〝闇社会〟〝二重就業〟の記事にアクセス殺到/目から鱗 「風テラス」坂爪氏の著作
収束しつつあるとはいえ、新型コロナがわれらホモ・サピエンスをあざ笑うかのように跳梁跋扈している。老若男女を問わずあまねく〝平等〟に攻め立てているはずなのに、都の感染者データでは年代別・性別によって罹患率はかなりの差が出ている。生産年齢層では若い女性の罹患率が最多だ。
なぜそうなのか。メディアはあまり報じない。そもそも都のデータは年代と性別はリンクしておらず、それぞれの感染者数しか発表されないからだと思う。
記者は、「三密」と関係があるのではないかという仮説を立てた。1日当たりの感染者が200人を突破しても、10人くらいでもあっても経路不明率は50%をなかなか切れない。
その理由の一つには、感染者が感染源に〝思い当たる節がない〟こともあるだろうが、都も「(感染者が)個人情報が漏れることを恐れ、調査に協力的でない」旨のことを発言しているように、明かせない事情があるからだと踏んでいる。
そこで、的外れかもしれないが、思い切って5月11日付で「新型コロナ 感染経路不明者が減らない理由 〝闇社会〟〝二重就業〟も一因」と見出しを付けて記事にした。
驚いたのはアクセス数だ。2週間で約6,400件に上っている。これまでRBA野球やマンションの記事で1万件を突破した記事はたくさんあるが、不動産に関係のない記事でこれほどのアクセスがあったのは初めてではないかと思う(確認はしていない)。
〝闇社会〟〝二重就業〟のワードに反応した人が多いからだろうが、新型コロナがあぶりだした〝不平等社会〟の暗部に迫るヒントがこのアクセス数に隠されている気がしてならない。
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〝闇社会〟とは何かを知るためにネットで調べたら、風俗店で働く女性の無料生活・法律相談事業「風テラス(かぜと読むのかと思ったら「風俗」の「ふう」のようだ)にヒットした。早速、「風テラス」を主宰する坂爪真吾氏の「『身体を売る彼女たち』の事情-自立と依存の性風俗」(ちくま新書)を買って読んだ。
陳腐な言葉だが、目から鱗とはこのことをいう。記者だって「風俗」を一通り利用したことがあり知っているつもりだ。とはいえ、「JKビジネス」なるものがテレビで報じられたとき、東京都住宅供給公社(アルファベット表記:JKK)が何か絡んでいるのかと訝ったくらいだから、所詮、その程度の知識しかない。
この本は「風俗」で働く当事者のミクロ現場を赤裸々にレポートするとともに、「風俗」が隠花植物のように蔓延するマクロ社会の問題点に迫っている。数行読むたびに「えっ、そんなことってあるの」と踏みとどまらざるをえなかった。吐き気すら覚えるほどの衝撃を受けた。これまでの「風俗」の概念がガタガタと音を立てて崩れた。
ぐさりと胸に突き刺さる文章が頻繁に登場する。以下、いくつか引用する。
「(JKビジネスの)現実を見たくない人たち、あるいは現実を自分の見たいようにしか見ない人たちにとって、『被害者』『犠牲者』というレッテルは好都合だ。そのため、こうしたレッテルに基づいてメディアで報道が行なわれ、そこからマッチポンプ的に生み出された二次情報を根拠にした啓発キャンペーンや政治的パフォーマンスが繰り返されることになる。
この悪循環を終わらせるためには、現場で働く当事者たちに直接アプローチすることのできる場を作り出し、そこで得られた一次情報に基づいて、適切な支援の方法や実効性のある政策の在り方を試行錯誤しながら模索していく以外にない」(60~61ページ)
「現場から得られた一次情報を大量に所有・管理している人たちがいる。それは一体誰だろうか。(中略)正解は、風俗情報サイトの運営会社だ。(中略)デリヘリの世界では情報サイトに広告を出稿しないと、そもそも営業自体が成り立たない。
