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 新建新聞社が発信しているweb「リスク対策.com」最新号に高崎哲郎氏の連載コラム「理工系学部の教養・倫理教育と偉才・内務技師宮本武之輔 視野の狭い技術者は危ない、教養を習得させよ!」との見出しの記事が掲載されています。同社の了解を得たので転載します。わが業界にも参考になる記事です。

詳細の記事はhttp://www.risktaisaku.com/articles/-/6704

「リスク対策.com」のリンクはhttp://www.risktaisaku.com/

視野の狭い技術者は危ない、教養を習得させよ! 高崎 哲郎

教師の資質の問題

数年前のことである。ある国立高等工業専門学校(高専)の夏休み読書の推薦図書一覧を見せてもらって驚いた。そこには古典的名作(ジャンルを問わない)や科学者、工学者の伝記、評論集などがまったく紹介されていない。物理学者・文学者・寺田寅彦随筆集や詩人・宮沢賢治作品集などはもう古いのだろうか。古典文学や歴史書の名著などは理工科系の教育には無意味なのだろうか。この「新発見」を、知り合いの著名な工学者(大学名誉教授)に伝えてみた。

「その背景は困ったことに簡単です」と氏は顔をゆがめて語り「要するに教師の資質の問題です。教師自身が学生時代に幅広い教養を身につける努力をしなかった。内外の歴史・文学などの名作に接しなかった。歴史・文学・芸術(音楽や絵画など)は無縁のものと思って生きてきたのでしょう」。氏はやや苦りきった表情で結論づけた。

ある著名な国立(当時)工学系研究所を訪ねた時のことだ。文献にあたろうと思い、図書室の本棚を見て回って妙な事実を知った。政治・経済・歴史・文学・芸術といった文科系図書や美術全集などの図書がほとんど置いていない。この事実を知人である研究所の幹部研究者に話してみた。

「ここは工学の高等研究機関であり、文科系の図書、中でも政治をはじめ歴史・文学・哲学のような専門外図書を備える必要は感じていない」と語り、最近では職員からの要望に応えて司馬遼太郎氏ら流行作家の全集を購入したと付け加えた。歴史・文学などは趣味的図書であり「仕事の邪魔もの」とでも言うような口吻(こうふん)であった。工学博士の知人は、戦前の内務省土木局を代表する土木技師のひとり青山士(あおやまあきら)を敬愛していると聞いていたので「青山論」を尋ねてみた。「青山技師は、部下の技術官僚たちに『勤務地の歴史・地理を勉強し、時間の許す限り歴史書や文学書を読み心の糧(かて)とするように』と指導していたとのことだが、同じ道を歩む工学系技術者としてどう考えますか」。

「教養の差でしょうかね」。氏はそっけなく答えた。

倫理教育は人間の尊厳を教えよ

エピソードを続けよう。ある大学(受験戦争では高いランキングを誇る)の土木工学コースで技術者倫理の講義をした時のことである。受講生がちょっとした漢字すら読めないので失望した。

「君たちは本や新聞を読まないね。若いうちにレベルの高い難しい本を読まなければダメだ。もし世のリーダーたらんとするならば教養がなければ話にならない。海外との競争にも勝てない」と苦言を呈した。ついでに「夏目漱石と森鴎外の代表作をあげてみてくれないか」と縦一列に座った学生に前から順々に答えさせた。案の定、半分ほどの学生が近代日本文学を代表する二人の偉大な文学者の作品を正しく答えることができなかった。

エンジニアの倫理確立が内外から強く求められて久しい。例えば、大学の土木工学コースでは「土木技術者の倫理」を必修課目に入れるのが当然となってきている。技術者資格の改革・創設や継続教育(Continuing Professional Development :CPD)制度の創設が進められ、専門的能力の開発と合せて技術者倫理の普及と教育が重要なスキームとなっている。

技術者が、自分や自分の属する組織のための暴利にのみ目がくらみ、社会に対する責任・奉仕や納税者への配慮を一方的に放棄したのでは存在基盤を自ら失う(談合がその代表例である)。しかしながら倫理教育がこのレベルで止まってはいけない。人間性の荘厳さを教えることこそが究極の倫理教育ではないのか。国内外の代表的歴史書・文学書(古典)はその尊厳さを伝えてくれないだろうか。最高の芸術は人類普遍の最高の倫理を語っている、と信じたい。

◇       ◆     ◇

 記者は末年前、ある理工系大学の一般にも公開されている図書館をのぞいたことがある。もちろん専門書、技術書はたくさん開架されていたが、それに比して一般書、小説などが圧倒的に少ないのに驚いた。

 その一方で、学長が推奨している書物は一般の人が読んでも参考になるものだったので、その落差に衝撃も受けた。哲学書がどこまで人間を豊かにするか分からないが、古今東西の古典と呼ばれる小説は若いときに読まないと肥やしにならないと思う。

       

