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「FRONTIER PITCH TOKYO for Startups 2023」

 サンフロンティア不動産は9月21日、同社が中心となって今年6月に立ち上げた〝東京を世界一スタートアップしやすい都市にする〟ことを目指すプロジェクト「START-UP FRONTIER TOKYO」のキックオフイベント「FRONTIER PITCH TOKYO for Startups 2023」を9月15日に開催し、優勝企業に「株式会社Solafune」を選定したと発表した。

 「FRONTIER PITCH TOKYO for Startups 2023」は、これからの日本社会・経済を牽引していくスタートアップ企業を対象に、「実現したい日本の10年後の未来」をテーマに、ビジョン(熱意)/ビジネスモデル(市場性)/独創性・新規性/実現性/アイディア力を審査基準としたコンテスト。応募総数は160社以上にのぼり、本選出場を果たした企業8社によるピッチにより「Solafune」が選ばれた。

 「Solafune」は、〝Hack The Planet″(地球上で起こるあらゆることを解析するという意)をミッションに掲げ、衛星データや地理空間情報を活用し、地球規模の課題に取り組んでいる点が高く評価された。優勝賞品として、セットアップオフィスの1年間無償利用権(1,140万円相当)が贈呈された。

 同社代表取締役社長・齋藤清一氏は「どの企業が優勝しても間違いがないぐらいでした。各企業が世界を見据え、社会課題解決に向けた思いや、ビジョンを実現したいという想いを掲げ、その夢の力を感じました。改めて、夢の力は世の中を進化させていく原動力になると強く実感しました」とコメントしている。

◇        ◆     ◇

 上段は、同社のプレス・リリースの引き写しだが、リリースを読む前に、添付されていたイベントの模様のアーカイブを視聴した。与えられたプレゼン時間は5分間。最初に登壇した「Solafune」の20代の方は、アフリカのコンゴではコバルトの違法採掘が重大な問題になっていること、モザンビーク、カメルーンなど世界40か国と取引があること、経産相の海外出張に同行したこと、イスラエル大統領と面談したこと、出張中にウクライナ戦争に巻き込まれたこと、FBIと同等の解析力があること、社内言語は英語であることなどを早口でまくし立てた。

 後に続く方も同様だった。記者は、プレゼンは審査員に分かりやすく伝えるためには、テーマは3つか多くても5つに絞り、繰り返し話すべきだと思っているのだが、全然そうではなかった。

 これには驚いたのだが、記者の全く知らない世界の現状と未来を教わったことに感謝したいし、夢は大きく、グローバルで数十兆円とか数百兆円の市場に挑戦する意欲はとても頼もしく思えた。今回のようなイベントを行ったサンフロンティア不動産にも拍手喝采を送りたい。

 参考までに。日本貿易振興機構(JETRO)が発表した米国の2022年のベンチャーキャピタル(VC)投資総額は1,984億ドル(約29兆円)で、一方、ベンチャーエンタープライズセンター(VEC)によると、わが国の2022年度のベンチャーキャピタル投資金額は3,220億円(前年度比198億円減)だそうだ。桁違いだ。

 

Screenshot 2023-09-21 at 11-47-59 【三井不動産リアルティ】都心不動産マーケット最新動向.pdf.png
プレス・リリースから 

 三井不動産リアルティは9月21日、2023年第1四半期(2023年4月~6月)の「プレミアムマンション」のデータをまとめ発表した。同社の高額物件を主に取り扱う窓口「リアルプラン」で集計したもので、都心部の不動産マーケットが堅調に推移していることを示している。

 「プレミアムマンション」は、「麻布・赤坂・六本木エリア」、「広尾・代官山・恵比寿エリア」、「青山・渋谷エリア」、「白金高輪・麻布十番エリア」、「銀座エリア」、「番町・麹町エリア」、「市谷・四谷エリア」の7エリアに位置する高品質の中古マンションの中から、同社が独自にセレクトしたもの。データ集計対象は254棟、約34,900戸。

 調査によると、プレミアムマンション全体の平均成約坪単価は817万円と集計開始時点の2006年から約1.88倍、成約件数は178件と前期比約1.28倍となり、ともに最高値に次ぐ高水準となった。

