デジタル化さらに推進 大京アステージ、穴吹コミュニティ・真島吉丸社長 年頭所感
真島氏
新年あけましておめでとうございます。
昨年は新型コロナウイルス感染症が5類に移行され、社会経済活動の正常化も進み、ようやく以前の日常が戻ってきた一年となりました。コロナ禍を経て、私たちの事業は生活基盤を担う社会インフラの一つとして「なくてはならない存在」であることを改めて実感いたしました。
当社では昨年3月に、管理組合の総会への出欠連絡、出席、議決権行使までを一つのアプリ上で完結し、一元的に集計できる業界初のサービス「POCKET HOME」の運用を開始いたしました。本年は、オンライン併用型の総会をはじめとする本アプリの本格展開に一層力を入れ、デジタル化をさらに促進してまいります。
また、昨年は社内における価値観の共有を目的に、二社の羅針盤となる「Mission(ミッション)・vision(ビション)・value(バリュー)」を策定いたしました。今後もお客さまのご要望やお困りごとに真摯に向き合い、質の高いサービスを提供することで、お客さまにとって「今がいちばん」の暮らしがずっと続く、確かなマンション管理を目指してまいります。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
新たな価値創造に挑戦 オリックス・ホテルマネジメント・似内隆晃社長 年頭所感
似内氏
新年あけましておめでとうございます。
新型コロナウイルス感染症により落ち込んでいた観光需要がようやく回復し、昨年、宿泊業界の稼働はコロナ前に迫る水準となりました。国内需要もさることながら、都市部や観光地へはインバウンド需要が急回復し、2025年に控える大阪・関西万博にかけて、インバウンド旅行客数はさらなる増加が見込まれます。当社はこの増加する観光需要に丁寧に対応し、お客さまへソフト・ハードの両面から心地よい滞在を提供し、「また、行きたい」と思っていただける施設運営に努めてまいります。
また、当社の運営する旅館、ホテル、研修施設などでは、付加価値の高いサービス提供を目的に、「日本の新しい魅力、地域ならではの体験」を創出することに注力しています。これまで、別府の立命館アジア太平洋大学との連携によるホテルイベントの開催、函館の「低利用魚」を使用した料理の提供、福岡のアーティストの個展開催、大阪の歌舞伎と文学の発展とともに道頓堀の歴史を伝える展示企画や会津の果樹園でのフルーツ狩りが付いたアドベンチャーツーリズムプランなど、さまざまな企画で地域の魅力を伝えてまいりました。今年も、こうした地域を巻き込んだ取り組みを全国の施設で進めるとともに、地域の魅力を発信してまいります。「訪れるお客さま」「地域」「当社施設」にとっての好循環を作り、日本の観光をさらに盛り上げていきたいと考えています。
観光需要が回復する一方、業界全体では人手不足が深刻化しています。当社では海外人財の積極採用を進めつつ、省人化などの取り組みにより、効率的で高品質なサービスを提供できる運営体制の構築を進めています。スタッフのマルチタスク化による業務効率の向上や、自動チェックイン機の導入など、ソフトとハードの両面の改善により、快適な滞在をお客さまにご提供してまいります。
大規模リニューアル中の「別府温泉 杉乃井ホテル」では、昨年1月にフラッグシップ棟となる「宙館」が開業し、現在は、2025年1月の新客室棟「星館」のグランドオープンに向けて準備を進めています。また、昨年12月2日には、ORIX HOTELS & RESORTSのフラッグシップ旅館ブランド「佳ら久」の二軒目となる「熱海・伊豆山 佳ら久」が開業しました。相模湾を一望できる絶景と、「佳ら久」ならではの上質なくつろぎの空間と高品質なサービスをお届けします。
オリックスグループは、今年60周年を迎えます。昨年11月には、オリックスグループの企業理念体系を見直し、新たに「ORIX Group Purpose & Culture」を策定しました。当社は、施設運営を通じて、社会にポジティブなインパクトを生み出せるよう、新たな価値創造に挑戦してまいります。
