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安藤忠雄氏(左)と和田氏(「wホテル」の記者会見で。仲裁役は安藤氏以外ない)

 積水ハウスのトップ人事について、当時会長だった取締役相談役・和田勇氏は「世代交代」ではなく「解任」だったという報道が波紋を広げている。日経新聞が最初に報じたとき、その記事内容からして「解任」は事実だろうと判断した。和田氏ファンの記者は相当のショックを受けた。

 トップ交代は〝変だ〟とは思った。和田氏の功績を考えたら取締役を退くことなどあり得ないからだ。そうだとしても名誉職として残るはずだ。

 それでも「世代交代」を真に受け、記事では「和田会長が退任されると、絶滅危惧種の大阪弁を聞く機会が少なくなるので残念だが」にとどめた。

 しかし、報じられている記事が事実だとすれば、「大阪弁を聞く機会が少なくなる」どころか、その機会はまったくなくなる可能性のほうが高い。

 和田氏は現在、住宅生産団体連合会(住団連)の会長、キッズデザイン協議会の特別顧問、優良ストック住宅推進協議会の代表理事、不動産協会の理事を務めている。

 住宅・不動産業界の団体で所属会社・団体・役職がない人が理事を務めているのは、全国住宅産業協会(全住協)副会長・佐々野俊彦氏(前飯田HD副会長、元東栄住宅社長)以外知らない。この例に倣えば、和田氏がこのまま各団体の長にとどまることは可能かもしれないが、まず無理だろう。これが残念でならない。

 和田氏はご存じのように一昨年、旭日大綬章を受章している。過去、同章を受章している業界人は和田氏を含め奥井功氏(当時積水ハウス会長)、樋口武男氏(大和ハウス工業会長)、岩沙弘道氏(三井不動産会長)の4人しかいない。和田氏は業界の宝だ。和解の道はないのだろうか。

◇       ◆     ◇

 これはメディア・リテラシーの問題でもある。日経新聞の記者はさすがだと思う。和田氏の歯に衣着せぬもの言いからして、夜討ち朝駆けをすれば本人からコメントを取るのは可能かもしれない。和田氏はいつくしむ眼差しでもって「あなたたちの記事は正確でない」とマスコミ批判をよくする。それを逆手にとって「和田さん、御社の発表は事実ですか」と聞けば(日経の記者はそう聞いたはずだ)、和田氏は正直に話すのではないか。

 あの人事について〝不思議〟と思わない他の記者のほうが想像力に欠ける。日経報道の後に朝日、読売、毎日、産経が後追いの記事を書いているが、新しい情報はほとんどない。後追い取材ほどつらい仕事はない。まあ自業自得だが。 

 〝お前はどうなんだ〟と言われるかもしれないが、記者は人への取材は手に負えないとあきらめやってこなかった。記事によっては傷つく人が多いからでもある。

 扇谷正造だったと思う。扇谷はインタビューする相手が作家だったらその著作をすべて読んでから取材したという。人となりがつかめないときは、その人が住む近くの八百屋や魚屋などで情報を得たそうだ。それでもわからないときはその人の家のゴミ箱を漁ったという。そんな取材は絶対できないとあきらめたのだ。

 しかし、企業ビヘイビアに厳しかった〝師〟と仰ぐ故・佐藤美紀雄氏の影響もあり、時としてデベロッパーを批判する記事も書いてきた。

 一つだけ挙げるとすれば、セザールだ。同社は1996年に東証に上場したが、その直後、複数の「マンションの工期の遅れ」を理由に業績予想を大幅に下方修正した。日経新聞にはわずか10数行しか載らなかったが、〝これは絶対おかしい〟とすぐ分かった。「工期の遅れ」でマンションの引き渡しが遅れることなど天変地異以外あり得なかったからだ。

 「工期の遅れではない」という工事会社からの裏付けも取り、〝蹈鞴(たたら)を踏んだセザール〟という見出し(優しい表現を使ったつもり)で同社を批判した。同社は激怒した。営業の責任者に同行を求められた。営業は陳謝した。記者は面従腹背。腹の中でベロを出していた。

 怒ったのは同社だけではない。付録が付いた。伝聞だが、東証も記者ではなく同社のビヘイビアに激怒したようだ。

 同社はその後、2003年に民事再生法を申請し倒産した。その7年間、株価は一度も上場時を上回ったことはなかった。

 いまこうして記事を書いているが、これまで悪意の記事を書いたことはないが、結果としてどれだけ人を傷つける記事を書いてきただろうか。お詫びする以外ない。

 数年前、金商法に問われかねない事実をつかんだが、当事者から「表沙汰にしないで」と言われて記事化を断念した-これは賢明な判断なのか、いまもわからない。記者も因果な商売だ。

「財界賞」は榊原・経団連会長 「経営者賞」に矢野・住林会長 後藤・西武HD社長など(2018/1/21)

 

 

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「DISCOVER ★TERRACE★ ファインシティ武蔵野富士見」

 恐るべき敵なのか頼もしい味方と考えるべきなのか、いま京阪電鉄不動産が神出鬼没、東奔西走の活躍を見せている。鉄道会社の売上高では大手にはるかに及ばずベスト10にも入っていないが、マンション事業では本拠の関西は言うまでもなく、北は札幌から首都圏、名古屋、福岡まで全国を網羅し、昨日の友は今日の敵、敵の敵は味方とばかり、時にはぶら下がり時には堂々とメジャーを張る。

 冬季オリンピック競技でいえばショートトラックだ。大きな先行選手の陰に隠れて力を温存し、最後は内を突いて舌ではなく足を出す。かと思えば果敢に先行し、抜かれそうになると違反すれすれの肘をつき、ダメだと思うと大げさにこけて見せる。

 こんなことを書いたら、もう書いてしまったが、二度と取材させてくれないかもしれないが、そんなことにはならないと読んだ。激烈な市場環境に晒されている会社だ。馬鹿な(大阪弁はアホな)記者の記事など馬耳東風、「勝手にせいや」と笑い飛ばすはずだ。

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モデルルーム

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 独白が長くなってしまったが、ここからが本題。同社(事業比率60%)・日本土地建物(同20%)・菱重プロパティーズ(同20%)3社JVの「DISCOVER ★TERRACE★ ファインシティ武蔵野富士見」を見学した。

