都心3区の成約件数は首都圏全体の7% 成約価格は全体の17% 東日本レインズ
東日本レインズのデータは、首都圏中古マンション坪単価はすさまじい勢いで上昇し続けていることを示している。
ただ、首都圏をエリア別にみると、東京都心3区(千代田区、中央区、港区)の価格高騰が全体の価格を引き上げており、郊外はそれほど上昇していないことも分かる。この1年間のエリア別坪単価の推移を別表・グラフに示した。
これによると、首都圏全体では2025年1月の中古マンションの坪単価は270.2万円で、前年同月比7.8%上昇している。エリア別にみると、都心3区は722.9万円(前年同月比30.8%増)、東京都区部407.8万円(同13.7%増)、東京都多摩185.5万円(同4.5%減)、神奈川県194.4万円(同1.1%増)、埼玉県139.7万円(同2.5%減)、千葉県136.3万円(同4.9%増)となっている。
もう少しデータを詳しく見ると、都心3区の成約件数は218件で首都圏全体の成約件数に占める割合は6.7%、平均成約価格は13,275万円で首都圏全体の成約価格に占める割合は17.3%になる。
この数字をどう見るかだが、記者は都心部の一等地は坪1,000万円どころか2,000万円、3,000万円に上昇すると見ているので、中古マンションはその7掛けとして現在の価格はわからないでもない。一般的な取得層の取得限界ははるかに超えているが、市場とはそのようなものだ。投機的な需要が価格を押し上げるのは十分理解できる。得をするのか損をするのか、それはわからない。
郊外はどうか。新築マンションは土地代がタダでも坪単価は200万円を突破しつつある。記者は、一般的な需要層の購入取得限界は坪250~300万円とみている。現在の住宅ローン金利水準が継続されればという条件はつくが、相対的に賃貸住宅の賃料が高く、面積を中心とする質の向上も期待できない現状を考慮すると、現在の中古マンションの坪単価はまだ上昇の余地があると見ている。
課題は、中古マンションの断熱性能を引き上げることと、管理組合運営を理事会方式から管理業者管理方式に切り替えることで、組合員の負担を軽減することではないかと考えている。
買取再販業者には、水回りのリフォームだけでなく、窓ガラスの断熱性能を高めてほしい。断熱フィルムを張るとか、断熱ガラスに改修すべきだと思う(区分所有法、標準管理規約上も可能になっている)。
管理業者管理方式の採用については、利益相反を懸念する声もあるが、仮に管理業者がそのようなことを行ったら、その会社だけでなく親会社、業界の大問題に発展する。そのような愚は冒さないはずだ。管理会社と組合のWin-Winの関係は構築できるはずだ。報酬(組合員の負担)も相場とされる1,000円/月というのも理事の負担を考えれば妥当な金額ではないか。
2025年1月の中古マンション・戸建ての約件数は2けた増東日本レインズ(2025/2/11)
2025年1月の中古マンション・戸建ての約件数は2けた増 東日本レインズ
東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は2月10日、2025年1月の首都圏不動産流通市場動向をまとめ発表した。
中古マンションの成約件数は3,242件(前年同月比19.6%増)、坪単価は270.2万円(同7.8%増)、価格は5,147万円(同5.9%増)、専有面積は62.86㎡(同1.7%減)。成約件数は2ケタ増で、3か月連続で前年同月を上回った。成約単価は20年5 月から57か月連続で前年同月を上回り、成約価格は3か月連続で前年同月を上回った。
中古戸建の成約件数は2,279件(同33.0%増)、価格は3,785万円(同0.5%減)、土地面積は144.73㎡(同1.8%増)、建物面積は103.29㎡(同0.3%増)。成約件数は前年比大幅増となり、3か月連続で前年同月を上回った。
わが国初の大規模建築物 最高ランク「ZEH-M」東京建物「Brillia 深沢八丁目」竣工
「Brillia 深沢八丁目」(写真提供:東京建物株式会社)
東京建物は2月10日、4ランクに設定されているZEH-M(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス・マンション)の最高ランク『ZEH-M』(※1)を取得している、日本で初めて竣工した大規模建築物(※2)「Brillia 深沢八丁目」のメディア向け内覧会を行った。東急田園都市線桜新町駅から徒歩9分の期間70年の定期借地権付き3階建て全38戸で、高い省エネ・再エネ・創エネの取り組みを行うことで、住棟全体で101%、住戸ごとで114%一次エネルギー消費量削減率を達成している。
