三井不レジ・日鉄興和不 JR小岩駅北口再開発事業 権利変換計画認可
「JR小岩駅北口地区第一種市街地再開発事業」
三井不動産レジデンシャルと日鉄興和不動産は7月26日、参加組合員として事業参画している「JR小岩駅北口地区第一種市街地再開発事業」の権利変換計画の認可を受けたと発表した。
同事業は、2015年に準備組合が設立され、2018年都市計画決定された。2022年3月に着工、2027年1月竣工予定。JR総武線小岩駅北口から徒歩2分に位置する約2haの区域。
北口駅前に路線バスやタクシーの乗入れが可能となる約6,100㎡の交通広場を整備し、地下には公共駐輪場を設ける。駅からペデストリアンデッキで直結する地上30階地下1階建ての建物には、約730戸の住宅と商業・業務・保育所を設ける予定。
また、中間免震構造を採用するほか、防潮板・防災備蓄倉庫、高断熱性能や屋上緑化・壁面緑化、雨水の再利用、太陽光発電パネル、電気自動車への対応などのサスティナブルな社会の実現に向けた取り組みを行う。
◇ ◆ ◇
小岩駅周辺には現在、この再開発事業のほか、建設中の南小岩六丁目地区市街地再開発事業と、計画中の南小岩七丁目地区市街地再開発がある。
2020年11月には、これらの再開発事業を含め小岩駅周辺地区のエリアマネジメントに取り組む一般社団法人小岩駅周辺地区エリアマネジメント(KOITTO コイット)が設立され、民間からは各組合のほか野村不動産、タカラレーベン、清水建設、日鉄興和不動産、住友商事、長谷工コー ポレーション、三井不動産レジデンシャル、三井住友建設、HITOTOWA INC.が協力している。
希望の虹を見た 多様な働き方を提案 サンフロンティア「+SHIFT KANDA」
「+SHIFT KANDA」外観
サンフロンティア不動産は7月27日、同社の旗艦事業であるリプランニング(不動産再生事業)ブランドの一つ「+SHIFT(プラスシフト)」の新築2棟目となる「+SHIFT KANDA」が完成したのに伴う報道陣向け内覧会を行った。8月1日に入居開始となる。
「+SHIFT(プラスシフト)」は。多様化する働き方に対応するため、居心地がよくアイデアやイノベーションが生まれるワークスペースの創造をテーマとしており、新築としては今年4月にオープンした「+SHIFT NOGIZAKA」次ぐもの。インテリア・プロダクト・建築の設計デザイン会社DRAFTとコラボしているのが特徴。
物件は、都営地下鉄新宿線岩本町駅から徒歩5分、JR神田駅から徒歩7分、千代田区神田岩本町4丁目の水天宮通りに面した敷地面積123.48㎡の鉄骨造12階建て延べ床面積1045.67㎡。1階と12階は共用フロアで、2階~11階がそれぞれ約25坪の賃貸フロア。賃料は89万~103万(税別)。2021年2月に竣工。
賃料には管理共益費、家具・機材使用料、清掃費(コミュニティーマネージャー)、廃棄物処理費、水道光熱費、wi-fi 通信費、印刷費(インク・トナー/紙代は別途)などが含まれる。
同社執行役員リプランニング事業部長・小田修平氏は、「当社の賃貸オフィスはArt(アート)、WEEK(ウィーク)、LIT(リット)とこの+SHIFT(プラスシフト)の4ブランドで展開しているが、賃料のほか光熱費、原状回復、賃貸借期間など契約条件が厳しい従来型賃貸オフィスではなく、パソコン一つですぐに利用でき、付加価値の高いセットアップ型が高く評価されている。今後、この種のオフィス市場は100倍に増加するという予測もある。今回のオフィスは「NOGIZAKA」と同様、外観デザインからインフィル、家具、小物、ホームページ作成に至るまでDRAFTの世界観を表現した。五感で体感していただきたい」と語った。
1階ラウンジ
VeroMetal塗装を施したキッチン天板
ルーフトップ
ルーフトップラウンジ
基準階オフィスエリア
◇ ◆ ◇
同社のこの種のオフィスを見学するのは5回目くらいか。規模は小さいが、人工大理石にVeroMetal塗装を施した銅板と見まがうキッチン天板、新素材のセラミックカウンター、本革の収納扉、トイレ・収納のサイン、本物の竹が配合された環境にやさしいバンブーメラミン皿、落としても割れないグラスなど細かな点にもこだわった共用部のデザインは「+SHIFT NOGIZAKA」と同じだった。
