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「MIMARU SUITES 京都CENTRAL」

 コスモスイニシア、コスモスホテルマネジメントは6月1日、全室ベッドルームを2つ以上備えた「MIMARU SUITES」シリーズ第4弾の「MIMARU SUITES 京都CENTRAL」を同日開業したと発表した。

 ホテルは、京都市市営地下鉄東西線・烏丸線烏丸御池駅から徒歩3分、京都市中京区衣棚通り御池下る長浜町に位置する10階建て延床面積1,944.60㎡の全19室。

 全室85㎡の客室にリビング、キッチン&ダイニング、畳スペース、2つのバスルームを備える。新しいサービスのトライアルとして、「MIMARU SUITES 京都CENTRAL」と「MIMARU SUITES 東京2施設」との間を手ぶらで移動できるサービス、タクシー無料送迎サービス(京都駅 ⇔「MIMARU SUITES 京都CENTRAL」間)、TaxFreeOnline.jp提携サービス」を用意した。

 

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「ルナつくば陣場 クルムフィールド」モデルハウス

 創建が分譲中の総区画195区画の土地・戸建て分譲地「ルナつくば陣場 クルムフィールド」を見学した。最寄り駅のつくばエクスプレス「みどりの」駅から徒歩26~29分の立地だが、1区画180㎡以上、戸建ては建物面積含めて3,500万~4,000万円台が中心。プラン&デザインのよさに感嘆した。

 物件は、つくばエクスプレス「みどりの」駅から徒歩26~29分・万博記念公園」駅から徒歩23分~26分、茨城県つくば市島名・福田坪一体型特定区画整理事業地内に位置する開発総面積約42,969㎡の全195区画。現在分譲中の停止条件付土地分譲(10区画)の土地面積は180.01~180.07㎡、価格は890万~1,590万円(最多価格帯1,500万円台)。分譲戸建て(3戸)は土地面積180.44~180.76㎡、建物面積119.20~142.79㎡、価格2,980万~3,670万円。建物は木造軸組み工法2階建て(外断熱工法)。施工は創建地所。

 区画整理事業の施行者は茨城県で、施行期間は平成12年度から令和11年度、施行面積は約242.9ha、総事業費は約481億円、減歩率は40.3%(うち公共減歩率は22.7%)、計画人口は約15,000人。同社のほかハウスメーカーなどの土地分譲・戸建て分譲が行われている。

 モデルハウスは、敷地面積約180㎡、建物面積約119㎡の2階建てと、敷地面積約181㎡、建物面積約140㎡の3階建て、敷地面積約180㎡、建物面積約142㎡の3階建ての3棟。建物面積が広く、設備仕様レベルも高いので価格は5,000万円超だが、一般住宅でも建物は全棟同社の外断熱工法「Kurumu」を採用するほか、51区画は次世代エネルギー基準値を上回るC値平均0.35㎠/㎡としたZEH対応とし、国産材を用いた高耐震・高耐久のハイブリッド工法・柱、窓は樹脂サッシのほか、床はウォールナット、チェリー、メイプル、オークなどの銘木単板、ガス乾燥機「乾太くん」を標準装備。

 事業地内には、敷地面積約241㎡、建物面積約129㎡の木造2階建てコミュニティハウス「人場テラス(ジンバテラス)」も設置。宅配ボックス、交流エリア、集会室、テレワークエリアなどを備える。

 今年2月から販売を開始しており、これまで約30区画を販売済み。順調な売れ行きとなっている。

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モデルハウス

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モデルハウス

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スカイバルコニー

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吹抜け空間と2階ホール

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 敷地が広く、建物も大きいからできることだが、プランがいい。2階建てモデルハウスは、1階は広いテラス付きでLDKは21.0帖、スキップフロアのスタディフロアは4.4帖、2階のセカンドリビングとしても利用が可能なホールと隣接する主寝室7.6帖を合わせると10帖以上だ。3階建てはさらに19帖分~24.7帖分のスカイバルコニーが付く。

 同社の取材は2020年2月の「災害被災神社再建・地域復興プロジェクト記者発表会&フォーラム」以来で、戸建て見学は2019年12月の「ルナ印西牧の原 クルム ザ クロス」以来実に3年半ぶりだが、カラーリングはさらに磨きがかかったという印象を強く受けた。好みはあるだろうが、今回のモデルハウスは内装は白と黒、グレーを中心にアースカラーを基調に、明るくて落ち着いた雰囲気をよく表現している。

