約4,000戸 入居率98% 住友不「ラ・トゥール」28棟目「新宿ファースト」完成
「La Tour(ラ・トゥール)新宿ファースト」
住友不動産は4月18日、同社の最上級賃貸マンションシリーズ「La Tour/ラ・トゥール」の最新物件で28棟目の「La Tour(ラ・トゥール)新宿ファースト」が完成したのに伴うメディア向け完成内覧会を実施し、4月20日から入居を開始すると発表した。同シリーズは、今回で約3,900戸の規模となり、平均専用面積100㎡以上、平均賃料約70万円で、入居率は98%に達し、今回の物件も約半数が契約済み。24時間バイリンガル対応のフロントコンシェルジュサービスなどが富裕層に評価されている。
物件は、JR・小田急線・京王線「新宿」駅徒歩17分東京メトロ丸ノ内線・都営大江戸線中野坂上駅から徒歩6分、東京メトロ丸ノ内線西新宿駅から徒歩7分、新宿区西新宿五丁目に位置する敷地面積約7,980.01㎡、地下2階地上35階建て免震構造のオフィス・住宅複合施設で、延床面積約90,611㎡(うち住宅専有面積約21,958㎡)。住宅は19~35階で総戸数170戸(同社持分166戸)。専用面積は70.35~297.33㎡。21階の161㎡(49坪)の賃料は118万円/月、坪単価は2.4万円。35階の297㎡(90坪)の賃料は300万円超/月、坪単価は3.3万円。竣工は2023年3月。入居開始は4月20日。
現地は、同社をはじめ三菱地所、三井不動産が事業参画している西新宿の再開発エリアの一角。新宿中央公園、神田川に近接。
全住戸が地上80m以上の19~35階の高層エリアに位置(下層階にあるオフィスの天井高を高く設定しているため、19階でも平均的なマンションの27階相当の地上高)。2LDKは80~150㎡台、3LDKは100~170㎡台、ペントハウスは約300㎡超。24時間常駐のバイリンガルコンシェルジュが宅配物の一時預かり(冷蔵・冷凍含む)のサービスに加え、来訪者の一時対応(レセプションサービス)を行い、全5棟の新宿エリアで初となるヴァレーサービスも導入する。
内覧会で同社賃貸住宅事業所長・永山貴氏は「今回の物件は、2000年の第一号『芝公園』から数えて28棟目。奇をてらったものは入れていない。お客さまが志向しているものをグレードアップし、新宿エリアでトップレベルに仕上げた。粋を集めた自信物件。『ラ・トゥール』シリーズはトータルで約4,000室になるが、2023年3月末の入居率は98%。入居者サービスが実を結んだ結果だ」と話した。
また、同社賃貸事業所営業統括・鳴海智也氏は「ラ・トゥール」の顧客動向や高額賃貸マンション市場について説明。20年前の顧客は外国人が51%だったのが、現在は日本人が86%となっており、年代も60歳以上が43%を占めていたのが、現在は49歳以下が69%を占めている。坪単価は10年前の1万円台の半ばだったのが現在は2万円台の半ばに上昇。空室率は平均3.4%、主要3区の賃料は初めて2万円/坪を超え、面積が広いほど賃料単価は上昇しており「150㎡以上は供給事例が少ないことから飽和状態にある」などと語った。
鳴海氏は「ニッチな市場で競合はしていないが、ブランド価値を維持するため数値目標は掲げず、立地、環境に適したものを開発していく」とし、今後の開発物件として「目白御留山」「御殿山」「みなとみらい」「南青山」「渋谷松濤」「元麻布」などをあげた。
同社は同日、「La Tour(ラ・トゥール)」シリーズの「代官山」「大阪梅田」など5物件が日本政策投資銀行(DBJ)による「DBJ Green Building認証」の最高評価を取得したと発表した。省エネ性、入居者の快適性、防災・防犯性が評価された。
外観(今回の物件は中央)
天井高約8mのアトリウムイメージパース
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両氏の話を聞きながら、「ラ・トゥール」は高額分譲マンションとどこが異なるか、なぜ富裕層の圧倒的な支持を得ているかを考えた。
専用部の設備仕様・仕上げは、「奇をてらっていない」と永山氏が語ったように、億ションに負ける部分もあるが、空間設計、ホスピタリティは「ラ・トゥール」が勝る。
