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 国土交通省は5月31日、消費者が安心して購入できる物件に国が商標登録をしたロゴマークの使用を認める「安心R住宅」制度の運用を平成30年4月1日に開始して1年が経過したことを受け、登録事業者9団体を対象にした調査結果を発表。平成31年3月末時点で1,266件の既存住宅が「安心R住宅」として流通(広告に標章が使用されるなど)していることが確認できたとしている。

 内訳はリフォーム済が1,139件(一戸建て349件、共同住宅等790件)、リフォーム提案127件(一戸建て118件、共同住宅等9件)。

 

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「(仮称)三井リビングラボ新木場」完成予想図

 首都圏のJR・私鉄の全駅名を諳んずることができるギネス級の才能の持ち主のアンビシャスの安倍徹夫社長にははるかに及ばないが、小生はマンションや戸建てが分譲された駅はほとんど〝踏破〟している。数えてはいないが、400駅くらいはあるはずだ。

 東京メトロ有楽町線・りんかい線・JR京葉線3駅が利用できる、東京駅から約10分の新木場駅は2度ほど、マンション見学ではなかったが降り立ったことがある。1度目は20年前、貯木場を見るためだった。沢山の丸太があり、小さいころ見た筏師を思い出した。もう一度は、木造中高層建築物「木造会館」を見学するためだった。

 そして一昨日(5月30日)、驚いたことに新木場は地区計画で「マンションは不可」になっていることを三井不動産関係者から聞いた。

 工業専用地域(工専)でも調整区域(条件付きだが家も店舗も建つ)でもあるまいし、東京駅から電車で10分の交通利便なエリアで住宅建築を不可とする地区計画などはあり得ないと思ったが、区のホームページと担当者に確認したらその通りだった。

 平成11年11月15日付で従前の用途地域・工専を準工業に変更し、なおかつ「新木場・辰巳三丁目地区 地区計画」を定め、「木材関連をはじめとする多様な生産・流通機能と商業・業務機能などが共存できる複合地区の形成を図る」目的に適さない住宅や風俗系建築物、廃棄物処理場を不可とした。

 網をかけたエリアは江東区新木場一丁目、新木場二丁目、新木場三丁目及び辰巳三丁目の約151haだ。規模は、約180haの昭和記念公園には負けるが、約115haの皇居を上回る広さだ。

 試しに、区のホームページで住民登録をしている人がいるかどうかも調べた。何と74世帯88人が〝住んでいる〟ではないか。男女別では71人:17人。圧倒的に男性が多い。

 この不可思議を都市計画担当者に伝えたら「既存不適格? それはあり得ない。もともと工専だから、住んでいる人がいるとすればNG(罰則はないそうた)」と話した。このことを住民登録担当に伝えたら、広報に回され、広報担当の方も答えられなかった。つまり、住民登録と都市計画法はリンクしていないことは明らかだ。

 都市計画担当者から話を聞いて、地区計画を決定した平成11年のころ、当時の江東区長とデベロッパーの間で大喧嘩したのを思い出した。区長は、激増するマンション開発に小学校などのインフラが整備できないと激怒し「マンションなど蹴とばしたい」と都の都市計画に関する会合で発言した。工専が解除されるのを見越して土地を購入していた大手デベロッパーは色をなくし、色めき立った。新木場を「住宅不可」としたのは知らなかった。(個人的には〝何でもあり〟の準工用途が圧倒的に多い同区には同情するが…)

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新木場の位置図(〝海の孤島〟ではあるが都心に残された〝処女地〟であることが分かる)

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 ここまではプロローグ。都市計画法ではありえない住宅不可の、駅前に行かないと飲食店はなく、フーゾクもない151haもの広いエリアに男女比71:17の88人の方はどのような生活をしているのか、職業は何か興味をそそられないわけではないが、本当に書きたいのはこれからだ。

 5月30日、三井不動産は記者発表会を行い、オフィスビル、住宅、商業施設、ホテル・リゾート、物流施設に続く、新しいアセットクラスの不動産事業である「賃貸ラボ&オフィス」事業を開始すると発表した。

 「三井のラボ&オフィス」は、これまで日本橋を中心に進めてきた一般社団法人ライフサイエンス・イノベーション・ネッ トワーク・ジャパン(LINK-J)と連携した「コミュニティの構築」、イノベーションによる新産業の創造・育成につながるエコシステムを構築するための「場の整備」、およびライフサイエンス系ベンチャー企業へのLP投資をおこなう「資金の提供」の取り組みをさらに一歩進めるもので、「本格的なウェットラボ」(創薬や再生医療等の研究者が液体気体等を使って実験を行う場所のこと)と「オフィス」が一体化した施設の賃貸事業のことだ。

