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「リーフィア南大沢ガーデンズ」完成予想図

 小田急不動産は3月1日、多摩ニュータウン内の大規模戸建て分譲地「リーフィア南大沢ガーデンズ」の特設サイトを開設した。

 物件は、京王相模原線多摩境駅から徒歩16分、八王子市鑓水2 丁目に位置する総開発面積5.2ha、全185区画。第1期(戸数未定)の敷地面積は171.59~208.47㎡、建物面積は94.33~113.86㎡。施工は小田急ハウジング・細田工務店。

 ①各分野の専門家の粋を集めた街づくり②充実の「3rd  Place」③敷地面積50坪超、先進の設備を全戸標準装備-などが特徴。

◇       ◆     ◇

 同社の戸建てはたくさん見てきた。他社の都市型戸建てと比較して相対的に敷地面積が広く、植栽が豊かなのが特徴だった。

 ここ10年くらい途絶えてしまった。検索したら〝リーフィア〟シリーズ第一弾の「栗平」と「片平」がヒットした。好調なスタートを切ったことで、案内役を買ってくれた女性がとても嬉しそうだったのを思い出した。

 モデルハウスの公開はもっと先だろうが、必ず見学してレポートしたい。京王相模原線は競合も多い。どのような商品企画になるのか。

小田急不動産の新ブランド〝リーフィア〟好調スタート(2008/7/23)

カテゴリ: 2018年度

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「グランフォーラム青葉台一丁目」

 コスモスイニシアが明後日(2月17日)抽選分譲する戸建て「グランフォーラム青葉台一丁目」を見学した。徒歩4分圏内では過去20年供給事例がない田園都市線青葉台駅圏の全11区画で、敷地南側はサクラがきれいな公園に立地。その得難い土地の価値を最大限に引き出した商品企画が、同業他社をはねのけ事業コンペで選ばれた。価格は1億円前後の高額だが、販売担当は「即日完売の可能性もある」と手応えを感じている。

 物件は、田園都市線青葉台駅北口から徒歩4分、横浜市青葉区青葉台一丁目の第一種低層住居専用地域(建ぺい率40%、容積率80%)に位置する全11区画。第1期1次(8棟)の土地面積は125.00~138.88㎡、延床面積は97.66~117.67㎡、価格は8,990万~12,500万円。登録受付は2月16日(土)~2月17日(日)、抽選日は2月17日。入居予定は3月下旬。施工は東急建設。構造・工法は木造(枠組壁)2階建て。事業主は同社のほか中日本高速道路。

 現地は、中日本高速道路の社宅跡地。同社が跡地利用に関する事業コンペを行い、大手デベロッパー数社が応札した結果、同社の「収益性よりも土地の価値を最大化した商品企画」が選ばれた。敷地南側はサクラやケヤキなどが植わっている青葉台公園。坂が多い同駅圏の北口にあって駅が近く、比較的坂も少ないエリアの一角。

 全体敷地は三方道路の角地で、街区全体を公園側、中央、北道路側に分けてプランニング。片流れタイプ、リビング天井高を高くし、色彩豊かな植栽、自然石舗装、電線の地中化などが特徴。

 サクラが目の前にある南側住戸(4戸)は天井高約5m(一部除く)の2階リビングとし、バルコニーもフラット化している。中央の住戸(3棟)は、南側の建物を南側によせ、幅員約5mの私道と駐車スペースを巧みに生かすことでコモンスペースのような開放感のある構成としている。北道路住戸(4棟)は建物を北側に寄せることでその南側の住棟との間隔を広げ、日照・通風・開放感を確保している。

 主な設備仕様は、木目調フローリング、浮造り調建具・家具、フィオレストーン天板、食洗機、ミストサウナ、Low-Eガラス、防犯合わせガラス、メーターモジュール廊下・玄関など。

 プロジェクトマネージャーの販売担当の同社分譲事業部分譲二部二課・木村健太氏は、「来場は5週で80組。今後の展開を見据え、今回から植栽に力を入れ、木の素材感のある木目調や浮造り、新素材の壁材(エコカラットの倍の価格とか)を多用しているが、お客さまには概ね理解を得ており、『15,000万円くらいでもいいから土地を60坪くらいにしてほしかった』というお客さまもいらっしゃるほど、全体的にはすこぶるいい反応を頂いている。売りづらい住戸がないので、即日完売もありうる」と話していた。

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高さ約5mのリビング天井

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 書こうと思えばいくらでも書けるのだが、時間がない。価格予想はどんぴしゃりだった。現地は、マンションの取材などでおおよその検討はついていたが、まさか公園に隣接しているとは全然思わなかった。だが、しかし、瞬時に1億円くらいだと読んだ。そして、公園に面した住戸は1億2,000万円くらいでないかと尋ねたらほぼ当たった。人気になるのは当然。同駅圏には信じられないようなお金持ちがたくさんいる。

 そんなことより言いたいのは、極めて優れた商品企画が事業者でもある中日本高速道路に評価されたことだ。落札できなかったデベロッパーは地団太を踏んでいるかもしれないが、いま同社の戸建てに勝てるところはないのではないか。

 マンションも戸建てもアパートも不祥事が後を絶たないが、企業も地主もオーナーも、儲かればいいというカネの亡者ではなく、中長期的な視点でものごとを考え、街の資産となるような建物を建てるべきだ。

 今回の商品企画では、間違いなくこの土地の価値を最大限に引き出しいる。見事というほかない。昨年見学した同社の「グランフォーラム田園調布本町 桜坂」もそうだったが、戸数を増やそうと思えば増やせたのに、同社は街並みを大切するためにあえて減らした。売却した地主だって、人気になって嬉しくないはずはない。

 国土交通省はESGやSDGsに沿った投資環境整備へ向けた「ESG不動産投資のあり方検討会」を立ち上げ、初会合も開いた。地域の環境に配慮した持続可能な開発事業がきちんと評価される世の中になってほしい。

 小生は、男か女か年齢も素性も明らかにしないのは卑怯だと思っているのだが、なぜか人気のチコちゃんに「ボーっと生きてんじゃねーよ!」と叱られないように記事を書いているつもりだ。この記事は(この記事も)多くのデベロッパーの方々に読んで頂きたい。

