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「THE GRAND CROSS多摩センター(ザ・グランクロス多摩センター)」

 三菱地所レジデンスなど6社JVの「THE GRAND CROSS多摩センター(ザ・グランクロス多摩センター)」を見学した。多摩センター駅から徒歩9分の全289戸で、坪単価252万円という安さに多摩市民歴35年の記者は衝撃を受けた。安いのは結構なことだと思う半面、多摩センターの〝価値〟は所詮その程度かという落胆のほうが上回った。

 物件は、京王相模原線京王多摩センター駅・小田急多摩線小田急多摩センター駅から徒歩9分、多摩市鶴牧三丁目の商業地域に位置する敷地面積約4,021㎡、21階建て全289戸。4月中旬分譲予定の第2期1次(戸数未定)の専有面積は55.57~72.04㎡、予定価格は3,900万円台〜6,000万円台(最多価格帯5,100万円台)、坪単価は252万円。竣工予定は2024年11月上旬。設計・施工は長谷工コーポレーション。売主は三菱地所レジデンス(事業比率20%)・長谷工不動産(同10%)・積水ハウス(同20%)・TC神鋼不動産(同20%)・大林新星和不動産(同20%)・京阪電鉄不動産(同10%)。販売代理は長谷工アーベスト。

 現地は、歩車分離の舗道を抜けた四叉路の角地。対面には東京海上日動ビルがあり、KDDIビル、JUKI本社、ミツミ本社ビルなどにも近接。ココリア多摩センター、丘の上プラザ、丘の上パティオ、パルテノン多摩、多摩中央公園(公園内には7月開業予定の中央図書館が建設中)、クロスガーデン多摩などが徒歩圏。従前敷地は駐車場。

 建物はV字型で、敷地南側と東側にビルが建っていることから、日照を確保するために敷地南側に駐車場を設け、住戸は南西向きと西向きが中心(一部東向き)。住戸プランはほとんどが70㎡前後の3LDKで、1スパン19戸が55.57㎡の2LDK。

 主な基本性能・設備仕様は、直床、リビング天井高2500ミリ、食洗機、ディスポーザー、床暖房など。浴室タオル掛けはなし。

 1月20日に第1期1次65戸を販売開始し、これまで90戸を供給し約60戸が成約済み。来場者は300件強。

 販売代理の長谷工アーベスト担当者は「まずまずの出足。反響は地元が約4割、八王子が約10%、日野市、川崎市麻生区がそれぞれ5%。成約率は地元の人が高く、60歳以上のコンパクトへの買い換えが目立ち、2LDKタイプは残り僅かの状況」と語っている。

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エントランス

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多摩中央公園

◇       ◆     ◇

 坪単価予想は外れた。東京建物などの「聖蹟桜ヶ丘」が坪270万円なので、これが上値圧力となっており、これを上回ることはないとみており、とはいえ多摩センターの魅力を考えれば坪260万円を下回ることはないと予想していた。坪252万円と言えば、東京都では八王子、立川以遠、神奈川県は平塚、本厚木、金沢八景以遠、埼玉県は川越、朝霞台、久喜、越谷以遠、千葉県は柏の葉、我孫子、千葉以遠だろう。新宿まで35~36分のわが多摩センターの〝価値〟はそんなものなのか。多摩市民歴35年の小生の〝子育てなら多摩センター〟の思い込みが強すぎるのか。近く分譲される日本エスコンの「レ・ジェイドシティ橋本」に坪100万円近く引き離されそうなのにショックも受けた。

 愚痴など書きたくないのだが、書かざるを得ない。まず、これほど安い価格設定をせざるを得ない多摩市・多摩センターのポテンシャルについて。

 京王電鉄を俎上に上げる。電鉄会社の不動産開発が沿線の価値向上に大きな役割を果たしていると考えるからだ。同社の2022年3月期の売上高は2,998億円で、不動産事業の売上高は472億円(全体に占める割合は15.8%)、営業利益は104億円(売上高営業利益率は22.0%)だ。首都圏の同業他社と比較してみよう。連結売上高、不動産事業売上高(全体に占める割合)、営業利益(売上高営業利益率)の順。

 東急は8,791億円、2,232億円(同25.4%)、452億円(同20.3%)、小田急電鉄は3,587億円、809億円(同22.5%)、185億円(同22.9%)、京急電鉄は2,652億円、794億円(29.9%)、109億円(同13.7%)、相鉄ホールディングスは2,166億円、638億円(同29.5%)、142億円(同6.6%)、東武鉄道は5,060億円、622億円(同12.3%)、155億円(24.9%)、西武ホールディングスは3,968億円、591億円(同14.9%)、198億円(同33.5%)、京成電鉄は2,141億円、274億円(同12.8%)、87億円(同31.8%)だ。

