高耐震×制震「ハイブリッドキューブ」モデルハウス 細田工「ひばりヶ丘」に公開
「LEGATO(レガート)」モデルハウス
細田工務店は12月13日、新外観デザインの注文住宅「LEGATO(レガート)」モデルハウスをメディア向けに公開した。
現在分譲中の全20戸の分譲住宅「グローイングスクエアひばりヶ丘サウス」で成約済みの1戸を、契約者の了解を得て2022年3月中旬まで一般公開するもので、建物は従来の柱と梁を組み合わせた軸組工法にツーバイフォーの構造用合板を敷き込んだ6面体構造の高耐震×制震工法「ハイブリッドキューブ」を採用し、設計住宅性能評価7項目で最高等級を取得。
外観は、スクエアなフォルムが印象的な重厚感のある、箱を組み合わせたようなキュービックデザインが特徴で、モデルプランは「おうちじかん」が求められる時代にぴったりなキッチンラボ、階段ライブラリー、テラス、ベランピンクバルコニー、寝室ワークスペースなどを設置し、家族それぞれが多目的に利用できるスペースを提案している。
現地は、西武池袋線ひばりヶ丘駅から徒歩8分、西東京市住吉町3丁目の第一種低層住居専用地域に位置する敷地面積約118㎡、建物面積約94㎡。価格は81万円/坪から。
同社はまた、「LEGATO」のほか、シャープなフォルムが特徴の「ARDITO(アルディート)」、オーガニックな木の質感を表現した「MARCATO(マルカート)」を開発し、今後の注文・分譲住宅で採用していく。
現地
頂門の一針、蜂の一刺しにならないが アルヒ「本当に住みやすい街大賞」批判
アルヒ 本当に住みやすい街大賞 | ||||||
順位 | 2022年 | 2021年 | 2020年 | 2019年 | 2017年 | |
1 | 辻堂 | 川口 | 川口 | 赤羽 | 南阿佐ヶ谷 | |
2 | 川口 | 大泉学園 | 赤羽 | 南阿佐ヶ谷 | 勝どき | |
3 | 多摩境 | 辻堂 | たまプラーザ | 日暮里 | 赤羽 | |
4 | 大泉学園 | 有明テニスの森 | 柏の葉キャンパス | 川口 | 三郷中央 | |
5 | 海浜幕張 | 大井町 | 入谷 | 柏の葉キャンパス | 戸塚 | |
6 | たまプラーザ | たまプラーザ | 王子 | 勝どき | 南千住 | |
7 | 花小金井 | 小岩 | 武蔵小金井 | 南千住 | 大泉学園 | |
8 | 月島 | 花小金井 | 小岩 | 千葉NT中央 | 千葉NT中央 | |
9 | 船堀 | 千葉NT中央 | ひばりヶ丘 | 小岩 | 小岩 | |
10 | 新秋津 | 浦和美園 | 東雲 | 矢向 | 浮間舟渡 | |
アルヒ 本当に住みやすい街大賞 シニアランキング | ||||||
1 | ひばりヶ丘 | 武蔵小山 | 木場 | 大泉学園 | ||
2 | 稲毛海岸 | 南大沢 | 大泉学園 | 神田 | ||
3 | 相模大野 | 平塚 | 平塚 | 印西牧の原 |
ARUHI(アルヒ)は12月7日、「本当に住みやすい街大賞2022 TOP10」を発表した。ランキングトップは前年3位の「辻堂」で、2位は2020年と2021年連続して1位だった「川口」、3位には過去ランク外の「多摩境」が急浮上した。
以下、4位・大泉学園(前年2位)、5位・海浜幕張(同ランク外)、6位・たまプラーザ(同6位)、7位・花小金井(同8位)、8位・月島(同ランク外)、9位・船堀(同ランク外)、10位・新秋津(同ランク外)の順でベスト10入り。
昨年ランク入りしていた有明テニスの森(同4位)、大井町(同5位)、小岩(同6位)、千葉ニュータウン中央(同9位)、浦和美園(同10位)は圏外。
また、シニアランキングは1位・ひばりが丘(2020年の大賞9位)で、2位・稲毛海岸、3位・相模大野がいずれも前年ランク外から入った。
川口元郷駅前の醜悪なクスノキ(2020年写す)
瘤だらけの川口市内のイチョウ並木(2020年写す)
◇ ◆ ◇
記者はこれまで、機会あるごとにこの「本当に住みやすい街大賞」を批判してきた。根拠が希薄で、マンションデベロッパーの影が見え隠れし、そして何よりも住宅購入検討者をミスリードする危険性もはらんでいるからだ。
頂門の一針にならないことも、ましてやまだ死ぬ気はないので蜂の一刺しにもならないことを承知の上でまた書く。
同社はタイトルにわざわざ「本当に」という形容動詞を付しているように〝実はそうではない〟と解釈もできるように逃げの一手を打っている。人気タレントを呼んでイベントも行っているようだ。これがまた記者を不愉快にさせる。住宅購入検討者を何だと思っているのだ。馬鹿にするのはいい加減にしてほしい。金融機関のやることでは断じてない。
同社は一応、選定基準に住環境・交通利便・教育環境・コストパフォーマンス・発展性の5つを設定し、住宅や不動産の専門家が参画する選定委員会による公平な審査のもと選定しているとしているが、そもそもこれらの選定基準が妥当か、果たして数値化できるのか疑わしい。