販売も行われるイタリアのオーガニックソープ(500ミリリットルで3,000円とか)で手を洗い、コーラ、クッキーも試飲・試食させてもらった。
専用部では8階のオフィスだったか。通常の薄っぺらい仕切り板で区切られているそれとは形状も全然異なる集中ブースが設えられていた。音が漏れないような仕上げになっており、パソコンのキーボードを叩きつけるように記事を書く記者には最適だと思ったが、一方で、そこに入ったら仮眠どころか永遠の眠りにつくのではないかと配にもなった。値段を聞いたら一般的なものと桁違いのン十万円だとか。
レストルームサイン
レストルームボウル
集中ブース
バンブーメラミン皿と落としても割れないグラス
◇ ◆ ◇
取材の最終盤、最上階12階の共用フロアと屋上テラスの説明を受けていた時だ。同業の記者の方が「ほら、虹だ」と指さした。確かに
キャンパス地のソファークッションに虹が浮かび上がっていた。これもフェイクの演出ではないかといぶかったが、そうではなかった。内覧会開始時に降った雨が自然現象であることを証明していた。
その途端、数十年前の甘くて切ない記憶がよみがえった。小生が生まれ育った谷あいの村では、夕立の後には必ずと言っていいくらい、恋が成就する予感する、貧困から脱却できるのではないかという、東の山と西の山を結ぶ希望の虹がよくかかった。人工のどぎつい邪悪なミラーボールとは似て非なるものだ。
この自然の現象を設計者が企図したのであればこれは凄い。室内に差し込む太陽光の角度と屋外の庇状のガラスの上に水滴がつくように設計したのだろうか。
「七」にまつわる言葉は七曜星、七つの子、七福神、七つの大罪、初七日、七つ道具、七草など多いが、やはりラッキーセブンの虹だ。
記者が大好きな作家・丸山健二さんの代表的な著作「千日の瑠璃」には次のような一節がある。
「私は虹だ。
うたかた湖とうつせみ山を結んでまほろ町をひとまたぎにする、何ら底意のない虹だ。限りない索漠さを秘めた冷たい雨があがって、地上はふたたびいくばくかの可能性を孕んだ陽気な光に覆われてゆく。そして、いつまでも正義の大道を踏み行なうことができない者や、晩節を全うできそうにない者が、さも眩しそうに顔をしかめて、私を見上げる。ほかの人々も私に気づき、ほんの数秒間だけ胸のうちの蟠りを忘れるが、すぐにまた、通常通りのせかせかした営みに戻ってしまう」
ソファクッションにかかった虹
雨滴を遮る庇状のガラスが虹を発生させるヒントか
駅1分 乃木神社に隣接 建築・内装費に315万円/坪 サンフロ「+SHIFT NOGIZAKA」(2021/4/21)
三井不・三井不レジ 分譲マンション・戸建て 契約から入居手続き 全て電子化へ
三井不動産と三井不動産レジデンシャルは7月26日、三井不レジが販売する分譲マンション・分譲戸建の重要事項説明・売買契約・引渡手続きなど全ての書類の電子化を図り、2022年夏をめどにこれまでのオンライン商談に加え、契約から入居までの諸手続きで顧客が対面・非対面を選択できるようにすると発表した。
これにより約120点、約1,000枚(重さ約1キログラム)の膨大な契約関連書類をWEBサイト上でいつでも閲覧可能となり、PCやスマートフォンから手続きが可能となり、書類の電子化(ペーパーレス化)により年間約360万枚の紙を削減するとともに、書類情報のシステム入力・照合作業の削減により契約事務業務を約70%・約3万時間(年間)を削減する。
同社は、住宅業界において画期的なシステムであり、顧客の利便性向上と、三井不レジの業務効率向上・多様な働き方を実現し、環境負荷軽減を目指すとしている。
10歳未満・10代が激増 10代は女性が6割超 都のコロナ感染者
東京都の新型コロナ感染者数は、猖獗を極めた第4波とほぼ同様の数値を示しているが、年代別では10歳未満と10代が激増しており、年少者の感染防止が急務となっている。
22日の感染者は1,979人で3日連続1,000人台となったが、年代別では、第3波では70人を超えたことは一度もなかった10歳未満が95人となり、7月20日、21日の76人に続き過去最多を記録した。10歳代も159人となり、過去最多だった1月8日の146人を超えた。
