【お詫び&訂正】大和ハウス分譲戸建て 発注先「飯田産業」⇒「飯田グループ」

永瀬氏
2024年7月19日付の当Web記事「大和ハウス 飯田グループ飯田産業と分譲戸建ての設計・施工契約 トップの深謀遠慮か」の記事中、「飯田産業」は誤りにつき「大和ハウス 飯田グループと分譲戸建ての設計・施工契約…」に変更します。ご迷惑をおかけした関係者にお詫びするとともに、記事を以下のとおり、訂正し再掲載します。
大和ハウス工業が飯田グループの飯田産業と設計・施工契約-大和ハウス工業は7月18日、メディア向け「戸建住宅事業 計画説明会」を行い、同社取締役常務執行役員・永瀬俊哉氏は、この8月に埼玉県で完成する分譲戸建て3戸の設計・施工を分譲戸建てのガリバー企業集団・飯田グループホールディングスの1社に発注し、同社が売主になると話した。同様の契約を分譲戸建て供給ナンバー2のオープンハウスとも結ぶ計画が進行しているとも語った。
◇ ◆ ◇
これには、記者は心臓が飛び出さんばかりの衝撃を受けた。同社が2021年9月に行った基準地価に関する記者レクチャー会で、同社住宅事業本部事業統括部分譲住宅グループ部長・本間生志氏が、「いわゆるパワービルダーの市場占有率が高い北関東などでは苦戦が続いている」と語ったのに対し、記者は「そもそも建築単価が倍くらい違う分譲戸建て御三家とは争わないで、大手デベロッパーのように都市型に絞り、経営資源もそこに集中したほうがいいのでは」と質問したところ、本間氏は「仰る通り。当社も含め大手ハウスメーカーは互角に戦えない。人的資源を都市部に移すよう着手している」と答えていたからだ。飯田グループへの設計・施工依頼は、戦わないで手を組むとも受け取れる。
だが、しかし、よくよく考えてみると、これもありかと思う。今回の飯田グループとの契約について永瀬氏は、同社・芳井敬一社長の決断であることを明らかにした。大和ハウス工業と大東建託は今年3月、「災害における連携及び支援協定」を締結したが、これも同社・芳井社長と大東建託・竹内啓社長のトップ同士の決断だった。そういえば、先の積水ハウスの「都市の生物多様性フォーラム2024」にはデベロッパーの東急不動産ホールディングスと三菱地所レジデンスも参加していた。企業トップの深謀遠慮が見え隠れする。三井不動産レジデンシャルは浦和美園の分譲戸建てに施工したポラスをパンフレットやチラシに大書きして宣伝したのも思い出す。
記者は飯田グループ6社が経営統合した2013年以降ほとんど見学・取材はしていないが、それまではグループ内の2社は結構取材している。レベルの高い大規模開発を両社は行っていた。
また、飯田グループも新しい動きがある。「飯田グループホールディングスTCFDレポート2023」(発行日:2023年7月11日)では「2023年3月時点の基準において、当社グループで供給する約80%の住宅は、ZEH(ゼッチ)水準である『断熱等性能等級5』かつ『一次エネルギー消費量等級6』を取得しています。この性能の住宅は一般的な住宅と比べて約20%の削減効果があります」と公表した。飯田グループの中核企業である一建設は長期優良住宅認定制度に対応した分譲戸建住宅の供給を2024年8月末より全国の営業エリアで順次開始するとし、その記者説明会を8月1日に行う。
全国の分譲戸建ての着工戸数は令和4年までは増え続けてきたが、令和5年からは減る一方で、令和6年6月現在、19か月連続して前年同月を下回っている。直近4か月は二ケタ台マイナスだ。
◇ ◆ ◇
以下は、記事掲載から今日までの経緯。問題になった記事について、飯田グループホールディングス広報から7月25日付で「飯田産業の築地社長に確認したところ、記載されているような事実は全くないことが確認されました。よって、本記事の削除をお願い申し上げます」とのメールが届いた。記者は「永瀬氏が明言しましたので、記事に誤りはないと思います」と記事削除の依頼を断った。
しかし、その後、「飯田産業」は「東栄住宅」の誤りではないかと思い、記事を非公開にするとともに、8月中旬に大和ハウス工業広報に事実確認のお願いをしていたところ、9月4日付で同社広報から「正しくは、飯田グループホールディングスの1社に発注となります」との連絡が入った。
大和ハウスがどうして間違ったか不明だが、永瀬氏の当時のトークをアーカイブ用視聴URLから再現する。以下の通りだ。
「あの…言っていいのか…大丈夫なの…他社…デベロッパー…大丈夫かい? あの…、えっと、実はいま埼玉で、飯田産業さんに…3棟かな、3棟発注させていただいて…これは、えーっと、当社の社長の芳井と飯田産業さんのトップの方が財界活動の中で案外親しくされているみたいなんですけど、そういう話の中で、ちょっと一緒にJVの形でやってみようかということになり…我々が買った土地で分譲住宅を計画していたんですけど、ちょっと計画していただけませんかとプランを出していただいて、設計・施工でやっていただいてます。それが8月くらいに竣工して、それを売主・大和ハウス工業、設計・施工は飯田グループさんの…飯田さん…なんちゅうところでしたか…あそこは何社かありますよね…そういう形で販売しようということでやってます。
実は、ほかのエリアでも、例えばオープンハウスさんとそういうチャレンジしてみたいとやってますので、自社施工の分、グループの大和ランテックに施工してもらう分と、他社に純粋に設計・施工をお願いして、我々としてはデベロッパーだけでやっていこうという分…いろいろやり方を試しているということです」
いかがか。永瀬氏は前半の部分で2度も「飯田産業」を口にした。後半の部分で言いよどんだのが引っ掛かるが、文脈からして「飯田産業」と受け取るのが自然だ。
しかし、記者にも責任がある。永瀬氏が後半の部分で言いよどんだ理由を聞くべきだった。なぜそうしなかったか。言い訳になるが、勉強会が終わったのは午後2時半ころ。個別質問の列に加わればよかったのだが、この日は午後4時に、同社の聖蹟桜ヶ丘駅圏の分譲戸建ての取材が入っており、時間的余裕はなかった。
これで一件落着となり、恥をかいたのは小生だけなのだが、新たな疑問も浮上してくる。先述したように、永瀬氏はリアルとオンライン合わせて40人くらい参加したと思われる説明会で、「飯田産業」に設計・施工を発注すると話した。
ところが、それを伝えたのはどうやら小生だけのようだ。これが解せない。売上高5兆2,029億円(2023年度)のわが国最大のハウスメーカー・デベロッパーの同社と、全国分譲戸建て市場の約3割、年間約40,000棟を販売するガリバー企業・飯田グループが手を組むという、人が犬を咬むようなビッグニュースを伝えないメディアはリテラシーが欠落していると言わざるを得ない。例えて言えば、歌を忘れたカナリア、盗人に尻尾を振る番犬、ネズミを追わなくなった飼い猫、1週間遅れのコピペ記事を書くのに何の痛痒を感じなくなったゆでガエル記者と一緒といったら失礼か。
大和ハウス分譲戸建て拡大へ 見本となるか 「聖蹟桜ヶ丘」 植栽に力 天井高3.16m(2024/7/18)
大和ハウス分譲戸建強化 4年後に4.5倍増の7000戸「木造」へ舵切り(2023/11/24)
住宅性能評価の分譲戸建てシェア74% 飯田GHは「ZEH化50%」に舵切りを(2023/8/28)
分譲戸建て「仕入れ強化。Nearly ZEH進める」本間部長大和ハウス恒例レクチャー会(2022/3/17)
分譲戸建て御三家とは戦わない都市部に人的資源移す大和ハウス(2021/9/15)
全120区画の1~3期64戸が即日完売 飯田産業「ハートフルタウン豊田」(2011/2/18)
大和ハウス分譲戸建て拡大へ 見本となるか 「聖蹟桜ヶ丘」 植栽に力 天井高3.16m