 ちょっと同社を褒めすぎたか。注文を付けるとすれば、設備仕様はもっとあげられる。1億円以上であれば、仕様レベルを上げ価格をもっと上げても売れると記者は見ている。

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玄関

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主寝室

一頭地を抜く コスモスイニシアの都市型戸建て「田園調布 桜坂」「成城」(2018/4/20)

コスモスイニシア 分譲戸建て「成城学園前」2億円前後の4戸完売(2018/5/10)

価格に見合う価値あり コスモスイニシア「グランフォーラム石神井公園」(2017/12/3)

カテゴリ: 2018年度

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「浦和美園E-フォレスト コネクテッドサイト」モデルハウス

 ポラスグループ中央住宅は2月7日、さいたま市に指定されている「次世代自動車・スマートエネルギー特区」の第二弾で、わが国初のDGRによる「次世代型電力コミュニティ」実証実験を行う「浦和美園E-フォレスト コネクテッドサイト」の記者見学会を行った。

 物件は、埼玉高速鉄道浦和美園駅から徒歩5 分、さいたま都市計画事業浦和東部第一特定区画整理事業57街区他の保留地に位置する全45棟(同社が33棟、高砂建設が8棟、アキュラホームが4棟)。同社の第1期1次(14棟)・第1期2次(4棟)の敷地面積は150.00~184.51㎡、建物面積は95.43~111.58㎡、価格は4,780万~5,680万円。建物は在来工法2階建て。

 1月下旬に第1期18戸を供給、駅に近く質が高い割に価格が抑制されていることから人気を呼び、13棟が成約済み。好調なスタートを切った。来場者数は257組。第2期15棟は4月に分譲する予定。

 特区事業は、埼玉県住まいづくり協議会会員3社の共同提案がコンペで選定されたもの。2016年分譲の第一弾「浦和美園 E-フォレスト」(同社は21棟、全体で33棟)は約半年で完売した。

 太陽光発電、ハイブリッド給湯・暖房システム、Low-Eガラス、HEMSなど先進の省エネ・創エネ設備を搭載。ニアリーZEH(ZEH率75%)を達成し、UA値0.46以下とすることで、冬季に暖房を使わなくても室温が概ね15°Cを保つ設計となっているのが特徴。

 今回はさらに、環境省の実証事業としてわが国初の電力融通と電力識別を自動で行うシステムDGR(デジタルグリッドルータ)を5棟(同社は3棟)に搭載する。

 実証事業は、デジタルグリッド社が代表として行うもので、イオンモール浦和美園内に設置する太陽光発電と分譲地内の5棟に設置される太陽光発電と蓄電池、浦和美園のイオン系コンビニ5店舗との間で電力の融通実証を行い、仮想的な取引市場を構築する。9年間データを蓄積し、その後は無償譲渡される。

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モデルハウス「アートの家」

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モデルハウス「スタジオハウス」

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モデルハウス「森の家」

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 戸建ての基本性能・設備仕様などは添付した「浦和美園 E-フォレスト」の記事を読んでいただきたい。現時点で最高レベルの分譲戸建てだと思う。好調なスタートを切ったのは当然だ。来場者の約26%が都内居住者というのも、第一弾の購入者の声を反映させ、地元パン屋さんと連携したカフェ、ワークショップなどの活動の成果だろう。

 細かいことだが、全ての開き戸にソフトクローズ機能が付いていたことに驚いた。これは、先に取材した同社の「氷川台」でそうなっていたのに感動したのだが、関係者によると数年前から1,000棟規模で採用しているとのことだった。同社の戸建ては数えきれないほど見学しているのに、言われるまで全く気が付かなかった。

 なぜか。引き戸についてはソフトクローズかどうかを必ずと言っていいほどチェックする。そうなっていないものも多いからだ。一方、開き戸はそうなっていないと思い込んでいたので、チェックする必要などなかったからだ。これまでの同社の見学会でもそれを強調する担当者はいなかった(はず)。このことを企画担当者に話したら、他社はその機能が付いていないことを知らない人もいた。

 なにを言いたいかといえば、優れているとか劣っているとかは、基準があって初めて判断できる。判断基準を持たなければ消費者に利点も欠点も伝えられない。われわれ記者も同じだ。いいか悪いかの見る目を養わなければ、それこそ群盲象を評す、木を見て森を見ずだ。小生はこの数年間、何を見てきたのだろう。

 今回公開したモデルハウスは、意匠性と使いやすさを両立させたTJMキッチンを採用した「スタジオハウス」、シルキーウッドをキッチンの天井に配した「森の家」、セメントの質感と暖かみが感じられるSOLIDO壁やシナ合板を天井に配した「アートの家」の3棟。

 ひとつ付け加えておく。この戸建てには洗面所にも暖房機がついている(17.3度以下に下がらないのであれば付ける必要もないような気がするが)。さらに一言。キッチンにも都心の高級戸建て並みに床暖房機能を付けたら、みんな目を見張り、息を止めるのではなく飲むはずだ。

 価格が低く抑えられているのは、「浦和美園」のポテンシャルの反映だ。これ以上書かない。

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自然石のピンコロ舗道(電線を地中化、敷地の一部に地役権を設定し、コモンスペースとしているのも特徴)

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 DGRについて。あらゆるものが周波数や数値に置き換えられ処理されたり伝達されたりされているのは常識なのだろうが、記者はちんぷんかんぷんだった。電力融通を行い、仮想取引が行われるようになれば、売り買いが交錯し株価のように乱高下するのか、あるいは平準化されるのか。

 デジタルグリッド社企画部長・松井英章氏は「環境価値を可視化する」と語った。電気やガスだけでなく水やごみ、ガソリン代などあらゆる消費をCO2排出量に換算し、地球温暖化防止に役立つシステムの構築を目指してほしい。

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蓄電池(手前)とDGR(スペースは幅約2m、奥行き約75cm、高さ約1.2m)

ポラス 浦和レッズレディース選手が「ONE LINKカフェ」でワークショップ(2018/7/30)

どこにも負けない先進の街づくり「浦和美園E-フォレスト」竣工 街びらき(2017/3/27)

この冬一番の寒さの中 世界水準のUA値0.46を体感 「浦和美園E-フォレスト」(2016/12/17)

ポラス 分譲戸建て「氷川台」 開き戸全てがソフトクローズ機能付き エコな暖炉も搭載(2019/1/24)

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「ファインコート茗荷谷」

三井不動産レジデンシャルの都市型戸建て「ファインコート茗荷谷」を見学した。20年超の歴史を持つ「ファインコート」の中で山手線の内側は初めて。同社は早期完売を狙っている。

