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 東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は9月12日、2022年8月度の不動産流通市場の動向をまとめ発表。

 首都圏中古マンションの成約件数は前年同月比10.3%減の2,346件、成約坪単価は同13.7%上昇の222.0万円で、20年5月から28か月連続、成約価格は同13.4%上昇の4,280万円で、20年6月から27か月連続でそれぞれ前年同月を上回った。専有面積は同0.2%縮小の63.60㎡で、21年6月から15か月連続で前年同月を下回った。8月末の在庫件数は38,344件で、前年同月比10.8%増となり、7か月連続、在庫坪単価は241.7万円で、18年2月から55か月連続でそれぞれ前年同月を上回った。

 中古戸建て住宅の成約件数は同16.2%減の877件、成約価格は同10.3%上昇の3,779万円で、20年11月から22か月連続で前年同月比を上回った。

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 首都圏中古マンションの今年1~8月までの累計成約件数は23,735件となり、前年同期の26,899件より11.8%減少している。しかし、成約単価、成約価格、在庫価格、在庫数などは上昇・増加を続けている。

 生活必需品など一般的な商品であればありえないが、新築マンションの供給が減少する一方で、価格も上昇の一途をたどっていることと密接な関係がある。2~3年前まで、山手線沿線の新築物件は一部を除き坪400万円台で推移していたのが、いまでは軒並み500万円を突破してきている。新築と連動する中古も、よほどの住宅取得環境が変化しない限り、価格の上昇は続きそうだ。

 ただ、価格・単価の調整弁的な働きをする専有面積は15か月連続縮小しており、63.60㎡というのはファミリー層にとっては譲れない面積ではないか。物件情報サイトで「東京23区」「~4,500万円未満」「~70㎡未満」「2K~3LDK」で検索したら、23区全体の約23,000件のうちヒットしたのは26件しかなく、しかも、具体的な物件は表示されず問い合わせ先のみだった。

 新築に置き換えてみると、坪単価222万円以下というエリアは、都内ならば舎人ライナー、八王子以遠、神奈川県は平塚以遠、横浜線・相模原線の一部、小田急線厚木以遠、埼玉県は大宮以遠、所沢以遠、東武野田線、千葉県は千葉ニュータウン線の一部、総武線千葉以遠、内房線、外房線、京葉線の一部か。

中古マンション 成約価格は2ケタ上昇7月の不動産流通市場 東日本レインズ(2022/8/12)

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「(仮称)D プロジェクトみえ朝日町」

 大和ハウス工業は9月12日、開発中の物流施設「(仮称)D プロジェクトみえ朝日町」が「中部地方※」初の「いきもの共生事業所認証(ABINC認証)」 を日本トランスシティとともに取得したと発表した。同施設は2023年6月30日の竣工と同時に日本トランスシティが取得予定。

 プロジェクトでは、地域の生態系に配慮して、コナラやヤマザクラ、ツツジ類、ヤマハギなどの在来種から草木を選定。また、本計画地は三重県が準絶滅危惧種に指定するコチドリの生息地に近接することから、コチドリの営巣環境を整備するために砂や小石を敷いた環境を整備する予定。さらに、周辺の水田や水路などに生息するメダカ、ドジョウなどの生き物を敷地内に整備した水辺のあるビオトープエリアに放流する予定。

 施設は、伊勢湾岸自動車道みえ朝日インターチェンジより約700m、三重県三重郡朝日町大字埋縄に位置する開発面積約77,403㎡、鉄骨造3階建て延べ床面積約64,203㎡。着工は2022年7月1日。竣工予定は2023年6月30日。

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 これまでABINC認証を受けた128件のうち中部地方としては初、物流施設は今回で5件目、わが故郷・三重県の施設なので取り上げることにした。