「住環境」ひとつとっても、重視するのは緑環境か眺望か生活利便施設の集積具合かによって全く異なった結果になる。交通利便だって、勤務・通学を優先するならどこがいいか言えないはずだ。教育環境も同様だ。孟母三遷の教えなど正しいのかどうか、誰も分からない。そもそも最近のマンション立地は〝なんでもあり〟の高容積の商業・準工エリアが圧倒的に多いではないか。コストパフォーマンスだって、実際にものを見ないと判断などできない。講釈師見て来たように嘘をつく。無責任極まりない。
さらに、この「大賞」の致命的な欠陥は、もっとも肝心な誰にとって住みやすいかのかの視点が欠落していることだ。選ばれるのは富裕層が住みたくなるような街ではなく、背伸びしたら手が届く街かと思いきや、坪単価は400万円をはるかに突破する「たまプラーザ」がこの3年上位にランクインしており、やはり坪単価425万円の「勝どき」が今年ランクインした。同社は誰の味方なのか。
評点の乱高下も不可解だ。2020年と2021年トップの「川口」は、2020年が4.14だった。そして2021年は4.40に跳ね上がり、2022年には4.05へ下落した。わずか3年間にこれほど上下するほど街並みが変わったとはとても思えない。「川口」と覇権を争っていた「赤羽」は2021年忽然として姿を消した。何があったのか説明してほしい。
ほかのエリアも月光仮面のように疾風のように現れて疾風のよう去っていく。5年間ベスト10・シニアベスト3にランク入りしているのは「大泉学園」のみだ。記者も大泉学園はいい街だと思うが、ならばとうしで石神井公園が徒歩圏の「石神井公園」や、都心への連絡もいい「練馬」はランク外なのか。同線では「ひばりヶ丘」が2022年のシニアランクでトップになったが、西武ファンの記者だって首をかしげたくなるランクインだ。そんなに年寄りが住みやすい街か。
トップに上昇した「辻堂」は、駅北口の再開発「湘南C-X(シークロス)」によって街並みが一変したのは十分承知しているが、ならば「藤沢」「茅ヶ崎」はどうしてランク外なのかさっぱり理解できない。
今年の大賞で3位に突如浮上した「多摩境」と10位にランクインした「新秋津」も不可思議だ。住宅購入検討者でこの2つの街をイメージできる人は10人に1人もいないだろう。
「多摩境」は知人も住んでいるので批判などしたくないが、このレベルの街なら首都圏に100も200もあるはずだ。「多摩境」がベスト3に入るのならなぜ同じ沿線のわが「多摩センター」はランク外なのか。「南大沢」は昨年のシニアランキング2位に入ったが、それだったら「永山」だって同レベルだ。同じ京王線では、他の沿線と比べ圧倒的に割り負けしている「調布」「府中」「聖蹟桜ヶ丘」もランク上位の評価が妥当ではないか。安藤忠雄氏が設計した建物が500mにわたって建ち並び、桐朋や白百合女子大の学生さんも多い「仙川」もいい。
「新秋津」には仰天した。ここは西武線との連絡に2~3分はかかる。生活利便施設も乏しい。マンション分譲など最近はまったくないはずだ。審査講評では戸建てが3,000万円台で買えるとあるが、質を無視すればこんなところは数えきれないほどある。(不動産に掘り出しものなどない)
言いたいことは他にもある。マンション業界関係者ならお分かりのはずだ。どことは言わないが、大型物件が分譲中か、あるいは分譲予定されている街・駅が突如浮上し、その役割が終えると忽然と姿を消す。同社は忖度などしていないだろうが、デベロッパーの影が見え隠れする。これが実にいやらしい。袖の下をもらっているのではないかと勘繰りたくなる。
◇ ◆ ◇
以下は番外。記者の独り言と受け取っていただきたい。記者はお金があったら住みたいのは「3A」の「赤坂」「青山」「麻布」や「渋谷(松濤)」「田園調布」「成城学園」「駒込(大和郷)」「大森(文化村)」などもいいが、何といってもいいのは「東京」だ。マンションの価値として坪単価3,000万円どころか5,000万円の価値はあると思う。三菱地所はどうして分譲マンションを建てないのか。このほか、都心部なら「人形町」「四谷荒木町(四谷三丁目)」「神楽坂」界隈もいい。
このほか、記者も悪くないと思うのだが、呑み助には24時間営業の安い飲食店が駅前に軒を連ねる「南越谷」がお勧めだ。競馬・ギャンブル好きには「府中競馬場」「多摩川競艇」「立川競輪」「浦和競馬場」「中山競馬場」「船橋競馬場」などに近い武蔵野線はどうか。毎日のように楽しめる。
夜景が美しいのはどこでもそうだろうが「竹芝」「桜木町」「元町・中華街(山下公園)」、海好きには「三浦海岸」、フーゾク街なら「新宿・歌舞伎町」「黄金町」「川崎・堀之内」(今でもあるのか)だろう。
これから検討する人には「南船橋」がお勧めだ。三井不レジが昨年分譲したマンションの坪単価は204万円だった。これから駅前の約4.5haの再開発が三井不動産・三井不レジなどによって推進される。数年後に街並みは一変する。
20年、30年先を見通すなら、最大の〝穴場〟は「新木場」しかない。ここは地区計画により151haの規模にわたり住宅不可となっている。現在のオフィス賃料は都心の10分の1の水準だ。木場の役割が終えた現在、地区計画の見直しが行われるのは間違いないとみた。ひょっとしたら「HARUMI FLAG」の第2弾はここではないか。
取り留めないことを書いてきた。つまり〝住めば都〟-どこもいいのだ。住みたくなくても離れられない人はたくさんいるし、住みたくても先立つものがない人のほうが圧倒的に多い。住宅購入検討者を惑わす、デベロッパーのプロパガンダに擦り寄るような大賞はやめていただきたい。
