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野村不動産グループ記者懇親会(京王プラザホテル東京)

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新井氏

 野村不動産ホールディングスは11月9日、グループ記者懇親会を開催した。2部構成で、1部では同社代表取締役社長兼社長執行役員グループCEO・新井聡氏があいさつし、同社代表取締役副社長兼副社長執行役員グループCOO・松尾大作氏が役員紹介とグループ事業について説明した。2部では18名の役員と報道陣が懇談した。新井氏は次のように語った。

◇        ◆     ◇

 当社グループに加わって1年半が経過した。この間、事業を取り巻く環境は大きく変化し、先行きが見通せない厳しい状況になっていることを肌で感じている。

 当社グループは業界の中でどのような位置にあるかだが、1年半だからこそ客観的に見えている。かなりいい位置、いいポジションにいるのではないかと感じている。

 例えば住宅。金利上昇懸念はあるが、〝プラウド〟を買っていただくような客さまは賃金上昇、資産価値の上昇といういい効果が生まれており、金利上昇を打ち消すのではないかと思っている。

 オフィス、物流についていえば、われわれは長い間賃貸バリューチェーンモデルを追求してきたわけだが、そのようなモデルがこれから先行き不透明な中でリスクをコントロールしながら投資を続けられる可能性につながっている。

 バブル崩壊で中止していた海外事業は、再開してまだ10年経過していない。これから事業量を増やしていくことになるが、他社よりも遅れて再開した分だけ大きなチャンスもあると考えている。

 しかし、このようなよいポジションにあるいるというだけでは持続的な成長は望めない。大事なことは二つある。一つは、環境が大きく変わり、先行きが見えない中でしっかりと挑戦をし続けること。

 二つ目は、われわれシニアマネジメントを中心として的確な判断を行っていくこと。的確な判断をタイムリーに行っていくために大事なのは、独りよがりの判断ではなく、お客さま、株主など数多くのステークホルダーからご意見、お考えを聴きながら、判断の精度を高めていかなければならないということ。

 実は、皆さまメディアも大事なステークホルダー。環境の変化についてよく認識されており、業界動向にも気を配られている皆さんから意見を賜れるのは本当にありがたいこと。ご質問もありがたいが、できれば有益な意見交換の場にしたい。

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 懇親会で何が嬉しかったかといえば、新井氏がかなりの時間を割いてメディアは大事なステークホルダーであり、有益な意見交換の場にしたいなどと三顧(度)の礼を尽くされたことだ。

 これは期待に応えなければならないと、しこたま酒を飲み胃を洗った。あまりにもピッチが速かったためか、注ぐのが面倒だったためか、ホテル担当者は最後はグラスを2つ置いていった。周りを見渡したら、メディア関係者で酒を飲んでいたのは小生くらいだった。

 マンションや戸建てのことなら少しは意見をいえたが、18人の役員の方が入れ代わり立ち代わり席に来られ立ち去られたので、その時間が少なかったのは残念だった。

 

 国土交通省は10月31日、令和5年9月の新設住宅着工をまとめ発表。総戸数は68,941戸で、前年同月比6.8%減、4か月連続の減少となった。利用関係別では、持家は19,527戸(前年同月比12.3%減、22か月連続の減少)、貸家は29,735戸(同2.9%減、2か月連続の減少)、分譲住宅は19,266戸(同7.3%減、4か月連続の減少)。分譲住宅の内訳はマンション8,148戸(同2.8%減、3か月連続の減少)、一戸建住宅11,014戸(同10.4%減、11か月連続の減少)となった。

 首都圏マンションは2,947戸(同25.6%)で、都県別は東京都1,414戸(同41.0%減)、神奈川県778戸(同35.7%減) 埼玉県476戸(同336.7%増)、千葉県279戸(同13.0%%増)。

 首都圏一戸建ては4,627戸(同11.6%減)、都県別は東京都1,453戸(同3.0%減)、神奈川県1,091戸(同18.8%減)、埼玉県1,263戸(同4.2%減)、千葉県820戸(同23.6%減)。


 

 

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神宮外苑軟式野球場(11月3日写す、以下同じ) 

 「神宮外苑地区まちづくり」の事業者は11月1日、プロジェクトサイトの質問受付ページに寄せられた27の質問(令和5年10月1日~10月15日受付分)に対する回答をプロジェクトサイトのQ&Aのページ(https://www.jingugaienmachidukuri.jp/faq/)に掲載した。意見などは14件だった。

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 質問と回答はこれまでのものとほとんど同じだが、再確認・整理する意味で気がついたことを以下に述べる。あっちに振れたりこっちにぶれたりしてとまりを欠くが、これが正直な気持ちだ。

 まず、「見解の相違」について。今年1月、日本イコモス国内委員会から58項目にわたって問題が指摘された。これに対して事業者は、29項目を「指摘自体が事実と異なる」とし、29項目を「考え方や解釈の違い」と回答し、審議会もこれを了承した。

