高単価エリアだからこそ生きる「HITO-TUBO(ヒトツボ)」 伊藤忠都市開発「池袋」
「HITO-TUBO(ヒトツボ)」プライベートブティック
伊藤忠都市開発の「HITO-TUBO(ヒトツボ)」が導入されたマンション「クレヴィア池袋West」を見学した。高単価の都心部だからこそその価値を分かりやすく伝える新提案だ。2018年度グッドデザイン賞を受賞したのもよくわかる。
物件は、JR・東京メトロ・西武池袋線・東武東上線池袋駅から徒歩5分、豊島区西池袋2丁目に位置する15階建て全64戸。専有面積は27.75~55.14㎡、現在分譲中の住戸(7戸)の価格は3,580万〜6,570万円。坪単価は425万円。竣工予定は2019年3月上旬。設計・監理は三輪設計。施工は合田工務店。
現地は、ホテルメトロポリタンに近接。用途地域は商業地域だが、二方角地で、敷地南側方面は目白の住宅街。
建物は1フロア5~4戸構成で南西向き。内廊下方式を採用。多目的に利用できるWi-Fi・ミニキッチン付きのシェアラウンジを共用部に設置。主な基本性能・設備仕様は居室部分のリビング天井高2460ミリ、ディスポーザー、フィオレストーン天板、床タイルなど。
「HITO-TUBO(ヒトツボ)」は、住戸内の約1坪(約1.8m×約1.8m)の限られた空間を、WIC+物入、プライベートブティック、アトリエ、ロフト、プライベートバーなど8タイプの中から選べるようにしたもの。55㎡は50ポイントが、27㎡は30ポイントがそれぞれ付与されており、その範囲内なら無料。有償でも40~50万円に収まるようにしている。
同社は「住まいに関する調査を実施したところ、約9割の方が住まいでやりたいことがあるのに実現するためのスペースがないことに不満を感じていると判明。その不満を払拭する理想の住まいを提供すべく開発した」「消費者のお金をかける対象が〝モノ〟の所有ではなく、〝コト〟(体験)に変化している新たな消費者トレンドに着目」したとしている。
購入者のうち9件が「HITO-TUBO(ヒトツボ)」を選択した。近く分譲する「クレヴィア池袋East」51戸(非分譲住戸6戸含む)にも採用する。
プライベートブティック(左)とワーキングスペース
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「HITO-TUBO(ヒトツボ)」の提案はなかなかいい。似たようなものは三菱地所レジデンスの「箱の間」、コスモスイニシアの「リトルテーマパーク、が楽しい家」でも見たが、坪単価425万円の価値を自ら実感でき、その価値を最大限引き出せるようにしているのがミソだ。
コンパクトだけでなくファミリーマンションにもこれは採用できそうだし、外付けでも可能なはずだ。同社には継続して他物件にも採用してほしい。
マンション販売担当者によると、多くの人は無償の範囲で収まる「WIC+物入」を選んだという…分からないわけではないが、利回り5%の賃貸とすれば、年間20万円だ。もっと有効活用したほうがいいと思うがどうだろう。
モデルルームの出来もよかった。55㎡の南西角住戸プランで、デザインは三井デザインテックが担当。14戸すべて完売したという。
モデルルーム
マンション管理協 いい話コンテスト「かわら版って、いいよ!」 高橋さんグランプリ
マンション管理業協会は12月3日、マンション居住者や管理組合のマンションライフを豊かにする様々な工夫や活動を応援する「マンションいい話コンテスト 2018(一般編)」グランプリ、準グランプリ、 特別賞を発表した。グランプリ賞(賞金30万円)には、全国536通の応募の中から高橋千秋さんの「かわら版って、いいよ!」が選ばれた。
◇ ◆ ◇
「かわら版って、いいよ!」のあらすじと「講評」は以下の通り。
大規模修繕工事のための臨時総会が開催された。ある出席者から、業者の選択、大規模修繕の必要性など、提示を根本から覆すような質問があり、大規模修繕工事は延期になるのかな、というあきらめのムードが漂い始めた。そんな時、年配の男性が『知りたければ、事前の段階で意見を言えばよい。それをせずに、この場で屁理屈のようなことを言っている。もう、黙らっしゃい。』と発言した。出席者から、割れんばかりの拍手が起こり、決着した。