「ローカル」の大事さ浮き彫りSUUMO「住み続けたい街ランキング」(2021/10/6)
幸福度トップ自治体は鳩山町 根拠希薄・無神経な大東建託ランキングやめるべき(2021/9/8)
大和ハウス 湘南最大級全914戸の「プレミスト湘南辻堂」が完成(2021/1/22)
不快な臭い芬々 〝住みやすい〟街ランキング調査 無聊をかこつ記者のつぶやき(2020/12/14)
駅前4.5haの再開発も三井不グループに決定 三井不レジ「南船橋」人気加速か(2020/10/23)
川口元郷-現地-川口 徒歩30分 街路樹は1本もなし 「本当に住みやすい街大賞」? (2020/2/25)
らしき建築物発見!住宅不可の151haの江東区・新木場に88人が住む不思議(2019/6/4)
反響3000件超 ランドスケープ抜群 三菱地所レジ他「板橋大山 楠ノ杜」
「ザ・パークハウス板橋大山 楠ノ杜」
既報の「ザ・パークハウス川越タワー」の取材の帰り、同じ東武東上線の三菱地所レジデンス・三菱倉庫「ザ・パークハウス 板橋大山 楠ノ杜」を見学した。昨年、現地を見た段階で「素晴らしいマンションになる。どうしても見学しよう」と思っていた物件だ。期待通りのマンションだ。
物件は、東武東上線大山駅から徒歩7分、板橋区大山町の商業地域・第二種住居地域(建ぺい率:角地緩和で90%・70%、容積率:500%・300%)に位置する14階建て全187戸(募集対象外住戸2戸含む)。専有面積は57.76~117.62㎡、現在、先着順で分譲中の住戸(8戸)の専有面積は59.66~97.66㎡、価格は6,498万~13,098万円。全体の坪単価は355万円。竣工予定は2023年10月上旬。施工は東亜建設工業。
現地は邸宅、店舗などの跡地で、敷地面積は約5,200㎡。道路を挟んで「ハッピーロード大山商店街」に隣接。敷地南側は川越街道に接道。
建物は、南北に長い敷地形状を生かし、東向きのワイドスパンの「桜館」、川越街道に面した「楓館」、中庭を挟んだ南向き「楠館」の3棟構成。意匠・デザインには、内蔵のベンガラ色の蔵扉をエントランスに移設し、縦格子や枡格子を新たな素材でリデザインするなど、幾何学的な造形美、石の肌触り、木目のぬくもりを演出する。
ランドスケープデザインに力を入れているのが最大の特徴。小川を配した1,000㎡超の中庭「翠園」には、敷地内に植わっていた樹齢300~400年と推定される樹高10mのクスノキの巨木2本や樹高12mのソメイヨシノをそのまま保存し、既存の蔵や井戸、母屋などを共用施設に面するように配置。三菱地所レジデンスがSDGsの一環として取り組んでいる「BIO NET INITIATIVE(ビオネット・イニシアチブ)」を導入し、生物多様性に配慮した「ABINC認証」を取得。屋上には庭園を設置する。
住戸の平均専有面積は72㎡で、主な基本性能・設備仕様は、ディスポーザー、食洗機、リビング親子ドア(クランクインリビング)、ワイドスパン(桜館)、ミストサウナなど。
11月中旬から販売を開始しており、これまで3,000件超の反響を呼び、全戸の約4割に該当する70戸が成約済み。100㎡超の億ション1戸も抽選になるほどの人気になっている。
契約者の居住地は、地元板橋区が35~36%、豊島区が10%、そのほかは23区など多岐にわたっている。年代は30~50代と幅広く、職業は会社員6割のほか、会社役員、医師など富裕層も目立つという。
レジデンスギャラリー副所長・伊藤一樹氏は、「想定を上回る数のお客さまからの反響に驚いています。地元の方のみならず、中広域で探されていたお客さまはアクセスやコンセプトを気に入っていただきご契約いただいている点が特筆すべき点です。中庭の素晴らしさを気に入っていただき、即決で決められた方もいらっしゃる」と話している。
エントランス
中庭
◇ ◆ ◇
板橋区の物件として、価格(坪単価)は決して安くない。しかし、記者は駅からのアプローチ、ランドスケープデザイン、ワイドスパンの住戸プランなどを総合的に判断して、極めて妥当な価格だろうと思う。北区赤羽の再開発マンションは坪単価400万円をはるかに突破するのは間違いない。
広域から集客できているのもよく理解できる。「川越」の記事でも書いたが、23区内でこの単価の良好な住環境のファミリーマンションは湾岸・城東・城北の一部しかない。価格は安くても、震災のことを考えると二の足を踏む検討者は多いはずだ。
その点、板橋区の「ハッピーロード」は山の手ではなく昔ながらの店も多く、好きになれない人もいるかもしれないが、アーケード街なので駅から現地まで雨が降っても濡れずに済むのがいいし、女性は夜遅くなっても怖くないはずだ。
もう一つの推奨材料は再開発計画だ。商店街の中には2024年12月に竣工予定の住友不動産とフージャースコーポレーションが事業参画している「大山町クロスポイント」(0.7ha)と、今年度に都市計画決定予定の積水ハウスが事業参画する「大山町ピッコロ・スクエア」( 1.3ha)がある。