 また、2023年11月に開業を控える「麻布台ヒルズ」などで話題の「麻布・赤坂・六本木エリア」の平均成約坪単価は1,056万円となり、集計開始以降最高値を更新。成約件数のうち約半数が成約坪単価1,000万円超となった。

◇        ◆     ◇

 記者は、中古マンションのことはよく分からないのだが、新築と連動していることから、都心部のプレミアムマンションの高騰が続いているのは理解できる。詳細データは確認していないが、成約坪単価817万円で、「麻布・赤坂・六本木エリア」エリアの成約件数の半分が坪1,000万円以上というのも納得だ。

 設備仕様はともかく、緑・住環境などの立地、天井高などの基本性能、ファサードデザインなどは古いマンションのほうがはるかに高いはずだ。集計対象の254棟のうち100棟は取材したような気がする。どこに住むかは人それぞれだが、バブル崩壊前までは〝何でもあり〟の商業系エリアの億ションなどは数%もなかった。富裕層は賢明な選択をしていると思う。

 三井不動産レジデンシャルはバブル崩壊後も継続して高額マンションを供給してきたが、三井不動産リアルティも富裕層向け窓口「リアルプラン」を重視してきたのも称えたい。

 同社は次期以降のマーケットについて「経済金融情勢の動向に加えて、大型新築物件の供給による影響やインバウンド需要の動きについて注視が必要」としているが、ウクライナ戦争が終結し、米中関係が改善されれば(経済の延長として戦争で物事を解決しようという動きは実に嘆かわしい)、富裕層向けマーケットは一層盛り上がり、誰も経験したことかない高値が形成されると記者は見ている。

 

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「三田ガーデンヒルズ」255㎡モデルルーム

 三井不動産は9月20日、三菱地所レジデンスとの共同開発マンション「三田ガーデンヒルズ」のモデルルーム2戸をメディアに公開した。約110㎡のモデルルームは他の億ションの仕様とそれほど差はないが、約255㎡のほうは広さもさることながら設備仕様レベルはケタ違いで、見事というほかない。記者が分譲前に予想した平均坪単価1,300万円はズバリ的中した。

 物件は、東京メトロ南北線麻布十番駅から徒歩5分~7分、港区三田1丁目の第2種住居地域(容積率400%)に位置する敷地面積約25,246㎡の全1,002戸(一般販売対象住戸952戸)。専有面積は29.34~376.50㎡。価格は未公表だが、全体の坪単価は1,300万円、PARK MANSION棟は坪1,700万円。竣工予定は2025年3月下旬。施工は大成建設。メインデザインはホシノアーキテクツ、ファサード・デザインは国内で初めて手掛けるというホプキンスアーキテクツ。

 現地は旧逓信省跡地。道路を挟んだ南側にはジョサイア・コンドルが設計した綱町三井倶楽部と、その西側にオーストラリア大使館と三田共用会議所、敷地東側は都立三田高校、敷地西側はお寺などがある。

 建物は、13階建てPARK MANSION棟、14階建てNORTH HILL棟、8階建てWEST HILL棟、14階建てEAST HILL棟、14階建てSOUSE HILL棟、1階建て共用棟VILLA棟で構成。起伏のある敷地を活かし既存樹を含む植栽約130種に及ぶ約7,700㎡のランドスケープ、ZEH-Oriented取得予定、使用電気・ガスともにCO2排出量実質ゼロ、帝国ホテルと提携した各種サービス、ウェルネス施設、エデュケーションサービスなどが特徴。

 今年2月から販売を開始し、これまで第1期1次から第1期5次まで約700戸を供給済み。

 約110㎡のモデルルームはEAST Hill棟を想定したもので、リビング天井高2600ミリ、600角床タイル仕上げ、キャビネット・建具突板仕上げ(一部)、塗装仕上げ収納扉、ジャクソン浴槽などが標準。

 約255㎡のモデルルームはPARK MANSION棟を想定したもので、エントランスはメイン(広さは8帖くらいか)とサブで2か所、リビング天井高約2800ミリ、LDKの広さは49.4帖、マスターベッドルームは16.0帖、折上天井、本革+突板扉、突板フローリング、ミーレ社製食洗機・カップボード、ベッテ浴槽、タオルウォーマー、600×1200角床仕上げのほか、オプションで可動式鉄板焼きカウンター、レザー+メタルバー壁パネル、サウナなど。

