さすが三井不動産 わが国初の本物の木造〝杉乃木〟ホテル「神宮外苑」に誕生
「三井ガーデンホテル神宮外苑の杜プレミア」
わが国の初の〝見た目〟木造高層建築物が完成-三井不動産は11月12日、新国立競技場に隣接するホテル「三井ガーデンホテル神宮外苑の杜プレミア」の記者発表会・内覧会を行った。建築基準法では鉄骨・鉄筋コンクリート造13階建てだが、外観ファサードに反りを取り入れ、客室バルコニーの側壁と上裏(軒天)に本物のスギ材を張り巡らせていた。記者は感動のあまり〝杉乃木ホテル〟と命名した。11月22日に開業する。
物件は、都営大江戸線国立競技場駅から徒歩1分、新宿区霞ヶ丘町に位置する鉄骨・鉄筋コンクリート造13階建て362室。客室は18.5~50.9㎡(中心は24.㎡)。設計は日建設計、施工は清水建設。土地所有者は明治神宮。三井不動産が定期借地として賃借し、三井不動産ホテルマネジメントが運営する。
客室は扁平梁とガラスの手すりを採用することで、室内から眺める視界が広がる設計を採用。屋上にはルーフトップテラスを配置。1階には、RYコーポレーションが運営するモダンイタリアンレストラン「RISTORANTE & BAR E'VOLTA」(リストランテ&バー エボルタ)が出店するほか、一般社団法人ダイアローグ・ジャパン・ソサエティが提供する体験イベント「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」の常設会場が出店する。
発表会で同社ホテル・リゾート本部長 ホテル事業部長・小田祐氏は、「当社ホテルブランドの〝プレミア〟シリーズとしては5棟目。たぐいまれな緑に囲まれた都心のど真ん中に立地しており、関係者からは〝こんなホテル他にない〟と評価されている。あらゆる層にディスティネーション目的として利用していただけるよう価値向上を目指す」と語った。
客室単価は2万円以上を目指す。ルームチャージは最低26,000円からとなる模様。
外観デザイン
バルコニー
ルーフトップテラス
大浴場のドレッシングルーム(ドライヤーは5万円のダイソン。我が家の小生は4,000~5,000円で、かみさんは15,000円とか)
客室
◇ ◆ ◇
この日の発表会・内覧会を心待ちにしていた。どんなホテルになるのかと。現地は明治神宮外苑水泳場跡地。記者はその施設と隣接する飲食店をよく知っている。30年昔から取材しているRBA野球大会の会場となっている神宮外苑軟式野球場に通っていたからだ。いつも新国立競技場とこのホテルをJR中央線・総武線の車中から眺めている。ホテルの格子デザインが実に美しい。
しかし、木材を多用している新国立競技場に調和させる意図は理解しつつも、「木」らしき外装は〝フェイク〟だと決めつけていた。
この日の発表会・内覧会でも、次のように最大限の皮肉を込めて質問した。「内装材には本物の木を採用しているようだが、外観は(ケミカルの)パネルではないか。本物の木を使う勇気はなかったのか」と。
あにはからんや。小田氏は「わたしの説明が不足していました。外壁は本物の木です。スギ材です」といけしゃあしゃあとのたまうではないか。
これには仰天した。すぐ「申し訳ありません。大変失礼な質問をしました」と謝るほかなかった。穴があったら逃げ出したくなるような恥ずかしい思いをした。
しかし、ただでは起きないのが記者だ。すぐ態勢を立て直し、以下の質問を用意した。
①耐火・防火の法規制をどうしてクリアしたのか②内装・外壁にどれほどの木を採用しているのか③コスト・メンテナンスはどうするのか④このホテルはわが国の木造による中高層建築物の嚆矢にならないか-などだ。
現段階ではこの質問に対する答えは得られていないが、必ず施主の三井不動産、設計を担当した日建設計、施工の清水建設から聞いてレポートする。
その結果によっては、また大恥をかくことになるかもしれないが、〝見た目〟の本物の木造〝杉乃木ホテル〟(杉乃井ではない)と命名したのは間違っていないはずだ。杉板の厚さは3cmくらいか。バルコニーのデッキ床はケミカル製品だった。
客室、その他の設備仕様レベルは、これまで取材した同社の〝プレミア〟シリーズのなかでも最上クラスとみた。レセプションロビーのカウンター周りは名栗仕上げ、エレベータホールや壁は本物の木材が使用されていた。
レストラン(ベーカリー)
隣接する緑地から
シンプルで端正な姿が美しい 三菱地所 わが国初のCLT高層「高森」完成(2019/3/14)
木造とコンクリートの見事な調和を図った「木材会館」(2012/10/2)
大激戦の「築地」尻目に空白区で圧勝か 東京建物「Brillia上野Garden」
「Brillia(ブリリア)上野Garden」完成予想図
東京建物(事業比率80%)と日本土地建物(同20%)が11月下旬から12月上旬にかけて分譲する「Brillia(ブリリア)上野Garden」を見学した。2014年以降、都内で分譲されたマンションのうち山手線5分圏内は45棟(3.04%)しかなく、しかもメジャー7の物件は15棟(1.01%)という希少性と、商業エリアながら地区計画により将来にわたって繁華街のような街にならない可能性も高いこと、さらに分譲単価もリーズナブルなものに設定される模様で、人気になるのは必至だ。
