CO2排出量収支200%削減を目指す賃貸住宅の実証実験開始 大和ハウスなど
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大和ハウス工業と大和リビングは9月5日、エネルギー事業を展開するサンワ(本社:群馬県前橋市)とともに、雨天時でも約10日間の停電に対応可能な、ネット・カーボンマイナス賃貸住宅の実用化に向けた実証実験を「(仮称)エコンフォート前橋駒形」で開始すると発表した。一般的な賃貸住宅と比較してCO2排出量収支200%削減を目指す。実証実験は2023年12月27日から2025年12月26日までの2年間。
実証実験では「全天候型3電池連携システム」と「カーボンニュートラルLPガス」を採用。前者は、太陽光発電システムとエネファーム、家庭用リチウムイオン蓄電池を大和ハウス工業が開発した「切換盤」で連携させることで、停電時の電力と給湯を確保するとともに、通常時の光熱費を削減するシステム。
後者は、原料採取から最終利用までの全ての過程で排出されるCO2を植林や森林管理などによる環境保全活動などにより差し引き、実質「ゼロ」とみなすことができるプロパンガス。
双方を採用することで、通常時はエネファームで発電した電力に加え、昼間は太陽光発電システムで発電した電力を家庭内で使用することができ、停電時には、家庭用リチウムイオン蓄電池が非常用電源として生活に必要な電力を供給し、雨天でも約10日間の電力と給湯を確保する。
「(仮称)エコンフォート前橋駒形」は、群馬県前橋市駒形町に位置する軽量鉄骨造・地上2 階建て2棟16戸で、総延床面積は935.78㎡。専用面積は52.51~64.46㎡。事業主はサンワ。設計・施工は大和ハウス工業。着工は2023年7月14日、竣工予定は2023年12月6日。全戸「ZEH」仕様、かつ住棟単位で「ZEH-M」の基準を満たし、「BELS」による第三者認証を取得している。
三井不 1,000億円のグリーンボンド発行 サステナブルファイナンス累計7,000億円超
「日本橋室町三井タワー」(左)と「日本橋三井タワー」
三井不動産は9月6日、「日本橋室町三井タワー」と「日本橋三井タワー」の2物件に係るリファイナンスを資金使途とする総額1,000億円のグリーンボンドを発行すると発表した。
グリーンボンド発行は、2023年6月の「東京ミッドタウン八重洲 八重洲セントラルタワー」、「Otemachi One タワー」、「日本橋室町三井タワー」に続く5回目となり、グリーンボンドを含むサステナブルファイナンスの累計額は7,000億円超となり、国内不動産会社として最大規模となる。
三井不動産グループ初 木造4階建てカーボンゼロの賃貸「北千束MOCXION」完成
「パークアクシス北千束MOCXION」
三井不動産レジデンシャルと三井ホームは9月5日、同社グループ初の木造4階建てカーボンゼロ賃貸マンション「パークアクシス北千束MOCXION」が竣工したことに伴う記者見学会を行った。「木」を構造材に用いることで、鉄筋コンクリート(RC)造と比較して建築時のCO2排出量を約50%削減し、再生可能エネルギーの一括受電とオール電化によりCO2排出量を実質ゼロにする。
「北千束」は、三井不動産レジデンシャルが事業主で、設計・施工を担当した三井ホームの木造「MOCXION」技術により、全フロアの構造部材に木を採用し、RCと同様の高気密・高断熱を実現した。共用部の一部には三井不動産グループの保有林から採取した木材を使用している。三井不動産レジデンシャルリースが運営する。
再生可能エネルギーの一括受電×オール電化と「太陽光パネル」の設置によりCO2排出量実質ゼロと創エネを実現。「LEED®認証」のほかBELS に基づく評価「ZEH-M Ready」を取得。国土交通省「優良木造建築物等整備推進事業」にも採択されている。
物件は、東急大井町線北千束駅から徒歩4分、大田区北千束二丁目の第一種中高層住居専用地域(建ぺい率40%、容積率200%)に位置する木造(枠組壁工法)4階建て33戸。専用面積は28.12~54.95㎡。家賃は129,000円~313,000円。平均坪賃料は1.7万円。竣工は2023年8月31日。事業主は三井不動産レジデンシャル。設計・施工は三井ホーム。
耐火・断熱・遮音性能を高めるため界壁厚380ミリ、界床厚490ミリ確保しており、RC造以上の厚さとなっているのが課題のようだ。(柱・梁型はでないが)
見学会では、遮音性能LH55、LL45をクリアしている界床の性能を確認できるよう、実験装置を使って、子どもがバタバタと飛び跳ねる音と同じくらいの音を上階でたて、下階ではどのように聞こえるか体験できるコーナーが設けられていた。記者はまったく聞こえなかった(他の若い記者の方はかすかに聞こえているとのことだった)。
賃料設定は、近隣相場より1割増の坪賃料1.7万円。募集を開始したばかりだが、3戸に申し込みが入っている。
「MOCXION INAGI(モクシオン稲城)」で行っている全館空調の実証実験のデータは収集しているが、実用化にはまだ時間がかかることを明らかにした。
木調バルコニー、ルーバーデザインを施した外観
木調庇デザイン
本物のカバザクラを採用した共用部分の天井
〝三井の森〟から採取した木片を共用部分の壁に採用
◇ ◆ ◇
