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 サンフロンティア不動産は5月12日、2023年3月期決算を発表。売上高82,777百万円(前期比16.2%増)、営業利益14,905百万円(同22.9%増)、経常利益14,722百万円(同20.5%増)、純利益11,612百万円(同56.6%増)となった。2期連続の増収増益。売上高、純利益は過去最高を更新。中核事業である不動産再生事業が高い利益率を継続しており、ホテル運営事業が急回復した。

 不動産再生事業は売上高50,066百万円(前期比10.5%減)、セグメント利益は15,343百万円(同5.7%減)。リプライニング、賃貸ビル事業とも減収減益となったが、高い利益率(売上総利益率32.2%)を維持し、期初計画どおりの利益額で着地した。

 不動産サービス事業は売上高8,843百万円(前期比23.6%増)、セグメント利益は4,890百万円(同28.6%増)。プロパティマネジメント事業、ビルメンテナンス事業、売買・賃貸仲介事業、貸会議室事業、滞納賃料保証事業などが伸びた。

 ホテル・観光事業は売上高22,967百万円(前期比232.3%増)、セグメント利益は1,720百万円(前期は1,950百万円の損失)。ホテル物件の売却が業績伸長に大きく寄与し、旅行需要回復により稼働率と客室単価が向上、ホテル運営事業は一転黒字化した。

 2024年3月期は、売上高83,000百万円(前期比0.3%増)、営業利益16,500百万円(同10.7増)、経常利益16,000百万円(同8.7%増)、純利益11,000百万円(同5.3%減)を見込む。

 当期の年間配当金は前期より4円増配の48円の予定で、2024年3月期も年間配当予想は前期比4円増の52円を予定している。

 

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 大手デベロッパーの2023年3月期の決算が出そろったので、各社の不動産流通事業の売上高、営業利益、取扱件数、取扱高、単価を別表にまとめてみた。各社が公表している数字をそのまま集計したもので間違っていないと思うが、なにしろ記者は不動産仲介事業をほとんど取材したことがない。間違っていたら謝るほかないことを最初に断っておく。

 まず、売上高。トップは東急リバブルで1,642億円。前期より11.9%伸ばした。以下、三井不動産リアルティ、住友不動産販売の順。営業利益も東急リバブルがトップで、前期より29.1%増の337億円。ただ、東急リバブルは自社開発マンションも手掛けているので、単純に売上高=手数料収入ではないはずだ。

 取扱件数トップは39,106件の三井不動産リアルティ。前期より5.0%減らしたが、これで37年間トップの座を占めたことになるのか。2位は住友不動産販売で、前期の38,114件から8.5%減の34,906件。もし前期より3%増やしていたら、首位に躍り出たのに…。3位は29,577件の東急リバブル。前期より2.9%増やした。4位の野村不動産​ソリューションズは9,985件。上位3社にはかなり差を付けられている。三菱地所グループの仲介会社は三菱地所ハウスネットもあるが、データは三菱地所リアルエステートサービスのみ。

 取扱高は三井不動産リアルティがトップで、前期比1.4%増の19,184億円。2位は東急リバブルで、前期比15.4%増の18,213億円。このままの勢いなら、今期は三井不動産リアルティを抜く可能性がありそうだ。3位の住友不動産販売は13,961億円で、大手5社のなかで唯一前期より減らした。件数では上位3社に大きく引き離されている野村不動産​ソリューションズは18.7%増の10,603億円で、住友不動産販売を追っている。

 取扱高を取扱件数で割った1件当たりの単価が興味深い。取扱件数や取扱高と全く逆だ。もっとも単価が高いのは三菱地所リアルエステートサービスで、前期より5,233万円伸ばして29,732万円となり、他社を大きく引き離している。2位の野村不動産​ソリューションズも前期比1,757万円増の10,619万円。3位は前期比669万円増の東急リバブルで6,158万円。3位は4,906万円の三井不動産リアルティ、4位が4,000万円の住友不動産販売。

