マンション管理適正評価 登録率トップは遠鉄アシスト 1割超達成は6社
左から高松氏、山内氏、同社勝又進氏
マンション管理業協会(理事長:高松茂・三井不動産レジデンシャルサービス会長)は6月11日、定時総会後に懇親会を開き、同協会が推進しているマンション管理適正評価制度の当日現在の登録件数は4,535件であることを公表し、もっとも登録率が高い静岡県浜松市の遠鉄アシストを表彰した。
遠鉄アシスト取締役ビルサービス事業部長・山内友博氏は「同制度はマンション管理の良否を明確に示すモノサシであり、当社が管理する40数棟の管理組合に登録を積極的に呼びかけており、現在登録率は2割ちょっと。今後も登録増に尽力していく」と語った。
また、同社に次いで登録率が高いのはグローブシップ(東京都港区)で、三井不動産レジデンシャルサービス(東京都江東区)、伊藤忠アーバンコミュニティ(東京都中央区)、穴吹コミュニティ(香川県高松市)、日本ハウズイング(東京都新宿区)が1割超であることが分かった。
昨年の懇親会で「会員354社の管理件数の1割で達成できます。ちょうど1割、たった1割」とあいさつして爆笑を買った、同協会副理事長で日本ハウズイング代表取締役社長CEOは「当社は1万棟を管理受託しているが、うち1,000棟が登録しているので、ちょうど1割」と語った。
★5つの登録件数が多い伊藤忠アーバンコミュニティの代表取締役社長で同協会理事の深城浩二氏は「わずか1年間で★2つから★5つを獲得した管理組合があるように、★が低くても登録するよう働きかけていくことが大事」と話した。
同協会は、会員が管理する約100万件の1%に当たる1万件登録を今年度末までに達成する目標を掲げている。
〝劣等生〟の管理組合&管理会社も積極登録目指せマンション適正管理評価制度(2024/3/16)
「知の結集。やればできる」齊藤審査委員長が激賞管理協バリューアップアワード(2024/2/29)
眺望価値はそれほど高いか 街路樹伐採のほうが問題ではないか 積水ハウス「国立」
マスコミ各社は、積水ハウスの分譲マンション「グランドメゾン国立富士見通り」が竣工を目前に控え、購入者との契約を解除し、建物も解体すると国立市に届け出たことを報じている。報道によれば、建築基準法などの法令に違反しているわけではなく、近隣住民などから〝富士山が見えなくなる〟との反対運動を考慮し、同社は「建物が周辺に与える影響についての検討に不十分な点があった。経営判断」(朝日新聞)として決断したという。
物件は、JR中央線国立駅から徒歩10分、国立市中2丁目の第一種低層住居専用地域(建ぺい率41%、容積率288%)に位置する敷地面積約464㎡、10階建て19戸。専有面積は65.80~75.88㎡。竣工予定は2024年6月下旬。施工は川口土木建築工業。
今後は、建築基準法第39条(手付の額の制限等)の「宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約の締結に際して、代金の額の十分の二を超える額の手付を受領することができない」「宅地建物取引業者が、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約の締結に際して手付を受領したときは…当該宅地建物取引業者はその倍額を現実に提供して、契約の解除をすることができる」規定により、手付金の倍返しを行い、契約を解除することになりそうだ。
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住民のマンション建設反対運動により、絶対高さを法令基準より低くした事例はたくさんあるだろうが、法令に違反していないのに竣工目前で契約を解除し、建物も解体するという事例を記者は聞いたことがない。おそらく初めてのことではないか。明和地所の「国立マンション」について10年くらい取材をしてきた記者も驚いた。
同社はその理由として「経営判断」としか示していないが、「人間愛」を理念に掲げ、「人間性豊かな住まいと環境の創造」を標榜する同社にとって、そのブランド価値を守るほうが得策だと考えたのだろう。建築費や手付金倍返しと解体費用を含めた損失額は数億から10億円程度にとどまるのではないか。
今回の事例とは異なるが、2011年に竣工した同社の記念碑的なマンション「グランドメゾン伊勢山」は、2007年に耐震偽装が発覚し工事を中止して建て替えたものだ。今回の「国立」は更地にして、改めて低く抑えてマンションを建設するか、あるいは売却することになりそうだ。
それにしても、景観価値、というよりは今回は〝富士山が見えない〟というだけのごく限られたエリアの人たちの〝利益〟を重視しただけに過ぎないが、〝富士山が見える〟価値はそれほど高いのか。ならば、どうして「国立」マンションのとき、地区計画で他のエリアも高さ規制をしなかったのか。記者などは道路整備によって「ケヤキ」「イチョウ」「ポプラ」「ユリノキ」「サクラ」などの街路樹が伐採され、それらの名を付した通りが失われるほうが問題だと思うが…。
〝市民の味方〟の国立市議さん 「国立の都市景観」を語ってほしい(2014/6/11)
住友不動産「グローブアベニュー国立」 高さ20mは自主規制の結果(2014/5/7)
「国立裁判」全て終結 明和地所が全面勝訴したが…(2008/3/13)
億ションの歴史を変える積水ハウス「グランドメゾン伊勢山」(2011/5/13)
ワーカーのウェルビーイング向上目指す食堂整備 東京建物「八重洲一丁目B地区」