本年も皆さまの一層のご支援ご理解を賜りますようお願い申し上げるとともに、皆さまにとりましてご多幸な1年となりますよう心よりお祈り申し上げます。
お客さまの人生に新たな価値を創造 大京・深谷敏成社長 年頭所感
深谷氏
新年あけましておめでとうございます。
日本経済は、新型コロナウイルス感染症が5類に移行し、人流の活発化により活力を取り戻しつつあります。一方で、エネルギーや原材料価格の高騰による世界的なインフレ継続や深刻化する人手不足など不透明な環境が続いています。家族の形態やお客さまの価値観が刻々と多様化する中、今まで以上に立地と商品企画にこだわったものづくりができる組織力を強化することで、お客さまの人生に新たな価値を創造してまいります。
昨年、分譲マンションブランドを「ライオンズマンション」から「THE LIONS」へリブランドしました。従来の安心・安全で高品質な“住まい”を踏襲しつつ、洗練・上質の要素を加え、一歩先の“暮らし”を実現するブランドへと変革してまいります。住まいのニーズ、価値観が多様化する時代において、「人生には価値がある」と心の底から思っていただけるようなマンションをつくり、その住まいに関連する新しいサービスを提供してまいりたいと思います。
また、「サステナビリティ」と「DX」は事業の品質向上につながるチャンスとなります。昨年は、分譲マンションのZEH区分最高ランクである『ZEH-M』の認定を日本で初めて受けた「ザ・ライオンズ世田谷八幡山」の開発に着手しました。引き続き、原則「ZEH-M Oriented」以上の省エネ基準を満たす仕様で開発を推進するほか、それ以上のレベルへ積極的に挑戦し、環境性能の向上を追求してまいります。「DX」のテーマでは、業務プロセスの見直しと生産性向上に向けた取り組みを加速してまいります。
皆さまの一層のご理解とご支援をお願い申し上げるとともに、本年が皆さまにとって実り多い一年となりますよう、心より祈念申し上げます。
サステナビリティ推進を加速 オリックス不動産・深谷敏成社長 年頭所感
深谷氏
新年あけましておめでとうございます。
日本経済は、新型コロナウイルス感染症が5類に移行し、人流の活発化により活力を取り戻しつつあります。一方で、エネルギーや原材料価格の高騰による世界的なインフレ継続や深刻化する人手不足など不透明な環境が続いています。
昨季、オリックス・バファローズは惜しくも日本一を逃しましたが、3年連続のリーグ優勝を成し遂げました。応援いただいたすべての皆さまに感謝申し上げます。我々の各事業におきましてもチャレンジを続け、飛躍の一年にしたいと思います。
昨年は、静岡県熱海市で開発したラグジュアリー旅館リゾート「熱海・伊豆山 佳ら久」が開業したほか、全国で計5件の物流施設が竣工しました。物流施設は、屋根に太陽光発電システムを設置し、テナント企業に再生可能エネルギーをご利用いただけるなど、環境に配慮した開発をすすめています。不動産事業における幅広い専門性とオリックスグループのネットワークを活用し、複合開発、オフィス、物流、ホテル・旅館開発など多岐にわたる事業活動を着実に行うとともに、サステナビリティ推進を加速してまいります。
また、オリックスグループの企業理念体系が見直され、新たに「ORIX Group Purpose & Culture」が策定されました。当社は、不動産事業を通じて社会にポジティブなインパクトを生み出せるよう、新たな価値創造に挑戦していきます。不動産事業部門の「サステナビリティ推進方針」では「脱炭素化」「環境配慮」「安全・安心・快適性」「地域共生」をテーマに掲げ、施設の再エネ化や建築の環境認証の取得をはじめ、持続可能な社会に向けた活動を継続し強化してまいります。
皆さまの一層のご理解とご支援をお願い申し上げるとともに、本年が皆さまにとって実り多い一年となりますよう、心より祈念申し上げます。
〝将来の夢〟目指し「伸」びる1年に 大和ハウス工業・芳井敬一社長 年頭所感
芳井氏
昨年は、新型コロナウイルス感染症が5類に移行したことに伴い、社会経済活動の正常化が進んだ年となりました。一方で長らく続く資材価格の高騰をはじめ、エネルギーの供給不安や世界的なインフレ圧力による円安の影響など、依然として先行き不透明な状況が続いています。