今回の物件のエレベーターは乗用4基、非常用兼荷物用1基、自転車用兼ペット用2基あり(この規模の分譲はせいぜい2~3基)、エレベーターホールは広く、廊下幅は3mもあった。21階のエレベーターを降りてから展望が開ける北東角の161㎡の住戸に着くまで約50mあり、専用部の廊下幅は1350ミリ、天井高は2650ミリ、35階の297㎡のペントハウスのLDKは55帖大、御影石キッチン天板は1200×3000ミリ、玄関、浴室はそれぞれ2か所あった。
24時間バイリンガルコンシェルジュサービス、宅配物の一時預かり、専用部サービス、来訪者のチェック、ヴァレーサービスなどは分譲にはまずないはずだ。鳴海氏が「ビル屋だからこそできる。入居率は驚異的」と胸を張ったのもよく分かる。
これらを総合的に評価すると、100㎡で賃料70万円(坪単価2.31万円)は分譲よりむしろ割安だと思った。法人契約にすれば賃料の少なくない金額は経費・損金として処理できるはずで、節税対策ともなる。分譲は法人による所有は可能だが、管理組合の「専ら居住」の制約があるため、法人登記はまず不可で、事務所などとしての利用も認められない。管理組合の役員就任を拒否することもできない(最近は第三者管理方式を採用するマンションは増えてはいるが)。
経営者や弁護士、医者などは1日十数時間働く人は多いはずで、煩わしい管理組合などの活動から解放され、都心に住むことで大幅に時間を節約できる「ラ・トゥール」の優位性を思い知らされた。
分譲マンションも法人登記を認め(法的な規制はないはず)、民泊のような不特定多数の人が出入りするのを認めるのはどうかと思うが、多様な利用を可能にしてもいいのではないか。
Zタイプイメージパース
国産材を多用したCLT・鉄骨ハイブリッド構造 野村不動産「参宮橋」分譲
「プラウド参宮橋」
野村不動産は4月17日、CLT・鉄骨ハイブリッド構造を採用し、建物全体で約80㎥の国産材を使用した「プラウド参宮橋」を6月上旬に分譲すると発表した。木材使用量は同社のマンションで過去最多となり、全住戸がZEH-Oriented相当の性能を満たしている。
物件は、小田急線参宮橋駅から徒歩3分、渋谷区代々木四丁目の第二種低層住居専用地域に位置する4階地下2階建て全19戸(広告募集対象外住戸6戸含む)。専有面積は58.13~105.22㎡、価格は未定。竣工予定は2024年5月上旬。施工は大成建設。
B2階~3階まではRCコアウォール+TWFS構造(厚肉床壁構造)、4階・R階はRCコアウォール+CLT・鉄骨ハイブリッド構造とし、構造CLT、天井、壁面ルーバーなど建物全体で約80㎥の国産木材を使用。同規模のRC構造のマンションと比較した場合、建築時のCO2削減量は約96トン、CO2固定量は約73トンと試算されている。全戸に空調システム「床快full」を採用している。
フローリングや建具には突板を採用しCLT を活かした仕上げ
共用部のアート作品にも国産ヒノキ材を使用
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完成予想図のドーマー(トップライト)がとても印象的だ。このようなマンションは見たことがない。
同社は現段階で価格は未定としているが、いったいいくらになるか。立地条件からして坪単価700万円以下はありえないのではないか。さらに「床快full」を全戸に採用し、ZEH-Oriented相当の性能を満たしていることなどを考えると、設備仕様レベルにもよるが坪750万円になっても記者は驚かない。
「木造マンション」は、三井ホームの賃貸「MOCXION INAGI(モクシオン稲城)」(51戸)が最大のはずだが、どこが最初に分譲マンションを供給するか注目している。今回の物件のような第一・二種低層住居専用地域などは最適なはずだ。
賃料は「調布並み」でも申し込み殺到 三井ホーム「稲城」の木造5階建て賃貸(2021/12/9)
神田警察通り道路整備事業で〝暴力的な妨害行為〟 千代田区の文書には嘘2つ
伐採されたイチョウ
東京都千代田区は4月12日、「神田警察通り道路整備工事における暴力行為について」というタイトルの樋口高顕区長名の文書を区のホームページに掲載し、「4月11日(火曜日)早朝、神田警察通り道路整備工事の作業において、安全確保のフェンスを設置中に、工事の反対者の体当たりなど暴力的な妨害行為により、警備員と区職員の2名が転倒させられ負傷する事案が発生しました。警備員は全治4~6週間の重傷で、区職員は軽傷を負っています」と報告した。
