マンションの質の退行・劣化、着工戸数の捕捉率、新築・中古の価格などを考える

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あまり論じられない新築マンションの質、着工戸数と供給戸数の違い、新築と中古の坪単価などについて考えてみる。
まず、新築マンションの質について。ここ3~4年間、地価や建築費の上昇に反比例するように基本性能・設備仕様の劣化・退化が進んでいるが、これについて言及した書籍や記事など寡聞にして知らない。
かくいう記者も、新築マンションの記事を書くとき基本性能・設備仕様レベルについて極力触れるようにしてはいるが、そもそも劣悪な(と思える)物件は取材しないし、ここ10年くらいは年間100物件前後しか見ていないので、マンションの質を論じる資格はない。歯がゆい限りだ。
しかし、過去に書いた記事から、いかに最近のマンションの質が劣るかは証明することができる。10年前の2012年に分譲されたマンションの記事を紹介する。
この年を代表する首都圏マンションの一つ、三井不動産レジデンシャル「パークコート千代田富士見ザ タワー」では「標準階高は3,450ミリ。モデルルームはセンのフローリング、エントランスの天井布クロス、紫檀のドアハンドル、天然石巾木、オニキス洗面ボウル、アントニオ・チッテリオデザインの水栓、センで統一した和室(以上181㎡の「粋」)、チーク材の突き板フローリング、ホワイトオーク材の建具、アルミ真鍮ガラスの多用、天然石モザイク貼りだった」と書いた。坪単価は476万円だった。近く分譲される準都心部の〝駅近〟タワーマンションとほぼ同じだ。
坪単価370万円の野村不動産「プラウド小石川」はどうか。「共用部分の床はカリン材。壁はブビンガ。専有部分にも自然石、自然木がふんだんに用いられており、シルバーハート、アフドルモシアなど聞いたことも見たこともない面材が採用されていた。ドア・把手はイタリア製、システムキッチン・御影石天板はジーマティック製。浴槽のエプロンなども天然御影石だ」と記事にした。
坪単価270万円の三菱地所レジデンス「ザ・パークハウス日吉」は「キッチンの天板が大きめの御影石で、バックカウンターの天板も同じ御影石を採用し、吊戸棚を含めて標準装備。ディスポーザー、食洗機、ミストサウナも標準装備」とある。
坪単価310~320万円のモリモト「ディアナコート文京千石」は「マホガニーを家具・面材、床材に採用している。床は厚さ2ミリだ。このほか玄関、キッチン、洗面室にはふんだんに大理石、御影石を採用。設備仕様では、ディスポーザー、食洗機などを標準装備。サッシは高さ2300ミリ」と紹介した。
このような質の高いマンションはこの年に限ったことではない。三菱地所レジデンス(当時、三菱地所)が2006年に足立区で初めて分譲した「北千住パークハウス」の記事をぜひ読んでいただきたい。記事には「天井高最大2.7メートル、二重床・二重天井、ワイドスパン、ディスポーザー、御影石の玄関床、複層ガラス採用など、間違いなく足立区や伊勢崎線の物件では水準以上だと判断した。坪単価は185万円で相場並みとみた」と書いている。同社の矜持が商品企画に表れている好例だ。
では、いったい質の劣化はいつごろから始まったか。記者は2018~2019年ころの着工で、2019~2020年ころの分譲開始物件ではないかと考えている。2017年分譲開始の住友不動産「シティタワーズ東京ベイ」は「御影石キッチンカウンター、ディスポーザー、食洗機、リビング天井高2600mm、ワイドスパン、二重サッシ、Low-Eガラス」だった。
同じ2017年分譲開始の長期優良住宅認定を受けた積水ハウス「グランドメゾン品川シーサイドの杜」は「設備仕様では、メーターモジュール、ドア把手の壁面までのセットバック、折上げ天井の廊下、天然石のキッチン天板、食洗機、ミストサウナなどが標準装備。リビング天井高は2500~2650ミリ」だ。坪単価は308万円だった。
2020年に野村不動産「プラウド神田駿河台」を見学し、記事には「主な基本性能・設備仕様はリビング天井高2700(11階まで)~2800ミリ(12階から)、階高3200~3400ミリ、二重床・二重天井、食洗器、木製フローリング、木製壁パネルなど」と書いたのだが、この時、天井高がどんどん低くなっていることを関係者と話したのを記憶している。
それにしても、マンションの基本性能・設備仕様、居住性能などについて論じられることがほとんどないのは、自戒も含めてジャーナリストを名乗る人やメディアの劣化もまた進んでいるからではないか。
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冒頭の表を見ていただきたい。着工戸数と供給戸数はかなり差(捕捉率)がある。この11年間で見ると、もっとも捕捉率が高いのは2013年の83.0%で、もっとも低いのは2020年の50.5%だ。平均では63.7%となっている。
国交省の着工戸数は、着工時点の分譲用として建築確認が行われた戸数で、その後、取り下げられたり、あるいは用途変更されたりした場合まで追跡していない。
一方で、不動産経済研究所の数値には、30㎡未満や1棟売りなどは調査対象外で、再開発や建て替えなどによる地権者用住戸や事業協力者向け・優先分譲などは含まれていない。
これが捕捉率に表れている。記者は、当初分譲予定だったのをリートなどに1棟で売却する戸数は年間3,000~5,000戸、地権者向け・事業協力者向け住戸は年間7,000~10,000戸、30㎡未満のコンパクト・投資用は7,000~9,000戸、合計年間17,000~24,000戸くらいあるとみており、この数字を加えるとほぼ住宅着工戸数と一致する。
マンション市況を論じる場合、この捕捉率にも注目する必要がある。供給戸数が減っているから市況が低調とは限らない。むしろ逆のケースもありうるわけで、マクロデータを鵜呑みにしてはいけない。
新築供給戸数と成約件数の推移を見てみよう。2016年に新築の供給戸数35,772戸を中古戸数37,189戸が上回って話題になったが、この年の住宅着工は64,769戸(捕捉率55.2%)だった。その後、6年連続して中古が新築を上回っているが、表面に出ない数値も考慮しないといけない。〝新築低調、中古好調〟という単純な図式にはならないということだ。ただ、中古の成約件数と坪単価は2021年に過去最多・最高となったのは注目に値する。
新築と中古の坪単価について。新築はこの10年間で45.1%も上昇している。2020年には坪300万円を突破した。20坪(66㎡)で6,000万円だ。
ただ、この数値も前段で書いた基本性能・設備仕様ベルや専有面積の推移と一緒に考えないと市場を捉えたことにはならない。専有面積でいえば、2021年の平均面積は66.86㎡で、坪単価が200万円以下だった2002年の73.73㎡から実に6.87㎡(約2.1坪)、畳数にしたら約4.2畳大も縮小している。価格が大幅に上昇し、質も面積も低下の一途なのが今の市場だ。
中古はどうか。中古もすさまじい上昇を続けている。2021年は坪197.4万円で、2012年の126.0万円から56.7%の上昇だ。マンションの45.1%と比較すると11.6ポイントも高いのは、新築の価格上昇、供給減、基本性能・設備仕様の退行のほかリフォーム・リノベ物件による魅力付けなど様々な要因が考えられ、詳細な分析が必要だ。専有面積はこの10年間63~65㎡台で推移している。
新築価格を100%とした場合の中古価格の割合は60前後で推移してきたが、2021年は63.9に上昇した。これも中古の市場・先高観を反映しているのかもしれない。
三井不動産レジデンシャル「パークコート千代田富士見ザ タワー」(2012/11/5)
「まだ間に合う」 借景が見事な野村不動産「プラウド小石川」(2012/5/25)
三菱地所レジ「ザ・パークハウス日吉」全97戸が2カ月で完売(2012/5/22)
モリモト「ディアナコート文京千石」 床も面材・家具もマホガニー(2012/4/2)
「9割がワイドスパン、最強の間取り」全1,539戸の住友不「東京ベイ」(2020/3/28)
呉越同舟効果 「5本の樹計画」の本領発揮 積水「品川シーサイド」1期207戸!(2017/3/24)
隣接明大校舎の巨木の借景見事 日本初の木造ハイブリット 野村不「神田駿河台」(2020/11/24)
三菱地所の足立区初の「北千住パークハウス」が完売間近(2006/3/10)
村上選手 神宮で56本以上打ったら「1億円の東京の家」プレゼント オープンハウス