この総会で私はある事に気づいた。一度に出す分厚い資料で知らせるのではなく、もっと簡単な形でその都度知らせていたら、よかったのではないかと。
私は、広報誌「かわら版」の発行を引き受けた。私は「かわら版」を毎月発行することにした。
理事会の議題に関することは勿論、マンション内での出来事を理事会の承認を得て、知らせている。
2億円をかけて、自走式駐車場を作るという試案が出され、賛否を問うアンケート調査を行い、結果は「かわら版」で一人ひとりの意見を氏名ではなく番号にして、知らせた。説明会が2回行われ、参加者は「かわら版」を冊子にして持ってきた。発言者は、『自分はかわら版の何番の人の考えに賛成である』『⑦番の人の考えには反対である』という感想がお互いに語られ和やかに話し合いは進み、提案者も納得し、自走式駐車場は作らないことになった。
水道管の洗浄が行われた時に、管の経年劣化が発見された。管の交換は全体で一斉にやるべきだと いうお声を頂き、「かわら版」でアンケートを取り、その結果、水道管の取り換えは全体で一斉にやる方向に、総会ですんなりと決定した。
築後23年を経過しているマンションでは、あちこちに経年劣化とみられる現象がみられ、その都度、工事着工についてのご意見などは、すべての所有者に「かわら版」を通して聞いている。390の所有者の意見をまとめ上げることは、以前は大変であったが、この「かわら版」アンケートを使い始めてからは、総会でのまとまりは非常に良くなり、なごやかになっている。
「かわら版」に関しての調査をすると、居住者のほとんどの人が読んでいる。総会に出席できない人も、「かわら版」で意見を述べたら、参加しているような気持ちになり、よかったというご意見を頂いた。
【講評】 マンションには多種多様な人たちが住まわれているので、合意形成が難しいとされがちです。それを実感した筆者が取り組んだのが、昨今のIT 化社会では古風にも感じられる、広報誌「かわら版」の活用。全居住者に配られる『かわら版』が、マンション内の風通しをよくするきっかけに。
多くのマンションで、理事会からの情報発信の手段として議事録や広報誌が作られていますが、使い方を工夫することで、マンションのコミュニティを良好に、また、合意形成をスムーズにする力を発揮するということを改めて感じさせられます。
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「かわら版って、いいよ!」がグランプリ賞を受賞したのが嬉しいやら悲しいやら。嬉しいのはもちろん、当たり前の管理組合の広報活動がきちんと評価されたことだ。
悲しいのは、このようなごく当然の広報活動が業界団体の賞を受賞するという情けない現実を見せつけられたからだ。
これは管理組合の広報紙にとどまらず、諸々のメディアにも言えることだ。当たり障りのない事大主義、事なかれ主義に徹する官報のような〝お知らせ伝言板〟に堕していないか、考える必要がある。
野村不他「プラウドシティ吉祥寺」第1期140戸が即日完売
「プラウドシティ吉祥寺」完成予想図
野村不動産と日清紡ホールディングスは11月29日、「プラウドシティ吉祥寺」第一期140戸が平均1.07倍で登録即日完売したと発表した。
物件は、JR中央線吉祥寺駅から徒歩23分(バス約10分)、三鷹市下連雀五丁目に位置する敷地面積約26,405㎡、8階建て8階建て全678戸。専有面積は66.36~90.60㎡、第1期価格は4,874~8,987万円(最多価格帯5,400万円台)、坪単価は270万円台。入居時期は2020年3月中旬~2021年3月中旬。施工は長谷工コーポレーション。
下連雀五丁目第二地区地区計画として公園や歩道の整備が行われ、敷地内に商業施設、認可保育園、学童施設、バス停を設けるとともに、既存樹のヒマラヤスギをはじめ緑地率30%超の緑化計画、「ABINC認証」取得、木調ルーバー・レンガタイル・木造ゲストハウスなどの空間を演出。隣接地には同社のシニア向け住宅(サービス付き高齢者向け住宅)を建設するなど、「都市型コンパクトタウン」を目指す。
