ラグビーW杯効果 英国84%増など欧米豪から7.7万人増 韓国は半減 9月の訪日客
2019年9月の訪日外客数は前年同月比5.2%増の227万3千人で、イギリスが前年同月比84.4%増の約5.0万人となるなど、ラグビーワールドカップ2019日本大会の開催によりW杯出場国が含まれる欧米豪市場の訪日外客数が前年同月に比べ7万7千人増えた。1~9月は前年同期比4.0%増の約2,442万人となっている。10月16日、政府観光局が発表した。
一方で、日韓関係の悪化を受け、韓国からの訪日外客数は前年同月比58.1%減の約20.1万人と半減した。1~9月でも前年同期比13.4%減の約493万人。
韓国観光公社の発表によると2019年8月の日本人の入国者数は前年同月比4.6%増の約33.0万人となっている。
(注)その後の韓国観光公社の発表によると、2019年9月の入国者数は前年同月比14.2%増の約146万人なのに対し、日本からの入国者は前年同月比1.3%増の約25万人にとどまっている。
港区 課税標準額1億円以上は1,113人 都民のお金持ち8人に1人が港区民?
※pdfはこちら 港区 課税標準額段階別納税義務者 推移 Sheet1.pdf
東京都港区の住民税課税標準額が1億円以上の納税者は1,113人-これまで明らかにされていなかった港区の住民税課税標準額が1億円以上の富裕層の人数が区の資料で分かった。
資料によると、基礎控除、社会保険控除額などを差し引いた住民税課税の基礎額となる課税標準額が1億円以上の納税者は令和元年5月末現在、全納税者の0.8%に当たる1,113人であり、この層が納める所得割額は全体の27.3%当たる約211億円にのぼっている。
課税標準額が1,000万円の納税者は全体の16.2%に当たる23,453人で、前年度より1,350人(前年度比2.5%増)増加した。この層が納める所得割額は537億円(前年度は471億円)で、全体の69.5%(前年度は67.1%)に達している。
◇ ◆ ◇
課税標準額1億円の人が約1,100人というのはどのような意味を持つか。他区の資料がないので比べようもないのだが、国税庁が毎年発表している統計年報によると、2017年度の総所得が1億円以上の納税者は全国で23,250人、うち東京都は8,891人となっており、この数字から類推して、全国の所得が1億円以上のお金持ちの約5%が港区に住んでおり、都のお金持ちの8人に1人は港区民といえそうだ。
港区内のマンションの坪単価は1,000万円くらいに上昇し、10坪のワンルームでも億ションとなるが、このようにお金持ちが港区に集中する傾向が強まっていることを考えると、まだまだ億ション供給を吸収する力は港区にはあるとみた。
※課税標準額 所得金額から基礎控除、社会保険料控除、生命保険料控除、配偶者控除、扶養控除などの所得控除を除いた住民税課税の基礎となる額
※所得割額 所得金額-所得控除額)×税率-税額控除額
ポラスグループ 初のコンパクトマンション「森下」 エリア最高値の369万円
「ルピアシェリール森下」
ポラスグループ中央住宅は10月17日、同社初のコンパクトマンション「ルピアシェリール森下」のメディア向け現地見学会を行った。都営新宿線菊川駅から徒歩2分の全39戸で、坪単価は369万円。今夏から完成販売を開始しており、これまでに16戸が成約済み。
物件は、都営新宿線菊川駅から徒歩2分、江東区森下4丁目に位置する14階建て全39戸(分譲38戸・店舗1戸)。現在分譲中の住戸(8戸)の価格は3,820万~4,160万円、専有面積は34.65~36.21㎡、坪単価は369万円。入居開始は2019年9月下旬。売主は同社のほかアートランド。施工は川村工営。
現地は、新大橋通り(敷地北側)に面した商業地域に立地。住戸は1フロア3戸構成で全戸南向き。
主な基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、リビング天井高2400ミリ、防音サッシ、食器棚、ちょい置きスペース・レール、かくれんBOX、ランドリーレール、アール巾木など。
発表会に臨んだ同社取締役事業部長・金児正治氏は、「7年前に事業の柱の一つに育てようと(事業部長に)就任した当時のマンション事業の売上高は30億円だったが、前期は100億円、今期は150億円超になる見込み。コンパクトは初だが、第2弾の『南浦和』36戸も予定に入っている。今後年間2棟くらいは供給したい。スマートシニア、複合も手掛け、近い将来には売上200億円を目指す」と語った。