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「第5回POLUS-ポラス‐学生・建築デザインコンペティション」(ポラテックビルで)

 ポラスグループのポラスは6月21日、「第5回POLUS-ポラス‐学生・建築デザインコンペティション」の公開審査会を行い、最優秀賞に山元隆志氏(明治大学大学院理工学研究科)・浜本雄也氏(同)・ 早坂覚啓氏(同)の「道的エネルギーの現像ー揺らぎうる境界風景ー」が選ばれた。

 同コンペテは、大学院や大学、高等専門学校、専修学校、高等学校などの学生を対象に、建築の道を志す学生の自由で新鮮な発想(アイデア)を表現・公表する機会を設けるのが主旨。今回のテーマは「道からはじまる、これからの家」。応募総数は485件(登録845件)だった。

 審査委員長の青木淳氏(青木淳建築計画事務所)は、「『道』はわたしの最大のテーマ。建物の中に道という公共的な空間をどのように創造するか、いまだによくわからない。だからこそ挑戦する意味がある。内容が濃い作品が多くうれしかった」と講評した。

 審査委員の今井公太郎氏(東京大学生産技術研究所教授)今井氏は「コンペに選ばれるのは100回に1回くらい。選ばれなかった人もどんどんトライしてほしい」とエールを送った。

 その他、優秀賞は丸山航氏(東京理科大学大学院工学研究科)・勝山滉太氏(同)の「コドモしか入れないフォリーのある街」、入選は大杉亮介氏(千葉大学大学院融合理工学府)の「『雨の日コミュニティ』~人々をつなぐ”雨のみち”~」、小川直人氏(工学院大学大学院工学研究科)・島田陽介氏(同大学建築学部)・木元那奈氏(同)の「握手する生活。」、河鰭公晃氏(東京理科大学大学院理工学研究科)の「窓辺群像」が選ばれた。賞金は最優秀賞50万円(1点)、優秀賞20万円(1点)、入選10万円(3点)。

 審査委員は、青木氏と今井氏のほか原田真宏氏(芝浦工業大学教授)、永山祐子氏(永山祐子建築設計)、安藤欣司氏(ポラスグループ)。

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最優秀賞

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左から浜本氏、山元氏、早坂氏

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青木氏(左)と今井氏

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左から永山氏、原田氏、安藤氏

◇       ◆     ◇

 記者が駆け付けたときはプレゼン、質疑応答などが終わっており、表彰式と審査委員の講評しか取材できなかったが、「道からはじまる…」というテーマには感動すら覚えた。

 「道」といえばすぐ宮脇檀を思い出す。積水ハウスや東急不動産などの団地やマンション多く手掛けており、コモン、クルドサック、ボンエルフなどを多用した建築家だ。「高幡鹿島台ガーデン」「フォレステージ高幡鹿島台」のように住居表示に事業主の「鹿島建設」の名が採用されているものもある。街づくりはいつも「道から造った」とも聞いている。首都圏の代表作「コモア四方津」は必見だ。昨日記事にしたアキュラホーム「若葉台」の戸建てには、宮脇檀建築研究所に勤務していた二瓶正史氏のアイデアと思われるコモンが採用されていた。

 さらに、「道」といえば記者が好きな魯迅の言葉「地上にはもともと道はない。歩く人が多くなれば、それが道となるのだ」を思い出す。深くて重い言葉だ。

 なので、会場に展示されていた学生さんの5つの受賞模型作品をよく観察したのだが、期待するような「道」はほとんど一つも提案されていなかった。

 その理由はすぐ分かった。作品の条件は、南北に6メートル道路があり、36m×36m=1,296㎡の敷地に6軒の木造住宅を建設することしか示されていない。敷地内に道など設けずに、敷地を南北に三等分し、東西に二分すれば、1戸当たり216㎡の〝邸宅〟が完成する。「道」などなくていいということか。

 もう一つ、不思議なのは、これまでのコンペでも感じたのだが、作品は法令上の制限などはまったく考慮されていないのではないかということだ。第一種低層住居専用地域(建ぺい率40%)だったら違法となりそうなものや、三角形の色紙をちりばめたような使い勝手の悪い建築物とはよべないもの、隣接する敷地をまったく無視した作品もあった。小説や絵画と異なり、建築に関するコンペは法令上の制限をクリアするのが大前提ではないのか。常識の埒外なのか。

 記者個人的には、受賞作品より二上和也氏・師田侑一郎氏(東京大学大学院)の「2本の道-図地反転を繰り返す家と庭」に一票投じたくなった。隈研吾氏は見る方向で表情を変えるデザインを多用する。ひょっとしたらお二人は隈氏の研究員生か。

 それと、宮野健士郎氏(東京工業大学大学院)の「けものみち」に興味がそそられた。「人道」から解き放たれ、「けものみち」がまかり通るようになったらいったい人間の生活や暮らしはどうなるのだろう。法を無視していいのなら、これが最優秀賞でもよかった。