 どうしてこのような結果になるのか記者はよく分からないのだが、仲介戦略の違いか。三井と住友は全国展開し、東急と野村は大都市圏に絞り、三菱はリテールよりホールセールに力をいれているためか。三井も住友もホールセールに注力すればできないはずはないと思うのだが…。仲介ではなく直接取引を行っているからなのか。

 仲介実績については、業界紙が毎年5月末に数十社を対象にしたアンケート調査によるランキングを発表している。どのような結果になるか注目したい。


 

 

 ケイアイスター不動産は5月12日、2023年3月期決算を発表。売上高241,879百万円(前期比31.2%増)、営業利益19,189百万円(同18.9%減)、経常利益18,467百万円(同20.4%減)、純利益11,845百万円(同19.7%減)。売上高は過去最高となったが、営業外費用がかさみ減益となった。

 分譲住宅事業は売上高165,212百万円(前期比32.8%増)、営業利益17,198百万円(同16.8%減)。販売棟数は前期比1,187棟増の4,791棟(土地販売含む)となったが減益。このほか、福岡県を中心に分譲住宅を手掛けるよかタウン事業は180棟増の1,078棟(同)、神奈川県中心の旭ハウジング事業は85棟増の357棟(同)となり、分譲住宅・よかタウン事業・旭ハウジング事業の合計棟数は前期4,774棟から6,226棟へ30.4%増加した。

 注文住宅は売上高4,770百万円(前期比44.3%増)、営業利益は156百万円(同41.3%増)。計上棟数は266棟(前期190棟)。

 2024年3月期予想は、売上高290,000百万円(前期比19.9%増)、営業利益19,500百万円(同1.6%増)、経常利益19,000百万円(同2.9%増)、純利益12,000百万円(同1.3%増)。

 


 

 

 フージャースホールディングスは5月11日、2023年3月期決算を発表。売上高79,286百万円(前期比0.3%減)、営業利益8,425百万円(同25.95増)、経常利益7,280百万円(同27.9%増)、純利益4,557百万円(同48.5%増)。

 不動産開発事業は、マンション1,146戸、戸建て39戸の合計1,185戸(前期比31.4%増)の引渡により、売上高49,916百万円(前期比37.0%増)、営業利益6,410百万円(同138.6%増)となった。営業利益率は12.8%(前期比5.5ポイントアップ)。

 分譲型シニアマンションなどCCRC事業は、引渡戸数が前期484戸から当期287戸へ減少したことなどから、売上高13,314百万円(前期比35.9%減)、1,559百万円(同37.7%減)。粗利益率は25.3%と高い水準を継続している。

 2024年3月期は売上高90,000百万円(前期比13.5%増)、営業利益8,600百万円(同2.1%増)、経常利益7,500百万円(同3.0%増)、純利益4,800百万円(同5.3%増)を見込む。

 当期の期末配当金は当初予想から4円増配の28円とし、中間配当金24円と合わせ52円に増配する予定。24/3月期も55円(23/3月期比3円増配)の増配を予定している。5月12日現在の株価903円に対する配当利回りは5.76%と不動産ポストではトップクラスとなる。

 住友不動産は5月11日、2023年3月期決算を発表。売上高9,399億円(前期比0.1%増)、営業利益2,412億円(同3.2%増)、経常利益2,366億円(同5.1%増)、純利益1,619億円(同7.6%増)。売上高、営業利益、経常利益、純利益のすべてで前期を上回り、経常利益は2期連続、純利益は10期連続の最高益更新を達成した。

 不動産賃貸は売上高4,253億円(前期比0.1%増)、営業利益1,656億円(同1.9%増)。前期に竣工した「住友不動産田町ビル東館」、「住友不動産神田和泉町ビル」などの通期稼働に加え、「ラ・トゥール」シリーズの高級賃貸マンションが好調に推移し業績に寄与した。既存ビルの空室率は6.0%(前期末5.8%)。

 不動産販売事業は売上高2,220億円(前期比5.0%減)、営業利益539億円(同6.8%増)。マンション・戸建2,886戸、宅地75区画の合計で2,961戸(前期比643戸減)を計上し、戸数は減少したが、都心物件を中心に利益率が改善し増益となった。営業利益率は前期が21.6%、当期は24.3%。次期計上予定戸数3,000戸に対する契約進捗率は約90%(前年約80%)。完成済み販売戸数は1,215戸(前期比41戸増)。

