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「シティハウス下目黒」模型

 第一種低層住居専用地域(1低層)に位置する住友不動産の大規模低層マンション「シティハウス下目黒」を見学した。元東京学園高校跡地の全195戸で、林試の森公園には徒歩5分の立地。単価予想が悩ましいマンションだ。

 物件は、JR山手線目黒駅からバス9分徒歩4分・東急目黒線武蔵小山駅から徒歩15分、目黒区下目黒6丁目の第一種低層住居専用地域(建ぺい率70%・容積率150%)に位置する敷地面積約8,449㎡、地上4階、地下1階建て全195戸。専有面積55.24~100.35㎡、価格は未定。竣工予定は2021年6月上旬。設計・施工は長谷工コーポレーション。分譲開始は2020年2~3月。

 現地は、明治22年にわが国初の商業高校として開校された東京学園高校跡地で、明治から昭和の初めまで目黒競技場として利用されエリアに近接。その近接地には2013年竣工に竣工した同社の敷地面積約9,700㎡の「シティテラス下目黒」(175戸)があり、全49戸のほとんどが1億円以上だったにも関わらず人気になった三井不動産レジデンシャルの都市型戸建て「ファインコート目黒」もある。総面積約12.1ha、外周を歩くと約45分の「都立林試の森公園」には徒歩5分。

 敷地はほぼ正方形で、3方接道。建物はロの字型。建築基準法第55条第2項の規定に基づき建物の絶対高さ規制10mの緩和を受けている。

 主な基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、ディスポーザー、食洗機、御影石キッチン天板、Low-Eガラスなど。

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現地

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 価格は未定だが、単価予想は難しい。記者は信じられないのだが、商・工・住混在の坪単価400~500万円台の〝駅近〟億ションが飛ぶように売れている。

 このマンションは、目黒駅から歩くのは大変で、しかもかなりきつい権之助坂もある。バス利用でも駅から十数分かかる。交通利便重視のユーザーは選択の埒外かもしれない。

 その逆に、低層の良好な住宅地を最優先する人にとってはたまらない立地だろう。嫌悪施設などが禁止され、良好な低層の街並みが将来にわたって担保される価値は何物にも代えがたい。

 いかに希少か。少し説明しよう。東京23区の場合、1低層の全用途地域に占める割合は平均19.4%で、もっとも比率が高いのは杉並区の64.1%だ。以下、練馬区58.5%、世田谷区50.7%、中野区40.7%となっており、目黒区は40.2%で5番目だ。逆に千代田区、中央区、台東区、墨田区、江東区、北区、荒川区の7区はゼロで、港区は0.1haが1低層だが割合は0.0%しかない。渋谷区は11.5%、文京区は10.7%、新宿区は6.6%、品川区は5.6%。ちなみに大阪市は1低層ゼロだ。

 どうだろう。都心3区はともかく、住宅地としてポテンシャルが高いのは1低層が多いことが分かるはずだ。この希少価値を金額に置き換えたらいったいいくらになるか。価格は市場が決めることだからこれ以上書かないが、皆さんはどう評価するか。林試の森公園には外来種や雑種にどんどん浸食され絶滅するのではと危惧されているカントウタンポポが自生しているという。

 参考までに、1低層のマンション記事を添付する。

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林試の森公園(ホームページから)

一戸当たり土地持ち分67㎡ 日土地ほか「バウス武蔵境」 悩ましい都市計画道路(2019/9/11)

隣接するUR賃貸と一体となった3ha超の低層 住友不「シティテラス荻窪」(2016/3/2)

23区最大の第一種低層 三菱地所レジデンス「ザ・パークハウス上鷺宮」(2014/4/4)

〝オール三井〟の記念碑的な都市型戸建三井不レジ「ファインコート目黒」(2014/5/25)

用地取得から10年 小石川植物園に隣接した住友不動産「インペリアルガーデン」(2014/1/16)

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国交省屋上の「特定屋外喫煙場」(中央合同庁舎3号館屋上で)

国土交通省などが入居する霞が関の中央合同庁舎2号館・3号館から喫煙室がなくなったことは先月書いた。

 この日(1129日)は、社会資本整備審議会住宅宅地分科会の委員による住生活基本計画の見直しに向けた勉強会が行われたので取材に出かけ、念のため「省内に喫煙所はないですか」と職員に聞いた。分科会が始まる直前の午後130分前だ。「最上階11階の上の屋上にあります」とのことだったので駆け付けた。