このような中、当社グループは、第7次中期経営計画の二年目となる2024年 3月期の第2四半期決算において売上高が過去最高を更新し、いよいよ5兆円を臨むところとなりました。改めて、グループ社員全員の底力を実感するとともに、心から感謝しています。
さて、2024年の年頭にあたり、皆さんにお伝えしたいことが三点あります。
一つ目は、「2024年問題への対応」です。本年4月より、建設業にも「残業の上限規制」が適用されます。昨年から、現場で起きている厳しい職場環境の状況や、効率的な働き方に対する意見・アイデアを、社員の皆さんから直接私に寄せていただく場所を設け、また、皆さん個々の時間外労働時間の見える化も実施しています。そして建設現場においては、DXを活用した新しい働き方にも挑戦しています。4月まで待ったなしです。業務実態の把握と抜本的な対策を最優先にお願いします。仕事は一人でしているわけではありません。自分自身の時間管理はもとより、同僚のリードタイムも意識して、業務に励んでください。
二つ目は、私の今年の一文字「伸」です。長く力強く発展していく一年にしたいと思います。また、この「伸」という字が名前に入っている石橋伸康元社長は、在任中の1996~1999年当時から、今に通ずる先進的な取り組みを実践しており、環境貢献においても、他社よりもいち早く着手していました。そのおかげもあり2023年度には当社グループ全体での購入電力の100%再生可能エネルギー化を達成する見込みです。さらに、木造・木質建築を重点成長領域に設定し、サーキュラーエコノミーを目指すプロジェクトも始動しています。皆さん一人ひとりが自分事として環境問題を捉え、2050年のカーボンニュートラル実現に向け進んでいきましょう。
三つ目は、「新たな挑戦」です。近年、世界情勢や国内の事業環境は大きく変化を続けており、年々そのスピードを増しています。その変化を捉え、新たなチャンスとするために、当社はコーポレート・ベンチャー・キャピタルとして「大和ハウスグループ“将来の夢”ファンド」を創設しました。スタートアップ企業とともに、将来の成長の源泉となる新たな事業創出に向け、本年から本格始動します。皆さんも広い視野・視点で世の中の変化を捉え次のビジネスを創造できるよう、積極的に新たな取り組みに挑戦してください。
最後に、当社において変わらないものは創業の原点である「社会の役に立つ事業の展開」です。この創業者精神を行動の規範とし、当社グループの〝将来の夢〟(パーパス)「生きる歓びを分かち合える世界の実現」を目指して、「伸」びのある一年にしていきましょう。
持家は24か月連続、貸家、分譲住宅も6か月連続の減少 11月の住宅着工
国土交通省は12月27日、令和5 年11月の新設住宅着工戸数をまとめ発表。総数は66,238戸となり、前年同月比8.5%減、6か月連続の減少となった。内訳は持屋が17,789戸(前年同月比17.3%減、24か月連続の減少)、貸家が28,275戸(同5.3%減、4か月連続の減少)、分譲住宅が19,578戸(同5.2%減、6か月連続の減少)。分譲住宅のうちマンションは7,671戸(同5.2%減、先月の増加から再びの減少)、一戸建住宅は11,835戸(同4.3%減、13か月連続の減少)。
構造別ではプレハブは7,880戸(同20.0%減、6か月連続の減少)、ツーバイフォーは8,072戸(同2.1%減、3か月ぶりの減少)。
令和5年1月から11月の累計では総数は755,037戸(前年同期比4.7%減)、内訳は持家207,321戸(同11.2%減)、貸家318,025戸(同0.1%減)、分譲住宅224,979戸(同4.4%減)となっている。分譲住宅の内訳はマンションが98,157(同1.9%減)、一戸建てが125,816戸(同6.1%減)。
首都圏マンションの累計は47,065戸(同1.1%減)で、都県別では東京都が23,854戸(同11.8減)、神奈川県が13,432戸(同29.9%増)、埼玉県が5,250戸(同0.4%減)、千葉県が4,529戸(同8.2%減)。
