小泉環境・気候変動相が講演 今井議長は同省に要望 エコ・ファースト推進協 総会
今井議長(左)と小泉大臣(小泉氏はオンライン画像)
エコ・ファースト推進協議会は4月14日、通常総会を開催し、2020年度事業報告、議長・副議長・幹事の選任、2021年度事業計画を承認した。議長は今井雅則氏(戸田建設代表取締役会長)、副議長は稲垣士郎氏(積水ハウス代表取締役副会長)をそれぞれ再任、新幹事に上田輝久氏(島津製作所代表取締役社長)を選任した。
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総会では、この日(4月14日)が40歳の誕生日という小泉進次郎 環境大臣・気候変動担当大臣が「2050年カーボンニュートラルに向けた取組」と題する講演を約20分オンラインで行い、これに応える形で今井議長が議長メッセージと要望を発表した。
今井議長は、①脱炭素社会の形成②循環型社会の推進③自然との共生④地域連携⑤環境コミュニケーション⑤イノベーションの推進の5項目についてメッセージを送り、要望として「エコ・ファースト推進協議会は設立12年を迎え、加盟企業も50社となりました。幅広い業界から選ばれた各社は高い環境目標を掲げ、日々の事業活動に取り組みながら、各業界の環境対策をリードしてきました。また環境省から発信される環境政策や環境活動に賛同・協力し、加盟企業各社が連携を図りながら政策推進に貢献してまいりました。今後、脱炭素社会実現、資源循環型社会実現に向け、官と民との連携した取り組みはますます重要となると考え、その橋渡し役であるエコ・ファースト推進協議会の使命を確実に果たして行きます。環境省におかれましても協議会加盟企業各社の環境施策の推進や、協議会のプレゼンス向上のために、是非、お力添えいただきますようお願い申し上げます」と小泉大臣に伝えた。
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小泉大臣の講演を一つひとつ伝えたいのだが、同協議会から詳細な資料を頂いたので、こちらを是非読んでいただきたい。環境省の資料には議長会社の戸田建設をはじめ、住宅・不動産業界では積水ハウス、大和ハウス工業、住友林業、東急建設、ヒューリック、三井不動産、三菱地所の取り組みも紹介されている。
小泉大臣は、昨年の国連総会での菅総理の2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会実現宣言を「不戦敗を免れた」と評価しながらも「これからが大事。わが国が本気で脱炭素社会の実現に取り組んでいることを皆さんと一緒になって進めていく」と述べた。
また、同省の「再エネ電力と電気自動車や燃料電池自動車等を活用したゼロカーボンライフスタイル・ワークスタイル先行導入モデル事業」に毎日1,000件の問い合わせがあることも紹介した。
若年層の比率高まり高齢者は減少 変異型の影響か 第3波と異なる感染状況
最近の東京都の新型コロナ感染状況は、爆発的に感染者が増加した第3波と同様の様相を呈しているが、年代・性別では差異がみられる。第3波では各世代に感染者が広がっていたのに対し、今回は20代を中心とする働き盛りの感染者が多数を占めている。
別表は、昨年12月9日から15日まで(以下A)と今年4月7日から13日まで(以下B)の1週間の年代・性別感染者のそれぞれの数値を比較したものだ。
Aの感染者は3,635人でBは3,444人。Aを年代別にみると、20代がもっとも多く全体の25.8%を占めている。20代男性、20代女性、30代男性のだけで全体の37.6%を占めている。20~50代は2,682人で全体の73.8%で、60~90代は668人で18.4%となっている。経路不明比率は57.4%となっている。
これに対しBは、20代が1,068人と多く、全体の31.0%を占め、20代男性20代女性、30代男性だけで全体の42.4%となり、Aを4.8ポイント上回っている。20~50代は全体の78.3%の2,695人となっており、Aを4.5ポイント上回っている。60~90代は451人で、全体の13.1%とAから5.3ポイント低下している。
