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「ルピアシェリール東久留米」

 ポラスグループ中央住宅が分譲中のコンパクトマンション「ルピアシェリール東久留米」を見学した。同社初の西武池袋線沿線のマンション分譲で、坪単価420万円には驚いたが、設備仕様レベルは極めて高いと思った。

 物件は、西武池袋線東久留米駅から徒歩5分、東久留米市本町一丁目の近隣商業地域、第一種中高層住居専用地域に位置する5階建て38戸。専有面積は28~53㎡、坪単価は420万円。1月下旬に販売予定の第2期(3戸)の専有面積は32.25~34.50㎡、価格は3,500万円台~4,200万円台、竣工予定は2025年10月中旬。施工は多田建設。売主は同社のほか三信住建。

 11月9日から販売を開始し、これまで第1期7戸が完売。購入者の属性は30代から40代の単身女性が中心。

 現地は、駅前の商店街から少し離れた中層の商業店舗などが建ち並ぶ一角。建物は西向きで、西側は3階建ての郵便局。住戸プランは未分譲の28㎡が5戸、メインの34㎡が15戸、32㎡が14戸、53㎡が4戸。

 主な基本性能・設備仕様は内廊下方式、リビング天井高2400ミリ、二重床・二重天井、食器棚、かくれんボックス、物干しポール、コンサバトリー(一部)、浴室タオル掛け2か所、おたすけバー、シャワー付き混合水栓、ちょいおきレール、「やさしい水工房」、ウォークスルークローゼットなど。

 同社マインドスクェア事業部マンションDv・春原真由氏は、「同業他社は共通モデルルームで顧客対応していますが、当社は、地域特性にあった物件ごとの商品企画を実物モデルルームで観ていただくのが基本。観ていただければその良さを理解していただけるはず。最近近分譲した『ルピアシエール』シリーズでは坪単価400万円の『武蔵浦和』と『浦和』の4物件がほぼ1年半で完売しています。今後もこのシリーズを強化します」と話した。

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現地

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模型

◇        ◆     ◇

 同社が11月末にこの物件の分譲を開始したと発表したとき、ぜひ見学しようと決めた。同社が西武池袋線でマンションを供給するのは初めてで、どうしてコンパクトなのか、さらに今後のコンパクトマンション市場の方向を探るためだった。

 基本性能・設備仕様レベルは上段で紹介した通り。床暖房、食洗機はないが、浴室タオル掛け2か所、浴室内のおたすけバー、物干しポールなどはいかにも女性目線のアイテムだ。一般的なアパートに住む単身者はそのレベルの高さに驚愕するはずだ。

 単価は決して安くはないが、都内23区内では一部城東エリアを除き、坪単価は軒並み500万円を突破している。同社は昨年分譲した「武蔵浦和」「浦和」などの売れ行きから、外周部でもニーズがあることをつかんだようだ。

 「東久留米駅」のポテンシャルも記者が予想した以上に高い。「日高屋」「ドトールコーヒー」「マクドナルド」の〝御三家〟が全て揃っている。首都圏コンパクトマンション市場は年間5,000~7,000戸と見ているが、今後はファミリーとの混在型や都心外周部での供給が増えそうだ。

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モデルルーム

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コンサバトリー

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左から浴室タオル掛け、物干しホール、おたすけバー

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 取材後、多摩センターに帰り、同僚と2人で「日高屋」で飲んだ。アジア初のノーベル文学賞を受賞したハン・ガン「菜食主義者」(クオン)を借り、話題はわが国のDXの取り組みが遅れていること(不動産も)、生成AIはもっと利用すべきこと、タブレットはますます普及すること、国内外の選挙で既成の大マスコミは惨敗したこと、樹木剪定はお金が掛ること、丸山健二と高倉健、中上健次と都はるみなど多岐にわたった。

 大声で話していたためか、何かをきっかけに我々より2回りは若そうな隣の男女二人組の方たちと話し合うことになった(多分、仏陀が説いた〝姦淫するなかれ〟などの十戒だと思う)。