物件は、東急田園都市線桜新町駅から徒歩9分、世田谷区深沢八丁目の第一種低層住居専用地域に位置する敷地面積約2,938㎡、延床面積約3,412㎡、3階建て期間70年の定期借地権付き全38戸 (一般分譲販売戸数37戸、提携企業優先住戸1戸)。現在先着順で分譲中の住戸(3戸)の専有面積は70.82~74.59㎡、価格は12,298万円~14,898万円、既分譲の坪単価は623万円。2月分譲予定の第2期4次以降(戸数未定)の専有面積は63.88~134.15㎡、予定価格は10,700万円台~29,900万円台。建物は2024年12月に完成済み。設計・施工は大末建設。デザイン監修は牛込昇建築設計事務所。
主な基本性能・設備仕様は、『ZEH-M』認定、CASBEE Sランク、BELS★5、東京都マンション環境性能表示★15(満点)、低炭素住宅認定、リビング天井高2450ミリ、フィオレストーンキッチン天板、食洗機、ディスポーザー、カップボード、ミストサウナ、タオル掛け2か所、全熱交換器、アルミ樹脂複合サッシ、アルゴンガス入りLow-E複層ガラス、エネファームなど。
これまでの来場者数は310件。30代から60代まで幅広く、面積が広く高額住戸を検討している人ほど『ZEH-M』など環境配慮を高く評価しているという。昨年5月から販売を開始しており、成約件数は21戸。
竣工内覧会に臨んだ同社執行役員住宅事業第二部長・佐林繁氏(57)は「当社は2018年の『弦巻』をはじめ『聖蹟桜ヶ丘』『自由が丘』などでZEH-Mの取り組みを行ってきており、新たに14棟のZEH-Mが竣工する(累計26棟)。これまで分譲マンション購入検討者には『ZEH-M』という選択肢はなかったが、今回の『深沢八丁目』は分譲業界全体のベンチマークとなるのではないか。今後も特徴のあるマンションを供給していく」と語った。
国のZEH-Mの定義では、一次エネルギー消費量削減率に応じて『ZEH-M』、Nearly ZEH-M、ZEH-M Ready、ZEH-M Orientedの4ランクに分けられており、年間の一次エネルギー消費量の収支を正味ゼロ以上とする『ZEH-M』はその最高ランクとなっている。
今回の物件は、屋上に366枚の太陽光パネルを設置し、「断熱等性能等級6」を全住戸(一部中住戸は「等級7」)で取得するなど高い省エネ性能と、燃料電池「エネファーム」による創エネを組み合わせることで、住棟全体で101%、全住戸114%の一次エネルギー消費量削減率を達成している。この結果、一般的な省エネ基準の住戸と比較して年間で111,000円(月平均約9,200円)の光熱費削減が見込まれる。
また、従前の土地利用が幼稚園(日体幼稚園)だったことから、砂場の砂から作成したアート作品や世田谷区の保存樹木であったアカマツから作成したアート作品など、4名のアーティストによるアート作品を共用部に設置。「廃食油」を回収しリサイクルする取り組み「すてないくらしプロジェクト」に加え、空間デザインの力でゴミ分別や衛生環境の課題解決を目指した「通いたくなるゴミ置き場『GOMMY』」を採用している。
※1 4ランクの最上位を『ZEH-M』と表記
※2 建築物省エネ法における大規模建築物(延床面積2,000㎡以上)での区分で、同物件は2024年12月竣工、もっとも早く竣工した
太陽光パネル(写真提供:東京建物株式会社)
共用部アート(写真提供:東京建物株式会社)
共用部アート(写真提供:東京建物株式会社)
中庭の植栽
外構(下部の石はフェイクかと思ったら本物の玄武岩だった)
左から同社住宅事業第二部 事業推進グループ課長代理・西池拓人氏、佐林氏、同社住宅エンジニアリング部 建築企画1グループ グループリーダー・幸地浩一郎氏
「Brillia 深沢八丁目」メディア向け内覧会
◇ ◆ ◇
最高価格の29,990万円(134㎡、坪単価736万円)のモデルルームを見た瞬間、同社の最高級ブランド「ロワ・ヴェール」を思い出した。同社が億ション市場に参入したのは1989年(平成元年)で、ブランド名は「ロワ・ヴェール」だった。ところが、その翌年にバブルがはじけたため「ロワ・ヴェール」は数物件しか供給されなかった。
なぜ、その「ロワ・ヴェール」を思い出したかといえば、当時の「ロワ・ヴェール」に今回と同じアイランドキッチンが採用されていたからだ。