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255㎡モデルルーム

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255㎡モデルルーム

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255㎡モデルルーム

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255㎡モデルルーム

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255㎡モデルルーム

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 同社が昨年4月にプレス・リリースしたとき、間違いなくエポックメーキング的なマンションになると確信した。お金持は「広尾ガーデンヒルズ」「広尾ガーデンフォレスト」のほうがいいと考える人も多いだろうが、この物件は歴史的建造物の歴史を一部ファサード・デザインに残し、ランドスケープにも力をいれるのもいいが、毎日、ジョサイア・コンドルが設計した綱町三井倶楽部が望めるのは、お金に代えがたい価値があると思う。

 そして今回、モデルルームを見学して何よりもうれしかったのは、昨年4月30日付の記事で、「(坪単価は)戸数が多く、目先の社会経済動向も読みづらいので坪1,500万円となると自信はない。1,300万円くらいが妥当ではないか」と書いた、その予想がズバリ的中したことだ。

 皆さんは、どこかからのリークだろうと思われるかもしれないが、記者はそんな卑劣な真似はしない。「広尾」や近接する「三田綱町」、その他の億ションなどと比較してはじき出した単価だ。マンションを見学する際、単価を予想する習慣をつけてきたのが実を結んだということだ。最高価格は45億円(376㎡、坪3,950万円)というのも想定内だ。今後、一等地の眺望が担保されたマンションは軒並み坪3,000万円を超えるはずだ(「広尾ガーデンヒルズ」のバブル期の中古価格がそうだった)。ただ、わずか半年で700戸を供給できるとは全く予想できなかった。

 ついでに、自慢話をもう一つ。三井不動産を代表とするコンソーシアムが「ミッドタウン六本木」の敷地を1,800億円で落札したが、小生はその半年前に1週間かけて駆けずり回り、「落札価格は1,750億円」と新聞記事に書いた。落札価格との誤差は3%だった。あのとき、2番札、3番札は確か1,300億円とか1,100億円だったはずだ。小生はそれらの目利きのないデベロッパーを嗤った。その後の「ミッドタウン」の展開はご存じの通りだ。

 記者は三井不動産・植田俊社長が就任会見で「産業デベロッパー目指し、日々妄想」と語ったのを忘れない。その「妄想」が次々と現実のものになりつつある。今回の「三田」もその一つだ。エポックメーキングと書いたのはそのことだ。

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110㎡モデルルーム

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110㎡モデルルーム

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綱町三井倶楽部

「産業デベロッパー目指し、日々妄想」植田俊・三井不動産次期社長(2022/12/11)

更なる環境配慮型 三井不レジ・三菱地所レジ「三田ガーデンヒルズ」二期販売へ(2023/9/12)

坪1300万円でどうか 旧逓信省庁舎跡地の三井&三菱「三田ガーデンヒルズ」(2022/4/30)

「麻布霞町」を超えるか 三井不レジ「パークマンション三田綱町ザ フォレスト」(2014/7/4)

究極の億ション 三井&三菱 「広尾ガーデンフォレスト」(2007/2/23)

 


 

 

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 積水ハウスは9月19日、「男性育休白書」を発行し、「男性の家事・育児力」全国ランキングを発表した。1位は昨年に続き高知県で、2位は鳥取県、3位は佐賀県。ワーストは茨城県。「育休白書」は2018年から発行しているもので、今回が5度目。同社は9月19日を「育休を考える日」として記念日に制定している。

 「男性の家事・育児力」の指標は、①配偶者評価②育休取得日数③女性の評価による家事・育児時間④男性の自己申告による家事・育児参加の幸福感の4項目を5段階で評価し、1位は47点、最下位は1点として配点し、都道府県別のランキングとして算出したもの。調査対象は配偶者および小学生以下の子どもと同居する20代~50代の男女9,400人。

 ベスト3は高知県(前年1位)、鳥取県(同3位)、佐賀県(同23位)で、高知県は2年連続1位。以下、福島県、島根県、福井県、長野県、沖縄県、山梨県、青森県の順でベスト10入りした。ワースト3は茨城県(同10位)、秋田県(同43位)、愛知県(同34位)。以下、三重県、静岡県、埼玉県、香川県、愛媛県、奈良県、大阪府の順でワースト10。

