地所「ホトリア広場」、積水ハ「新・里山」など 環境省「自然共生サイト」認定
三菱地所「ホトリア広場」の「濠プロジェクト」
三菱地所は10月6日、同社と大丸有環境共生型まちづくり推進協会(エコッツェリア協会)が管理・運営している「ホトリア広場」が環境省「自然共生サイト」に認定されたと発表した。
「ホトリア広場」は、皇居外苑濠に隣接する大手町ホトリア(大手門タワー・ENEOSビル、大手町パークビルからなる街区)の西側に位置する環境共生型の緑地広場で、生物多様性に配慮した管理を行い、皇居外苑濠の豊かな自然と歴史的景観との調和を生み出しています。
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積水ハウスは10月6日、同社とウェスティンホテル大阪、ダイハツディーゼル新梅田シティ、野村不動産が保有・管理する企業緑地「新・里山」が環境省の「自然共生サイト」に選定されたと発表した。
「新・里山」は、「新梅田シティ」の北側約8,000㎡の公開空地として2006年に完成。日本の原風景である「里山」を手本とし、「5本の樹」計画に基づいた在来種を中心に植栽を行った憩いの空間。
積水ハウス「新・里山」
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環境省は、「ネイチャーポジティブ」の実現を目指すため、2030年までに陸と海の30%以上を健全な生態系として効果的に保全する目標(30by30目標)を掲げ、企業の森や里地里山、都市の緑地など「民間の取組等によって生物多様性の保全が図られている区域」を「自然共生サイト」として認定する取組を令和5年度から開始。今回、全国122か所(35都道府県)が環境大臣認定を受けた。
住宅・不動産業界ではこのほか東京建物「大手町タワー」(千代田区、0.3ha)、長谷工コーポレーション「長谷工テクニカルセンター」(多摩市、0.8ha)、旭化成・旭化成ホームズ「あさひ・いのちの森」(富士市、1ha)、住友不動産「住友不動産の森」(裾野市)が認定されている。
東京建物「大手町タワー」
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記者は今回認定を受けた「ホトリア広場」「新・里山」「大手町タワー」「長谷工テクニカルセンター」を見学・取材している。ともに素晴らしい。
台湾由来の幼虫(ヤゴ)都心で初めて確認 三菱地所「濠プロジェクト」見学(2022/6/5)
長谷工コーポ 創業80周年記念「テクニカルセンター・マンションミュージアム」完成(2018/10/23)
皇居に隣接 三菱地所 最高級Sクラスの「大手町パークビルディング」竣工(2017/2/14)
田舎の原風景を見た 積水ハウス「新・里山」(2010/4/8)
日常茶飯のNGリスト 問われるのは「茶番」を演じたOKリストのメディア
10月2日に開かれたジャニーズ事務所の会見で、指名しない記者の名前と顔写真をまとめた「NGリスト」が作成されていた問題をマスコミ各社が大々的に報じた。NHKによると、記者会見には300人近い報道陣が詰めかけていたようだ。
この報を受け、記者は報道陣の多さに驚いたのだが、会見にもよるが、指名する、あるいは指名しない記者を特定する準備・作業は日常茶飯に行われている。記者の常識だ。
会見では、手を上げても指名されないことから「茶番だ」と声を荒げた人もいたが、圧倒的多数派の「OKリスト」(存在したかどうかは分からないが)の方たちは「茶番」を承知の上で、自らもその演者として出席したのではないか。自らの責任に頬かぶりし、「水に落ちた犬は打て」式の会見は見苦しいというほかない。〝雄弁は銀なり〟と演説をぶった著名な記者の方がいたが、あれはいかがなものか。意見表明もいいが、他の記者の質問時間を独占する権限はないはずだ。
今回の問題は、世間を揺るがす性加害・被害の問題だから、NGリストの存在を大々的に取り上げるメディアの姿勢は分からないではないが、この前も書いたように、エンタメ業界と大メディアが「沈黙は金なり」(ほとんど共犯)を決め込み、黙認してきたことも問われなければならないはずだ。記者が会見に出ていたら、登壇者に「今回の問題で、マスコミが沈黙していたことをどう思うか、メディアも共犯ではないか」と質問する。