東京建物は6月7日、再開発組合の一員として参画している「東京駅前八重洲一丁目東B地区第一種市街地再開発事業」にワーカーのウェルビーイング向上を支援する食堂等を整備することを決定したと発表した。
八重洲プロジェクト13階にオフィス入居者向けのウェルビーイングフロア「(仮称)Wab. (ワボ)」を設け、食を通じてワーカーの生き生きとした生活をサポートする食堂や、生産者を招き食材・レシピの紹介等を通じてワーカーと交流するイベントキッチンなど、ウェルビーイング向上に寄与する施設を導入する。
食堂では、キリンホールディングスと協業し、免疫ケアフードメニューを提供するほか、47都道府県各地の郷土料理やこだわりの調味料の提供を通してコミュニケーション機会の創出と地域の食文化の継承・発展を目指す。
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記者は、この種の取り組みについてはよくわからないのだが、今年3月、コリアーズ・インターナショナル・ジャパンの取材をしたとき、同社レポートで多くのオフィスワーカーが希望する設備として「食堂」「コンビニ」「リフレッシュルーム/カフェスペース」を求めていることを知った。
また、日本ビジネスシステムズ(JBS)は2024年4月に本社を虎ノ門ヒルズ ステーションタワーへ移転し、併設するカフェ&ダイニング「Lucy’s Tokyo」の利用とともに、集い行き交うコミュニケーションプレイス=“ Park ”(公園)を実現するというニュースもあった。
最近はせんべろの日高屋しか利用しないが、47都道府県の郷土料理が食べられるというのはとてもいい。わが故郷の「伊勢うどん」がお勧めだ。黒いおつゆ(昔はたまり醤油)に真っ白で柔らかいうどんが浮かび、それと歯ごたえのある赤白のかまぼこ、青々とした細ネギが載っているのみ。シンプルで美しい。600円くらいか。
オフィスワーカーの欲しい設備「食堂」/Z世代の働きたい場所「東京」コリアーズ(2024/3/18)
まるで武蔵野リゾート 断熱等級7を初めて体感 旭化成ホームズ 戸建て甲州街道モデル