物件は、東京メトロ丸ノ内線茗荷谷駅から徒歩11分・都営地下鉄三田線千石駅 から徒歩10分、文京区千石2丁目の第一種低層住居専用地域(建ペイ率60%・容積率150%)に位置する全7戸。土地面積は95.02㎡(他に私道負担1.18㎡)~115.57㎡(他に私道負担0.83㎡)、建物面積94.59125.31㎡、予定価格は11,500万円~1億5,800万円。入居予定は20194月下旬。構造・階数は木造2×4工法2階建て。施工は東急建設。

現地は標高21mの第一種低層住居専用地域。茗荷谷駅からだとアップダウンの激しい高台だが、千石駅からだとほぼフラット。

建物は、小石川植物園・六義園などの日本庭園との繋がりを意識した「和」テイストのデザインで、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)レベルの断熱性能を有し、リビング天井高は約27003000ミリ、フィオレストーンキッチン天板、食洗機、アルミ樹脂サッシ、LowEガラス、エネファーム、タオルウォーマー、リビング・キッチン床暖房、洗面室暖房機付きなどが特徴。

同社地域開発事業部営業室主管・坪井清治氏は、「文京区にわずか10%しかない第一種低層住居専用地域。茗荷谷駅からだと坂がありますが、千石駅からだとほぼフラット。(モデルハウスの)玄関に皆さん驚かれる。最高価格住戸にも希望が入っている」と販売に自信を見せていた。販売開始は2月下旬。

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すぐそばに「明治天皇行幸記念碑」

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山手線内初のファインコートという触れ込みだったのでものすごく興味があった。茗荷谷駅から向かった。途中には野村不動産「プラウド小石川」、住友不動産「インペリアルガーデン」がある。価格は間違いなく1億円以上だ。しかし、後で知ったのだが標高21mの坂は相当きつい。下って上って。誰が買うのかと悪態も口に出た。

 ところが、現地に着いてびっくり。すぐそばに「明治天皇行幸記念碑」があるではないか。そしてモデルハウスを見て〝誰が買うのか〟の疑問はどこかに消し飛んだ。巧みな〝魅せ方〟に圧倒された。

 玄関を入ってすぐ天井高約3mある大きなリビング空間が広がる。リビングドアは両開きの引き戸で、開け広げると幅は約1.6m。このような圧倒的な空間を提案した都市型戸建ては他にないはずだ。タオルウォーマーが浴室に付いているのもいい。座って化粧できる洗面スペースを提案しているのも人気とか。

 20年以上も「ファインコート」を分譲してきた同社だからこそできる企画だと再確認した。来場者が驚くのも当然だ。

 逆に言えば、三井ですらここまでやる。ランド力で劣る同業が三井を越えないと絶対に勝てない。

 山手線内初の物件では、この「茗荷谷」と2月中旬に分譲する「ファインコート新大塚」5戸がある。「新大塚」は敷地が20坪の3階建てだが、こちらも手応えは十分という。

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エントランス&ホール

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リビング

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タオルウォーマー(左)と洗面室

第一種低層の外観が美しい 住友不動産「インペリアルガーデン」竣工(2015/3/19

「まだ間に合う」 借景が見事な野村不動産「プラウド小石川」(2015/5/25

カテゴリ: 2018年度

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「Mode Fines(モードフィネス)氷川台」

 ポラスグループ中央住宅マインドスクェア事業部が近く分譲する戸建て「Mode Fines(モードフィネス)氷川台」を見学した。暖炉を設置し、開き戸を全てソフトクローズ付きとしているのが特徴だ。

 現地は、都営三田線氷川台駅から徒歩12分、練馬区氷川台2丁目の第一種低層住居専用地域(建ぺい率60%、容積率200%)に位置する1棟現場。保育園、小学校に近接し、敷地は6m道路の南西角地で、南道路の間口は12m。

 土地面積は約116㎡、建物面積約115㎡。価格は未定だが9,000万円台の前半になる模様。建物は2階建て2×6構造。

 住戸プランは、間口が広いことから約17.6畳大のリビング・ダイニングの上部を吹き抜けとし、自然採光を取り込み、6畳大の小上がり和室り床下に大型収納を設け、2階には約8.2畳大の主寝室の隣に2畳大以上の書斎や約5畳大のロフトを設置している。

 設備仕様では、リビングには燃料にバイオエタノールを使用するエコな暖炉を設置しているほか、開き戸・引き戸の全てをソフトクローズ機能付きとしている。

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リビング(奥に暖炉、その奥に小上がりの和室)

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 現地を見るまでどのような物件なのか全然知らなかった。道すがら価格を予想もした。最初にはじいた価格は9,000万円だが、同社はもっと安くするはずだと考え、8,000万円台の半ばでないかと最終的に判断した。

 現地に着き外観を見て、すぐ9,000万円台に上方修正した。敷地条件が恵まれていたからだ。価格予想は当たり。ぴったりだった。

 暖炉がいい。記者は心を静めてくれるあの〝ゆらぎ〟と、ときにぱちぱちとはじくおとがよく、対流熱で家全体を温めてくれる薪ストーブが好きではあるが、100万円も200万円もするストーブを付けて薪を調達し、灰を捨てる作業などを考えると設置しない人が多いと考えている。

 だから、ハウスメーカーもデベロッパーもフェイクの暖炉を設置する。しかし、これは夏場は具合が悪い。あるたけで暑苦しくなる。

 同社はその難点をほぼ解消した。オーストラリア製で、バイオエタノールを燃料に採用しているので、ほとんど無臭で煤も出ないので煙突はいらず、灰の処理もしなくて済む。薪と比べ〝ゆらぎ〟はやや小さく、はぜる音もしないのが物足りないが、夏場はアート、オブジェを飾れる。なかなかのスグレモノだ。周りの造作なども含めて約100万円だそうだ。

 〝ほぼ解消〟と書いたのは完ぺきとは言えないからだ。燃料代は純正のものを使っているので10リットル入り5,000円。9リットル入り容器を満タンにして1日13時間点けっぱなしにすると月15万円だ。

 建物の断熱性能はUA値0.6以下だから、そんなに使用しなくても建物全体が温かくなり、消しても室温は17度くらいにしか下がらないだろうが、これはちょっと高い。お金持ちしか買えない。だから設置したのだろうが…。