 代表的な例を紹介する。日本イコモス国内委員会は、既存樹木の変化の程度について評価書の「一定程度の改変(消失)は免れないが、計画地内で最も緑量が多い緑地(並木東側)を保全、(略)、著しい影響は与えない」という記載に対し、「樹木の53%に及ぶ、1018本が伐採(743本)・移植(275本)されるため、一定程度という記載は、虚偽の報告である」「建国記念文庫の森、絵画館の樹林地、明治記念館を結ぶ緑のネットワークが破壊される。虚偽の報告である」と指摘している。

 事業者は、この指摘に対し「神宮外苑広場(建国記念文庫)等の緑地については、全てを改変するわけではなく、北側は保全エリアとして残す計画…将来にわたって緑地環境の保全を図る計画であるため、植物相及び植物群落の変化の内容及び程度は小さいと予測しており、虚偽ではございません」と回答している。

 皆さんいかがか。「虚偽の報告」「破壊」「事実無根」など激烈な文言が飛び交うのは、「見解の相違」によるものだ。今回の問題に限ったことではない。「見解の相違」はあらゆる事象で見られる。端的な例が戦争だ。ロシアは〝ネオナチからの解放〟を理由にウクライナに侵攻した。ウクライナは国家主権・領土侵害だとして反撃した。イスラエルのガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスはイスラエル側に攻め入り、イスラエルは反撃した。戦争は、均衡性(比例性)の原則など何の効果もないことを世に知らしめた。今回の問題は戦争ではないのだから、徹底した論議を交わしてほしい。

 次に、みどりの量と質について。Q&Aのコーナーの「みどりの割合・本数が増えるとのことですが、体積はどのように変化するのでしょうか。何年で元に戻りますか」という質問について、事業者は「みどりの割合は約25%から約30%に、樹木の本数は1,904本から1,998本に増加させる」「みどりの体積に関しては、現況の346,284㎥が完成後331,466㎥となり、約14,818㎥減少します。具体的な回復期間の試算は行っておりません」と回答。体積の減少について環境影響評価書は「現況の346,284㎥ をやや下回る」「緑の量の変化の内容及び程度は小さいと予測する」と記載している。

 記者は、みどりの量や体積も重要だろうが、みどりの質についてもっと論議すべきだと思っている。多くの専門家や都民の方が再開発計画に疑義を呈しているのは、神宮外苑の特別な歴史的・文化的価値が毀損されるのではないかという危惧と、樹齢にして100年超の畏怖を覚える巨木などが743本(既存樹木調査データ参照)も伐採されることに危機感を募らせているからだ。再開発計画を了とした東京都環境影響評価審議会の責任を問う声が上がるのも当然だと思う。この種の審議会・協議会は唯々諾々、行政機関の下請け機関化しているように思えてならない。

 この点について、「神宮外苑再開発事業の施行認可の撤回及び環境影響評価の継続審査に関する要請書」を小池都知事や同審議会会長宛てに提出した専門家有志を代表して元日本大学教授・糸長浩司氏は3月8日の記者会見で「科学的でない杜撰な環境影響評価書をしっかり論議しないで認可したのは専門家の研究者生命にもかかわる」と、批判とも同情とも取れる発言をした(審議会委員で認可に異議を唱えた齋藤利晃・日本大学教授と池邊このみ・千葉大学教授は、今年5月に選任された22期の審議会委員には入っていない)。

 もう一つ、記者がどうしてもわからないのは、記事にも書いたが、再開発計画地は「都市計画公園」ではあるが「都市公園」ではないことが再開発を可能にし、「公園街づくり制度」の適用条件である「未供用」が今回のような再開発を可能にすることを行政担当者や専門家は予知できていたはずで、そのときどうして問題にならなかったのかということだ。

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紅葉しているのはフウか(これらは保存される模様)

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スダジイ(これは残されるようだ)

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ヒマラヤスギ(これは保存されそう)

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絵画館前広場から写す

〝喬木は風に折らる〟誤解解く取り組みの見える化急げ「神宮外苑地区まちづくり(2023/10/21)

秩父宮ラグビー場が「未供用」の謎「広場」は都市公園ではない神宮外苑再開発(2023/9/8)

 

 京王電鉄は11月6日、京王多摩センタービル(旧京王プラザホテル多摩)を建て替えると発表した。今年11月から建物の解体工事に着手し、駅前のランドマークトなる商業施設・地域貢献施設と高層マンションを建設する。2028 年度 竣工・開業は2028年度の予定。

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 同社に聞いても、プレス・リリース以外のことは話してくれないだろうから、以下は記者の推測。

 ホテルは今年1月に営業停止となった。お金のあるころは和食レストラン「あしび」を中心に記者もよく利用した。素晴らしいホテルだった。

 営業停止後は様々なうわさが飛び交った。某ホテルが入居すると聞いたときはかなりショックを受けた。街のポテンシャルは一段と下落とすると思ったからだ。

 今回、商業施設とマンションに建て替えるのは次善の策だと思う。現地は、京王・小田急多摩センター駅から徒歩2分、完全歩車分離のペディストリアンデッキでつながっており、敷地面積は約5,500㎡。用途地域は商業地域、容積率は700%だ。総合設計を利用すれば容積は1000%くらいになるかもしれない。

