黒白を付ける意味はあるのか オリンピック選手村裁判 双方の舌戦にうんざり
「官民癒着」「官製談合」「名誉棄損」「誹謗中傷」などと激しい言葉が飛び交う割には、どこか空疎な揚げ足取りの論議にも聞こえなくもない今回のオリンピック選手村裁判の原告と被告の舌戦にうんざりした。
どうも弁護士は国会議員と一緒のようだ。法廷内では相手を罵倒しようと冷水を浴びせかけようと甘言を弄して丸め込もうと、よほどのことがない限りその発言は罪には問われないようだ。法廷は治外法権の場に映った。
裁判はどちらが勝つか負けるか、率直に言ってあまり興味はない。この前も書いたように、それぞれの不動産鑑定士の鑑定評価に多少の見落とし、計算違いがあったとしても違法とまでは言えず、事業者選定の手続き上も瑕疵がないとすれば、この際、引き分け、和解するのがもっとも現実的な判断ではないかと思う。どこまで行っても裁判は平行線だろう。考え方の相違だ。白黒をつける問題ではない。
原告側の皆さんの指摘はよく分かる。中央区晴海の都有地が「檜原村の住宅地」並みで(記者は調整区域並みと書いた)民間に売却されるのは、社会正義を第一義とする皆さんにとって耐え難いことかもしれないが、国家的プロジェクトを成功に導くためには官と民が手を携えることが必要で、多少の犠牲・損失も多とする寛容さもあっていいのではないか。
「儲かったら双方で山分け」というのは何だか山師の談合のように思えなくはないが、皆さんの頑張りがそのような回答を引き出したと言えなくもない。
一方、「専門家の判断に瑕疵はない」(かんぽの宿の前例はどう理解したらいいのか)を盾に逃げ切りを図る被告の東京都は形勢有利と判断したのか、相手の弱点を徹底してつく戦法に出た。
しかし、それにしても、都民の財産をどうして地価公示の10分の1、原告が言うところの「檜原村の住宅地」並みの価格で売却したのか、「開発法」について分かりやすく都民に説明すべきだった。
「東京2020オリ・パラ選手村 敷地売却価格は地価公示の10分の1以下の〝怪」との見出しの記事を書いてから3年が経過した。アクセスが殺到した。日経のWeb「住宅サーチ」を合わせれば数万件に達したはずだ。その後もこの問題を追っかけてきた。その意味はあったはずだ。
◇ ◆ ◇
原告、被告の意見陳述について。まず、原告側。「官民癒着」「官製談合」などと相手を糾弾するのはいかがか。それを証明するには「いつ」「どこで」「だれが」「何を」「なぜ」「何のため」-いわゆる5W1Hの事実を完璧に証明する必要があるのではないか。「のり弁」だらけの鑑定報告書のようだが、主張は格好の揚げ足取りにされかねないと思う。
原告側はどうか。「現在の『晴海フラッグ』の分譲価格でさえ『高い』という専門家の意見があるのは周知の事実」というが、記者はその種の意見を寡聞にして知らない。「周知の事実」であるならば、是非とも「専門家」とはどなたか聞きたい。
少なくともわが業界には、デベロッパーの事業担当者以外にそのような人は存在しないと思う。「専門家」とは身内の人なのか、それとも鑑定報告書を作成した鑑定士のことか。これが藪蛇にならないことを祈る。
〝レガシーマンション〟にする事例の一つに、約1,200台の地下駐車場を整備することを上げたのはいい。これほどの地下駐車場を整備した分譲マンションは過去にないはずだ。小生は青山学院グラウンド跡地の「グリーンサラウンドシティ」しか知らない。ここは総戸数945戸分の駐車場を地下にした。
分譲価格を抑え、かつ質の高いマンションにするため土地を安く売却したと正直に言えば都民は納得するはずだ。
裁判長!ここは是非とも大岡裁きで幕を下ろしていただきたい。
とここまで書いて、ン…。重大なことを発見した。記者もうかつだった。昨年10月31日に事業者が記者発表したとき、駐車台数分(2,318台)をすべて地下化すると発表した。それが、今年の4月の時点では1,300台になっていた。そして、今回被告側は1,200台へさらに減らした。これはどういうことか。
オリンピック選手村裁判 安値売却は都と事業者の筋書き通り 原告側が意見陳述(2019/9/16)
オリンピック選手村裁判 原告側桝本鑑定士の意見書は証拠価値なし 被告側が意見陳述(2019/9/16)
和解、ノーサイドの道はないのか オリンピック選手村裁判 第7回口頭弁論(2019/9/13)
「HARUMI FLAG」 土地と建物の価格比率は調整区域並みの7:93 算定は妥当(2019/8/30)
「HARUMI FLAG」「著しく利益増」の「著しく」とは当初売上計画の1%(2019/7/30)
文句なしにいい 街づくり・基本性能 坪単価280万円か 「HARUMI FLAG」(2019/4/24)
三井不 銀座エリア4施設目のホテル「銀座五丁目」開業 近接に約2000室ホテル林立
「三井 ガーデンホテル銀座五丁目」( 右側の既存ビルは鹿島がホテルを建設する)
三井不動産と三井不動産ホテルマネジメントは9月26日、銀座エリアで4施設目となる「三井 ガーデンホテル銀座五丁目」を開業する。開業に先立つ17日、プレス内覧会を行った。
同ホテルは、東京メトロ銀座駅から徒歩4分(東銀座駅から徒歩1分)に位置する15階建て338室。客室面積は約17~34㎡(103室あるメインのツインは24㎡)。ルームチャージは約3.2万~6.5万円。