商品企画を担当した同社マインドスクェア事業部マンションディビジョンの小田夏帆氏は、「〝自分らしく暮らしたい〟働く女性に寄り添った女性目線の女性チームによる商品を実現した」と話した。
キッチン(左)とバックカウンター・吊戸棚
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坪単価は、ファミリータイプも含めて恐らく菊川駅圏の最高値だろうが、こんなものだろうと思う。
小田氏が話したように、女性目線の商品企画であることは3タイプのモデルルームを見て分かった。キッチンカウンターは幅1800ミリ確保しており、一人暮らしなら十分の広さだろうし、寝室にランドリーレールを設置し、ちょい置きスペース・レール、かくれんBOX、玄関ドア、シューズインクロークなどのドア把手はプッシュプルで、引き戸は開閉ともソフトクローズ機能付きなどは同社のファミリー向けの〝おはこ〟でもある。
金児氏は今後の展開について「戸建て分譲の商圏内」とも話したのも正解だと思う。都心部でのコンパクトマンションの相場は400万円どころか500万円台に突入している。10坪(33㎡)で5,000万円だ。一般的な単身者の取得能力をはるかに超えている。そんなエリアで供給するのはリスクが大きすぎる。
同社の戸建て分譲の商圏はコンパクトマンションなら3,000万円台で供給できる。背伸びはしないほうがいいと思うが、伸びしろはあるとみた。
リビング
希少立地で人気呼ぶか 大成有楽不動産「中野」駅圏最高値での販売なるか
「グランツオーベル中野」完成予想図
大成有楽不動産が12月に分譲する「グランツオーベル中野」を見学した。「中野駅圏徒歩5分では6年ぶり、駅北口徒歩5分圏内では18年振り」(同社)ということから1,000件を超える問い合わせがある。モデルルームの出来も出色だ。
物件は、JR中央・総武線、東京メトロ東西線中野駅から徒歩5分、中野区中野5丁目の第一種中高層住居専用地域(建ぺい率60%、容積率160%)に位置する敷地面積約2,227㎡、地下1階地上5階建て全62戸。専有面積は53.83~79.87㎡、価格は未定だが現在坪単価465万円程度で価格検証中。竣工予定は2020年9月下旬。設計・監理はアーバンライフ建築事務所、施工は鍜治田工務店。デザイン総合監修はウイ・アンド・エフ ヴィジョン(石倉雅俊氏)。販売は三井不動産レジデンシャルと大成有楽不動産販売。
現地は、駅北口の低・中層住宅、ビルなどが建ち並ぶ一角。高さ規制15mエリア。従前敷地は銀行の寮跡地。3カ所に接道。住戸は南向きと東向き・西向きがほぼ半々。
共用部には、テレビ会議などにも利用できるデスク付の個室も備えた「ワークラウンジ」を設置。キャッシュレス決済できる最新の無人コンビニや複合機などを導入する予定。
主な基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、リビング天井高2400ミリ、ディスポーザー、食洗機、カップボード、フィオレストーン天板、ハンズグローエ水栓、室内物干し金物、ミストサウナ、オリジナル収納など。
同社マンション事業本部マンション事業部事業室主任・堀内文普氏は、「中野駅圏徒歩5分圏では6年ぶり、駅北口徒歩5分圏内では18年振りということでも分かるように、マンションが建つような土地はほとんどなくなっている。一方で、東西線の始発駅なので大手町にも近く〝中野ファン〟も多い。坪単価は中野駅圏最高値となる可能性があるが手応えは感じている」と話している。
エントランスアプローチ
ワークラウンジ
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デザイン監修は多くの人気マンションを手掛けている石倉氏。高さ規制15mの第一種中高層住居専用地域の三方接道という敷地形状を生かし、幅7m、奥行き20m以上もあるエントランスを設置しているのが大きな特徴だ。
インテリアデザインにコスモスモアを起用した約79㎡のモデルルームが出色だ。家具・調度品、カラーリングなどは富裕層の心を捉えるのは間違いない。
記者は、石張りの玄関を入ってすぐに約5畳大の多目的に利用できる〝SOHOルーム〟の提案に惚れこんだ。この種の提案は3年前、コスモスイニシア「渋谷笹塚」でも見ているが、会社だけでなく自宅でも仕事する人はこれからどんどん増えるはずだ。