「Asu-haus(アスハウス)」甲州街道モデル
旭化成ホームズは6月5日、木造戸建て住宅の新ブランド「Asu-haus(アスハウス)」甲州街道モデルハウスをメディア向けに公開した。外気温は30度を超えていたにもかかわらず、エアコン1台で建物内は25度前後に保たれる断熱等級7のすごさを初めて体験し、豊かな緑に圧倒された。〝武蔵野リゾート〟と名付けた。
〝Asu-haus(アスハウス)の未来につながる暮らしと空間〟がコンセプトで、「暮らし」については、エアコン1台で季節・時間・場所を問わず快適な生活ができる「経験価値」、断熱等級6のエアコンをつけたままの全館空調より消費電力は約40%削減できる「経済価値」、ZEHからLCCM(Life Cycle Carbon Minus)の「環境価値」をそれぞれ実現。「空間」については、断熱等級が国内最高クラスの断熱等級7の「温熱性能」、長期にわたって快適性を担保する「構造安全・耐久性能」、地域や自然とつながり多用途に使える「デザイン」としているのが特徴。
これにより、温度差は±1℃以内、温度は夏26~28℃、冬20~23度、湿度は夏60%以下、冬40~60%、壁・床・天井などの表面温度は室温±2℃以内の理想的な環境を目指す。
主なターゲットは、必要最小限の空間と環境を重視し、クリエイティブでファミリー志向の60代夫婦。間取りはシンプルな田の字型で、汎用性を重視している。
見学会に臨んだ同社GREENOVATION推進室室長・白石真二氏は「未来のあるべき姿を見据え、暮らしと空間のそれぞれ3つの価値を実現する。そのために、具体的な4つの温度・湿度の目標値を設定した」と語り、合わせて、ブランドコンセプトである「GREENOVATIONには、環境性と経済性の両立という概念を取り込み、さらに若々しく健康に生きようという意味も込めた」と語った。
また、同推進室企画グループ・高梨拓己氏は外観・外構などについて「5.5寸の切妻屋根を採用することでソーラーの設置、都下での北側斜線制限にも対応できるようにし、日射を遮断するパーゴラのほか、ベビーカー、車椅子にも対応できるスロープを設けた。エクステリアでは14本の中高木を植樹した」と話した。
モデルハウスは、多摩モノレール線甲州街道駅から徒歩4分、敷地面積は約50坪、建物は木造軸組工法(平屋~2階)の切妻屋根の延床面積約30坪。断熱等級7(Ua値0.26W/㎡・K以下)、耐震等級3、耐風等級2。坪単価は135万円から。家庭用エアコン1台で快適性が保たれる全館空調を採用。床はクリ材の突板、窓はトリプル樹脂サッシ。最大天井高はロフトを含めて約6m。販売棟数は2024年度16棟、2025年度25棟を上限とする限定販売。販売エリアは東京都城南・城西地区、都下の一部。6月1日から販売開始されている。

植栽(手前はじゃかご)
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〝武蔵野の別荘はかくやあらん〟-これが見学した率直な感想だ。これほどコンセプトが明確で、ターゲットも的確なモデルハウスは他にそうないはずだ。
建物外観と外構を見たとき、勾配屋根と左官調仕上げの飽きのこないヴァナキュラーデザインに惹かれ、〝5本の樹計画〟をはるかに上回る圧倒的な緑量に興奮すら覚えた。売上高1兆円を目指す同社にとって2024~2025年度の販売棟数41棟は微々たるものだろうが、〝堅牢だが価格が高い〟〝コンクリート住宅〟とは違った世界観、価値観を垣間見ることができた。
植栽計画について。玄関エントランスには樹肌・樹皮に横縞模様がある「武蔵野ヒノキ」が植えられていた。樹高は高くならないよう建物の高さ6mくらいにコントロールするとのことだった。(どうして「武蔵野」がついているのか、ネットで調べたがわからなかった)。この他はシラカシ、ヤマボウシ、ナナカマド、シャラ、ポプラ、オリーブ、ソヨゴなど。
住宅性能、特に断熱性について。あちらこちらの部屋の壁、サッシ枠、ガラスの温度などを確認した。熱伝導率が異なる木、鉄、コンクリ、ガラスなどが室温とほとんど同じ25℃前後で一定していた。普通はありえないことだ。ただ、断熱等級7は初めての体験だったので、断熱等級6や一般的な全館空調との差はいまひとつよくわからなかった。これは体験してみないとわからないことだ。真夏か真冬が一番いい。

