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「(仮称)代官山町プロジェクト」

 東急不動産は5月17日、渋谷区代官山「代官山東急アパートメント」の建て替え複合プロジェクト「(仮称)代官山町プロジェクト」を着工し、デザイン設計に隈研吾氏が担当すると発表した。

 プロジェクトは、東急東横線代官山駅から2~3分、渋谷区代官山町119に位置する敷地面積約4,084㎡、10階建て延べ床面積約21,875㎡。用途は賃貸住宅、店舗、事務所、駐車場。基本設計は隈研吾建築都市設計事務所。実施設計は竹中工務店・東急設計コンサルタント共同企業体。施工は竹中工務店。竣工予定は2023年秋。従前は複合施設「TENOHA代官山」。

 賃貸住宅、オフィス、商業施設で構成する複合施設を建築し、「暮らす」「働く」「遊ぶ」をシームレスに融合する「新しいライフスタイル」を提案する。

 隈氏はプロジェクトにかける「想い」として次のコメントを寄せている。

 コロナは建築と都市の歴史にとって大きな転換、折り返しポイントになるであろう。コロナ以前の建築のテーマは「集中」であった。都心部に集中させることが効率的であり、幸福であると考えられていた。コロナのあと、われわれは都市の様々な活動を分散、多様な存在へと作り変えていかなければならない。『代官山町プロジェクト』はそのような新しい試みの一つのモデルとなるであろう。そこで、われわれは集中の時代の単調な箱にかわる、新しい自由でやわらかな建築を提案しようと考えた。

 代官山は様々な意味でそのような自由な建築をつくるために最適な場所である。

 まず、多様な地形を持ち、丘があり、川があり、それによって風の流れ、光の射し方も複雑で豊かである。

 この地は利便でありながら「集中の時代」の退屈な都市とは異なる豊かな自然がそこかしこに生きているのである。そのうえ、新しい自由な街を追求する、様々な試みがつくられてきた「街の実験場」であり「集合住宅の聖地」でもある。

 戦前の実験的集合住宅の傑作、同潤会代官山のヒューマンなコミュニティに魅せられて僕は学生時代からその食堂や共同浴場を愛用していた。ストリート型集合住宅の原型を作ったといわれる槇文彦先生のヒルサイドテラスも僕の大事なデートコースであった。

 そんな代官山の自然と伝統に助けられ、教えられてわれわれは新しいチャレンジをこの地に刻みたいと考えている。

 『代官山町プロジェクト』は「集中の時代」の大きくて閉じた箱に換わり、様々なプロポーションの小さな木箱を積み上げようと考えた。木箱の多様性は街の自由とサステナビリティを象徴する。木箱と木箱の間には緑が植えられ、木箱のやさしいテクスチャーと緑が響きあって、街の緑につながっていく。その真ん中に空とつながるアトリウムを設けた。そのアトリウムから駅へとつながる路地がのび、木箱は空とつながるだけではなく、街とも結ばれ、木箱の生活は代官山の街の活動の一部となるであろう。われわれのデザインと街のシンボルが響きあって新しい時代の新しい生活が始まるだろう。

◇       ◆     ◇

 記者は昨秋、現地を見ている。一等地だ。「代官山アドレス」に隣接し、道路を挟んだ対面は野村不動産の億ション「プラウド代官山フロント」が建設中だった。記事では「分譲なら坪1,000万円台に乗るか」と書いたが、分譲ではなく賃貸となる。

期待の大きさの分だけ深い失望 「渋谷川・古川の河川再生」現地を歩く(2020/10/15)

 


 

カテゴリ: 2021年度

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 3度目の緊急事態宣言が4月25日に発令されてから20日が経過したが、新型コロナ感染者は減るどころか増加傾向をみせている。第一波の今ごろは20~30人台で、5月17日(日)は5人まで減少したというのに、どうなっているのだろう。

 別表に、2度目の緊急事態宣言が3月21日に解除されてから5月12日までの東京都の感染者と経路不明者の推移を示した。

 500人以下だったのは4月6日の399人までで、7日に555人になると、その後は増勢を強め、5月12日までに500人以下は3日しかなく、1,000人超は4日を数える。

 変異種の影響か、感染者は20~40代の働き盛りの人だけではなく、10代や50歳以上も増えている。

 記者が心配しているのは、経路不明比率が減少しないことだ。3月21日から5月12日までの経路不明比率は平均57.3%だ。50%割ったのは8日間のみ。逆に60%超となったのは15日もある。半数以上の人は身に覚えがないか、コロナ自警団恐れて沈黙を守っているのだろうか。無症状の人が3~4割いると言われているのが感染拡大に拍車をかけているのだろうか。