これに対して「神田警察通りの街路樹を守る会」は4月13日、樋口区長宛てに「ホームページ掲載文の撤回・謝罪を求める通知文」を提出。「私たち住民を『工事の反対者』と呼び、『暴力的な妨害行為』を行って警備員と区職員を転倒させて負傷させたという全く事実でないことを広報したことは…一般の区民から分断させようとする誤った広報活動」であり、「直ちに撤回し、私たちに対して謝罪することを求める」と抗議している。
神田警察通り道路整備Ⅱ期工事区間
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〝暴力事件〟が起きたのは4月11日の午前4時過ぎのようだが、双方の言い分は真っ向から対立している。区側にも住民側にも与しない、イチョウの味方である記者は現場を見ておらず、コメントのしようがないのだが、区側には明らかな嘘が少なくとも2つある。
区の文書では「この間、一時、工事を見合わせました。しかしながら、双方の一致点を見出すことはできず、また『守る会』等の工事に反対する一部の方々による妨害行為もあり、工事が進められない状況になりました。その後、工事に反対する一部の方から、損害賠償請求訴訟、住民訴訟が提訴されるなど、双方が歩み寄るかたちで工事を行うことは難しいものと判断するに至りました」とあるが、整備事業を議会決定したのは令和3年10月13日であり、その後、工事には着手せず中断し、再開を決定したのは令和4年4月25日だ。この間、住民による妨害行為はなかったはずだ。反対運動を「妨害行為」と呼ぶなら、もう何をか言わんやだ。
この「妨害行為」によって工事が進められなくなり、「双方が歩み寄るかたちで工事を行うことは難しいものと判断するに至りました」というのも明らかに虚偽だ。話し合い継続を断念し、「現在の一致点が見出せない状況が長く続けば、意見の対立を深め地域に亀裂を生じさせることにもなりかねないと認識」「(令和4年4月25日から神田警察通り道路整備Ⅱ期工事を再開したのは)行政として苦渋の決定」をしたのは樋口区長で、損害賠償請求訴訟、住民訴訟が提訴されたのは、そののち令和4年5月以降だ。
行政文書は正確でなければならない。文書作成は職員が行ったのだろうが、関係者が読めば明らかに間違いであることは分かる。区長の鼎の軽重が問われる。
ただ、工事をさせまいとイチョウに抱きつく住民の方もいかがなものか。中には若い方もいらっしゃるが、皆さんは記者と同様おじいさんおばあさんばかりだ。健康が心配だ。
警察署にも一言。守る会の通知文によれば、救急車が出動したのを受けて住民が110番通報し、警察官を呼びだしたところ「私たちは中立の立場。区と住民とでよく話し合ってほしい」と話したそうだ。警察官とは〝事件〟が起きた目の前の神田警察署の警察官か。区が言う「反対者の体当たりなど暴力的な妨害行為」とは認識していなかったということか。さすがと言うべきか。
神田警察通り道路整備Ⅰ工事区間
区役所前で横断幕を掲げる「神田警察通りの街路樹を守る会」(3月30日写す)
「約束を反故。許せない」住民怒る 健全木のイチョウ 新たに4本伐採 千代田区(2023/2/7)
「神宮外苑街づくりに都民の共感と参画を」都が再要請 事業者「真摯に受け止める」
三井不動産、明治神宮、日本スポーツ振興センター、伊藤忠商事の事業者4者は4月14日、東京都から4月6日付で受けた「神宮外苑地区におけるまちづくりに関する再要請」に答える形で「神宮外苑地区まちづくりを進める意義等について」を発表。都の指摘を真摯に受け止めており、新たな取り組みを今秋にスタートし、4月からプロジェクトサイトの構成や文章、デザインを刷新し、より見やすい内容にリニューアルしたと報告した。
都は、令和4年5月26日付文書で「外苑の成り立ちを踏まえた幅広い都民参加や既存樹木の保全、わかりやすい情報発信などに取り組み、多くの都民の共感と参画を得ながらまちづくりを推進するよう」求めていたにも関わらず、4月6日付で「未だ具体的な取組内容や実施時期などが示されていない」と再要請していた。