 もう一つびっくりしたのは、トイレも含めて開き戸を全てソフトクローズ機能付きにしたことだ。これはすごい。〝バタン〟から解放される。

 記者はすっかり忘れていたのだが、この住宅の設計担当者・山口太郎氏にかつて「開き戸をソフトクローズ機能付きにできないか」と話したようだ。山口氏はそれを忘れず、今回の住宅で実現した。

 分譲戸建ての開き戸にソフトクローズ機能を付けたのは同社が初めてではないか(他にあったらごめんなさい)。マンションではアパが採用したことがある。

 記者はエディット・ピアフの「パダン パダン」が大好きだが…そのうちにドアの「バタン」が消える…やや寂しい。

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暖炉(薪ストーブのゆらぎとは明らかに異なる)

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「xevo Gran Wood都市暮らし森が家コンセプトモデル(森が家)」

 大和ハウス工業は1月17日、予防医学研究者の石川善樹氏とのコラボレーションで実現した人生100年を見据えた「都市ストレスから解放する」木造3階建てモデルハウス「xevo Gran Wood都市暮らし森が家コンセプトモデル(森が家)」を1月19日に「品川シーサイド展示場」でオープンすると発表した。

 人生100年時代を迎え、心身ともに健やかな暮らしを営むためには「都市ストレスからの解放」がカギと考え、予防医学研究者の石川善樹氏の知見を得て、森の香りや音、植栽、火のゆらぎなど「五感のゆらぎ」「人とのつながり」を盛り込んだ商品。

 開発・販売開始に至った背景について、同社上席執行役員・林直樹氏は都市部では3階建てが増加し、年代別では若年層より50歳以上の人が建てる比率が高いことに着目したと話し、「省エネ性・耐震性・耐久性すべて含め進化させたシステムを導入する。今年は東日本が対象だが、来年からは全国営業所で展開する」と語った。

 石川氏は、「都市ストレス」は造語であることを断ったうえで、「森が家」には都市住宅では得られない「五感のゆらぎ」を再現し、都市が与える心身のストレスを解放した結果、ストレス度、インタレス度、認知テストの実証実験でも効果が得られたと話した。

 モデルハウスは、3階建て延床面積約312㎡。1階は落ち着きのあるダークのカラーリングが基調の「森の入り口」。アロマや自然の音が演出されている。2階は天井高約2.6mのリビング中央に暖炉(フェイク)が据えられており、3面に広がる最大奥行き2mのワイドバルコニー・オープンエアリビング・ダイニングの「森の隠れ家」。3階はチーク材のへリーボーン仕上げの寝室とワイドバルコニーがある「森の寝室」。グーグルホームも置かれていた。

 当面は東日本の富裕層をターゲットにするが、来春からは全国販売する。モデルハウス仕様の価格は坪120~130万円。

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石川氏(左)と林氏

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モデルハウス 1階

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モデルハウス 2階

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モデルハウス 3階

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 とても面白い発表会だった。記者は三重の田舎の薪炭・囲炉裏・焚火が日常だった自然の中で生まれ育ったから、石川氏から森の効能を聞かなくても「森が家」がいいのはよくわかる。

 嬉しかったのは、タバコ、酒、運動不足、メタボなど健康長寿を阻害する要因を語ったうえで、石川氏は「孤独はタバコより悪い」と言い切ったことだ。

 「孤独」とは、石川氏はそのように語ったわけではないが、つまるところは〝社畜〟なる言葉で象徴されるように社会から隔絶され、家でも職場でも狭い箱の中に閉じ込められ、他人との会話(私語)も遮断され、太陽がどこから昇りどこに沈むのかの確認もできず、満天の星を観察できない不夜城の、さらにまたどうでもいい戦争ごっこに国民を巻き込み不安をあおり、限られた自分自身の時間をスマホゲームで空費させる都市環境・生活が人の健康にいい影響を与えるわけがないということだ。「個」は「孤」の同義語だ。

 社会はタバコの弊害をまき散らしているが、その前に「孤独」からどうして解放するか考えたほうがいい。

 石川氏はもう一つ面白い話をした。記者はここ数年、モデルルームやモデルハウスのフェイク(造花)をやめよとしつこく書いてきた。今回公開された「森が家」には1本の造花も置かれていなかった。数えなかったが数十鉢の本物の観葉植物・低木が植えられていた。

 そこで、石川氏に「フェイクでもいいのか」と質問した。石川氏はやや考えた末、「分からない。フェイクを超える緑のフェイクが現れるかもしれない。設置した暖炉はフェイクだが、これは間違いなく効果がある」と答えた。

 「フェイクを超える緑のフェイク」はひょっとしたら実現するかもしれないので深入りしないが、フェイクの暖炉は効果があるのは理解できる。

 記者は実際の暖炉を経験したこともあるし、夜中に静かな音楽を流しながら暖炉のゆらぎを静かな音楽とともに放映していたテレビに魅入ったことがある。先に書いたようにエネルギー革命が起きる昭和40年代までは薪炭の環境で育った。父親が灰に書く字で漢字の書き順を覚えたし、焚火で田舎の経済を学んだ。

 残念なのは、今回の「森が家」はモデルハウス仕様で坪120~130万円もし、土地持ちでない限り普通のファミリーには手が届かないということだ。仮にお金があって建てられたとしても、あの鉢の数からして旅行など自宅を留守にするときはどうするのだろうと考え込んでしまった。水遣りロボットは開発されるのか。

 もう一つ。参考までに。同社がオープンする「品川シーサイド展示場」の隣接地では積水ハウス「グランドメゾン品川シーサイドの杜」が分譲されている。〝5本の樹計画〟をモデルルームにも再現している。よく売れているのはその圧倒的な緑も要因だと記者は考えている。

 三菱地所ホームのtvkハウジングプラザ横浜内のモデルハウス「ONE ORDER(ワンオーダー)」と、浜田山ホームギャラリーの「ボタニカル リラクゼーション」も必見だし、昨年書いた「1週間に5件 全て売れ行き好調 マンション・戸建ての販売現場に本物の生花・観葉植物」の記事も読んでいただきたい。

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フェイクを超えるか? コスモスイニシア・豊田通商「イニシア高輪プレシアスコート」のモデルに採用されているアーティフィシャル・フラワー(花器はカキの殻で造ったもの)

1週間に5件 全て売れ行き好調 マンション・戸建ての販売現場に本物の生花・観葉植物(2018/4/19) 