当時のキッチンカウンターは御影石で、全体的に設備仕様レベルは高かったが、今回の住戸のデザインは白が基調でとてもいい。玄関・ホールは10畳大近くあった。
坪単価は、所有権なら坪単価800万円とはじき、定借だから8掛けとして640万円と予想したが、その通りとなるのではないか。
ファサードデザインもいい。邸宅街にふさわしい重厚で硬質な磁器質タイルを多用し、敷地内にあったサクラ、アカマツ、瓦、石などを内装やアートに取り込んでいる。
肝心の『ZEH-M』の威力は体感することができなかった。資料では外気温が-1.9℃、エアコンの吹き出し22℃の設定で、室内温度は断熱等性能「等級7」(深沢)が20℃以上、「等級5」がほぼ19℃以下、「等級4」がほとんど18℃台であることが示されている。しかし、この日の外気温は10℃を上回っていたはずで、その温度差を体感できず、エアコンを使用していない居室、廊下、トイレなどの気温は20℃あったような気もしたが、何度かは確認できなかった(エアコンは25℃に設定されていた)。
今後分譲される2期4次以降は完成した建物内で案内されるはずなので、その良さが分かるのだろう。
309号室(写真提供:東京建物株式会社)
309号室(写真提供:東京建物株式会社)
309号室(写真提供:東京建物株式会社)
◇ ◆ ◇
今回の取材の目的の一つに、佐林氏が何を話すかがあった。約30分間のプレゼンテーション(説明)は完ぺきだった。プレゼンはかくありきの見本だと思った。基本的には用意した資料を読みながら話したのだが、一語一語、ゆっくり話したのでとても分かりやすかった。
この落ち着いた話し方を聞きながら、2つのことを思い出した。一つは、同社のマンションブランド「Brillia(ブリリア)」についてだ。同社がマンションブランドをそれまでの「東建ニューハイツ」「プランヴェール」「Brillia(ブリリア)」、最高級「ロワ・ヴェール」などから「Brillia」に統一したのは2003年だった(野村不動産が「PROUD(プラウド)」を立ち上げたのは2002年)。
当時、東建はもちろん大手デベロッパーだったが、マンションブランドとしては〝並〟でしかなかった。その〝並〟のブランドを劇的に変えたのが「Brillia」だが、佐林氏はその統一・立ち上げの中心的な役割を担っていた。
いまさら「Brillia」の実績紹介もないだろうが、マンションの歴史に名を刻んだ「Brillia Tower 池袋」(2013年竣工)、「Brillia Towers 目黒」(2017年竣工)、「Brillia Tower 堂島」(2024年竣工)の記事を添付する。ぜひ読んでいただきたい。同社のマンション供給は多くはないが、業界全体を変える力を持つ物件を時々供給するから、目が離せない。
この日(10日)、記者はこの間の感想と今後の展開について質問した。佐林氏は「『Brillia』の第一号を供給したのは2001年だから、20年以上が経過した。感慨深いものがある。社員一人ひとりがいいものを届けようと取り組んできた結果が実を結んだ。当社の供給戸数は多くはないが、都市部を中心に特徴のある、いいものを今後も供給していく」と語った。
もう一つは、佐林氏が同社の野球部エースとして活躍したころのことだ。皆さんは、平成元年のドラフト指名で読売巨人から3億円という破格の契約金を提示されながら〝野球は趣味で〟との名言を残して三井不動産に入社した志村亮氏(現在、三井不動産リアルティ常務執行役員)をご存じか。
志村氏は三井不に入社後、RBA野球大会でも獅子奮迅の活躍をしたのだが、佐林氏も負けていなかった(志村氏は慶大卒の左腕で、変化球のキレが桁違いで、佐林氏は早大卒の右腕で速球が持ち味だった)。
そしてまた面白いのは、志村氏と慶大時代にバッテリーを組んでいた髙橋浩氏が東建に入社したことだ(現在、常務執行役員)。佐林氏と高橋氏が黄金バッテリーを組んだのだが、当時の東建の攻撃力・守備力はマンションと同じ〝並〟だった。拙攻・拙守で負ける試合が続いた。それでも佐林氏はナインを責めることはしなかった 。
この日のプレゼンで佐林氏は〝一人ひとり〟を強調した。仕事もまた野球と同じ、チームワークが大事で、一人では勝てないことを学んできたからだろうと思った。皮膚にたるみはやや見られたが、体型はこの前お会いした志村氏と同じ、全く崩れていなかった。
36年のRBA野球大会の歴史の中で、同社の最高記録は佐林-高橋バッテリーが活躍した平成5年の第5回大会に樹立したベスト4だ。この記録は現在も突破されていない。がんばれ東建!
