1階天井高2800ミリ、30㎡のルーフテラス付き9戸 日本エスコン「茅ヶ崎東海岸」
「レ・ジェイド茅ヶ崎東海岸南」
先に紹介した「レ・ジェイド新横浜」に続いて「レ・ジェイド茅ヶ崎東海岸南」。地元の人にはよく知られている「SPORTIFF」のカフェ跡地の低層マンションで、1階住戸のリビング天井高を2800ミリとし、3階は30㎡のルーフテラス付きとした商品企画が素晴らしい。
物件は、JR茅ヶ崎駅から徒歩15分、茅ヶ崎市東海岸南2丁目の第1種住居地域、第1種低層住居専用地域、第2種低層住居専用地域(建ぺい率63.18%、容積率131.76%)に位置する3階建て全31戸。専有面積は56.95~120.19㎡、坪単価は320万円。設計・監理はコモン・リンク一級建築士事務所。施工は鉄建建設。竣工予定は2023年11月下旬。販売代理は大和地所レジデンス。
1月にホームページを開設し、これまでのエントリー数は1,000件、4月10日からオープンしたモデルルーム来場者は150~160組、20戸が成約・申し込み済み。
敷地は、地元によく知られた、「キング・カズ」こと三浦知良氏の奥さん三浦(旧姓・設楽)りさ子さんがモデルになっているカジュアルブランド「SPORTIFF」のカフェ跡地。
建物は内廊下方式で、1階は店舗と南向き・南西角住戸6戸と北西角の1戸、2~3階は南向き・角住戸の7戸と北向き・角住戸の5戸。3階の9住戸は約30㎡のルーフテラス付き。2階は最大奥行き2300ミリのバルコニー付き。
主な基本性能・設備仕様は、直床、リビング天井高2800ミリ(1階)、2450ミリ(2階)、2500ミリ(3階)、2200ミリハイサッシ、フィオレストーンキッチン天板、食洗機など。
同社開発事業本部首都圏企画販売部チーフ・望月洸氏は「『ボールパーク』効果も大きい。来場者の約6割は茅ヶ崎、藤沢市居住の地元の方ですが、いずれ湘南に住みたいと考えていらっしゃる都内居住者の方も多く、販売は順調。浸水ハザードマップに該当しないのもアピールポイントです。100㎡超の7戸も2戸が成約済みで、他も商談中。高額だからといって悲観はしていません。販売代理に大和地所レジデンスさんをお願いしたのは、湘南での販売実績が豊富だから。今後は当社単独で販売できるよう体制を整えています。戸数は追わず質を確保していきたい」と語った。
モデルルーム
モデルルーム
モデルルーム ギャラリー
モデルルーム
2階バルコニー
◇ ◆ ◇
販売事務所は、大和地所レジデンスがモデルルームとしていた「ヴェレーナグラン茅ヶ崎東海岸」と同じ場所で、建物の外観もほぼ同じ。内装は日本エスコンの物件に採用しているものと同じにするため模様替えされていた。
モデルルームは間口8750ミリ、専有面積95㎡のスクエアタイプ。小家族居住を想定して2LDKとして提案したものだが、カラーリング、デザインが素晴らしい。1億円超でも検討者を納得させる提案であるのは間違いない。
他の住戸も間口は最低でも7150ミリ確保し、アルコーブ・玄関をゆったりとっているのも目を引いた。坪単価320万円は安くないと思うが、納得させるプランだ。
これまで供給された大和地所レジを含めた「茅ヶ崎」の高額物件を研究した結果だろう。
約30㎡のルーフテラス(居室ではないが、広さは都心部の3,000万円のワンルーム分もある)
市の環境設計制度の適用受ける 坪単価340万円で販売好調 日本エスコン「新横浜」
「レ・ジェイト新横浜」
日本エスコンが分譲している「レ・ジェイト新横浜」「レ・ジェイド茅ヶ崎東海岸南」のモデルルームを見学した。「新横浜」は、市の市街地環境設計制度の適用を受けており、「茅ヶ崎東海岸」は第一種低層住居専用地域に位置する低層マンション。前者は立地、後者は環境に恵まれている。
まず「新横浜」から。物件はJR・横浜市営地下鉄ブルーライン・相鉄・東急新横浜線「新横浜駅」から徒歩9分、横浜市港北区新横浜1丁目の商業地域(建ぺい率80%、容積率600%)に位置する15階建て190戸(このほか店舗・事務所・地域開放集会室)。先着順で分譲中の第1期1次(59戸)の専有面積は30.10~77.68㎡、価格は2,760万~8,490万円、坪単価340万円。竣工予定は2025年2月。設計・監理・施工はファーストコーポレーション。売主は同社(事業比率85%)のほかファーストコーポ(同15%)。
敷地南東側は6車線の環状二号線、北東側は市道にそれぞれ接道。従前はパチンコ屋。建物は内廊下方式で、標準階の住戸プランは南東向きファミリータイプが6戸、北東向き単身者・DINKSタイプが8戸。
横浜市市街地環境設計制度の適用を受け、建物は敷地境界線から約5m(道路舗道を含め約10m)セットバックさせて建築し、地域住民に開放する集会室を設けることなどから、高さ規制11階建て(30m)から15階建て(45m)の緩和を受けている。
主な基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、リビング天井高2450ミリ、ディスポーザー、食洗機、Low-Eガラス、全戸備蓄倉庫など。共用部には地域住民に開放する集会室のほか、様々な防災対策を施している。
これまでエントリー数は約2,000件、3月4日に開設したモデルルーム来場者は約350件。5月末に供給した第1期50戸のうち契約済みは40戸で、他もほぼ申し込み済み。販売は好調に推移している。
同社開発事業本部首都圏企画販売部チーフ・山﨑泰史氏は「来場者の約3割が地元港北区で、広域から集客できているのが特徴です。相鉄・東急新横浜線の開業も後押ししています。1LDKタイプは資産性を重視したセカンド・投資需要もあります。私は『ボールパーク』の第1期販売を担当していますが、その効果は『新横浜』にも表れています。当社の認知度は飛躍的に高まっています」と語っている。