 具体的な取り組みとして「(仮称)三井リビングラボ葛西」「(仮称)三井リビングラボ新木場」を開設し、柏の葉でも計画していることを明らかにした。

 「葛西」は第一三共の延べ床面積約678坪の研究棟を賃借(マスターリース)する。2019年9月竣工。

 「新木場」は駅から徒歩11分、同社が土地を賃借し、ラウンジ、会議室、共通実験機器室なども利用可能な6階建て延べ床面積約2,280坪の事務所棟を2020年1月に竣工する。ワンフロア30坪から最大480坪まで賃貸可能。

 会見に臨んだ同社常務執行役員でLINK-Jの理事を務める植田俊氏は「この種の事業は欧米ではけた違いの規模で行われているが、わが国には市場そのものがない。具体的な事業規模は現段階で申し上げられないが、マーケットメークし、当社の6番目の新しい事業に育てたい。『コミュニティ』の構築、『場』の整備、『資金』の提供を3本柱とし、わが国がライフサイエンス産業における世界に冠たるアジアナンバーワンの地位を確立することに貢献する」と話した。

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右から植田氏、三枝氏、LINK-J理事 事務局長・曽山明彦氏

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 小生はライフサイエンスのことはちんぷんかんだが、同社ライフサイエンス・イノベーション推進部長・三枝寛氏などによると、米国ボストンには新木場をはるかに上回るライフサイエンス拠点があるという。2025年の先端医療・ライフサイエンス市場を約2兆円と予想した富士経済のレポートもある。

 さて「新木場」に戻す。東京駅から10分の至便な位置に皇居を上回る約151haにも及ぶ土地に「住宅不可」の地区計画の網をかぶせてきたからこそ乱開発を防止してきた。〝海の孤島〟というよりは都心に残された最後の〝処女地〟だ。

 地価はどうか。地価公示は坪当たり約100万円(容積200%として1種50万円)で、〝陸の孤島〟晴海の坪470万円と比べると5分の1だ。

 同社がいくらで賃借したかは分からないが、賃料は都心一等地の数分の1ではないか。同社の発想力には舌を巻くほかない。湾岸開発は同社の十八番だ。

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 以下は、いわばエピローグ。同社が3年前、ベンチャー共創事業に関する記者発表会を行った際の同社取締役専務執行役員・北原義一氏(現同社代表取締役副社長執行役員)の感動的な名演説を紹介する。

 北原氏は「当社の事業の柱であるオフィス、商業施設、分譲住宅を野球に例えるなら3番、4番、5番のクリーンアップ。しかし、これが20年先、30年先、永遠に続くわけではない」と切り出し、「ダーウィンは『変化に順応できるものが生き残る』といったが、それだけでは十分でない。変化の後追いだけでは進歩はない。そのためには、異端、異能を重視し、柔軟性のある社会に変えないといけない」「社会を切り開くのは既存のベンチャーの専売特許でもない。当社のオフィス・商業施設のネットワークは約5,500社の50万人、60万人にのぼる。こうしたオフィスワーカーのベンチャースピリットを覚醒させ、化学反応、爆発を誘引したい。そこから新しい産業が生まれるかもしれない。わたしはワクワクしている」「もう一つ重要なのは、短期的利益を求めず、中長期的視点で育てていくということだ」などと語った。

 ひょっとしたら、菰田正信社長も北原副社長も第4、第5(第3は心当たりあり)の〝東京ミッドタウン〟候補に「新木場」を上げているのではないか。10年先には〝東京ミッドタウン新木場〟構想が発表される可能性があるのではないか。

 江東区の都市計画担当者は「オフィス? もちろん可能。地区計画の変更? 手続き上は可能ですが、まずありえない。ホテル計画の相談があったが、インフラの整備ができず立ち消えになった。都市再生特区? 10年くらい先のスパンであればありうるかもしれない」と話した。

 冒頭の貯木場に戻る。あれから20年。木材の輸入形態が丸太から製品に変化したことなどにより、貯木場はいまほとんど未使用状態のようだ。筏師は観光地でしか見られなくなった。

三井不動産 〝ワクワクする〟発表会 ベンチャー共創に50億円投資(2016/2/24)