歌舞伎座や新橋演舞場に近接していることから、館内一部のアートは松竹の監修の下、日本の伝統芸能である「歌舞伎」をモチーフに、最先端の「粋な空間」を表現している。同社グループが運営する銀座エリアの施設では初めて大浴場を設置したのも特徴の一つ。
今回のホテル開業により、同社グループのホテルは全国で29施設目で、銀座エリアでは4施設目となり、4施設で客室数は1,000室を超える。
フロント
ラウンジ(檜舞台)
◇ ◆ ◇
同社のホテルは先月に「三井ガーデンホテル京都駅前」を取材し、体験宿泊もしたばかりだ。
その記事も参照していただきたいのだが、もっとも目を引いたのは1階のフロント・ラウンジ空間だ。「京都駅前」では組子デザインが最高に素晴らしかったが、今回は「朱」をテーマにしたフロント正面のきものデザイナー・斉藤上太郎氏が制作したアートが存在感を示している。
業務用「花王レアーナ」シャンプーも浴室にあった。これも褒めたいのだが、使用した者でないと分からないだろう。
2階エレベーターホール
レストラン
メディア向けに試食会が行われたSHARI和食膳(イメージ)
◇ ◆ ◇
今回のホテルの斜向かいには、サンケイビルが開発を担当する日本初進出のマリオット・インターナショナルの〝ALOFT(アロフト)〟ブランドのセレクトサービスホテル「ALOFT TOKYO GINZA(アロフト東京銀座)」(客室数206室)が2020年春に開業する。
その近接地では、東武鉄道が所有する土地に、これまたマリオット・インターナショナルが運営するアジア初のライフスタイルホテル「ACホテル・バイ・マリオット東京銀座」(客室数296室)が2020年夏に開業する。「ACホテル」の隣接は既存の「コートヤード・マリオット銀座東武ホテル」(客室数206室)がある。
さらにその先の銀座8丁目には「三井ガーデンホテル銀座プレミア」(客室数361室)があり、また、手前には東銀座駅すぐの「ミレニアム 三井ガーデンホテル東京」(客室数329室)もある。
今回のホテルと合わせ1,736室にも上る。これだけかと思ったら、今回のホテルの隣接地では鹿島建設が15階建て延べ床面積約8,170㎡のホテルを計画している。同社は「どこが運営するかも含め現段階では公表できないが、客室数は100室を超える。近接ホテルに負けないものを目指す」としている。
それぞれのホテルは徒歩5分圏内だ。単体ではわが国最大の2.311室の「アパホテル&リゾート〈横浜ベイタワー〉」があるが、それに匹敵する規模となる。コンセプトは異なるのだろうが、他人事ながら心配になってくる。大丈夫か。
いっそのこと、ホテルが面する「日比谷通り」を「ホテル銀座通り」に変更したらどうか。
朱色の歌舞伎「連獅子」デザインの客室(トリプル)
大浴場(パジャマで出入り可能)
オリンピック選手村裁判 安値売却は都と事業者の筋書き通り 原告側が意見陳述
オリンピック選手村裁判 原告側桝本鑑定士の意見書は証拠価値なし 被告側が意見陳述(2019/9/16)
和解、ノーサイドの道はないのか オリンピック選手村裁判 第7回口頭弁論(2019/9/13)
「官民癒着」と原告 「誹謗中傷」と被告応酬 第6回 選手村住民訴訟 口頭弁論(2019/5/18)
9月13日行われた、いわゆるオリンピック選手村裁判で、東京都を訴えている原告側代理人弁護士・千葉恵子氏は次のような意見陳述を行った。
◇ ◆ ◇
1 原告らは、本日、準備書面6、準備書面7、準備書面8、調査委託申立に関する被告意見書に対する反論書を提出しました。
2 準備書面6では本件土地価格に関する主張を行いました。
土地価格については、既に桝本鑑定士による鑑定評価(甲68)、意見書(甲77)を提出していますが、今回、修正意見書(甲92)を提出しました。これは、被告から日本不動産研究所作成の調査報告書が改めて提出され、以前黒塗りだった部分が一部明らかになったり、その後公表された資料などで明らかになった事実を踏まえて作成されたものです。この修正意見書に基づいき、いわゆる「選手村要因」を考慮した本件土地の評価に関する主張を行いました。
修正意見書は、オリンピック要因を考慮し、調査報告書が用いた数値のうち、明らかになっていない数値や明らかになっていても適正とはいえない数値については桝本鑑定士による分析に基づく数値が用いられています。修正意見書は、調査報告書の内容の不備として土地譲渡価格の90%が後払いであることが考慮されていないこと、建築工事費が不相当に高く計算されていること等を指摘しています。修正意見書によれば、「選手村要因」を考慮しても、本件土地価格は1653億2100万円に上ります。
被告が決定した本件土地処分価格は129億6000万円であり、上記金額の8%にも満たず、坪単価で比較すれば東京都西多摩郡檜原村の住宅地や商業地域と同程度の価格です。この事だけでも異常な安値であることは明らかです。さらに、修正意見書では、桝本鑑定士により、その知識と良心に従ってオリンピック要因をも考慮した適正価格が導かれているのであり、適正価格に比して処分価格は異常な安値であることは明らかです。
被告は、これほどの財産価値を有する不動産を、わずか129億6000万円と鑑定による価格の92%も減額して処分する、すなわち東京都民の財産を約1480億円も失わせるのですから、かかる減額の根拠を明確に示すべきです。