 資料には、茨城エリアでは今回の物件を除き6物件645戸、千葉エリアは6物件1,630戸、埼玉エリアは4物件184戸、東京エリアは8物件176戸などを供給したとある。トータルすると24物件2,635戸だ。1物件平均約110戸。これほどまとまった規模を手掛けている首都圏ハウスメーカー・デベロッパーはまず他にない。郊外リスクを承知の上で郊外居住を希望する消費者のニーズをしっかり捉えているからできるのだろう。

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販売ギャラリー

千葉NT 印西牧の原の創建「INOCHI」(命)モデルハウス見学(2019/12/12)

「深く感謝」声詰まらせた閖上湊神社宮司 神社再建プロジェクト 第三弾発表 創建(2020/2/28)

 

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 野村不動産と埼玉大学は5月31日、持続可能な街づくりに向けた取り組みとして、昨年7月から約半年間にわたって共同で進めてきた小学生向け授業プログラムを開発し、プログラムに基づいた授業を行った結果を公表した。

 授業プログラムは、同社の支援と同大学教育学部生活創造講座技術分野・浅田茂裕教授の指導のもと、同大学の教育学部1年生が開発したもので、授業は小学校6年生3クラスで実施された。

 授業の流れは、①街の中で自分だけの「推しの木※」を見つけて写真を撮ってきてもらう②“推しポイント”や名前などをプロフィールシートに書き込んで、みんなに紹介する③「推しの木」をクラスみんなで共有。多様な視点を知る④街の「推しの木図鑑」としてまとめ地域に公開するというもの。

 今後は、同授業が住民の街への向き合い方に与える効果を継続的に検証するほか、授業プログラム内容や対象小学校の拡充を図り、“持続的に成長する街づくり”“支える人づくり”への貢献を果たしていくとしている。同社が開発中のエリアに位置する小学校でも同様の授業を今年6・7月ごろに行うことが決まっている。

※「推し」とは、人に薦めたいと思うほどに好感を持っている対象のことを指す言葉

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 素晴らしい取り組みではないか。「推し」なる言葉は〝イチオシ〟と同義なのだろうが、これまで20年以上にわたり街路樹や都市公園の取材を続けてきた甲斐があるというものだ。

 浅田先生と大学生の皆さんにお願いがある。埼玉県は、東京都と比べ住居系エリアは少なく、緑被率も高くなく、街路樹の強剪定が平気で行われている。小学生だけでなく、市民講座などを開いて緑の価値を可視化できるような取り組みを行っていただきたい。

 もう一つ。「推しの木」のリストを教えていただきたい。埼玉県の県木が「ケヤキ」であることを知っている人はいったいどれくらいあるのかも知りたい。東京都のイチョウも埼玉のケヤキもひどい仕打ちを受けている。茨城県つくば市の五十嵐市長は「街路樹は街の成熟度の象徴」と語った。小生は「街路樹は人間の成熟度の象徴」と受け止めた。

 

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堀内会長(如水会館で)

 プレハブ建築協会は5月31日、定時総会後の記者会見を行い、堀内容介会長(積水ハウス副会長)がこの1年間を振り返るとともに、今年度の活動について説明、記者団の質問に答えた。

 堀内会長はこの1年間について、昨年6月に改正された省エネ法によりカーボンニュートラル実現の道筋が示され、長期優良住宅の普及のための環境整備が進んだ一方で、昨年(2022年)の住宅着工戸数は、前年に引き続き持ち直し傾向がみられるものの、依然として回復途上にあり、厳しい環境が続いているとし、今年度は住宅市場の回復に向けたZEH化などの取り組みを強化すると語った。

 また、今年1月には協会設立60周年を迎え、新たに設けた協会行動憲章に基づくカーボンニュートラル・循環型社会・自然との共生を目指す取り組みを積極的に推進すると話した。

 さらに、今年は関東大震災の発生から100年目を迎え、頻発化・激甚化する自然災害に対応する体制の強化を図ると語った。

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 質疑応答では、記者団から注文住宅(持家)の減少や、その回復策などについて質問が飛んだ。

 これらの質問に対し堀内氏は、注文住宅市場は厳しいが、積水ハウスは分譲や賃貸でカバーしているとし、改正省エネ法が今年6月に交付され、省エネ基準の適合義務を住宅にも拡大し、100万円/戸の補助が受けられるZEH+などの政府の支援策により、協会会員の建売住宅事業への参入・拡大も可能になると語った。(国土交通省のデータでは2021年の注文戸建住宅のZEH普及率は26.7%、建売戸建住宅は2.6%)

