駅4分の1低層 息をのむほど美しいサペリの建具 三菱地所レジ「代々木上原」
「ザ・パークハウス代々木上原」完成予想図
三菱地所レジデンスが分譲中の「ザ・パークハウス代々木上原」を見学した。駅から徒歩4分の第一種低層住居専用地域(一部第一種住居地域含む)に位置する全47戸で、坪単価は647万円。サペリの鏡面仕上げ壁がとても美しい。どうして最上クラスの〝グラン〟を付けなかったのか不思議なくらい素晴らしいマンションだ。
物件は、東京メトロ千代田線・小田急小田原線代々木上原駅から徒歩4分、渋谷区元代々木町の第一種住居地域・第一種低層住居専用地域(建ぺい率70%、容積率184%)に位置する敷地面積約2,700㎡、地上5階・地下2階建て全47戸(事業協力者住戸10戸含む)。専有面積は64.14~142.05㎡、現在分譲中の住戸(5戸)の価格は10,000万~23,000万円。竣工予定は2020年1月下旬。施工はフジタ。総合デザイン監修は日建ハウジングシステム・米丸陽氏。
現地は、幅員約7mの南側道路に面している第一種住居地域と、その奥が第一種低層住居専用地域に指定されている、比高差約13mの傾斜地の南西角地。敷地は1軒の邸宅跡地。
建物は、従前から桜坂と呼ばれていた現地の街並みと調和するよう割肌の自然石やアースカラーのタイルなどを外壁に多用。また、既存樹のサクラ、カエデ、ケヤキなどをアートオブジェに用い、アクセントとして林に見立てたロートアイアンを採用しているのが特徴。
近く分譲する第1期2次9戸と先着順で分譲中の7戸を合わせ、残りは16戸。
モデルルーム エントランス・ホール(壁はサペリ)
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モデルルームは114㎡。玄関を入ると息をのむほどの目もあやなサペリの建具・壁が目に飛び込んできた。これを見た瞬間、同社の坪850万円のバブル崩壊後最高値の「ザ・パークハウス渋谷南平台」より上ではないかと思った。全体的な設備仕様レベルも高い。来場者の評価も高いというのも当然だろう。
ドレッシングルームには、ケミカル製品のような薄手のGUCCIやらアルマーニの女性用シャツ(と呼ぶのかどうか分からないが)がたくさんあったので、「5,000円でどうですか」と担当の女性に聞いたら「それだったら私も買う」と笑っていた。
モデルルームの備品などはどうせ借りものだろうが、あのサペリはどうなるのだろう。あれは何度でも使いまわしができそうだ。
米丸氏についても一言。グッドデザイン賞を受賞した「横濱紅葉坂レジデンス」や「ザ・パークハウス新宿御苑」などを担当された方だ。
モデルルーム
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同社は来春、JRの新駅・高輪ゲートウェイ駅から徒歩4分の「ザ・パークハウス 高輪フォート」43戸を分譲すると聞いた。プリンスホテル高輪にも近い。
記者は坪900万円と予想した。駅も建物も完成する2020年に分譲すれば1,000万円以上も可能かもしれず、オークションにかければもっと高くても売れるかもしれない。2013年に京阪電鉄・京阪電鉄不動産が分譲した「品川タワーレジデンス」は坪385万円だった。(当時はまだ新駅を隈研吾氏が設計することまでは決まっていなかった)
同社は年明けにも記者見学会を行うという。皆さんはいくらの値を付けるか。
外観
三菱地所レジデンス 最高値更新の坪850万円 「ザ・パークハウス渋谷南平台」(2018/10/4)
野村不動産「プラウド上原」 垂涎の的の低層3階建て(2011/4/25)
記者も惚れた本物志向 モリモト「ディアナコート代々木上原」(2011/5/23)
どうなる分譲マンション・戸建て市場 独断と偏見の私論
ことしもあとわずか。皆さんは今年1年間はどのような年だったでしょうか。わたしは〝古稀〟を目前にしたこの1年間を恙なく過ごし、どれだけ人の役に立ったか立たなかったかは分からないが、そう呼べるなら〝愛〟を込めて記事を書いたつもりだ。以下は、1年というよりもう少し長いスパンでマンションと分譲戸建て(建売住宅と呼びたいのが嫌う人もいるので分譲戸建てと呼ぶ)市場について考えてみた。独断と偏見に満ちた私論として読んでいただいて結構です。
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別表は、ここ20年間の全国のマンションと分譲戸建ての住宅着工戸数の推移をみたものだ。周知のとおり、マンションは平成20年(2008年)のリーマンショックの影響で中堅マンションデベロッパーが軒並み退場を余儀なくされ、中堅が地盤・ターゲットとする第一次取得層向けの物件供給が激減。21年の供給量はそれまでの2分の1から3分の1まで落ち込んだ。最近はやや回復しつつあるとはいえ、戸数的には低空飛行を続けている。