オープンハウスグループは9月4日、同社がトップスポンサーになっている東京ヤクルトスワローズの村上宗隆選手の大記録更新を祈念し、「1億円の東京の家」をプレゼントする特別ホームラン賞を実施すると発表した。
同社は、2016年から明治神宮球場開催のスワローズホームゲームで、同社の看板またはホームランゾーンにホームラン球を直撃させたスワローズの選手に東京の家をプレゼントする「オープンハウス ホームラン賞」を実施しているが、今回の特別ホームラン賞は、通常の「オープンハウス ホームラン賞」の対象ゾーンを反転させたエリアで、56本以上の全打席が対象。
上限価格は1億円(税込)で、立地や間取りは、シーズン終了後に村上選手本人と相談して決定する。

赤いゾーンが対象エリア

ここは対象外
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いい企画だ。同社の業績は絶好調、広告宣伝費(として計上できるのかは不明)だと考えれば安いものだ。プレゼントするのはマンションか戸建てか分からないが、マンションであれば現在分譲中の物件は「四谷三丁目」「代々木参宮橋」「恵比寿コート」などかヒットした。みんな坪単価500万円以上だろう。
村上選手は9月4日現在、本塁打は51本。ヤクルトの残り試合は22試合(うち神宮球場9試合)。121試合で51本だから、確率的には56号以上を放つのは135試合目の9月22日の中日戦以降の8試合。獲得する可能性は極めて高い。ネットによると村上選手の今季年俸は2億2,000万円。本塁打1本で年俸の半分近くが懐に入る計算だ。
そこで提案。荒井社長、そこまでやるなら、打たれた投手にも1,000万円は多すぎるので100万円くらい「アシスト賞」として贈呈してはいかがか。これならだれも傷つかない。
ついでに西武の後藤社長、西武は残り18試合。12勝すれば優勝間違いなし。成功報酬として勝利に貢献した選手に1試合1,000万円プレゼントというのはどうか。みんな委縮して投げられなくなり打てなくなるリスクはあるが…。
プロ野球の本塁打記録保持者は、2013年に60本を放ったヤクルトのバレンティン選手。2位は王(巨人)、ローズ(近鉄)、カブレラ(西武)の各55本。
勝率にかけた1泊5,600円「バファローズ優勝おめでとう宿泊プラン」 オリックス(2021/10/30)
「日本で一番スワローズな家」早くも問い合わせ数件 オープンハウス「北参道」(2021/10/28)
祝ヤクルト優勝「日本で一番スワローズな家」1戸販売 オープンハウス「北参道」(2021/10/27)
長期優良、ZEH、CASBEE…レベル高いはず 住友不&長谷工「多摩川住宅」着工

「多摩川住宅ホ号棟マンション建替事業」
住友不動産と長谷工コーポレーションは9月2日、参加組合員として事業参画している「多摩川住宅ホ号棟マンション建替事業」の工事を8月5日に着工したと発表した。事業は国土交通省「マンション長寿命化等モデル事業」(令和3年度)に採択されている。
「多摩川住宅」は、1968年竣工の東京都住宅供給公社初の大規模団地。東京都調布市と狛江市にまたがる約48.9ha(調布市約32.9ha・狛江市約16.0ha)のエリアに、賃貸住宅(約1,800戸)と分譲住宅(約2,100戸)の約3,900戸のほか商業施設、幼稚園、小・中学校などの生活利便施設が整備された。当時、モデル団地として話題になった。
建物の老朽化が進んだことから2007年に「多摩川住宅まちづくり協議会」が結成された。両社は事業協力者として2015年11月に選定され、2020年8月、団地一括建替え決議が成立。2021年4月に調布市の認可を受け、「多摩川住宅ホ号棟マンション建替組合」が設立された。
「ホ号棟」は5階建て380戸(11棟)からなり、地区計画により「住宅再生A地区」として建ぺい率は26%から40%へ、容積率は60%から160%にそれぞれ緩和されたことから905戸(7棟)の建設が可能になった。
特徴は、長期優良住宅認定、CASBEE建築(新築)、ZEHの認証申請予定など。既存のケヤキの巨木の保全など緑環境にも配慮する。
地区計画では、このほか住宅福祉複合地区、住宅再生促進地区、住宅公益複合地区として再生・整備される。
物件は、京王線調布駅からバス12・13分、徒歩4~7分(小田急線狛江駅もほぼ同様)、調布市染地三丁目に位置する敷地面積約37,638㎡、12階建て全905戸(非分譲住戸245戸含む)。専有面積は30.68~87.01㎡。完成予定は2024年11月下旬(I工区)。設計・施工は長谷工コーポレーション。