木造とコンクリートの見事な調和を図った「木材会館」(2012/10/2)

 東急リバブルは5月30日、育児休業中社員の復職を支援する新制度を2019年4月から開始したと発表した。

 就労内容は、同社100%出資子会社の東急リバブルスタッフと業務委託契約を締結し、自宅のパソコンで東急リバブルの業務に関連するデータ入力や資料作成などを行い、成果報酬を得るというもの。

 同社はこれまでも様々な復職しやすい環境づくりに取り組んできており、育児休業取得社員は4年間で1.4倍に増加し、育児休業取得社員の90%以上が復職しているが、育児休業中の社員を対象にしたアンケートでは「社会との接点が少ない」「パソコンスキルの低下」など、長期休業後の復職に不安を感じていることがわかったため、そのような不安を解消するのが新制度導入の目的。

 雇用保険法では、「月10日以下、10日を超える場合は月80時間以下」の一時的就労を「給付金と休業中の賃金の合計が従来の賃金の8割未満」の報酬であれば認めており、同社はこれらの条件をすべて満たす。

 平成31年4月28日に死去した前アットホームホールディングス・アットホーム代表取締役会長、不動産流通研究所代表取締役の松村文衞氏(享年82歳)の「松村文衞 お別れの会」が令和元年6月12日(水)午前11時~午後1時、グランドプリンスホテル新高輪「飛天」の間で行われる。

 主催は、アットホームホールディングス・アットホーム、不動産流通研究所。

 問い合わせはお別れの会事務局03-3730-6400へ。

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「パークウェルステイト浜田山」

 三井不動産レジデンシャルは5月29日、人生100年時代に向けた新たなライフステージを提案するサービス付き高齢者向け住宅「パークウェルステイト浜田山」の竣工プレス説明会・内覧会を行った。間違いなくトップレベルの富裕層向けサ高住だ。

 物件は、京王井の頭線浜田山駅から徒歩9分、杉並区高井戸東4 丁目の第一種低層住居専用地域に位置する敷地面積約5,328㎡、延床面積約9,103㎡、RC造(一部S 造)地上3階・地下1階建て総戸数70 戸(一般住戸62戸・介護用住戸8戸)。契約形態は終身建物賃貸借契約で、59㎡の賃料は一人入居の場合、<前払方式>75 歳で約1億7,000万円、80歳で約1億4,000万円、<月払方式>は約94万円。月額利用料は一人入居の場合で約26万円。利用料・食事代込みで月払い月額200万円を超えそうな100㎡以上は9戸。施工は大林組。設計は日建ハウジングシステム。従前敷地はNTTの社宅。

 外観デザイン・エントランスは「市中の山居」をデザインコンセプトとし、プライベートガーデン「彩の庭」 には約1,100本の樹木を植栽。居室空間は都心高級マンション並みとし、生活リズムセンサーやカードキーの導入による見守り機能などを完備。

 その他、コミュニティを育むライブラリーラウンジ、ラグジュアリーホテルのダイニングをイメージさせる「季響(ききょう)」ではイベントメニューやコースメニューも用意。大浴場はヒノキ風呂付き。

 さらに、帝国ホテル出身の総支配人と2人の支配人に加え、同社グループのネットワークを活かした外部の各種専門コンシェルジュサービス、送迎シャトルバスの運用、アクティビティプログラム、様々な介護サービス、順天堂大学医学部附属順天堂医院の人間ドックの年1回送迎付き無料受診、併設するむらい浜田山クリニックでの健康診断なども行う。

 説明会に臨んだ同社シニアレジデンス事業部長・井上貴嗣氏ら関係者は「富裕層向けサ高住はいくつか供給されているが、どこにも負けないと自負している」と異口同音に語った。3年後の満室稼働を目指す。

 同社は今後、第2弾のリゾート型「鴨川」(全473戸)、ラグジュアリー型の「西麻布」(約300戸)を予定しており、年間1~2物件を供給することを目標に掲げている。

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プライベートガーデン

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エントランスラウンジ

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「伊達冠石」

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大浴場

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 社に戻り、原稿を書き出す丁度そのとき、オフィスのBGMは「第九」の第三楽章の演奏が始まった(第三企画だから第三楽章)。記念碑的なサ高住の記事にこれほどふさわしい音楽はない。この記事は最高の気分で書いていることを読者の皆さんにまず伝えたい。