「セキュレア多摩聖蹟桜ヶ丘」
大和ハウス工業が分譲中の戸建て「セキュレア多摩聖蹟桜ヶ丘」を7月18日見学した。見学する前に同社のメディア向け「戸建住宅事業 計画説明会」が行われ、同社取締役常務執行役員・永瀬俊哉氏が2027年度に分譲戸建てを7,000戸に拡大するなどと語ったのだが(2023年度は1,760戸)、この「多摩聖蹟桜ヶ丘」は永瀬氏の話を補完・補強する見本でもあり、あるいは同社の戸建て分譲のあるべき姿を示唆する物件だ。
物件は、京王電鉄京王線聖蹟桜ヶ丘駅から徒歩8分、多摩市関戸二丁目の第一種低層住居専用地域(建ぺい率50%、容積率80%)に位置する敷地面積121.94㎡、軽量鉄骨2階建て延床面積97.13㎡、価格は8,490万円。建物は6月に完成済み。
現地は、同駅圏の閑静な戸建て住宅街の一角。三方角地に位置しており、基本性能・設備仕様は、xevoΣ(ジーヴォシグマ)仕様で、ZEH対応、1階LDK天井高2.7mからリビング部分は床面を約40cm下げたロースタイル天井高3.16m(吹き抜け5.64m)、アルミ・樹脂複合サッシ、階段ステップ15段など。多摩川へは徒歩1~2分。
企画、販売担当の同社東京西支店住宅営業所南多摩住宅営業所分譲三課・塩谷心氏は「三方角地の立地特性を考え。日差しが日常的に入るよう窓面を多くし、1階は吹き抜けを含めてリビング天井高を3m以上確保して、外構も周辺の戸建て住宅街と調和するよう植栽にも力を入れました。ターゲットは地域の富裕層です」と話した。

リビング

吹き抜け
エントランス
◇ ◆ ◇
取材が実現した種明かしから。30年以上前から取材しているRBA野球大会の試合終了後だ。昔は強かった時期もあったが、この十数年間はほとんど〝出ると負け〟(くじ運に恵まれて1勝か2勝したときもあったが)を繰り返してきた、大和ハウス工業の主力メンバーの一人、足立英彦氏(同社東京西支店住宅営業所南多摩住宅営業所分譲一課上席主任)がチラシを持って現れた。「不動産会社向けに6現場の分譲住宅見学会を7月18,19日に行う。ぜひどうぞ」と記者に声を掛けた。
渡りに船だ。見学会が行われる7月18日は、同社の「戸建住宅事業 計画説明会」を取材することになっていたので、その後の取材・見学を申し込み実現した。足立氏と、見学に同行していただいた同社広報担当者に感謝申し上げる。
結果は大成功。駅からの現地までの道すがら〝劣悪な物件だったらどうしよう〟とずっと考えていたのだが、外構の植栽を見てこの不安は吹っ飛んだ。素晴らしい。1階のLDKや洗面・浴室、この洗面・浴室と一体利用できる北側のテラスの提案もいい。わが多摩市の分譲戸建ては20年くらい見ていないが、どこの物件と比較しても負けないはずだ。
足立氏は、「この『聖蹟桜ヶ丘』は塩谷が企画に力を入れた物件。18日、19日の見学会には100人くらいの見学を予定している。地域の不動産会社の方の声を聴き、情報を収集し、今後の事業展開に生かしていきたい」と話した。
冒頭に「永瀬氏の話を補完・補強する見本でもあり、あるいは同社の戸建て分譲のあるべき姿を示唆する」と書いたが、詳細については明日書く。

左から足立氏、塩谷氏、同社東京西支店建築営業所営業課・林太陽氏(足立氏は母校の攻玉社が17日行われた高校野球東東京大会3回戦の対板橋高戦で最終回、0-6から同点に追いつき、タイブレークでサヨナラ勝ちしたと話した)
「LEED-NDプラン認証」と「SITES予備認証」を同時取得 「グラングリーン大阪」