現段階で詳細は不明だが、「クロスポイント」(345戸)の坪単価は400万円に乗るのではないかと記者は見ている。「ピッコロ・スクエア」はその規模、計画から判断して緑に恵まれたいい街になる。月島のような、博物館入りしそうな古い街並みや店舗との共存を記者はこの街に期待している。
区内には、似たような街並みの十条駅前の39階建て再開発「J& TERRACE/MALL」(578戸)や「ザ・パークハウス 十条」(64戸)があり、検討者にとっては悩ましい選択になるが…。
既存樹のクスの巨木
◇ ◆ ◇
マンションの1階にある約140㎡超のジャグジーバス付きゲストルームが無料になることを伊藤氏から聞いた。詳しい経緯は分からないが、有料にすると旅館業法の許可要件「宿泊料を受けて人を宿泊させる営業」に抵触するおそれがあるからではないか(大規模マンションにはゲストルームはつきものだが、各管理組合は宿泊料として金銭を受領していないはずだ)。
細かいことだが、クローゼットには一時掛けハンガーが付いていた。外出時に何を着ていこうか迷ったときに複数の洋服などを見比べられるようにしたものだ。
一時掛けハンガー
プレミアム住戸のモデルルーム
モデルルームの食器類(記者はてっきり金製のナイフとフォークかと思ったら、同社の女性広報担当者は「ZARAなの」と瞬時に値段をはじいた)
「大山町クロスポイント」再開発着工 住友不・フージャースが事業参画(2021/9/15)
東京建物「Brillia大山Park Front」完成 ランドスケープ・外観が素晴らしい(2018/11/30)
東京建物「Bloomoi(ブルーモワ)」が企画 機能的で美しい 公園隣接の「大山」(2017/9/25)
駅前の免震タワーは坪320万円 京王・聖蹟桜ヶ丘を抜き去る 三菱地所レジ他「川越」
「ザ・パークハウス川越タワー」
三菱地所レジデンス(事業比率50%)と大栄不動産(同)は12月10日、東武東上線・JR川越駅から徒歩1分の川越市最高峰の免震タワーマンション「ザ・パークハウス川越タワー」のモデルルームを2022年1月8日にオープン、2月中旬から販売開始する発表。同日、メディア向けモデルルーム内覧会を行った。
物件は、東武東上線・JR川越線川越駅から徒歩1分、川越市脇田本町の商業地域(建ぺい率90%、容積率600%)に位置する25階建て全173戸(募集対象外4戸含む)。専有面積は44.36~117.16㎡、価格は未定だが、坪単価は320万円になる模様。竣工予定は2023年10月下旬。施工はフジタ・川木建設共同企業体。販売開始は2022年2月中旬の予定。
現地は、川越駅圏でごくわずかしかない容積率600%の商業地域の一角。敷地は埼玉りそな銀行と三菱UFJの店舗跡地。両者がそれぞれ用地を取得して共同で分譲することになったもの。敷地は四方道路に接道。
建物は2階建て商業棟と25階建て住宅棟で構成。「川越駅西口グランドデザイン」に基づき地域との共生を目指し、地元の農業協同組合や企業との連携による地産地消、間伐材を使用した家具・小物の活用を行うほか、川越に本社を置く「ヤオコー」のネットスーパー、ペットボトルの回収、電気自動車の充電ポート導入などサステナブルな取り組みも行う。また、防災の取り組みとして、各住戸に防災倉庫を設置し、防災イベントを行っていく予定。
住戸プランは70㎡台の3LDKを中心に40㎡台の2LDK、最上階は100㎡台のプレミアム住戸を用意。主な基本性能・設備仕様は、川越市初の免震、二重床・二重天井、リビング天井高2500ミリ(プレミアム住戸は2700ミリ)、食洗機、ディスポーザー、ミストサウナ、クオーツストーンキッチン天板など。クローゼットには一時掛けハンガーを設置している。共用施設はオーナーナラウンジ、スカイデッキ、クラブラウンジなど。
9月に物件ホームページを開設してからこれまで1,200件の反響がある。内訳は地元が4割、周辺エリアが1割、県内が2割、東京が3割。富裕層からの問い合わせも多いという。価格は2LDKが6,000万円台、70㎡台の3LDKが7,000万円台中心、最上階は1億1,000万円台の予定。
内覧会に臨んだ三菱地所レジデンス第一計画部長・浦崎康弘氏は、「駅1分の利便性と25階建てという市内最高層と免震、開放感、眺望は市のランドマークとなるはずで、地域との共生をテーマに持続可能な街づくりに貢献したい」と語った。
オーナーズラウンジ
間伐材を用いたモデルルームの畳数表示板
◇ ◆ ◇
記者の個人的な最大の関心事は坪単価が300万円を超えるかどうかだった。川越駅は池袋駅からちょうど30分。わが京王線の新宿駅から30分といえば聖蹟桜ヶ丘駅で、いま東京建物などが分譲中の「Brillia Tower 聖蹟桜ヶ丘BLOOMING RESIDENCE」(520戸)がある。免震タワーというのは一緒で、記者は「聖蹟桜ヶ丘」を見学はしていないが、基本性能・設備仕様レベルは同等で、街のポテンシャルもそれほど変わらないはずだ。唯一、京王線が負けるとすれば都心(東京駅など)へのアクセスだろう。
坪単価はどうか。記者は東京建物が計画を発表した段階で坪単価は300万円の大台に乗るのを期待していた。免震でZEH、多摩川がすぐそばならアッパーミドルの需要を総取りできると思った。ところがどうだ、坪単価が270万円と聞いて正直がっくりした。