住宅の商品企画では、パイプスペース(竪管)を一つにまとめ、無駄のない間取りを実現する「ミライフル」を採用する。
リビング
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即日完売のニュースを聞いて、モデルルームを見てから記事にしようと考えていたのだが、年内は難しいということからこのような〝コピペ〟記事になった。
敷地は日本無線三鷹製作所の跡地。以前、この近くに住んでいたことがあり、現地はよく知っている。当時、日本無線は経営難が伝えられており、どうなるのかと他人事ながら気になっていた。
見事なヒマラヤスギが植わっていたのを思い出すが、それを残すという。結構なことだ。
第1期174戸が即日完売 三井レジ・東急不「コスギ サード アヴェニュー」
「Kosugi 3rd Avenue(コスギ サード アヴェニュー ザ・レジデンス)」
三井不動産レジデンシャルと東急不動産の住宅・商業・公共公益の複合一体開発「Kosugi 3rd Avenue(コスギ サード アヴェニュー ザ・レジデンス)」を見学した。先月25日に抽選分譲された第1期174戸は1~12倍、平均2倍で即日完売したというからすごい人気だ。3タイプのモデルルームもそれぞれコンセプトが明確で、インパクトがあった。
物件は、JR線・東急東横線・目黒線武蔵小杉駅から徒歩2分、川崎市中原区小杉町三丁目に位置する38階建て全519戸(販売総戸数465戸、事業協力者戸数54戸含む)。専有面積は41.99~100.29㎡、坪単価は360万円。入居予定は2020年12月中旬。施工は大成建設。
施行面積約1.1haの小杉町3丁目東地区第一種市街地再開発事業として建設されているもので、1階から4階までは商業・業務・公共公益施設。子育て施設、自治会館、多目的ホール、広場などが併設される。コンセプトは「3世代、3用途、3つの広場が結びつき、自分らしい日常が広がっていく」ミクストユース。物件名にもその思いが込められている。
住宅部分は4階から38階まで。標準階は1フロア15~16戸構成。これを面積ごとにみると、40~50㎡台が7戸、60㎡台が1戸、70㎡台が6戸、80㎡台が1戸というように、小家族用の比率が高いのが特徴。
主な基本性能・設備仕様は、リビング天井高2550ミリ、ディスポーザー、食洗機、御影石またはシーザーストーンキッチン・洗面カウンター、グローエ水栓、ミストサウナ、Low-Eエコガラス、突板建具(一部)など。モデルルームは、59㎡、68㎡、89㎡の3タイプ。
ゲストサロン所長・渡辺英喜氏や同社横浜支店開発室・石井諒氏によると、「予算的には坪330万円という人が多い。一番人気は30戸しかない89㎡のタイプで、価格は8,500万円台から1億2,500万円台。三井デザインテックの黒須理枝氏が担当した59㎡台はすべて完売。68㎡台は親子3人がそれぞれ利用できるカウンターを提案しているのが受けている」と話した。
第1期174戸が即日完売したことを受けて、年内に10~20戸を第1期2次として追加販売する予定だ。
ステップガーデン
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モデルルームは3タイプとも非常によくできているという印象を受けた。記者が一番好きなのは、黒須氏がデザインを担当した59㎡のタイプだ。リビングサイドの居室・寝室は小上がりとし、隣り合う浴室窓はスルーガラス。ホテルにありそうな非日常を演出している。
89㎡のタイプが人気になったのもよく理解できる。費用は100万円単位の収納・建具の提案がいい。これくらいの戸数なら1億円前後でも売れるはずだ。親子3人が利用できる68㎡のカウンターの提案もいい。
59㎡のモデルルーム
68㎡のモデルルーム
89㎡のモデルルーム
