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住宅棟(手前)と業務棟

 東急不動産と鹿島建設は4月27日、両社が共同で開発を進めている「(仮称)竹芝地区開発計画」のA街区(業務棟)に続き、B街区(住宅棟)を着工したと発表した。

 同計画は、東京都が行う都市再生ステップアップ・プロジェクト一つで、国家戦略特別区域計画特定事業に認定されている。港区海岸1丁目都有地を約70 年間定期借地によって借り受け、業務棟(着工済み)と住宅棟からなる延床面積約20万㎡の国際ビジネス拠点を創出する。

 開発に伴い、浜松町方面から竹芝駅、竹芝ふ頭をつなぐ歩行者デッキを整備し、竹芝地区の利便性・にぎわい・歩行者ネットワーク強化を図る。

 住宅棟は、18階建て延べ床面積約19,382㎡。賃貸住宅、サービスアパートメント、シェアハウスを計画。設計は長谷工コーポレーション。施工は長谷工・鹿島共同企業体。竣工予定は2020年6月。デザイン監修は「新丸内ビルディング」「東京ミッドタウン日比谷」を手掛けたホシノアーキテクツ(代表取締役:星野裕明氏)。

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「ザ・パークハウス レックス 永福町」

 三菱地所レジデンスは4月27日、シェアハウス開発の第一弾「ザ・パークハウス レックス 永福町」が竣工したのに伴う記者見学会を行った。

 物件は、京王井の頭線西永福駅から徒歩7分、杉並区大宮2丁目に位置する敷地面積約1,626㎡の東日本電信電話が所有する築38年(1980年築)の元社宅。鉄筋コンクリート造2階建て全30室。専用面積は19.76㎡。三菱地所レジが転々貸人となり、オークハウスが運営する。入居開始は4月1日。

 月額賃料は一人入居の1階12戸は9.8万円(共益費込み)で、全て申し込み済み。2階の2人入居も可能な2階18室は12.8万円(同)で、これから募集を開始する。いずれも期間9カ月の定期借家契約。

 アーティストなどモノづくりが好きな人向けに作業所や器具を備えているのが特徴で、申込者は20~30歳代が中心。外国人が約半数。地方からの申し込みもあるという。アーティストも数人いるという。

 同社Reビル事業部長・鶴見弘一氏は、「古いビルなどの再生に取り組むReビル事業を4年前に開始し、2年前に独立させた。これまでオフィスは8棟、住宅は2016年の『東陽町』に続いて2号目。社宅を再生・活用するのにもっとも有効だと判断して今回はシェアハウスを選択した。近く19室の『駒込』でも竣工させる。Reビル事業部全体では現在の貸床面積約11,000坪を2020年度までに25,000坪に拡大する」と話した。

 運営を担当するオークハウス会長・山中武志氏は、相次ぐシェアハウスのトラブルについて実名を上げながら、「わたしは3年前から警鐘を鳴らしてきた。この業界には詐欺師も多い」と話し、「当社は業界の先駆け。わたしがつくった。今はソーシャルレジデンスとして、住まいを通じて楽しみ、学び、成長する機会を提供している。古代ローマのコミュニティの中心だった広場『FORO(フォロ)』を物件名に冠している」と語った。

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2階二人部屋

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アウトドアラウンジ

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木工室

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 見学会の案内が届いたときからこの日を楽しみにしていた。案内には事業説明者として「Reビル事業部長・鶴見弘一」とあるではないか。同姓同名もあるかもしれないが、すぐ鶴見氏はかつて三菱地所野球部の黄金期の主砲だった鶴見氏だと確信した。

 その通りだったので、久々にお会いし、偉くなったのが自分のことのように嬉しくなった。野球部のメンバーが事業責任者になっている例では、常盤橋開発部長・平井幹人氏がそうだし、「東陽町」のリノベでもお会いした同社資産活用室兼メックecoライフ常務取締役・明嵐二朗氏(当時)もそうだ。

 しかし、当時の主力が偉くなるのに反比例して、チームは下降線の一途だ。今日(27日)のRBA日曜ブロックの決勝戦は三井不動産-三井不動産レジデンシャルだ。〝三井の独走〟を許していいのか。