物件は、JR山手線上野駅から徒歩5分(東京メトロ銀座線稲荷町駅から徒歩3分)、台東区東上野5丁目の商業地域に位置する19階建て98戸(うち非分譲住戸21戸)。専有面積は33.33~106.63㎡、価格は未定。引渡し予定は2021年10月下旬。設計は安宅設計。デザイン監修は野生司環境設計。施工は三井住友建設。販売開始は2019年11月下旬。
現地は商業地域だが、嫌悪施設などはほとんど無く、マンションやビル、ホテルなどが建ち並ぶ一角。今年3月に決定された地区計画でも住環境の維持向上を図るエリアに指定されていることから、繁華街のような〝何でもあり〟の街にはならない可能性が高い。
敷地は3方角地で、建物はほぼ正方形。内廊下方式を採用。1階に地域住民に開かれたシェアラウンジが設置され、住戸は2階から。標準階1フロア5~6戸。分譲77戸のうち南向きが46戸、角住戸は58戸。
主な基本性能。設備仕様は、二重床・二重天井、リビング居室の最高天井高2,480~2,500mm、フィオレストーン天板、食洗機など。
東京建物住宅営業第一部課長代理で販売副所長の棚田修啓氏は、「7月から資料請求受付を開始し、想定以上の1,500件を突破。10月5日から開催している案内会参加者も250件超に達し、土日祝日は連日満席。地元台東区を中心に近隣区からの関心も高いが、JR上野駅の交通利便性から広域からの関心も高い」と話している。
基壇部
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東京建物のマンションが好調だ。まず、同社のマンションの業績から。2019年12月期第3四半期決算によると、計上戸数は1,053戸となり期初予想の1,000戸を上回り、完成在庫はわずか83戸(うち17戸は契約済み)しかない。
同業では、三井不動産の2019年3月期第3四半期決算は計上予定3,400戸の進捗率は94%(前年同期は90%)で、完成在庫は162戸(同106戸)しかなく、東京建物と同じくらいの計上戸数ではモリモトや大和地所レジデンスもほとんど在庫がないが、それと同じくらいの売れ行きだ。
さて、この「上野」の物件。上野駅圏のマンションでは、いま伊藤忠都市開発(事業比率60%)と東京建物(同40%)の「クレヴィア上野池之端」が人気になっているが、こちらは上野駅圏というよりは千代田線根津駅圏だ。上野駅圏では、記者は5年前の「ザ・パークハウス上野」しか知らない。このマンションも安がったが、今回の物件も安いと思う。いま6物件で約460戸という大量のマンションが供給されようとしている「築地」の物件は坪450万円以上だ。
大激戦の「築地」と空白区の「上野」のどちらがいいか。競合はしないはずだが、どちらでもいい人にとっては悩ましい選択になりそうだ。
キッチン
あの「青山」の美しい流線形 今度は「銀座築地」 大和ハウスがエリア最高峰
「プレミスト東銀座築地Arc Court」(右)と「プレミスト東銀座築地Edge Court」
圧倒的な人気を呼んだあの美しい流線形の「青山」のファサードが「銀座築地」に登場する。大和ハウス工業が近く分譲する「プレミスト東銀座築地Arc Court」だ。坪単価も530万円くらいになると予想され、「築地」エリアでは最高値(従前は約500万円)を更新しそうだ。「築地」の近未来を先取りした〝唯一無二〟の記念碑的マンションになるか。
物件は、道路を挟んだ2棟構成。一方の「プレミスト東銀座築地Arc Court」は、東京メトロ日比谷線築地駅から徒歩4分、中央区築地7丁目の商業地域に位置する14階建て全117戸。専有面積は55.25~99.91㎡、価格は未定だが坪単価は520~530万円になる模様。竣工予定は令和3年3月上旬。施工は長谷工コーポレーション。
他方の「プレミスト東銀座築地Edge Court」は、東京地下鉄日比谷線築地駅から徒歩5分、中央区築地7丁目に位置する14階建て全63戸(事業協力者住戸4戸含む)。専有面積は50.05~70.15㎡、価格は未定だが、「Arc Court」よりは若干低くなりそうだ。竣工予定は令和2年5月下旬。施工は青木あすなろ建設。
販売開始は11月下旬から12月上旬。いずれも東京建物が販売媒介。
現地は、工場マンション・ビル化が進む古い木造店舗なども残る商業地域の一角で、日刊スポーツの印刷所・事務所ビル跡地。双方が道路を挟んで隣接しており、「Arc Court」からは近接する明石町の街並みや聖路加・あかつき公園の美しい緑が眺望できる。角地で前面道路が広いため、約2層分高さ規制が緩和されているのも特徴の一つ。
「Arc Court」の外観デザインは、三井不動産レジデンシャル「パークコート青山ザ タワー」とよく似た美しい流線形で、1階部分に車寄せなどを設置、住戸は2階以上。住戸プランは、99㎡の形状が1スパン(12戸)のほか、8m以上のワイドスパンの70㎡台が3スパン(37戸)、50~60㎡台が6スパン(55戸)。
もう一方の「Edge Court」は都市的なエッジの利いた対照的なデザインになっており、70㎡の1スパン(13戸)を除き50㎡台の4スパン(46戸)。
主な基本性能・設備仕様は、車寄せ、内廊下、コンシェルジェサービス、二重床・二重天井、リビング天井高2500mm、地下駐輪場、御影石浴室カウンター、デイスポーザー、食洗機など。