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上段で特定の記者を指名する、あるいは指名しないことは日常茶飯に行われていると書いたが、小生自身も会見の最初から最後まで手を上げても指名されなかったのは何度もある。性格がひねくれており、並みの質問などせず、ときには意見表明をしたり嫌味な質問をしたりするので、特定の企業から嫌がられている。
しかし、記者の端くれの小生を会見に呼んでくれるのだから、質問しないのは逆に主催者に失礼だと考え、極力手をあげるよう務めている。指名されるか、されないか-そんなことは大した問題ではない。小生は肝心な質問はしないこともある。同業の記者にみすみす手の内を明かすほど馬鹿ではない。
指名されたときは、その場の雰囲気によってお礼、リップサービスの意味を込め、主催者が言いたいことを引き出す、あるいは記者の方々に注意喚起する質問をすることもある。故・石原慎太郎氏が都知事を務めていたときだ。定例会見で質問したら(主催者は指名してくれた)、石原氏は「いい質問だ」と答えた。このような例も数えきれないほどある。
以下は、メディアの方々にもいいたい。「質問してどのような答えが返ってくるか分からない質問はしない」「知らないことは質問しない」-これは質問のイロハだが、これを守らない記者が実に多い。なにを質問していいか分からない記者と同様、自らの無知をさらけ出す、底が知れる質問はしないことだ。
添付した「『貸さない親切』『買う勇気』-住宅金融支援機構の懇親会で考えたこと」(2013/11/30)の記事も読んでいただきたい。答えが返ってこないのを承知の上の〝おきて破り〟の質問をしたら、当時の住宅金融支援機構の経営企画部長・池谷(いけのや)文雄氏は、質疑応答の大半の時間を割いて「既往債権」のあり方について語った。
もう一つ。今年亡くなった扇千景氏が国交相に就任したとき、希望していた文科相でなかったことから「冷や水を浴びせられた」と発言したことに頭にきた記者は、就任会見の場で「あの発言は、国土交通省を馬鹿にしたものだ」と質問したら、幹事会社から「牧田さん、ここは意見を言う場ではない」と遮られた。確か扇氏は居直ったはずだ。いまなら即刻クビだろう。
何事も是々非々。言わなきゃいけないことは「沈黙」などしないで、訥弁でもいいから主張すべきだ。記事は頂門の一針になることもある。
性犯罪に加担し隠蔽してきたマスコミの罪は大きい ジャニーズ問題を考える(2023/9/9)
「貸さない親切」「買う勇気」-住宅金融支援機構の懇親会で考えたこと(2013/11/30)
野村不「高額建売戸建」第2弾「プラウドシーズン成城五丁目」も即日完売
「プラウドシーズン成城五丁目」
野村不動産は10月6日、1戸当たり価格が2億円超の「高額建売戸建」の第2弾「プラウドシーズン成城五丁目」(6戸)が即日完売したと発表。同日、完成した建物2棟を報道陣に公開した。
「プラウドシーズン成城五丁目」は、小田急線成城学園前駅から徒歩8分、世田谷区成城五丁目の第一種低層住居専用地域(建ぺい率40%、容積率80%)に位置する全6戸。敷地面積は150.04(45.39坪)~160.00㎡(48.40坪)、建物面積は120.00(36.30坪)~134.14㎡(40.58坪)、価格は2億円台前半~3億円台半ば。構造規模は木造(2×4) 2~3階建て。設計・施工は三菱地所ホーム。入居開始は2023年11月末以降。
昨年1月末に分譲し圧倒的な人気で即日完売した第1弾「プラウドシーズン成城コート」(6戸)に続く「高額建売戸建」の第2弾。7月に登録申し込みを受け付けた結果、最高3倍で即日完売。来場者は80組。
街と調和し、成城エリアの景観を継承する街並みデザインとして生垣・石垣・石壁、御影石貼り私道、電柱地下化、アイアンスクリーン、約2.7mの大型サッシなどを採用。
主な基本性能・設備仕様は、敷地面積最大160㎡、建物面積120㎡以上、全館空調「エアロテック」、リビング天井高3m(2戸は4m)、2.7mハイサッシ、オーダーメイドキッチンINTENZA、タイルキッチン・カウンター天板、Miele製大型食洗機、ハンズグローエ水栓、DURAVIT製2ボウル洗面、SPAGE浴室、オーク材挽き板フローリング、石張りアクセント壁、フェイクレザードア、メラミン鏡面仕上げ収納扉など。
見学会で同社住宅事業本部戸建事業部推進一課課長・吉井浩介氏は「一般的な分譲戸建てではありえない、注文住宅のリーズにも対応したオーダーメイドのプレミアム住宅にしたのが高い評価を得た」と語り、同部営業一課長・石田寛和氏は「『エアロテック』も評価ポイントの一つ」と話した。