 その女性の方の出自と話すことがすごかった。彼女は、第一子と第九子以外はすべて女性の9人兄弟姉妹の5番目で、生まれたのは高輪の家政婦付きの豪邸。9人兄弟というのはそう珍しくないが、お母さんは昭和41年1月から同50年12月までの約10年間に9人の子どもを産んだというから凄い。(ノーベル文学賞受賞作家・莫言「豊乳肥臀」は9人兄弟姉妹の物語。世界ギネスの多産女性は60人超というのは知っていた。いまネットで調べたら69人だった。この方は5つ子、4つ子を何度も繰り返した結果)。

 生まれも育ちも普通でないためか、また、お父さんは家政婦とも関係したためか、話すことも凄かった。「世の中は金しかない」「世の中の奥さんが求めるのは金だけ。愛はいらない。夫は他人」「世の男はおろか。女性の本心を理解していない」などと宣い、卑弥呼、平塚らいてうにも言及した。〝元始、女性は太陽だった〟-これはとてもよく分かる。

 日高屋もまたえらい!過ごしたのは5時間くらいか。店の人は何も言わなかった。料金は2人で5,000円くらいだった。

〝瓢箪から駒〟驚異的な売れ行きタカラレーベンのコンパクト「ネベル鶴瀬」(2024/11/29)

全戸南西向き幅員23mの桜並木・遊歩道・道路に隣接ポラス「武蔵浦和」(2022/5/19)

ポラス中央住宅 コンパクトマンション「南浦和」 順調な売れ行き(2020/10/16)

 


 

 

カテゴリ: 2024年度

 日本不動産流通機構(東日本レインズ)は1211日、首都圏の202411月の不動産流通市場動向をまとめ発表。中古マンションの成約件数は3,207件(前年同月比10.6%増)、坪単価は262.0万円(同5.9%増)、成約価格は5,022万円(同6.1%増)、専有面積は63.24㎡(同0.2%増)となった。成約件数は5か月ぶりに前年同月を上回り、成約単価は55か月連続で前年同月を上回った。

中古戸建の成約件数は1,262件(同30.2%増)、価格は3,895万円(同2.1%増)、土地面積は140.16㎡(同5.5%減)、建物面積は104.59㎡(同0.6%増)。

カテゴリ: 2024年度

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大型LEDビジョン

 三井不動産レジデンシャルは12月6日、「三井のすまい 日本橋サロン」のメディア向け説明会を開催した。同サロンは、これまで「日本橋三井タワー」5階に設けられていたものを先月11月にリニューアルオープンしたもの。

 価値観やライフスタイルが多様化する中で、同サロンではバーチャルとリアルを融合させた展示により、より具体的にイメージできる、新しい“すまい探し体験”を体感できる拠点となっている。現在販売中の3物件と今後販売予定の1物件が対象で、三井不動産グループ各社と連携した住み替え、リフォームなどワンストップでサポートする。

 特徴の一つである最大幅約12m×4mの大型LEDビジョンでは実寸大の間取りや眺望を投影し、家具の配置などをイメージできるようにしている。

  コンセプトルームでは実際の室内空間を再現しており、各設備や家具に触れることができる。バルコニーにはLEDビジョンを設置し、検討住戸の室内からの眺望イメージを体感することもできる。

 大型モニターでは販売中物件のCG映像やデジタル模型、建設地周辺の動画などを映し出すことが可能で、外壁や共用部に用いられる石やタイルなどのマテリアルサンプルが物件ごとに展示する。

 専有部・共用部の設備を実際に確認できる実物展示コーナーも設けている。

 「日本橋サロン」は、東京メトロ銀座線三越前駅から徒歩2分、中央区日本橋本町2-2-2 日本橋本町YSビル9F。延べ床面積は約210坪。営業時間は月・金:11:00~16:00、土・日:10:00~17:00、定休日は火・水・木曜日。

 2025年1月下旬に第2期2次を販売する総武線浅草橋駅から徒歩2分の「パークホームズ浅草橋」(121戸)の坪単価は600万円。

 先着順で分譲中の東京メトロ銀座線浅草駅から徒歩9分の「パークホームズ浅草六丁目」(48戸)の坪単価は450万円。

 2024年12月上旬に第6期3次を分譲する東京メトロ東西線東陽町駅から徒歩6分の「パークホームズ東陽町」(97戸)の坪単価は427万円。今回が最終分譲となる。

 2025年2月下旬に分譲予定の東京メトロ日比谷線入谷駅から徒歩6分の「パークホームズ入谷」(37戸)の価格は未定。

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コンセプトルーム

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専有部設備展示コーナー

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 記者はVRやらMRがよくわからないのだが、コンセプトロームは、同社が現在販売中の台東区などの物件の基本性能・設備仕様レベルがよくわかる。購入検討住戸からの眺望が見えるようにしているのは必須だと思う。同業他社はどうなっているのだろうか。

