〝業界の名物男〟逝く トータルブレイン社長・久光龍彦氏 享年79歳 死因は… 更新
久光龍彦氏(2018年6月撮影)
長谷工コーポレーションの専務から長谷工不動産、長谷工アーベスト、長谷工コミュニティの社長を歴任したマンションのコンサルティング・設計会社のトータルブレイン代表取締役社長・久光龍彦氏が昨年12月29日、死去した。享年79歳。葬儀、告別式は家族親族のみで執り行われた。後日、「お別れの会」を開催する予定。
問い合わせは同社03-5575-7761。
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マンションの川上から川下まで知り尽くしている不動産業界の名物男が逝った。年の初めにこれほどつらい訃報記事を書くことになるなんて。
敢えて久光さんと呼ばせていただく。
記者には不動産業界の恩人が三人いる。久光さんはそのうちの一人だ。お付き合いをさせていただくようになったのは、長谷川工務店(当時)が分譲した1987年竣工の「モアクレスト西台」(181戸)がきっかけだった。それまでの〝コンバス〟から脱却した第一号マンションだ。
それまでの同社の「コンバス」については徹底して批判を加えた。〝20坪(66㎡)がどうして広めの3LDKなのか〟と赤坂の本社にねじ込んだこともあった。もう時効だから書くが、昭和60年の頃か、勤務していた業界紙の営業部長から「長谷工さんから広告が出るようになった。だから批判記事を書くな」と言われたこともあった。「モアクレスト」が分譲されたのはそれからしばらくたってからだった。
分譲開始は昭和62年2月。第1期79戸が最高72倍、平均27.0倍で即日完売した。引き続いて4月に分譲された第2期89戸も最高84倍、平均26.5倍の競争倍率で即完した。ワイドスパンの71㎡プランや、LDKが18畳大で主寝室が7.9畳大のプランなどがヒットした。当時の新聞広告に掲載されたプランを見て驚愕したのを覚えている。
その後は、長谷工不動産のマンションや長谷工アーベストの販売手法などについてたくさん取材した。記者が前職を退いたときも、久光さんからは生活面の援助と貴重なアドバイスを頂いた。いま記者があるのはそのお陰だ。
2017年6月、記者の質問に対して久光さんは次のように語った。
「わたしが長谷工不動産の社長に就任し、コンバスから脱却しようと社運をかけたのが『モアクレスト』でした。第一弾の『西台』はよく覚えています」
トータルブレインを立ち上げられてからは年に1、2回はお会いしてマンション市況についての記事を書いた。最近は他のメディアもよく取り上げるので、記者の出る幕ではないと判断し、お声が掛る以外はお会いしていない。昨年の夏ごろだったか、久光さんが行きつけの料亭でいつものように奢ってもらったのが最後となってしまった。
今年の年賀状には「会長」の肩書で「お元気でご活躍のことと存じます」の手書きの文章が添えられていた。以前は、小さな字でびっしりマンション市況や商品企画などについて書かれていた。
年が明け、早速、1月1日付の会長就任と新しい社長に就任された佐々木睦氏を訪ね、副社長に就任された杉原禎之氏や専務の井上文孝氏などと一緒に記念の写真でも撮り、記事にしようと電話したら、秘書の方から訃報を知らされた。
久光さん、不義理をお許しください。もう涙が出て止まらない。なんでなんで…。
合掌
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関係者の話から、久光さんの死因らしきものが分かった。死亡したのは、フィリピンのルソン島とミンダナオ島にはさまれたビザヤ諸島にあるボラカイ島で趣味のスキューバダイビングを終え、装備を解き、はしごで船に上がるときに倒れたそうだ。クルーが人工呼吸などを施したがそのまま息を引き取られたという。検視などは行われなかったそうで、状況からすれば心不全と思われる。
記者も病死ではないと思っていた。お会いするといつも〝潜り〟の話になった。どれほど好きだったか、4年前にインタビューしたときの記事を添付する。
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〝もぐり〟はスキューバダイビングのことだ。空気を詰めたタンクを使って海の中にもぐるスポーツだ。「とにかく珊瑚も魚が美しい」と魅入られたのだそうだ。
久光氏が九死に一生、奇跡の生還を遂げたのが2004年12月26日早朝、インドネシア・スマトラ島沖で起きたマグニチュード9.1の大地震だった。死者は約26万人に達した。
この日、久光氏はタイの観光地プーケット沖で潜っていた。地震が起きたときも全く気が付かず、ホテルに戻って初めて大惨事を目の当たりにした。3階建てのホテルは2階まで壊滅状態で、1階に預けていた財布などもさらわれていた。
奇跡は本人だけではない。「旅行は女房も一緒で、普段女房は部屋にいるかビーチに出て本でも読んでいるのですが、この日に限って大きなクルーザーだったので一緒に乗ることになった。女房が一緒でなかったらと思うとぞっとする」と当時を振り返る。
着の身着のまま、ビーチサンダル履きで29日に帰国した際、真っ先に久光氏のインタビュー姿がNHKのテレビに映し出された。
このニュースで久光氏が奇跡の生還を遂げたことを知った業界人は多いはずだ。「夜の7時のニュースで私のことが伝わると、『奥さんは大丈夫か』という連絡がたくさんありましたが、女房は(カメラクルーから)とっさに逃げましてね、映らなかったんです」