同社はこの日6日、今後、同価格帯の分譲戸建を含め高額物件中心の販売拠点「プラウドシーズンギャラリー駒沢」を2024年1月に開設すると発表。東京23区内城南・城西エリアや神奈川県横浜エリアを中心に2025年までに10プロジェクトを順次販売するという。
勾配天井高最大4mのリビングダイニング
2ボウルの洗面
TOTOの最高級戸建て用トイレ
半屋内空間の「アイアンスクリーン」
エントランス
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分譲マンションは坪1,000万円超でも飛ぶように売れている時代だ。価格が2~3億円台というのは全然驚かなかった。むしろ「成城学園の一等地」でこの価格は安い。「成城5丁目」の今年の地価公示は坪2,175万円だ。容積率は80%だから、1種当たり価格は272万円、今回の物件の土地代は1億2,342万円以上となる。建築原価は分からないが、総額で2億円台の前半というのは極めてリーズナブルな値段だと思う。
前回の「プラウドシーズン成城コート」と今回を比較して、なぜなのかはよく分からないのだが、外構・外観・内装デザインは進化しているように感じた。
リビングの勾配天井高4mはコスモスイニシアの戸建てでも見学しているが、ため息が出た。見る角度によって表情が変わるアイアン(調)スクリーンは、隈研吾氏もよく用いる手法で、同社の〝プラウド〟マンションにも時々採用される。
吉井氏と名刺交換したとき、吉井氏から「プラウドシーズンひばりが丘」の話題が出た。記事を添付する。もう10年以上経過するが、この物件を超える分譲戸建てはそうないはずだ。
「エアロテック」について。これは実際に体験しないとその快適性は理解できない。居室はもちろん、廊下も洗面も浴室もトイレも押し入れ・収納も温度をコントロールできる。野村不動産は同様の機能を持つマンション用「床快full」を開発し、高額物件を中心に採用しているが、戸建て用はまだ開発できていないようだ。三井不動産もマンション用の開発を進めているが、商品化には至っていない。
取材の帰り、今回の物件の近くにある吉田五十八が設計した敷地面積1,861㎡、昭和42年竣工の素晴らしい木造平屋「旧猪股邸住宅」を見学した。そのあと、同業の記者の方と飲み屋を探したら、駅南口にかつて喫茶店だった店(のはず)が〝せんぺろ〟の飲み屋に変わっていた。
幅員5mの御影石貼り私道
最高2.7億円の住戸に申し込み5件 〝プラウドシーズン〟の歴史に刻む 野村不「成城」(2022/2/8)
〝三菱地所と次にいこう〟発信拠点 大阪に開設 第一弾は超高層免震「梅田タワー」
「ザ・パークハウス 大阪梅田タワー」
三菱地所レジデンスは10月3日、大阪市内エリアで分譲する新築マンションの販売拠点「三菱地所レジデンス 大阪ギャラリー」と「ザ・パークハウス 大阪梅田タワー」のメディア向け内覧会を行い、10月7日に「大阪ギャラリー」をオープンし、「大阪梅田タワー」のモデルルームを公開すると発表した。ギャラリーは、同社グループと連携して、全体ブランド〝三菱地所と次にいこう〟の発信拠点にする。
内覧会で同社関西支店開発部長・魚住尚史氏は「首都圏と同様、大阪エリアのマンション市況は好調に推移しており、今回の「梅田タワー」を皮切りに、その次の『(仮称)大阪市中央区博労町3丁目計画』も決まっており、年間200~300戸をコンスタントに供給できるよう開発を積極化する。ギャラリーは当社グループの複合拠点としても展開していく」と語った。
「大阪ギャラリー」は、JR大阪環状線桜ノ宮駅から徒歩10分、JR東西線大阪天満宮駅から徒歩10分、大阪市北区天満橋1丁目に位置する「OAPタワー」内の2階と16階に開設する。2階は総合受付・ブランドルーム・シアタールーム、模型を、16階はプレゼンションルーム、モデルルーム、インテリアコーディネートルーム、商談ルームをそれぞれ設置。
プレゼンテーションルームでは、デジタル模型やジオラマ、VRを用いて担当者が個別に操作し、物件説明を行う。