空撮
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現地は、商品企画が素晴らしかった都公社「ソシア多摩川」を見学して以来30年以上も訪れていないが、緑環境はその後も年々成長しているに違いない。他の地区計画エリアの再生がどうなるか未定の部分もあるが、新しい街に生まれ変わる。多摩川にも近く、住環境としては最高だ。調布駅、狛江駅へのバス便も豊富だ。長期優良、CASBEE(Sになるのか)、ZEHも取得するようだからレベルの高いマンションが期待できる。
着工したばかりなので価格はいくらになるか分からないが、同じ長谷工コーポレーション施工の東京建物他「ブリリアシティ石神井公園アトラス」(844戸)は坪270万円くらいで販売好調のようだ。「多摩川住宅」も負けない。このままの市況が継続すれば単価は最低坪260万円、アッパーで坪280万円くらいではないかと予想する。課題は、他の沿線と比べ割り負けしている京王線の魅力をアピールできるかだ(石神井公園は知っていても、多摩川住宅を知っている人は地元の人くらいだろう)。企画・訴求次第で爆発的な人気を呼ぶ可能性もあるとみた。
「ホ」について。惚れたの「ホ」ではない。イロハニホヘト(色は匂えど)だ。昔の物件名は一郎、次郎、三郎…末男、トメ子と一緒。同じエリアで分譲すると第1、第2、第3…などと付けた。某デベロッパーなどは20以上もある。
持家の着工減続く 16年ぶりに分譲住宅が逆転する可能性高まる
国土交通省は8月31日、令和4年7月の新設住宅着工動向を発表。総戸数は前年同月比5.4%減の72,981戸で、3か月連続の減少。内訳は、持家が22,406戸(前年同月比14.1%減、8か月連続の減少)、貸家が29,668戸(同1.5%増、17か月連続の増加)、分譲住宅が20,612戸(同4.0%減、先月の増加から再びの減少)となった。
分譲住宅の内訳は、マンションが8,053戸(同11.7%減、先月の増加から再びの減少)、一戸建住宅が12,461戸(同1.8%増、15か月連続の増加)。分譲マンションは首都圏、近畿圏、中部圏とも2ケタ減となったが、その他は25.2%増と大幅に増加した。
首都圏マンションは3,532戸(同12.8%減)で3か月連続減。都県別では東京都が2,291戸(同-26.5%減)、神奈川県が824戸(同45.1%増)、埼玉県が32戸(同83.5%減)、千葉県が385戸(同127.8%増)。1~7月では、首都圏全体は29,149戸(同10.9%)で、東京都が24.7%減、神奈川県が5.4%減となり、埼玉県が17.6%増、千葉県が49.0%増となっている。
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持家の着工減が止まらない。1~7月では145,571戸(前年同期比9.0%減)となっており、分譲住宅の148,857戸(同3.7%増)を下回っている。このまま推移すれば、2006年(平成18年)の持家358,519戸、分譲住宅379,181戸以来16年ぶりに分譲住宅が持家を上回る可能性が高まった。
旭化成不レジ「アトラスタワー五反田」に反響2,700組 角住戸・ワイドスパンが特徴

「アトラスタワー五反田」完成予想図
旭化成不動産レジデンスは9月1日、近く分譲する30階建てタワーマンション「アトラスタワー五反田」(全213戸)が4月27日にサイト開設以来、これまで2,700組超の問い合わせがあると発表した。
物件は、JR山手線五反田駅から徒歩5分(西口)、品川区西五反田二丁目の商業地域に位置する30階建て全213戸(非分譲住戸11戸、広告対象外住戸8戸含む)。専有面積は30.12~126.94㎡、価格は未定(記者は坪単価450万円前後と予想)。竣工予定は2024年3月中旬。意匠・監理はNEXT ARCHITECT&ASSOCIATES、構造・電気・設備・監理・施工は西松建設。
現地は目黒川沿い。日本独自の空間文化を用いることで築地塀と門と庭に囲まれたタワーに緑、水、石の潤いと庭を用いて静寂の空間を創造。3階共用部には蔦屋書店の運営サービスを導入し、約3,000冊の書籍や雑誌を備えたライブラリーラウンジを設置、
住戸プランは角住戸やワイドスパン中心の設計によって開口面を増やし、採光性を向上。専有部の天井高は2,550~2,700mm。28~30階の上層階はプレミアム住戸とし、30階は住戸付設駐車場付きとする。

エントランス

ライブラリーラウンジ
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現地は確認済み。立地はいい。見学取材を申し込む予定で、実現したら改めて紹介したい。坪単価は650万円前後と予想したが、競合しそうな野村不動産「プラウドタワー目黒MARC」が坪650万円なので、それより高くなることはないと見たがどうだろう。「目黒」同様、標準階は1フロア6戸で、最低9365ミリのワイドスパンがいい。
野村不動産 マンションにリンナイの「乾太くん」採用 洗濯家事の負担軽減