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モデルルームを見学する前、坪単価はボトムで350万円とはじいた。幹線道路に面し、後背地にラブホテルがあるのは難点だが、相鉄・東急新横浜線の開業で利便性が高まり、新幹線を利用すれば東京駅まで16分(乗車券510円+自由席870円)だ。在来線より料金は倍以上だが、時間は往復で1時間くらい短縮できる。時給に換算するとお釣りが出る。座れるかどうかは分からないが、喫煙室もある。最近の人は〝タイパ〟を重視されるようだから、これは魅力だ。(4年前、ナイスの『新横浜』を取材しているが、坪単価は270万円だった)
実際は340万円。予想より低かったが、欲をかかないということだろう。ラブホテルだが、新横浜北部地区まちづくり協議指針に基づきエリア一帯は「商業住宅複合ソーン」に指定されており、風俗施設などは新たに建てられない。マンション化が進むとみられる。駅南側の再開発計画も進行している。
横浜市市街地環境設計制度について。同制度は、敷地内に歩道や広場(公開空地)を設けるなど、総合的な地域貢献を図ることを条件に、建築物の高さや容積率を緩和する制度で、昭和48年に導入されてからこれまで約500件(令和4年12月現在)が認定されている。約50年で約500件だから、年間10件程度(うち共同住宅は8割くらいか)。同制度の適用を受けたマンションを何件か取材しているが、総じてレベルは高い。
モデルルーム
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山﨑氏は、同社の記念碑的マンション「レ・ジェイドつくばStation Front」と「レ・ジェイド北海道ボールパーク」の販売を担当したと語ったので、ネットで検索したら、You Tubeで山﨑氏の動画が紹介されていた。同社の販売担当で3本指に入る実績を上げたのが評価され、最年少でチーフに昇格した若手のホープのようだ。
なるほど。説明がとても丁寧で誠実さが伝わってきた。のちに紹介する「茅ヶ崎東海岸南」担当の望月洸氏も素晴らしいコメントを残した。同社は、自社のみで販売できる体制を目指すそうだ。
全戸に防災備蓄庫が設けられている(記者はこのような大きなものを初めて見た。先日は「防災」をテーマにしたポラスの分譲戸建てを見学したが、このようなニーズはあるのか)
購入者の4割が道外 日本エスコン 日ハム新球場に隣接マンション118戸完売(2022/9/21)
坪235万円でも7割近い144戸成約100㎡超58戸も人気 日本エスコン「つくば」(2021/4/24)
駅1分の利便性・資産性受けたか 県外が5割 日鉄興和「羽沢横浜国大」好調スタート(2022/6/25)
ナイス 免震「新横浜」 好調スタート 第一期35戸完売へ(2019/10/31)
「大変厳しい」会長・副会長が連発…悲観することはない 2×4協会 会見・懇親会
池田氏(都市センターホテルで)
日本ツーバイフォー建築協会(会長:池田明・三井ホーム代表取締役社長)は6月15日、2023年度定時総会を開催し、2022年度事業報告と収支決算、2023年度事業計画と収支予算を可決し、総会後に記者会見・懇親会を行った。
池田会長は懇親会で、「昨年度のツーバイフォー住宅の着工戸数は92,000戸、シェアは10.7%。全体ではシェアは低下したが、利用関係別では、持家のシェアが上昇しこれまでの最高値を更新し11.7%となった。また、施設系のツーバイフォーは年々増加傾向にあり、会員向け調査によると、昨年度の着工件数は前年度比で約1割増加した。耐震性、耐火性を始めとするツーバイフォーの優れた性能面や、環境に優しい木の建築に対するユーザーの評価が一定の成果に繋がっていると感じている。
カーボンニュートラルの実現を目指すわが国においては、最終エネルギー消費量の約3割を占める住宅・建築分野における省エネルギー化、脱炭素化に向けた取り組みの更なる強化が必要。CO2を吸収・固定化し、炭素を蓄える働きを持つ木材を構造材とし、建築時や建物利用時のCO2排出量の少ないツーバイフォー建築の供給を通じてカーボンニュートラルの実現、脱炭素社会の構築に貢献することを重要な使命と認識し、引き続き普及、発展に努めていく」と語った。
懇親会
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記者会見では、メディアから住宅着工、とくに持家の減少について質問が飛んだ。以下、その回答を紹介する。
池田会長 持家は17か月連続の前年比マイナスで大変厳しいマーケットが続いている。当社は非住宅の施設系や賃貸の受注増がかさ上げしたことにより、受注量は若干増加した。ただ、専用住宅は大変厳しく受注量は約7%減少した。内訳で見ると4,000万円以上は何とか踏ん張っているが、2,000万円台から3,000万円台のむボリュームゾーンが大きく落ち込んでいる。今後も厳しい状況が続くのではないか
副会長・細谷惣一郎氏(三菱地所ホーム代表取締役社長) 今年度に入って受注の足は鈍っている。ゴールデンウィークの住宅展示場への客足はかなり落ち込んだ。WEBなとの新たな集客手法に期待している
副会長 蓮井美津夫氏(イワクラホーム代表取締役社長/北海道支部長) 総じて厳しい。2割、3割落ちている。建売住宅は在庫の山。他の地域より厳しい
副会長・倉田俊行氏(ウイング代表取締役社長)マンション向けの出荷は増えているが、世界マーケット的には赤字を垂れ流し、生産調整に入る意向を示すところが増えている