風俗情報サイトの運営会社は、各掲載店舗のPV(ページビュー:閲覧回数)に始まり、その地域の中でどの店がどれだけ儲かっているかといった情報、集客や求人広告の反応率、(中略)性感染症の結果(陽性率の割合)まで、あらゆる『ビックデータ』を持っている」(159~160ページ)
「(『JKビジネス』による被害や不幸を減らすための)啓発広告を出したいのであれば(中略)彼女たちの動線上にピンポイントで配置する必要がある。いわゆる『JKビジネス』で働こうとする全ての女性が必ず通る『関所』=働く前に必ず目にする場所はどこだろうか? そう、答えは『求人ポータルサイト』だ」(246ページ)
「性風俗が搾取でなく共助であるからこそ、搾取以上に悲惨なことが現場で起こりうるのだ」(168ページ)
「性風俗の世界は、多重化した困難を抱えた女性たちが、複雑に絡まりあった困難を一発で解決するための『快刀』を求めて集まってくる世界だ。彼女たちの声に応える形で、性風俗の世界が用意している一つ目の『快刀』は『匿名化』である」(185ページ)
「二つ目の『快刀』は、『現金化』だ。性風俗は女性にまつわる森羅万象を現金化できる世界である。唾液、母乳、尿(以下、書くのがためらわれるので省略)あらゆる行為をサービスやオプションの形で現金化できる」(189~190ページ)
だが、しかし、坂爪氏は、われわれを突き放したままにはしない。
「遅かれ早かれ、大半の女性が『風』の世界で働いても生活保護と同水準、あるいはそれ以下の金額しか稼げない時代がやってくるだろう。(中略)『彼女たち』の問題が『私たち』の問題に他ならないのだとすれば、誰もが当事者として『いびつな共助』に向き合わざるをえなくなる瞬間が訪れるはずだ」(266ページ)と警鐘を鳴らしながら、「それらの問い対する答えは全て、『風』の中に舞っているはずだ」(267ページ)と締めくくる。
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坂爪氏が指摘する「二次情報」に依拠した報道がいかに危ういものであるかは、小生も含めわが業界紙も考えないといけない。取材の基本は「現場」だ。
もう一つ、業界紙・情報誌紙のあり方を示唆する指摘もあった。物件情報サイトだ。マンションデベロッパーにとって、物件情報サイトは販促の大きな武器であるはずだが、エリア、交通便、価格、面積、環境…の検索条件は購入検討者にきちんと届いているのか。駅に近いマンションは本当に価値が高いのか、資産性があるのか、価格の安い物件が購入者のためになるのか…考え直す必要があるのではないか。
物件情報サイトには購入検討者の声はほとんど反映されていない。これでいいのか。
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この日(27日)、散歩に出かけるとき、「風俗で働いている女性を応援している団体に寄付をしたいから3000円頂戴」とかみさんに頼んだら、「何よ!バタバタと倒産しているというのに!彼女たちは稼げるの!岡村クン(岡村隆史氏)が言ったでしょ!」と怒鳴られた。
かみさんに頭が上がらず、きちんと説明しなかった小生も悪いが、岡村氏を持ち出したのには返す言葉もなかった。岡村氏はブラック・ジョークで人を笑わせるのが『仕事』ではないか。なにもあんなに袋叩きされなくてもいいのにと思う。冗談が通じない世の中は怖い。
テーブルに叩きつけられた3000円を黙って受け取り、「風テラス基金」に振り込もうとしたら、手数料が500円かかるので、2500円しか振り込めなかった。財布に残ったのは缶ビール代くらいしかなかった。
いうまでもないことだが、寄付は「風テラス」をもちろん応援したい気持ちもあったが、諸々の「現場」で働く人たちへの連帯を示すエールだ。皆さん!逃げろ!徹底して逃げろ!