 京王電鉄の不動産事業の売上高、営業利益とも京成に次いで下から2番目だ。この数値だけで割り負けしている理由にはならないかもしれないが、京王線の地価水準・街のポテンシャルを100とすれば、京成線はせいぜい半分だ。西武線と比べても互角以上のはずなのに、どうして負けるのか。東急と相鉄がタッグを組んだ「THE YOKOHAMA FRONT」(ザ ヨコハマ フロント)が坪単価700万円を突破したにもかかわらず、圧倒的な人気を呼んだのと対照的だ。街のポテンシャルを左右する「京王プラザホテル多摩」も今年1月で営業中止になり、その後どうするかも現段階で公表されていない。唯一目立つのは、きれいな女性のCM「高尾山」くらいだ。同社はサンウッドを傘下に収めたが、これに期待しよう。

 ここまで書いたが、責任は京王電鉄だけにあるのではない。沿線の自治体の発信力の弱さとも関連がありそうだが、これについては触れない。参考になりそうな記事を添付したので、そちらを参照していただきたい。

 肝心要の多摩市・多摩センターの魅力について触れよう。これについては何度も書いてきたが、歩車分離の街づくりもそうだが、魅力は何といっても緑環境のよさだ。平成30年の東京都のみどり率は、都全域では52.5%(区部:24.2%、多摩部:67.8%)、多摩市は53.9%となっている。

 この数値だけなら、多摩市は都の平均値で、高さ3m以上の高木街路樹16,485本(街路:78,373本、遊歩道8,612本)の本数は江戸川区と八王子市より少なく、町田市と同じくらいだが、人口1,000人当たりでは100本を超え、これらの区市より多い。1本当たり維持管理費も高いという課題はあるが、クスノキやシラカシも多いことから、真冬でも緑にあふれていることは街を歩けば誰でも分かる。

 緑環境が優れているとどうなるか。「多摩市街路樹よくなるプラン改定委員会」の委員でもある東京大学大学院農学生命科学研究科准教授・曽我昌史氏が同改定版に寄せたコラムを紹介する。

 「都市のみどりは、私たちが健やかな生活を送るうえで重要な役割を持っています。実際にこれまでの研究から、緑地や舗道を訪れたり眺めたりすることは、運動機能の維持・向上、ストレスの減少、地域社会の連帯感の形成、認知機能(記憶、思考、計算などの知的な能力)の維持・向上など様々な面で人の健康に貢献することが分かっています。驚くべきことに、最近海外で行われた研究によれば、家の周りの緑の豊富さ(緑地の面積や街路樹の本数など)は、肥満や高血圧、糖尿病、うつ病、循環器系疾患などの発症を抑える効果を持つことが示されています。

 これらの病気の治療には毎年多額の税金が使われている(かつ近年増加傾向にある)ことを考えると、都市のみどりは良好な都市景観の形成の他に、医療費削減という経済面でも大きく貢献する可能性があります」

 皆さんいかがか。小生は街路樹についてもしつこいほど書いてきたが、都市のみどりが地球温暖化防止だけでなく、運動機能・認知機能の維持・向上、ストレスの軽減、地域社会との連帯感、肥満や高血圧、糖尿病、うつ病、循環器系疾患などの発症を抑える効果があることが科学的に実証されているというではないか。

 マンション選好要因は人それぞれだが、国土交通省の令和3年度住宅市場動 向調査では、「住宅の立地環境が良かったから」が分譲マンション取得世帯は69.6%、中古マンション取得世帯は66.2%とそれぞれトップになっている。平成30年度調査では、分譲マンションは72.3%で、中古マンションは60.5%だったので、マンションの率が下がり、中古マンションは逆に上昇したのは謎だが、今も昔も住宅の立地環境がもっとも重要というのに変わりはない。

 最近は〝駅近〟やら〝通勤・通学の利便性〟が重視されているようだが、デベロッパーも住宅購入検討者ももう一度原点に立ち返って考え直すべきだ。〝時は金なり〟-これは「時間」=「金」ではない。時間を有効に使いなさいということだ。

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建築現場

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クロスガーデン多摩から現地を望む(クレーンの見えるのが現地) 

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多摩中央公園と建築中の中央図書館

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カルガモの夫婦か(多摩中央公園で)

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パルテノン大通り

日本エスコン「橋本」は坪330~350万円 販売代理リストの顧客対応はフル回転(2023/3/3)

多様な価値観生かせる多摩ニュータウン 多摩市市制50周年 コンセプトムービー(2022/7/24)

1人当たり街路樹 最多は江戸川区の8.9本1本当たり維持管理費は1.5万円(2022/8/17)

相鉄不・東急 横浜駅直結タワマン 第1期129戸完売 坪717万円(2022/1/26)

「志茂」「多摩センター」は〝割安〟か 東京カンテイ「2020年 マンションPER」(2021/5/8)

〝生きた実験場〟〝やるしかない〟 多摩NT再生 第6回シンポ 藤村氏もエール(2019/2/8)

長谷工コーポ 創業80周年記念「テクニカルセンター・マンションミュージアム」完成(2018/10/23)

あの熱気どこに 多摩市 第5回 多摩NT再生プロジェクトシンポ(2018/2/5)

「多摩NTに風が吹く」 女性の仕事・子育て・地域活動を考える 多摩NT学会が討論会(2016/6/13)