こどもエコ住まい支援事業についても質問が飛んだ。同事業は、令和4年度補正予算で1,500億円が計上された、2050年カーボンニュートラル実現に向けた施策の一つ。ZEH住宅の新築と一定のリフォームが対象で、子育て世帯・若者夫婦が新築する場合氏は100万円/戸、住宅の省エネ、バリアフリーなどのリフォーム工事には最大45万円/戸(子育て・若者夫婦以外は30万円/戸)の補助金を給付するもの。5月現在、予算額に対して42.9%の進捗。
これに対して、細谷氏は「継続してやって頂かないと厳しい」と時限立法では効果は限定的と語った。
左から細谷氏、蓮井氏、倉田氏
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記者は、高が1割くらい受注が減ったくらいで、慌てふためくことなどないと思うが、4氏からは「厳しい」「非常に厳しい「「鈍い」「落ちている」のフレーズが連発された(経営者とはそういうものか)。肝心の苦境脱出策については、改正省エネ法やこどもエコ支援事業のほか、として新たな集客手法としてWebに期待する声が聞かれた。
記者はもちろんカーボンニュートラル実現は喫緊の課題であり、ZEH住宅などに対する支援は欠かせないと考えているが、前途は厳しいとみている。
注文住宅は大手ハウスメーカーを中心に進んではいるが、分譲戸建て、共同住宅は遅々として進んでいない。年間約4万戸を販売する分譲戸建て最大手の飯田グループHDの2023年3月期の平均価格は土地代を含めて約3,000万円だ。100万円の補助金を受けても、その倍以上のコストをどうするのか。コスト増を吸収する余力はないはずで、価格にオンしたら売れるのか。極めて難しい問題だ。悲観的にならざるを得ない。
まあ、しかし、「大変厳しい」とか「落ちている」というのは2~3年前の数値と比較するからそうなるのであって、現在の市況が〝当たり前〟だと考えれば、そんなに悲観することはないと思うがどうだろう。いまが「ゼロ=スタート」だ。「木の時代」の追い風もあるではないか。経営者のかじ取りが試される。
左から三菱地所執行役常務・加藤博文氏、細谷氏(「木質化に向けた先行投資をかなり行った。今後5年間が勝負の年。全館空調の外販を進め、三菱地所レジデンスの物件への搭載を増やす」加藤氏)
左が理事の新昭和取締役・神﨑智氏(右の方は同社の方だが、名刺交換を忘れたのでどなたか分からない)お二人は「(今後のパワービルダーは)お互い首を絞めることになる可能性もある」と話した。同社の2022年3月期決算は売上高457億円で、粗利益率は23.1%と高い。
左から倉田氏、カナダ林産業審議会 市場開発部本部長・ケビン j・ビューズ氏、加藤氏(ケビンj・ビューズ氏の奥さんは日本人とか。懇親会の冒頭、来賓のカナダ大使館の方は、100年前の関東大震災で被害を受けたわが国に木材を供給したのが貿易の始まりと語った)
住宅選好の変化捉えた「ラナイ」の提案がいい 三井ホーム「IZM(イズム)」モデル (2023/6/8)
「持家は回復途上 建売りへの参入・拡大も可能に」堀内会長 プレ協が総会・会見(2023/6/1)
コロナで減った住宅選好の幅 オーダー志向層を蚕食する〝建売り御三家〟(2023/5/28)
容積余し、緑地率30%確保など市の規制クリア リスト「センター南」第1期好調
「リストレジデンスセンター南パークサイドテラス」
リストグループのリストデベロップメントが6月18日に抽選分譲する「リストレジデンスセンター南パークサイドテラス」のモデルルームを見学した。
物件は、横浜市営地下鉄ブルーライン・グリーンライン「センター南」駅から徒歩12分、横浜市都筑区荏田東2丁目の第2種中高層住居専用地域(建ぺい率60%、容積率150%)に位置する5階建て全64戸。第1期(20戸)の専有面積は66.40~85.35㎡、価格は6,090万~8,790万円、坪単価は329万円。抽選日は2023年6月18日(日)。竣工予定は2024年7月下旬。設計・監理はアーキタンツ一級建築士事務所。施工は大勝。
敷地は日立の研修所跡地。市の港北ニュータウン街づくり協議指針では、大学、研究所などの「核的施設用地」の敷地は緑地率30%以上、既存樹の保護、敷地内の無電柱化、外壁はアースカラーなどの規制があるが、同社は市と協議し、容積率を約120%に抑え、緑地率を30%確保し、敷地内の樹木の維持・管理を行うこと、外観はアースカラーとすることなどで、用途変更をせずに集合住宅の建築を可能にした。敷地西側は緑道「ささぶねのみち」、敷地東側と北側は第一種低層住居専用地域。
建物は東・南・西の3棟構成で、住戸プランはファミリー向け70㎡台中。主な基本性能・設備仕様は、直床、リビング天井高2500ミリ、食洗機、Low-Eガラス、スロップシンク、良水工房、ガス乾燥機「乾太くん」、物干しポール、トランクルーム、ウォールドア、浴室タオル掛け2か所など。管理方式も、従来の理事会方式でなく第三者管理方式を採用。役員にならなくて済むことから共働き世代や若い世代に好評のようだ。
反響は約500件、4月29日オープンしたモデルルーム来場者は150組、6月10日から登録申し込みを受け付けた第1期(20戸)は15日現在、都筑区居住者を中心に15戸に申し込みが入っている。
同社販売チーフ 岩島誠氏は「既存樹と緑道に面した西側住戸には複数の申し込みが入っており、抽選になる可能性があります。南側住戸も建物をセットバックさせ、前建とは20mくらい隔たっていますので、まんべんなく登録が入っています」と語った。
モデルルーム
バルコニー