性別でも、22日の男女比は57%:43%なのに対し、10歳未満・10代は121人:132人と女性が上回っている。とくに10代はこの3日間の男女比は132人:207人と女性が6割を超えている。
20歳代は658人で、過去最多だった1月8日の723人に近づきつつあり、20歳代以下は全体の46.1%に達した。感染経路不明率も10日連続して60%を超えた。
年少者・若年層の感染拡大は、感染力が強いとされるデルタ株とどう関連するのか、緊急事態宣言に伴う飲食関係などの営業時間短縮、酒類提供の自粛要請の効果はあるのかどうか。さらにまた夏休みの影響はどうかなども気掛かりな材料だ。年少者・若年層への分かりやすい呼びかけが必要ではないか。
22日は1979人 拡大止まらず 東京都 新型コロナ感染者(2021/7/22)
東急リバブル 「スピードAI査定」 一戸建て・土地査定も可能に
東急リバブルは7月21日、同社ホームページ上で展開している「スピードAI査定」機能に、これまでマンションに限定していた対象物件を拡大し、 一戸建・土地の査定も可能にしたと発表した。
同社は2020年10月からマンションの査定価格を瞬時に算出する「スピ ードAI」を導入している。一戸建や土地はマンションに比べ物件の個別性が高く、一般的にAIによる査定が困難と言われてきたが、同社は過去10年間の市場売り出し価格データ(データベース会社からの提供)を基に、同社の営業担当者が直近1年間で実際に査定したデータや公示地価・路線価のデータも統合することにより、査定価格を瞬時に算出できる独自のAI査定を実現したという。
◇ ◆ ◇
同社は今年3月、リバブルの営業経験5年以上のベテランと遜色ないレベルの「投資用区分マンションAIマッチングシステム」を開発し、本格稼働すると発表した。
投資用マンションは、一般的なマンション査定とは異なり、利回りを最優先するのでAIがベテラン営業マンと同レベルの査定能力を発揮するのはありうることだと記者は理解したが、戸建てにも採用するというのにはさすがに驚いた。
マンションも同様だが、戸建てはまさに玉石混交。再建築不可の既存不適格建築物も少なくなく、築後20年以上の中古戸建ての建物価格はほとんどセロと査定されている現行の商習慣をAIはどうするのか、戸建てと切り離せない街並みの評価はどうなるのか、どうして成約価格でないのか、安心R住宅とそうでない物件はどの程度の差額となるのか、宅建士の資格取得を考えているのかどうか、成績不振の営業マンは職を脅かされるのかどうか…興味は尽きない。
昨日はリストの高額マンションに特化したAI査定システム「mAI List(マイリスト)」と対決してきた。勝ったか負けたかは、AIは応答せず(弱点はしっかり確認した)、AIの個人情報もあるだろうし、自尊心を傷つけるのも失礼だと判断し、原稿は事前に同社の優秀な担当者にチェックしてもらってから掲載することにした。週明けにも発表できるはずだ。
東急リバブルのAIとの対決もしたい。同社にも取材を申し込んだ。AIは応じるだろうか。同社には、電話をしながら書類などのチェックを行い、同時に目の前の部下にも適切な指示を出す、同時に3つも4つもの仕事をこなした伝説の営業マンを目の当たりにしたことがある。この伝説の男のAIに対する評価も聞いてみたい。
各社のAI同士で査定能力を競ったら面白いと思うが、この記者の挑発に各社のAIは乗るだろうか。他社のAI査定を狂わし、攻撃を加えるAIをAIが開発することは可能のような気がする。そうなったら業界は大混乱し、消費者もまたパニック状態に陥るのではないか。
誰もが使いやすいトイレ「LIXIL PARK」 フジテレビ広場で公開 LIXIL 7/21~9/5
「LIXIL PARK」
LIXILは2021年7月21日(水)~9月5日(日)、「安心と快適を、すべての人に。」をコンセプトに、多様なニーズに対応した誰もが使いやすいトイレを設置した「LIXIL PARK」をフジテレビ1F広場で開催する。20日、報道陣に公開した。
「LIXIL PARK」は、SDGsを推進するフジテレビジョンが主催する「THE ODAIBA 2021」の一環として実施するもので、「安心と快適を、すべての人に。」をコンセプトに、機能分散の考え方を取り入れ、車椅子使用、人工膀胱や人工肛門を造設したオストメイトの人、乳幼児連れの人に配慮した7種類の個室を用意。また、トイレ以外にも授乳室やカームダウン・クールダウン室も備えている。
