新宿、渋谷など都心5区の累計感染率は20%超 都のコロナ感染者

人口は令和4年1月現在。累計感染者は8月12日現在。このほか都外190,859人、調査中1,892人
都心部5区の感染者は5人に1人-東京都の累計コロナ感染者は8月12日現在、2,328,574人となり、総人口13,794,933人(2022年1月1日現在)に占める割合は16.88%で、新宿、渋谷、港区、中央、目黒の5区は20%を超えるなど5人に1人の割合に達している。
23区で累計感染者がもっとも多いのは世田谷区の171,244人で、以下、大田区の133,057人、江戸川区の128,442人の順。累計感染率のもっとも高いのは新宿区の21.85%で、渋谷区21.29%、港区20.96%、中央区20.23%、目黒区20.05%の5区が20%を超えている。もっとも低いのは16.54%の練馬区。23区の感染率は18.42%となっている。
市部の感染率は13.51%で、23区に隣接する調布市(15.42%)、武蔵野市(15.18%)、狛江市(15.10%)の3区が15%超となっている。
全国の感染率がもっとも高いのは沖縄県で、8月13日現在、累計感染者は416,722人となっており、人口416,722人(2022年7月1日現在)に占める割合は28.38%にのぼっている。
千葉大名誉教授・藤井氏など専門家20氏の声 建築ジャーナル特集「木を伐るな2」
一般社団法人 街路樹を守る会の代表で、千代田区議会の神田警察通りの街路樹イチョウ伐採決定に反対する活動を行っている愛みち子氏に月刊誌「建築ジャーナル」2022年6月号(6月1日発行)を頂いた。同氏が企画した特集「木を伐るな2」が約30ページにわたって掲載されており、ルポ記事のほか同氏など約20人の専門家がそれぞれの立場で活動・取り組みを紹介し、論陣を張っている。
特集は「木を伐るな2」であるように、同誌が最初に「木を伐るな」の特集を組んだのは2018年1月号だ。東京オリンピック開催決定を機に、電線地中化、道路拡幅などを理由に街路樹や公園樹木の伐採工事が次々と計画、実行されているときだった。
記者は、この特集の存在を知らなかったのだが、今年7月1日付の記事で「昨年、93歳で亡くなった生態学者の宮脇昭氏は『木を植えることは命を守ることだ』と語った。その伝でいえば、街路樹伐採は人間の命を奪うこと同じではないか。その是非を今回の問題は投げかけている。人を殺していいのかと」書いた。
宮脇氏が「木を植えよ!」(新潮新書)を著したのは2006年だ。それから12年後の2018年1月に「木を伐るな」の特集記事が掲載され、さらにその4年後に「木を伐るな2」が発刊されるということは何を意味するのか。「木を植えよ」と「木を伐るな」は同義語のようではあるが、「伐れ」「伐るな」の人間の二項対立に、物言わぬ街路樹が危機的状況に置かれている現状を反映しているのだろう。
特集記事全体に対する感想としては、筆者一人当たりの記事は写真を含めて1~2ページが多く、制度の概況紹介にとどまっているものも少なくないのでやや消化不良ではあるが、短い文章の中にきらりと光り、肺腑をえぐる言葉がちりばめられている。多くのことを学んだ。
日本庭園学会会長などを歴任した千葉大学名誉教授・藤井英二郎氏の、同行記者の質問に答える形で語る指摘がとくに鋭い。
神宮外苑の再開発計画で1,000本の樹木が伐採されることに対して、「絵画館に向かう芝生の両側にテニスコートをもってくるというのは、まったくだめです。この広がりこそ折下さんが狙っていたポイントで、それを台無しにする。こんな計画があっていいわけがない」「間違った剪定の仕方をおこなっているからお金がかかるんです。枝先を詰めるからよくない」「杜のスタジアム? うそだよ」「息も絶え絶え。今年の夏が越せるかどうか」などと辛らつだ。神田警察通りの街路樹については、「車道側は4.5m以上に枝を張らせればいいのです」という。大丸有の美しい街路樹についても「中国の纏足と同じ。人間として許してはいけない」と手厳しい。