「ザ・パークハウス 大阪梅田タワー」は、ギャラリーでオープンする第一弾。阪急神戸線・宝塚線・京都線大阪梅田駅から徒歩6分、JR大阪駅から徒歩10分、大阪市北区中津1丁目の商業地域に位置する36階建て全173戸。専有面積は55.53~173.50㎡、価格は未定だが、55㎡台の低層階は6,000万円台前半になる模様。販売開始予定は2023年12月中旬。完成予定は2025年8月中旬。事業主は同社(事業比率60%)のほか安田不動産(同20%)、JR西日本プロパティーズ(同20%)。施工は熊谷組。
主な基本性能・設備仕様は、超高層免震、角住戸比率70%、AI搭載パーキング、各戸玄関前宅配ボックス、リビング天井高2450ミリ(最上階は3000ミリ)、二重床・二重天井、フィオレストーンキッチン・洗面天板、ディスポーザー、食洗機(138㎡モデルルームはMiele社製)、浴室タオル掛け2か所など。共用施設・設備はビューラウンジ、ゲストルーム、コワーキングスペースなど。
敷地は2021年3月に入札により取得したもの。これまでエントリーは1,400件超、モデルルーム来場予約は300件。30~50代の市内居住者が5割弱で、あとは都内1割、海外1割など広域からも反響があり、「うめきたエリア」「梅田エリア」「茶屋町エリア」に近接している立地と資産性が高く評価されているという。
エントランス
エントランスホール
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同社の関西圏の〝ザ・パークハウス〟マンションを見学するのは「京都鴨川御所東」「中之島タワー」「神戸タワー」に次いで4件目だ。「梅田エリア」には「グラングリーン大阪」もあるので、「これは見ないといけない」と取材を申し込んだ。
モデルルームは2戸。138㎡のタイプは設計変更対応で、都内の億ションと比較してそん色ない出来だ。玄関ホールは3帖大くらいあり、アール形状の折上げ天井リビング、フィオレストーンキッチン・洗面天板、ガラス製のアクセント壁などが印象的だった。
67㎡のタイプは、オプションだが、6帖大の「ホームオフィス」提案がとてもいい。照明付きの2段小上がりとし、床は畳(ケミカル)で堀こたつのような丸いスペース付き。事前内覧会の来場者に好評とか。
モデルルームもそうだが、共用部施設はアール形状を多用し、エントランスホールに香拡散システム「Air Aroma」を採用するなど五感に働きかける仕掛けも施している。
肝心の坪単価は、前段で書いた通り、55㎡の低層階が6,000万円台の前半と言うことのようだから約360万円だ。上層階のプレミアム住戸は坪700~800万円で、均すと500万円くらいではないか。(「グラングリーン大阪」の記者見学会が10月12日に行われることをこの日知った。多分、坪単価は1,000万円を超えるはずで、検討者にとっては「梅田タワー」との選択は悩ましい)
もう一つの「博労町3丁目計画」は、「馬喰町(ばくろちょう)」の誤字だと思ったが、「ばくろうまち」と読み、意味は同じのようだ。こちらも「梅田」に負けない価格になるのではないか。
138㎡のモデルルーム リビング
138㎡ 主寝室
「ホームオフィス」
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魚住氏などからギャラリーとマンションの説明を受けたあと、シアタールームに案内された。これまで百万遍も見てきたものだ。他と比べても似たり寄ったりだろうと高をくくった。
ところが、豈図らんや。真っ暗闇のルーム内の左袖から音もなく一人の女性が現れた。靴もスーツも真っ白。背丈は高からず低からず、身は太からず細からず。その美しさに小生はハッと息を詰まらせる…ではない息を呑んだ。あの鶴の化身の「つう」か、空の青にも海の青にも染まない白鳥か、はたまた花にたとえればバラでも百合でもない、楚々と咲くドクダミかカスミソウか、山なら春過ぎて夏来にけらし白妙の衣干すてふ天の香具山か。
記者はもう話の中身などどうでもよくなった。隠し撮りするように写真に収め、彼女を凝視した。韓流ドラマと大違い。口パクも一分一寸の隙もない。こんな精巧なアバターなど見たことがない。記者の仕事もそうだが、マンションギャラリーの女性スタッフはAIに駆逐されると確信した。
帰りしな、「このアバターは凄いですね」と声を掛けた。担当者曰く「生身の女性ですよ」「∑(๑ºдº๑)!!」(写真掲載は肖像権の問題があり不可とか。小生の視力は眼鏡をはめて0.2)
シアタールーム
〝どう見ても美しい〟大阪の市場を変える 東京建物「堂島」は坪単価650万円(2021/11/25)
大阪府の最高坪単価に 大和ハウス「梅田」 東急不「芦屋」には及ばず(2018/9/15)