 小生は再質問をしようとも思った。堀内氏が属する積水ハウスなど大手のハウスメーカーは、ZEH化コストを価格に転嫁するのは比較的容易で、政府の支援策の恩恵を受けられるだろうが、持家、分譲戸建て市場の圧倒的シェアを占める、第一次取得層をターゲットにする建売住宅専業、地場工務店はZEH化に対応するのは容易ではない。年間4万戸を販売する飯田グループの戸建ての平均価格は土地代を含め3,000万円を切る。大手ハウスメーカーの半分以下ではないか。

 さらにまた、消費者もZEH化することで住宅取得希望価格(3,000万円)の3~6%の100万~200万円も負担が増えるのにためらうのは当然だ。初期費用がゼロになる仕組みもあるが、いま一つ、これら圧倒的多数派の層への具体的なZEH普及策・支援策が見えてこない。

 しかし、質疑応答時間(15分くらいか)は限られており、プレ協としては答えづらいだろうと判断し、質問することを止めた。この種の会見では、参加するメディア全てが質問できるくらいの時間を取るべきだと思うが…。

 この日(31日)発表された令和5年4月の新設新規住宅着工戸数は、総数も持家も分譲住宅も2ケタの減少で、持家は実に17か月連続して減少している。プレ協がいう「回復途上」ではなく、中長期にわたって減少が加速するそのとば口に差し掛かっているような気がしてならない。誰か小生のこの悲観論を一蹴してくれないか。

コロナで減った住宅選好の幅 オーダー志向層を蚕食する〝建売り御三家〟(2023/5/28)

 

 国土交通省は5月31日、令和5年4月の新設住宅着工動向をまとめ発表。総戸数は67,250戸(前年同月比11.9%減)で3か月連続の減少。利用関係別の内訳は持家が18,597戸(同11.6%減)で17か月連続の減少、貸家が28,685戸(同2.8%減)で26か月ぶりの減少、分譲住宅が19,701戸(同21.8%減)で3か月連続の減少。分譲住宅の内訳はマンションが7,233戸(同43.0%減)で5か月ぶりの減少、一戸建住宅が12,362戸(同0.8%減)で6か月連続の減少となった。

 首都圏マンションは3,759戸(同32.7%減)で、都県別では東京都が2,196戸(同26.6%減)、神奈川県が1,230戸(同24.4%減)、埼玉県が263戸(同60.6%減)、千葉県が70戸(同76.4%減)となった。

 このほか、近畿圏、中部圏、地方のマンションも大幅に減少した。

 大幅減少について国交省住宅局は、関係者へのヒアリングを行った結果、持家は物価高・資材高から消費マインドが低下しており、受注も減少していることの反映とみている。分譲マンションは前年4月は約1.2万戸の着工があり、今年1~3月も多くの着工があったことの反動減であり、絶対数がそれほど大きくないことから大規模マンションの着工によって波が大きくなる傾向にあるとし、分譲戸建ても減少幅は小幅にとどまっており、市場が劇的に変わったとは見ていないようだ。

 小生も同感だ。各社とも前期の業績が好調で、この先の市場を見極めるための小休止ではないかとみている。

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「The Parkhabio SOHO 祐天寺」

 三菱地所レジデンスは5月30日、共用部にコワーキングスペースを併設した新たな職住一体型賃貸マンションシリーズ「The Parkhabio(ザ・パークハビオ) SOHO」の第3弾「The Parkhabio SOHO 祐天寺」が竣工したのに伴うメディア向け完成内覧会を行った。得も言われぬ美しい外観に記者は惚れ込んだ。「ザ・パークハビオ」のコンセプト「その瞬間に、心が弾む」が見事に表現されている。賃料設定は「中目黒」より高くても人気なのにも納得した。

 物件は、東急東横線祐天寺駅から徒歩2分、目黒区祐天寺二丁目の近隣商業地域に位置する敷地面積約650㎡、7階建て全53戸。専用面積は25.53~67.89㎡(1R~4LDK)。現在募集中の住戸の月額賃料は14.1万(25.53㎡)~44.0万円(67.89㎡)。竣工は2023年5月下旬。設計はアーキフォルム一級建築士事務所。施工は大豊建設。

 1階に設けた約80㎡のStyle Loungeは、オープンスペースのほか50インチの大型ディスプレイを備えた会議室(8人部屋)、個室ブース6室、オープンデスクやソファースペースなどを用意。

 屋上テラスの「Sky Lounge(スカイラウンジ)」は、電源・Wi-Fiを完備し、仕事をすることも可能な「ルーフテラス」、100インチのシアターウォールを備えた「ルーフカウンター」、ボルダリングのホールドをあしらった「プレイヒルズ」の3つのゾーンからなり、東京タワーや富士山も望むことができる。床を踏むと天井と床からミストが噴き出す「ウォーターエリア」も設置している。