その一方で、分譲戸建ての着工戸数はリーマンショック後の21年は若干減少したもののすぐ取り戻し、ここ数年間は12~13万戸台を維持している。
この結果、着工戸数は分譲戸建てが分譲マンションを上回るという逆転現象がここ数年続いている。マンションと分譲戸建ての比率も従前は6:4だったのが、いまは逆だ。
問題はこの先どうなるかだ。まずマンション。少子化・高齢化、人口減少社会へ突入し、ストック活用の流れも加速していることなどを考えると、年間10万戸を維持できるかどうかも疑わしく、漸減傾向をたどるのは間違いない。大手の寡占化は一層進む。
首都圏では三井、三菱、住友、野村の4強がしのぎを削り、あるいはまた手を握り市場をリードしている。この流れをせき止め、劇的に変えるのはどこかと考えもするのだが、残念ながらその兆しはない。
オリックスの軍門に下った大京も失地を回復するのは至難の業だろう、売上10兆円企業を目指す大和ハウスと連携すれば4強の一角を崩すことができるのではないかと思うが…。
他の電鉄系、商社系なども寄らば大樹の陰とばかり大手連合にぶら下がろうと懸命になっているとしか思えない。
となると、あとはもうこれらの4強が手を出さない中小規模や外周部の〝隙間〟〝空白区〟を埋めるしかなく、あるいはまた突出した商品企画でもって鼻を明かす元気なデベロッパーの活躍に期待する以外ない。
このように分譲マンション市場は先が読める。分からないのは分譲戸建て市場だ。理解不能の異様な展開を見せている。
表でもわかるように、リーマンショックの大混乱に乗じて平成21年度に着工戸数でマンションを逆転すると、一度は再逆転を許したが、その後は再びリードを奪い、その差を広げつつある。
その立役者は飯田グループホールディングスだ。2013年に一建設、飯田産業、東栄住宅、タクトホーム、アーネストワン、アイディホームの6社が経営統合したころは、企業風土が異なるので成功に記者は懐疑的だったが、その後は建売りの雄として玉座に座り続けている。2018年3月期の売上高は1兆3,353億円、戸建分譲事業(土地売含む)は44,275棟。戸数は全国市場の実に30%を占めるガリバー企業だ。営業所がないのは富山、鳥取、島根、高知、大分、宮崎の6県のみ。全国制覇は時間の問題だ。
同社の強みは何といっても販売価格の安さだ。1棟単価は飯田産業と東栄住宅が3,000万円を超えるが他は3,000万円以下で、一建設は26.1百万円、アーネストワンは23.3百万円。三井不動産レジデンシャルの1棟単価60.2百万と比較するとほぼ3分の1だ。
価格競争になったら、飯田に勝てる企業は皆無だ。同社ホームページのヘッドコピーは〝誰もがあたり前に家を買える、そんな社会にしたい〟-〝家〟とは何かはさておき、これに異論を唱える人はいない。飯田の独走はこれからも続くのか。
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この20数年間、記者の頭を悩ませているのが、マンションや戸建ての若年需要者の消費動向・物件選考の基準が分からない、はっきり言えば理解不能ということだ。
住宅ローンの支払いを終えた団塊世代がより利便性の高い駅近・都心のマンションを志向するのは分かりやすい。自分もそうだ。しかし、ミレニアル世代やバブル後世代、ゆとり世代は何を考えているのかさっぱり分からない。
そうした層を対象にした住宅選好に関するアンケート調査が行われており、
「戸建て志向が強い」「現実的な思考をする」「価格を優先する」などと言われても釈然としない。これらは今も昔も変わらない。戸建てを持ちたいが、買えないからマンションにしたり中古にしたり、価格を優先したりして寸詰まりの基本・居住性能が劣るのを承知で購入する。ましてや世帯年収の低い若年層にとって選択の余地はない。
そもそも、アンケートなるものの信ぴょう性が疑わしい。集計した数を足して割って平均値を出したところで、きわめて個別性が高い不動産に関する考え方など分かるはずがない。ダイコンやニンジンを買うのとはわけが違う。
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とはいえ、デジタルネイティブ=ミレニアル世代の意識、消費志向を探るのはそれなりに意義のあることだとは思う。平成2年のバブル崩壊を境に世の中が暗転したのは紛れもない事実で、経済社会の激変は消費者の消費動向にも大きな影響を与えたからだ。