うめきた公園を含む開発エリア全体に植樹される1,600本以上の樹木の樹種・本数・胸高直径から年間のCO2固定量を算出すると、年間の総CO2固定量は35.9tという結果となり、これは出力370Wの太陽光パネルが発電する際のCO2削減量に換算すると約190枚分に相当する
三菱地所を代表企業とするグラングリーン大阪開発事業者JV9 社は7月17日、開発を進めている「グラングリーン大阪(GRAND GREEN OSAKA)」が米国のグリーンビルディング協会(USGBC®)による国際的な環境性能認証制度「LEED®」のまちづくり部門「ND(Neighborhood Development:近隣開発)」のプラン認証と、ランドスケープのサステナビリティを主に評価する「SITES® (The Sustainable SITES Initiative)」の予備認証でGOLD評価を同時取得したと発表した。「LEED-NDプラン認証」と「SITES予備認証」を同時取得するのは、都市公園を含む複合開発で日本初となる。
「LEED-NDプラン認証 (GOLD評価)」は、USGBC(U.S. Green Building Council)が開発したビルト・エンバイロメント(建物や都市の環境)を評価する認証制度で、審査はGBCI®(Green Business Certification Inc.)が行い、LEED NDは、建物単体ではなく、エリアの環境性能評価を目的としたLEED 認証システムで、ウォーカビリティ、職住近接、多様な用途、コンパクトシティ、自然資源保護などを評価するもの。
「SITES予備認証 (GOLD評価)」は、ランドスケープのサステナビリティを評価する米国の認証制度で、GBCIが審査を行い、計画・設計の内容だけでなく、敷地の選定や計画プロセス、施行時・施行後の運用維持管理段階も評価対象となり、生物多様性保全や水資源保全、省エネルギー、資源循環、ヒートアイランド現象緩和、健康増進、教育など多面的な要素を評価する。
「グラングリーン大阪」は、地区面積約91,000㎡のうち約45,000㎡を都市公園とし、地区面積の約3分の1となる約30,000㎡に約320種(在来種約270種を含む)、1,600本以上の樹木で多様な緑地を形成し、西日本最大のターミナル駅前に圧倒的なみどり空間を創出する。上記認証のほか、「DBJ Green Building 認証」、「ABINC ADVANCE認証」、「ZEB Oriented認証(事務所部分)」「CASBEE スマートウェルネスオフィス認証」の6つを取得している。
◇ ◆ ◇
記者は、この「LEED-NDプラン認証」「SITES予備認証」なるものの価値がさっぱりわからない。プレス・リリースをコピペしたに過ぎない。専門家ならいざ知らず、読者の方も同じように受け取られるのではないか。これまで何度も書いてきたが、わが国の「みどり」の価値を可視化する取り組みが圧倒的に遅れている証左だ。
事業者は、都市公園のオープンセレモニーを9月に行うはずで、しつかり見学してレポートしたい。今回のプロジェクトは、公園指定管理者制度に基づくものだが、「都市公園リノベーション協定制度」や都の「公園まちづくり制度」を活用した都市公園と民間施設を一体的に開発する事例は加速度的に増えるはずだ。
一つ、分かりやすく説明すると、都市公園面積約4.5haそのものはそれほど大きくはない。都内の駅に近い公園と比較すれば、77.8haの葛西臨海公園や60.7haの光が丘公園などとは比較にならず、わが多摩市の11.3haの多摩中央公園の4割だ。規模的には4.3haの芝離宮恩賜庭園に近い。
地区内約3.0haに1,600本以上の樹木を植えることについても何とも言えない。この3.0haは都市公園を含む面積だから、都市公園全体が樹木でおおわれるわけではない。今日も記事にしたが、東京都は「公園内で樹木などの緑で覆われていない面積の割合」も「みどり率」にカウントしている。このモノサシで測ると、「グラングリーン大阪」は相当のみどりが植えられることになる。
樹木の本数1,600本以上というのも比較するものがないが、例えば、いま話題になっている「神宮外苑再開発」はどうか。開発面積約28.4haに現在の1,904本(質は問わない)から1,998本(同)に増える計画だ。断っておくが、「神宮外苑再開発」は都市公園の整備ではないことだ。都市公園と都市計画公園は似て非なるものであることを我々は知る必要がある。
「グラングリーン大阪」9月6日まちびらきうめきたMMOが公園指定管理者に決定(2024/2/24)
「多摩中央公園改修」の疑問氷解樹木5000本うち伐採予定1125本の8割は実生木(2023/10/21)
バブルに乗り踊った故・長田高明氏(99) 東京カンテイが「お別れ会」
R.E.portは7月16日、「東京カンテイは16日、4月24日に99歳で死去した同社取締役会長・長田高明氏のお別れの会を、オークラ東京オークラプレステージタワー『オーチャード』」で開催。故・長田氏は1924年7月、山梨県北杜市生まれ。東京第三師範学校を卒業後、陸軍幹部候補生として兵籍に編入。陸軍特攻隊訓練中に終戦を迎えた。その後、小学校教員などを経て、63年に三共建物(現・朝日管理)を設立。79年に東京カンテイを設立した」と報じた。
見出しだけ読んだだけだが、不動産経済通信も同日、長田氏の「お別れの会」が「しめやかに行われた」と報じた。
◇ ◆ ◇
この記事を読んで、記者は複雑な気持ちになった。確かに長田氏は東京カンテイの創業者ではあるが、同氏が設立した旧朝日建物について触れないのはいかがなものかという思いだ。この記事を書いた記者の方は長田氏に会ったこともなく、朝日建物がどのような会社だったかを知らないはずだからやむを得ないのだろうが…せめて長田氏をよく知る参列者の声を載せてほしかった。(経済通信は載せたのか)
斯くいう記者も、長田氏とは2~3回くらい会っただけ、話し込んだことは一度もない。陸軍特攻隊員だったのを初めて知った。ただ、朝日建物のマンションは昭和50年代の後半から60年代の前半にかけてかなり見学した。準都心部で今でいう〝駅近〟マンションを供給していた。最後に見学したのは、1996年竣工の「朝日パリオ越谷」だった。
同社は質の高いマンションを供給したが、実兄の故・長田庄一氏(元東京相和銀行取締役会長)との関係も触れないわけにはいかない。中古マンション価格が新築マンション価格を上回った異常なバブル期に同社は中古マンションを買い漁り、いわゆる〝マンション転がし〟の急先鋒の役割を果たした。直接、同社に取材したわけではないが、年間にして数百億円、数百戸を売買していたはずで、その事業資金は東京相和銀行から流れていたというのは業界の周知の事実だった。
1999年、東京相和銀行の破綻により、朝日建物は東京地裁に和議を申請し、その後、セコムが営業権を譲り受け、ホリウチコーポレーション(堀内建設)と合併させてセコムホームライフとしてマンション分譲を継続してきた。セコムホームライフは2020年、穴吹興産グループ入りし、社名もあなぶきホームライフに変更された。そして昨年10月、穴吹興産は同社を吸収合併し、あなぶきホームライフは解散した。
東京カンテイと朝日管理の社長は、長田氏の実子の長田千江美氏のようだが、記者は東京カンテイが設立された時、目黒駅前の雑居ビルに取材に行ったのを覚えている。今のような大きな会社になるとは夢にも思わなかった。
余談だが、「お別れの会」は本当に「しめやかに」行われたのか。記者などはこの年(75歳)になって「しめやかに」葬られるのはまっぴらごめんだ。参列者(来てくれるかどうか)に失礼だ。葬儀には好きなヘンデルの「水上の音楽」を流すよう身内に頼んでいる。
坪単価300万円を切りそう この単価は近く枯渇する 大成有楽不動産他「葛西」