眼の前に多摩中央公園 立地に恵まれたサンウッド「ガーデンコート多摩センター」(2016/1/6)

阪急不動産「ジオ多摩センター」 同駅圏 最後の大規模マンションになるか(2015?9/29)

人・街・未来を語り合う 多摩市 第2回「多摩NT再生シンポジウム」(2015/2/5)

住宅地としては一等地 坪200万円は妥当 清水総合開発「多摩センター」(2014/11/25)

駅近の免震 最初で最後 三菱地所レジデンス「ザ・パークハウス 多摩センター」(2014/6/6)

多摩ニュータウンの課題を解決し、魅力をどう発信するか(2014/2/13)

「何もしなければ多摩NTの人口は50年後に半減」西浦・明星大教授(2014/1/29)
 

 

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「ノキテラス−2階建て−」(左)と「ハコテラス−3階建て」

 大成建設ハウジングは3月16日、建築家・隈研吾氏とのコラボレーションによる壁式鉄筋コンクリート住宅「パルコン」の新たな戸建住宅「モクコンの家」を同日から発売すると発表した。「パルコン」の強さと、木のやさしさとぬくもりのある外観とテラスを併設するのが特徴。発売地域は関東、東海、関西、九州(一部地域を除く)。

 以下、同社のプレス・リリースで紹介されているインタビュー記事全文を紹介する。

◇        ◆     ◇

-パルコンについて、どういった印象をお持ちでしょうか。

 隈氏「パルコンには、コンクリート住宅の総合的な強さを感じます。」

 住まいは人間の生活を守る、そして人間自身を守る非常に大事な器だと思います。そこでは何よりも安心感が求められます。
 大成建設ハウジングが手掛けるパルコンは、コンクリート住宅ならではの耐震性が安心感につながり、安らぎという家の基本的な条件を満たしていると考えます。また、よく知られているように耐火性、防音・遮音、断熱・気密など、他にも優れたポイントがたくさんあり、さらに劣化に強く耐久性がある点はまさにサステナビリティという時代の要請にも応えていると思います。
 いま、コロナ禍を経て住宅の役割が増えたと感じています。これまで家は社会とは切り離された場、という位置づけでしたが、社会と個人の接点として住宅が意識されるようになりました。仕事をする場所、人と集う場所、クリエイティブな場としての機能が求められます。そうした社会的な役割を果たすためにも、コンクリートという災害に強い素材こそ大切なのではないかと考えています。

 -デザインのこだわりについてお聞かせください。

 隈氏「木のぬくもりと、半屋外スペースです。」 

 私が携わる建築では、木のぬくもりが大きなテーマです。人類にとっていちばん古くからの友人として「木」がそばにありました。手触りのあたたかさ、やわらかさをいつも感じられることが大切なのです。
 今回のパルコンでも木材をふんだんに使い、見た目にも手触りとしても、自然のやさしさが感じられることを重視しました。「ノキテラス」の大屋根とファザード、「ハコテラス」の木製テラスなど、ぬくもりある木の質感が特色です。
 また、屋上の庭園スペースや、室内と屋外をつなぐテラスなど、これまでの一般的なテラスやバルコニーを超えた、空間の豊かさを持った半屋外スペースを設けました。どちらもコンクリートならではの堅牢性によって、半屋外を生活の場として使用することが可能になっています。屋外でも人がゆったりと過ごせることを前提で考え、いろいろなシーンの演出を想定してみました。外気の心地よさを、広がりのあるスペースで感じることができます。特に「ハコテラス」はバルコニー上部の開放感に注目していただきたいと思います。

 -玄関から続くミュージアムは、何を目的に作られましたか。

 隈氏「住宅と社会をつなげたい、と考えました。」

 今回のプランは、アプローチから玄関を入り、そのままミュージアムスペースが連なっているのが大きな特徴です。アフターコロナを見据えてそこにいろいろな人々が集うシーンを思い描きました。仕事をする場、クリエイティブな発想が生まれる場として機能することはもちろん、住宅と社会がつながる際のひとつの形を体験していただけるでしょう。
 ミュージアムは住む人の創造性の拠点となると同時に人を招き入れて打ち合わせや交流するスペースにもなる。またその場にいる人がリラックスできることも大切。多目的でフレキシブルに活用できるスペースです。

 -ZEHへの対応についてはいかがでしょうか。

 隈氏「サステナブルなデザインと技術があります。」

 これからの住宅を考える上で、持続可能性は大きなテーマです。ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)に対応しているかどうか、住む人もそこに集う人も、省エネルギーに関心が集まる部分だと思います。
 今回の家はZEH対応設備だけでなく、木材を多用した住み心地の向上、充分な植栽スペースの想定などトータルにサステナブルであることが特徴です。
 素材や構造といったエンジニアリングだけでなく、デザインとエンジニアリングが一致している部分をぜひ体験していただきたい。そうした点で、サステナブル住宅のひとつのモデルになるだろうと考えています。