 まず、同町が「中部地方」に含まれていることについて。同社は中部地方とは新潟県、富山県、石川県、福井県、山梨県、長野県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県としているのでいいのだが、三重県は愛知、静岡、岐阜とともに東海地方(あるいは名古屋圏)で、学校では近畿地方に入っているはずだ。経済・文化的に近畿圏とつながっているのは伊賀地方と南部の尾鷲・熊野エリアのみなので、近畿と切り離し、東海地方として独立させたほうがいいと思う。

 「朝日町」のことを全く知らなかったのでネットで調べた。四日市市に隣接する面積99K㎡という県下でもっとも小さな行政区で、人口は11,067人(令和4年3月末)とあった。

 驚いたのは人口動態だ。昭和51年の7,076人をピークに漸減し、平成16年には6,721人まで減少している。しかし、その後はほぼ一貫して増加しており現在に至っている。この28年間の人口増加率は実に64.7%だ。こんな町村はほかにあるか。

 ちなみに、東京都中央区は平成9年(1997年)の71,806人をボトムに、令和4年9月現在では173,198人になっており、約2.4倍増だ。平成16年からだと89.0%増となっており、おそらく人口伸び率は全国的に見ても突出しているはずだ。「HARUMI FLAG」もあるのでまだまだ爆発的に増えるのではないか。

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 東急リバブルは9月11日、今年3月に創立50周年を迎えたのを機に、新たなブランドスローガン「つなぐ。答えへ。未来へ。」を掲げ、コーポレートブランドを刷新すると発表した。ブランドスローガンには、同社の様々な専門領域を通じ顧客新たな価値を創造する意味が込められている。9月16日から新たなロゴを使用したTVCMを放映する。 

 シンボルマークの「L」は「Live」「Life」など同社が扱う物件や生活空間などの場を、二つのアルファベットをつなぐように隠れている「L」は「Livable」「Lead」「Link」など同社の役割を、「I」は「I(お客様・社員)」、「Information」「Intelligence」「Innovation」「Imagination」など同社が持っている技術・知見、社員やお客様をそれぞれ表している。

 デザインは、スマートフォンなどのデジタルデバイスでも可読性が保てる垂直や水平を多用したシンプルなものとし、配色は現在のロゴにも使用しているイノベーティブブルーとプロフェッショナルブルーとした2色配置にしている。

 

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「ザ・パークハウス 戸越公園タワー」

 三菱地所レジデンス、大成建設、東急、首都圏不燃建築公社、大成有楽不動産の5社は9月9日、戸越公園駅から徒歩1分(50m)の再開発マンション「ザ・パークハウス 戸越公園タワー」を同日から販売開始したと発表した。

 物件は、東急大井町線戸越公園駅から徒歩1分、品川区戸越5丁目に位置する23階建て全241戸(募集対象外住戸70戸含む)。専有面積は30.60~120.45㎡。第一期(65戸)の価格は4,480万~24,800万円。竣工予定は2024年2月下旬。施工は大成建設。

 地域の賑わい・魅力あるまちづくりを目指す「戸越公園駅周辺まちづくりビジョン」内の市街地再開発事業「戸越五丁目19番地区第一種市街地再開発事業」で、駅前のランドマークとなる商・住複合マンション。大成建設による外観デザインと制振構法「TASS-Flex FRAME」、乃村工藝社デザインチームFOO監修による共用空間デザイン「EDIT STYLE PLAN」をそれぞれ採用する。

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「EDIT YOUR LIFE」

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 乃村工藝社デザインチームFOOに注目している。同チームは2019年にリニューアルオープンした東京會舘新本舘のレストランなどを手掛けているが、それより1年前の2018年、東京建物・三菱地所レジデンス「Brillia 一番町」を取材した際、販売事務所の企画を乃村工藝社が初めて手掛けたことを聞き、「(同社が)本格的にこの事業に乗り出したら販売事務所のあり方そのものを一変させるかもしれない」と書いた。