 従前の「日本橋三井タワー」に設けられていたサロンとはやや異なるが、エントランス正面の本物の木で作られた幅約2間(3.6m)、高さ2.4mの組子デザインの壁がとてもよかった。

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エントランス正面の組子デザイン壁

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わが国初 VRとMR組み合わせたモデルルーム三井不レジ「池袋サロン」(2024/5/21)

立地にふさわしい防音室、循環ライブラリ三井不レジ「文京本駒込」人気(2022/12/6)


 

 

カテゴリ: 2024年度

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「クレヴィア新川崎」

 伊藤忠都市開発が近く分譲開始する定期借地権付きマンション「クレヴィア新川崎」を見学した。伊藤忠商事グループ大建工業の調湿・消臭・吸音効果のある天井材を全戸のLDKに採用したほか、ZEH-M Oriented、ワイドスパン、ウォールドアと可動収納を組み合わせることで好みの間取りを選べる「間取りのない家」(一部)プランが特徴。

 物件は、JR横須賀線/湘南新宿ライン新川崎駅から徒歩9分(JR南武線鹿島田駅から徒歩4分)、川崎市幸区下平間字宮前耕地の商業地域、第一種住居地域に位置する期間72年の定期借地権付き6階建て全74戸。専有面積は53.30~78.54㎡、価格は未定だが、坪単価は300万円台の後半になる模様。竣工予定は2026年2月下旬。施工は大末建設。設計・監理はデベロップデザイン一級建築士事務所、デザイン監修は未来アーキテクツstudio。

 現地は、新川崎駅から徒歩9分の表示だが、そのうち5分くらいは雨に濡れないペディストリアンデッキで駅と結ばれている。住戸プランは東向き、南向き、西向きがそれぞれ5スパン。主な基本性能・設備仕様は、内廊下方式、ZEH-M Oriented、二重床・二重天井、リビング天井高2450ミリ、フィオレストーンキッチン天板、ディスポーザー、食洗機、シェアリングサービス、GOKINJOサービス、IoT設備など。

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モデルルームプラン

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 71㎡の東向き吹抜け付き(ボイド)モデルルームがよくできている。12.0帖のリビングに隣接して多目的に利用できる4.3帖と4.3帖の洋室を提案。洋室には収納を設けず、居室の外に大型のファミリークローゼットを設けている。玄関と玄関を入ったの6.0帖の洋室はそれぞれ外部に面していない吹抜け(ボイド)が設置されており、通風・採光が取れるようになっている。この吹抜け(ボイド)付きは4スパン。

 この吹抜け(ボイド)で思い出したのだが、光ファイバーケーブを使って好きなところに自然光を照射することができる太陽光自動集光・伝送装置をどこか採用しないかずっと考えている。工夫によって影が発生しないようにすることができるスグレモノだ。かつて三井不動産レジデンシャルが「目黒」のマンションに採用したことがある。

 光は溜めることができないので、雨天や夜間は無理だが、理論的には地球の裏側で集光し、ケーブルで運べば24時間太陽光の恩恵を受けられる。マンションなら北向きでも南向きと同じ価格設定が可能になる。伊藤忠都市開発はやらないか。

 調湿・消臭・吸音効果のある天井材も体験した。音がとてもクリアになる。音楽を聴くのにいいかもしれない。

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現地

カテゴリ: 2024年度

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「レーベン和光THE GRANDE」

 タカラレーベン(事業比率45%)、東京建物(同30%)、日鉄興和不動産(同25%)が分譲中の「レーベン和光THE GRANDE」のモデルルームを見学した。物件所在地は埼玉県和光市だが、最寄り駅は板橋区内の地下鉄成増駅。坪単価が300万円を切っているのは安いと思った。