 外観は、祐天寺の持つ優しさを表現するためラウンド形状にこだわり、シルバーとゴールドの2色のアルミルーバーを採用し、1本1本のアルミルーバーの高さを変化させている。アールの曲線で白い外壁を包み込む「繭」のイメージを表現したという。

 エントランスホール内には「かまくら」を設置し、暖かみと落ち着きのある空間を演出。各住戸の部屋番号サインは、スポットライトで映し出されるようにしている。

 専用部は、ファミリーの利用も可能にするため53.64㎡の3LDKや67.89㎡の4LDKを用意。4階以上の住戸は、アクタスとのコラボレーションし、一部専用部分のカラーコーディネートをアクタスが監修している。

 リーシングは2月から開始。賃料は平均2.2万円/坪で、「中目黒」より高い設定にもかかわらず、エリアには新築の賃貸がなく、共用施設が充実していることから人気になっており、25戸に申し込み(女性は6件)が入っているという。

 内覧会で同社賃貸住宅開発部長・菅野裕治氏は、「今回の『SOHO祐天寺』は第一弾の『大手町』、第二弾の『代々木公園』に続く第三弾。オフィスより快適なコワーキングスペースを備えており、法人登記も可能にし、居住とオフィス賃料の家賃の二重払いを解消している。今後も3年間で5棟の供給を目指す」と語った。

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スタイルラウンジ

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スカイラウンジ

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ソファースペース

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個室ブース(ハーマンミラー社の椅子は1脚10万円とか)

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ルーバー

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「ウォーターエリア」

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部屋番号

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 記者は、「The Parkhabio SOHO」シリーズ第一弾の「大手町」、第2弾の「代々木公園」も見学し感動を覚えた。とくに「代々木公園」では、物件案内を務めた同社賃貸住宅計画部第四グループ主任・福井一哉氏の巧みな話術に嵌まり、いっぺんにファンになったのだが、今回は建物外観に見惚れ、舞い上がった。

 アール形状の建物は最近流行りのようで、あちらこちらで見かけるようになった。今回の物件説明役の同社賃貸住宅開発部開発第一グループ・花輪俊大氏は「敷地は元三菱UFJ銀行の店舗跡地。周囲に高い建物がなく視認性の高い立地なので、ランドマークになるとラウンド形状にこだわった」と話したが、その企画意図は見事に表現されている。記者は、分譲にしたら坪単価650万~700万円でも売れると瞬時にはじき出した。

 「その瞬間に、心が弾む」仕掛けはこれだけではない。「かまくら」だけは理解できなかったが、ミストが噴き出す「ウォーターエリア」は分譲に採用したら大ヒットするはずで、光と陰で部屋番号を映し出す部屋番号サイン、全面をマグネット付きとした廊下壁、モザイクタイルを張り詰めた共用部の壁、67㎡の4LDK、タンクレストイレ…。同社賃貸住宅開発部は何名のスタッフで構成されているか分からないが、多士済々、人材の宝庫ではないか。発想力がケタ違いだ。分譲グループとの連携を深めれば、とんでもないことをやってのけるのではないか。

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現地

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 新しい発見もあった。わずか1㎡だけで、プランによっては広く感じたり狭く感じたりすることだ。

 内覧会で約25㎡の1Rを見た後だった。同業の記者の方が約26㎡の1DKのプランを見て「こっちは広いね」と感嘆の声を上げた。

 言われてみると確かに広く感じる。物件案内役の同社賃貸住宅開発部開発第一グループ副主任・柳澤美友紀氏は「図面だけ見ただけでは代わり映えしないかもしれませんが、部屋を区切り、キッチンを廊下に収めるか、居室と一体型にするかで感じ方が異なり、1DKタイプは人気になっています」と話した。

 双方の間取り図を添付する。皆さんも見比べていただきたい。

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わずか1㎡でもこんなに異なる(左は約25㎡の1R、右は約26㎡の1DK)

その瞬間、福井氏に惚れた 三菱地所レジSOHOタイプの賃貸第2弾「代々木公園」(2022/10/13)

感動的な天井高2730ミリの「MIデッキ」 職住一体型SOHO 三菱地所レジ「大手町」(2022/5/15)

 

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南棟「d_ll(ディール)つくば」完成予想図

 大和ハウス工業は5月30日、つくばエクスプレス「つくば駅」直結の複合施設「(仮称)つくば市吾妻20街区プロジェクト」の地鎮祭を行い、五十嵐立青・つくば市長も出席して施設概要に関する記者会見を行った。

