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「オウカス 世田谷仙川」

 野村不動産と野村不動産ウェルネスは12月24日、健康増進型・賃貸シニアレジデンス「OUKAS」シリーズの「オウカス 世田谷仙川」が、仏リード・ミデム社主催「MIPIM Asia Awards 2024」の「BEST RESIDENTIAL PROJECT」カテゴリーで「GOLD」を受賞したと発表した。

 「MIPIM」は、世界の不動産・建築関係者が一堂に会する世界最大級の不動産見本市で、2007年に創設されたアジア部門「MIPIM Asia Awards」は、アジア太平洋地域の卓越した業績とイノベーションを実現したプロジェクトを11の部門に分けて表彰するもの。

 「オウカス 世田谷仙川」は、"Tokyo wellness town"をコンセプトに環境・身体・精神・社会性に目を向けた計画で、木材の地産地消を促す森林循環に寄与すること、次世代への「杜の継承」と多世代にわたる地域の「健康づくり」に寄与すること、単身から夫婦での入居まで多様なニーズに合わせた自立した生活を支援する住まいとしたことなどが評価された。

 物件は、京王線仙川駅から徒歩14分・千歳烏山駅から徒歩15分、世田谷区給田1丁目に位置する敷地面積約9,064㎡、4階建て延床面積約11,521㎡、全186戸のサービス付き高齢者向け住宅。専用面積は20~60㎡、月額賃料は100,000円~491,000円(非課税)、管理費は71,000円(1人入居・非課税)、81,000円(2人入居・非課税)、サービス費は73,700円(1人入居・税込)、106,700円(2人入居・税込)、レストラン食費は56,100円/人(1日3食×30日・税込)。

 共用施設はダイニング、ゲストダイニング、大浴場(人工温泉)、フィットネススタジオ、コミュニティカフェ、ゲストルーム、カラオケ&シアタールーム、ライブラリー&ラウンジ、コンシェルジュデスク、美容室など。開業は2023年8月20日。設計監理は熊谷組(実施設計)、日建ハウジングシステム(基本設計・デザイン監修)、施工は熊谷組。

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◇        ◆     ◇

 受賞を聞いてこの日(24日)、現地を見学した。首都圏8か所で展開する「OUKAS」がどのような施設であるかを確認することと、取材の帰りにかつてよく利用した飲み屋で飲むことだった。

 施設は、三井不動産レジデンシャルのタワー型大規模「パークウェルステイ(PWS)」とは趣が異なる接地型の4階建てで、本物の木材を採用した外観デザイン(一部木調)、住棟の中央に配された中庭などが素晴らしい。分譲マンションに置き換えた。坪単価500万円は無理としても、450万円でも売れると判断した。旭化成不動産レジデンス「アトラスシティ千歳烏山グランスイート」といい勝負だ。

 そして、第一生命が保有してきた約9haの土地を同社と第一生命保険、丸紅都市開発、相互住宅、NTT都市開発が協働して「SETAGAYA Qs-GARDEN(世田谷キューズガーデン)」として再生させたプロジェクトがまたいい。

 プロジェクトの核となる同社の施設やNTT都市開発の学生向けマンション「ウエリスアイビー世田谷仙川」、丸紅都市開発・相互住宅の「グランスイート世田谷仙川」、約3,789㎡の区立「給田松の香公園」などは樹齢100年超と思われる巨木を避けるように配置されており、子ども・教育、スポーツ振興、安全・防災、環境配慮など、地域住民のwell-beingを高めるコンテンツが揃っている。どのような開発スキームになっているのかわからないが、都市再生のモデルになる。

 Qs-GARDEN内はすべて禁煙なのは理解できなかったが、「THE TOKYO TOILET」に負けないトイレが整備されていた。取材後、Qs-GARDENのクリニックでインフルのワクチン接種を3,500円で受け(自治体によって高齢者は無料のところもある)、仙川駅前のいわし料理がとてもおいしい飲み屋で飲んだ。

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まるでリゾートマンション(右の白い建屋がトイレ、その奥が施設)