設置に当たっては、どんな場所にも設置可能、利用目的に応じて自由に空間形成が可能の可動式アメニティブース「withCUBE」を活用している。
開催にあたり、40年以上もバリアフリー、ユニバーサルデザインを研究している東洋大学名誉教授・髙橋儀平氏は次のようにメッセージを寄せている。
共生社会のトイレは個の尊厳が守れるトイレでなければなりません。つい数年前までは、何とか高齢者や車椅子使用者、乳幼児連れの方、オストメイトの方が利用できるようにと1つのブースにあらゆる設備を投入した、「バリアフリートイレ」「だれでもトイレ」がトイレ整備の基軸でした。近年では男女共用のバリアフリートイレに性的マイノリティの方、発達障害者や高齢者の介助者同伴による利用が加わっています。性別に関係なくストレスフリーで利用できるトイレブースが他にないからです。社会環境のバリアフリー化の進展とともに「バリアフリートイレ」への利用集中が増していました。そうすると広いスペースしか使えない車椅子使用者は行き場を失います。
そこでダイバーシティの環境づくりを目指す私たちは、可能な限り個人の尊厳を守るために、多機能トイレや内部にある設備を利用者の特性ごとに他のブースに分散し、安心して選択できる個のトイレへとシフトしたのです。
「withCUBE」がこれからの社会の新たなトイレづくりの指標になると確信しています。
ベーシック
オストメイト配慮
車椅子使用者配慮
授乳室
非接触パネル
カームダウン・クールダウン室
髙橋氏
◇ ◆ ◇
記者は、一昨年からトイレの取材をするようになった。マンションや戸建てではどのような仕様になっているかチェックするようになった。日本財団の「THE TOKYO TOILLET」プロジェクトの完成した11のトイレも全て見学取材した。
カームダウン・クールダウン室の提案はいい。さらに言えば、安全性をどう確保するか課題はあるが、少し横になれるとか、飲料水が飲める自販機を設置するとか、食事ができるとか機能を増やせば利用者は増えるはずだ。
機能分散について。多機能トイレ・だれでもトイレは、普通の人も利用するから、障がい者など必要な人が使えないという問題が発生する。トイレだけでなく道路も建築物もバリアだらけだ。バリアフリー・ユニバーサルデザインの視点から総合的に考えないといけないと思う。
三菱地所「TOKYO TORCH」第一弾「常盤橋タワー」完成 緑の量と質に感動
常盤橋タワー全景(街区南側より)
三菱地所は7月19日、東京駅前の再開発プロジェクト「TOKYO TORCH」の第一弾「常盤橋タワー」が6月30日に竣工したのに伴う内覧会を行った。冒頭、同社執行役社長・吉田淳一社長は「日本はもちろん世界に誇れる新しいシンボルの第一歩となるビルが完成した。日本を明るく元気にする、新たな価値を創造する場として育てていく」とあいさつした。内覧会には約90名のメディア関係者が参加した。
現段階で丸の内・大手町エリア最高峰となる高さ212mの38階建て「常盤橋タワー」は、オフィスフロアのうち2フロアを就業者向けの共用空間として整備し、共用空間で人との出会いやつながりを生み出す就業者向けチームビルディング・マインドリッチプログラムの実施するほか、就業者専用アプリ「TOKYO TORCH App for 常盤橋タワー」を導入して館内共用スペースの予約/カフェテリアでの注文・決済/非接触セキュリティを可能にし、ロボット実装による施設管理の高度化を図り、「先進的なオフィストイレ」を導入する。
街区中央に位置する約7,000㎡の大規模広場「TOKYO TORCH Park」には、地方と連携した「錦鯉が泳ぐ池」(新潟県小千谷市)、「佐渡島の金鉱石」(新潟県佐渡市)、「つくばの天然芝」(茨城県つくば市)、「うるおいある緑化空間」(静岡県裾野市)も設けられている。
地階から3階の商業ゾーン「TOKYO TORCH Terrace」には、日本初出店1店舗/東京初出店4店舗/新業態5店舗を含む13店舗が7月21日から順次オープンする。飲食店舗は「TOKYO TORCH Park」を望むテラス席を備えている。