経路不明比率はAが57.4%で、Bが60.4%となっており、AよりBが3.0ポイント上回っている。数値で見る限り、積極的疫学的調査は効果を発揮していないともとれる。
若年層の感染比率が高まっていることも含め、この差は何に起因するのか、変異型と思われているが正確なところは分からない。
小田急不動産 ソリューション事業の一環 コインランドリー第1号「経堂」開業
「Odakyu Laundry 経堂店」
小田急不動産は4月15日、小田急線経堂駅から徒歩8分にコインランドリー事業第1号店「Odakyu Laundry 経堂店」をオープンする。前日の14日、店舗をメディアに公開した。
店舗は、小田急線経堂駅から徒歩8分、世田谷区経堂1丁目の準工業地域(建ぺい率60%、容積率200%)に位置する敷地面積約411㎡、建物面積約117㎡。駐車場6台(ランドリー利用金額に応じて割引有・ランドリーを利用しない方も利用可)。営業時間は7:00~23:00(年中無休)。ランドリー機器 セルフランドリー13台(洗濯乾燥4台・乾燥機8台・スニーカー洗専用11 台)。提供サービスは店舗内空間除菌・洗濯終了コール・稼働状況確認サービス(同社HP で確認可)。
同社仲介事業本部ソリューション事業部パーキンググループリーダー・坂本和弘氏は「一般的なコインランドリーは10坪、大きくても25坪で、商圏は1キロくらいだが、第1号施設は敷地面積が124坪、建物面積が35坪あり、駐車スペースも6台収容可能としているので、5キロ圏の利用者を想定している。Wi-Fiを完備し、マッサージチェア、ドリップコーヒー自販機、カウンターなどを備え、洗濯から乾燥までの待ち時間にも対応できる施設にした。一般的なものと比較して3倍くらいの収益を見込んでいる」などと話し、今後は土地オーナー向けの土地活用メニューに加え、洗濯物預かり代行サービスも検討するという。
同社は、施設の隣接地に現在は定期借地として賃貸している数倍規模の土地を所有しており、定借契約期限が切れる13年後には一体開発を検討するという。
コインランドリーは、共働き世帯の家事労働の低減や土地オーナーの遊休地の活用ニーズの高まりを受け市場が拡大しており、現在の1,500億円から2,000億円市場は4,000億円、5,000億円に拡大すると予想されている。
住居系での設置は建築基準法の用途規制を受けるが、初期投資額はそれほど高くなく、無人化による人件費の負担が少なく、ランニングコストも高くなく、投資利回りも10%くらい確保できることから、アパート経営などと比べメリットが多いとされている。
カウンター
毛布などもセットするだけ
精算機
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記者はいつだったかどこだったか、まったく記憶にないのだが、コインランドリーなるものを1度か2度利用したことを覚えている。仕上がるまでの待ち時間を持て余し、なんだか恥ずかしいような気持がしたのを思い出す。
同社から見学会の案内が届いたとき、どうしてコインランドリー事業に手を出すのかよく分からなかったが、何事も勉強だ。見学することに決めた。
今回、店舗を見学してなるほどと思った。ワイシャツとかスーツとかコートなどではなく、クリーニング屋に持ち込むのがためらわれる布団や毛布などを洗いたいというニーズが高いのもよくわかる。洗濯機・乾燥機は高いものでは高級車並みだという。飲酒・喫煙が禁止なのは理解に苦しむが…。
事業を担当するのはソリューション事業部というのも納得だ。沿線に住む住民の細かなニーズに一つひとつ応えることは、やがて数倍の効果をもたらすのではないか。最近見た分譲マンションでも共用部にコインランドリーを備えたものが人気を呼んでいる。
トーハン本社跡地開発で基本協定締結 三菱地所グループ、三菱商事都市開発
トーハン、三菱地所グループ、三菱商事都市開発の3者は4月9日、トーハンの現本社跡地の有効活用に関する基本協定書を3月19日付で締結したと発表した。
トーハンは本社を移転し、新宿区東五軒町所在の現本社跡地に三菱地所、三菱地所レジデンス、三菱商事都市開発が2棟の賃貸用建物(オフィス1棟、住宅1棟)を建設する。竣工後は三菱地所リアルエステートサービスが同建物を賃借する。