 完成工事事業は、受注は「新築そっくりさん」事業が7,796棟(前期比566棟減)、注文住宅事業が2,071棟(同548棟減)と減少したが、両事業ともに値上げが寄与し増収となり、国産材の活用などコスト管理を徹底した結果、売上高2,027億円(前期比4.4%増)、営業利益214億円(同15.6%増)と増収増益となり、3期ぶりの最高益更新を達成した。

 不動産流通事業は売上高751億円(前期比2.2%増)、営業利益200億円(同11.1%増)。仲介件数は34,906件(前期比3,238件減)となったが、取扱単価の上昇(前期38.1百万円⇒当期39.9百万円)により売上高、営業利益とも2期連続で過去最高を更新した。

 2024年3月期は売上高9,700億円(前期比3.2%増)、営業利益2,550億円(同5.7%増)、経常利益2,500億円(同5.6%増)、純利益1,750億円(同8.1%増)を見込む。


 

 

三菱地所は511日、20233月期決算を発表。売上高13,778億円(前期比2.1%増)、営業利益2,967億円(同6.4%増)、経常利益2,718億円(同7.1%増)、純利益1,653億円(同6.6%増)となった。海外のキャピタルゲインが利益を牽引し、売上高・営業利益・純利益は過去最高を更新した。

コマーシャル不動産事業は、売上高7,774億円(前期比167億円増)、営業利益は1,888億円(同10億円減)。オフィスビルは「常盤橋タワー(TOKYO TORCH 東京駅前常盤橋プロジェクトA棟)」の通期稼働による増収があった一方で、前期に計上した既存ビルなどの一時的な収入の反動減により減収。20233月末の空室率は3.73%(前期末3.29%)。商業施設やホテルは増収となった。

住宅事業は売上高3,464億円(前期比345億円減)、営業利益350億円(同48億円増)。国内分譲マンション事業は、一戸当たりの販売単価は前期6,971万円から7,076万円に上昇したものの、計上戸数は前期3,046戸から1,596戸へほぼ半減したことから売上高は1,129億円(前期は2,123億円)へ減少した。粗利益率は26.1%(前期比3.6ポイントアップ)、完成在庫は61戸(前期は62戸)、今期計上予定額の78.3%を契約済み。注文住宅の売上高は382億円(前期比1.7%減)となった。

海外事業は売上高1,761億円(同45.3%増)、営業利益は894億円(同335億円増)。アジアで減収となったが、米国、欧州が大幅増収となった。

20243月期は売上高14,690億円(前期比6.6%増)、営業利益2,640億円(同11.0%減)、経常利益2,320億円(同14.6%減)、純利益1,660億円(同0.4%増)を見込む。

配当は23/338円(前期比2円増配)、24/340円(同2円増配)と3期連続で過去最高を更新する見込み。

 コスモスイニシアは5月11日、2023年3月期決算を発表。売上高は123,374百万円(前期比14.9%増)、営業利益は4,924百万円(同46.9%増)、経常利益は4,469百万円(同71.2%増)、純利益は3,524百万円(同106.9%増)となった。宿泊事業が大幅に改善した。

 レジデンシャル事業は、新築マンションの引渡戸数(427戸、前期比26戸減)が減少したことなどから売上高41,052百万円(前期比1.9%減)、セグメント利益17,062百万円(同3.3%減)となったが、売上総利益率は22.5%(同3.6ポイント上昇)へ改善した。未契約完成在庫は293戸(同39戸減)。リノベーションマンション販売は売上高16,467百万円(同4.4%増)、引渡戸数313戸。

 ソリューション事業は、売上高55,980百万円(前期比10.9%増)、セグメント利益5,386百万円(同3.5%減)。

 宿泊事業は、昨年10月以降の入国制限緩和や国内の旅行需要喚起策などにより、ホテルの稼働が改善し、施設販売が増収となったため売上高11,536百万円(前期比81.5%増)、セグメント損失909百万円(前期はセグメント損失2,061百万円)と大幅に改善した。