 約40年間の記者生活で、億ションの最高峰は同社の「麻布霞町パークマンション」であり、準都心部の高額マンションでは、やはり同社の「パークシティ浜田山」が最高で、100件は取材・見学しているサ高住・特養・有料老人ホームでは昭和63年に竣工した介護付有料老人ホーム「サクラビア成城」がトップだと思っている。

 時代が異なり、規模も異なるので単純比較はできないが、今回の「浜田山」は「成城」(敷地が約1万㎡、延床面積が約22,000㎡の10階建て全150室・介護居室18室)とほぼ同レベルだと思う。それほど素晴らしい。

 一つひとつ書き出すときりはないのだが、外観・中庭は「パークシティ浜田山」と似たところがあり、品がある。約1,100本の中高木を植えたという植栽の密度はこちらのほうが高い。

 設備仕様も素晴らしかった。例えばエントランスラウンジの「伊達冠石」のオブジェ、100万円くらいしそうな古木のカウンター、無垢材の亀甲仕上げの壁、レストランの組子デザインの天井、その他の壁面アート・オブジェなどだ(上皇陛下・上皇后陛下が植樹祭などで植えられたイチイもあったが、フェイクだった)。細かな点では、居室とバルコニーはフラットサッシを採用して段差をなくし、洗面室も含めて床暖房を採用していることなど。

 サービスでは、ラグジュアリーホテルのレストランをイメージして設計されたカスケード(滝)の庭が眺められるダイニングが圧巻。この日は試食会もあり、小生はベリー&アサイのジュース、クロワッサン、お吸い物のお椀、ローストビーフ、ジャガイモの何とか(トランプ大統領と安倍総理が炉端焼き店で食べたのはアイダホ産のジャガイモのポテトだが、これは北海道産)を食べた。最高に美味しかった。(獺祭の180ミリリットル入り大吟醸酒1,800円を頼んだのだが、この日は供されなかった)。

 この食事サービスは、夕食なら1,400円くらいで食べられるそうだが、ホテルのレストランなら数千円はするだろうし、コースなら数万円してもおかしくない。

 これらの設備仕様・サービスを評して「『パークマンション』並み」と絶賛したメディアの方もいたが、小生はこの意見については保留する。共用部や専用部の設備仕様、建具・家具などはやはり「パークマンション」に軍配があがるような気がするし、そもそも分譲マンションが提供するのは基本的に〝モノ〟であり、サ高住は〝サービス〟だから、比較するのは適当でないと思う。

 賃料について。58㎡のタイプで一人入居の月払い1カ月約94万円(前払い金方式で75歳の場合1億6,992万円)、月額利用料約26万円というのは相場ではないか。ちなみに前払い方式の75歳の想定居住年数は15年で、80歳は12年だそうだ。看取りも行う。

 大急ぎで書いたのでまとまりに欠けるような気がするが、感動は伝えられたのではないか。

 強いて難点を上げれば、フェイクの「壁面緑化」だ。ほんものはお金がかかるというのなら、綱町三井倶楽部のロビー正面に飾ってあるターナー、霞が関の月曜会クラブの荻須高徳、中川一政らの作品、三井記念美術館に秘蔵されている芸術品、さらには入居者所有の絵画などを有償・無償で飾ってはどうか。ラウンジにグランドピアノがあってもいい。入居者にはプロ並みの人もいるはずで、好きなように弾いてもらうのはどうか。

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ダイニング

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ダイニング

感動的なマンション 三井不動産レジデンシャル「浜田山」(2007/11/8

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「Lucas(ルーカス)」

 三井ホームは5月28日、先に発表した戸建て新商品「Lucas(ルーカス)」のモデルハウス見学会を「tvkハウジングプラザ横浜」で行った。

 「Lucas(ルーカス)」は、都市に暮らすミレニアル世代を中心とする層を意識した新商品で、2階リビングにはテレワークも可能な空間と、外部の視線を気にすることなく過ごせる「スカイラナイ(プライベートバルコニー)」を設け、1階には間仕切り可能な大きな主寝室と「ファミリークローク」、〝洗う・干す・乾かす・しまう〟を連続して行うことのできる「ファミリーランドリー」、「マイゴミステーション」などを効率よく配置した「家事ラク」空間を提案しているのが特徴。

 2階リビング天井高は最高約5メートル、床・建具・家具にはレッドシダー、ハードメイプル、オーク、ヒノキなどの無垢・突板が多用され、専用の洗濯乾燥機が備えられている。

