〝タカラの奇跡〟 関係者も驚く売れ行き 残りわずか30戸 「レーベン川越南台」
「SMILINKの森PROJECT/レーベン川越南台The Arena」完成予想図
〝タカラの奇跡〟-タカラレーベンが分譲中のマンション「SMILINKの森PROJECT/レーベン川越南台The Arena」を見学した。西武新宿線南大塚駅から徒歩3分の全154戸で、今年3月から分譲しており残りは30戸。驚異的な売れ行きを見せている。
物件は、西武新宿線南大塚駅から徒歩3分、埼玉県川越市南台二丁目に位置する11階建て全155戸(非分譲住戸1戸含む)。11月下旬に分譲予定の第5期(戸数未定)の予定価格は1,900万円台~4,700万円台(最多価格帯3,200万円台、3,400万円台、3,600万円台)、坪単価155万円。竣工予定は2019年3月中旬。設計・監理・施工は長谷工コーポレーション。ランドスケープデザインはウイ・アンド・エフ ヴィジョン石倉雅俊氏。
現地は、低中層の建築物が建ち並ぶ住商の混在エリア。建物は全戸南東向き、敷地内100%無料駐車場、多彩な共用施設、太陽光発電による災害時対策などが特徴。
住戸プラン・設備仕様は、ワイドスパン、ディスポーザー、浄活水装置「たからの水」、洗浄力がすぐれた「たからのミックスセーバー」、温浴効果が高い「たからのマイクロバブルトルネードO2」など。
今年3月から分譲しており、残りは30戸。同社第1営業グループ第3営業部2課課長・熊野太一氏は、「南大塚駅圏では10年ぶりの供給。当初は苦戦も予想していましたが、想定外の売れ行き。企画段階でファミリー層にターゲットを絞り込み、広告展開でも商品企画を鮮明に打ち出したのが効果的だった。購入者は地元中心ですが、最近は都内からの来場が増えています。竣工まで完売? 当然です。つい先日も業界関係者から〝奇跡〟と言われました」と、表情も明るかった。
リビング
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種を明かすと、マンションの見学は予定していなかった。この日(6日の火曜日)は三井不動産の物流施設「MFLPプロロジスパーク川越」の記者見学会があり、モデルルームが開いていたらついでに見せてもらおうと。どうせ売れていないだろうから記事にはならないだろうとも考えていた。
ところが、あにはからんや。残り30戸という売れ行きにわが耳を疑った。信じられない。
あれやこれやとその理由を考えた。エリアでは10年振りという空白があったからだろうとか、所沢の再開発では坪300万円を突破し、川越の駅近でも坪200万円をはるかに超えてきており、同社の物件の割安感が顕在化してきたのも大きな要因だろうと…などと。しかし、理由はあとからならいくらでも付けられる。このエリアで月に十数戸が売れるとは…〝たからの水〟がいいのはよく知っているが、これは〝タカラの奇跡〟だ。
熊野氏は「取得した土地の一部をコンビニに売却したことも一因」と、低めに単価設定できた理由を明かしたが、設備仕様は悪くなかった。モデルルームも多目的に利用できるDENなどの提案がよかった。76㎡の3LDKでは「おはなしバスルーム」「ふれあいキッチン」「へんしんドア」「あつまリビング」「みはらしバルコニー」などのネーミングも分かりやすい。
この前見学した大和地所レジデンスの「千葉ニュータウン中央」もそうだが、商品企画と価格次第では郊外部でも売れることを証明したマンションだ。
週刊住宅も住宅新報も〝中身なし〟 選手村「HARUMI FLAG」の記事に失望
先週の10月31日に発表があった2020年東京オリンピック・パラリンピックの選手村になる「晴海五丁目西地区第一種市街地再開発事業」のタウンネーム「HARUMI FLAG」を業界専門紙がどのように伝えているか興味深く読んだが、収穫はゼロだった。それより失望のほうが大きかった。
11月5日付「週刊住宅」は、ほぼ1面を割いてトップで報じた。もっとも興味がある価格については、「『(分譲は)4,000戸を超える大量供給となるため、販売は数期に分けることになるだろう。市場を攪乱しないよう価格設定する』(三井不動産レジデンシャル)と、周辺相場並みの価格設定を示唆する」としている。
この「市場を攪乱しない価格設定」とはどう意味か、その価格がどうして「周辺相場並みの価格設定」につながるのか、同紙は全く説明していない。意味不明だ。百歩譲って言わんとすることを補足すれば、仕入れ土地がただ同然の一種8万円からして、市場価格より格安で分譲することも可能だが、そのような価格で分譲したら「市場を攪乱する」ことにもつながりかねないので、「周辺相場を考慮して高くもなく安くもない値段にする」ということだ。(一種8万円は記者の推定)
つまり、周辺で分譲している当事者のマンション販売に影響を与えないよう配慮するということだ。
やはり専門紙として、土地の仕入れ価格に触れるべきだったし、果たしてレガシーマンションが「周辺相場並み」のただ戸数が多いマンションでいいのかどうかも書くべきだった。肝心のユーザー視点も欠落している。
そもそも、〝陸の孤島〟のこのエリアに相場などない。あるとすれば、9年前に分譲された「ザ・晴海レジテンス」と「晴海テラス」だ。ともに圧倒的な人気を呼んだ。坪単価は220万円しなかった。〝ない相場〟を創意工夫をこらし創るのがデベロッパーだ。「相場並み」で分譲して売れるのなら世話はない。