佐林氏
数少ない東建の〝ヴィンテージマンション〟コスモスイニシアのリノベ「学芸大学」(2024/9/9)
大阪の市場を劇的に変えた東京建物&HPL「ONE DOJIMA PROJECT」竣工(2024/5/18)
積水ハウスわが国初全戸ZEH対応「グランドメゾン覚王山菊坂町」(2018/1/10)
資料請求18,000件今年前半の目玉マンション東建「目黒」は坪600万円(2015/4/2)
東京建物「Brillia Towers目黒」の坪600万円が意味するもの(2015/4/2)
東京建物他「BrilliaTower 池袋」わずか7週間で全322戸が完売(2013/9/4)
究極の隈研吾マンション 豊島区庁舎と一体の東京建物「Brillia Tower 池袋」(2013/3/19)
2つの老いへの対応 管理業者管理方式など具体策示す 国交省マンション政策小委
国土交通省の社会資本整備審議会住宅宅地分科会第4回マンション政策小委員会(委員長: 齊藤広子・横浜市立大学国際教養学部教授)は2月7日、第4回目の会合を開催。同省は、とりまとめ(案)に関する令和6年12月26日から令和7年1月24日まで行ったパブリックコメントで寄せられた31の個人・団体の意見154件(うち賛成意見11件)を整理し、(案)に盛り込こんだことを報告し、各委員が論議した。(案)は修正を加えたうえで、近く最終とりまとめとして公表される。
パブリックコメントから(案)に反映されたのは、①区分所有者の責務が果たせない場合、行政代執行には行政コストを要する②管理不全マンションの再生の困難性を明示すべき③地方公共団体の権限強化の前提として、マンションが社会的資本であることを明示すべき④区分所有者や管理組合の意識等を高める方策について一層の強化が必要である⑤区分所有者や管理組合の意識等を高める方策について一層の強化が必要である⑥管理業者管理方式は利益相反(自己取引)となることが前提であり、その関係性を正しく記載すべき⑦監事はマンション管理士のほか、弁護士や公認会計士などの専門家も想定される-など。
とりまとめ(案)では、建物と区分所有者の「2つの老い」等が進行し、マンションの管理・再生の両面で課題が深刻化していることから、新築から再生までのライフサイクル全体を見通して、管理・再生の円滑化等を実現するため、①マンション管理適正化を促す仕組みの充実②多様なマンション再生ニーズに対応した事業手法の充実③地方公共団体によるマンション管理適正化・再生円滑化への関与の強化・充実などが盛り込まれている。
(案)に対する各委員からの異論はほとんどなく、齊藤氏は「幅広い論議ができたことを大変うれしく思う」と感想を述べ、今後の取り組みで重要な3つの視点として①マンションは社会資本であり個人資産でもあるので、誤解を生じないようさらに論理的に詰める必要がある②区分所有法の改正を前提とした新制度へ対応するサポーターの人材確保が重要③管理主体者である管理組合の意識を高めるための環境整備と実態把握に努めることが重要などと述べた。
国交省住宅局長・楠田幹人氏は、昨年11月から短短期間で最終とりまとめを行った各委員の労をねぎらったあと、「建物と居住者の二つの老いに象徴されているように、マンションには様々な課題を抱えている。良好な居住環境を確保するためには、新築段階から再生-解体までの合意形成を円滑に進めることが大事。今回の最終とりまとめを踏まえ、関係機関と連携し、開会中の国会に提出する予定の法案に盛り込んでいく。今後とも様々な課題解決のため継続して論議していただきたい」と語った。
管理会社管理方式、自治体の体制強化など論議国交省・マンション政策小委員会(2024/12/20)
職住一体型の賃貸「The Parkhabio SOHO」第5弾 三菱地所レジ「関内」
「The Parkhabio SOHO 横浜関内」
三菱地所レジデンスは1月28日、コワーキングスペースを併設した職住一体型賃貸マンションシリーズ「The Parkhabio SOHO(ザ・パークハビオ ソーホー)」の第 5弾「The Parkhabio SOHO 横浜関内」の募集を2025年1月16日から開始したと発表した。