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遊歩道

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Qs-GARDEN

館内外の「みどり」最高延床は法定容積の22.5%増し三井不レジ「PWS藤沢SST」(2024/9/13)

京王線初か1低層の大規模環境性能表示満点の★15個旭化成不レジ他「千歳烏山」(2024/5/24)

 

カテゴリ: 2024年度

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「レ・ジェイド茅ヶ崎東海岸南」

 日本エスコンは12月23日、神奈川県茅ヶ崎市の「レ・ジェイド茅ヶ崎東海岸南」が同日までに全戸完売したと発表した。

 茅ヶ崎駅から徒歩15分の全31戸で、坪単価は320万円。外観は、ガラス手摺りや砂地のような素材感の外壁を採用することで、周辺環境と調和するようなデザインとし、共用部には、ビーチ帰りの洗浄に適したシャワーブースやサーフボードを収納できるサーフラック、アウトドア用品のメンテナンスを行うDIYガレージなどの設備を用意。専有部では、ウッドデッキを標準仕様とした解放感のあるルーフテラス付き住戸を一部設けている。販売代理は大和地所レジデンス。

◇      ◆     ◇

 昨年6月取材した時点で20戸が完売していた。完売までは時間がかかることを改めて知った。近くの高額マンションは竣工後1年経過しているが、まだ完売までには至っていない。

1階天井高2800ミリ、30㎡のルーフテラス付き9戸日本エスコン「茅ヶ崎東海岸」(2023/6/19)

 

カテゴリ: 2024年度

Screenshot 2024-12-23 at 12-21-06 メール - 第三企画㈱ 牧田司 - Outlook.png

LIFULL(ライフル)が運営する不動産・住宅情報サービス「LIFULL HOME'S」は1223日、築30年以上の物件に関する動向調査をまとめ発表した。

LIFULL HOME'Sに掲載された全国の中古マンション(20191月~202411月)のうち築30年以上の比率は、2019年は41.9%だったのが2024年では54.5%12.6ポイント増加。

エリア別では、近畿圏(大阪府・京都府・奈良県)と福岡県が全国平均を上回っており、中でも福岡県は2024年で60%を超えた。もっとも割合が低い愛知県や首都圏(13県)でも過半数を占めている。

価格相場は、全国的には緩やかな上昇が続いており、首都圏に関しては2020年以降急上昇し、直近ではやや落ち着いているものの2019年と比較すると410万円上昇の2,674万円となっている。

「修繕積立金」は、2022年以降はどのエリアにおいても上昇が続いており、もっとも高い首都圏は2024年では12,933/月となっている。「管理費」は、全国的には横ばいとなっているものの首都圏では2019年以降上昇が続いている。

調査結果についてLIFULL HOME'S総研副所長/チーフアナリスト・中山登志朗氏は「築年数の進んだ物件でも、流通市場で売買されるケースが年々増加している。また、近年の新築マンション価格の高騰により、中古マンション購入にシフトするケースが増えており、首都圏では2,500万円前後、それ以外の圏域でも2,000万円弱の価格相場で安定推移している。ただし、築年数の古い物件は管理コストが嵩むことが確実視されますし、大規模な修繕の必要があれば一時金を負担することになるケースも想定されます。自分が購入する住宅のコストは、物件の購入価格だけでなく維持・管理コストや税金などトータルで考えることが大切」とコメントしている。

Screenshot 2024-12-23 at 12-22-00 メール - 第三企画㈱ 牧田司 - Outlook.png

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中山氏

        ◆     ◇

 調査結果について注文が一つある。首都圏の価格相場は2,674万円とあるが、肝心の面積について触れていない。価格と面積はセットのはずだ。

 また、同社はマンション管理業協会の「マンション管理適正評価」制度と連携しておらず、独自の評価を行っているが、管理協の評価制度と連動すべきだと思う。「SUUMO」も同様だ。きちんと管理されているマンションが市場で適正に評価されるべきだと思う。

管理会社管理方式、自治体の体制強化など論議 国交省・マンション政策小委員(2024/12/20

〝都落ち〟考えるヒントに 「都県境の家賃が安い駅ランキング」 LIFULL HOME'S

  2025年トレンドはデコ活・地方億ション・ずらし駅・防犯投資など LIFULL HOME'S

 