 パンフレットのヘッドコピー〝遊び、学び、つながりながら、たくさんの喜びや感動を「発見」しよう〟に嘘はない。これまでにない盛りだくさんな仕掛けをユーザーに訴えきれるかどうかに事業の成否がかかっている。中央線の潜在顧客の琴線に触れれば大ヒットするかもしれない。本日(24日)、モデルルームを一般公開した。分譲開始は3月13日。

 物件は、西武国分寺線・拝島線小川駅から徒歩11分、東村山市富士見町1丁目に位置する敷地面積10,947.46㎡の10階建て全293戸。専有面積は68.64~87.61㎡、予定価格は1,900万円台~5,100万円台(最多価格帯3,500万円台)、坪単価は165万円。設計・施工は長谷工コーポレーション。竣工予定は平成31年2月上旬。

 現地は官舎跡地。敷地南側は奥行き約170mの南台公園と明治学院中学校の敷地・グラウンドで、南台幼稚園、東村山市立第一中学校に近接。同じエリアには大成有楽不動産、日土地、NTT都市開発などのマンションがあり、隣駅の「萩山」では野村不動産が〝オハナ〟91戸を分譲する郊外の激戦地。

 建物は中央に中庭を配したコの字型で、住戸は南向き、東向き。基本性能・設備仕様はリビング天井高2500ミリ、ディスポーザー、人造大理石カウンター、「長谷工のトイレユニット」など。

 「コミュニティ」がテーマになっており、webアンケートをもとにアスク、ロゴスコーポレーション、パーク・コーポレーション、ボーネルンド、イリー、マイファーム、ビクセン、青山ブックセンター、DIYファクトリー、アソシエイテッド・アーツ、日本冒険遊び場づくり協会の11の企業・団体とコラボし、入居後の2年間はコミュニティ支援を行うなど「コト」プログラムを実施する。

 これまで資料請求は都下№1の約1,800件、事前案内会来場者は4週で約300件。来場者の居住地は地元が40%、中央線居住者も多いという。緑の環境、新宿へ27分という利便性、価格の安さ、カフェ、セキュリティ、中庭などに対する評価が高く、シアターやモデルルームも好評とのことだ。

 同社首都圏事業部東京営業部所長・高橋和寿氏は「当社は札幌、中之島、北浜、福岡などでもタワーを共同で手掛けており、ターゲットに合わせて幅広く展開している。子育て社員もプロジェクトに参加している。『かもめのジョナサン』文化を継承したい。今回の物件では普通の会社員の手が届く3,500万円台を死守しつつ、戸建てではできない企画も盛り込んだ。将棋、囲碁などのプログラムを用意したが、『孫に教えるか』という親世代の反響もあり、思わぬ副産物も生まれている。〝安売り〟でないことを証明して業界を元気にしたい。第1期は100戸くらい供給できればと考えている」と話した。

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星の観察

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 シアターを見てすぐ企画意図を理解した。冒頭に82%が「マンションにコミュニティは必要」と答えたアンケート調査の回答を示し、「マンションとは思えない暮らし」の具体的な取り組みを紹介するその手法はストレートにユーザーに伝わるはずだ。 

 コミュニティをテーマにしたマンションは思い出せないくらい見学している。〝思い出せない〟というのは、つまり〝印象がない〟と同義語だ。コミュニティが大事なのはみんな分かっているが、それが販促につながるかといえばそうではない。

 しかし、同社は敢えてそれに挑戦した。「横浜江ヶ崎」の成功で自信を持ったのだろう。その進化型で需要を創造する戦略だ。

 確かに「マンションとは思えない暮らし」-記者も観たことがない提案がいくつも用意されている。「火おこし」=「たき火」がそうだ。少なくとも我々の世代にとってたき火は日常だった。たき火を囲んで大人が政治やら経済やら男女の仲やらをあけすけに語るのを聴き成長した。

 「星の観察」もしかり。公園に面した8階以上の購入者にはプロ仕様の天体観察望遠鏡と双眼鏡がプレゼントされるという。記者などは「おりひめ・ひこぼし」はどこにあるのかと星空を眺めながらかなわぬ恋にはらはらと涙したものだ。(記者は目が悪いが)いま都心で見えるのは金星くらいか。北斗七星はどこに行ったら見えるのか。小川は星が見えるそうだ。

 販売事務所の造りもよくできている。入口の壁にはカスケードと呼ぶには貧弱で、キャピトルホテル東急のようなきらびやかさはないが、水を流す演出がうれしいではないか。「香り」もそうだ。子育て中という同社首都圏事業部東京営業所の爪川恵未氏の発案なのか、ここ武蔵野の樹木を使ったオリジナルのアロマが楽しめるという。

 イベントでやってほしいことに☆印のシールを張ってもらうという意表をつく仕掛けがまた面白い。「ホタル見学」があったのでそこにシールを張り、「わたしの小さいころは『蛍川』そのものだった。真っ暗な寝床の蚊帳の中にホタルを放って遊んだ。小川にホタルがいるのか」と聞いたら爪川氏は「探してくる」とその気だった。

 肝心の単価とモデルルームについて。高橋氏は「近鉄不動産の田中専務(孝明氏、当時常務)と同じように『このマンションは坪単価では語れない』と言いたいところだが、いずれ分かることだから。坪単価165万円」と自信たっぷりに話した。

 モデルルームは〝非常によくできている〟としか書かない。来場者が評価した通りだ。

 書き出したら切りがないのでもうやめるが、この記事はぜひ「東松戸」「横浜江ヶ崎」の記事と一緒に読んでいただきたい。不動産コンサルの長嶋修氏にも現地に足を運び、モデルルームを見学してほしい。ユーザーの味方なら「駅から7分以内」の主張を撤回するはずだ。

 記事を書き終えたら、あの「タケツー」を思い出した。30年も昔だ。武蔵藤沢か入間か、100だか108だかの「魅力」を前面に打ち出し、首都圏デベロッパーを唖然とさせた。

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〝郊外不振〟跳ね返す 京阪電鉄不動産他「イマジンテラス」(2016/9/21)