環境配慮では、国内の都心複合ビル開発プロジェクト初のゴールド認証のSITES®予備認証、DBJグリーンビルディング認証(申請中)、SEGES、ABINC認証を取得している。
入居テナントはクラレ、東京海上ホールディングスグループ、古河電気工業グループなど9割が入居決定済み。
施設は、地上38階・地下5階建て(高さ約212m)延べ床面積約146,000㎡。着工は2018年1月。設計監理は三菱地所設計。施工は戸田建設。約8,000人が就業する。「TOKYO TORCH」の全体完成は2027年度。わが国最高峰の地上63階建ての「Torch Tower」の施工は未定。
吉田社長は、「コロナの影響を受けリモートワーク、在宅勤務が増え、効率化、時間ロスをなくすよさが認識され、IT系企業を中心にオフィス面積を縮小する動きがある。しかし、ここにきて、社内外の人と心を開いてコミュケートし、オーブンイノベーションを起こす働く場、コミュニケーションの場、イノベーションを起こす場としてのオフィスの重要性がアメリカを中心に世界的に再認識されつつある。常盤橋タワーには時間、空間の過ごし方など人間性が発揮できるオフィスのあり方新しい提案、工夫を行っている」と語った。
TOKYO TORCH Terrace(街区西側より)
エントランスロビー
2F オフィスロビー(天井高は5m)
Hall &Kitchen ゾーン
Hall &Kitchen ゾーン
就業者専用ラウンジ
ラウンジ内厨房
ラウンジ
「テラゾウ」
「TOKYO TORCH Park」
「TOKYO TORCH Park」
「TOKYO TORCH Park」
スマートフォン認証
吉田社長
◇ ◆ ◇
記者は、オフィスビルのことはよくわからないのだが、これまで取材した範囲内では最高レベルではないかと思う。
何が最高かといえば、同社の丸ビルや新丸ビル、三井不動産の日本橋の一連のビルにも採用されている100尺(31m)デザインが美しいのもさることながら、約7,000㎡の「TOKYO TORCH Park」だ。規模としては東京駅丸の内駅前広場と同じくらいで、丸の内・大手町エリアでは同社の「ホトリア広場」や東京建物の「オーテモリ」など素晴らしい緑空間があるが、こちらの方が緑の量と質で圧倒する。差し渡し1m、樹高にして20~30mはありそうな既存樹のケヤキの巨木が10本以上植わっている。
2027年度完成予定の「Torch Tower」との間の幅45m×長さ120mの通路も再整備され、隣接する常盤橋公園と合わせれば2haの屋外空間が生まれる。都心部の緑のネットワークでは虎ノ門ヒルズ(オーバル広場)-オークラ庭園-赤坂インターシティと肩を並べるかもしれない。
吉田社長が「わたしは存じ上げないが、値段の高いものは1億円するそうだ」と語った〝泳ぐ宝石〟といわれる錦鯉がまたいい。50匹が放たれそうだ。「佐渡島の金鉱石」は重さ2トン。値段を聞いたら「値は付けられない」とのことだった。ただの石ころか金銀が含まれているのか、錦鯉もそうだがこっそり盗もうとする悪党からどうやって守るのか気になった。
もう一つ、素晴らしいのは3階と8階の共用部分だ。床、壁、建具家具などに自然素材をふんだんに用い、観葉植物もフェイクは一つもなかった。フェイクだらけだった「大手町パークビル」内の同社本社オフィスとは対照的だ。
オフィスの標準階の天井高2850ミリというのは低くはないが、高くもない「並」と評価したが、1階エントランスから2階ロビーの吹き抜け空間は高さ13.5mあり、白が基調の2階ロビーがいい。壁材には、セメントに骨材や顔料を練り込んで、研ぎ出して仕上げる左官技術の美しい「テラゾウ」が多用されている。
TOTOと協業した3階の先進的なオフィストイレを提案した「nagomuma restroom(ナゴムマ レストルーム)」は、男女とも個室ブースは六角形で、手洗いと鏡が付いていたのには驚いた。
個室ブースを六角形にしたらデッドスペースは生じないのか疑問に思ったが、それよりも、入ったきり出てこなかったらどうするのか気になった。そこでストレートに聞いた。6分くらい経過したらブース内の照明を明るくし、退室を促すそうだ(坂茂氏の公園トイレのように外から見えるということではなさそう)。空き状況も表示するが、これなどはそれこそスマホであと何分したら空きそうだとか確認できるようにすれはいいと思うし、いっそのこと時間貸しで利用できるようにすれば予約が殺到し、行列ができるトイレとして評判を呼ぶのではないか。