にもかかわらず、被告東京都は、価格算定の唯一の根拠である調査報告書に基づく具体的な主張はほとんどせず、調査会社の権威を根拠に適正な調査である旨の主張を行うのみです。このような態度は到底許されるものではありません。
3 準備書面7では原告らは、どのようにして処分価格がそのような異常な安値になったのか、その処分価格とする方策の検討がどのように行われたかについて、2013年9月にパシフィックコンサルタンツ株式会社が作成した「選手村開発方針検討支援業務報告書」(甲93)(以下「支援業務報告書」と言います)がその筋書きを作り、それに基づいて進められたと評価できると主張しました。
(中略)
本件土地価格の不当な低廉さは、このように被告東京都と事業協力者の(支援業務報告書に記載されている)上記シナリオに基づく綿密な事前協議のもとに実現しており、行為の違法性は明白です。
支援業務報告書も多くの部分が黒塗りのため明らかでない部分があります。原告らは黒塗りにした部分が時の経過とともに明らかにならないか、と期待し、東京都に対して開示を求めました。開示決定の時期が延期されて、その結果を待っているところです。(開示された模様)
4 原告らは、被告と事業協力者との協議記録に関して、被告に対して情報開示請求の方法をとりましたが、「既に全て廃棄して開示できない」という理由で開示されていませんでした。地方自治体は、本件のような公共的な事業に関しては、事業協力者との協議記録は公文書として保管して、住民に全て開示すべきです。それが開示されなかったために、やむなく調査嘱託の申立を行いました。調査嘱託の採用を求めます。
そして、被告には再度、電子データで保管されていないか、など探索をし、保管されている場合には明らかにするように求めます。
オリンピック選手村裁判 原告側桝本鑑定士の意見書は証拠価値なし 被告側が意見陳述
和解、ノーサイドの道はないのか オリンピック選手村裁判 第7回口頭弁論(2019/9/13)
オリンピック選手村裁判 安値売却は都と事業者の筋書き通り 原告側が意見陳述(2019/9/16)
「官民癒着」と原告 「誹謗中傷」と被告応酬 第6回 選手村住民訴訟 口頭弁論(2019/5/18)
9月13日行われた、いわゆるオリンピック選手村裁判で、被告(小池百合子都知事)側代理人弁護士・薮田広平氏は次のように述べた。
◇ ◆ ◇
原告らの主張及び提出した書証に多くの問題があることは、既にこれまでにも述べたところですが、今回甲92号として提出された桝本鑑定士の修正意見書にも、明確な問題・矛盾が含まれています。
第一に、甲92号証の修正意見は、価格時点を「平成28年5月25日」とした上で、本件土地の価格の算出を行っていますが、不動産鑑定士が遵守すべき国土交通省の定める不動産鑑定評価基準運営上の留意事項(乙28号証)によれば、算出に当たって参照すべき基礎資料も価格時点である「平成28年5月25日」に近い時点において入手可能であったものでなければなりません。しかしながら、桝本鑑定士は、甲92号証の修正意見書において「令和1年7月22日時点の晴海フラッグの販売価格表」に記載された販売価格に言及する等、価格時点近辺においておよそ入手し得なかった資料を価格算定の基礎資料として使用しているため、まさに論理が破綻している上に不動産鑑定評価基準違反による算定を行ったものと言わざるを得ません。これは、桝本鑑定士の意見、そしてひいてはこれに依拠する原告らの主張かぜ根拠のないものであることを如実に顕すものです。
第二に、原告らが甲68号証として提出した桝本鑑定士の作成にかかる不動産鑑定評価書においては、最有効使用を前提とした正常価格として、本件土地の価格を1611億1800万円と算出している一方で、甲92号証の修正意見書では、本件土地の価格を1653億2100万円と算出しています。すなわち、桝本鑑定士の価格算出結果によれば、最有効使用を前提とした正常価格よりも選手村要因に基づく様々な負担を考慮した価格の方が高く算出されているという結果となっており、これも論理的な整合性を欠いたものであり、算定のいい加減さを顕すものと言わざるを得ません。
第三に、甲92号証の修正意見書においては、実際には本件土地上に建築が予定されている建物には大規模(合計100台以上分)もの地下駐車場が設けられることになっているにもかかわらず、この点が価格算出の基礎とされていません。地下駐車場の設置は、土地の掘削等のために多くの工事費の発生を伴うものであり、共用部分とは言え、居住部分を繋ぐ共用廊下の施工に要する工事費と同列に扱うことは出来ません。(後略)
第四に、仮に、原告らが適正価格であると主張する価格で東京都が特定建築者に本件土地を売却することを想定した場合には、特定建築者がその取得に要する費用がおよそ1500億円増額となるため、現在「晴海フラッグ」として販売が開始されている分譲マンションの土地代込みの開発費用は、その分増加することになります。現在の「晴海フラッグ」の分譲価格でさえ「高い」という専門家の意見があるのは周知の事実ですが、これが更に大幅に高額化し、本件開発事業が事業として非現実的なものになってしまうことからも、原告らの主張のいい加減さを顕すものと言わざるを得ません。
