スムストックの「フラット35(中古住宅用)」の手続きが簡素化
優良ストック住宅推進協議会(スムストック)は10月1日、住宅金融支援機構と業務提携し、「フラット35(中古住宅用)」融資手続きが簡素化されると発表した。
「フラット35」融資を受けためには、同支援機構が定める「適合証明書」を提出する必要があり、書類審査や現地調査などに通常1~2週間の時間がかかり、数万円の検査費用も必要となる。
今回の業務提携により、スムストック住宅については、スムストック住宅販売士による「スムストック住宅基準適合点検シート」を金融機関に提出するだけで済み、適合証明書の交付を受ける時間が短縮される。
大和地所レジ 今期計上900戸弱の契約進捗率は95% 「東戸塚」も販売好調
「ヴェレーナグラン東戸塚」完成予想図
大和地所レジデンスの販売好調マンション「ヴェレーナグラン東戸塚」を見学した。東戸塚駅の東口圏の100戸以上では16年ぶりの供給で、5月中旬の販売開始からこれまでに約6割が契約済みという。
物件は、JR横須賀線・湘南新宿ライン東戸塚駅から徒歩10分、横浜市戸塚区品濃町に位置する地下2階地上8階建て全110戸。先着順で分譲中の住戸(18戸)の専有面積は66.60〜77.46㎡、価格は4,898万〜5,998万円(最多価格帯5,300万円台)。坪単価は250万円。竣工予定は2020年9月下旬。施工は大勝。
現地は、標高約29mの東戸塚駅からなだらかな坂を上った標高約72mに立地するが、西武デパートなどが入居する「オーロラシティ」のスカイデッキ・エスカレータなどを利用すれば、それほど高低差を感じない。
建物は南向きと東向きが中心で、敷地東側は第一種低層住居専用地域が広がる。主な基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、逆梁ハイサッシ、リビング天井高2400ミリ、御影石キッチンカウンター、食洗機、メーターモジュール廊下、ミストサウナなど。奥行き4mのオープンエアリビングバルコニー付きは21戸。
プロジェクトマネージャーは「東口にて100戸以上の規模が16年ぶりに販売されたことで、需要の高い立地に供給されたことが功を奏している」と話している。
◇ ◆ ◇
現地に着くまで単価を予想した。〝建築費が上昇しているとはいえ、ユーザーの取得能力は限界にある。坪250万円だったら売れるだろうが…〟というのが結論だった。グロスで5,500万円に抑えられれば、金利安もあるので、立地の魅力を加味すれば販売は順調に進むという読みだ。現地販売事務所の販売担当者の説明を聞いて、ほぼ的中したことが分かった。
読者の皆さんは、単価を聞いた後でそう予想したように書いていると思われるかもしれないが、傍には同社の広報担当者もいる。そんなウソなどつけるはずはない。
なぜ分かるのか。これは経験しかない。東戸塚はニューシティ東戸塚の分譲開始時からずっと取材しており、駅西側も含めると見学物件は20物件近くになるはずだ。地価や建築費、金利、その時々の消費者の購買力、分譲する企業の販売・企画力などを総合的に判断すると、おのずと単価は見えてくる。単価予想と実際の単価の差が少ない物件はほぼ間違いなく売れる。
今年1月から販売を開始した「ヴェレーナシティ上大岡」132戸も完売まであとわずかと聞いた。この物件は今年のベスト3マンションの一つにすることを決めている。
ラウンジ
◇ ◆ ◇
この前、モリモトとポラスグループのマンションが好調だと記事にした。大和地所レジデンスはどうか。2018年3月期は計上戸数929戸全戸を完売し、期末未契約完成在庫ゼロを達成した。2019年3月期は若干完成在庫を出したようだが、今期は計上予定戸数900戸弱に対して契約進捗率は95%だという。
モリモトとほとんど肩を並べるではないか。大手デベロッパーと比較してどうか。極めて好調に推移している三井不動産の2020年3月期マンション計上予定戸数3,400戸の第1四半期末の契約進捗率は85%(前年前期81%)で、東京建物の2019年12月期の計上予定戸数1,300戸に対する第2四半期末の契約進捗率は95%、竣工在庫は130戸、うち契約済みは26戸だ。
この数字からも、大和地所レジのマンションの好調さがうかがえる。同社やモリモト、ポラスと共通するのは、それぞれ他社にはない訴求力のあるコンセプト・商品企画力があることだ。