販売事務所長・齋藤拓氏は、「目指すのは、23haの築地市場跡地開発を見据えたワールドクラスのベンチマークになるようなハイグレードマンション。印象的な外観デザインにしたのも効果的で、予想以上の反響。最近は建築費の高騰で設備仕様レベルを落としている物件も周辺には多いが、当社はその逆、圧倒的な評価を得るはず。中央区では内廊下、車寄せ、コンシェルジュサービス付きの3つ揃った物件は過去に3物件(三井、住友、東建)しかない。当社の物件は4つ目となる」とほぼ1時間、物件の魅力について熱く語った。
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これで築地駅圏の6物件463戸のうち、旭化成ホームズの物件を除きすべて見学取材した(ワールドレジデンシャル「レジデンシャル築地」と大成有楽不動産「オーベルアーバンツ銀座築地」の記事は週明けの予定)。
同社の物件を取材する前は、坪単価は500万円を切ると思っていたが、齋藤氏は高値に挑戦すると断言した。確かに明石町・聖路加を眺望できる立地条件を考慮すれば、それもありか。
さらにまた、齋藤氏が力を込めたように、築地市場の跡地開発を考えれば、この街は一変する。高値挑戦する価値はある。今期売上高は4兆円を突破(予想)し、2055年には10兆円を目指す会社だ。他社と同じように目先の利益を追うのでなく(それが悪いと言っているのではない)、もっと中長期的な視点で富裕層向けマンションはどうあるべきかを世に問うべきだ。
99㎡のモデルルームのインテリアデザイン担当は三井デザインテックの黒須理枝氏。170万円もする屋久杉のテーブル、イタリアから空輸したガラスのアート、ボッティチェリの「ヴィーナスの誕生」を彷彿させる洗面の青みがかったガラスボウル、厚さ数ミリはありそうなステンレスの加工を施したワークトップなどは間違いなく一級品だ。
モデルルームを見て坪単価800万円と予想したが、ぴったりのはずだ。30坪で2億4,000~2億5,000万円などは富裕層にとって2戸も3戸も買える値段だ。全然驚かない。1フロア約682㎡(207坪)全てを坪1,000万円で分譲しても約21億円ではないか。記者は1戸44億円も55億円も取材している。目指すは〝パークマンション〟だ。
もう一つの「Edge Court」の70㎡のモデルルームのデザインはオーソドックスなもので、先進のIoT技術を採用しているのが特徴。同社は富裕層のセカンドハウスを想定しているようだ。
ラグビーW杯級の大激戦・築地 イニシアは突板、全居室床暖、SOHO…で差別化(2019/10/30)
〝赤坂の隠れ家〟 本物志向の大和ハウス「プレミスト赤坂翠嶺」(2018/10/19)
京急電鉄他「品川シーサイド」 資産性アピール 多様なニーズ取り込む戦略(2017/3/14)
マンションはアートだ 三井不レジ「パークコート青山 ザ タワー」竣工(2018/4/11)
三井不レジ「檜町公園」 わが国の最高価格マンション1戸55億円 成約済みか(2016/7/15)
3帖大の「Fテラス」ヒット 日本エスコン「豊田」 坪236万円も割安
「レ・ジェイド豊田 マスターヒルズ」完成予想図
日本エスコンが分譲中の「レ・ジェイド豊田 マスターヒルズ」を見学した。駅から徒歩2分の全63戸。今年3月販売開始で、残りは最終期9戸のみ。専有面積に含まれない多目的に利用できる「Fテラス」をほとんどの住戸に設けているのがヒットした。坪単価236万円は割安感がある。
物件は、JR中央線豊田駅から徒歩2分、日野市多摩平二丁目の第二種中高層住居専用地域(容積率200%)に位置する地上5階・地下1階建て全63戸。専有面積は36.03~93.64㎡、最終期(9戸)の価格は2,825万5000円~5,964万9,750円(専有面積36.03~85.25㎡)、坪単価は236万円。竣工予定は2020年3月下旬。設計・監理はスタイレックス。施工は飛島建設。今年3月から分譲開始しており、残りは最終期の9戸のみ。
現地は、なだらかな南傾斜の一角で、敷地は学生寮跡地。イオンモールへも徒歩2分。建物はコの字型でほとんどの住戸は南東向き。
主な基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、リビング天井高2400ミリ、ディスポーザー、食洗機、人工大理石天板、約2.5~3.9畳大のFテラス付きなど。
モデルルーム「Fテラス」
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記者は一時期,日野市民だったので豊田駅北口のことはよく知っている。駅前は古いUR都市機構の賃貸マンションが建っていたが、再開発によりイオンが進出し、多摩平の住宅団地も建替えられて街並みが一変した。
今回のマンションは表通りから一歩入ったところなので、学生寮があったところとは全く知らなかった。
まず現地を見て、いつものように坪単価をはじいた。駅に近く、南側に遮るものがない南傾斜の立地の良さからして坪250万円とはじいた。しかし、これが入札なら手を上げるデベロッパーは10社を下らないだろうから、坪270万円もありうると予想した。