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今回、改めて都から都民の共感と参画を得るよう要請されたのを受け、報告では、「4列のいちょう並木が伐採される」「神宮外苑のみどりが減る」というのは誤解、憶測であり、4列のいちょう並木を保存し、みどりの量と樹木本数を増やすと強調。計画地のオープンスペースは現行約21%から再開発後は44%へ、緑の割合は25%から30%へ、樹木は1,904本から1,998本に増えるとしている。
これは理解できる。4事業者のうち「経年優化」をスローガンに掲げる三井不動産は、同社の分譲住宅、オフィス・商業施設などの取材を通じて、他のデベロッパーに負けない充実した植栽を施しているのを知っている。今回の開発でもみどりをふんだんに採用するのは間違いない。
しかし、今年2月17日付記事でも書いたが、問われるのは緑・樹木の質だ。計画では伐採樹木741本の具体的な樹種、樹齢などは記載されていない。
この伐採樹木の明細をきちんと公開し、その是非を問うべきだ。例えば聖徳記念絵画館前の広場の再生。「広場の再生」とは、戦後、軟式野球場として利用されてきた約40,550㎡の敷地をテニス場・駐車場としてリノベーションすることだが、「再生」などといわれると、記者も20数年間RBA野球大会の取材で通った軟式野球場は老朽化し、樹勢も衰えているかのような印象を受ける。
軟式野球場をテニス場にリノベーションするその是非はともかく、ここには樹齢100年くらいの立派なヒマラヤスギ、イチョウ、コブシ、ケヤキなどの巨木がグラウンドを囲むようにたくさん植わっている。この先100年も200年も生きるはずだ。
計画では巨木はほとんど伐採されるようだが、巨木を避けてテニス場を整備することはできないのか。上位計画には「歴史的景観を将来に継承」とあるではないか。
どうしても伐るのなら、参加者を募り伐採式を行い、伐り倒した樹木の墓碑銘くらいつくってほしい。〝ここに神宮外苑の樹齢100年の御神木眠る〟と。
いま、千代田区の神田警察通りの街路樹である樹齢60年のイチョウ30本が「枯損木」として伐採されようとしている。神宮外苑と千代田区の街路樹問題の根は同じ-樹木をないがしろにするのは人間をそのように扱うのと一緒だ。
緑、樹木は増えるが問われるのは質 三井不動産など「神宮外苑」再開発 施行認可(2023/2/18)
これは事実か「枯損木記載は都の慣例に倣ったもの」千代田区の主張 住民訴訟(2023/1/17)
価格の安さ、1低層のランドプラン 多彩なプランに人気 大和地所レジ「菊名の杜」
「ヴェレーナグラン菊名の杜」
大和地所レジデンスが分譲中の30周年記念物件「ヴェレーナグラン菊名の杜」を見学した。菊名駅から徒歩13分の第一種低層住居専用地域の東傾斜の高台に位置する全125戸で、第1期1次47戸を分譲開始して1か月で35戸に申し込みが入っている。近隣物件と比べ価格(単価)が相対的に安く、眺望が開けている全86タイプのプラン、小・中学校に近い居住環境のよさに人気が集まっている。
物件は、東急東横線・JR横浜線菊名駅から徒歩13分、横浜市鶴見区上の宮一丁目の第一種低層住居専用地域(建ぺい率60%、容積率100%)に位置する開発面積約10,292㎡の4階建て全125戸。専有面積は先着順で分譲中の住戸(23戸)の専有面積は70.15~94.67㎡、価格は5,798万円~8,798万円(最多価格帯5,800万円台)、坪単価は297万円。竣工予定は2024年10月中旬。設計・管理は設計集団宙組。施工は大勝。デザイン監修はインターデザイン・小寺源太郎氏、植栽計画は東邦レオ。
今年1月28日にモデルルームをオープン、これまでの来場者は、ゴールデンウイークまでの予約約50件含め約400件。3月17日に第1期1次として47戸を供給し、これまで35件の申し込みが入っている。
来場者・購入者の属性は、居住地は横浜市港北区と鶴見区を中心に市内が約6割、都内は約2割など広域から集客できているのが特徴で、年代は30代のファミリーが中心。
モデルルームは、プレミアム住戸として22戸用意したうちのロフト付き80.6㎡(4戸)。主な基本性能・設備仕様は天井高3.3m(ロフト含む)、リビング天井高2.8m、サッシ高2400ミリで、二重床・二重天井、メーターモジュール廊下幅、奥行き1メートルの幅広御影石キッチン天板、御影石洗面カウンター、食洗機、ミストサウナなど。