大和地所レジは奥行き4mのオープンエア空間であり、メーターモジュール廊下などだ。モリモトは高いデザイン性と内廊下・ワイドスパンがファンを魅了している。ポラスはピアキッチンをはじめとする生活者目線の「しあわせメソッド」が差別化に成功している。
マンション市場は大手の、それも潤沢な資金力と圧倒的なブランド力を持つわずか数社による寡占化が進行している。その他の中堅が生き残るには商品企画を充実させる以外道はないと断定できる。
建築現場
風致地区巧みに生かした住戸プラン・ランドスケープ秀逸 大和地所レジ「上大岡」(2019/4/24)
ポラスのマンション好調 商品企画支えるのは2児のワーキングママ・西牟田奈津子氏(2019/9/15)
東急不動産HD・東急不動産 働き方改革の見える化 ライブオフィス始動
東急不動産ホールディングスと東急不動産は10月1日からライブオフィスを始動する。従業員を対象に実証実験を行い、外部の知見を取り入れながら収集したデータを分析することで、新本社で進める働き方改革の取り組みの客観的な効果検証(=働き方改革の見える化)を実施。本社を営業ツールとして活用し、オフィスワーカーのよりよい「はたらく」環境づくりの提案へと繋げていく。
大きな取り組みは「コミュニケーション活性化」と「生産性向上」。「コミュニケーション活性化」では、①顔認証での入退館②グループ従業員の交流スペースの設置③ハンズカフェの設置④お客さまとの交流スペースの設置⑤グループABWの導入⑥内部階段の設置-など。
「生産性向上」では、①WELL認証の取得②執務フロアを緑でデザイン③位置情報確認システム④目的に応じた多様な会議室の設置×機能性アロマ⑤集中ブースの設置⑥コンシェルジュコーナーの設置⑦仮眠室の設置-など。
◇ ◆ ◇
同じような取り組みでは、三菱地所が今年1月、本社機能を移転してから1年間の効果を発表した。有休の取得が10%増加したとか、会議が減り、コピー、文具の購入は半減したとしている。
また、三井不動産は今年7月、「働き方改革」で新しいシステムを導入することで年間30人分の業務と約7%の紙資料を削減すると発表した。
東急不動産HDにもその効果を発表してほしい。記者が注目しているのは「Green Work Style」の導入だ。これは、これまでも機会あるごとに書いてきたが、オフィスだけでなく分譲マンションのモデルルームなどもそうすべきだ。せっかく質の高い設備機器を装備しながら、観葉植物だけは「管理が大変」「経費が掛かる」だとかの理由を付けてまがいもの(フェイク)を堂々と飾る。この業界の無神経さが記者は理解できない。
本物の緑を飾った場合と、フェイクの観葉植物を置いた場合のマンションの成約率をどこかやらないか。本物は効果があるということを積水ハウス「品川シーサイド」は証明していないか。
年間30人分の業務と約7%の紙資料削減 三井不「働き方改革」で新システム導入(2019/7/12)
有休取得10%増、会議減り、コピー、文具購入ほぼ半減 三菱地所 本社機能移転効果(2018/1/24)
いい加減にしてほしい モデルルームのケミカル製品・造花の氾濫(2017/5/23)
驚異の6年間で500棟販売 ポラスグループ中央住宅 三郷中央駅圏の分譲戸建て
「nextstageミライズ三郷中央」販売戸数500棟達成記念イベント
6年間で500棟販売-ポラスグループ中央住宅は9月28日、つくばエクスプレス三郷中央駅エリアで販売を開始した2013年10月以来、戸建ての販売累計棟数が500棟を突破したことを記念する地域住民を対象としたイベントを行った。参加者は木工教室、マルシェ、ハロウィンコスチュームコンテスト、ビンゴ大会などを楽しんだ。イベントは29日も行われる。(同社は30日、来場者は約400組1,200名と発表。うち約4割が契約者)
木工教室
ステージでのイベント
◇ ◆ ◇
同社の三郷中央駅圏の戸建て分譲については過去3度記事にしているので、そちらも参照していただきたい。
マンション事業者の方はご存じだろう。三郷中央駅圏では、2009年の伊藤忠都市開発「クレヴィア三郷中央」、2010年の大京「ザ・ライオンズ三郷中央」など人気になった物件もあるが、業界では厳しいエリアとして知られている。単価水準はこの10年間ほとんど上昇していない。記者はその第一の理由として、駅前の商業施設が乏しいからだと思っている。(戸建てに負けない商品企画も必要)