労働者派遣法が施行されたのは昭和61年で、その後「非正規雇用」が激増した。「専業主婦世帯」と「共働き世帯」が逆転したのも平成4~5年だ。厚労省が「ニート」なる言葉を使ったのは平成16年だ。昔はそんな言葉すらなかった「フリーター」は現在150万人もいるという。「格差社会」「ワーキングプア」なる言葉も一般化した。
このほか、あらゆるデータも社会が変わったことを証明している。例えば出版物。売上高はこの20年間で35%、約8,700億円も減少した。自動車の国内需要もこの20年間ほぼ一貫して減り続けている。百貨店・スーパーも同様だ。
グローバリズムの進展とネオリベラリズムの台頭は、この先も若年層にとっては生き辛い世の中になるのは容易に想像できる。
そうした層が分譲住宅市場では主役になりつつある。どのような住宅を選ぶのか注意深く見守りたい。当面は消費増税が吉となるか凶となるか注目したい。デフレ脱却がまた先送りになるのだけは回避してほしい。
「市場激変 忍の1年」記者が選んだ今年の重大ニュース(2009/12/21)
建売住宅トップ一建設と2位のアーネストワンが激烈な首位争い~建売住宅市場が面白い展開に~(2012/7/17)
「独身でマンションを購入すると結婚できない」噂は迷信 シースタイル調査(2017/7/25)
第一次取得層向けの郊外マンションは復活するのか(2016/8/30)
世相の反映か 「4人家族が幸せに暮らす住宅の広さは89㎡」 アットホーム調査(2017/8/1)
配偶者を愛している84% 健気で円満なDINKS層浮き彫り アットホーム調査(2018/10/30)
「近所付き合い」必要 一戸建て79.8% マンション72.4% アットホーム調査(2016/11/1)
マンション管理協・東海日動 様々な問題解決に向けた連携協定を締結
協定書を交わすマンション管理協理事長・岡本潮氏(左から3人目)と東海日動常務執行役員・大塚祐介氏(同4人目)
マンション管理業協会(マンション管理協)と東京海上日動火災(東海日動)は12月12日、マンション管理業を取り巻く社会問題の解決とマンション管理業の社会的役割を高めることを目的とした連携・協力を行う連携協定を締結したと発表した。
その第一弾として災害対策出動保険を開発。管理会社ごとに加入するのを条件に、緊急災害対策本部または非常災害対策本部が設置され、避難勧告または避難警報が発令されるか、激甚災害に指定された場合、①居住者への説明や説明会等に関する費用②罹災証明や公的制度への申請に要する費用③応援人員の宿泊費や交通手段等の調達費用④仮設トイレなどのライフラインの調達費用⑤災害によって発生した(超過)給与等に関わる費用-などが保険金として支払われる。
今後、第二弾として、マンション管理業界や会員会社が行っている事業リスクの分析に基づく新たな保険、居住者の高齢化に伴うリスクに対する保険の開発を検討していく。
協定締結に至った背景には、わが国のマンションストックは平成29年末現在644 万戸を超え、うち約92%をマンション管理協加入会社が管理しており、急速に進む少子高齢化・人口減少、大規模災害の増大、建物と居住者の「2つの高齢化」、管理員の人手不足などの問題がある。
OK Google 東急不&パナ「中野富士見町」で初体験 頭いいが…学習能力が…
「ブランズ中野富士見町パークナード」完成予想図
東急不動産とパナソニックホームズが分譲中の「ブランズ中野富士見町パークナード」を見学した。駅から徒歩4分の全48戸。坪単価は345万円。道路を挟んで敷地東側が公園に面しており、マンション向けIoTサービス「rimoco」を全戸に搭載し、スマートスピーカーを無償で配布するのが特徴。
物件は、東京メトロ 丸ノ内線中野富士見町駅から徒歩4分、中野区本町五丁目に位置する14階建て全48戸(事業協力者住戸4戸含む)。専有面積は53.93~70.00㎡、第1期(19戸)の価格は5,170万~7,880万円(最多価格帯5,600万円台)。坪単価345万円。竣工予定は2020年2月中旬。施工は森本組。
現地は、近くに神田川が流れ、敷地東側の道路を挟んだ対面は本五ふれあい公園に隣接。
建物は1フロア4戸構成で、3タイプが公園側。北東角住戸の70㎡を除き50㎡台の小家族向け。
エアコン、床暖房、給湯設備、照明、玄関錠などをスマートフォンなどで管理できるスマートホームサービス「rimoco (リモコ)」(ファミリーネット・ジャパン提供)を全戸に搭載。「rimoco」と連動して音声操作できるスマートスピーカーを無償で配布する。