 5年間の平均ベスト10は沖縄県、鳥取県、山形県、熊本県、島根県、高知県、栃木県、新潟県、宮崎県、福井県の順。ワースト10は山口県、愛知県、岐阜県、広島県、滋賀県、静岡県、群馬県、秋田県、青森県、大阪府の順。

 このほか、調査結果によると、男性の育休取得率は24.4%、育休取得日数は平均23.4日(厚生労働省「令和4年度雇用均等基本調査」の男性育休取得率は17.13%)で、5年間でそれぞれ約2.5倍、約10倍に増加し、育休取得率も取得日数も過去最高となった。職場の環境も男性が育休を取得しやすいように改善が進み、マネジメント層も男性の育休取得を後押ししていることが分かった。

 同社は同日、オンライン形式による「男性育休フォーラム2023」を開催。2018年9月から運用開始した特別育児休業制度は2023年8月末現在、取得期限(子が3歳の誕生日の前日まで)を迎えた男性社員1,778人全員が1か月以上の育児休業を取得しており、2019年2月以降、取得率100%を継続していることを明らかにした。

 同社代表取締役社長執行役員兼CEO・仲井嘉浩氏は、「生産性も落ちていないのが何よりもうれしい」と語り、高い取得率を継続できているのは、1か月間の育休を4分割して取得できるようフレキシブルな制度にしていることと、家族によるミーティングシートが有意義であると説明した。

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「男性育休フォーラム2023」(左からモデレーターの東京工業大学准教授・治部れんげ氏、同社執行役員ダイバーシティ推進部長・山田実和氏、パネリストの仲井氏、ファザーリング・ジャパンの安藤哲也氏、甲南大学教授の中里英樹氏)

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仲井氏

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 「女性が認める」男性の1週間の家事・育児時間は全国平均12.7時間で、最多は高知県の19.3時間、最小は埼玉県の9.8時間。ほぼ倍の差がある。なぜこれほどの差が出るのか。「女性が認める」というのが味噌だ。男性は育児・家事労働だと思っていても、女性はそう思っていない差ではないか。

 例えば、2019年の女性の声として「散歩や遊びを育児だと思っているので仕事してほしい」(29歳)「育休取得したとしてもパチンコなどの関係ない所へ行く」(34歳)という声が紹介されている。しかし、散歩や遊び(記者はパチンコをやらないが、競馬場によく連れていった)は十分育児だと思うし、RBA野球大会に子どもを連れてくる選手もいるが、これだって育児だ。女性はもっと寛容であってほしい。

 男性が感じる「幸福度」も悩ましい問題だ。大分県の男性は10.1時間(全国45位)しか働いていないにも関わらず、幸福度は全国3位で、青森県は16.1時間(全国5位)も働いているのに、幸福度は34位だ。

 調査は、配偶者評価と自己申告によるもので、配点は1位を47点、最下位を1点とする相対評価なのでこのような差が出るのだろうが、〝同一労働同一賃金〟の原則(記者は質も問うべきだとは思うが)からして、絶対評価も加味すべきだと思う。〝働けどはたらけどなお、わがかみさんの評価上がらず〟では士気が上がらないではないか。

男性の家事・育児力 1位高知 2位沖縄 3位鳥取 ワーストは山口 積水「男性育休白書」(2022/9/14)

三重と福岡 同じ育児時間で幸福度は47位と1位 積水ハウス「男性育休白書」(2021/10/1)

 

 

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「プラウドタワー相模大野クロス」

 野村不動産は9月16日、伊勢丹相模原店跡地の小田急線沿線最高峰マンション41階建て「プラウドタワー相模大野クロス」687戸のモデルルームをオーブン、秋以降に販売する。

 敷地内に公共広場と24時間開放の公共歩廊を約3,600㎡規模で新設するなど、駅前から公園への新たな賑わいの都市軸を形成する。

 マンションは、ZEH-M Oriented&低炭素建築物認定を取得。また国内初の東京ガスの提供するEV充電サービス「EVrest」を屋内平置き駐車場全207区画に設置し、実質再生可能エネルギー100%の電気やカーボンニュートラル都市ガスの導入による実質CO2排出量実質ゼロを実現する。