新型コロナ 感染経路不明者が減らない理由 〝闇社会〟〝二重就業〟も一因(2020/5/11)
社会的弱者に襲い掛かり、ジェンダー性差をあぶりだす 新型コロナの本性(2020/5/25)
リストグループ 出張訪問買取サービス「バイセル」と業務提携
リストグループのリストインターナショナルリアルティ(LIR)は5月25日、BuySell Technologiesと顧客紹介に関する業務提携契約を締結したと発表した。双方が業務提携することで、顧客の多様なニーズに応えるのが狙い。
LIR は、オークションハウス「サザビーズ」を起源とする世界最大級の不動産ブランド「サザビーズインターナショナル リアルティ®」の国内独占営業権を保有しており、国内10営業拠点以外にグループでハワイ・シンガポール・香港・フィリピン・タイと海外にも拠点を構え、不動産仲介・開発事業を展開している。
バイセルテクノロジーズは、出張訪問買取サービス「バイセル」を展開しており、月間20,000 件を超える査定依頼があるうち、50代以上のシニア富裕層の顧客層が約75%を占めている。
詳細は:https://buysell-technologies.com/
三菱地所ホーム 「エアロテック」発売25周年 進化型も販売開始
三菱地所ホームは5月25日、全館空調システム「エアロテック」発売25周年を記念して、エアロテックに住んでいるお客さんの声を掲載した小冊子「OWNER’S VOICE」を制作、さらに風の運搬性能を従来より10%向上させ、ダクト計画がより柔軟になった進化型の「ダクトレイアウトシステム」を発売すると発表した。
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記者は、この「エアロテック」に惚れこんでいる。展開次第では爆発的にヒットすると思っている。野村不動産は先に床空調システム「床快full」を採用した「プラウドタワー亀戸クロス」「プラウド文京千駄木」「プラウド高田馬場」を分譲した。「文京千駄木」はすでに完売した。
一方、三菱地所レジデンスはこれまで12物件約350戸に「エアロテック」を採用している。
「エアロテック」は今回の新型コロナまで〝排除〟はできないだろうが、空気環境をよくすることはできる。住宅だけでなく小規模店舗などにも販路を拡大できるのではないか。
凄い!全館空調、二重&樹脂サッシ採用 野村不「亀戸」934戸 単価300万円台半ば(2020/2/19)
新型コロナ 全都道府県で宣言解除/作家・島田雅彦氏が説く散歩の効用
東京都は5月25日、新型コロナウイルス感染者が新たに8人判明し、感染経路不明・調査中はゼロと発表した。
感染状況のモニタリング指標は①1週間当たり平均新規陽性者は6.9 人(緩和基準20人/日)②接触歴等不明率は47.9 %(同50%以下)③週単位の陽性者増加比0.45(同1以下)となり、全て緩和の目安をクリアした。累計感染者は5,160 人。死者は288人。
政府は同日夜、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、北海道に発令していた緊急事態措置を解除し、14日に解除された39府県を合わせ全国で宣言解除を行った。
安倍首相は会見し、「世界的にも極めて厳しいレベルで定めた解除基準を全国でクリアした。ロックダウン(都市封鎖)など強制措置を講じず、罰則も設けない日本ならではのやり方で、わずか1カ月半で今回の流行をほぼ収束させることができた。日本モデルの力を示した。日本の感染症への対応は世界において卓越した模範である」と成果を強調した。
今後、おおむね3週間ごとに地域の感染状況や感染拡大のリスクを評価しながら、外出自粛やイベントの自粛、それに施設の使用制限などについて段階的に緩和していく考えを示した。
都もロードマップに従い、26日から休業要請を段階的に緩和する。
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4月からこれまて26日間、新型コロナに関する記事を書いてきた。都が毎日発表するオープンデータから全感染者の年代と性別をエクセルに落とし込み、高齢者だけでなく、20代の女性の感染者数、罹患率が極めて高いことを明らかにした。それなりの成果だと思う。宣言が解除されたので、ひとまず新型コロナに関する記事は小休止する。
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テレワークの課題も見えてきた。その一つが運動不足。〝弱った足腰を元通りにするまで2カ月かかる〟と言われたので、記者も散歩することを心掛けた。それでも万歩計の数値は以前の2分の1、3分の1に減った。