玄関の温度計は外気温31.2℃、建物内は24.5℃を示していた

リビング

モデルハウス(2階から写す)

モデルハウス

武蔵野ケヤキ

外観
旭化成ホームズGr 今期売上高9,600億円へ木造戸建て参入トライアル(2024/5/13)
本物の緑に感動 無国籍・多国籍の店舗構成も納得 東急プラザ原宿「ハラカド」

「ハラカド」(左)と「オモカド」
表参道と明治通りが交差する神宮前交差点にある「東急プラザ原宿『ハラカド』」を見て回った。東急不動産と東京地下鉄が共同で開発を進めてきた75の物販・飲食店舗からなる施設で、2024年4月17日(水)にオープン。7階の屋上テラスをはじめ4階フロアの「みどり」はすべて本物で、その圧倒的な量に感動し、わが国と思えない無国籍・多国籍の人の集まりを想定した店舗構成になるほどと思った。小生のような日本人年寄りはほとんどいなかった。平日にも拘わらず多くの人で賑わっていた。
施設は、感度の高いヒト・モノ・コトと「出会う」「つながる」「体験する」「楽しむ」を掛け合わせることで、新たな原宿カルチャーの創造・体験の場を実現するのがテーマだそうで、対面にある「東急プラザ表参道『オモカド』」とともに原宿の名物になるのは間違いない。
訪れたのは6月3日の午後2時過ぎ。何か食べようと5階に上った。そのものずばりの「FAMiRES」や「居酒屋スタンド ジャンプ」「一風堂」「TOKYO MEAT 酒場」「紫金飯店」「原宿牡蠣屋 Tokyo Seafood」「da pai dang 105」「まぐろ問屋 恵み」「カンブチキン」「トーキングゴリラ」「PRETTY PORK FACTORY & KATSU プリポー」など、路地裏の屋台を1フロアに収めたような造りにしばし呆然。一番なじみやすい昭和レトロの居酒屋に入り、ビール2杯とアジフライを注文した。〆て2,000円少し。小生が最近ほれ込んでいる日高屋のメニューの倍の料金だ。〝ここは原宿〟と自分を納得させるほかなかった。
周囲を見渡した。小生のような日本人年寄りはほとんど皆無。アジア系と思われる外国人が多数派を占め、ファッションショーから抜け出してきたような長身でスタイル抜群の若い人には口をあんぐり。遮るものがない通路を眺めながら酒を飲めるのもまたいい。
7階の屋上テラスの豊富な樹木にも圧倒された。写真を撮ったり、ベンチで寝そべったり食事をしたりする人の姿が目立った。これまたあまり見ない光景だ。
4階の約312坪のフロア全体を「ハラッパ」に見立てた企画もまたいい。各方面のクリエイターが演出を担当しており、国籍・性別・年齢に関わらず皆がボーダレスに体験できるインスタレーション、コンテンツはもとより、配置されている観葉植物はすべて本物なのに、「フェイクをやめよ」と主張してきた記者はとてもうれしくなった。
これは不確実なので断定はできないが、東急不動産ホールディングスグループはもう10数年前から新卒採用基準を平均点主義から特技、長所などを重視する方針に変更しているはずだ。若い社員が「オモカド」や「ハラカド」の商品企画に加わっているからこそ、斬新なアイデアが生まれるのではないかと記者は考えている。