三菱地所ホーム 家の中に自然の中低木 最新モデルハウス「ONE ORDER」横浜に開設(2017/10/20)

ボタニカルが最高4つの商品・開発を発表 三菱地所ホーム(2018/5/30)

呉越同舟効果 「5本の樹計画」の本領発揮 積水「品川シーサイド」1期207戸!(2017/3/24)

 

 

 

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パワーホーム 街かどモデルハウス 港北ニュータウン

 ナイスは1月12日、DIWKS(ダブル・インカム・ウィズ・キッズ)にパーフェクトな家を提案する「DIWKS PARFAIT(デュークスパフェ)」コンセプトモデルハウスを報道陣に公開した。

 横浜市都筑区荏田南3丁目の「パワーホーム荏田南ガーデンズ」内に建設したもので、土地面積約168㎡、延べ床面積約112㎡、価格は2,400万円台(坪72万円)。建物は、長期優良住宅基準を超える高耐震、高断熱が特徴の「パワーホーム」で、平屋建てにプラスαの住空間メザニンを設けたタイプ(建基法では2階建て)。

 「DIWKS PARFAIT」は、「Double Income With Kids」からもじった、子どものいる夫婦ともに収入がある意味の「DIWKS」に、Perfectな住まいを提供する意図を込めた「PARFAIT」からなる造語だ。登録商標出願済み。

 モデルハウスは、調理を手早くでき、来客のときなどはバックカウンターの間仕切り扉を閉めることができる「コックピット」とも名付けた「パワーキッチン」(4.8畳大)と、家族全員がそれぞれ身支度できる窓付き「パワークローゼット」(4.7畳大)、ダブルボウル・ダブル収納付きで洗濯物をその場で干せる「パワーSENMEN」(3.5畳大)が、それぞれ家事動線を考慮して配置されているのが特徴。

 その他、玄関ドアは観音開きで、ホール-リビングダイニング-キッチンにウォールナット挽き板ヘリンボーン(永大産業の4枚1ピース)を敷き詰め、廊下・居室などはアカマツのフローリング、メーターモジュールの階段が採用されている。

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パワーキッチン

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ヘリンボーンの挽き板

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パワークローゼット

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 個人的には、バックカウンター収納は〝魅せる〟機能を考えるともう一工夫あってもいいのではないかと思ったが、「パワーキッチン」「パワークローゼット」「パワーSENMEN」は設計意図が明確でよくできていた。

 意表を突かれた説明もあった。女性担当者から「富士山」の言葉が発せられた。

 一瞬何のことか分からなかったのだが、「パワーSENMEN」を採用したことで、2階に洗濯物を干しに上り、取り込む作業もしなくていいので、その作業量を距離に換算したというのだ。

 つまり、階段を14段、踏み上げを20cmと計算し、1日2回上り下りするとすれば年間では4,088mとなり富士山の高さ(3,776m)より高くなるとことだった。

 なるほど。主婦あるいは主夫は洗濯物を干し、取り込む作業だけで富士山に登はんする以上の距離を費やしているというのか。手ぶらではない。洗濯物は結構重い。両手を使えば転落する危険性は高まる。一つ間違えれば死に至ることもありうる。

 そのリスクまで考慮すると、女性スタッフの説明は説得力を持つ。洗面所には湿気を取り除くため除湿器もセットされていた。

 洗面室に洗濯物を干したら梅雨時や冬場は乾かないだろうと書こうと思ったら…(自宅マンションの場合だが)洗面所は空調設備が整っているのでよく乾くのだそうだ。洗面に暖房設備を設置すれば、ヒートショック対策にもなり万全だろう。「パワーホーム」はUA値0.6以下だからその必要はないのか。

 ひとつ提案だ。距離節約も結構だが、ユーティリティ動線によってどれだけ家事労働の時間が節約できるかについても数値で示すべきだ。

 家事労働は、介護・看護、ボランティア活動などとともに「Unpaid Work(無償労働)」と呼ばれているが、内閣府は平成25年、無償労働をお金に換算したらいくらになるかを公表している。

 それには、「女性の場合、無業有配偶(専業主婦)の無償労働評価額が最も多く、年齢平均では304.1万円、有業有配偶の無償労働評価額は223.4万円となっている」とし、男性の場合はその3分の1以下に留まっているという。

 この額は正鵠を射ているはずだ。記者は記者の約10年の主夫生活から判断して、月額30万円とはじいたことがある。女性の場合は、家事のほか夫の世話(とくに性的欲求を満たす行為=これは労働でも片務契約でもないし、夫から妻に対するお返しもあるので差し引きゼロかもしれないが)を考えると、普通のサラリーマンでは絶対〝主婦〟を雇えないと愕然、呆然、慄然、絶望した。

 その後、働き改革を進めるべきと盛んに書くのは、このままでは結婚しない女性、結婚できない男性が劇的に増え、わが国の将来は絶望的だからだ。

 話を元に戻す。家事動線が家事労働の時間短縮にどれだけ効果があるかについて、アキュラホームが2016年、フルマラソン3回分の約122km、時間にして約1日分の家事労働時間の短縮を実現したという調査結果をまとめ発表している。

 ナイスの女性担当者の話とアキュラホームの調査結果からして、主に女性がいかに過酷な労働を家庭でも強いられているかがわかる(嬉々としてやっている人も多いかもしれないが)。

 取材後、街行く人に家事労働を時間給に換算したらいくらになるか聞いた。「分からない」という人が圧倒的に多かった。「家事」を「労働」と捉えていない人が多いだろうからこれは当然だ。答えが返ってきた10人くらいでもっとも多かったのは1,500~2,000円で、1,000円と答えた人も2人いた。

聡明そうな女子高生にも声を掛けた。「分かりませんが、母は日曜日以外働いていますむ「えっ、どんな仕事ですか? 」「歯医者です」

 蓋で覆い隠されたバギーを引いていた、とっくに子育てを終えているはずの70代と思しき女性にも聞いた。「これ? ネコ。子ども産んだことない」「…」(子どもを産んだことがないのはネコなのか本人なのか聞き忘れた。乳母車にはいろいろ用途があるものだ)

 働き方改革で30分、AI、家事ロボット技術の向上で30分、1日1時間の余裕が生まれたら、郊外の住環境に恵まれた30坪のマンションに住めると思うのだがどうだろう。

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現わしの梁(イメージ図)