 今回の「EDIT YOUR LIFE」が同チームによるものかどうかは分からないが、有償のメニュープランを12タイプ用意する。コンパクト住戸は、「お気に入りに囲まれる至高のシングルライフ」をテーマにできるだけ仕切りをなくし、それぞれの空間を行き来することや、住まい全体をより有意義に使えるようにしているという。例えば、例えば55Nタイプではキッチンを90°回転させたり、居室と居室の間に「マルチファンクションエリア」を設けたりする。

 これは、実際に見てみないとどのようなものか分からない。取材を申し込むことにする。坪単価はいくらになるのか。野村不動産「目黒」や旭化成不動産レジデンス「五反田」よりはかなり安いはずで、東京建物「池袋」と同じ坪520~530万円くらいではないか。第一期分譲は分譲対象の半分だ。確かな手ごたえを感じているのか。

 「戸越公園」といえば「戸越銀座」も近い。同じ駅1分の「十条銀座」で知られる東急不動産「十条」との競合はあるのかないのか。「銀座戦争」であり、北区と南の大田区の「南北戦争」と見ることもできる。周辺は中低層の街並みが広がっているという意味でもよく似ているし、交通便だってどこを起点にするかだが、東京駅まで双方とも約30分だ。どちらが勝つのか負けるのか。相乗効果となればめでたしめでたしだが…。部外者としては興味津々だ。

坪750万円でも好調 「Brillia」最高峰 東建・地所レジ「一番町」サロンに乃村工藝(2018/4/18

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「プレミスト秋田中通ザ・レジデンス」

大和ハウス工業は99日、秋田市の旧ホテルハワイ・ラグーン跡地で開発中の分譲マンション「プレミスト秋田中通ザ・レジデンス」の概要が決定したと発表した。917日(土)にマンションギャラリーをオープンし、11月下旬から販売開始する。

物件は、JR秋田駅から徒歩15分、秋田市中通3丁目に位置する敷地面積約5,209㎡、14階建て全147戸。専有面積は64.6686.77㎡、予定価格帯は2,900万円台~5,500万円台。設計・監理は創建設計。施工は錢高組。竣工予定は20247月。

現地は、1965年創業の老舗ビジネスホテル・旧ホテルハワイ・ラグーン跡地で、同社初の秋田県での分譲マンションで、県初の「ZEH-M Oriented」仕様とし、「BELS」による第三者認証で最高等級を取得。住戸内の一次エネルギー消費量を住棟全体で 24%削減する。

また、東北初となる「TSUTAYA」プロデュースの「ブック&コワーキングラウンジ」を設置。「TSUTAYA」セレクトによる書籍約500冊を用意、テレワークやWeb会議も可能な空間とする。「パーティー&キッチンスタジオ」「ゲストルーム」も設ける。

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知名度は全国区の同社による秋田県初の開発マンション&県内初の「ZEH-M」&県内初「TSUTAYA」がどれほどの威力があるか分からないのだが、概要から坪単価は200万円を切り、坪180万円くらいではないか。

これは高いのか安いのかさっぱり分からないが、この夏見学した人口約42万人の富山市の中心市街地で分譲された穴吹工務店「サーパス富山三番町レジデンス」は坪180190万円だった。秋田市の人口は約30万人、中心市街地の老舗ホテルの跡地開発などをと比べるとよく似ている。地方都市の坪単価は坪200万円前後が相場か。

このところ、首都圏をはじめ三大都市圏でのマンション着工が減少し、地方圏で増えている。7月住宅着工でもマンションは前年同月比で首都圏は12.8%、中部圏は39.4%、近畿圏は22.0%それぞれ大幅に減少した一方で、その他の地域は25.2%増加した。令和417月でも、その他の地方の着工戸数は15,564戸で、首都圏の48,014戸には大きく引き離されているが、中部圏の5,269戸の3倍近く、近畿圏の13,596戸を上回っている。

 ハウスメーカーもデベロッパーも地価・建築費の上昇で、価格は中堅所得層の取得能力を超えてきており、そのリスクを回避し、まだまだ低価格で供給できる地方圏に触手を伸ばし、あるいは軸足を移しつつあるような気がする。ZEHは地方のほうが先行しているようだ。