屋上テラス

屋上テラス

屋上テラス

4階「ハラッパ」
三菱地所レジなど30社 マンション型枠用合板トレーサビリティ研究会発足
三菱地所レジデンスは6月4日、同社が事務局となり施工会社、型枠工務店、型枠加工会社、木材卸会社、木材輸入商社など30社による「型枠用合板のトレーサビリティ普及促進勉強会」を2024年4月に発足させたと発表した。
発足の趣意・背景について同社は、マンションの建築で利用する木材のうち型枠材は約45%を占めており、型枠工事に用いられる合板は精度・強度などに優れる点から、多くがマレーシアを中心とした南洋材を原料としているが、南洋材に由来する合板は合法性、人権・生物多様性に問題があると指摘されていることから、「型枠用合板のトレーサビリティ確保の認証スキーム」を広く普及促進するためとしている。
同社は2020年6月、オフィスや住宅などの建設時に使用する型枠コンクリートパネルに持続可能性に配慮した調達コードにある木材(認証材並びに国産材)と同等の木材を使用すると発表している。現在、型枠材についてトレーサビリティを確保しているプロジェクトは30物件以上という。2030年度までにその使用率を100%にするとしている。
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結構な取り組みだと思う。しかし、同社が環境に配慮したマンションの建設に積極的に取り組んでいるからこそ注文もしたい。マンション建築での木材利用の残り55%は何なのかの言及はないし、建築段階全体でどのようにしてCO2排出量を減らすのか、木造化・木質化を進めるのか、一歩踏み込んだ研究に取り組んでほしい。資材の運搬に用いられているパレットの軽量化・木質化のほか木製サッシ、ドア、フローリング、壁材など木質化の課題もあるはずだ。
もう一つ、先日、野村不動産は先日、今後分譲するマンション全戸(全棟)にZEH水準を上回る「断熱性能等級6」を満たすと発表した。東急不動産も「みどり」の価値をの〝見える化〟を図る「ブランズ自由が丘」を竣工した。三井不動産レジデンシャルも木造マンションの供給に積極姿勢を見せている。 記者はこのマンション環境分野でどこがヘゲモニーを握るか、とても興味がある。
多摩産の「木」を多用した共用部が美しい三菱地所レジデンス「聖蹟桜ヶ丘」(2023/4/19)
三菱地所持続可能性に配慮した調達コードにある型枠パネル木材使用率100%へ(2020/6/1)
最低面積要件の緩和要望、不動産IDの活用進める FRK・太田理事長
不動産流通経営協会(FRK)は5月30日、定時総会後に懇親会を開催、太田陽一理事長(東急リバブル社長)は次のようにあいさつした。
理事長の太田でございます。第55回定時総会が無事開催されましたことをご報告申し上げます。
さて、足下の不動産流通市場は、令和5年度の首都圏の既存住宅市場について東日本レインズのデータでは、令和4年度に比べて中古マンション・中古戸建ともに成約件数が増加し、成約価格も上昇するなど、引き続き順調に推移しております。
不動産業におきましては、少子化、高齢化の進行に伴う空き家の増加、脱炭素への取り組みなど多くの課題が山積しております。これからの若い世代が持っている多様な価値観をしっかりとらえて、画一的ではないサービスの提供に努めるべきと考えます。
FRKでは、税制改正要望として、各種特例における最低床面積要件の緩和を求めております。これは、様々な価値観を持つ人が、多様な選択肢の中で、床面積にかかわらず、住宅取得の機会が与えられるべきという考えに基づいています。二拠点居住や多拠点居住についても、使える人には複数の住宅を使っていただくことで、空き家問題解決の一助にもなるのではないでしょうか。
今年度も「政策提言」と、その基となる「調査研究」、そして適時・適確な「情報発信」
を重点に取り組みを進めてまいりたいと思います。
また、不動産IDの活用など、デジタル社会における共通インフラを活用し、新たな不動産流通制度・システムの構築にも貢献して参りたいと考えております。
不動産流通市場において、売主と買主の間に仲介が入る、人を介することで取引を順調に進めるシステムは、先人から引き継がれた知恵であります。消費者の皆様から信頼され、高く評価されるよう、その担い手となる従事者への教育研修には、これまで以上に注力して参りたいと考えております。
今後とも、関係団体の皆様と連携しつつ、会員相互の結束のもと、協会活動の一層の充実を図り、不動産流通業の発展に寄与して参る所存であります。
生物多様性育む植栽管理計画 導入第一号 東急不動産「ブランズ自由が丘」