野村不動産は9月1日、マンションの商品企画提案として2007年から採用している「LUXMORE(ラクモア)」の新たな商品として「ガス衣類乾燥機」を設置した住空間デザイン「キャンドライフ(CAND‐LIFE)」を開発、「プラウド横浜岡野一丁目(神奈川県横浜市)」「(仮称)白金長者丸プロジェクト」の一部住戸に設置すると発表した。
「キャンドライフ」は、これまでマンションへの設置が難しいとされてきた「ガス衣類乾燥機」を設置し、高温乾燥による洗濯家事の所要時間と手間を削減するとともに、家事動線をより効率化した新たな住空間を提案する。
「ガス衣類乾燥機」はリンナイの「乾太くん」で、5㎏の洗濯物を約52分、8㎏の洗濯物を約80分で乾燥する(電気式の約1/3の時間)。
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以前は洗濯乾燥機付きマンションは賃貸を中心によく供給されていたが、最近は見かけなくなった。記者は昨年、リンナイのヒット商品「乾太くん」を採用したポラスの戸建て「ブルックスクエア小竹向原」とマンション「ルピアコート越谷」、積水ハウス「グランドメゾン白金高輪パークフロント」で見学している。「白金高輪」は有償だった。
駅4分・魚籃坂・公園隣接 港区初のZEH 積水ハウス「白金高輪」人気必至(2021/9/13)
全戸に「乾太くん」、ファミリーは冷凍庫付き ポラス中央住宅「越谷」企画ヒット(2021/9/9)
ポラス ブルックリンスタイルの3階建て「小竹向原」 デザイン性、仕様レベル高い(2021/2/27)
スムストック 仲介捕捉率は16% 伸びないのはなぜか/顧客対応の改善も必要
一般社団法人優良ストック住宅推進協議会(スムストック)は8月31日、総会後の記者会見を行い、2021年度の会員10社の成約件数は前年度比3.3%減の1,858棟で、累計成約数は15,757棟に達し、スムストック住宅販売士は累計7,460名と着実に増加したことなどを報告。
会員10社の戸建てストックのうち市場に流通した11,700棟のうちスムストックが仲介した物件数は1,858棟で、捕捉率は16%(前年は17%)であることから、引き続き「20%以上」を目指すと発表した。
このほか、スムストックの2021年度の買取再販成約件数は248件で、前年度の154件から大幅に増加している。安心R住宅の一戸建てリフォーム提案148件のうち95.3%がスムストックになっている。
堀内容介会長(積水ハウス代表取締役 副会長執行役員)は、住宅生産団体連合会が先に国土交通省に要望した来年度税制改正に触れ、「買取再販住宅に新築住宅と同等の税制を適用するとか、ZEHリフォームを補助対象に追加することなどが実現することに期待している。捕捉率を伸ばすためにはWebの改善も必要」などと語った。
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この日の記者会見では、捕捉率に関するメディアの質問が相次いだ。スムストックの会員は旭化成ホームズ、住友林業、積水化学工業、積水ハウス、大和ハウス工業、トヨタホーム、パナソニックホームズ、ミサワホーム、三井ホーム、ヤマダホームの10社だ。
わが国を代表するハスウメーカーばかりなのに、捕捉率が伸びないのにハウスメーカー担当記者の方もいらだちを覚えているからかもしれない。小生もスムストック応援団の一人ではあるが、現状のままでは捕捉率をアップさせるのは至難の業だと思う。〝勝てない争い〟はやらないほうがいいとすら考えている。
スムストックの取り組み自体は素晴らしい。査定価格を土地価格と建物価格に分けて提示するのは画期的なことだ。しかし、購入検討のユーザーの立場からすれば、新築も中古も住宅選好で重視するのは基本的には価格、環境、交通便の3Kであるのは今も昔も変わらない。住宅の建て方・構法はそれほど重要ではないし、売主・仲介会社がどこであるかも選好の決定的な要因にはならない。
スムストックが必要なのは、査定の3つの原則である①住宅履歴データベースの保有②50年以上のメンテナンスプログラム③新耐震基準レベルの耐震性の保持と、(イ)スムストック住宅販売士が査定から販売まで行う(ロ)スムストック査定方式で査定する(ハ)建物価格と土地価格を分けて表示する-という3つの手法が売る側も買う側も納得できる適正な価格であることを分かりやすくWebなどで伝えることだ。売主にしたら「予想以上に高く査定された」であり、買う側には「価格は高いが、買いあがる価値がある」と決断させることだ。