負けたらあかんぞ東京に わが国初 免震最高階数55階建て 地所レジ他「中之島」竣工(2018/2/20)

負けへんぞ横浜北仲に ここは〝北浜〟の一等地 三井レジ他「北浜ミッドタワー」(2018/2/20)

三方一両損〟で3,500万円の3LDKを死守 京阪電鉄不「東松戸」が大健闘(2016/8/26)

近鉄不・京阪電鉄不・長谷工コーポ 実利を取る戦法か「王子飛鳥山」(2014/4/23)

 大和地所レジデンスは2月22日、今期(2017年4月1日~2018年3月31日)引渡予定マンション総戸数929戸全戸を完売し、今期末の未契約完成在庫ゼロを達成したと発表した。

 929戸の内訳は、期初の未契約完成在庫が29戸のほか、「戸塚ブロッサムテラス」116戸、「ヴェレーナ新鎌ヶ谷」81戸、「ヴェレーナ松戸秋山駅前」67戸、「ヴェレーナシティ パレ・ド・シエル」3・4街区(150戸)、「ヴェレーナグラン浦和仲町」30戸、「ヴェレーナ横浜 掃部山公園」37戸、「ヴェレーナ綾瀬」87戸など15物件(未契約完成在庫除く)。

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 この15物件のうち記者が見学したのは「パレ・ド・シエル」と「浦和仲町」しかないが、「新鎌ヶ谷」「松戸秋山駅前」「川口元郷」など販売が楽そうでない物件のほうがむしろ多いくらいだ。それらを含め完売したのだから立派というほかない。年間1,000戸くらいを供給するマンションデベロッパーで期末の完成在庫がゼロという会社はここ数年ではないはずだ。もっとも少ないと思われる明和地所の平成29年3月期は売上計上戸数881戸に対して完成在庫は16戸だった。

 同社を会社設立の1993年2月(当時日本綜合地所)のときからずっと応援してきた記者も大変うれしい。ご存じない方に1つだけ紹介しておく。同社はマンションの値付けの常識を根底から覆したデベロッパーだということだ。

 いまでもそうだが、中高層マンションで一番売りづらいのは1階部分だ。日照・通風、防犯面などで難点を抱えていることが多いからで、その分値段を下げるのが常識だ。つまりその分だけ「価値」がないとデベロッパー自らが認めている。

 ところが同社は、商品企画・販売を担当した「グランシティ中野島」43戸(平成11年竣工、売主はニチメン)に不二サッシが開発した全開口サッシを初採用し、リビング-バルコニー-テラス-専用庭とつなげ内と外の住空間を創造した。1階住戸の価格も上層階より数百万円高くした。これが見事にヒットした。確か真っ先に1階住戸が売れははずだ。革命的な出来事だった。これがきっかけで他社も「戸建て感覚」の開発に取り組むようになった。

 商品企画力はこの業界でトップクラスだった。-過去形で書くのは、まだあの当時の世の中をひっくり返すようなマンションをいまは供給できていないと思うからだし、それだけ同社に対する期待値が高いからだ。

 「それだけ同社に対する期待値が高いからだ」と書いた。「それだけ」とはいったいどれだけの期待値かといえば、例えは適切ではないかもしれないが、競馬は賭けた時点で25%が天引きされるから理論的には期待値は75%にしかならない。現実のマンション市場も、買った価格を維持し中には値上がりするものもないわけではないが、圧倒的多数の物件は中古になると値下がりする(戸建てでは買う前から〝中古並み〟ときちんとお客さんに説明する優秀な営業マンもいる)。

 「それだけ」とは、中古になってもある程度の資産価値、居住価値を保持できるようなレベルということだ。

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「LIFORK 大手町」ワークラウンジ

 NTT都市開発は2月22日、先に発表した新たなワークスタイル・ライフスタイルを実現する場「LIFORK 大手町」のメディア向け内覧会を行った。

 「LIFORK 大手町」は、地下鉄大手町駅直結の「大手町ファーストスクエアウエストタワー」1・2階に設けた延床面積約830㎡のコワーキング施設。「Creative Platform〜自分らしく、はたらく、つながる〜」をコンセプトに、コンシェルジュサービス付きの多彩なワークスペースやイベントスペース、ロ ードバイク用室内駐輪スペース、保育所などを併設している。

 クリエイティブディレクションは「トランジットジェネラルオフィス」、設計は同じ「トランジッ トジェネラルオフィス」と「KOKUYO」、グラフィックデザインには「STUDIO NEW WORK」、フードディレクションに「EAT TOKYO」、コーヒー監修に「OBSCURA COFFEE ROASTERS」などが担当する。

 「ワークラウンジ」の賃料はラウンジ会員が3万円/月、オフィス会員は38.4万~115.8万円/月、ドロップインが3,500円/日。ミーティングルームの使用料は2,200円/30分から。51.9㎡のイベントスペースの使用料は16万円/日。バイクポート使用料は15,000円/月から。

 高速Wi-Fi、翻訳・通訳、印刷・製本、資料リメイク、宅配ボックス、コーヒーサービス、飲食・カンファレンスなどのサービスが受けられ、ワークラウンジとバイクポートはシャワールーム付き。

 施設は、秋葉原駅前の「LIFORK 秋葉原」とともに4月2日にオープンする。

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「LIFORK 大手町」ワークラウンジ

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ステップ

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 施設は最高だ。もともとNTTの展示場などに使われていたのを改修したもので、1~2階の天井高は8mくらいある。1階の床はチーク材の突板で、ベンジャミンなどの観葉植物は本物が使われている。ソファーはもちろん本皮だ。

 提供されるコーヒーも飲んだが、こちらも記者がいつも利用するカフェより数段美味しい。料金も安く、自分で淹れる場合は100円くらいになるという。

 企業主導型保育園は、顔認証システムを採用し、子どもを抱えながら入退園できる。ラウンジ会員はシャワー室も利用できる。

 難点は酒やタバコがダメなことだ。これは「自分らしく人生を過ごすことができる」LIFORKの主旨とどう整合するのか。「秋葉原」担当の女性は「使い倒す」と表現したではないか。自己を管理できないような人は絶対にLIFORKを使いこなすことも使い倒すことはできないと思うがどうだろう。