「オーベル葛西ガーラレジデンス]
大成有楽不動産(事業比率60%)、FJネクスト(同30%)、三信住建(同10%)の3社JV「オーベル葛西ガーラレジデンス]モデルルームを見学した。葛西臨海公園駅から徒歩15分(バス便だと徒歩時間を含めて10分以内)とややあるが、坪単価は300万円弱になる模様で、23区立地では希少のファミリーマンションだ。
物件は、JR葛西臨海公園駅から徒歩15分、江戸川区南葛西5丁目の第一種住居地域に位置する10階建て全155戸。専有面積は62.72~86.83㎡、予定価格は4,600万円台〜8,900万円台(最多価格帯5,900万円台・6,000万円台・6,300万円台=各13戸)、坪単価は300万円弱になる模様。竣工予定は2026年2月。施工は大京穴吹建設。販売代理はFJネクストレジデンシャル。
主な基本性能・設備仕様は、ZEH-M Oriented認定、直床、標準階のリビング天井高2400ミリ、食洗機、スロップシンク、浴室タオル掛け、ブレーキ機能付き引き戸など。
これまでのモデルルーム来場者は170件強。今月末に第1期が分譲される予定。

モデルルーム

模型
◇ ◆ ◇
昨日は痛飲し、この日(7月12日)の朝方には酒は抜けていたようにも思ったが、そうでもなかったようだ。マンションを出るとき雨が降っていたのに、ままよと傘を取りにいかずそのまま出た。モデルルームに着いたのは9時。スーツはグレーで、文字通りぬれねずみになった。
基本性能、設備仕様レベルをモデルルームで確認しながら、胡乱な頭をフル回転させて坪単価を予想した。駅に近かったら坪400万円しても不思議でないが、徒歩15分だと坪300万円くらいかとはじいた。それでもちょっと高いか。
担当者に聞いたら「坪300万円弱」とのことだった。酒は飲んでも、マンションのこととなると正気に戻るらしい。23区内で坪300万円を切る物件は近く枯渇するはずだ。基本性能・設備仕様はこんなものだろう。強調材料は、大成有楽不動産の〝十八番〟「オレンジラボ」がフル装備されていることだ。
もう一つ、肝心なことだが、物件ホームページに「葛西臨海公園」へ徒歩16分のほか「江戸川区の公園総面積は23区NO.1の約776万㎡。本プロジェクトの徒歩10分以内にも8つの公園がある」と紹介されているように、江戸川区のみどりは他区より豊かであることだ。
東京都の調査による平成30年の江戸川区のみどり率は30.8%で、区部平均の24.2%を6.6ポイント上回っている。23区でみどり率が高い千代田区(皇居が多くの面積を占める)、練馬区などに住んでいる人はともかく、その他の区に住んでいる人が江戸川区内の街を歩くとその緑の量の多さに驚くはずだ。記者は、この「みどり」の価値を可視化することを願っている。
「みどり率」は、「緑被率」に「河川等の水面が占める割合」と「公園内で樹木などの緑で覆われていない面積の割合」を加えたもので、東京都はこの指標を用いており、今年度中には新しい2023年のデータを公表する予定だ。一方で、各区や他の道府県は「緑被率」や「緑視率」の数値を重視しているところが多い。当然のことだが、「みどり率」のほうが「緑被率」より高い数値を示す。このあたりを整理する必要がある。
今回の記事とは関係ないが、具体的な例を示す。いま話題となっている神宮外苑の再開発。日本イコモスが2023年5月に事業者宛てに「緊急要請」を行ったのだが、その「回答」として、事業者は「絵画館前の軟式野球場の緑については2018年の航空写真(google earth)を参照し、野球場の内野エリア等が土系舗装等であることを確認しております。『日本イコモス国内委員会』による算定では、土系舗装等の緑で被覆されていない部分も含んでいるため、現況の緑の割合に違いが生じておりますが、土系舗装等を含まない算定が正しいものと考えます」としている。
つまり、みんな都合のいいように数値を解釈しているということだ。ちなみに、生物多様性センターのデータによると、47都道府県で緑被率がもっとも高いのは京都府で、もっとも低いのは東京都でも大阪府でもなく埼玉県だ。滋賀県の緑被率は全国平均を少し上回っているくらいだが、県域面積の6分の1を占める琵琶湖を「みどり率」に加えると、間違いなくベスト10入りするはずだ。
レインズ新規登録 都心は異常な価格上昇 城北は単価、価格下落、面積縮小、築古増加
東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は7月10日、首都圏の6月の中古マンション・戸建て市場動向をまとめ発表した。
中古マンションの成約件数は3,259件(前年同月比4.8%増)、坪単価は257万円(同7.9%増)、価格は4,956万円(同7.5%増)、専有面積は63.57㎡(同0.3%減)となり、成約件数は13か月連続、坪単価は50か月連続、成約価格は49か月連続でそれぞれ前年同月を上回った。
成約坪単価を都県別にみると、東京都は341万円(8.1%増)、神奈川県は196万円(同7.9%増)、埼玉県は139万円(同0.9%減)、千葉県は134万円(同7.5%増)。
中古戸建ての成約件数は1,302件(同14.4%増)、価格は4,016万円(同7.1%増)、土地面積は146.79㎡(同4.2%増)、建物面積は104.29㎡(同0.5%増)となった。成約価格は5か月連続で前年同月を上回った。
◇ ◆ ◇
レインズデータによると、都心3区(千代田・中央・港)の成約件数は237件(前年同月比2.2%増)、坪単価は604万円(同17.1%増)、価格は10,097万円(同11.8%増)、専有面積は55.14㎡(同4.5%減)、築年数は20.05年(同0.35年増)。一方で、新規登録件数は964件(同13.5%減)、坪単価は739万円(同25.0%増)、価格は12,331万円(同25.9%増)、専有面積は55.04㎡(同0.7%増)、築年数は23.54年(同0.4年減)となっている。