この観点からみると、スムストックの物件検索サイトは大手デベロッパー系のそれと比べ検索項目の多さ、情報の量・質とも圧倒的に見劣りすると言わざるを得ない。一つひとつ紹介はしないが、例えば仲介担当者。大手は顔写真付きでプロフィールを公開しているところが多い。スムストックはほとんど定型の問い合わせ先のみだ。
これでは勝てるわけがないではないか。大手系と同じレベルに引き上げるのは容易ではない。リソースがケタ違いだ。取扱高、店舗数トップの三井不動産リアルティの2022年3月期の全国売買仲介取扱件数は41,183件で、店舗数は291店舗だ。スムストック10社の成約数1,858件の22倍だ。店舗数は10社が束になっても、仲介3位の東急リバブルの205店舗にも勝てないはずだ。これらを考慮すると、捕捉率16%というのはよく健闘しているとも受け取れる。
同協議会も説明したように、オーナー向けに訴求を強化し、専属専任契約を結ぶことは可能ではないか。査定を行うスムストック住宅販売士は建築の専門的知見も有しているはずで、これは大きな武器になる。スムストックの成約価格は、近傍の同程度の物件と比較してはるかに高いことなども実証できるのではないか。
この点に少し関連することだが、公益財団法人不動産流通センターには「宅建マイスター」「宅建マイスター・フェロー」「不動産コンサルティングマスター」認定・登録制度があり、現在、「宅建マイスター」は671名、「宅建マイスター・フェロー」は17名、「不動産コンサルティングマスター」は15,466名が登録されている。登録者は不動産総合情報サイト「不動産ジャパン」で検索することができ、様々な相談が受けられる。スムストック住宅販売士も同様に、その人材を生かす仕組みを構築できるはずだ。
門戸を開放し、スムストック会員を増やすのも手ではないか。民間の顧客満足度調査ランキングでいつもトップになっている、プレ協の賛助会員でもあるスウェーデンハウスはどうして入っていないのか。
このほか、分譲と注文双方を手掛ける一条工務店、ポラス、細田工務店、ナイスなども良質な住宅を供給しているし、全館空調システムの先駆けである三菱地所ホームや、デベロッパーの分譲施工実績が豊富な西武建設、エステーホーム、津田産業などもある。これらの会社も会員に加えてはどうか。
そして、もう一つ、捕捉率とは直接関係はないが、顧客対応についても指摘したい。一般の売買仲介会社の営業担当者は、施工がどこであろうと分譲会社がどこであろうと全然関係ない。親会社A社が分譲した中古マンションを買おうとしている顧客に、「お客さん、近くにあるB社分譲した物件のほうがいいですよ」と平気でいう。また、市場価格よりかなり安い新築物件を勧めるときなどは「この物件の安いのは質が低いからです。中古並みと考えてください」などと説明する。
スムストックはどうだろう。大和ハウス工業のグループの日本住宅流通などを除き、自社が施工、あるいは分譲した戸建ての売買仲介を行っているはずだ。〝お客さん、当社が施工したA物件より、競合が施工したB物件のほうがいいですよ〟などとは口が裂けても言えないはずだ。
親会社から何のプレッシャーも感じない大手系仲介会社と、親会社からのプレッシャーを絶えず受けているスムストックの営業スタッフの差は計り知れない。捕捉率からの呪縛を解けばまた違った展開ができるのではないか。
このことを質疑応答でも話したのだが、同協議会事務局統括管理部長・島津明良氏は、「会員間では垣根をなくす取り組みを開始した。近いうちに公表したい」と話した。どのようなものになるか注目したい。
スムストック2020年度は過去最高1922棟成約(捕捉率17%)(2021/8/28)
スムストック 市場での認知度・捕捉率が低いのはなぜ 劇的に上げる「武器」はあるか(2019/3/5)
スムストック・新会長に阿部俊則氏(積水ハウス会長) 「捕捉率20%に拡大したい」(2018/9/3)
「スムストックの認知度と販売士がカギ」 優良ストック住宅協議会・和田会長(2015/8/27)
新土地活用サービス「ALZO(アルゾ)」相談件数700件超 三井不リアルティ