リビングには瘤付き無垢材のテーブルが置かれていた。一流料亭でもあるかないか。このようなテーブルで食事をし、酒を飲みたい。
デザイナーの方は女性のようだが、今後が楽しみだ。どこかでまたモデルルームを見ることができるかもしれない。
LDK
洋室
美術家の野老朝雄氏らの45作品掲出 COREDO室町テラス他 「めぐるのれん展」
COREDO室町テラス前地下歩道「街を表現するのれん」の展示(左は野老氏の作品)
日本橋の魅力ある文化や地域資産を新しい形で発信するイベント「NIHONBASHI MEGURU FES」が、日本橋エリア各所で開かれている。COREDO室町テラス前地下歩道及び三越前駅地下歩道で開催中の「めぐるのれん展」では、美術家の野老朝雄氏らクリエイターによる12作品と、日本橋に居を構える企業の32作品が掲出され、総計約150㍍にわたる「のれんロード」が出現。訪れた人々の目を楽しませている。
三越前駅地下歩道「企業を表現するのれん」の展示
同イベントは東京都、日本橋文化交流フェスティバル実行委などが主催。9月27日、COREDO室町テラス開業に合わせて開幕した。
COREDO室町テラス前地下歩道に掲出されたのは「街を表現するのれん」。のれんの捉え方自体が様々。多岐にわたる業界から参加した著名なゲストクリエイター7氏と、公募で入選した若手デザイナー5氏の、個性あふれる作品が並んだ。野老氏は「野老紋様暖簾」と題し、一つの円から広がっていく波紋のような紋様を染めで描いて、江戸時代から五街道の起点として人や文化が往来してきた日本橋を表した。建築家の長坂常氏は「のれん」を探求していく中で、帯で編むのれんを考案した。公募デザイナーたちも、3Dプリンターによる立体のれん、日本橋のグリッドに着目したデザインなど、若い感性で意欲作を寄せた。
長坂氏の作品(左)と野老氏の作品
3Dプリンターによる作品
三越前駅地下歩道「企業を表現するのれん」の展示には、不動産業界からも三井不動産、野村不動産などが参加。自社のアイデンティティを表すとともに来街者を楽しませるという展示テーマのもと〝競演〟した。両作品とも「つながり」が表現されている。
日本橋三越本店(左)と東レ
三井不動産「Connecting Line」(左)と野村不動産「結都」
JAXA「きぼうの窓」(左)と東京地下鉄「東京を走らせる力」
また、10月11日にはFUROSHIKI TOKYO展がスタート。北野武氏、草間彌生氏、香取慎吾氏、ジャン・ポール・ゴルチェ氏をはじめとする日仏アーティスト・著名人らがデザインした風呂敷を展示した。「世界で最初のエコバッグ」としてそのデザイン性とともに風呂敷に着目し昨年パリで展示したオリジナル風呂敷を東京都内各地でお披露目しているもので、この日本橋会場は六本木などに続き4カ所目。タブレット端末で映像を見ながら5つの結び方に挑戦できる体験コーナーが設けられている。
手前が体験コーナー
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上記の記事は弊紙の女性記者が取材し書いたものです。小生は他の取材と重なり取材できなかった。「めぐるのれん展」のWebで全45作品を見た。
好きなものを3つ挙げるとしたら関戸貴美子氏「ここが日本橋かあ」、Colliu氏「幕開け」、樋口裕二氏「三井不動産」だ。
関戸氏の作品は思わず微笑みたくなる。出目金にも見える鯛を擬人化したデザインは街行く人にストレートに伝わるはずだ。小生なら「ここが日本橋かあ」の吹き出しを付けるが、これは蛇足か。Colliu氏の作品は、表(あるいは裏か)に現代人、裏(あるいは表か)に江戸の人々が暖簾をくぐる様子を戯画化しているのが面白い。樋口氏の作品は、説明文を読まないとデザインの意図が伝わらないが、三井不動産のロゴマークを面白くデフォルメしていると思う。
ほかでは、角川英里香氏の東京地下鉄「東京を走らせる力」もいい。「東京」の文字の中に電車が走っているデザインが素敵だ。角川英里香氏のQUICK社「Hanabi」などもいいが、きりがないのでこのあたりで止める。今度、じっくり見ることにしよう。
関戸貴美子氏「ここが日本橋かあ」
Colliu氏「幕開け」
「めぐるのれん展」は9月27日―11月4日 COREDO室町テラス前地下歩道(街を表現するのれん)、三越前駅地下歩道(企業を表現するのれん)。「FUROSHIKI TOKYO展」は10月11日―11月4日 江戸桜通り地下歩道ほか。