 屋上広場の隅っこにそれはあった。広さは10坪くらいか。屋根はなく吹きっさらし。十数人がタバコを吸っていた。

 分科会が終了した午後330分過ぎにも駆け付けた。会合前と同じくらいの人がいた。タイムを計った。2分間に10人が主に階段を登り屋上に出て行き、7人が屋内に入り主に階段を降りて行った。

 「登り」「降り」と書いたのは、屋外に通じるエレベータはあるのだが、「荷物の搬出入用です。荷物以外の利用は極力控えてください」との表示があり、職員は下層階から階段を登り降りする人のほうが多かったからで、全ての人が階段を使ったわけではない。

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以前は喫煙所だった2号館のスペース

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このような、喫煙者に対する仕打ちは、今年7月から施行された「東京都受動喫煙防止条例」・「改正健康増進法」改正により、「保育所、幼稚園、学校、各種養成施設、児童福祉施設、病院、行政機関等は屋内完全禁煙。屋外(施設の利用者が通常立ち入らない場所)に要件を満たした喫煙所が設置されることは可」とすることが決まったからだ(91日からは保育所、幼稚園、小中高校等は屋外も含めて敷地内完全禁煙)。

 都の条例は、都民の責務として第四条で「都民は、喫煙及び受動喫煙が健康に及ぼす悪影響について理解を深めるとともに、他人に受動喫煙を生じさせることがないよう努めなければならない。2都民は、都が実施する受動喫煙の防止に関する施策に協力するよう努めなければならない」としている。

 条例に盾突くわけではないが、小生は「喫煙」をやり玉にあげるのなら、「超過勤務」「運動不足」「睡眠不足」「暴飲暴食」「糖分の摂取」「夫婦喧嘩」…も加えるべきだと思う。

 「受動喫煙」を言われると返す言葉はないが、喫煙者は激減しているのにどうして肺がんが激増しているのか。きちんと説明してほしい。「閾値」を示すべきだ。

 そもそも、「たばこ事業法」は第一条の目的で「我が国たばこ産業の健全な発展を図り、もつて財政収入の安定的確保及び国民経済の健全な発展に資することを目的とする」と高らかに宣言しているではないか。

 そして何より、わが国の憲法は「国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる」(第十一条)「すべて国民は、個人として尊重される」(第十三条)「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」(第二十五条)と謳っているではないか。

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こんな劣悪な環境で妙案が浮かぶはずはないと思うが…

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 国交省は「女性職員活躍と職員のワークライフバランスの推進のための国土交通省取組計画」平成271月に定めた(令和元年531日に一部改正)。全22ページにわたるもので、一通り読んだ。超過勤務の縮減の徹底、フレックスの周知、テレワークの推進など素晴らしい取り組みだ。ひょっとしたら、喫煙は怠業であり、館内禁煙の徹底を指示しているのではないかと心配したが、そのようなことは1行も書かれていない。

 タバコを愛する職員の皆さん、喫煙は仕事の能率を上げるのに必要不可欠だと思うし、ストレス解消にもなり、職員同士のコミュニケーションにもなる。階段の昇り降りは大変だろうが、健康増進のためと考えれば苦ではなくなる。 

 取材の機会があったら真っ先に駆け付けよう。

 立派なスギ材の椅子が並べられている2号館の前喫煙所はほとんど利用者がいなかった。

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 タバコと言えば、リッツ・カールトンを思い出す。リッツのホスピタリティの高さはよく知られている。記者は「ザ・リッツ・カールトン東京」開業初日に宿泊し、次のように書いた。

 タバコを吸いたくなったので、ロビーで「タバコを吸う場所は外しかありませんか」と聞いたところ、「バーなら結構ですので、よろしかったらどうぞ」とスタッフが応えた。内心、真っ昼間から1杯2000円以上もするワインを飲まなきゃならないのかと思ったが、飲み物はオーダーしなくてもいいと言われた。こんなサービスをするホテル・旅館は日本中のどこを捜してもないだろうと思った。

 記者は、午後から仕事がなければ、間違いなくここでゆっくりタバコを吸い、ワインを飲んでいただろう。ロビーからは生演奏のクラシック音楽が流れてきていた。

「首里城の焼失 慙愧に堪えない」涌井史郎氏 国交省「芝生懇談会」(2019/10/31

比類なきホスピタリティの高さリッツカールトン(2007/4/2)