城東地区(台東・江東・江戸川・墨田・葛飾・足立・荒川)の成約件数は411件(同12.6%増)、坪単価は282万円(3.2%増)、価格は5,243万円(同0.7%増)、専有面積は61.32㎡(同2.4%減)、築年数は21.02年(同2.2年増)。新規登録件数は1,893件(同9.1%減)、坪単価は261万円(同5.3%増)、価格は4,283万円(同4.3%増)、専有面積は54.07㎡(同1.0%減)、築年数は26.06年(同0.44年増)となっている。
城南地区(品川・大田・目黒・世田谷)の成約件数は337件(同7.3%増)、坪単価は366万円(同6.4%増)、価格は6,657万円(同9.0%増)、専有面積は60.00㎡(同2.4%増)、築年数は24.39年(同0.75年増)。新規登録件数は1,695件(11.0%減)、坪単価は350万円(同6.3%増)、価格は5,318万円(同6.7%増)、専有面積は50.43㎡(同0.4%増)、築年数は32.40年(同1.85年増)となっている。
城西地区(新宿・渋谷・杉並・中野)の成約件数は262件(同4.0%増)、坪単価は448万円(同12.2%増)、価格7,175万円(同11.0%増)、専有面積は52.84㎡(同1.0%減)、築年数は25.68年(同0.61年増)。新規登録件数は1,321件(同13.4%減)、坪単価は444万円(同19.9%増)、価格は6,205万円(同22.6%増)、専有面積は46.10㎡(同2.3%増)、築年数は32.82年(同0.48年増)となっている。
城北地区(文京・豊島・北・板橋・練馬)の成約件数は281件(同7.7%増)、坪単価は294万円(同3.1%増)、価格は5,001万円(同3.6%増)、専有面積は56.20㎡(同0.5%増)、築年数は24.28年(同0.02年増)。新規登録件数は1,362件(同19.2%減)、坪単価は275万円(同1.1%増)、価格は3,964万円(同0.8%増)、専有面積は47.52㎡(同0.3%減)、築年数は30.52年(同0.92年増)となっている。
◇ ◆ ◇
このデータから何を読み取るかだが、記者はエリア分けが適切かどうかと思う。都心3区はわかるが、これを都心4区、又は5区として、渋谷と文京を加えたほうが正確なデータが得られるのではないか。渋谷と文京の坪単価は練馬・北・板橋などと100~200万円は高いはずだ。
この問題はさておき、成約件数が増えているのに登録件数が減少していることをどう読むか。これは先高観による売り惜しみも多少影響しているのではないかと思う。
坪単価は成約、新規登録とも上昇しているが、都心3区の新規登録が前年同月比25.0%上昇していることに注目したい。新規マンションも価格は著しく上昇していることから、中古も一層上昇するという読みが働いていると読める。
興味深いのは、城北エリアだ。新規登録単価は成約単価より坪19万円下落していることだ。これは、成約物件の築年数が24.28年に対して登録物件は30.52年となっており、その差が単価に表れていると読み取れるが、専有面積は成約物件の約56㎡から登録物件は約47㎡へと2.7坪も縮小している。これはなぜか。最近の城北エリアの新築マンションは坪400万円どころか、500万円をはるかに突破しつつあることや、成約件数の約5倍という登録件数の多さなどとの関連はあるのかないのか。
城北地区ほどではないが、城東地区、城西地区も成約単価より新規登録単価のほうが低い。今後どうなるか注視する必要がありそうだ。
価格について。都心3区の成約価格は他の地区より4割から2倍となっており、新規登録価格は他地区の2~3倍へと拡大している。都心への交通利便性を重視するからこのような数値になるのだろうが、住宅の基本的な性能としての住環境をもっと重視すれば結果は異なってくるはずだ。記者はこの〝モノサシ〟が理解できない。
専有面積圧縮は成約、新規登録とも続いているが、成約⇒新規登録は都心3区が55⇒55㎡、城東が61⇒54㎡、城南が60⇒50㎡、城西が53⇒46㎡、城北が56⇒48㎡へと縮小しているのはなぜか。これは築年数とも関連がありそうで、成約⇒新規登録は都心3区が20⇒24年、城東が21⇒26年、城南が24⇒32年、城西が26⇒33年、城北が24⇒31年となっており、築古物件が増加している。築古より築浅が選好されていることの表れか。専有面積と築年数は相関関係があるはずで、築古物件の価格調整がありそうだ。
築25~30年といえば、バブルが崩壊し、新たな市場が形成されだしたころだ。新築マンションは、都心部でも坪300万円超はほとんどなく、首都圏平均で180万円から250万円くらいだったはずだ。購入者はバブルの痛手を受けていない層が中心だった。
現在の新築マンション市場は、どんな郊外でも坪200万円以下はありえず、一定水準のところでは坪250万円以上、23区では300万円以上となっている。質は数年前より間違いなく退行している。都心部は異常だと思うが、中古市場が全体として活況を呈しているのは理解できる。
最近の新築マンションは坪300万円、400万円が当たり前になっているが、設備仕様レベルは10年前の坪単価180万円くらいの郊外マンションとほとんど同じか、それ以下だ。10数年前の新築のリビング天井高2400ミリなどありえない。普通で2500ミリ以上はあった。
リノベーションの提案次第だろうが、中古マンションが新築価格を上回っても全然不思議でないと思う。
外国人に人気№1は「今川焼(抹茶クリーム)」 「MIMARU」&ニチレイフーズ