記者は、わが国で一番美しい女性は吉永小百合さんで、もっとも美しい木造住宅を建てるのは三井ホームだと信じて疑わないのだが、同社の「MOCXION INAGI(モクシオン稲城)」を取材したとき、同社技術研究所研究開発グループマネージャー・小松弘昭氏が「現しにしないといけないというのは木造コンプレックスの裏返し。木の性能、コストなど科学的・合理的なことのほうが大事」と言い放ったアフォリズムがその後ずっと頭の片隅に棲みつき、ことあるごとに〝お前はまだその呪縛から解き放たれないのか〟という叱声がよみがえり、責め苦となっている。
今回も現しを期待はしていなかったが、やはり外観も内観もボードやらクロスなどケミカル製品にほとんどが覆われ、鉄やコンクリ造となんら変わらなかった。歌舞伎の女形は理解できるのだが、赤子の柔肌のように美しい木をなぜ覆い隠すのかさっぱり分からない。
気になったのは、にもかかわらず、プレス・リリース、説明資料にはCO2削減など木造が果たす経済的価値だけでなく、「1階の風除室からエントランスホール、共用部ラウンジの天井には、天然木である赤樺の仕上」「木調庇」「木目のバルコニースラブと縦ルーバーを外観デザインの軸として、『木』を強調するデザイン」「『木』ならではの安らぎを共用部で感じていただけるよう、共用ラウンジの壁面に三井不動産グループ保有林から採取した木材を使用」「木のぬくもりが心地よい」「木の香りに癒される」「室内の湿度を調整する」などと「木」(調を含めて)の効果を強調していることだ。
この建物に入居者は木のぬくもりや香りによって癒されるのか、「木調」デザインは「木」そのもののデザインと同じ効果をもたらすのか。家賃設定は相場の1割増と言うのは「木」の価値を価格に転嫁したためか。
小松さんは、あれ以来発表会には〝お現し〟にならない。もう一度、現しがもたらす効果・価値は経済的価値と比べれば低位なのか、しっかり説明してほしい。小生の呪縛を解いていただきたい。一日千秋の思いでお待ち申し上げております。(それでも小生を説き伏せることは無理だと思うが)
界壁(左)と界床
賃料は「調布並み」でも申し込み殺到 三井ホーム「稲城」の木造5階建て賃貸(2021/12/9)
外貌の呪縛を解き放つか 「現しを求めるのは木造コンプレックス」三井ホーム小松氏(2021/12/9)
建ぺい率40%、容積率80%の1低層に全6棟 積水ハウス「The 山手プロジェクト」
「グランドメゾンThe山手118」
積水ハウスが先にオープンした「グランドメゾンThe山手118」(7戸)と「グランドメゾンThe山手249」(18戸)のコンセプトルームを見学した。高級住宅街として知られる横浜市中区山手台で展開する3階建て全6棟74戸の「The山手プロジェクト」のうちの2棟。神奈川県で初めて坪700万円を突破するだけでなく、中心プランは120~130㎡以上、価格は2~3億円以上という桁違いのプロジェクトだ。同社の矜持を見た。
同プロジェクトは全6棟74戸の規模で、用地は山手エリアに点在していたインターナショナルスクールが校舎の老朽化により本牧へ移転するのに伴い、同社が取得したもの。2023年6月に竣工した「グランドメゾンThe山手241」(11戸)と今回の2物件のほか、「グランドメゾンThe山手253」の「Garden」(14戸)「Marks」(14戸)「Hills」(10戸)を順次分譲する。
現地は、建ぺい率40%、容積率80%の第一種低層住居専用地域に指定されており、旧外国人居留地として形成された街の歴史や文化を継承するため設けられている「山手地区都市景観形成ガイドライン」によって色彩、建築物の絶対高さ、眺望の確保、樹木・緑地の保全、屋外広告物の禁止などの厳しい規制が設けられているエリアの一角。
「グランドメゾンThe山手118」は、みなとみらい線元町・中華街駅から徒歩9分、横浜市中区山手町118番に位置する3階建て全7戸。専有面積87.64~164.56㎡。すでに4戸が分譲済みで、2023年9月15日から分譲される住戸(3戸)の価格は29,000万円(138㎡)~50,000万円(164㎡)、坪単価722万円。完成予定は2024年5月下旬。
「グランドメゾンThe山手249」は、同駅から徒歩6分の横浜市中区山手町249番に位置する3階建て全18戸。専有面積は76.06〜124.25㎡。すでに12戸が分譲済みで、2023年9月15日から分譲される住戸(6戸)の価格は12,800万円(79㎡)~22,000万円(124㎡)。坪単価572万円。完成予定は2024年6月中旬。全6棟のうち唯一90㎡以下の住戸が中心。
「グランドメゾンThe山手241」は、同駅から徒歩10分、横浜市中区山手町241番に位置する3階建て全11戸。9戸が分譲済みで、現在分譲中の住戸(2戸)の価格は28,000万円(130㎡)・32,000万円(133㎡)、坪単価753万円。建物は2023年5月竣工済。
3物件とも設計・監理は坂倉建築研究所。施工は佐藤秀。
ギャラリーは、元町・中華街駅から徒歩1分。大野幸子氏、守谷玲太氏、吉井こころ氏、大野愛氏の4氏のアーティストの19作品が展示されており、コンセプトルームは137㎡で、LD27.5畳大、K7.4畳大、主寝室14.5畳大、クローゼットルーム8.4畳大、玄関5畳大など。基本性能・設備仕様は、ZEH-M Oriented対応、リビング・居室天井高2500ミリ(一部除く)、突板ドア・建具、挽板フローリング、食洗機、ディスポーザー、ハイサッシ、ミストサウナ、スロップシンクなど。オーダーメイドにも対応する。