 

 

 

 当欄既報の東京建物・日本土地建物「Brillia 上野Garden」の第1期1次販売戸数が40戸であることが分かった。全98戸のうち分譲対象は77戸なので、約52%が一挙に供給される。

 第1期1次の価格は6,388万~15,898万円(最多価格帯8,100万円台・8,400万円台各3戸)、専有面積は49.83~106.63㎡。登録受付期間は2019年11月30日~12月9日、抽選日は12月9日(月)16:00~。

大激戦の「築地」尻目に空白区で圧勝か 東京建物「Brillia上野Garden」(2019/11/11)

「凄くいい」来場者が感嘆 モデルルームの出来出色 好調の伊藤忠都市「上野池之端」(2019/8/11)

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「リビオレゾン勝どきnex」完成予想図

 日鉄興和不動産が10月9日に発表していることなので旧聞に過ぎるが、これまでのマンションのモデルルームの常識を根底から覆す同社の〝バラバラでアンバランス〟なコンセプトルームを体験した。ミレニアム世代の単身女性向けプランで、〝古稀〟の記者はあっけにとられると同時に〝これは受けるかも〟と直感した。

 同社のニュース・リリースをご存じない方は何のことやらさっぱり分からないだろから、まず、同社の6ページからなるリリースを要約する。

 同社が運営するシングルライフのための暮らし・住まいの研究所「+ONE LIFE LAB」(プラスワンライフラボ)は2017年12月、プランニングチーム「素敵なうさぎライフ研究所」(うさ研)を立ち上げた。

 その背景には、「既成のルールや価値観に縛られず独自の感性を持つと言われるミレニアル世代(1980年代〜2000年代序盤生まれ)の意識や生活行動は、住生活においても従来の常識を覆す新しい市場を生み出す可能性を秘めている」ことから、「これまでのマンション企画をゼロから見直すこととし」「かつて欧米から『うさぎ小屋』と呼ばれた日本の小さな家…『うさぎ小屋』ライフは、とても素敵なものにできるのではないか」という発想がある。

 「うさ研」は、「都内に居住するミレニアル世代の単身女性を対象にエスノグラフィーを中心としたリサーチを実施。その結果、自分らしい個性的な生き方を愛するミレニアルズは、画一的な枠組みに収められることを好まず、自分にふさわしい個性を住まいに対しても求める願望があることが明らかになり」「『大衆』に向けて設計された平均値発想の間取りや仕様・設備ではミレニアルズの真の期待に応えることはできない。均整のとれた汎用性を目指すのではなく、コンパクトマンションの優位性を活かして、ちょっといびつでアンバランスな個性を持つ人にぴったりな『自分らしい居場所』を作れないだろうか。そんな発想から、“アンバランスな私たちのアンバランスな住まい”『i-Be2』は生まれた」と結論付けている。

 「i-Be2」とは、私(=「i」)がもっともっと自分らしく(=「Be2」)生きられるという意味と、「いびつ(仏Baroque)」の意味を重ね合わせたネーミングだ。その結果、生まれたのが今回のコンセプトルームだ。

 コンセプトルームは、①worcube(ワーキューブ)②sportio(スポルティオ)③ambientum(アンビエンタム)の3つ。

 ①worcube(ワーキューブ)は、自宅を仕事場として使えるよう工夫を凝らしたもので、仕事場と生活感を切り離すため独立キッチンとし、床は掃除がしやすい塩ビシート、仕事道具が収まる壁面収納などとしているのが特徴。

 ②sportio(スポルティオ)は、身体を動かすことが大好きで、生活の中心にスポーツがある人向けで、玄関に土間を設け、リビングと洋室の境を取り払い、天井にはエキスパンドメタルを配し、チューブトレーニングなどができるようにし、靴など汚れものが洗えるシンクを設置している。

 ③ambientum(アンビエンタム)は、ストレスを解消し、コクーン(繭)のように〝自分に帰る場〟を提案。天井には人工(リリースは人口)天窓を設置、部屋の中でも太陽に包まれたような気分にひたるようにしている。直線部分は丸みを持たせ、床は天然板素材を採用している。