「晴海フラッグ」は、いわゆるオリンピックレガシーの一部として後世に残すべきものであり、これは東京都が立候補ファイルにおいて公約している事項です。そして、このような趣旨に鑑みれば、適正な価格の範囲でできる限り多くの人に購入の機会が確保されるのが望ましいものです。仮に、原告らが適正価格であると主張する価格で特定建築者に売却した場合には、この趣旨の反するものと言わざるを得ない点も、被告弁護団として付け加えさせていただきます。
第五に、原告らは、「土地譲渡価格の90%が後払いであることが考慮されていないこと」に言及した上で、日本不動産研究所の調査報告書の内容を批判してもいますが、そもそも、不動産鑑定士が遵守すべき国土交通省が定めた「不動産鑑定評価基準運用上の留意事項(乙28号証)に拠れば、「マンション等の販売総額」と「建物の建築費及び発注者が直接負担すべき通常の付帯費用」は割り戻し計算の対象となりますが、土地価格はその計算の結果として算出される額であるため、土地の譲渡価格の支払条件を考慮して土地価格自体の割り戻し計算を行うことは許されません(略)。この点についても被告は追って詳細に主張いたしますが、桝本鑑定士の意見及びこれに依拠する原告らの主張はこの点を看過した不当なものと言わざるを得ません。
(中略)
そもそも、公益社団法人日本不動産鑑定士協会連合会鑑定評価基準委員会が定めた「『価格等調査ガイドライン』の取扱いに関する実務指針」によれば、原告らが主張の根拠としている修正意見書は(中略)、「価格等調査ガイドライン」の適用を受けるものとなります。ところが、当該修正意見書には、価格等調査ガイドラインの定めた必須記載事項を未記載としている問題点があります。(中略)桝本鑑定士の意見書は不動産鑑定士が作成した書面としての証拠価値を認めるには足りないものに過ぎません。
加えて、先ほど原告ら代理人はこのような、不動産鑑定士が遵守すべき義務に従うことなく作成された文書のみをもって、本件土地の譲渡価格を「不当に低廉」と強弁し、これを実行するため東京都と事業協力者が綿密な官製談合協議を行ったなどと、再び関係者に対する重大な名誉棄損行為を行いました。しかしこれまで再三に亘り、被告からその官製談合協議が行われたことを示す証拠を提出するよう原告らに対して求めていたにもかかわらず、結局今回、原告らが提出した証拠は、第三者が作成した文書一つのみであり、相当な証拠に基づかずに原告らがこれまで名誉棄損行為に及んできたことが明白になったといえます。このような極めて恣意的かつ悪意を持った原告らの官製談合などという言いがかりは、第1回期日で被告代理人が原告らに申し上げたところですが、重大な人権侵害であり、根拠づける証拠の提出を原告らが出来ないことも明らかになった以上、即刻取り下げて然るべきものです。
冒頭に述べましたとおり、被告は、次回、ここで意見として述べた点を含め、今回原告らから提出された主張に対して網羅的かつ具体的に反論を行うとともに、その反論の基礎付けとなる書証を提出する予定です。
なお、原告らは、原告らとして出すべき主張及び証拠はすべて今回までに提出するとの前提の下、およそ6か月もの準備期間を経て、今回準備書面及び書証を提出するに至っているものであり、既にすべての主張及び立証を尽くしているものと理解しております。このような状況を踏まえ、裁判所におかれましては、今後提出を予定している被告の反論及び書証の提出が済みましたら、速やかに弁論を終結の上、ご判断を賜り、早期解決にご尽力いただけますよう、切にお願い申し上げます。
災害時の支援施設として開放 日本初のモデルハウス アキュラホーム×日産リーフ
「モラージュ菖蒲ハウジングステージ」
アキュラホームは9月13日、災害時に支援施設として一般に開放する日本初のモデルハウスを久喜市の住宅展示場「モラージュ菖蒲ハウジングステージ」に公開した。
日産自動車、日産フリンス埼玉販売と災害連携協定を結び、蓄電量40kwhの大容量の発電能力を有す電気自動車日産リーフを展示場に装備し、災害時の停電時に電力を供給するとともに、掘削した井戸から井戸水を提供し、さらに災害備蓄品を装備することで、一時避難所として提供する。日産は災害時には他のリーフの配備も行う。
同社は今回のモデルハウスを全国150カ所の住宅展示場にも展開する意向で、他のハウスメーカーが同様の取り組みを行うことを期待している。
記者発表会に臨んだ同社宮沢俊哉社長は、「災害に強い住宅を供給するのは我々の使命だが、同時に復興を支援するのも重要。すでに4~5年前、井戸付き住宅を提案し、令和元年には日産リーフを標準装備し、太陽光発電と蓄電池機能を備えた全館冷暖房費ゼロ、光熱費ゼロ、自動車燃料費ゼロの『ミライの家 Rei』を発売した。今回、災害支援施設にしたのは、リーフの大容量の蓄電池機能を生かし、一時避難場所としても提供することで地域に貢献する」ことが狙いとし、今後は「当社の全国150カ所の住宅展示場でも順次装備していく。同様の取り組みが他のメーカーにも広がることを期待している」と述べた。
モデルハウスは、木造2階建て延べ床面積約19.㎡。停電時には約6,000人以上(1台30分)の携帯電話を充電することが可能。6×6mスパン、天井高約5660ミリの吹き抜けリビング大空間を提案しているほか、オリジナル全館空調システム、手掘り井戸を装備している。
同社はまた、激発する自然災害を受け、〝災害に強い住まい〟として太陽光発電と5.6kWの蓄電池を装備した「ココイエ レジリエンス」を85㎡:1,450万円~50棟限定で緊急発売する。
宮沢社長