 

 

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「COCOCHI FIRST PROJECT(ココチファースト プロジェクト)グランセンチュリー鴻巣」

 飯田グループのパラダイスリゾートが分譲中の「COCOCHI FIRST PROJECT(ココチファースト プロジェクト)グランセンチュリー鴻巣」を見学した。鴻巣駅から徒歩5分のエリア最大級の全337戸で、同社のマンション規模でも過去最大。価格は3LDKで都心のワンルーム並みの安さで、設備仕様レベルの高さが際立っている。

 物件は、JR鴻巣駅から徒歩5分、鴻巣市本町5丁目の商業地域、近隣商業地域(建ぺい率80%、容積率400%・200%)に位置する敷地面積約6,113㎡、15階建て全337戸。先着順で分譲中の住戸(12戸)の専有面積は58.83~88.44㎡、価格は3,998万〜6,428万円、坪単価は225万円。設計・監理は谷口建築企画一級建築士事務所、施工はファーストコーポレーション。竣工予定は令和7年2月下旬。販売代理は長谷工アーベスト。

 現地の従前はパチンコ屋。敷地東側の旧中山道と西側の道路に接道。建物は南東向き、南西向き中心に一部東向きの3棟構成。

 主な基本性能・設備仕様は、ダブルアウトフレーム、二重床・二重天井、リビング天井高2400ミリ(7~10階)、2450ミリ(3~6階)、2500ミリ(1~2・11~15階)、ディスポーザー、食洗機、床暖房、フィオレストーンキッチン天板・側面、ユーティリティシンク、コンクリ仕上げ隔て板、タイル張り玄関壁、タンクレス「アラウーノ」、本革仕上げドアノブ、浴室タオル掛け2か所、ラクセスキ―、5基エレベータなど。共用施設は2か所エントランス・ラウンジ、ゲストルームなど。

 同社不動産部部長・田中大介氏は、「お客様に満足していただき、地域の活性化にも貢献しようと、デザイン、スペックなどに徹底してこだわった。外壁タイルやバルコニー手摺ガラスなどは数十色、エレベータは5基、玄関壁はタイル仕上げ。ドアノブには本革を採用した。販売事務所には仕上がりを体感していただけるコーナーを設けた」と語った。

 販売代理の長谷工アーベスト東京支社販売第二部門販売一部エリアマネージャー・田口恒平氏は、「地元周辺だけでなく、千葉や神奈川からも集客できており、工事用のシートが外され、印象的な外観が見られるようになった1か月前から反響は増えている。郊外マンションにはありえない、至れり尽くせりの仕様レベルで、販売のし甲斐がある」と話した。

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モデルルーム

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本革製のドアノブ

◇        ◆     ◇

 年内に郊外マンションを一つくらいは見ておきたいと考え、同社に無理を言って見学が実現した。同社のマンションを見学するのは、2年前の「調布」以来だ。

 不安もあった。「調布」は設備仕様レヘルが高かったのだが、その後、建築費などの高騰で単価は著しく上昇し、その一方で設備仕様レベルはどんどんダウンしている。食洗機がオプションになり、床暖房はなくなり、天井高は下がり、あろうことか浴室のタオル掛けまで外されているのが現状だ。「鴻巣」も〝右に倣え〟になっているのではないかという不安だった。

 それは杞憂であったことがすぐ分かった。主なスペックは上段で紹介したが、その典型例は本革仕上げのドアノブだ。以前は高額マンションに当たり前のように採用されていたが、最近はほとんどなくなった。せいぜい人工皮革だ。ななにも郊外マンションのドアノブに本革を使用しなくてもという感がしないではないが、それが同社のこだわりだ。

 「鴻巣」については記者もよく知らなかったのだが、市内には①1分間に打ちあがる尺玉以上の花火数②高さ7m、31段のピラミッドひな壇③川幅2,537mの荒川④荒川河川敷のポピー畑面積⑤長さ1,110mの水管橋の長さ⑥マリーゴールドの出荷額⑦プリムラの出荷額⑧サルビアの出荷額-8つの日本一があるそうだ。