同社東京マンション事業部販売部リーダースペシャリスト・長嶺伸之氏は、「プロジェクトは、街になじみ調和することをコンセプトに、山手エリアの歴史と文化を継承し街並みになじむよう、時代の流行を追わず、正統派を追求しました。平均専有面積が162㎡だった『伊勢山』ほどではありませんが、住戸は130㎡以上を中心に、駐車場は100~150%、緑被率を20%確保しました。来場者の皆さんには当社の考えに共感を頂いています」と語った。
「グランドメゾンThe山手249」
「グランドメゾンThe山手241」
◇ ◆ ◇
同社がアーティスト・星野源氏を起用してグランドメゾンのブランド広告をスタートし、コンセプトルームを公開すると発表したのは8月17日だった。〝これは見ないといけない〟と考え、見学をお願いし実現した。
ギャラリーに着いた途端、その造り込みの丁寧さに相当力の入っているプロジェクトだと直感した。その通りであることは前段の記事を読んでいただければ分かるはずだ。同社は最近、「5本の樹計画」をオープン化し、東大との生物多様性と健康に関する共同研究、さらには地域工務店と連携した「SI(エス・アイ)事業」の立ち上げなど、環境共生、地域共生の取り組みを強化している。今回のプロジェクトもその一環なのだろう。
長嶺氏とは「伊勢山」以来久々にお会いした。今回もまた桁違いの商品企画だ。長嶺氏は「グランドメゾンと街をつなぎ、価値を高めていく自負がある」とも語ったが、デベロッパーが分譲するタワーマンションの億ションとは一味も二味も異なるのは間違いない。
第一種低層住居専用地域(1低層)について補足する。建ぺい率40%、容積率80%の高級住宅街は今回の山手のほかでは芦屋市六麓荘、大田区田園調布、世田谷区成城、尾山台、等々力、上野毛など、千葉県の市川市国府台、菅野などがよく知られている。(埼玉県の都心寄り地域にはないはず)
この建ぺい率40%、容積率80%の1低層に位置するマンションとしては、三菱地所が2014年に分譲した「ザ・パークハウス上鷺宮」くらいしか思い出せない。(隈研吾氏が設計した建ぺい率40%、容積率60%の「プロスタイル札幌 宮の森」は別格)
マンションギャラリー外構
マンションギャラリーエントランス
吉井こころ氏のガラスアート
コンセプトルーム キッチン
コンセプトルーム リビング
コンセプトルーム 玄関
隈研吾氏が設計 坪700万円超でも好調スタート プロポライフ「札幌 宮の森」(2022/9/23)
23区最大の第一種低層 三菱地所レジデンス「ザ・パークハウス上鷺宮」(2014/4/4)
億ションの歴史を変える積水ハウス「グランドメゾン伊勢山」(2011/5/13)
持家20か月、分譲戸建ては9か月連続減少 令和5年7月の住宅着工戸数
国土交通省は8月31日、令和5年7月の新設住宅着工戸数を発表。総戸数は68,151戸(前年同月比6.7%減)となり2か月連続の減少。内訳は持家が20,689戸(同7.8%減)で20か月連続の減少、貸家が30,170戸(同1.6%増)で先月の減少から再びの増加、分譲住宅が16,979戸(同17.6%減)で2か月連続の減少。分譲住宅の内訳はマンションが5,797戸(同28.0%減)で3か月ぶりの減少、一戸建住宅が11,066戸(同11.2%減)で9か月連続の減少。
首都圏マンションは2,425戸(同31.3%減)で、内訳は東京都1,885戸(同17.7%減)、神奈川県184戸(同77.7%減)、埼玉県286戸(同793.8%増)、千葉県70戸(同81.8%減)。
首都圏分譲戸建ては4,676戸(同7.3%減)で、内訳は東京都1,704戸(同10.7%増)、神奈川県968戸(同31.7%減)、埼玉県1,120戸(同6.2%減)、千葉県826戸(同7.3%減)。
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持家の減少が止まらない。近年の月次ベースでの持家の連続減は、2014年(平成26年)2月から2015年(同27年)4月まで15か月連続減という記録がある。消費増税の駆け込み需要の反動減によるものだった。今回はそれを大幅に超える20か月連続だ。
国土交通省や関係者は減少の理由を建築資材、物価高騰などによる消費マインドの低下によるものとしているが、果たしてそうか。
記者はそれだけではないと考えている。2022年(令和4年)の持家の年次ベースの着工戸数は253,287戸で、1960年(同35年)の233,259戸に次ぐ実に63年ぶりの低水準となった。この10年間は多少の増減はあるが、30万戸を割ったままだ。
国は需要喚起策として、様々な減税策のほかに「こどもエコすまい支援事業」を投入した。追加予算209億円を含め総額1,709億円で、注文住宅はZEHレベルを満たしているものに対して100万円を補助するものだ。2023年9月2日現在、予算に対する申請額割合は90%に達している。注文住宅の割合は60%程度と思われる。
それなりに効果があったとみられるが、関係者は継続して支援しないと効果は限定的とみている。予算額に達し、支援策が打ち切られたらどうなるのか(言葉は悪いが、子供だましのような小出しの支援策はいかがなものか)。