 審査会に参加していたある大学院生は「バリエーションが少なかったという指摘もあったが、自分が想定していたものより案はそれぞれよくつめられていた。既成概念にとらわれないところがいい」と、また別の大学3年生は「自分たちとのレベルの差を痛感した」とそれぞれ感想を語った。

◇      ◆     ◇

 永山氏の作品をネットで調べた。「中之島新線駅企画デザインコンペ優秀賞」受賞とあった。記者が見て感動したあの美しい駅のことか。マンションは手掛けないのか。原田氏の作品は、この前これまた木が美しいCLTのモデルハウスを見学した。

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ポラス 学生コンペ 実物件化モデルハウスを公開 ミニ開発の難点を解消(2017/8/12)

 

 

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「三井ガーデンホテル 五反田」

 三井不動産と三井不動産ホテルマネジメントは6月14日、グループ22店舗目の宿泊主体の「三井ガーデンホテル 五反田」を6月29日(金)に開業すると発表した。同日、開業に先駆け報道陣に公開、併設されるレストランの朝食を振舞った。

 五反田駅から徒歩3分、デザインコンセプトは「SKY & GARDEN RESORT」。外構デザイン監修は西畠清順、15階のスカイロビー&フロントに天井高約4メートルの展望空間を設け、最上階には業界初と思われる都心が一望できる男性用展望風呂(女性風呂はなし)付き、1階のイタリアンレストラン「TANTO TANTO」は約300㎡(ガーデンテラス席含め)の緑が楽しめるのが特徴。

 発表会に臨んだ三井不動産ホテル・リゾート本部 ホテル事業部長・小田祐氏は「大変ユニークなホテルが出来上がった。当社がこれまで地元と一緒になって取り組んできた大崎・五反田エリアのミクストユースの街づくりにふさわしい眺望がよく、気持ちがいいホテル」と語った。

 ADR(平均客室単価)は約15,000円、稼働率は85%を目指す。

 物件は、JR五反田駅から徒歩3分、品川区東五反田2 丁目に位置する16階建て。客室数370室。客室面積は約18~36㎡(最多は18㎡)。施設はレストラン「タント タント ザ ガーデンズ 」、コンビニエンスストア「ローソン」、大浴場など。大崎電機が所有する土地に三井不動産が建物を建て、三井不動産ホテルマネジメントに賃貸する。

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最上階の展望風呂

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スカイロビー

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レストラン

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ガーテンテラス

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 最初に断っておく。記者の取材フィールドは主にマンションや分譲戸建てだ。1万件くらいの物件のデータは頭の中にインプットされており、すぐアウトプットする自信は多少ある。富裕層向けからアッパーミドル、コンパクト、郊外ファミリー向けまで、それぞれの基準で良否を判断できるが、ホテルはよく分からない。どうしても〝究極のマンションはホテル〟という固定観念から抜け出せない。

 今回の「五反田」も、大崎・五反田エリアにはラグジュアリホテルがないかどうかを考え、ないと結論付けた。渋谷、恵比寿、品川のそれらと比較はできないだろうが、大崎・五反田エリアのナンバーワンホテルという評価は間違っていないと思う。

 ある同業の女性記者が「あらっ、風呂が付いている」と素っ頓狂な声を上げたのにはたまげた。「えっ、風呂なしのホテルなんてあるのか」と。また別の男性記者が「民泊の影響はあるか」と質問したが、「えっ、三井のホテルと民泊(記者は民泊なるものを見たことがないが)と比較になるのかよ」と驚いた(記者は、水回りはパークホームズのほうがレベルが高いと判断した)。

 それはともかく、15階の眺望ロビーがいいし、16階の眺望風呂が圧巻。記者は貧相な体をさらけ出す風呂は疲れるだけで好きではないが、都心のビルを眺めながら露店風呂(ここは接地型でないので露天風呂とは呼べないのだろうが)に入れるところは経験したことがないし、入ってみたいと思った。関係者に聞いたが、「これほど規模が大きく、周囲のビル群が眺められるのはおそらく初めて」とのことだった。

 同業の女性記者や同社の女性ホテル関係者は「ちょっと抵抗感がある」とのことで、男性用のみというのは正解なのだろう(同社のミッドタウン日比谷には裸で日比谷公園が見降ろせる女性用のシャワーブースがあるが)。

 1階のホテルも、西畠氏が監修した約300㎡のガーデンを眺め、植わっているハーブを摘まんでも黙認してもらえそうでいい。一般の人は朝食ブッフェが1,800円で利用できる。これは安い。

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レストランのテラス(正面はオリーブ、足元にはハーブ)

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外構

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 一つだけ、画竜点睛を欠く油絵3点がレストランの入り口に飾られていたのが我慢ならない。記者は自分で絵を描くし、真贋を見抜く力もあると思っている。写真の絵はサインがなく、オークションにかけたら3点で1万円もしないのではないか。新宿のある寿司屋には30号くらいのビュッフェの本物のリトグラフが掲げられていた。朝食ブッフェが美味しかっただけに残念。