弘前市で〝21〟エレベーター 一頭地を抜くプラン 第1期は一挙60戸 タカラL東北(2022/9/5

戸建てに押され縮小するマンション市場/九州勢の着工 軒並み上位 近畿圏抜く(2022/8/7

ZEH取得件数断トツ オリックスGr 穴吹工務店「富山」で同社初のZEHM2022/7/31

単価の安さに驚愕 立地よく設備仕様レベル高い 駅圏最大級の野村不他「金沢」287戸(2022/7/30

福岡の最高峰 第1100戸 圧倒的な人気 タカラレーベン50周年「福岡天神」(2022/3/15

北海道最高峰は坪415万円 大和ハウス他「ONE 札幌ステーションタワー」始動(2022/2/8

 

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「九段会館テラス(KUDAN-KAIKAN TERRACE)」 

 東急不動産と鹿島建設は9月8日、登録有形文化財「旧九段会館」の保存・復原プロジェクト「九段会館テラス(KUDAN-KAIKAN TERRACE)」 が完成したのに伴う記者説明会・内覧会を行い、10月1日(土)に開業すると発表した。「水辺に咲くレトロモダン」をコンセプトに、旧九段会館の創建時の技術・素材を活かした保存部分と、IoTを活用した最新鋭のオフィスとの新旧融合を図っているのが特徴で、数十社のメディアが駆けつけるなど関心の高さをうかがわせた。

 新築の17階建てオフィスは制震構造、保存部分の5階建て旧九段会館は免震構造を採用。保存・復原では、創建時の写真などをもとに忠実に再現したゲストルームのほか、バンケットホール、玄関ホール・プラザなどは残せるものは残し、意匠・デザインを損なわないようLED照明、建材などを厳選して採用。単に展示して眺めるだけの場にせず、日常利用を続ける動態保存としている。

 創建時のまま残されている外壁には、経年により風合いを増したスクラッチタイルや擬石を活用できるよう温水高圧洗浄や表面微細研磨を行ったうえで、安全対策としてスクラッチタイルには約54,000本、擬石には約7,300本のアンカーピンニングを実施している。

 オフィス部分には、国内のオフィスビルへの導入は初となるスマートガラス「View Smart Glass」を採用。建物屋上に設置したセンサーとAIにより、太陽の位置や天候に合わせてガラスの透過率を4段階で自動調整し、室内に差し込む自然光・熱量を最適化。空調や照明によるエネルギー消費量を最大約20%削減する。2~4階には約20~80坪の小規模オフィス・ラウンジ「Classic Office& Classic Lounge」(2~4階)を設けている。

 現在、オフィス部分のリーシングは約9割が、「Classic Office& Classic Lounge」は約5割がそれぞれ成約済み。緑と水辺に近い、他にはない特性が評価されているという。

 企業の健康経営をサポートし、オフィスワーカーの多様な働き方を実現するウェルネスオフィスとしているのも特徴の一つ。地階のシェアオフィスには、MONOSUS社食研が運営する新しい形の職域食堂「九段食堂KUDAN- SHOKUDO for the Public Good」を併設、食材は全国の農家から直送されるオーガニックなものを中心に提供する。1階には内科・皮膚科・耳鼻科・歯科・薬局などのクリニックモールを開設。入居企業は、健康経営の達成度や成果を確認することができる。

 保存部分屋上には、一部来館者も利用可能な屋上庭園とラウンジを整備。地元・行政と連携した交流の場として「九段ひろば」「お濠沿いテラス」「九段こみち」も整備する。

 説明会で東急不動産取締役常務執行役員都市開発ユニット長・榎戸明子氏は「歴史的建造物の復原の取り組みは当社初。『レトロモダン』をテーマに、例を見ない希少性を生かし、ポテンシャルの高い事業にも対応できる新しい形の施設とし、オフィスワーカーの安心・健康などの仕掛けも盛り込んだ。90年の歴史の重みを受け止め、今後しっかり運用していく」と語った。