ユニコーン企業を育てるインキュベーションオフィス 住友不「虎ノ門タワー」に開設
住友不動産は10月2日、グロービスと連携してユニコーン企業を育てるインキュベーションオフィス「G-STASQUARE」を「住友不動産虎ノ門タワー」内に10月1日オープンしたと発表。両社がタッグを組み、スタートアップ企業が抱える課題の解決に貢献し、さらなるスタートアップエコシステムの強化を推進していく。
「G-STASQUARE」は、銀座線虎ノ門駅から徒歩4分(日比谷線虎ノ門ヒルズ駅から徒歩3分)の「住友不動産虎ノ門タワー」の2階に位置。オープン席100席超、ボックス席(6名利用)6ブースからなり、法人登記が可能で、同社とグロービスが共同開催する定期交流会を開催し、同社が運営する230棟超のオフィスビルに入居するテナントや取引先とのビジネスマッチングを行う。
同社は今年1月から「虎ノ門サミット」と銘打ったピッチイベントを開催しており、これまで6回、延べ参加は732社、1,196名となっている。「虎ノ門サミット」の集大成として10月24日、新宿住友ビルの三角広場で「住友不動産ベンチャーサミット」を開催する。
グロービスは2019年4月、ユニコーン企業を100社輩出するプラットフォーム構築を目指す「G-STARTUP」を開始しており、採択企業と同社双方の合意に基づく「G-STARTUPファンド」の累計投資先総数は40社以上となっている。
樹木保全見直し/ヘリテージ・アラートへの見解 神宮外苑まちづくり事業者
神宮外苑 絵画館前の軟式野球場
三井不動産、日本スポーツ振興センター、明治神宮、伊藤忠商事の4者は9月29日、同日付で東京都都市整備局長と環境局長宛てに「神宮外苑地区のまちづくりにおける樹木の保全について(要請)」報告したと発表した。
東京都が要請していた①新ラグビー場敷地の既存樹木の伐採に着手する前までに、樹木の保全に関する具体的な見直し案を示すこと②その他の区域についても、施設の設計の工夫等による更なる樹木の保全策を検討すること-に答えるもので、見直し案がまとまり次第報告するとしている。
また、令和5年9月7日に国際記念物遺跡会議(イコモス)が発出した「ヘリテージ・アラート」に対して、事業者と認識が異なる記述について見解を示した。以下、「ヘリテージ・アラート」と事業者の見解、記者の考えを紹介する。
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「ヘリテージ・アラート」が、「神宮外苑が都市再開発によって全体で3,000本以上の樹木が破壊され、そのうち500本以上が樹齢100年以上、さらに500本が樹齢50年以上と推定される」としている点については、「これまでもプロジェクトサイトにて発信の通り、3.0m以上の高木の伐採樹木は合計743本となります」「2023年2月28日付で東京都風致地区条例に基づく伐採の許可を得ております。申請した伐採対象樹木は3,028本となりますが、その約9割は本数がカウントできない群生低木(ツツジ等)であり、面積から推計した数値となります」と回答している。
記者もこの事業者の回答に納得する。ただ、「外苑の計画エリアにおいて一部の方々から『森』と称される場所は建国記念文庫の敷地のみであり、総面積約28.4haの本計画に対して約5,000㎡(約1.7%)、3.0m以上の既存樹木は149本です」との回答は不十分だと思う。
「森(杜)」の定義は広辞苑によれば、①樹木が茂り立つ所②特に神社のある地の木立。神の降下してくるところ。「鎮守の―」とあるように、いかようにも解釈できる。神宮外苑を訪れた人ならみんな、全体を「森(杜)」だと感じるはずだ。「公園」=「森(杜)」でもない。記者もそうだが、反対する人たちは「神宮外苑の森」全体が破壊されると考えているはずだ。
また、「『ヘリテージ・アラート』内で記載されている『建国記念文庫の森を隠す』意図は一切ございません」と回答しているが、工事が休みの日には仮囲いを開放し、どのような樹木が伐採されるのか、移植されるのか分かるようにすべきだ。「(建国記念文庫の)建設費は総て国民の浄財である。これは、現下の国民が等しく建国を思う情熱の結果であり、千年万年の子々孫々に伝え、以て後日の語り草にしたいのが、記念文庫設立の目的である」(新宿区の歴史)とあるではないか。