約120㎡1階のコワーキングスペースは24時間利用が可能。このほか、主な共用施設は屋上テラス「Sky Lounge」、BBQ ラウンジなど。専用部には18.30㎡と27.36㎡の住戸(各7戸)には住設機器「Roomot MIXINK」を、18㎡の住戸7 戸に壁面収納ベッドを採用。法人登記も可能。また、三菱地所が開発・提供する総合スマートホームサービス「HOMETACT(ホームタクト)」、DXYZの顔認証プラットフォーム「FreeiD(フリード)」、大崎電気工業のスマートロック「OPELO(オペロ)」を初採用する。
物件は、JR京浜東北・根岸線関内駅から徒歩4分、横浜市中区羽衣町2丁目に位置する敷地面積約521㎡、15階建て84室。専用面積は18.30~60.59㎡。竣 工予定は2025年3月上旬。
コワーキングスペース
屋上庭園
収納ベッド「カクセルベッド」
◇ ◆ ◇
「The Parkhabio SOHO」シリーズはこれまで3物件見学している。いずれもレベルはとても高かった。この物件も竣工見学会が行われたら、しっかり見学してレポートしたい。「BathMor」をどうして採用しないのかが不思議。
「その瞬間に、心が弾む」見事に表現 三菱地所レジ「The Parkhabio SOHO 祐天寺」(2023/5/31)
基本性能・設備仕様レベル高い 販売好調に納得 大成有楽不「秋葉原」
「オーベルアーバンツ秋葉原」
大成有楽不動産が分譲中のマンション「オーベルアーバンツ秋葉原」を見学した。同社は先に第1期1次・2次35戸の契約を完了したと発表したので、その人気の秘密を探るのが主な目的だった。道路を挟んで敷地南側は総武線の高架だが、二重サッシを採用して対処している。設備仕様レベルは高い。
物件は、JR・東京メトロ秋葉原駅から徒歩6分、JR総武線浅草橋駅から徒歩5分、台東区浅草橋4丁目の商業地域に位置する14階建て85戸(販売対象住戸71戸)。専有面積は34.64〜73.04㎡、坪単価は600万円。竣工予定は2026年4月中旬。設計・監理は安宅設計。施工は東鉄工業。
現地は、秋葉原駅と浅草橋駅のほぼ中間。敷地西側の清洲橋通りなど三方接道。主な基本性能はZEH-M Oriented、低炭素建築物認定、内廊下方式、二重床・二重天井、リビング天井高2,450ミリ、複層ガラス・Low-eガラス、二重サッシ、食洗機、フィオレストーンキッチン天板、ウルトラファインバブル、ミストサウナ、室内物干し金物、オレンジ・ラボ収納、トイレ・アラウーノなど。
同社マンション事業部部長付・竹田直人氏は「等価交換事業で、地権者の方に喜んでいただける商品企画とし、建築部門とも連携しながら工期などもチェックして進めている。お客さまにも評価されているのでほっとしている」と、同社マンション事業部事業室(第一部)・日下田希氏は「廊下を含めて水回りをタイル張りとし、キッチン天板をフィオレストーンを採用し、間取りも7~9mスパンのワイドスパンにしていることが評価されている」とそれぞれ語った。
天板がフィオレストーンのキッチン
◇ ◆ ◇
取材の主な目的は、このところ台東区でのマンション供給が増えているので市場動向を探ることだった。秋葉原-浅草橋を歩いて見て回ったのだが、同社の物件の隣接地はヘーベルハウス(賃貸)で、三井不動産レジデンシャル、積水ハウス、阪神阪急不動産の建築中の共同住宅があった。
まず、価格(単価)。4~5年前だったら、坪単価400万円がアッパーで、それからするとずいぶん高くなったと感じたが、他も高くなっているのでこんなものか。総武線高架をどう評価するかだが、立地条件は他社物件と比べて同社の物件が一番いいと思った(みんな商業立地だから似たり寄ったりともいえるが)。基本性能・設備仕様レベルも高い。竹田氏と日下田が話した通りだ。
これは、物件と全く関係ないのだが、竹田氏は同社野球部の監督を務めている。部はRBA野球大会にも出場しており、通算成績は26戦し、12勝14敗、勝率.462だ。投手力はいいのだが、野手の高齢化が進み、拙守・拙攻で勝ちきれないのが現状だ。勝てないのはやはり監督の責任だ。人事部と連携し、年に1人くらいは野球経験者を採用したらどうか。