 マンションはいったい何戸くらいで、価格はいくらになるかだ、戸数は400戸を超えると見た。京王電鉄の単独となるのか、グループの京王不動産やサンウッドが入るのか、それともいま京王聖蹟桜ヶ丘駅近くで共同してマンションを建設中の野村不動産と組むのか。

 価格は、立地・街の熟成度など総合的に判断して坪単価350万円なら大楽勝だろう。できれば、この前記事にした野村不動産「プラウドタワー相模大野クロス」(687戸)の坪単価400万円超に迫ってほしい。野村と組めばありうる価格だ。

立地、性能、地域共生など評価される 野村不「相模大野クロス」 坪単価400万円超か(2023/10/31)

ショック!ホテルに続き恵泉女学園大学も閉学へ 地盤沈下する多摩センター(2023/3/23)

 


 

 

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「ほの国百貨店跡地プロジェクト」

 総合地所、大和ハウス工業、阪急阪神不動産は11月2日、愛知県豊橋市の「ほの国百貨店跡地プロジェクト」マンション「HONOKUNI RESIDENCE」のメディア向けモデルルーム見学会を行った。地方都市のマンション市場を知るのが目的で、取材した。駅前の一等地で、坪単価は200万円を突破する模様だ。地方都市も坪200万円を突破する時代に突入したことを実感した。

 物件は、JR東海道本線・飯田線・JR東海道新幹線・名鉄名古屋本線豊橋駅から徒歩6分、豊橋市駅前大通二丁目の商業地域(建ぺい率80%、容積率600%)に位置する敷地面積約2,513㎡、15階建て全156戸。年内に販売開始する第1期(戸数未定)の専有面積は72.07~105.42㎡、価格は未定だが、坪単価は200万円を突破する模様。竣工は2024年10月中旬。設計・施工は長谷工コーポレーション。販売代理は長谷工アーベスト。管理は第三者管理者方式を採用する。

 現地は、地元の人によく知られている市内唯一の百貨店だった「ほのくに百官店」跡地。敷地南側は幅員約50mの駅前大通りに面しており、東側は幅員約15m、北側は幅員約6mの道路に接道。

 建物はL字型で、1フロア南向き8戸、東向き3戸の構成。主な基本性能・設備仕様は、市初のZEH-M Oriented認定、直床、リビング天井高2400~2500ミリ、フィオレストーン・人工大理石キッチン天板、食洗機、Low-E複層ガラスなど。長谷工オリジナルの「UGOCLO(ウゴクロ)」も提案する。共用施設はキッズスペース、コワーキングスペース、ランドリールーム、カフェラウンジ、ゲストルームなど。

 総合地所名古屋支店マンション開発部部長・有本光男氏は、「100戸強の物件が毎年1~2棟供給されている。これまでの物件の坪単価は180~200万円。今回は場所がいいので200万円を超える予定。これまでのエントリー数は600件超。11月11日から集客を開始する」と語った。

 「ほのくに」とは、かつて豊橋は「穂の国」と呼ばれたことに由来する。エントランス部分には市の伝統的な技術である組子デザイン、織物の技がモニュメントとして採用される。

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モデルルーム玄関サイドに置かれた飾り物(豊橋市の伝統的手筒花火を模したもののようだ)

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市の伝統的技術を紹介するコーナー

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 豊橋駅に着いたのは午後2時過ぎ。政令指定都市にしては人通りは少なく、広い道路の割には車の数も少ないと感じた。

 他の地方都市と同じように、加速度的に高齢化が進み、人口も減少しているのではないかと考え、市のデータで調べた。総人口は平成22年国勢調査の376,665人をピークに減少に転じ、令和5年10月1日現在は368,996人。この13年間で2.0%減少。「豊橋市人口ビジョン」(平成27年)によると、2030年の将来人口は359,000~364,000人と予測されている。高齢化率も高まっており、平成27年の24.1%から2030年には28.9%に上昇すると予測されている。

 市は令和3年、「豊橋市中心市街地活性化基本計画」を策定、豊橋駅周辺の約125haを「ストック活用ゾーン」として位置づけ、駅東口と西口周辺を重点整備エリアとし、民間による再開発を促すことを打ち出している。

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 モデルルームを見学してから現地を確認した。ここも大通リにしては人通りは少なく、通りを横切るには地下歩道を通らなければならないのに、典型的な車優先の街づくりの街を見た。

 すると突然、現地南側の真正面の建物に目を奪われた。白が基調の正統的デザインのその建物は不思議と古い街並みに溶け込んでいた。品格がある。

 この建物が何者であることを確認しないでは取材したことにはならないと、遠回りして現場を確認した。

 工事中の仮囲いのボックスにB3サイズのチラシが入っており、「『住・商・公』複合開発16階建、総戸数110戸の新築分譲マンション 第1期完売御礼 『ザ・ハウス豊橋WEST』第2期先着順受付開始 」と大書きされているではないか。小さな字に難儀しながら読んだ。