 同社の2024年3月期決算は、売上高19,937百万円、営業利益3,094百万円(営業利益率15.5%)、経常利益2,928百万円だ。飯田グループでの同社の位置づけがどうなっているのかわからないが、異色の存在だ。今後の展開に注目したい。

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旧中山道側からの現地

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西側からの現地

大激戦地で販売好調デベロッパーの良心を見たパラダイスリゾート「調布」(2022/5/22)

在宅ワークもいいが籠りスペースに最適かケイアイスター「HANARE 禅」付き戸建て(2021/12/17)

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 三井不動産レジデンシャルは12月19日、楽しみながら持続的にCO2削減が行える新築マンション向けアプリサービス「くらしのサス活」を過去に分譲したマンションへも同日から提供を開始したと発表した。

 同サービスは、東京電力エナジーパートナー、ファミリーネット・ジャパン、東京ガス、三井住友銀行とともに2024年4月から新築マンション向けに開始したもので、住戸ごとのCO2排出量・削減量を見える化し、削減量や関連イベントへの参加に応じてポイントを提供し、獲得ポイントは各種特典と交換でき、気軽に楽しくCO2削減に取り組むことができる。

 アプリを活用している家庭は、一般的な家庭に比べ約21%の想定CO2削減効果が確認されている。

 今回のサービス提供により、すでに提供済の新築マンションおよび過去分譲済マンションを含めた利用可能な対象世帯数は24万世帯以上となる。

 

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Hmlet 池袋(ハムレット池袋)」

三菱地所レジデンスは1220日、家具・家電付きCo-Living賃貸マンション「Hmlet 池袋(ハムレット池袋)」が竣工したのに伴うメディア向け内覧会を行った。同シリーズで初めて用地取得から企画まで手掛けた物件で、何と比較していいかわからないが、一般的な賃貸マンションよりハード・ソフト両面のレベルははるかに高い。この事業は間違いなく伸びると改めて思った。

内覧会で同社投資アセット企画開発部グループリーダー・藤田景一氏は「この事業部は8年前に参入した分譲、賃貸とは異なる別領域。Co-Living事業は、有料老人ホーム、学生マンションとともに3本柱の一つ。202410月時点で51拠点1ね028室を運営しており、わが国の賃貸住宅市場にはない中間領域の月額2050万円の外国人を中心とする新たな市場を開拓する」と話した。

物件は、池袋駅(C6出口)から徒歩7分(池袋駅から徒歩14分)、豊島区池袋4丁目の劇場通りに面した敷地面積約214㎡、11階建て全28戸。専用面積は27.58㎡(1K8戸)・34.78㎡(8戸)・39.05㎡(1LDK10戸)・59.72㎡(2LDK2戸)。賃料は183,000(坪賃料約23,000円)~438,000円(同25,000円)。竣工は20241213日。施工は松尾建設。設計・監理はSHOW 建築設計事務所。事業主は三菱地所レジデンス、運営はHmlet Japan

Airbnbが提供する日割り予約対応の部屋も用意しているほか、スマホアプリやスマートスピーカーを使って住設機器・家電などのIoT機器をまとめて操作・管理できる総合スマートホームサービス「HOMETACT」を導入する。

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リビング(右はソファーベッド)

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        ◆     ◇

 立地条件、敷地規模・形状(間口が狭い)などからして同社の分譲マンション「ザ・パークハウス」とは比べられないし、賃貸マンション「ザ・パークハビオ」よりはややレベルは落ちると思ったが、一般的な賃貸マンションとは比べようもなくレベルは高い。採光、窓面は多く、リビング天井高は2500ミリ(サッシ・ドア高は確認しなかったが、1800ミリではないはずだ)、浴室タオル掛けは付いており、収納扉はソフトクローズ機能付きだ。専用面積を最少27㎡確保しているので、居室の独立性が確保されている。