「TOKYO TORCH Park」
「錦鯉が泳ぐ池」(新潟県小千谷市)
「佐渡島の金鉱石」(新潟県佐渡市)
「つくばの天然芝」(茨城県つくば市)
「うるおいある緑化空間」(静岡県裾野市)
nagomuma restroom [撮影:傍島利浩氏]
「羽田市場」
オープン記念の特別価格1500円のキンメの煮つけの定食(見本。右は記者が注文して飲んだノンアル―コールのビール。水槽の貝はミルガイ、サザエ、アカガイ、カキ、ツブガイ、ホタテ、ホヤ、アサリ、ホッキガイ、ミルガイ、アワビなど)
三菱地所 常盤橋PJの街区名称「TOKYO TORCH(トウキョウトーチ)」に決定(2020/9/17)
70歳以上が激減 50・60代も減少 20代を中心に年少者の増加目立つ 都のコロナ感染者
東京都のコロナ感染者は、7月14日以降4日連続で1,000人を超えるなど、昨年末の第4波の感染爆発前夜と同様の様相を呈しているが、年代別では大きく変化しており、ワクチン接種が進むかどうかが感染抑制のカギを握っていることをデータは示している。
別表・グラフは、第4波の感染爆発前夜の昨年12月20日から今年1月2日までの二週間の感染者約1.1万人と、今回の第5波の感染拡大が止まらない7月4日から7月14日の二週間の感染者約1.2万人の年代別・性別感染者数を都のオープンデータをもとに比較したものだ。
感染者は約1,000人増加しているが、年代別では明らかにワクチン接種効果が顕著なのが分かる。70歳以上の感染者は昨年末では1,067人で、全体に占める割合は9.7%に達していたが、今年7月には349人へ67.3%も減少し、全体に占める割合も2.9%へ激減している。
60歳代と50歳代も減少しており、昨年末と今年7月の比較では、60歳代は736人から502人へ234人、50歳代は1,509人から1,425人へ84人それぞれ減少。比率も60歳代は6.7%⇒4.1%へ、50歳代は13.7%⇒11.8%へ減少した。
その一方で、若年層の増加が目立っている。20歳代は昨年末の2,984人から今年7月には3,846人へ862人増加したほか、30歳代は2,171人から2,477人へ306人、40歳代は1,751人から2,122人へ371人、10歳代は563人から895人へ332人、10歳未満は241人から509人へ268人それぞれ増加。
全体に占める割合では、20歳代は27.1%⇒31.7%、30歳代は19.7%⇒20.4%、40歳代は15.9%⇒17.5%、10歳代は5.1%⇒7.4%、10歳未満は2.2%⇒4.2%へそれぞれ増加している。
性別では、10歳代の女性が231人から462人へ倍増しており、10歳代男性を上回っており、10歳未満の男女とも倍以上に増加している。
ワクチン接種が急がれる。
〝木の時代へ〟 木住協の季刊誌「木芽」公的データを再編集して〝見える化〟
「木芽(もくめ)」vol.179(2021.春夏)
日本木造住宅産業協会(木住協)の季刊誌「木芽(もくめ)」vol.179(2021.春夏)に掲載されている「公的統計データから『見える』建築物木造化の動向」を読んだ。定期的に発表されているデータのようだが、記者は知らなかった。多くの方に参考になるはずなので紹介する。
公的統計データとは、国土交通省の建築着工統計調査で、同協会の女性スタッフが3日がかりで分かりやすく再整理したものだ。平成18年度から令和2年度の15年間の全建築物の全棟数、床面積、うち木造の棟数、床面積、木造化率のほか、住宅、事務所、店舗、学校校舎、病院・診療所ごとの木造の棟数、比率と都道府県別の用途別木造化比率が2ページにわたって掲載されている。
建築物の着工等数、床面積は、この15年間で最多だった平成18年度の棟数72.8万棟、床面積187,614万㎡から令和2年度には53.4万棟(平成18年度比26.7%減)、114,300万㎡(同39.1%減)へそれぞれ大幅に減少している。