総合的な街づくりに高い評価 積水化学 初のスマート「あさかリードタウン」
お披露目式フォトセッション(左から東京セキスイハイム社長・岡田雅一氏、積水化学工業代表取締役・加藤敬太氏、富岡氏、髙下氏、神吉氏)
積水化学工業は10月11日、同社初の複合大規模タウン「あさかリードタウンお披露目式」を開催。同社代表取締役社長・髙下貞二氏や朝霞市長・富岡勝則氏などが出席してセレモニーを行ったほか、全戸にレジリエンス機能を搭載した戸建てモデルハウス、サステナブルなまちづくりを紹介する「SEKISUI Safe&Sound Gallery」などを報道陣に公開した。
「あさかリードタウン」は、東武東上線朝霞駅バス5分徒歩3分、朝霞市根岸台三丁目に位置する開発面積約72,544㎡。同社の工場跡地で、全131区画からなる「スマートハイムシティ朝霞」のほかマンション212戸、商業施設「CAINZ」、保育施設2カ所、有料老人ホーム・賃貸住宅「あさかヴィレッジ」、クラブハウスなどが整備される。
今年1月に設立したセキスイタウンマネジメントが手掛ける第一弾でもあり、「Safe&Sound:安心・安全で、環境にやさしく、サステナブルなまち」をコンセプトに掲げ、同社グループの製品・サービスを102品目採用するなどグループの総合力を結集。街全体の安心・安全を確保するため電線・水道管の地中化、大雨時の浸水を防ぐクロスウェーブ、雨水貯留管を地下に集約するなどインフラ整備に力を入れている。
地域と社会課題解決、SDGsに貢献する様々な取り組み・製品提供も行う。街の25%を緑化する取り組みが評価されABINC認証を取得している。
「SEKISUI Safe&Sound Gallery」のユニットは、同社グループ会社が施工した福島県郡山市の応急仮設住宅を譲り受け、再利用している。
戸建て街区「スマートハイムシティ朝霞」は、これまで供給した停止条件付宅地分譲40区画が全て完売、分譲戸建て90戸のうち27戸が成約済み。土地面積は約130㎡以上で、建物面積は約110㎡以上。分譲戸建ての建物は軽量鉄骨造(全体の3分の2)と、木質系ユニット住宅(同3分の1)2階建て。価格は宅地が坪約40万円、分譲は5,000~5,500万円が中心。床は挽板、和室には樹脂畳を採用している。リビング天井高は2400ミリ。
全戸に全戸太陽光発電システム、蓄電池を搭載するほか、「飲料水貯留システム」を採用。断水時に3日間(24ℓ)の飲料水を確保する。
お披露目式で髙下社長は、「1953年(昭和28年)に関東初のプラスチック工場として稼働してから62年の2015年に幕を閉じ、安心で安全、防災減災、健康で快適な持続可能な街づくりを当社グループの総力を結集して進めてきた。ESG経営の根幹にあるSDGsにも貢献できるよう化学の力との融合も図った。当社初のスマートタウンの第一歩をスタートさせた」と挨拶。
富岡市長は、「これまで60年以上にわたって市の発展に貢献してきた工場跡地が先進的技術を投入した新しい街に生まれ変わるのは、当市の『自然・環境に恵まれたまち』『子育てがしやすいまち』『安心・安全なまち』『つながりがある元気なまち』という4つの基本コンセプトに合致するもの」と祝意を述べた。
髙下氏(左)と富岡氏
両氏の挨拶・祝辞が終わったころ激しい雨が降ってきた(参加者には合羽や傘が配布された)
◇ ◆ ◇
どのような街になるか楽しみにしていたのだが、高下社長も強調したように、街づくりのインフラ整備には相当な力が注がれていることを確かめることができた。「飲料水貯留システム」は初めて見た。原理的には井戸水を釣瓶でくみ上げるのと一緒で単純なものだが、水道水をどのように貯めて取水するのかその仕組みはよく分からなかった。
街の安心・安全・防災の取り組みでも、近くに流れる黒目川が氾濫しても住宅地が浸水しないよう川に近い地盤を約2mかさ上げし、約12mにわたって緩やかなひな壇造成も行っている。
好調な売れ行きにも驚いた。宅地の分譲開始が今年2月、分譲戸建ては4月。分譲戸建ての価格はエリアの相場より1,000万円から1,500万円も高い。にもかかわらず67区画を成約した。この販売スピードは「想定の1.5倍」(同社住宅カンパニープレジデント・神吉利幸氏)だという。総合的な街づくりが評価されたのだろう。
雨水貯留管
飲料水貯水システムイメージ図(自転車の空気入れのようなもので取水する)
◇ ◆ ◇
見学会で感じたことをいくつか指摘したい。
