェルの「一九八四年」(ハヤカワ文庫)そのものの世界をみたような気がした。街路樹伐採を決断した樋口高顕区長は「苦渋の決定」としたが、記者は議会(推進派を除く)も住民もイチョウも「苦汁を飲まされた」のだと思う。

◇        ◆     ◇

 平成30年度調査による千代田区の区域面積1,166haに占める緑被地面積は約271haで緑被率は23.22%となっている。この数値は23区でもっとも高い練馬区の24.1%、2番目の世田谷区の23.6%に次いで3番目で、もっとも低い中央区の10.7%の倍以上となっている。千代田区の緑被率が高いのは、区域面積の12%を占める皇居(143ha)や日比谷公園(16ha)が数字を引き上げているためだ。

 地域別では富士見地域がもっとも高く42.71%、以下、大手町・丸ノ内・有楽町・永田町地域の23.89%、番町地域の22.57%となっており、第2期工事に該当する神田公園地域は3.71%にとどまっている。

民主主義は死滅した 千代田区のイチョウ伐採 続またまた「街路樹が泣いている」(2022/5/13)

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