販売事務所で坪236万円と聞き、モデルルームの設備仕様レベルを見て、間違いなく割安感があると判断した。割安単価で分譲できたのは、同社は今回の物件が豊田駅圏内3棟目で、地主にも実績を認められていたからだというのも要因の一つだと思う。
プランは「Fテラス」がいい。リビングと「Fテラス」の間は折れ戸サッシを採用し、スロップシンクとコンセントが付いており、ガラス張りなので多目的に利用できる。来場者にも好評のようだ。
プラン構成もよく考えられている。メインは50~80㎡台のファミリーだが、北西向き6戸は36㎡とし、単身者の需要も取り込んでいる。
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同社のマンションを見学するのは今回で4度目だ。最初の「レ・ジェイド世田谷砧」は1階にカフェを設けたもので、記者が見学したときは昼時ということもあったが、人であふれていた。2度目の「グラン レ・ジェイド若松町レジデンス」はプランが秀逸だった。その後、この物件は2018年度グッドデザイン賞を受賞している。3度目の「グラン レ・ジェイド渋谷富ヶ谷」は全戸ホワイエ(屋内廊下)付きだった。
そして今回。販売担当者と名刺交換したら、「中部電力グループ」と刷り込まれていた。同社は現在、東京と大阪に本社機能を置いているが、創業は大阪だ。それなのにどうして中部電力なのかと驚いた。両社は2018年8月、両社は資本業務提携を結び、中部電力が日本エスコンの株式(約33.3%)を取得して持分法適用関連会社とすることを決定したとある。
記者は三重県出身なので、「電力は中部電力」「読むのは中日新聞」「銀行は東海銀行」「百貨店は松坂屋」で育った。最近はこの図式が崩れてきたが、中部電力と大阪(東京)のデベロッパーが手を組むなど普通では考えられないことだ。
だがしかし、この提携は双方にとっても大きなメリットがあるはずだ。東海には老舗の三交不動産も名鉄不動産もあるが、1995年設立の日本エスコンは両者を瞬く間に抜き去った。そんなデベロッパーと組めば、中部電力は地元や首都圏での様々な事業が展開できる。
日本エスコンも潤沢な資金力がある中部電力と組むのは大正解だろう。哲学・理念がいいし、分譲事業のスローガンがいい。「日本エスコンの分譲マンションに、同じ企画・コンセプトはありません。ここで暮らす人の5年先、10年先を見据え、世代・家族構成・生活志向などイメージを膨らませ、その土地の魅力を最大限に引き出すコンセプトを創出。一人ひとりのかけがえのない人生を彩るステージを生み出しています」と。
同社には東海エリアにおいても、既存のデベロッパーがなしえなかったことをやっていただきたい。
エントランス
旭化成ホームズ マスターブランド名「HEBEL HAUS」に決定
旭化成ホームズは11月7日、同社の〝へーベル〟ブランド価値向上を目指すため、同社の商品・サービスを包括するマスターブランド名を「HEBEL HAUS」と決めたと発表。また、同社の供給する戸建住宅「ヘーベルハウス」と賃貸住宅「へーベルメゾン」の引き渡し後の無償定期点検サービスを従来の30年間から60年間に延長し、顧客のローン返済額を抑える支払額軽減住宅ローンの取り扱いや、一部の商品で将来の買取保証サービスを開始したと発表した。
マスターブランドを統一したのは、同社の社名を〝へーベル〟と誤認している層があらゆる年代で50%以上に達し、グループ全体の総合力が市場に見えにくい状況を踏まえ、「いのち・くらし・人生」全般を支える「LONGLIFE」の提供・実現する会社であることをアピールするため。
無償定期点検サービスの期間延長は、築30年を超える戸数が約5万棟に達し、ライフスタイルの変化やリフォーム、所有者の世代替わりによる住み替え、ストック重視の国の施策などに対応するもの。
支払額軽減住宅ローンは、新生銀行と共に開発した商品で、借入元本の一部を最終回一括払いとすることで月々返済額を抑えられる住宅ローン商品。国土交通省の「住宅ストック維持・向上促進事業」にも採択されている。
買取保証サービスの対象は、時代や流行に左右されにくい普遍的なデザイン・間取りで建築するヘーベルハウスのセレクテッドパッケージ「my DESSIN(マイデッサン)シリーズ」。将来的に、スムストック査定方式による査定額に一定の評価を上乗せした評価額をもとに買取保証サービスを行う。
川畑社長
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マスターブランド名を「HEBEL HAUS」と定めたのはいま一つ理解できない。記者などは〝へーベル〟を知ったのはまだ20代の頃だった。今では住宅事業の売上高は7,270億円(19年度予想)で、旭化成グループのマテリアルに次ぐ大きな柱にまで伸長している。
それをどうして漢字やカタカナをわざわざドイツ語の「HEBEL HAUS」にしなければならないのか理解できない。変えるなら「へーベル」「旭化成へーベル」のほうがいいような気がする。もちろん、この先数十年を見通したアルファベッド表記に抵抗感がない若年層に浸透させようという深謀遠慮の計らいがあるのは分かるが…。