同社は人気の要因として、菊名駅圏など周辺物件の坪単価は340~370万円になっているのに対して、相対的に安く、敷地形状が東下がりの比高差20mの6棟構成とし、ルーフバルコニー、メゾネット、スキップフロア、ロフト付きなど86タイプのプランを提案し、保育園・小・中学校に近接していることなどをあげている。
モデルルーム
スカイビューガーデン(屋上庭園)
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商品企画は1か月前に見学した全193戸の「ヴェレーナシティ パレ・ド・マジェステ」とよく似ているので、そちらの記事を参照していただきたい。
この物件以外の東横線沿線のマンションは最近見学していないので比較はできないが、総合的な商品企画はまずどこにも負けないのではないか。
同じ30周年記念プロジェクト「ヴェレーナグラン北赤羽マスタープレイス&マナープレイス」(全318戸)の第1期1次125戸は坪単価330万円で、約8割に申し込みが入ったという。
建設現場
上大岡の高台の中層全193戸 16カ月で完売 多彩なプランが人気 大和地所レジ(2023/3/17)
1低層の全125戸 1期1次47戸登録開始 大和地所レジ30周年記念「菊名の杜」(2023/3/17)
第1期1次125戸の登録開始 大和地所レジ 30周年記念PJ「北赤羽」人気(2023/3/3)
3月の中古マンション 成約件数は前年比1.1%増 単価・価格上昇続く 東日本レインズ
東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は4月10日、2023年3月の首都圏不動産流通市場動向をまとめ発表。中古マンションの取引件数は前年同月比1.1%増の3,442件、成約㎡単価は同6.8%上昇の69.83万円、価格は同6.8%上昇の4,441万円、専有面積は同0.02%増加の63.59㎡となった。
成約件数は2月に続いて前年同月を上回り、成約㎡単価は20年5月から35か月連続、成約価格は20年6月から34か月連続でそれぞれ前年同月を上回った。専有面積はほぼ横ばいながら21年5月以来22か月ぶりに前年同月を上回った。
中古戸建の成約件数は前年同月比1.2%減の1,186件、価格は同4.6%上昇の3,914万円となった。成約件数は22年1月から15か月連続で前年同月を下回り、成約価格は20年11月から29か月連続で前年同月を上回った。
「HARUMI FLAG」タワー棟「SKY DUO」坪400万円か 単価で測れない価値あり
「HARUMI FLAG SKY DUO」
「HARUMI FLAG」の売主10社は4月6日、新「HARUMI FLAGパビリオン」のメディア向け先行内覧会を開催し、新しい販売街区の50階建てツインタワーマンション「HARUMI FLAG SKY DUO」(1,455戸)の事前案内会を4月8日(土)から開始すると発表した。
「HARUMI FLAG」は総開発面積約13.3ha、14~50階建て全23棟5,632戸(分譲4,145戸、賃貸1,487戸)と3階建て商業施設から構成。2019年から分譲開始し、これまで板状型2,690戸のうち未分譲8戸を除く2,682戸を完売。
「SKY DUO」は、都営地下鉄大江戸線勝どき駅から徒歩18分(TOKYO BRT開業後は新橋駅まで約10分)、中央区晴海五丁目の商業地域に位置する50階建て「SUN VILLAGE」 733戸(専有面積49.38~145.54㎡)と50階建て「PARK VILLAGE」722戸(同47.74~161.12㎡)のツインタワーマンション。竣工予定は2025年秋。SUN VILLAGEの設計は三菱地所設計・前田建設工業、施工は前田建設工業。PARK VILLAGEの設計は日建ハウジングシステム・三井住友建設、施工は三井住友建設。第1期販売は6月下旬に開始する予定。予定価格は4,800万円台(1LDK)~34,900万円台(3LDK)。
情報を公開した2023年1月10日(火)からエントリー数は10,500件を超え、見学予約は2,800件に達し、5月中旬まで満席になっている。
