劇的に変化する経済社会に的確に対応 SDGsにも言及 不動産協会・菰田理事長
菰田理事長(ホテル・オークラで)
不動産協会は5月15日、定時総会後の懇親会を開催。菰田正信理事長(三井不動産取締役社長)は次のように挨拶した。
◇ ◆ ◇
今月1日に新天皇が即位されて元号が変わり、まさに新たな時代の幕開けとなりました。
新しい令和の時代は、来年に迫った東京オリンピック・パラリンピックや、2025年の大阪万博といった国家的イベントをはじめとする夢のある様々なプロジェクトが控える中、日本はますます世界からの注目を集め、世界へ開かれた国へと変わっていくのではないかと思われます。
一方、AI・IoT をはじめとするデジタル技術の飛躍的な発達、価値観の多様化、グローバル化の急速な進展等に伴い、これからの経済社会は かつて経験したことのないような速さで劇的に変化し、それとともに不動産を取り巻く環境や都市のあり方も大きく変わっていくものと思われます。
こうした変化や新しいニーズに的確に対応したまちづくりを行うことによって、新たな価値を創造し、持続可能な社会の実現に貢献していくことが、これからの不動産業界にとってますます重要となり、また期待される使命であると考えています。
こうした観点から、人口減少、少子高齢化の進展といった構造的な課題も踏まえ、今年度は次の活動に重点的に取り組んでまいります。
第1に、時代を先取りした魅力的なまちづくりの推進です。まちづくりに求められるものが、都市の国際競争力強化やイノベーションの創出等、新たな役割に変化していることに鑑み、都市の多様性を柔軟に受け入れられる時代に即した開発手法のあり方やまちの魅力・価値向上を担うエリアマネジメントへの支援方策等を検討します。
社会の様々な課題に対応できるよう、ICT 等の新技術の活用も踏まえ、スーパーシティ、スマートシティ推進の動きに積極的に対応するとともに、安全・快適かつユニバーサルなまちづくりのために必要な方策に、官民連携して取り組んでいきます。
第2に、豊かな住生活の実現です。 良好な住宅ストックの形成に向け、性能の不十分なストックの更新を図るために、団地再生をはじめマンション建替のさらなる円滑化の方策等、質の高い新規住宅の供給に必要な取組みを行います。
そうした新規住宅の供給に関する取り組みだけではなく、良好な住宅ストックの質を長期にわたり保ち続けるため、維持保全にかかる既存の政策の総合的な見直しに向けた働きかけを行います。
また、社会の変化や多様化するニーズに対応するべく、住戸の設備や規模の見直し、高齢者向け住宅の拡充、職住近接・二地域居住への対応など、住宅やサービスのあり方を今一度検討し、規制の見直しに取り組んでまいります。
第3に、税制改正に関する取組みです。2020年度税制改正については、長期保有土地等に係る事業用資産の買換特例などの重要な期限切れ項目に加え、経済社会の変化やそれに伴う課題に対応した都市、住宅、環境等の政策推進に関連して必要な税制の検討を行い、税制改正要望をとりまとめます。そのうえで、必要な調査を行い、的確に要望活動を行ってまいります。
そのほか、持続可能な社会の形成を目指すSDGsに掲げられた諸課題を解決するために、まちづくりを通して我々が貢献できることは何かを的確に捉え、活動を進めてまいります。また、環境への取組みを引き続き進めていくとともに、事業環境の整備について、幅広く必要な活動を行っていきたいと考えています。
不動産協会としては、これらの活動を通じ、魅力的なまちづくりや豊かな住生活を実現することで、我が国経済・社会の発展に貢献していきたいと思っております。
来賓の挨拶をする石井国交相
◇ ◆ ◇
懇親会では、前会長の木村惠司氏(三菱地所特別顧問)が相談役に、前副理事長の小野寺研一氏(住友不動産取締役副会長)と金指潔氏(東急不動産取締役会長)が相談役にそれぞれ就任したことも報告された。
乾杯の音頭に登壇した木村氏は「70代の副理事長はわたしと金指さん、小野寺さんの3人がいたが、若い人にバドンタッチする。6歳くらい若返る。菰田体制は盤石」などと語った。