首都圏の街路樹は藤井氏の「車道側は4.5m以上に枝を張らせればいいのです」とは真逆だ。樹高を電柱の高さ(12mが多い)より低く抑えるため、先端をぶった切っている。2階建て(約6m)と同じくらいのもたくさんある。
◇ ◆ ◇
樹木医で吉岡緑地の代表取締役・吉岡賢人氏は「所有者の都合によって樹木を植えたり伐ったりすることは自由であるものの、請負者に選択の余地はなく、ただ負け続ける宿命にある」と綴り、「街路樹の剪定管理において最も重要な部分はブラックボックスとなっており、ほとんどの場合において誰にも指摘されることはない。それぞれの樹木に登って作業した人間でしか知りえない情報が山ほどあるからで、遠目に見ただけで樹木の異常に気が付くことができる観察眼の持ち主は稀である」と書く。
皆さんはいかがか。記者はこれを読んで胸が痛くなった。ここ20年間というもの、取材などで街に出るときはいつも街路樹を眺めている。月に20日にして年間で240回、20年間で4,800回だ。電信柱のようにぶった切られているのに我慢がならず、「街路樹が泣いている」というタイトルの記事を書き始めたが、その数は数十本に及ぶ。
また、自ら居住する団地の樹木剪定も仲間らと行っているのだが、ひこ枝、徒長枝、ふところ枝、からみ枝などを伐るのにとどめ、強剪定はしないことにしている(仲間からいつも下手くそといわれるが)。
樹木剪定で学んだことは、樹木はほっといても美しい樹形を描き、よほどのことがない限り、2~3年で自ら修景するということだ。コロナ禍で樹木剪定が中止になったが、わが団地の緑は一層輝きを見せている。強剪定すればするほど、必死で生きようと狂ったように荒れる。人間と同じだ。
なので、多少は樹木や人を見る目はあると思っているのだが、「ただ負け続ける宿命」にある造園・剪定業に携わる人に悪態をついても思いを寄せたことはなく、「遠目に見ただけで樹木の異常に気が付くことができる観察眼」など持ち合わせていない。
ほとんどの人もそうではないだろうか。極端な例だが、二和向台の強剪定されたイチョウは枝葉をそぎ落とされているので、何の木か知らない地元の人がいた。街路樹に名札を付けている自治体も圧倒的に少ない。〝見ざる言わざる聞かざる〟は〝見せず言わせず聞かせず〟という意味に代わった。
◇ ◆ ◇
共著「街路樹は問いかける」(岩波書店)の著者・海老澤清也氏は「日本の街路樹は世界にも稀な哀れな姿である」と書き起こし、世界標準は「樹冠拡大」であるのに対し、わが国は「樹冠縮小」が基本であると批判する。また、米国は街路樹の経済的価値を数式化する「i-Tree」を完成させたと述べている。
「i-Tree」については小生も紹介したが、「日本の街路樹は世界にも稀な哀れな姿である」には驚いた。外国は中国・北京とモンゴルしか知らないが、目視した限りでは比較にならないほどわが国のほうが優れていると思った(中国は砂漠化に危機感を抱いており、緑化事業に力を入れているとは聞いたが)。
記者は最近、1991年に設立された日本景観生態学会の存在を知ったのだが、学会ホームページには「生態学、造園学、農村計画学、緑化工学、林学、地理学、応用生態工学、土木工学、建築学など、専門分野の異なる多様な研究者や技術者が『景観』をキーワードとして集まり、互いの視点を活かし合いながら意見交換を行ってきています」「景観は、今までにも増して急速に、また激しく変化し、そして、土地利用上の対立や生態的基盤の劣化が顕在化しています.今、そのような問題の解決に有効な土地利用や地域計画の手法、地域生態系の管理技術を確立し、それが活かされていくしくみを構築しなければなりません」とある。