計画地は、東京メトロ東西線神楽坂駅から徒歩8分。計画建物はオフィス棟、住宅棟の延床面積約38,000㎡。竣工予定は2024年11月。
三井不動産 八重洲二丁目の再開発名称 「東京ミッドタウン八重洲」に決定
「東京ミッドタウン八重洲」
三井不動産は4月8日、参加組合員として事業参画している「八重洲二丁目北地区第一種市街地再開発事業」の街区名称を「東京ミッドタウン八重洲」に決定したと発表した。「東京ミッドタウン」の名称は「東京ミッドタウン」(六本木)「東京ミッドタウン日比谷」(有楽町)」に続く3施設目となる。
首都圏の大規模オフィスとしては初の「完全タッチレスオフィス」を実現するほか、様々なロボットや5Gを活用し、オフィスビル内でのデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進。「グリーン電力提供サービス」を導入する。
施設は、JR東京駅地下直結(八重洲地下街経由)、中央区八重洲二丁目地内に位置する区域面積は約1.5ha。地上45階地下4階建て延べ床面積約283,900㎡のA-1街区と、地上7階地下2階建て延べ床面積約約5,850㎡のA-2街区で構成。基本設計・実施設計・監理は日本設計。実施設計・施工は竹中工務店。マスターアーキテクトはPickard Chilton。2022年8月竣工(予定)。
5階屋上テラス
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記者は、同社が「東京ミッドタウン日比谷」の内覧会を実施した2018年の段階で第3の「東京ミッドタウン」は「八重洲」であることを知っていた。「「書かないで」という約束を守ってきた。
さて、では第4、第5の「東京ミッドタウン」はどこか。これは記者も分からない。
〝ちがいを ちからに 変える街。渋谷区〟に沿う 東急不などコンソーシアム連携
「ニュートラル・イノベーション・ベース(NIB)」
東急不動産は4月6日、「渋谷桜丘エリアにおける 企業間連携の取り組みに関する記者発表」イベントをZOOMウェビナー形式で開催。同社の広域渋谷圏戦略の新コンセプト「未来シェアリング」をスタートさせ、その第一弾として桜丘地区の様々な企業と連携するプラットフォーム「ニュートラル・イノベーション・ベース(NIB)」を紹介した。
同社都市事業ユニット都市事業本部長 執行役員・鮫島泰洋氏は、「コロナ禍でもあるにもかかわらず、当社が実施した経営者インタビューでは、実に65%を超える企業が『渋谷でのオフィスは現状維持または増床』と回答。何よりも『創業・起業の息吹が感じられるエネルギッシュさ』に魅力を感じていただいている結果」などと、「未来シェアリング」「NIB」を立ち上げた背景について語った。
続いて登壇した一般社団法人渋谷未来デザイン プロジェクトデザイナー・金山淳吾氏は「桜丘は渋谷駅周辺の再開発プロジェクトの文化の中間地点。横の連携を通じて未来をシェアリングしていく」と語った。
コンソーシアム参加企業としてあいさつしたのはアカツキ執行役員・石倉壱彦氏、貝印上席執行役員・遠藤加奈子氏、cinra代表取締役・杉浦太一氏、FIREBUG代表取締役 プロデューサー・佐藤詳悟氏、Loohcs代表取締役・斎木陽平氏、MIRAI-INSTITUTE代表取締役・小柴美保氏、令和トラベル代表取締役社長・篠塚孝哉氏。
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イベント開始の14:00から終了時間の14:35まで、登壇者・参加者は前段で紹介したように9社・団体。このほかにも各社の担当者が2人と長谷部健・渋谷区長の応援メッセージも紹介されたので、登場したのは12人。1人当たりにすると〝3分クッキング〟より短かった。各社を紹介すると、アカツキは90社に投資している会社で、貝印は発酵食品を新しいスタイルで発信するそうで、FIREBUGはアーティスト、タレントのスタートアップなどを支援しており、Loohcsは高校生起業家を応援し、MIRAI-INSTITUTEはオフィスフリーのマーケティング会社、令和トラベルは、前日に行代理業の免許を取得したばかりの創業2日目の会社だった。