川越はどうか。三井不動産レジデンシャルが数年前に分譲したマンションの坪単価は285万円だった。かなり高いと感じた。今回、それを上回るのは確実だと思っていた。三菱地所レジデンスは「価格は未定」としているが、予定価格からして坪単価は320万円になるはずだ。「聖蹟桜ヶ丘」との差は坪50万円。20坪にして1,000万円だ。
これは聖蹟桜ヶ丘と川越だけの話ではない。いかに他の沿線と比べ京王線のマンションが著しく割り負けしているか。東急線では代官山は坪900万円を突破し、自由が丘も600万円超、綱島だって400万円だ。小田急線の代々木上原は650万円、成城学園は500万円をはるかに超える。新百合ヶ丘も400万円以下はありえない。東上線だって住友不動産・大山は400万円に乗るかもしれない。伊勢崎線(千代田線か)の北千住は380万円だ。京王線のアッパーは調布の370万円だ(三井不動産レジデンシャルの初台の物件は500万円弱だか)。
マンション相場のみの評価ではあるが、京王は東急や小田急にその差を広げられ、ついに東武東上線に逆転された。勝てるのは西武と京急、相鉄、京成くらいか。その京急も相鉄も虎視眈々、都心部への進出を考えている。
京王も沿線自治体もブランディングを再検討したほうがいい。神奈川、埼玉、千葉から移り住みたくなるような街づくりをするべきだ。京王はサンウッドと資本提携したが、市場を劇的に変えるには力不足だ。
横道にそれすぎた。「川越」に戻す。モデルルームの仕様レベルは間違いなく水準以上だ。地価水準の高い東京23区内ではまず不可能なレベルだと思う。都内からの反響が3割というのも納得だ。
ザ・ホール
「一般社団法人 日本ウッドデザイン協会」設立 会長に隈研吾氏
最前列左から三菱地所執行役社長・吉田淳一、竹中工務店取締役社長・佐々木正人、ユニバーサルデザイン総合研究所所長・赤池学、建築家・隈研吾、農林水産大臣政務官・下野六太、林野庁長官・天羽隆、農林中央金庫代表理事理事長・奥和登、住友林業代表取締役会長・市川晃の各氏
農林中央金庫、住友林業、竹中工務店、三菱地所、ユニバーサルデザイン総合研究所は12月8日、建築家・隈研吾氏を会長とする「一般社団法人 日本ウッドデザイン協会」を設立したと発表した。これまで林野庁補助事業としてユニバーサルデザイン総合研究所が実施してきた顕彰事業である「ウッドデザイン賞」を同協会が引き継ぐ。
同協会は、木を活用した社会課題の解決を目指す取組みを「ウッドデザイン」と定義し、「ウッドデザ イン」に関わるあらゆる分野の調査、研究、開発、事業創造、普及と啓発を通じ、あらゆるステークホルダーとの連携により木のある豊かな暮らし、木材利用、森林・林業の成長産業化、地方創生を推進して、脱炭素化等、環境と資源に配慮した持続可能な社会の実現を図るのが目的。
会長に就任した建築家・隈研吾氏は、「『ウッドデザイン』は木材を使って社会と暮らし、都市と地域に新たな価値をもたらす、多様な連携による活動の総称です。そして、日本ウッドデザイン協会は、木材を使って持続可能な社会、個性ある地域、豊かで安心な暮らしをデザインするための、新たなプラットフォームです。この2年あまりで社会にもたらされた劇的な変化は、人々の価値観を大きく変え、自然との近さや発想の柔軟性がより求められるようになりました。木材はこうした価値観に応える最良の素材です。協会の目的を達成するためには、業種や分野の枠を超えた、多くの方々の参画が不可欠」とコメントした。
◇ ◆ ◇
同協会設立の案内が届いたとき、「ウッドデザイン賞」内部で内紛が勃発し、分派活動を開始するのかと思ったが、そのまま顕彰事業を引き継ぐとのことでめでたしめでたし。
記者は、ユニバーサルデザイン(UD)こそが全てを包含する概念だと思っているのだが、UDが普及するにつれて「グッドデザイン賞」「キッズデザイン賞」などが幅を利かすようになっている。「〇〇デザイン」を付した公益法人は20も30もある。そして、それらの賞の中には、国民の支持率が3割にも満たないことがある、もらっても全然嬉しくない「内閣総理大臣賞」が必ずといっていいくらいある。
100も200もある、連日どこかで授賞式がある「文学賞」と同じで、それぞれが相殺しあい、その分だけ有難みが減殺されるのではないかと心配するのだが、「日本ウッドデザイン協会」そうならないことを祈るのみだ。
外貌の呪縛を解き放つか 「現しを求めるのは木造コンプレックス」三井ホーム小松氏
「MOCXION INAGI(モクシオン稲城)」
三井ホーム「MOCXION INAGI(モクシオン稲城)」のメディア向け完成現場見学会の取材を終え、帰りかけたときだ。同業の女性記者が「これって鉄かコンクリか木造か分かりませんよね」との趣旨の質問をした。すぐさま、同社技術研究所研究開発グループマネージャー・小松弘昭氏は「現しにしないといけないというのは木造コンプレックスの裏返し。木の性能、コストなど科学的・合理的なことのほうが大事」と言い切ったではないか。
この会話を傍で聞いていた記者は、一瞬「コンプレックス」は「complex=複合」という意味なのかとも考えたが、両者のやり取りから「complex」は明らかに「劣等感」という意味で小松氏は用いたはずだ。