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住戸プランは、40~50、60㎡台が半数にのぼり、70㎡台でも角住戸を除き70~71㎡台が多いのは、武蔵小杉では今回で6棟目の供給で、ユーザーのニーズを熟知している三井レジの戦略であり、購買力とも密接な関係がありそうだ。
さすがに坪単価が300万円をはるかに超え360万円ともなると、パワーカップルとはいえ20坪で7,000万円というのは負担が大きい。「予算的には坪330万円という人が多い」という関係者の言葉がそれを裏付けている。これは住友不動産「シティタワー武蔵小杉」でも感じたことだ。
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市のデータによると、武蔵小杉駅周辺では平成18年からこれまでに約7,900戸(賃貸含む)が供給されており、今後の計画を含めると1万戸近くに達する。すごい数ではあるが、東京、品川、渋谷、新宿、川崎、横浜などに10~30分圏であることを考えると、これくらいの戸数を吸収するキャパシティはあると思う。
今回、取材時間まで少し余裕があったので駅直結の「エクラスタワー武蔵小杉」に併設されている中原図書館に寄ってみた。ほとんど満席たった。5階と6階のフロアに蔵書が約30万冊。羨ましい。
だが、しかし、記者がポテンシャルの高い街の必須要件にしている食事・冠婚葬祭・会議などに利用できるホテルがここにはない。今後も建設されそうな計画はない。この街で生まれ育った人はここを〝故郷〟と呼べるのか。
三井レジ・JX日鉱「武蔵小杉」 第1期は409戸 単価は330万円(2015/6/24)
70㎡でも75~80㎡と同様の居住性能」 住友不動産「武蔵小杉」販売へ(2013/10/24)
反響4000件超 東急電鉄他「エクラスタワー武蔵小杉」(2011/1/11)
三井不動産レジデンシャル「パークシティ武蔵小杉」全1437戸が竣工(2009/4/11)
東京建物「Brillia大山Park Front」完成 ランドスケープ・外観が素晴らしい
「Brillia大山Park Front」
東京建物は11月30日、一昨年10月に分譲開始し、好調裡に完売した「Brillia大山Park Front」が竣工したのに伴う関係者見学会を行った。ふんだんに植栽を施したランドスケープデザイン、木調横ルーバーをバルコニー配した外観が印象的だった。
エントランス付近
手前の空地も市が公園として整備する予定
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この物件については、分譲開始される前にモデルルームを見学し、「『Bloomoi(ブルーモワ)』の企画商品が…出色の出来」「機能的で美しい」と書いた。また、公園に隣接するマンションなので、「都の民設公園制度を活用した第一号『Brillia萩山四季の森公園』を彷彿とさせる」とも記した。
今回、外構と共用施設を見て回り、褒めたのが間違いではなく、購入者も予想外のクオリティに満足されるだろうと思うと嬉しくなった。もうここで書くことなどほとんどない。写真を見ていただきたい。
ひとつだけ残念だったことを指摘すれば、共用施設の壁面に飾られていた観葉植物がいかにも造花然としていたことだ。記者はしつこいほど〝フェイクの緑はやめよ〟と書いている。本物の観葉植物を壁面に飾った場合のコストはよくわからないが、本物が果たす役割を考えれば決して高くはならないはずだ。
どこもやらないのならそれでもいい。しかし、三井不動産レジデンシャルは「パークシティ武蔵小杉ザ グランドウイングタワー」(506戸)のエレベータホール(確か各階)に本物の「壁面緑化」を設置していた。こうしたさりげない演出が人を感動させる。三井ですら(だからか)そこまでやる。拱手傍観していたらその差は絶対埋まらない。
講演から望む
外構&舗道
坪250万円に収まりそう 東建など6社JV「SHINTO CITY(シントシティ)」
「SHINTO CITY(シントシティ)」完成予想図