この問題については、ある一般紙が「坪単価は270~280万円の声もある」と書いているが、これもまた何の検証、裏付けも取らないで伝えているに過ぎない。書いた記者自身がどう思うかを書くべきだ。影響度を考えるとその罪は大きい。
11月6日付「住宅新報」は、5段見出しで、過不足なく伝えてはいるが、発表から土曜・日曜は挟んでいるが5日遅れの記事にしては独自の視点による記事ではなく、発表内容をトレースしただけの内容だ。記事量としては、11月2日に大京が発表した「ザ・レジデンス金沢」のマンションの即日完売記事と大差ないどころか、「選手村」の完成予想図より「金沢」の建設現場の写真のほうが大きく掲載されている。
不動産流通研究所の「R.E.poot」はどうか。このWebは日々生起する、あるいは住宅・不動産会社が発表するニュース・リリースをそのまま紹介することに重点を置いており、評論記事などはほとんどないの論評は期待していなかったが、それでも週刊住宅や住宅新報より要領よく概要をまとめていると思った。
記者はどうかというと、情けないかな「聞きたいこと(知りたいこと、伝えたいこと)は不明」「記者が馬鹿だった」という見出しの記事を書かざるを得なかった。完敗。
恥ずかしいことだが、そもそも東京都と組織委員会が全費用を負担するスケルトン「仮使用」などまったく想定していなかった。天井高は2500ミリになりそうなのにも、内装も最低レベルになりそうなのに失望した(解体費用を含めて1戸当たり1,000万円という価格が妥当かどうかは現段階でわからない)。購入者は、その住戸にどのような選手が一時使用したのか知らされないのは不幸だし…購入申し込み予定した住戸がどのように「仮使用」されたのか知る権利はないのか…不正利用されたら解約できる特約はないのか…。スケルトン賃貸だから、レガシーの痕跡は全く残さないと見た。
聞きたいことは不明 オリ・パラ選手村の街の名称「HARUMI FLAG」来春分譲(2018/10/31)
記者が馬鹿だった…選手村はスケルトンで都と組織委が賃借し、解体費を含め全額負担(2018/11/1)
「ザ・晴海レジデンス」に続き圧倒的人気 コスモスイニシア「晴海テラス」(2009/9/11)
駅前の一等地 大京「金沢」第1期1次70戸が即日完売 4割は地元以外
「ザ・レジデンス金沢」完成予想図(手前の上層部がマンション)
大京は11月1日、オリックスが開発を進めている石川県金沢市の「金沢駅西口大規模複合開発プロジェク ト」内に建設中の分譲マンション「ザ・レジデンス金沢」 のモデルルームを11月3日にオープンすると発表した。
「金沢駅西口大規模複合開発プロジェクト」は、金沢駅西広場に隣接。新たなランドマークとして位置づけられているツインタワー。
同マンションのほか、外資系ホテル「ハイアット セントリック 金沢」「ハイアット ハウス 金沢」や外部庭園、商業施設が建設される。
第1期1次(70)が10月19日に抽選分譲され全戸に申し込みが入った。専有面積は42.07から180.77㎡、価格は3,040万~1億9,980万円(最多価格帯5,200万円台=約75㎡)。申込者の約6割が地元居住者で、残りの4割は北は北海道から九州まで全国にわたっている。同社は「想定外を超える反響」としている。
物件は、北陸本線金沢駅から徒歩2分、15階建て全114戸。第1期2次(戸数未定)の専有面積は50.03~85.65㎡。竣工予定は2020年4月下旬。設計・施工は竹中工務店。
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記者は昨年、金沢に取材のために行った。駅東口も立派なアートに圧倒されるが、西口は実に広々としており最高の立地だ。5,200万円台(坪229万円)はわが多摩センターより安い。人気になるのは当然か。
三菱地所レジ 北陸初マンションは北國銀行本店跡地 坪単価は最高峰の200万円超か(2017/6/5)
大京穴吹 リノベ新提案 〝クラフトマンシップに心が震えた〟田渕氏
「アメリカン・ヴィンテージの暮らし」モデルルーム
大京グループの大京穴吹不動産は11月1日、同社が展開する専有1戸単位のリノベマンションブランド「Renoα(リノアルファ)」に、インテリアブランド「ACME Furniture(アクメファニチャー)」を展開するACMEとコラボレーションし、内装仕様・インテリアコーディネート・家具などの生活空間を提案する「アメリカン・ヴィンテージの暮らし」を加え、その第1号物件を発売すると発表した。
フローリングにダメージ加工のワイルドヒッコリーの無垢材(厚さ18ミリ)フローリングを採用しているほか、建具は框組、モールガラスなどのデザイン扉、ブラケット・スタンド照明を多用しているのが特徴。ディススプレイ家具は120万円で販売する。
大京穴吹不動産取締役リノベーション事業部長・櫻田強氏は、「感性とセンス、今後の中古&リフォームの展開という2つのチャレンジの側面から採用した」と新提案の目的について述べ、同社事業統括部研究開発室係長・田渕裕美氏は「ACMEさんのクラフトマンシップに共鳴し、心が震えた」などと絶賛した。
「Renoα(リノアルファ)」は年間約1,500戸、累計約7,000戸の販売実績がある。物件は、東急大井町線上野毛駅から7分、世田谷区上野毛4丁目に位置する築40年の「ライオンズマンション上野毛A棟」の79.38㎡。登録申し込みは2019年1月10日(木)~14日(日)。販売価格は4,980万円(税込、リノベ費用950万円含む)。