記者は、スタートアップ、ベンチャーキャピタル、アクセラレーターなどよくわかっていないにもかかわらず、横着にも事前に参加会社の概要などをチェックしなかったので、ほとんど何のことかわからなかった。質疑応答もなかったが、あったとしても多分、何を聞いていいかわからなかったはずだ。
長谷部区長のメッセージ「ちがいを ちからに 変える街。渋谷区」も分かるようでよくわからなかった(ダイバーシティの街づくりを推進するという意味か)。
一つだけよくわかるのは、「ちがいを ちからに」というのは渋谷区の専売特許ではないということだ。東急不動産はもう10年も昔から〝平均点主義〟の新卒採用をやめている。話すとよくわかる。ユニークな考えの人がたくさんいる。
メールで東急不動産に「渋谷駅桜丘口地区第一種市街地再開発事業」で予定されている住宅約170戸は分譲なのか賃貸なのか質問したが、「現時点では決まっていない」とのことだった。記者は分譲を期待しており、そうなれば「目黒」の少なくとも2倍以上の坪単価でも売れると思うのだが…。
的外れの日本テレビの報道 報じるべきは減らないコロナ経路不明の実態
食事もできる「ラスカ平塚」の屋上庭園
日本テレビの昼の番組だったと思うが、この日(4月5日)、大阪府(あるいは市か)の3月の新型コロナ感染者経路判明者2,208人の感染経路別内訳が報じられていた。
もっとも多いのが家庭内で42.1%、以下、その他職場などが29.1%、施設内21.2%で、飲食関係は0.9%だった。この0.9%に報道スタッフは怪訝な表情を浮かべていた。
記者は、大阪府、あるいは大阪市の状況はよくわからないが、大都市圏での感染経路不明者が多いのは常識だ。東京都の場合は、累計感染者約12.3万人(4月4日現在)のうち経路不明者は約6.5万人、経路不明比率は53.2%に達している。この6日間は55~59%と増加傾向にある。大阪府(または市)もほぼ同様のはずだ。
もう一つは、職業など属性不明の問題だ。今年1月10日に書いた記事を添付する。昨年10月1日から1月3日までの都の感染者36,858人のうち職業不明者は15,448人で、不明率は実に41.9%に達している。こんなことがあり得るか。
新型コロナ 爆発的に増加 感染者の〝職業不明〟割合 都は40%超(2021/1/10)
経路判明者のうち内訳が家庭や職場、施設、学校などが多いというのは当然だ。それらの場で新型コロナが自然発生するわけはないからだ。第一波のときから、感染経路を徹底してたどるというのが感染を抑制する基本のはずだった。経路不明者がなかなか減らないからこそ、政府も法律を改正し、積極的疫学調査を強化しているのではなかったか。
テレビが調査して報じるべきなのは、菅総理も「経路不明者の大半は飲食関係という専門家の知見がある」と話した、その飲食関係の実態だ。(因果関係がはっきりしないのに、飲食だけが責められるのは気の毒だと思う)
記者は、もう1年以上も外食はしなくなったのでどのような状況なのかはわからないが、外から眺める限りでは昼食時などはどこも混みあっている。夜の会食も多いような気がする。(いつもの馴染み同士だったら大丈夫なのかもしれないか)
しかし、それらの飲食店が感染源なのかどうかはどこもよくわからないのではないか。無症状の人が感染を拡大させているといわれるが、これまた徹底した検査を行わないと正確なデータは集まらないはずだ。
記者は、緊急事態措置として一部の自治体が実施しているように公園を開放し、飲食や喫煙を可能にし、国交省も推奨している道路での営業をどんどんやるべきだと思っている。この前、「ラスカ平塚」の屋上庭園で久々に外食したが、人はまばらで感染リスクは全くといっていいほどないはずだ。コンビニでおにぎりを買って公園などの野外で食べるのもいい。
「ラスカ平塚」の屋上庭園
大和ハウス 樋口武男氏編著「積極精神に生きる―創業の人・石橋信夫の心とともに」
大和ハウス工業の最高顧問(前代表取締役会長)・樋口武男氏が編著した書籍「積極精神に生きる―創業の人・石橋信夫の心とともに」(PHP研究所、価格:1,100円・税込み)が3月22日発刊された。
同社創業者・石橋信夫の生誕100周年を今年9月に迎えるのを記念して、石橋が遺した50の言葉を厳選し、書籍化したものだ。