 災害レジリエンス対策として、中圧ガス導管とマンション専用ガスガバナを設置。共用部の一部施設は災害時72時間稼働、エネファームの自家発電により専有部は最大26日間の電力を確保。また、プラウドシリーズ初のエレベーターと連携した上下階移動可能な掃除ロボットを導入する予定。

 物件は、小田急線相模大野駅から徒歩4分、相模原市南区相模大野四丁目に位置する敷地面積約10,186㎡、41階建て687戸。専有面積は32.66~125.48㎡。竣工予定は2025年11月上旬。施工は三井住友建設。

 

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「パレ・ドール六義園北」土間・ギャラリー(左)と茶室

 コスモスイニシアが分譲を開始したリノベーションマンション「パレ・ドール六義園北」を見学した。床・建具・家具などに本物の木を使用したデザインが秀逸だ。

 同社と東京都立大学システムデザイン学部インダストリアルアート学科インテリアデザインスタジオが2021年11月から共同して取り組んでいるプロジェクトの一つで、同社の2千戸超のリノベーションマンションの供給実績・ノウハウと、学生の自由な発想や大学での研究で得られた成果を融合させ、「多様性・変化する暮らしかた」を具現化し、提案するのが狙い。

 今回の物件のテーマは「日本の感性」で、京町家などに見られるわが国の伝統的な住宅や古民家の調査研究を通して、「ハレとケ」を現代の住まい方へ再構築しているのが特徴で、障子や襖などの「可動建具」は、空気を通す布張りや板張りなどで仕上げ、春夏秋冬に応じて変化させることができるようにしている。

 同大学のインダストリアルアート学科・学域は、「『デザイン』という専門分野だけにとどまらず、理工系から人文・社会系まで、プロダクト系からメディア系まで、幅広い領域に対する興味と知見を有し、それらを総動員して新しいタイプのデザインを創生する人材を育成している」「世界的にも非常にユニークな存在」(同大学ホームページ)で、同学部・学科教授の藤原敬介氏はISSEY MIYAKEの店舗デザインなども手掛ける著名な方のようだ。

 物件は、JR山手線駒込駅から徒歩3分、北区中里1丁目の商業地域に位置する9階建て「パレ・ドール六義園北」の3階住戸で、専有面積は112.87㎡、価格は12,480万円(坪365万円)。建物は築34年。

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リビング(正面奥は収納襖)

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収納襖の布張り部分

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ダイニングキッチン

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土間・ギャラリーからの内観

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プラン

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 8月に見学取材した「代田橋」と同様、物件案内は同社流通事業部商品企画部建築一課課長・高橋晴彦氏にしていただいたのだが、住戸に入って絶句した。

 「代田橋」より面積は3倍近く広いこともあるのだが、床・建具・家具などに本物のヒノキ材などを採用した、間口十数メートルもありそうな端正な佇まいに目を奪われたからだ。

 障子や襖などの「可動建具」は寸法が同じなので、気分によって、四季によって自由に入れ替えたり取り払ったりすることができる。京町家などで日常的に行われていたことだ。布張りの布は市販されているものを使用しているとのことで、高価な素材でなくても工夫次第で美しく見せることができることを示している。

 「パレ・ドール六義園北」について。立地、竣工時期、商品企画などからして、記者が分譲時に取材した物件であるのはほぼ間違いない。2戸1エレベーターの億ションだった。当時の坪単価は800万円くらいではなかったか。ある著名なプロ野球選手が購入したのをご本人に確認もしている。

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「パレ・ドール六義園北」

テーマは昭和レトロ 簀戸、サイザル麻、組子…コスモスイニシアのリノベ「代田橋」(2023/8/2)

  914日に行われたマンション管理業協会の記者懇談会で「カスタマーハラスメント(カスハラ)」に関する質問があった。記者はどのようなやり取りが行われたのか聞き取れなかったのだが、教育・保育現場などを中心にコロナ禍でカスハラが増加傾向にあると聞いているのでハットさせられた。と同時に、同協会が平成25年に発刊した「マンション管理業の失態調査報告書」(代表研究者:大橋弘氏)にマンションフロント業務担当者への過剰要求が取り上げられていたことを思い出した。