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「アメリカン・ヴィンテージの暮らし」は、BtoBビジネスの拡大を狙うACMEとぴったりで、ACME CCO・辻雅彦氏が「わたしたちの家具はデイリーユースがコンセプト」と話したのにも同感だ。
露悪趣味ではないかと思えるほどのこれ見よがしの途轍もなく高そうなアンティーク家具はマンションモデルルームでたくさん見てきた記者も、この値段(坪単価208万円)の中古マンションにはぴったりだと感じた。田渕氏のように「心が震える」ほどではなかったが、ダメージ加工のワイルドヒッコリー(くるみ材)の無垢材はとてもよかった。
以下は、田渕氏が企画主旨について話された一部だ。記者はほとんど手を加えていない。
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(当社は)蓄積した実績やノウハウに限定せず、異業種さまとの共創によりもたらされる新たな感性やセンスを取り入れることにより、多様化する住空間のニーズにアプローチし、当社ではリーチできなかった新たな顧客層の開拓を推し進めていきたいと考えております。
今回コラボレーションとしてふさわしいと思い、こちらからお声掛けさせていただいた株式会社ACMEさまですが、ACMEさまとお話しさせていく中で、取り扱っていらっしゃるヴィンテージ家具といった古いものに手を加えながら大切に使い続けていくということと、そして、ACMEさまより言葉をお借りすると〝We are Craftsman〟という表現ですが、家具を大切にするだけにとどまらず、新たなデザインや専門職人による匠の技術により、さらなる価値を加え家具を輝かせる『クラフトマンシップ』というスピリットをお聞かせいただきました。
これは、まさに大京グループにおける、ものづくりのスタンスに共鳴するものがあり、お話しを聞きながら心が震え、このお考えは、当社の中古住宅をリノベーションという形で甦らせ、古いものを長く維持しつづけるという考えと親和性があると考え、今回のコラボレーションの実現にいたりました。
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なぜ紹介したか。田渕氏が、ACMEの理念は「当社のものづくりのスタンスに共鳴するものがあり、お話をききながら心が震えた…」と話された部分に記者もビビッと来たからだ。だから見出しにも取った。
田渕氏は全体で1,200字くらい話されたのだが、時間にして3分くらいだったか。記者がメモを取るにはやや早口だとは感じたが、ほぼ完璧の内容だと思った。「えー」「あのー」などの無機能語はほとんどなかった。
これは取材していつも感じることだが、挨拶される皆さんは第一に話が長すぎるし、早口すぎる。分量としてはよく言われるように1分間に300字だ。そして訴えることもできれば1つ、限界は3つ。ちあきなおみさんの「四つのお願い」は欲張りすぎだ。
この点で言えば、先日行われた木住協の第21回「作文コンクール」表彰式での国土交通省住宅局住宅生産課長・長谷川貴彦氏の挨拶は最高に素晴らしかった。「木のいいところ」として、「木は人にやさしい」「木は環境にやさしい」「木は地球にやさしい」(メモをなくしたので定かでないがほぼ間違いない)の3つを挙げられた。
記者のようなweb記事は文字数に制限はないが、紙媒体は指数に限りがある。3分間話しても、記事にするのは限られる。挨拶される方は、「詳細はニュースリリースを読んでください。わたしの強調したいのは1つ(あるいは3つのお願い)」くらいにとどめたらどうか。わたしは、リンカーンの「government of the people, by the people, for the people」を超える挨拶を期待しているのだが…。
最近の挨拶で一番だと思うのは、矢野龍氏の木住協会長の退任の挨拶だった。ここに添付する。
左からACME池田耕太郎氏、辻氏、田渕氏
「time flies like an arrow 光陰〝矢野〟如し」 木住協・矢野会長(住林会長)が退任(2016/5/30)
聞きたいことは不明 オリ・パラ選手村の街の名称「HARUMI FLAG」来春分譲
「HARUMI FLAG」全景
三井不動産レジデンシャルを幹事会社とする特定建築者11社は10月31日、2020年東京オリンピック・パラリンピックの選手村にもなる「晴海五丁目西地区第一種市街地再開発事業」の開発区域のタウンネームを「HARUMI FLAG」に決定したと発表。街づくりのコンセプト、テーマなど概要を公表した。同日、オフィシャルサイトを開設し、会員登録の受付を開始した。来年春にモデルルームをオープンし、5月に販売開始する。
HARUMI FLAGは、開発面積約13haの敷地に5,632戸(分譲4,145戸、賃貸1,487戸)の住宅と商業施設の合計24棟から構成され、保育施設、介護住宅などを整備し、多様なライフスタイルを受け入れる人口約12,000人となる街づくり計画。
官民が一体となって創出した直径約100mもの拠点空間であるCENTER CORE(中心広場)や、分譲街区に51室の共用室などを設置し、敷地内にはバリアフリーなアクセシブルルートを設置。2,318台を収容する駐車場は全て地下方式とし、各住宅棟の共用廊下幅も1.5mとする。平均専有面積も一般的なものより広くする。