宮沢社長と日産リーフ
井戸
◇ ◆ ◇
意表を突くいい取り組みだ。記者は車の購入費や維持費は安くなく、その分だけ住宅建設や購入費を抑えなければならないので〝住宅の敵は車〟だとずっと思っていた。環境汚染や〝死の恐怖〟のリスクも考えると車は両刃の剣だ。
その車と高機能の住宅や住宅展示場と組み合せれば、災害時に人々を救うことを知った。
ただ、車のことは全く知らないので、〝どうしてリーフでないといけないのか〟と聞いたら、宮沢社長も日産自動車関係者もリーフは他社の電気自動車と比べ蓄電容量が大きいのだという。40kwhだと東京-名古屋間を走れるというし、停電時の住宅では、昼間の使用量を抑えれば4日間くらいは持つという。(高性能の充放電機器パワーステーションは100万円前後というのが課題のようだ)
住宅展示場を災害時の一時避難場所にするのも大賛成。住宅展示場が全国にどれだけあるかしらないが、敷地面積はどこも広いはずで、最先端の住宅ばかりだろう。相当数の人を受け入れることが可能なはずだ。
難点は、どこの展示場も火気厳禁になっているはずで、モデルハウスはトイレや風呂、調理できる仕様になっているのかどうか。
それと水の確保だ。宮沢社長の自宅は水質検査を行った結果、飲料水として利用できるようになったとか。全国の住宅展示場も共同で掘れば費用は抑えられるはずで、水は飲めるのではないか。
住宅展示場がそのような施設になれば、見方も変わるはずだ。ひょっとしたら、来年のグッドデザイン賞で最優秀賞を受賞するかもしれない。それくらいのヒット作だ。
大空間
ポラスのマンション好調 商品企画支えるのは2児のワーキングママ・西牟田奈津子氏
「車の出し入れ まもるんスペース」
ポラスグループの中央住宅が分譲マンション「ルピアコート西大宮」(124戸)に企画・提案した、機械式駐車場での事故から子供を守る「車の出し入れ まもるんスペース」が「第13回キッズデザイン賞」を受賞するとともに、優秀作品33点にノミネートされた。同社がキッズデザイン賞を受賞するのは3度目で、優秀作品にノミネートされたのは初めて。
「車の出し入れ まもるんスペース」は、機械式駐車場での事故や怪我から子どもを守ろうという発想のもと、駐車場周りのウェイティングスペースを進化させたもの。この種の取り組みは全国初という。
◇ ◆ ◇
今回、キッズデザイン賞を受賞したのは263作品で、その中から33の優秀作品に同社がノミネートされたのはとても嬉しい。
「車の出し入れ まもるんスペース」を含め同社のマンション商品企画は突出しており、その企画力は好調な売れ行きが証明している。「ルピアコート西大宮」をはじめ、最近の「ルピアグランデ浦和美園」「ルピアコート新越谷」などの記事も参照していただきたい。
「ルピアコート西大宮」は記者も絶賛した。戸数が124戸もあり、完売までに1年以上かかっているが、大健闘だろう。
「ルピアコート新越谷」85戸はわずか4カ月で完売した。モデルルームを見たとき、その商品企画から早期完売するのは当然と見た。
驚くのは「ルピアグランデ浦和美園」だ。9月6日現在、全340戸のうち290戸を契約したことだ。
首都圏郊外部や「浦和美園」のマンション・戸建て市場を知る人だったらお分かりのはずだ。立地、競合などを考えれば年間100戸売れるかどうかだろう。下手をすれば数年間も根雪のように残りかねないエリアだ。
それが、昨年6月の分譲開始からわずか1年3カ月で290戸を成約し、竣工完売のめどが立ったという。驚異的だ。昨年(2018年)の「ベスト3マンション」の一つに選んだのは正解だった。記者にも少しは見る目があるということか。
「かくれんBOX」
◇ ◆ ◇
同社のマンション事業は2018年3月期で初めて売上100億円を突破した。数字そのものは他の大手と比較にならないが、商品企画は堂々と大手と渡り合える。以下、ここ10年くらいの同社の商品企画の進化を振り返り、紹介する。
ピアキッチンを初めて見たのは2012年だった。家事を効率的に行え、省スペースでも家族とのコミュニケーションが図ることができ、少なくとも100万円くらいのテーブル・収納購入費が節約できるスグレモノだ。いまでは似たものを大手が採用するようになっている。
ソフトクローズ機能付き引き戸。これは今では常識だが、10数年前、担当者に「閉めるときのバタンという音を消すのはいいが、開けたときの戸当たりのバタンを解消しないと」と話した。同社はすぐ採用した。郊外物件で開閉ともほとんど標準装備しているのは同社くらいしかないはずだ。
このほか、子どもの様子が見える「窓から洋室 見えROOM」、子どもが届かない洗面室の「とどかないJ錠」、廊下などの巾木を丸めた「角丸」、子どもがゴミ箱をあさらない「かくれんBOX」、子どもの絵などを廊下に飾れる「マイギャラリー」、自転車の充電ができる「玄関充電コンセント」、子どもの危険防止の「ダイニング近くのコンセント」、洗濯物の「ちょいおきレール」などを独自に開発し、「ポラスのしあわせメソッド」として差別化を図っている。
これらは、似たものを採用しているところもあるが、これほど徹底して標準装備しているデベロッパー・ハウスメーカーはまずない。
「ルピアグランデ浦和美園」モデルルーム
◇ ◆ ◇
これらの商品企画を担当しているスタッフの一人が、2児のママでもある入社11年目の同社マインドスクェア事業部マンションディビジョン主任・西牟田奈津子氏だ。