主な基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、ディスポーザー、御影石キッチンカウンター、ミストサウナなど。リビング天井高は2500ミリ。オプションだがパナソニックの新商品スピーカー付きダウンライトもつけられる。
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スマートスピーカー「OK Google」なるものに生まれて初めてお目にかかった。話しかければ照明を点けたり消したりテレビの音を大きくしたり小さくしたりしてくれるのは知っていたが、そのもの(と呼べばだが)を見たのは初めてだった。
もう嬉しくなって、マンションの商品企画などどうでもよくなり、想像していた子どもロボットではなく、缶詰か茶筒のような格好には面食らったが、いろいろ話しかけた。今年のパリーグのホームラン王がわが西武の山川であることも円周率を小数点以下10桁までは言えなかったが、その頭のよさに仰天した。
「1+1は2です」「3×9は27です」「円周率は3.142」と即座に正解した。外気温、天気予報もすらすらと答え、飲食店情報も教えてくれる。記者のようないじわる爺さんの質問に対しても(顔がないのは残念だが)嫌がる様子を見せず、公平平等に接してくれる。「開けろ」「閉めろ」「止めろ」「付けよ」「上げろ」「下げろ」の判断に迷いそうな声にもきちんと答える姿勢は称賛に値する。そのかわいらしい声には怒りも蔑みもない。「あなたは頭がいいね」と褒めたら、「いえ、選択するのが得意だけです」などと謙譲する心も持ち合わせているではないか。人間を超えた存在と思えるくらいだ。
だが、しかし、言いたくはないのだが、よくよく考えたらあなたは学習能力が決定的に欠けている。呼びかけ人の性別、年齢も判別できないし、いちいち「OK Google」と呼び掛けないと反応できないのはまず人間社会では一人前の扱いを受けるのは難しい。せめて「グーちゃん」「お前」「あんた」くらいには反応すべきだし、「灯かりを消して」の言葉に込められている意味を忖度し、明かりを虹色に染めるとか麝香の香りを振りまくとか、深海ザメの求婚の鳴き声を流すとかくらいはしていいはずだ。
さらにまた、夫、または妻が夜遅く帰ってきたとき、吐息のアルコール濃度を計測し、体から発散する匂いをかぎ取り、「あなた(またはお前)、酒飲んできたでしょう」「うちのシャンプーとは違うわよ」と夫婦仲を引き裂き、致命傷にもなりかねない警告の一つや二つ発する勇気が必要ではないか。
正邪、善悪、好悪などを瞬時に判断し、善導するのがロボットの中のロボットではないのか。これではいつまでたっても、人間を超える存在にはならない。このままでは所詮大人子どもの手慰みものとしてしか評価されないのではないか。残念でならない。
そういえば、読者の皆さんは東急不動産こそが「五感に訴える」を最初に標榜したデベロッパーであることをご存じか。同社は2013年、ビクターエンタテイメントと共同して自然界に近い音が体感できる「KooNe (クーネ)」空間を提案した。その後立ち消えになった。
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IoT商品については、ポラスの分譲戸建て分譲「アドバンスドプレイス船橋・北習志野」でも書いた。以下、記事を引用する。
今回のモデルハウスにはなかったが、「ヒーリング街区」「サードプレイス街区」がいい。映像も含めた音や香りなど五感に訴える工夫が住まいを変えるかもしれない。
例えば、ひばりのような夜鷹のよがり声、ヒキガエルに似た息が詰まる夫のいびき、絶滅危惧種トキ(鬨)の雄たけび、かわいい七つの子のカラスの勝手口のきしみ、寒さに震えるキリギリスの虫の息、遠き島より流れ寄る椰子の実を胸に聞く伊良子岬の波の音、マリアナ海溝の海底に棲む深海魚の寝息、マダタスカル(いつもの誤植ではない。念のため)で発見されるかもしれぬ不死鳥の羽音、催眠と催淫がごちゃ混ぜになった麝香の香り、えも言えぬ心鎮まる可憐なドクダミとヘクソカズラのブレンド香、荒城の月の月下美人の花の蜜…そんな音や香りが自由自在に体感できる時代がやってくると考えただけでワクワクするではないか。パナソニックのスピーカ付きダウンライトはとても音がいい。「千里」で体感した。
さらに言えば、風呂のお湯張りも結構だが、だれが風呂掃除をするのか考えたほうがいい。部屋掃除もしかり。風呂を洗い、階段を上って部屋を掃除するロボットを開発したら拍手喝采してやってもいい。
ワイドスパン、フラットバルコニーなど企画秀 大和ハウス「山吹神楽坂」
「プレミスト山吹神楽坂」エントランスラウンジ
大和ハウス工業が分譲中の「プレミスト山吹神楽坂」を見学した。販売開始2カ月で半数が成約・申し込み済みとなっており、好調に推移している。デザイン・機能性など商品企画が優れたマンションだ。