にもかかわらず、同社の分譲戸建ては2013年10月の分譲開始以来、今年4月には販売棟数が500戸を超え、現在までに30次520戸までに伸ばしていると聞いて驚いた。
人気の最大の理由は、当初は敷地面積が120㎡以上(地区計画による)で3,400万円台からで、最近では3,700万円くらいからという価格の安さにありそうだ。分譲マンションは坪160万円くらいが相場だから、いかに安いかが分かる。
もう一つ強調したいのは、価格に比して商品企画レベルが高いことだ。リビング天井高は2700mmだし、床や面材は挽き板を多用し、外構の植栽もしっかり造りこみを行っている。
売れ行き好調を示すトピックスとして、名鉄不動産がマンション用地としてUR都市機構から取得した土地の譲渡を受けて、戸建て40棟を同社が分譲したことがあげられる。
同社戸建分譲設計本部設計二部部長・鈴木征道氏は「当初は年間80棟の販売を目指して分譲開始したが、売れ行きが好調で仕入れを強化してきた。しっかり商品の造り込みを行えば売れる。近く販売戸数500棟と当社グループ50周年を記念する31次の『nextstageソノサキノミライへ 1st』を分譲する。区画整理地内の保留地などは残りが少なく35次でトータル600棟がフィニッシュとなる」と話した。
モデルハウス
ポラスグループ 戸建て初 自動録画機能付き宅配BOX 約180棟に採用(2018/5/18)
ポラス 学生コンペ 実物件化モデルハウスを公開 ミニ開発の難点を解消(2017/8/12)
驚嘆 人 人 人…開業2日目の「コレド室町テラス」 「日本橋ロカボ祭2019」も体験
立錐の余地もない「誠品生活日本橋」
驚嘆惊叹마블marvel人人사람people-開業2日目の今日(9月28日)「コレド室町テラス」をのぞいた。地階の飲食も1階の物販もそしてお目当ての日本初出店の2階の「誠品生活日本橋」も人であふれかえっていた。どこからこんなに人が湧きあがるのか。
記者はデパートやスーパーのセールなどには全く興味がないし、込み合う飲み屋も好きではないので、この混雑ぶりを他の商業施設と比べようもないのだが、誠品生活日本橋の立錐の余地もない賑わいに唖然とするほかなかった。本屋(ここはそれだけではないが)にこれだけ人が集まっているのを生まれて初めて経験した。
イベントコーナーでは、「誠品生活」股份有限公司 董事長・吳旻潔(マーシー・ウー)氏の日本語によるトークショーが行われており、ここも立ち見の客であふれていた。席があったら飲もうと思った地階の「魚盛」も15時近いというのにごった返していた。
昨日、三井不動産の菰田正信社長がオープニングセレモニーで「住む人、働く人、訪れる人が集い憩い交流し、平日も休日も昼夜を問わず賑わう街づくりを目指す」と語った言葉を思い出した。これは単なる謳い文句ではなく、本気で取り組む決意ではないかと。そしてまた昨日、誠品書店を訪れていた出版会社の社員が「(低迷する)出版社や本屋の起爆剤になることを期待している」ことが実現するのではないかと思った。
同社は昨年、「東京ミッドタウン日比谷」のオープン初日の20時時点の入場者数は10万人を超えたと発表した。記者は「初日の入場者数としては31万人の六本木ヒルズや15万人の東京ミッドタウン六本木に及ばないが、昨年オープンした『GINZA SIX』の9万人を上回った」と書いたが、果たして「コレド室町テラス」のこの日の入場者数はどれくらいになるのか。
身動きも捕れないほどの店内
1階
◇ ◆ ◇
本当の取材目的は、この日、日本橋「福徳の森」会場などで行われた「日本橋ロカボ祭2019」だった。糖尿病ともう20年以上と仲良く付き合っている記者は酒を飲むために食事などでカロリーを抑えてはいるが、ロカボ(健康的な人生を送るための食事法)そのものにはあまり興味はないのだが、どのようなイベントであるかを確かめるために取材した。
会場には若い人もお年寄りもたくさん参加していた。記者のような生活習慣病を患っていそうな人はほとんど見当たらなかった。逆に「ハイ、右、左、前、ワンツー、ワンツー、もっと前、後ろ、ハイ、ハイ、アッパー、右伸ばして、そう、OK、センター、ダブル、正観寺(何だこれは。永平寺ならわかるが)、ハイ、ハイ、ワンツー、ワンツー…」などとインストラクターの挑発の声に従って激しい運動をする人を見て、身体を壊すんじゃないかと心配した。