 物件概要には、建物は16階建て総戸数110戸。第2期の販売戸数は20戸、専有面積は56.01~98.60㎡、価格は2,770万円~6,370万円(最多価格帯2,800万円台)。竣工予定は2024年5月下旬。売主は中部ガス不動産。事業主は豊橋駅前大通二丁目地区市街地再開発組合。施工は鹿島建設。設計・監理は北山孝二郎+K計画事務所、アール・アイ・エー。竣工予定は2024年5月下旬とあった。隣接する建物は、2年前に竣工した5階までが公共広場、飲食店、図書館、オフィス&行政サービスなどが入居し、6階以上がマンション「THE HOUSE TOYOHASHI」(129戸)だ。

 早速、インフォメーションセンターに飛び込み、来意を伝えたのだが、「物件概要に書かれていること以外には答えられない。写真撮影も不可」と取材を断られた。仕方なく、専有面積と価格が照応するか分からないが、単価をはじいた。最低は163万で最高は213万円だ。

 施工が鹿島で2年前竣工といえば、RBA野球日曜ブロック屈指の好投手遠藤が名古屋勤務に異動になってからしばらくしたころだ。この物件を担当したに違いない。いい仕事をしたものだ。鹿島は今年の大会も決勝を逃し、3回連続の準決敗退となったが、遠藤は今年年末には東京に戻ると聞いている。チームの負担で、3年連続惜敗の厄払いを兼ねた遠藤復帰の歓迎会をやろうではないか。遠藤は不摂生が祟って、もう投げられる体じゃないかもしれないが…。

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現地

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左が現地、右が「THE HOUSE TOYOHASHI」

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駅前から現地を写す

三菱地所、社-柴田の継投決まる 鹿島建設は10残塁 再三再四の好機逸す(2023/10/22)

ケンコーポ 絶体絶命のピンチ3度凌ぐ 惜敗鹿島 一死3塁 3度生かせず(2019/10/27)

 

 

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「都立明治公園」イメージ図(プレス・リリースから)

 Park-PFI(公募設置管理制度)を活用した東京都初の「都立明治公園」(約61,342㎡)を11月3日、見学した。公園は10月31日に供用開始されたばかりで、この日(3日)は、開園を祝う催しとして地域の団体や学校がブースを出展し、YOGA、Mugic、能などのステージイベントか行われ、様々なフードコーナーも設けられ、多くの人で賑わった。Park-PFIによって都市公園が商業施設化することに懸念する声もあるが、〝公園が街の中心〟になり〝賑わい〟が日常となるのは記者も大賛成だ。「萩山」「せせらぎ」「池袋」「公園の垣根」など過去の記憶が蘇った。来園者も〝いい公園〟と評価した。

 Park-PFIは、平成29年(2017年)の都市公園法改正により制度化されたもの。公募により民間事業者を選定し、都市公園内に飲食店、売店などの利便施設を設置し、設置した施設から得られる収益を活用して、公園の維持管理、周辺の園路などの公園施設を一体的に行うのが目的。令和4年度末現在、全国131か所で共用されており、そのほか132か所で活用が検討されている。

 「都立明治公園」は、都営大江戸線国立競技場前駅・東京メトロ外苑前駅から徒歩9分、JR千駄ヶ谷駅から徒歩10分、新宿区霞ヶ丘町内他に位置する面積約61,342㎡。従来フリーマーケットの場として利用されていた「四季の庭」「霞岳広場」を2016年1月に廃止し、令和4年1月、Park-PFIにより東京建物を代表とする三井物産、日本工営都市空間、西武造園、読売広告社、日テレ アックスオンの6社コンソーシアム「Tokyo Legacy Parks」(TLP」)を決定。契約期間は20年。

 敷地北側は2階部分に設けられたペディストリアンデッキで国立競技場とつながっており、西側は外苑西通り、南側はマンションやビル、西側は再開発「神宮外苑」エリア。事業コンセプトは「世界に誇れる、東京という都市の“レガシー”となる公園を創り、次世代へ継承する」で、園内には約1,000㎡の芝生広場「希望の広場」や渋谷川をモチーフにした水景を取り入れた「みち広場」、多様性をテーマにした「インクルーシブ広場」の3つの広場と、約7,500㎡の樹林地「誇りの杜」が整備された。

 事業地内には、木造2階建て3棟延床面積330㎡、RC2~3階建て2棟780㎡、合計5棟延床面積1,110㎡のカフェ・レストランなどの店舗が完成する。また、スマートポールを導入し、従来は手作業でしか測定できなかった来園者数の測定などをAIが行い、今後の円滑な公園運営に活用する。

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正面が国立競技場

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 偶然の一致か。今回のプロジェクトは都立公園のPark-PFIの第一号だが、東京建物は東京都の民設公園制度を活用した最初にして最後のマンション「Brillia L-Sio 萩山」(全184戸)の売主だ。施工は西武ホールディングスが身売りした西武建設だったが、明治公園の6社コンソーシアムに加わっている西武HDグループの西武造園もランドスケープ・植栽を担当していたはずだ。記憶が間違っていなければ、同社は西武不動産の大規模マンションに雨水を貯留し、メダカを泳がせるせせらぎを設けた。