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坪単価は予想通り。2年前、「センター北駅」から徒歩2分の積水ハウスの物件は坪334万円だったので、その後の市況の変化、駅からの距離などを考えて坪単価は330~340万円くらいだと予想した。
強気な価格設定も可能だろうが、同社は竣工完売を目指すため抑制したようだ。設備仕様レベルも水準以上。
ガス乾燥機「乾太くん」
リスト 人気の「センター南」販売チーフ・岩島 減量に成功「体調は万全」(2023/6/16)
積水ハウス 同社の首都圏初のZEH「センター北」好調スタート/20年間の記事も再録(2021/2/3)
可視化難しい「防災」「コミュニティ」「環境」に挑戦 ポラス「東武動物公園」
「ディスカバリープロジェクト東武動物公園 コネクト・コミュニティ」
ポラスグループのポラスタウン開発は6月14日、「防災」「環境」「自助」「共助」「コミュニティ」「環境」をテーマにした分譲戸建て「ディスカバリープロジェクト東武動物公園 コネクト・コミュニティ」の記者見学会を行った。個別住宅のほか外構など区画割り、共用部に様々な工夫を凝らした〝意欲作〟だ。
物件は、東武スカイツリーライン・東武日光線東武動物公園駅から徒歩10分、埼玉郡宮代町百間1丁目の第一種住居地域(建ぺい率60%、容積率200%)に位置する全37戸。現在分譲中の1期(7戸)の土地面積は120.01~128.77㎡、建物面積は96.98~106.77㎡、価格は3,230万~4,180万円。建物は木造2階建て(在来工法)。設計はポラスタウン開発、施工はポラテック。2023年2月に完成済み。3月10日から分譲を開始し、これまで3棟を成約済み。
街づくりでは、東京・横浜を中心に防災に関する様々な事業を展開しているNPO法人日本防災環境と、ガーデンエクステリアなどの外構事業を手掛るユニソンの意見を企画段階から取り入れているのが特徴。
身の回りにあるモノを、日常時だけではなく非日常時にも役立てる「フェーズフリー」の考え方に基づき、災害時には公園が防災拠点になるようかまどベンチ、ソーラー付きLED街路灯、東屋、井戸、AED、収納ベンチを設置。
住居内には在宅避難を想定した防災グッズの分散収納、保安灯、家具やテレビを固定するための下地、雨水タンク、感電ブレーカー、ポータブル電源、ポタジェ、ウッドデッキなどを施している。
また、ソフト面では、「共助」「コミュニティ」の醸成を促すよう区画割りに工夫を凝らし、管理組合も組織化し様々なイベントなどを行っていく。
住宅のプランは、「ファミリー」「ペット」「Dinks & Active Senior」の3つを提案している。
見学会に臨んだ同社埼玉中央事業所部長・板倉秀樹氏は「当社は年間300戸弱を販売しているポラスグループ。『環境』『防災』『コミュニティ』をテーマにした当社初の物件。専門家と試行錯誤しながら作り上げた自信作でもある。使命として今後も展開していく」と話した。
このほか、企画・設計担当の同社埼玉中央事業所設計課係長・内田里絵氏は「管理組合を設け、防災時に共助、自助が機能するよう企画した」、日本防災環境事務局長・加藤愛梨氏は「住宅は初の取り組みだが、この地の歴史、環境アセスなどあらゆる観点から調査し、安心・安全の仕様に仕上げた」、ユニソン広報企画部部長代理・鷲津智也氏は「外構に様々な仕掛け、イベントをすることで、顔が見える、万が一の助け合いができる環境づくりを進めたい」とそれぞれ語った。
左から市川氏、内田氏、板倉氏、鷲津氏、加藤氏
モデルハウス(ペット)
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宮代町の分譲戸建ては、バブル前に大規模分譲地を取材したことがあるが、東武動物公園駅に降り立ったのは初めてだった。同社によると、いわゆるパワービルダーの分譲戸建ては2,000万円台で分譲されているということだった。マンションなら土地代がただでも坪単価は170万円以上、20坪で3,400万円の地域で、そんなに安い戸建てが分譲されているのに複雑な気持ちがした。
同社の物件は3,000万~4,000万円台だから、相場からして高いのだろうが、基本性能・設備仕様レベルは、これまで見学・取材した同社グループの戸建てと比較してそん色ない。
1階のリビング天井高は2700ミリ、挽き板フローリング、床暖房、食洗機、転倒防止の下地処理、ポタジェ、雨水タンク…4,000円もする消火器も1基プレゼントするというではないか。そればかりではない。階段のステップは15段、開き戸・引き戸は全てソフトクローズ機能付き。隣に古利根川が流れる現地の浸水ハザードマップは0.5mで、過去30年間被害は出ていないようだが、敷地のかさ上げを行っている。
共有地「モミの木公園」にはかまどベンチ、井戸ポンプ。ソーラーライト2基、収納ベンチ、AED、リードフック、クリスマスツリー用のモミノキも設けている。
不思議に思ったのは売れ行きだった。青田売りでもよく売れている同社グループの物件なのに、3月から分譲を開始して3戸成約はいかにも少ない。販売担当の同社埼玉中央事業所営業課主任・市川絢悟氏は「当社商圏のぎりぎりの立地で、当社の認知度は低い。根気強く販売していきたい」と語り、他の関係者も「防災」は販売促進になかなかつながらないと話した。
小生もそう思う。「環境」「防災」「コミュニティ」はとても大事なことではあるが、これらを全面に打ち出しアピールしても消費者の心をつかむのは容易でないことをこれまでの取材でいやというほど経験してきた。言葉は悪いが〝のど元過ぎれば熱さ忘れる〟(〝羮に懲りて膾を吹く〟も困ったものだが、これが悲しい人間の性)。「環境」「防災」「コミュニティ」-これらを価格に換算したらいくらになるか。はじき出せる人は一人もいない。小生はこれらを付加価値として商品に反映させて消費者に納得させられるのは価格のせいぜい1%だと思う。