 物件は、東京メトロ地下鉄成増駅から徒歩10分(東武東上線成増駅から徒歩13分)、和光市白子二丁目の準住居地域・第一種住居地域(建ぺい率70%、容積率200%)に位置する敷地面積約11,562㎡、9階建て全304戸。2025年1月に分譲予定の第2期(戸数未定)の予定価格は4,600万円台~9,400万円台(最多価格帯5,900万円台)、専有面積は57.27~96.55㎡。竣工予定は2025年11月上旬。施工はライト工業・小野良組建設共同企業体。デザイン監修は株式会社ウイ・アンド・エフ・ヴィジョン。

 現地は川越街道のほか四方道路に接道。従前はゴルフ練習場。敷地規模は和光市最大級。光が丘公園まで徒歩13分。道路を挟んだ対面は「イニシア和光」。敷地は南東下がりの傾斜地で、建物はA~Eまで5棟構成。

 主な基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、リビング天井高2450ミリ、ディスポーザー、食洗機、タカラの水、Low-Eガラス、各階専用の宅配ボックス「Pabbitシステム」など。主な共用施設はパーティルーム、キッズルーム、ゲストルーム、ゴルフシュミレーターなど。

 6月末にオープンしたモデルルーム来場者は494件。9月7日から第1期1・2次として80戸を供給。その後30戸を追加供給した。来場者は板橋区、練馬区、和光市居住者が多く、その他広域から集客できているのが特徴。

 販売担当のタカラレーベン・赤池圭介氏によると、平均専有面積が70㎡超なのが人気の要因の一つと語った。

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モデルルーム

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 坪単価は記者予想をかなり下回った。物件所在地は埼玉県だが、他の沿線、例えば西武線、埼京線、京浜東北線、東武伊勢崎線、常磐線、総武線などの東京都に隣接する埼玉・千葉県側の坪単価はほとんど全て300万円を突破している。都内側は一部を除き、坪400万円だから、畳2畳で100万円の差もある。

 男と女の間もそうだが、何の根拠もないのに上位の側だと思い込んでいる住民は大きな川を渡るのは、なんだか都落ちするような気分にさせられるので、抵抗感を覚える。これが単価差に表れている。ここも、マンションと地下鉄成増間を流れる白子川が都県境になっているが、大きな川ではなくほとんど陸続きだ。単価は割負けしていると思う。成増には日高屋、ドトールコーヒー、マクドナルドもあるではないか。

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模型

ピアキッチンだけでないポラスのマンションはなぜ売れるのか中央住宅「和光本町」(2023/4/1)

坪240万円で5000万円台の3LDK(70㎡台)城東とも競合コスモスイニシア「和光」(2022/3/20)

カテゴリ: 2024年度

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「ネベル鶴瀬」

 タカラレーベンが分譲中の「レーベン和光THE GRANE」と「ネベル鶴瀬」を見学した。双方とも売れ行きは好調なのだが、〝瓢箪から駒〟〝目からうろこ〟のコンパクトマンション「鶴瀬」から紹介する。

 物件は、東武東上線鶴瀬駅から徒歩3分、富士見市鶴瀬東1丁目の第一種住居地域(建ぺい率70%、容積率200%)に位置する敷地面積約1,193㎡、14階建て49戸。11月23日から販売を開始した第2期(11戸)の価格は2,462万~4,788万円(最多価格帯3,800万円台)、専有面積は30.35㎡~50.40㎡。坪単価は270万円くらいの模様。竣工予定は2025年2月下旬。施工は吉原組。

 現地は、駅東口から徒歩3分、全戸南向き。住戸プランは12階までは南東角住戸が50㎡、中住戸が33㎡、南西角住戸か45㎡の3スパンで、上層階2層は63㎡(4戸)。主な基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、リビング天井高2400ミリ、床暖房、食洗機(33㎡除く)、バルコニー奥行き1800ミリ、タカラの水など。

 資料請求は1900件前後、モデルルーム来場者は100件弱。10月18日から30戸を供給し、第2期として11戸を先週末の11月23日に供給した。

 同社・タカラレーベン 坪龍平氏によると、同沿線のコンパクトマンションは志木駅から川越駅圏までは供給がなく、川越駅圏でも坪単価は350万円前後と高いことから、価格の安さ(賃貸アパートと同レベル)、駅からの近さ、設備仕様レベルの高さなどが評価されているという。コンパクトは20~30代の単身女性が約8割で、他のタイプは共働きや戸建てからの住み替えなどまちまちだという。勤務先は周辺エリアと都内が半々。