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記者が知友目している渋谷区宮益坂の建て替えマンションについては、川畑文俊社長は「価格をいくらにするか、一般分譲するかどうかは検討中。分譲するとすれば来春」と語った。来年1月分譲の同社最大級の等価交換マンション「アトラス築地」(161戸)については「築地本願寺に近接している希少性を加味して適正な値段にする」と話した。
横浜版「SDGsストロー・ヨコハマ」1本50円で販売開始 麦わらストローはどうか
記者団の注文に応じデモンストレーションして見せる林市長
横浜市は11月7日、「SDGs未来都市・横浜」の実現を目指すプロジェクトの一つとして、アキュラホームが開発した「カンナ削りの“木のストロー”」の横浜版「SDGsストロー・ヨコハマ」を完成させ、12月1日から販売を開始すると発表した。
「カンナ削りの“木のストロー”」は、持続的な森林保全と廃プラ問題の解決を目指して〝カンナ社長〟で知られるアキュラホームが開発。間伐材などの木材を1mm以下に薄くスライスし、手作りでストローにしたもの。G20大阪サミットやG20関係閣僚会議でも採用されるなど関心が高まっている世界初の商品。
「SDGsストロー・ヨコハマ」は、同社とわが国のSDGs取り組みではトップランナーの横浜市が連携して商品化したもので、市が保有する山梨県道志村の水源林の間伐材(スギ)を「木のストロー」用に薄板にし、厚労省の認可を受けた市内の障がい者の雇用を促進する目的の会社や障がい者地域作業所で製造、市内の飲食店・ホテルなど向けに販売していく。月産1万本で、1本50円(本体価格)で12月1日から販売する。
林文子横浜市長は同日行われた定例記者会見で、「今回のプロジェクトは、プラスチックごみ対策、地球温暖化対策の『環境』と、ビジネス機会・雇用の創出という『経済』、市民・企業の環境意識の醸成という『社会』の統合的解決を図る市の目指すものと一致しており、実現したことは大変うれしい。今後、他地域へも普及したい」などと語った。
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林市長も同社執行役員・滝川健司など関係者も話したが、一般家庭などへ普及させるための壁は厚い。価格だ。ストロー1本の値段は、プラスチック製が0.5円なのに対し、横浜産「木のストロー」は50円。林市長は「木の香りがする」「デザインが美しい」「手になじむ」などと精いっぱいのリップサービスを行ったが、お金持ちはいざ知らず、一般の主婦、あるいは主夫が1本50円もするストローを買う気には全然ならないはずだ。いくら環境問題に理解を示しても、懐に余裕はない。これでは勝負にならない。アキュラホームは1本10円を目指しているようだがそれでも高い。
林市長、脱プラを本気で進めるなら、プラスチック製ストローを製造するメーカー、使用する飲食店、スーパーなどに重税を課し、逆に木のストローを使用した店・個人は税の減免をしてはどうか。
わが家はストローなど全く使わないし、外でもストロー付き牛乳や野菜ジュースを飲むのは年に数回しかない。林市長も使ったことがありそうな麦わらストローを復活したら受けるのではないか。使った後は帽子にもなる。木のストローはスギ材もいいが、クスノキもいい。記者はいつも葉っぱをちぎって匂いを嗅ぐ。鎮静剤の役割を果たしてくれる。
わずか7年間でオフィス面積と肩並べる360万㎡開発 三井不のロジスティクス事業
「三井不動産ロジスティクスパーク(MFLP)船橋Ⅱ」
三井不動産は11月5日、ロジスティクス事業説明会を開き、2012年4月の事業参入から開発案件は計画中も含め40物件、総床面積は同社のオフィス事業と同じ約360万㎡にのぼり、累計総投資額は約5,700億円に達すると発表した。
計画総延べ床面積が約70万㎡という「街づくり型ロジスティクスパーク」の旗艦施設「MFLP船橋」では、第Ⅱ期計画「MFLP 船橋Ⅱ」と付帯施設の「MFLP 船橋・&GATE」が2019年10月に竣工。「MFLP 船橋Ⅱ」は免震構造を採用。第一弾の「MFLP 船橋Ⅰ」と外観デザインの統一を図り、72時間の非常用発電設備を備えたほか、施設従業員の満足度向上施策としてラウンジ、スカイデッキ倉庫内全館空調、セキュリティゲート、顔認証システムを採用するなどBCP設備を充実させた。最上階はオフィスフロアにする。
「MFLP 船橋・&GATE」にはカフェテリア、シャワー・更衣室を完備したフィットネスルーム、保育施設(企業主導型)、オープンオフィススペース、レストルーム、トランクルーム・ワイン倉庫機能を備えたストレージサービスなどの機能を整備。入荷から出荷まですべての物流業務フローを自動化した「フルオートメーション物流モデル」を展示する物流ICTショールームも併設する。
「MFLP 船橋Ⅱ」のテナントは8割が決まっており好調なことから、延床面積約268,400㎡の第Ⅲ期計画「MFLP 船橋Ⅲ」を前倒しで開発に着手。「MFLP 船橋Ⅲ」と2021年6月の同時竣工を予定している約20,000㎡の「緑地 空間」には、国際レベルの60m×30mのスケートリンクを併設する。