 単に、周辺の賃貸相場と比べると約1.62倍ということだが、約31㎡のラウンジが付いており、そして何よりも入居者イベントとして日本文化体験、アートバー、料理などの文化系、Language ExchangeMeet-upなどのキャリア系、バスケット、卓球、ボルダリング、皇居マラソンなどのスポーツ系イベントに力を入れている、この価値は高い。

 入居者属性が面白い。男性、女性の比率はほぼ半々、年代は2030代が75%強で、国籍はアジアが29%(日本除く)、日本が26%で、ヨーロッパ22%、北米14%と続く。アジアは中国が圧倒的多数を占める。年収は1,000万円超が最多で31%、そのほかはかなり幅が広い。

 記者は26%を占める日本人の英語力に興味があったので質問した。同社関係者は、「国籍は日本だが、中身は外国人」と話した。「中身は外国人」というのは、外国に羽ばたこうと考える人かと思ったが、そうではなかった。日本語が話せない帰国子女などがかなり多いという。また、2国間を股にかけて活躍しているビジネスパーソンなども多く、日本人の大半(約8割)は英語など外国語を話せるそうだ。

「世界で戦えるスタートアップ支援」常識超えたレイアウト CIC Japan勉強会(2024/12/17)

社内起業第一号 シェア型賃貸×コワーキング「TOMORE(トモア)」開発 野村不(2024/11/13

フレキシブル住宅市場 現在3~4%⇒2030年には15%へ 三菱地所イベント(2024/10/4

家具付きマンション運営会社Blueground Japan社長は野球部の横手氏三菱地所(2024/10/1

 

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 国土交通省は12月20日、第3回「社会資本整備審議会住宅宅地分科会マンション政策小委員会」(委員長:齊藤広子・横浜市立大学国際教養学部教授)を開催し、各委員がマンションの維持管理の適正化や再生の円滑化に向けた取組みの強化など「とりまとめ(案)」に向けた意見交換を行った。

 国交省は今回の論議を踏まえ、小委員会とりまとめ(案)についてパブリックコメントを実施し、2024年2月7日の第4回マンション政策小委員会でとりまとめに向けた審議を行う。

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 記者はオンラインで視聴したのだが、操作を間違え、音声のみで齊藤委員長ほか各委員の顔・姿は見えなかった。視聴する目的は、だれが何を発言するかであって(記者は齊藤委員長のきれいな声と一部の委員の声は判別できるが)、各委員の顔が見えなければ取材の目的は達成できない。これが残念だった。すべて記者の責任だ。

 それでも各委員の意見はよく理解できた。管理会社管理方式では利益相反が取り上げられたが、手続き・契約をしっかりすれば利益相反は防げるのではないかと楽観的に考えるようになった。管理会社管理方式の1戸当たり負担額は中古マンションで1,000円/月が相場のようだから、これは加速度的に普及するのではないか。国交省は総会の前にきちんと説明することを義務化し、変更時(リプレイス)や利益相反に該当する事案も同様の扱いをすると説明した。(現状ではどんぶり勘定が多いはずだ)

 この方式を採用する場合、監事の役割が増すとして、「とりまとめ(案)」はマンション管理士などの外部専門家の選任が望ましいとしているが、これはどうか。億単位の財産を左右する重要な決定に、マンション管理士は安値で受託しないと思うし、適正な報酬額などはじき出せないのではないか。利益相反が発覚したら、重い責任を管理会社に課すほうがいいのではないか。

 注目すべき発言もあった。戎正晴委員(弁護士・明治学院大学法学部客員教授)は、区分所有法などは区分所有者の居住を前提としており、「居住しない(不在所有者)の責任はあいまい。責任を放棄している」とまで語った。この「責任放棄」はどういう意味かよくわからない。あとでゆっくり考えることにした(法は居住しないといけないとは規定していない)。それより、反社勢力を排除しているように賃借人などとして実際に居住している人の権利・義務を明確にすべきだと考えている。(マンション管理の両輪であるコミュニティ条項を削除したのは問題だったといまでも思っている)

 これも戎委員だったと思うが、「管理所有」の是非を指摘した。鋭い指摘だと思った。実態を記者は知らないが、かつてライベックスは学生マンションの共用部分を自社所有として登記したが、同社が破綻して問題になったことがある。また、駐車場を事業者が区分所有している事例も少なからずあるはずだ。国交省は実態を調査する旨の発言をされた。どうなるか。