パークシステムの復活はあるか 都市再生は可能か 「川」を考える
玉川上水
今年はわが西武ライオンズの山川選手に翻弄された1年でもあった。チームは5位に終わったが、過去のことは忘れよう。来季に期待しよう。悪夢を断ち切るためにも、単純にして明快な真理-それなしには生きられない山と川、とくに「川」について考えてみた。
◇ ◆ ◇
国土交通省が特に重要と定め指定するわが国の一級水系は109水系、一級河川は14,079本、都道府県知事が指定する二級水系は2,713本、二級河川は7,029本、市町村が指定する準用河川は14,314本となっている。全国に一級水系がないのは沖縄県のみで、政令指定都市で一級河川がないのは福岡市のみであることから分かるように、ほとんどの都市は河川流域に存在する。
川は、安全に水を海に運び(治水)、飲料水をはじめ農林水産、工業などあらゆる産業を支え(利水)、親水・公園・リクレーションなどわれわれの生活を潤し、生物多様性にも大きな役割を果たしている。小説や音楽などの舞台になり、絵画、写真などの題材にもなる。
記者は、かつてはアユやハヤ、カニなどが面白いように獲れた、現在でももっともきれいな川の一つとして知られる三重県の宮川・一ノ瀬川流域で生まれ育った。まずまず人間らしい生き方をしてきたのも、その豊かな自然環境のお陰だと思っている。
成人してからも、マンションや分譲戸建てなどの取材を通じてかなりの川を紹介してきた。「川」のワードで過去10年間の記事を検索すると、東京都だけで多摩川の40件を筆頭に、仙川24件、日本橋川24件、玉川上水23件、神田川18件、国分寺崖線18件、石神井川11件、隅田川10件、目黒川8件、荒川5件、渋谷川4件などがヒットする。川が分譲住宅などの販売促進の役割を果たしていることが分かる。
六郷用水
◇ ◆ ◇
皆さんは「渋谷駅南方から天現寺橋までの2.4kmを流れる二級河川。渋谷ストリーム北辺の『稲荷橋』地点を起点とし、広尾、麻布の台地下を流下して、芝公園の南側を通り、東京湾に注ぐ」(Wikipedia)渋谷川をご存じか。名前だけなら知っている人は多いだろうが、水源はどこか、どこに注ぐかを知っている人は少ないはずだ。記者は考えたこともなかった。
知ったのはつい先日(12月17日)、千葉商科大学環境情報科学センター主催のシンポジウム「神宮外苑の歴史的文化的資産の価値を守る-イチョウ並木と100年の森-」だった。中央大学研究開発機構教授・石川幹子氏(イコモス日本国内委員会理事/東京大学名誉教授)は、渋谷川の水源は新宿御苑(高遠藩)・明治神宮内園(井伊家下屋敷)・明治神宮外苑(青山練兵場)の公園三部作と玉川上水の余水であると報告した。
石川氏は共著「岩波講座 都市の再生を考える」(岩波書店、2005年刊)の第4章「公共空間としての公園・緑地」で、渋谷川について「消失した川、コンクリートで固められた貧弱な川からは、想像もつかないような巨大な緑地を水源林として有していることが分かる」(105ページ)とし、「水と緑の回廊」(渋谷川パークシステム)の再生シナリオを<新宿御苑地区><明治公園地区><原宿地区><代々木公園、宇田川地区><宮下公園地区><渋谷駅周辺><渋谷駅-恵比寿駅周辺><広尾病院、慶應幼稚舎、北里大学周辺><白金、麻布十番、三田小山町><麻布十番、赤羽橋、金杉橋、東京湾河口>の10の地区別に描き、「川は、失われたとはいえ、公共空間としての得がたい特質を保持している。この貴重な資産を軸に、断片的に存在する公共の緑地や、地区ごとのルールをつくることにより生み出されるささやかな緑地などを結び付けることにより、新しい公共空間を生み出していくことができる」(109ページ)と述べている。
そして、「100年をかけて失ってきた都市の自然の回復には、100年のヴィジョンに裏打ちされた夢と、実現に向けての緻密な歩みが必要である。これからの公共空間は、公の空間という土地所有の呪縛から解放され、『多くの人びとの安全と生活の質の向上、さらには地球環境の持続的維持のため、複雑で零細な土地利用の中から、互いに分かち合いつつ生み出される集合体としての空間』という考え方に変容していかなければならない」(111~112ページ)と締めくくっている。