 不明比率が50%を割らないと感染者は減らないのは素人でもわかる。菅総理が仰った「経路不明の大半は飲食関係」というのは本当だろうか。

 疑問符ばかりだ。

「屋外でマスク付けていても感染相次ぐ」西村大臣発言 具体的数値・事例示すべき(2021/5/3)

若年層の比率高まり高齢者は減少 変異型の影響か 第3波と異なる感染状況(2021/4/15)

17日は409人9日連続して増加 昨年の拡大期と酷似 東京都 新型コロナ感染者(2021/3/17)

宣言期限まで1週間16日の感染者300人8日連続して増加 東京都 新型コロナ(2021/3/13)

70歳以上の比率は20%超続く100歳以上も増加 都の新型コロナ感染者(2021/2/7)

70歳以上が全体の25.8%の163人100歳以上は1月だけで36人 都の新型コロナ感染者(2021/2/1)

特措法・感染症法の是非を考える 早くも抑止効果? 〝悪法もまた法なり〟なのか(2021/1/30)

100歳以上は1月だけで32人 昨年1年間の16人の2倍 東京都の新型コロナ感染者(2021/1/29)

都の新型コロナ100歳以上の感染者も激増1月だけで21人 昨年末の累計16人突破(2021/1/24)

〝明けない夜はない〟この言葉を信じよう60歳以上の感染者も爆発的に増加(2021/1/17)

都の区市町村別コロナ感染者 人口10万人当たり新宿、港、渋谷区の順で1000人超(2021/1/11)

新型コロナ都道府県別感染者 人口10万人当たり最多は東京都493人 最少は秋田県17人(2021/1/11)

都の新型コロナ感染者 職業公表 医師・医療従事者など多数 大雑把すぎるのが欠点(2021/1/10)

新型コロナ 爆発的に増加 感染者の〝職業不明〟割合 都は40%超(2021/1/10)

宣言当日 都のコロナ感染者 激増の2,447人 経路不明は16日連続60%超(2021/1/8)

新型コロナ 緊急事態宣言へ 飲食店の時短だけで効果あるか/どうなる特措法の罰則(2021/1/5)

〝闇社会〟〝二重就業〟の記事にアクセス殺到/目から鱗 「風テラス」坂爪氏の著作(2020/5/28)

社会的弱者に襲い掛かり、ジェンダー性差をあぶりだす 新型コロナの本性(2020/5/25)

新型コロナ 感染経路不明者が減らない理由 〝闇社会〟〝二重就業〟も一因(2020/5/11)

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「中野駅新北口駅前エリア拠点施設整備事業」

 野村不動産を代表事業者とする東急不動産、住友商事、ヒューリック、東日本旅客鉄道は5月12日、中野サンプラザの再整備事業「中野駅新北口駅前エリア拠点施設整備事業」に関する基本協定書を中野区と5月6日に締結したと発表した。

 個人施行予定者として事業に参画し、2022年度末の都市計画決定・2028年度内の竣工を目指す。

 事業地は、JR中野駅北口の中野区中野4 丁目に位置する総面積約23,456㎡で、主要用途はホール、オフィス、住宅、商業、ホテルなど。隣接する約52,000㎡の土地区画整理事業と第一種市街地再開発事業(個人施行)の 一体的施行を予定している。

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 当欄の5月3日付「『屋外でマスク付けていても感染相次ぐ』西村大臣発言 具体的数値・事例示すべき」記事に補足を加え、以下のように修正する。当社のスタッフから参考になるテレビ番組の記事を紹介され読んだからだ。その番組では、屋外でマスクを付けてはいたが、車座になってジュースを飲み、会話を交わして感染した事例が報告されていた。

◇       ◆     ◇

 当初、メディア報道を聞いたとき、歩いていてもつまり空気感染も変異株はありうるのかと思ってしまった。

 出掛けるのは週に1度か2度の取材のほかは、散歩、図書館(現在は貸し出しのみ)くらいで、人と話すのもヤクルトファンの酒屋の親父と「西武どうした」「ヤクルト強いね」(現在、勝率は西武より上)などと一言二言、お互いの傷口に塩をすり込むか、なめあうことくらいしかやっていないので、高齢者&糖尿の記者はよけいに西村発言にショックを受けた。

 「屋外でマスクを付けていても感染する事例が相次いでいる」-屋外でマスクを付けていても、多くの人が車座になり、ジュース(あるいは酒)を飲んで会話するのは危険-というのは誰でもよくわかる。

 大臣はそのような事例を念頭に置いて発言したのだろうと善意に解釈することにしたが、やはり言葉足らずだった。具体例を話すべきだったし、メディアも質問して正確に伝えるべきだった。