 同社はその後、建物外周にせせらぎが設けられている東建「Brillia Tower 池袋」も、Park-PFIの「MIYASHITA PARK」にも事業参画している。

 「渋谷川水系をオマージュした水景」のステップガーデンも同社によるものだろう。公園を見学して一番いい、優れていると思ったのはこの水景だ。ステップや地表などは透水性の舗装仕上げで、斜面にはケヤキ、サクラなどの樹木や草花がたくさん植えられていた。3~4歳と思われる子どもが、お父さんに「ほら、ヘビイチゴ」と歓声の声をあげた。確かにそうだった。記者も小さいころ、実を摘んでは食べたものだ。

 しかし、それだけに失望も大きかった。どこにでもある水景と大差なかった。「渋谷川水系をオマージュした水景」を見て、かつてここに渋谷川が流れていたことを連想できる人はほとんどいないはずだ。水路は思い切ってコストをかけて、例えばペディストリアンデッキの高低差を利用して滝を演出するとか、子どもが水遊びし、小鳥が飛来し、様々な動植物が育つ空間にしてほしかった。(敷地規模が小さすぎるか)

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「みち広場」

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「渋谷川水系をオマージュした水景」

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舗道と植栽帯のこの突起部分が気になった(躓かないか)

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環境に配慮した歩道

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ベンチなどは本物の木が採用されている

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工事中の店舗の外観

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 大きいといえば、とても大きな発見もあった。隣接する三井不動産レジデンシャル・野村不動産「THE COURT 神宮外苑」(409戸)と「日本オリンピックミュージアム」との境界標はあるのだが、それぞれの敷地は出入りが可能で、遮るものは全くない。第2回グリーンインフラ大賞「生活空間部門」優秀賞を受賞したフージャースコーポレーション「デュオヒルズつくばセンチュリー」や、小田急バス・ブルースタジオ賃貸住宅「hocco(ホッコ)」と同じだった。この場所を通った夫婦と思われる二人連れが「公園とマンションを一体化しているのがいいわね」と話していた。

 都市公園の課題の一つは、地域と住民を遮断する垣根の撤廃だと思っているが、今回の公園にはそれがない。誰もが気づかない、小さな取り組みかもしれないが、とても大きな英断だと思う。全国に広がることに期待したい。

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「THE COURT 神宮外苑」の敷地(左)と公園とマンションの境界

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マンション(左)との境界標

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「THE COURT 神宮外苑」

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来園者にも話を聞いた。以下に紹介する。( )内は記者。

・すぐ近くの築約20年のマンションに住む40代の男性5,000人規模のイベントを行うという話を聞いたが、今日のような500人くらいの規模がいい。都市と人が成長できるようになってほしい

・渋谷区に住む50代の夫婦 WEBで知ったので下見に来た。店舗が完成すればもっとよくなる

・三鷹市民で、近くの高校の教師を務めている30代の男性 生徒が部活の一環として出店しているので見にきました。とてもいい公園。神宮外苑問題? ノーコメント

・杉並区に住む30代の夫婦 ゴロゴロできるのがいい。神宮外苑は政治的な匂いがする

・30代の出展者&50~60代の地元渋谷区に住む男性二人 若い人を呼び込む空間にしたい。フリーマーケットのときからここはよく知っている

・この出展者や渋谷区居住者と仲間という30代の大阪市民 おばあちゃんが近くに住んでいます。(東京建物はいい会社ですよ)あなた(記者)は東京建物の味方? わたしはあまり好きではない。閥族とズブズブのイメージが強い。神宮外苑も同じ。もっとも東京らしいものを壊そうとしている

・3日連休を利用して新潟から訪れた40代のファミリー 芝生がいい。空も大きい(新潟は人工芝? 空はもっと広いのでは? )アハハハハ。スカイツリーに行こうと考えていますが、どこかいいところないですか(人がいないところがいいと思いますが…)

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イベント

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「希望の広場」

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「インクルーシブ広場」

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「誇りの杜」付近

過度な公園商業施設化に懸念全国一のPark-PFI実績誇る大和リース業界動向勉強会(2023/10/30)

不審者、立入・火気禁止、強剪定…荒んだ世情の表れ桶川駅の街路樹は泣いている(2023/10/28)

〝喬木は風に折らる〟誤解解く取り組みの見える化急げ「神宮外苑地区まちづくり(2023/10/17)

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「プラウドタワー相模大野クロス」

野村不動産の「プラウドタワー相模大野クロス」マンションギャラリーを見学した。伊勢丹相模原店跡地の小田急線最高峰の41階建て全687戸で、立地の良さに加え、基本性能・設備仕様レベルの高さ、環境配慮、地域共生などの商品企画が評価されており、6月下旬から開始したエントリー数は3,000件を突破している。人気を呼ぶのは必至だ。