 レストランの内装などに三井不動産は関与していないそうだが、ならば三井倶楽部や三井記念美術館に私蔵されている絵画を貸与したらどうか。三井倶楽部には正面にターナーの絵が、霞が関の月曜会クラブには荻須高徳、中川一政などが無造作に飾られている。

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レストランエントランス

積年の課題 〝大丸有〟に初のホテル 三井不動産「大手町」17日開業(2018/6/6)

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岡本氏(週刊住宅提供) 

 マンション管理業協会は6月12日、定時総会後の懇談会を開いた。

 冒頭、挨拶に立った岡本潮理事長(東急コミュニティー会長)は、「本日は、期せずして、トランプ大統領と金正恩委員長の史上初めての米朝トップ会談という特別の日になりました」と切り出し、次のように語った。

 「マンション管理業は、マンションの資産価値と居住価値を維持し、向上させていくという大変重要な社会的な意義を持つ事業です」「マンション管理業界は、この社会的役割を自覚し、その役割をしっかりと果たし、管理組合、ユーザー、また社会全般からの『高い評価と厚い信頼』を得ていかなくてはなりません」「中期事業計画では…『マンション管理業の成長発展・社会的評価の向上』、『業界従事者の処遇改善・社会的評価の確立』という2つのミッションを確実に実現していく、具体的な個別課題を5年間の実施工程表にまとめ…課題を一つひとつ実現していくことを目指してまいります」

 「現状では、マンション管理業は、『ビジネス』として確立しているとは言い難い状況にあると思います。その中で、特に私が強調したいと思うキーワードが『マネジメント力』です。昨今の、急速に進む少子高齢化・人口減少、大規模災害の発生確率の増大、マンションの建物と居住者の2つの高齢化、また業界の人手不足といったマンションを巡る事業環境の変化は急速です。今後この変化のスピードは益々上がっていくことが予想されます」

 そして、「マネジメント力」については、管理組合に対する組合会計改善についてのマネジメント提案と、管理会社自身の経営マネジメントレベルの向上を訴え、「今後は、自らのビジネスモデルの変革を進め、『マネジメント力』を磨き上げていかなくては、その社会的役割を果たすことができなくなっていく」と締めくくった。

◇       ◆     ◇

 記者は、他の取材があり、懇親会に駆け付けたときは、すでに岡本理事長の挨拶は終わっていたが、幸運にも挨拶文を入手することができた。岡本理事長がこの通りに話されたかどうかは分からないが、九分九厘この通りに話されたはずだ。

 記者はこの文書を読んで、「現状では、マンション管理業は、『ビジネス』として確立しているとは言い難い状況にある」という文言にショックを受けた。

 そしてすぐ、2012年に行われた国交省の第2回「マンションの新たな管理ルールに関する検討会」で、安藤至大委員(当時、日本大学大学院総合科学研究科准教授)が、プリンターのリース料を安くして、トナーなどの維持管理費で儲けるという例えとして管理業を皮肉り、村裕太専門委員(当時、三井不動産レジデンシャル開発事業本部都市開発二部部長)がその発言に不快感を示し、結局、安藤氏が発言は適切でなかったとして取り消した場面を思い出した。

 今回は身内のしかも業界団体の長の発言だ。ズシリと重い。

◇       ◆     ◇

 この日で任期満了に伴い副理事長を退任した栗原清氏(大京顧問、前大京アステージ会長)は「今年度を初年度とする協会の中期事業計画がスタートしたばかりで退任することになり、実行したいことが何一つできなかったのが残念」と、無念さをにじませた。

 どこの業界団体も同じだろうが、理事などの役員は、本人の意向より所属会社の意向・決定が優先する。

 岡本理事長の「管理業はビジネスとして確立しているとは言い難い」発言と共に考えないといけないことかもしれない。米朝会談の記事に使用されているマスコミの写真は外国の通信社からの借りもの(ただではないはず)だったのには失望した。岡本氏の写真はただではなく、バーターです。

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「ザ・パークレックス駒込」

 三菱地所レジデンスは6月12日、グループ第2号シェアハウス「ザ・パークレックス駒込」の報道陣向け見学会を行った。すでに6月9日から契約を開始しており、2戸が契約済み。関係者は早期に満室になると見込んでいる。

 物件は、JR山手線駒込駅から徒歩5分、豊島区駒込1丁目に位置する敷地面積約74㎡、延床面積約324㎡の7階建て19室。個室面積は7.02~8.45㎡。賃料は7.9万~8.2万円(共益費7,000円込み)。築30年の建物で、従前は会社の事務所、社宅などとして利用されていたが、雨漏りなどでここ10年間は全フロアの半分以上が使用されていなかった。