同協会から報告書の一部をメールで送っていただいたので紹介する。フロント業務担当者の「やりがい」と「過剰要求」を箇条書きにしたものだ。

                   ◆     ◇

フロント業務担当者としてのやりがい(集計:2,500人)

・理事会役員に信頼されていると感じる時 87.8

・上司や同僚にフロントとしての実力を認められた時 55.7

・理事会役員や居住者等からほめられた時 72.5

・新たなサービスや建物、設備の改修工事等を提案して受注できた時 48.8

・理事会と協力して管理上の課題に取り組み円滑に解決した時 65.6

・理事会で自ら企画立案したことや提案したことが採用された時 49.0

・理事会役員や自治会役員と企画したイベントが成功した時 29.7

・アンケートのコメント等で間接的に居住者から褒められた時 45.0

・理事会役員や居住者から信頼を回復できた時 52.2

・理事会で適切なアドバイスができた時 56.4

・管理員等の現場の職員から頼りにされたり褒められたりした時 42.6

・理事会役員や居住者等との交流を楽しめた時 35.0

・理事会役員や自治会主催の懇親会等にゲストとして呼ばれた時 21.7

・管理組合から感謝状等の形で実績を認められた時 21.0

これまで受けた過剰要求(集計:2,295人)

・長時間(4時間以上)にわたる理事会などへの出席 60.9

・深夜(夜10時以降)に及ぶ理事会等への出席 55.7

・頻繁(月2日以上)に開催される理事会などへの出席 47.3

・深夜・休日に及ぶ理事会役員や居住者等からの頻繁な電話対応 60.1

・理事会役員から届く頻繁・大量のメールへの対応 47.8

・理事会役員からの休日や業務時間外の突然の呼び出し 45.1

・膨大な資料を短時間で作成するような不当な要求 39.4

・出席する必要のない会合への出席の強要  33.0

・総会・理事会等における罵声、怒声による威圧 57.4

・理事会役員や居住者等からのセクハラ 2.2

・理事会役員や居住者等からの暴力 4.0

・理事会役員や居住者等からのいやがらせ 16.7

・業務時間外における共用部分の汚物処理などの清掃作業の要求 29.7

・騒音問題における音の確認等、契約業務に含まれない立ち合い要求 70.0

        ◆     ◇

 フロント業務担当者は多くのことに「やりがい」を感じると同時に、理事会役員や居住者などからたくさん「過剰要求」を受けていることが分かる。同報告書のまとめでは、モチベーションの高いフロントほど将来もフロントとして働きたいと考える傾向にあるとし、教育訓練を受けたフロントはモチベーションが高く、全体的に業務範囲が狭いほどモチベーションは高い傾向にあるとし、不当要求を受けたフロントほど、モチベーションが低下する傾向にあると締めくくっている。

 どうすれば不当要求は解消されるか。報告書が指摘する教育訓練も必要だろうが、記者は一番必要なのは「マンション標準管理委託契約書」を周知徹底させることだと思う。理事会への出席など契約業務以外の事項を管理組合は管理会社に求めず、管理会社は過剰な、サービス労働に繋がる要求を受けないことだ。

 もう一つは、良好なコミュニティを形成するための管理組合の取り組みが不可欠だと思う。風通しをよくすれば、居住者間のトラブルは激減するはずだ。

 その意味で、2016年に国土交通省が標準管理規約を改め、コミュニティ条項を削除したのは居住者同士を見えなくし、分断するもので、誤りだったと今でも考えている。どのようなマンションの管理を行うかは、居住者が決めることだ。国が決めることではない。(記事参照)カスハラが増えているとすれば、このコミュニティ条項の削除もその要因の一つではないか。

 さらに言えば、管理会社もまたフロント業務担当者が日々行っている仕事がどのようなものかを居住者に伝え、アンタッチャブルとされてきた専有部へのサービスを強化すべきだと思う。記者は5年前、公共職業安定所(ハローワーク)の就職フォローアップ事業の一つ「マンション管理員業務講習会」を取材し、「掃除は科(化)学」「床は朝日新聞、窓ガラスは読売新聞」「ホコリは取るもの、誇りは持つもの」などという講師の話と手際よいスゴ技に目からうろこが落ちたのを鮮明に覚えている。フロント業務担当者はみんなリスペクトすべきプロだ。