 コンセプトルームは近く分譲する「リビオレゾン勝どきnex」で体験できる。物件は、都営大江戸線勝どき駅から徒歩9分、中央区勝どき5丁目の準工業地域に位置する敷地面積約710㎡、13階建て全96戸。専有面積は25.12~32.18㎡、予定価格は2,900万円台~4,200万円台(最多価格帯3,800万円台)、予定価格からして坪単価は400万円台の前半になる模様。竣工予定は2021年2月下旬。施工は新日本建設。販売代理は伊藤忠ハウジング。

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①worcube(ワーキューブ)

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②sportio(スポルティオ)

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③ambientum(アンビエンタム)

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 ずいぶん長くなってしまったが、百聞は一見に如かず。「西日暮里」「月島」と同様、同業の方にも見学することをお勧めする。先に書いた同社の「月島」は、狭くて高いコンパクトに飽き足りない層をターゲットにしている。「勝どき」は逆に、専有面積を10坪(33㎡)以下に絞り、その空間を最大限に生かそうという提案だ。

 つまり、大激戦のコンパクトマンションニーズを〝独り占め〟しようという目論見が見え隠れする。

 一つ、記者からの提案。人工天窓はいい。そこまでやるのなら、さらに一歩進めて「自然採光システム」の導入を考えてはどうか。コストがかかるので大規模でないと不可能だが、マンションの立地、方位を劇的に変えるはずだ。

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 ミレニアル世代の分析については異論がないわけではなく、記者はリリースの通り〝バラバラでアンバランス〟なのがミレニアル世代だと思うが、果たしてどうか。弊社のミレニアル世代数人に同社の分析結果を読んでもらって、その感想を聞いた。以下がその回答だ。

 「そうかしら。わたしはちょっと違う」

 「家を買おうとは思わない。地震が怖い。マンションを買っても土地は残らない。賃貸でいい」

 「家を買うお金があったら、何かに投資・運用する」

 「旦那さんに頼るよりたくましく自立して生きたい」

 また、ミレニアル世代の男性は「高望みしないというのが我々の世代」と語り、ミレニアル世代を超えた女性はミレニアル世代を「小島よしおさんの〝そんなの関係ねぇ〟じゃないですか」と評した…これってまさに〝バラバラでアンバランス〟ではないか。

高くて狭いコンパクトに飽き足りない需要 取り込む戦略か 日鉄興和「月島」(2019/11/27)

テーマは「モロッコブルー」「西日暮里」に旅好き女子のインテリア 日鉄興和不(2019/10/22)

どうなる分譲マンション・戸建て市場 独断と偏見の私論(2018/12/14)

太陽光採光システムはマンションに採用できないか(2010/3/25)

「スカイライトチューブ」体験・見学会 牛久工務店(2011/3/14)

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「有明ガーデン」全容

 住友不動産は11月27日、同社が開発を進めている開発面積約10.7haの江東区有明北地区3-1街区の複合開発プロジェクト名称を「有明ガーデン」とし、その計画概要を決定した。

 同プロジェクトは2016年4月、国家戦略特別区域に認定されており、開発が進む臨海副都心の中でも施設・交通インフラの拡充、住宅開発などにより、多くの人口増加が予測されているエリア。開発規模は、約18haの「HARUMI FLAG」に抜かれる前までの7年間で都内最大規模。

 プロジェクトは、東京湾岸エリア最大店舗数を誇る200店超の大型商業施設を核とし、国際会議にも対応可能な国内最大約8,000人収容の劇場型ホールや劇団四季の劇場、大規模な温浴施設を備えた749室のハイグレードホテル、露天風呂付き温浴施設、総戸数1,539戸のトリプルタワーマンションなどで構成されており、“新たな賑わい創出機能”と“地域利便機能”を併せ持つ新拠点形成を図る。約38,000㎡の緑化エリアも整備される。

 5層からなる商業施設は同社が初めて自社で運営するもので、2階はアパレル・食物販・雑貨など、3階はアウトドア、スポーツ用品や生活雑貨中心、4階はキッズ系専門店、5階はレストランや大型フードコートなどで構成。敷地内に配した全11カ所、総面積23,000㎡超のイベントスペースを活用し様々なイベントも開催する。

 4層からなる国内最大、約8,000人を収容する劇場型ホール「住友不動産 東京ガーデンシアター」は、大迫力のライブイベントから国際会議まで対応可能。

 施設は、ゆりかもめ有明駅から徒歩2分・東京臨海高速鉄道りんかい線国際展示場駅から徒歩4分、江東区有明2丁目に位置する敷地面積約107,000㎡、延床面積約333,500㎡(マンション街区約161,000㎡、商業街区約172,500㎡)。開業は2020年4月から順次オープン。設計・施工は竹中工務店・前田建設工業。