今回、新たに発表したロジスティクスパーク(MFLP)は「八千代勝田台」「鳥栖」「所沢」「大阪交野」「海老名」の5物件。タイで地元デベロッパーと共同で開発を進めている海外事業第一弾となる案件は2物件合計で敷地面積は約54万㎡、総延べ床面積は約25万㎡、総投資額は約185億円(同社は約半額)となる。2020年に開業する。
記者説明会に臨んだ同社常務執行役員ロジスティクス本部長・三木孝行氏は、事業が順調に伸長していることを受け「『MFLP船橋』は日本一、世界初、これ以上のものはない」とアピールし、「国や各社とも連携を図り、知恵を出し合い、物流から自動運転にトライしていく」などと自動運転にも言及、意欲を見せた。
三木氏
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三木氏は記者説明会で「わたしの話より気合いを入れてつくったムービーを見ていただきたい」とムービーを紹介した場面もあったが、ほとんど約1時間を事業説明と質疑応答に割いた。この間、大成功に終わったラグビーW杯日本大会を意識したわけではないだろうが、〝日本一〟〝世界一〟〝トライ〟などを連発した。ロジスティクスには疎い記者も引き込まれてしまった。
そして何より驚いたのは、2012年に事業に参入してから開発案件の合計延べ床面積は同社のオフィス面積とほぼ同じ360万㎡に上ると説明したことだ。
同社の「霞が関ビル」が竣工したのは1968年だ。それから50年以上かけて実績を積み上げてきたオフィスの延べ床面積と同じ規模をわずか7年で肩を並べるまでに成長させるとは…もう絶句するほかなかった。
三木氏は急速に事業を拡大できた要因として、入札には参加せず相対取引に徹してきたことを上げた。上場会社だけで40社近くある既存ロジスティクス事業者は何をしているのだろうという疑問も新たに沸いた。
「MFLP船橋」計画図
セキュリティゲート付きエントランス
「MFLP 船橋・&GATE」
カフェテリア
◇ ◆ ◇
三木氏の話を聞きながら考えたことがある。建ぺい率、容積率だ。配布された資料に記載されている新規プロジェクトのうち「船橋Ⅱ」「船橋Ⅲ」の容積率は400%と思われるが、それ以外の5物件はすべて200%のはずだ。用途地域は分からないが、おそらくすべて準工業地域のはずで、建ぺい率は60%、容積率は200%ではないかと思われる。
これを緩和してはどうかということだ。もちろん闇雲に規制を緩和するのは問題だろうが、立地条件や計画によってはオフィス、その他の用途利用は十分考えられる。同社の「インダストリアルパーク羽田」のオフィスフロアの天井高は実に5mもあった。
建ぺい率、容積率を緩和すれば、その分地価を押し上げることにもなるのだろうが、賃料を引き下げることにもつながるはずだ。準工での〝住工共存〟〝複合タウン〟もいいのではないかと考えるようになってきた。オフィスやスケートリンクを誘致する同社の〝街づくり型〟ロジステックス事業は倉庫=嫌悪施設という記者の既成概念を根底から覆す。
東京都の場合、準工地域の建ぺい率、容積率はそれぞれ原則として60%、200%としているが、土地の利用状況や都市型工業などの育成を図るべき区域は建ぺい率、容積率は最大それぞれ80%、500%にすることができるとしている。
オープンオフィススペース
フィットネスルーム
大和ハウス芳井社長「これほど心がこもった祝詞聞いたことがない」祝詞全文紹介
芳井社長がいたく感動した祝詞(部分)
既報のように、大和ハウス工業は10月29日、横浜市栄区の「上郷ネオポリス」で建設を進めてきたコンビニ併設型コミュニティ施設「野七里(のしちり)テラス」が完成したのに伴うオープニングセレモニーを実施したが、同社・芳井敬一社長が「(竣工式の)これほど心がこもった祝詞は聞いたことがない」と語った。
好奇心が旺盛でかつへそ曲がりの記者は、この言葉に素早く反応した。祝詞はこれまでも取材先で何回か聞いているが、そもそも〝神様 仏様 稲尾様〟とすがったこともあるが、〝どこに神や仏がいるのか〟と呪ったことも一度や二度ではなく、つまり神や仏など信じていないし、あの間延びし勿体ぶった「かしこみ かしこみ もうす」の詞は実に退屈でほとんど意味が分からず、だしぬけに「だ・い・わ・は・う・す・こ・う・ぎ・ょ・う・か・ぶ・し・き・が・い・し・ゃ・だ・い・ひ・ょ・う・と・り・し・ま・り・や・く・し・ゃ・ち・ょ・う・よ・し・い・け・い・い・ち・ど・の…」などと企業名やらの現(うつつ)が延々と述べられるのに違和感を覚えるのだが、数えきれないほどの祝詞を聞いているはずの芳井社長がいたく感動された祝詞とはどんな内容なのか、古酒のような味わい深い古典のようなものか知りたくなり、同社広報にお願いし、神主様からも了解を得て、全文を送ってもらった。
それを1時間かけてワードに書き写した。文字数にして1,000字強。そのまま紹介しても記者本人も読者のみなさんもちんぷんかんぷんだろうから、さらに2時間くらいかけて記者なりの解釈を( )書きで加えた。間違っていたらごめんなさいと謝るほかない。
さて、芳井社長はどこの部分に感動されたのか、これがまた分からない。当たり前だ。数えるほどしか経験しておらず、意味もろくに分からない、つまり馬の耳に念仏の記者に神の声が届くわけがないということをいまようやく分かった。何だか3時間もかけたのが徒労だったような気がしてきたが、一人でも二人でもこの祝詞を読まれて芳井社長のように感動される業界の人がいれば神主様のご厚意も同社広報担当者の努力も報われる。みなさん、どうか最後まで以下の祝詞を読んで頂くよう恐み恐み白す(か・し・こ・み・ か・し・こ・み・も・う・す)。