このほか、次世代のエネルギーを供給する「水素ステーション」が設けられるほか、日本初の街区をまたいだ専用の光ケーブル網を使ったエリアネットワークにより街全体のセキュリティ管理やエネルギーマネジメントなどを効率的に行う。都心直結の新交通システム「BRT」も運行する予定。
事業者を代表して三井不動産レジデンシャル取締役常務執行役員・山田貴夫氏は、「銀座から2.5キロの東京のど真ん中に今までにない街が誕生する。後世に残るレガシーとなる街づくりを進めていく」と話した。
事業は、中央区晴海五丁目に位置する総開発面積約133,906㎡、総計画戸数住宅5,632戸(分譲住宅街区4,145戸、賃貸住宅街区1,487戸(シニア住宅、シェアハウス含む)、他に店舗・介護住宅・保育施設(区画数未定)、施工は東急建設、長谷工コーポレーション、前田建設工業、三井住友建設。再開発コンサルタントは日建設計。設計は日建ハウジングシステム、日本設計、長谷工コーポレーション、三菱地所設計、前田建設工業、三井住友建設。25人のデザイナーを起用し、光井純氏がマスターアーキテクトを担当する。
14~18階建ての住宅棟は大会終了後リニューアルを施したうえ2022年秋に竣工。タワー棟は2024年3月に竣工する。
CENTER CORE(直径は約100m)
FLAG CORE 辻の広場
4街区からの風景
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発表会には約100名の報道陣が詰めかけた。住宅はオリ・パラの選手村となり、東京都が事業者に譲渡した土地の値段が約130億円で、坪単価約32万円、容積率100%当たりの一種は坪約8万円だったことから話題になった割には少ないような気がしたし、予想はしていたが、聞きたいことは10分の1も聞けなかった。肩透かしをくったというのが正直な気持ちだ。以下は大急ぎで書いた記事だ。順次加筆訂正する。
誰もが関心がある坪単価について報道陣が質問した。もちろん「価格は未定」という答えしか返ってこなかった。(本当は返ってこない質問などしてはいけない)「〇年転売禁止」の特約は設けないようだ。
記者は〝東京のど真ん中〟のプロジェクトだから、ストレートに質問しようとも考えたが、変化球を3つ投げた。これは野球と一緒、効果的なときもある。
一つは、「容積率を400%と仮定すると一種当たりの単価は8万円になるが、これに誤りはないか」と。同社の担当者からは、「都の募集に応じた結果であり、答えられない」と返ってきた。(これは想定内。しかし、容積を仮に300%としても一種約11万円の破格値であるのは変わりない)
もう一つは、共用施設はかなり充実しており、2,318台を収容する駐車場は全て地下、共用室は51室もあるように有効率(レンタブル比率)は相当低いと思ったので、「レンタブル比率はどれくらいか」と聞いた。これは後で教えてくれることになっている。この比率が分譲価格・賃料に大きく影響するはずだ。
それでも、土地代がただ同然(と言っては失礼か。ちなみに住友不動産が分譲中の「シティタワーズ東京ベイ」の一種単価は約42万円)だから、分譲単価は抑えられる。2年前、「アッパーで坪250万円ではないか」と書いたのもそのためだ。噂されている価格については、公表された計画から判断すればレベルは高いとは思うが、ものを見ないと何とも言えない。
しかし、いくらで売ろうが、これは事業者の勝手だし、市場が決めることだ。われわれがとやかくいう問題ではない。しかし、そんなに当初の予想が大外れずれることはないと確信した。タワーはもちろんもっと高くなるはずだが…。適正な価格で分譲すべきと考えているだけで、〝安くしろ〟〝高くしろ〟と言っているのではない。
3つ目の質問は、「せっかくレガシーマンションにするのだから、各選手にサインやら手形やら足形を壁などに残してもらって、オークションにかければ世界中から申し込みが殺到するのではないか」と、エールを送る意味で聞いた。これには「我々には権限がないので、組織委員会に声として伝える」と前向きな返事をもらった。
おそらく組織委はやらないだろうが、これは前例がある。住友不動産が品川の「ワールドシティタワーズ」で実施した。確か坪単価は800万円くらいしたのでなかったか。暴利を貪ったら批判されるかもしれないので、余剰金は寄付でもすれば誰も文句は言わないのではないか。
このほか、たくさん聞きたいことはあったが、他の記者の方に失礼と思ったので、これだけにとどめた。本当は、一種8万円になった根拠である、不動産鑑定評価手法に選んだ開発法の是非について質問したかったのだが、これも絶対に返事は返ってこなかったはずだ。〝専門家が評価した価格に瑕疵はない〟というのが当局の判断だ。鑑定業界には〝クライアントプレッシャー〟なる不思議な言葉があるのだか…。
DOTS PLAZA(敷地内には約3,900本、約100種の樹木が植えられる)
11社の代表(それぞれ一言コメントを聞きたかった)
東京2020オリ・パラ選手村 敷地売却価格は地価公示の10分の1以下の〝怪〟(2016/8/4)
72年の〝超長期〟定借で価格も〝超々〟割安 住友不動産「シティタワー品川」(2008/8/1)
駅近 100㎡ 商業隣接 驚愕の坪140万円 大和地所レジ「千葉NT中央ザ・フロント」