市川氏が語ったように粘り強く売るほかない。(小生が販売担当だったら、エリアの戸建てを徹底して調べて、天井高2.7m、挽き板フローリング、ソフトクローズ開き戸、Low-Eガラス…などを標準装備している物件は他にないことを証明し、隣に流れる古利根川の環境も含めてアピールするし、かまどベンチは日常的に芋煮会などに利用できるようにし、焚火もOKにする)
物の序で。記者は現地まで約2時間、往復で4時間。東京-名古屋と一緒だ。見学会では、いつものように必死でメモを取った。何を見るか、誰が何を話すかを記録し、記事にするのが記者のイロハだからだ。
ところが、報道陣は10名ちょっと。中にはメモなど取らず聞くだけの人、眠っている人(目をつぶっているだけだろうが)もいた。今回に限らずいつもの風景だ。メモを取らない記者は記者じゃない。単なるリライターだ。
記者はむしろこの方たちに「あなたたちは何者だ」と質問したかったが、沈黙に徹した。物言えば唇寒し利根の川風…(ヨシキリの、声が冷たく身を責める、これが浮世か、見てはいけない…三波春夫「大利根無情」)。
この日(14日)のもう一つの収穫は、外構担当の同社埼玉中央事業所設計課・清水博子氏からドクダミには〝八重咲き〟もあると教わったことだ。
そして本日(16日)、「コスパ」「タイパ」「せんべろ」「設楽りさ子」を学んだ。西武は6連敗。62試合にして10度目の完封負け。交流戦最下位確定か。「公助」も「共助」も期待できず、「自助」努力で浮上するしかない。
ソーラー充電器
モデルハウス(ファミリー)
モデルハウス(Dinks & Active Senior)
モデルハウス(ペット)
そばを流れる古利根川(左側が物件)
星の数より件数 2年後の適正管理評価1万件目指す マンション管理協 総会・懇親会
高松氏(第一ホテル東京で)
マンション管理業協会(理事長:高松茂・三井不動産レジデンシャルサービス取締役会長)は6月13日、第44回定時総会後に懇親会を開催し、総会で令和4年度の事業報告・決算を承認し、総会後の理事会で新たに3名の副理事長を選任したと発表した。懇親会には300名弱が参加した。
懇親会の冒頭、高松理事長は、昨年度1年間を振り返り、エポックメーキングとしてマンション管理適正評価制度がスタートしたことを紹介し、今年度からスタートする「中期事業計画2023-2025」では、マンション管理業の社会的役割として①適正管理の重要性を広く社会へ浸透させていく②管理組合に適正な業務を提供するための労働環境改善と管理会社内での人材確保・育成③円滑な計画的修繕の推進④区分所有者の高齢化や複雑化する管理組合運営に資するための施策-の4つを挙げた。
そのための具体的な3つの基本施策として①マンション管理適正評価制度の社会的定着②マンション管理業界の働き方改革とDX推進③管理組合運営円滑化のための提言推進を掲げたとし、管理適正評価制度では令和6年度末で協会が受託している102,569組合の約1割、10,000組合超の登録を目指すと語った。
マンション管理業界の信頼構築のためには、働き方改革やカスタマーハラスメントへの対応、DX推進、予定されている区分所有法改正への臨機応変の対応、書面の電子化などDX推進、居住者&建物の2つの老い、管理業務の範囲の明確化などが重要とし、「『中期事業計画2023-2025』で示した山積する諸課題の解決へ向けた取り組みを精力的に推し進め、良好な社会資産としてマンションストックの形成に寄与していく」と語った。
新しい副理事長に就任したのは鉃谷守男氏(近鉄住宅管理代表取締役社長)、谷信弘氏(長谷工コミュニティ代表取締役会長兼社長)、大井田篤彦氏(三菱地所コミュニティ代表取締役社長執行役員)。
小佐野氏
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各氏の挨拶の時間を測った。高松理事長は約8分、来賓の国土交通大臣・斉藤鉄夫氏は約5分、自民党マンション対策議員連盟事務局長・本田太郎氏(山本有二会長の代読)は約3分、公明党マンション問題議員懇話会会長・大口善徳氏(井上義久副代表から交代されたようだ)は約6分、そしてもっとも会場が盛り上がったのは乾杯の音頭を取った副理事長・小佐野台氏(日本ハウズイング代表取締役社長CEO)の約2分だった。
小佐野氏は「一言だけ皆さんにお願いしたい。2年後のマンション適正管理評価件数を1万戸にするには、会員354社の管理件数の1割で達成できます。ちょうど1割、たった1割(爆笑、拍手喝采)で達成できます」と呼び掛けた。「たった1割」「ちょうど1割」を4度連発したように、登録件数1万件は同協会の大きな目標の一つだ。
同制度は、★の数(最大は★5つ、最小はゼロの6段階)で管理状況を可視化するもので、記者は同協会のサイトから3月31日現在の★5つの232件を管理会社別に見て記事化した。トップは伊藤忠アーバンコミュニティ(UC)の43件で、2位は三井不動産レジデンシャルサービスの35件、3位は野村不動産パートナーズの33件だった。(協会は各社の登録件数を把握しているが、公表はしていない)
絶好の機会を逃してなるかと、協会理事でもある伊藤忠アーバンコミュニティ代表取締役社長・深城浩二氏にトップの座の座り心地について聞いた。深城社長は「星の数が多いことのみが高い評価を得ているとは考えていない。星が2つでも3つでも進んで登録しようとする管理組合を増やすようにしなければならない。そこに価値がある。当社のスタッフもそのために頑張っている」と話した。