 最近、第三者管理方式を採用するマンションが増えているが、この方式が居住者間のトラブル防止に役立っているか、カスハラの解消につながっているか、とても興味がある。

大山鳴動…コミュニティ条項は玉虫色決着 国交省が大岡裁き(2016/3/15

マンション「コミュニティ条項」削除に反対 首都圏など13の管理組合が意見書(2015/6/3

標準規約からマンションコミュニティ条項が消える? 第10回「管理ルール検討会」(2015/2/27

迷走する「マンションの新たな管理ルールに関する検討会」(2012/8/30

「機能不全マンション」に第三者管理方式の導入は適当か(2012/8/3

〝掃除は科学 床は朝日、窓は読売〟 マンション管理員のスゴ技を1日体験(2017/2/25

 

 

 

 良好な管理が市場で適正に評価される仕組み「マンション管理適正評価制度」の〝見える化〟が実現しそうだ。9月14日行われたマンション管理業協会(理事長:高松茂・三井不動産レジデンシャルサービス会長)の記者懇談会で明らかになった。

 同制度は、マンションの管理状況や管理組合の運営状態を6段階で評価し、インターネットを通じて情報を公開する仕組みで、2022年4月にスタート。2023年8月末で登録件数は1,503件となっている。同協会は2024年度末までに1万件の登録を目標に掲げている。

 〝見える化〟は、同協会が委託したシンクタンクと学識経験者で検討されているもので、★の数によって仲介段階の査定価格はどうなるのか、売り出しから成約までの期間に影響はあるのかないのか、成約価格は近傍同種の物件と比較してどうなるかなどを定量的に分かるようにする。

 同協会は「現段階ではデータ量が少なく、公開する段階ではないが、〝見える化〟を行う」としている。

 記者は、管理会社別に登録件数や管理件数に占める登録件数比率を公表すべきではないかと質問したが、高松理事長は「内部データとしては収集しているが、公表する予定はない」と語った。

 これは、同協会としては公表しないということだが、個社が公表することを縛るものではないと解釈できる。理事長会社として三井不動産レジデンシャルサービス(三井不動産レジデンシャル)は公表すべきだと思う。同社が公表したら、野村不動産パートナーズ(野村不動産)だって、伊藤忠アーバンコミュニティ(伊藤忠都市開発)だって負けていないはずで、各社が競いあえば、制度の普及スピードは加速する。消費者への認知度も飛躍的に高まる。

★5つは21% 会員間の競争を促すべき マンション管理協 マンション適正評価制度(2023/8/21)

星の数より件数2年後の適正管理評価1万件目指す マンション管理協 総会・懇親会(2023/6/14)

登録件数1000件突破 ★5つ最多は伊藤忠アーバン マンション管理適正評価(2023/4/2)

 

 大和ハウス工業は914日、2023年基準地価の取材に資する記者レクチャー会をリアル・オンライン形式で開催し、同社マンション事業本部事業統括部部長・角田卓也氏が分譲マンションについて、同社住宅事業本部事業統括部分譲住宅グループ次長・中岡敬典氏が分譲戸建てについて、同社流通店舗事業本部事業統括部開発事業部事業部長・岡林弘治氏がホテル・オフィスについて、同社建築事業本部営業統括部・Dプロジェクト推進室 担当次長・廣渡政和氏が物流事業についてそれぞれ説明した。

 角田氏は、首都圏マンションは都心部では富裕層やパワーカップルなどの需要が旺盛で、インバウンド需要がみられるとし、郊外部は実需層の安定した購入動向が見受けられ、販売価格も高水準が続いているが、需給バランスが均衡しているため下落傾向にはないと語った。

近畿圏は、首都圏と同様に都心部における販売進捗は比較的安定しており、供給が増加している京都府の郊外物件では首都圏のような需要は生まれていないと説明。地方圏では、「コンパクトシティ」への関心が高く、販売も安定的に進捗していると語った。

用地の仕入れについては、首都圏は前回の地価レクチャー会(2023年3月)から更に用地価格は上昇し、近畿圏では施工を自社で行う企業が入札案件では優位にあり、地方圏では計画通りに用地取得ができていないデベロッパーの進出が目立ち、用地の高騰が続いていると語った。投資需要、インバウンド需要も継続していると話した。