 賃料・利用料金が高いか安いかよくわからないが、三菱地所が先に公開した新本社オフィスは仮に賃借すると社員一人当たりの賃借料は20万円/月と記者ははじいた。「LIFORK 大手町」の12.6㎡のオフィス賃料は3名定員で38.4万円/月だ。

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 スマートフォンすらまともに使えない記者はちんぷんかんぷんだが、自由な働き方が加速度的に進み、自分が場所・時間を選び管理する従来のオフィスとはちがったニーズが拡大するであろうということは容易に想像できる。

 いま国会で論議されている裁量労働制はそうした自由な働き方を進めるうえで極めて有効な制度だと思う。もちろん職種にもよるが、そのうちに労働時間という概念すらなくなる時代がくるような気がしてならない。労働者を時間で縛るような企業は生き残れないのではと思う。制度改革を進め、環境を整えるべきだ。

 保育施設については、電車を利用して子どもの送り迎えをする場合、駅にエレベータが付いていないとか、ラッシュ時に乗り切れないなどの課題もある。ユニバーサルの取り組みも加速させないといけない。女性だけに負担がかかるようにしてはならない。

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保育園(右は顔認証システム)

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バイクポート

NTT都市開発 企業主導型保育園併設のシェアオフィス「LIFORK(リフォーク)」始動(2018/2/10)

三菱地所の本丸を見た 機能一新 士気高揚 トマト最高 地所が新本社公開(2018/2/12)

 

 

 

 

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「hitoto 広島The Tower」(左右の樹木がアメリカフウ)

 三菱地所レジデンスは2月21日、中国・四国・九州地区で最高階数となる広島大学本部跡地の53階建て免震タワーマンション「hitoto 広島The Tower」のプロジェクト発表会・モデルルーム内覧会を行い、モデルルームを2月24日(土)にオープンし、4月上旬に販売開始すると発表した。

 物件は、広島電鉄宇品線日赤病院前電停より徒歩5分、広島市中区東千田町1丁目に位置する19,869.35 ㎡の53階建て全665戸。専有面積は55.04~143.78㎡、価格は未定だが、80㎡台で5,000万円台(坪単価200~210万円)の予定。設計監理は三菱地所設計。施工は前田建設工業。竣工予定は2020年4月下旬。

 現地は広島大学本部跡地で、広島市と広島大学が行った「知の拠点」をテーマとした公募型プロポーザルに応募した4グループの中から選定されたプロジェクト。事業主は同社のほか三井不動産レジデンシャル、菱重プロパティーズ、トータテ都市開発、広島電鉄の4社。

 全体敷地約3.8㏊にマンションのほか学生・留学生向け賃貸住宅、学生の就職・アルバイト・ボランティア活動支援窓口、ベンチャー支援オフィス、スポーツクラブ、病院、シニア向け住宅などを整備する。総事業費は約300億円。

 マンションは隣接する約30,000㎡の公園と一体として開発し、タワー形状にたことから空地率70%を確保し、37タイプの多彩な住戸プランを北東向き、南東向き、南西向き、北西向きにバランスよく配置しているのが特徴。環境に配慮したランドプランによりいきもの共生事業所認定証(ABINC認証)を取得したほか、openA監修による共用棟を整備、共用施設の充実も図っている。

 プロジェクト発表会で同社広島支店長・小玉英司氏は「広島市の昨年のマンションマーケットは供給量が約1,800戸で予想より15%下回ったが、坪単価172万円、平均価格4,030万円はほぼ前年通り。当プロジェクトは〝広島で一番愛されるマンションにしよう〟というのが基本コンセプト」と〝愛〟に力を込めた。

 これまで約1,600件の反響があり、3月中旬までモデルルーム見学予約は満席という。

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響生の森

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コミュニティプラザ

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 広島のマンション・戸建ての取材は今回で3回目。まったくの素人だが、それなりに感じたことを述べる。

 驚いたのは、30名はいたと思われる取材記者の数もさることながら、発表会の前後に拍手喝さいが沸き上がったことだ。まず首都圏ではありえない。司会を務めた同社・U氏の男前にほれ込んだのだろう。

 感動したのは、やはり小玉氏やその他の関係者が何度も「愛されるマンション」と「愛」を語ったことだ。今年の年初、大和ハウス工業がTVCMで「流通に愛(AI)を」謳ったが、今度はズバリ「愛」だ。

 記者のモットーは〝記事はラブレター〟。〝返しのない愛ほど悲しいものはない〟と言ったのは確かレーニン。取材のお礼も兼ねてたっぷり「愛」を込めて返そうと考えた。

 そこで一発。「これまでの広島のマンションは愛がなかったのか」と質問した。小玉氏は明確に示さなかった。当たり前だ。〝これまでは愛がなかった〟と答えたら、同社も同業他社も袋叩きにあう。小玉氏は記者の挑発に乗らなかった。

 が、しかし、高さが中国・四国・九州最高階数の免震で共用施設の充実を図り、他の複合施設と合わせ「知の拠点」を作ろうという熱意は十分伝わってきたし、ワイドスパンのプランがいい。

 モデルルームは3タイプで、直床だが標準階の天井高は2500ミリ(50階以上は2600~2700ミリ)、ディスポーザー、食洗機、浴室シャワーの2か所スライドバーなどが標準。億ションタイプは小上がりの和室提案をするなどよくできていた。

 広島を愛するが故の異議も申し立てたい。マンション敷地内には既存樹のアメリカフウ(モミジバフウ)の高木19本を残す計画だが、「アメリカ」の言葉を聞いた途端、むらむらと反米感情がこみ上げてきた。その名の通りアメリカフウはわが国の在来種ではない。よしんば戦前から植えられていたとしてもあの原発で死滅したはずだ。戦後、アメリカから持ち込まれたのはほぼ間違いない。

 アメリカフウに思想があるわけではなく、三菱地所にも責任はないが、寄りにもよってなぜ広島の「知の拠点」広島大学に植えられたか(先日、ポラスの北越谷取材では、宮内庁「鴨場」にメタセコイアが植えられていたのと同じ)。市民感情を逆なでするものではないか。