現地
全389戸の90%に可動収納「UGOCLO(ウゴクロ)」総合地所他「柏ディアパーク」
「ルネ柏ディアパーク」
総合地所は1月30日、ZEH-M Oriented、「BELS(ベルス)」5ランク、ABINC認証などを取得している京成電鉄、FJネクストとの共同事業マンション「ルネ柏ディアパーク」の販売を開始したと発表した。
物件は、JR柏駅から徒歩15分、柏市豊四季台1丁目に位置する14階建て全389戸。専有面積は61.98~84.94㎡、価格は4,188万~7,598万円(先着順)。竣工予定は2026年8月中旬。設計・施工は長谷工コーポレーション。
全50タイプ347戸の90%に長谷工コーポレーションが開発した可動収納ユニット「UGOCLO Plus(ウゴクロ プラス)」(2列可動)、「UGOCLO S(ウゴクロエス)」(1列可動)、また新築分譲マンションとして初めて「UGOCLO Half(ウゴクロ ハーフ)」(1列可動・通り抜け可)を採用。共用施設はパーティールーム・マルチラウンジ・ゲストルーム・サウナルーム、スタディラウンジ、ランドリールームなど。管理は外部管理者方式「smooth-e(スムージー)」を採用している。
物を持たない生活提案 三菱地所レジ「Roomot」第5弾「Sotomo」
イメージ図
三菱地所レジデンスは1月30日、多様化するライフスタイルに応じた間取りの改善や自分らしい暮らし方を賃貸マンションシリーズ「ザ・パークハビオ」で提案する「Roomot(ルーモット)」の第5弾「Roomot Sotomo(ルーモット ソトモ)」を「ザ・パークハビオ 日本橋三越前」に導入すると発表した。
「Roomot Sotomo」は、専有空間だけでなく、「外も」もっと活用すれば自由で豊かな暮らし方ができるとし、PacPortが開発したIoT宅配ボックス「Pabbit Locker」サービスを活用し、シェアリングサービスなどと組み合わせ、物を持たない住まい方を提案するもの。
「Pabbit」は、専用アプリ「Pabbit APP」を用い、荷物の伝票番号を認証キーとしてマンションの集合玄関および着床制限付エレベーターのセキュリティを解錠することで、居住者が不在でも「Pabbit Locker」まで配達を可能にする。入居者は「Pabbit APP」を通じて宅配ボックスへの配達状況やシェアリングサービス、サブスクリプリションサービスなど外部サービスにアクセスできる。非対面配送だけでなく、日対面集荷(当面はクリーニング)も可能にする。
「Roomot(ルーモット)」は、2021年の第一弾「MIXINK」をはじめ第2弾「Luxwer」、第3弾「desko」、第4弾「BathMor」を2023年までに発表。今回の「日本橋三越前」には初めて「BathMor」を採用する。
発表会で同社建築マネジメント部長・森島大登氏は「今回の提案は『ルーモット』シリーズ初のソフト面での取り組み。社会情勢やトレンド、ライフスタイルが劇的に変化する中、限られた生活領域をどうしたら確保できるか試行錯誤を行ってきた。専有部分に留まらず外のサービスを上手に活用すれば、自由な暮らしが実現できる」と語った。
「ザ・パークハビオ 日本橋三越前」は、東京メトロ三越前駅から徒歩7分、中央区日本橋堀留町1丁目に位置する敷地面積約385㎡、10階建て全54戸。専用面積は27.86~61.32㎡。竣工予定は2025年3月10日。
森島氏
「ザ・パークハビオ 日本橋三越前」エントランス
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以下は、記者の持論であって今回の同社の発表会とは関係がないことをお断りしておく。
マンション購入者・居住者の不満が収納の少なさにあることから、発表会では収納率について語られた。従来から理想は専有面積の10%以上と言われており、デベロッパーは10%以上確保するよう取り組んできた。10年くらい前までは3LDKの広さは21~22坪(69~73㎡)が標準だった。