 不正確だから誤解を生じる-これが今回の教訓だ。みんなストレスは極に達している。だからこそ政治家もメディアも事実に基づいて情報を発しないといけないということだ。

 もう一つ、今回の西村発言で記者なりに考えたのは、間接的な濃厚接触を徹底して避けることが大事ではないかということだ。

 家庭や職場、学校などでの濃厚接触は避けられない。しかし、これらの場でコロナは自然発生しないし、コウモリ説は根強いが犬や猫、ハエや蚊、肉や野菜などから感染した事例もないはずだ。感染源は間違いなく外にある。外から持ち込まれるコロナを入口で徹底して排除する以外はないということだ。

 昨年の今ごろ、WHOは感染者の1割くらいが無症状と発表したが、最近は3~4割くらいではないかと専門家はいう。自覚症状がないまま多くの人を感染させるというのはやはり怖い。これは変異株との関連もありそうだ。

 このことに関して、皆さんにもう一度注意を促したい。今年1月、都営地下鉄大江戸線の運転手間で39人ものクラスターが発生し、間引き運転をせざるを得なかった事例だ。

 東京新聞は「東京都営地下鉄大江戸線が昨年末から今月11日まで間引き運行した原因となった運転士間の新型コロナウイルスの集団感染が、共同利用する庁舎の洗面所の蛇口経由で広がった可能性が高いことが14日、都交通局への取材で分かった。手をかざすと自動的に水が流れるセンサー式ではなく、手で回すタイプの蛇口だった」と報じた。

 コロナ感染を防ぐための手洗いの蛇口が感染源だったとは。ここに悪魔的で狡猾なコロナの実態が垣間見える。

 これを発展的に考えると、電車などの吊革に触らない、座席に座らない、外ではトイレを使用しない、エレベータに乗らない、ドアは足で蹴る、名刺交換はしない…えっ、皆さんはすでに実践している? 

 記者はタバコがやめられず、アウシュビッツのガス室のような公衆喫煙所をたまに利用するが、これはやめていただきたい。誰もいない公園、路上では吸ってもいいようにしていただきたい。

 飲食はよくて、飲酒はだめと一律に要請するのも訳が分からない。酒が悪いのでは断じてない。飲む人が気を付ければ感染は防げるのではないか。こと細かに条件を付けて緩和措置を取るべきだろうと思う。ホテルの対策は涙が出るほど凄い。

 厚労省は「リスクが高まる5つの場面」の一つに「飲酒を伴う懇親会等」を挙げ、「飲酒の影響で気分が高揚すると同時に注意力が低下する。また、聴覚が鈍麻し、大きな声になりやすい。特に敷居などで区切られている狭い空間に、長時間、大人数が滞在すると、感染リスクが高まる。また、回し飲みや箸などの共用が感染のリスクを高める」としている。

 -まあ、これは身に覚えがある。酒で失敗した例は挙げればきりがない。帰りの電車がなくなるのはいいほうで、キャッチバーにつかまり十数万円の持ち金全部(帰りのタクシー代は勘弁してもらったが)を払わされたこと、街頭で〝女〟を買ってしまったこと、みんなと一緒に夜中の公園で大声を出して歌っていたら警官が駆けつけてきたこと(学生のとき、念のため)、銀座のど真ん中でお尻を出したこと、気が付いたら駅のベンチで寝ていたこと…しかし、飲まざるを得ない酒もある。彼女に捨てられ、一人寂しくやけ酒を飲み、滂沱の涙を流したことだって皆さんもあるはずだ。独りであるいは二人くらいで静かに飲む酒のどこが悪いのか。

 ファシズムは気が付かないうちにわれわれを蝕んでいくと誰かが言った。本当に敵はコロナなのか。

「屋外でマスク付けていても感染相次ぐ」西村大臣発言 具体的数値・事例示すべき(2021/5/3)

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 ひどい世の中になってきたものだ。西村経済再生相は一昨日、「屋外でマスクを付けていても感染が相次いでいる」と発言した。外に出るなということか。宣言前はタバコ2本を吸うためにコーヒー代に1,350円も払って京王プラザを利用したが、今はどこも酒、たばこは禁止。昨日は仕方なく、スーパーで缶ビールを買って、公園ベンチに座り、むき出しでは白い目で見られそうなのでビニール袋に入れて、本を読みながら飲んだ。西武ライオンズは負けが込み、ついに5位転落。取材は7日に2本、11日に1本のみ。

 やることがないから、わが業界紙の最新号を読んだ。これがまたひどい。記者のぼやきなど読みたくないだろうが、ざっと以下の通りだ。

 「住宅新報」の5月4日号Web版。面白そうな記事見出しをチェックした。トップは「春の繁忙期 首都圏賃貸住宅市場 コロナ転機、コア業務に注力 需要変化と顧客対応」だが、記者は賃貸住宅市場に興味はないのでスルー。もっとも興味があるマンション・開発分野は、独自取材によるニュースはなし。