芳井社長
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祝詞(のりと 祭事に神道にのっとり神様に仕える神主が神様にささげる言葉・歌)
打見せる(接頭語か。ちょっと見たところ)物皆清く美しく装(よそおい)成れる是の野七里(のしちり)テラス新築工事(たくみのわざ)の広庭(美化語。おダイコンと一緒。実際は広庭と呼べるか微妙)の真中を厳(おごそか)の斎竹(いみたけ)注連縄(しめなわ)引廻らし刺立て(葉のついた青竹にしめ縄を張り、四方に張り巡らす)招ぎ奉る掛巻も綾に畏き(かしこき 畏れ多き様子)屋船二柱大神(やふねふたはしらおおかみ)袚戸四柱大神(はらえどのしちゅうのおおかみ)大地主大神(おおとこぬしのおおかみ)産土大神(うぶしなのおおかみ)と称え奉る思金(おもいかね)神社に鎮り奉り坐す八意(やごころ)思金大神下照姫神(したてるひめかみ 女神)等大前(おおさき 神や天皇の前を敬っていう語)宮司(ぐうし 神職)恐み恐み(かしこみかしこみ 謹んで)も白さく(もうさく 言う)現代の進み行く隋々(すみずみ)に社会の人等生活の状態(さま)も千々(ちぢ)に変わりつつ万に移り行くに伴い是の横浜栄区野七里に便利宜しき上郷ネオポリスの町作りの一還(一環の誤りか)として清き赤き(清き明きとも書く 清きさま)真心こめて奉仕の誠を尽し如何にしても実現せねばならぬと一念発起し上郷ネオポリス自治会・上郷ネオポリス町作り委員会が仲執(なかとり)持ちて関係ふ(かかずらう)諸人等深く思いを凝(めぐら)して相議(あいはか)りて其の甲斐(かい)在りて此の処に工事の鍬(くわ)を入れしは去(すぐ)る令和元年五月二十七日の事とは在りぬこれの町作は年号も変りし発(はじ)めの年五ケ月の間(ほど)にて大神等の甚(いと)も尊き御神徳(みいず)を蒙(こう)ふりて滞り事なく過つ事なくメーン(メイン)テナントなる施工主大和ハウス工業㈱代表取締役社長芳井敬一位(この位は名前の後についているが、「殿」とでもいうのか) 株式会社ローソン執行役員開発本部長千尋俊彦氏位 大和リビング㈱代表取締役社長明石昌位 山岸建設㈱代表取締役社長山岸邦太郎位 ピースアーキテクツ代表取締役浦野幸一位 上郷ネオポリス自治会の長家成栄子位 上郷ネオポリスまち作り委員会座長吉井信幸位 等を始め万の装(よそおい)設計(もくろみ)の如く今日はしも工匠等が巧に残し隈なく美しく造り竟(を)へぬるを以て歳の中に八十日日(やそかび) 多くの日。生まれて80日の赤ちゃんではない)は有れども今日を生日(いくひ)の足日(たるひ いい日のこと)と選び定める新室祝(ほがい)の御祭(みまつり)仕(つかえ)奉(まつ)らむを思もへば日の本の国は古しゆ(この「ゆ」の意味が分からないのだが、「田子の浦ゆ」と同じで、「古くから」の意味か)親は子の為子は親の為に結ぶ心の一筋に清く明るく人の心を思いやり生かさる生命の尊さを忠実にかしずき人の人たる道を厳しく受け継ぎ守り来たる時のうつろいに伴いて家族の在り方等が変りて縁(ゆか)りある人々ややかそけき(認知症など加齢現象が現れた)翁媼(おきなおうな 爺さんばあさん)の人等弥増し(いやまし 益々)加わる現(うつし)の状を見るに付けて聞くに付け此の良き甘し所(あましところ いいところ)に野七里テラスが竣工し住み良い町作り培(つちか)いて喜びて豊かなる心根をもちて集う上郷ネオポリス自治会まちづくり委員会の町民等が睦(むつ)び和(なご)みて病む事を忘れ嬉々(れいれい)遊びたわむれつつ優れたる世に成さしめ給い大前に御食(けみ)御酒(みき)海川山野(うみかわやまの)の種々珍物を弥益に沢々(つやつや 色とりどり)に置足らはしめて拝み仕(つかえ)奉らしめて給いて今日より往先築き建てたる柱の底つ磐根(そこついわね 地の底にある岩盤)堅く厳(いか)しく動く事なく取葺ける甍(いらか)のさやぎなく地震(なぬ)加具土(かぐつち 火の神様)の荒(災難のことか)が在らしめ給わず千代に八千代に守り幸へ給いて其の野七里テラス新築工事は晩秋の良き日(この日10月29日は大安)を頂いてみそぎの雨の中(この日はセレモニーの間ずっと雨が降っていたが、神様はそれを禊ぎの雨と捉えるようだ。なるほど)心穏やかに咲く黄菊花(ネットで調べても中国語しか出てこない。ひよっとしたら金木犀か)の梢に集う百鳥(ももとり 多くの鳥)のい群(一群か)如す(ごとしか)人々に賑いつつ行末ながく立榮へしめ給へと宇自物頸根突抜きて(うじものうなねつきぬきて 深くお辞儀をする様)恐み恐み(かしこみかとしこみ)も乞祷(こいのみ)奉(たてまつ)らむと白す(もうす)
皇紀二千六百七十九年十月二十九日(神武天皇即位の年を元年とする紀年法。西暦に660年を加える)
郊外住宅団地の再生モデルへ 大和ハウス「上郷ネオポリス」コミュニティ施設完成(2019/10/30)
時代に逆行・退行する建売住宅 プレ協「エコアクション2020」調査で浮き彫り
プレハブ建築協会は10月29日、環境行動計画「エコアクション2020」の2018年度実績を発表し、大手ハウスメーカー8社の注文住宅のZEH供給比率は51.4%となり、国の掲げる目標を2年先行して達成したと報告した。