創業者から薫陶を受けた樋口氏は本著で、「創業者精神が息づく言葉を、現代の表現にして取り上げ、私なりの理解と解釈を添えたが、私は著者ではなく、編著者としてこの本を書いた。この本の著者は、私であって私ではない。『創業の人・石橋信夫』と私の『同行二人』による成果物としたかったったからだ」とし、「『石橋信夫』という唯一無二の存在によって育まれた創業者精神は、当社グループの社員だけでなく、世の中でいま活躍されていて、これからの経営を担う多くのビジネスパーソンにも参考になると信じている。それだけの普遍性と不変性があると思うからである」と述べている。
樋口氏は1938年、兵庫県生まれ。1961年、関西学院大学法学部卒業後、鉄鋼商社に勤務。1963年、同社入社。1984年に取締役、1991年に専務取締役、1993年、経営不振に陥っていたグループ会社の大和団地代表取締役社長に就任 し、再建を果たす。2001年、合併により大和ハウス工業代表取締役社長に就任。2004年、代表取締役会長兼CEO。2020年、最高顧問。著書に「熱湯経営―『大企業病』に勝つ」(文春新書)など多数。
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記者は、小説はよく読む方だと思うが、ビジネス書とか自己啓発・箴言本などはほとんど読まない。
しかし、この本は石橋を「経営の師とも、人生の師とも、父ともいえるような大きな存在」という樋口氏の経営哲学、人生観がストレートな言葉で語られている。実践の裏付けもある。よくあるその種の本とは異なると思う。
なによりいいのが読みやすいということだ。小難しい観念論でもって読者を混乱させるこの種の本と一線を画す。50の言葉(テーマ)はどこから読んでも不都合は生じない構成になっている。それぞれのテーマは、1ページ分の見出しと、3~5ページの本文からなり、1ページは12行(通常の文庫本は17行前後)、1行は33字(同40字前後)と短く、1文当たり多くて5行、ほとんどが1~2行だ。年寄でもらくに読める。
さらにうれしいのは、文庫本サイズで、ページ数も256ページと手ごろ、しかも、帯付き、ビニールカバー付きなので、ポケットに入れて持ち運べるということだ。
しかし、文章が短くすらすらと読めるからといって読み捨てるような本でもない。それぞれの言葉には深い意味が込められてはいるからだ。
例えば154ページ。「社会に出て、企業で働くようになったら、会社よりも仕事よりも、まずは自分を愛することを大切にしたい」と石橋、または樋口氏はいう。これは文字通り読めば、いわゆる自己中心、ナルシストに陥りかねないが、そうでないことは他の言葉をよめばすぐわかる。人を愛せない人は自己を愛することはできないし、自分自身が愛せる人に値するかどうか冷徹な目で自分を見つめることも必要だと石橋も樋口氏も他の項目で説く。若い人に薦めたい本だ。
分かりやすいといえば、同社芳井敬一社長の今年の入社式訓示もそうだ。芳井氏は新入社員に対する希望と期待について「1つ目は、挨拶の徹底」「2つ目は、知識の蓄積」「3つ目は、感謝の気持ちを表すこと」「4つ目は、『リセットキー』を持つこと」と呼び掛けた-難しいことではあるが、これは社会人としての基本だ。
デザイン一新 藤沢翔陵高/不可解 防衛省補助金 青木茂建築工房リファイニングPJ
「藤沢翔陵高等学校 校舎改修事業」
青木茂建築工房は4月2日、同社が設計・監理を担当した「藤沢翔陵高等学校 校舎改修事業」の完成見学会を開催した。見学会は3部構成(1部定員50名)で、ほぼ満席となった。
同事業は、築54年(2017年:計画時点)の高等学校校舎3棟を一体化とするゾーニングと内外装一新を図ったもので、防衛省の防音工事と文部科学省の耐震補強工事の補助金を3か年に渡り受給するものだ。
校舎は昭和38年3月に1号館が、同年12月に2号館と1号館と2号館を渡り廊下でつなぐ3号館がそれぞれ竣工。その後、増改築が行われてきた。
校舎は防衛省の防音工事対象区域に該当することから昭和62年から昭和63年にかけて1号館・2号館の防音工事が実施されたが、老朽化による機能性・耐震性の低下などが見受けられることからリファイニングが実施された。