昨年6月、産休明けの西牟田氏と「浦和美園」の販売事務所で久々に会ったとき、記者は次のように書いた。
「もう10年くらい前か、西牟田氏が商品企画開発に熱心だったので、当時、業界の最先端を走っていた大京に頼んで、あるマンションのモデルルームを一緒に見にいったことがある。いまは完全に立場が逆転した」と。
その西牟田氏が2児のママさんだ。商品企画を語るときの西牟田氏の目は子どものようにキラキラ光る。三回り以上も年が違う記者を子ども扱いするように…。
いま、デベロッパーは価格を抑え、利益を優先するためキッチン収納などはほとんどオプションにしている。それをしないポラスに拍手喝采。これこそが、「お客様のより豊かな、そしてより楽しく幸せな、安全で安心して暮らせる暮らしづくりに貢献し、もって社会の発展に寄与する」企業理念の実践だ。
さて、キッズデザイン優秀作品記者発表・表彰式で同社はどのような賞名の優秀賞を受賞するのか。33作品の賞名は9月25日に発表される。
主婦目線の商品企画が抜群 ポラス 全85戸の「新越谷」販売好調(2019/4/12)
〝待つわ〟ピアキッチン4割に設置 レベル高いが一層の差別化を ポラス「浦和美園」(2018/6/2)
これほど働く主婦の目線に立ったマンションはない ポラス「ルピアコート西大宮」(2017/4/12)
商品企画のよさ・特徴 もっとアピールを ポラス「浅草」好調スタートしたが…(2018/6/20)
ラグビー世界最強NZ オールブラックス応援イベントに7000人超 柏市×三井不
「KASHIWA RUGBY DAY 2019 in KASHIWA-NO-HA」オールブラックス選手入場
ラグビーワールドカップ2019日本大会開幕まであと6日に迫った9月14日、世界最強のニュージーランド代表オールブラックスのオフィシャルスポンサーである三井不動産は千葉県柏市と共催し、オールブラックス応援イベントを柏市内で行った。
会場となった千葉県立柏の葉公園総合競技場には7,000人を超える観客が集まり、子どもたちを中心とする市民がマオリ語のニュージーランド国歌を合唱してオールブラックス選手を迎え、選手と一緒にハカを披露し、ゲーム、サイン会、撮影会などを楽しんだ。
市民の歓迎に対し、オールブラックスを代表してブラッド・ウェバー選手は、「こんにちは、よろしくお願いします。素晴らしかった。こんなに熱い応援は一生忘れられません」と日本語交じりで応えた。
会場ではこのほか、全国クラスの流通経済大学ラグビー部によるラグビー体験コーナー、出店・屋台なども出店され賑わった。
イベントは、オールブラックスチームを誘致し、事前キャンプ(9月10日~14日)を行うことを記念して「KASHIWA RUGBY DAY 2019 in KASHIWA-NO-HA」と銘打って行われたもので、子どもたちの夢を育み、スポーツ振興や国際交流など、地域の活性化などを目的とした活動の一環。
イベントに参加した、駅前のマンションに5年前に入居した40代の子ども連れは「小学1年の娘が通う学校に選手が来てくれた。もちろんニュージーランドを応援する」と語り、40代の男女二人のこどもを持つ市内の40代の夫婦は「5年生の息子がハカを披露し、小学3年の娘が国歌を歌う。わたし(ご主人)のおじいちゃんはラグビーの選手だった」と、子どもがイベントに参加できたことを喜んでいた。
高校ラグビー全国大会でも活躍している流経大柏高校ラグビー部に所属する生徒の母親4人のグループは、「川越から車で1時間半」「わたしはもっと遠く寄居町(埼玉県)」「わたしは新座」「わたしが一番近いかしら。つくば市」などとそれぞれ話した。「よく食べるんでしょう」と聞いたら、「普通の人の5倍かしら。3合は食べる」そうだ。
左からAnton Lienert-Brown、Richie Mo’unga、Patrick Tuipulotu、Ofa Tuungafasi、
Brad Weber各選手
◇ ◆ ◇
取材を終え、オールブラックスの宿舎であり、選手が飲んだであろう美味しい酒を飲もうと三井ガーデンホテル柏の葉のレストランに入ろうとしたら、明日(15日)までチーム関係者の貸し切りだった。
駅前のオーガニックレストランもすでにランチの時間は終わっており、仕方なく、ららぽーとの回転寿司屋に入った。注文は全てタブレット。スマホすら満足に扱えない記者は面食らった。ロボット相手に酒を飲み、寿司を食べる時代になったか。
それにしても三井不動産はさすが。世界最強のニュージーランドを応援するとは。「柏の葉」は「多摩センター」に追いつき、瞬く間に抜き去った。回転寿司屋のトロはものすごいスピードで目の前を通り過ぎた。
流通経済大学ラグビー部によるラグビー体験コーナー
ニュージーランド国歌合唱
ニュージーランド国歌合唱
ハカの披露
選手と生徒の記念撮影
サイン会(左)と撮影会
和解、ノーサイドの道はないのか オリンピック選手村裁判 第7回口頭弁論
東京都が晴海オリンピック選手村用地を民間事業者に約130億円で売却したのは「適正価格」約1,653億円(従来主張は約1,611億円)からして異常であり、妥当額との差額1,480億円(同約1,200億円)を支払うよう不動産会社11社に請求せよと原告の住民らが被告・小池百合子都知事を訴えた住民訴訟の第7回口頭弁論が9月13日、東京地裁で行われた。