 びっくりしたのは、「野村不HD 21年度売上高、利益とも過去最高 住宅と海外が業績をけん引」の記事だ。同社の2021年3月期はコロナの影響を受け減収減益たったのでフェイクニュースかと思ったら、なんと2022年3月期の予想記事だった。決算数字は遅行指標だから、次期決算予想について書くのは勝手だが、コロナがどうなるかわからない時点でこの種の記事を書くのはいかがなものか(同社は商業、ホテル事業の比率は高くないのは理解できるが)。まず事実から先に報じるべきだ。

 〝羊頭狗肉〟の極めつけは「ニュースが分かる! Q&A エリア別首都圏コンパクトM事情 高額化で供給エリア変動」だった。このところのコンパクトマンションの価格(坪単価)上昇について触れたものだが、自ら足で稼いだ情報(情報源は予想がつく)ではないので、真新しい具体的な動きについてはなにもなし。「先輩」と「後輩」のばかばかしい漫才で終始している。紙がもったいない。

 蛇足ながら、人の財布の中身を探りたいのは小生も同じ。「後輩」の方は足立区の40㎡のマンションを購入したそうだが、北千住はあるかどうか知らないが、坪単価は300万円以上だろうし、他のエリアでも坪280万円以下はありえない。「後輩」の方、貴殿の買ったマンションは3,600万~3,800万円くらいと予想したがどうだろう。記者なら、彼女が出来ても困らないようもっとポテンシャルの高いエリアを選ぶ。大きなお世話か。

 〝なるほど〟と思わせる記事もあった。「GW商戦に向け新商品相次ぐ スキップフロア、ニューノーマル対応を提案 富裕層向けや普及価格の大空間も」だ。セキスイハイムやパナソニックホームズが平屋商品を発売するのは時代のニーズに合っていると思う。大和ハウスの富裕層向け「希(まれ)」は、記者もオンラインで取材したが、同紙の記事はあっさりしたものだったのは意外な気がした。

◇       ◆     ◇

 4月26日付「週刊住宅」は、「水害より地震、物件価格に影響 分譲マンション約9%低下 倒壊への不安、8割以上に タワマン、弱点露呈」などと長ったらしい見出しの記事がトップだ。「災害リスクが分譲マンション価格にどのような影響を及ぼすか考察してみた」とあるので読んだが、中身は全くなし。ニッセイ基礎研究所や東京都の公表データをなぞっただけ。「考察」の使い方を間違っている。あとはプレス・リリースのオンパレード。現時点(5月4日)で5月3日号のWeb版はまだ掲載されていない。

 コロナが猛威を振るっているのに同調するのか、両紙にはそれでも業界紙かといいたい。情けない。独自・現場取材をしなくなったら記者じゃない。かくいう記者は先週、5件の現場取材記事を書いた。読み比べていただきたい。

 ついでに、不動産流通研究所のWeb「R.E.port」について。同紙は評論記事は少ないが、プレス・リリースはもちろん発表会・見学会の模様は過不足なく伝えている。小生の記事よりはるかにまとまっているものも少なくない。購読は無料だし、1週間遅れの新報や週刊住宅より業界の動きがよくわかる。「日刊不動産経済」は購読していないのでよくわからないが、独自取材記事もあるようだ。

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 東京都の5月2日の新型コロナ感染者は879人となり、日曜日の感染者数としては1月24日の986人に次ぐ高い数値を示した(累計感染者数は141,005人、人口比で約1.0%)。変異株の影響か、10代の感染者が激増しているのが特徴で、2~3月では1日平均18人だったのが、4月以降は43人と2.4倍に増加、最近は連日のように60人を突破している。

 4月9日にまん延防止等重点措置が取られてから20日以上、4月25日の緊急事態宣言から1週間経過した。第一波のときは、5月3日(日)に93人と100人を切ってから5月17日(日)には5人まで減少し、7月2日(木)に107人を記録するまで約2か月間は2ケタにとどまっていた。今回の第四波はどのように推移するのか、目が離せない。11日の宣言解除まで8日間しかない。

◇       ◆     ◇

 メディアはこの日(5月2日)、西村康稔経済再生担当相が記者会見で「変異ウイルスの感染力の強さに注意を促し、『屋外でマスクを付けていても感染が確認される事例の報告が相次いでいる』と警戒を呼び掛けた」と報じた。

 記者は、この西村大臣の発言にショックを受けた。確かにゼロリスクはありえない。「杞憂」はもはや死語と化しつつある。車が歩道に突っ込み、時には空からも人や車が降り注ぐこともある。一寸先は闇、何でもありの時代だ。