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鶴見氏(左)と山中氏

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 シェアハウスについて。トラブルが続発し問題になっているようだが、被害者になられた方は気の毒というほかない。記者は30年くらい昔か。当時、シェアハウスではなく、ゲストハウスを見学したことがある。そのうちの1軒は戸建てで、〝たこ部屋〟と呼べるような劣悪な〝施設〟とも呼べないような代物だった。火事が起きたらどうするのか、犯罪の温床にならないか、こうやって若者は根無し草になるのかと心配した。

 ここ近年は、メディアも学者先生もシェアハウスをもてはやした。記者はよく知らないので冷ややかな目で見ていた。この日、山中氏は独演会のように問題を指摘した。まさに玉石混交の世界だと改めて思った。

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リビング(木工作品がセットされていた)

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 この日見学したシェアハウスの至るところに数十点にも上る絵画などが飾られていた。入居者が制作したものもあったようだ。値段もついていた。中にはオークションにかければ10万円くらいの値が付きそうな作品もあった。

 そのアーティストの一人「ギャラリー&サウンドバル ゲルニカ」の鈴木健司氏が製作した作品も見せていただいた。

 ピカソの「ゲルニカ」にヒントを得た作品も描かれたと聞いた。そのほか、マティスやムンクを彷彿とさせる絵画が掛かっていた。

 そういえば、ピカソは「剽窃の画家」と呼ばれた。「模写」でも「模倣」でもなく、名画をヒントに独自の世界観・魂をキャンパスに込めたから感動を呼んだ。

 「ザ・パークハウス レックス 永福町」の入居経験者のなかから著名な画家が誕生するかもしれないと思っただけでまた楽しくなった。

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鈴木氏とその作品

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記者一押しの作品(確か8万円の値が付いていた。バックにマティスが描いた女性とよく似た姿が描かれている。後から張り付けたという赤い部分がよくわからないが)

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「GEMS(ジェムズ)神宮前」

 野村不動産は4月27日(金)、都市型商業施設「GEMS(ジェムズ)」シリーズ7棟目となる「GEMS(ジェムズ)神宮前」を開業する。

 JR・東京メトロ・東急線渋谷駅から徒歩3分、東京メトロ千代田線明治神宮前駅から徒歩7分、渋谷と原宿の間に位置する地下1階地上10階建て。地下1階から2階にはスポーツアパレルブランド「チャンピオン」のアジア最大のブランドハウスが入居。3階から10階には1フロア1店舗という構成。気軽で、美味しく、リーズナブルに、カッコよく、フード&ファッションを体験できる「GOODY CULTURE FOOD&FASHION」がコンセプト。店舗デザインは全体として温かみのある無垢材が多用されているのが特徴。

 オープン当日から5月11日(金)までの期間限定先着制で、ランチタイムに2名以上利用すると1名分が無料となるキャンペーンを行なうほか、ディナータイムには「GEMSで乾杯!ビール一杯10円クーポンチケット」を配布する。

◇    ◆   ◇

 開業に先立つ26日、メディア向け内覧会が行なわれ、3階から10階までの全店舗を対象にそれぞれ試食会が行なわれた。

 和食が好きな記者のお薦めベスト3は3階「鮨処 虎秀」、8階「おばんざい 鉢屋」、9階「饂飩ト酒 丸ジン」だ。

 「鮨処 虎秀」はカウンターとテーブル席で、築地中卸水音水産の仕入れスタッフが食材を仕入れる。驚くほどリーズナブルな値段もさることながら、カウンターに約150万円、組子デザインの壁に約100万円をかけた内装がいい。獺祭(磨き三割九分)はクラスで990円。

 「おばんざい 鉢屋」は、稲架(ハサ)をイメージした白木が天井から吊り下げられており、隈研吾氏がみたら驚くはずの秀作。トマトのおでんが食べたかったが、この日は提供されなかった。

 「饂飩ト酒 丸ジン」は、3日間氷水につけた塩味だけのピーマンが最高に美味しい。一切れ450円だが、その価値は十分ある。大カウンターの客席と厨房の位置が近く、とても雰囲気がいい。