このほか、1995年12月に設立された環境経済・政策学会もある。同学会の目的には「経済学、政策学および関連諸科学を総合し、環境と経済・政策の関わりについて理論的・実証的な研究活動、ならびに国際的な研究交流を促進する」とある。
これらの学会と行政、民間が連携して「世界にも稀な哀れな姿」を何とか打開してほしい。
◇ ◆ ◇
特集にはこのほか、仙台市建設局百年の杜推進部公園管理課施設管理係長・降幡賢太郎氏の「杜の都・仙台の街路樹について」、名古屋市緑政土木部緑地部緑地維持課緑化係長・篠塚泰伸氏の「街路樹再生なごやプラン」の取り組み、2020年に全国初の街路樹に焦点を当てた「埼玉県議会街路樹を考える議員連盟」を立ち上げた発起人・石川忠義氏の活動報告、千代田区議会議員・大串博康氏の街路樹保護と育成に関する取り組み、樹木医・冨田改氏の「日本の街路樹は2㎡足らずの空間に何十年も閉じ込められますが、欧米では12㎡の地中を確保して、街路樹の生育環境に配慮している」などの記事がある。
仙台市の街路樹が素晴らしいのは記者も実感している。来年4月に全国都市緑化仙台フェアが開催されるようだが、機会があったら取材したい。埼玉県内のみじめな街路樹をたくさん見ているので、議連の活動に期待したい。鋭い質問に区役所担当者をたじたじにさせ、街路樹伐採を決めた議会決定に瑕疵があることを認めさせたのも大串氏だ。
樹木医になるには、7年以上の実務経験のほか、日本緑化センターの研修も受けなければならず、樹木に対する知見だけでなくかなり高度な技術も必要と聞く。資格的には任意資格なのだろうが、国家資格に格上げしてはどうか。そうすれば、千代田区のように樹木医の診断を無視などできないはずだ。
気になることを一つ。全国の街路樹は圧倒的に落葉樹が多い。四季によって移り変わる景観をよしとする考え方が背景にあるのだろうが、街路樹は常緑樹がいちばんいいのではないかと思う。わが多摩市の街路樹は約1万本だが、うち2割近くはシラカシ、クスノキ、マテバシイ、ヤマモモなどの常緑樹だ。
街路樹伐採やめて 住民の監査請求棄却 千代田区監査委員 区のアリバイ作り追認(2022/7/1)
中古マンション 成約価格は2ケタ上昇 7月の不動産流通市場 東日本レインズ
東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は8月10日、首都圏の7月度の不動産流通市場動向をまとめ発表。中古マンションの成約件数は前年同月比3.4%増の3,104件となり、7か月ぶりに前年同月を上回った。㎡単価は同12.9%上昇の68.51万円(坪226.1万円)となり27か月連続、成約価格は同11.1%上昇の4,348万円で26か月連続、それぞれ上昇した。専有面積は同1.5%縮小の63.46㎡となった。
地域別では、成約件数は横浜・川崎市と埼玉県以外の各地域が前年比で増加し、千葉県と神奈川県他は7か月ぶりに前年同月を上回った。成約㎡単価はすべての地域が前年比で上昇が続き、東京都区部は27か月連続、横浜・川崎市と埼玉県は26か月連続、千葉県は24か月連続、神奈川県他は20か月連続、多摩は17か月連続で前年同月を上回った。
中古戸建て住宅は、成約件数は前年同月比5.8%減の1,176件となり、7か月連続して前年同月を下回り、成約価格は同8.5%上昇の3,791万円で、21か月連続して前年同月を上回った。
風致地区の高台立地 設備仕様レベルも高い JR西日本プロ・大和地所レジ「横濱山手」

「プレディア横濱山手パークヴィラ」
販売好調のJR西日本プロパティーズ(事業比率70%)と大和地所レジデンス(同30%)「プレディア横濱山手パークヴィラ」のモデルルームを見学した。山手駅から徒歩15分とややあるが、「根岸森林公園」へは徒歩3分の全75戸で、販売開始の7月から約1か月間で40戸が成約済み。