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エントランス

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リビング

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キッチン

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バルコニー

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 冒頭に〝瓢箪から駒〟〝目からうろこ〟と書いたのは、予想だにしなかった事態に遭遇したからだ。

 取材前だ。同業の記者Fさんが教えてくれたのだが、小生がよく利用するドトールと日高屋(タバコが吸える)、それとマクドナルド(ハンバーガーは食べないので利用したことはあまりない)の3店舗は、街の賑わい(民力)を測る物差しとして不動産会社は〝御三家〟と呼ぶのだそうだ。

 なるほど。ドトール、日高屋、マクドナルドがある街は水準以上の街だと思う。わが多摩センターもすべて揃っている。

 さて、鶴瀬はどうか。ネットで調べたらマクドナルドと日高屋はヒットしたが、ドトールはないようだ。物件が所在する駅東口は、昨年、マンションを取材したあとタバコが吸える店舗がないか探したがなく、仕方なく駅前の中華店に入った。日高屋とほとんど同じ料金だった(当時、小生は日高屋を利用する習慣はなく、その店がきっかけとなった)。

 どこを基準に考えるかだが、鶴瀬駅圏は都心部の街を見慣れている人にとっては寂れた田舎街に映るだろうし、郊外に住む人は日常の街だと考えるのではないか。東武東上線のマンションは、他沿線と比べ相対的に価格が安く、都心に近いことから最近人気になり、供給も増えているが、鶴瀬駅圏は極端に少ない。デベロッパーも二の足をふむのはよくわかる。駅力は弱い。

 なので、タカラレーベンがコンパクトマンションを分譲するというのは信じられなかった。正直、売れるとは思っていなかった。ところがどうだ。上段で紹介したように驚異的な売れ行きを見せているではないか。

 考えてみれば、その理由はよくわかる。10年くらい前までは都内23区で坪単価300万円台のコンパクトマンションが供給されていた。10坪(33㎡)で3,000万円台だ。その後、価格は急騰。今では坪500万円はありえない。安くても坪600~700万円台だろう。デベロッパーは価格を抑えるため6坪(18㎡)に抑えているのではないか。それでもグロスは10坪で6,000万円以上、6坪でも4,000万円前後だ。

 「鶴瀬」は10坪で2,500万円台だ。エントランスオートロック、ホーローキッチンパネル、床暖房、食洗機付き(一部除く)、タカラの水…賃貸居住者は驚嘆するはずだ。販売担当は疑心暗鬼だったのだろうが、「ネベル」の仕入れ担当は〝売れる〟と確信していたのではないか。この記事を読まれたマンション開発担当者は柳の下を狙って〝穴場〟探しに狂奔するのではないか。

典型的な「町家造り」の一角コンパクト中心のプラン的中ポラス「本川越」(2024/1/20)

公園隣接・近接天井高2650ミリ、ワイドスパン…大激戦制すかアンビシャス「鶴瀬」(2023/2/14)

カテゴリ: 2024年度

 大和地所レジデンスは11月29日、2022年11月に設立した「受託流通推進部」の今期(2025年3月期)販売受託戸数1,000戸を達成したと発表した。

 「受託流通推進部」は、年間受託戸数500戸を目標に設立。約100名の販売スタッフが、販売のみならず市場調査・商品提案・広告提案・住宅ローン業務・引き渡し業務まで幅広く対応している。今期は9物件を受託している。

 同社は今後、この販売代理業務を新築自社分譲に次ぐ事業の柱へと成長させていくとしている。

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 同社を中堅デベロッパーと呼んだら叱られるかもしれないが(記者は企業の大小で大手、中堅と区別はしないし、ブランド力で他社と互角以上に戦えるデベロッパーは数社しかないと見ている)、同社の優れた商品企画力を背景とした自社マンションの販売力は突出していると思う。今期はどうなるかわからないが、完成在庫がないのも同社の強みの一つだ。