 -この新しい邸宅は、一言で表すならどんな家でしょうか。

 隈氏「住む人が、自分の創造性を発見する場所です。」

 この家は住む人の「自由」を信頼している部分があります。空間はなるべくシンプルに作り、住む人がどんな風にその空間を使いこなしていくのか。住む人の自由、住む人の創造性を活かす場所がたくさんあります。
 ぜひクリエイティブに住んでいただければと思います。
 半屋外の空間にいろいろな家具を持ち込んで、いかに日常的な場として使いこなすか。屋外を生活空間に組み入れるのは新しいトレンドでもあり、そのトレンドをご自分のセンスで実現できるのです。
 そしてミュージアム。自分のコレクション、蔵書などで満たしたクリエイティブなスペースとして、ぜひ自由に使いこなして欲しいと思います。この家がキャンパスだとすると、皆さんがいままで見たことのない絵を描くだろうと期待します。家が、自分自身の新しい創造性を発見する場所になるのです。
 新しい創造力がコンクリート住宅という安心感の土台の上で開花し、サステナブルに社会と繋がるでしょう。

◇        ◆     ◇

 隈氏が「プレファブ」とコラボするのに驚いた。しかし、隈氏は20年も昔から、「木」と「コンクリ」の〝融合〟を考えていたと思われるふしがある。著書「負ける建築」(岩波書店、2004年)の「Ⅲ-3 コンクリートの時間」の中に次のような記述がある。

 「建築という『形』を持つものを用いて、移り行く不確かな状態を固定化し、確実なものにしようという欲求がこの時代(20世紀)を支配した。その意味でこの時代は『形』の時代でもあり、『建築』の時代でもあったのである」
 「その欲求に対して、コンクリートほど見事に応えてくれる材料はほかに移り行く流動的なものが、コンクリートにおいては、一瞬にして形を持ち、固定化されるのである」
 「しかし、今や、そのような固定化こそ、人々の嫌悪の対象になりつつある。自由を自由のままに楽しみ、移りゆくものを移りゆくままに享受する生活態度を、人々は獲得しつつある。そのような時代には、永遠に固定化されることのない材料、工法が求められるようになるであろう。例えば木造の時間」
 「木造はコンクリートのように液体状態の自由を持つこともなければ突然に強くなることもない。いつもそこそこに不自由で、そこそこ弱いのである」
 「時間とは永遠にだらだらと続くものだということが木造の本質である。…それは二〇世紀の『工業化』『プレファブ』の時間とも全く異質のものである」
 「いかなる形にも固定化されようのないもの。中心も境界もなく、だらしなく、曖昧なもの…あえてそれを建築と呼ぶ必要は、もはやないだろう。形からアプローチするのではなく具体的な工法や材料からアプローチして、その『だらしない』境地に到達できないものかと、今、だらだらと夢想している」

 今回の「モクコンの家」は、この夢想を具現化しようという試みのように記者は感じるのだが、みなさんはいかがか。

 

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レクチャー会場となった大和ライフネクスト本社1階のスタジオ

 大和ハウス工業は3月16日、「記者レクチャー会<2023年公示地価>」を開催。マンション事業について同社マンション事業本部事業統括部部長・角田卓也氏が、分譲戸建ては同社住宅事業本部事業統括部分譲住宅グループ次長・中岡敬典氏が、物流事業は同社建築事業本部営業統括部Dプロジェクト推進室上席主任・藤田渉氏がそれぞれ説明し、質疑応答にも丁寧に答えるなど、とても分かりやすい勉強会だった。

 マンション事業について角田氏は、首都圏はウィズコロナでの価値観や、変化した生活スタイルの定着が見受けられ、都心部及び郊外ともに実需層の安定した購入動向となっているとし、特に、都市部での将来資産性が期待できる物件に対し、DINKSやDEWKSなどのアッパーミドル・富裕層の安定的な購入動向が続いていると語った。

 近畿圏でも首都圏と同様の市況が続いているが、郊外部では首都圏のような需要は生まれていないと説明。地方圏では、駅直結や商業、病院などを併設した再開発・複合開発による「コンパクトシティ」への期待や関心が高まっていると説明。

 首都圏の仕入れについては、用地価格は上昇しており、適地は高値圏での争奪戦となっているとし、新価格の案件の販売が比較的好調であるため、新規買収案件の販売価格設定に強気であることも一因と指摘した。近畿圏でも用地価格は上昇しているが、建築費の上昇に伴い、入札案件では応札者が減少。施工を自社で行う会社が、競争力のある価格を提示しているという。地方圏においては、デベロッパーが計画通りに用地買収できていないことから、地方進出が進んでおり、中核都市の価格が継続上昇。特に、福岡、沖縄は新価格の新規案件も好調であり、各社の積極的な買収が散見されると説明した。(同社の坪単価520万円の「大濠」も好調)

 このほか、投資家の取得意欲は依然高く、ホテル投資は回復しつつあり、海外のファンド・機関投資家の積極的な買収姿勢が継続していると話した。

 中岡氏は、2022年10月から2023年2月までの契約ベースでの売上高は、前年同期比で建売住宅は+8%、土地は+20%になっており、前回発表時(2022年4月~2022年8月)は建売住宅が-3%、土地が+4%だったことと比較して回復しており、82名からなる用地マネージャーを組成したのが奏功し、土地は4,000区画、建売住宅は1,200棟とそれぞれ前年比2割増の手当てができており、年間で土地は4,000区画、建売住宅は2,000棟を販売できる準備が整ったと話した。