 オーナーの依頼を受けて、同社が期間10年の賃貸借契約を結び、リノベーションを施しシェアハウスに再生。運営をシェアハウス事業の最大手オペレーター会社オークハウスに委託する。

 リノベーショ ンに当たっては、適法性を確保するため避難通路、天井高(法律は2.1メートル以上だが、躯体をむき出しにすることで2.6~2.8メートル確保)、開口・採光窓(居室面積の7分の1以上)を設けた。

 1階には駐輪場のほかシアタールームとライブラリー、2階には共用のリビング・ダイニングとシャワーブース、7階にランドリーを設置した。

 「古い建物を有効利用したい」という企業のニーズに応える同社Reビル事業部は、2014年の第一号案件「ザ・パークレックス岩本町」を皮切りに、今回の物件を含めてビル8棟、住宅3棟をリノベーションしている。

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1階ライブラリー(左)と2階リビング

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 断っておくが、見出しに「駒込駅圏ナンバーワン」としたのは、記者ではなくオークハウスの担当者がオークハウスの担当者が「駒込駅圏ナンバーワン」と評価したのをそのまま頂いた。記者はこれまでシェアハウスなるものをトータルして10件も見ていない。全くの素人だ。

 よって、3.5畳大~4.2畳大の個室が広いのか狭いのか(学生時代、北向き3畳間に間借りしたことが一時期ある。タバコは吸えたし、女人禁制でもなかった)、電気、ガス、水道代込みで、ベッド、冷蔵庫、机付きの賃料が高いのか安いのか、エレベータホールのところで靴を脱がなければならないのがいいのか悪いのか、女性専用フロアにはカギがかかるのに他はフリーなのが妥当かどうか、タバコは火災のリスクと汚れるからという理由で「全館禁煙」なのは基本的人権を侵害しているのかどうかなど全く分からない。

 契約は6カ月で、更新料はないというのも、入居者は9カ月くらいで他のシェアハウスに移る人が多いというのも、日本人と外国人の比率が半々というのもコメントのしようがない。

 一つ、考えさせられるのは、同社のこの事業に込める意気込みの高さだ。事業費にしたらこれまでの全案件で100億円どころかせいぜい50億円くらいだろう。1兆1,940億円(2018年3月期)もの売り上げがある同社の0.004%にしかならない。例えは悪いが、一網打尽の商売が似合う同社なのに、貧農が痩せこけた陽も当たらない北向きの狭い棚田に肥桶を担いで肥料をやるような仕事だ。

 しかし、こうした仕事は間違いなく他の事業に大輪の成功をもたらすと確信している。地所のすごいところはこういうところではないか。

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個室

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2階廊下

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 それなのに、わが業界の記者はたった6人しか集まらなかった。しかも、もっとも若い人でも50歳以上、69歳の記者が最年長かどうかは分からないが、平均年齢はひっくるめてリノベしたほうがよさそうな63歳くらいだという。

 他の若い記者の方たちはリノベに精通しているからかもしれないが、他紙と競い合うのが必至の大きなニュースだけを追い、しかし、結局、現場を知らないので当たり障りのないリリースを引き写すしかないクズ同然の記事にはならないのか心配だ。

 蛇足だが、記者は暇だから駆け付けたのではない。RBA野球が明日開幕するので、そのための記事を金曜から月曜まで10本以上書いた。400字原稿用紙にして50枚くらいになる。質はともかく、枚数だけは他の業界紙の記者の比ではない。三菱地所グループの野球部が弱いのはどうしてだ。

カテゴリ: 2018年度

 関西学院大-日大のアメリカンフットボールの試合で、「一発で潰せ」などという監督・コーチの指示で「違法タックル」を行った選手の行為が物議をかもし、社会問題となり、刑事事件に発展しつつある。

 記者はアメフトについては全く知識がないので何とも言えないが、野球に関してはグラウンド内の出来事が刑事事件まで発展したケースは「黒い霧事件」など2、3件しかないはずだ。

 刑事事件まで発展しないのは、野球はもとよりスポーツは個々の人間がより強く美しく豊かに生きるための文化であり、娯楽であり、社会通念に照らし合わせ、よほど悪質なプレーでない限り容認しあう暗黙のルールも存在するからだろうと思う。厳密にルールを適用していたらスポーツは成り立たない。

 そんなことを考えていたら、アメフトに触発されたのか、過剰反応を示しているのか、RBA野球の取材・記事にナーバスになっている関係者が増えたような気がする。「個人情報だから」と。

 もちろん、記者も個人情報の扱いには注意を払っている。ネットの時代だ。以前のように書き手と読み手がキャッチボールのように意思疎通できる時代でなくなってきた。意図とは全く逆に解釈され、拡散する危険性も記事ははらむ。個人の自由と表現の自由、この線引きが難しい。

 この問題に逡巡していたら、1行たりとも書けない。勇を揮って書くしかない。基本に据えているのは〝記事はラブレター〟だ。時には勇み足もするし、性格そのものの品性に欠ける表現をすることも少なくない。それでも記事に「愛」を込めれば理解されると信じている。