 腹の虫がおさまらない記者は、取材の後、原爆記念館を訪れた。修学旅行で長崎の原爆記念館を見たときはとめどもなく涙が流れたのをよく覚えている。今回もまた慰霊碑をみたとたん景色がぼやけた。

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慰霊碑

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原爆ドーム

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資料館(外国人の姿が目立った)

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被爆した少年の学生服

 平和記念公園内には被爆したアオギリとハマユウが植わっていることは、資料館で自ら「原爆二世」と名乗った女性スタッフから聞いていたが、予想した通り外来種の樹木はほとんど見当たらず、圧倒的に多いのはクスで、ほかはマツやケヤキ、サクラなど普段見る樹木だった。

 原爆ドームを見て、外来種がないことを確認して資料館に戻ろうとしたときだ。それまで気が付かなかったカイズカイブキが異形の形で迫ってきた。数十本もの「きのこ雲」が一斉に〝わたしを忘れないで〟と呼び掛けてきた。息が詰まりそうになった。

 先の原爆二世の女性にまた聞いた。彼女は「職人さんによると特別の意図はないと話しています。管理する市も問題視していないようです。きのこ雲に見えました? 父? 鬼畜米英と罵った世代です」と笑った。

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被爆アオギリ(左)とハマユウ

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カイズカイブキ

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ヒマラヤスギ

 取材を終え、タクシー乗り場の近くにある喫煙所でタバコを吸った。その傍には在来種ではない差し渡し1mはありそうな「ヒマラヤスギ」が植わっていた。資料館でコピーしたピース・ボランティアの恵美勇作氏による「平和記念公園の樹木マップ-寄贈樹・記念樹・被爆樹篇-」には昭和32年に広島を訪れた「ネルー首相より贈られた記念樹」として「ヒマラヤスギ」が紹介されており、「私は心から皆さんに共鳴して戦うつもりである…私は『ヒロシマに学べ』と世界に訴える…九日間の滞在スケジュールのうち、広島訪問の一日が特にネルー首相の要望で組まれたという」と述べている。

 駅に向かうタクシーの中で、「オバマさんはたった30分しかいなかった。市民との交流もなかった。警備の異様さにびっくりした。あのときもオバマさんは核のボタンを持っていたはず。日本がまだ植民地であるような気分にさせられた」と運転手さんが語った。

 パンフレットが入った紅白の紙袋の「赤」は三菱地所の赤ではないので、赤ヘルと一緒かと駅で聞いた。カープ女子は「そうかも」と話したが、おじさんたちは首を傾げた「もっと明るい」と。お土産に「カープの鯉人」のお菓子を買った。広島頑張れ! 

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手前の紙袋はカープのレッドか

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 駅前では現在、住友不動産が2016年12月に入居が始まった免震の52階建て「シティタワー広島」513戸(非分譲42戸含む)を分譲中で、坪単価は300万円近いが9割が契約済み。契約者は6割が経営者・医者・弁護士で、50歳代以上の層が過半を占める。地所のマンションに抜かれるまではここが最高層だった。

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本屋に了解の上撮った広島カープコーナー(お菓子から塩まで売っていた)

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「シティタワー広島」

 

 当欄既報のタカラレーベンが銀座に開設したコンパクトマンション常設サロン「SALON DE NEBEL」の記事の中で、コーディネートを担当した同社取締役執行役員営業統括グループ統括部長・高荒美香氏を〝業界の革命児〟〝レディ・ガガのよう〟と書いた。

 高荒氏からクレームが付くかと思ったら、そのまま通った。記者は音楽などまったく解さない。カラオケで歌えるのは三波春夫か小椋佳の5曲くらいしかない。ひどい音痴だ。

 レディ・ガガだって知っているわけではない。あの度肝を抜く衣装と圧倒的な表現力にただただあきれ返るだけだが、一方で社会貢献活動に熱心なのに感服している。

 高荒氏に最初に会ったのは7年前だが、強烈なオーラを感じた。そのときの印象を今風に言えばレディ・ガガそのものではないかと。

 そこで、記者の記憶に深くとどめるためと、もう一つ、あること(本当はこちらのほうに狙いがあるのだが、いまは言えない)の同意を得るためにインタビューを申し込んだ。高荒氏は快く受けてくれた。以下、高荒氏と記者のやりとり。( )内は記者。

 (素敵な洋服ですね。ゼブラ柄の。普通の女性社員は着ませんよね。わたしも、今日はレディ・ガガさんと同じ高荒さんにお会いするので、ほら、このネクタイ、わたしの好きな画家の絹谷幸二さんがデザインしたネクタイです。この前、大阪に行ったときに積水ハウスさんの「絹谷幸二 天空美術館」に寄って買ったんです。昔も同じものを買ってボロボロになるまでいつも身に着けていました)

 「素敵ですね!良くお似合いです。わたしのは、そうですね、ゼブラ柄ですね。たしかに普通の女性とは少し違うかもしれないですね」

 (高荒さん、最近、御社の真似をするデベロッパーがずいぶん増えてきました)

 「承知しています。ただ、伝えたいのが〝好き勝手やってる〟と思われている様ですが、個人的趣味で自由にしている訳ではないです。きちんとリサーチし、ストライクゾーンのど真ん中で勝負しています。女性には、男性にはない体内マーケティング能力があると思います。だから流行は女性から作られると言われるんです。綺麗とか好きとかかわいいとか、これは流行しそうだとか時代の流れを身体で敏感に受け止められるんです。女性の感性を侮っちゃいけない。調整力だってちゃんと持ち合わせています」

 (なるほど、わたしも最初に見学した「巣鴨」は〝好き勝手〟やっているとそう思いましたが。あのナイフとフォークのシャンデリアにはびっくりしました)

 「あのナイフとフォークだって、当時、あまり話題にもなっていなかったトーヨーキッチンの青山のショールームで見て、これだと思い採用したんです今ではキッチン業界の革命児ですよ!流行るものを世間の5年くらい前にみつけちゃうんです私・・・・・・!」

 (そうだったんですか。確かに。トーヨーキッチンはいいですよね。わたしもショールームをみてびっくりしました)

(嫌な言葉ですが、「女性活躍」についてはどうですか)