新しい副理事長には吉田淳一氏(三菱地所取締役社長)、仁島浩順氏(住友不動産取締役社長)、大隈郁仁氏(東急不動産取締役社長)がそれぞれ就任した。
木村氏(左)と金指氏(小野寺氏は欠席)
◇ ◆ ◇
左から三交不動産マンション事業部東京支店部長・盛田哉氏、長谷工コーポレーション常務執行役員・岡田裕氏、長谷工リアルエステート代表取締役社長・平野富士雄氏、長谷工コーポレーション取締役社長・辻範明氏、三交不動産取締役社長・高林学氏
(わが故郷の三交不動産の首都圏マンションが絶好調。売りたくとも売る物件がないとか。盛田さん、わたしだったら週に1回、出来立ての赤福3個を持って辻社長の秘書の方に付け届けをする。いい土地が仕入れられるはず)
左からJR西日本プロパティーズ取締役社長・大久保憲一氏、高林氏、森田氏
(Jプロは首都圏の開発事業に力を入れる。大久保社長、三交不動産と組んでいただきたい。三交不は東急さんにもトヨタさんにもパナソニックさんにも負けない街づくりを行っている。野球は投手を補強すればベスト4が狙える)
三菱地所株高騰 前日の終値より168円高の2,030円
昨日、1,000億円を限度に自社株式を取得すると発表した三菱地所株が高騰している。15日の寄り付きから買い注文が殺到したためか値がつかず、9:12に2,070円の高値で始まった。14:00現在、昨日の終値1,862円から168円高の2,030円で取引されている。三井不動産も32円高、住友不動産は37円高。
◇ ◆ ◇
昨日15:00過ぎに記事を書いたとき取引は終了していた。今日はいくらの値を付けるかと注目していたら、いきなり2,070円だ。
昨日も書いたが、小生はマンションの価格予想とRBA野球の勝敗予想は絶対的な自信があるが、株の世界は分からない。しかし、今現在の同社の2,030円は同業他社と比べ相当割り負けしていると思う。2,500円までは黙って買いだ。(米中関係がどうなるかは記者の知ったことではない)
三菱地所1,000億円の自己株式取得へ(2019/5/14)
日本初の寺院山門と一体となった「大阪エクセルホテル東急」11月開業 積水ハウス
「積和不動産関西南御堂ビル」
積水ハウスは5月14日、真宗大谷派難波別院(南御堂)の「御堂会館」の建て替え事業に開発事業者として積和不動産関西が建築中の「積和不動産関西南御堂ビル」が2019年11月1日にグランドオープンすると発表した。
同ビルは、難波別院(南御堂)の山門を兼ねた17階建て。山門北側1~4階は難波別院(南御堂)が「御堂会館」として貸会議室・店舗などを運営、山門南側1~4階は積和不動産関西が飲食・物販店舗・医療など 7テナントに賃貸し、5~17階は東急ホテルズによる日本初の寺院山門と一体となったホテル「大阪エクセルホテル東急」(全364室)を開業する。
ホテルの開業に先立ち5月15日からWEBサイトを公開し、宿泊予約を開始する。
三菱地所 1,000億円の自己株式取得へ
三菱地所は5月14日、発行済み株式の4.68%に相当する6,500万株、1,000億円を限度に自己株式の取得を行うと発表。資本効率の向上と株主還元のため。取得期間は2019年5月15日~2020年3月31。
◇ ◆ ◇
冴えない株式市場にすっかり興味をなくしたが、1,000億円の自己株式取得とは驚いた。同社はこれほどの額の自己株式取得は今回が初めてという。先日、三井不動産が年間配当を期初公表の40円から44円に増配し、160億円の自己株式を取得すると発表したが、その6倍以上だ。過去にさかのぼっても、これほどの額は不動産株では初めてと思われる。
ちなみに、14日の終値は同社が1,862円(前日比8.5円高)、三井不動産が2,518円(同17円高)、住友不動産が3,963円(同13円安)。業績、将来性から判断して同社株は割り負けしていると思うが…。記者は株の世界から手を引いた。金もない。
2021年度売上高4兆5,500億円へ 大和ハウスグループ「第6次中期経営計画」