呵々大笑すると思いきや、意に反する答えが返ってきた。考えてみればその通りだ。小生のように星の数で管理会社を測ろうとするのは間違いではないにしろ、制度の目的から外れている。星が2つでも3つでも、増やそうとする取り組みのほうが大事かもしれない。小佐野氏が「たった1割」と強調したのは、〝優等生〟だけが登録されることの危険性を指摘したものだと受け止めた。
だが、しかし、「たった1割」の道のりは平たんではないようだ。小佐野氏は「1万戸達成のカギを握るのは、市場の約5割を占める大手管理会社10社の取り組みで、『マンションみらいネット』にしてはいけない」と語った。同社の登録件数は現在、9,000組合のうち4%の約380件で、年々5%ずつ増やせば1割に達すると自信を見せた。(1万件の★の分布が興味深い。★の数が多いマンションが適正に評価されるのは当然だが、★の数が少ない物件が登録されなければ、市場を反映したものとはならない。各社には登録件数と全管理件数に占める割合を自主的に公表してほしい)
深城氏
「当社の管理棟数は業界トップの約18,000棟」副理事長・雜賀克英氏(東急コミュニティー 特別顧問)
副理事長に就任した三菱地所コミュニティ代表取締役社長執行役員・大井田篤彦氏(左)と前社長の駒田久氏(同社顧問)
副理事長に就任した 近鉄住宅管理代表取締役社長・鉃谷守男氏
副理事長に就任した長谷工コミュニティ 代表取締役会長兼社長・ 谷信弘氏
懇親会場
日本建築の伝統技と最先端技術を融合 菊池建設「那由他(なゆた)」受注開始
「那由他(なゆた)」
ナイスグループの菊池建設は6月9日、京町家などの伝統的な日本建築のデザインを踏襲しつつ、ZEH仕様の注文住宅新商品「那由他(なゆた)」を開発し、首都圏と静岡県の1都4県で本格的な受注を開始したと発表した。
従来商品「檜の家」と同様、土台や柱だけでなく羽柄材にも檜を用い、横架材である梁・桁は杉と唐松を採用するなど国産材使用率100%。町家の通り土間を想起させる、玄関から続く土間空間、古民家の雰囲気を醸す、ろくろ丸太の通し柱を配置した吹き抜け空間、段差を生かし、調理する人と食事をする人が一体となる食空間「和厨」などを提案。また、断熱等性能等級の最上位等級である等級7を確保しているほか、太陽光発電システムをはじめ、省エネ・創エネ設備の導入によりZEHを可能にし、伝統と最先端技術とを融合した快適な現代の「和」の住まいを実現する。
52.5坪の場合、税別の建物本体価格は 7,090万円(坪単価135万円)。
土間空間
吹抜け空間
「和厨」
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昨日は、文豪・志賀直哉の居宅跡地を見学した。床板にアオギリ、柱にサルスベリ、縁側の板には船材と同じ木、壁は杉皮貼り、天井は網代組…。
菊池建設といえば、歩くと床が鳴く「鴬張り」、値段が付けられない「神代欅」のモデルハウスが忘れなれない。「現代数寄屋『檜の家』」も見学している。今回の商品は坪単価135万円。安くはないが、高くもないような気がする。木が好きな人はたくさんいるはず。
同社の松本敏社長、取締役営業本部本部長・二瓶正裕氏には絶滅危惧種にならないうちに「和風住宅の伝道師」になっていただきたい。一級建築士の肩書を持つ上場会社・グループの社長・役員はどれほどいるのか。
世界3代デザイン賞の一つ「iF デザインアワード」受賞 ポラス「我孫子」/志賀直哉
ifロゴ入り「リーズン我孫子 綴(つづり)のまち」
ポラスグループの中央住宅は6月8日、世界3大デザイン賞の一つ「iF デザインアワード2023」(iF)の建築分野(住宅建築カテゴリー)で受賞した分譲戸建て「リーズン我孫子 綴(つづり)のまち」(全4棟)の街並みをメディアに公開した。iFを受賞するのはポラスグループもわが国の戸建て分譲も初の受賞。高いデザイン性(商品企画)が評価された。
「iF デザインアワード(iF DESIGN AWARD)」は、1953年にドイツ・ハノーファーで誕生した世界で最も歴史の長いデザインアワードで、IDEA賞(アメリカ)、レッドドット・デザイン賞(ドイツ)と並び「世界3大デザイン賞」と呼ばれている。世界60か国から1万点を超える応募があり、iFロゴは優れたデザインの証として世界で広く認知されている。
今年は1万件超の応募があり、約3,500件、うち建築分野では59件が受賞(わが国は27件)。住宅分野では、同社グループのほか永山祐子+永山祐子建築設計が受賞。昨年は隈研吾氏が受賞している。
「リーズン我孫子 綴(つづり)のまち」は、JR我孫子駅から徒歩13分、千葉県我孫子市緑二丁目に位置する総開発面積約671㎡の全4戸。敷地面積140.31~196.90㎡、建物面積96.26~106.81㎡、価格は4,480万~4,980万円。販売開始は2021年7月で、同年10月に完売。竣工は2022年1月。地役権は、幅員6.1mの公道に面している1号棟は1.2㎡、敷地延長部分の2号棟は40.69㎡、3号棟は54.47㎡、4号棟は50.98㎡の合計147.34㎡。
受賞した同社戸建分譲設計本部設計一部営業企画設計課参事・山下隆史氏、設計監理課主任・安川晃生氏、営業企画設計課係長・山﨑正吾氏はプレス・リリースで「我孫子市手賀沼周辺は、かつて『北の鎌倉』とも呼ばれる風光明媚な土地で、志賀直哉や武者小路実篤など数多くの文人が別荘を構えていました。この土地を取得した時、私たちが考えたのは、豊かな景観と文化性に富んだ土地の記憶を蘇らせ、この場所ならではの地域文化との関係に配慮した分譲地ができないかということです。区割りは、開発道路を囲んだ従来の区割りではなく、地役権を設定したうえで路地状部分の敷地を中央に集め、幅6mのコモン(庭小路)を創出しました。庭小路は、単なる車道ではなく住まい手の憩いの場所となる緑道空間であり、それを楽しむための縁側テラス・庭も設計し、それらが連なることで統一された我孫子の景観と一体となり、新しい風景を創り出しました」と語っている。