記者は森林・林業、木造の取材を始めた10年くらい前から、建築基準法の耐火・防火基準は、わが国の伝統的な木造建築の歴史・文化をぶち壊し、欧米の鉄やコンクリで埋め尽くそうという陰謀であり、元に戻すには耐火・防火基準の緩和と、意匠・デザインは現しにすべきとずっと主張してきた。美しい木肌・木目を石膏ボードなどケミカル製品で覆い隠すのは、女性に例えればせっかくの美顔・美肌に安物のどうらんを塗りたくるのと一緒ではないかと。
それを小松氏は「木造コンプレックス」と昂然と語った。頭をどやされたような気がした。しばし考えた。なるほど。「皆さんは現しがいいと仰るが、確かに風雨にさらされ時と共に朽ちていくのも風流かもしれませんが、木の本質を知っていただけるなら、外観をどのように覆っていただいてもかまいません」とみどりの女神(いつの間にみどり=山の神は女神になったのか)が囁いているのだろうか。それでも記者は現しがいいと考えるが。
そういえば、「今度の美人会長も楽しみにしている」と発言した福島県相馬市の立谷秀清市長も、「顔のきれいな子は賢いことを言わないときれいに見えない」と語った静岡県の川勝平太知事も、女性の外形差別だと批判を浴び謝罪した。作家の西加奈子氏は「日本一賢い猫が、あなたの呪縛を解きほぐす 自分を『ぶす』だと思っている全女子におくります」という帯付きの「きりこについて」(角川文庫)という小説を発表した。
木も同じことなのか。この日、三菱地所、住友林業などは「一般社団法人日本ウッドデザイン協会」を設立した。関係者らで、現しを求めるのは木造コンプレックスなのかどうか論じていただきたい。小松氏の指摘は一考に値する。顔や外観の呪縛から解き放たれたら世の中はひっくり返る。
壁(左)と床の実物大模型
賃料は「調布並み」でも申し込み殺到 三井ホーム「稲城」の木造5階建て賃貸
美人を美人と褒めてどこが悪いのか/居直り記者が男女差別を考える(2021/11/15)
賃料は「調布並み」でも申し込み殺到 三井ホーム「稲城」の木造5階建て賃貸
「MOCXION INAGI(モクシオン稲城)」
三井ホームは12月8日、わが国最大級の木造5階建て(1階はRC造)賃貸マンション「MOCXION INAGI(モクシオン稲城)」のメディア向け完成現場見学会を行った。
物件は、京王相模原線稲城駅から徒歩3分、稲城市百村の第2種住居地域(建ぺい率80%、容積率200%)に位置する敷地面積約1,499㎡、5階建て(1階:RC造、2~5階:木造)延べ床面積約3,738㎡の耐火ハイブリッド構造賃貸マンション51戸。間取りは2LDK(50.82~56.10㎡)48戸と3LDK(69.89~96.14㎡)3戸。募集対象の2LDK・3LDK47戸の賃料は122,000~150,000円。共益費は8,000円。設計・施工は三井ホーム。デザイン監修はアーキヴィジョン広谷スタジオ。着工は2020年11月。竣工は2021年11月。
この物件についてはこれまで2度書いているので、そちらを参照していただきたい。今回の見学会では、同社担当者が〝安かろう悪かろうの木賃アパート〟〝木は燃える〟などのイメージ・課題が払しょくされたと胸を張り、何と賃料は「稲城」ではなく4割増しの「調布」の相場価格で募集したところ瞬く間に埋まったことを聞き、口から心臓が飛び出すほど驚いた。さらにまた、「現しにしないといけないというのは木造コンプレックスの裏返し」という言葉に頭をどやされたような気がした。リアル取材の大切さを改めて学んだ。
まずは、同社施設事業本部事業推進室営業推進グループ長&事業推進グループ長・依田明史氏が見学会の冒頭で語った内容を紹介する。
依田氏は、これまでこの種の賃貸マンションは「アパート」としてしか募集できなかったが、プレハブ協会と大手の募集サイト運営会社がマンションの定義を決め、首都圏不動産公正取引協議会の了解を得た結果、今年12月6日からは「マンション」として募集することが可能になったインパクトは大きく、「木造=安い」というイメージ・課題が払しょくできたと話した。
次に、劣化対策等級3、断熱等性能等級4、一次エネルギー消費量等級5、ZEH-Mなどを取得し、エンジニアリングレポートで鉄筋と同等の性能があることが可能となり、建物売却時の価格に反映されると強調。
そして、これまで行った現場見学会には不動産業、建設業、金融機関を中心に千数百人が参加し、11月12日から47戸を対象に入居者を募集したところ、9割強の申し込みがあり、賃料は「稲城」(6.5千円/坪)ではなく「調布」(8.4千円/坪)に設定したことについて、「かなり気をもんだが、びっくりするほどの反響を頂いた」と話した。
さらにまた、入居募集の際にアンケートをとったら、「稲城だから」という回答(30%)の次に「木造に興味がある」と回答した人は20%に上ったことについて「これほど木造に理解を示される方が多いのに驚いた」と述べ、「木造の概念を払しょくできた」と締めくくった。「払しょく」は少なくとも3度は使ったはずだ。
エントランスホール(木は本物で、三井不動産グループの北海道の社有林のトドマツ)
510号室のリビング(床はシート張り)
天然木のサイン