絵画館前の軟式野球場もしかり。「ご利用者以外立ち入り禁止」の看板が随所に設けられているが、以前はほとんど目立たなかった。野球関係者でなくとも自由に出入りできた。5月にグラウンド内の樹木を見に行ったときも、担当者から「立ち入り禁止」と告げられた。〝森を隠す意図〟がないのであれば、巨木にお別れを告げる人の出入りは自由にすべきだ。伐採する743本についても、どうして伐採しなければならないかの説明は不十分だと思う。
イコモスが指摘している「世界的に有名な公園に高層ビルを建設する」「再開発促進区の導入により、風致地区の高さ制限15mから緩和され、190m、185m、80mの3つの高層ビルの建設が可能となった」に対しては、「神宮外苑の街づくりは、民間事業者が所有する土地において、多くの方が利用できる広場などを整備するものであり、国や自治体等が管理する公園を整備するものではありません」と回答している。これはその通りだと思う。「広場」は「公園」ではない。
神宮外苑再開発の撤回をICOMOS(イコモス=国際記念物遺跡会議)が警告(2023/9/8)
首都圏分譲戸建て着工 埼玉、千葉で増加傾向 東京、神奈川の敷地は100㎡以下
別表は、住宅着工統計の1年間の首都圏都県別分譲戸建て着工戸数推移を見たものだ。月によってバラツキはあるが、コンスタントに毎月5,000戸前後が着工されており、都県別でみると、埼玉県は月ごとの変動が小さく、傾向としては埼玉県と千葉県で着工が増えている。年間では埼玉県が神奈川県を上回る可能性がありそうだ。
都県別の敷地面積、延べ床面積は、東京、神奈川、埼玉、千葉の戸数の多い順に面積、延べ床面積もほぼ小さくなっている。ただし、全てのデータを足して割るとこのような結果になる。あまり参考にはならない。
持家21か月、分譲は3か月連続減 令和5年8月住宅着工
国土交通省は9月30日、令和5年8月の新設住宅着工統計をまとめ発表。総数は70,399戸で、前年同月比9.4%減、3か月連続の減少となった。持家、貸家、分譲住宅とも減少した。
持家は20,994戸(前年同月比5.9%減、21か月連続の減少)、貸家は29,364戸(同6.2%減、先月の増加から再びの減少)、分譲住宅は19,587戸(同15.5%減、3か月連続の減少)。分譲住宅の内訳はマンション7,894戸(同26.4%減、2か月連続の減少)、一戸建住宅11,589戸(同6.1%減、10か月連続の減少)。
首都圏は持家(同5.7%減)、貸家(同3.4%増)、分譲住宅(同8.7%減)とも減少。分譲のうちマンションは同21.9%減、一戸建住宅は同4.7%増。
首都圏マンションの着工戸数は4,204戸(同21.9%減)で、都県別では東京都2,396戸(同13.3%減)、神奈川県1,218戸(同109.6%増)、埼玉県389戸(同63.4%減)、千葉県201戸(同79.4%減)。
記者の一押し「木のえほん」/内閣総理大臣賞に異議あり 第17回キッズデザイン賞
「木のえほん」
ヒョウデザイン代表取締役/デザイナー・白岡崇氏
第17回キッズデザイン賞表彰式を取材し、嬉しかったのは積水ハウス(3点)、大和ハウス工業(1点)、ポラスグループ(1点)が優秀賞などを受賞したことだが、建築物に興味があるので、子どもたちの安全・安心に貢献するデザイン部門クリエイティブ部門で優秀賞(経済産業大臣賞)を受賞したYKK不動産・田口知子建築設計事務所・竹中工務店の「パッシブタウン第4街区 たんぽぽ保育園」が最高に素晴らしいと思った。近ければ取材を申し込みたかった。
そして、一押しは、子どもたちの安全・安心に貢献するデザイン部門で特別賞(審査委員長特別賞)を受賞したヒョウデザインの「木のえほん」だ。
鳥取県産材のスギを用いて一枚一枚手作業で作られた絵本で、厚さ7mm×4枚の8ページ立て。寸法は縦180ミリ×横120ミリ×幅30ミリ。5巻セットで、1巻の価格は4,500円。追加の5巻も発売されている。
審査員からは「地元の杉の木で創られた絵本であり、物語も地元在住の作家に依頼するなど、地域性にこだわった作品。素材や物語、技から地域のことを知り、愛着を育む良質な取組である」と評価された。
売れ行きも好調で、祖父母から孫へのプレゼントを中心に、これまで300セットが売れている。他県の自治体などからの引き合いもあるという。
記者も手に取ってみた。約B6サイズなので、絵本にしては小さく、ページ数が少ない割には分厚く、軽いのに驚いたが、糸鋸で切り抜きされた部分に主人公の絵がはめ込まれているのが面白く、なによりもスギの香りがするのがいい。
