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 キッズデザイン協議会は8月23日、子どもの安全・安心と健やかな成長発達に役立つ優れた製品・空間・サービス・研究活動などを顕彰する「第13回キッズデザイン賞」受賞作品264点を発表した。

 住宅・不動産業界からは、アキュラホーム・国産間伐材の木のストローAQURAS、旭化成ホームズ・家族の成長に、変化できる賃貸住宅「free㎡(フリームス)」、一条工務店・花粉ジェット(他に2作品)、積水ハウス他・江古田の杜(他に5作品)、中央住宅・車の出し入れ まもるんスペース、パナソニック ホームズ他・まなび、あそび、そだつ家「こどもっと」、ミサワホーム・IoTライフサービス「LinkGates(リンクゲイツ)」、森ビル・ARK HILLS KIDS COMMUNITY GREEN WORKSHOP(他に1作品)など。

 各大臣賞などの優秀作品は9月25日に発表される。

 日本政府観光局(JNTO) は8月21日、2019年7月の訪日外客数は前年同月比5.6%増の約299万人で、前年同月比5.6%増加し、単月として過去最高を記録し、1~7月でも約1,962万人で、前年同期比4.8%増加したと発表した。

 一方で、韓国からの訪日客は前年同月比7.6%減の約56万人で、1~7月の合計でも約442万人で、前年同期比4.3%減少している。

 その理由をJNTOは「韓中関係の改善による中国への渡航需要の回復や旅行先としてベトナムが人気になるなど海外渡航先が多様化していること、韓国経済の低迷に加えて、最近の日韓情勢もあり、訪日旅行を控える動きが発生し、訪日者数は前年同月を下回った」としている。

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 7.6%減が多いのか少ないのかよく分からないが、政治に振り回されないで仲良くすべきと考えている記者にとっては気になる結果だ。

ただ、救われるのは、韓国観光公社の調査によると、日本から韓国への今年7月の入国者数は274,830人で、昨年同月の230,512人より19.2%増加していることだ。

7月のわが国からの出国者数の伸び率は6.5%増だから、これと比べても日韓関係の悪化はそれほど影響していないのかもしれない。メディアも大本営発表記事ばかり書かないで、逆のあるいは裏側からの視点でものを観ることが必要ではないか。

 

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「シティタワー大阪本町」完成予想図

 住友不動産は8月22日、単独事業者が大阪市で分譲するマンションとしては最大の全855戸の免震マンション「シティタワー大阪本町」のメディア発表・内覧会を行った。スーパーゼネコン・清水建設の施工で、天井高を2600ミリ確保し、窓にLow-Eガラスを採用するなどレベルの高いマンションだと思った。

 物件は、Osaka Metro御堂筋線・中央線・四つ橋「本町」駅から徒歩5分、大阪市中央区備後町二丁目に位置する48階建て全855戸。専有面積は約37~120㎡、価格は未定。竣工予定は2021年11月中旬。設計・施工は清水建設。第一期の販売開始は2019年12月上旬。これまで2,000件以上の反響があり、モデルルーム来場予約は満席。

 現地は「船場都心居住促進地区」に指定されており、2020年の人口予測が約10.4万人で、2005年実績の約6.7万人より56%も増加すると予測されている区内でもっとも人口が増加しているエリアの一角。建ぺい率100%、容積率600%の四方接道の商業地域立地だが、総合設計制度の適用を受け、容積率は1000%に緩和されている。

 物件の戸数は、積水ハウス他「グランドメゾン新梅田タワーTHE CLUB RESIDENCE」の871戸、三菱地所他「ザ・パークハウス 中之島タワー」の894戸には及ばないが、単独事業としては市内最大。

 主な基本性能・設備仕様は、免震工法、二重床・二重天井、リビング天井高2600ミリ、御影石キッチンカウンター、ディスポーザ―、食洗機、ミストサウナ、Low-Eガラス、約8割を占める2・3LDKはワイドスパン(モデルルームタイプは約75㎡で10m超)など。

 同社住宅分譲事業本部 近畿事業部長・横田健二氏は、今回の物件のほか、ホテルとの複合賃貸マンション「梅田曽根崎計画」(住宅836戸・ホテル202室、2022年竣工予定)、区域面積約35,000㎡の「神戸新港突堤西地区」(マンション700戸含む複合再開発)などの大規模プロジェクトについて触れ、「梅田曽根崎計画」では大阪初の高級賃貸ブランド「ラ・トゥール」となること、ホテルは「ヴィラフォンテーヌ」となることを明らかにした。