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 実はこの日(27日)、同社はメディア向けプロジェクト発表会を行った。記者にも案内が届いていたのだが、すっかり失念しており、同業の記者から「どうしたの」との知らせを受け、駆け付けようと思ったら着くころには発表会が終わる時間だと分かり諦めた。

 なので、上記の記事は二ユース・リリースをコピー&ペーストしたもので、情けない記事になってしまった。少しは読者の皆さんの参考になるよう、いくつか記事を添付した。

 このプロジェクト用地を同社が落札したのは2010年12月で、落札価格は容積率100%当たり一種42万円だった。記者は「安値で落札」と書いた。

 3.11が起きたのはその3か月後だ。液状化が心配になり、震災から1カ月後の4月、勝どき-晴海-豊洲-市場-有明-東雲-辰巳を見て回った。辰巳の都営住宅は大きな被害を受けていたが、他のエリアの被害は「軽微」だった。〝さすが東京都、液状化対策はしっかりやっている〟との印象を受けた。それでも、住友は高い買い物をしたのではないかと心配になった。

 あれから約10年。すったもんだの末、豊洲市場の移転が決まり、「HARUMI FLAG」は好調なスタートを切り、東急不動産他「豊洲」は江東区最高値の坪400万円を突破したにも関わらず第1期で450戸を供給した。湾岸は勢いを取り戻している。全1,539戸の「シティタワーズ東京ベイ」も売れ行き好調と業界紙は報じた。「有明ガーデン」はやはり安い買い物だったと言えるのではないか。

 東京オリンピック・パラリンピック選手村用地が1種8万円(記者の推測)で民間11社に売却されたことはこの際問わないことにする。

好スタート 第1期は330戸 住友不「シティタワーズ東京ベイ」 プラン秀(2017/8/17)

都営辰巳団地は軒並み20~30㎝地盤沈下液状化被害 ~現地ルポ~(2011/4/7)

「晴海」「豊洲」「有明」 液状化は全く問題なし~現地ルポ~(2011/4/6)

記事は足で書け」「百聞は一見にしかず」業界紙に苦言を呈したい(2011/3/29)

海・山・地の神の怒りの刃見る思い千葉市美浜区の液状化被害も甚大(2011/3/23)

この巨大地震でも口をつぐむ人とマスコミ報道(2011/3/23)

落ち込んだ記者を救ってくれた2羽のハト 交尾を激写(2011/3/16)

住友不動産 「有明北3-1」容積率1種当たり42万円の安値で取得(2010/12/22)

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「オーベルアーバンツ銀座築地」ホームページから

  つい先日記事にした大成有楽不動産の「オーベルアーバンツ銀座築地」が「販売計画の見直し」により、モデルルームの受付を中止していることが分かった。

  同社は「販売計画の見直しを行っている以上のことは話せない」としている。

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 記者はこのマンションを取材した際、基本性能・設備仕様は高く、周辺の競合物件に負けないと判断した。記事でも「(販売担当の)庄司氏は余裕しゃくしゃくに見えたが…内心をそのまま吐露したのか、それとも戦々恐々の心奥を悟られまいと虚勢を張ったのかまでは読めなかった」と書いた。多分、余裕綽々だったはずだ。

 なので、販売計画の見直しと聞き、これは分譲価格を見直し〝釣り上げる〟と読んだのだが、どうもそうではないようだ。

 推測するに、同業他社から〝専有卸で譲ってくれないか〟というオファーがあり、同社がそれに応えたようだ。

 どこが買ったかは分からないが、隣接する大和ハウス工業でもコスモスイニシアでもなさそうだ。基本性能・設備仕様レベルからして、大手デベロッパーも含めてどのようなブランド名になろうと、その名を汚すことにはならないはずだ。

 同じように販売直前になって卸売された最近の事例では、三菱地所レジデンスがタカラレーベンに売却した「レーベン上尾GRAN MAJESTA」がある。また、大成有楽不動産は昨年、建築途中で千代田区二番町のマンションを売却している。

余裕しゃくしゃくか 〝孫の手〟のように細かい点に工夫 大成有楽不「銀座築地」(2019/11/14)