しかし、木造は健闘しており、平成18年度の50.7万棟、6,395万㎡から令和2年度は40.7万棟(同19.7%減)、4,978万㎡(同22.1%減)と全体の減少幅より小さく、令和2年度の木造化比率は棟数比率76.3%(同6.6ポイント増)、床面積比率43.5%(同9.4ポイント増)と上昇している。
住宅着工も平成18年度の60.0万棟、10,849万㎡から令和2年度には45.9万棟、6,578万㎡へとそれぞれ23.5%、39.4%減少しているが、木造は平成18年度の47.3万棟、5,889万㎡から令和2年度には38.4万棟、4,540万㎡へとそれぞれ18.8%、22.9%の減少にとどまっている。このため、令和2年度の木造化率は棟数比率で83.6%(平成18年度比4.8ポイント増)、床面積比率は69.0%(同14.7ポイント増)と上昇している。
このほか、木造化率が低かった事務所、店舗、学校校舎、病院・診療所も全て木造化率は上昇している。令和2年度の木造化率は事務所が棟数比率で37.7%(平成18年度比14.4ポイント増)、床面積比率で9.2%(同2.4ポイント増)、店舗が棟数比率28.2%(同2.0ポイント増)、床面積比率5.0%(同1.5ポイント増)、学校校舎が棟数比率12.7%(同6.0%増)、床面積比率4.2%(同2.3ポイント増)、病院・診療所が棟数比率51.7%(同17.5ポイント増)、床面積比率11.2%(同5.1ポイント増)となっている。
都道府県別データで木造化比率が高いのは、事務所は秋田県(57.3%)と山形県(51.9%)、店舗は北海道(45.4%)と新潟県(40.1%)、学校は秋田県(28.1%)、岩手県(24.1%)、宮崎県(20.6%)など、病院・診療所は秋田県(58.5%)、新潟県(58.5%)、山形県(55.4%)、石川県(54.9%)、和歌山県(54.5%)、宮城県(53.9%)など。
木造化比率がもっとも低いのは沖縄県で、事務所は2.4%(全国平均30.4%)、店舗は3.9%(同26.2%)、学校校舎は0.1%(同8.6%)、病院・診療所は2.5%(同41.5%)と全て全国平均より桁違いに低い。
これらのデータからはっきりするのは、「木の時代」は着実に前進しているということで、2050年のカーボンニュートラルの追い風も受けて、加速度的に木造建築物は増加するのではないか。
職業「-」47% 「その他」も学生5%に次ぐ3% 東京都のコロナ感染者
総数155,893人の職業分布
東京都に新型コロナ緊急事態宣言が発令されてから6日間が経過する。効果が表れるのはこれからだろうが、感染者は7月16日現在、27日連続して前の週の同じ曜日を上回り、この3日間は1,000人を突破した。ワクチン接種の効果で高齢者の感染は激減しているが、これまでの20~40代に加え20歳未満や50歳以上の感染者の増加が目立つ。何とか感染を抑制する資料にならないかと、都のオープンデータから感染者の職業分布を調べた。
別表・グラフは、7月16日現在の東京都の新型コロナ感染者186,698人の職業分布を示したものだ。
都が感染者の職業を公表するようになったのは昨年の10月1日からで、1週間ごとに更新しているため、昨年9月30日までの25,637人と、今年7月12日以降の5,945人の合計31,582人の職業欄は記載がないはずだが、オープンデータでは記載のないのは30,797となった。(なぜかは分からない。データは自動的に計算してくれるはずなのに…)
また、職業欄には少数ではあるが歌手、マスコミ、ホテルマン、舞台関係、建築士などもあり、これらの職業を数値から除外した結果、集計できたのは186,690人となり、記載がない30,797人を除いた155,893人のデータをもとに以下に概観することを最初に断っておきたい。
このうち、もっとも多いのは職業欄が「-」の人で73,847人、比率は実に47.4%に達する。これは感染者に答えられない事情があるのか、それともショック状態に陥り答えられない状態にあったのか、経路不明比率が6割近いことと関連があるのかどうかなど数字からはわからない。
職業が記載されている人のうちでもっとも多いのは32,164人の「会社員」で、判明している人に占める比率は20.6%となっている。以下、無職8,871人(比率5.7%)、学生8,385人(同5.4%)、その他4,511人(2.9%)、自営業3,376人(同2.2%)、施設職員2,787人(同1.8%)、接客業2,690人(同1.7%)の順。