47都道府県にはそれぞれ都道府県の木があるし花もある。全国版も可能ではないか。
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もう20~30年間も選挙にいったことがない記者が言及する資格もないかもしれないが(一番の理由は誰にも白紙委任などしたくないから)、最優秀賞の「内閣総理大臣賞」を受賞した「こども選挙」については異議を唱えざるを得ない。同省の目的に合致していないと考えるからだ。
「こども選挙」を企画したのはNPO湘南スタイルで、17歳以下の子どもたちを対象とした模擬選挙プロジェクトだ。2022年10月に実施された茅ヶ崎市長選挙に合わせて、市内11か所に設けた投票所とネット投票により566人(市内の子どもの2~3%)が投票した。実際の候補者に質問するなどユニークな取り組みがマスコミで取り上げられるなど話題にもなった。
受賞理由には、「2022年に成立した『こども基本法』には、『全てのこどもが意見を表明し社会活動に参加する機会が確保されること』が明記された。子どもを社会的弱者と捉えるのではなく、これからの社会をつくり、担う主役として位置づけることはとても重要である。また、今後のキッズデザインのあり方を示すもの」とある。
この「全てのこどもが意見を表明し…」という法文の引用は重要な部分が欠落している。法律では「こども」を「心身の発達の過程にある者」(同法第2条)と定義し、同法3条3項で基本理念として「(すべてのこどもについて、)その年齢及び発達の程度に応じて、自己に直接関係するすべての事項に関して(意見を表明し社会活動…)」としている。
記者は、この法律に照らしあわせ、子どもの発達の程度を考えれば、17歳以下のこどもが実際の選挙に対して疑似投票し、候補者に質問するのは乱暴に過ぎると思う。選挙権、被選挙権の年齢制限が適当かどうかは分からないが、それなりに根拠はあるはずだ。また、受賞理由には「子どもを社会的弱者と捉えるのではなく」ともあるが、社会的弱者であるからこそ「こども基本法」が定められたのではないのか。NPOを批判はしたくないが、同法第7条が定めている「国民は、基本理念にのっとり、こども施策について関心と理解を深めるとともに、国又は地方公共団体が実施するこども施策に協力するよう努めるものとする」国民の努力とも背馳する。
「こども選挙」の問題点は他にもある。選りによって、支持率が30%くらいしかない「内閣総理大臣賞」に、投票率が4割にも満たない選挙区の「こども選挙」が選ばれるというのは、賞を戯画化することにはならないのかということと、賞の顕彰目的である子供向けの製品・サービス、子ども視線の製品、施設、取り組み、調査研究に該当するのかという疑問だ。
もう一つは、マスコミの対応だ。取り組みの模様を地元紙だけでなくNHK、朝日新聞、読売新聞(2022年11月7日付夕刊には全ペーシ特集)の大マスコミが報じたことで全国に広がった。マスコミが提灯持ちの役割を果たした極めて政治的なイベントではないのか。悪臭が鼻を突く。(2022年10月30日に投開票された茅ヶ崎市長選挙は立候補者3人で、投票率は34.69%、現職が当選した-「こども選挙」も現職の得票がもっとも多かったが、大人の知恵がすりこまれていないか心配だ)
審査委員長・益田文和氏(インダストリアルデザイナー/オープンハウス代表取締役)は表彰式後のシンポジウムで、ウクライナ戦争や頻発する自然災害などに触れ、「未来のリスクをわれわれは作っている。子どもたちのストレスも相当高まっているはず」と心配したが、記者は「こども選挙」のような取り組みが内閣総理大臣賞を受賞することに不安を覚える。翼賛政治が復活しないかと。
素晴らしい!親子&木製シースルー玄関ドア 三菱地所ホーム「江北小路」完成
「江北小路」
三菱地所ホームは9月28日、東京都の「都有地活用による魅力的な移転先整備事業」第1号プロジェクト「江北小路」のメディア向け完成見学会を行った。同社が開発したFMT(Flat Mass Timber)構法を採用することで頑丈でフレキシブルな居住空間を造りだすとともに、外観・内装に〝現し〟をふんだんに採用している。素晴らしい建築物だ。