三井不動産リアルティは8月30日、土地所有者と事業用土地を探す事業者をつなぐ土地活用サービス「ALZO(アルゾ)」を昨年8月から開始してから1年間で相談件数は700件超、100社以上の事業者と提携していると発表した。
土地所有者の土地活用状況は、活用中が56%、未活用が44%、相談案件の土地面積は1,000坪以上が9%、100~1,000坪が59%となっている。
2022年8月現在の提携事業者は飲食、物販、コンビニエンスストア、シェア農園、シェアサイクル、カーディーラー、キッチンカー、スーパーマーケット、ガソリンスタンド、コインランドリー、コンテナ・ストレージ、スポーツ施設など。
「ALZO」は、「問合せ件数も増加しており、ニーズの強さを感じています」とコメント。土地所有者からは、「とくに都心部では近い将来のご売却を見据えた短期的な活用提案の依頼や既存テナント退去に伴う依頼、郊外ではアパートやマンション、駐車場に替わる安定的な活用提案の依頼という傾向が見られ」、提携事業者からは「駅前ビルへのテナント出店から住宅地に近いロードサイドで単独店舗出店への切り替え、特に飲食系事業者様においては、テイクアウト・デリバリー専門店など新タイプの店舗出店などが急拡大している」としている。
◇ ◆ ◇
新サービスは、本業のリパーク事業から派生したもので、駐車場利用には不向きな土地の利活用を提案するものだろうと思うが、相談件数と土地面積の大きさ、提携事業者の多岐にわたる業種とその数の多いのに驚いた。
相談件数775件のうち土地面積1,000坪以上が9%というから件数は70件もある。「100~1,000坪」は幅が大きくてどのような土地か分からないが、最適解を提案できたら凄いビジネスに発展するのではないか。「ALZO」は何の略か。
そこで、同社に一つ提案だ。三井不動産も同業他社も公募設置管理制度(Park-PFI制度)に積極的に取り組んでいるが、都市部の都市公園は規制が強く、利用されていない公園が目立つ。利活用は喫緊の課題だとおもう。ここに切り込んでほしい。
マンションの適正な管理を確保するための政策要望 マンション管理業協会
マンション管理業協会(理事長:高松茂・三井不動産レジデンシャルサービス会長)は8月29日、「マンションの適正な管理を確保するための方策に関する要望」を国土交通省に提出したと発表した。高経年マンションの増加と居住者の高年齢化に伴う修繕費・維持管理負担増を軽減するのが目的。要望は次の通り。
【I】マンションの適正な管理を実現するための方策
1.適正な管理に取り組むマンションに係る優遇措置
(1)税制優遇措置
【要望内容】
・管理計画認定マンションや当協会で行うマンション管理適正評価制度において一定以上の評価を得たマンションなどの、適正な管理に取り組むマンションに対するインセンティブとして、対象区分所有者の固定資産税の減税、及び対象中古物件購入時において、所得税の控除、固定資産税・贈与税の減税を適用する制度の創設を検討いただきたい。
(2)住宅金融支援機構によるマンション共用部分リォーム融資(高齢者向け返済特例)及び部分的バリアフリー工事やヒートショック対策工事を行う際のリフォーム融資(高齢者向け返済特例)における優遇措置
【要望内容】
・認定制度の認定、及び当協会で行う評価制度において管理状況について一定基準をクリアし、適正な管理を実施するマンションへの優遇措置として、住宅金融支援機構によるマンション共用部分リフォーム融資(高齢者向け返済特例)の金利について、マンションすまい・る債積立管理組合に適用される金利と同程度に優遇し、マンションすまい・る債積立管理組合は、更なる金利の優遇を検討いただきたい。
なお、同融資の保証料については、減免もしくは免除、または(公財)マンション管理センター指定の「特定管理組合」への適用による保証料の割引を検討いただきたい。
・また、住宅金融支援機構によるマンションの専有部分において部分的バリアフリー工事やヒートショック対策工事を行う際のリフォーム融資(高齢者向け返済特例)の金利優遇や保証料の減免もしくは免除を検討いただきたい。
・上記2つの融資について、併用して融資を利用できる仕組みをご検討いただきたい。
【II】適正な管理組合運営を担保するための法関連の見直しに関する要望
1.マンション標準管理委託契約書の改訂について
【要望内容】
・マンション標準管理委託契約書の改訂を検討いただきたい。
ショック! 木質空間なし 現し論議に決着 RCと木造混構造の特養完成 三井ホーム