物件は、JR京浜東北・根岸線山手駅から徒歩15分、横浜市中区滝之上の第1種中高層住居専用地域(建ぺい率40%、容積率150%)に位置する6階建て全75戸。専有面積は63.27~100.28㎡、坪単価は260万円強。現在先着順で販売中の住戸(9戸)の専有面積は63.27〜78.49㎡、価格は4,598万~6,948万円。竣工予定は2023年8月下旬。設計はスタイレックス。施工は日本国土開発。竣工予定は2023年8月下旬。
7月1日から販売開始し、第1期1次23戸が登録完売したほか、これまでに40戸が成約済み。反響は1,000件超、来場者は200件。登録者の居住地は市内4割を含む県内が6割、都内が3割弱、そのほか千葉、静岡、関西、宮城、広島など広域にわたっている。いずれ住もうと考えている人や、家族が近くに住んでいるなど何らかの縁がある人が目立つという。
現地は、根岸森林公園に徒歩3分のほか聖光学園に近接する標高40mの風致地区の高台。建物は3棟構成で、標準階は南向き9戸:東向き7戸(他に西向き1戸)。主な基本性能・設備仕様は、奥行き2mのオープンエアスペース(一部除く)、リビング天井高2450ミリ、天然御影石キッチンカウンター及びキッチンサイド天然石貼り、キッチンタッチレス水栓、食洗機、天然御影石洗面カウンター、ミストサウナ、浴室ドアタオル掛け2本、タンクレストイレなど。

モデルルーム

オープンエアスペース
◇ ◆ ◇
〝1番人気〟という84㎡の南東角住戸のモデルルームがいい。全開放サッシとバルコニーに設置されているウッドデッキのオープンエアスペースがリビング・ダイニングとの一体感を演出し、とても広々とした空間に感じられた。
また、居室と廊下側双方から出入り可能且つ収納豊富な「ビッグウォークインクローゼット」を採用。さらには、玄関やリネン庫にも収納のこだわりを感じられ、設備仕様も高く高級感があり、機能的な設備が充実。この物件は快適で楽しい毎日を過ごせそうだ。
ほかでは、専有面積を約76㎡確保しているからできることだが、3400ミリ×1200ミリ(1.2坪)の玄関・土間スペース付きがいい。廊下幅も1000ミリだ。隣り合う洋室(6.1帖)との壁は構造壁でないから、取り払えば8帖大のスペースとなる。オプションで提案したらヒットするのではないか。
日機装の除菌・消臭装置「Aeropure」 野村不動産の「床快full」に標準装備へ

概念図
日機装は8月10日、同社の深紫外線LED「Sumiray」を用いた組込式空間除菌消臭装置「Aeropure(エアロピュア)シリーズD」が、野村不動産の「プラウド御茶ノ水」に採用されたと発表した。
同社の「エアロピュア シリーズD」を野村不動産が2019年から展開しているセントラル空調システム「床快full空調」に向けカスタマイズし、「UVクリーンユニット」として製品化することになったもの。
「UVクリーンユニット」は、深紫外線LEDと光触媒を組み合わせた除菌消臭技術を搭載。Wのパワーで菌やウイルスを抑制する「業界トップクラスの性能を誇っている」(リリース)製品。
「プラウド御茶ノ水」は、東京メトロ丸ノ内線御茶ノ水駅から徒歩6分(JR御茶ノ水駅から徒歩7分)、文京区湯島二丁目に位置する13階建て全98戸。専有面積は60.42 ~101.06㎡。竣工予定は2024年2月下旬。施工は前田建設工業。販売開始は10月。
野村不動産は、今後の「プラウド」にこの「UVクリーンユニット」を採用していく。
◇ ◆ ◇
野村不動産が「床快full」を最初に採用したのは2020年分譲開始の「プラウドタワー亀戸クロス」で、その後「プラウド文京千駄木」「プラウド高田馬場」に採用している。
このほか、三菱地所ホームは今年4月、日機装の深紫外線LED水除菌モジュール「PearlAqua」を搭載した加湿システムを開発し、全館空調システム「エアロテック」と連動させた新商品を発売開始しており、三菱地所レジデンスは「エアロテック」を搭載したマンションをいくつか分譲している。