 業績をけん引しているのは実用新案を取得している「オープン エア リビング」「オープン エア リビングバルコニー」などだが、設備仕様レベルも高く差別化が図られている。

 他社物件の販売を受託し、「オープン エア リビング」「オープン エア リビングバルコニー」を採用する場合は、別途契約になるのだろうが、これは大きな武器になるし、デベロッパーとしても三顧の礼を尽くして同社に販売を委託すべきだと思う。

 これは、販売受託ではなく、共同分譲の事例だが、販売開始から4か月で完売したJR西日本プロパティーズ(事業比率70%)と同社(同30%)の「プレディア横濱山手パークヴィラ」(全75戸)の記事を添付する。

販売開始から4か月で完売 JR西日本プロ・大和地所レジ「横濱山手」全75戸(2022/11/16)

 

 

 

カテゴリ: 2024年度

 大和ハウス工業(事業比率70%)、京王電鉄(同20%)、住友商事(同10%)の3社JVマンション「プレミスト昭島 モリパークグラン」(全277戸)の第1期1次143戸が11月10日抽選分譲された。専有面積は57.67~90.04㎡、価格は4,658万~10,038万円(最多価格帯5,600万円台11戸)。

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 この戸数の多さに記者は驚いている。全戸数の半数以上だ。同社は坪単価を公表していないが、記者が予想した坪280万円はそれほど外れていないはずだ。

大和ハウス「昭島プロジェクト」第二弾第一弾より多少高い「多少」はいくらか(2024/9/21)

 

カテゴリ: 2024年度

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左から小佐野氏、落合氏、齋藤氏

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左から雑賀氏、鉃谷氏、谷氏

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左から大井田氏、間田氏、世古氏

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高松氏

 マンション管理業協会(理事長:高松茂一・三井不動産レジデンシャルサービス会長)は11月14日、同日行われた臨時総会・理事会後に恒例の記者懇親会を開催し、2024年10月末のマンション管理適正評価制度の登録件数は6,127件(前月比329件増)になったと報告した。以下、全副理事長の所属会社の年度末までの登録目標、登録状況の現状。順不同

小佐野台氏(日本ハウズイング社長) 今月で1,200件になる見込みで、ちょうど9,000組合だから現況は10%超

落合英治氏(大京アステージ会長) 現在13%強

齋藤栄司氏(大和ライフネクスト社長) 現在8.6%、20%目指す

雜賀克英氏(東急コミュニティー会長) 現況11%で、20%を目指す

鉃谷守男氏(近鉄住宅管理取締役相談役) われわれ近畿圏の目標は800件。当社は100件弱で12%。下半期に伸びる傾向にあるので2割達成を目指す

谷信弘氏(長谷工コミュニティ会長兼社長) 現状19%、目標の20%達成は大丈夫

大井田篤彦氏(三菱地所コミュニティ社長) 現状は113件で2.4%。目標は500件で達成の目途はついている

問田和宏氏(野村不動産パートナーズ社長) 現状300件で、全体の13%

世古洋介氏(三井不動産レジデンシャルサービス社長) 理事長に恥かかせられない。目標の20%を達成する

 各氏のコメントに対して、高松氏は、「副理事長会社には20%を目標にしていただいている。地方の登録が出遅れており、協会としてもノウハウを提供して支援していく」と語った。同協会は、今年度末(2025年3月)まで1万件(全管理物件の10%)の登録を目標に掲げている。

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 昨年6月に行われた同協会総会後の懇親会で、副理事長の日本ハウズイング社長・小佐野台氏が次のようにあいさつしたのを記者は見逃さなかった。

 「一言だけ皆さんにお願いしたい。2年後のマンション適正管理評価件数を1万戸にするには、会員354社の管理件数の1割で達成できます。ちょうど1割、たった1割(爆笑、拍手喝采)で達成できます」と呼び掛けた。『たった1割』『ちょうど1割』を4度連発したように、登録件数1万件は同協会の大きな目標の一つだ」(大変失礼だが、懇親会に参加されていた関係者の方々は、そのころは雑談を交わすのに食事をするのに飲むのに夢中で、会が終わるころには小佐野氏も含めきれいさっぱり忘れていたのではないか)