他の記者の方が質疑応答で「ものすごく安い」と称えた。もちろんフルスペックだからという意味が込められての発言だとは思うが、小生は逆だと思う。同社の担当者にも確認したのだが、朝霞駅からバス便の分譲戸建ての相場は4,000万円前後で、アッパーでも4,500万円だ。5,000~5,500万円という価格設定は正気の沙汰ではない。設備仕様レベルを上げて売れるのなら問題はないが、いまの市場はそうではない。ユーザーの購買力は上がっていない。常に価格下げ圧力がかかる。だから、どこのハウスメーカーもデベロッパーも設備仕様レベルを下げ、価格を下げようとする。
〝ものすごく高い〟のによく売れているのは、ハイスペックが支持されたということだろう。果たしてこれがどこでも通用するかどうか。この前取材した三井不動産レジデンシャル&三菱地所レジデンス「稲毛海岸 美浜の杜シティ」は4,500万円台中心だ。記事を添付したので比較して読んで頂きたい。
もう一つ。報道陣からは朝霞市初の「電線の地中下化」を称賛する声が上がった。小生もそう思うが、電線の地中化は同じハウスメーカーでも採用例は多くはないがあるし、デベロッパーも三井不動産レジデンシャルはマンションや戸建てで採用しているし、コスモスイニシアの電線地中化事例は2014年時点で10件に達しており、その後も加えると相当数に上るはずだ。
さらにもう一つ。街並み、デザインについて。ゆっくり街中を見学するゆとりはなかったのだが、木造ファンの小生からすれば、鉄やコンクリのユニット住宅は外観が単調で〝美しさ〟に乏しいと感じるが、今回もそうだった。
同社は今後、この種の街づくりプロジェクトを年間100億円規模まで拡大する意向だか、陸屋根が基本の鉄骨住宅とこう配屋根の木質系住宅
「グランツーユーV(ファイブ)」とのバランスを取りながら美しい外観・街並みを創造していくのかが課題の一つではないかと思う。天井高の低いのも気になった。
◇ ◆ ◇
なぜ前段のようなことを書くかといえば、今も昔も多くの住宅・不動産業界のメディアは記者の取材配置を行政、大手デベロッパー、中小、ハウスメーカー、不動産仲介、仲介など分野ごとに振り分けており、数年で担当を変えるともある。大マスコミと一緒だ。
そうすると、どういうことが起きるか。デベロッパー担当記者はハウスメーカーを全く取材しないし、逆にハウスメーカー担当はデベロッパーを取材しない。今回のような街づくり、分譲戸建てのようにデベロッパーもハウスメーカーも事業展開している分野では双方を取材しなければ市場を把握できないのに、記者は上司の指示か同僚に気を使ってか、それをしない。
この日の見学会にはこの種のデベロッパーの見学会と比べ2倍くらいの記者が参加していた。デベロッパー中心に取材している小生にとっては羨ましい限りだ。だが、しかし、極論かもしれないが、つまり半分の記者は半分の市場しか見ていないことになる。
小生はずっと分譲事業を取材してきたので、デベロッパーであろうとハウスメーカーであろうと大手、中小の別なく取材してきた。だから、この東武東上線のマンション、戸建ての市場は頭の中に入っている。朝霞駅からバス便の分譲戸建てが5,000~5,500万円というのは破格の値段だ。「ものすごく安い」という結論には絶対にならない(最近の東上線のマンションは価格上昇が顕著で、その分だけ分譲戸建ての割安感は生まれているが)。電線地中化もデベロッパーではそれほど珍しいことではない。
これだけ時代の流れが激しくなり、市場が縮小し競争が激化してくると、デベロッパーもハウスメーカーもそれぞれの成長分野へシフトする動きは加速する。〝街づくり〟〝スマート〟もその一つだ。
メディアは旧態依然の取材体制を改め、業種・業態を超えたクロスオーバー的な取材体制の再構築と、記者もまた〝広く浅く〟と〝狭く深く〟の両方を兼ね備えるべきだと思う。
そうでないと〝木を見て森を見ず〟〝森を見て木を見ず〟になる。マクロとミクロ、鳥の目と虫の目-この視点が-欠落すると業界紙の役割は果たせないと思う。
「スマートハイムシティ朝霞」エントランス
三井不レジ&三菱地所レジ 初の戸建て〝共演〟 全253区画の「稲毛海岸」分譲(2019/10/8)
驚嘆 シングル向けコンパクトにポルシェのシェアサービス フィード「舎人」

左からCHAMPAGNE CARBON副社長ジャン・パティスト氏、中村氏、ポルシェジャパン コーポレートビジネスディベロップメント担当部長 アンドレ・ブランド氏