大和ハウス工業は5月13日、2022年3月期を最終年度とするグループ「第6次中期経営計画(2019~2021年度)」を発表。「第5次中期経営計画(2016~2018年度)」は「賃貸住宅」「商業施設」「事業施設」を中心としたコア事業の成長や事業の多角化を進めた結果、2018年3月期は売上高・営業利益・経常利益・純利益ともに過去最高の業績を収めたのを受け、「第6次中期経営計画」の最終年度の売上高4兆5,500億円、営業利益4,050億円、純利益2,670 億円を目指す。
Business分野(商業施設・事業施設事業)は大規模・複合施設を積極的に開発するなどしてさらに拡大し、Housing分野(戸建住宅・賃貸住宅・マンション事業)は再成長への布石のため安定した品質を確保できるサプライチェーン体制を再整備し、海外事業はASEANなどで投資を加速させ、2021年度に売上高4,000億円を目指す。
大規模・複合開発等の不動産開発や働き方改革及び経営基盤の整備(システム構築・現場施工自動化のためのロボット導入など)を含め1 兆500億円を投資する。
〝大阪弁御三家〟第一線から退く 大和ハウス 樋口会長・CEOが代表権のない会長へ
大和ハウス工業は5月13日、代表取締役会長・最高経営責任者(CEO)の樋口武男氏が代表取締役を退任し取締役会長に、代表取締役社長・最高執行責任者(COO)の芳井敬一氏が代表取締役社長・最高経営責任者(CEO)・最高執行責任者(COO)にそれぞれ6月25日付で就任すると発表した。
◇ ◆ ◇
これで、絶滅危惧種の大阪弁を自由自在に操る記者が敬愛してやまない〝大阪弁御三家〟の経営者が第一線から姿を消す(その一人、山口県出身の住友林業の矢野龍氏は代表取締役会長を務めているが、マスコミの前に登場することはなくなりつつある)。
芳井氏は大阪府、積水ハウスの仲井嘉浩社長は京都府、住友林業の市川晃社長は兵庫県、旭化成ホームズの川畑文俊社長は大阪府の出身だ。〝大阪弁カルテット〟として売り出せば業界は一層活気づくはずだ。阪神タイガースと同じだ。大阪弁を根絶やしてはならない。
フラット35悪用事件 もう幕引きか 組織的な犯罪ではないのか
朝日新聞が5月4日と5日に報じてかずっと気になっていたのだが、「フラット35」を悪用して返済能力のない人に住宅を購入させていた問題について、石井啓一・国土交通大臣が記者団の質問に対して「遺憾であり、住宅金融支援機構に対し不正融資の実態の解明と対応、再発防止に向け指導を行っていく」と語ったことを5月14日付の「住宅新報」が記事にしている。
◇ ◆ ◇
朝日の報道では、組織ぐるみではなく個人が行ったかのような書かれ方だったが、記者は十数年前から今回と同じような「貧困ビジネス」が行なわれていることを知っている。明らかに支払い能力がない人に対して勧誘している光景を駅頭で見たこともある。
記者が知っているわけだから、多くの業界関係者の中では周知の事実なのかもしれない。
新報の記事では、住宅金融支援機構は「結果を公表する予定はない」としているので、このまま幕引きするつもりなのか。朝日の記者も個人的な行為とみなしているのだろうか。
ポラスグループ社員の池田咲紀子さん なでしこジャパンの代表に選出
池田さん
ポラスグループの社員であり、浦和レッズレディースに所属する池田咲紀子さん(26)が、6月7日から行われるFIFA 女子ワールドカップ フランス2019に出場する女子日本代表(なでしこジャパン)メンバーに選出されたと、ポラスが5月13日発表した。
池田さんは「このたび、女子日本代表に選出していただき、大変光栄です。この機会に感謝し、日本代表の誇りを持ってW杯にのぞみたいと思います。所属する浦和レッズレディース、勤務先のポラスグループ、サポーターの皆様のあたたかい応援に感謝し、この気持ちを力に変え、精一杯がんばります。応援、宜しくお願いいたします」とコメントを寄せた。
◇ ◆ ◇
記者は、人間を人間たらしめるのは二足歩行が可能で、手を使い道具を作ることができるからだと小さいときに教わったので、人間を否定するような手を使うことを禁じ、下手をすると頭突きによって頭脳も壊れかねない野蛮で下品なサッカーは好きではなく興味もないが、どこかにそんな野蛮な獣性が残っているのか、国際試合は夜中でも観戦し応援する。しっかり応援しよう。池田さんのポジションはゴールキーパーで、背番号は「1」というからスタメンで出場するのか。なでしこジャパンは強いのか。