物件は、東京メトロ有楽町線江戸川橋駅から徒歩4分・同東西線神坂駅から徒歩7分、新宿区山吹町の商業地域に位置する13階建て全81戸(事業協力者住戸30戸含む)。専有面積は37.42~72.69㎡、第1期1・2次(12戸)の価格は7,340万~9,890万円(最多価格帯8,500万円台)。坪単価は420万円。竣工予定は平成31年9月上旬。施工は飛島建設。
現地は、表通りの江戸川橋通りから一歩入った商業地域で、建物の絶対高さ40mのエリアの一角。道路を挟んだ南側は絶対高さ30mの準工エリアで、さらにその先は絶対高さ20mの第2種住居地域。
敷地は東西に長い3方道路の角地。南側は道路などの空地が11~12mあり、東側は幅員約11mの道路に接道。アプローチの公道に面した部分には高木を、住棟側には落葉低木を配し、床は石畳調とするなど周辺の景観にも配慮。共用部分には組子デザインを多用している。
住戸は全て南向きで、角住戸の71~72㎡のタイプは6700ミリのワイドスパンで、62・66㎡も間口は6950ミリ、57㎡のコンパクトは開口部が大きく、梁型が少ないのが特徴。リビング天井高は約2450~2500ミリ、フルフラットサッシを採用し、バルコニーに奥行き最大約2.5mの木調スノコを敷き詰めることで広々と使用できるようにしている。
このほか、基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、フィオレストーンキッチン天板、フィオレストーン天板、食洗機など。
販売事務所長の同社東京本店マンション事業部第一事業部営業第一課・石川雄也氏は、「神楽坂周辺では10年の実績があり、前回の『プレミスト新宿山吹』84戸は坪405万円だったが1年で完売した。今回は、他社も苦戦した1億円超を設けておらず、プランなど商品企画に力を入れた。神楽坂駅と江戸川橋駅の2駅が利用できるのが評価されており、地域の特性を反映してお医者さんの申し込みが目立ち、三重や和歌山など遠方からの購入もある」と語った。
◇ ◆ ◇
まず、坪単価について。モデルルームを見学する前に現地をチェックした。神楽坂駅から江戸川橋通りを歩き、路地に入り、敷地東側の道路に出て、江戸川橋駅近くにある販売事務所に向かった。
途中で同社広報担当の方とばったり出くわした。内心では坪400万円を超えるだろうと思ったが、「わたしの単価予想。398万円だったら売れるでしょうね」と話した。念頭にあったのは三菱地所レジデンスと伊藤忠都市開発、積水ハウスの近接マンションだった。
結果は外れたが、石川氏の話を聞き、模型・モデルルームを見て坪420万円に納得した。伊藤忠の物件もよかったが、今回の物件は専有面積を圧縮している一方で、間口を広くし、リビング・バルコニーを一体として利用できるようにし、コンパクトタイプも梁型を出にくくしている商品企画がいい。
72㎡のモデルルームの出来栄えもよかった。担当したのはフューチャリティ・水谷雅文氏だった。「和」がコンセプトで、和紙調のデザインクロスは絵画のようで、リビング-主寝室の動線、障子壁、ホテルを思わせる小上がり付きの主寝室の提案が印象的だった。
このままオプション通りにすれば1,000万円はかかるだろうし、お客さんはそんなにお金を掛けないのも分かってはいたが、この種のアッパーミドルが対象のモデルルームは思い切った提案をどんどん行うべきだ。玄関を入って〝素敵〟と思わせるものでないとだめだ。
その点からして、「赤坂翠嶺」もそうだったが、今回の「山吹神楽坂」も見学者を満足させる出来だった。
モデルルーム
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石川氏から同社の金城智杓氏の名前が出た。このプロジェクトにも関わっていると聞いた。今回の取材の本旨ではないのでここでは書かないが、添付した記事「日本橋浜町」「神楽坂」「六番町」をぜひ読んでいただきたい。
組子について。記者は本物を採用するわけがない、フェイクだろうと思ったが、本物だった。創業59年の富山・タニハタの製品だ。これはいい。デザイン監修は南條設計室の野呂信哉氏。
〝赤坂の隠れ家〟 本物志向の大和ハウス「プレミスト赤坂翠嶺」(2018/10/19)
「地価公示日本一」六番町にフェルメールを見た 大和ハウスが億ション(2016/3/14)
後姿が美しい 大和ハウス工業「プレミスト神楽坂」(2011/11/28)
久々に1低層の〝パークホームズ〟 三井不レジ「荻窪」売れ行き好調
「パークホームズ荻窪 ザ レジデンス」完成予想図(この前が公園)