記者は「ロカボしじみ温麺」(500円)を食べ、キリンが販売している「おいしい酸化防止剤無添加 白ワイン」(200円)と「ロカボビール」(同)を飲んだ。温麺はとても美味しかったが、ワインは甘く、ビールは発泡酒だったのでいつも飲んでいる本物のビールとは違うと思った。
参加者の人もほとんどが通りすがりのようだったが、主催者の食・楽・健康協会や協賛している三井不動産、にんべん、キリン、紀文などもイベントを通じて無理なく食を楽しみながら生活習慣病やメタボ防止に取り組んでほしいという狙いなのだろう。あれもこれもダメでは生きていけない。
「日本橋ロカボ祭2019」(「福徳の森」で)
テップネス日本橋スタイルによるロカボ体操
三井不動産「コレド室町テラス」開業 「多様性あふれる街にする」菰田社長(2019/9/27)
三井不動産「コレド室町テラス」開業 「多様性あふれる街にする」菰田社長
「コレド室町テラス」オープニングセレモニー(1500㎡の大屋根広場で)
菰田氏(左)と吳氏
三井不動産は9月27日、「コレド室町日本橋1、2、3」続く新たな商業施設「コレド室町テラス」を開業し、同社・菰田正信社長やキーテナントの「誠品生活」股份有限公司 董事長・吳旻潔(マーシー・ウー)氏などが参加してオープニングセレモニーを行った。
菰田社長は、「当社は〝残しながら 蘇らせながら 創っていく〟というコンセプトのもと、伝統と革新の融合した日本橋らしい街の再生に取り組んでいる。『コレド室町テラス』は、『コレド室町日本橋1,2、3』に続く第4の新たな商業施設として開業する。住む人、働く人、訪れる人が集い憩い、交流し平日も休日も昼夜を問わず賑わう街づくりを目指し、日本橋の地にふさわしいモノ・コト・食を提供する全31のテナントを日本全国から世界から誘致した。核テナントの誠品生活様には歴史や文化など、この街固有の魅力を生かし、われわれの街づくりの精神に共感していただき、独自の視点で日本橋を表現していただいた。大変魅力あふれる店舗を作っていただいた。これからもパートナーとともに多様性あふれる賑わいづくりを進めていく。お客さまにはぜひ日本橋の新しい顔となる『コレド室町テラス』で価値ある時間を過ごしていただきたい」と挨拶した。
吳氏は、「2年前、誠品の創業者の父と一緒に菰田社長とお会いしたとき、〝残しながら 蘇らせながら 創っていく〟というコンセプトに深く心を揺り動かされた。多様な人たちが集える、日台の文化が行きかう場として、文化の香りが漂う温かい店舗づくりを進めてきた」と語った。
テープカット 左から日本橋室町三丁目地区市街地再開発組合理事長・田中廣氏、菰田氏、吳氏、三井不動産商業マネジメント代表取締役社長・青柳雄久氏
◇ ◆ ◇
さすが日本橋だ。10時の開業と同時に待ちわびた人が特売品を目指し、我先と髪を振り乱し、肘を突っぱね、奇声を発しながら店舗内になだれ込むことを期待していた記者は肩透かしを食らった。仕事があるのかないのか、さぼったのか、専業主婦なのか退役サラリーマンなのかよく分からないが、数百人(1000人いたかも)の人が行儀よく入っていった。何人かに話を聞いた。
「誠品生活日本橋」の誠品書店 日台交流コーナーを訪れた43歳の出版会社の社員は、「台湾は日本と異なり、本屋の地べたに座って本を読む。その雰囲気をどう出すのか興味がある。これから半年、1年かけて様々なイベントや展示を行うのだろう。そのエネルギーが日本の(低迷する)出版社や本屋の起爆剤になることを期待している」と、今後の店舗展開に興味を示した。
9カ月のお子さんをバギーに乗せた30代の女性は「日本橋浜町から散歩がてら20~30分かけて来ました。お目当て? とくにありません」、4カ月のお子さんをバギーに乗せた30代の女性は「北海道の白い恋人のカフェがあると聞いたので」、新浦安に住む定年間際の60代の夫婦は「金曜日は仕事が休み。数日前に新しい店舗が開業するとテレビで報じていたので来てみた」、文京区に住む20代の女性二人は「クリームパンなど1,000円くらいの買い物をした」とそれぞれ話した。
来館者の列
◇ ◆ ◇
記者は、この前も記事にした地階の「魚盛」でわが三重の名酒「而今」を注文した。90ccで480円。店長の方に覚えていただいていたらしく、「おまけ」で升からから溢れそうなくらい注いでいただき、「これは料理長から」と富山・氷見の獲れたてのタイと近大生本マグロ、炙りマグロの3点盛を頂いた。