 「女性活躍? できていないと思います。男性と対等に働くとしたら、それこそ腹をくくって5倍、10倍働かないときつい。男性もまた女性がずっと働くことを期待しない、よしとしない雰囲気を漂わせ、それを女性が感じ取ってしまう側面もあります」

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 高荒氏が「男性と対等に働くとしたら、それこそ腹をくくって5倍、10倍働かないときつい」と話したことについては、別の機会に書く。「女性活躍」なる言葉はいつの間にか「一億総活躍」に代わり、問題の所在、核心がぼやけてしまったが、記者も勝間和代氏のように、髪を振り乱して男勝りの八面六臂の四面楚歌の活躍をするのが「女性活躍」だとは思わない。

 今回のインタビューの目的も「女性活躍」ではない。同社のマンションの商品企画を劇的に変えた高荒氏とはどのような人で、変わる前はどんな会社だったかを紹介するためだ。

 ご存じない方もいらっしゃるはずだから、少し同社のビフォアについて書く。記者は同社が板橋区中板橋に本社を構え、社名が「宝工務店」だったころからずっと取材してきている。30数年前からだ。

 創業社長(当時)の村山義男氏(現取締役会長)は、馬主としても知られており、1986年のマイルチャンピオンシップの優勝馬タカラスチールなどたくさん競走馬を所有していた。(不動産業界の馬主は、大京の創業者・横山修二氏、元興和物産社長・梅崎敏則氏、元リテック・コンサルタンツ社長・齋藤敏博氏、富士開発会長・小尾洸氏などがいる)

 馬主だから派手な格好をしていると思われがちだが、村山氏は全然そうではない。ごく普通だった(私服のときは、黒い襟のシャツに黒いネクタイなどを締めてダンディな格好をしていたが)。

 もう時効だから書く。同社が池袋に本社を移転し、JASDAQに上場したあとだから15年くらい前か。社長室で歓談し、昼食時になったので幕の内弁当をご馳走になり、一緒に食べた。これまたごく普通の弁当だった。内心〝上場会社の社長になったのにこんなものを食べているのか〟と思ったが(意外とデベロッパーの社長は粗食が多い)、何より驚いたのは村山社長がものの5分くらいで平らげたことだ。食べるのが遅い記者は社長にペースを合わさないと失礼だと思って必死に食べたが、それでも20分くらいかかった。

 そんな社長だ。〝良きに計らえ〟というタイプかもしれない。今の島田和一社長も、村山氏と苦楽を共にしてきた方だ。全然派手ではない。タカラレーベンのイメージも会長、社長そのものだ。

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 そんな同社のイメージを高荒氏は劇的に変えた。それが7年前の同社初の高額マンション「ディプティエレメンツproject」だった。「全て女性が担当した」と当時の島田副社長に勧められて見学した。その時の記事に次のように書いた。

 「責任者は同社に入社9年目の第4営業部次長兼第4営業部1課課長の高荒美香さん」

 「販売事務所もモデルルームもかなりこだわりを見せたものだ。カラーリングはシルバー、グレー、黒などで統一。商談の机はステンレスシルバーで、引出しの中底も黒だった。電卓はゴールド。花瓶は中東によくありそうな曲面が美しい黒。壁は「アルハンブラ」の建物をイメージさせるクロス。収納の把手は鋳物製で、ドアの把手も…『スワロフスキー』を思わせる細工がされたものだし、 シャンデリアは、ナイフとフォークをデザイン処理して吊り下げたものだった」

 「高荒さんのスーツも黒で『それも意識して着ているのか』と聞いたら、『これは会社の制服ですから。普段は黒ばかり着ているわけではありません』とのことだった。爪にはネイルアートが施されていた」

 話が飛ぶ。マンションや一戸建ての販売事務所、モデルルーム・ハウスに観葉植物はつきものだが、なんとフェイク(偽物)が多いことか。せっかくの本物の突板が台なしだ。「画竜点睛を欠く」意味をよく考えてほしい。

 高荒氏が100円ショップで買ったナイフとフォークでシャンデリアを作ったら、それはそれで称賛されるかもしれないが、来場者に「これって、トーヨーキッチンのものですよ」と話す場面を考えていただきたい。これだけで来場者は感激するはずだ。マンションも一戸建てもある意味では「感動を売る」商品のはずだ。

 話が右往左往して申し訳ないが、〝業界の革命児〟〝レディ・ガガのよう〟と高荒氏を評したのは我ながら的確だと思う。感性は好き勝手で体得できるはずはない。レディ・ガガも大変苦労されたようだ。

タカラレーベン コンパクトに参入 業界の革命児 高荒美香氏がコーディネート(2018/1/13)

タカラレーベン 小金井CCに隣接「レーベンリヴァーレ サレムヴィスタ」(2012/2/24)

タカラレーベン新ブランド「THE LEBEN」第一弾「G/CLASSIC 山の手PJ」(2014/3/28)

タカラレーベン 「巣鴨」で同社初の高単価マンション(2011/2/7)

 

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 経済産業省は2月20日、健康経営に取り組む優良な法人を「見える化」する制度「健康経営優良法人認定制度」により「健康経営優良法人2018」として大規模法人部門541法人を認定したと発表した。住宅・不動産業界は次の通り。

 一条工務店、住友不動産販売、住友林業、大京、大和ハウス工業、東急不動産、東急不動産ホールディングス、東急リバブル、東京建物、長谷工コーポレーション、フジ住宅、ポラス、三井不動産、三菱地所、三菱地所レジデンス、LIXILグループ、レオパレス21。

 

 

 

 

 

 

 

 

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「北浜ミッドタワー」

 先ほど「ザ・パークハウス 中之島タワー」の記事を書いた。片道3時間、高い交通費を掛けてこの1物件だけを見て手ぶらで帰ってくる記者ではない。高さや規模はかなわないが、立地や質では勝るとも劣らないもう一つのマンションを見た。三井不動産レジデンシャル(事業比率45%)・京阪電鉄不動産(同45%)・積和不動産(同10%)3社JVの「北浜ミッドタワー」だ。〝負けへんぞ横浜北仲に〟と言いたげなマンションだ。