コスモスイニシアのアパートメントホテル「MIMARU」とニチレイフーズは7月12日、外国人宿泊客に対する試食アンケート調査結果を発表。食後の評価ナンバーワンは「今川焼(抹茶クリーム)」で、2位は「本格炒め炒飯®」、3位は「朝にGood!パンケーキ(メープルクリーム)」だった。
ニチレイフーズが販売する冷凍食品の中から、「MIMARU」スタッフが「朝食におすすめ」「ランチ・夜食におすすめ」の6種類をセレクトし、ホテルに宿泊したゲストに、その中から食べたいものを1人1品ずつ選んで客室内で調理・試食してもらい、食べた結果を5段階評価してもらったもの。
食べた後の評価第1位は「今川焼(抹茶クリーム)」で、「驚くほどおいしい」「抹茶が大好き」というコメントのほか、抹茶のイメージを活かしたパッケージも魅力的と評価された。
第2位は「本格炒め炒飯®」で、最大の冷凍炒飯ブランド(最新年間売上:2023年)としてギネス世界記録に認定された実力を発揮。「風味豊かで本当に美味しく、また買いたいと思う」という声があがった。
第3位は「朝にGood!パンケーキ(メープルクリーム)」で、「子どもたちは朝食のパンケーキをとても気に入っていた!」と家族で楽しんでもらえたという。
また、自国に帰っても食べたい商品の第1位は「本格炒め炒飯®」、2位は「たいやき」、3位は「焼おにぎり」だった。
◇ ◆ ◇
記者は、かみさんが好きなので、取材に行ったときは人形町・柳屋、麻布十番・浪花家総本店の「たいやき」を数個必ず買うが、食べるのは半分くらい。「今川焼」はもう数十年も食べたことがない。この他は見たこともない。
それにしても、「今川焼(抹茶クリーム)」や「たいやき」は饅頭じゃないのか。外国人は朝食やランチで本当に食べるのか。記者のおすすめは固形のふかひれスープ。袋入りラーメンに入れるとふかひれラーメンになる。
この前、品川のカフェ&バー、スーパーでビールの値段を見たら、アメリカのクラフトビールが800~1,000円前後、わが国の缶ビールは200円強。どうなっているんだ。

「物流施設」=「嫌悪施設」=「倉庫」なのか 三井不 ロジスティクス記者説明会

篠塚氏
三井不動産は7月11日、ロジスティクス事業記者説明会を開催。2024年4月に公表した新グループ長期経営方針「& INNOVATION 2030」に基づく戦略について、同社執行役員ロジスティクス本部長・篠塚寛之氏は国内新規8物件の開発を決定し、国内外開発施設は75物件、延床面積約600万㎡、累計総投資額約1兆2,000億円に事業拡大すると発表した。が次の事業を強化すると説明した。主な重点事業は以下の通り。
①広場などの整備や、地域の防災拠点・交流の場の設置、ドローンの実証実験フィールドを併設するなど「街づくり型物流施設」の開発を推進
②DXを活用した物流の自動化や、物流ソリューションの提案・提供により荷主企業のサプライチェーン改革を支援
③冷凍・冷蔵倉庫の開発推進、データセンター事業の拡大、工場・インフラの設備など事業領域を拡大
④テナント向け「グリーン電力提供サービス」など物流業界における先駆的な環境配慮の取り組みを推進

「MFLP・LOGIFRONT東京板橋」
◇ ◆ ◇
記者は、物流は素人だが、同社が行う事業説明会や施設見学会などは欠かさず見学している。強烈な印象として残っているのは2018年5月に行った事業記者説明会で、当時、同社常務執行役員ロジスティクス本部長・三木孝行氏(58)=現顧問=が「もはや、後発ではない。嫌悪施設ではない」などと約1時間40分にわたって熱弁をふるったことだ。
三木氏は「2012年4月に事業参入して7年目を迎えたが、当初10人足らずだったスタッフは60人体制になり、稼働施設は18棟、開発中は14棟、総施設数は32棟、総延べ床面積約270万㎡、累計総投資額は約4,800億円に達した」と語った。
あれから約6年。施設数、延べ床面積、投資額とも2倍以上に達した。篠塚氏も当時からロジスティクス事業に携わっていたはずなので、質問したいことが2つあった。
一つは、現在の物流業界で同社はどのような位置を占めるのか、アナログ業界と言われる業界にどのようなソリューションをもたらすかだ。この点について、篠塚氏はかなり詳細に説明し、「地域の誇りとなれるよう」「地域に愛される」などと語ったが、いま一つわからなかった。
もう一つは、物流施設が「嫌悪施設」でないのなら、業界全体として、われわれメディアもどう呼べばいいのかだ。「嫌悪施設」は法律用語ではなく、公益財団法人不動産流通促進センターが「物流施設」をそう呼んでいるに過ぎない。その一方で、建築基準法では「物流施設」は名称のいかんに問わず「倉庫」として定義されており、様々な建築規制が設けられている。住居系用途地域では小規模な施設を除き、倉庫の建築は不可だ。
しかし、同社の施設もそうだし、最近の物流施設には保育施設や事務所、レストラン、公共施設などが入居し、公園など広場も整備されている。(倉庫が多い準工エリアはほとんどなんでも可の地域)
そのような施設がどうして「嫌悪施設」としてひと括りにされるのか。記者が物流業界に身を置いていたら、不動産流通促進センターに削除を申し入れる。建基法の改正も必要だと思う。「物流施設」=「倉庫」ではない。マンションで人気の「駅近」だって、子育て環境としては最悪の「嫌悪施設」が林立しているではないか。
この点について篠塚氏は「我々がそう呼んでいるわけではないので…」と言葉を濁した。
積水ハウス第3回「都市の生物多様性フォーラム2024」に東急不HD、三菱地所レジ