また、三井不動産レジデンシャルも昨年から分譲開始した「パークコート神宮北参道 ザ タワー」の3住戸に全館空調と同様の機能を持つ冷暖房システム「AirLOGY」を採用。標準化するための実証実験を進めているようだ。
凄い!全館空調、二重&樹脂サッシ採用 野村不「亀戸」934戸 単価300万円台半ば(2020/2/19)
「念願の過乾燥を解決」 加湿システム搭載「エアロテック」発売 三菱地所ホーム(2022/4/27)
潜在的需要をデザイン 企画ヒット 内と外、地域をつなぐ ポラス「南流山」

「Be GRACE(ビー・グレイス)南流山 紡ぐ家」(庭にフェンスがないのが分かる)
ポラスグループの中央グリーン開発は8月9日、南流山の土地区画整理事業地内の分譲戸建て「Be GRACE(ビー・グレイス)南流山 紡ぐ家」のメディア向け見学会を行った。駅から徒歩8分の全4棟で、〝ウチ・ソト・トナリ〟を緩やかにつなぎ、さらに地域とのコミュニティにも配慮した意欲的な商品企画が光る。
物件は、JR・つくばエクスプレス南流山駅から徒歩8分、流山市南流山2丁目流山都市計画事業木地区の第一種低層住居専用地域(建ぺい率60%、容積率120%)に位置する全4棟。土地面積は約162㎡(49坪)、建物面積は約101㎡(30坪)~約116㎡(35坪)、価格は6,980万~7,480万円。施工はポラテック。構造は木造2階建(在来工法)。建物は完成済み。引渡予定は2022年11月10日。
現地は、最低敷地面積が135㎡と定められている土地区画整理事業地内の一角で、戸建てやアパートなどか建ち並ぶ低層住宅街。保育園・幼稚園が徒歩3分、小学校が徒歩8分、中学校が徒歩5分。スーパーなどの3つの商業施設が徒歩10分圏。このほか3つの公園が徒歩10分圏内。
全体敷地はそれぞれ6mの北側と西側道路に接道。4棟とも①タイルテラス・モダン和室付き②2階バルコニーを内側に取り込んだ主寝室-ランドリールーム-洗面-浴室一体型③中庭に面したリビングと多目的ルーム付き④上部吹抜けの広い土間付き-の個性的な異なるプランなのが特徴。
主な設備は、2台カースペース、天井高2.7m×サッシ高2.2mリビング、階段ステップ15段、食洗機・浴室暖房乾燥機・床暖房・エコワン・電動シャッター・宅配ボックス、挽板・無垢材多用など。
販売・申し込み状況は、5月27日から資料請求を受け付け、これまで反響は約300件。反響者の居住地内訳は流山市26%、松戸・柏市13%など千葉県内が48%、都内は29%。来場者は約40組で、夫婦、または小さいこどものファミリーがほとんど。7月30日から販売開始し、3棟が成約済み。成約者は都内居住者が中心。
同社設計部部長・鎌田浩之氏は、「当初は5棟も考えたが、コロナ禍でお家時間が増え、家の中に閉じこもり、家と外の関係が分断されているのではないかと強い危惧を抱いており、中間領域を設け内と外、更には隣の家や地域・街とゆるやかにつなぐように設計した。プランは万人受けするものではなく1棟1棟異なるものにした。設備仕様レベルも引き上げ、感動していただけるよう完成販売にした」と企画意図について話した。
同社ブランディング課プロモーションチームリーダー・萩原誠氏は、「購入予算を引き上げて購入を検討された方と、最初から購入をあきらめた方に分かれた。おおたかの森や南流山にはこの種の分譲戸建ての供給事例はほとんどない」と語った。

モデルハウス(1号棟)

モダン和室(正面の南側の窓を下側に、しかも小さくし、壁は外壁と同じような色にしているのが味噌)
◇ ◆ ◇
いつものように、現場に着くまで価格はいくらかを考えた。土地は30~40坪で、価格は4,000~5,000万円台だろうと。これなら〝母になるなら、父になるなら〟の流山だから売れるのは当然だろうと。