足 元のマンション市況については、「ワンルームの供給が減少しているが、当社が展開するファミリーは順調。『大阪本町』はJVを組むより単独のほうがリスクはむしろ少ない。価格はお客さまと相談なので公表できない」と話した。

 関係者によると周辺物件は軒並み坪300万円を突破してきており、同社の物件も300万円を突破するのはほぼ間違いない。

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スカイアトリウム

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横田氏(「RBA野球に一度参加したことがある」と話したので調べた。2008年だから41歳のときか。代打で出場しそのままレフトを守った。0-0-0だから四球でも選んだか、出塁率は10割。この日の会見を取り仕切った広報担当のS氏も代打で出場し、三振だったとか。試合は惨敗。記事参照)

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 地方のマンション市場はよく分からないが、それでもランドマークとなるような物件はこの2~3年間で10物件は取材している。首都圏物件と比較してレベルも分かってきた。

 同社の大阪圏では、「シティテラス千里桃山台」を昨年見ており、レベルの高さに驚いたのだが、今回の「大阪本町」も首都圏のタワーマンションと比較してもそん色ないレベルだと思う。

 価格・売れ行きは分からないが、「グランドメゾン新梅田タワーTHE CLUB RESIDENCE」は第一期として坪340万円で400戸供給し、好調なスタートを切ったと聞いたので、同社も強気な価格設定をするのではないか。用地取得は6年前だそうだから、価格高騰が顕著になる前ではないか。

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 「梅田曽根崎計画」はホテルとの複合開発になる。マンションとホテルの複合はありそうでない。記者が取材したことがあるのは東急不動産他「ブランズ横濱馬車道レジデンシャル」と、野村不動産「プラウド恵比寿ヒルサイドガーデン」くらいしかない。

 ネットで調べたら、東急不動産の「ブランズ大阪本町」(分譲マンション98戸、ホテル259室)と、安田不動産「HAMACHO HOTEL&APARTMENTS」(賃貸マンション108戸、ホテル170室)もそのようだ。横田氏によると天王寺(「あべのnini」)がそうだという。

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モデルルーム

坪単価270万円に納得 梅田に16分の近さ 住友不動産「シティテラス千里桃山台」(2018/10/9)

「商住共存」の適用を受けた東急不動産他「ブランズ横濱馬車道レジデンシャル」(2013/8/27)

ケンコーポ圧勝 5回まで大量10点 新人小笠原が好投 住友不動産は惨敗(2008/4/16)

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「三井ガーデンホテル京都駅前」

 三井不動産と三井不動産ホテルマネジメントは8月21日、京都市内の〝三井ガーデンホテル〟シリーズ4施設目となる「三井ガーデンホテル京都駅前」のプレス内覧会・特別試泊会を行った。ホテルは8月29日に開業する。

 施設は、JR京都駅(中央口)から徒歩3分、京都市下京区東塩小路町に位置する地下1階・地上10階建て全136室。客室はダブル37室(約21㎡)・ツイン90室(約21㎡)・トリプル9室(約27㎡)。宿泊料金は2人利用で約4.2万円~。

 京都駅に近い立地を生かし、京都市内の既存ホテル「京都新町 別館」「京都三条」「京都四条」と連携し、ホテル間で荷物を運ぶ新サービス「バゲージサービス」の拠点にする。料金は一個の荷物につき300円。既存ホテル利用者は地下1階のラウンジ・レストランも利用できる。

 「茶の心と京の美を五感でご堪能いただけるホテル」をコンセプトに、共用部や客室の随所に茶の世界観やわが国の伝統技術が体感できるオブジェ、アートを配置。トリプルルームはグループやファミリーでの利用が可能。1年間限定で、京友禅とデニムが融合した「京都デニムの間」と、2020年に創業300年を迎える生地「丹後ちりめん」を用いた「丹後ちりめんの間」をそれぞれ1室用意している。

 総支配人・景山敬之氏は「京都の玄関口の立地を生かし、初めてバゲージサービスを導入し、ホテルコンセプトにふさわしいアイテム、アートを盛り込んで差別化を図り、付加価値の高い施設に仕上げた」と話した。ADR(平均客室単価)は2万円弱を想定している。