校舎は、小田急江ノ島線善行駅から徒歩1分、藤沢市善行7丁目に位置する鉄筋コンクリート造地上4階、地下1階建て延床面積約7,789㎡。設計・監理は青木茂建築工房、金箱構造設計事務所、森村設計。施工は日本建設。竣工は2020年12月。
3号館正面
外観デザイン
内観デザイン
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この日は小田急線が人身事故のためダイヤが乱れており、記者が着いたときは説明会が半分くらい過ぎたときだった。教室は広く、最後尾に座ったためよく聞き取れなかった。
青木氏の説明によると、建物の価値を下げず、開放的な空間にしたのが最大のリファイニングの特徴のようだった。不要な外壁、給水塔、空調ダクト、建具などを撤去し、耐震壁、袖壁などを新設することで、〝見えない〟部分にその技が注ぎ込まれたようだが、〝見えない〟ものは見えない。
当たり前だが、説明を受けなくともよく見えたのはデザインだった。廊下壁、階段ステップ、サッシ周りにスクールカラーである「紫紺」のほか赤、青、黄などのアクセントカラーを多用し、従前はほとんど白一色だったのをカラフルな校舎に一新した。
素敵なデザインだと思ったので、担当者に「受験者が激増したのではないか」と質問したが「分からない」とのことたった。
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これは取材後に気づいたことだが、防衛省による補助金について。神奈川県には厚木、座間、相模原、横須賀などに米軍や自衛隊の施設があり、航空機の騒音対策として防音工事などに補助金が交付されるのはよく理解できる。
ところが、記者が善行駅に降り、次の取材先に向かう1時間20分の間に、小鳥の鳴き声は聞こえたが、飛行機の音は全く聞こえなかった(加齢による難聴の影響もないはず)。そこで、地元の複数の人に聞いた。全ての人が「たまに飛ぶこともあるが、音はほとんど気にならない」とのことだった。
さらに調べた。南関東防衛局の資料によると、厚木飛行場における住宅防音工事・移転対象区域図には善行駅の東側エリア、つまり藤沢翔陵高校がある善行7丁目などはその区域に入っていない。
善行駅近くの不動産会社にも電話で聞いた。「厚木飛行場は9割方岩国に移転した。航空機の影響? 全くない。そもそも防音工事の対象エリアにも入っていない。重説? その必要もない」とのことだった。
藤沢翔陵高校の1~3号館の校舎の全ての窓に2個のクレセントがついていた。数えたわけではないが、その数は1,000個をはるかに超えるはずだ。背が届かないようなところもあった。誰が開け閉めするのか。生徒にやらせるのか。夏冬はともかく、窓を開けっぱなしにしておいたほうが、学習効果は高まるのではないか。防衛省の補助金は誰のためか…。今年度の防衛関係予算は5.5兆円だ。
クレセント
I'm fine 桜もハナニラも満開 青木茂建築工房「目黒」リファイニング完成(2021/3/22)
マスク越しに強烈な匂い 平塚駅前公衆トイレ 利用者はほとんど男性 トイレ考Ⅲ-3
平塚駅前の公衆トイレ
この日(4月2日)午後5時過ぎ。「ラスカ平塚」の素敵なトイレを見学し、最上階にあるイタリアンレストランの、セキレイも訪れるコロナと無縁の屋上庭園でとてもおいしいシェフズサラダを食べ、白ワインを2杯飲んで気持ちよくなり、帰途についた。
平塚駅に着き、一服しようと喫煙所を探していたら「公衆トイレ」の看板が目にとまった。これは見ないといけないと思いのぞいた。その途端、高くはないがそれほど安くもないはずのマスクを着けているにもかかわらず、あの大好きな「くさや」とはまた別の悪臭が襲い掛かった。
いったい誰が利用するのか、観察することに決めた。20メートルくらい離れたビルの陰からトイレに入る人の数を数えた。17:10から17:40までの30分間に19人。男女の内訳は、男性が16人、女性が3人だった。
男性の中年利用者に話を聞こうとしたら「忙しい」と断られた。通りかかった若い女性3人組は「トイレ? 入ったことない。キャハハハハ」とのことだった。
最近は駅も公衆トイレもきれいになってきたと思っていたが、そうでないところもあることを確認できた。
男性用トイレ
公衆トイレは奥の3階建て建物の1階にある