東京建物など6社JVマンション「SHINTO CITY(シントシティ)」を見学した。さいたま新都心駅から徒歩5分の約1,400戸の大規模物件で、埼玉県下で最大級の物件として注目を集めている。坪単価は250万円に収まる模様だ。
物件は、東北本線・京浜東北・根岸線さいたま新都心駅から徒歩5分、さいたま市大宮区北袋町一丁目に位置する15階建て1,000戸(このほか建築確認前が約400戸)。専有面積は66.40~92.15㎡、価格は未定だが坪単価は250万円に収まる模様。竣工予定は1街区が2020年12月中旬、2街区が2021年12月中旬。設計・監理・施工は長谷工コーポレーション。分譲開始は来年1月の予定。
事業比率は東京建物が25%、住友不動産が25%、野村不動産が20%、近鉄不動産、住友商事、東急不動産がそれぞれ10%。
現地は、三菱マテリアルの研究所跡地。駅徒歩5分×総戸数1,000戸以上で括ると、この物件を含め過去10年間で10物件しかない希少物件として注目されている。
建物はコの字型で、南南東向きA棟と南南西向きのB~D棟の5棟構成。住戸プランは72㎡が中心で、横長リビングと田の字型と角住戸というシンプルな間取り構成となっている。約2,880㎡の中庭には、2階建て共用施設棟「センターテラス」が設けられる。
主な基本性能・設備仕様は、直床、リビング天井高2500ミリ、ディスポーザー、食洗機、人造大理石カウンターなど。
販売担当の東京建物住宅営業第一部営業グループ課長代理・草田昌義氏は、「近隣には坪単価250~260万円くらいで面積がやや狭い3LDKの物件が多いが、平均で72㎡を確保して単価も抑制気味にした。単価は245~250万円で調整中。地元大宮区をはじめ与野方面の居住者からの反響がいい。第一期は200戸くらいの供給を目指す」と、手応えを感じ取っているようだった。
現地
模型
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まず坪単価。「坪単価250万円だったら間違いなく売れるが、そんなに安くはならない」と予想していた。
念頭にあったのは三井不動産レジデンシャルほか「ザ・ガーデンズ東京王子」(全864戸)だった。この物件は、最初は駅から遠いところから販売され、坪260万円くらいだった。想定外の売れ行きで、最後の駅に近いほうは280万円くらいになったはずだ。
東十条と今回のさいたま新都心のポテンシャルを比較すれば、さいたま新都心に軍配を上げる。駅から現地までのケヤキ並木が素晴らしい。ただ、戸数も多いので強気な価格設定はしないと読んだのだが、坪250万円は〝勢い〟を付けるための設定なのだろう。
モデルルームは、72㎡の横長リビングと一般的な田の字型の2タイプと、92㎡の角住戸の3タイプ。92㎡はオプション仕様だが、組子デザインのアートや壁が採用されている。価格は6,000万円台の半ばから8,000万円台になりそうだが、28戸しかないこともあり一番人気とか。
組子のアート(モデルルームで)
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どれほどの効果があるか分からないが、〝新都心から日本の幸せを変えよう〟というキャッチフレーズは面白い。売主6社からなる「幸せの街総合研究所」が全国約1万人を対象にアンケートを実施。得られた回答を「LOVE」「W.L.B」「FUTURE」「CULTURE」「PLAY」「NATURE」「COMMON」「HEALTH」「MY-HOME」「WISDOM」の10のキーワードに分類し、「1000HAPPINESS」にまとめている。
例えば「LOVE」では、「今年も、いつものイタリアンレストランで子どもの誕生日のお祝い」「赤ちゃんを寝かしつけていたら自分もスヤスヤ。この時間も幸せ」などと他愛のないものばかりだが、それを10ページにわたって紹介しているのは立派。さらに幸福度の高い国や地域の特性を調べ、「日常を愛し、家族との時間を大切にする場所と時間がある」という共通項を導き出している。