 来賓として登壇した財務省理財局国有財産業務課長・梅野雄一朗氏は「極めて難易度の高いプロジェクト」にチャレンジした3社を讃えた。

 トークセッションでは、同社都市事業ユニット開発企画本部執行役員本部長・根津登志之氏は、創建時の建物保存とオフィスの事業性を両立させるのに苦心したなどと述べた。

 また、施工を担当した鹿島建設九段会館テラス工事事務所長・神山良知氏は「旧九段会館の建設に携わった職人技に感動を覚え、それを原動力に高い次元で検討を重ね、最高の建物が完成した。プロジェクトに参加できてとても嬉しい。建物保存では親和性を重視した」などと語った。

 施設は、東京メトロ・都営新宿線九段下駅から徒歩1分、千代田区九段南一丁目に位置する敷地面積約8,765㎡、地下3階地上17階建ての延床面積約68,036㎡。設計は鹿島・梓設計・工事監理業務共同企業体。施工は鹿島建設。竣工は2022年7月29日。開業は10月1日。期間70年の定期借地権付き。

 旧九段会館は1934年(昭和9年)に完成。昭和初期の時代性を表現した「帝冠様式」と呼ばれる外観的特徴を備えているのが特徴で、主に軍の予備役・後備役の訓練・宿泊に利用された。1936年の二・二六事件では戒厳令司令部が設置され、1937年には愛心覚羅溥傑と嵯峨浩との結婚式場ともなった。

 終戦後はGHQに撤収され、その後、1957年(昭和32年)に日本遺族会に無償で払い下げられ、名称を「九段会館」に変更しレストラン・結婚式場として再開業された。2011年の東日本大震災時にホールの天井が崩落したことをきっかけに国に返還された。

 東急不動産、鹿島建設、梓設計の3社は2018年3月、登録有形文化財「旧九段会館」の保存・復原プロジェクトコンペで選定され、今回の竣工となった。

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外観(田安門から)

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外観正面(低層が保存部分)

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お濠沿いテラス

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お濠のハス

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5階ルーフトップガーデン

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5階のウエルネスガーデン(菜園)

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九段ひろば

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 小生も旧九段会館はコンサートやイベントなどのほか、近くに取材する機会があったときなどはレストランも利用したことがあるが、内装などを今回ほどじっくり見学するのは初めてだった。梅野氏が「極めて難易度の高いプロジェクト」と語り、神山氏が「職人技に感動を覚え、それを原動力にした」「真正性を重視した」という言葉がとても強く印象に残った。

 その当時の職人技と、それを再現した同社の技術力の高さは素人の記者でも手に取るように分かる。

 応接室・役員室として使用されていた2階のゲストルーム「葵」と「雅」は、GHQが白いペンキで塗りつぶしていたという壁、天井などのペンキをはがし、当時の雰囲気を忠実に再現している。無垢のチーク材の扉、真鍮の丁番・蝶番、寄木張りの床、絹織物の天井、皇族用としか採用されなかった金と銀をテーマにした文様の布クロスなどだ。

 腰壁に採用されているえも言われぬ文様の腰壁の石について、神山氏は「この石は国産に間違いないが、どこの石か調べても分からない。全部で採用されている石は21種でうち国産は11種」と話した。

 玄関ホールも見事という他ない。創建時採用されていた褐色の大理石は、国会議事堂の総理大臣室の暖炉などにも採用されている長州オニックスと呼ばれる希少な素材で、その素材感などを損なうことなく新たな空間として演出されている。

 天井高約7.2m、広さ298㎡の「真珠」と「鳳凰」のバンケットルームは、当時の写真などをもとに一部の床はナラ材のエイジングを施したヘリンボーン仕上げとし、織物クロス、真鍮下地に錫メッキを施した「真珠」をモチーフにした金属装飾を復原して採用している。