渋谷川
渋谷川
◇ ◆ ◇
同著の第2章「都市再生の理念と公共性の概念の再構築にむけて」では、蓑原敬氏は「現代の日本社会の中で、都市、地域の再生を図るためには、日本の地域計画、都市計画を本来の姿に戻すことが不可欠である。また、住宅政策の根本的な見直し、住まい街づくり政策への転換が不可欠である。だが、都市計画を巡る日本社会の仕組みみの現状は、これを阻む構造になっている」(29ページ)と問題提起し、「口当たりのよい総論的な言説を繰り返し、各論への介入を不可避にする実態の変革を避けた表面的な表現だけを重ね、各論の段階では常に既往の制度の部分的な手直しでお茶を濁してしまい、総論で掲げた目標はいつの間にか消え失せているのが日本の行政構造の現実である。それが、この20年間、日本の都市が『非人間的、反社会的、そして自然破壊的な面が目立っている』ことに繋がっている」(33ページ)と指摘。「新たな、住まい街づくり政策の確立と国土計画法、都市計画法、建築基準法集団規定を一体化した、都市田園法と街並み計画法の策定が必要である」(56ページ)と説く。
石神井川
石神井川
◇ ◆ ◇
石川氏が力説する「パークシステム」の復活はあるのか、蓑原氏がいう「本来の姿」を取り戻すことができるのか。
記者などは、渋谷川や日本橋川を見るにつけ、建物は押しなべて川に背を向け、深い擁壁の底に沈み、流れているのかどうかも判別できない、黒い水面にブクブクと泡立つ不気味な光景に絶望するしかない。〝死の川〟そのものだと。
「本来の姿」を取り戻す道のりも険しいと言わざるを得ない。千代田区の神田警察通りの道路整備計画、二番町地区地区計画、神宮外苑まちづくり計画に関する会合を傍聴したり審議会の議事録などを読んだりしたが、法的手続きに瑕疵がなければ、住民はもちろん議員や委員などの声はただ聞き置くだけの扱いを受けるのを嫌と言うほど知らされた。官僚主導は貫徹されている。
「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。淀みに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし。世の中にある人とすみかと、またかくのごとし」(方丈記)
小松川親水
玉川上水
玉川上水
日本橋川
氷の微笑、根回し、考え方更新、都市公園とは…神宮外苑を考えるシンポ千葉商大(2023/12/19)
マンション管理会社 3割が投資用中心に第三者管理者方式導入 国交省
国土交通省は12月26日、マンション管理に関する「外部専門家等の活用のあり方に関するワーキンググループ(第3回)」(座長:鎌野邦樹・早稲田大学法学学術院法務研究科教授)を開催。同省が令和5年12月に実施したマンション管理業協会会員(351社)を対象とした「管理業者が管理組合の管理者に選任されるケース」に関するアンケート調査を公表した。有効回答は152件(回収率43.3%)。
第三者管理者方式を導入しているマンションを受託していると回答したのは約3割の48社で、導入している管理組合数は1,991件となった。分類別では「投資用マンション」1,055件。「自己居住用」が306件となっている。
新築マンションにおいて、第三者管理者方式を「導入している」又は「導入予定」と回答した割合は約半数、「管理者業務の報酬報酬を設定している」と回答した割合は4割。
「報酬を設定していない」理由は、「管理会社として事務管理業務で報酬を受領しているため」「通常の管理と同様と考えているので一般的な管理手数料のみ設定しており、第三者管理用での報酬は考えていない」「分譲当初から規約に定められており、報酬を請求していない(できない)物件がある」「報酬の基準等が決まっていないため設定できていなかったが、現在報酬基準を検討中」「報酬を得られる理解をしていなかったため。今後は報酬を提案する予定」「投資用ワンルームマンションの管理につき無報酬(無報酬で行える規模なので)」などの回答があった。