 だが、しかし、屋外でマスクを付けていても感染する事例が相次いでいるというのは具体的にどのようなケースか、空気感染もありうるのか。

 この西村大臣発言と、厚労省の「新型コロナウイルス感染症と診断された人のうち、他の人に感染させているのは2割以下で、多くの人は他の人に感染させていないと考えられています。このため、感染防護なしに3密(密閉・密集・密接)の環境で多くの人と接するなどによって1人の感染者が何人もの人に感染させてしまうことがなければ、新型コロナウイルス感染症の流行を抑えることができます」(この日本語は分かりづらい=多くの感染者は他人に感染させる率は低いといいながら、すぐ打ち消して、1人の感染者が何人もの人に感染させるとはどういう意味か=新型コロナウイルス感染症の〝いま〟に関する11の知識)とはどこで整合するのか。

 そういえば、菅総理も第三波の緊急事態宣言を発令するとき「経路不明の大半は飲食関係とする専門家の知見がある」と発言した。しかし、「大半」はどの程度なのか説明はなかった。

 具体的数値・知見を示さず「相次ぐ」「大半」を語ったところで、コロナの嘲りに対する反撃にはならない。疑心暗鬼を招くだけだ。

◇       ◆     ◇

 記者がどうしても腑に落ちないのは、改正「特措法」「感染症法」が2月13日に施行され、保健婦を増強し、積極的疫学調査に力を入れているはずなのに一向に感染経路不明率が下がらないことだ。

 都の経路不明率は4月に入ってから5割を切ったのは1度もなく、逆に6割超は11日もあり、1日平均58.4%に達している。〝5割の壁〟は突破できていない。この5割超の不明者のうち「大半」は飲食関係なのか、「屋外でマスク付けていても感染」するのは本当か。

2日は879人 第四波突入 日曜としては1/24以来の高水準 東京都 新型コロナ感染者

 


 

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「YANAKA SOW」

 積水ハウス不動産東京、エアトリステイ、オレンジ・アンド・パートナーズは4月22日、「旅するように暮らす」をテーマにした民泊運用型セカンドハウス「YANAKA SOW」の記者内覧会を行った。積水ハウス不動産東京が都市型ホテル向けとして取得した土地に、劇作家・小山薫堂氏が代表を務めるオレンジ・アンド・パートナーズと世界最大級の旅行コミュニティプラットホーム・Airbnbが共同してプロデュースしたユニークなホテルだ。ホテルは5月1日にオープンする。運営は、Airbnbの公式パートナーのエアトリステイが行う。

 施設は、積水ハウス不動産東京がホテル用として2019年末に取得したJR日暮里駅から徒歩7分、台東区谷中5丁目に位置する、従前は民家だった敷地約120坪の3階建て鉄骨造。

 民泊のスタイルを踏襲したフロントデスクを設けない無人のチェックイン・アウトに、街案内役のスタッフ(YANAKA DIGGER)2人を組み合わせることで、友人宅に泊まりに来たようなくつろげる時間を提供するのが特徴。

 客室は37㎡と47㎡の全13室。ルームチャージは37㎡(定員4名)が1.6万円、47㎡(同6名)が2.0万円。1泊から長期滞在も可能で、共用部には無料で利用できるキッチン・ランドリー・ライブラリーなどを備え、各客室にはキッチン、冷蔵庫などを設置している。

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ラウンジ

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愛とエロスの客室(47㎡)

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「Shunga」

◇       ◆     ◇

 ホテル用地は、インバウンド需要を見込んで取得したのに違いない。まさかのコロナ禍で、当面は苦境を強いられそうだが、記者は、外観・内装デザインもさることながら、「地元の人と旅人の物語を作っていく」-暮らしと旅と紡ぐコンセプトに惚れ込んだ。客室に「もみじ」「かえで」「かつら」など名称を付けるのは和風旅館では当たり前だが、ここは全然違う。全てを紹介する。

 ①愛とエロス②音楽を掘る③街を読み解く④古寺巡礼⑤禅と仏教⑥他者とのつながりを考える⑦茶人の暮らす家⑧東京ストリート⑨東京の風景⑩東京を食べる⑪日本の家⑫日本の色とかたち⑬日本の暮らしの今昔-。

 皆さん、いかがか。いかにもオレンジ・アンド・パートナーズ代表の小山薫堂氏がやりそうなアイデアだ。①~⑬に一つも引っかからない人はまずいない。記者は、①は悩ましいが(小生より若い記者のYさんは卒業だとか)、あまり興味がない②⑤を除いて連泊したい。(他の記者の方は①に全然興味を示さなかったのが不思議。人生は「愛」だ)

 その①には背表紙に「Shunga」と書かれた分厚い和紙で綴じられたような本があった。中を少し覗いた。北斎、英泉、国貞、歌麿などだった。単身者とかファミリーにはどうかと思うが、若いまたは熟年カップルにお勧めだ。本を読みだしたら眠れなくなることを保障(保証か)する。