現在はどうか。首都圏で分譲される平均専有面積は約20坪(66㎡)まで縮小している。なぜか、理由は簡単だ。用地費・建築費などがどんどん上昇する一方で、購入検討者の収入は上昇してこなかった。デベロッパー各社は専有面積圧縮を図り、天井高を下げたり設備仕様レベルを下げたりして、利益を確保しながら価格抑制を行ってきた(収納効率を上げるため涙ぐましい努力はしているが)。
さて、そこで記者の提案だ。このまま用地・建築費高騰が続けば、デベロッパーは専有面積を広げ、収納率を挙げるようなことはまずしない。となると、購入者・居住者が対策を練るほかない。一番簡単で有効なのは、サブスクを活用しながら〝余分なものは持たない〟〝必要ないものは捨てる〟ことだ。
記者は自分の持ち物を捨てられたことは数えきれないほどあるが、妻の持ち物を〝捨てろ〟などとは一言も言ったことはない(自分が捨てられるのが怖いからでもあるが)。世の男性諸氏もそうだろうと思う。夫婦が共同で利用するものを除き、夫と妻の二人の所有物(収納量)を100としたら、持ち分比率は夫30%:妻70%くらいではないかと考えている(乖離はもっと大きいか)。
女性の皆さん、余分なものは捨ててはいかがか。今回の「三越前」を分譲マンションとして考えれば、坪単価は1,000万円だ。収納スペースを1坪とし、利回り5%として計算すると年間収納コストは50万円(月4.2万円)だ。郊外はどうか。坪250万円以下はほとんどないので、20坪で収納率10%とすれば収納コストは25万円(月2.1万円)。決して安くない。着なくなった衣服、履かない靴などを保管するためにいかに無駄遣いをしているかを考えてほしい。
以上。皆さんは馬鹿馬鹿しいと考えるかもしれないが、記者は大まじめだ。今回の提案は、記者の考えと一致する。
そして何よりいいのは、「Roomot」の第4弾「バスタブユニット」を「三越前」に初採用することだ。これは以前にも書いた。記者もそうだが、湯船につかる人は少なくなっているはずだ。シャワーで十分。浴槽を取っ払えば電気、ガス、上下水道代の節約になるし、苦痛なバス掃除からも解放される。
今は持ち運べるバスがあるではないか。マンションの共用部分に採用するのもいい。そうすれば価格は下げられるし、専有部の収納スペースを広げられる。仮にそのスペースを0.5坪とすれば50戸で25坪だ。その効果は計り知れない。
洗い場とバスタブを兼ねた「Roomot BathMor」「日本橋三越前」に導入地所レジ(2023/12/17)
阪急阪神不動産 新築マンションの管理業者管理方式を積極導入
阪急阪神不動産、阪急阪神ハウジングサポートは1月29日、マンションの管理組合の管理業務を管理会社が代わって行う「外部管理者方式(管理会社管理方式)」を今後分譲するマンションなどで積極的に導入すると発表した。
近年、マンションの高経年化及び入居者の高齢化による「管理組合の役員のなり手不足」や「管理不全マンションの増加」などが社会的な課題となっているのに対応するもの。
阪急阪神ハウジングサポートでは昨年10月、同方式に対応する専門の組織「外部管理者方式推進部」を新設。同部をマンション管理の実務を行う部門とは明確に切り分け、各管理組合に設置される監事については外部専門家(マンション管理士、弁護士など)を選任する体制にした。これにより、利益相反取引となり得るものについては、原則として組合員に情報を開示し、総会などで承認を得ることとしている。
導入するのは「ジオ練馬富士見台」をはじめ、「ジオ板橋浮間舟渡」、「ジオ市谷仲之町」、「ジオ横浜大通り公園」、「ジオ阪急川西The Front」など。
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新築マンションへの管理会社管理方式は各社が導入しているが、マンションの共用部分の維持・管理などの受託業務と、管理組合の総会などの業務との契約関係が不明確なケースが相当数あり、しっかり契約を定め、利益相反を生じない体制づくりが欠かせない。
記者は、新築だけでなく中古マンションへも管理業者管理方式を導入すべきだと思っている。
「今年に託す言葉」管理協賀詞交歓会&住宅広報連絡会新年会参加者に聞く(2025/1/20)