中村社長
シングル向けコンパクトマンションに特化しているフィードは10月10日、日本初のポルシェカーシェアリングサービスを近く分譲する「ミルナーヒルズ舎人C’s COLLECTION」に採用すると発表した。モータースポーツF1公式ジャパン「CARBON(カーボン)」の日本代理店マーカムインターナショナルとコラボして実現したもので、記者発表後のレセプションには国会議員の下地幹郎氏、馬淵澄夫氏、前国会議員の松野頼久氏、タレントのヒロミ氏など数百人の関係者が出席、会を盛り上げた。メディア関係者は普通のマンション発表会の2~4倍の約90人が駆け付けた。
「ミルナーヒルズ舎人C’s COLLECTION」は、日暮里・舎人ライナー舎人駅から徒歩12分の足立区入谷2丁目に位置する9階建て全55戸。専有面積は37.72~49.09㎡、価格は未定だが、坪単価は260~270万円になる模様、竣工予定は2019年12月末。施工はリンク・トラスト。年明けから竣工販売する予定。
マンションのザイナーには虎ノ門ヒルズのアトリウムなど世界的な建築物のデザインを数多く手掛け、フィードの社外取締役も務める谷山直義氏が担当する。
若年層を中心に車離れが進んではいるが、レンタカーやシェアサービスを利用する人はそれほど減っておらず、車は「所有から共有」の時代に変化していることに着目、マンション敷地内に新車の「ポルシェ」を含む2台を居住者限定の定額制でレンタルする。月額1~2万円を想定している。
「CARBON(カーボン)」は150年の歴史があるシャンパンブランドで、F1の技術を象徴する「カーボン・ファイバー」をボトルに使用しており、2017以降はF1グランプリに輝いた勝者を称えるセレモニーに使用されている。
記者発表会でフィード・中村建治社長は、「当社は2012年からシングル層に特化したコンパクトマンション事業に参入し、これまで1,300戸を販売。業績向上に寄与している。ターゲットとする年収500~700万円の25~39歳のシングル層向けの同じようなマンションを分譲しているのは他に1社くらい。今回のプロジェクトは、2015年にコンセプトブランディングプロジェクト第一弾としてヘネシーとコラボしたのに続く第二弾。〝憧れ〟のポルシェをリーズナブルな料金で乗れることを実現した」と話した。
記者発表会場(ポルシェセンター青山で)
その後はレセプション会場に
◇ ◆ ◇
記者は約40年間、年間平均で150件くらいのマンションを取材している。物件概要を見ただけで坪単価を言い当てる自信がある。外れても1~2割くらいだ。
発表会で説明を聞きながらいつものように単価を予想した。〝土地がただでも坪150万円いかは難しいから坪190万円くらい〟とはじいた。
質疑応答でも①マンションの坪単価とポルシェ、(入居者に入居祝いとして同社がプレゼントする2本の)CARBONはそれぞれいくらか-を質問した。中村社長は「価格は未定だが3,000万円台から」と答えた。他の関係者は、ポルシェはおおよそ800万円、CARBONは4.8万円と8.8万円と話した。
車とシャンパンの値段は分からないが、この予定単価には心臓が飛び出すほど驚いた。よく売れ記事にもした舎人ライナー・高野(こうや)駅前の物件の坪単価は153万円だった。同社のマンションはそれより100万円は高くなりそうだ。
〝市場を超越〟した価格かと思ったら、そうではないことも分かった。同社はこれまでつくばEX六町駅から徒歩12分で坪単価280万円の物件を早期完売したというではないか。記者の観る目が狂ってきたか、世の中が狂っているのかどちらかだが、同社がシングルの心を捉えたのかもしれない。
ある30代の独身男性は「ポルシェに1カ月1~2万円で乗れるのは魅力。そのマンション買うんじゃない」と話した。
ポルシェ
「ミルナーヒルズ舎人C’s COLLECTION」
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驚いたのは単価だけではない。レセプション会場には目が点になり、息が止まる…ではなく息を吞み、詰まらせそうな美しい女性集団が大挙参加し、会場を華やかなムードに一変させた。こんな不動産関係のレセプションは初めて体験した。
会場には中村社長の友人という国会議員の下地幹郎氏、馬淵澄夫氏、前国会議員の松野頼久氏、タレントのヒロミ氏が顔を見せ、下地氏、馬淵氏、ヒロミ氏は登壇して祝意を述べたのだが、記者は美しい女性しか興味がなく、肌を露出しすぎの人を避け何人かに声を掛けて写真を撮り、WEBに載せることの了解を得たので以下に紹介する。