地所レジから専有卸受け分譲 タカラレーベン「上尾」1年で全183戸完売の勢い(2019/7/30)

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「リビオレゾン月島ステーションプレミア」完成予想図

 日鉄興和不動産が12月に分譲する「リビオレゾン月島ステーションプレミア」を見学した。月島駅から徒歩2分で坪単価は400万円台の前半。コンパクトではあるが専有面積を40㎡以上確保することで差別化を図り、周辺の高単価コンパクト需要を吸収しようという戦略と見た。

 物件は、東京メトロ有楽町線、都営大江戸線月島駅から徒歩2分、中央区佃2丁目に位置する13階建て全79戸(非分譲住戸6戸含む)。専有面積は40.39~65.23㎡、予定価格は4,400万円台(1LK)~8,300万円台(3LDK)、坪単価は400万円台の前半になる模様。設計・監理はT設計工房。竣工予定は2020年11月下旬。施工は新日本建設。販売代理は伊藤忠ハウジング。

 現地の用途地域は商業地域(一部第2種住居地域)で、敷地東側は幅員36mの清澄通りに面し、南側と西側はそれぞれ約2.7mの公道に接道。道路を挟んだ西-北-東側は2~3階建ての土地が細分化された木造住宅など。

 住戸は2階以上で、1フロア5~6戸構成。内廊下方式を採用。清澄通りに面した南東向き住戸は45㎡・45㎡・55㎡、北西向きは45㎡・45㎡・55㎡が中心。もっとも広い65㎡は上層階の1戸のみ。

 主な基本性能・設備仕様は、直床、食洗機、フィオレストーン天板、ミストサウナ、キッチン床下収納、Low-Eガラス(コーナーサッシのみ)など。

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エントランス

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 このところ、「築地」と「上野」のコンパクト中心のマンションを6物件見学している。トータルで約600戸だ。坪単価は軒並み400万円以上で、中心は450万円。10坪(33㎡)でもグロスは4,500万円だ。

 もちろん、このほか都心部では数十棟のコンパクトが分譲されている。どこかが割を食うのは必至だ。

 「月島」は、他のエリアと比べると単価相場はやや低く、劣勢は否めないと思っていたが、この物件に限ってはそうではない。「築地」などの〝狭くて高い〟コンパクトに飽き足りない単身者やDINKSの需要を取り込もうとする、相場の低さを逆手に取った戦略がありありだ。

 専有面積も最低で40㎡を確保して2LDKとするとともに間口も5.1mと広い。この戦略が奏功するかどうかだが、45~55㎡の2LDK(41戸)は、子どもが生まれても何とか3人で暮らせる。「築地」とは単価差にして約50万円。さて勝敗は…。

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「クリオ武蔵小杉ガーデンマークス」完成予想図

 明和地所が11月22日から販売を開始した「クリオ武蔵小杉ガーデンマークス」のモデルルームを見学した。新幹線と府中街道が交差する地点だが、1LDK・2LDK・3LDKのいずれのプランもワイドスパン&正方形で使い勝手がいいマンションだ。

 物件は、東急東横線・目黒線武蔵小杉駅から徒歩13分(JR武蔵小杉駅から徒歩11分)、川崎市中原区市ノ坪の準工業地域に位置する7階建て64戸(事業協力者住戸6戸、管理事務室1戸含む)。第一期(9戸)の専有面積は33.45~73.41㎡、価格は3,082.5万円~6,546.4万円、坪単価は300~320万円になる模様。竣工予定は2021年3月下旬。設計は共同エンジニアリング。施工はノバック。

 現地は、新幹線高架と府中街道が交差する準工エリアで、マンション化が進んでいる一角に位置。敷地は元パチンコ屋。

 敷地は、北東側が府中街道に面し、南東側が新幹線高架に近接した南北軸に細長い形状。標準階の住戸プランは西向き3LDKが4戸、東向き1~2LDKが5戸、西向きと東向きと独立した形の68㎡の3LDKが1戸の1フロア10戸構成。

 1LDKは5,000mm、2LDKは6,200~6,750mm、3LDKは8,000~10,700mmのワイドスパンが特徴。

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モデルルーム(コンセプトルーム)

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 現地は観ていないが、一昨年、伊藤忠都市開発の学生マンション第一号「クレヴィアウィル武蔵小杉」を見学した際、周辺の街並みは観ているし、以前、マンションの取材で府中街道を歩いたことがあるのでおおよその住環境は分かる。