三井不動産レジデンシャルの「パークホームズ荻窪 ザ レジデンス」を見学した。JR荻窪駅から徒歩7分の第一種低層住居専用地域に位置する全30戸で、分譲開始は今秋。最終期3戸を含め残りは5戸。好調な売れ行きを見せている。
物件は、JR・東京メトロ丸の内線荻窪駅から徒歩7分、杉並区荻窪4丁目の第一種低層住居専用地域(建ぺい率50%、容積率100%)に位置する地下1階地上3階建て全30戸。専有面積は近く分譲する最終期(3戸)の専有面積は62.85~77.26㎡、価格は8,290万円台~10,800万円台。坪単価は440万円。建物は2018年7月に竣工済。施工は京王建設。
現地は、地区計画により敷地面積の最低限度が150mと定められている閑静な戸建て住宅街の一角。敷地東側は道路を挟んで荻窪つどい公園に隣接。
建物は建築基準法第52条3項により地階を含め4階建て。主な基本性能・設備仕様は、リビング天井高2450ミリ、食洗機、ディスポーザー、グローエ水栓、御影石キッチン・洗面天板、バックカウンター・吊戸棚、ミストサウナ、Low-Eガラスなど。
販売担当の同社都市開発三部事業室 現地販売センター所長・日髙裕喜氏は、「中央線沿線で、駅からのこの近さの第一種低層住居専用地域に位置するマンションは過去10年に1物件しか供給事例がない。このマンションも立地に対する評価が高い。1低層の〝パークホームズ〟の供給は記憶にないくらい珍しい」と語った。
エントランス
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日髙氏も「記憶にない」と語ったが、記者も久々に1低層の〝パークホームズ〟を見学した。若い業界関係者の方は1低層(昔は一種住専)の〝パークホームズ〟はご存じないかもしれないが、同社は昭和50年代から60年代にかけてたくさん供給した。これがヒットした。供給物件の半数くらいは住居系立地だった。3階建てでもエレベータを設置した。ライトコートを最初に採用したのもパークホームズではなかったか。
1低層と言えば、大阪市には1低層がないことを初めて知った。東京23区で1低層がないのは千代田区、中央区、台東区、墨田区、荒川区、江東区くらいではないか。
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坪440万円で、全30戸のうち1億円以上が11戸。現地周辺の住環境からして売れるのも納得できるのだが、残り5戸というのがすごい。これが三井のブランド力か。
来春には旭化成ホームズが太田黒公園に隣接した「アトラス荻窪太田黒公園」(41戸)を分譲するが、いったいいくらになるのか。
住友不「シティテラス川崎鈴木町グランドシーズン」竣工 隣接物件合わせ全732戸
「シティテラス川崎鈴木町グランドシーズンズ」完成予想図
住友不動産は12月7日、京急大師線鈴木町駅から徒歩3分の「シティテラス川崎鈴木町グランドシーズンズ」が竣工したと発表した。
同物件は15階建て全475戸で、隣接する分譲済みの「シティテラス川崎鈴木町ガーデンズ」(257戸)と合わせ敷地面積約22,000㎡、総戸数732戸の大規模プロジェクト。
敷地面積13,600㎡超の敷地に、周囲への圧迫感を配慮した5棟構成に加え、約1/3の公開空地に200本近くの高木を植樹、四方に緑を巡らせているのが特徴。
2017年4月の第一期販売開始以降、第四期まで約7割が成約済み。同社は建物完成を迎え、来場は加速しているとしている。
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京急大師線のマンションを取材したのは4年前が最後で、同社の物件も見ていないのでコピペするほかないのだが、この沿線はこの10年間で一変している。これまで500戸以上が成約済みというのも納得できる。
10年前に分譲された東門前町駅から徒歩3分の「フォレシアム」777戸(坪単価180万円)は瞬く間に売れた。鈴木町駅圏では8年前に分譲された三井不動産レジデンシャル「パークホームズ グランファースト」303戸(坪単価175万円)はわずか4カ月で完売した。
港町駅前の「リヴァリエ」1,394戸も2011年の分譲開始から完売まで6年要したが、レベルは高く、中古でも坪200万円を突破しているのではないか。
街は一変するか 相鉄不動産他「グレーシアシティ川崎大師河原」(2014/9/25)
大京アステージ早坂氏がグランプリ マンションいい話コンテスト2018(管理会社編)
岡本理事長(左)から表彰を受ける早坂氏