この惨事で懲りたのかと思いいきや、そうではない。その後もずっと潜っている。
「わたしは暖かいところしか潜りません。夏の沖縄とか台湾、パラオ、サイパン、インドネシア、プーケットなどです。この20年間で980本潜りました。1本とはボンベのことですが、ダイバーは潜るごとに記録につけるんです。それが今年で1,000本になるんです。リゾートばかりで1,000本という人はそういないはずです。時間と体力とカネが必要なスポーツですから。この三拍子はなかなか揃わない。
1,000本記念のTシャツも用意してます。達成したら仲間にサインをもらうんです。寝室には300本達成以降の100本単位のTシャツを飾っているんです」
「ゴルフはダイビングを始めるのと前後して止めましたね。ダイビングには女房も連れて行くから文句を言われない」
-「住友不動産の安藤太郎さんは98歳までゴルフをやっていました。久光さんもそれくらい続けてほしい」と水を向けたら、安藤太郎さんの話になった。
「安藤さんとは(長谷川工務店時代の)水上社長と(専務の)私とよくやりましてね、泉カントリーです。さすが安藤さんですね、平気で自分の都合のいいようにOBラインを変えるんです。しかも、ラウンドの前後一組を開けるんですよ。せっつかれることはまったくない」
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事故死であることが分かり、記者も少しは救われた。モンブラン(4810m)、キリマンジャロ(5895m)、マッキンリー(6194m)、アコンカグア(6959m)、南極大陸最高峰ビンソンマシフ(4750m)などを踏破、奇跡的に命を落とさなかった元富士フィルムのサラリーマン津田三佐雄氏(71歳)の話を聞いたばかりだ。海や山には人知を超えた魅力・魔力があるのだろう。
商品企画、販売手法見直して激変市場を乗り切れ トータルブレイン・久光龍彦氏(2018/6/26)
「お蔵入りしたコンバスが亡霊のようによみがえった」 トータルブレイン久光社長(2017/6/7)
「デフレ脱却絶望的。郊外マンション価格は下がらない」トータルブレイン・久光社長(2017/5/30)
「共働き中心のマンション市場に激変」 トータルブレイン久光社長(2016/8/12)
情報の十字路に立つ トータルブレイン・久光龍彦社長のアドバイス(2015/11/30)
「利便性、資産性がこれほど重視される時代はない」 トータルブレイン久光社長(2014/8/28)
トータルブレイン・久光龍彦社長に今後のマンション市場を聞く供給量は6万5千戸前後 ブランド格差広がる(2007/10/1)
「物件力のある新価格マンションは売れる」トータルブレイン久光龍彦社長が語る(上)(2007/1/23)
年頭挨拶 戦略策定から実行フェーズの年へ 大京社長 小島一雄氏
昨年は、消費税率の引き上げなど、国内外でさまざまな出来事がありましたが、我々の事業環境は概ね良好でありました。しかしながら、従来のセオリーでは説明のできない現在の金融市場やアセット価格の上昇等については、引き続き注意が必要だと感じています。
今年はオリックス不動産を中核とする新体制で動き出す年となります。新運営体制では、様々な面でスピードを落とさず、かつプラスの効果を追求していくことを目指します。
大京においては、新築マンション開発をはじめ、全ての事業に渡ってメインのマーケットである三大都市圏でのシェアの拡大を目指します。また、すでに着手しているマンション以外の資産の積み上げを加速させるなど、BtoBビジネスへも積極的にチャレンジしていくことによって、これまでにないアセットの積み上げも図ります。
昨年は変化のきっかけの年にしたいという話をしましたが、今年は戦略策定から実行フェーズに移していくことで具体的に何かを生み出していく、そんな一年にしたいと思います。
年頭所感 難局を乗り越えるテーマは「革」大和ハウス工業社長 芳井敬一氏
昨年は元号が「令和」へと代わり、歴史的な節目の年となりました。一方、台風や豪雨など各地で自然災害が猛威を振るい、多くの被害に見舞われた年でもありました。住宅業界では10月に消費税増税が施行され、新設住宅着工戸数への影響は限定的であったものの、依然として力強さに欠ける状況が続いています。
このような中、当社においては多くの不祥事を起こしてしまい、お客様をはじめ、関係者の皆様にはご迷惑とご心配をおかけしました。
新年を迎え、創業65年目を迎える当社の新たなスタートに際し、私が本年掲げる一文字「革(かく)」をテーマに三点、皆さんにお願いがあります。
一つ目は、「改革」です。これは「革」がもつ意味「たるんだものを建て直す」の実践です。今、まさに社員一人ひとりが不祥事を二度と起こさないよう、法令遵守の下、ルールに則った業務を行う「凡事徹底」が求められています。
また、働き方改革の実践も喫緊の課題です。中でも、現場の技術者不足の解決策として、デジタル技術によるデジタルトランスフォーメーションやAI・IoTの活用によって、省人化や無人化に取り組み始めています。加えて、東京五輪中は東京を中心に大規模なテレワークの実施など、この機に職場環境の改善に取り組みます。既存業務の効率化と改革を進めるため、皆さんが新たな働き方のアイデアを出し合うことで、「より良い会社」にしていきましょう。
二つ目は、「変革」です。創業者石橋信夫は「企業は三十年、次を背負う事業をつくれ」と説きました。つまり、我々役職員は時代にあわせて事業を「変革」していくことが求められています。かつて当社が開発したニュータウン「ネオポリス」は時が経ちオールドタウン化しています。世の中がモノの消費からコトやトキを消費する時代に変化していく中で、当社が開発した街を再耕する「リブネスタウンプロジェクト」を通じてサステナブルで、次代につながる街づくりに挑戦してください。