原告側は、新たに判明した事実・数値などを論拠に、提出済みの桝本鑑定士による適正売却評価額を従来主張の約1,611億円から1,653億円と〝上方修正〟し、都が民間業者に売却した約130億円との差額も従来価格から約280億円上乗せした約1,480億円を民間業者に請求することを求めた。〝異常〟な安値で売却したのは、官民が「シナリオに基づく、綿密な事前協議のもとに実現しており、行為の違法性は明らか」と主張した。
これに対し、被告側弁護人は、桝本鑑定士による鑑定評価は鑑定士が遵守すべき鑑定手法に基づいて行ったものではなく不当であるとし、不当な鑑定手法に基づき、具体的証拠を示さず「官製談合」などと主張するのは「重大な名誉棄損」であり、「極めて恣意的かつ悪意を持った」言いがかりと反論。次回は、「網羅的かつ具体的に反論を行う」とし、次回をもって「速やかに弁論を終結のうえ、早期解決にご尽力いただきたい」と裁判長に訴えた。
次回は来年1月17日(金)15:00から、419号法廷で。
◇ ◆ ◇
この裁判を傍聴するのは3回目だ。前2回と異なり、今回は最前列のやや被告側席に座り、裁判長、原告側弁護士、被告側弁護士のそれぞれの一挙手一投足を野球のスコアを付けるのと同じように克明にメモした。
女性裁判長は年代にして40代か。肩までありそうな黒髪を後ろで束ね、イヤリングは点けず、化粧などもほとんどしていないように見えた(記者は近眼&老眼)。女性らしいと言えば、黒の法衣と白いうなじから覗く小さなやや赤みがかったスカーフ(あるいはボウタイと呼ぶのか)だけだった。
原告、被告の口頭弁論が行われた約20分間、ほとんど身じろぎせず、デスクトップ(何が置かれているのか不明)を凝視し続けた。発した言葉は、双方の手続き上に関することのみで、場を和ませるジョークや私語は一つもなし。
被告側弁護士は総勢8名。うち7名は職業病と思われる老眼ではない近眼メガネ。最後尾に座った30代と思われる3名はややくたびれた、しわだらけのボタンダウンのシャツ姿だったほかは、責任者と思われる弁護士をはじめダークスーツにネクタイ。
責任者と思われる弁護士は、原告側の主張を聞きながら、余裕なのか苛立ちなのか腕を組んだり、額に手を当てたり、祈りのポーズを取ったり、指をかんだりしていた。
原告側席は前回と同じように20名以上はいた。その多くは記者と同年配か。普段着の人も多かった。責任者と思われる淵脇弁護士は黄色のシャツに黒のスーツ。もう一人の弁護士はシマウマ模様のスーツ姿。
◇ ◆ ◇
どうでもいいことを書いたが、少しはこの種の民事訴訟の法廷の雰囲気を伝えられたはずだ。記者が好きなジョン・グリシャムの法廷小説のような激しいやり取りは皆無で、観客(傍聴人)を沸かすシーンもなし。時間も30分足らず。拍子抜けをするのは間違いない。
双方の意見陳述書が配布されたので、機会を改め、できれば全文を紹介しようと思うが、以下は大まじめの記者の感想。
双方の主張はよく分かる。このままどこまで行っても平行線だろう。決着、黒白をつける意味はあるのか。もうノーサイド、引き分けにしてはどうか-これが率直な意見だ。
白黒をつけた場合、記者がもっとも危惧するのは不動産鑑定士の立場だ。これまでも機会あるごとに書いてきたが、不動産鑑定士の試験はものすごく難しいのに、難関を突破してもそれなりの地位・所得が保証されない。法律に違反すれば罰せられる。仕事上で得た情報は守秘義務の壁が立ちはだかる。意味不明のクライアント・プレッシャーも感じているようだ。
今回の裁判でどちらかが勝訴(敗訴)しても、不動産鑑定は何なのかが問われる。何しろ鑑定評価額は1:10だ。決着をつけるより、不動産鑑定はそんなものとグレー、アンタッチャブルゾーンにしたままでいいのではないか。(被告側は桝本鑑定士を徹底して批判したが、これは公平ではない。汚点となるか名誉となるか知らないが、ならは被告側の鑑定士も名を名乗れ)
もう一つ。もう論議は尽くされた。これ以上やっても時間とカネと労力を浪費するだけだ。「官製談合」だの「名誉棄損」だの「人権侵害」だのと、たいした根拠もありそうもないのに、大口を叩く弁護士にはうんざり。
裁判長、ここは是非とも和解勧告をしていただきたい。〝わたしがルールブック〟-従わなければ法廷侮辱罪で退場させればいい。(わが国にはそんな罪はないのか)
「HARUMI FLAG」 土地と建物の価格比率は調整区域並みの7:93 算定は妥当(2019/8/30)
「官民癒着」と原告 「誹謗中傷」と被告応酬 第6回 選手村住民訴訟 口頭弁論(2019/5/28)
オリンピック選手村住民訴訟も佳境に 原告、被告双方 相手を「著しく」非難(2019/2/20)
東急不動産・東急 カリスタ女子短大跡地「ブランズシティあざみ野」分譲開始
東急不動産と東急は9月12日、2017年に閉学した「カリタス女子短期大学」の跡地マンション「ブランズシティあざみ野」(286戸)の第1期販売を9月13日から開始すると発表した。
物件は、東急田園都市線あざみ野駅から徒歩7分・8分、横浜市青葉区あざみ野二丁目に位置する敷地面積約13,705㎡の地下1階地上5階建て全286戸。第1期(48戸)の専有面積は58.31~99.67㎡、価格は5,890万~13,740万円(最多価格帯7,300万円台)。竣工予定は2020年11月下旬。設計・監理は東急設計コンサルタント。デザイン監修は光井純アンドアソシエーツ建築設計事務所。施工は大豊建設。