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土門拳、谷崎の「陰翳礼讃」がある-何のテーマか

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洗面

◇       ◆     ◇

 前段でコンセプトがいいと書いたが、ホテルの「YANAKA SOW」には、住むと泊まるの間を表す「荘」、町に寄り「添う」、地域の「層」を深掘る、という3 つの意味がこめられているという。チェックインから約3時間、YANAKA DIGGERの2人が自らの足で稼いだ街の情報を伝えるというのも頷ける。

 ラウンジには、「大切な人への手紙」「次の旅人ヘの手紙」「YOUR DIG SPOTs」の中から一つを選び、投函する「POST」が設置されている。これをYANAKA DIGGERが開封し、街の人や次の旅人に知らせていくというものだ。

 何でもないことのようだが、この日書いたフージャースコーポレーションの「地域資源と接続する」マンションのコンセプトや、三井不動産が掲げる「残しながら、蘇らせながら、創っていく」再開発のコンセプトとも共通するものがある。

 街を歩くと、この荘・沿う・層にピッタリの資源がたくさんあることが分かる。周囲はほとんど低層の寺だ。その一つ、赤穂浪士の供養塔がある「観音寺」の築地塀は見事だ。文化庁の有形文化財にも指定されている。幸田露伴の居宅跡地もあった。

 取材後、オープン形式の飲食店はないか探したがなかった。仕方なくコンビニで缶ビールを買って、誰一人いない谷中霊園で飲んだ。この日は風が強く、カサカサと卒塔婆が泣いたのにはさすがにいい気持がしなかった。

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「POST」

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現地(左側奥がホテル)

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観音寺の築地塀

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「+SHIFT NOGIZAKA」

 サンフロンティア不動産は4月21日、ワークスタイルデザインブランド「+SHIFT(プラスシフト)」のフラッグシップ新築オフィスビル「+SHIFT NOGIZAKA」のメディア向け内覧会を行った。

 物件は、東京メトロ千代田線乃木坂駅から徒歩1分、港区赤坂8丁目の商業地域に位置する敷地面積約361㎡、13階建て延床面積約1,289㎡。1フロア82.20~133.30㎡(12席~19席)。1フロア11席前後。賃料は平均9万円/席、平均3.5万円/坪。建物は2021 年3月31日に竣工済み。デザイナーは山下泰樹氏。

 付帯設備は高速wi-fi、プリンタ複合機、ホワイトボード、Bluetooth スピーカー、モニター付応接室、冷蔵庫&電子レンジ、プロジェクター付き共用ミーティングルーム(10席)、コーヒーマシン(1階ラウンジ)、無人ミニショップ(1階ラウンジ)など。

 賃料には管理共益費、家具・機材使用料、清掃費(コミュニティーマネージャー)、廃棄物処理費、水道光熱費、wi-fi 通信費、印刷費(インク・トナー/紙代は別途)などが含まれる。

 「+SHIFT」は、同社とデザイナー・山下泰樹氏がコラボレーション。外観デザインは、“根”をモチーフにこれまでのオフィスの概念を超える斬新なものになっているのが特徴。

 床材には無垢材のフローリングを使用。手に触れる部分にはレザーやファブリックをあしらい、五感を刺激する様々な工夫を施している。

 同社執行役員リプランニング事業部長・小田修平氏は、「リプランニング事業は、5年以上前から付加価値の高いセットアップオフィス事業を展開しており、曜日貸しオフィス、Art×Office、5月にオープンする『LIT』など様々なニーズ対応できている。コロナ禍でもしっかり利益を確保している。今回の『+SHIFT』はDRAFTさんとコラボしたもので、デザイン・意匠から内装、インテリア家具、アメニティに至るまで全てDRAFT化した。豊かな世界観が実現できている。建築費は坪215万円で、内装に坪80万円、家具などに坪20万円、合計で坪315万円。この種の賃貸オフィスでは日本一お金をかけているのではないか。坪3.5万円の賃料は相場の坪2.5万円より高いが、いいものには対価を払うテナントが増えている」と語った。

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1階ラウンジ

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プライベートガーデン付きの2階フロア

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トイレサイン

◇       ◆     ◇

 写真を見ていただきたい。外観がとてもユニークで、東京モード学園か池袋ダイヤゲートを連想させる。立地も最高。乃木坂駅から徒歩1分、乃木神社・公園に隣接。東京ミッドタウン、隈研吾氏がデザイン監修した全197戸が億ションの「パークコート赤坂檜町ザ タワー」も徒歩圏。よくぞこんな好立地の土地を仕入れられたものだ。

 外観だけではなく、内装も床は無垢のフローリング、本革の収納扉・手すり、お洒落なトイレサイン…細かなところにもこだわりを施しており、「+SHIFT」をフラッグシップにする意気込みも感じられる。共用施設も充実している。

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2階プライベートガーデン(正面の巨木は乃木神社の港区保存樹に指定されているシイノキ)

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13階のルーフトップガーデン

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左から「+SHIFT NOGIZAKA」、「パークコート赤坂檜町ザ タワー」、「東京ミッドタウン(乃木神社から望む)