 施設は、つくばエクスプレス「つくば駅」直結、つくば市吾妻2丁目に位置する敷地面積約7,639㎡(2,310坪)で、建物は5階建て鉄骨造延床面積約10,188㎡(3,081㎡)のオフィス・商業からなる南棟「d_ll(ディール)つくば」、4階建て鉄骨造延べ床面積約3,337㎡(1,009坪)の北棟、5階建て鉄骨造延床面積約7,403㎡(2,23坪)の立体駐車場(353台)による3棟構成。設計・施工は村本建設。着工は2023年4月3日~2023年6月1日、竣工は2023年11月30日~2024年9月30日、オープンは2024年10月の予定。

 南棟の「d_llつくば」は、1階と2階は飲食店、クリニック、フィットネスクラブなど16店舗が入居。3~5階はオフィスフロアで、3階にはスタートアップ企業の交流拠点となるようシェアオフィススペースとして提供する予定。「d_ll」は同社の中規模オフィスビルブランドで、「d_ll四日市」に続く2棟目。

 北棟は同社茨城支店とグループ5社(大和リビング、大和ハウスリアルティマネジメント、大和ハウスリフォーム、大和ハウス賃貸リフォーム、大和ランテック)が入居予定で、2024年10月から約240名のグループ従業員が勤務する拠点となる。

 記者会見で五十嵐市長は「駅直結の一等地の中の一等地。長い間、駐車場として活用されてきたが、この一等地が高層マンションになったら駅前としては厳しいものになるので、長期的な街の発展に資するものにしていただきたいと、土地所有者の筑波都市整備さんに要望してきた。今回、それが了承され、大和ハウスさんの計画によって実現した。利益は少し下がってでも長期的な街の発展に資する判断をしてくださったことは大変ありがたい。これからの新しい街づくりの形が示された。大きな意義を持つ駅のリスタートになる。このほかの駅周辺の様々なプロジェクトとあわせ、大きく花開き、つくばの顔として発展していくプロジェクトになることを期待している」と語った。

 大和ハウス工業執行役員東関東支社長・髙吉忠弘氏は、「当社グループは2055年に創業100周年を迎えるにあたって、その羅針盤となる“将来の夢”(パーパス)を作成、公表した。『生きる歓びを分かち合える世界の実現に向けて、再生と循環の社会インフラと生活文化を創造する』という趣旨で、これはその趣旨に副うもの。〝賑わいと緑が溢れだすエキウエ施設が、マチの様々な交流の拠点となる〟をコンセプトに、魅力ある都市拠点となることを目指す」と話した。

 用地は2017年、土地所有者の筑波都市整備からプロポーザル方式により同社が取得している。

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配置イメージ

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北棟

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左から五十嵐氏、高吉氏、八友氏

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 記者会見場で配布された資料をみて驚いた。容積率を単純にはじいたら274%しかなかった。容積不算入もあるはずだから、実質的には200~250%にしかならないはずだ。「駅直結の一等地の中の一等地」(五十嵐市長)ではありえない数値だ。

 どうしてこんなに低いのか質問したら、同社茨城支店長・八友明彦氏は「法定容積率は400%だが、北側敷地に隣接する吾妻小学校への日影に配慮するよう市から求められていた条件に沿ったもの」と語った。

 このような街づくりもあるのか。駅の南側は商業施設など高層建築物だが、北側は公園、中層のオフィス・商業、小学校だ。日テレの番町再開発と真逆だ。「これからの新しい街づくり」(五十嵐市長)のモデルケースになるのか。

 後で知ったのだが、用地はプロポーザル方式によって取得したのでこのような結果になったということだ。

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 今回のプロジェクトとは直接関係ないが、五十嵐市長にどうしても聞きたいことがあったので質問した。街路樹と街づくりについてだ。質問はおおよそ次の通り。

 「わたしは街路樹や都市公園、緑についてかなり取材しています。最近、神宮外苑や日比谷公園などで樹木がどんどん伐採されようとしています。市長さんは街路樹を伐採しないと宣言された。公園利用では、維持・管理に関与することを条件に隣接するマンションとの垣根を取り払い、マンション内のカフェの利用を可能にするなど全国的にみて珍しい決断もされた。街路樹を含め、街づくりはどうあるべきかお聞きしたい」

 五十嵐市長は、「わたしが市長に就任したとき(7年前か)、このあたりの街路樹は伐採されることに決まっていたが中止した。街路樹は街の成熟度の象徴であり、単に緑を提供している以上の価値がある。車椅子利用者に日陰を与えたり、生物多様性にも貢献している。やむを得ず強剪定をしないといけないものもあるが、しつかり維持・管理していくのが基本。今回のプロジェクトでも大和ハウスさんはきちんと緑化も図られている」と語った。