 この適正管理制度に記者は大きな期待をかけている。何よりもいいのは、昔の通信簿のような相対評価ではなく絶対評価だから、頑張れば劣等生もみんな優等生になれることだ。そんなにバードルが高いわけでもない。ぜひとも目標を達成していただきたい。何度も記事にもした(添付した記事参照)。

 ところが、同協会が先月、今年9月末まで登録件数は5,798件と発表した段階で、今年度末までの1万戸達成は難しいと読んだ。制度がスタートしたのは2022年の4月だ。2年5か月だから、月にすると約340件だ。残り6か月で目標を達成するには月当たり約840件の登録が必要だ。これは無理だと判断し、「年度末の目標である1万件の達成は微妙な状況」と記事に書いた。「AIによる概要」も記者の記事をそのまま引用していた。

 そしてこの日。制度はトラックレースや競馬に例えれば4コーナーを曲がったところだ。戦列はゴールにほど遠く半周遅れ。このままのペースなら、みんなで決めた「たった1割」「ちょうど1割」は達成できない。目標を達成できなかったら、どうして残りの9割以上の管理組合から信頼を得ることができるのか。

 そこで、この日の懇親会には高松理事長、全副理事長が出席されていたので、これ幸いと「年を取るごとに意地悪質問が増えているのですが」と断りながら、「小佐野さんの会社と皆さんの会社の『たった1割』『ちょうど1割』の進捗状況についてお聞きしたい」と質問したところ、すべての方から回答を頂いた。冒頭のコメントがそれだ。

 もう一度、世古氏のコメントを読んでいただきたい。理事長でもあり会社の会長でもある高松氏に恥をかかせられないと言ったではないか。他の副理事長会社の社員の方々はこの言葉をどう受け止められるか。記者が社員だったら、絶対会長、社長に恥をかかせない。管理組合だけでない、皆さんは自分の会社はもちろん親会社のデベロッパー、マンション購入検討者の信頼を得ることができるかどうかの瀬戸際に立たされていることを認識していただきたい。まだ時間はある。来年の総会後の懇親会では目標達成をみんなで祝福していただきたい。

 管理会社による管理方式についても書きたいのだが、機会を改めることにする。〝理事のなり手不足〟を解消する有力な手段だと記者は思うようになった。

マンション管理適正評価制度 9月末登録は5,798件目標の年度末1万件達成は微妙(2024/10/12)

「管理者と管理業者は構造的に利益相反の関係」香川弁護士旭化成不レジ基調講演(8/23)

マンション管理適正評価制度提案済み20% 28%が提案予定なし管理協調査(2024/7/20)

長寿命化促進と管理適正評価制度に力高松理事長マンション管理業協会懇親会(2024/6/12)

マンション管理適正評価登録率トップは遠鉄アシスト 1割超達成は6社(2024/6/12)

大和ライフネクスト第三者管理者方式既存中心に76組合受託 2026年に200組合へ(2024/5/22)

第三者管理者方式徴収額は月額1,000~2,000円/戸マンション管理協(2024/5/16)

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「TOMORE品川中延」

 野村不動産は11月12日、社内起業第一案件「TOMORE(トモア)」に関するメディア向け事業説明会を開催し、新たに参入する「コリビング賃貸レジデンス(Co-Living Residence)」の第一弾として「TOMORE品川中延」(全135戸)を来年2月に竣工すると発表した。年間5棟の開発を目指す。

 「コリビング賃貸レジデンス」は、シェア型賃貸住宅とコワーキングスペースを一体的に開発するもので、「TOMORE(トモア)」は同社の社内起業第一号案件として2019年、同社住宅事業本部賃貸・シニア事業部賃貸住宅事業二課長・黒田翔太氏(36)ら3人が立ち上げた。2021年に実証実験の場として東京・日本橋に「TOMORE zero」を開設し、約3年にわたってノウハウを蓄積してきた。

 開発に至った背景には、アフターコロナの在宅勤務やリモートワークの浸透に加え、起業や独立、副業などワークスタイルの急速な多様化、さらにインフレによる家賃などの生活費の高騰があり、「コリビング賃貸」は欧米を中心に増加しており、世界全体の市場規模は2022年の2.0兆円から2028年には9.6兆円に成長すると予測されているという。