 物件は、京阪電鉄北浜駅直結、御堂筋線淀屋橋駅から地下直通6分、大阪市中央区北浜2丁目に位置する免震の43階建て311戸(販売戸数306戸、事業協力者戸数5戸)。専有面積は43.12~155.51㎡、坪単価は340万円。竣工予定は2019年1月下旬。施工は竹中工務店。

 現地はわが国の証券取引発祥の地「北浜」。一つ道路を隔てた角地には昭和10年に建設されその基壇部を再現した大阪取引所がある。敷地は元銀行跡地。

 建物は「中之島」と同様、竹中の免震構造。大阪では少ないという二重床・二重天井で標準階のリビング天井高は2550ミリ(最上階は2700ミリ)。食洗機、ディスポーザー、御影石キッチンカウンタートップなどが標準装備。

 販売を担当する首藤太一氏は「2016年12月から販売を開始しており、3億円超の最高価格住戸を含め供給した8割強がほぼ完売。未供給の住戸は面積が狭いタイプが中心で、これから価格を決定する。東京からの富裕層を含め、来場者の評価は高い」と話した。

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基壇部

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モデルルーム

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 記者は大阪にはうといが、「株」をやっていたので「北浜」が金融街であることは知っていた。小説にもたびたび登場する豪商の街だ。

 物件から歩いて数分の目抜き通り「御堂筋」は風格があり、幅43.6mの道路は日本の道100選に選ばれているだけのことはある。イチョウ並木が見事だ。

 物件の基本性能、設備仕様は単純比較できないが、億ションタイプは東京にこのまま持ってきても見劣りは決してしない。

 まだまだ書きたいことはあるが、シアターのナレーターが「飾る言葉はいらない」と締めくくったのでそうする。明日は広島だ。野球じゃないですよ、マンションの取材。

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大阪取引所

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御堂筋

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京阪中之島駅

負けたらあかんぞ東京に わが国初 免震最高階数55階建て 地所レジ他「中之島」竣工(2018/2/20)

坪260万円はすごく安いと感じたが…東急不他「心斎橋SOUTH」竣工 見学会(2017/12/21)

「横浜北仲」「クオン流山・新浦安」「大山」2017年 ベスト3マンション(2017/12/26)

坪単価390万円では計れない「ミクストユース」の価値あり三井レジ他「横浜北仲」(2017/11/16)

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「ザ・パークハウス 中之島タワー」

 三菱地所レジデンスは2月19日、免震構造マンションとして日本最高階数の55階建て「ザ・パークハウス 中之島タワー」の竣工見学会をメディア向けに行った。市内で4例目となる「CASBEE大阪みらい」最高Sランクを取得し、火災避難時に非常用エレベーターが利用できるようにしたわが国初のマンションでもある。

 物件は、京阪中之島線中之島駅から徒歩2分.大阪市北区中之島6丁目に位置する55階建て全894戸。専有面積は40.77~148.51㎡、坪単価は250万円台。売主は同社のほか住友商事、京阪電鉄不動産、アサヒプロパティズ。設計・施工は竹中工務店。竣工は2017年10月26日。2015年11月、第一期販売開始、2017年12月に完売。

 中之島は大阪都心の梅田に近く、ビジネスや文化など多彩な都市機能をそなえた施設が集積。今後も中之島の地権者企業である朝日新聞社、関西電力など30社からなる「中之島まちみらい協議会」が官と連携して文化・国際・業務ゾーンとして街づくりを進めていく。市は2020年までに大阪新美術館を建設する。

 見学会に臨んだ同社常務執行役員・森克明氏は大阪圏のマンション市場について、「マーケットは現状が続くとすれば年間1.8万戸くらいの供給。駅近、再開発など魅力のある用地にはホテルも含めデベロッパーが殺到しており、取得環境は厳しい。しかし、都心部も郊外部も需要は底堅いものがあり、今後も引き続き堅調に推移する。当社も積極的に展開していく」と話した。

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40階ビューラウンジ

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 大阪は、修学旅行を含めても10回も行っていない。再開発などで都心部の人口は増えているものの東京に圧倒的な差をつけられ、経済は停滞し、財政力が弱く、阪神タイガースも相変わらずで、元気なのはお笑いタレントくらいというイメージしかない。

 マンション市場も首都圏と比べ規模は2分の1くらいで、一等地の価格は3分の1くらいのようだ。しかし、東京の市場と比較しても意味がない。率直に坪単価250万円台の894戸の免震タワーが2年間で完売というのはやはりすごいというべきだろう。リビング天井高も2500ミリ確保されていた。

 同社関西支店事業企画部長・ 林祐輔氏らによると、中之島は東京でいえば「湾岸エリア」に近いイメージだという。確かに北に堂島川、南に土佐堀川が流れ、今後の発展が期待できるという点では湾岸に似ている。坪単価も数年前の豊洲に近い。

 しかし、中之島はそれ以上だ。同世代の作家、宮本輝氏の「泥の河」「道頓堀川」の舞台にもなった。なにより大阪市庁舎があり、ネオ・ルネッサンス様式の日銀大阪支店、国の重要文化財に指定されている大阪市中央公会堂、立派な国際会議場もある。中之島フェスティバルタワーにはコンラッド大阪も昨年開業した。中之島の駅舎はふんだんに天然木が採用されており、ホーム側壁も不燃木材だという。最高に美しい。

 そういえば、ニューヨークもシンガポールも香港もストックホルムもみんな島だ。独自の文化・歴史を生かせば東京とはまた違った味が出せるのではないか。地価が安い分競争力もある。「負けたらあかんぞ東京に」中之島にエールも送りたくなる。

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3階オーナーズラウンジ

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モデルルーム

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外観(手前が堂島川。阪神ファンはここには飛び込まないとか)

坪260万円はすごく安いと感じたが…東急不他「心斎橋SOUTH」竣工 見学会(2017/12/21)

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「パレットコート北越谷 フロードヴィレッジ」モデルハウス

 ポラスグループの大型分譲住宅地「パレットコート」シリーズの企画・開発、設計、販売をする中央グリーン開発は2月17日、元荒川沿いの「パレットコート北越谷 フロードヴィレッジ」の第1次販売を3月3日から開始すると発表。同日、地域自治会、越谷市と協力して進めているワークショップ「未来会議」も含めてメディアに公開した。