最後は事業の原点である人財育成の「革新」です。わが国を取り巻く政情が不安定な時期ですが、このような不透明な時代を生き抜く力を、役員・管理職の方々は、ぜひ部下に教示いただきたいのです。社業が発展していく中で、当社は幾多の試練を乗り越え、今日に至っています。これまで当社を支えてきた管理職以上の皆さんが若手社員にこの厳しい環境に打ち勝つ力が備わるよう、働きかけてください。
本年、当社は、これまでの仕事の仕方をあらためる「革(かく)」の時代を迎えました。この時代を生き抜くためにも、我々役職員は将来の大きな「夢」を持ち、それに向かって前進し続けてください。皆さんの成長をとても期待しています。この難局を共に乗り越えましょう。
年頭所感 日本の街づくりの素晴らしさを世界に発信 三井不動産社長 菰田正信氏
謹んで新年のお慶びを申しあげます。
昨年を振り返りますと、5月に新天皇が即位され、新しい令和時代の幕が開けました。秋にはラグビーワールドカップが開催され、日本代表チームも大活躍するなど、大会は大成功を収め、日本の良さ、素晴らしさが世界に発信されました。その一方で、一昨年に続いて大型の台風や集中豪雨が相次いで発生し、自然災害が常態化・激甚化していることを痛感させられた一年でもありました。
そうした中、当社グループでは昨年も、国内外の街づくりプロジェクトが着実に進捗しています。当社の本拠地である日本橋においては、3月に「日本橋室町三井タワー」が竣工し、9月には「コレド室町テラス」がグランドオープンしました。オフィスには世界をリードする様々な業種の先進的な企業に入居いただいたほか、「コレド室町テラス」には台湾の「誠品生活」が日本初出店するなど、日本橋に新たな賑わいと街の新しい価値を生み出し始めており、これまで約20年にわたり官民地元一体となって進めてきた「日本橋再生計画」は、「未来に続く、街道の起点」を目指し、昨年より「第3ステージ」に進んでいます。
7月には当社グループが手掛ける初めての直営ラグジュアリーホテルである「ハレクラニ沖縄」が開業し、ハワイ・ハレクラニで培ったホスピタリティがお客様から高い評価をいただいています。
海外事業も、ニューヨークで開発中の「50ハドソンヤード」において、フェイスブック社の入居が決定するなど各物件が好調な営業状況であることに加え、欧米・中国・アジアの各エリアにおいて、優良な新規事業案件を獲得するなど、グループ長期経営方針「VISION 2025」に掲げる「グローバルカンパニーへの進化」に向け、順調に推移しております。
さて、今年はいよいよ東京オリンピック・パラリンピックが開催され2020年代の幕開けの年となります。大会期間中は、世界中から多くの方々が来日し、日本の伝統や文化、おもてなしに触れていただく絶好の機会となります。
当社は「東京2020ゴールド街づくりパートナー」として、日本の街づくりの素晴らしさを世界に発信するとともに、2020年代の日本の姿、当社事業のあり方を描き、実現していく年にしてまいります。
皆様のこの1年のご健勝とご多幸をお祈り申しあげます。
年頭所感 三菱地所社長 吉田淳一氏/三菱地所レジデンス社長脇英美氏
ONE TEAMの精神でチャレンジ
三菱地所 執行役社長 吉田淳一氏
昨年は、年号が令和へと移り変わり新たな時代を迎えた。2019年は、当社もオフィシャルスポンサーとして応援したラグビーワールドカップが日本で開催され、日本代表が予選4戦全勝で初の8強入りを果たす快挙を成し遂げた。チームプレーで勝利を目指す選手の姿は人々に感動を与え、一枚岩となるONE TEAMの強さを実感した。2020年も、国際的なイベントをきっかけとした訪日観光客の増加や、世界に向けた日本の魅力発信などを通じ、日本経済の更なる発展に繋がる年となることを期待したい。
オフィス賃貸事業に於いては、昨年竣工を迎えた「リンクスクエア新宿」や本年1月に竣工予定の「コモレ四谷」の好調な新規貸付に引き続き良好なマーケット環境を取り込んでいきたい。国内最先端ベンチャー企業とも協業し、ロボットなどの新技術の活用を行うなどソフト面でも付加価値の提供やブランディング向上を図り、より一層、競争力のあるオフィスを提供していく。また、2020 年代の成長に向けて、「東京駅前常盤橋プロジェクト」に加え「有楽町エリア」のまちづくりにも精力的に取り組みたい。
分譲住宅事業では、「ザ・パークハウス恵比寿」や「千住ザ・タワー」など、駅から近くかつ好環境・タワー物件・大規模複合開発といった特徴のある物件に人気が集まった。本年2月上旬販売開始予定の「ザ・パークハウス高輪タワー」などもすでに多くの反響をいただいている。今後も多様化するニーズに合った物件を供給していきたい。
商業施設事業では、トレンドである『コト消費』と『インバウンド需要』を取り込んだ各地の「プレミアム・アウトレット」の売上が引き続き好調に推移している。本年春には「御殿場プレミアム・アウトレット」の第4期増設エリア開業も予定しており、引き続いての成長に期待したい。
昨年は、自然災害による被害への備えを再認識させられる年であった。当社としても、1926年以来三菱地所グループ社員総出で総合防災訓練を実施しているほか、平素より独自の災害対策要綱を策定し、食糧備蓄や災害発生時の非常災害体制の編成など、様々な自然災害に対する備えを行ってきたが、引き続き安心・安全なまちづくりに注力していきたい。