 一方で、地価は引き続き上昇傾向にあり、資材・住宅設備も仕入れ価格は再度アップしているが、消費動向などを勘案して価格に転嫁しづらい状況にあることから、内部努力と効率のいい設備を投入して価格を維持する戦略をとると語った。

 商品企画については、2016年から開始した「家事シェアハウス」は累計1,467棟、約412億円にのぼり、満足度調査でも高い数値が得られたことから、今後も積極的に採用し、「家事シェアタウン」を2023年度は36か所300棟計画。ZEHの取り組みは、2022年10月から2023年1月の着工ベースでは分譲住宅の95%がZEH対応であることを明らかにした。

 また、同社とナスタが共同開発した業界初のスマホに宅配専用ボタンを搭載した24時間防犯カメラ機能付き宅配ボックス「Next-DBox+S」を2023年4月から販売開始するなど、①ZEH②家事シェア③オリジナル設備機器の3点セットで他社との差別化を図り、販売を拡大していくと話した。

 藤田氏は、生産の国内回帰に連動する倉庫需要の拡大、建築費の上昇による賃料相場の上昇、過去最大の施設供給による空室率の上昇などの市場変化を紹介した一方で、デベロッパーとゼネコンの二つの顔を持ち多彩なスキームでの対応が可能な同社の強みを強調し、2022年2月竣工までの総開発延床面積約1,243万㎡は業界シェア23.0%、280棟は同33.8%とトップであることを報告した。

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 角田氏が首都圏の代表的な物件として紹介した「プレミスト昭島森パークレジデンス」に注目している。JR青梅線昭島駅から徒歩5分の全481戸だが、第2工区、第3工区を含めると約1,000戸の大規模開発だ。

 記者は、三井不動産レジデンシャルなどが2021年に販売開始した「パークホームズ昭島中神」313戸の隣接地だと勘違いしており、沿線需要を掘り尽くした後のぺんぺん草も生えそうもないところで1,000戸を売るのは容易ではなく、年間100戸として販売期間は10年かかるのではないかと思っていた。

 同社のマンションの最寄り駅は「中神」ではなく「昭島」だと聞いて納得した。なるほど。ここなら売れるかもしれない。住環境がいい。東京まで約1時間。同じ距離圏の大規模開発では〝ちびまる子ちゃん〟のNTT都市開発他「ウエリス八千代村上」967戸が今春に分譲される。坪単価は220万円台に収まるのではないか。

 「昭島」は〝ちびまる子ちゃん〟に絶対負けない。ただ、戸数が多い。100戸、200戸だったら坪270万円でも売れると思うが、1,000戸となると強気な価格設定はしないと読んだ。角田氏に「坪単価250万円は厳しい。アッパーで坪240万円はどうか」と聞いたら、「鋭いところ突かれている」と返ってきた。モデルルームがオープンしたら取材したい。坪240万円だったら、同社の「高尾」416戸、「塚田」571戸のように圧倒的な人気を呼ぶ可能性があるとみている。

〝安さ〟売り「ザ・ビッグ」に近接 三井不レジ他「昭島中神」 収穫大の今年初の見学(2021/1/13)

 

 


 

 

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「ヴェレーナグラン菊名の杜」

 大和地所レジデンスは3月17日、30周年記念プロジェクトの全125戸の「ヴェレーナグラン菊名の杜」 第1期1次47戸の登録申し込みの受け付けを開始した。2022年9月にホームページ公開し、物件エントリー数は1,800件を超えている。

 物件は、東急東横線・JR横浜線菊名駅から徒歩13分、横浜市鶴見区上の宮一丁目の第一種低層住居専用地域に位置する敷地面積約9,643㎡、4階建て全125戸。第1期1次(47戸)の専有面積は56.00~95.37㎡、販売価格は5,298万~9,398万円(最多価格帯5,900万円台)。登録期間は3月17日(金)~19日(日)。竣工予定は2024年10月中旬。施工は大勝。

 ①メゾネットやスキップフロア、グルニエ(ロフト)、コンサバトリースペースなど86タイプのプランとオープンエアリビング、ルーフバルコニー、奥行3mバルコニーなど②二重床・二重天井、天然御影石キッチン天板、ミストサウナ③ライブラリーラウンジ、パーティールーム&キッズスペース、中庭や屋上庭園、約600㎡の提供公園-などが特徴。

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スカイビューガーデン(屋上庭園)

 

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「ヴェレーナシティ パレ・ド・マジェステ」

 大和地所レジデンスは3月15日、全193戸を16カ月で完売した「ヴェレーナシティ パレ・ド・マジェステ」が完成したのに伴う記者見学会を行った。現地は上大岡駅から比高差にして20mくらいありそうな高台の低中層住宅街の一角で、オープンエアバルコニーなど全80タイプの多彩なプランが人気の要因。