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記者はこの賃料設定に驚いた。分譲マンションの相場は、「調布」は坪単価350~360万円で、「稲城」の事例はないが、仮に同地で分譲したら坪単価は260~270万円だろう。同社の賃料設定と符合する。
驚いたのはほかにもある。見学会で公開された90㎡台の非賃貸住戸では、分譲マンション並みの性能を有することを実証する実験が行われていたが、同時にエアコン一つで全館空調を実現する実験が行われていたことだ。スペースは約半畳大で、いま市場に出回っている他社商品よりコストがかなり抑えることができる手応えがあるようで、三井不動産レジデンシャルの分譲マンションに採用することを視野に入れているとのことだった。
さらにもう一つ。RC造と比較してコスト・工期を約1割削減したのもさることながら、これまでの現場見学会、入居募集活動で、RC造1階のエントランスで受け付けを担当したスタッフは足腰の痛みを訴えたのに対し、木造部分の2階以上で対応した担当者はそれほどでもなかったということを聞いた。木の快適性はここでも証明されたということか。
全館空調の実験(エアコンは普通のものだそうだ)
外貌の呪縛を解き放つか 「現しを求めるのは木造コンプレックス」三井ホーム小松氏
「木」の中層マンション「MOCXION(モクシオン)」第一弾 三井ホーム「稲城」見学会(2021/7/7)
木造マンションの試金石目指す 三井ホーム5階建て延べ床3,700㎡の賃貸着工へ(2020/9/29)
日本橋川に面した大規模再開発 三井不&野村不「日本橋一丁目中地区」着工
「日本橋一丁目中地区第一種市街地再開発事業」
三井不動産と野村不動産は12月7日、「日本橋一丁目中地区第一種市街地再開発事業」を12月6 日に着工したと発表した。東京八重洲・日本橋エリアで進行中の数か所の市街地再開発事業の一つで、日本橋川を臨むテラス・デッキ、賑わいを創出する広場を複数設け、既存の日本橋船着場の舟運ネットワークとも連携するなど、両社はリーディングプロジェクトを目指す。
同プロジェクトは、東京メトロ銀座線・東西線・都営地下鉄浅草線日本橋駅に直結する総面積約3.0haの規模で、両社は地権者、参加組合員、業務受託者として参画。業務施設・業務施設からなる4階建てA街区、住宅・商業施設からなる7階建てB街区、オフィス、商業施設、ホテル、居住施設、MICE施設、ビジネス支援施設などからなる52階建てC街区で構成。都市計画・事業コンサルタント・基本設計・実施設計・監理は日建設計。デザインアーキテクトは日建設計、PELLI CLARKE PELLI ARCHITECTS,INC。施工は日本橋一丁目中地区第一種市街地再開発事業建設共同企業体。竣工予定は2026年3月末。
メインタワーのC街区には、オフィス・居住施設・ホテル・MICE・ビジネス支援施設などを整備。39~47階には、全197室のヒルトンの最上級ラグジュアリーブランド「ウォルドーフ・アストリア東京日本橋」が入居するほか、48~51階にはビジネスパーソンの中長期的な滞在にも対応し、コンシェルジュサービスも備えた約100 戸の居住施設を予定している。5~8 階には都心最大規模を誇るMICE施設を設置する。
A街区は、1930年(昭和5年)に竣工した貴重な近代建築物として中央区指定有形文化財に指定されている日本橋野村ビル旧館の風格ある外観を保存活用する。
B街区には、日本橋川沿いの賑わいにつながる商業施設、多様なライフスタイルに対応可能な約50戸の住戸を予定している。
また、環境負荷低減への取り組みとして、C 街区地下に「電気」と「熱」を供給するエネルギーセンターを設置し、施設全体の省エネルギー化を推進する。
デザインアーキテクトには日本橋三井タワー、日本橋室町三井タワーをデザインした「ペリ ク ラーク ペリ アーキテクツ」を起用。着物・川・暖簾をイメージした日本橋の街並みに調和し、国際金融拠点に相応しいグローバルデザインを実現する。
現在、八重洲・日本橋エリアでは、同プロジェクトのほか「TOKYO TORCH」「八重洲一丁目北地区」「八重洲一丁目東地区」「八重洲二丁目中地区」「TOKYO MIDTOWN YAESU」「日本橋一丁目東地区」「日本橋室町一丁目地区」などの再開発計画が目白押し。
オフィスエリア テラス
東京都の外国人 コロナ前より8.3%減 区別トップは江戸川3.5万人 新宿抜く
今日も取材は1件もなし。しょうがないので、暇に飽かせてコロナ禍で激減している東京都の外国人の動向を調べてみた。令和3年10月の外国人は約52.3万人で、コロナ前の令和元年10月と比べ実に約4.7万人、8.3%も減少した。区・市部でもっとも多いのが江戸川区の3.5万人で、2年前トップだった新宿区を抜いた。国籍別でもっとも多い中国人はこの2年間で約2.0万人、8.7%減少している。
東京都の住民基本台帳による令和3年10月現在の外国人は522,732人(令和元年同月比8.3%減)で、23区は435,020人(同9.3%減)、市部は86,408人(同2.3%減)となっている。