記者は、そうした支援策だけでは再浮上はないとみている。住宅購入(賃貸もそうだが)世代のいわゆるY世代(ミレニアル世代)の〝ものよりコト〟に訴える商品開発が必要だと思っている。
指摘が当たっているかどうかは分からないが、飯田グループなどは対応していると思う。この前も記事にしたが、同社の直近のリポートでは「2023年3月時点の基準において、当社グループで供給する約80%の住宅は、ZEH(ゼッチ)水準である『断熱等性能等級5』かつ『一次エネルギー消費量等級6』を取得している」としている。
「ZEH水準」というのが味噌だ。「ZEH」とは言っていないが、「こどもエコ住まい」の適合要件である「強化外皮基準に適合し、再生可能エネルギーを除き、基準一次エネルギー消費量から20%以上の一次エネルギー消費量が削減される性能を有する住宅」を満たしている。巧みと言わざるを得ない。「ZEH100%」と「ZEH水準100%」を区別できる消費者は果たしてどれだけいるか。
さらにもう一つ。これも添付した記事を読んでいただきたい。記者は、持家志向の相当数は価格が安い分譲戸建てに流れていると考えているのだが、持家志向の消費者の取得希望価格は飯田グループが分譲している戸建て住宅3,000万円とも一致する。
前段では、持家だけでなく分譲戸建ても9か月連続減少していることを紹介した。このまま推移すれば、今年の着工戸数は昨年(2022年)の145,992戸を下回るのは間違いないが、そもそも昨年の着工戸数は過去最多だった1996年(平成8年)の147,944戸(持家は643,546戸)、2番目の2019年(平成31年)の147,393戸に次ぐ多さだ。コロナ以降の勢いは完全に止まった。この先、持家のように長期にわたって減少するかどうかはもう少し様子を見る必要がありそうだ。
5か所目の単独展示場「体感すまいパーク朝霞」オープン ボラスグループ
「体感すまいパーク朝霞」
ポラスグループの注文住宅を手掛けるポラテックとグローバルホームは9月2日、埼玉県朝霞市の川越街道沿いに「体感すまいパーク朝霞」をオープンする。モデルハウス4棟とセンターハウスから構成されており、モデルハウスの延床面積はリアルサイズの30坪台で、全てZEH対応。単独展示場「体感すまいパーク」としては2018年にオープンした「船橋」「柏」、2021年の「東浦和」、2022年の「越谷」に次いで5か所目。オープンを前にした9月1日、報道陣に公開した。
記者見学会に臨んだポラテック取締役・橋本裕一氏は、「4棟の総延べ床面積は1,372㎡、総工費は7億7,000万円。来場目標は向こう3か月で300組以上。年間受注目標は100棟。待望の東武東上線に開設することができた。朝霞はわたしの出生地でもあり、沿線4市はとてもいい市場を形成しており、目標を達成したい。体験宿泊も予定し、災害時の帰宅困難者の受け入れ、一時避難場所としても提供する予定。沿線に新たな事業所を設けることも検討している」と語った。
次の「体感すまいパーク」は2025年に「吉川南」に開設することも明らかにした。
センターハウス
橋本氏
4棟のモデルハウスは次の通り。価格はモデルハウス仕様。
暮らし方をデザインする ~4×4 令和最小限住宅 (造りすぎない家)~「PO HAUS 和美庵」3,500万円(105.98㎡、坪単価109万円) 日本家屋の田の字(4間×4間)のオーソドックスな間取りをベースに、内と外を緩やかにつなぐ約8帖の「外の間」を設え、LDKに接する通り土間、隠れ部屋を設置。仕上げ・家具には大谷石、塗り壁、格子戸、造作ベッドなどで和風住宅のよさを演出。玄関は引き戸。
暮らし方をデザインする ~二つのヴォイドで繋がる都市型住宅~「PO HAUS ARZILL」4,000万円(124.18㎡、坪単価107万円) 多家族ファミリー居住を想定した木造3階建て。3層吹き抜けと2層吹き抜けのヴォイドを設置し、スキップフロア、ライトコートを多用して家族、自然、周辺環境とのほどほどの距離感を実現した5層住宅。回遊式キッチン、造作風呂、白と黒のサッシ枠などデザインにもこだわり。
家事と趣味を楽しむ家 ~屋上リビングの家づくり~「北辰工務店」3,000万円(116.54㎡、坪単価85万円) 共働きファミリーを想定。坪単価を抑え「家事ラク」動線を重視し、1階のキッチン、家事コーナー、洗面脱衣所、浴室、2階のランドリースペース、ウォークインクローゼットをつなげているのが特徴。リビング天井高は2950ミリ。屋上リビングも設置して狭小敷地でも空(そら)を実感できる。玄関は引き戸。
ペットとの生活を楽しむ家 ~ヒトもペットも”ここちいい”を詰め込んだオウチ~「HaScasa」3,700万円(110.61㎡、坪単価111万円) 同社グループ初の断熱等級7を取得したツーバイシックス工法を採用。エアコン1台で室内温度をコントロール。室内中央に大きな吹抜け空間を設け、それを取り囲むように玄関、DK、バルコニー、渡り廊下を配置。LD白の家形フォルムとフラワーウォール、R曲面のタイル張り外観も特徴の一つ。
◇ ◆ ◇
4棟のモデルハウスは、ターゲット、家族構成、年代、趣向によって異なるので良し悪しの判断は難しいが、記者は「PO HAUS 和美庵」にほれ込んだ。「外の間」の中央に屋根を突き抜ける大きさのイロハモミジを植えているのがいい。大谷石や長さ約4mのキッチン・テーブルの提案も素敵だ。