内覧会に臨んだ幹事会社の三井不動産レジデンシャル都市開発三部事業室・古谷歩氏は「エリア全体で31haという他に類を見ない複合的な開発で、官民連携を図り、デザインを統一し本物の森を作る。パビリオンでは、大型スクリーンや150分の1の模型、レファレンスルームなどを駆使し、東京最前列に位置する新たなランドマークとなる『SKY DUO』の魅力を体感頂けるようにした」と語った。
完成予想図
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この記事は、添付したマスターアーキテクトとして街全体のデザインを統括する光井純氏(光井純&アソシエーツ建築設計事務所 代表取締役)のインタビュー記事と一緒に読んでいただきたい。
もっとも興味深い坪単価について。古谷氏は「階数、方角、プランによって単価差が大きく、平均的な坪単価は公表していない」と話したが、主要なプランについて、20階の北向き1LDKの49㎡は5,600万円台(坪単価377万円)、北向き2LDK66㎡は7,100万円台(同355万円台)、35階の東向き3LDK72㎡は8,100万円(同371万円)、35階の西向き3LDK79㎡は1億300万円台(同430万円台)、35階の南西角の3LDK95㎡は1億4,800万円(同514万円)、プレミアム住戸の3LDK161㎡は3億4,900万円(同715万円)などであることを明らかにした。
これらの価格からして、平均単価は坪400万円くらいではないかと予想する。それほど外れていないはずだが、古谷氏も「単価では計れない価値がある」と語ったように、総合的な価値をみる必要がある。
例えば、免制震のハイブリッド工法、長期優良住宅認定、スケルトンインフィル、蓄電池&エネファーム全戸搭載、HEMS、MEMS、メーターモジュール廊下幅、リビング天井高2600ミリ、Low-Eガラス、全館空調(49・50階のみ)など。間違いなくトップレベルのマンションだ。
さらに、駐車場と電柱を地下化し、メインストリートは高木2列植栽などの街づくり、多彩な共用施設などを考慮すると、われわれが今までに見たことがない街が誕生することになりそうだ。
光井氏が語った「世界の優れた街の開発では、基本的には駐車場などは地下に潜らせて、地上は人の空間にするということが当たり前になっているのです。『HARUMI』も駐車場と電柱を地下化したのは都やデベロッパーの素晴らしい決断でした。諸外国のどこの街にも負けないものをつくろうとしたということです。そういった点からも『HARUMI』も『(パークシティ)浜田山』と同じように素晴らしい街」が実現する。
ただ、多くのメディアやブロガーなどが「割安」などと書き立てるのには同意できない。土地の取得価格が1種当たり8万円(記者推測)だから、安くなって当然だと思うからだ。周辺物件などと比較することは無意味だ。
全住戸の販売が完了・引き渡しが終了した時点で、当初予定の計画より売り上げ・利益が1%以上上回ったら、経費を差し引き、利益は都とデベロッパーとで折半するという契約条項は適用されるのではないかとみている。
記者がもっとも懸念していたアクセスだが、東京BRT(Bus Rapid Transit)は、計画通り本格運行時には新橋まで10分で着くことができるという。
135㎡モデルルーム
77㎡モデルルーム
95㎡モデルルーム
「HARUMI FLAG」で美しい花を咲かせたい 光井純氏 建築美を語る(2023/1/30)
文句なしにいい街づくり・基本性能 坪単価280万円か 「HARUMI FLAG」(2019/4/24)
商業施設「三井ショッピングパーク ららテラス HARUMI FLAG」に決定
「三井ショッピングパーク ららテラス HARUMI FLAG」(写真提供:JOC/三井不動産レジデンシャル)
三井不動産は4月6日、HARUMI FLAGエリア内のライフスタイル型商業施設の名称を「三井ショッピングパーク ららテラス HARUMI FLAG」に決定したと発表した。2024年春に開業する。
5,632戸の分譲住宅・賃貸住宅と商業施設の合計で24棟を整備する晴海五丁目西地区第一種市街地再開発事業として開発を進めているもので、同社は商業施設の特定建築者に選定されている。