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フロント・ロビー

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フロントカウンター

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「丹後ちりめんの間」

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「京都デニムの間」

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 試泊は予定していなかったが、取材の翌日(22日)に住友不動産が大阪の大規模マンションの記者発表を行うので、事情を話したら、快く試泊させてもらうことになった。お礼の代わりにこのホテルのいいところを紹介する。

 何がいいかといえば、組子デザインのフロントカウンターだ。帝つなぎと呼ばれる胡麻、サクラ、麻の3つの文様を繋ぎ合わせたもので、木片も色を変えているので、見る角度によって濃淡がつくように工夫されている。記者はしばし見とれた。

 客室では、「丹後ちりめんの間」が素敵だ。担当者は「女性向き」と説明したが、これは若いカップルや熟年夫婦にもお勧めだ。〝非日常〟を満喫できることを保障する。かつてはこの緋色ちりめんは日常にあった。

 「京都デニムの間」は、「侘び寂び」を堪能したい人にはいいかもしれない。昭和レトロな雰囲気がある障子の前に女性が立てば竹久夢二の世界に引きずり込まれるのではないか。

 記者が泊めてもらった客室は約21㎡のダブル。放映されていた野球中継で西武が快勝したのを見届けて、飲み直しに出かけた駅前のチェーン店が最悪。〝おもてなし〟のかけらもなかった。齢70の記者が悪態をつきながら独り寂しく輾転反側する図を想像していただきたい。

 だが、しかし、電気をつけたまま寝たおかげで、障子に映し出された幽玄な世界を何度も体験することができた。客室は茶室をイメージしたもので、窓はきれいな借景が望めないので閉め切られており、さらにブラインドによって光を遮断し、天井に埋め込んだライトで円相をあしらった円窓を照らすとぽっかりと円い月が浮かび上がるという仕掛けだ。これは外からの視線や日射が気になるマンションにも応用できる。難点を利点に転化できるスグレモノだ。

 シャンプーがまたいい。泡立ちがよく、アロマの香りが心地よい。ラベルには「花王レアーナ」とあった。業務用のようだ。帰宅してかみさんに話したらせせら笑った。「何よ、あなたのシャンプーは1,000円くらいだけど、わたしのは数千円」…処女の香りがする「牛乳石鹸」が懐かしい。

 プレス内覧会・特別試泊会に詰めかけた方は圧倒的に女性が多かった。その方々がどう感じたかは皆目見当がつかない。

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円相をあしらった円窓

宿泊・飲食サービス業向け建築物激増 あおり受けマンションは過去10年で最少 京都府(2019/8/20)

三井不 「ホテル ザ セレスティン京都祇園」開業 〝日本一の朝食〟メニュー(2017/8/29)

 

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 平成30年の観光消費額1兆3,082億円、外国人宿泊客数450万人、宿泊客数1,582万人とも過去最高を記録した京都人気を反映して、府内の宿泊業・飲食サービス業向け建築物の着工が激増し、ホテルなどに用地を奪われたためか分譲マンションの着工が激減している。

 国土交通省の建築着工統計によると、平成30年度の京都府での宿泊業・飲食サービス業向け建築物の着工件数は322件で、前年の310件を上回り、平成27年度の実に4.2倍となった。全体の延べ床面積約36.5万㎡、工事予定額約1,092億円とも前年を上回り、平成27年のそれぞれ9.8倍、11.5倍となった。

 延床面積、工事予定額は東京都のそれぞれ約59.1万㎡、約2,694億円には及ばないが、大阪府のそれぞれ33.5万㎡、約1,035億円を上回っている。

 そのあおりを受けた格好が分譲マンションだ。京都府の平成30年の着工戸数は1,055戸となり、前年の1,328戸より20.5%減少し、過去10年で最多だった平成27年の3,329戸のほぼ3分の1に激減。過去10年間で最少となった。

 激減した要因は、適地がホテルなどに奪われていることは明らかだ。昨年、京都の取材でタクシーに乗ったとき、運転手さんが「マンション? もうあきまへんわ。ホテルに勝てない」と話したくらいだから、マンションデベロッパーは全然歯が立たないのだろう。

 デベロッパーは京都で土地を仕入れられないためか、大阪にシフトしているようで、大阪府の平成30年のマンション着工戸数は19,732戸となり、平成27年より34.0%増加している。

 記者は、京都駅近でマンションを分譲したら坪1,000万円でも売れると思うがどうだろう。

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 最近、「狭小住宅」について二度記事を書いた。今回で三度目だが、かなり問題点が明らかになってきた。