マラソン3回分122kmの家事労働短縮 動線や洗面室の工夫で実現 アキュラホーム調査(2016/8/16)

いまどきの30代夫 完璧に家事こなすのは3割 旭化成ホームズが調査(2014/7/12)

ナイス ママの過重労働を解放する「DIWKS PARFAIT(デュークス パフェ)」発売(2018/11/29)

カテゴリ: 2018年度

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「サードプレイス街区」モデルハウス

 一昨日のポラスグループ「アドバンスドプレイス船橋・北習志野 ヒーリング街区」に続いて「サードプレイス街区」(28棟)を紹介する。

 「サードプレイス」については、一般的に職場・学校と家庭とは別の、かといって独立したものではなく、いわばつかず離れずの関係を保てる「第三の居場所」と理解されている。自分の時間が持て、かつ他人とも緩やかにつながり気兼ねなく過ごせる空間とも言われている。

 最初に同社がその「サードプレイス」の考えを街づくりに取り込むと聞いたとき、どのようなプランを提案するのか想像もできなかった。家族それぞれが憩う場所とは別のスペースを設けることは、下手をすれば家族間をバラバラにし、「孤立化」を一層助長しかねないのではと心配もした。

 そうした危惧を抱きながら2棟あるモデルハウスの一つ目に入った。玄関を入るとすぐ大きな「土間」空間が広がっていた。広さは約4.3畳大。上がり框があり、スライドウォールもあるので仕切ることはできるのだが、その奥の約20.7畳大のLDKとは繋がっていた。全体の広さは約24畳大だ。

 初めて見るらしい同社の女性広報担当者は「凄い!」と歓声をあげた。記者はマンションにしろ戸建てにしろ、この種の大空間は高額物件で結構見てきているのでさほど驚かなかったが、確かに郊外の分譲住宅では珍しい、というより皆無かもしれない。敷地が30~40坪、建物が30坪前後の一般的な分譲戸建てに約4.3畳大の「土間」を設けることなど、普通の企画担当者はまず考えないはずだ。

 しかし、だからこそその思い切った提案に声援を送った。お金持ちだけが享受できるこの種の大空間を一般住宅に解放した意味は大きい。近所の人との語らいの場、ギャラリーなど多目的に利用できる空間になる。

 このプランを担当したのは、中央住宅戸建分譲設計本部設計一部部長・野村壮一郎氏であることを聞いて納得もした。万人向けの没個性的なプランを野村氏はつくらないことをよく知っている。

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「土間」

 もう一つのモデルハウスは、ポラスガーデンヒルズ設計部部長・安藤欣司氏が設計を担当。仕事場・書斎などとして利用できる中2階の〝フロートリビング〟、その下の玄関ともつながっている収納、2階の居室と繋がっているロフトを合わせれば3層、4層にもなる住宅だ。

 記者はデザイン・カラーリングがいいと思った。黒、グレー、グリーン、ブルーなど結構色を使っているのだが、それぞれがよく調和してしっとりとした空間となっている。バーカウンター付きの対面キッチンの提案も面白い。

 「サードプレイス街区」は、Wi-Fiアクセスポイントを標準設置。在宅ワークなどの「自宅のサードプレイス化」も視野に入れているのも特徴の一つだ。

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モデルハウス

 売れ行きについて。分譲開始からわずか5カ月で47棟の成約は驚異的だ。販売担当者は「5,000万円を超える住戸は成約まで時間がややかかるが、他社の物件などと比較して結局はうちの物件に戻ってきてもらえる」と話した。

 なぜ売れるか。一言で言えば、商品企画が優れているからだ。今回見学した4棟で共通しているのは、1階のリビング天井高約2.7mの利点を最大限生かしていることだが、それぞれが微妙に異なる。中央住宅とポラスガーデンヒルズが共演している効果が表れている。

 

 細かいことだが今回、玄関ドアにガラススリットが付いていたのに気が付かなかった。もちろん玄関サイドの下足入れの上にも窓はついているのだが、このガラススリットと窓があることによって、暗いときでも明かりを付けなくても済むという工夫だ。マンションやホテルなどで出かけるときや帰ったとき、スイッチや鍵の位置を探すのに苦労することがある。皆さんもそんな経験をされているはずだ。

 同社の2018年3月期の契約棟数は、分譲住宅2,300棟と注文住宅683棟を合わせると約3,000棟に達する。圧倒的な実績を踏まえ、地域のニーズを熟知しているからこそできる芸当だ。

 今回も細かいことだが、玄関ドアにガラススリットが付いていたのに気が付かなかった。もちろん玄関サイドの下足入れの上にも窓はついているのだが、このガラススリットと窓があることによって、暗いときでも明かりを付けなくても済むという工夫だ。記者などは一人で出かけるときや帰ったとき、スイッチや鍵の位置を探すのに苦労することがある。皆さんもそんな経験をされているはずだ。

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玄関ドアのスリットと窓

 最後に、この「アドバンス ド プレイス船橋・北習志野」が2018年度グッドデザイン賞を受賞した際の「一方で、せっかく街を作っているのに、フィジカルな部分に対してあまり言及がなく、風景としての豊かさに対してどのような思想を持つのか、より明らかにすべきであろう」という審査員のコメントについて。

 これは記者も分からない。AIやらIoT、ビッグデータなどのサイバー空間に対して、現実社会という意味でフィジカル空間という言葉が用いられるようだが、そのサイバー空間とフィジカル空間が相互連携・融合したCPS/IoT社会や第5世代モバイル通信システム(5G)が本当に我々を幸せ・豊かにしてくれるのか。

 英語で馬鹿を意味する「idiot」をGoogleで検索するとトランプ大統領が真っ先にヒットする時代だ。心配になって「牧田」で検索したらサブマリンの牧田投手が最初に出てきた。当然か。「こだわり記事」も上位にあった。「牧田 馬鹿」と検索したら、先月書いた「HARUMI FLAG」の記事が出て来た。

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モデルハウス

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設計担当メンバー写真左上から野村氏、中央住宅戸建分譲設計本部設計一部営業企画設計課課長・古垣雄一氏、同社戸建分譲設計本部設計一部営業企画設計課2係係長・山下隆史氏、写真左下から角張氏、安藤、工藤氏

なぜ人気 ポラス「船橋・北習志野」91戸 潜在ニーズ引き出す「ヒーリング街区」①(2018/12/17)