施設1階には、TEAM JAPANゴールド街づくりパートナーとして同社が活動を支援している日本オリンピック委員会のオリンピック・ムーブメントの発信拠点「日本オリンピックミュージアム」サテライトとして、「TEAM JAPAN 2020 VILLAGE」を設置する予定。
施設は、敷地面積約11,300㎡、鉄骨造(一部鉄筋コンクリート造) 3階、地下1階建て延床面積約19,800㎡。店舗数約40店。竣工は2023年8月の予定。2024年春に開業する。
企画ヒット「間取りのない家」消費者も評価 伊藤忠都市開発「西葛西」
「クレヴィア西葛西」
伊藤忠都市開発が分譲中の「クレヴィア西葛西」を見学した。「間取りのない家」がコンセプトで、可動収納とウォールドアの組み合わせにより3LDKのプランを5パターン以上変えられるのが特徴で、購入顧客も選好理由は立地条件に次いで2番目に上げるなど、企画意図がヒットした。
物件は、東京メトロ東西線西葛西駅から徒歩6分、江戸川区西葛西六丁目の近隣商業地域(建ぺい率100%、容積率400%)に位置する12階建て全49戸。専有面積は33.43~71.71㎡、坪単価は350万円。先着順で分譲中の住戸(5戸)の専有面積は68.46~71.20㎡、価格は6,890万~7,580万円。坪単価は350万円。竣工予定は2024年2月中旬。管理は伊藤忠アーバンコミュニティ。施工は川村工営。設計・監理は三輪設計。販売代理は伊藤忠ハウジング。
敷地は東南道路の角地。住戸は2階以上で、6階までは1フロア5戸(うち2スパンは33㎡の1LDK)、7階以上は4戸。
「間取りのない家」は、夫婦2人、夫婦と小さな子ども1~2人、夫婦と成長したこども1~2人などライフスタイル・ステージによって間取りを変更できるようしたもの。71㎡のAタイプにはウォールドアと可動収納(W850×D600×H2450、本体重量約130~170kg/台)4個を装備している。
昨年9月にホームページを、今年1月にコンセプトルームをそれぞれ開設。これまでエントリー数は850件超、来場者は約120件。第1期25戸を3月末に分譲開始し、これまでに20戸が成約・申し込み済み。
主な基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、ディスポーザー、食洗機、フィオレストーンキッチン天板、3種から選べる「DRESSIMO」、IoTスマート機器など。
可動間仕切り
ウォールドア
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住宅のnLDK表示の嚆矢は、1960年ころの日本住宅公団の賃貸マンションで、考えだしたのは建築家・磯崎新氏だとされている(磯崎氏は肯定も否定もしていない)。
記者は、住宅戸数が絶対的に不足していた高度成長期や、ファミリー層を主なターゲットにしていたバブル崩壊前までは、nLDK表示はそれなりに意味を持っていたと思う。しかし、バブル崩壊後は新たな需要層として単身者・DINKSが登場し、子育てを終えた高齢者の需要も多いことから、nLDK表示の意味はないと考えている。住宅の質は基本的には広さであり、その空間をどのように利用するかは購入者が考えることだ。
デベロッパーもそのことに気がついているようで、モデルルームでは3LDK、4LDKを1LDKにしているケースも多い。
その意味で、同社の提案はニーズにマッチしたものだと思う。71㎡のA~Dのプランも可動収納・ウォールドアを使いやすいものになっているのがいい。間口はA・Bタイプは7600ミリ、Cタイプは8400ミリ、Dタイプは7550ミリだ。Aタイプの5.4帖大の主寝室に可動収納4個(左右3400ミリ)を1列に並べることもできる。間口が6000ミリの一般的な3LDKではこのような提案はまずできない。
同社は今後の展開について、可動間仕切りの追加購入を可能にし、他物件にも採用を検討しているという。天井の高さによってサイズを変えられるようにし、量産も可能になればコストが下げられるはずで、普及スピードは高まると思う。
同社のマンション管理についても一言。マンション適正評価制度が始まって1年が経過するが、★5つの物件を管理会社別でみると、グループの伊藤忠アーバンコミュニティが他社を圧倒している。