予想はものの見事に外れた。区画整理地であることを忘れていた。予想は外れたが、鎌田氏と萩原氏の話を聞いて納得もした。都内などでは20坪そこそこの敷地の、緑などまったくない長屋のような戸建てが今も昔もたくさん分譲されている。鎌田氏は「家と外の関係が分断されているのではないか」と語ったが、記者もそう思う。
ところが、同社グループの春日部の調整区域、東浦和、新松戸、みのり台などの分譲戸建ても、この前取材した旭化成ホームズの賃貸併用住宅も同じだ。この種のプランを受け入れるユーザーは一定数存在するのは間違いない。みんな〝隣近所や地域とつながりたい〟という潜在的な意識を持っている。
それを顕在化させるため、隣家との間にフェンスを設けずピンコロによる境界線とし、2・3号棟の間にポールベンチを設けたデザインは、規模は小さいけれども社会課題を解決しようという意義は大きい。デザインとは、単なる意匠デザインではなく様々な課題を解決するソリューションであることを分かりやすく伝えた。この企画に拍手喝采だ。
取材の案内が届いたときは、断ろうかとも思った。年間3,000戸超も販売する同社グループのたかが4棟の販売現場が好調だからといって、記事にする「か・ち・も・な・い」し、この日は夕方から横浜のマンションの取材が入っていた。移動時間は徒歩を含めて東京-名古屋間と同じだ。炎天下で疲れるだけだと。
しかし、〝取材にNOは言わない〟現場主義をモットーとする記者だ。受けることにした。大正解だった。得るものはたくさんあった。

吹抜け付きの土間空間(4号棟)

2階にランドリールームを設けた2号棟(天井は開閉できる天窓を設け、階下から吹抜けを通じ風が抜ける工夫も凝らされている。手前の南側の黒い部分は敢えて壁にしているのも特徴)

2号棟と3号棟のポールベンチ(フェンスはなく、南側にも抜けている)
野村不パートナーズ マンション管理適正評価制度 全管理組合への説明完了
マンションの管理状態を★の数(★5つから★なしの6段階)で評価するマンション管理業協会の「マンション管理適正評価制度」がスタートし、東急リバブルの不動産情報サイト「中古マンションライブラリー」が表示第一号として先に掲載を開始した。
掲載された19物件のうち★5つ(特に優れている)は6物件で、野村不動産が分譲した「プラウドタワー武蔵小杉」「プラウド大阪同心」「プラウド葛西」の3物件が半数を占めた。そこで、野村不動産グループの取り組みについて聞いた。次のような回答があった。
マンション管理事業の野村不動産パートナーズは、マンション管理適正評価制度だけでなく、管理計画認定制度も合わせて2022年1月から、同社が管理している全物件の管理組合理事会に制度の説明を開始し、3月までに完了。4月以降は改めて両制度の内容・活用するメリット・登録申請フローなどの説明を行っている。
中古マンションの仲介を担当する野村不動産ソリューションズは、制度の拡大をにらんで不動産情報サイト「ノムコム」への掲載を検討している。
マンション管理協は、向こう3年間で12,000組合の登録を目標に掲げている。
東急リバブル 「マンション管理適正評価制度(★の数)」評価掲載スタート(2022/8/3)
イチョウ伐採中止求める国家賠償・住民訴訟 千代田区で3件目/街路樹を原告にしたら
千代田区の神田警察通りⅡ期道路整備計画の議会議決は無効であるとする住民監査請求が先に棄却された千代田区住民は8月8日、道路工事を議決した議会決議は区の職員の虚偽答弁によるものであり、街路樹伐採は区の財産を毀損し、一連の行為は行政の裁量権を逸脱するものであるとして、千代田区を相手取って工事の中止などを求める住民訴訟を東京地裁に提起した。同様の訴訟は今回で3件目。