散歩の効用について、作家の島田雅彦氏が「簡潔で心揺さぶる文章作法」(KADOKAWA、2018年発行)で次のように書いている。以下に紹介する。
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大勢で教室に押し込められる、オフィスのフロアに押し込められるというような、同質化を強要する集団生活というのはストレスフルなものです。人間には帰巣本能というものがありますが、ここではないどこかへ行きたくなる、居場所を変えたくなる本能もあります。この居場所を変える行為としては、散歩が最適です。
是非、「ひとりで」場所、距離、所要時間にとらわれず、自由にほっつき歩いてみてください。商店街、河原、公園、野山などを徘徊してみる。そして道端の電信柱や草木や花に見とれて癒されてください。そうすると、きっとそのような様は傍からみれば「何をぼんやりしているのだ」ということになりますが、そういったときの頭の状態というのは、非常に豊かになっているのです。
とかく、人はあるテーマを与えられて、その問題に対する解答を得ることが思考だという認識があります。ただ、これは一つの方向性でしか頭が働いていない思考です。思考というのは本来、もっと多様なところに考えが及ばなくてはなりません。解答にたどりつくことがゴールになってしまうと、その時点で思考がストップしてしまいます。
私が主張したいのは、思考があらゆるところに飛ぶような状態で、自己の見解をブラッシュアップすべし、ということです。そして、この状態を提供してくれるのが、散歩中のぼんやりした放心状態といえます。この状態は極めて感覚が研ぎ澄まされていて、外界に向けてオープンな状態になっている、といえます。…ボケッとして歩くことをおすすめしておきましょう。
なぜ散歩は「ひとり」で誰か同伴者がいてはいけないのか。ひとりぼっちの効用でいえば、群れは同質化を求めます。同じ考えでいることを強要されるのです。自分がきれいだと思わない花を見て「きれいだね」と言うことを求められることもあるでしょう。そこでは、せっかく培った個人の見解が封殺されます。昨今は「絆、キズナ」と騒がれますが、「絆」には「ほだし」という読みもあり、これは「自由を縛るもの」「手かせ足かせ」という意味になります。日本人は群れると安心しますが、「自己表現」のレッスン派は絆から離れ、孤独になり、自由を獲得するところから始めることをおすすめします。
道端で摘んだドクダミ(赤い花はカタバミか)
社会的弱者に襲い掛かり、ジェンダー性差をあぶりだす 新型コロナの本性(2020/5/25)
リモートワーク継続希望60% 仕事の質・量の低下など課題も イ―ウェル調査
東急不動産ホールディングスグループのイーウェルは5月25日、新型コロナの 緊急事態宣言に伴うリモートワーク実施下での従業員の働き方実態をまとめ発表した。
健康経営およびウェルビーイング経営の研究を行う森永雄太氏(武蔵大学経済学部経営学科教授)の監修により、企業に勤める20代~60代の男女3,079名を対象に、2020年4月27日〜2020年5月2日に行った。
調査の結果、①リモートワークをしている従業員は、余暇時間の質や量の満足度が向上している一方、仕事の質・量が低下している傾向が見られた。生産性の維持・改善が急務と考えられる②運動量が低下したと回答する従業員は75%。これは外出自粛の影響も大きいと考えられる。一方、睡眠時間が改善したとする従業員も多く、健康面での部分的な好影響も示唆された③「出社しないとできない作業がある」「設備等が不十分」といった業務設計やインフラ関連の課題の他、コミュニケーション上の課題も浮き彫りとなった④今後通常通り出社できる社会情勢になった場合もリモートワークを継続したいとする従業員は約60%にのぼり、継続に否定的な従業員22%を大きく上回った-などが分かった。
調査結果に対し、森永氏は次のコメントを寄せた。
今回の調査は、コロナウイルス感染症の大流行とそれに伴う緊急事態宣言の発令により多くの企業がリモートワークを急遽導入せざるを得なくなった状況で実施したものです。そのため結果の解釈には慎重を期す必要がありますが、リモートワークに初めて取り組んだ従業員の戸惑いが表れており、組織にとって有益な示唆を得ることもできそうです。
調査結果は、組織がリモートワークをうまく導入することで、従業員の生活習慣やウェルビーイングに良い影響を与えられる可能性を示しています。例えばリモートワークの導入で従業員の余暇時間に対する満足度が質・量の両側面で上昇していることが分かりました。また、睡眠時間や栄養バランスの良い食事などの生活習慣も若い世代を中心に改善していることが分かりました。(なお、運動習慣はどの世代においても低下しており、これは外出自粛の影響も大きいと考えられます)。