区・市部でもっとも外国人が多いのは江戸川区で35,424人(5.3%減)。以下、新宿区34,572人(同18.6%減)、足立区33,241人(同3.8%減)の順。増減率から推測すると、2年前にトップだった新宿区は足立区に抜かれて3番目になるのは時間の問題だ。足立区を筆頭に減少幅が小さい城東エリアは居住費が安いためか、あるいは外国人のコミュニティが存在するためか。新宿区、豊島区、中野区など都心部の減少が目立つのはやはりコロナの直撃を受けたためか。
国籍別でもっとも多いのは中国の206,110人(同8.7%減)。居住地は江東区、足立区、江戸川区でそれぞれ1.4万人台。2位の韓国は84,028人(同10.7%減)。居住地は新宿区の8.7千人、足立区の6.9千人がやや抜けている。3位はベトナムの34,815人(同6.2%減)。居住地は江戸川区、豊島区、足立区、新宿区が2千人台となっている。
フィリピンは32,709人(同3.0%減)で、地域別では足立区、江戸川区、大田区2~3千人台。ネパールは24,566人(同6.2%減)で新宿区、大田区、豊島区が2千人台。台湾は17,465人(同15.5%減)で1.5千人の新宿区が多い。アメリカは17,384人(同10.0%減)で、居住地は2.5千人の港区が突出しており、世田谷区、渋谷区がそれぞれ1.8千人、1.3千人。インドは12,967人(同3.4%減)で、地域別では5.1千人の江戸川区と2.4千人の江東区で全居住者の58.2%を占めている。
上位10か国で唯一増加しているのはミャンマーで10,678人(同7.1%増)。政情不安の反映か。
この2年間、市部で外国人が増えているのは立川市、青梅市、昭島市、東村山市、国分寺市、東大和市、東久留米市、稲城市、あきる野市など。
女性比率の高いのは港、目黒、世田谷 男性が多いのは台東、中野、江戸川 23区人口
今日は1件の取材も入っていないので、この前、コスモスイニシア「イニシアテラス目黒学芸大学」を取材したとき、「目黒区」は女性の人気が高いことを話題にしたので、その裏付けをとるため男女比の人口構成を調べてみた。
令和3年1月現在の同区の人口は約28.1万人で、男性は約13.3万人、女性は約14.8万人だ。男性を1とした場合、女性の人口割合は1.116となっている。
他区はどうかというと、比率が高い順では港区がトップで1.121となっており、次いで目黒区、以下、世田谷区(1.111)、文京区(1.104)、中央区(1.099)、杉並区(1.084)、渋谷区(1.082)の順。
逆に男性が多いのは台東区(0.955)、中野区(0.983)、江戸川区(0.084)、新宿区(0.094)、千代田区(0.095)の順。23区平均は1.038で、10区が女性の比率が平均を上回っている。
26年前の平成7年はどうだったか。女性比率が高いのは港区(1.121)、渋谷区(1.103)、中央区(1.094)、目黒区(1.094)、千代田区(1.091)、文京区(1.077)の順で、男性比率が高いのは江戸川区(0.950)、足立区(0.967)、大田区(0.974)、江東区(0.981)の順。23区平均は1.012)で、12区が区平均を上回っている。
平成7年と令和3年を比較して、女性比率が高まったのは練馬区(0.068ポイント、以下同じ)、世田谷区(0.060)、江東区と大田区(0.051)、板橋区(0.044)などで、逆に女性比率が低下したのは千代田区(0.096ポイントマイナス、以下同じ)、中野区(0.045)、台東区(0.044)、新宿区(0.043)など。
さて、皆さんはこの数値をどうみられるか。いい加減なことを言うと〝お前、それ差別だ〟と言われかねないので言葉を選ばないといけないが、女性比率が高い区は住宅地としても人気が高いエリアということは間違いなさそうだ。
平成7年から女性比率を下げた千代田区は大学の郊外への移転が進んでいるためか、新宿、渋谷、中野区などは新型コロナ禍で外国人を中心に人口が減少しているのと関係があるのかどうか。
いずれにしろ、目黒区の人口に占める女性の割合が高いことは証明できた。年代別では、14歳以下の年少人口の男女比は男性のほうが上回っており、30歳を超えると女性比率が目立って高くなっていることからも、生産年齢以上の女性が移り住んでいることは容易に推測される。目黒区に限ったことではないが、いわゆる〝おひとり様〟も圧倒的に多いことが分かる。
どうして目黒区が女性に〝人気〟なのかは詳細な分析が必要だが、区内には中目黒、青葉台、駒場、鷹番、碑文谷、自由が丘、緑が丘など良好な住宅地を形成しているところが多く、交通便も東急東横線、東急目黒線などでターミナル駅まで十数分圏と近いのもその要因ではないか。
また、良好な住宅地を形成し、都心に便利な割にはいかがわしい街が少ないことも挙げられるかもしれない。住居費は高くなっても安全・安心を優先する賢い選択(男性が愚かという意味ではない)をしていると記者は思う。
蛇足だが、美しい地名のところに住んで、雄をおびき寄せる意図があるのかどうかは不明で、もちろん記者をごみのように捨てた彼女は目黒区に住んでいたことと関連があるのかどうかも分からない。
行政サービスが他区とどう異なるかについては調べていただきたい。