 一定の基準を満たすマンションの管理計画を認定する制度(マンション管理計画認定制度)についても、各委員から意見がたくさん出された。記者は、マンション管理業協会が取り組んでいるマンション管理適正評価制度との統一を図るべきだと思っている。認定制度は令和6年11月現在で1,523件しか認定されていない。一方で、適正管理制度は、令和6年度末までに10,000件の登録を目指している。記者は大きな期待を寄せている。間違いなく市場で評価されるはずだ。齊藤氏はそれを実証した。

 このことと関連するが、「とりまとめ(案)」は地方自治体の体制・権限強化の方向性を示したが、これはマンション管理に関する専門家を育成して初めて機能することだ。そんな余裕のある自治体があるとは思えない。記者は、機能不全に陥る前に国なり自治体が買い取り、住宅困窮者などに低家賃で賃貸すべきだと思っている。

マンション管理適正評価最終コーナーへ「たった1割」「ちょうど1割」達成なるか(2024/11/15)

「管理者と管理業者は構造的に利益相反の関係」香川弁護士旭化成不レジ基調講演(2024/8/23)

大和ライフネクスト第三者管理者方式既存中心に76組合受託 2026年に200組合へ(2024/5/22)

第三者管理者方式徴収額は月額1,000~2,000円/戸マンション管理協(2024/5/16)

マンション管理会社 3割が投資用中心に第三者管理者方式導入国交省(2023/12/26)


 

 

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「プラウドタワー岡山」

 野村不動産、JR西日本不動産開発は12月19日、参加組合員として参画している岡山市駅前の市街地再開発事業マンション「プラウドタワー岡山」第1期164戸の抽選販売を12月7日行った結果、最高価格3億6,998万円の住戸を含み、最高8倍、平均2.15倍で即日完売したと発表した。

 JR岡山駅徒歩3分の再開発という立地に加え、免震構造、長期優良住宅などか評価され、申込者は約7割の地元岡山だけでなく首都圏や関西圏からの申し込みもあったという。

 物件は、JR岡山駅から徒歩3分、岡山市北区駅前町に位置する敷地面積約3,249㎡、31階建て全422戸(分譲367戸)。竣工予定は2026年4月下旬。専有面積は44.92~193.87㎡。坪単価は355万円。

 この他、再開発事業として16階建てのホテル棟(ホテル・商業施設・オフィス)と7階建て(1階がアミューズメント施設)が併設される。

◇      ◆     ◇

 毎日、各社からプレース・リリースは20本くらい届く。この日(19日)、同社からリリースが届いたのは午前中だったが、リリースをチェックしたのはかなり酔っぱらっていた午後9時前だった。第1期の供給戸数の多さと競争倍率に驚いた。

 記者は20年くらい前、減歩率が97%という前代未聞の広島県福山市郊外の土地区画整理事業「佐賀田土地区画整理事業(あしな台)」(19.5ha、342区画)を取材した帰りに、倉敷市に立ち寄ったことはあるが、岡山駅には一度も降りたことがない。20ある政令指定都市の中でも人口は下位(19番目)くらいしか知らない。

 そのままコピペして記事化しても「か・ち・は・な・い」ので、坪単価を聞いてからアップすることに決めた。同社広報担当者に「牧田さんは、いくらだと思いますか」と問われたので、320万円と応えた。根拠として、大阪の「グラングリーン」の坪単価1,000万円を基準にし、札幌、仙台、福岡などは坪400万円を突破していることを勘案し、1,000×半値×8掛け×2割引きとした。320万円になる。(事業者と岡山県民の皆さん、申し訳ない。低く評価しすぎたか)

 正解は上段で書いた通り。予想は外れた。まあ、大きくは外さなかったので良しとしたのだが、大和ハウス工業他「ONE札幌ステーションタワー」(坪単価400万円、1億円以上は130戸)が2021年11月から1年9か月で全542戸を完売したのと同じくらい〝プラウド〟はすごい。

 