ペットと暮らすことを想定した「HaScasa」は、エアコン1台で全館空調並みが体感できる。最高に素晴らしい。記者はペットは嫌いではないが、好きでもないからよく分からないのだが、設計担当者は自宅で飼っている1歳半の♀犬を連れてきていた。キャンキャン鳴いたので、♂犬を飼ったらいいではないかと話したら、8歳の♀犬も飼っているという。
3階建ての「PO HAUS ARZILL」と「北辰工務店」は多家族のファミリー層向けにぴったりだろう。狭小敷地にも対応できる。
「PO HAUS 和美庵」
「HaScasa」で
ポラス 越谷市と帰宅困難者一時滞在施設提供に関する協定/頑張れ ポラネコ(2022/10/17)
家に帰りたくない〟宿泊体験した社員 ポラス「体感すまいパーク越谷」出足上々(2022/1/8)
スムストック建物価格 築20年以上で602万円 7年間で15%上昇/捕捉率は17%
スムストック表彰式・懇親会(アルカディア市ヶ谷で)
優良ストック住宅推進協議会(会長:堀内容介・積水ハウス代表取締役副会長執行役員)は8月31日、総会後の記者会見を開き、参加するハウスメーカー10社の共通基準を満たす「Sum Stock(スムストック)」活動状況を報告し、今後の方針などを示した。
2022年度(2022年7月~2023年6月)のスムストックの成約数は、2020年度の1,922棟に次ぐ過去2番目に多い1,880棟となった。協議会10社の戸建てストック約396万戸のうち推定流通数は約11,200棟/年で、流通率は約0.3%、スムストックで成約した捕捉率は前年度より1ポイントアップの約17%。2008年からの累計成約数は17,637棟となった。
スムストック住宅販売士(以下、販売士)は年々増加しており、累計では7,898名(うち約1,400名が現仲介スタッフ)となった。
2021年~2023年の中期計画の進捗状況は、You Tube動画配信、ディスプレイ(バナー)広告、リスティング(検索)広告などの認知度向上策が効果を上げ、HPアクセス数、査定依頼数、資料請求数などは前年比大幅増となった。
買取再販型商品は309件で、2021年度の248件から25%増加した。「安心R住宅」の一戸建て標章仕様は、リフォーム済みが114件(全体1,629件の31.1%)、リフォーム提案が126件(全体140件の94.0%)の合計240件(全体1,769件の48.0%)。
2023年度の重点取り組みとしては、Web広告を中心に据え、より効果の高い媒体・手法へ適宜切り替え、スムストックの査定項目にZEH、V2H、熱交換換気システムを追加し運用促進などを図る。
堀内会長は、「令和4年度の住宅着工、とくに持家は前年度比で減少し、既存戸建て住宅流通量も減少するなど非常に厳しい状況が続いているが、スムストック成約棟は微増ではあるが、過去2番目の実績を上げた。これまでやってきたことは間違いではなく、期待されていることが分かった。とはいえ、捕捉率は目標としている20%に未達で、中計の最終年度である今年度に達成したい。今年度はスムストック新査定式の運用を開始して、安心・安全のさらなるレベルアップを目指す」などと語った。
堀内会長
◇ ◆ ◇
記者会見では、記者団からいつも話題に上がる「捕捉率」について鋭い質問が飛んだ。「捕捉率は16~17%台で推移している。2023年度末に20%に引き上げるのは無理ではないか」という質問だ。
これに対して、堀内会長は「会員の中には30%を超えているところもある。買取再販を増やせば目標は達成できる」と答えた。
なるほど。捕捉率を20%に引き上げるには前年度から約300棟増やす必要がある。これを買取再販で増やすとすれば1社平均30棟だ。1棟5,000万円で15億円。十分達成は可能だろう。(現在、スムストックは800~900件が協議会ホームページに掲載されており、もっとも多いのは積水ハウス308件で、以下セキスイハイム252件、旭化成ホームズ92件、ミサワホーム78件、大和ハウス工業69件、三井ホーム50件、住友林業37件…となっている)
記者は、スムストック会員経営者の考えはよく分かる。圧倒的に優れた住宅を建設・供給しながら、既存住宅市場では他の流通会社の〝草刈り場〟になっている現状は我慢ならないはずだ。
だが、しかし、消費者の立場からすれば、どこが仲介するかは大した問題ではない。売る側とすれば〝高く査定してもらい、高く売ってくれる〟ことを優先するだろうし、買う側は〝いいものをなるべく安く買いたい〟と考える。仲介会社はいわゆる両手仲介を最優先に考える。情報の非対称の問題が横たわっている。
捕捉率を上げるには、情報発信力を強化する以外にないと考えている。スムストックの物件検索Webはよくできていると思う。土地と建物の価格が明記されており、地方には土地が100坪以上のデザイン性に優れた物件がたくさん掲載されている。これを物件情報サイトなどでも検索できるようにすべきだ。
そうすれば、「スムストックの強み」をアピールすることができる。この日(8月31日)に配布された資料には、平均的なスムストックは築18.5年で、延べ床面積は128.59㎡、建物価格は1,125万円(新築時価格の約45%)で、築21年以降の建物平均価格は602万円とあった。2015年度の建物価格は522万円だった。7年間で15.3%、80万円も上昇している。建物が古くなっても価値は下がるどころか上昇していることに、記者だけでなく消費者は驚愕するはずだ。