野村不、タカラレーベンが事業参画 小岩駅前で再開発マンション601戸
「南小岩六丁目地区第一種市街地再開発事業」完成予想図
野村不動産、タカラレーベン、清水建設が参加組合員、及び特定業務代行者として参画している「南小岩六丁目地区第一種市街地再開発事業(施行者:同再開発組合)」の起工式が5月12日行われた。
事業地は、JR総武線小岩駅から徒歩1分、江戸川区南小岩六丁目及び七丁目地内に位置する敷地面積約8,954㎡、10・22・33階建て延床面積約88,857㎡。用途は住宅、商業、業務、駐車場など。住宅は601戸(地権者住戸含む)。全体竣工は2026年1月。設計・施工は清水建設。
再開発組合は2012年7月の準備組合設立、2014年10月の都市計画決定を経て2016年12月に設立認可を受けた。
10階建てI街区、22階建てII街区、33階建てIII街区からなり、I街区は商業施設となる。本地区に隣接する「南小岩七丁目西地区(市街地再開発事業/名称:アルファグランデ小岩スカイファースト)」、2016年8月に準備組合が設立された「南小岩七丁目地区(市街地再開発事業及び区画整理事業の一体施行)」とともに回遊性や賑わいの創出、住環境や地域の安心・安全性の向上を図ることになっている。
野村不動産、タカラレーベン、清水建設は住宅保留床及び商業保留床を取得する参加組合員、及び特定業務代行者として参画している。
現況写真
完成予想図(左はスターツが分譲して人気になったマンション)
◇ ◆ ◇
「当日は取材なし」を事前に知らされていたが、野村不動産取締役兼専務執行役員・山本成幸氏、タカラレーベン代表取締役社長・島田和一氏が神事に出席されるのだから、突撃取材を敢行し、ダメもとで坪単価を聞き出そうと起工式の最後尾で神事が終わるのを待ち構えた。
ところが、その場に居合わせた清水建設のRBA野球のエース・治下氏(元三重スリーアローズの人気選手)と歓談しているすきに関係者はみんな懇親会場に向かうバスや車に乗ってしまい、結局取材は空振りに終わった。(懇親会場は近くだと考えたのがまずかった。「小岩」は電車や車で移動しなければ宴会ができないそのような街か。多摩センターは数百人を収容するホテルがある)
ただで起きる記者ではないので、来年に分譲されるマンションの坪単価を予想する。
小岩は、江戸川を渡れば千葉県の市川市。市川駅圏で駅近のマンションが分譲されたらまず坪350万円はくだらないし、本八幡駅圏で現在分譲されているマンションは坪300万円強だ。
葛飾区と市川市のポテンシャルは、やや市川が勝っていると思うが、似たようなものか。それでも「本八幡」以下はあり得ないはずで、つまり坪300万円以上と読んだ。
記者が比較検討するのは、いま三菱地所レジデンスが分譲している足立区の「北千住」の再開発タワーマンションだ。北千住駅に4分、電車に乗って大手町駅に16分、東京駅に24~25分という利便性がユーザーに支持されているのか、億ションも含めて信じられない売れ行きを見せている。
一方の「小岩」の街並みは「北千住」と互角(あまりよくないという意味)で、東京駅までの電車の時間も24~25分だからほぼ同じだが、大手町へは30分かかるので、利便性は「北千住」に軍配が上がる。
なので、総合評価では「北千住」にかなわないとみて坪380万円以下とした。ただ、近接する「南小岩七丁目地区」の再開発もあるので、数年後の街並みは一変する。この将来価値を評価して坪350万円と予想したが、どうだろう。もう少し低い330万円だったら申し込みが殺到するのではないか。
野村不動産は同じ沿線の平井駅でも再開発マンションを分譲するが、「平井」のほうが高くなるはずだ。
起工式
トヨタとパナソニックの住宅事業統合 デベロッパーを含めた業界再編の序章か