「地元の沖縄でもこんなマンション作って」下地氏(左)と「フィードの顧問をしていました」馬淵氏
ヒロミ氏(何を話したのかよく分からなかった)
銀座のクラブのママ(マンションの購入の相談だったらいつでも乗ります。記者はうそをつかないのが取りえ)
このような美しい体形の女性がたくさん参加していた
中央の方は新極真会代表理事の緑健児氏
「CARBON(カーボン)」を提供している「夜想曲」の代表取締役社長・高橋力矢氏(左)と同伴の方たち
三井不レジ&三菱地所レジ 初の戸建て〝共演〟 全253区画の「稲毛海岸」分譲
〝呉越同舟〟三井不レジ(左)と三菱地所レジの「稲毛海岸 美浜の杜シティ」タウンゲート
三菱地所レジデンスと三井不動産レジデンシャルは10月8日、千葉市美浜区稲毛海岸に位置する全253区画の大規模戸建て「稲毛海岸 美浜の杜シティ」のメディア向け現地見学会を行った。従前敷地は2社のグループ企業が保有しており、これまで市民プール、住宅展示場、商業施設として利用されていた。両社が分譲戸建てで〝共演〟するのは今回が初めて。
物件は、JR京葉線稲毛海岸駅から徒歩12分、千葉市美浜区稲毛海岸2丁目に位置する開発総面積約40,000㎡超の全253 区画(三菱地所レジデンス139区画、三井不動産レジデンシャル114区画)。用途地域は第一種中高層住居専用地域・第一種住居地域(建ぺい率60・70%、容積率200%)。10月下旬に分譲開始する。エネファームを標準装備。
今回分譲する三菱地所レジデンスの第1期(27戸)は、敷地面積110.08~135.21㎡、建物面積96.05~122.16㎡、価格は未定だが、4,500万円台が中心になる模様。建物は完成済み。設計・監理・施工は三菱地所ホーム。
三井不動産レジデンシャルの第1期(26戸)は、敷地面積110.40~135.38㎡、建物面積106.07~122.79㎡、予定価格4,300万円台~5,200万円台(最多価格帯4,400万円台・4.800万円台)。建物は完成済み。施工はエステーホーム、西武建設。
公園のような街づくりを目指し、駅にもっとも近いところにメインゲートを設置、各街区にシンボルツリーとしてアオダモ、サルスベリ(赤・白)、ヤマボウシ、ハナミズキ、エゴノキを植樹、千葉市緑化率ルール(1宅地高木換算4本)を厳守する。
外観デザインは「アールデコ」をテーマに建物・外構ガイドラインを設定して統一感を図る。街の中央部に集会所を設け、コミュニティ支援を行う。タウンセキュリティも導入する。
これまでの来場者数はそれぞれ約100件。来場者の現住所は美浜区、稲毛区を中心に約45%が千葉県。
空撮
敷地配置図
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三井不動産レジデンシャルはバブル崩壊後、それまでの面開発から撤退はしたが、都市型戸建て「ファインコート」を立ち上げ、コンスタントに戸建てを分譲してきた。2019年3月期の計上戸数は475戸だが、2014年3月期は916戸もあった。大手デベロッパーでは他を圧倒している。
一方の三菱地所レジデンスは、バブル前は大規模分譲地を手掛けていたが、バブル崩壊後は仙台市の総開発面積1,070haという民間の住宅地開発としてはわが国最大の「泉パークタウン」も含めどんどん供給が減り、決算セグメントにデータはない。最近は再び戸数を増やしつつあるが、それでも今期は100戸超というから、三井不レジには大きく引き離されている。
その2社が同じ住宅地で同じような価格帯で分譲するというのだから、どのような商品になるか、今回の見学会を楽しみにしていた。(マンションでは海浜幕張の「パティオス」で民間6社グループが〝共演〟した実績あり)
見学会で説明を聞き、モデルハウスをみて〝これはいい〟と確信した。両社は2022年春までに完売したいというが、4,500万円台中心という価格設定と、アールデコの圧倒的なデザイン性からすれば、相乗効果も期待でき目標通りに完売できると見た。裏でお互いを罵り合う乱売戦にはならないはずだ。
三菱地所レジデンスのモデルハウス(価格は5,000万円台の後半とか)
手前が三菱地所レジ、その奥が三井不レジ
三井不動産レジデンシャルの住宅
外構・植栽(三井不動産レジデンシャル)