社員の「快適性」と「健康」追求 意欲的な商品企画「秋葉原」竣工 サンフロ不(2021/1/18)

〝日本初 全てがアート〟 サンフロンティア不 シェアオフィス「A YOTSUYA」(2020/11/28)

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「関西 住まいの夢工場」

 積水ハウスは4月20日、京都府木津川市にある総合住生活研究の「関西 住まいの夢工場」に新設したライフスタイル型モデルハウス「みんなの暮らし 4stories」の記者発表会・内覧会を行った。モデルハウスは4月29日にオープンする。

 「みんなの暮らし 4stories」は、理想の住まいを説明的に伝える従来型のモデルハウスから脱却し、人が本当に住んでいるかのようなリアルな生活・暮らしを提案することで「共感」を呼ぶことをコンセプトにしている。

 今回新たにオープンするモデルハウスは、二世帯向けの「高橋さんち。」、自分と家族の「王国」を築く富裕層向けの「財前さんち。」、アクティブシニア向けの「山本さんち。」、子育て&共働き世帯向けの「小林さんち。」の4棟。

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積水ハウス執行役員総合住生活研究所長・野間賢氏(左)と河崎氏(記者はこの日の河崎氏の衣服について、小さい画像しか見えなかったが「春爛漫にふさわしい淡黄蘗(うすきはだ)」と表現した。河崎さん、間違っていませんよね)

◇       ◆     ◇

 同社から取材の案内が届いたとき、小説の舞台にもたびたび登場する木津川を観たいものだと参加も考えたが、ライフスタイル型モデルハウスは昨年8月に「関東 住まいの夢工場」で見学しており、コロナ禍で交通費と時間をかける価値とを天秤にかけて断念した。ところが、発表会の数日前に、オンラインでも参加を受け付けるとのメールが届いたので参加した。

 ただ、この日(4月20日)、記者はスウェーデンハウスの「世界初の機能を搭載したオンライン住宅展示場システム発表会」にリアルで参加することも決めていたので、積水ハウスのオンライン見学会は途中で退席した。その際、以下のような率直な感想をチャットで送った。

 「河崎さん(この日、施設の説明を行った同社執行役員住生活研究所長・河崎由美子氏)は『共感』と仰いました。わたしは、モデルハウスに使用されている床材、壁材、建具家具などの素材がなんであるか、天井の高さや階段の広さなどを具体的に伝え、空気感が感じられるような語り、演出も必要だと感じます。

 これは御社だけでなく、オンライン説明会はやや説明が過ぎるというのが率直な感想です。一番良かったのは『樟の一枚板』でした。クスノキの香りを伝えればもっとよかったし、『豪華』というのは『美しい花』と一緒。『目も彩な』というようにどのように豪華なのか伝えるべき。古河の見学会での『小林さんち。』を説明された方は最高によかった」と。

 このチャットは少し補足する必要がある。「御社だけでなく」としたのは、あるデベロッパーのオンラインでのマンションプロジェクト発表会を視聴したときも同じような感想を抱いた。今回の発表会は「(同社)広報室社員の携帯端末からの簡易配信のため、音声・映像などの乱れなど閲覧しづらい部分もあるかと思いますが」ということを割り引いても、「4stories」のよさを伝えきれていないと感じた。一方通行のオンラインの課題だろう。

 「一番良かったのは『樟の一枚板』」とも書いたが、これは「豪華」なバーカウンターを担当者が紹介したものだ。これは分かる人には分かるだろうが、その豪華さをどこまで伝えられたか疑問だ。

 「目も彩な」は、同社が2018年に「住生活研究所」を設立し、その発表会を行ったとき、河崎由美子所長の衣服に記者は感動を覚え、次のように書いた。「この日の河崎氏が着ていた洋服がまた目もあやな、えもいえぬ『赤』だった。本人に聞いたら『タイシルクです。70代の母が着ていたワンピースをツーピースに仕立て直したものです。〝幸せ〟の継承です』と語った」

 ここで「河崎氏が美しい」と書いていたら、ご本人も含め顰蹙ものだったに違いない。

 「古河の見学会での『小林さんち。』」は、添付した記事を読んでいただきたい。説明したのは住生活研究所課長・木野村昭彦氏(41=当時)だった。木野村氏は最初に「リアルを表現した」と短い言葉で特徴を言い切り、自らの子育て・共働きをリアルに語った。

 そんな経験をしているのでチャットで注文を付けた。

 ただ、素晴らしい説明もあった。「山本さんち。」で担当者の方は、敷地に植わっている、「山本さん」が植えたアカマツについて「アカマツの葉っぱ(二葉松)は、枯れても離れずにくっついている」という主旨の説明をした。熟年夫婦をアカマツの枯葉に例えるこうした意表を突く言葉にみんな共感を覚える。別れたくてしょうがない妻、あるいは夫もドキリとするはずだ。