「間取りのない家」提案 伊藤忠都市開発「西葛西」コンセプトルームオープン(2023/1/19)
登録件数1000件突破 ★5つ最多は伊藤忠アーバン マンション管理適正評価(2023/4/2)
「ZEH-M」認定の再開発タワー「池袋」「月島」モデルオープン 住友不動産など
「グランドシティタワー池袋」
住友不動産などは4月3日、再開発マンション「グランドシティタワー池袋」(878戸)と「グランドシティタワー月島」(1,285戸)のモデルルームをそれぞれ5月下旬にオープンすると発表した。双方とも「ZEH-M Oriented」認定を受けており、双方合わせて4,000件超の問い合わせがあるという。販売は8月の予定。
「池袋」は、東京メトロ有楽町線東池袋駅から徒歩1分の施行面積約1.7haの「南池袋二丁目C地区第一種市街地再開発事業」で、豊島区最大級、最高層の制震52階建て878戸(非分譲住戸105戸・その他住戸30戸含む)。売主は同社と三井住友信託銀行。設計はINA・清水・前田設計共同企業体。施工は清水・前田建設共同企業体。竣工予定は2027年4月中旬。販売開始は8月上旬。
「月島」は、東京メトロ・都営大江戸線月島駅から徒歩5分の施行面積約1 .5haの「月島三丁目北地区第一種市街地再開発事業」。中央区最高層の58階建て1,285戸(非分譲住戸340戸、その他広告対象外住戸30戸含む)。売主は同社のほか東京建物、大和ハウス工業、首都圏不燃建築公社。設計は五洋建設・大建設計特定業務代行共同体、施工は五洋建設。竣工予定は2026年4月下旬。販売開始は8月中旬。
「グランドシティタワー月島」
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坪単価はいったいいくらになるか。とても悩ましい。記者は昨年、東急不動産他「十条」が坪470~480万円で分譲開始されてから相場観が狂ってしまった。
「十条」がこの単価なら、「池袋」(東池袋だが)で坪500万円以下はありえないし、湾岸の「月島」だって「十条」には負けないような気がする。双方とも坪500万円を超えてくることになるのか。
登録件数1000件突破 ★5つ最多は伊藤忠アーバン マンション管理適正評価
マンション管理業協会は3月31日、マンション管理適正評価制度の登録数が2023年度末で1,195件に達したと発表した。★の内訳は★5が232件(全体の19.4%)、★4が396件(同33.1%)、★3が412件(34.5%)、★2が155件(同13.0%)となっている。
都道府県別登録数では、東京都が最も多く413件(同34.6%)、次いで大阪府が144件(同12.1%)。戸数規模別では、小・中規模の100戸未満が全体の約86%を占めている。竣工年別では、2011年~2020年竣工、2001年~2010年竣工、1991 年~2000年竣工のマンションが同じような割合で登録されている。評価と戸数規模では、400戸超の大型マンションで★5評価の割合が高くなっている。
同協会では、★2でも積極的にマンションの管理状況を開示し、得点・ランクアップを目指している管理組合が多くあることから、「評価結果の推移の見える化」の一環として過去の登録ランク(ポイント)との推移が確認できるようシステムの改良を行うとしている。
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同協会のサイトから、★5つの232件を管理会社別に見てみた。以下の通り。このほか委託管理会社の記載のない物件もかなりあり。
・伊藤忠アーバンコミュニティ(UC) 43件
・三井不動産レジデンシャルサービス 35件
・野村不動産パートナーズ 33件
・長谷工コミュニティ 24件
・東急コミュニティー 18件
・日本ハウズイング 13件
・三菱地所コミュニティ 12件
・近鉄住宅管理 11件
・阪急阪神ハウジングサポート 5件
・東京建物アメニティサポート 4件
・大京アステージ 3件
・サンヨーホームズコミュニティ 3件
・大和ライフネクスト 2件
・遠鉄アシスト 2件
・東武ビルマネジメント 2件
・ライフポート西洋 1件
・大成有楽不動産 1件
・ナイスコミュニティー 1件
・住友不動産建物サービス 1件
・エム・エフ・リビングサポート 1件
・アセットライフ 1件