 本当は、市内の県道沿いの街路樹が大量に伐採されていることも聞きたかったのだが、さすがに今回の記者会見にはふさわしくないと思いとどまったのだが、「街路樹は街の成熟度の象徴」は「街路樹は人間の成熟度の象徴」と同義と受け取った。街路樹の見方が変わるかもしれない。

 参考までに。同市の緑被率は63.2%、わが多摩市のみどり率は53.9%だ。圧倒的に緑が多いことはよく似ている。東京駅へ1時間剣で、マンションの坪単価250万円も同じくらいか。(今回の事業地を競争入札に掛けたら坪300万円もあるかもしれないが…)

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現地(左後方は駅南側の同社のホテル)

坪235万円でも7割近い144戸成約100㎡超58戸も人気 日本エスコン「つくば」(2021/4/24)

「街のシンボルになる」来場者 公園との垣根なくしたフージャース「つくば」に感動(2021/4/23)

 

積水ハウスは529日、グループ会社・積水ハウス建設の20254月入社までの高校卒業予定者を中心とした「住宅技能工」採用計画を新たに取りまとめたと発表。20244月入社では、今期の2.4倍にあたる年間95名、20254月入社では3.4倍にあたる年間133名の採用を予定している。

新たに採用する人事制度では、「住宅技能工」の名称を改め、「ホープ」、「クラフター」、「チーフクラフター」、「マスタークラフター」の4つの職務等級に変更し、新評価制度による客観的評価を導入する。

処遇改善では、高卒新入社員の初任給を月収・年収ベースで11%引き上げを 20234月に実施。20244月の新人事制度導入により、チーフクラフター() の待遇を大幅に改善し、30代で現在年収500600万円から、最大約1.8倍の約 900万円まで引き上げる。

働き方改革では、「48休」、「年間休日120日」、「完全週休2日」、「男性育休取得率100%」を引き続き実施する。

今回の採用計画に合わせ、現場でのイメージアップと社員の満足度向上を図るため、ビームスのユニフォームブランドに依頼し、ユニフォームの制作を行い、夏冬用、防寒服、空調服などの一式を2024年春から全国の「住宅技能工」が着用する予定。

新施策の導入について同社は「建設現場での職方の高齢化や若年就業者の減少の加速に加え、年間時間外労働の上限の制限が202441日から適用される『2024年問題』がある一方で、良質住宅のストック形成に向けた担い手の創出が強く求められている」ためとしている。

令和4年賃金構造基本統計調査によると、建設躯体工事従事者で3034歳の平均年収は420万円、3539歳の平均年収は470万円

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結構な改革だと思う。「クラフト」は「玄人」を連想させるではないか。参考までに厚生労働省編の職業分類表小分類の職業を以下に紹介する。

裁判官、検察官、弁護士、弁理士、司法書士、公認会計士、税理士、社会保険労務士、宅建士、編集者、記者、著述家、グラフィックデザイナー、音楽家、俳優、医師、看護師、栄養士、保育士、小・中学校教員、企画・調査事務員、秘書、コールセンターオペレーター、集金人、レジ係、不動産仲介・売買人、介護支援専門員(ケアマネジャー)、家政婦(夫)、理容師、美容師、調理人、旅館・ホテルフロント係、接客社交係、芸者、ビル管理人、チラシ配布員、葬儀師、火葬係、トリマー、ブライダルコーディネーター、自衛官、警察官、海上保安官、稲作・畑作作業員、植木職、造園師、漁労作業員、金属プレス工、自動車整備・修理工、タクシー・ハイヤー運転手、型枠大工、とび工、解体工、鉄筋工、大工、左官、港湾荷役作業員、ビル・建物清掃員

呼称は「官」「士」「工」「手」「員」「人」「係」「者」「家」のほか「コーディネーター」「オペレーター」など外来語もある。職業に貴賎なしと言われるが…なんやら侮蔑的な呼称もある。みんな「クラフター」にしたらどうか。

小生は、何の公的資格も必要ない(免許証もないので国家資格はひとつも持っていない)「記者(ライター)」を名乗っている。〝クラフトライター〟にしたら認知されるか。

住宅・不動産企業の20233月期決算では過去最高の売上高、利益を計上する企業が続出し、株価は実に33年ぶりに最高値を更新した。新型コロナ感染症は、58日からインフルエンザ、淋病、梅毒と同じ「5類感染症」に移行し、マスクを外す人が増えているなど、街は明るさを取り戻しつつある(淋病、梅毒は死語かと思っていたら爆発的に増加しているという)。そんな中で、のどに魚の小骨が刺さったように気になるのは、住宅着工の持家が15か月連続して前年同月比で減少していることだ。復活するのか減り続けるのか、考えてみた。