これはどうしてか。記者は、長期優良やCASBEEなどの性能が高い住宅がスムストックには多いからだと推測している。土地価格はそのときどきの市場に左右されるが、敷地が広く、緑が豊かであれば、土地価格は市場に左右されにくいと考えている。また、スムストックのように性能の高い建物は経年劣化のスピードは一般的な住宅より緩やかで、さらにまた、維持・管理もしっかり行われるから下落しないのだろうと思う。それにしても、7年間に80万円も上昇しているのはどうしてか。誰かこの謎を解き明かしてほしい。
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この疑問に、同協議会事務局が懇切丁寧に答えてくれた。新築建物の坪単価の上昇が一番の要因で、①標準仕様設備の進化 太陽光発電設備、エネファーム、燃料電池等の環境設備、外壁等のグレードアップ(高耐久塗装、光触媒、親水等)、熱交換型換気システムの導入等②原材料価格の高騰③内装材、設備仕様の進化等々が挙げられるという。メーカーへの聞き取り調査だが、新築住宅の坪単価は7年間で約20万円、平均坪数を40坪前後とすると約800万円建築費がアップしていることになる。
既存住宅であるため、取引でその上昇分が100%反映はされないが、そのうち約10%が既存住宅取引の際に価格上昇分として反映されているという計算になる。
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「安心R住宅」について一言。とてもいい制度だと思う。インスペクションの結果を記した調査報告書には、耐震性など「安心」、リフォーム工事に関する「きれい」、その他の住宅性能、長期優良住宅、低炭素建築物、CASBEE評価、BELS認証建物の定期検査・維持・管理に関する事項など「わかりやすい」詳細な情報が盛り込まれている。チェック項目は全体で少なくとも50項目以上あるはずだ。
しかし、国土交通省は毎年、「安心R住宅」を含めた住宅ストック維持・向上促進事業費として国費を6~8億円注ぎ込みながら、制度の実施状況として市場に流通している件数のみしか公表していない。詳細なチェックを課し〝安心〟のお墨付き与えるだけというのはあんまりだ。売る側も買う側も、知りたいのはどのような物件が登録されており、近傍同種と比べ適正に評価されているかどうかだ。詳細な物件の属性を公表すべきだ。
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記者会見後には、同協議会の表彰式・懇親会が行われ、いきなり販売士の優秀者表彰が始まった。13人が表彰された(うち半数以上はセキスイハイム不動産)。記者は以前、ある会社の販売士と話し合ったことがある。宅建士には失礼だが、レベルはその比ではなかった。建物の構造、基本性能などに精通しており、国家資格を6つも7つも持っていた。
そこで、販売士に突撃取材した。トップは仲介担当歴4年で、前期は24件を成約したパナソニックホームズ不動産の東日本住宅流通センター関東チーム チームリーダー・織田星児氏(39)だ。
織田氏は「わたしは変わり者。珍しがられている。住宅と家電の〝パナソニック〟は日本を代表するブランド。新築と同じレベルの商品説明を行う。その結果、売主からも買主からも〝安心だね〟と言っていただけている」などと語った。
2位表彰のセキスイハイム不動産 近畿支店阪奈営業所流通営業店店長・小田聡氏(52)は、「表彰制度は成約件数だけでなく、安心R住宅などプラスアルファ―も対象となっている。新築は20年、仲介は8年」だそうだ。
5位の積水ハウス不動産九州仲介業務課・藤井重徳氏は、「以前、リフォーム現場をみたとき、見せかけだけ変えるだけで建物の価値が生かされておらず、これじゃいかんと考えを改めた。打ち合わせの段階から提案するように切り替えたのが成功し、毎年100件の成約目標をクリアできるようになってきた」と語った。
嬉しかったのは、6位のセキスイハイム不動産営業統括部中部支店流通営業所所長・小倉弘司氏から声を掛けられたことだ。初めてお会いする方だと思ったが、「10数年くらい前、RBA野球大会のハイム不動産の選手として出場しており、RBAタイムズにも掲載されました」とのことだ。
すっかり失念していた。検索したら真っ先にヒットした。記事を添付するので読んでいただきたい。当時は年間100棟を販売していた。スムストックは年間30~40件成約するそうだ。
もっと取材しようと思ったら、会はお開きとなった。飲んだのはビール1杯とワイン1杯だけだった。協議会にお願いだ。来年からは販売士と懇談する場を設けていただきたい。なにごとも現場だ。現場にすべてのヒントがある。販売士の方々は本質的なことを話されたはずだ。
左から織田氏、小田氏、藤井氏
左から藤井氏、小田氏、積水ハウス不動産関西福知山営業所・福井駿氏、小倉氏、セキスイハイム不動産近畿支店京阪営業所流通営業店店長・野口大樹氏
スムストック 仲介捕捉率は16% 伸びないのはなぜか/顧客対応の改善も必要(2022/9/1)
「仲介は魅力ある商品に仕上げる仕事」セキスイハイム不動産・小倉弘司氏