 新商品説明会で同社常務執行役員・幸田知久氏は「日本最大のこの住宅展示場での当社のモデルハウスは既設の3棟に加えて4棟目。場所も角地でよく仕上がった」と挨拶し、執行役員商品開発部長・天池英男氏は「20年前、東京の郊外に2階リビングの狭小住宅を建てた。2階からの外の光景は周囲が平屋に見え、空を独り占めできることが分かった。今回は片流れの屋根にすることによって太陽光発電・全館空調システムを搭載し、無垢材を多用することで当社らしい商品にできた」などと、自らの体験を交え商品の特徴を説明した。

 販売エリアは沖縄を除く全国で、参考価格(消費税抜き)は延床面積139.88㎡(42.31坪)で2,919万円(坪単価68.9万円)。基本性能を変えずに、さまざまな仕様グレード設定やプランニングが可能。年間販売目標は300棟。

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スカイルーム

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スカイラナイ

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 商品説明は、建築面積108.01㎡(32.67坪)、延床面積186.95㎡(56.55坪)のモデルハウスプランをもとに行われた。記者は富裕層向けならともかく、それだけの家を建てられる大都市圏に住む一般的な「ミレニアル世代」はどれほどいるかをずっと考えた。

 パンフレットでは延べ床面積29坪のプランも紹介されており、これなら建築可能だろうが、1階の主寝室は12.5畳大しかないので、子ども2人世帯は厳しいのではないかとやはり疑問に思った。

 しかし、その疑問はすぐ氷解した。29坪プランの2階の「スカイラナイ」の広さは約5.4畳大あり、容積にも算入されている。屋根を付ければ居室にも転用できるので、そこを夫婦の部屋なり、子どもの部屋なりにすることができると判断した。つまり、敷地が30坪、建物が30坪(建ぺい率60、容積率100%)の狭小敷地でもこのプランは十分対応できる。

 3.4畳大のランドリー&ドレッシングルーは文句なしにいい。ここではフィットネスも可能だろう。

 価格について。同社が6年前に発売開始した第一次取得者向けの「cafe+( カフェ・プラス)」の価格は坪56万円で、太陽光発電システムなどはオプションだった。

 今回の商品はそれより坪当たり10万円強高いが、ZEHに対応する太陽光発電システムも24時間全館空調の「スマートブリーズ」も標準装備されている。

 これらを総合すると、今回の新商品はユーザーに支持されると思う。

 しかし一方で、いま一つ理解できなかったことがある。同社が行ったアンケート結果では、ミレニアル世代は冷凍食品をよく利用し、男女ともスキンケアを行い、虫が嫌い、広いバルコニーを好み、ソーラーパネルを欲しがることなどが明らかになったそうだが、これらは多分に経済社会環境がもたらしたものだと思う。

 戸建てもマンションも居住面積が広いほうがいいのに決まっているし、庭が広くて植栽の豊かな戸建てのほうがいいのも言うまでもないことだ。思考がしぼみがちなミレニアル世代を解き放つためにも、夢が持て、実現する社会になってほしい。

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ファミリーランドリー

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ファミリークローク

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玄関

三井ホーム 単価56万円の1次取得向け新商品「cafe+( カフェ・プラス)」(2013/4/11)

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「ドルチェ大森山王」

 コスモスイニシアがフラワーショップ「青山フラワーマーケット」を運営するパーク・コーポレーションの空間デザインブランド「parkERs(パーカーズ)」とコラボレーションしたリノベーションマンション「& plants life」第1弾「ドルチェ大森山王」を見学した。

 物件は、JR京浜東北線大森駅から徒歩7分、大田区山王2丁目に位置する1974年6月竣工の3階建て全17戸の3階住戸で、専有面積は67.95㎡、価格は4,780万円(坪単価232万円)。分譲会社は勧業不動産(現、日本土地建物)。

 リビング・ダイニングの天井にフックを施し、観葉植物を吊り下げることができるようにし、ダイニングテーブルにつけられるプランターを設え、ハーブなどをその場で料理に添えることができるよう演出している。

 玄関にはマンション中庭のシンボルツリーをイメージした植栽を設え、寝室には心地良い水音と一輪挿しを合わせ、五感で自然を感じられる空間としている。

 さらに、引き渡しから1年間、「青山フラワーマーケット」が選んだミニブーケを毎月届ける。

 同社は、周辺環境や間取り条件にふさわしいリノベ物件を対象に年間10戸程度の販売を目標にしている。

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玄関

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テラス(螺旋階段を上ると屋上専用テラス)