「ヴェレーナシティ千葉ニュータウン中央 ザ・フロント」完成予想図
大和地所レジデンスが今月から分譲を開始した「ヴェレーナシティ千葉ニュータウン中央 ザ・フロント」を見学した。5年かけても完売できないマンションがあるエリアで、何と第1期で50戸以上に申し込みが入ったという。駅から3分、商業施設隣接、100㎡住宅、無料駐車場などを前面に打ち出し、〝真の豊かさ〟をアピールした商品企画がユーザーの心を捉えた。坪単価は驚愕の140万円だ。
物件は、北総線・成田スカイアクセス線千葉ニュータウン中央駅から徒歩3分、千葉県印西市中央南二丁目の商業地域(建ぺい率80%=角地緩和により90%、400%)に位置する敷地面積9,693.14㎡、15階建て全234戸の規模。現在分譲中の第1期1次(15戸)の専有面積は80.00㎡~101.25㎡、価格は3,298万円~4,398万円(最多価格帯4,100万円台)、坪単価は140万円。竣工予定は2020年3月下旬。設計・監理はT設計工房。施工は長谷工コーポレーション。
建物は三方角地の全戸南向き。共用部分にプロによるアートを配し、住戸プランは8mワイドスパンの100㎡が中心。玄関幅1.4m、メーターモジュール廊下幅、ディスポーザー、食洗機、床暖房、主寝室8畳大、1620浴室などが特徴。平置無料駐車場も100%確保している。奥行き4mのオープンエアバルコニー付きプランも100戸以上ある。
オープンエアリビング
オープンエアリビングバルコニー
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最初、同社から見学の誘いを受けたとき、〝またかよ、大丈夫か〟と思った。
同社はこれまで千葉ニュータウンで5棟約1,000戸の供給実績があり、得意としているのかもしれないが、時代が異なる。同社が4年前に分譲した「ヴェレーナシティ千葉ニュータウン中央」217戸は坪130万円もしなかったはずだ。
建築費が高止まりしている今は、土地代がタダでも坪単価150万円以下はあり得ない。前期売上計上戸数約900戸で、完成在庫が1戸もない快挙を成し遂げたのに、在庫の山を築くことにならないか、あえて火中の栗を拾うようなことをなぜするのかと。
ところがどうだ。「坪単価は140万円」と担当者から聞かされてびっくり仰天。絶対あり得ない価格だ。土地はUR都市機構と千葉県から購入したということなので、「県から補助金をもらったのではないか」と聞いたほどだ。
しかし、安かろう悪かろうでは絶対ないと断言できる。設備仕様レベルは直床ではあるが、バルコニーにはしっかりシンクを設け、11階以上だがキッチン天板は御影石。その他の建具家具も郊外マンションとしては水準以上だ。天井高も2500・2550・2600ミリ確保している。
印西市がどうして「住みよさランキング」(東洋経済新報社調べ)で7年連続全国1位なのか、これだけはよく分からない。皆さん調べていただきたい。
玄関
圧巻約34畳の空間提案 日本綜合地所「ヴェレーナシティ千葉ニュータウン中央」(2014/2/4)
元赤坂アドレスで35年振り 1フロア2戸 阪急阪神不「ジオ元赤坂」完成販売
「元赤坂アドレス」完成予想図
阪急阪神不動産が近く完成販売する「ジオ元赤坂」を見学した。「元赤坂アドレス」では35年ぶりの新規マンションがどのような評価を受けるか注目される。
物件は、東京メトロ赤坂見附駅から徒歩2分、港区元赤坂一丁目の商業地域に位置する14階建て全22戸。専有面積は41.64~109.54㎡、第1期(戸数未定)の予定価格は7,200万円台~22,800万円台(最多価格帯7,600万円台・7,900万円台)、坪単価は650万円。竣工は2018年9月。設計・施工・監理は新日本建設。デザイン監修は押野見邦英氏。
現地は、青山通りの鹿島建設本社ビルと「AKASAKA K-TOWER」の間を入った二方接道の角地。鹿島ビルとK-TOWERの間は幅数十メートルにわった公開空地とされているため、開放感がある。
建物は、1階がラウンジなどの共用施設で、住戸は2階以上。1フロア2戸構成(最上階は1戸)。赤坂御用地は中層階以上でないと眺望は難しい。
1階のラウンジは無垢のヘリンボーン仕上げ。住戸内のプラン・設備仕様は、ディスポーザー、ドイツ・ミーレ社製食洗機、シーザーストーンキッチン天板、グローエ水栓、バックカウンター・吊戸棚、ミストサウナ、洋室床暖房、突板フローリング(プレミアムのみ)、Low-E複層ガラスなど。
ラウンジ(完成予想図)
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赤坂見附エリアでは、昨年末から分譲され、立地がよく、単価が安かったモリモト「ピアース赤坂」が完売し、現在、記事にもした大和ハウス工業「プレミスト赤坂翠嶺」と、東急不動産「ブランズ永田町」が分譲されている。
この3物件はそれぞれターゲットがよくわかる。「永田町」は、赤坂見附駅からだと10層くらいの坂を上らなければならないが、衆議院議長公邸が目の前。眺望は素晴らしいはずだ。「赤坂翠嶺」は隠れ家的な雰囲気がある。
しかし、「元赤坂」は35年間も供給がなかったエリアだけに、記者も需要層が読めない。投資用としては希少ではあるが、賃貸利回りはどうなるのか。居住用としては、開放感はあるが逆に外からの視線が気になりそうだ。