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「鮨処 虎秀」の組子デザイン

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稲架(ハサ)をイメージした「おばんざい 鉢屋」の天井

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「饂飩ト酒 丸ジン」

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10階の「BUTCHER'S CAMP YAKINIKU ZENIBA」のスタッフ

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「+ONE LIFE LAB銀座ギャラリー」

 新日鉄興和不動産は4月28日、シングルライフをより豊かにする情報や暮らしに関する+ONEを体感できる「+ONE LIFE LAB銀座ギャラリー」を銀座にオープンする。

 「+ONE LIFE LAB(プラスワンライフラボ)」は、単身世帯のライフスタイル・価値観・未来像をあらゆる視点から考察し発信、カタチにして提案する研究所で、2017年5月に設立した。

 「銀座ギャラリー」は、オンライン上では得られない情報を実際に体感・体験できる場として設置したもの。「+ONE LIFE LAB」の研究結果・内容の展示、コンセプトルームの体感、同社分譲物件の3D間取りの閲覧、ライフスタイル関連の約300冊の書籍の閲覧、ライフスタイルにまつわるイベントの開催、フリードリンクサービス、スタディテーブルでの自主学習、フリーWiFi、フリー充電-などが無料で提供される。

 銀座ギャラリーは、東京メトロ有楽町線銀座一丁目駅から徒歩1分、日比谷線銀座駅から徒歩6、所在地は中央区銀座1-6-11 土志田ビル2F。営業は平日11:00~19:00、休日10:00~18:00、休館は水・木曜日(祝日除)。URLはhttp://plusonelife-lab.jp/gallery/

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 これでデベロッパーの銀座でのコンパクトマンションなどの常設ギャラリーは、フージャースコーポレーション、三菱地所レジデンス、タカラレーベン、明和地所に続き5店目だ。同社の拠点が他のデベロッパーの拠点と異なるのは、〝販売・営業優先〟でないことだ。さすが新日鉄興和不動産だ。

 24日に行われた発表会では面白い研究成果が報告された。1980~2000年代に生まれたミレニアル世代の中で、現在20代前半の女性を対象に2時間にわたる個別面談や、ミレニアル世代をターゲットにした商品企画をおこなっている企業担当者へのヒアリングを実施した結果、同世代は〝みんなバラバラでアンバランス〟という結論が導き出されたという。

 配布された資料は字が小さくて読めないが、記者が思っている〝訳が分からん〟とそう大差ないことが確認できてうれしくなった。

 一つだけ〝違うだろー〟と思ったのは、同社のミレニアル世代だと思われる女性担当者が「ミレニアル世代は個性が強い」と話したことだ。

 本人も含め同世代は個性的と主張したかったのだろうが、〝みんなバラバラでアンバランス〟〝訳が分からん〟というのは、個性が強いのではなく、むしろ個性が欠けるということではないか。ものの道理を弁えるから人はそれぞれ個性を発揮できる。

 大変失礼だが、ミレニアル世代はそのような道理、常識、知識を持ち合わせていないからバラバラ、訳が分からないということになるのではないか。

 そんな世代にデベロッパーはどんな商品を提供していくのか。てんでんばらばらになったら世の中の常識、価値観、審美眼はどうなるのか。

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〝いま一つのリビオ〟巻き返しの狼煙 新日鉄興和不 銀座にギャラリー開設(2018/4/25)

 

 

 

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「ヘーベルハウスのきのまent(エント)」イメージ

 旭化成ホームズは4月26日、アウトドアリビングと玄関アプローチを兼ねた半屋外空間「のきのま」を提案する戸建住宅「ヘーベルハウスのきのまent(エント)」を5月1日から発売すると発表した。

 「のきのま」とは、玄関を大きく引き込むことで創られる広いアプローチ空間を大きくせり出した深い軒で覆い、床をウッドデッキなどのテラスとして仕上げた新たな約4坪の空間の名称。大きな開口部で1階リビングと空間をつなげ、外構により道路側からの視線を適度に遮ることで、庭が取りにくい敷地でも子どもの遊び場、DIYの作業、レジャー用品の整備など家族が楽しむ「アウトドアリビング」として様々な用途に活用でき、近隣住民や来訪者を招き入れコミュニケーションを図る「エントランス」としても機能する。