物件は、日暮里・舎人ライナー江北駅から徒歩11分、足立区江北4丁目の第一種中高層住居専用地域(建ぺい率60%、容積率200%)に位置する敷地面積約775㎡、準耐火の木造一部鉄骨造3階建て延床面積約1,142㎡。1階が店舗、2~3階が賃貸住宅16戸。専用面積は29.57~72.13㎡、月額賃料は69,000円(坪7,700円)~。事業主は東京都都市づくり公社。設計監理はスタジオ•クハラ•ヤギ。施工は三菱地所ホーム。管理会社はハウスメイトパートナーズ。着工は2022年3月、竣工は2023年9月。木材使用量は約350㎥。2階の5戸が木密地域からの移転先対象住戸で、うち1戸が申し込み済み。全体では5個が申し込み済み。
移転先整備事業は、木密地域居住者の移転を促すため、コミュニティに配慮した共同住宅を整備するもので、三菱地所ホームなど4者による提案がプロポーザルで採択された。
建物は、南と北の2棟に分棟し、その間に自由歩行空間「みんなの小路」を整備することで、隣接する公園の緑と建物-戸建て住宅街を繋ぎ、設計・施工では、同社が開発した住宅用FMT構法を非住宅用に改良し、最大7.3mスパン(住宅用は6.6mスパン)、キャンチスラブ5.0m(同3.1m)を実現した。さらに、メンブレン防火被覆設計と燃え代設計により、1時間準耐火構造とし、外壁は多摩産材スギ材、床・壁・軒裏はカラマツCLT・集成材パネルを採用するなど、木造現しのデザインとしているのが特徴。
住戸の商品企画では、玄関ドアは1.2mの親子ドアで、ベイマツ材の框ガラスドアを採用。ドアと居室の間を土間空間とすることで、外と内を緩やかにつながる工夫を施している。居室床はカバザクラ、ドアはツガ材。窓はLow-Eガラス。
見学会で、同社常務執行役員ソリューション事業部門 部門長 都市木造開発推進部長・越川喜直氏は「都の木密地域の移転促進を図る事業の第1弾。当社などの4者の提案が採択されたポイントは、公園の緑と道路をつなぐ『みんなの小路』を整備し、コミュニティを醸成するプランにしたこと、FMT構法を非住宅用に改良することで自由なレイアウトを可能にしたこと、燃え代設計で構造を被覆しないで木の温かみを現しで表現したこと」などと語った。
越川氏(背後は現しの国産材の壁)
「みんなの小路」
親子&木製框玄関シースルードア
床、ドアも挽き板仕上げ
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現地に着いた途端、フェイクではない本物の木が現しで採用されている建物が目に飛び込んできた。と同時に、同社本店営業部長・鈴木正人氏(54)から声を掛けられた。もう、これで取材の100%が達成されたと思った。
その通りの結果となった。施設は文句なしにいい。今年の冬に取材したJKK東京「カーメスト興野町」もよかったが、さすが都の公社だ。これほどふんだんに木が使われている賃貸マンションは皆無だろう。玄関ドアが木製框のガラスなのにも驚愕した。かつて建築家の山本理顕氏がUR都市機構の「東雲キャナルコート」でSOHO利用を想定してシースルーの玄関ドアにしたのを見て以来だ。三菱地所ホームと設計監理のスタジオ•クハラ•ヤギに拍手喝采!
鈴木氏からは「わたしがソリューション事業部にいたときに受けた案件。余計なことは書くな」と、球速にしたら50~60キロもない牽制球(記者にとっては痛くもかゆくもない)を投げられたので多くは書かないが、知る人ぞ知る知らない人は知らない同社の〝名物男〟だ。記事を添付したので読んでいただきたい。
鈴木氏
宏遠側からの外観
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取材を終え、一杯飲もうと駅に向かっていたら、「江北小路」に近接する東京女子医大病院の隣接地に「カフェ&バー マリガン」「ビールセット1,000円」の看板・メニューが目に留まった。すぐ店に飛び込み「ビールセット1,000円」を注文した。コロナ禍で〝せんべろ〟を覚えたのだ。
写真を見ていただきたい。これで1,000円だ。ビールはもちろん、つまみのポテトチップス、特大のから揚げ、長崎のゆずドレッシング添えサラダはとてもおいしかった。お腹がいっぱいになったが、もう1杯ビール(400円)を注文した。料金は「興野町」の取材の帰りに飲んだ江北駅前の店の2分の1もなかった。
店内は「江北小路」ほどのスパンはないが、アメリカ・オークランドの飲み屋をイメージさせてくれる。いい店だ。
「カフェ&バー マリガン」の「ビールセット1,000円」
三菱地所ホーム 木造の常識を覆す新構法「FMT」 富裕層・非住宅用途に照準(2020/9/4)