坪単価650万円は安いと思うが、だからこその単価設定ともいえる。
6回からの眺望(左が「K-TOWER」、右が鹿島本社ビル)
左が鹿島本社ビル、右が「K-TOWER」(押野見氏は鹿島出身。気を使って外観を同じようにしたのか)
一低の傾斜地巧みに生かしたプラン秀 末長組「青葉台」
「ロイヤルシーズン青葉台」
末長組が分譲中の「ロイヤルシーズン青葉台」を見学した。建ぺい率40%、容積率80%という普通のデベロッパーだったらまず手掛けない第一種低層住居専用地域に位置する4・8階建て(建基法では地下1階地上3・4階建て)の全69戸。通風・採光・プライバシーにこだわったプランに唸るしかなかった。
物件は、東急田園都市線青葉台駅から徒歩8分、横浜市青葉区松風台1丁目に位置する「EAST」46戸と「WEST」23戸の全69戸。現在分譲中の住戸(19戸)の専有面積は50.40~106.47㎡、価格は3,890万~10,990万円。建物は平成30年7月3日に竣工済み。施工は同社。売主は同社のほか末長企画。販売代理はライフコーディネーター。
現地は、他社のマンション見学のため何度も足を運んだことがある比高差にして4層分くらいある傾斜地。建物は、PRC構造(プレストレス鉄筋コンクリート構造)とF2システム(PRC構造+耐震壁付ラーメン構造)を採用して、住戸内に柱・梁型が極力出ないようにし、〝2戸1〟エレベータを採用しているのが特徴。
住戸プランは、プライバシーを重視して共用廊下側に窓を極力設けないようにし、多面採光・通風プランが中心。
エントランスホール
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添付した70㎡台の3LDKのプランを見ていただきたい。今はほとんどなくなった〝2戸1〟エレベータを採用。開口部は7カ所。ルーフバルコニーとバルコニー面積を合わせると9.6坪もある。プレミアム仕様は、挽き板仕上げのフローリング、天然石のキッチンカウンタートップ、突板の建具・家具、本皮のドア把手など。
販売を担当するライフコーディネーター・由井氏も「末長組さんの物件を担当しだした頃は驚きの連続。普通のデベロッパーならやらないことをされていた。階段室にもタイルを張るかよと。お客さんに寄り添う理念は創業時から変わらない」と話した。
何よりも経済設計が優先される世の中にあって、同社は貴重な存在だ。
モデルルーム
眺望
70㎡のプラン
末長組の矜持を見た 傾斜地だからこそ生きる技術力 「ロイヤルシーズン西麻布」(2018/10/5)
想定の倍以上1,000名参加 地方と都市を繋ぐ 三菱地所「レジクラマルシェ」
「レジクラマルシェ」(「W Comfort Towers」で)
三菱地所グループの住宅系会員組織「三菱地所のレジデンスクラブ」は10月13日・14日・20日の3日間、地方創生とマンションコミュニティの活性化を目指す「レジクラマルシェ」を開催。3日間で想定の倍以上の約1,000名が集まった。
「三菱地所のレジデンスクラブ」は、今年6月に発足した住まいに関するニーズをワンストップで対応する全国で約60万世帯のユーザー会員組織。
「レジクラマルシェ」は、同組織と農業・水産・加工品を対象としたオーナー制度プラットフォーム「OWNERS」(https://owner-style.com)を運営するukka(代表取締役:谷川佳、小林俊仁氏)が連携して開催した第一弾。「レジクラマルシェ-岩手一関おいしい収穫祭-」と題し、マンションの共用スペースを会場として実施したもの。岩手県一関市農政課の職員をはじめ地元の生産者、ukkaのスタッフ、同社の関係者やマンション管理組合も参加した。
イベントは、10月13日(土)は「武蔵野タワーズ」(587戸)で、14日(日)は「ザ・パークハウス上鷺宮」(261戸)で、20日(日)はW Comfort Towers」(1149戸)でそれぞれ行われた。
ukkaは、2017年9月に創業されたITベンチャー。「100年後に続く食と農のあるべき形を創る」というミッションを掲げ、テクノロジーの技術を活用しながら、生産者と都市消費者をつなぐ新しい食材流通のプラットフォームサービス「OWNERS」を展開している。
OWNERSに掲載される全国から厳選されたこだわり食材のオーナープランに事前登録することで、その食材の1口オーナーとして生産過程や収穫の様子を楽しみながら、最も旬な時期に生産者から直接届けられるサービス。2018年9月現在、登録生産者数は約100名、ユーザー数は約4,000名。
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3日目の20日、「W Comfort Towers」(1149戸)で行われた「レジクラマルシェ」を見学取材した。ukkaの「100年後に続く食と農のあるべき形を創る」というミッションがいいではないか。
三菱地所コミュニティ都心支店管理2グループ Wコンフォートタワーズ統括所長・野村亮平氏は、「わたしたちが考えていることとukkaの目指すものは共感できる。これからのマンション管理は、居住者の高齢化や理事のなり手不足などから、コミュニティを醸成しづらくなってくる。今回のように双方が協力し合うことでWin-Winの関係が築ける。Wコンフォートでも築14年を迎え、組合の主体的なイベントがしづらくなっているが、イベントの前に行った防災訓練には例年の倍の約200名が集まったように効果もあった。大きな第一歩を踏むことができた」と話した。