 商品の発売にあたり、「のきのま」の利便性を高めるアイテムとして、意匠性の高い「システム屋外デッキ」や「大判タイル」、ハンモックを吊り下げられる「ハンギングフック」などの外装アイテムを仕様化した。

 1階のリビングには、大開口の「2.7m巾掃き出し窓」を設け、道路側には床から1.2mの高さで2.4m巾のワイドな引き違い窓を提案する。提案に伴い、浴室・ランドリーは2階に設定する。

 発表会に臨んだ同社取締役兼常務執行役員兼マーケティング本部長・藤澤秀樹氏は、「当社の2階リビングタイプの採用率は年々高まっており、採用率は2割以上に達している。その2階リビングには『そらのま』などアウトドアリビングの提案を行ってきており、高い評価を得ている。今回の新商品は、圧倒的に多い1階リビングタイプでもアウトドアリビングを提案し、受注拡大につなげていきたい」と話した。

 プロトタイプは1階が55.59㎡、2階が60.62㎡、延床面積116.21㎡。のきのま面積は13.4㎡(4.1坪)。価格は2,950万円(坪単価80万円)。道路(玄関)が東西南北いずれでも対応が可能。販売目標は年間250棟。

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外観

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 面白い提案だと思う。マンションも戸建ても〝アウトドアリビング〟が大きなテーマになっている。今回の新商品は間違いなく一定の需要層に受けるはずだ。2階に浴室やランドリーを移すのも大賛成。道路(玄関)が東西南北どこに位置しても対応が可能というのもいい。

 記者は昨年、ポラスの分譲住宅「マインドスクェア南大泉Ⅰ」で、敷地延長を逆手に取ったプランに驚いたことがある。記事には「玄関を入ってすぐ右手(南側)にロードバイクとその備品などを配置した約3.1畳大のDEN(土間)を設置。それにつながる16.2畳大のリビング・ダイニングの南面は壁面を多くし、一体利用ができるように工夫」と書いた。

 この「DEN(土間)」は閉じられた空間だが、旭化成ホームズは外と内を緩やかにつなぐ提案でもある。欲を言わせていただければ、「のきのま」はどこにでも設置できるはずで、例えば1方、2方に壁などを設置し、閉じたり開けたりできる空間は考えられないだろうか。壁を設けたら容積率に算入されることになるのだろうが、そのようなフレキシブルな空間提案があっていい。

 もう一つ問題提起。「のきのま」は約8畳大だが、このスペースは容積算入されるかどうかという問題だ。関係者によると、この空間が「玄関ポーチ」と認定されれば容積には算入されないが、軒先から2mを超える部分は自治体によって容積に算入されるケースもあるという。プロトタイプも容積算入を前提にしているとのことだった。

 マンションのバルコニーも同様だ。ほとんどの場合、バルコニーの奥行きは容積算入を避けるため2m以下だが、それを超えるケースもある。自治体の対応がまちまちだからだ。統一はできないのか。

ポラス 敷地延長を逆手に取った斬新プラン「マインドスクェア南大泉Ⅰ」に採用(2017/9/11)

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「シティハウス中野テラス」完成予想図

 住友不動産が近く分譲する「シティハウス中野テラス」のモデルルームを見学した。6つもの再開発計画が進行中の中野駅圏の白を基調としたデザインが美しいファミリー向け中心のマンションだ。

 物件は、JR総武・中央線中野駅から徒歩14分、中野区新井四丁目に位置する7階建て68戸。専有面積は64.17~92.25、価格は未定だが、坪単価は370~380万円になる模様。竣工予定は平成31年1月中旬。設計・施工は淺沼組。

 現地は、中野駅北口のサンモール商店街と桜並木が美しい舗道を抜けた三方道路の角地。対面は「ライフ中野新井店」。近くには新井天神北野神社・新井薬師公園、平和の森公園がある。