酒は好みがあるが、「而今」はいかにも日本酒らしい麹の香りが高く、通好みだ。飲み屋やすし屋のマグロは水っぽいし、炙りはガスバーナーの匂いがすることもあるのであまり食べないが、ここのマグロは本物のマグロで、炙りマグロはマグロと思えぬほど脂が乗っていた。
記者が注文した三重の名酒「而今」(90cc)と料理長のおごりの3点盛
1階店舗
住友不 最高峰ブランド「グランドヒルズ南青山」は坪2913万円「ドムス南青山」隣接
「グランドヒルズ南青山」完成予想図
住友不動産が10月下旬にモデルルームをオープンする、同社の最高峰ブランド「グランドヒルズ」シリーズ44棟目となる「グランドヒルズ南青山」を見学した。バブル崩壊前は〝億ション〟の代名詞だった〝ドムス〟の坪単価2,913万円の「ドムス南青山」に隣接する全115戸。価格はいったいいくらになるか。
物件は、東京メトロ銀座線・千代田線・半蔵門線表参道駅から徒歩11分、港区南青山七丁目の日比谷通りに面した18階建て全115戸。専有面積は41.52~120.12㎡、価格は未定。竣工予定は2022年2月上旬。施工は五洋建設。
現地は、商業地域・第1種中高層住居専用地域で交通量が激しい六本木通りに面しているが、敷地南側は高さ規制17メートルの戸建て・中層マンションなどが並ぶ住宅街。すぐ南隣には〝パブルの象徴〟「ドムス南青山」に隣接。
建物ファサードは白が基調で、1~3階は石張り。バルコニー奥行きは約2メートルで手摺はガラス素材。
主な基本性能・設備仕様は、リビング天井高2700mm(最上階は2800mm)、サッシ高は2300mm(同2450mm)、キッチン・洗面カウンタートップは御影石、バックカウンター・吊戸棚も標準。トイレはINAXの100年クリーンの「サティス」。
これまで5か月間で問い合わせ件数は900件を超えている。南青山に過去住んでいた、現在住んでいるなど地縁があり、エリアの魅力を熟知しているお客様が多く、お問合せのうち約6割が二次取得者で、エリア内での住み替え、セカンドハウス用として検討しているという。
エントランス
モデルルーム
◇ ◆ ◇
読者の皆さんは〝ドムス〟をご存じか。バブルが崩壊する前は、億ションと言えばドムスだった。記者は10件くらい取材している。事業主の大建ドムスの本社がある浜田山によく通い、粘って社長から情報を引き出した。
室内装飾は記者の趣味ではなかったが、外壁は高価なレンガタイル張りで、建具・面材はマホガニー、床は石張り、ドアノブや浴室の石鹸入れ(そう呼べば)は数百万円の金製だった。販売事務所の受付女性がまたみんなモデルのように美しかった。そのうちの一人で、吉永小百合さんと八千草薫さんを足して2で割ったようなナンバーワンの〝女神〟とは今でも年賀状のやり取りだけはしている。〝おばあちゃん〟にはなっていないはずだ。
そして、この「ドムス南青山」は1988年(昭和63年)竣工で、同社が絶好調のころのマンションだ。冒頭に坪単価2,913万円と書いたが、その後供給された「有栖川ヒルズ」の坪2,947万円の「有栖川ヒルズ」に抜かれるまでわが国の高単価マンションナンバーワンだった。
そんなけた違いのマンションの隣に今回のマンションが建つ。借景は申し分ない。北側に高速を背負うが、南側は信じられないような低層・中層住宅街が広がる。
価格だが、記者も正直分からない。想定価格はあるが、外れたら大恥をかきそうなので書かない。
参考までに。昨年竣工した同社の坪1,000万円を突破した「グランドヒルズ元麻布」よりは安いことだけは言える。表参道駅前には相互住宅などが建て替えマンションを計画しているが、調整に手間取っているようで情報が全然入らない。記者は当初、坪1,000万円と考えていたが、それをはるかに超えそうだ。また、住友の物件の近接地では丸紅が分譲する建て替え「常盤松ハウス」があるが、こちらも情報がない。
建設現場
建設現場(右側が「ドムス南青山」)
三井不動産「COREDO 室町テラス」9月27日オープン 目玉は「誠品生活日本橋」
「COREDO 室町テラス」
三井不動産は9月27日、「COREDO 室町テラス」をオープンする。「『価値ある時間』を、過ごす場所。」をコンセプトに日本初出店、関東初出店、新業態を含む31店舗が出店する。開業に先立つ24日、地下1階から2階の31店舗フロアのプレス内覧会を行った。