30歳のukka谷川代表は「ネットを通じて第一次産業の抱えている課題を解決するのがわたしたちの役割。そのためには、都市の消費者とダイレクトにつなぐ必要がある。従来からある規模の大きい物産展は非効率で、消費者は印象に残らない。それより、もっと暮しに近くコミュニティを育て、シェアできるこれくらいの規模の街単位でのイベントのほうが反響も大きい。人と街、人と人を繋ぎ、地方創生の一翼を担いたい」と語った。
同社には、他の地方自治体からも「うちもやりたい」という声がたくさん寄せられているという。
谷川氏
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参考までに、マンションコミュニティについて以下に触れておく。
国土交通省は平成28年、「マンションの管理の適正化に関する指針」を改正し、マンションコミュニティについて「マンションにおけるコミュニティ形成は、日常的なトラブルの防止や防災減災、防犯などの観点から重要なものであり、管理組合においても、建物の区分所有等に関する法律(昭和三十七年法律第六十九号)に則り、良好なコミュニティの形成に積極的に取り組むことが望ましい」と明文化した。
その一方で、「マンション標準管理規約及び同コメント」の改正点として、「従来、本条第十号に掲げる管理費の使途及び第34条の管理組合の業務として、『地域コミュニティにも配慮した居住者間のコミュニティ形成(に要する費用)』が掲げられていた。これは、日常的なトラブルの未然防止や大規模修繕工事等の円滑な実施などに資するコミュニティ形成について、マンションの管理という管理組合の目的の範囲内で行われることを前提に規定していたものである。しかしながら、『地域コミュニティにも配慮した居住者間のコミュニティ形成』との表現には、定義のあいまいさから拡大解釈の懸念があり、とりわけ、管理組合と自治会、町内会等とを混同することにより、自治会費を管理費として一体で徴収し自治会費を払っている事例や、自治会的な活動への管理費の支出をめぐる意見対立やトラブル等が生じている実態もあった。一方、管理組合による従来の活動の中でいわゆるコミュニティ活動と称して行われていたもののうち、例えば、マンションやその周辺における美化や清掃、景観形成、防災・防犯活動、生活ルールの調整等で、その経費に見合ったマンションの資産価値の向上がもたらされる活動は、それが区分所有法第65条に定める管理組合の目的である『団地内の土地、附属施設及び専有部分のある建物の管理』の範囲内で行われる限りにおいて可能である」などと財産管理団体としての管理組合と自治会、町内会活動を混同しないよう求めた。
また、指針改正の前、平成24年から27年にかけ11回行われた国土交通省「マンションの新たな管理ルールに関する 検討会」の第9回目で次のようなやり取りがあった。そのまま引用する。
【安藤委員(安藤至・日本大学大学院総合科学研究科准教授)】 私は村辻委員のご意見よりもさらに厳格にとらえるべきだと考えております。先ほど、防災の取り組みにバーベキューを組み合わせるという話ですが、これに全員が喜んで参加しているのかということが知りたいですし、また全員が喜んで参加するようなイベントであれば、参加費を本人たちから徴集すれば良いと思います。仮に、防災訓練には参加したいがバーベキューには興味がない人、かつ区分所有者の方からしたら、自分たちのお金が目的外に使われている状況なわけですから、これは明確にすべきです。勝手に流用されては困るという考え方もあるのです。
また、防災がそれほどまでに大事なのであれば、防災訓練の参加を現時点で、ちゃんと強制して行っているのかについても気になります。全員参加しているのでしょうか。それをせずに、参加できる、そして参加したい人だけで防災訓練を行い、気の合った人たちだけでバーベキューをやるというようなことにもし管理組合のお金を使っているのであれば、それこそまさに目的外使用であり、この最高裁の判例とかの考え方からすれば、もう完全に逸脱していると考えております。
【吉田委員(吉田修・弁護士)】 今の村辻先生、安藤委員のご意見に賛成なんですが、特に外部の専門家を管理者に呼ぶということを今後考えていかなければいけないという場合に、そういう外部の管理者の人が勝手に恣意的にお金を使っちゃいけないんだよと、財産管理のために必要最低限のことしか使ってはいけないんだということがなければならないと思います。これは会社法等のことでお考えいただければ簡単だと思うんですけれども、会社法の場合に、取締役が目的外使用すれば、これは特別背任とか業務上横領ということになるわけです。
現状において、どこからどこまでをどうするのかということはなかなか線引きができない。
それはそうなんですけど、基準はつくっておかないとあいまいになってしまうと思います。
ですから、バーベキューにしても、例えば最低限の文章を回すとか何とかというところまでは、通常なんだと思います。ところが、そこから上のところについては有志が有料でもって参加するんだとか、どこか線引き的なことは基準としてつけておかないと、今後、外部の専門家を管理者として入れたときに、チェックする基準がなくなってしまいますので、財産管理として必要最低限のところは、ある程度抽象的な基準として明確にしておくべきではないかと思います。