 建物の内外装は白が基調で、東棟と西棟の2棟構成。ガラス手すり、スロップシンク、御影石キッチンカウンタートップ、食洗機などが標準装備で、プランはデッドスペースをなくすよう引き戸を多用しているのが特徴。

 販売を担当する総合マンションギャラリー新宿館の中野浩一氏は、「徒歩14分だが、バス利用で中野駅まで8分。地域の方から〝待ってました〟という評価をいただいている」と話している。

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 この界隈はよく知っている。近くにある新井薬師公園には飲用できる井戸がある。近所の人がベッドボトルなどを持って汲みに来ていたのも見たことがある。とても静か。桜並木も見事だ。

 モデルルームを見学して、感心したのは設備仕様や提案だ。主寝室にはオプションだが化粧台が、クローゼットの中には全身が映せる鏡が設置されていた。中野氏によると、施工担当の建築士は女性で、その女性の提案のようだ。記者を含めた男性はクローゼットの中にどうして全身が映せる鏡があるのか理解できないが、この前の新日鉄興和不動産の「板橋本町」の取材で、女性は全身が映せる鏡を欲していると聞いた。

 このほか、今まで気が付かなかったのだが、浴室のシャワーヘッドは止水スイッチ付き。浴室とキッチンにはチャイルドロックもついていた。

 中野駅圏は再開発計画が目白押しで、どんな街になるのか楽しみだ。坪単価はリーズナブルだと思う。三菱地所レジデンスが数年前に分譲したサンモール商店街を抜けたところのマンションは坪単価460万円くらいだったはずだ。

 

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「+ONE LIFE LAB銀座ギャラリー」

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吉澤氏

 新日鉄興和不動産は4月24日、銀座1丁目に開設した単身世帯のライフスタイル、価値観など考察し、情報を発信する研究所「+ONE LIFE LAB銀座ギャラリー」のプレス発表会・内覧会を行ったが、冒頭、同社常務取締役住宅事業本部長・吉澤恵一氏が「当社のマンションブランド〝リビオ〟はいま一つ」と話したのが気にかかる。この話から先に書く。

 吉澤氏が「いま一つ」と話した真意はよくわからないが、いまマンション市場を支配している大手から取り残されている、もどかしさがそのような言葉になったのではないか。

 これを聞き、記者も同じように感じた。それは同社に対する期待が大きいからだ。

 もう40年近くも昔か。当時、日鉄ライフが新日鉄の社宅跡地などで積極的にマンションを分譲し始めた。レベルの高い商品企画をみて、〝大手デベロッパーを超えるのは既存のデベロッパーではなくて、異業種から参入したこのような会社だ〟と確信した。

 その後、社名は新日鉄都市開発になり、さらに紆余曲折があり2012年に興和不動産と合併していまの社名になった。建て替えの「テラス渋谷美竹」「ザ・レジデンス神宮前」「横濱紅葉坂レジデンス」などで業界の話題になったころだ。興和不はマンションも手がけていたが、どちらかと言えばビル事業を得意としており、両社の合併はシナジー効果が大きく、大手の一角を占めるのではないかと記者は予想した。そして2013年、他社に先駆けてコンパクトマンション市場に参入した。

 その後はというと、同社が〝ぶら下がりの〟物件はあるが、幹事となった話題物件はほとんど記憶にない。これが残念だ。あの商品企画力はどこに行ったのかと言わざるを得ない。驚嘆した「赤坂インターシティAIR」との落差があまりにも大きすぎる。情報収集力、目利き力で大手に差をつけられているとしか思えない。一つ指摘すれば、同社は販売部隊を持っていない。現場を知らないといい商品企画は生まれない。

 しかし、今回の「銀座ギャラリー」の開設は巻き返しの強いメッセージだと受け止めたい。吉澤氏は今後のマンションの展開について、「2017年度は400~500戸。2018年度は1,300戸、2019年度は2,300戸に増やす」と話した。

 先に書いたように、いまマンション業界は、大手5~6社が抜け出しており、次位に同社や電鉄会社など数社が上位グループ入りをうかがっている図式だ。〝新日鉄〟の看板があるのだから同社が浮上することは十分可能だ、戸数のことを言っているのではない。商品企画で他社を圧倒してほしい。いよいよジャンプする時代だ。