 物件は、東武スカイツリーライン北越谷駅から徒歩13分~、越谷市大字南荻島字出津に位置する信用金庫研修所跡地の全64区画。敷地面積は135.30~150.11㎡、建物面積93.77~116.29㎡、価格は未定だが3,000万円の半ばから4,000万円台の半ばの予定。建物は木造在来工法2階建て。

 現地は、元荒川の川沿いに位置することから、北欧の「PASSIVE DESIGN」、「HYGGE(ヒュッゲ)」、「SUSTAINABLE」を採用。川沿いの自然を感じるランドスケープを取り入れ、家族とゆったりと過ごす住空間を提案し、地域の新しいコミュニティづくりを支援する街づくりを目指している。

 見学会に臨んだ同社開発取締役事業部長・戒能隆洋氏は、「昨年行った棟下式には700名を超える方が参加し、施設内の食器・家具などが持ち帰ることができる『お宝発見ツアー』では8割以上がリユースされた。反響は現段階で地元以外には広がっていないが、紹介による来場が多く、手応えは十分。7期に分けてこの1年間で完売したい」と話した。

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23号棟 モデルハウス

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12号棟 モデルハウス

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 記者は昨年の「棟下式」も取材している。その時の記事を参照していただきたい。

 元荒川は名前の通り昔は本流だったのが、江戸時代に熊谷あたりで締め切られ、入間川に付け替えられたためにこのように呼ばれるようになったようだ。北越谷駅とは直線にしたら数分くらいの距離だが、川はかなり蛇行しているため徒歩13分の表示になっている。(渡しを付ければ「矢切の渡し」に対抗できるが)

 モデルハウスの2棟はよくできている。同社の戸建てはたくさん見ているのでもう書かないが、さすが年間3,000戸を販売する会社だ。同業がみたら腰を抜かすはずだ。男性向けのモデルハウスは高さ3mくらいの書棚(ギャラリー)と小上がりの「スタディコーナー」が圧巻。一方の女性を意識したプランは、家族それぞれが多様な用途に使えそうなスペースをリビング周りにたくさん用意しているのが特徴。

 元荒川の冷風を取り込むパッシブデザインもいい。冬は北風が寒いが、夏場は体感温度にして数度は低くなるはずだ。

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街並みパース

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 「未来会議」の取り組みも大賛成だ。どこかに意見を誘導する会議でなく、ワークショップ形式なのがいい。

 この日は、ポラスや市の関係者も含めて20数名が参加していた。「河川敷を公園にしよう、桜を植えよう、遊具を設けよう」「集会所には食堂や居酒屋、カフェが欲しい」などの意見が飛び交った。

 河川敷を管理するのは国か県だ。そこを公園にしたり、占有使用したりするこることはまず許可されない。

 また、「集会所」の定義は明確ではないが、「越谷市まちの整備に関する条例」では公共施設扱いとなり、帰属は市となり、「食堂」「居酒屋」「カフェ」などは許可を得ないと設置できない。当然に建築基準法の建蔽率、容積率(該当地は50%、100%)や用途規制により店舗などは許可されない(非住宅部分が50㎡以下は可能だが)。

 「未来会議」は今後、これらの法律・条例の壁にぶち当たることになりそうだ。あらゆる手法を駆使してこの壁を乗り越えてほしい。近接する文教大学と連携するのもいいし、同社がまとめたCSV(Creating Shared Value=共通価値の創造)の小冊子も参考になる。この前、取材し記事にした横浜市金沢区の「さくら茶屋」に学んでほしい。基本は「自助」だ。

 市もまた、条例の目的である「長年にわたり育まれた本市の歴史、地勢、社会的環境等に根ざした都市施策の継続及び計画的なまちの整備の推進を図る」(第1条)ことに背馳しないでいただきたい。

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「未来会議」

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 理解できなかったこともある。物件名だ。「フロード(FLOD)」はスウェーデン語で、「川」という意味だそうだ。スウェーデンといえは、全世界で8,900万部(シリーズ全体)が売れた、処女作品にして絶筆となったスティーグ・ラーソンの小説「ミレニアム」を思い出すが、いま戸建てもマンションも北欧ブームだ。各社が競って北欧をテーマにした商品を発売している。

 しかし、ここはストレートに「パレットコート 川沿い(リバーサイド)北越谷」とでもしたほうがよかった。井上陽水の「リバーサイドホテル」が大ヒットしたではないか。

 「毎年1万羽を超える野鴨などの渡り鳥が越冬のため飛来し」「鴨の狩猟期間(11月中旬から翌年2月中旬)に,天皇陛下の思召しにより内外の賓客の接遇の場として使用」(宮内庁ホームページ)されている、対岸の約12,000㎡の宮内庁「埼玉鴨場」にも一言。

 「棟下式」にも思ったのだが、この「埼玉鴨場」には北米などに広く分布する見事なメタセコイアの高木が植わっている。これはこれで美しいが、わが国では絶滅種のメタセコイアが植えられているのは、「1949年、日本と皇室がそれぞれメタセコイアの挿し木と種子を譲り受け、全国各地の公園、並木道、校庭などに植えられている」(ウィキペディア)ためのようだ。地元の人によると戦後、進駐軍が利用していたともいう。

 なるほど。メタセコイアは、わが国がアメリカの軍門に下る象徴的な樹木であるということだ。記者は国粋主義者ではないし、日本国憲法の精神は美しいと思うが、その理由を知ってしまった以上、反米感情が沸々と湧き上がる。「隠された日本の財産」という意味の日本の固有種のスギ(学名:Cryptomeria japonica)に植え替えてはどうか。どう見てもあの大男のメタセコイアは見事に腰が据わったサクラと似合わない。

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このメタセコイアそのものは美しいが、宮内庁「鴨場」にそぐわない 

業界初「棟下式」「お宝発見ツアー」大賑わい700名超 ポラス 開発予定地でイベント(2017/4/16)

住民主導のもう一つの「奇跡の街」 横浜・金沢文庫 西柴団地「さくら茶屋」見学(2018/2/14)

 

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