管理委託契約を締結又は更新する場合における集会の決議は、すべての管理業者が「普通決議」と回答。通常総会において議長を務めるのは、「管理者業務の担当者」と回答した割合は約8割だった。
第2回のワーキンググループでは、「区分所有者による管理の機会を失ってしまうとして、新築時点からの第三者管理者方式の導入自体を懸念する意見もあった」とし、「第三者管理者方式においても、区分所有者自身が管理の主体となり、適切にマンションの管理を進めていくこともあり得るため、新築からの第三者管理者方式が一律に制限されるべきではない」「区分所有者が適切に管理を進めていくためにも購入前、購入後における十分な説明が必要と考えられる」などの意見があったことも報告された。
同省は、今後2回の会合を経て、来年3月下旬までに管理業者が管理者となる第三者管理者方式については、現行ガイドラインとは別の「新ガイドライン」を整備する方向で検討を進めるとしている。
記者とは無縁の「融通無碍」ブログ発信者 長谷田一平氏(76)とバッタリ
長谷田氏(大船駅構内で)
ブルースタジオ「SUNKA」の取材を終え、大船駅近くの焼き鳥(レバー)が抜群に美味しい飲み屋でビールを飲んで駅の改札をくぐったときだった。だしぬけに声を掛けられた。確かにどこかでお会いした人だ。記憶をフル回転させた。すぐわかった。ジャーナリストの長谷田一平氏(76)だった。
最近は、人の名前と顔は右から左、左から右へと素通りするのに、どうして長谷田氏のことを覚えているかと言えば、もう10年近く前だ。長谷田氏の著作「フォトアーカイブ 昭和の公団住宅―団地新聞の記者たちが記録した足跡」を読んでいたからだ。そんじょそこらにある回顧ものではない。足で稼いだ名著だ。6年前の積水ハウス「江古田の杜」の取材でもお会いしている。
改めて名刺交換もした。「二科会写真部神奈川支部会員」の肩書付きで住所は鎌倉市とあるではないか。お元気そうなのは「鎌倉夫人」のお陰だろうと読んだ。「わたしの行きつけの店でちょっと三十分どうですか」と誘われた。渡りに船とはこういうことを指す。
店の名前は「石狩亭」。お品書きのほか、「鎌倉の町 中華№1に選ばれました」などあちこちに張り紙が張られていた。人気店なのだろう。
長谷田氏から「日本一美味しい緑茶酎ハイ」を勧められるままに飲んだ(小生にとってはお茶そのもの)。何杯お代わりしたか分からない。それより、長谷田氏の第一声「ボケ防止を兼ねて開設したブログ『融通無碍』はYahoo!やGoogleで『ココログ融通無碍』と入力すると真っ先にヒットする」に驚いた。ブログ融通無碍のURLは次の通りだ。
http://kamakura-photo-press.cocolog-nifty.com/blog/
融通無碍なる熟語は、融通が利かない小生などとは無縁で、取り立てていうほどでもないが、人によっては珠玉の輝きを放つ。隈研吾氏がそうだ。いくつかの著作でも述べられているが、2021年に完成した「大田区 田園調布せせらぎ館」のインタビュー映像で「施設全体は融通無碍に使える、利用者の様々なアイデアに柔軟に対応できるデザインとした」と話したのを鮮明に覚えている。同じ言葉を長谷田氏が口にした。
冒頭にも肩書を紹介したが、長谷田氏の写真がまたいい。何かの取材で撮ったらしい、小生がもっとも美しいと妄信しているある大女優の写真を見せてもらった。のどから手が出そうになった。カメラも上等なのはもちろん、被写体に向き合う姿勢が違うのだろう。
そんな長谷田氏にもやり残したことがあるそうだ。億ションを見たことがないという。これはやむを得ない。1955年の旧日本住宅公団設立から1997年の〝亀(亀井静香氏)の一声〟によって分譲事業から撤退するまで42年に約約150万戸(うち分譲住宅は半数近くに上るはず)の住宅を建設してきたUR都市機構は1戸の億ションも供給しなかった。(公営住宅で初めて億ションが登場したのは2007年の横浜市住宅供給公社「横浜ポートサイドプレイス タワーレジデンス」)