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6月に届けられるアジサイ

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 「parkERs(パーカーズ)」とコラボした同社のマンション・戸建ては結構見学しているが、リノベマンション初というこの物件もなかなかいい。

 建物は旧耐震だが、写真にあるように雰囲気のあるマンションだ。リノベに当たっては独自に調査を行い、設備仕様などを一新しており、二重床構造(サッシは共用部分なので単板ガラス)。専用のバルコニープランターボックスと、らせん階段上は約63㎡の屋上テラス付き。その他キッチンカウンター、収納、ピクチャーレール付き。

 玄関の観葉植物は中庭のシンボルツリー・ヤマモモをイメージしたシェフレラで、水遣りは2週間に一度でいいそうだ。

 ダイニングには1~3週間に一度の水遣りでいいコチョウラン、エスキナンサス、ペペロニアが、テラスにはハーブがそれぞれ植えられていた。寝室の水音の演出もいい。

 全て込みで4,780万円(坪単価232万円)というのは割安感があると思うがどうだろう。仮にこの土地に新たなマンションを建築したら、坪単価は400万円近くするのではないか。7年前に見学した駅から徒歩8分のモリモト「アールブラン大森山王」は坪294万円だった。

 こんなにいいのだから、年間10戸は少なすぎる。その倍は販売できるのではないか。

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「ドルチェ大森山王」

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中庭のヤマモモ(これは雄株か)

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植え込みに密生していたドクダミ

緑に囲まれた心地よい暮らし提案 リノベマンションで展開 コスモスイニシア(2019/5/25)

馬込文士村の一角 モリモト「アールブラン大森山王」(2012/10/31)

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イメージ図

コスモスイニシアは524日、「& plants life」をコンセプトに、緑に囲まれた心地よい暮らしを提案するリノベーションマンションの展開を開始し、第一弾の「ドルチェ大森山王」の販売を開始したと発表した。

フラワーショップ「青山フラワーマーケット」を運営するパーク・コーポレーションの空間デザインブランド「parkERs(パーカーズ)」とコラボレーションし、植物を設えたインテリアデザインを施し、毎月花またはハーブを届けるサービスを提供する。

「ドルチェ大森山王」では、リビング天井に京都の伝統工芸である京金網「金網つじ」製のオリジナルプランターを吊り下げ、ダイニングにはテーブルにつけられるプランターを設え、ハーブなどをその場で収穫し、料理に添えることで食卓を豊かに彩る。玄関にはマンション中庭のシンボルツリーをイメージした植栽を設え、寝室には心地良い水音と一輪挿しを合わせ、五感で自然を感じられる空間としている。

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 パーク・コーポレーションについて触れよう。同社の売上高は2008年に48.1億円(店舗数71店)だったのが、2018年は84.2億円(同103店)へ75%も増加している。三井不動産の20193月期売上高は18,611億円で、20093月期の13,600億円と比べ37%の増加だ。

花き業界と不動産業界を単純に比較はできないが、リーマン・ショック後の景気の後退を受け、花き出荷額は漸減している現状を考えれば同社の伸張は注目すべきことだし、わが業界にも参考になるはずだ。

伸長の秘密は、同社の井上英明社長のブログにあるような気がする。以下、いくつか紹介する。

「常に常にお客様の立場から考える、花屋の立場からお客様のことを考えるのではなく、レジを出てお客様の横に立って同じ目線で考える。ただただお客様のことだけを考えて判断して欲しいと思います。店長の立場や社長の立場などは決して考える必要はありません」

「お客様は、モノとして花を求めていらっしゃる訳ではありません。ディズニーランドと同じ様に、素敵な時間空間が欲しくて、花を求めにいらっしゃるのだと思います」

「花の本質、それは時間であり空間、一言で言えば‘Time & Space’と言えると思います」

「お客様の喜びを自分の喜びと感じられるような価値観を持った人間の集まりでありたいと思います」

「利益だけを考えたら、1輪のバラを100名のお客様に提供するより100本のバラの花束を一人のお客様に提供した方が楽でいいに決まっています。350円の小さなブーケを100個作って100名のお客様に接客するより、35000円のラン1鉢を販売した方が楽に決まっています。しかしそれでは我々の存在意義がないと思います」

park corporationは基本理念を大切に、人間にとって当たり前の環境と考える花や緑に囲まれた心ゆたかな生活を『一人でも多くの方に』届けたいと真に願っており、日々各店にご来店いただいたお客様の数を把握するようにしています」