 物件は、横浜市営地下鉄ブルーライン港南中央駅から徒歩10分、上大岡駅から徒歩16分、京急本線上大岡駅から徒歩18分、横浜市港南区港南二丁目の第一種中高層住居専用地域(建ぺい率60%、容積率150%)に位置する敷地面積約11,000㎡、5階建て全193戸。専有面積は46.64〜93.68㎡、坪単価は252万円。竣工は2023年2月下旬。施工は大勝。

 販売開始は2021年8月で、2022年11月に完売。来場者数は約1,100組。購入者の約6割が市民。都内居住者は約2割。年代は30代が5割弱で、20代、40代が各2割。家族数の最多は3人。

 従前敷地は果樹園。建物は東西南北棟と中央棟の5棟構成。建物の絶対高さ15mの規制を受けており、約20mの敷地内の高低差を利用した奥行き約4m・広さ約10畳のオープンエアリビングバルコニー、プライベートガーデン付き1階住戸プラン、ルーフバルコニー、メゾネットタイプ、コンサバトリースペース、ワイドビュープランなど80タイプの多彩なプランバリエーションを用意、南棟と中央棟の間には木造の平屋建て35㎡のセンターキャビンを設置している。

 主な基本性能・設備仕様は、天然石の玄関床、二重床・二重天井、リビング天井高2400ミリ、御影石キッチン天板、食洗機、スロップシンクなど。

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木造のセンターキャビン

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センターキャビン(左)と中庭

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ライブラリーラウンジ

 


 

 

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大城氏(左)と堀氏(司法記者クラブで)

 グロービス経営大学院学長でもあるグロービス代表取締役・堀義人氏と大城聡氏(原告訴訟代理人)は3月16日、記者会見を行い、千代田区二番町(日テレ通り)の地区計画変更は適切な手続きが行われておらず、原告・堀氏の町会理事への立候補を妨害したしたのは不法行為として、二番町町会と諸亨町会長個人を被告として損害賠償訴訟を提起したと発表した。

 訴訟に至った経緯として、二番町を含む番町地区には、建築物の高さを最高60mに制限する地区計画が定められているにもかかわらず、千代田区は、同地区内の日本テレビだけに対し特別に90mの超高層ビル建設を許すために地区計画を変更しようとしており、その前提となる住民合意が得られていないと主張。

 提訴に踏み切った理由として、堀氏は2019年5月の二番町町会の総会前に二番町町会の理事に同社社員が立候補する意向を諸享町会長に伝えたにもかかわらず、「知らない人なので受けられない」「町会規約に詳しい規定がない」との理由で拒否されたとし、その後も立候補の意思を伝え、再三にわたって町内会のガバナンス問題について訴えているにもかかわらず、改善が見られないことから提訴に至ったとしている。

 請求の趣旨の第1として、二番町町会理事への立候補を妨害したことは不法行為でありとし、第2として、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」に関する法律の規定が権利能力なき社団にも類推適用され、町会全員の同意の意思表示が必要であるにもかかわらず、町会員全員の同意を得ずに開催した書面総会は無効であり、前年度及び今年度の定期総会における各決議は不存在(同法265条1項類推適用)であるとしている。

 会見に臨んだ堀氏は「全ての方法が途絶えてしまったので、最後の手段、苦汁の決断として公の場で問うことにした。このような問題は全国で起きているのではないか。住民の声がきちんと町会に反映されることを願う」と語った。

 大城氏は「住民がみんなで話し合い、自分たちで街のことを考える意味で町会は大事な存在。しかし、(二番町会)は一部の人たちで運営されており、異なる意見を持つ人が排除されている実態がある。今回の町会のガバナンスを問うことは、民主主義の基盤をきちんと問い直すことに繋がる」「この種の町会のガバナンス問題に関する訴訟は前例がない」と話した。

 訴訟に合わせ、樋口高顕千代田区長及び都市計画審議会の岸井隆幸座長に対して同町会の意思決定過程に重大な問題があるため、問題の当事者である同町会長を二番町地区計画変更に関する都市計画審議会の審議に参加させないことを求める書面を提出した。

 今回の提訴について諸氏は区役所担当者を通じ「訴状を受け取っていないので何も言えない」とコメントし、(実名報道については)「ご判断に任せます」とのことだった。(本人の意向によっては実名を伏せることを考えていたが、すでにプレス・リリースで報道されており、諸氏は都計審の委員でもあり、公人に準ずると判断し実名とした)

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 堀氏が、区民の声を届ける手段・方法が途絶えたとし、苦渋の決断として今回の訴訟に訴えたのはよく分かる。全国に波及するのではないか。

 自治会・町内会への強制加入の勧誘は違法であり、マンション管理組合が町内会費を代理徴収するのも違法という判決が出されている。つまり、自治会・町内会は任意団体であり、加入も離脱も本人の自由意志が尊重されるということだ。