2020年は、さまざまな空間やサービスに求められる本質的な価値に思いを馳せ、街に住む人、働く人、訪れる人にとって真に価値ある社会の実現に向けて、グループ全体 ONE TEAMの精神でチャレンジを続けていきたい。
資産価値の高い「一生もの」のマンションを供給
三菱地所レジデンス社長 脇英美氏
2019年の分譲マンション市場は、駅から近くかつ好環境・タワー物件・大規模複合開発といった特徴のある物件やコンパクトマンションに人気が集まった。
その中で当社においては、交通利便性を基礎条件に、多様化するニーズに合った物件を供給することで堅調に推移し、2019年の供給戸数は約3,500戸であった。「ザ・パークハウス恵比寿」「ザ・パークハウス高輪フォート」「ザ・パークハウス浅草」などは引き合いも多く、早期のうちに完売した。
直近で契約を開始した「ザ・パークハウス市ヶ谷」など新規物件の引き合いも順調で、「ザ・パークハウス高輪タワー」などもすでに多くの反響をいただいている。
立地とニーズに適う物件を継続して提供することで、堅調な需要に応えていきたい。
2019 年は「平成」の時代が終わり、「令和」がスタートした。令和元年は、自然災害に見舞われた1年でもあった。三菱地所は、関東大震災の際、飲料水の提供や炊き出し、臨時診療所の開設などを行った。三菱地所グループでは、その経験から、以来90年にわたり災害に備えることの大切さを強く認識してきた。その安心・安全へのこだわりは当社のマンション事業にも引き継がれ、地域を巻き込んだ三菱地所グループの防災倶楽部の活動なども行っている。引き続き、街づくりを担う私たち一人ひとりが日々できることを考え、アイデアを出し合って災害への備えに向き合っていきたい。
2020年の住宅市場においては、単身・共働き・シニア世帯の増加などニーズが多様化し、選別の厳しいマーケット環境であるが、その中で当社が選ばれ続けるために、今まで以上にお客様に密着したモノづくりを行っていきたい。また、これから購入していただくお客様だけでなく、すでに購入され、住まわれているお客様の生活目線での不足、不満といったニーズを汲み取り、モノづくりに反映していくことも必要になっていく。全社員の知見を集積し、資産価値の高い「一生もの」のマンションを供給すべく、お客様のニーズに沿ったモノづくりに取り組んでいきたい。
年頭所感 キーワードは「創意工夫」 ポラスグループ代表 中内晃次郎氏
本年は、日本では56年ぶりに夏の開催となる東京オリンピック・パラリンピックの開催が大きな話題です。大会に向けて様々な開発やインバウンド効果も予想されますが、開催後は国際情勢が不安定なことと併せて、経済の潮目が変わる可能性も考えられます。
そのような背景の中、本年の当社のキーワードは『創意工夫』といたします。意味は「独創的なアイデアを見出し、新たな方法を考え出すこと」とあります。
仕事に取り組む際は『論理的思考(ロジカル・シンキング)』が原則ですが、予測のつかない不透明な時代になると『批判的思考(クリティカル・シンキング)』も必要になります。日々の業務での判断や行動の際に、思い込みや決めつけを排除し、「本当にそうなのか? 」「根拠は何か? 」と絶えず疑問を持ち、柔軟な思考で『創意工夫』をし、改良・改善そして革新を繰り返すことが大切です。
ポラスグループは昨年、多くの方々に支えられ創業50年を迎え、そして次の50年に向けて新たなスタートを切りました。創業者が追い続けた、安全で安心して暮らせる住まいを提供し続けるために全従業員が『創意工夫』の観点を改めて持ち、日々の業務に取り組んでまいります。
年頭所感 「イノベーション&コミュニケーション」合言葉 積水ハウス社長 仲井嘉浩氏
新年、明けましておめでとうございます。 昨年は多数の台風が襲来しました。被害に遭われた皆様には心よりお見舞い申し上げるとともに、1日でも早く平時の生活に戻っていただけるよう全社を挙げて支援してまいります。
さて、東京オリンピック・パラリンピックが開催される日本全体にとって、また積水ハウスにとっても節目となる2020年がスタートしました。今年は、当社にとって創業60周年という記念の年であり、第5次中期経営計画を発表して、新たな成長ステージへと向かう出発の年でもあります。
当社の第1フェーズとなる創業からの30年間は、不足していた住宅の量の確保に尽力するとともに、お客様の命と財産を守るシェルターとしての役割を果たすため、「安全・安心」な住宅の供給に努めてきました。
第2フェーズ、1990年からの30年間では、「快適性」を追求してきました。1990年に「総合住宅研究所」を開設し、ユニバーサルデザインや「5本の樹」計画、スローリビング、 ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)など、住みやすさを実現する多くの研究開発に取り組むとともに、六甲アイランドでのまちづくりなど、都市における「快適性」にもチャレンジした時代です。
そして、2020年からの第3フェーズでは「『わが家』を世界一幸せな場所にする」というビジョンのもと住まい手に寄り添い、幸せな毎日を提案・提供する「幸せづくりのパー トナー」を目指します。