同じような試みは、「富久クロス」(1,093戸)でも行っている。「Tokyoイゴコチ論争」と称し、WEBやアンケート、座談会を通じ約10万件もの声を集め、寄せられたアイデアを1000個の「イゴゴチ」にまとめて公表した。
今回の「1000HAPPINESS」はそれの二番煎じではないかと思わないわけではなく、平均72㎡のプランが一般的なファミリーにとって〝幸せプラン〟なのかという疑問も湧くが、水を差すようなことはとりあえず脇に置く。
〝20坪で5,000万円、23坪で5,800万円〟というのが記者が以前からずっと考えてきたファミリー層のマンション取得限界だ。それには合致するはずだ。
〝郊外苦戦〟跳ね返す 売れ行き好調 タカラレーベン「守谷」554戸
「レーベン守谷THE SQUARE(イーストコート)」(手前、奥が「ウエストコート」)
タカラレーベンの「レーベン守谷THE SQUARE(イーストコート)」が好調な売れ行きを見せている。守谷駅から徒歩11分の全141戸の規模で、今春に分譲開始して以降、これまでに120戸を契約済みだ。〝郊外苦戦〟の定説を覆している。
物件は、つくばエクスプレス線、関東鉄道守谷駅から徒歩11分、茨城県守谷市松並青葉一丁目に位置する7階建て全141戸。12月上旬に分譲予定の第3期2次(戸数未定)の専有面積は76.34~96.44㎡、予定価格は2,400万円台~4,600万円台(最多価格帯3,700・3,800万円台)。坪単価は152万円。竣工予定は2018年11月。設計・監理・施工は長谷工コーポレーション。
現地は、開発面積約41.7ha、総区画数約900区画の土地区画整理事業「ビスタシティ守谷」の一角。既分譲の「レーベン守谷THE BRIDEG」281戸と、今後分譲する「レーベン守谷THE SQUARE(ウエストコート)」132戸と合わせ全554戸の「ニコハピ プロジェクト」の第二弾。大規模商業施設「YORK TOWN MORIYA」が隣接。
わが国初の太陽光発電と「エネファーム」を組み合わせ、100%駐車場使用料金ゼロ、平均84㎡の広さ、始発駅、大規模商業施設に隣接していることなどが人気の要因。
販売担当の同社第2営業グループ第1営業部1課課長補佐・岩﨑良比呂氏は、「この物件は、『南大塚』とともに当社でもっともよく売れている物件の一つ。沿線には競合も多いが、始発駅で商業施設に隣接しており、圧倒的な広さが評価されている」と話している。
完成済みの「レーベン守谷THE BRIDEG」とあわせ17の共用施設が相互利用できるのも評価されているという。
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苦戦すると思われた郊外エリアのマンションを成功裏に終えた同社の事例はたくさん見てきたが、さすがに守谷では完売するまでに5~6年はかかるのではないかと考えていた。
その最大の理由はアドレスが茨城県になることだ。茨城の人は〝五十歩百歩〟と笑うかもしれないが、千葉県の人は利根川を越えることに相当の抵抗感を持っているはずだ。小規模物件なら地元需要だけで吸収できるかもしれないが、500戸を超える大型では早期完売は無理だと予想していた。
第二の理由は競合物件の多さだ。つくば沿線は八潮-三郷中央-南流山-流山セントラルパーク-流山おおたかの森-柏の葉キャンパス-柏たなかでマンションが途切れることなく供給されており、完成在庫も少なくない。同社の物件は単価は安いが、専有面積が広いだけに他社物件と比較してグロスの優位性はない。
それでも売れ行きがいいのは、岩﨑氏が話した通りだろう。先月取材した大和地所レジデンスの「千葉ニュータウン」と同じだ。商業施設に隣接し、面積が広いというのがユーザーに高く評価されている。
リビング・ダイニング・キッチン
住友不が他社を圧倒 「目黒」の東建、「青山」の三井 平均価格で突出 2Qマンション
2019年第2四半期末の各社のマンションデータが出揃った。住友不動産が売上高、計上戸数、営業利益、期末計上進捗率などで他社を圧倒。1戸当たり価格では、「Brillia Towers目黒」効果の東京建物が9,297万円、「パークコート青山ザ・タワー」を計上した三井不動産が8,846万円となり、都心部の高額物件の好調ぶりを浮き立たせている。他方、完成在庫数の増加で伸び悩んでいるデベロッパーもみられる。決算数字からマンションのデータを拾った。