 この判決に倣うなら、町会理事への立候補を拒否し、その後も堀氏の提案を無視し続けてきた町会・町会長の言動・行動は極めて重大と言わざるを得ない。また、権利能力なき社団に「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」の規定が類推適用されるとすれば、民法第675条の「(1)組合の債権者は、組合財産についてその権利を行使することができる。(2)組合の債権者は、各組合員に対して等しい割合でその権利を行使することができる」が準用されるはすだ。

 だが、しかし、住民側にも問題がないわけではない。憲法でいう「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない」(第12条)ことを考えないといけない。

 今回の二番町もそうだが、神田警察通り道路整備計画問題の取材を通じで、町会は住民代表というよりは、区の上意下達の下請け機関になり下がっているとしか思えない。区もまた都合のいいときは町会(長)を住民の声として利用し、時には町会(長)は住民代表ではなく、つまり、ただ声を聞く置く機関とみなしている。戦前の隣組組織とほとんど変わらないではないか。

 町会だけではない。区民も同様だ。今回の二番町の問題でいえば、日テレの別動隊そのものの「日テレ通りまちづくり委員会」のアドバルーン150m提案に区民は浮足立った。いとも簡単に日テレの情報操作にはまった。神田警察通りの道路整備計画でも、住民らは〝寝耳に水〟〝知らなかった〟というが、行政にはそれは通用しない。先日、石丸俊之社長が話した「由らしむべし知らしむべからず」そのものだ。

 記者は、多摩市のマンション居住者(管理組合員、理事)として活動したことがあるが、町内会の役員、管理組合の理事、PTA役員、交番などの関係者はみんな平等で、自由に意見を言い合い、合意の上でなにごとも決めた。町会長の独断専行などありえない。それを許した千代田区民は反省しなければならない。

異常事態に発展 二番町と外神田再開発、街路樹伐採 反対する区民ら共同声明(2023/3/14)

都市マス、地区計画に背馳していいのか 問われる公平性と企業倫理(2023/2/27)

「地区計画変更には大きな疑義」東洋大・大澤准教授 日テレ本社跡地再開発(2023/2/23)

「約束を反故。許せない」住民怒る 健全木のイチョウ 新たに4本伐採 千代田区(2023/2/7)



 

 

 

 

 

 


 

 

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安否確認

 三菱地所レジデンスと三菱地所コミュニティは3月14日、エリアマネジメント組織「奏の杜パートナーズ」と共同で千葉県習志野市「津田沼奏の杜(かなでのもり)」エリアで3月12日にリアルでは4年ぶりとなる防災訓練を実施したと発表した。コロナ禍ではオンラインでの実施を余儀なされていた。

 参加者は2.2haある谷津奏の杜公園に集合し、家族の安否確認方法・ケガ人を助ける「布担架」・水を運ぶ方法を学んだほか、被災生活で重要となる「情報」の入手・共有・発信の仕方、仮設トイレ・防災井戸・かまどベンチなどの使い方を学んだ。

 防災訓練は2015年3月、「ザ・パークハウス 津田沼奏の杜」(721戸)で始まり、その後、同エリアの三菱地所レジデンス分譲マンションにひろがり、エリアマネジメント組織「奏の杜パートナーズ」の協力を経て、周辺の戸建や他社分譲マンションに広がり、現在は約2,300世帯が対象エリアとなっている。

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習志野市「奏の杜」防災訓練に過去最多1,000名 三菱地所グループ&管理組合(2018/3/11)

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長崎県五島市・鬼岳

 三井不動産レジデンシャルは3月14日、多様なライフスタイルをサポートする多拠点居住サービス 「n’estate(ネステート)」の第二弾として、未就学児の子育て世帯に向けた保育サービス付プラン「n’estate with kids」を3月14日から募集開始、5月13日から利用開始すると発表した。

 「SHONAI HOTEL SUIDEN TERRASSE」(山形県鶴岡市)と「カラリト五島列島」(長崎県五島市)の2つの施設運営会社(ヤマガタデザイン/カラリト)と「まちづくり包括連携協定書」を締結。さらに鶴岡市、酒田市、五島市と連携し、両施設で滞在中に未就学の子どもを近隣の保育園に通わせることができるよう一時預かり保育を活用する。利用料金は一時預かり保育料を含めて8日間で約12万円~、16日間で約24万円~。

 鶴岡市はサイエンスパークを拠点に産学官が連携した地方創生のモデルとして注目されている。酒田市は短期移住プログラムや移住者と市民とが交流するオープンスペースを設けるなど移住定住施策に取り組んでいる。五島市は2017 年からの5年間で1,000人以上が移住し、うち7割を30代以下が占めるなど、若者世代に人気の移住先として注目さている。

 「n’estate(ネステート)」は、「住の自由化」をコンセプトに、都心や地方都市を中心に展開する同社賃貸マンションや三井不動産グループ企業、パートナー企業の施設を活用し、生活拠点を組み合わせることでライフステージの変化やそのときの気分に合わせて生活の拠点と体験を最適に設計、自分自身に合ったくらし方を生成できるサービス。2022年9月29日から都市型拠点8施設、郊外型拠点2施設でトライアルを開始。開始1か月で全拠点に申し込みがあったという。