物件は、小田急線相模大野駅から徒歩4分、相模原市南区相模大野四丁目の商業地域に位置する敷地面積約10,186㎡、地下3階・地上41階建て全687戸。専有面積は32.66125.48㎡。11月分譲予定の第1期(戸数未定)の予定価格は3,900万円台~26,900万円台(予定最多価格帯8,500万円台)、坪単価は未定。竣工予定は202511月上旬。施工は三井住友建設。デザイン監修は日建ハウジングシステム。

現地は、伊勢丹相模原店跡地。建物の高さ約152mは小田急線最高層。敷地内に公共広場と24時間開放の公共歩廊約3,600㎡を新設することなどで駅とグリーンホール、図書館、中央公園のアクセスを確保し、地域の賑わいを創出する。住戸プランは、1LDK67戸、2LDK148戸、3LDK434戸、4LDK38戸。

主な基本性能・設備仕様は、免震、ZEH-M Oriented&低炭素建築物認定、二重床・二重天井、食洗機、ディスポーザー、御影石キッチンカウンター、リビング天井高26002800ミリ、ミストサウナ、高効率エネファームなど。207台収容の平置き駐車場は、従前の百貨店の既存施設を活用するほか、グリーン電力の採用など環境にも配慮している。

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公共広場

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 坪単価は未定だが、記者は400万円を突破するとみている。駅とはアーケードでつながっており、約2.7haの「相模大野中央公園」に近接しているのがいい。小田急線最高層(京王線も西武線もそんな高いマンションはないはず)という価値はどうか知らないが、こんな立地に恵まれたマンションはそうないはずだ。

 物件案内をしていただいた同社住宅事業本部神奈川住宅営業部・安田航大氏によると、12年前に同社が分譲した相模大野駅前の坪230万円だった「プラウドタワー相模大野」の中古価格は坪350360万円だそうだ。

 坪350360万円といえば、新宿からの電車所要時間はほとんど同じのわが京王線聖蹟桜ヶ丘駅や多摩センター駅の一等地でもかなわない価格だ。どうしてそうなるか。参考になりそうな記事をいくつか添付するので読んでいただきたい。

伊勢丹相模原店跡地の沿線最高峰 野村不41階建て「相模大野」687戸分譲(2023/9/17)

野村不動産「プラウドタワー立川」は坪単価342万円 早期完売必至(2014/7/10)

野村不動産&再開発組合「bono(ボーノ)相模大野」15日オープン(2013/3/12)

ハイレベルの野村不動産「プラウドタワー相模大野」(2011/8/12)

「横浜ポートサイド」の再現なるか 横浜市住宅公社「長津田」(2011/7/22)
 

 

大和ハウス工業は1026日、住宅・建設・不動産業界メディアの取材の参考になるための「業界動向勉強会_公園事業・パークマネジメント篇(大和リース)」を開催し、大和リース代表取締役社長・北哲弥氏と、ParkPFIにより同社が運営管理する大阪市の鶴見緑地パークセンター長・池田昂志郎氏が質疑応答を含め約1時間にわたって熱っぽく語った。記者はオンラインで視聴した。

北氏は、「リース会社といえば、親会社の商品をファイナンスリースするのがほとんどだが、当社は親会社にリースするのではなく、自社工場で商品をつくり、外販している。技術者が多いのも特徴で、一級建築士と一級施工管理技士で574名(全従業員の約24%)を数える。20233月期の売上高は2,413億円。建設会社の売上高ランキングは大和ハウス工業が2位、フジタが9位だが、当社も21位。グループ内の売り上げは3%くらいで、全てグループ連結の売上に貢献している。

事業は規格建築事業、流通建築リース事業、リーシング ソリューション事業、環境緑化事業の4本柱で複合展開しているのが強み。公園事業は官民の連携、両輪、両立を目指しており、現在稼働中の公園事業は全国27か所。向こう10年間で100か所に増やす目標を掲げている」などと話した。

池田氏は、2017年に改正されたPark-PFI(公募設置管理制度)によって、収益施設の設置管理許可年数が10年から20年に延長され、建ぺい率は2%から12%へ緩和され、公園施設を整備する際の設置管理許可期間は10年から30年へ、保育所、学童クラブ、老人デイサービスセンター、障害者支援施設なども設置可能になったことなどを説明。

Park-PFIは、現在全国131か所で活用されており、企業別実績では、同社は102件のうち12件を占めるなど、3件以下の2位を大きく引き離して全国一であることを報告した。

一方で、都市公園は急速な人口減少と高齢化、税収減、維持管理費の負担増など多くの課題を抱えており、2003年に導入された指定管理者制度による民間管理公園は全国13,319か所に上っているにも関わらず、現状の維持管理を委託しているに過ぎないなどと指摘。Park-PFIで公園が利益追求する空間となり、公園の価値が低下することに懸念を示した。

同社の公園事業の基本は①OfficialCommonOpenであり、公園整備のマニュアルとして①緑地面積を減らさない②寂れさせない工夫③空間化との創出を掲げ、「『公園』は社会的共通資本であることを理解し、『公の精神』をもって臨むこと」などの5カ条の心得を公表した。

           