2019年は「幸せ」を提供するための準備の一年でした。「幸せ」を研究する機関として発足した住生活研究所の研究成果を生かした「ファミリースイート」を発売し、約5割のお客様に採用いただくなど好評です。米国で開催された「CES2019」において「プラットフォームハウス構想」を発表しました。本年も「CES2020」に出展して、「プラットフォー ムハウス構想」の進捗について発表します。お客様に人生100年時代の「幸せ」を提供するためのイノベーションを起こしてきたいと考えています。
私は「イノベーション&コミュニケーション」を合言葉に改革に取り組んでいます。イノベーションを起こすには、多くの社員のアイデアが必要です。会社を変えるアイデアは、最前線で働く社員が一番持っていると確信しています。
そして重要なのがコミュニケーションです。事業所内、事業所間、社内外、国内外のコミュニケーションが活発になればなるほど、イノベーションが起こります。それだけでなく「ベクトル」を共有することが可能となり、ガバナンス強化にもつながります。
2020年も全社の「ベクトル」を合わせ、コミュニケーションを活発にとり、お客様に新 しい価値を提供するNEXT積水ハウスをグループ全員でつくってまいります。
年頭所感 ハコやモノの枠を超えて 東急不動産HD社長 大隈郁仁氏
2020年度は中期経営計画の最終年度です。世界的に経済の不透明感が増し、国内では2019年の消費税増税の影響などもあり、国内経済の景況感全体は楽観視できない部分もありますが、不動産業界においては低金利の継続、住宅ローン減税等の政策的支援などに支えられ、都市中心部の利便性の高い地域を中心に住宅やオフィス、ホテルなどの需要は堅調に推移しています。東京オリンピ ック・パラリンピック後の不動産景気を懸念する声もありますが、私はしばらくこの不動産市場の堅調さは続くだろうとみています。
2019年はかねてより地元の皆様と開発を進めてまいりました渋谷駅周辺での「100年に1度」ともいえる街づくりで一定の成果が上がった年です。まさに2019年は「渋谷の年」でした。3月に「渋谷ソラスタ」、そして10月には「渋谷フクラス」という2つの大型オフィスビルの再開発事業が竣工しました。周辺の地権者の方々などと共同事業で当社の資産をバリューアップすることができました。そして12月には若者の街とされる渋谷にあえて成熟した大人をターゲットにした商業施設「東急プラザ渋谷」を開業いたしました。今後も当社の重点地域である「広域渋谷圏」への継続的な投資を進めるなど、グローバル都市“TOKYO”の魅力向上を実現して参ります。
さらに2020年には広域渋谷圏のほか、臨海部にある東京・竹芝で進める大型開発「東京ポートシティ竹芝」の竣工・開発を予定しております。ここでは当社として過去最大規模となるオフィスビルにはソフトバンクグループの入居が決まるなど、竣工を前に全フロアの契約が完了しております。また、住宅事業では「ブランズタワー豊洲」「ブランズタワー大船」など利便性の高い立地での物件開発を進めております。ウェルネス事業ではグループで展開する中長期滞在型ホテルの「東急ステイ」でこれまでの首都圏のほか、金沢や那覇、飛騨高山、函館などインバウンドの動向をにらみ、地方での新店が竣工予定です。そのほかにも太陽光発電や風力発電などの再生エネルギー関連、物流施設、学生専用レジデンスなど様々な事業で竣工を迎える案件が数多くあります。
東急不動産ホールディングスは2019年8月、渋谷ソラスタに本社とグループの拠点を移し、グループ間のコミュニケーションをより活発にできるような環境や空間を作りました。またサステナブルな成長と企業価値向上を実現するため、事業活動を通じて社会課題の解決に取り組んでおり、世界的に注目度が高まっている「SDGs」にも取り組んでいます。新本社移転を契機に、グループとしての新たなステージ、つまり名実ともに「ハコやモノの枠を超えて、ライフスタイルを創造・提案する企業グループを目指すステージ」を加速・強化する時だと考えております。2020年度、さらにその先のポスト2020年度以降という長期的視点でも更なる飛躍につながるよう、グループの総力を挙げて邁進していきたいと考えております。本年も東急不動産ホールディングスをよろしくお願いします。
記者が選んだ 2019年「話題のマンション」28物件(21~28)
野村不動産「プラウドタワー武蔵小金井クロス」716戸
「musako」(小杉)を越えた「musako」(小金井)
「プラウドタワー武蔵小金井クロス」
「武蔵小金井」も「武蔵小杉」も「musako」と呼ぶのを全然知らなかったが、「プラウドタワー武蔵小金井クロス」のメディア向け見学会で坪単価が約370万円と聞き、ここ数年ずっと負けていた「武蔵小杉」に追いつき、追い越したかと納得もした。「武蔵小杉」は坪360万円が相場だ。
「武蔵小杉」を超えたと言えば「豊洲」もそうだ。東急不動産他「豊洲」が坪400万円を突破して追い抜いた。
モリモト「ピアース神楽坂レジデンス」55戸
完成在庫ほとんどなし 〝中堅の星〟
「ピアース神楽坂レジデンス」
年間800戸以上供給して完成在庫ほぼゼロ 快進撃続くモリモトのマンション(2019/9/7)
取材して当たりはずれがないのがモリモトだ。同社のマンションは年間5物件くらい見学しているが、〝これはいかがなものか〟と思ったのはここ数年間で繁華街立地の「蒲田」の1物件しかない。その「蒲田」が瞬く間に売れたのには驚いた。プランがよかったのだ。
この「神楽坂」の坪単価は505万円。神楽坂駅圏最高値だ。55戸のうち30~40㎡台のコンパクトが7割を占め、残りは億ション。その億ションが全て売れ、残りは数戸。
〝中堅の星〟などと書くと森本社長にまた怒られるかもしれないが、記者は大手数社以外を全て「中堅」と呼ぶ。悪しからず。