 また、同社の連結子会社Cosmos Australia Pty Ltdの清算に伴い、税金費用が大幅に減少したため、純利益35億24百万円(同106.9%増)を計上した。

 2024年3月期は、売上高125,000百万円(前期比1.3%増)、営業利益5,500百万円(同11.7%増)、経常利益4,600百万円(同2.9%増)、純利益3,300百万円(同6.4%減)を見込む。

 2023年3月期の年間配当は期初公表から5円増配の14円(前期比7円増)を予定し、2024年3月期は16円へ増配する見通し。

 

 明和地所は5月11日、2023年3月期決算を発表。売上高62,319百万円(前期比8.9%増)、営業利益5,941百万円(同42.5%増)、経常利益4,989百万円(同57.9%増)、純利益4,415百万円(同70.0%増)となった。

 主力の不動産販売事業は、分譲マンション868戸(前期比5戸減)、中古マンションの買取再販114戸(同28戸増)の引渡しを行ったことなどから、売上高55,618百万円(同9.2%増)、セグメント利益は6,334百万円(同47.9%増)。2024年3月期に引渡しを予定している住戸の89%が契約済み。完成在庫は15戸。

 2024年3月期は売上高83,000百万円(前期比33.2%増)、営業利益6,300百万円(同6.0%増)、経常利益5,200百万円(同4.2%増)、純利益3,800百万円(同13.9%減)を見込む。

 今期末配当金は前期比10円増配の45円、2024年3月期は5円増配の50円を予定している。

 

 三井不動産は5月10日、2023年3月期決算を発表。売上高は2兆2,691億円(前期比8.0増)、営業利益は3,054億円(同24.7%増)、経常利益は2,653億円(同18.0%増)、純利益は1,969億円(同11.3%増)となり、売上高、営業利益、経常利益、純利益とも過去最高を更新した。

 セグメント別では、賃貸は売上高7,543億円(前期比12.9%増)、営業利益1,491億円(同14.7%増)。「50ハドソンヤード(米国・オフィス)」の収益・利益の拡大、既存商業施設の回復、「ららぽーと福岡」「ららぽーと堺」の開業効果などにより売上高・営業利益とも過去最高。首都圏オフィス空室率(単体)は3.8%で、前期末から2.6ポイント改善した。

 分譲事業は、売上高6,406億円(同0.5%減)、営業利益は6,406億円(同5.3%増)。投資家向け・海外住宅分譲は減収減益となったが、国内分譲は2,705億円(同10.3%増)、営業利益は393億円(同63.8%増)で、営業利益は過去最高となった。完成在庫はマンションが55戸(前期末82戸)、戸建てがゼロ(同7戸)。今期の国内新築マンション計上予定戸数3,350戸に対する契約達成率は77.5%。

 プロパティマネジメントは、売上高4,459億円(同3.9%増)、営業利益633億円(同10.8%増)。リパーク(貸し駐車場)の稼働向上や費用削減、プロジェクトマネジメントフィーが増加したことなどから売上高・営業利益ともに過去最高を更新した。三井不動産リアルティのリハウス事業の取扱高は増加したが、取扱件数は39,106件(前期41,183件)減少したため微減益となった。

 ホテル・リゾートなどその他は売上高4,282億円(同19.1%増)、営業損失42億円(前期は296億円の営業損失)。RevPARが大幅に改善し、売上高は過去最高。東京ドームの売上高は731億円で、前期より137億円の増収。三井ホームの新築請負売上高は1,378億円で、前期比19億円の減収。

 2024年3月期は売上高2兆3,000億円(前期比1.4%増)、営業利益3,300億円(同8.1%増)、経常利益2,450億円(同7.7%減)、純利益2,100億円(同6.6%増)を見込む。

 また、期末配当は2円増配の32円(年62円)とし、次期配当も年68円に増配する予定。

◇      ◆     ◇

 分譲事業が絶好調だ。国内分譲住宅と投資家向け・海外住宅分譲を合わせた売上高は6,406億円(前期比31億円減)、営業利益は1,457億円(同73億円増)。内訳は国内分譲住宅の売上高は2,705億円(同253億円増)、計上戸数は3,616戸(同99戸減)、営業利益は393億円(同153億円増)、営業利益率は14.6%(同4.8ポイント増)。