記者はこれまで、街路樹だけでなく都市公園についてもその都度、記事にしてきた。親は〝公園は危ないから遊んではダメ〟と言い、子どもは習いごとに忙しく遊ぶ暇もないのだが、それに追い打ちをかけるようにキャッチボール、サッカー、ゲートボール、ゴルフ、大声、楽器演奏、ごみ捨て、花火、犬の散歩、喫煙、飲酒、果実の収穫…を禁止する自治体がほとんどで、中には砂場はネコの侵入を防ぐための防護ネットを張り、利用時間は平日の9時から午後4時まで、土・日曜日は閉園するところまである。

全く利用されず雑草が生い茂っていても苦情は出ないのか、放置されている公園も多い…地価にしたら1種数十万円、数百万円もする都市公園の惨状に心を痛め、それを解消するPark-PFIに期待もしてきた。

同社の話を聞いて、頭をどやされたような気がした。同社のことを全く知らなかったのだ。どこかで建設機器など調達し、高い利率でリースする会社だと思っていた。不明を恥じるばかりだ。

記者団からの売上高についての質問に、北氏は公園事業の売上高はほぼ30億円としながら、「単年度で考えているわけではない。20年の長いスパンで考えている」と語り、「認知度を高める必要性」については「看板を掲げているわけではない」と受け流した。

小生は、情報発信力を高めるべきだと思うが、売上高の多寡は問題ではないと思う。グループ全体の売上高4.4兆円(20233月期)からしたら公園事業は0.07%にしか過ぎない。「公の精神」はお金に換算できない価値がある。その精神はやがて花を咲かせるはずだ。

池田氏が公園の過度な商業施設化に懸念を示したことにもドキリとさせられた。つい先日見学した桶川市の公園入り口に設置されているブロンズ像の台座には真実かどうかみんなに公平か行為と友情を深めるかみんなのためになるかどうか-の4つのテストが彫り込まれていた-これにイエスと答えられる人はどれほどいるか。

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「木と人体」取り組み概要ムービー:https://youtu.be/qfsXp9Z8pn4

 東京大学大学院農学生命科学研究科・農学部と三井不動産、三井ホームは10月25日、産学協創「三井不動産東大ラボ」の共同研究の一環として、木の空間が身体にどのような良い影響を与えるかを科学的に証明する実証研究を開始したと発表した。

 木を使った空間に身を置くと、木の持つ温もりを五感で感じ、リラックス感を得ることができ、“人は自然や動植物などの生命との結びつきを求める”という「バイオフィリア仮説」の側面から木材を利用した建築物への注目が高まり研究もされているが、未知の部分も多いとされている。

 今回は、①木質・木造空間の“匂い”と“光環境調整効果”が睡眠に及ぼす影響②木質建材の発する“匂い”が認知症予防に与える影響――について、東京大学大学院理学系研究科を主担当として、東京大学農学部との連携のもと研究を行う。

 ①の研究を担当する東京大学大学院 農学生命科学系研究科 生物材料科学専攻・恒次祐子教授は「木の空間が人の心身に及ぼす影響について、まだまだ研究を通じて明らかにしなければならないことはたくさんあります。例えば、使用する材の量や木目の影響、樹種による効果の違いや、長い時間をその空間で過ごした時の影響など、検証を重ねることが必要」とコメントしている。

 ②の研究について、東京大学大学院 理学系研究科 生物科学専攻・竹内春樹教授は「人の嗅覚に関する遺伝子数は視覚よりも多く、今回の研究では、適度な木の匂いから得られる刺激を自然に受けられる環境をつくり、その匂い効果が脳に与える影響を神経生理学的・行動学的に検証する」とコメントしている。

◇        ◆     ◇

 温度を含めた木質空間が人の心身に好ましい結果をもたらす研究はたくさん行われているようだ。住宅業界関連では、慶應義塾大学理工学部の伊香賀俊治研究室がナイスの「スマートウェルネス体感パビリオン」を用いて、住宅内の木質化がストレス解消、知的生産性向上に効果があることを実証した。恒次教授は、林野庁補助事業「木材利用に取り組む民間 企業ネットワークの構築事業」に関する詳細なレポートをまとめている。

 今回のテーマは〝匂い〟(嗅覚)のようだ。記者は、あらゆる事象を知覚し、嫌悪・好悪の感情を抱くのは、五感のうち視覚がもっとも大きな役割を果たしており、本能的・生理的より「学習」による後天的影響が大きいと考えてきた。

 例えばニンニク、クサヤ。記者の田舎ではニンニクはほとんど使用しなかった。ニンニクの臭いを発散する人は嫌悪された。匂い・味覚は社会的偏見に太刀打ちできなかった。強烈なアンモニア臭を発するクサヤは食べてみると美味しいので好きになった。嗅覚より味覚が勝利した。