 別表は、8月19日現在、住宅情報サイト「SUUMO(スーモ)新築一戸建て」に掲載されている東京都全体に占める「敷地面積が60㎡未満」の戸数比率を見たものだ。

 それによると、全体で15,790戸あるうち敷地面積が60㎡未満の戸数は1,656戸で比率は10.5%だ。23区に限ると全体の20.2%に当たる1,536戸が60㎡未満だ。相対的に地価が高い都心部などは5割を突破している。

 そもそも「狭小住宅」の定義はないし、敷地面積が60㎡未満の住宅を「狭小住宅」と呼ぶのが適当かどうかわからないが、「SUUMO(スーモ)」には「60㎡未満」より狭い敷地面積の括りはないので、便宜的に敷地面積が60㎡未満の住宅を「狭小住宅」と呼ぶことにする。

 全体の2割が「狭小住宅」という数字をどう評価するか、記者は判断材料を持たないが、仮に多いとすれば、増加の最大の要因は2001年から始まった「官から民へ」の小泉構造改革に尽きる。

 そのあたりの経緯について少し触れたい。1987年の木造3階建ての解禁により都心部でのミニ開発に拍車がかかったのだが、一方で当時の住宅金融公庫融資には100㎡以上という敷地面積要件があり、都市銀行なども公庫にならって100㎡以上という要件を付していた。

 ところが、バブル崩壊によるリスク管理債権比率の悪化批判(当時は4~5%と記憶しているが、他の金融機関と比較して全然高くなかった)、民業圧迫批判などを受け、2004年にスタートした「フラット35」では面積要件を撤廃した。そして、2007年に同公庫は廃止され、業務は住宅金融支援機構に引き継がれ、一般融資もなくなった。

 現在、金融機関の住宅ローンの面積要件はどうなっているか。みずほ銀行と三菱UFJ銀行は「敷地面積40㎡以上」で、三井住友銀行は面積要件を定めず個別審査するとのことだった。ARUHIは特に定めておらず、フラット35と同じ床面積70㎡以上としている。

 このように、住宅融資に関する面積要件の緩和が「狭小住宅」を増やした最大の要因であるのは明らかだ。

 話を最初に戻す。「SUUMO(スーモ)」の15,790戸という全掲載物件戸数について。東京都の平成30年の住宅着工戸数は19,512戸だ。これと比べても「SUUMO(スーモ)」の物件捕捉率は驚異的だ。マンションもそうだろうが、「SUUMO(スーモ)」は分譲戸建てのあらゆるデータを握っている。

◇       ◆     ◇

 興味深いのは練馬区、杉並区、目黒区、中野区の4区の「狭小住宅」比率が10%を割っていることだ。とくに練馬区は掲載物件が1,255戸と23区でもっとも多いにもかかわらず「狭小住宅」比率はわずか1.9%、24戸しかない。

 なぜか。練馬区は平成20年3月7日付で、建築物の敷地面積の最低限度について建ぺい率が30%の地域では110㎡、60%の地域では75㎡、80%の地域では70㎡と定めた都市計画を決定している。指定の目的として、著しく小さい敷地の供給に歯止めをかけることと、住環境や居住面積の最低水準を確保することを上げている。

 この都市計画決定が、他区と比べて極端に「狭小住宅」比率が小さい理由であるのは間違いない。同様に「狭小住宅」の割合が小さい杉並区は平成16年、建ぺい率60%の地域の最低敷地面積を60㎡に、目黒区も平成16年に建ぺい率が60%の第一種低層住居専用地域では最低70㎡と定めている。

 「狭小住宅」比率が50%を超えている港区、新宿区、文京区、品川区、台東区などは最低面積要件を定めていない。

足立区150㎡以上の宅地開発の1宅地最低敷地66㎡に10月に条例施行(2019/7/16)

都心部で増殖する「狭小住宅」とは何か 「居住の自由」か居住環境の保護か(2019/7/7)

 先日(8月13日)、「HARUMI FLAG」の消費税額を探る取材は空振りに終わったことを書いた際に、標準的な住戸の価格とその面積、消費税額を教えてもらうよう物件のPR事務局宛てにメールを送ったが、その回答が昨日あった。

 回答は「デベロッパー側とも協議の結果、消費税額は、事業計画に関連するため未公表とさせて頂きますが、所定のルールに則り、適正に設定させて頂いております」とのことだった。