「ブランズ自由が丘」
東急不動産が引き渡しを開始した「ブランズ自由が丘」を見学した。豊かな緑と多様な生き物が息づき、居住者に愛されるマンションを実現する長期植栽管理計画「GREEN AGENDA for BRANZ(グリーン アジェンダ フォー ブランズ)」の導入第一号物件だ。外観・外構からはその意気込みがストレートに伝わってきた。
同計画は、同社と管理を担当する東急コミュニティー、同社グループの総合造園企業・石勝エクステリアがマンション計画時から連携協力し、「竣工後10年間の植栽管理計画」を策定するもので、これまでの植栽管理の知見を活かして樹木などみどりがもっとも美しくその地に根付くよう生育させるとともに、土中の微生物や虫や鳥など多様な生き物が集う美しい「景観」の創出を目指す。景観が豊かになっていく過程を居住者に〝見える化〟するイベントなども実施していく。
物件は、東急東横線自由が丘駅から徒歩5分、世田谷区奥沢七丁目の第一種低層住居専用地域に位置する3階建て全24戸。平均専有面積113㎡。世田谷区初のZEH Orientedと低炭素建築物認定を同時取得しており、同社が標榜する〝環境先進マンション〟のフラッグシップ物件と位置付けている。

エントランス

植栽帯

植栽帯

壁面緑化
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昨年3月、東京建物「Brillia自由が丘」を取材したとき、「ブランズ自由が丘」の存在を知ったが、〝環境先進マンション〟〝平均専有面積100㎡超〟などのプレス・リリースなどはスルーした。小生の守備範囲であるマンションは極力現地・現物を見て記事を書くことにしているからだ。
今回(5月31日)リリースが発表されたことを同業の記者に聞き、現地を見ることにした。大きな収穫があった。立地条件は申し分なかった。自由が丘駅から徒歩5分の第一種低層住居専用地域この奥沢エリアしかないのではないか。坪単価はわからないが、東建の物件は750万円くらいだとすると、こちらのほうが高いはずだ。坪800万円を超えたのではないか。
これまで1低層のマンションはたくさん見学しており、他社物件と比較してどうかは何とも言えないが、何よりも、みどりの景観が豊かになっていく過程を様々なイベントにより〝見える化〟する取り組みがいい。石勝エクステリアが計画に参画していることにその意気込みが伝わってきた。東急不動産社外取締役・涌井史郎氏の役割が大きいと確信した。
少し長くなるが、涌井氏について少し紹介したい。涌井氏は1972年、27歳の若さで東急不動産グループの総合造園業として石勝エクステリアを設立、社長に就任した。当時の東急不動産社長だった五島昇の後押しがあったはずだ。
2000年に同社を退職し、2010年に東京都市大学環境情報学部教授に就任した。不動産会社から大学教授に転身する嚆矢ではないか。
東京都市大学教授だった2014年4月、積水ハウス取締役に就任した。記者はびっくりした。積水ハウスが涌井氏を招へいするのはよくわかった。「5本の樹計画」を中心とする環境問題でヘゲモニーを握ろうということだろうと理解した。解せなかったのは東急不動産だ。〝東急の宝〟のはずの涌井氏をあろうことか同業に〝流失〟させる同社は情けないと思った。
ところが、そうではなかった。それから2か月後の2014年6月、東急不動産ホールディングス(当時社長:金指潔氏)はホールディングス体制下での専門家の知見・見識を経営に反映させる「アドバイザリーボード」を設置し、涌井氏を含む4人が就任したと発表した。涌井氏は2年後の2016年に東急不動産取締役に、その後、社外取締役に就任し、現在に至っている。頭脳流失というより、同業他社のノウハウを取り込もうとする意図が金指氏にあったのではないか。
この間、涌井氏が経営にどのように関わってきたかわからないが、2019年7月に発表された同社とソフトバンクの「東京ポートシティ竹芝」を中心とする「Smart City Takeshiba」の植栽工事は石勝エクステリアだ。記者は、森ビル「虎ノ門ヒルズ」とこの「東京ポートシティ竹芝」を植栽計画が見事な都内のビルの双璧に選ぶ。2~6階部分の約6,600㎡のスキップテラスは見事というほかない。
そして同社は2021年12月、〝環境先進マンション〟を前面に打ち出し、今回の「ブランズ自由が丘」に結実した。もともと、同社はもっとも早く「環境共生」に取り組んできたデベロッパーだ。
三方角地の「ブランズ自由が丘」の敷地には、中高木のカツラ、ナナミノキ、アブラチャン、アオダモ、ソヨゴ、ミツバツツジ、シャリンバイ、イロハモミジ、ヤマボウシ、ウラジロガシ…一つ一つ名前がつけられていた。〝木の名前と虫の名前と鳥の名前を覚えると、一歩、歩くごとに人生3倍楽しくなる〟-涌井氏が石勝エクステリアの社長を務めていた時に聞いた言葉だ。20数年前のこの言葉は金科玉条のように頭の中にこびりついている。