 ところが、竹内教授は「人の嗅覚に関する遺伝子数は視覚よりも多い」という。これは驚きだ。樹種による違いも研究されるようなので、どのような結果になるか期待したい。記者などはスギ、クスノキ、イチョウ、マツなどは分かるかもしれないが、ヒノキ、ヒバ、カシ、ケヤキ、キリ、サクラ…などを匂いでかぎ分ける自信はない。効用もさっぱりわからない。この前、三菱地所ホームの取材で「KAMOSHIKA Drinks(カモシカ飲料)」を頂いた。カラマツ、アカマツ、アブラチャン、ヒノキ、タイムなどのエキスを凝縮したものだった。混ぜ合わせたらどうなるのか。

 もう一つ、リリースには「適度」とあるが、少量、あるいは過度の木材が与える影響や、無臭のはずのフェイクグリーンが世の中を席巻しているように、経済効果を優先してケミカル製品で木を覆い隠しても効果に変わりはないのかも解明していただきたい。視覚より嗅覚が勝るとすれば、小生には無用だが、小説の世界にたくさん登場する媚薬・催淫剤の開発にもつなげていただきたい。リリースだけでなく、メディア参加型の発表会も行ってほしい。

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桶川駅西口ロータリーの街路樹(樹脂は不明)と駅近のマロニエ

 桶川にはゴルフ場があり、何度か降り立ったことがある。今は昔だが、若くてかわいい女性社員の出身地でもあり、いいイメージしかない。ポラス「yoridokoro(拠りどころ)上尾」の取材を終え、埼玉県日高市が発祥という桶川駅東口直結の「日高屋」(ハイデイ日高)で昼食をとった。ビール2本とイワシフライで税込み950円。1,000円でお釣りが出た。いい店だ。

 タバコが吸いたくて、東口には喫煙所がなさそうなので駅西口に向かった。だしぬけに異様な光景が目に飛び込んできた。駅前の街路樹がことごとく電信柱のように強剪定されていた。街路樹も〝殺されてなるものか〟と、必死でひこばえ、胴吹きで防戦していた。墓碑のような伐採木の株もそのまま残されているなど、ガザの戦場と五十歩百歩の人間界と自然界のすさまじい戦いが展開されていた。タバコを吸う余裕は吹っ飛んだ。その代わりムラムラと怒りが込み上げてきた。一部始終を見てやるぞと、約1時間半、西口周辺を歩いた。

 言葉に詰まった。論より証拠だ。写真を撮りまくった。一つひとつ紹介する。

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見事な非対称のケヤキの街路樹 

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駅前の商業施設の樹木(樹種は不明)

 駅前のケヤキの街路樹だ。右側だけが強剪定されている。左側も樹形が乱れている。予算の関係か、交互に強剪定しているのだろう。街路樹は左右がシンメトリーだからこそ美しい。〝生かさず殺さず〟-ここのケヤキは過去も未来もない。半殺しのままだ。

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「桶川駅西口公園」

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「桶川駅西口公園」

 駅西口から徒歩2分に桶川市シルバー人材センターが維持管理している「桶川駅西口公園」がある。立派な樹木がたくさん植わっており、モニュメントや子ども向けだけでなく、大人向けの健康遊具もあり、素敵な公園だ、しかし、駅前にも拘わらず、人影はまばら。1時間は滞在したが、出会った人は10人もいなかった。何だか変。「禁煙」の看板はないのは、何かの陥穽ではないかといぶかった。

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「健康遊具ひろば」

 「この器具は大人の健康増進のためです。(16歳以下の方は使わないでください)」「この器具を使うときは『使い方』に示す方法を守ってください」とある。記者も使ってみようと思ったが、肝心の「使い方」の文字は消えていた。

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 意味不明の注意書き。「砂場遊具には近づかない。あそびおわったらを洗いましょう」-いったい誰に注意喚起しているのか。

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 「公園内では、花火・たき火などの火気は使用禁止です」-これも分からないではないが、これではPark-PFIは導入できない。「禁煙」の看板はひとつもなかったが、たばこのライターは火気なのだろうか。

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 公園の入り口には地元のローターリークラブが寄贈したと思われるブロンズ像があり、台座には次の「四つのテスト」が記されている。①真実かどうか②みんなに公平か③行為と友情を深めるか④みんなのためになるかどうか-誰のためのテストなのだろうか。

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伐採木サークルがモニュメントになっていた団地エントランス(これもありか)

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 「当団地は犬立入禁止」-犬は文字を読めないはずだから、野良犬には効き目がないと思うが、リード付きも不可なのか。時代遅れの「ペット不可」の団地か。

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 ごもっとも。ビラ配りのため無断でどこかの官舎に立ち入った人が逮捕されたこともあった。記者は団地内の様子を見ようと思ったが、「不審者を見たり聞いたら一一〇番」もあるので、誰何されそうだからやめた。

◇      ◆     ◇

 街路樹が悲惨な目に遭っていたが、とにかくこの街は看板が多すぎる。市民の方々には大変失礼だが、すさんだ心、世情の表れではないか。やんぬるかな。累卵の危機にあるのではないか。わが街多摩センター駅前にも「受動喫煙からあなたを守ります」と大書きされた横断幕はあるが、公園内の注意書きは目立たないし、強剪定される街路樹はそれほど多くない。そんなことをしたら市民は黙っていない。

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