「都市の生物多様性フォーラム2024」左から久保田氏、松本氏、井坂氏、井上氏、八木氏(KABUTO ONE HALL)
積水ハウスは7月9日、第3回「都市の生物多様性フォーラム2024」を開催、二部構成で一部では冒頭、仲井嘉浩・同社代表取締役社長執行役員兼CEOがあいさつしたほか、環境省自然環境局生物多様性主流化室長・浜島直子氏が同省の取り組みを紹介、東京大学大学院農学生命科学研究科准教授・曽我昌史氏、琉球大学理学部教授(シンク・ネイチャー代表取締役)・久保田康裕氏がそれぞれ基調講演を行った。
仲井氏は、「大変心強い企業」「都市の生物多様性に取り組んでいる第一線、第一人者」「大変光栄」「大変楽しみ」と「大変」を3度口にし、フォーラムに参加した東急不動産ホールディングスと三菱地所レジデンスを持ち上げた。
曽我氏は研究の結果、在来種を中心とした庭の植栽が鬱(うつ)症状の発症リスクを抑える効果があることが分かったと報告。
久保田氏は、新たに開発した「生物多様性可能化提案ツール」はネイチャー・ポジティブの効果を可視化するものとしてBtoCの展開に期待した。
その後の二部構成のパネルディスカッションには東急不HDグループサステイナビリティ推進部部長・松本恵氏、三菱地所レジデンス商品企画部技術環境室グループマネージャー・井上直樹氏がパネラーとして出席、久保田氏と積水ハウスESG経営推進本部環境推進部環境マネジメント室長・井坂由紀氏、同室・八木隆史氏と「都市における生物多様性保全の取り組みの先に見据える未来」をテーマに語りあった。
松本氏は、2010年のCOP10生物多様性交流フェアに参加したことが生物多様性の取り組みを重視するきっかけになったと紹介。生物多様性の保全優先度が高い「広域渋谷圏」の緑地割合面積は年々減少している一方で、同圏内にある同社の39拠点の緑地面積比率は2012年回復に転じていることなどを報告。TNFDレポートの一部を紹介した。
井上氏は、2015年から分譲マンション「ザ・パークハウス」での「ビオ ネット イニシアチブ」、ABINC認証取得に積極的に取り組んできたことなどを紹介。ABINC認証マンションは25物件を超えたと報告した。

仲井氏(左)と浜島氏

曽我氏(左)と久保田氏
◇ ◆ ◇
同社は同日、同社の「5本の樹」計画とシンク・ネイチャーの生物多様性ビッグデータを活用して、顧客の庭における生物多様性保全効果を最大化できる樹木などを提案する社内ツール「生物多様性可視化提案ツール」を6月に共同開発したと発表。
現在、1都3県(東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県)で試験運用を開始して効果を検証し、今後の全国導入を目指す。同ツールを用いることで、従前の提案と比較し約2.6倍の効果を見込んでいる。2001年から開始した「5本の樹」計画の累積植栽本数は2,000万本を達成したことも明らかにした。

◇ ◆ ◇
同社は同日、東京大学大学院農学生命科学研究科・曽我昌史准教授と共同で研究している生物多様性と健康に関する最新の分析内容を発表。庭の在来樹種数が増えることで多様な生きものを呼び込み、敷地内での生きもの(鳥・昆虫)とのふれあい頻度が高まり、それが住まい手のウェルビーイングの向上(幸福感・人生の充実度の向上、鬱症状の低下)に寄与し得ることが分かったとしている。
その一例として、鬱症状の場合、身近な生きもの(主に鳥)を見たり鳴き声を聞いたりする頻度が「全くない」から「よくある」に増加すると、鬱症状の発症リスクが54%から34%に減少する(20pt減る)ことが推定されたと報告した。

◇ ◆ ◇
今回のフォーラムで不思議に思ったことが2つあった。一つは、久保田氏の基調講演は、積水ハウス「5本の樹」計画をもとにしたデータなので当然だとしても、首都圏の戸建て(分譲住宅)は土地の狭小化が進み、緑被率(みどり緑)は退行しており、ぺんぺん草も生えない分譲戸建てが圧倒的シェアを占めているのが現状であり、街路樹は電信柱のように強剪定され、公園などの樹木も大量に伐採されているネガティブの一方なのに、久保田氏はポジティブな話に終始したことだ。
もう一つは、国や自治体の主催ならわからないではないが、積水ハウスが主催なのにどうして同業の東急不HDと三菱地所レジデンスがパネリストに名を連ねたのかだ。記者は、東急や三菱地所と同レベルかそれ以上の生物多様性の取り組みを行っているデベロッパーは少なくとも3~4社はあるとみている。
そこで、①都市の生物多様性の取り組みは全体として退行しているのではないか②どうして東急不動産と三菱地所レジデンスなのか-の2点についてストレートに質問した。
②の質問に対して積水ハウス・井坂氏は「久保田先生が定量評価されているデベロッパーとして紹介された」と回答した。
①について久保田氏は「定量評価した大手(積水ハウス、東急、三菱地所)の対象エリアでは(生物多様性回復は)底を打ち、改善の方向に向かっていることがデータでも示されている。現状ではまだまだ収益性を重視したものが多い。生物多様性の取り組みを重視することが幸せになることを、一般の人にどう広めていくか、メディアの発信力も大事」などと話した。
この回答で疑問は氷解した。東急と三菱は久保田氏からの紹介であり、生物多様性が回復傾向にあるというのは、この3社の施設やマンション、戸建て(東急と三菱の分譲戸建てはほとんどゼロ)を対象にしたものであるということだ。確かに「5本の樹」計画は別格としても、最近の両社の取り組みは半端でない、だが、しかし、全体でみれば〝退行している〟との記者の考えはそれほど的を外していないと理解した。メディア(小生もその端くれ)の発信力が大事(「弱い」と同義語)という指摘はその通りだと思う。目に見えない価値を可視化し、どう伝えていくか、我々は問われている。

背後には、左から本物のアオダモ、コナラ、アオハダ、ナナカマド、アカシデ、シラ菓子、ナツハゼ、アカシデ、アオダモの鉢植えが飾られていた
.緑の質量に圧倒 エントランスに樹齢100年巨木「江古田の杜」街びらきに千数百人(1018/9/23)
生物多様性育む植栽管理計画 導入第一号 東急不動産「ブランズ自由が丘」(2024/6/4)
本物の緑に感動 無国籍・多国籍の店舗構成も納得 東急プラザ原宿「ハラカド」(2024/6/4)
息をのむ自然共生・歴史継承の取り組み 三菱地所レジ「板橋大山 大楠ノ杜」完成(2023/11/13)
本日COP15開幕生物多様性の情報開示焦点積水ハウスのフォーラムから(2022/12/8)
抜群においしいミニトマト ポラス「浦和」街びらき+富山マルシェワークショップ