【村専門委員(村裕太・三井不動産レジデンシャル開発事業本部都市開発二部部長)】 新築のマンションの分譲の立場から申し上げたいと思うのですが、昨今の購入者のご意向として、このコミュニティの形成というのは非常にニーズが高いというか、ご希望が多いことでございます。おそらく意識としては、震災等で自助、公助以外に共助をしていかなければいけないという部分があったりとか、防犯、防災とか、各先生からご指摘があったようなこともあるのですが、コミュニティの形成が良好なマンションというものが、よく清掃が行き届いていたりとか、設備の保守、維持がちゃんとできていたりと同等になるぐらい、やっぱり資産価値を高める、もしくは維持するのに必要なソフトだという認識がご購入者の方に強いからだというふうに私ども分譲主としては思っておりまして、逆に、売り主としてはコミュニティの形成に必要ないろいろなイベントなどを企画したりサポートしたりというようなことをむしろ積極的にお勧めしたり、お手伝いをしたりというようなことをやっております。おそらく購入者は今そういう意識をお持ちなのだと思います。
【安藤委員】 今、村専門委員がおっしゃったことが仮に正しいのであれば、別に管理組合がお金を出さなくても、住人全員が自分たちで進んで町内会に参加し、町内会の経費でそのような取り組みをするはずですので、まさに管理組合と町内会とを混同する必要がないということを、ご説明されたのではないでしょうか。
記者は、マンションコミュニティ形成については、「自分勝手の合理主義を貫けば、居住者間はもちろん地域や街のコミュニティをズタズタに切り裂き、活力をそぎ、やがてはそのマンションの価値すらも減じることにつながるはずだ。マンション単体で価値を維持・向上させるのは絵空事に過ぎない」というのが持論だ。
迷走する「マンションの新たな管理ルールに関する検討会」コミュニティや議決権などめぐり激しい論議(2012/8/20)
マンションコミュニティを否定するのか 国交省マンション管理検討会(2015/4/4)
〝赤坂の隠れ家〟 本物志向の大和ハウス「プレミスト赤坂翠嶺」
「プレミスト赤坂翠嶺」エントランス
大和ハウス工業が11月に分譲するマンション「プレミスト赤坂翠嶺」を見学した。販売担当の販売事務所長・島田隆弘氏が「六番町? その比ではない」と豪語した通り、設備仕様レベルは高い。全19戸(非分譲1戸含む)の小規模物件だが、すでに半数くらいに申し込み要望が入っているという。
物件は、東京地下鉄丸ノ内線赤坂見附駅から徒歩6分、千代田線赤坂駅から徒歩6分、港区赤坂四丁目の敷地面積約457㎡の第2種住居地域に位置する11階建て全19戸。専有面積は65.81~71.12㎡、価格は未定だが坪単価は650万円になる模様。施工は日本国土開発。竣工予定は平成31年3月上旬。
現地はかつて政財界人がよく利用したというヒルトップの料亭跡地。住戸は1フロア2戸(11階は1戸のみで非分譲)。全戸南向き。4~5層くらいまでは前建の影響を受けるが、それ以上は開けている。
デザイン監修は、同社の人気マンション「プレミスト九段」を手掛けたデザイン・ファーム合同会社代表・向井裕氏。モデルルームのインテリアデザインは数多くの高額マンションを担当している三井デザインテック・黒須理枝氏。
主な設備仕様は、挽き板フローリング、突板建具家具、リビング・キッチン・居室床暖房、バキューム式ディスポーザー、ミーレ社製食洗器、電子コンベック、ウルトラ・セラミックストーンのキッチン天板、リビング天井高2600ミリなど。
販売担当の同社東京本店マンション事業部第一事業部営業第一課販売事務所長・島田隆弘氏は、「周辺はコンパクトマンションが中心。当社の物件は1フロア2戸だが、四方に緑を配したランドスケープデザイン、一枚一枚手張りの外壁、隠れ家を演出したエントランス、料亭の土間をイメージしたアプローチ、光天井、ロートアイアン格子、版築、本物の木の庇などを使用したホール、竹林の庭などしっかり造りこんだ。キッチンはセラミック製、浴室のタイルは600角、バルコニーの手摺はロートアイアン…どこにも負けません」と話した。
外観模型
モデルルーム(サッシ廻りは天然石)
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島田氏が豪語するだけのレベルにある。冒頭の「六番町」とは、同社が2年前に分譲したマンションで、記者は「三井不動産のパークマンションに負けない仕様」と書いた。
その「六番町」と今回の「赤坂翠嶺」の仕様レベルについては、何とも言えない。同社内でも意見が分かれるのではないか。
だが、本物志向で美しいというのは共通している。模型写真を見ていただきたい。「六番町」もそうだったが、シンメトリーの外観が美しい。組子・格子をデザインに取り込み、手張りでタイルを張ったという。バルコニーに本物のロートアイアンを使用するマンションは最近見たことがない。
モデルルームの出来もいい。三井デザインテック・黒須氏を起用したのにも力が入っていることをうかがわせた。
もう一つ。モデルルームはホテル・オークラと繋がっている新紀尾井町ビルにあるのだが、ここでは「プレミスト代々木公園パークフロント」35戸の接客を兼ねており、坪単価675万円ながら残りは2~3戸と聞いてびっくりした。
この仕様レベルで大規模なマンションを見たいのだが…。
モデルルーム キッチン