◇ ◆ ◇
一番の目玉は、中国語圏外では初出店となる台湾・誠品生活のカルチャー体験型店舗「誠品生活日本橋」だ。
2階の店舗面積は約300坪で、メインの書籍のほか文具、物販・ワークショップ、レストランなど4つのゾーンで構成され、世界の約100ブランドを結集している。
創業者の故・呉清友氏(1950-2017)の娘さんで、誠生活股份有限公司董事長・呉旻潔(マーシー・ウー)氏は昨年10月に行われた記者発表会で次のように語っている。
「歴史的にも文化的にも意義深いプロジェクト。亡き父は、三井さんが300年にわたって取り組んできた人と人、人と街、人と環境・文化事業は、我々の精神性を重視する理念と一致すると考え、出店を決断した。文化の香りがする心温まる店づくりを行っていく」
この時の言葉が印象的だったので、真っ先にオープニング・ブックフェアが行なわれているコーナーを見学した。そこには「日本の本 私が選んだこの一冊 誠品書店読書職人大賞 日本番外編」として、212人の誠品のスタッフが選んだ日本の出版物163冊が並べられていた。
少し紹介すると、スタッフが一番好きなわが国の作家は村上春樹(10%)、東野圭吾(7%)、小川糸(4%)、是枝裕和(4%)で、一番好きな小説は「ツバキ文具店」、「ナミヤ雑貨店の奇蹟」、「人間失格」、「万引き家族」なのだそうだ。
日台交流コーナーには、現代台湾作家の「自転車泥棒」(呉明益)、「我的日本・台湾作家が旅した日本」(王聡威他)、「冬将軍が来た夏」(甘耀明)などが紹介されていた。
「日本の本 私が選んだこの一冊 誠品書店読書職人大賞 日本番外編」
物販ゾーン
◇ ◆ ◇
驚いたのは、台湾の人は日本の古典や建築・デザインに関する書籍をたくさん読んでいることだった。記者はどうかと言えば、中国本土の作家では魯迅が大好きで、「故郷」「阿Q正伝」などに胸をキュンとさせられたのを思い出す。現代作家では、ノーベル文学賞を受賞した莫言の「豊乳肥臀」などに衝撃を受け、感動もした。大陸的な気候風土だけでなく、我が国との考え方の相違に改めて思い知らされた。台湾作品は、〝20年に一度〟と選考委員が絶賛した台湾出身の東山彰良氏の受賞作「流」しか知らない。
これではいけないと思い、2018年度国際ブッカー賞候補作の「自転車泥棒」を買った。
文学作品が相互理解を深める大きな役割を果たすのは間違いないと思う。誠品書店が日台交流を促進するプラットホームになることを期待したい。
1階店舗「能作」富山の純米酒「勝駒」を錫製とガラス製の御猪口で試飲させてもらった。とても美味しい酒だが、ガラス製のほうが美味しかった(人には好みがある)
1階「土屋鞄製作所」手づくりのブックカバーが最高にいいが、値段が…(小生はいくつなくしたか)
地階「魚盛」通常価格1,880円の魚盛が10/6までの期間限定で1,380円(わが三重の名酒「而今」も90ccで480円)
アナログの世界に楔 IoT活用で物流市場を変える Hacobu多業種と連携し課題解決構想
左から三木氏、桜井氏、佐々木氏、土川氏、浦川氏(東京ミッドタウン日比谷で)
企業間物流の最適化を目指す2015年創業のスタートアップ企業Hacobuは9月19日、他業種企業との取り組みを通じ、オープンな物流情報プラットフォーム「MOVO(ムーボ)」上で物流ビッグデータを蓄積・利活用することで、ドライバー不足等の物流課題を解決する「Sharing Logistics Platform®(シェアリング・ロジスティクス・プラットフォーム)」構想を発表した。
同社は既に大和ハウス工業やアスクルと連携し物流拠点を軸とした課題解決に取り組んでおり、今回、日野自動車と三井不動産との資本業務提携を締結した。
構想を発表した背景には、10兆円以上と言われる企業間物流は紙・Fax・電話などのやり取りが多い〝アナログの世界〟であるため、①入荷・出荷計画がスムーズに進まず車両の待機時間が長い②車両手配が煩雑、属人化③車両位置、配送状況が見えない-という物流の三重苦を抱え、ドライバー不足、46%と言われる低い積載率、温室効果ガスの排出や騒音などの環境問題、廃棄ロスなどの多くの問題を抱えていることから物流クライシスと呼ばれる状況がある。