「結美の丘 浦和 きときとプロジェクト」街びらき+富山マルシェワークショップ
ポラスグループ中央住宅は7月6日、分譲戸建て「結美の丘 浦和 きときとプロジェクト」(全17戸)の街びらき+富山マルシェワークショップを開催、模様をメディアに公開した。全世帯に「ベジトラグ」が無償で提供されたほか、「朝採れ野菜」の試食・格安販売が行われ、市場には卸せない小ぶりのタマネギ一袋がプレゼントされた。購入者14世帯(4世帯は未入居)のうち6世帯が参加した。同様の取り組みは他の住宅地でも行っていく。
同プロジェクトがスタートしたのは2022年11月。富山県は47都道府県の中で野菜生産量が最下位であることに頭を悩ませていた富山青果市場の職員・大石和さんが現状を何とかしたいとホームページで呼び掛けたのを、同社戸建分譲設計本部設計一部営業企画設計課主任・小瀧愛美さんが知ったのがきっかけ。
小瀧さんは、SNSやりモートとリアルな体験を組み合わせれば、富山県産の食(農)を通じて「フードロス」「地球温暖化」「SDGs」などの社会課題に自分事として向き合えるのではないかと考えた。以来、5回富山県に赴き、全農家と話し合い、賛同を得て今回の食育提案にこぎつけた。
小瀧さんはまた、その背景には、同社が4年前、春日部市の市街化調整区域内で分譲した「ハナミズキ春日部 藤塚」(全22戸)で、隣地に約300㎡の市民農園を確保し、「農のある暮らし」をサポートすることにしていたが、生産者の日ごろの作業や想いを知る交流は出来ず、住人の畑の管理が難しくなったこともあると話した。
このため、今回のプロジェクトでは、「農」を軸とした地域交流を「日常」にし、人・モノ・地域をつなげ、生産者支援にも広げる工夫を凝らしたという。
同プロジェクトは、浦和駅東口からバス・徒歩21分(自転車で17分)、さいたま市南区大字広ヶ谷戸の第一種中高層居住専用地域(建ぺい率60%、容積率200%)に位置する全17戸。土地面積は100~103㎡、建物面積は約30坪、価格は4,480万~5,980万円。昨年8月から分譲開始されており、これまで14戸が契約済み(うち4戸は未入居)。従前敷地は畑。



提供された「ベジトラグ」(組み立て前)

提供された「ベジトラグ」を前に記念撮影(小生が「浦和」駅前の再開発マンションは30坪で1億5000万円」と話したら驚いていた)
◇ ◆ ◇
富山県といえば、面積は47都道府県の33番目に小さな県で、ホタルイカと日本酒「立山」、「三協立山」くらいしか知らないのだが、1級河川だけでも黒部川、常願寺川、神通川、庄川、小矢部川の5河が富山湾に注いでいる。急峻なアルプスから一挙に下るためだろう、水はとてもきれいだ。だから米どころとして知られているのだろう。しかし、野菜の生産量が最下位で、県民の野菜摂取量も愛知県に次ぐワースト2位とは全然知らなかった。
この日のワークショップでは、ただで試食していいといわれたので、ミニトマトを1個食べた。抜群においしかった。やや酸味が勝っていたが、甘みもあった。生産者は「山下兄弟」とあった。
自慢じゃないが、家計は火の車のわが家のトマトの年間消費額は一般的な家庭の年間消費額6~7千円の3倍以上だ。まずいトマトは食べない。血糖値の数値が安定しているのはトマトのおかげだと思っている。酒のつまみにしている。
だから、1個食べただけでおいしいかまずいかがわかるのだ。この「山下兄弟」のミニトマトはアメーラには勝てないだろうが、控えめに評価してもスーパーのトマトの2倍はおいしい(同業の記者の方は「3倍おいしい」と言ったが、この方はよりまずいトマトを日常的に食べているからではないか=失礼)。7~8個食べ、1パック100円のトマト3パックと、1個100円のトウモロコシ4個(かみさんの好物。小生は買って食べようと思ったことはない。この差を皆さんは理解できるか)を買った。小生の買ったものをけなすのが趣味のかみさんもトマトを1個食べて「おいしい」といった。
山下兄弟!記事も添付した。「三井ショッピングパーク ららテラスHARUMI FLAG」の「TEAM JAPAN 2020 VILLAGE Cafe&Restaurant CENTRALE」を研究していただきたい(好き嫌いはあるだろうが)。
生産者・廣瀬琢磨さんの「新川(ニイカワ)きゅうり」も丸かじりしたが、いかんせん、生のきゅうりを丸かじりしたのは65年ぶりくらいだ。最近は味が付いたきゅうりもみしか食べたことがないので、比べようがなかった(多分、おいしいのだろう)。
この日提供された富山産の野菜がおいしいのは、化学肥料を極力避け、有機・路地栽培だからだと思う。水も井戸を掘って地下水を利用しているとも聞いた。

左から大石さん、廣瀬さん、小瀧さん

無料のタマネギを袋詰めする参加者
◇ ◆ ◇
市民農園付きの「ハナミズキ春日部 藤塚」(全22戸)は見学取材している。記事を添付したので読んでいただきたい。記者の皆さんにも市民農園は好評だった。しかし、農家出身の小生は農業の苦労をよく知っているので、以下のように書いた。その通りの結果になったようだ。
「老婆心ながら、コロナの影響で〝田舎暮らし〟もいいなと考えている人に一つ忠告したい。佐藤春夫ではないが、『都会』より『田園』のほうがはるかに『憂鬱』だ。もはや田舎の里山はクマ、イノシシ、シカ、サルなどの獣に支配されており、主客が転倒した世界であることを認識すべきだ。怖いのは彼らが運んでくるヤマヒルだ。マダニ、スズメバチ、マムシなども里山を徘徊しており、山頂の風力発電は生態系を狂わせている。田舎暮らしは断じて楽園ではない。〝そんなはずはなかったと〟失楽園となるのは必至だ」
ポラスに提案だ。この種のワークショップは全社的に取り組んではどうか。流通コストの問題はあるだろうが、無限の可能性を秘めていると思う。

「結美の丘 浦和 きときとプロジェクト」
この日買ったトマトを利用したわが家のメインデッシュ・酒のつまみ
調整区域の市民農園付き200㎡邸宅ポラス「ハナミズキ春日部・藤塚」企画秀逸(2020/7/3)