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「都県境の家賃が安い駅ランキング」

 記者もそうだし読者の皆さんもそうだろう。住居を移すとき必ず考えるのは、勤務地にもよるだろうが、転居先が都心に近いかどうかだ。都心から離れるのは、何の根拠もないはずなのに「都落ち」のイメージが付きまとい、決断を鈍らせる。

 デベロッパーもまた都心志向が強く、「日本橋」や「大丸有」が東京のわが国の中心地であるかのイメージを植え付け、そこを起点に価値(価格)を測る。メディアもまたそれに追随している。

 そんなモノサシより、子育て環境、緑環境を重視したモノサシがあっていいとずっと考えているのだが、昨日(12月18日)、「LIFULL HOME'S 2025年トレンド発表会」が考えるヒントを与えてくれた。「ずらし駅」だ。家賃が高いターミナル駅、特急・急行停車駅の前後の、家賃が安い各駅停車駅に目線を移せば家賃負担額を減らせることに着目したものだ。

 同社が示したデータは、ポータルサイトへの問い合わせ件数のみの比較なので、賃貸住宅選びにはいま一つ説得力に欠ける。そんなことを同社広報担当に話したら、東京から「日吉」へ「都落ち」したという担当者が「都県境の家賃が安い駅ランキング」を発表しているというので、リリースを送ってもらった。

 リリースは2024年9月11日付で、家賃を抑えながら都内へのアクセスの良さの両立もできるのではないかということに着目。東京都と隣接する神奈川県、埼玉県、千葉県の間を走る30以上の鉄道路線に注目。各路線においてギリギリ都内に位置する“ギリ都内駅”と一駅で都内に行ける“ほぼ都内駅”を「都県境の駅」として単身向け家賃相場を調査し、差額の大きい順にランキング化したもの。

 以下に紹介する。とても面白い。やはり家賃相場にも「都落ち」の影がちらつく。

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 神奈川県は、「川崎」「武蔵小杉」「古淵」がベスト3。それぞれ「品川」「大崎」「町田」と比較した結果だ。分譲マンションは、川崎も武蔵小杉もずいぶん高くなり、城北・城東エリアと同等かより高い。古淵はマイナーなイメージしかない(ネットで調べたら「日高屋」はなく「ドトール」は昨年閉店、「マクドナルド」は徒歩15分=この〝御三家〟は街のポテンシャルを測る物差しになることを同業の記者に教わった)。

 ベスト10のうち4駅が京王相模原線だ。これまで何度も書いてきたように京王線は他の沿線と比較してものすごく割り負けしている。わが多摩センターの新築マンションの坪単価は神奈川、埼玉、千葉の遠隔地と同じ250万円だ。さすがに残りはわずかのようだ。

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 埼玉県は、「戸田公園」「浦和」「和光市」がベスト3。それぞれ「浮間舟渡」「赤羽」「地下鉄成増・成増」との比較だ。浮間舟渡はなにもない街で、それより戸田公園が安いのはよくわからない。赤羽と浦和の比較では、記者は圧倒的に浦和が上位だと思う。和光市の街のポテンシャルは地下鉄成増・成増よりむしろ高いと思う。

 アルヒが〝本当は住みやすい街〟として1位に祭り上げた「川口」が8万円で、浦和の7.7万円より高いのは理解できない。「都心志向」の典型だ。

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 千葉県は、「市川」がトップで、2位は「松戸」、3位は同率で「小岩」「江戸川」。それぞれ「新小岩」「金町」「市川」「国府台」との比較だ。

 新小岩は総武線快速が停まるので高いのだろうが、市川より4,500円も高いのがよくわからないし、逆に小岩が市川より1,000円安い72,000円というのもよくわからない。つまり、新小岩と小岩は5,500円の差がある。「ずらし駅」が当てはまるかもしれない。

 試しにChatGPTに「駅の近く(5分以内)に『日高屋』『ドトールコーヒー』『マクドナルド』が全て揃っている埼玉県の駅を教えてください」と質問したら、わずか3駅しかなかった。まだそんなテータは蓄積されていないようだ。