感動の組子-ヘンデル-社長挨拶-内覧フルコース堪能 新日鉄興和「赤坂インターシティAIR」見学(2017/9/27)

新日鉄興和不 「東京日本橋」「大手町」「浅草橋」共同マンションパビリオン(2013/2/8)

新日鉄興和他「ザ・レジデンス神宮前」竣工 絶好調(2013/7/26)

坪単価「400万円台の半ば」新日鉄都市開発「テラス渋谷美竹」(2012/1/13)

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沓掛氏

 〝嫁入り〟なのか〝婿養子〟なのかよくわからないが、日本郵政による野村不動産ホールディングスの買収劇から約1年。日本郵政は今年4月1日付で子会社・郵政不動産を立ち上げ、社長に同社代表執行役副社長・岩崎芳史氏が就任したことで完全に一件落着となった格好だ。

 だが、しかし、同社は不動産事業に関してはノウハウを持たない。三井不動産出身で三井不動産リアルティ社長、会長などを務め、業界に顔の広い岩崎氏が社長に就任したのは、M&Aを睨んでのことだと思う。

 〝仮にラブコールがあったら復縁するか〟と野村不HD社長・沓掛英二氏(野村不動産会長)と同副社長・宮嶋誠一氏(同社長)に4月24日に行われた記者懇親会で鎌をかけた。

 沓掛氏も宮嶋氏も曲者だ。「もう壊れたこと」などと言質を与えなかった。それでも「相手から誘いがあれば、手ぐらい握るのではないか」と共同開発の可能性について聞いたら、「共同開発は従来からどことでもやっていること」とこれまたはぐらかされた。

 懇親会に出席していた同社グループ関係者は「岩崎さんは三井出身。うちを好きなはずはない」と話し、また別の関係者は「なんの打診もなく、あちらから一方的に話を公表した」と不快感をにじませた。

 近く岩崎氏にインタビューするので、野村不HDとの〝復縁〟があるのかどうか、ダメならどこに触手を伸ばすのか、探り出す予定だ。

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好例の記者懇親会(日本橋室町野村ビル ホールで)

日本郵政の野村不HD買収〝破談〟 〝縁談話〟公表した郵政の責任は大きい(2017/6/20)

 

 

 

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沓掛氏(左)と宮嶋氏

 野村不動産ホールディングス代表取締役社長グループCEO・沓掛英二氏(野村不動産会長)と同副社長グループCOO・宮嶋誠一氏(同社長)は4月24日、労働基準監督署から企画業務型裁量労働制に関わる是正勧告・指導を受け、社員が過労死したことについてお詫びするとともに、再発防止に全力で取り組むことを明らかにした。役員報酬も一部自主返上すると語った。

 同社グループの野村不動産は昨年12月25日、一部社員に適用していた企画業務型裁量労働制が、同制度に基づく「みなし労働時間」が適用されないにも関わらず、時間外労働にかかる賃金が未払いであることから本社と地方4事業部を管轄する労働基準監督署から是正勧告・指導を受けた。また、同社社員が過労自殺していたことも明らかになった。

 24日は同社グループの恒例の記者懇親会だったが、冒頭、沓掛氏と宮嶋氏はそれぞれ約5分間、「責任」「深く」「お詫び」「反省」を繰り返し詫びた。

 沓掛氏は、「社員の過労死が労災認定を受けたことを大変重く受け止めている。ご本人にはご冥福をお祈りし、ご遺族には心からお悔やみ申し上げます。過労死を未然に防げなかった責任は極めて重い。深くお詫び申し上げる」と語り、「その責任を示すためにも、わたしと宮嶋は月額20%、3カ月、他のホールディングスの役員は月額10%、3カ月の役員報酬を自主返上する」と述べた。

 宮嶋氏は、「社員、関係者、社会に深くお詫び申し上げる。申し訳ございませんでした」と改めてお詫びし、「二度とこのようなことが起きないようトップ、役員が先頭に立って信頼回復に取り組む。今回の(不祥事)の原因となった企業風土を改め、労務管理を見直し、法令順守を徹底させ、社会の信頼回復に取り組む」と話した。