山下氏は「以前から応募したいと思っていました。自信作ではありましたが、初の応募で受賞するとは思っていませんでした。Ifは差別性、デザイン性、影響力、アイデア、機能性の5角形のチャートで評価が数値化され、受賞・落選の理由が分かりやすくなっています。わが国のグッドデザイン賞のようなブラックボックスではないのがいい」と語った。
ifロゴ入り「リーズン我孫子 綴(つづり)のまち」
敷地境界を示す境界杭
山下氏(左)と山崎氏
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地役権を設定した分譲戸建てを同社グループはかなり供給している。先月見学した「NOEN KASHIWA SAKASAI-ノエン柏 逆井-」は素晴らしく、記者は「わが国の○○賞を総なめにする」と書いたほどだ。
建築基準法第43条「建築物の敷地は、道路に2m以上接しなければならない」規定に適合させるためのコモンは珍しいことではないが、今回の「我孫子」のようにわずか4戸の規模で、公道に面していない3戸を接道させるため幅2m×3戸=6m×奥行き24.5m=約147㎡の公開空地が確保されているのに驚いた。地型など敷地条件に問題のある土地でも宅地化を可能にし、付加価値を創出できることを証明したといえる。
山下氏が語ったわが国の「賞はブラックボックス」は改めないといけないと思う。ウッドデザイン協会は、今年度から落選作品についてもその理由を知らせ、プレゼンなどについてアドバイスするという。また、キッズデザイン協議会は昨年からifと連携することを決定している。
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現地の裏山、徒歩で2分くらいのところに、「小説の神様」と称された文豪・志賀直哉が大正4~13年(1915~1924)に住み、「城の崎にて」「小僧の神様」「暗夜行路」などを著した居宅跡地があるというので見学した。
道路幅員4mくらい、どこにでもある住宅街の一角にそれはあった。敷地面積は約3,700㎡(当時は約5,000㎡)、今は公園として公開されている。
入口にはクスノキ、イチョウの巨木があり、敷地全体は樹齢100年超の樹木で覆われていた。道路から1~2m上がったところに母屋があったことを示す案内があり、端っこに書斎・茶室として使われた「離れ」が移築されていた。
自らが設計し、地元の宮大工が建てたのだそうだ。大きさは6畳間のほかにトイレなどもあるので4坪くらいか。屋根や壁は杉皮葺き・貼り、柱はサルスベリ、垂木は虫食いの杉材、床柱はアオギリ(河東碧梧桐はこれから俳号をとったのか)、天井は舟形の網代組…志賀直哉は相当の風流人だったようだ。
母屋の正面に名前の知らない年寄りのように幹が曲がった大木があった。丁度、地元の「長寿大学」の講師で我孫子市史研究センター副会長・荒井茂男氏が大勢の受講者を相手に説明されていたので聞いた。樹木は「エノキ」だそうで、志賀直哉はよく登ったのだそうだ。(登ったから腰が曲がったのではないだろう)。
グリコのように2度おいしい取材ができた。
志賀直哉が書斎・茶室として利用した「離れ」
6畳間(床柱はアオギリ)
虫食いの杉の垂木とこだわりのサルスベリの柱(と呼ぶのか、単なる意匠か)
杉皮貼の壁
志賀直哉が登ったエノキの巨木
志賀直哉居宅跡地を観察する「長寿大学」の皆さん
初めて見た30%・50%×200㎡の分譲戸建て まるで別荘 ポラス「柏 逆井」(2023/5/2)
一石三鳥、四鳥 ビルトインガレージ採用 狭小地の課題解消 ポラス「BASE88」(2022/11/19)
日本一の街」完成祝う 中央住宅・高砂建設・アキュラ「浦和美園E-フォレスト」(2022/4/17)
邸宅跡地の樹齢100年 モミジの借景取り込む 歴史を紡ぐ企画奏功 ポラス「光が丘」(2020/12/4)
住宅選好の変化捉えた「ラナイ」の提案がいい 三井ホーム「IZM(イズム)」モデル
「IZM(イズム)」モデルハウス
三井ホームは6月7日、35歳~45歳の子育て世代をメインターゲットにした新商品「IZM(イズム)」のモデルハウスを「レジデンスサイト横浜町田」内にオープンしたのに伴うメディア向け見学会を行った。住宅の内と外を緩やかにつなぐ半戸外空間「ラナイ」の提案や、内外観に木をふんだんに用いた仕様、白を基調にしたアースカラーのデザインが素晴らしい。
「IZM(イズム)」は、コロナ禍による消費者の住宅選好の変化に対応する新商品で、〝仕事も遊びも自分らしく〟をテーマに昨年4月に販売開始。シャープな切妻屋根の「ウィングルーフ」、外からの視線をさえぎる「プライバシーウォール」、建物の家と外を緩やかにつなげる半戸外空間「ラナイ」、信楽焼のオリジナルタイル壁「モダンブリック」などを装備し、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)基準を満たし、住宅性能表示制度の最高等級「断熱等性能等級5」「一次エネルギー消費量等級6」に標準対応しているのが特徴。