◇       ◆     ◇

 野球用語は「殺」「死」「盗」「暴」であふれている。むしろそれを煽っている。

 「殺」にはは刺殺、併殺、捕殺、挟殺、封殺があり、三重殺まである。「死」もまた死球、1死2死、憤死にキラー(殺人)もある。「盗」では盗塁がある。「とどめを刺す」「とどめの一発」「撃沈」「暴走」なども当たり前のように使われる。

 つまり、たくさん相手を殺したかチーム(巨人は正式には巨人軍)が勝者、勇者となり、たくさん三振に「斬って取る」投手がいい投手として称賛される。打者もまた、相手をねじ伏せる一発逆転のサヨナラ満塁弾を放てる選手が高い評価を得る。それか野球だ。

 そもそも野球は戦争に見立てて考案されたスポーツだからだ。とくに、わが国では戦前、鬼畜米英に対する敵愾心を煽る目的もあってそのような言葉に翻訳された経緯がある。

 中には「サドンデス」(突然死)が「タイブレーク」(均衡を破る)に変更されたものもあるが、禍々しい言葉であふれている野球はすっかり文化として定着している。

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 RBA野球関係者のみなさん、野球は人生を豊かにする文化です。「殺」「死」「盗」「殺」などの戦争用語が頻々と登場するスポーツであるからこそ、それにふさわしい激烈な表現でみなさんを戦場に引きずり込むのが記者の役割だと考えています。どうか記者の意を汲んでいただき、多少の脱線にはご寛恕くださいますようお願いします。

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第4回「住宅団地の再生のあり方に関する検討会(第2期)」

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浅見氏

 国土交通省は6月8日、第4回「住宅団地の再生のあり方に関する検討会(第2期)」(座長:浅見泰司・東大大学院教授)を開催。住宅団地の再生のために必要な方策について検討を行う上での課題を整理するため、横浜市の取組みや野村不動産のマンション建て替えの実績・課題などに関するプレゼンテーションについて意見交換を行った。

 小林秀樹委員(千葉大大学院教授)は、法制度の課題と提言について資料を提出。ポンプ室跡地に高齢者住宅を事業者が建設した例を紹介。エレベーターを増設しなくても団地に住み続けられるとした。専有部分を有する新棟の建設であり、現行法では全員同意が求められる。このため、特別多数決による敷地分割制度があると団地再生事業の推進が容易になると話した。

 横浜市の建築局長・坂和伸賢氏は、左近山団地、たまプラーザ駅北口、団地再生コンソーシアムなどについて語った。

 同省では今後、近年の制度見直し内容を踏まえ、再生手法の活用や戸建て住宅団地の再生・魅力向上の観点も含めて幅広く検討していく。

◇       ◆     ◇

 検討会の会場は霞が関の中央合同庁舎2号館。会が始まるや否や、同省担当者は「冷房を予定していたのですが、6月いっぱいはエアコンが使えない決まりになっておりまして、申しわけございません」と切り出した。とたん、暑さが襲ってきた。汗が噴き出した。

 冒頭で挨拶した同省・真鍋純大臣官房審議官も「そのような事情で会場は暑くなっている。お詫びいたします」と追い打ちをかけ、これまでの検討会の経緯などを述べた後、最後に「皆さんの論議も熱くなることを期待している」と語って、公務のためか会場を抜け出した。

 会場に〝鳥〟残された委員、関係者、傍聴者は80人超。会合は2時間。会が終わってから同省担当者に「気温は何度? 」と聞いても「28度よりは暑いかもしれない。体感温度はひとそれぞれ」とつれない返事しか返ってこなかった。間違いなく30度を突破していたと参加者は感じたのではないか。

 この日は欠席した辛口の櫻井敬子委員(学習院大教授)なら、「法そのものが窮屈で、こんな狭くて暑い会場で妙案が出るはずがない」と一喝したはずだ。

 世の中はクールビズ一色。しかし、国のシンクタンクである国交省の会議室がこんな劣悪な労働・温度環境で、どうして同省が推進している生産性向上が図れるのか。

 記者の事務所はクラシックのBGMが流れ、フェイクでない本物の緑がふんだんに置かれ、わが机の上には鎮静剤の役割を果たしてくれるドクダミが芳香を放っている。

◇       ◆     ◇

 しかし、最悪の環境ではあったが、会合そのものは真鍋氏の期待した通り議論白熱、沸騰した(と感じたのは記者だけか)。体感温度を2~3度は上げたはずだ。

 ここで、団地建替えがなぜ進まないか、いちいち書く時間がない。最小限にとどめる。

 野村不動産住宅事業本部マンション建替推進部副部長兼開発課長・目黒朝樹氏らが同社の21件上る建て替え事例や、居住者の負担を軽くするため敷地を二分割し、保留地を確保して建て替えを進めていることを紹介したうえで、一団地の解消が進まないこと、区分所有法や地区計画など法の壁があること、事業採算性があわないこと、権利関係が複雑で事業が長期化するリスクなど課題も多く、部分売却制度はもっと簡便化を図るべきなど話した。