クチナシ

外観(緑道から)
地区計画により日照・眺望担保最上階135㎡は37,498万円東建「自由が丘」人気(2023/3/27)
農水省・経産省・国交省・環境省と「建築物木材利用促進協定」ウッドデザイン協会(2023/6/6)
「花は夫婦の絆・カジノは緑が重要」的を射た涌井・東京都市大教授の仮説(2015/4/28)
涌井・都市大特別教授「わが国の自然はかみさんと一緒。美しいが扱いも難しい」(2016/12/11)
分譲戸建て18か月連続減 首都圏持家は28か月ぶり増 4月の住宅着工戸数
国土交通省は5月31日、令和6年4月の新設住宅着工統計をまとめ発表。持家が減少したが、貸家、分譲住宅が増加したため、全体で前年同月比13.9%増、11か月ぶリ増の76,583戸となった。持家の減少幅は2か月連続して5%以内に収まっている。首都圏持家は前年同月比2.1%増の3,780戸で、令和3年12月以来28か月ぶりに前年同月を上回った。
内訳は、持家は17,878戸(前年同月比3.9%減、29か月連続の減少)、貸家は34,598戸(同20.6%増、先月の減少から再びの増加)、分譲住宅は22,955戸(同16.5%増、4か月ぶりの増加)。分譲住宅の内訳はマンション12,226戸(同69.0%増、4か月ぶりの増加)、一戸建住宅10,579戸(同14.4%減、18か月連続の減少)。
首都圏の総数は26,747戸(同11.7%増)、内訳は持家3,780戸(同2.1%増)、貸家12,039戸(同8.2%増)、分譲住宅10,856戸(同19.8%増)、マンションは6,247戸(同66.2%増)、都県別は東京都2,451戸(同11.6%増)、神奈川県1,887戸(同53.4%増)、埼玉県505戸(同92.0%増)、千葉県1,404戸(同1,905.7%増)。
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持家もそうだが、分譲戸建ての着工減も目立つ。3カ月連続して2ケタ減だ。4月の首都圏着工戸数は4,501戸で前年同月比13.8%減少。都県別は東京都1,461(同5.9%減)、神奈川県1,047戸(同15.4%減)、埼玉県1,220戸(同10.0%減)、千葉県773戸(同28.2%減)となっている。この1年間では東京都と埼玉県はそれほど落ち込んでいないが、神奈川県と千葉県の減少が目立つ。
分譲戸建て供給上位の飯田グループホールディングス、オープンハウスグループ、ケイアイスター不動産の直近の決算数字も芳しくない。各社ともここ当分は在庫圧縮に取り組むはずで、底入れは見通せない。
ケイアイスター 2024年3月期 売上増も大幅減益 原価上昇、需要正常化響く(2024/5/13)
飯田グループHD 2024年3月期 売上高は前期並みも利益半減 戸当り営業利益146万円(2024/5/14)
オープンハウスGr 2024年9月期2Q 戸建ては増収も利益率低下し減益(2024/5/16)
遅々として進まない公共建築物の木造化・木質化をチクリ 木住協・市川会長