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2022年の住宅着工総数は859,529戸で、構造別では木造が477,883戸(55.6%)、鉄骨鉄筋・鉄筋・鉄骨造が380,453戸(44.3%)。利用関係別では持家が253,287戸(29.5%)、貸家が345,080戸(40.1%)、分譲住宅が255,487戸(29.7%)。前年比では貸家が7.4%、分譲住宅が4.7%増加した一方で、持家は11.3%の2ケタ減少となり、16年ぶりに分譲住宅に抜かれた。ツーバイフォー工法による着工戸数は89,562戸(前年比5.1%減)、坪当たりの工事予定額は59.4万円(同増減なし)。プレハブ工法は106,680戸(同0.8%減)で、工事予定額は89.1万円(同3.8%増)となっている。

それぞれの木造戸数(比率)をみると、持家は221,324戸(87.4%)、貸家は112,260戸(32.5%)、分譲住宅が142,294戸(55.7%)となっている。

これを工事予定額(坪単価)でみると、全体では69.3万円で、前年の66.0万円から5.0%増加している。利用関係別の単価は、持家が69.3万円(前年比5.0%増)、貸家が75.9万円(同4.5%増)、分譲住宅が62.7万円(同増減なし)となっている。

分譲住宅を構造別・建て方別でみると、一戸建は52.8万円(同6.7%増)で、うち木造は49.5万円(同増減なし)、鉄骨造は92.4万円(同7.7%増)となっており、鉄筋コンクリート造共同住宅は89.1万円(同増減なし)だ。

分譲一戸建の単価を都道府県に見ると、もっとも高いのは島根県の59.4万円で、長野県、鳥取県、長崎県の56.1万円が続く。もっとも安いのは福島県の42.9万円で、他は46.2万円から52.8万円に収まっている。

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 これらの数値を眺めるといろいろなことが分かってくる。

 持家は前年比2ケタ減で、今年に入っても減少に歯止めがきかず3月まで15か月連続で減少となると、コロナ禍と関連づけざるを得ない。

 分譲戸建て市場はコロナ禍で意想外に沸き立ち、いまはその反動で勢いは減速気味だが、新築マンションや中古住宅市場動向からも、持家志向に大きな変化が起きているとは考えづらい。

 持家志向に変化はないものの、いまの経済社会状況を反映して住宅選好が多様化しているということは間違いない。持家か賃貸か、新築か中古か、マンションか一戸建てか、その選択の幅は広がっている-というよりは、富める者と貧しき者の格差が拡大し、二極化がどんどん進行しているとも読める。貧しき者はむしろ選択の余地が狭まっているのではないかと思わざるを得ない。

 富める者はどうか。分譲事業が絶好調の三井不動産の20233月期のマンション計上戸数3,196戸の平均価格は7,373万円(前期比931万円増)で、分譲戸建て420戸の平均価格は8,308万円(同717万円増)だ。完成在庫は戸建てはゼロで、マンションの55戸のみ。積水ハウスの20231月期の戸建(請負)の売上棟数は7,842戸(前期比6.1%減)となったが、1棟単価は4,619万円(前期比8.3%増)、坪単価は111万円(同6.4%増)で、戸建事業売上高は前期とほぼ同じ3,524億円を維持した。

 一方、全国491か所に営業拠点を置く〝分譲戸建ての雄〟飯田グループホールディングスはどうか。20233月期の売上高は14,397億円(前期比3.8%増)で、主力の戸建分譲住宅の計上戸数は40,826戸(同1.7%減)、1戸当たり単価は土地価格を含めて2,967万円(同2.7%増)だ。計上戸数は住宅着工戸数に換算するとシェアは27.9%を占め、沖縄県の55.4%を筆頭に東北は44.8%、北関東は34.9%、東海は32.2%、首都圏は30.5%に達するなど独走している。

 飯田グループの全国展開と関係があるかどうかは不明だが、分譲戸建ての単価がもっとも高い島根県には同社の営業所はなく、単価が次位の鳥取県と長崎県にはそれぞれ1か所、長野県は4か所だ。

 このほか、売上高1兆円超を目指すオープンハウスの20229月期の建売住宅計上戸数は5,907戸で、ケイアイスター不動産の20233月期の戸建ての計上戸数は6,226棟(土地販売含む)だ。この3社だけで戸数は約5.3万戸、市場の約4割を占める。