一方、問題点も明らかになりました。初めてリモートワークを経験する人たちの間で特に、仕事の生産性が低下していると感じていることがわかりました。これは、リモートワークに適した役割分担や業務フローの構築などの事前準備が不十分だったことも原因の1つだと考えられます。また仕事の設備面(作業設備やネットワーク環境)の不備を課題に感じる人の割合も多いことが分かりました。そして、この課題認識はテレワーク経験の有無別の集計でも結果に大きな変化はみられないことがわかりました。今後は、オフィス外の仕事設備の整備をいかにすすめるのかについて、組織側がこれまで以上に積極的に検討する余地があるかもしれません。
テレワークの課題は、他にもありそうです。上司や同僚とのコミュニケーションが減ることについて課題を感じる人の割合が多いことが示されました。これは、リモートワークでは従業員が抱える問題が組織側から見えづらくなることを意味しています。そのため「困った時に助けを求めにくい」ことに課題を感じるという回答が高い割合で得られました。さらに注意したいのは、一部の人だけが直面する深刻な課題への対応です。例えば「家庭内の子育てや介護で集中して仕事に取り組めない」という問題は、全体ではそれほど大きな問題としては認識されていませんが、「小学生未満の子どもがいる従業員」のみにおいて「非常に課題に感じる」の割合が20%を超えています。このような少数派の課題は組織側からは見逃されやすく、一部の人のウェルビーイングを大きく損なう要因となり得ます。上司部下間はもとより同僚間のコミュニケーションを活性化し、相互の支援を引き出しやすい仕組みの導入や風土づくりが一層求められるでしょう。
社会的弱者に襲い掛かり、ジェンダー性差をあぶりだす 新型コロナの本性
社会的弱者を叩き、ジェンダー性差をあぶりだす新型コロナの本性が見えてきた――感染者は男性のほうが女性より多いことから、男性のほうが感染しやすいなどと言われているが、これは雄と雌の生物学的な性差によるものではなく、社会的・文化的性差=ジェンダー性差を正確に映し出し、同時に身体的・社会的弱者の高齢者に襲い掛かっていることが明確になってきた。
別表は、東京都の5月23日現在の感染者5,138人を年代別・性別に見たものだ。性別では男性2,930人(57.0%):女性2,208人(43.0%)となっており、確かに男性のほうが多い。
しかし、さらに年代別・性別を詳細にみると、外形的性差とはまったく関係ないことが分かる。
外形的性差がそれほど変わらない10歳未満は男性39人(58.2%):女性28人(41.8%)とやや男性が上回っているが、10代では男性27人(37.0%):女性46人(63.0%)と逆転する。10歳未満と10代を合わせた比率は男性66人(47.1%):女性74人(52.9%)とほぼ同じだ。
これをどう読むかだが、記者は外形的性差が顕著になる10代後半の女性の感染者が多いのではないかという仮説を立てた。その外形的性差に〝乗じた〟職業的・社会的環境の反映ではないかと考えた。
この仮説は、20代の感染者比率をみるとそれほど的外れでないことを示している。つまり男性421人(46.5%):女性484人(53.5%)となっており、人口10万人あたりの罹患率でも男性は49.9人であるのに対し、女性は59.4人と大きな差がある。20代女性の罹患率は90代以上の罹患率97.1人を除けば、18階層の中でトップだ(次位は30代男性の51.6人)。
一方、30代~70代の感染者は、男性は30代512人(56.5%)、40代549人(67.5%)、50代503人(63.6%)、60代363人(65.9%)、70代305人(60.6%)と全て女性を上回っている。
この数値が〝男性のほうが女性より罹りやすい〟という論拠になっていると思われるが、これには科学的根拠はないのは明らかだ。小生は、医療・介護従事者も含め、外形的性差を〝売り〟とするいわゆる「3密」の職業に従事している女性が多く、その「3密」に吸い寄せられる男性の〝働きバチ〟の図式を描いている。
〝若いから〟〝女性だから〟という理由のみで低賃金に抑えられ、冷遇されている女性のジェンダー差別に光を当てるべきだと思う。「202030」はどうなっているのか。
80代と90代の女性比率が高いのは、人口構成からして当然だろう。罹患率でみると90代は男性が116.2人、女性が90.3人と他の年代よりはるかに高い。これも自然治癒力・再生力が低下し基礎疾患を抱える〝社会的弱者〟をコロナが襲い掛かっていることを如実に物語っている。
東京都 新型コロナ感染者 1週間の不明率56% 〝目安〟クリアできず