 分譲住宅の内訳は、マンションの売上高2,356億円(同288億円増)、戸数3,196戸(同12戸減)、戸当たり単価7,373万円(同931万円増)で、戸建ての売上高348億円(同35億円減)、戸数420戸(同87戸減)、戸当たり単価8,308万円(同717万円増)。戸数減を戸当たり単価上昇でカバーした。完成在庫はマンションの55戸のみ。

 投資家向け・海外住宅分譲の売上高は3,701億円(同285億円減)、営業利益は1,063億円(同79億円減)、営業利益率は28.7%(同0.7ポイント減)。

 東急不動産ホールディングスは5月10日、2023年3月期決算を発表。売上高は1兆58億円(前期比1.7%増)、営業利益は1,104億円(同31.7%増)、経常利益は995億円(同36.7%増)、純利益は482億円(同37.3%増)と増収増益。売上高が1兆円超となったのをはじめ営業利益、経常利益、純利益ともホールディングス体制への移行前も含めて過去最高となった。

 セグメント別では、都市開発事業の売上高は3,461億円(前期比6.2%増)、営業利益は586億円(同12.9%増)。渋谷を中心とするオフィス・商業施設の空室率は1.1%(前期末1.3%)と堅調に推移し、「九段会館テラス」の開業も業績向上に寄与した。住宅分譲は計上戸数減少により減収となったが、在庫整理が進み、マンションの今期売上予想1,218戸に対する契約済みは82%(同24ポイントアップ)と改善した。

 管理運営事業の売上高は3,371億円(同12.1%減)、営業利益は123億円(黒字転換)。「ハンズ」の株式譲渡により567億円の減収になったが、セグメント全体では減収増益となった。

 不動産流通事業の売上高は2,630億円(同12.1%増)、営業利益は337億円(同28.9%増)。売買仲介、不動産販売とも好調で増収増益となった。

 戦略投資事業の売上高は788億円(同17.6%%増)、営業利益は152億円(同3.4%増)。物流施設の売却や再生可能エネルギー事業の稼働施設の増加などが押し上げた。

 2024年3月期は売上高1兆1,200億円(前期比11.4%増)、営業利益1,120億円(同1.4%増)、経常利益1,005億円(同0.95増)、純利益620億円(同28.6%増)を見込む。

 また、純利益が直近予想の390億円から92億円増の482億円になったことから、期末配当は直近の配当予想から1株4円50銭増配し、14円50銭、年間配当金は23円50銭(前期実績17円00銭)とする予定と発表した。

◇      ◆     ◇

 売上高が初めて1兆円超となったのは、2000年以降は主たる収益源だった住宅事業からオフィス・商業施設など賃貸事業へシフトし、2014年には再生可能エネルギー事業に参入するなどポートフォリオの改善を進めてきた結果だ。

 しかし、同社の分譲事業を取材して記者にとっては、分譲戸建ての供給がほとんどなくなり、課題だったマンションの利益率改善もそれほど進んでいないのは残念でならない。

 同じような事業規模の東京建物(2022年12月期)と比較してみよう。マンションの計上戸数は東急が1,369戸、東建が859戸、売上高は東急が1,453億円、東建は859億円、営業利益は東急が111億円、東建が233億円、売上高営業利益率は東急が7.6%、東建が27.1%だ。完成在庫は東急が200戸、東建が175戸。営業利益は東建の約半分で、利益率は10ポイントもの差がある。他のデベロッパーと比較しても同様の結果となるはずだ。何かが欠けている。

 マンションの計上戸数が減少するのは「供給を抑えているためか」というメディアの質問に対して、同社執行役員・宇杉真一郎氏は「マンションの供給を抑えているというのは正確ではない。資材高騰などを価格に転化しづらい郊外から、利益率が高い都内・再開発物件にシフトしていくということだ。今期が底。来期以降は改善する」と説明した。この言葉を信じよう。とりあえず「ブランズ渋谷桜丘」155戸に期待しよう。

 

 

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