 外観・外壁には、創建時のスクラッチタイル、擬石をそのまま採用。約28,000枚の屋根瓦のうち半数はそのまま転用し、新たに採用した瓦は復原前の「織部色」を再現するため釉薬の配合比率を変えながら40枚以上の試作を繰り返し、その中から4枚を採用している。階段や壁に使用されている貴重な大理石なども、熟練石工の職人技で復原されている。

 玄関ホールには、1枚250㎏のブロンズ製扉4枚からなるものが3か所に採用されているが、下地のスチールは腐食が進んでいたため、ステンレス製に作り直し・組み直しを行って再生している。

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玄関ブロンズ扉

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玄関ブロンズ扉正面

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ブロンズ扉のサーベルをあしらった装飾

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1階プラザ

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1階玄関ホール

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ゲストルーム「葵」

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ゲストルーム床

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ゲストルーム「雅」

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敷地内のケヤキを活用したテーブル

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ゲストルーム前室扉

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3階階段室

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階段室レリーフ

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3階バンケットルーム「真珠」

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「真珠」の間レリーフ

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地階の九段食堂

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 「九段会館及び同敷地に関する検討委員会」の委員長を務めた、都市計画問題に深くかかわった伊藤整の息子でもある東大名誉教授・伊藤滋氏(93)も元気な姿をみせ、トークセッションに参加した。

 MCからコメントを求められると、伊藤氏は「二・二六の日はね、私は5歳か6歳で、凄い雪の日で、上野から中野までバスでおばさんの家に行ったのだが、凄い積雪があったのが頭に残っている。軍人会館は、小学5年生のとき、空軍の偵察機に乗ることになった従妹に連れられて行ったことがある。軍人会館がぼくの頭にこびりついている。『九段会館テラス』のネーミングはとてもいいし、軍人会館はすぐ戦争を思い出すように強烈な個性があったが、(3社の)提案はそれほど自己主張していなかったのがよかった」などと語った。

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神山氏もどこの産か分からない「雅」の腰壁の石

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3階「真珠」のヘリンボーン

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壁クロスの文様

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左から東急不動産都市事業ユニット開発企画本部開発第一部統括部長・入谷宏一氏、神山氏、榎戸氏、根津氏

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「メトロステージ代々木上原」

リビタが企画・プロデュースした東京メトロ所有の築44年の寄宿舎・休憩所をリノベーションして共同住宅(SOHO)に用途変更した「メトロステージ代々木上原」を見学した。全5戸の小規模ではあるが、「LIVING SPACE」と「BUFFER SPACE」を一体として利用でき、法人登記も可能にするなど賃借人の多様なニーズに応えられるのが特徴。

建物は、東京メトロの鉄道保守部門の宿泊・休憩所として使用されていた築44年の寄宿舎をSOHO型賃貸住宅へと用途変更してリノベーションしたもの。旧耐震ではあるが、診断の結果、耐震性には問題がないことを確認済み。構造躯体に変更は加えていない。

商品企画では、「LIVING SPACE」と「BUFFER SPACE」を一体として利用できるように提案。居室としての条件を満たすために窓を新設したり、腰窓を掃き出し窓にしたりしているほか、既存の窓には障子を新設。

さらに、法人登記も可能にしており、賃貸住宅と事務所との二重賃料負担をなくしている。

物件は、東京メトロ千代田線・小田急線代々木上原駅から徒歩2分、渋谷区西原3丁目に位置する敷地面積約285㎡、鉄筋コンクリート造地上2階建て延べ床面積約277SOHO型賃貸住宅5戸。専用面積は29.8455.95㎡。間取りは1R /1R+S /1LDK+S /1LDK+テラス。月額賃料は13.825.6万円。建築年は1978年。リノベーション竣工年は20229月。管理はリビタ。