どうだろう。デベロッパーの分譲事業と同じではないか。モデルルームは〝モノ〟ではあるが、同時にこのマンションを購入すればどのような〝素敵な時間や空間〟を過ごせるか、プロとして提供するサービスでもある。

用地・建築費の上昇で基本性能・設備仕様はどんどん低下している。床も壁も建具・家具もみんなケミカル製品だ。だからこそ、モデルルームに飾る観葉植物は本物を使用してほしい。

本物の植物は高い、管理が大変、長持ちしないなどと考える人は多いが、そんなことはない。小生の自宅の専用庭にほったらかしにしているサボテンは50年くらい経つし、スパティフィラムはどんどん増殖を続けている。

 添付した写真は、オフィスの小生の机の上に置いているポトスだ。定期的に観葉植物を手入れしにくる業者さんが剪定して捨てるポトスの葉っぱを貰って、ペットボトルに入れて育てたものだ。水遣りは2週間に一度。これで2年くらいか。枯らしたことは一度もない。白い花はどこの道端にも咲いているドクダミを摘んできたもの。つまり全てただ。

 小生がマンションの販売担当だったら、雑草として見向きもされない草花を摘んできて、「ほら、これがイヌノフグリ(女性には気を付けたほうがいいが)」「ニワゼキショウってこんなにかわいい」「ドクダミはみんなに嫌われるが、お客さまみたいに(おばあちゃんに対しては逆効果)とても可憐でしょ」「この土筆は原爆にも負けなかったのですよ」などと会話を交わす。

 井上社長の「350円の小さなブーケを100個作って100名のお客様に接客するより、35000円のラン1鉢を販売した方が楽に決まっています」はヒントになる。モデルルーム来場者数の把握は、〝一人でも多くの方に豊かな暮らしを提案したい〟からと言い切れるかどうか考えたほうがいい。

 分譲価格にオンされる「商品券」のプレゼント(実質的に購入価格の先払い)などもやめたほうがいい。

 高くない歩留まり率を念頭に、できるだけたくさんの来場者を集め、掬い取ろうという底引き網漁法は根本的に改めるべきだ。疲弊するだけだ。

 コスモスイニシアの「parkERs」とのコラボが素晴らしかった戸建て「グランフォーラム練馬田柄」の記事を添付する。「ドルチェ大森山王」も見学してレポートする予定だ。

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記者のデスクに置いているポトス

 

パーク・コーポとコラボ 空間デザイン秀逸 コスモスイニシアの戸建て「練馬田柄」(2017/11/7

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「リーフィア経堂四丁目」

 小田急不動産が6月中旬に分譲する戸建て「リーフィア経堂四丁目」を見学した。閑静な住宅街に位置する全10戸で、プレミアム仕様の住戸は価格に見合う価値はあると見た。

 物件は、小田急線経堂駅から徒歩13分・千歳船橋駅から徒歩7分、世田谷区経堂四丁目の第一種低層住居専用地域(建ぺい率50%、容積率100%)に位置する全10戸。土地面積は100.26~125.48㎡、建物面積は93.36~133.63㎡、予定価格は9,900万円台~16,000万円台(最多価格帯12,000万円台)。建物は竣工済み。構造・規模は木造2階建て(2×4工法)。施工は東急建設。

 現地は、区画整理事業によって前面道路が6m以上確保されている良好な住宅街の一角。

 全体敷地は邸宅が建っていたところで、各住戸の外構は風格を漂わせる門塀と植栽を施し、ロートアルミ門扉・装飾、リーフィアをデザインしたサイン付きとしているのが特徴。一部私道はインターロッキング舗装。

 約6.25mの南側公道に面した4住戸はビルトインガレージ付き(一部住戸除く)で、主な基本性能・設備仕様は、リビング天井高2,800ミリ、玄関吹き抜け、1620バスルーム、フィオレストーン天板、バックカウンター・吊戸棚(一部住戸除く)、Low-Eガラス、樹脂素材を採用したハイブリッドサッシ、良水工房、スピーカー付きダウンライト(2か所)、エコカラットなど。

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8号棟1階LDK 

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 久々に同社の分譲戸建てを見学した。先月末に同社の「リーフィア南大沢〈ガーデンズ〉」を見学・取材はしているが、モデルハウスは見ていない。