調査は、同協会が設置している20社からなる住宅部会のうち供給シェアが高い大手メーカーなど8社で構成されている環境分科会の供給戸数を対象にしたもの。
この結果、8社が2018年度に供給した戸建て注文住宅49,663戸(前年度比6.9%減)のうちZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)供給比率は51.4%(前年度比14.3ポイント増)となり、「2020年度までに過半数」という国の掲げる目標を2年先行して達成した。同協会は「2020年度までにZEH供給比率70%」を掲げている。
このほか、太陽光発電システムを設置する戸建て住宅の供給率は、買い取り価格の低下などの影響を受けつつ、ZEH住宅の普及に伴い59.7%(前年度比3.8ポイント増)と4年ぶりに上昇した。
「エコアクション2020」は、「低炭素社会の構築」「循環型社会の構築」「自然共生社会の構築」「化学物質の削減」「良好なまちなみ形成」の5つを柱に掲げている。
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ZEH供給率が高まっているのは結構なことだ。だが、しかし、他方では時代の流れに逆行・退行している憂慮すべき事態が進行していることも明らかになった。
同協会は、住宅地の緑化を推進するため、敷地面積の40%以上を緑化した建売住宅の供給比率を2020年度までに50%に引き上げる目標を掲げている。2012年度では、会員各社が分譲した建売住宅4,654戸のうち1,935戸、41.6%がこの目標をクリアしていた。
ところが、2018年実績では前年度比8.5ポイント減の22.1%しか達成できなかったことが報告された。
全体の供給戸数は報告されなかったが、建売住宅市場は一部の〝ガリバー企業〟が供給シェアを高める一方で、大手デベロッパーやハウスメーカーはシェアを伸ばせていないと思われるので、2012年度と同じかそれより減少しているものと予想される。(2012年度の全国の建売住宅の着工戸数は125,694戸で、2018年度は138,394戸)
これは何を意味するか。やや乱暴だが、仮に、緑化率が高い住宅を質の高い建売住宅とするならば、〝ガリバー企業〟が供給する建売住宅の緑化率は限りなくゼロに近く(ZEHも同様)、他の大手・中小のデベロッパー、ハウスメーカーの緑化率も高くないことが予想されるので、明らかに良質な建売住宅は減少傾向あると断言できる。
記者は、嫌な気分にさせられるのでもう見なくなったが、一般的な建売住宅を見ていただきたい。もはや〝ミニ開発〟〝猫の額の庭〟は死語と化した-みんなミニになり、庭などなくなったから、敢えてそう呼ぶ意味もなくなった-。敷地はコンクリで固められ、ぺんぺん草も生えない〝長屋〟のような建売りがシロアリのように増殖し、せっせせっせと地球温暖化に〝貢献〟している。
先日、ある建売住宅を見学した。緑が全くないので「これはいかがなものか」と聞いたら、「(コンクリを)剥がせば木は植えられる」との答えが返ってきた。分譲価格は間違いなく安かった。これを甘受(あるいは享受)する消費者がいることも言わなければならない。
ナイス 免震「新横浜」 好調スタート 第一期35戸完売へ
「ノブレス新横浜エスアリーナ」完成予想図
ナイスの好調免震マンション「ノブレス新横浜エスアリーナ」を見学した。全83戸のうち第一期として35戸を10月26日に分譲した結果、32戸に申し込みが入り、今週末までに全戸に申し込みが入るメドがついたようだ。
物件は、JR横浜線・東海道新幹線新横浜駅から徒歩8分、横浜市港北区新横浜1丁目の商業地域に位置する15階建て全83戸。第一期(35戸)の専有面積は42.29~72.00㎡、価格は3,360万~6,400万円。坪単価は270万円。入居予定は2021年3月下旬。施工は合田工務店。10月26日抽選分譲の結果、32戸に申し込みが入った。
現地は、2方道路の角地。商業地域立地だが、嫌悪施設などはほとんどないビルやマンション化が進んでいるエリアの一角。
「新横浜北部地区街づくり協議指針」と「横浜市市街地環境設計制度」に基づき①歩道状公開空地の連続性②にぎわいの創出③地域防災への協力を開発コンセプトにしているのが特徴。
建物は免震構造を採用。住戸は南東向きが4戸、北西向きが2戸の1フロア6戸構成。北西向きの1スパン42㎡以外はファミリータイプ。同社物件の特徴の一つでもある70㎡台の4LDKタイプ2スパン用意している。
販売担当の同社マンション事業部・山本貴之氏は「極めて好調。免震と立地が評価されている」と話している。
モデルルーム
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坪単価はほぼ予想通り。免震の価値を考慮すれば割安か。マンション適地の上昇、建築費の高騰で最近は免震マンションがどんどん減っている。にもかかわらず、同社は愚直に免震を貫いている。歩道状公開空地の確保や地域の防災施設も整備しているのもいい。
欲を言えばもう少し設備仕様レベルを上げてほしかったが、単価からして第一次取得層の限界だ。