こうした課題を解決する同社のIoTテクノロジーを活用した物流情報プラットフォーム「MOVO」上でやり取りされる物流ビッグデータの種類と量は飛躍的に伸びており、2018年8月の3万件から2019年8月は16万件と5倍強に増加。同社は2023年までに我が国全体の10%当たる480万件の月間トランザクションを目指し、2030年には自動運転トラック輸送サービスの土台にする構想を持っている。
パ-トナーシップを結んだのは大和ハウス工業、アスクル、Sony Innovation Fund、日本郵政キャピタル、日野自動車、三井不動産。以下、以下、記者発表会に出席した各社代表のコメント。
Hacobu代表取締役社長CEO・佐々木太郎氏 「物流クライシス」という大きな社会課題を解決するために心を一つにして取り組むことに大きな社会的な意義を感じている。粉骨砕身していく
大和ハウス工業取締役常務執行役員・ダイワロジテック代表取締役社長・浦川竜哉氏 2017年9月にHacobuと資本業務提携を締結した。次世代型物流ネットワークの実現を目指し、更なる付加価値を提供できる物流施設開発を進めていく
アスクル執行役員 フューチャープラットフォームアーキテクチャECR本部プロキュアメント統括部長・桜井秀雄氏 2019年2月に旗艦センターのAVC関西で「MOVO」を導入し、大幅な待機時間削減を実現した。今後も対象センターの拡大に取り組んでいく
ソニーVP Sony Innovation Fund Chief Investment Manager・土川元氏 Hacobuの将来に大いに期待している。同社のテクノロジーは、実効性のあるソリューション提供ができることを証明してきた
三井不動産常務執行役員 ロジスティクス本部長・三木孝行氏 他業種企業の皆さまと社会的物流課題の解決に向け共に取り組んでいけることは大変嬉しい。Hacobuとの連携強化を図っていく
「Sharing Logistics Platform®(シェアリング・ロジスティクス・プラットフォーム)」概念図
◇ ◆ ◇
物流は門外漢だが、三井不動産や大和ハウス工業などの記者発表会、施設見学会は極力参加するようにしており、今回の佐々木社長の話は分かりやすく非常に勉強になった。
よく分かったのは、トラック市場は企業間物流が10兆円以上、宅急便が3兆円という巨大市場(分譲マンション市場はせいぜい6兆円か)であり、上場会社も40社近くあるにもかかわらず〝アナログの世界〟(佐々木社長)であることで、だからこそ〝物流クライシス〟という言葉に象徴される危機感を抱いているということだった。
大和ハウス工業や三井不動産などのどちらかといえば後発のデベロッパーの物流事業が大幅に伸長しているのは、様々な手法を駆使し〝アナログの世界〟からの脱却を目指してきたからだろうと思う。今回の「Sharing Logistics Platform®(シェアリング・ロジスティクス・プラットフォーム)」構想は物流市場を一変させるのか。
◇ ◆ ◇
どうしても理解できなかったことが一つあった。佐々木社長が「46%という低いトラック積載率」と話したことだ。46%は当たり前ではないかと記者は考えた。A地点から荷物を満載してB地点に運び、荷物を降ろしてA地点に戻れば積載率は50%ではないかと。
そこで、佐々木社長に聞いた。佐々木社長は即座に「まともな運送会社は帰りも荷物を見つけて運ぶんです」と。
なるほど。紀伊國屋文左衛門と一緒だ。文左衛門は大坂からミカンを積んで江戸に運び、帰りは塩鮭を満載して大坂に運んで巨万の財をなした。
もう一つ、突っ込んだ。「社長、社長はデジタルプラットホームの提案を行ったら〝絵に描いた餅〟と受け入れてくれなかったと話したし、2023年には月間トランザクションは日本全体の10分の1にするとも話したが、残りはどうするのか」と。佐々木社長は「残りも必ずやります」ときっぱり。三木氏が「佐々木社長のパッションに惚れた」というのも納得した。
客室数 全国最大の2,311室「アパホテル&リゾート」開業 元谷代表 高稼働に自信
「アパホテル&リゾート<横浜ベイタワー>」
全国最大の542ホテル約9万室を展開するアパホテルは9月30日、ホテル単体の客室数としては日本最大の2,311室を誇る「アパホテル&リゾート<横浜ベイタワー>」を開業した。開業式典と開業フェスティバルを合わせて2,016名が参加した。