「特別養護老人ホーム新田楽生苑」
三井ホームは8月30日、枠組壁工法では国内最大級の木造5階建て「特別養護老人ホーム新田楽生苑(しんでんらくせいえん)」が竣工したのに伴う記者見学会を行った。
物件は、足立区新田1丁目に位置する敷地面積約4,649㎡、5階建て延べ床面積約7,826㎡。建築主は社会福祉法人新生福祉会。設計監理はメドックス。施工は三井ホーム。構造は1階:RC 造/2~5階:木造(枠組壁工法)。用途は特別養護老人ホーム150室、短期入所生活介護施設(ショートステイ)20室、認知症対応型デイサービスセンター、居宅介護支援事務所など。工期は2021年3月着工~2022年8月完成。開所予定は11月。
施設は、足立区が所有する中学校跡地に区が公募を行い、特別養護老人ホーム・ケアハウスなどを運営する社会福祉法人新生福祉会(広島県尾道市)が選定され、同社が施工を担当することになったもの。
建設地は、隅田川と荒川に挟まれた中洲に立地。現行の建築基準法では5階建ての建物をすべて木造で建築する場合、1階を2時間耐火構造とすることが求められるため、経済合理性とプランニングの特性を踏まえ、1 階をRC造、2~5階は木造1時間耐火構造で設計。合わせて防水対策として1階の階高を6m確保している。
木材使用量は2,716立方メートル(うち国産材は22%)。木造建築にすることで試算では炭素貯蔵量(CO2換算)は1,774t-CO2、スギの木(35年生)換算で7,116 本に相当する。
設備面では新クックチル式の厨房を採用するなど、スタッフの働きやすさや作業効率にも配慮している。新クックチル式とは、通常の方法で調理した料理を急速冷却し、細菌の繁殖しにくいチルド(0~3°Cの低温)状態で保存し、必要時に再加熱して提供するシステム。