原告の住民は今年5月16日、千代田区議会が「神田警察通り二期自転車通行環境整備工事」議案を議決し、工事業者と交わした請負契約は地方自治法違反であるから工事を中止し、公金支出を差し止めるよう求めた住民監査請求を行っていた。これに対し、住民監査委員会は7月14日、議決の違法を基礎づけるような瑕疵は存在せず、議決に基づき締結された工事契約は、違法な契約の締結であるとはいえなとして、住民の訴えを棄却した。
今回の提訴について、原告女性は「伐採に反対するのは、自分の故郷を守りたいからです。区は『つなぐまち神田』として、『まち』『緑』『歴史』『文化』『人』のつながりを通して、まちの個性と魅力を価値へとつなげるまちづくりを目指すとガイドラインにも記載しています。しかし、環境まちづくり部は、住民の意に反して神田警察通りのイチョウを伐採することで『まち』『緑』『歴史』『文化』『人』を壊しただけでなく、私たち住民の関係性も心も全てを壊しました。街に『賑わい』があれば、地域の分断はどうでも良いのでしょうか。『人中心のまちづくり』を謳っていながら、なぜ地元住民の反対を押し切ってまでイチョウの生命を奪うのでしょうか。私たちは道路拡張工事に反対しているのではなく、一期区間のようにイチョウを残して道路整備をしてほしいだけです。なぜその方法を模索しないのでしょうか。私たち住民の決意も虚しく2本の伐採が強行され、依然伐採中止の決断がなされず毎夜の木守りを余儀なくされていること、住民間の溝が深まり続けていくこと、住民の意思が反映されないまちづくりが行われること、その全てに終止符を打つべく今回住民訴訟の提訴に踏み切った次第です」とコメントを寄せている。
同様の訴訟は他にもあり、地元住民ら10人は5月6日、街路樹伐採工事は違法として、樋口高顕区長を相手取り、工事代金の支払いの中止などを求める国家賠償請求訴訟を東京地裁に提起している。第1回の公判が7月12日に行われた。
もう一つは、7月11日、区民20人が工事費の支出差し止めなどを区長に求める住民訴訟を東京地裁に起こしている。
今後は、国家賠償請求訴訟については単独で、7月11日の住民訴訟と今回の住民訴訟を一つとして公判される模様だ。
◇ ◆ ◇
今年7月11日に行われた千代田区議会の企画総務委員会の議事録(未定稿)を読んだ。神田警察通り道路整備に関する早期実施、設計変更を求める陳情について論議するのが主なテーマだが、イチョウ並木の伐採に反対する関係者の神経を逆なでし、挑発するかのような区の部課長の発言が目立った。
「本会議でもご答弁申し上げたとおり…道路の附属物である街路樹の存在が『やむを得ない場合』には該当しないものと認識してございます」(須貝基盤整備計画担当課長)「樹木は、街路樹は道路附属物でございますので、先ほど課長から答弁申し上げたとおり、道路附属物として更新することが可能ですので、それをしていくということが基本だというふうに考えています」(印出井環境まちづくり部長)などと、約1時間の論議の中で6回、念仏のように「街路樹は道路の附属物」と語った。
街路樹が「道路の附属物」というのは法律用語ではあるが、伐採してしまえば元に戻らない、代替えができない性格を帯びている。今回、是非が問われているⅡ期工事のイチョウ30本は樹齢60年の成長段階にある樹木だ。これまで何度も書いてきたので繰り返さないが、更新が予定されているヨウコウザクラと比較してその効用・価値は全く異なる。
イチョウを伐採することは、企画総務委員会と本会議で多数決によって議決はされているが、議決に瑕疵があったことは企画総務委員会の委員長自身が認めている。
また、議事録では一方では「原則」を貫き、他方では「原則」を無視し、さらにまた、関係者の「声」をそのまま取り入れ、学識経験者の「声」は聞き置くだけとするなど一貫性・公平性に欠く発言を部課長は繰り返した。