 この問題に対して、委員の大西誠氏(不動産鑑定士、竹中工務店特命理事)は、「心情的には野村さんの味方に付きたいが、正直にいって、それは公平性が担保されているのかという疑問も湧く。わがままではないかといわれかねない」と率直な意見を述べた。

 そして何より、記者の心を揺さぶったのは、この大西氏と戎正晴委員(弁護士)の法とは何か、生きることとはどういうことかの根源的な核心にズバリと迫った当意即妙の言葉だった。

 大西氏は、「マンションに住むと(区分所有)法から逃れられなくなる」と話した。一方、戎氏も、パタパタと扇子が踊っていた会場を皮肉ったのか、「(マンション居住者は)羽ばたけないかごの鳥」と、記者が住むわが多摩ニュータウンそのものの苦境を言い当て、さらにまた「無能力者の扱いをどうするか。法は意思表示をしない人について何の手当もしていない」「都心部はともかく、地方は建て替えの〝タ〟の字も出ないのが現状」などと語った。

 だが、しかし、大西氏も戎氏も、どうすべきかについて言及しなかった。これこそが問題だと記者は思ったのでストレートに両氏に質問した。

 大西氏には「法から抜け出すにはどうすればいいか」と、戎氏には「〝タ〟の字も出ないわたしはどうしたらいいのか」と。

 大西氏いわく。「国交省は法務省とタッグを組んで法の改正(解消とは話さなかった)を図るべき」と。戎氏は「それを論議するのだ」と笑った。

 委員の方たちは、あれやこれやの法律から解き放たれ、自由に天空を舞うオオルリのような存在にマンション居住者や記者をしてくれるのか。次回以降に期待だ。

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カテゴリ: 2018年度

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「ダイワロイヤルホテルグランデ 京都」

 大和ハウスグループの大和リゾートは6月7日、同社のフラッグシップホテル「ダイワロイヤルホテルグランデ 京都」を6月9日にオープンすると発表した。

 京都駅八条口から徒歩5分の9階建て延べ床面積約12,717㎡。客室は20㎡のスーペリアダブルから44~81㎡のスイート(最多は25~28㎡のデラックスダブル)まで7タイプ全272室。

 エントランスからホテル内部に至るまで「和」テイストのデザインを施し、京都ならではの静かで落ち着いた雰囲気を演出しているのが特徴。

 9か国の言葉に対応できるネイティブスタッフが対応し、特別仕様のエグゼクティブフロア(7~9階)では高品質なサービスを提供し、全室に無料のモバイル端末「handy」を用意し、シモンズ社製ベッドを使用。イタリア人シェフによる料理は本場の味だけでなく、日本料理の旨みを巧みに取り入れているという。

◇       ◆     ◇

 同社のホテルは、わが故郷三重県の志摩にもあるがロビーを一通り見わたし、レベルを判断しただけで、泊ったことはない。

 なので、今回のホテルはニュースリリースを引き写すしかない。料金をネットで調べたら、朝食付きのダブル・ツインが約36,000円くらいだった。これも高いのか安いのか分からない。

 これが情けない。3年前、オータパブリケーションズ専務・村上実氏に三井デザインテックのイベントでお会いし、驚天動地、仰天、驚嘆、驚愕、感服すると同時に、腹の底から嫉妬した。その時、記事で次のように書いた。

 村上氏は、自らのホームページで「一般読者向けの『月刊ザ・ホテル』編集長時代は年間150日国内外のホテル巡りという体力勝負の時代も経験。…現在毎日必ず1回はホテルで食事をすることをライフスタイルにしています」とある。記者もホテルは究極のマンションだから、名だたるホテルは見てきているが村上氏は桁違いだ。

 今はガウディの「サグラダ・ファミリア」に何やら提案することを考えているそうだ。余計なお世話だが、毎日、ホテルで食事したら、ガウディどころかガチョウのフォアグラにならないか。お金はどうして工面するのだろう。

 ホテルもマンションもこれくらい取材しないと、読者の心に響く記事は書けないということだ。村上氏なら一瞬にしてこのホテルのレベルを理解するだろう。

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ロビー

カテゴリ: 2018年度

 すてきナイスグループが木質繊維断熱材(ウッドファイバー)の普及に力を入れる。同社社長でグループのウッドファイバー株式会社の社長も務める日暮清氏が5月31日行われたグループの業況と事業展開に関する説明会で明らかにした。

 ウッドファイバーは、断熱性能だけでなく、蓄熱性、調湿性、吸音性、防火性に優れ、なによりも主原料を間伐材などの木材を使用することからエコで製造から建築物の省エネルギーに至るまでCO2削減効果が高いとされている。