 一方、わが国の「シェア型賃貸住宅」の供給量は徐々に増加傾向にあるが、小規模で建物の仕様や設備が古くて経年劣化・旧式化が著しく、シャワー・トイレ・洗面台などは共用で、交流体験などは入居者自身に委ねられており、共用部分の快適性は損なわれているなど、場所も予算も商品も不足しているとしている。

 このような課題を解決するため、同社は都内に0.5%しか存在しない大型(100 戸超)のシェア型賃貸住宅にフォーカスし、多様なアセットタイプの不動産開発力と約3年間のコワーキング運営実証で培ったコミュニティ運営力により、これまでにない職住一体の「TOMORE(トモア)」を開発した。

 主なターゲットは「ライフ」と「ワーク」双方の充実を望む20~30代の社会人で、概ね総戸数100戸超を目安とし、シャワー・トイレ・洗面台などの水回りを備えた居室空間と、共用のリビングスペース、コワーキングスペースを併設。シェアランドリー、シェアライブラリーのほか、同社グループの宅配型収納サービス「ワンダースタイル」、スポーツクラブ「メガロス」、多拠点型シェアオフィス「H1T」などの割安サービスなども行う。年間5棟の開発が当面の目標。

 一般的な1K・ワンルーム賃貸(25㎡を想定)より居住面積は狭くなるが、スケールメリットを生かし賃料は同額かそれ以下に抑え、仲介手数料、敷金、礼金はゼロとする。専属運営スタッフとなる「コミュニティオーガナイザー」が日中滞在し、入居者同士の交流や活動機会を支援するのも大きな特徴。入居者の友人などが宿泊することも制限を設けない。起業に当たって居室や共用部分を事務所として登記するかどうかはニーズを把握しながら検討していく。

 事業説明会で黒田氏は「社内起業を立ち上げてから5年。様々な扉をこじ開けて第一号物件を供給するに至った。わくわくドキドキしている。物件ホームページを立ち上げてから反響は約1,700件に達している。日本の市場を開拓し、駆け抜けていきたい。人生を明るく、楽しく、豊かにしたい」と語った。

 また、「TOMORE zero」でコミュニティ運営に携わってきたコミュニティオーガナイザーの嶋田匠氏(31)は、「呼称はマネジメント、マネージャーもあるが、居住者の交流を促し応援していく役割からして、この呼称がぴったり」と話した。

 「TOMORE品川中延」は、都営浅草線中延駅から徒歩1分、品川区豊町6丁目に位置する敷地面積約577㎡、11階建て延床面積約2,424㎡の全135室。専用面積12.00~15.01㎡。竣工予定は2025年2月。設計はフォルム建築計画研究所、施工は野村建設工業、デザイン監修はUDS。

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「コリビングスペース」

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「コワーキングスペース」

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黒田氏(左)と嶋田氏

◇      ◆     ◇

 黒田氏がプレゼンを始めてからほんの数秒間だった。「5年間」「壁」「こじ開けた」「ワクワクドキドキ」などのフレーズを聞いて、天照大御神が天の岩戸をこじ開けたような気分になり、〝ガラパゴス化〟している賃貸市場に風穴を開けるのではないかと期待で胸が膨らんだ。

 約20分間のプレゼンが終わるころには期待は確信に変わった。これまで賃貸マンション、コワーキング施設、寮・社宅、学生寮などを結構取材してきたが、今回の「コリビング賃貸」(建基法では寄宿舎)は似ているようで全然似ていない。「品川中延」の敷地規模(約577㎡)で「コリビングスペース」が約100㎡、「コワーキングスペース」が約90㎡もあるなど信じられない。

 この日配布されたプレス・リリースには、黒田氏は36歳で、2010年に同社に入社してから「国内外の不動産ファンド商品の立ち上げ・運用業務に約10年従事」とあり、「自分の意思で、会社を動かし、社会を変えたい」というのが起業のきっかけになったと記されていた。

 これまで40年以上にわたり同社の〝プラウド〟などを取材してきたが、黒田氏は住宅事業担当とタイプが異なる。先月行われた三菱地所の「フレキシブル賃貸事業」と同じように社内外に新しい風を巻き起こすのではないか。

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居室

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間取り(13㎡)

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