 とりとめないことを書いた。この続きはスウェーデンハウスの記事で書く。積水ハウスが伝えられなかったものをスウェーデンハウスは伝えた。

従来の総花的提案から脱却 積水ハウス ライフスタイル型モデル「7stories」開設(2020/8/27)

〝幸せ(人間愛)〟のさらなる追求に期待 積水ハウスがわが国初の「幸せ」研究所(2018/7/27)

カテゴリ: 2021年度

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湘南ステーションビル「ラスカ平塚」のアートギャラリートイレ(全て同社提供)

 湘南ステーションビルの「ラスカ平塚」のトイレを見学した。噂にたがわぬ素晴らしいトイレであることを確認することができた。「トイレは経営の問題」という哲学の一端を垣間見る思いがした。

 最初に見学した「ラスカ平塚」のトイレは、1階と2階の階段室の中央にある男性用トイレだった。間口は優に10mを超えていた。しかも、壁面は直線ではなく、湘南の海の波をモチーフにしたのか緩やかなウェーブが掛かっており、本物の木枠や真鍮製のキャビン窓があしらわれていた。内部も木調デザインで統一されていた。

 一定の条件を満たす人でないと利用できない女性用の2階と3階の階段室中央にある「マーメイドルーム」は見学できなかったが、これは〝トイレ〟の概念を超えるものであるのは間違いない。カード鍵付きなので一人しか利用できないようになっており、便器は1ブースしかない。その代わりウォーターサーバー、コーヒーメーカー、化粧品、フィッティングルームなどが備わっており、トイレというより多目的に利用できる休憩室(レストルーム)そのものだ。

 もう一つ、素晴らしいコンセプトのトイレも3階にあった。2014年から実施しているもので、市内にある東海大教養学部芸術科学科デザイン学課程と提携し、年2回、学生の作品をトイレに掲出している。作品は学生の学課の評価基準にもなっているという。小便器、大便器含め男性用トイレには10作品以上掲げられていた。みんな素晴らしいものばかりだった(女性用もほぼ同様のようだ)。2階のベビールームも初めて見た。

 掃除などメンテナンスを担当する人も、女性は「マーメイドスタッフ」、男性は「ポセイドンスタッフ」と呼ばれ、専用のユニフォーム姿だった。

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これがトイレか まさにアートギャラリー出入口

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会員制パウダールーム

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会員制パウダールーム

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会員制パウダールーム

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 「湘南ステーションビル」のトイレの取り組みは、日本トイレ協会会長・小林純子氏編著「心に響く空間―深呼吸するトイレ」(弘文堂、設計事務所ゴンドラとの共著)で詳しく書かれている。元湘南ステーションビル社長で交通道徳協会会長・室賀實氏と、同社元専務・佐竹明雄氏の対談だ。少し長いが紹介する。

 室賀氏が社長に就任したのは平成2年。当時、経理部課長代理だった佐竹氏は、「当時の駅ビルは平塚に限らず、国鉄・JRの退職者の受け皿みたいな位置づけでしたから、男性社員は隠居後の仕事として割り切っていましたし、女性社員にいたっては電話番か来客のお茶出しをするだけで、あくまで男性社員の補助でした。社風は極めて保守的で前例踏襲を金科玉条としていて、職場は沈滞ムード一色でしたね」と語っている。

 その沈滞ムードを吹き払うプロジェクトとして、室賀社長は平成3年4月、「CBF」(Conductors for the Best Future=最良の未来を導く人々)を立ち上げ、佐竹氏を事務局長に据えた。メンバーは、入社したばかりの社員を含めることを条件に男女同数、所属する部署、地位・性別に関係なく編成した。

 CBFで出た提案は全て経営会議で議論された。もっとも多く出たのがトイレに関する提案だった。そこで、女性社員に限ってトイレの勉強をする有志を公募。総務部、経理部、事業部、営業部の各部から編成された4名のトイレ研究グループWC(ワンダフルクラブ)が誕生した。メンバーは全国のトイレ約40か所を視察し、5点満点で採点したところ、ラスカは2.7点にしかならなかったという。

 その後、改革を進め、前段で紹介したようなトイレ整備を行った。清掃員の呼称も〝おばあちゃん〟から前段の「マーメイドスタッフ」「ポセイドンスタッフ」に改めた。士気の向上につながった。効果はてきめんで、売り上げ増にも寄与したようだ。

 現在まで社長は何度も交代したが、今でもWCは継続して活動しているという。

 会員制の「マーメイドルーム」は他の商業施設などにも影響を与え、渋谷ヒカリエにも同様の施設があるようだ。

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女子用トイレ

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ベビールーム(授乳室もあった)

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カテゴリ: 2021年度
 

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