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一つだけ残念だったのは、それぞれ三井ホーム、三菱地所ホームという2×4工法の子会社があり、全館空調を売りの一つにしているのに採用には熱心でないことだった。
メインターゲットが年収にして500~700万円台の子育てファミリーだからおのずと購買力にも限界があるのはわかるが、もう少し年収が高いアッパーミドルにも訴求できるデザイン性があるのだから、ハウスメーカー並みのZEH住宅を目指してほしかった。
三井レジは三井ホームの施工を8棟予定しているにもかかわらず、全館空調の採用予定はないという。三井ホームがつい先日、40坪以下の住宅を対象にした132万円の全館空調システム「スマートブリーズ ワン」を開発したではないか。設計を変更してでも採用すべきではないか。
三菱レジも今回の27棟のうち3棟にしか全熱交換方式の全館空調「エアロテック」採用していない。そのうちの1棟をモデルハウスにしていた。リビング天井高も約2900ミリ。相当力が入っているのがうかがえる。価格は6,200万円くらいになる模様だが、全館空調の良さを訴え切れれば、この住宅は一番人気を呼ぶのではないか。
小田急不他「橋本」 坪単価は150万円か 敷地の3分の1が里山 自然派の心捉えるか
「エガオガオカ プロジェクト(リーフィアレジデンス橋本)」完成予想図
小田急不動産は10月7日、多摩ニュータウンの西端に位置する町田市の大規模マンション「エガオガオカ プロジェクト(リーフィアレジデンス橋本)」の記者内覧会を行った。橋本駅からバス3分徒歩3分の全425戸で、坪単価は都内ではまずない150万円くらいに落ち着きそうだ。
物件は、JR横浜線・京王相模原線橋本駅 徒歩19分(バス3分、徒歩3分)、町田市小山ヶ丘六丁目に位置する敷地面積約21,850㎡の12階建て全425戸。従前は小田急電鉄の所有地。専有面積は68.44~95.37㎡、第一期(戸数未定)の予定価格は2,500万円台~4,800万円台(最多価格帯3,300万円台)。竣工予定は2021年4月 。設計・施工は長谷工コーポレーション。売主は同社(事業比率50%)のほか積水ハウス(同40%)、神鋼不動産(同10%)。
現地は、同じ並びには数物件のマンションが建っており、道路を挟んだ対面は大型商業施設MrMax。徒歩圏には27の大小の公園・緑地があり、多摩美術大学にも近接。
建物はL字型で、南向きと東向きの2棟構成。住戸プランは80㎡台が中心で、主な基本性能・設備仕様は直床、リビング天井高2400~2600ミリ、バルコニーの奥行き1800~2500ミリ。敷地の約3分の1を占めるABINC認証を受けた「さとやまの森」を通じて様々なコミュニティ支援の取り組みを行う。
販売開始は12月。問い合わせは約700件。
敷地内の里山(模型)
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坪150万円くらいなら売れるかもしれないが、そんなに安くできないだろう〟というのが事前の記者の予想だ。結果は微妙。坪150万円を超えるのか超えないのか。記者も分からない。
ただ、従前の土地所有者は小田急電鉄であることも分かるように、坪150万円という〝破格〟の値段でも同社は利益を確保できるということであり、消費者がその価格をどう評価するかだ。
売れるかどうかは価格もさることながら、カギは「さとやまの森」の魅力をアピールできるかどうかだろうと思う。様々な取り組みの価値を訴え切れるかどうか。
似たような事例は「フォートンヒルズ」がある。ここは信じられないような売れ行きを示した。
現地(背後は敷地内の里山)
藤和不動産の記念碑的マンション「フォートンヒルズ」が完成(2006/6/19)
長谷工グループ CSR活動の一環 第5回「長谷工の森林」プロジェクトに82名参加
長谷工グループは10月5日(土)、長野県茅野市の「長谷工の森林(もり)」で第5回森林整備活動を実施した。
「長谷工の森林」プロジェクトは2017年に迎えた創業80周年記念事業の一環として長野県茅野市と「森林(もり)の里親契約」を締結し、“社会貢献”・“未来志向”・“地域との連携”をテーマにスタートしたCSR活動。
今回はグループ社員とその家族82名が参加。地元協力業者による大木伐採のデモンストレーションを見学したほか、森林内を散策し生物多様性の保全について学び、小木の伐採や倒木片づけなどの森林整備作業を行った。