外観デザインは、カリタス女子短期大学のレンガ造りの校舎をほうふつとさせる、瀟洒な建設美が特徴。敷地内には医療法人社団プラタナスが運営する「青葉アーバンクリニック」も併設予定。このほか、カルチャースクール、フィットネスプログラムなど心と体の「健康」につながるソフトサービスを建物内のパーティールームなどを活用して提供する。
◇ ◆ ◇
田園都市線のマンションでは、2017年分譲の東急電鉄他「ドレッセWISEたまプラーザ」が人気を呼んだ。あざみ野もいい街だ。
デザイン監修に光井氏、設計・監理に東急設計コンサルタントを起用しているようにかなり力が入っていると見た。機会があったら見学してレポートしたい。
一戸当たり土地持ち分67㎡ 日土地ほか「バウス武蔵境」 悩ましい都市計画道路
「バウス武蔵境」完成予想図
日本土地建物(事業比率55%)・三菱地所レジデンス(同40%)・三信住建(同5%)の3社JV「バウス武蔵境」を見学した。駅から徒歩9分の第一種低層住居専用地域(一部除く)に位置する全130戸。敷地面積約8,779㎡のうち約2,100㎡の都市計画道路区域をどう見るか悩ましいマンションだ。
物件は、JR中央線武蔵境駅から徒歩9分、武蔵野市境2丁目の建ぺい率40%、容積率80%の第一種低層住居専用地域(一部建ぺい率60%、容積率200%の第一種中高層住居専用地域含む。加重平均の全体容積率は約91%)に位置する敷地面積約約8,779㎡の全130戸。専有面積は54.60~77.95㎡、価格は未定だが坪単価は300万円台の前半になる模様。竣工予定は2020年9月下旬。設計・監理はSHOW建築設計事務所。施工は若築建設。販売開始は10月下旬。
現地は、アジア大学通り面している。低層住宅などが広がる第一種低層住居専用地域。対面は大京のフラッグシップマンション「ザ・ライオンズ武蔵野」。
敷地は南北軸が長い長方形で、敷地西側の約2,100㎡(幅約16m×長さ約131m)は都市計画道路の区域にかかっている。
建物は4棟構成。第一種中高層地域の道路に面するサウス棟が7階建て30戸、敷地西側の1低層エリアのグリーンプロムナード(公開空地)に面したウエスト・ノース棟が77戸、東向きのイースト棟が23戸。
1戸当たり土地持ち分は単純計算して約67㎡(敷地約1万㎡の1低層の住友不動産「インペリアガーデン」は約59㎡)もあるのが最大の特徴で、敷地には70種15,000本の植栽を施し、都市計画道路区域はグリーンプロムナードとして近隣住民も利用できる公開空地とし、住民同士がコミュニティを育むことができるサークルガーデン、コミュニティガーデンも配置する。
ブックラウンジや庭園の設置のほか、コミュニティの企画、チャイルドロック付きガスコンロなどが評価され、都の武蔵野市初の「東京都子育て支援住宅」に認定されている。
主な基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、ディスポーザー、食洗機、御影石キッチンカウンター、リビング天井高2440~2510mm。日土地ブランド〝バウス〟オリジナル収納「コアクロ」(有償)を提案しているのも特徴の一つ。
グリーンプロムナード(公開空地)
◇ ◆ ◇
日土地の新ブランド〝バウス〟が誕生してから3年が経過する。〝バウス〟の頭文字「バ」は、三井不動産レジデンシャル「パークホームズ」、三菱地所レジデンス「(ザ)パークハウス」、野村不動産「プラウド」、東京建物「ブリリア」、東急不動産「ブランズ」(ほかにJR西日本プロパティーズ「プレディア」)と同じハ行。大手の一角に食い込むのかと期待したのだが、その後、数えるほどしか供給しておらず、見学するのは今回が初めてだった。
約71㎡の地下住戸を想定したモデルルームはよくできていた。約11㎡のテラスと約23㎡のテラス(ドライエリア)を合わせると奥行きは約6.1mあり、アウトドアリビングとして利用できるように提案していた。
洋室の一角に設置した2段組の「コアクロ」は約1.7畳大。上段を書斎や子ども部屋、下段をキャスター付きの収納にしているのもなかなかいい。ただ、堅牢なもので値段がかなり高くなりそうなのが課題(三菱地所が発売開始した60万円台の「箱の間」もやや高い)。
肝心の価格(坪単価)はどうか。同社は「未定」としているが、このところの中央沿線のマンション価格は高騰しており、坪300万円以下はありえない。大京「ザ・ライオンズ武蔵野」は坪単価330万円でもよく売れたので、かなり高くても売れるかもしれないが、問題は都市計画道路をどう見るかだ。
厄介なのは計画通り道路は出来るのかも全く不明であることだ。道路計画が都市計画決定されたのは昭和37年だから半世紀がとっくに過ぎた。
だから、グリーンプロムナードはずっと残るのかどうかも全く分からない。分からないものを評価するのは難しい。(都市計画道路に指定された場合は、固定資産税や都市計画税の減免があるはずだが)
三菱地所レジデンスは駅の反対側で単独マンションを計画しているので、強気な価格設定を希望するはずだが、日土地はどのように値付けをするか。記者は坪320万円くらいに落ち着くと見たがどうだろう…最終的に価格を決めるのはお客さんだ。
地下住戸の専用テラス(モデルルーム)
ダウンサイジング流行りにぴったり 三菱地所〝部屋の中の小屋〟「箱の間」発売(2019/8/27)