見事な模型紹介コーナー 物件に込めた意気込みひしひし 日鉄興和不「文京小石川」
「リビオシティ文京小石川」
日鉄興和不動産(事業比率60%)、東京建物(同15%)、中央日本土地建物(同15%)、住友商事(同10%)が分譲中の「リビオシティ文京小石川」モデルルームを見学した。定期借地権付きであることによる価格の安さ、小石川植物園に近接した文京区最大敷地面積の立地などからして人気になるのは分かるのだが、本物の石や地衣類・観葉植物を採用した50~60坪の模型展示コーナーの充実ぶりに物件に込めた意気込みがひしひしと伝わってきた。
物件は、東京メトロ丸ノ内線・南北線後楽園駅徒歩12分・茗荷谷駅徒歩13分、都営三田線・大江戸線春日駅徒歩11分、都営三田線白山駅から徒歩10分、文京区小石川四丁目の準工業地域に位置する敷地面積約12,487㎡、10階建て全522戸。期間75年の定期借地権付き。専有面積は35.89~95.57㎡。竣工予定は2026年11月下旬。デザイン監修はIAO竹田設計。設計・施工は長谷工コーポレーション。
2024年2月22日~2024年12月下旬までのエントリー数は12,000件、昨年10月から分譲開始し、これまで供給した155戸のうち130戸を成約。販売価格は9,090万円~21,990万円。坪単価は未公表だが、坪500万円台の半ばから後半と思われる。
現地は、茗荷谷駅からだと桜並木が美しい播磨坂を下ったところで共同印刷本社に隣接。敷地北側は千川通りに接道。敷地所有者は共同印刷。小石川植物園までは徒歩2分。
主な基本性能・設備仕様は、ZEH-M Oriented、低炭素住宅、ABINC、SEGES認定、二重床・二重天井、リビング天井高2460ミリ、ディスポーザー、深型食洗機、フィオレストーンキッチン天板、食器棚、多目的スペース「モアトリエ」、奥行2m超のバルコニー、浴室タオル掛け2か所など。主な共用施設は、屋上テラス、フィットネスラウンジ、ワーク&スタディルーム、ライブラリーラウンジ、ゲストルームなど。店舗面積1,700㎡超の都市型スーパーマーケットを併設する。
北側外観
屋上テラス
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これまでの区内の敷地面積がもっとも広いマンションは、2014年分譲の第一種低層住居専用地域に位置する住友不動産「インペリアルガーデン」(167戸)だった。用途地域が異なるので単純比較はどうかと思うが、それを上回る約1.2haの規模は希少だ。
物件特性などは上段で紹介した通りだが、記者が驚いたのは50~60坪はありそうな模型紹介コーナーだった(販売事務所の1フロアの面積は約80坪)。
模型そのものの大きさは50分の1だからそれほど大きいわけではないが、至るところに本物の観葉植物・地衣類を配し、屋上テラスに採用する静岡県真鶴町産の本小松石が敷き詰められていた。3m×8mのスクリーンは2つ。
これほど見事な模型コーナーは過去どれくらい見たか考えた。最近の物件では東京建物「堂島」、積水ハウス他「グラン・グリーン大阪」をすぐ思い出したのだが、東建では「番町」、積水ハウスでは「品川シーサイド」も見事だった。鹿島建設「勝どきザ・タワー」も凄かった。ほかにもあるのだろうが、ベスト10を選べば今回の「文京小石川」は間違いなく入る。
売主には同じみずほグループの東建と中央日土地が入っており(住友商事とはこれまでも共同事業が多いとか)、〝負けられない〟という強い意志が込められていると理解した。「品川」も見学を申し込んでいるので、実現したらレポートしたい。〝リビオ〟に注目だ。
販売事務所
模型展示コーナー
模型展示コーナー
「リビオ」の歴史紹介コーナー(日鉄ライフ・新日鉄都市開発・興和不動産の歴史を紹介してもよかった)
第一種低層の外観が美しい住友不動産「インペリアルガーデン」竣工(2015/3/19)
用地取得から10年 小石川植物園に隣接した住友不動産「インペリアルガーデン」(2014/1/14)
呉越同舟効果「5本の樹計画」の本領発揮積水「品川シーサイド」1期207戸!(2017/3/24)