◇ ◆ ◇
住友不動産が売上高、計上戸数、営業利益、期末計上進捗率などで他社を大きく引き離している。データは戸建てを含む販売事業全体だが、戸建ての占める割合は数%どまりと見られ、極めて好調に推移している。
完成在庫数も他社をはるかにしのぐが、これはいつものことで、収益を圧迫するまでに至っていない。後入先出、先入後出、先入先出など市場動向を読みながら臨機応変に販売する手法は他社も舌を巻く。
三井不動産は、1戸当たり価格が8,846万円になっているが、これは坪単価950万円の「パークコート青山ザ・タワー」(163戸)など都心部の高額物件が寄与したため。通期では7,500万円くらいになる模様だが、同社は今後も都心部での高額物件を相次いで供給する。富裕層向けで圧倒的な強みを発揮している。完成在庫は〝適正在庫〟と見られ、進捗率も90%に達する。
三菱地所は期初予想通りに推移している。完成在庫は期初の460戸から371戸へ減らしている。
野村不動産は、2017年3月期で完成在庫を654戸(うち402戸は未販売)計上したが、その後、粗利益率は20%を割り込んではいるものの改善が進んでいる。第2四半期末では207戸(うち未販売75戸)と1年半で447戸減らしている。戸建てを含む通期計上予定の6,100戸に対する進捗率は78.2%。
「Brillia Towers目黒」(940戸、うち分譲661戸)を計上したため売上高、営業利益、1戸当たり価格が大幅に伸びたのが東京建物。通期の営業利益は2016年12月期比で2倍超の135億円に、利益率も2016年12月期の7.9%から13.6%に伸びる見込み。1戸当たり価格は9,297万円となり、三井不動産を上回る。
前期末で629戸の完成在庫を計上した東急不動産は、422戸へと減らしてはいるが通期予想の営業利益は50億円(営業利益率4%)に留まる模様だ。
NTT都市開発は、郊外部の完成在庫が減っておらず501戸(前期末510戸)を計上した。
都内での供給を減らしている大京は1戸当たり価格が3,505万円となっている。
民間マンション第一号建て替え 旭化成不レジ「アトラス四谷本塩町」完売
わが国の民間マンション第一号「四谷コーポラス」の建て替え旭化成不動産レジデンス「アトラス四谷本塩町」が6月の分譲開始から10月末までに完売した。
物件は、JR四ツ谷駅から徒歩6分(東京メトロ南北線四ツ谷駅から徒歩5分、新宿区四谷本塩町に位置する6階建て全51戸(非分譲23戸含む)。最多価格帯は5,500万円台、7,300万円台。坪単価は462万円。竣工予定は2019年7月下旬。施工は佐藤秀。
購入者は医者・経営者が半分、他は資産家や会社員など。立地が評価された。
同社はまた、渋谷駅前の「宮益坂ビル」建て替えマンションについて「一般販売(広告)を行うかも含めて未定」としている。
旭化成不レジ 民間初の分譲「四谷コーポラス」建て替え説明会・見学会に80名(2017/9/5)
分譲では初か オーバル型の中庭がいい 20数年前の〝アート〟蘇る 野村不「東雲」
「プラウドシティ東雲キャナルマークス」
野村不動産が11月下旬に分譲する「プラウドシティ東雲キャナルマークス」のモデルルームを見学した。わが国初と思われる楕円形(オーバル型)であるのが特徴で、反響が多いことから全472戸のうち第1期分譲は「100戸は超えたい」意向だ。
物件は、東京メトロ有楽町線豊洲駅から徒歩10分、江東区東雲一丁目に位置する15階建て472戸。専有面積は60.86~136.99㎡、価格は未定だが坪単価は330万円になる模様。2020年1月下旬。施工は長谷工コーポレーション。