 しかし、一般的なグラスウールと比較して価格が倍くらいかかるため、公共建築物くらいにしか採用ざれず、個人住宅などにはなかなか普及していない。

 この問題について、日暮社長は、「期待されているにも関わらず、(ウッドファイバー)が普及しないのはコスト、価格が合わないからだが、今後は各県に呼び掛けて、各県から丸太を工場がある苫小牧に運び、商品にしてまたその県に戻し、県産材の活用という切り口で営業していく必要がある。また、環境税(地球温暖化対策税)の税収の使い道としても提案していく必要がある」などと、県産材の活用や環境税の使途の切り口で営業していくと語った。

 

カテゴリ: 2018年度

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「三井ガーデンホテル大手町」

 三井不動産と三井不動産ホテルマネジメントは6月6日、大手町駅から徒歩3 分の宿泊主体のホテル「三井ガーデンホテル大手町」の記者発表会・内覧会を行ない、6月17日(日)に開業すると発表した。同ホテルブランドとしては21番目で、客室数は5,528室となる。

 大手町駅から徒歩3分、東京駅からでも徒歩10分と利便性が高いことから、ビジネスユースのほか観光・レジャー用のニーズも高いとし、「Urban Oasis」をコンセプトに、自然を感じさせる木や緑を共用部分や客室内に多用しているのが特徴。1階に設けたレストランでは滞在スタイルに合わせたオールデイダイニングとする。客室単価は1.7~1.8万円を見込んでいる。

 発表会に臨んだ三井不動産ホテル・リゾート本部 ホテル事業部長・小田祐氏は、「世界都市ランキング3位の東京を訪れる観光客はどこを目指すのかといえば皇居や大丸有が上位に位置する。このエリアにホテルを開業するのが積年の課題だった」と語った。

 施設は、千代田区内神田2丁目に位置する14階建て延床面積約6.238㎡。客室は18㎡のモデレートタイプ(106室)が中心の全191室。建物所有者は中央土地で、三井不動産が賃借し、三井不動産ホテルマネジメントが転借、運営する。

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エントランス

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ベーカリーカフェ(緑はフェイク)

◇       ◆     ◇

 どこまでもへそ曲がりの記者は、同社ホテル稼働率が90%を超え、外国人と日本人の宿泊客比率が以前は4:6だったのが最近は逆転し、観光・レジャーとビジネスユースの割合も3:7から6:4くらいになっていると小田氏や三井不動産ホテルマネジメント・足立充社長が誇らしげに語っても心を揺り動かされることはなかった。

 日常的にホテルを取材している他の記者にとっては周知の事実で、旧聞に属する類のことであるくらいは容易に想像できる。

 そんなことより、ビビッときたのは、小田氏が「大丸有にホテルを開業するのが積年の課題だった。2020年度には運営ホテルは1満室を超えるメドが立ち、長期的にはアジアを中心とする海外展開などを考えると燎原の火のごとく拡がるのではないか」と語ったことに対してだった。

 今回オープンするホテルは、先にも書いた通り千代田区内神田2丁目にある。「大丸有」は「道」とか「街」のような普通名詞ではなく固有名詞だ。いまから20~30年前、東京都、千代田区、大丸有まちづくり協議会が定めたエリアのことで、内神田はそれに該当しない。ホテルの傍を流れる日本橋川と鎌倉橋がその境界線になっており、ホテルは大丸有のはずれでも入り口でもない。

 それでも小田氏が「大丸有」を口にしたのは、三菱地所の牙城である大丸有に楔を打ち込めたことが感無量だったのかもしれなないし、大丸有の本丸にある「(仮称)OH-1計画」ではフォーシーズンズホテルを開業することになっており、大丸有の外堀では先に「東京ミッドタウン日比谷」を開業し、八重洲では「ブルガリホテル」を開設することを発表できたのがよほどうれしかったのだろう。

 一方、三菱地所は「大丸有」に「八重洲・日本橋」を加えた投資額にして1兆円を超える「東京駅前常盤橋プロジェクト」を推進中だ。

 三井不動産と三菱地所がそれぞれの不可侵の領域に飛車角クラスの拠点を築くのが面白いではないか。

 しかし、記者はだからといって全面戦争の展開にはならないと読む。そんな無謀な疲弊するばかりの他社を喜ばすような愚を犯さないはずだ。菰田社長と吉田社長はこっそりと陰で手を握っているのではないか。

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小田氏

◇       ◆     ◇

 記者のホテルを見る視点、基準が狂っているのかもしれないが、廊下、室内の天井高が2.4メートル(一部最高は2.7メートル)で、トイレ・洗面・浴室は3点セットが採用されているのは理解できない。マンション見学会の3倍くらいの報道陣が駆け付けたのも記者の理解の範疇を超える。

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手前の鎌倉橋より内が大丸有

カテゴリ: 2018年度
 

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