 モデルルーム・パンフレット図面を見て驚いたのはプランのよさだった。70㎡台の3LDKのスパンはすべて8m以上。しかも、洋室-洗面-浴室のウォークスルークローゼットの動線がよく工夫されている。

 ワイドスパンは3LDKだけかと思ったら、30㎡台の1LDKも40㎡台の3LDKも全て5m以上のワイドスパンだった。

 いま一つ単身女性の選好基準が分からないが、単身男性のニーズはあると見た。

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73㎡のプラン

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33㎡のプラン

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「グランアリーナレジデンス」

 名鉄不動産(事業比率40%)・近鉄不動産(同30%)・京阪電鉄不動産(同15%)・JR西日本プロパティーズ(同15%)電鉄系デベロッパー4社JVによる商・医・育・住の複合大規模マンション「グランアリーナレジデンス」を見学した。田園都市線つきみ野駅から徒歩12分の全604戸で、始発駅・中央林間駅へシャトルバスを運行する。坪単価はたまプラーザ、あざみ野圏の半値以下の180万円くらい。

 物件は、東急田園都市線つきみ野駅から徒歩12分、大和市つきみ野1丁目の準工業地域に位置する敷地面積約22,840㎡、14階建て全604戸(第1工区339戸・第2工区265戸)。専有面積は68.82~85.48㎡、次回分譲予定の第2期6次の価格は2,900万円台~5,100万円台(最多価格帯3,800万円台)、坪単価は180万円くらいになる模様。設計・監理・施工は長谷工コーポレーション。竣工予定は第1工区が2021年2月下旬、第2工区が2021年8月下旬。販売代理は長谷工アーベスト。今年7月から分譲が始まっており、約110戸が成約済み。

 現地は、イオンの跡地。先に開業した「グランベリーパーク」へは車で約3分。敷地内に保育施設が併設されるほか、敷地に隣接してイオン系スーパーマーケットのほか医療施設、戸建て(49区画)が予定されている。田園都市線の始発駅・中央林間駅まで約9分のシャトルバスが運行される予定。

 建物は、西向きのA・B棟、南向きのD・E棟、中庭を望む南向きC棟の5棟構成。敷地内に平置・自走式駐車場100%(500円~)、3台が置けるサイクルポート604区画(1,200円/年)。

 主な基本性能・設備仕様は、直床、デイスポーザー、リビング天井高2450~2550mm、食洗機、床暖房など。

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中庭

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「niko and …」がプロデュースしたグランドラウンジ

◇      ◆     ◇

 モデルルームは72㎡と81㎡の2タイプが用意されており、81㎡のほうはアパレル、雑貨、家具などを展開する「niko and …」がマンションでは初めてプロデュースしたものだった。

 多目的に利用できるDEN(約5.5畳大)とストックルーム(約3.9畳大)を設けているのが特徴だが、記者は濃紺の建具・ドアがとてもいいと思った。モデルルーム仕様は有償オプションで約70万円と聞いたが、ローンに組み込める「アイセルコ」が利用できる。

 同じ田園都市線のたまプラーザ駅やあざみ野圏は坪単価350万円から400万円に迫ろうかというところまで上昇している。一般的な一次取得層の取得限界をはるかに超えている。

 「グランアリーナ」はこれらのエリアの半値以下の価格だ。中央林間駅圏では現在、東急・大成有楽不動産・相鉄不動産・総合地所4社の大規模マンション「ドレッセ中央林間」857戸(ウエスト街区452戸、イースト街区405戸)も分譲中で大激戦だが、東海、近畿、中国・四国の電鉄系デベロッパー連合軍の「グランアリーナ」が首都圏の電鉄会社(系)に真っ向勝負を挑む構図が面白い。価格的にも断然優位に立つ。戸数が多いだけに長期戦は必至と見たが、記者は三重県出身なので、応援は…どっちも頑張れ。

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モデルルーム

 

スウェーデンハウス代表取締役社長・岡田正人氏が1118日死去した。享年72歳。通夜は1125日(月)18時から、告別式は126日(火)1030分から12時まで。同社と岡田家の合同葬により青山葬儀所で執り行われる。

葬儀委員長は同社代表取締役会長・齋藤英男氏、喪主はご令室の岡田みどりさん。連絡先は同社総務部(03-5430-7620)。

 

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