省エネ基準、長期優良、太陽光、ZEH伸びる 木住協 令和4年度自主統計
日本木造住宅産業協会(木住協)は8月30日、「令和4年度 木住協 自主統計および着工統計の分析」結果を報告書(A4版54ページ)にまとめ発表した。会員469社を対象にしたもので、回収は406社(回収率86.6%)。
報告書によると、令和4年度の木住協会員の新設住宅着工戸数は89,880戸(前年度比3.5%減)、このうち戸建て住宅は85.647戸、共同住宅は4,233戸(同27.9%減)。住宅着工の木造戸建て住宅に占める木住協シェアは20.5%で、前年度より1.0ポイント増加した。
戸建て住宅の質については、「平成28年省エネルギー基準適合住宅(平成25年度適合住宅含む)」は66,848戸(前年度65,819戸)となり、戸建て全体の78.1%を占め、前年度より2.3ポイント増となった。
「設計評価住宅」は26,030戸で全体の30.4%(前年度は26,267戸、30.1%)、「建設評価住宅」は16,814戸で、全体の19.6%(前年度は17,643戸、20.2%)だった。全国統計の「設計」30.0%、「建設」21.0%と比較すると、「設計」はプラス0.3ポイント、「建設」はマイナス1.4ポイント。
「長期優良住宅」は33,080戸で、全国統計115,509戸に占める木住協割合は28.6%となり、木住協戸建て住宅に占める割合は38.6を占め、前年度の38.7%から0.1ポイント減となった。
「太陽光発電搭載住宅」は26,920戸で、新設戸建て住宅の31.4%を占め、前年度の23,272戸、26.7%と比較すると、戸数、シェアとも増加した。
「ZEH適合住宅」(ニアリーZEH含む)は前年度の15,883戸から増加し20,854戸となり、木住協戸建て住宅に占める割合は24.3%(前年度18.2%)となり、6.1ポイント増加した。
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記者はこれまで、全国住宅着工戸数に占める木住協会員シェアは低すぎると思っていたが、考えを改めた。どこかの玉石混交の団体とは一線を画し、会員増・シェアアップを図るより、「良質住宅」の建設・供給に比重を置いたほうがいいと。
報告書からは、その傾向が読み取れる。住宅着工の木造戸建てに占める木住協のシェアは20.5%なのに対し、全国着工に占める木住協会員シェアは、長期優良住宅が28.6%、太陽光搭載住宅が31.4%だ。省エネ適合住宅とZEH適合住宅は公表されていないが、ともに上回っている可能性が高い。
住宅性能評価の「設計」「建設」とも全国統計より低いのはなぜなのかよく分からない。個人的には、それより長期優良住宅やCASBEEのほうを重視すべきだと思っている。
住宅性能評価の分譲戸建てシェア74% 飯田GHは「ZEH化50%」に舵切りを(2023/8/28)
木造戸建て住宅に占める木住協会員シェア20% 飯田グループの加入はないのか(2021/8/28)
ケイアイスター不 生成AI活用に向けた実証実験開始 リリースもAIが作成
ケイアイスター不動産は8月29日、社員を対象とした生成AIの利用実態調査を踏まえ、生成AI活用に向けた実証実験を10月に開始すると発表した。
実証実験を開始することについて同社は、「生成AIの認知は約84%と高く、認知はあるが業務に活かす具体的な方法が見つからずにいるという現状が見受けられた」としながら、「回答者の99%が生成AIの活用により業務改善や新たな価値創出に期待していることから、こうした技術の活用が組織全体の効率化や新たなビジネスモデルの創出につながる可能性を秘めている」と判断し、生成AIを安全かつ社内で活用しやすくするために独自システムを構築し、実証実験を10月に開始するとしている。
具体的には、まずは社員200人程度を対象とし、対象部署へのヒアリングを行い、どの業務において効率的に利用できるのか、またはどのような問題を解決するのに適しているのかを明らかにすることで、活用方法を洗い出し、文章の要約や調査作業、校正などの業務の簡素化、同社のマインドセットを踏まえた人材育成により、社員一人ひとりの働きやすさと業績向上を図る。
利用実態調査は、6月30日から7月8日まで、Google フォームにより同社社員を対象に行ったもので、有効回答は710件。
調査の結果、生成AIの業務利用時に対する懸念点を回答した人は約60%にのぼり、情報漏洩を懸念事項とした回答者は約26%、生成AIからの間違った情報をそのまま使ってしまうといった回答が約16%、個人のスキルが衰えるといった回答が約14%あったとしている。
同社は、首都圏を中心に全国各地で戸建分譲事業を展開。年間7,176 棟(土地含む)を販売しており、2023年3月期の売上高は2,418億円。一般社団法人日本木造分譲住宅協会の立上げに参加し、国産木材の利用を促進するなどESGにも力を入れている。
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同社のプレス・リリースは、A4版で5ページにわたるもので、冒頭には「本記事は生成AI(GPT-4API版)を活用して執筆を行い、デジタル化推進部の担当者にて校正をしました」とあるので、上段の記事は、入れ替えは行ってはいるが、極力そのままの文書を要約した。