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イメージ図

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これまで見学してきたSOHOSmall Office Home Office)はほとんどマンションタイプだったので、今回の物件は、それらとは全く異なっていた。

図を見ていただきたい。広さも形状も様々だ。例えば1階の101号室(約39㎡)。約14帖の住空間と約5.6帖のBUFFER SPACEが共用部の廊下を挟んで完全に分離されている。2階の201号室(約29㎡)は、半分が土間仕上げのBUFFER SPACEとなっており、202号室(約55㎡)は、従来は腰壁(腰窓)だったのを掃き出し窓にし、外部に広いルーフテラスを設置している。

賃料は、相場の坪1.51.6万円とそれほど変わらないが、新築並みにリノベした同社のソリューション能力が高いということだろう。既存の寄宿舎は数年間使用されていなかったそうだ。

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専用部

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専用部

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専用部(ルーフテラス付き)

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共用の屋上テラス

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階段室

 積水ハウスは9月8日、2023年1月期第2四半期決算を発表。売上高は1兆4,236億円(前年同期比16.3%増)、営業利益は1,464億円(同33.5増)、経常利益は1,476億円(同32.6%増)、純利益は1,040億円(同43.4%増)と大幅増収増益となった。

 セグメント別では、請負型は売上高5,342億円(同9.6%増)、営業利益579億円(同0.1%増)。戸建住宅事業、賃貸住宅事業とも好調に推移したが、建築・土木事業は大型案件の売上計上が増加した一方、大型建設工事需要の減少、資材高騰の影響などで減益となった。

 ストック型はリフォーム、不動産フィーとも順調で、売上高3,910億円(同5.3%増)、営業利益403億円(同1.3%増)。

 このほか、分譲住宅事業、マンション事業の開発型や国際事業とも大幅増収増益となった。

 2023年1月期の業績予想は2022年3月10日に発表した計画から上方修正。売上高2兆9,300億円(前回予想比5.1%増)、営業利益2,600億円(同10.2%増)、経常利益2,600億円(同11.1%増)、純利益1,740億円(同10.1%増)を見込む。

 配当は、第2四半期末配当を5円増額し52円とすることを決定。期末配当も5円増額の52円とし、年間配当金は104円(前期実績90円)と予想を修正した。

 

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鳩山町ホームページトップ

 大東建託は9月7日、「街の幸福度&住み続けたい街ランキング2022<首都圏版>」の「街の幸福度(自治体)ランキング」トップは昨年に続き埼玉県鳩山町になったと発表した。

 記者は、この種のネットによるアンケート調査は、〝半身〟に構えて読むことにしている。公平性を装った恣意的な質問で回答を誘導するものも少なくないからで、鳩山町が「幸福度」ナンバーワンと言われても〝そうなの〟とやり過ごせばいいのだが、住宅購入検討者をミスリードする危険性もあると考えるので、再批判せざるを得ない。以下は、昨年の批判記事「幸福度トップ自治体は鳩山町 根拠希薄・無神経な大東建託ランキングやめるべき」(2021/9/8)と一緒に読んでいただきたい。

 最初に断っておく。鳩山町はとてもいい町だと思う。最寄り駅の東武東上線高坂駅からバス便だが、昭和を代表する素晴らしい「鳩山ニュータウン」のほか東京電機大のキャンパスもあり、ゴルフ場も3か所ある。そのうちの一つ「鳩山カントリー」は何度か利用したことがある。

 「鳩山ニュータウン」は、日本新都市開発( 2003年8月特別清算) が開発した面積約140ha、約3200戸の大規模住宅地で、当時としては珍しい地区計画を採用し、美しい街並みを形成した。バブル期には1億円超の「松陰坂」も分譲されたが、基本的には中堅所得層向けの昭和の時代の良好な住宅団地だ。