現地のアドレスは「東雲」で、2005年に竣工した伊東豊雄、山本理顕、隈研吾氏らが設計して話題になった賃貸マンション「東雲キャナルコート」のほか、三菱地所「Wコンフォートタワーズ」、アパ「アップルタワー東京キャナルコート」、大成有楽不動産ほか「ビーコンタワーレジデンス」、丸紅ほか「キャナルファーストタワー」、野村不動産「プラウドタワー東雲キャナルコート」など6棟のタワーマンションが分譲された再開発エリアの一角。24時間営業のイオンに近接しており、エリアの中では豊洲駅にはもっとも近いマンション。
敷地面積約17,761㎡の外周部に平置き駐車場(163台)や遊歩道などを設け、建物はオーバル形状とし、その中に、代々木第一体育館のアリーナ面積とほぼ同じ長辺約90m、面積約4,000㎡の中庭を設置するのが最大の特徴。中庭には様々なガーデン、プロムナード、テラス、水盤などを配し、住棟の1階に設置する10の共用空間と結ぶ。
住戸プランはファミリー型中心に基本50タイプ。同社と長谷工コーポ、ブリヂストンが共同開発したキッチンの位置を排水竪管から最大約14m(従来は約3m)まで離せるサイホン排水システム「ミライフル」のほか、長谷工コーポが開発した可動収納ユニット「ウゴクロ」を採用しているほか、IoTの技術も導入する。
主な設備仕様は、ディスポーザー、食洗機、ミストサウナなど。天井高は2450ミリ(11階まで)-2550ミリ(12~14階)-2600ミリ(最上階)、サッシ高は2020ミリ、フローリングは約300ミリの幅広タイプ。
販売を担当する同社の川井亮太朗氏は、「当初はタワーや板状の多棟構成プランも検討したが、思い切ってオーバル型を採用した。同種の住宅は賃貸では福岡に事例があるのを確認しているが、分譲では確認できていない。近接のタワーマンション群より豊洲駅に近く、キャナルコートからの購入希望がとくに多い。中庭を眺められるタイプが人気」と語った。第1期戸数については「100戸はいきたい」と強気な姿勢を見せている。
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高くなるとは予想していたが、「Wコンフォートタワー」の2倍以上だ。湾岸人気はいつまで続くのか。豊洲駅近では東急不動産の分譲も控えているが、こちらは当初予想されていた値段よりはかなり〝安く〟なるようだ。
オーバル型は、似たようなものでは三井不動産レジデンシャルのタワーマンション「パークコート青山ザ・タワー」や商業・オフィス「ミッドタウン日比谷」で見ているが、今回の物件は何といっても大きな中庭があるのがいい。購入希望は中庭を眺められるタイプのほうが多いというのも当然だろう。
模型やパンフレットなどを見て、川井氏の説明を聞いたりして、二十数年前に見学した「くまもとアートポリス」(KAP)を思い出した。優れた5~6物件の建築物を見て回ったのだが、もっとも感動したのは建築家の山本理顕氏が設計した熊本県営保田窪第一団地だった。
この賃貸住宅は中層のロの字型の長方形だったが、建物の内と外を緩やかにつなぎ、各住戸は中庭に面してバルコニーなどが配置されていた。中庭で多くの子どもたちが遊んでいたのが印象的だった。
いま、熊本県のホームページで調べたら「各住戸は中庭や広いテラスを持ち、常に外部と接することができるようになっている。その結果、公営住宅としては、かつてないほど大きな専用空間をも持つことになった」と設計概要に記されている。「くまもとアートポリス」は現在も継続して意欲的な建築物の建築にチャレンジしているようだ。
今回の物件は外廊下方式なので、バルコ―や居室から直接中庭を眺められる住戸は半分もなさそうなのが残念だが、コストを考えたら二の足を踏むのも理解できる。2戸1はともかく3戸1、4戸1エレベータにして両面バルコニープランを提案していたら、申し込みが殺到したのではないか。
モデルルームは1つ。やや変形間取りだったが、デッドスペースそのものはあまり生じない印象を受けた。家具やジュータンなどの収まりを気にする几帳面な人はどう感じるか…。洗面の引き戸はソフトクローズ機能付きではなかったのはいただけない。細かな点にも手を抜かないのがプラウドのはずだ。
マンションはアートだ 三井不レジ「パークコート青山 ザ タワー」竣工(2018/4/11)