モリモト「アールブラン高津レジデンス」88戸
他社なら7階建てを敢えて6階建て
「アールブラン高津レジデンス」
〝72㎡より64㎡のほうが有効面積は広い〟ワイドスパンで差別化 モリモト「高津」(2019/1/28)
今年の「ベスト3マンション」と「話題のマンション」を合わせると全部で31物件。偏りのないようにまんべんなく選んだつもりだ。企業別でもっとも多いのは東京建物の5物件(JV含む)で、野村不動産4物件、住友不動産、三井不動産レジデンシャル、三菱地所レジデンス、モリモトが各3物件。
結果的にそうなっただけで、意識して選んだわけではない。いかにモリモトが優れた物件を供給しているかが分かってもらえるはずだ。
この「アールブラン高津レジデンス」も残り数戸。相対的に単価相場の高いエリアだが、徒歩10分で坪単価270万円の88戸を竣工までに売る自信のあるデベロッパーはどれだけあるだろうか。
旭化成不レジデンス「アトラス荻窪大田黒公園」41戸
あまりにも安い 自社社宅跡地の公園隣接低層
「アトラス荻窪大田黒公園」
自社社宅跡地 公園借景取り込むプラン秀逸 旭化成不レジ「荻窪大田黒公園」(2019/1/19)
見学したのは今年1月だった。現地は旭化成グループの社宅跡地で、地元の人なら知らない人はいない「大田黒公園」に隣接する第一種低層住居専用地域立地。記者は坪500万円でも売れると予想したが、記事でも書いたように坪460万円くらいで分譲されたようだ。当然のように早期完売した。
高値を追求しないのは同社の伝統か。15年前に竣工した駅直結の同社の「アトラスタワー北千住」は確か坪220万円だった。瞬く間に売れた。その後も2008年竣工の「アトラスタワー向ヶ丘遊園」(251戸)は坪210万円、2009年竣工の「ステーションプラザタワー」(285戸)は坪260万円、2011年竣工の「アトラスタワー茗荷谷」(244戸)は坪381万円…。
「宮益坂」と「築地」はいくらになるか。川畑社長は「適正な価格で」と語っている。
東京建物など6社JV「SHINTO CITY」1400戸
先は長いが…すでに500戸超成約
「SHINTO CITY」
東建など6社JV「SHINTO CITY」第1期350戸 昨年の一挙販売戸数を上回る(2019/1/11)
取材したのは昨年の11月。坪単価は250万円に収まると予想したが、さすがに未着工を含めトータルで1,400戸もあるためか、第一期の350戸は坪240万円を下回った模様だ。記者が惚れたのはアプローチのケヤキの街路樹だ。
1年間で500戸超の成約というのは順調に推移していると言えそうだ。
三菱地所レジデンス他「ザ・パークハウス本厚木タワー」163戸
〝快進撃〟三菱地所はここから始まった
「ザ・パークハウス本厚木タワー」
地元富裕層を中心に人気 坪単価260万円の三菱地所レジ「本厚木タワー」(2019/1/16)
「北千住」は「ベスト3マンション」で紹介したが、「本厚木」も全住戸を供給、残りはわずか12戸。これまた凄い。
何を尺度とするかだろうが、この1年間を振り返って、メディアにもっとも露出度が高かったデベロッパーは三菱地所ではないか。
同社は、年初のこの「本厚木」を始め「北千住」と常設モデルルームの「高輪」の記者発表3連発と、容姿端麗・眉目秀麗 三菱地所×隈研吾の 「CLT PARK HARUMI」、CLT使用量では国内最大 「みやこ下地島空港」、わが国初のCLT高層「高森」などで圧倒的な存在感を示した。
また、「ラグビーワールドカップ2019 日本大会」の公式スポンサーとして〝三菱地所を、見に行こう。〟を内外にアピールした。他社に影すら踏ませなかったのではないか。吉田社長は高笑いしているはずだ。おっと、「上尾」では地団太を踏んだか。
日本エスコン「レ・ジェイド豊田 マスターヒルズ」63戸
約2.5~3.9畳大のFテラス付きヒット
「レ・ジェイド豊田 マスターヒルズ」
3帖大の「Fテラス」ヒット 日本エスコン「豊田」 坪236万円も割安(2019/11/8)
日本エスコンが中部電力グループ入りをしたのを全然知らなかった。中電が名鉄不動産でも三交不動産でもなく、大阪が創業の同社と組むのは、名鉄も三交も瞬く間に追い抜いた同社の成長性を評価したのだろう。
「レ・ジェイド豊田 マスターヒルズ」も差別化が図れている。専有でなくて共有部分の約2.5~3.9畳大のFテラス付きがヒットした。残りはわずかだ。
三交不動産「プレイス和光市本町」22戸
坪285万円でも瞬く間に売れた
「プレイス和光市本町」
売れ行き好調 完成販売 駅に近く環境もよい三交不「プレイズ和光市本町」(2019/1/10)
わが故郷・三重県の三交不動産の「プレイス和光市本町」だけは、多少、我田引水、牽強付会的なところがないわけではないが、駅から徒歩2分の閑静な低層住宅地に加え、水準以上の設備仕様が評価された。2カ月くらいで完売したのではないか。
三菱地所レジデンス「北千住」にぶつけた「プレイス北千住」78戸もあとわずか。来年2月の竣工まで完売するのは間違いない。
東海の日本エスコンと三交不動産の物件で今年の「話題のマンション」28物件を締める。終わりよければすべてよし。伊勢は津で持つ津は伊勢で持つ、尾張名古屋は城で持つ-ここまで辛抱強く付きあっていただき感謝いたします。来年も全力でマンション現場を追い続けますのでよろしくお願いいたします。
記者が選んだ 2019年「話題のマンション」28物件(11~20)
東京建物他「白金ザ・スカイ」1247戸
会心の単価予想700万円超 的中!