 しかし、バブル崩壊後は都心から50キロ圏のバス便、ニーズの変化などによる人口転出、高齢化が加速度的に進んでいる。同ニュータウンの人口は、平成11年は約1万人で、町全体の人口の57.8%を占めていたが、20年には54.2%へ、令和3年には51.8%へ、そして今年9月1日現在では51.2%(約6.8千人)へと減少。平成11年からの人口減少率は町全体で23.8%であるのに対し、「鳩山」は32.5%減と町全体を大きく上回っている。高齢化率も令和4年1月現在50%超となっており、町の高齢者比率45.1%を上回っている。

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 それでも「街の幸福度(自治体)ランキング」トップになったのは、町や民間の活性化の取り組みが奏功したからと受け止めたい。町のホームページには平成16年以降、「待機児童ゼロ」を継続しているほか、子育て世代包括支援センターでは母子保健コーディネーターが子育てママ・パパを支援し、平成21年2月2日以降13年間「交通死亡事故」が一度も発生しておらず、犯罪率も県内トップクラスであり、町民なら誰でも利用できる乗合型のデマンドタクシーは町内のどこへでも200円で行くことができるなどとある。

 また、建築家で埼玉県出身の東京藝術大学准教授・藤村龍至氏は町の施設の指定管理者として名乗りを上げ、様々な個人・団体を巻き込んで団地の活性化に取り組んでいる。

 そうした取り組みが、町民の幸福度を高めているのであればなおさら、調査結果に反映すべきだ。しかし、同社は「幸福度の評点は、非常に幸福だと思う場合を10点、非常に不幸だと思う場合を1点とする10段階の回答平均を100点満点にするために10倍した」としか説明していないし、いったい何をもって「幸福」「不幸」とするのかアンケートでは聞いていない。

 もちろん、「幸福」「不幸」の概念を明確に示せる人など一人もいない。物質的・経済的に豊かなのが「幸福」というのであれば、ほんの一握りの人しかいないはずだ。多くの人は物質的・経済的に恵まれていないと考えるから、それ以外の精神性などに安息の場を求める。神仏がその代表だろうし、「国家」のあらゆる呪縛や社会的規範から解き放たれた自由人こそが幸福者かもしれない。

 まあ、そんな哲学的なことはともかく、鳩山町の回答者は78人だ。同町の人口約1.3万人の0.6%でしかない。しかも、回答者は無作為(これだって正確な回答が出るかは分からないが)によって選ばれた人ではなく、マクロミルの登録モニターだ。モニターは自由意志で登録できるはずだから、一定の登録者が「幸福」と答えれば、数値は大幅に変わる。ネットアンケートには常に同調と反発が裏表一帯のバイアスの問題をはらむ。同社は全回答者207,659名の数を誇示するが、数の問題ではない。質の問題だ。 

 先にも書いたように、ランキングを公表するのであれば、だれもが納得する「幸福」とは何かを示すべきだし、78人の属性も公表すべきだ。

幸福度トップ自治体は鳩山町 根拠希薄・無神経な大東建託ランキングやめるべき(2021/9/8)

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頂門の一針、蜂の一刺しにならないが アルヒ「本当に住みやすい街大賞」批判(2021/12/12)

 

 東急が昨年11月に販売開始した東急新横浜線・新綱島駅直結の商・住・公の複合マンション「ドレッセタワー新綱島」が95日までに完売した。

 物件は、2022年度下期開業予定の東急新横浜線新綱島駅に直結、東急東横線綱島駅から徒歩3分、新綱島駅前地区第一種市街地再開発事業地内に位置する地上29階地下1階建て全252戸(非分譲住戸73戸含む)。専有面積は44.88113.45㎡、第1期(66戸)の価格は5,360万~18,290万円(最多価格帯6,500万円台・7,800万円台各4戸)。第1期の坪単価は400万円。竣工予定は202310月下旬。設計・監理は東急設計コンサルタント。施工は東急建設。販売代理は東急リバブル、東急ライフィア。

坪単価400万円に納得 駅直結・再開発の力まざまざ 東急「新綱島」166戸即完へ(2021/11/17

 

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