モデルハウスは4月29日オープン。3月26日に大阪箕面にオープンしたのに続く2棟目。敷地面積約241.92㎡(73.18坪)、建築面積約144.84㎡(43.81坪)、2階建て延床面積約187.64㎡(56.76坪)。価格は100万円/坪からで、提案段階では120万円/坪~150万円/坪が中心。
昨年4月から今年3月末までの受注棟数は127棟で、50坪以上が33%、エリアは首都圏中心の関東が65%、関西が20%。顧客の年代は45歳以下が54%。
1階LDK
軒裏のレッドシダー
「ダイニングラナイ」
塚八幡宮の神木「ヒマラヤスギ」を採用したダイニングテーブル
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見学会会場で配布された、マクロミル会員を対象にしたインターネット調査結果に注目した(有効回答1,317名)。調査は商品企画段階の2021年10月に実施されたもので、メインターゲット(以下、ターゲット層)の35歳~45歳の子育て世代が「環境問題や社会問題に配慮した商品を購入したい」という意向を示したのは75.8%(もっとも低いのは50~59歳の63.7%)、所有希望を含めた車所有が83.3%(同30~34歳の77.5%)、バーベキューが日常化しているのは44.7%(同50~59歳の27.1%)、多様な働き方が日常となっているのは75.8%(同50~59歳の52.9%)などの数値はなんとなく理解できる。
家族で楽しめる中庭のニーズは26.9%で、「眺める庭」11.5%、「広めのバルコニー」15.2%、「屋外空間」10.6%、「庭は必要ない」8.6%などの回答は時代の変化か。
驚いたのは、戸建てを購入すると想定した場合に購入したいデザインは「エレガント」「オーセンティック」「シンプル&スクエア」「ウッディ」のうちどれかという問いに対し、ターゲット層の52.8%は「シンプル&スクエア」を選んだことだ。他の年代の30%近くは「エレガント」+「オーセンティック」を選択したのに、ターゲット層は「エレガント」の9.4%、「オーセンティック」の11.3%を合わせ20.7%しかない。
これをどのように解すべきか。小生などは三井ホームといえば「エレガント」+「オーセンティック」=吉永小百合さんで、「シンプル&スクエア」はパワービルダーの分譲戸建てしか思い描けないのだが、同社はコロナによる消費者の住宅選好の変化を取り込み、新たな顧客層の開拓に成功したとも受け止められる。
とはいえ、前段の受注状況からして、「シンプル&スクエア」=低価格とみるのは早計だ。同業の記者の方が「ターゲットは富裕層が中心か」と質問したように、富裕層のニーズに十分応えられるものであり、ターゲット層のアッパーミドル、今風に言えばパワーカップルの潜在的なニーズを掘り起こし、受注単価増につなげた結果だと思う。
「リフレッシュスタジオ」(天井には熊野ヒノキの木製ピーリング)
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モデルハウスの「ダイニングラナイ」「オープンラナイ」「ガレージラナイ」などの容積不参入の「ラナイ」の提案が文句なしにいい。受注した127棟のうち50坪以上が33%で、同社の他の商品の受注棟数のうち50坪以上は22%であることからも「ラナイ」の提案がヒットしたことをうかがわせる。
それと木の多用。1階の軒裏はレッドシダー、長さ約4m×幅約1mのダイニングテーブルは、2019年の台風19号で倒れた平塚八幡宮の神木「ヒマラヤスギ」、2階の「リフレッシュスタジオ」には、高級材とされているわが故郷・三重県の熊野産材のヒノキの木製ピーリングがそれぞれ採用されている。
皆さんは熊野ヒノキをご存じか。年輪が密で強度が高いのが特徴で、急峻な山、土壌・地質、密植とも深い関係があるという。
多雨地域で気候が温暖なことから木はよく育つと考えがちだが、肌理細やかで強かな建材にするには適度なストレスを与えることが必要だそうだ。(人間も同様だ)
手前が2階の「リフレッシュスタジオ」、その奥がフラット床の裏ッと床の「スカイラナイ」
左の壁が「プライバシーウォール」
1住専の敷地約9ha 最大級シニア向け 野村不「オウカス世田谷仙川」186戸開業
「オウカス世田谷仙川」
野村不動産と野村不動産ウェルネスは6月6日、健康増進型・賃貸シニア向けマンションシリーズ「OUKAS(オウカス)」の第6弾で、同社最大級の「オウカス世田谷仙川」(全186戸)を2023年8月20日に開業すると発表した。
「オウカス世田谷仙川」は、1954年に開園した第一生命保険の福利厚生施設・第一生命グラウンドなどで構成される敷地約9ha内に立地。健康増進、高齢者支援、地域活性化、子ども・教育、スポーツ振興、安全・防災、環境配慮など地域住民のクオリティ・オブ・ライフ(QOL)向上を目指す、第一生命保険、丸紅都市開発、相互住宅、NTT都市開発、野村不動産の5社共創まちづくりプロジェクト「SETAGAYA Qs-GARDEN」の一つ。
物件は、京王線仙川駅から徒歩14分、千歳烏山駅から徒歩15分、世田谷区給田1丁目の第一種低層住居専用地域に位置する敷地面積約9,064㎡、4階建て延床面積約11,521㎡186戸。専用面積は20~21㎡(3戸)、25~35㎡(62戸)、36~60㎡(121戸)。開業は2023年8月20日。事業主は野村不動産、運営は野村不動産ウェルネス。基本設計・デザイン監修は日建ハウジングシステム、実施設計・施工は熊谷組。テナントは看護小規模多機能型事業所(やさしい手)。
共用部にはダイニング、ゲストダイニング、大浴場(人工温泉)、フィットネススタジオ、コミュニティカフェ、ゲストルーム、カラオケ&シアタールーム、ライブラリー&ラウンジ、コンシェルジュデスク、美容室などを備える。