「白金ザ・スカイ」
坪単価700万円を超えるかどうか 東京建物ほか 山手線内最大級「白金ザ・スカイ」(2019/7/29)
事業比率は非公開だが、事業主は東京建物を筆頭に長谷工コーポレーション、住友不動産、野村不動産、三井不動産レジデンシャル5社連合。
詳細は添付した記事を読んで頂きたい。11月に分譲開始した第1期1次と2次で合計300戸。戸数が多いので現段階では何とも言えないが、億ションを中心に高額住戸が中心だったことを考慮すると絶好のスタートを切った。
何が嬉しいかといえば、同業の記者との坪単価の賭けに小生が勝利したことだ。小生は「坪700万円以下はあり得ない」と予想し、同業記者は「坪650万円以下」と言い張った。そこで、予想を外したほうが焼き鳥を奢る賭けが成立した。
同社に正確な坪単価を問い合わせ中で、現段階で回答はないのだが、坪700万円を突破したのは間違いない。今後は中低層住戸も大量に供給されるので単価は下がることもありうるが、平均では700万円を維持するのではないか。
この前一緒に飲んだが、お金を払わせるのはかわいそうなので割り勘にした。いちばん飲んだのは小生だが、もっと飲みたかった。
東急不動産他「ブランズタワー豊洲」1152戸
第1期400戸! 坪単価は400万円突破!
「ブランズタワー豊洲」
「愛」をテーマに坪400万円に挑戦 7月下旬にモデルオープン 東急不ほか「豊洲」(2019/6/14)
東急不ほか 全1,152戸の「豊洲」事業説明会に40名超の報道陣 〝愛〟に反応(2019/2/18)
売主は東急不動産・NIPPO・大成有楽不動産・JR西日本プロパティーズの4社。11月上旬に分譲開始された第1期分譲は450戸で、坪単価は410万円くらいになった模様だ。
マンション取材で何が面白いかといえば単価予想だ。記者はすべて取材する前に予想する。正確な単価の前後5%以内を的中とみなせば、的中率は7割くらいに達するはずだ。これがギャンブルだったら蔵は2つも3つも建つ。
なぜ予想するか。市場をしっかり把握できているかどうかを確認するためだ。自慢じゃないが、あの「東京ミッドタウン六本木」の入札価格を1,800億円と予想し、ズバリ的中させた(落札価格は1,850億円でその誤差はほんの3%弱)。前述の「白金」だって、この「豊洲」も「月島」もほとんど的中させた。
「豊洲」については、業界内では坪400万円はありえないとするのが支配的だったが、記者は2月のプロジェクト発表会で次のように書いた。
「『豊洲』は中央区でなく江東区だが、ポテンシャルは負けていないと思う。『月島』が434万円なら400万円超はありうるような気がするがどうだろう。『月島』は制振で『豊洲』は免震。規模もはるかに大きい。チャレンジしてほしいが、戸数が1,230戸(本日発表は1,152戸)もあるのでそんな勇気があるかどうか」
東急不動産が売主にもなっている「晴海」との競合はあるようでないと見た。
忘れていた。このマンションのテーマは「愛」だ。これまたいい。記者のモットーは〝記事はラブレター〟〝人生は愛〟だ。
コスモスイニシア「イニシア中央湊」36戸
パーカーズとのコラボ 緑の量と質に感動
「イニシア中央湊」モデルルーム
パーカーズとコラボの第三弾 コスモスイニシア「中央湊」の緑の質と量に感動(2019/6/3)
〝モデルルームのフェイクの観葉植物をやめよ〟ともう数十回くらいは記事にしてきたが、最近は本物の植物を配置するところが増えてきた。とても嬉しい。
コスモスイニシア「イニシア中央湊」がその筆頭だ。売り出してすぐ半数に申し込みが入り、モデルルームはこれから分譲する「銀座築地」に変更したので営業活動はしていないようだが、残りはわずかのはずだ。
もう、これ以上書かないが、デベロッパーはコスモスイニシアと積水ハウスを見習うべきだ。
タカラレーベン「レーベン上尾GRAN MAJESTA」183戸
地所レジから販売直前で専有卸受け完売
「レーベン上尾GRAN MAJESTA」
地所レジから専有卸受け分譲 タカラレーベン「上尾」1年で全183戸完売の勢い(2019/7/30)
このマンションには驚愕した。今年の「話題のマンション」ナンバーワンはこの物件か。「上尾」で183戸をほとんど何もしないで(失礼。しかしフェイクの観葉植物を含めモデルルームもほとんど地所が設えた)売ったのは前代未聞、空前絶後の快挙だ。添付した記事を読んで頂きたい。
同社の島田社長は呵々大笑し、一方の地所の西田社長は「北千住」「本厚木」「和光」などが好調なので痛くもかゆくもないかもしれないが、ひょっとしたら頭から湯気が出るほど怒り心頭状態ではないか。
味を占めたタカラレーベンは虎視眈々と他の物件も狙っているのではないか。檄を飛ばす島田社長の顔が浮かぶ。
野村不動産「恵比寿ヒルサイドガーデン」88戸
恵比寿駅圏最高峰 坪900万円弱で完売
「恵比寿ヒルサイドガーデン」