東京都は5月24日、新型コロナウイルス感染者が新たに14人判明し、うち9人が感染経路不明・調査中と発表した。1日当たりの感染者数は3日ぶりに2ケタとなった。1週間の感染数は50人(前週111人)で、緊急事態宣言解除要件の一つである人口10万人あたりの感染率「0.5」を下回る「0.36」となったが、もう一つの目安である感染経路不明率の移動平均値は「50%以下」を上回る「56%」となった。
現場取材は皆無 もどかしさのみ募る メディアと権力の恥部も露わに
東京都は5月23日、新型コロナウイルス感染者が新たに2人判明し、うち1人が感染経路不明・調査中と発表した。感染者はこの日を含め1週間で41人(前週128人)、経路不明者17人(同54人)となった。神奈川県など他県を含めた日曜、月曜日の数値によっては緊急事態宣言が解除され、休業要請の緩和が行われそうだ。
◇ ◆ ◇
小生がテレワークを始めてからもうすぐ3カ月になる。この間、飲食店で食事をしたのは1度のみで、ひたすら「3密(蜜)」を避け、「8割減」を実践した。友人・知人以外に会って話したこともない。
足腰が弱るのが心配でひたすら散歩した。それでも万歩計の数値は以前の半分か3分の1の5000~8000歩にとどまった。体重が増えるかと思ったが、増えたのは酒とタバコの量のみで体重は2~3キロ減った。
記事は、少しでも読者の皆さんに役立つよう東京都の新型コロナ感染者のオープンデータを入手して毎日書いた。リソースは年代・性別しかデータは公表されていないが、感染者は生産年齢の層が多数を占め、とくに若い女性の比率が高く、クラスターが病院・介護施設などで発生すると深刻の度合いを増すことなどが分かった。都のクラスター班の調査体制・マンパワーにも問題があることも判明した。新型コロナは、わが国の〝不平等社会〟をあぶりだし、賭けマージャンの件はメディアと権力の恥部をさらけ出した。
肝心の不動産に関する記事は、各社のニュースリリースをコピペするほかなく、本数は以前の3か月間よりはるかに増えたが、何しろ現場取材をしていないのだから、質は比較のしようもない。業界紙の記者の皆さんも記事の収集に苦労していることが伝わってきた。
コロナ収束後のことについては現段階では全然分からない。もどかしさのみが募っている。
一つだけ言えるとすれば、小生の取材フィールドである分譲市場、とくに戸建てはそれほど深刻な影響を受けないような気がしている。分譲戸建て事業を中心とする企業の今期業績予想もそんなに弱気ではない。マンションは郊外部の一次取得層向けに注目している。中古市場もそれほど落ち込まないのではないか。
東京都 新型コロナ 感染者2か月振りの少数3人 解除基準満たす
東京都の新規陽性者数モニタリング指標 感染者推移
(2)新規陽性者における接触歴等不明率
東京都は5月22日、新型コロナウイルス感染者が新たに3人判明し、うち2人が感染経路不明・調査中と発表した。1日3人というのは2カ月前の3月22日の2人に次ぐ少数。1週間の感染者は53人(前週は150人)で、経路不明者は16人(不明率30.2%)となり、緊急事態宣言解除の条件を満たしている。累計感染者数は5,136人。死者は263人。
◇ ◆ ◇
猖獗を極めた新型コロナウイルスが嘘のように消えた。〝ウラ―〟と歓声を上げたいところだが、まだまだ安心するのは早い。この新型コロナは巧妙だ。いつどこで再び猛威を振るうは分からない。だしぬけにわが身に襲い掛かることもありうる。ここは「新しい生活様式」に慣れることを心がけよう。
1947年6月に発表されたカミュの小説「ペスト」(新潮文庫 宮崎嶺雄訳)のエンディングは次のようにある。
「――ペスト菌は決して死ぬことも消滅することもないものであり、数十年の間、家具や下着類のなかに眠りつつ生存することができ、部屋や穴倉やトランクやハンカチや反故のなかに、しんぼう強く待ち続けていて、そしておそらくはいつか、人間に不幸と教訓をもたらすために、ペストが再びその鼠どもを呼びさまし、どこかの幸福な都市に彼らを死なせに差し向ける日が来るであろうということを」
多摩市グリーンライブセンターで
伊藤忠エネクス・コスモスイニシア 医療従事者向けに「MIMARU東京 赤坂」無償提供
伊藤忠エネクスとコスモスイニシアは5月22日、新型コロナウイルス感染症拡大の長期化により、厳しい就業環境のなかで闘う医療従事者向けに支援活動を開始したと発表した。
東京都内の伊藤忠エネクスグループ社員が日頃から関わりのある感染症指定医療機関を含む医療機関従事者に、コスモスイニシアの運営する宿泊施設「MIMARU東京 赤坂」(https://mimaruhotels.com/ja-jp/akasaka/)を無償提供する。同施設はキッチン付きの約40㎡の客室とランドリー設備付き。