トヨタ自動車とパナソニックの住宅事業の統合が決まった。トヨタ自動車が進めるモビリティサービスへの取り組みとパナソニックが進める「くらし」のアップデートへの取り組みを融合させつつ、街全体での新たな価値の創出を目指すもので、新しい合弁会社プライム ライフ テクノロジーズを2020年1月7日(予定)に設立。社長にはパナソニック専務執行役員・北野亮氏が就任する。
合弁会社は、両社の連結の範囲外となる見込みで、傘下のトヨタホーム、ミサワホーム、パナソニックホームズの3ブランドは残す。3ブランドの戸建住宅供給戸数は約1万7千戸に上り、国内住宅業界でトップクラスの地位を獲得する。ミサワホームは上場廃止となる。
◇ ◆ ◇
事業統合により合弁会社の売上高は7,972億円(2018年3月期)、住宅供給戸数は約1万7千戸となり、戸数では供給トップの積水ハウスの11,636戸(2019年1月期)を上回る。
しかし、戸数だけを比較するのはほとんど意味がない。戸数だけで言えば飯田グループホールディングスは44,275戸(2018年3月期)で積水ハウスの約4倍もあるが、売上高は1兆3,353億円で、積水の2兆1,603億円にはるかに及ばない。
積水ハウスは、全体としてパイが縮小気味の戸建住宅を住宅関連事業で補い、拡大するという長期戦略が奏功している。売上高構成は戸建住宅より賃貸住宅、フィービジネスのほうが多く、国際事業やリフォームも大きな伸びを見せており、競争が激しい分譲ママンションや都市開発事業は抑制気味だ。
売上高で積水ハウスを大きく上回る大和ハウス工業も、全体の売上高に占める戸建住宅は10%強に過ぎず、賃貸住宅、商業施設、事業施設が成長ドライバーとなっている。多角化も進めており、その他の事業セグメントも約14%に上っており、戸建て住宅を上回っている。
他のハウスメーカーも同様に、それぞれの特色を生かした事業展開で地歩を築いている。
もちろん、両社の住宅事業統合も量的拡大だけが目的ではなく、「今後の成長の柱となる街づくり事業の展開を機動的に実施できる体制を整える」(ニュース・リリース)ことにある。
しかし、この分野でも同業のハウスメーカーやデベロッパーと肩を並べるのは容易なことではないと考える。別掲に示したように、ここ数年間に見学した3社の分譲戸建ては優れてはいたが、街づくりの実績では他社にかなわない。(パナソニックのスピーカ付きダウンライトは最高に素晴らしいが)
個人的には、潤沢な資金力を生かし、再開発などの街づくりで大手の一角に食い込めば面白い展開になるとみているのだが、この事業分野もまた大手デベロッパーの独壇場となっており、ハウスメーカーでは旭化成ホームズがマンション建て替え事業で健闘しているくらいだ。当面は〝ぶら下がり〟として共同事業に参画するしかないのではないか。
分譲マンション事業の強化も難しい。大手デベロッパーの寡占化が一層進み、もはや付け入るスキはない。〝すき間〟を埋めるしかないのではないか。不動産流通事業はほとんどゼロに等しいのもワンストップで顧客のニーズに応える際にネックとなる。
その一方で、可能性を秘めるのは海外事業ではないか。これまたわが国のハウスメーカー、デベロッパーがこぞって進出しており競争は激化するのが必至だが、世界の〝トヨタ〟〝パナソニック〟のブランド力をもってすれば、互角以上に戦えるのではないか。わが国のハウスメーカーやデベロッパーを知らなくとも〝トヨタ〟〝パナソニック〟を知らない外国の人はいないはずだ。圧倒的優位に立てるのではないか。
このように見ると、戸建て事業の量的拡大は難しく、現段階では街づくりのノウハウも他社と比較して特段優れていると思えない。その弱点を補うためにはデベロッパーと手を組むしかないと考える。三井物産が合弁会社に名乗りを上げていることからも分かるように、今回の両者の事業統合はデベロッパーを含めた業界再編の序章に過ぎないのではないか。〝嫁〟にはなりたくないだろうが、新会社と手を組みたいデベロッパーは数社はあるはずだ。
ミサワホーム・トヨタホーム 小学館女性誌とコラボした「セブンデイズヴィラ」(2016/11/4)
現段階でスマートシティ№1団地 ミサワホーム「エムスマートシティ熊谷」(2014/12/24)