今は億ションなど珍しくないので、いつでも紹介できるのだが、「その女優の方の取材があったら、カバン持ちとして連れててってください。億ションの見学会には必ずお声掛けします」と交換条件をだした(この大女優の方が少なくとも2か所で都心の億ションを買ったことを長谷田氏はしらないだろう)。
政治の話もした。小生はもう何十年も投票に行ったことがないと話したら、「それはダメ。白票を投じないと。白票が政治を動かす」と長谷田氏は諫めた。
「日本一美味しい緑茶酎ハイ」
鎌倉市産のきくらげ
裏山の借景致しも断熱等級6クリア ブルースタジオ 賃貸住宅「SUNKA(サンカ)」(2023/12/26)
緑の質量に圧倒 エントランスに樹齢100年巨木「江古田の杜」街びらきに千数百人(2018/9/23)
江古田の杜 コミュニティ施設に「Casita(カシータ)」のサニーテーブル(2017/12/12)
裏山の借景活かし 断熱等級6クリア ブルースタジオ 賃貸住宅「SUNKA(サンカ)」
「SUNKA(サンカ)」
ブルースタジオは12月25日、横浜市栄区の長屋建て賃貸住宅「SUNKA(サンカ)」のメディア・関係者向け竣工内覧会を行った。敷地の一部は市の土砂災害特別警戒地区に指定されているため、その部分を広場・バスケットコート・菜園とすることで課題を解消し、隣接する「特別保全利緑地地域」借景を活かし、建物は断熱等級6をクリアするなど付加価値の高いプロジェクトだ。
物件は、JR大船駅からバス7分徒歩3分、横浜市栄区飯島町に位置する敷地面積約449㎡(他に広場・菜園面積約561㎡)の木造長屋2階建て全7戸。専用面積は44.71〜61.28㎡、月額賃料は127,000円~133,000円。竣工は2023年12月。建築設計監理はブルースタジオ、施工はジェクト。
現地は、広重の東海道五十三次に描かれた旧鎌倉道「戸塚宿」に近接。町名に「飯島町」とあるように、何代も続く地主・飯島家の敷地。敷地北側には飯島家の裏山や約4.7haの「特別保全利緑地地域」、三島神社など自然に恵まれたエリアの一角。従前は賃貸住宅6棟。
従前建物の老朽化に伴い建て替えるものだが、敷地北側の一部は土砂災害特別警戒地区に指定されているため、広場・バスケットコート・菜園として整備。新たに建設する建物は雁行させ、裏山の借景を取り込むデザインとし、Ua値0.37とするなど断熱等級6をクリアしているのが特徴。床はナラ材の無垢フローリング、サッシはアルミ樹脂複合+Low-Eペアガラス。「SUNKA」には、「山家」「山下」「賛歌「SUN」の意が込められている。
内覧会で同社専務取締役クリエイティブディレクター・大島芳彦氏は「栄区は本郷台、桂台などの地域で人口が減少しているが、飯島町は人口ピラミッドを子細に調べた結果、ミニ開発などで社会増も見られるエリア。子育て世代を呼び込み、古い地域のよさを生かしながら街全体で迎え入れようというのがコンセプト。環境性能にも配慮した」と語った。
シンメトリックな外観デザイン
北川エントランス
大島氏
◇ ◆ ◇
同社のこの種の内覧会を楽しみにしている。毎回、新しい発見があるからだ。今回は裏山の自然林とゆったりした配棟計画に目を奪われた。敷地面積を単純に戸数で割ると1戸当たり約64㎡だが、広場などを含めると約144㎡で、手つかずの小鳥が飛び交う森が毎日眺められる価値は計り知れないものがある。
シンメトリックな建物外観と得も言われぬ〝鶯色〟の外壁にも魅了された。記者は油絵を描くがなかなか出る色ではない。大島氏は「かなりこだわった」と話したように、このような細かな配慮が支持を得るのだろうと思う。シースルー玄関ドアもいい。
家賃は近隣相場の3割高で、大船駅周辺と変わらないそうだが、記者はこの設定に納得した。この日は見学会のために玄関などは開け放たれており、暖房も付けられていなかったが、内覧会に参加する検討者はUa値0.37の威力を体感できるはずだ。
裏山
左から広場、バスケットコート、菜園
爛漫の春満喫 「hocco(ホッコ)」イベントに1000名超 小田急バス×ブルースタジオ(2022/4/2)
素晴らしい!親子&木製シースルー玄関ドア 三菱地所ホーム「江北小路」完成(2023/10/28)