マンション管理業協会は12月7日、「マンションいい話コンテスト2018(管理会社編)」の公開最終審査・表彰式を行い、251通の応募作品の中からグランプリ(10万円分商品券)に大京アステージ技術統括部企画推進課・早坂章氏の作品「マンションライフだから、伝わるもの」を選んだ。早坂氏は昨年の特別賞に続き2年連続の受賞。
居住者から寄せられる生活音などのクレームをストレートに伝えるのではなく、掲示スタイルに工夫を凝らすなど状況に応じた「心配り」が必要と説いたことが評価された。
このほか、準グランプリ(5万円分商品券)に大和ライフネクスト マンション事業本部事業推進部企画統括課・大塚威氏、特別賞(3万円分商品券)に同 首都圏中央支社赤坂支店・野尻和子氏、野村不動産パートナーズ東京北支店業務三課・金丸奈央氏、佳作に9氏がそれぞれ選ばれた。
また、当日は、第2部として同協会海外研修参加者6名による「日本のマンション管理の未来像」が発表され、第3部では「マン活トレンド発表会 2018」として東京建物アメニティサポート社長・矢内良樹氏(同協会理事)&同社企画部事業企画グループ・丸山裕樹氏、大和ライフネクスト社長・石﨑順子氏(同協会副理事長)がナレッジセミナーを行った。
同協会理事長・岡本潮氏(東急コミュニティ会長)は、「われわれは、マンション居住者の財産価値と居住価値を維持・向上させていく大きな社会的役割を担っており、中期事業計画(2018~2022年)を確実に実現する」と締め括った。
石﨑副理事長(左)から表彰を受ける大塚氏
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コンテストでは、受賞者が発表されるたびにアドベンチャー映画のテーマ曲のような音楽が流れ、応援団が幟やプラカードを掲げ、法被姿で声援を送るのに気が取られ、その盛り上がりに圧倒され、肝心の各氏の作品紹介やコメントはどこかにすっ飛んだ。
早坂氏の作品はその通りだと思う。記者も賃貸を含めればマンションに40年以上住んでいる。入居者からの苦情、例えば上階の音、赤ん坊の泣き声、子どもを叱る声、風鈴の音、新聞配達の音、ハイヒールの音、ピアノの音などがうるさいなどの声が掲示板に張り出されるたびにうんざりした。人間が生活しているのだから当然ではないか、もう息をとめるしか人間を辞めるしかない、この社会は病んでいると。
マンションデベロッパーもそうだが、管理会社は建物の維持管理だけでなく、マンション生活を楽しいものにするためにコミュニティを醸成する役割も担っている。それらに関わる活動がきちんと評価され、報酬として受け取れるようにすべきだと思う。
応援団
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時間はわずか20分しかなかったが、海外研修参加者6名による「日本のマンション管理の未来像」のプレゼンもよかった。
ここで紹介する余裕はないが、6氏は今後のマンション管理に「管理者方式」を導入すべきと強調した。
記者も同感だ。建物の老朽化と居住者の高齢化が加速度的に進み、近年は居住のみではなく商業・業務・公益機能が併設された複合型も増加していることを考えると、現行の「理事会方式」では対応しきれなくなるのは間違いない。
「管理者方式」には利益相反という課題もあるが、実務に疎い専門家から構成され、費用もかさみそうな「第三者方式」よりははるかに実効性があるはずだ。同協会は毎月のように記者懇親会を行っているが、一度、関係者を呼んで勉強会をやってはどうか。
「日本のマンション管理の未来像」のプレゼンを行った海外研修参加者
マンション管理協 いい話コンテスト「かわら版って、いいよ!」 高橋さんグランプリ(2018/12/4)
住友建物サービス亀谷氏が最優秀賞 管理協「いい話コンテスト2017(管理会社編)」(2017/12/14)
安くならないか「SWITCH PLAN」700万円 伊藤忠都市・地所レジ「大井町」
「クレヴィアタワー大井町THE RESIDENCE」完成予想図
伊藤忠都市開発(事業比率70%)と三菱地所レジデンス(同30%)のJVマンション「クレヴィアタワー大井町THE RESIDENCE」を見学した。駅から徒歩6分で坪単価は422万円。第1期60戸が成約済みで、まずまずの売れ行きを見せている。
物件は、JR京浜東北線大井町駅から徒歩5分・東急大井町線大井町駅から徒歩6分、品川区大井一丁目に位置する21階建て全138戸(事業協力者住戸29戸、店舗2戸含む)。現在先着順で分譲中の住戸(15戸)の専有面積は33.00~75.02㎡、価格は4,438万~10,378万円(最多価格帯8,000万円台・9,000万円台)。坪単価は422万円。竣工予定は2020年5月末日。設計・監理はアール・アーキ、秀コーポレーション。デザイン監修はレーモンド設計事務所。施工は東急建設。