同日、記者発表会に臨んだアパグループ代表・元谷外志雄氏は、「今日は読売新聞全ページ、昨日は産経新聞見開きの広告を出した。今日は天気も非常によく日本晴れ。『JAPAN』の中心は『アパ(APA)』です。前から読んでも後ろから読んでも『アパ(APA)』。2002年に本社機能を東京に移し、2010年から『頂上作戦』を展開し、(このホテル用地を)高値買いしたが、最高級の4,600人が泊まれるホテルが完成した。常識的には〝儲からない〟かもしれないが、2007室ある『幕張』は90%の稼働率。横浜エリアで駅から3分の立地ならビジネスにも内外の観光客とさらにプール、大浴場などを備えたリゾート感覚を味わえるホテルにした。早期の高稼働が期待できる。1日売りではなくタイムセールを導入しており、2回転、3回転できるようにした結果、東京の稼働率は100%を超えている。リーズナブルな価格設定と、環境にやさしい設備仕様にし、無駄を省けばまだまだ伸ばせる。2020年には10万室を目指すが、その3倍でも選んでいただけるホテルにできる。わが国のホテルは当社のような新都市型ホテルに収斂していく」と、約30分にわたって熱弁をふるった。
アパホテル社長・元谷芙美子氏は「言葉は慎まなければなりませんが、〝アパじゃない〟と思えるほど立派なホテルが完成して感動しました。ホスピタリティ溢れる運営を行い、高稼働できるよう頑張ります。日本一のホテル社長を目指します」と話した。
主な参加者は三井住友銀行副会長・成田学氏、コートジボワール共和国大使館特命全権大使 ジェローム・クロー・ウェヤ閣下、ジャマイカ大使館特命全権大使クレメント・フィリップ・リカード・アリコック閣下、東京国際大学理事長 総長・倉田信靖氏、外交評論家・加瀬英明氏のほか、国会議員の原田義昭氏(前環境大臣)、馳浩氏(元文部科学大臣)、櫻田義孝氏(前国務大臣)、鷲尾英一郎氏、片山さつき氏(前内閣府特命担当大臣)、和田政宗氏(国土交通大臣政務官 兼 内閣府大臣政務官)など。
元谷アパグループ代表(左)と元谷アパホテル社長
同ホテルは、みなとみらい線馬車道駅から徒歩3分、横浜市中区海岸通五丁目に位置する35階建て全2,311室(シングル736室、ダブル630室、スタンダードツイン458室など)。ルームチャージは11㎡シングル・ダブルが1.8万円、14㎡のツインが2.6万円、15㎡のトリプルが4.35万円、120㎡のスイートが30万円など。デザイン監修は新居千秋都市建築設計。設計は久米設計。施工は大林組。
共用施設は、最大約600名収容できる宴会場、約200名が利用できるレストラン、112のロッカーを備えた大浴殿(男性向け)、屋外温水プール、フィットネス、カフェなど。約50㎡の滝を配した1,957㎡のイベント広場も備えている。
客室は、50型以上の液晶テレビを設置。テレビ画面から大浴殿の混雑状況を把握でき、チェックアウト時間の延長手続きもテレビリモコンで操作できるセルフ機能を搭載している。
また、自動チェックイン機にQRコード決済が可能な新機能を搭載、ルームキーを投函するとリアルタイムでチェックアウト処理が行えるようにしている。
壁面緑化を施して低層部
メインエントランス
3層吹き抜けロビー
温水プール
自動チェックイン機
宴会場
宴会場
インペリアルスイート
スーペリアツイン
◇ ◆ ◇
元谷節がさく裂した。いきなり、最近の用地の上昇などに触れ、「先ほど(用地の)入札を行ったが、1.5倍高値で学校法人に負けた。2010年に東京で『頂上作戦』を開始した時の一種単価はせいぜい100万円だったが、いまは400万円以上。建築費も倍に上昇しているが、アパの収益力をもってすれば、競争に勝てる。現在、53のホテル、19,000室を計画・建築中だが、全ての費用を賄って利益は362億円確保できている。韓国の訪日客が48%減少したが、当社は中国も含めて韓国のお客さんの比率は高くない。欧米が増えている。ドミナント戦略に沿って福岡ではFCも含めて8つのホテルを建設するし、六本木では6つで1,000室を超えるホテルをつくる」などと話した。
客室を見て回ったが、驚いたのは「バリアフリーツイン」と謳ったトイレ・浴室の段差がない19㎡の客室のほかはほとんどすべてのいわゆる洗面・トイレ・浴槽の3点セットの出入り口は約20cmの段差があったことだ。欧米ではこれがスタンダードなのか。
テープカット
テープカット(もっとも国民によく知られている国会議員の片山さつき氏や櫻田義孝氏の姿も)
祝賀会