記者が馬鹿だった…選手村はスケルトンで都と組織委が賃借し、解体費を含め全額負担(2018/11/1)

カテゴリ: 2018年度

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「ヒーリング街区」モデルハウス

 ポラスグループの中央住宅とポラスガーデンヒルズが共演して分譲している戸建て分譲「アドバンスドプレイス船橋・北習志野」を見学した。記者発表会を行った8月末に続き2度目の見学だったが、IoTの機器を装備するだけでなく、機器を使いこなせばどのような生活ができるかをプランに反映していた。わずが5カ月で供給した70戸のうち47戸が成約済みという売れ行きにも驚いた。2回に分けて紹介する。

◇       ◆     ◇

 今回は、全91棟を「フィンテック街区」(37棟)「ヒーリング街区」(26棟)「サードプレイス街区」(28棟)の3つの街区に分けたうちの「ヒーリング街区」について。

 最初の見学会で記者は「今回のIoT商品で言えば、今回のモデルハウスにはなかったが、『ヒーリング街区』『サードプレイス街区』がいい。映像も含めた音や香りなど五感に訴える工夫が住まいを変えるかもしれない」と書いた。〝単にIoT機器を装備しただけでは訴求力は弱い。間取りプランなどでそれを使えば生活がどう変わるか、どれだけ豊かになるかを見える化すべき〟という意味を込めたつもりだ。

 なので、2つの街区は必ず見学しようと決めていた。それが実現して嬉しい。

 「ヒーリング街区」のモデルハウスは2棟。その一つは、中央住宅戸建分譲設計本部設計一部営業企画設計課1係主任・角張泰広氏が設計を担当した住棟。ヒーリングの意味そのものの癒し効果がある国産材のスギをふんだんに採用したモデルハウス。同社はこれまでも挽き板のフローリング、木材のデザイン壁を採用しているが、今回はリビング天井も含めて「森林浴リビング」を提案している。

 東京大学薬学部の竹内春樹氏と共同開発したもので、45度以下の低温で乾燥させることで20年間スギの香りを抜けにくくしているのが特徴だ。見た目が美しく、吸湿、断熱性能のほか鎮静効果があることも学術論文で証明されているという。

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国産杉パネル

 もう一つのモデルハウスは、ポラスガーデンヒルズ設計部企画設計課課長・工藤政希氏が設計を担当。化粧梁天井、窓から差し込む太陽の光や調光機能付きダウンライトによって空間を自由に変えられる「木漏れ陽リビング」を中心にリビング-ダイニング-キッチンが緩やかにつながっており、家族のそれぞれのシーンに応じ使い分けができるよう間取りも工夫されている。壁には消臭効果のあるエコカラットのデザインウォールが採用されている。

 「ヒーリング街区」全住戸のキッチンに1個標準装備されているパナソニックの新製品「ダウンライト付きスピーカー」について。記者はこれを見るのは野村不動産「千里」、大成有楽不動産販売「世田谷弦巻」、東急不動産「中野富士見町」(オプション)に次いで4件目だ。とても音がいい。

 今回の同社のモデルハウスでは、「西武ライオンズの応援歌が聞きたい」「にんべんでは鰹節の削る音が流れた」「カエルの合唱」「コオロギの虫の息じゃなかった虫の音」「伊良子岬の波の音」などと口走ったら、何と担当者がものの一、二分で再現して見せた-これだ!真冬にウグイスの鳴き声を駅の構内で流すことに何のためらいを感じず、それを良しとする我々とは違う。狂った世の中に慣らされるのと、進んで狂った自分を演じるのとでは180度異なる。

 これからはAI、IoTの時代だ。365日、全国のあるいは全世界の川のせせらぎか海の音か、コケコッコーの声、あるいはまたベートヴェン(今日17日は誕生日だそうだ)の「運命」で目覚め、ヘンデルの「水上の音楽」を聞きながら仕事をし、「五木の子守歌」かグレゴリアン・チャント、あるいはチャイコフスキー「眠れる森の美女」か、ベートヴェンの「月光」で深い眠りに付き、さらにまたエディットピアフの「パダムパダム」で絶望的な永遠の眠りにつく…素晴らしいではないか。

 記者は小さいころ、恋に恋焦がれ「山のロザリア」を口ずさみながらほろほろと涙し、独身の頃には起きるとすぐラヴェル「ボレロ」をかけた。約15分だ。最後のジャジャーンの音を聞いて〝今日も頑張ろう〟と出勤した。

 AI、IoTならその人の好み・心境に応じて音楽を流してくれる時代がやってくる。そのためにも部屋の設えは大事だ。機器だけを装備して売れるほど甘くない。魂を込めるのは人だ。

 全26棟の「ヒーリング街区」のうち供給されたもののほとんどが成約済みというのも、ユーザーに評価されているという証だ。一言で表現すれば潜在的なユーザーのニーズを引き出したということではないか。

 この日は、朝から小雨が降りとても寒かった。取材が空振りに終わればせっかく治り始めた風邪がぶり返すのではないかと心配したが、取材途中から気温がどんどん上昇し、終わるころにはコートがいらなくなる陽気になった。お天道様もまじめに取材していることをほめてくれたのだろう。期待以上の成果が得られた。明日には「サードプレイス街区」も紹介できそうだ。

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モデルハウス

「かゆいところに手が届く」商品企画IoT搭載の戸建て ポラス「船橋・北習志野」(2018/8/30)

カテゴリ: 2018年度

 

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 ことしもあとわずか。皆さんは今年1年間はどのような年だったでしょうか。わたしは〝古稀〟を目前にしたこの1年間を恙なく過ごし、どれだけ人の役に立ったか立たなかったかは分からないが、そう呼べるなら〝愛〟を込めて記事を書いたつもりだ。以下は、1年というよりもう少し長いスパンでマンションと分譲戸建て(建売住宅と呼びたいのが嫌う人もいるので分譲戸建てと呼ぶ)市場について考えてみた。独断と偏見に満ちた私論として読んでいただいて結構です。

◇         ◆     ◇

 別表は、ここ20年間の全国のマンションと分譲戸建ての住宅着工戸数の推移をみたものだ。周知のとおり、マンションは平成20年(2008年)のリーマンショックの影響で中堅マンションデベロッパーが軒並み退場を余儀なくされ、中堅が地盤・ターゲットとする第一次取得層向けの物件供給が激減。21年の供給量はそれまでの2分の1から3分の1まで落ち込んだ。最近はやや回復しつつあるとはいえ、戸数的には低空飛行を続けている。