市川氏
日本木造住宅産業協会(木住協)の市川晃会長(住友林業代表取締役会長)は5月30日行われた総会後の懇親会の冒頭、「住宅着工の持家は28か月連続して減少しており、厳しい状況が続いているが、木造は様々な支援策もいただいている。今後も木造の普及促進を推進していく」としたうえ、次のようにあいさつした。
「少し気になっているのは、かつて学校関係は全体の20%超が木造だったのが、直近は15%以下に減っていることだ。これはコロナ禍、資材の高騰などの要因もあるが、木造の公共建築物をもっと増やさないといけない。その心はなぜかというと、建物は永久ではなく、必ず建て替えが必要になってくる。例えば木造住宅の解体費用は200~300万円なのに対して、RCは倍以上かかる。耐用年数、解体費用を含めてどのような建物が一番適切であるかを考える必要がある。高層ビルはまだまだ木造は技術的にこれからという部分はあるが、少なくとも中大規模建築物は木造の方がRCや鉄骨造より優位性かある。さらにCO2の吸収・炭素固定に加えて、将来コストなどライフサイクルを考え、木造の価値を見直さないといけない。木住協は住宅以外の新しい建築物にも取り組んでおり、公共建築物の木造化・木質化にしっかり寄与していく」

木住協懇親会(明治記念館)
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木住協の前任の矢野龍会長(住友林業会長=当時)もそうだったが、市川会長の公式ではないこの種の会合での話はとても面白い。この話はメディア向けというよりは国土交通省住宅局長・石坂聡氏、林野庁木材産業課長・石田良行氏、住宅金融支援機構・毛利信二氏、 住宅生産団体連合会・芳井敬一会長(大和ハウス工業社長)など来賓を意識したものだろう。
別表を見ていただきたい。国土交通省「建築着工統計」をもとに林野庁が試算したものだ。令和4年度の建築物全体の床面積約11,872万㎡のうち木造率は41.1%なのに対して、公共建築物の木造率は13.5%でしかなく、国に至ってはわずか2.7%だ。3階建て以下では、建築物全体の木造率は67.9%に達しているのに対して公共建築物は29.2%にとどまっている。国の施設は8.2%しかない。
学校関係はどうなっているかわからないが、市川氏はきちんとチェックしているのだろう。記者も以前書いたことがあるが、国の木造化・木質化の取り組みは遅々として進んでいないという印象を受ける。市川氏の指摘は正鵠を射ていると思う。また、建基法の耐火・防火基準が厳しいからでもあるが、施設のうち自転車置き場、倉庫、車庫、トイレなどの比率が少なくないことも考えないといけない。
市川氏に続いて登壇した石坂氏は「建築物のライフサイクルカーボン算定ツールを公表したばかり。公共木造建築物、中大規模の木造建築物もしっかりと取り組みたい」と、石田氏は「川上から川下まですべてが成長発展していくグリーン戦略に取り組んでいる。木材や木造建築物が適切に市場で評価されるよう願う」とそれぞれ祝辞を述べたが、国の施設の木造化・木質化については言及がなかった。
この場の雰囲気を和らげる意図があったのかなかったのか、毛利氏は「昨年に続いてご挨拶させていただく機会を与えていただき、また、温かい拍手で迎えていただき、ありがとうございます。さすが木(気)遣いの木住協さん」と爆笑を誘い、雰囲気を一変させた。芳井氏は「住団連の会長としても、中大規模の木造建築物の取り組みは大切なことだと思う」とエールを送った。

左から石坂氏、石田氏、毛利氏、芳井氏



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