◇       ◆     ◇

 この問題について軽々に語るべきではないと思うが、沓掛氏も宮嶋氏もそれぞれ口にした同社の「企業風土」は、記者も思い当たる節がある。マンションブランド〝プラウド〟を立ち上げる前後は、まさに同社は飛ぶ鳥を落とす勢いにあった。言葉は悪いが〝いけいけどんどん〟そのもので、高揚感に満ちていた。

 マンション事業では、大京、コスモスイニシア、ダイア建設、藤和不動産などが失速し、三井不動産、住友不動産、三菱地所などの財閥系が浮上する一方で、同社は圧倒的な商品企画力でトツプブランドまで上り詰めた。

 都市型戸建てもトップの三井不動産レジデンシャルに肩を並べるところまで一時は業績を伸ばした。大手に負ける商業・賃貸事業、不動産投資事業、仲介、管理なども急速に拡大した。

 いま考えてみると、それは両刃の剣ということだったようだ。雨降って地固まるという言葉があるではないか。これを機に着実に一歩一歩前進する企業になってほしい。それが、亡くなられた方と遺族の方々に対する謝罪となるのではないか。

 

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梁氏(左)と太田氏(東京メトロ玄関前で)

 わが国のレイシズム(人種・民族差別)をなくすために活動を行っている若手研究者・NGO活動家・学生を主体とする反レイシズム情報センター(ARIC)は4月24日、その活動を支援する弁護士の太田啓子氏とともに、東京地下鉄(東京メトロ)に女性専用車両に男性が意図的に乗り込む行為を禁止し、強制力を持つ対応をするよう要望書を手渡した。東京メトロは即答は避けたが何らかの回答をする模様だ。

 要望書では、「女性専用車両に反対する一部団体が朝の通勤ラッシュ時に、女性専用車両内にわざと男性が乗り込む行為を繰り返すことが大きな問題となっています」「女性専用車両は痴漢はじめ性差別・性暴力から女性を守るために導入されたものであり、積極的な差別是正策として当然正当で必要なものです。そして女性乗客に不安・恐怖を与えることを十分に知りながらも意図的に男性が女性専用車両に乗り込む行為は、明らかに女性差別であり、性暴力の助長・煽動にもあたる非常に危険な行為です」「しかし残念ながら東京メトロ(東京地下鉄株式会社)は、女性専用車両について男性乗車をルールによって禁止しておらず、駅員が女性専用車両にわざと乗り込んだ男性加害者を降車させることができていません」とし、「女性専用車両への男性(介助者など特別な場合を除く)の乗り込みを禁止し、明文化したルールとして定め啓発に勤めること」「違反した者に対しては、駅員や乗務員が降車を求めるよう定めること。また、加害者が降車措置に従わない場合、各地警察機関と連携し、強制力を持った対応を行うこと」「人種、民族、性などあらゆる差別を禁止し、明文化したルールとして定め、その撲滅を社会的に宣言すること」などを求めた。

 東京メトロに要望書を提出した同センター代表梁英聖氏や太田氏は、「真剣に話を聞いていただいた。何らかの回答を頂けるということだった。このような要望活動はJRや他の民間鉄道会社にも行っていく」と話した。

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東京メトロ本社

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 この問題は、われわれ業界のすべての男性も女性も考えるべきであり、あらゆる差別をこの世の中からなくすためにもと考え、取材に出かけた。

 記者もかつて、電車のドアが締めかけているのに飛び乗って、その車両が女性専用車両であることを知り、恥ずかしい思いをしたことがある。

 このようなケースはともかく、〝悪意〟で女性専用車両に乗り込むことなどあってはならない。トラブルに発展すればともかく、法的な措置を取るのは難しいかもしれないが、このような行為を許さない社会規範を確立しないといけない。

 今年社会人になった女性(22)は、「わたしは中央線を利用しており、痴漢が怖いというより空いているのでいつも女性専用車両に乗る。男性専用車両を設ければいいのではないか」と話している(混むか空くか、実験してみる価値はありそう)。

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東京メトロの車両

 

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