「多拠点居住」の難点解消 〝こころ〟解き放つ 三井不レジ「n’estate」(2022/10/3)

 


 

 

 千代田区二番町(日テレ通り)の地区計画変更の撤回、外神田(秋葉原)の再開発計画の見直し、神田警察通りの街路樹伐採中止を求める区民・住民団体は3者は3月13日、強引な街づくりを進める千代田区の姿勢を改めるよう共同声明を発表し、同日、記者会見を行った。区民らは非民主的な区の対応に批判を強めており、区は異常な事態に発展しつつある。

 専門家として記者会見に臨んだ明治大学特任教授・東京大学名誉教授・大方潤一郎氏は「地区計画はきめ細かい質の高い街をつくるのが制度。その計画は大多数の賛同が得られているのが前提。今回の番町地区の地区計画の案は過半の人が反対しており、外神田は3分の2以上の地権者の賛同が得られていない。区は住民合意が得られていないことを知りながら都計審に報告し、二者択一を迫り、強引に都市計画決定を行おうとしている。暴挙と言わざるを得ない。区は提案を取り下げ、住民の80%の賛同が得られるようもう一度時間をかけて協議会などで話し合うべき」と話した。

 弁護士の大城聡氏は、「同じ区で、同じ時期に、同じような問題で3者がこのような会見を開かざるを得ないことが異常事態。問題はとてもシンプル。地区計画のルール内で日テレさんが自社の土地にどのような建物を建てようとそれは自由。そうではなくて、自社の利益のためにルールを変更し、区がバックアップしようといているのが問題。今後、法的手段も含めても3者が連携していく」と語った。

 二番町地区地区計画では、建物の高さが60m以下と定められているが、日テレが所有する土地を計画区域から切り離し、90mまで認める地区計画案が区から提示され、都市計画変更の手続きが行われている。これに対し、地域住民らは上位計画である都市マスタープランや現行の地区計画が定める「中層・中高層の住居系の複合市街地」に反すると反発している。

 この日の記者会見で、グロービス経営大学院学長・堀義人氏は、「公式アンケートでも地区計画変更に反対する声が賛成を上回っているにも関わらず、強引に計画を進めようとする区に問題がある。町会のガバナンスも民主的な手続きを踏んでいない」と語った。

 外神田は、外神田一丁目地内の約1.9haの「外神田一丁目南部地区地区計画」で、親水広場など公共施設、オフィス、店舗、宿泊施設などを整備する計画。住民らは、計画で示されている建物の高さ170mは秋葉原になじまず、地区計画の策定要件である地権者の3分の2の同意が得られていないと反対している。

 神田警察通りの道路整備については、街路樹の伐採を決めた議会決定は、区の虚偽答弁によって議決されたものであり違法として、住民らが行政訴訟を提起し、係争中。

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 記者は、石丸アセットマネジメント・石丸俊之社長の次の発言が本質をついていると思う。

 「わたしはほぼ毎回、区の環境まちづくり特別委員会を傍聴していますが、区は本来、レフリーとして両方から意見を聞き、ではどうですかと案を出すべきなのに、強引かつ実に不透明の説明しかしない。言葉に詰まるとその場限りで済ましてしまう。要するに区のマネジメントは、論語で学んだ『由らしむべし知らしむべからず』そのものです。わたしは商人ですからいろいろな人の声を聞きますが(三方良しという意味か)、区はその逆」

 石丸氏はまた、「(メディアの)皆さん、是非1回、どれほど区が傲慢な議事運営を行っているか、出席していただきたい」と呼び掛けた。

都市マス、地区計画に背馳していいのか 問われる公平性と企業倫理(2023/2/27)

「地区計画変更には大きな疑義」東洋大・大澤准教授 日テレ本社跡地再開発(2023/2/23)

「約束を反故。許せない」住民怒る 健全木のイチョウ 新たに4本伐採 千代田区(2023/2/7)

 

 

 


 

 

 東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は3月10日、2月の首都圏不動産流通市場の動向についてまとめ発表。中古マンションの成約件数は3,240件(前年同月比3.0%増)となり、7か月ぶりに前年同月を上回り、成約㎡単価は68.71万円(同9.9%上昇)となり、30年5月から34か月連続で上昇し、成約価格は4,359万円(同8.3%上昇)となり、20年6月から33か月連続で前年同月を上回った。専有面積は63.43㎡(同1.4%縮小)となり、21年6月から21か月連続で前年同月を下回った。

 地域別では、成約件数は東京都区部と横浜・川崎市、千葉県が前年比で増加し、横浜・川崎市は21年12月以来14か月ぶり、千葉県は7か月ぶりに前年同月を上回った。成約㎡単価はすべての地域が前年比で上昇し、東京都区部は34か月連続、横浜・川崎市と埼玉県は33か月連続、千葉県は31か月連続、神奈川県他は27か月連続で前年同月を上回った。

 中古戸建ては、成約件数1,057件(同13.4%減)、成約価格3.863万円(同2.5%上昇)、土地面積150.14㎡(同4.8%増)、建物面積104.20㎡(同1.1%増)となった。

 

 

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