 第一印象は、かつてたくさん見た同社の都市型戸建てと基本的にはレベルは変わっていないということだ。植栽は豊かだし、同社のブランド〝リーフィア〟をアレンジしたアルミ製サインなど細かなデザインも施されていた。全体的なレベルは高い。これが確認できて嬉しかった。

 〝これはいい〟と思ったのが、玄関、洗面などの床や巾木に採用されていた御影石・タイル調のフローリングだった。ほとんどの人は本物の御影石だと思うはずだ。どこの製品だったか聞くべきだったか。

 スピーカー付きダウンライトもいい。これを見るのは4物件目か。パナソニック製で、音がすごくいい。スマートスピーカーと連動させればいろんな音楽が楽しめる。ある現場で〝西武ライオンズの応援歌かけて〟と言ったらちゃんと歌ってくれて感激した。

 一つ注文をつけるなら廊下・階段のメーターモジュール化だ。最近は一部のハウスメーカー、デベロッパーの戸建てにしか採用されなくなっただが、同社は他のデベロッパーに先駆けて建坪が30坪でも極力メーターモジュールを採用した。

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外構

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玄関フローリング

小田急不「リーフィア南大沢〈ガーデンズ〉」「GW街びらきFESTA」4/30まで(2019/4/28)

コスモスイニシアは522日、20193月期決算&中期経営計画2021説明会を行った。高木嘉幸社長は前・中期経営計画が目標通り達成できたことから、次期計画では「Next GOOD」のミッションを掲げ、2012年度売上高1,350億円(2018年度1,046億円)、営業利益81億円(同54億円)、自己資本比率30%(同23%)を目指すとし、すべての経営活動におけるCSVの実践~SDGsESGを意識した経営を行うと話した。

軌道に乗ったアパートメントホテル事業を「ソリューション事業」から区分し、新たに「宿泊事業」セグメントを設け、売上高220億円(2018年度101億円)、営業利益28億円(同19億円)に拡大する。

前期計画のふりかえりでは、5期連続の増収・営業増益を達成し、売上高・営業利益は3か年累計計画を上回り売上高1.2倍、営業利益1.5倍に拡大(対2015年度)、配当も7円(2015年度)から11円(2018年度予定)へ増配を継続していることなどを説明。

アクティブシニア向け分譲マンションは6号プロジェクトまで内定していると話した。

働き方改革「WSIWork Style Innovation)」では、2015年3月期と比較して2019年3月期は残業時間42%減、休日出勤日数99%減、有休休暇取得44%増となり、営業利益は208%増となった。

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2018年3月末までに稼働した8カ所のアパートメントホテルの平均稼働率は82.2%、平均客室単価は2.5万円、平均滞在日数は2.9日間で、宿泊者の国別内訳は日本8%、台湾26%、中国12%、香港10%、韓国7%、その他アジア15%などで、ほぼ想定通りのようだ。

記者も京都のホテルで体験宿泊したが、利用者には好評のようだ。他も同じようなホテルに参入しつつあるようだが、創業者利得を享受できるのではないか。

記者が注目しているのは「工事事業」だ。売上高150億円(2018年度117億円)、営業利益5億円(同4億円)、構成比率11%(同)としているが、この事業を担うコスモスモアは「HARUMI FLAG」のマンションギャラリーの施工を受注したように、デザイン・設計・企画力は高い。

ただ、セグメント名称の「工事事業」はいかがなものか。設計、デザイン部門であることを分かりやすくしたほうがいいのではないか。展開次第では長期的に売上高300億円(三井デザインテックは2017年度334億円)くらいに伸ばせるのではないか。

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全体として決算説明・中計説明会はとても分かりやすいものだったが、一つ希望を言えば、主力のレジデンシャル部門は競争が激しく、今後も伸長は難しいのは分かるのだが、商品企画、例えば〝魅せる玄関〟や、戸建てのリビング天井高5m、リビング-バルコニーのフラット化などについて高木社長には触れてほしかった。

〝山菜の女王〟腰油と一緒だ。同社の事業規模は大手デベロッパーと比べれば小さいが、商品企画は突出しており業界をリードしている。

同業の記者やアナリストの方もお金、数字では計れない価値を見出すことに力を注いではどうか。小生などは大手・中小まったく関係ない。優れた商品企画・デザインに出会えることに無上の喜びを感じる。

商品企画の勝利 即完の可能性も コスモスイニシア戸建て「グランフォーラム青葉台」(2019/2/15

 

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