 この回答は想定内だ。事業者は分譲住宅の消費税額を第三者に公表する義務はない。事業者側から聞けないと判断したので、炎天下に2時間半も立ちっぱなしで、購入者から聞き出そうと突撃取材を敢行したのだ。

 なので、これ以上書かないが、消費税額がいくらか明らかになるのは時間の問題だ。国土交通省「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」には、消費税について次のようにあるからだ。購入者がネットなどに公表して、額の妥当性などを論じてほしい。

 「消費税相当額の扱いについて(宅建業)法第32条、第38条、第39条、第41条及び第41条の2等の規定の適用に当たっては、売買、賃借等につき課されるべき消費税等相当額については、『代金、借賃等の対価の額』の一部に含まれるものとして取り扱うものとする。(中略)宅地建物取引業者は、契約を締結したときは、遅滞なく、『代金の額』又は『借賃の額』を記載した書面を交付しなければならないこととされているが、消費税等相当額は、代金、借賃等の額の一部となるものであり、かつ、代金、借賃に係る重要な事項に該当するので、『代金の額』又は『借賃の額』の記載に当たっては、『当該売買、貸借等につき課されるべき消費税等相当額』を明記することとなる。(中略)なお、譲渡、賃貸等に課されるべき消費税等相当額は、法第47条第1号の重要な事項に該当することとなるので、宅地若しくは建物の売買、交換又は貸借の各当事者に対して故意に事実を告げず、又は不実のことを告げた場合には、法第47条違反となる」

 つまり、消費税額は、重要事項説明書にその額を明記し、契約の当事者(購入者)に説明しなければならない。

 消費税額の算定に当たっては、前回書いた通り、①土地価格と建物価格を時価で按分する②相続税評価額、固定資産評価額を基とする③土地、建物の原価を基にする-3手法が示されている。

 東京オリンピック・パラリンピックの選手村に利用されるという特殊要件を考慮し、「開発法」を採用することで地価公示の10分の1以下の値段で都は事業者に「HARUMI FLAG」の土地を売却したのであるから、消費税もまたこの土地と建物の原価を基に算定すべきと考えるがどうだろう。

「HARUMI FLAG」の消費税額はいくら 突撃取材敢行 残念ながら空振り(2019/8/13)

 

 

 

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HARUMI FLAG」全体像

HARUMI FLAG」の消費税額(土地価格と建物価格)を知るべく、812日、突撃取材を敢行し、マンションパビリオンに出かけたが空振りに終わった。

この日はキャンセル住戸の再登録と申込者の契約会が行なわれており、門外で待ち構え、出てくる人に片っ端から聞けばわかると踏んだのが甘かった。

13:30から16:00まで、パビリオンの前の街路樹の木陰に汗みずくになって身を潜め待ち構えること2時間半。1時間に10組くらいの出入りはあったが、ほとんどの人は車かタクシー、バイク利用で、来場者から話が聞けたのは数組しかなかった。そのすべての人が「分からない」「他の人に聞いて」などとつれない返事ばかりだった。

これはダメだとあきらめ、パビリオンの方にダメもとで聞いたが、「PR事務局で聞いて」と予想通りの答えしか返ってこなかった。

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 それでも収穫はあった。2組の中国人の方から話が聞けた。

 日本に来てから7年という33歳の男性会社経営者は、「303㎡の12,300万円(坪単価394万円)を購入した。上海や北京のマンションよりはるかに安い。消費税? 10%。額? 分からない。今日は申し込みだけだ。そんな話出なかった。契約は後日」と話した。消費税額だけで少なく見積もっても数百万円はするのに何と鷹揚なことか。

 もう一組の夫が工場長という40代と思われる主婦。「6,000万円くらいのを申し込みましたが外れた。上海のたいしたことないマンション持っていますが、それでも1億円。ここ(HARUMI)は安い。消費税? トータルで考えるからあまり考えない。中国の人がたくさん買っているようですが、みんな投資です。RBA? 聞いたことない。悪いこと書くんでしょ」と言われたので、「いえいえ、わたしほど正確で公平な記事を書く記者はいません」と返した。

 このほか、3組の日本人に話しかけたが、「分からない」などと取り合ってもらえなかった。

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国税庁は、譲渡代金を非課税の土地価格と課税対象の建物価格に按分する場合、次の手法により合理的に区分することを求めている。