 前段で紹介したように、このところの用地の上昇、建築費・資材高で坪単価は全体で5.0%上昇しているにもかかわらず、分譲戸建てのみは前年と変わらない。圧倒的な市場占有率と価格競争力を持つ3社に対抗するには、アッパーミドル・富裕層にターゲットを絞るか、さらに価格を下げるほかなく、価格下げ圧力が強まっているからだと読める。記者は持家志向の相当数は価格が安い分譲戸建てに流れているのではないかと考えている。木造と鉄骨の単価差は倍近い。オーダーメイドかレディメイドか、選択できる人はどれだけいるのか。

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 上記のように、あれやこれや消費者の価値観・住宅取得意向について考えていたら、カーディフ生命が昨年12月に実施した「第4回 生活価値観・住まいに関する意識調査」がネットでヒットした。全国2,000人を対象に経済・社会活動の回復と、円安や物価上昇による将来不安の高まりが混在する中での人々の意識、行動、価値観の変化に焦点を当てたものだ。

 これによると、「老後資金が不安」は8割超で、主な理由として「年金額の減少」、「将来の物価上昇」、「医療費負担の増大」などを挙げている。

 住みたい家は「戸建て(持ち家)」が6割で、希望購入価格は平均2,846万円となった。「都心派」は49%、「郊外派」は51%と拮抗している。30代と40代では「郊外派」がそれぞれ55%、57%と優勢で、30代は「安価で広い住宅を購入できるから」(37%)、40代は「時間に縛られず、のんびりした生活を送りたいから」(31%)が郊外を選ぶ最大の理由としている。

 購入希望価格は飯田グループの分譲価格とほぼ一致する。これは偶然か。マンションなら土地代がただでも坪150万円以下はありえず、20坪で3,000万円だ。価格競争力のある〝建売り御三家〟はまだまだ伸びるということか。蚕食という言葉がぴったりだ。

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木住協の懇親パーティー(明治記念館で)

日本木造住宅産業協会(木住協)は525日、令和5年度定時総会を行い、令和4年度の事業報告・収支決算、役員の選任、令和5年度の事業計画などを審議し決議・承認した。

総会後、記者会見した市川晃会長(住友林業会長)は、「令和4年度の住宅市場は、新設住宅着工戸数は860,828戸(対前年比0.6%減)となり、特に持家においては248,132戸(同11.8%減)となり、厳しい環境が続いている。今年度予算で、住宅分野では『子どもエコすまい支援事業』『先進的窓リノベ事業』『給湯省エネ事業』により構成される『住宅省エネ2023キャンペーン』が順調に開始され、これが住宅業界への追い風となるよう期待している」と述べ、「今年度『こども家庭庁』が発足した。家族に見守られて子どもたちが健やかに育つ場が住宅であり、木育の観点も加味すれば、安心安全の質の高い住宅や住環境を木造で実現していくニーズがますます高まる。子どもの目線からも、住宅産業の果たすべき役割を再認識して臨みたいと考えている」と語った。

令和5年度事業では、各支部、地方自治体との連携を強化し、木材利用促進協定・災害協定など地域貢献活動を強化し、脱炭素・循環型社会の実現に向けた環境に優しい木材利用や木造建築の普及を図り、重点事項として①良質な住宅ストックの形成とリフォームの推進②木造住宅・建築物の普及促進③広報活動の推進④人材育成の推進⑤良質な資材の普及と木造化・木質化の推進などを推進する。

記者発表会後には、コロナ禍で中止していた懇親パーティーを開催、参加者は通常の約7割に絞ったが、会場は満席の約400名が参加した。

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市川氏

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 うっかりしてテープを取ることを忘れたので正確ではないが、市川会長は懇親会の冒頭、202313月の第一四半期の実質GDPが前期比年率+0.5%(前期比+0.1%)となり、インバウンドも増加していることなど直近の経済の動きに触れたあと、エンボディード・カーボン(建設時から運搬、維持管理など総体としてのCO2排出量)の取り組みが不十分とし、「昨日は、当社が施工した木造とRCのハイブリッド施設を見学したが、木造の部分は明らかに暖かく、子どもは床を飛び跳ねたり寝転んだりして遊んでいる。このような木の持つ特性と、ライフスタイル面でのCO2削減の取り組みを合わせ技として表すことはできないか」などと話した。

 木造ファンの記者は〝表す〟を〝現し〟に置き換えて理解した。国土交通省は「建築物の販売・賃貸時の省エネ性能表示制度に関する検討会」のとりまとめを踏まえ、消費者が建築物の省エネ性能の知識を持っていなくとも、省エネ性能を★印で表示するガイドラインを近く示す予定だが、市川会長は木材・木造の人への効果も分かりやすく伝えるべきと話したのではないか。

 

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