この結果を皆さんはどう読み解かれるか。記者は異議を唱えたくないが、姿かたちが見えない強敵のコロナと戦うにはあまりにも漠としており、感染源をたどったり、何らかの傾向を探ったりして対策を練る武器にはなりえていないと思う。
感染者の半分近くの人の職業が分からないというのもさることながら、以前にも書いたように、「パート」「アルバイト」は雇用関係を示すもので職業ではない。「その他」も約4,500人いるが、これは感染者が高熱にうなされ、ろれつが回らず聞き取り不能の結果なのか、それとも厚労省の職業分類や総務省の産業分類にも当てはまらない反社会的な団体・活動をしている人なのか。昨年5月に「新型コロナ 感染経路不明者が減らない理由 〝闇社会〟〝二重就業〟も一因」の記事を書いたら、約6.7万件(関連記事を含めると約7万件)のアクセスが殺到したが、それと関連があるのかと考えると、なんだか怖い。
データには首をかしげたくなるものもたくさんある。幼児には20~50代の女性が10人、小学生には20代以上が13人、学生には10歳未満が123人、主婦には男性が3人、教員には10歳未満が1人、無職には10歳未満が297人、施設職員には10歳未満が5人、会社員には10歳未満が2人それぞれ含まれる。
これは、故意か過失か判然としないが、聞き取り調査票に記入する担当者やデータをチェックする人はどうしてこのような単純なミスを見逃すのか。現場の混乱ぶりを表すものであれば、単純なミスとして片づけられない問題が孕んでいるように思う。
この前、日本看護協会出版会編集部編「新型コロナウイルス ナースたちの現場レポート」の感想文を書いた際、以下のようにレポートを引用した。
「『何かあったら、あなたが責任をとってくれるんですか』と返され…問答となってしまい、終わりが見えなかった。なかには1時間近くこのようなやり取りが続いたこともあった。…次第に私は、この業務が相談者の役に立っているのか疑問に感じるようになった。電話は途切れることなく鳴り続けていた。1つの相談が終わり受話器を置くと、息つく暇もなく眼前の電話が鳴る。数をこなし、たらい回しを続けているだけの機械のように思えてくる」(坂井志織氏)
「(電話相談は)1週間に1~2回順番が回ってきたが、連続36時間対応することもあった。事情があって事実を話したくない方などの調査に2時間以上要することもあった」(東口三容子氏)
「(積極的疫学調査は)感染症対策として最も重要だ。濃厚接触者と感染源の特定とハイリスク者の追跡により、感染拡大を最小限に抑えることになる。…(患者の発生は)公表は、住民の感染予防の注意喚起が目的だが、個人や店舗を特定し攻撃するようなクレーム、SNSへの投稿、噂の流布など、患者の人権に配慮のない言動は後を絶たない」(竹林千佳氏)
都のデータとこれら現場の声を照らし合わせると、もう一度、積極的疫学調査のあり方を見直すべきではないか。せっかくの都のオープンデータは生かされていないし、都民に届いていないといったら失礼か。
コロナは年齢も性別も貴賎も美醜も賢愚も区別なく襲うのだから職業などどうでもいいと考え、聞き取りを適当に済ますことはすでにして敗北主義だ。わずかな手がかりでも感染源に迫るのが科学者の立場のはずだ。
都の7月16日現在の累積感染者186,698人のうち感染経路不明者は108,566人で、不明比率は58.2%に達しており、6月以降の46日間で不明比率が60%を切ったのはわずか10日間しかない。具体的な科学的根拠を示さず、「経路不明の大半は飲食関係」の一点張りで、酒類の販売中止と営業自粛を求めるだけでは関係者の怒りを買うのもよくわかる。
全国121万人の看護師の万感の思いここに 「ナースたちの現場レポート」を読んで(2021/7/14)
新型コロナ感染者 職業の最多は「不明」35% 退院後の心のケア必要 都のデータ(2020/11/16)
新型コロナ 爆発的に増加 感染者の〝職業不明〟割合 都は40%超(2021/1/10)
新型コロナ 感染経路不明者が減らない理由 〝闇社会〟〝二重就業〟も一因(2020/5/11)