 その一方で、分譲戸建ての着工戸数はリーマンショック後の21年は若干減少したもののすぐ取り戻し、ここ数年間は12~13万戸台を維持している。

 この結果、着工戸数は分譲戸建てが分譲マンションを上回るという逆転現象がここ数年続いている。マンションと分譲戸建ての比率も従前は6:4だったのが、いまは逆だ。

 問題はこの先どうなるかだ。まずマンション。少子化・高齢化、人口減少社会へ突入し、ストック活用の流れも加速していることなどを考えると、年間10万戸を維持できるかどうかも疑わしく、漸減傾向をたどるのは間違いない。大手の寡占化は一層進む。

 首都圏では三井、三菱、住友、野村の4強がしのぎを削り、あるいはまた手を握り市場をリードしている。この流れをせき止め、劇的に変えるのはどこかと考えもするのだが、残念ながらその兆しはない。

 オリックスの軍門に下った大京も失地を回復するのは至難の業だろう、売上10兆円企業を目指す大和ハウスと連携すれば4強の一角を崩すことができるのではないかと思うが…。

 他の電鉄系、商社系なども寄らば大樹の陰とばかり大手連合にぶら下がろうと懸命になっているとしか思えない。

 となると、あとはもうこれらの4強が手を出さない中小規模や外周部の〝隙間〟〝空白区〟を埋めるしかなく、あるいはまた突出した商品企画でもって鼻を明かす元気なデベロッパーの活躍に期待する以外ない。

 このように分譲マンション市場は先が読める。分からないのは分譲戸建て市場だ。理解不能の異様な展開を見せている。

 表でもわかるように、リーマンショックの大混乱に乗じて平成21年度に着工戸数でマンションを逆転すると、一度は再逆転を許したが、その後は再びリードを奪い、その差を広げつつある。

 その立役者は飯田グループホールディングスだ。2013年に一建設、飯田産業、東栄住宅、タクトホーム、アーネストワン、アイディホームの6社が経営統合したころは、企業風土が異なるので成功に記者は懐疑的だったが、その後は建売りの雄として玉座に座り続けている。2018年3月期の売上高は1兆3,353億円、戸建分譲事業(土地売含む)は44,275棟。戸数は全国市場の実に30%を占めるガリバー企業だ。営業所がないのは富山、鳥取、島根、高知、大分、宮崎の6県のみ。全国制覇は時間の問題だ。

 同社の強みは何といっても販売価格の安さだ。1棟単価は飯田産業と東栄住宅が3,000万円を超えるが他は3,000万円以下で、一建設は26.1百万円、アーネストワンは23.3百万円。三井不動産レジデンシャルの1棟単価60.2百万と比較するとほぼ3分の1だ。

 価格競争になったら、飯田に勝てる企業は皆無だ。同社ホームページのヘッドコピーは〝誰もがあたり前に家を買える、そんな社会にしたい〟-〝家〟とは何かはさておき、これに異論を唱える人はいない。飯田の独走はこれからも続くのか。

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◇       ◆     ◇

 この20数年間、記者の頭を悩ませているのが、マンションや戸建ての若年需要者の消費動向・物件選考の基準が分からない、はっきり言えば理解不能ということだ。

 住宅ローンの支払いを終えた団塊世代がより利便性の高い駅近・都心のマンションを志向するのは分かりやすい。自分もそうだ。しかし、ミレニアル世代やバブル後世代、ゆとり世代は何を考えているのかさっぱり分からない。

 そうした層を対象にした住宅選好に関するアンケート調査が行われており、

 「戸建て志向が強い」「現実的な思考をする」「価格を優先する」などと言われても釈然としない。これらは今も昔も変わらない。戸建てを持ちたいが、買えないからマンションにしたり中古にしたり、価格を優先したりして寸詰まりの基本・居住性能が劣るのを承知で購入する。ましてや世帯年収の低い若年層にとって選択の余地はない。

 そもそも、アンケートなるものの信ぴょう性が疑わしい。集計した数を足して割って平均値を出したところで、きわめて個別性が高い不動産に関する考え方など分かるはずがない。ダイコンやニンジンを買うのとはわけが違う。

◇       ◆     ◇

 とはいえ、デジタルネイティブ=ミレニアル世代の意識、消費志向を探るのはそれなりに意義のあることだとは思う。平成2年のバブル崩壊を境に世の中が暗転したのは紛れもない事実で、経済社会の激変は消費者の消費動向にも大きな影響を与えたからだ。

 労働者派遣法が施行されたのは昭和61年で、その後「非正規雇用」が激増した。「専業主婦世帯」と「共働き世帯」が逆転したのも平成4~5年だ。厚労省が「ニート」なる言葉を使ったのは平成16年だ。昔はそんな言葉すらなかった「フリーター」は現在150万人もいるという。「格差社会」「ワーキングプア」なる言葉も一般化した。

 このほか、あらゆるデータも社会が変わったことを証明している。例えば出版物。売上高はこの20年間で35%、約8,700億円も減少した。自動車の国内需要もこの20年間ほぼ一貫して減り続けている。百貨店・スーパーも同様だ。

 グローバリズムの進展とネオリベラリズムの台頭は、この先も若年層にとっては生き辛い世の中になるのは容易に想像できる。

 そうした層が分譲住宅市場では主役になりつつある。どのような住宅を選ぶのか注意深く見守りたい。当面は消費増税が吉となるか凶となるか注目したい。デフレ脱却がまた先送りになるのだけは回避してほしい。

「市場激変 忍の1年」記者が選んだ今年の重大ニュース(2009/12/21)

建売住宅トップ一建設と2位のアーネストワンが激烈な首位争い~建売住宅市場が面白い展開に~(2012/7/17)

「独身でマンションを購入すると結婚できない」噂は迷信 シースタイル調査(2017/7/25)

第一次取得層向けの郊外マンションは復活するのか(2016/8/30)

世相の反映か 「4人家族が幸せに暮らす住宅の広さは89㎡」 アットホーム調査(2017/8/1)

配偶者を愛している84% 健気で円満なDINKS層浮き彫り アットホーム調査(2018/10/30)

「近所付き合い」必要 一戸建て79.8% マンション72.4% アットホーム調査(2016/11/1)

 

 

 

 

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