①譲渡時における土地及び建物のそれぞれの時価の比率による按分

②相続税評価額や固定資産税評価額を基にした按分

③土地、建物の原価(取得費、造成費、一般管理費・販売費など)を基にした按分

一方で、「建物と土地を一括譲渡した場合に、租税特別措置法に規定する法人税の土地の譲渡等に係る課税の特例の計算における取扱いによって建物と土地の価格を区分しているときには、消費税の計算においてもその区分したところによらなければなりません(基通1015)」とあるが、残念ながら記者は意味が分からない。

 ①から③では、①の場合は消費税額少なくなり、③は逆にとてつもなく高額になり、②はその中間になるはずだ。

 参考までに。記者が3年前に「坪単価は250万円」と予想したのは次のように計算したからだ。

 土地代は、容積率400%と仮定して一種8万円/坪。建物はどんな立派なものでも150万円/坪。共用部分は充実するだろうから有効率(レンタブル比率)を80%(実際はもっと低いかもしれない)とすると、150÷0.8188万円が工事費。これに経費、利益など30%上乗せし、土地代8万円を加算すると約250万円になる。

 東京都と事業者は、当初事業計画より1%以上の売り上げ増となった場合は、契約に基づき「著しい利益増加」と判断し、利益を折半するとしている。記者はその分岐点は坪250万円と今でも信じている。折半は都民の理解を得られるか。「利益増加分すべてを都に戻すべき」という声も出てくるのは必至だ。

HARUMI FLAG」の第1600戸 平均2.6倍で即日完売(2019/8/7

HARUMI FLAG」「著しく利益増」の「著しく」とは当初売上計画の1%(2019/7/30

「官民癒着」と原告 「誹謗中傷」と被告応酬 6 選手村住民訴訟 口頭弁論(2019/5/18

「晴海」坪250万円予想の根拠 「週刊文春」も裏付け 当初単価は244万円と報道(2019/5/10 

文句なしにいい 街づくり・基本性能 坪単価280万円か 「HARUMI FLAG」(2019/4/24

東京2020オリ・パラ選手村 敷地売却価格は地価公示の10分の1以下の〝怪〟(2016/8/4

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「本郷センターハイツ建替え事業」

 関電不動産開発、野村不動産、長谷工不動産の3社は8月7日、名古屋市初の民間による分譲マンション建替え「本郷センターハイツ建替え事業」がスタートしたと発表。

 「本郷センターハイツ建替え事業」は、昭和52年に建築された地上10階建ての商業施設と38戸の住宅を商業施設と住宅94戸に建て替える事業。「建物の区分所有等に関する法律」(区分所有法)62条に基づく建て替え決議を用いた民間マンションとしては名古屋市初となる。

 事業は、地下鉄東山線「本郷」駅前の顔として機能していたが、築後42年が経過し、建物・設備・施設の物理的・機能的な老朽化が進んでいたことから2014 年8月、建て替えを含めた将来計画の検討コンサルタントとして長谷工コーポレーションが支援し、2015年5月、管理組合による「建替え推進決議」が可決。その後2018年5月、関電不動産開発が店舗部分の区分所有権を買い取り、2018年8月、建て替え決議が可決され、事業パートナーとして野村不動産、長谷工不動産が選定された。

 建て替え後は地上15階建て延べ床面積約10,279㎡の1階部分が商業施設と2階以上が94戸の住宅からなる建物となる。設計・施工は長谷工コーポレーション。竣工予定は2022年11月。

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「(仮称)与野大戸住宅第一マンション建替計画」

 大和ハウス工業は8月9日、同社が参加組合員になっている与野大戸住宅第一マンション建替組合「(仮称)与野大戸住宅第一マンション建替計画」の本体工事を7月末に着手したと発表した。

 従前のマンションは旧耐震の築46年の5階建て2棟60戸。耐震性の問題のほか、設備・建物の老朽化、間取りの陳腐化、エレベータのない不便さ、空き家率の増加などの課題を抱えていたため、2009年9月、「住宅対策委員会」を発足。22012年7月、大和ハウス工業と長谷工コーポレーションが事業協力者に選定され、建て替え計画がスタートしたが、2014年5月、建て替え決議が否決される。その後、建て替え推進派の努力により2017年10月、円滑化法により建て替えが決議された。

 物件は、JR京浜東北線北浦和駅から徒歩11分、さいたま市中央区新中里1丁目に位置する7階建て延べ床面積約6,934㎡(従前は約4,242㎡)全87戸(同60戸)。施工は長谷工コーポレーション。竣工予定は2020年8月。事業コンサルはURリンケージ。

 

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