恵比寿駅圏の最高峰 坪900万に迫る 野村不「恵比寿ヒルサイドガーデン」が人気(2019/4/19)
「恵比寿ヒルサイドガーデン」は、確かに恵比寿駅から徒歩5分と近く、飲食街を抜けた住宅街の入り口で、しかも傾斜地。敷地内と隣接地には既存の立派な巨木が植わっている。
しかし、坪900万円弱というのは、これまでの恵比寿駅圏の単価相場を大幅どころか突き抜けている。それをものともしない。いつの間にか完売になっていた。これが「プラウド」か。凄いの一言だが、宮嶋社長は〝これがうちの実力だ〟とうそぶくか。
大和ハウス・コスモスイニシア「プレミスト東京王子」222戸
坪200万円 23区ではありえない価格
「プレミスト東京王子」
販売順調に納得 坪単価200万円は希少 大和ハウス「東京王子」(2019/4/14)
JR・東京メトロ南北線王子駅からバス約8分、徒歩3分。最近の〝駅近〟志向からすれば苦戦必至と見たが、坪200万円はストライクゾーンだと思った。
戸数が多いので竣工の2020年2月中旬までに完売するのは難しいだろうが、逆に竣工すればこの物件の特徴が理解されるはずだ。前方が幅約100mの隅田川・スーパー堤防というのは得難い。
ポラス中央住宅「ルピアコート新越谷」85戸
新越谷駅圏最高値の坪210万円
「ルピアコート新越谷」
主婦目線の商品企画が抜群 ポラス 全85戸の「新越谷」販売好調(2019/4/12)
「話題のマンション」記事の冒頭に書いた「ルピアコート稲毛」と一緒に読んで頂きたい。この「新越谷」は知らない人は皆無の同社のおひざ元。2月の第1期52戸が即日完売し、6月までに完売したのは当然か。
至れり尽くせりの設備仕様に仕上げた商品企画は言うことなし。新越谷駅圏最高値の坪210万円でも記者はものすごく安いと思った。
新日本建設「エクセレントシティ本八幡駅前」90戸
千葉県最高値 坪300万円強 完売
「エクセレントシティ本八幡駅前」
顔認証、食洗機、ミストサウナ標準 販売好調 新日本建設「本八幡」「幕張本郷」(2019/4/4)
坪単価300万円といってもみんな当たり前と受け取るかもしれないが、こと千葉県に限って言えばバブル崩壊後は供給されたことがないのではないか。
それを更新したのが同社の「エクセレントシティ本八幡駅前」だ。しかし、〝20坪で6,000万円〟の壁が厚いことを熟知している同社はコンパクト中心に抑えた。71㎡は1スパンしかない。全90戸を完売したのはさすがというべきか。
モリモト「アールブラン武蔵新田」79戸
〝オールジャパン〟に負けない
「アールブラン武蔵新田」
モリモト・武蔵新田vsオールジャパン(三菱・三井・野村)・矢口渡 多摩川決戦(2019/3/29)
売れ行きがいいからか、経費を節減するためか、大型案件が少ないためか、最近のモリモトはモデルルームを設けない物件が増えてきた。記者はこれが不満なのだが、「アールブラン武蔵新田」はしっかりモデルルームを作り、販売している。
どこがいいかは記事を読んで頂きたい。4月から販売を開始し、残りは1ケタ。2020年3月の竣工までに完売となる可能性が高い。
これだけなら「話題のマンション」に入れない。〝たかだか79戸のマンションを竣工までに売ったからと言って話題とは何事か。うちを見くびるな〟と森本社長に一喝されそうだ。
どうして入れたか。隣駅の矢口渡では三菱地所レジデンス・三井不動産レジデンシャル・野村不動産のいわば〝オールジャパン〟の「ザ・ガーデンズ 大田多摩川」378戸が分譲中で、モデルルームは双方が隣り合わせ。
そもそも戸数が全然違うので、例えは適当でないかもしれないが、野球で言えば西武・ソフトバンク・広島vs巨人(どこでもいいが)だ。結果は火を見るより明らかだ。
記者が驚いたのは、モリモトは自社のワイドスパンと、どことは表示はしなかったが「一般的な間取り」を並列して、堂々と販売事務所に張り出していたことだ。
双方ともまだ販売中なのでどっちが勝ってどっちが負けたなどとは書かないが、オールジャパンを敵に回して残り1桁というのは凄いではないか。
京阪電鉄不動産「ファインシティ新越谷」179戸
設備機器の〝見える化〟徹底も奏功
「ファインシティ新越谷」
「ESSE」とコラボ 設備機器・収納の〝見える化〟徹底 京阪電鉄不「新越谷」(2019/12/7)
記事にも書いたが、この会社は取材のし甲斐がある。担当者は奥歯にものが挟まったようなものいいをしない。本音で語ってくれる。
この物件の敷地は、長谷工コーポレーションの研究所だったところで、同社が分譲するということは、それほど関係が深いということだ。
東武伊勢崎線は、京王線もそうだが、利便性が高いのに正当な評価をされていない。千代田線「北千住」が坪380万円で売れるのだから、その北千住から15分の半蔵門線とも日比谷線とも呼べる「新越谷」がどうして半値以下なのか。東武さん、ブランディングを見直していただきたい。