角田氏が売れ行き好調と紹介した物件の坪単価は、東京都昭島市の「プレミスト昭島モリパークレジデンス」(481戸)は250万円、北海道札幌市の「モンドミオ札幌 南三条通」(38戸)は310万円、秋田県秋田市の「プレミスト秋田中通ザ・レジデンス」(147戸)は170万円、京都府京都市の「プレミスト京都 四条堀川」(54戸)は370万円、愛媛県松山市の「プレミスト松山二番町」(93戸)は200万円、沖縄県浦添市の「プレミスト浦添港川」(168戸)は230万円。「昭島」の第1期は7月の段階では200戸の予定と話したが、反響が多いことからか262戸に積み増しすることを明らかにした。

 戸建分譲住宅について中岡氏は、対前年同期比の契約は土地が24%、分譲住宅が14%それぞれ増加、用地企画マネージャーによる用地確保も進んでいると語った。地価は首都圏・大都市圏は上昇基調にあり、資材全般・住宅設備機器も仕入れ価格は高度糊していると説明した。

分譲住宅の20234月~7月のZEH率は99%で、内訳は「ZEH」が19%、「NearlyZEH」が77%、「ZEH Oriented」が3%。202210月~20231月の95%を上回ったと話した。

木造分譲住宅の拡大に向けた取り組みとして、鉄骨系と同じ910モジュールを採用し、施工を効率化することでコストを抑制すると語った。今年度の着工計画は約150棟。

岡林氏は今後のホテル開発について、建築コストの上昇は客室単価の引き上げだけではカバーしきれず、人材不足もあり、以前より慎重な判断と開発段階でのコストコントロールが必要となってきたと語った。

オフィス開発については、潜在的ニーズがある地方での開発に引き続き力を入れていくとした。

廣渡氏は、首都圏の物流施設供給量は直近3年間で過去最大の供給が発生し、調整局面に入ったと説明。主な新規開発案件では東京23区で約14.8ha、千葉県で約30.6ha、群馬県で約2.4haのプロジェクトが進行中と話した。

        ◆     ◇

記者にとって最大の収穫は、建設業の2024年問題も絡んだ建築コストの上昇が深刻化しそうな状況にあることを確認できたことだ。廣渡氏は「これから発注する㎡当たりの建築原価は、これまでの40万円から60万円になることを覚悟しないといけないと社内では話し合っている」旨の発言を行った。坪単価に換算すると132万円から198万円へと、実に5割のアップだ。これには驚いた。

建築原価の上昇は、日本建設業連合会(日建連)の「建設資材高騰・労務費の上昇等の現状」パンフレット(20237月版)でも確認しているが、パンフレットでは「この29か月間で全建設コストは1618%上昇している」とある。廣渡氏はこれから更に50%上昇する可能性があると語ったのだ。

S造の物流施設とRC造のマンションと単純比較はできないにしろ、建築原価がこの先5割もアップしたら、首都圏では坪200万円以下のマンションは姿を消すことになる。記者は一次取得層が無理なく取得できる限界は坪250万円だと見ているが、郊外部でも限りなく取得限界に近づくということか。

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「コートヤード・バイ・マリオット札幌」

積水ハウスとマリオット・インターナショナルは913日、「コートヤード・バイ・マリオット札幌」(321室)を2024年夏に開業すると発表した。

「コートヤード・バイ・マリオット」ホテルは、世界60以上の国と地域に1,265軒以上を展開。わが国では「東京ステーション」「新大阪ステーション」「大阪本町」「銀座東武ホテル」「白馬」「名古屋」に次いで7施設目。

積水ハウスとマリオット・インターナショナルは、「セントレジス大阪」「ザ・リッツ・カールトン京都」「W大阪」「ウェスティンホテル横浜」「モクシー大阪新梅田」や「Trip Base 道の駅プロジェクト」などでコラボレーションを推進している。

施設は、札幌市中央区南10条西1丁目に位置する敷地面積約3,380㎡、13階建て延床面積約14,971㎡の全321室。レストラン、ロビーバー、フィットネス、大浴場を備える。

 

 

 

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