外観

入口

施工中の現場

施工中の現場
◇ ◆ ◇
同社施設事業本部コンサルティング第二営業部長・十文字将敏氏は冒頭のあいさつで、「地球環境、脱炭素に寄与するよう木材をふんだんに使っているのがポイント。延べ床面積約7,800㎡に対し木材使用量は2,716立方メートル。国立競技場は延床192,000㎡に対し木材使用量約2,000立方メートル。施設面積は25分の1だが、木材使用量は国立競技場より多い。木質感は全くないが、現しで(木材を)使うより実を取る観点で施工した」と語った。
引き続いて、設計監理を担当したメドックス取締役・佐藤憲一氏も、「木質空間は全くない。収益は限られており、経済合理性を考えると、木質感(の論議)は終わった」と言い切った。
両氏から2度も3度も実も蓋もない「木質感は全くない」と言われて、記者は相当のショックを受けた。昨年12月、三井ホーム技術研究所研究開発グループマネージャー・小松弘昭氏が「現しにしないといけないというのは木造コンプレックスの裏返し。木の性能、コストなど科学的・合理的なことのほうが大事」と昂然と言い放ったのを思い出した。
特養の入札は、質の確保は当然ながら、価格が最優先されるはずで、事業環境が厳しいのは、宿泊体験をしたことがある記者もよく分かる。痴ほう症の入居者から同じことを何度も聞かされても無視するわけにはいかないし、部屋は個室をあてがわれたが、夜中にカラスのような声を聞かされ、一睡もできなかった。解放された翌日はうちに帰って半日寝込んだ。オンとオフの切り替えができない若い職員が過労、ストレスで精神を病むケースも他の業種より多いのもうなずける。賃金だって20~30万円台で底這いだ。〝現しにしろ〟というのは、部外者のたわごとかもしれない。
しかし、このまま引き下がるわけにもいかず、質疑応答で「御社だって木造は風邪をひかない、喧嘩をしない、仕事の能率が上がる、ストレスが軽減する…などを実証してきたではないか」と食い下がった。これに対し、佐藤氏だったか「木質感に対するニーズはある」との回答にとどまった。
もう黙るしかない。小松さん、十文字さん、佐藤さん。丹下健三は「美しいもののみが機能的」と言ったではないか。三井ホームが吉永小百合さんをCMに起用したのは、この言葉を具現化するものではなかったのか。
あれから30年。サユリトの小生は今でも一番美しいのは吉永さんだと信じて疑わない。住宅展示場のモデルハウスで一番美しいのは三井ホームだ。
…ここまで書くと、小生はどこかのカルト信者のようで、「外貌の呪縛」に取り憑かれている馬鹿そのものだと皆さんは嘲笑するのだろうが、かなり本質的なことを言っているつもりだ。「経済合理性」が全てを支配していることを今回の取材で学んだ。この悪魔のささやきに等しい「経済合理性」なる文言を前に、反旗を翻すことができる人は果たしているか。

共同生活室

多目的ホール

デイルーム&食堂
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