リリースを読んだ感想は、文章は非の打ちどころがない。完璧だと思う。誤字・脱字もないはずだ。難点を指摘すれば、やや饒舌、文書が長すぎることだ。「実証実験の内容」は、画面イメージ図を除いても1,000字を超える。半分以下にすべきだ。同業他社のプレス・リリースにも言えることだが、文章全体ではA4版3ページくらいにまとめられるはずだ。
もう一つ言わせてもらえば、「日本木造分譲住宅協会の立上げに参加し、国産木材の利用を促進する…」は字余り。触れないほうかよかった。
この点に関して書き出せば止まらないのでくどくどと書かないが、協会理事はオープンハウスに吸収されることがほぼ確定した三栄建築設計を含めて3者(社)しかない。一般社団の設立要件に問題はないが、実効あるものにするには多くの同業が参加する組織にすべきだ。業界トップの飯田グループをはじめ、4位のポラス、ハウスメーカートップの積水ハウス、さらにはデベロッパー1位の三井不動産レジデンシャル、2位の野村不動産も参加するような組織にして、分譲住宅の質を高めてほしい。
このことを生成AIに聞いたらどのような回答が得られるか。多分、〝情報を持ち合わせていない〟とでも返ってくるか。
「しわぶき」を「しわ(wrinkle)」と誤訳 高度な言語表現に適応できないChatGPT(2023/7/25)
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「ひだ」「もやい」「照り・むくり」を「結う」デザイン 「HARUMI」賃貸募集へ
賃貸街区「PORT VILLAGE」
三井不動産を幹事会社とする「HARUMI FLAG」の賃貸街区事業主10社は8月29日(火)、賃貸街区「PORT VILLAGE」のオフィシャルサイトを開設したと発表した。賃貸街区は全4棟1,487戸で、2023年9月下旬に入居者の募集開始し、2024年1月下旬に入居開始を予定している。
「PORT VILLAGE」は、街区中央にサクラやケヤキなど62種約700本の植栽を施し、約7,000㎡の中庭空間を設け、噴水とともに水景を配置した「MINAMO GARDEN」、子ども用の遊具などを配置した「KODOMO PLAZA」を整備する。街区内には、保育園が開設されるほか、隣接地には中央区立小中学校が新設される予定。
建築物のスカイラインは「ダイナミックシンメトリー」を採用。日本の洗練された建築の伝統が感じられるスカイラインをデザイン。建物は3層の構成とし、分節手法による「ひだ」「もやい」「照り・むくり」を外装の要素に取り入れ、それらの要素を「結」うランドスケープを創出する。
一般賃貸住宅は、単身者やDINKS、ファミリー、シニア層の入居を想定し、幅広いプランバリエーションを用意。共用部分には約350㎡の大浴場のほか、多目的に使用できるイベントスペース、キッチン付きのパーティルーム、フィットネスルーム、シアタールーム、ワークスペースや会議室を設置する。
シニア・ケアレジデンス、シェアハウス、保育施設の運営は東急イーライフデザイン、シェアハウスの運営はリビタ、保育施設の運営はポピンズ エデュケア。
物件は、都営地下鉄大江戸線勝どき駅から徒歩14~16分(新交通システム「BRT」により新橋駅や虎ノ門に直結予定)、中央区晴海五丁目に位置する敷地面積約26,300.㎡、15~17階建て4棟1,487戸(一般賃貸住宅1,258戸、シニアレジデンス158戸、シェアハウス(71戸/114室)、ケアレジデンス50室)。専用面積は一般賃貸住宅が28.71~103.03㎡・159.20㎡・171.66㎡、シニアレジデンスが36.68~66.31㎡、ケアレジデンスが18.17~20.57㎡、シェアハウスが25.01~92.09㎡。竣工予定は2024年1月15日。入居予定は2024年1月下旬。設計は日建ハウジングシステム、東急建設、施行は東急建設。
「HARUMI FLAG」は、約13haの東京都施行による晴海五丁目西地区第一種市街地再開発事業で、特定事業者11社による5,632戸の分譲住宅・賃貸住宅と商業施設の合計24棟から構成される、人口約12,000人の街づくり計画。
全体敷地配置図
「PORT VILLAGE」配置図
中庭
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戸数規模だけなら、UR都市機構のほか民間賃貸でも今回の「PORT VILLAGE」より大きい物件はありそうだが、これほど多彩なプランを備えたものはまず他にないはずだ。
記者はランドスケープデザイン、建物のファサードに注目した。とくに建物の外観デザインは、超高層の「HARUMI FLAG SKY DUO」もそうだが、シンメトリーなのがいい。それに「ひだ」(プリーツ)「もやい」(結び方)「照り・むくり」(反り・起伏)「結う」(結合)などのわが国の伝統的な建築手法を用いているという。街区名に三井不動産のマンションブランド「Park」(公園)でも三菱地所の「Park」(駐車場)でもなく、「PORT」(港)にし、かつて東急不動産のブランド「VILLAGE」を用いたのは施工が東急建設で、シニア・ケアレジデンス、シェアハウスなどの運営を東急イーライフデザインが担当するからか。完成したらしっかり見学したい。
ファサードデザイン
メゾネット住戸
シェアハウス共用部分