2025年トレンドはデコ活・地方億ション・ずらし駅・防犯投資などLIFULL HOME'S(2024/12/18)

カテゴリ: 2024年度

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記憶にないくらい久しぶりに、フリーペーパー「SUUMO新築マンション 首都圏版」の年末号「2030年の首都圏は? 東京23区未来予想図」を持ち帰った。重いのなんの。計ったら950960グラム。ページ数は744ページ。しかも上質紙でオールカラー。普通の雑誌だったら原価だけでも千円以上はする。無料で配布できるのはマンションのWEB広告などと抱き合わせだからだそうだ。コストは物件価格にオンされるのだろう。

さすがSUUMOだ。その前身「住宅情報」が発刊されたのは1976年だ。記者はそのころ、どうして不動産協会や都市開発協会、日本住宅建設産業協会(現全国住宅産業協会)などは共同の住宅購入相談所を設けないのだろうと考えていた(不動産協会は銀座・そごうに一時設置していたが)。

その後、読売新聞社が「住宅情報」に対抗するように住宅情報誌を発刊したが、長続きしなかった。差別化ができなかったからだ。現在のSUUMO事業を展開するリクルートホールディングスの20233月期の売上高は34,164億円で、SUUMOなどの住宅分野を含むマッチング&ソリューション事業の売上高は8,078億円だ。SUUMOだけでも売上高は1,000億円超と言われている。

年末版は、「住宅情報」時代と同じ「不動産会社ガイド」が中心に編集されている。紙面の大半を占める。今年は42社が掲載されていた。

最初に登場したのは三井不動産レジデンシャル、次はタカラレーベンで、日鉄興和不動産、相鉄不動産/相模鉄道、長谷工グループ…と続く。アイウエオ順ではない。ページ数順だった。三井レジは最多の40ページ、タカラレーベンは30ページで、もっともも少ない見開き2ページのブリスなど3社が一番後ろ。

掲載会社を見て、供給上位の会社が漏れていることに気が付いた。三菱地所レジデンス、住友不動産、オープンハウス、飯田グループ、モリモト、大和地所レジデンス、明和地所、日本エスコンなどのデベロッパーに住友商事、丸紅の商社、東武鉄道などの鉄道会社(系)などだ。まあ、しかし、42社なら首都圏マンション市場の7割くらいを占めるのだろうと計算した。

その一方で、電鉄(系)の〝攻勢〟が目立つ。東急、小田急、相鉄、京急、名鉄、近鉄、阪急阪神、京阪電鉄、西鉄など全42社の約2割を占める。首都圏電鉄会社で掲載されていないのは東武、西武、京王、京成の4社だ。

これらの会社の沿線は同業他社やデベロッパーのマンションの〝草刈り場〟になっており、総じて地価・マンション価格が低く、街のポテンシャルもいま一つだ。ひとえに、沿線の価値向上に取り組んでこなかった電鉄会社の責任だ。

        ◆     ◇

 しかし、消費者にとってはこれら〝割り負け〟沿線はいいこともある。デベロッパーに価格下げ圧力がかかっているからだ。SUUMOの絞り込み条件から「東京都」「60㎡以上」「4000万円未満」(坪単価200万円)で検索したら17件がヒットした。これに「神奈川県」26件、「埼玉県」34件、「千葉県」37件、「茨城県」10件を合わせると124件ある。この124件のうち圧倒的多数は〝割り負け〟沿線とJRだろう。

 これから分譲されるマンションは、どのような遠隔地でも坪単価200万円以下、つまり20坪で4,000万円以下はありえない。不動産に掘り出し物はないと思うが、〝住めば都〟だ。いい物件が見つかるかもしれない。

 SUUMOと他のマンションポータルサイトにお願いだ。AIを駆使し、購入検討者の属性、ライフスタイルに応じたセカンド・オピニオン機能を付加することだ(どこかやっていないか。SUUMOカウンターがその役割を果たしているのか)。検索条件に「日高屋」「DOOTOR」「マクドナルド」の御三家を加えてはどうか。「喫煙可」も必要かもしれない。レポーターなる人の記事(広告)は即刻やめるべきだ。

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