現地は、二方接道の南西角地。8年前に分譲され人気になった「Brillia 大井町ラヴィアンタワー」に近接。
住戸プランは1フロア6構成。4戸が角住戸。主な基本性能・設備仕様は免震構造、アウトフレーム、リビング天井高2.6m、ディスポーザー、食洗機、フィオレストーンキッチン・洗面天板など。
〝nLDK〟の間取り発想ではなく、自分の生活スタイルに合わせてプランが選べる「SWITCH PLAN」を採用しているのが特徴の一つで、スライドウォールを動かし固定すれば3つのプランが実現する。
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「SWITCH PLAN」は、最近流行りのスライドウォールに近いが、壁面を固定すれば3つのプランが生まれるというのが面白い。45㎡のプランを例にすると、リビング・ダイニングを中央で分離するとそれぞれ独立した空間が生まれ、スライドウォールをキッチンとつなげるとワークスペースとなり、スライドウォールを端に寄せるとホームパーティなどに適した広いスペースが生まれる。
これを見て〝これはいい〟と思ったのだが、マンションギャラリー責任者の高橋祐也氏が「有償でして、費用は約700万円」が話したのにやや拍子抜けした。正直〝高い〟と思った。もう少し安くならないか。
同社の「クレウィア池袋West」」の「HITO-TUBO(ヒトツボ)」は有償でも最高40~50万円と聞いた。
千葉県最大のマンション建て替え 野村不・イニシア・長谷工コーポ「若潮ハイツ」
「若潮ハイツマンション建替え事業」完成予想図
野村不動産・コスモスイニシア・長谷工コーポレーションは12月3日、千葉市美浜区の「若潮ハイツマンション建替え事業」を着工したと発表した。「若潮ハイツ」は、1973年に若潮国体の選手村として整備された全13棟・500戸の団地で、建て替え後は全9棟・1,000戸規模のマンションとなり、千葉県内最大規模の案件となる。
建物の老朽化と居住者の高齢化に伴う様々な問題が表面化したために、2008年から長谷工コーポレーションがコンサルタントとして支援を開始し、2013年に野村不動産が、さらに2015年にコスモスイニシアがそれぞれ事業参画。2016年12月に一括建替え決議が成立、2017年6月にマンション建替組合設立の認可を取得した。
敷地を2つに分割し、先行して施工・分譲する「A敷地(397戸)」は2020年12月の入居予定。その後に施工する「B敷地(約600戸程度:建築確認未取得)」は2024年度に竣工する予定。
現地は、JR京葉線検見川浜駅から徒歩10分、千葉市美浜区真砂二丁目に位置。A敷地は14階建て397戸(分譲戸数272戸)。専有面積50.89~92.45㎡。施工は長谷工コーポレーション。入居予定は2020年12月下旬。
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このニュースにはいささか驚いた。「若潮ハイツ」がある京葉線検見川浜は、バブル崩壊後では三井不動産レジデンシャル「パークシティ検見川浜」(674戸、2000年竣工)、セザール「セザール検見川浜」(234戸、2000年竣工)、野村不動産・三井不動産レジデンシャルなど「検見川浜レジデンス」(379戸、2011年竣工)、伊藤忠都市開発「クレヴィア検見川浜」(156戸、2013年竣工)などを取材しており、東日本大震災のときも液状化の被害をつぶさに見学している。
その地で1,000戸もの建て替えが行われるとは…。果たして売れるのか、価格はどうなるのかという疑問が真っ先に浮かぶ。野村不動産が幹事だった「検見川浜レジデンス」の土地の取得価格は1種9.5万円だった(2020東京オリンピック・パラリンピック選手村「ハルミフラッグ」は1種8万円だからいかに安いかがわかるはず)。今回は建て替えだから、土地値はただ同然だろうが、建築費は2010年比で3~4割は高くなっているはずだ。よく売れて年間200戸としても完売まで5年はかかる計算だ。
千葉市のホームページによると、「平成22年6月時点で、分譲マンションは822管理組合で約9万8千戸あり、このうち旧耐震基準のものが168管理組合で約3万4千戸となっています。なお、旧耐震基準のもののうち敷地面積が2ha以上の大規模なものが37管理組合約2万2千戸あります」とある。
今回は戸数的にはそのうちの5%にも満たないが、それでも成功してほしいと願う。
海・山・地の神の怒りの刃見る思い 千葉市美浜区の液状化被害も甚大(2011/3/23)
伊藤忠都市がまたまたレベルの高いマンション「稲毛台」(2007/7/19)