記者は先日、三菱地所などが推進する社会実験「Marunouchi Street Park」(MSP)を取材した。素晴らしい取り組みだ。このオープニングセレモニーに出席した樋口高顕千代田区長は「Marunouchi Street Parkなどの先駆的な事例を参考にさせていただき…わが国だけでなく、世界に誇れるウォーカブルな街づくりを進める」と挨拶した。
国土交通省が令和4年3月1日にまとめた「多様なニーズに応える道路 ガイドライン(案)」でも、合意形成及び事業推進のためには、「『つかう側』の住民・事業者と『つくる側』の行政等が一体となった協働体制を早い段階から構築することが重要である。構想段階では地域住民や関係する事業者等に対し、まちづくりの将来ビジョン又は道路の将来像の実現に向けた基本方針を発信して、取組みへの理解を得ることが重要である」としている。
今回の区の担当部課長の答弁は、大丸有の街づくりと整合しないのは明らかだし、国の方針に背馳する。〝苦渋の判断〟でもって工事着手を決断した区長と議会の多数派の権力におもねる、卑屈で狡猾な小役人根性を露呈したと言ったら失礼か。民主主義は所詮数の暴力か。
戦争は平和なり
自由は隷従なり
無知は力なり
(ジョージ・オーウェル「一九八四年」)
◇ ◆ ◇
今回の一連の住民訴訟に接し、記者は五月雨式に住民が行政を訴えるのもいいが、いっそのこと街路樹を原告にして集団訴訟を起こしてはどうかと思う。
過去にそのような事例がないわけではない。1995年、原告を特別天然記念物の「アマミノクロウサギ」とする訴訟がある。裁判は負けたが、生物多様性を重視する意義は認められた。その後、同様の裁判は各地で提起された。米国では街路樹の様々な価値を定量化するモノサシも一般化しているようだ。
雨にも負けず
風にも負けず
雪にも夏の暑さにも負けぬ
丈夫なからだをもち
慾はなく
決して怒らず
いつも静かに笑っている
…
全国の街路樹と、街路樹をこよなく愛す皆さん、団結せよ!
丸の内仲通り ウォーカブルな街づくり「Marunouchi Street Park 2022 Summer」(2022/8/3)
イチョウ伐採に「精神的苦痛を受けた」 住民訴訟の第1回公判 原告が意見陳述(2022/7/12)
「見事」「素晴らしい」監査員弁護士 女性陳述を絶賛 街路樹伐採 住民監査請求(2022/6/11)
将来性ある穴場・路線開拓、新しい視点の構築必要 トータルブレイン・杉原副社長
.jpg)
杉原氏
マンション設計・コンサルタント会社のトータルブレイン取締役副社長執行役員・杉原禎之氏(59)にほぼ1年ぶりにお会いし、今年前半の首都圏マンション市場について話を聞いた。
同社が発行した「2022年前半戦の首都圏マンション市場検証 及び後半戦以降の課題と展望」レポート(Vol.225)には、1~6月の供給量は前年同期比4.2%減の12,716戸で、初月契約率は前年同期比1.2ポイント減の72.1%、平均坪単価は前年同期の309万円から4.4%アップの323万円とある。これらは不動産経済研究所のデータに基づくもので、長谷工総合研究所の「CRI」8月号と同じだ。
この基礎データについて。不動研は1戸30㎡未満のワンルームや1棟売り、非分譲住戸などを調査対象外(関西圏は30㎡未満を含む)にしているが、住宅着工動向からして「分譲マンション」はこの倍はあるはずで、捕捉率は50%だ。残りの部分はどうなったかも追跡調査すべきだとは思う。
この問題はさておき、同社レポートの真骨頂は、それらのマクロデータだけではなく、直接各社にヒアリングし、好不調、人気の要因などを公表している点だ。ヒアリング対象となった新規発売物件は270物件で、そのうち90.4%に当たる244物件の回答を得ているから、ほぼ全物件を網羅していることになる。
杉原氏自身も、毎日3~4社、毎月約50社の幹部や担当者と定期的に情報交換をしている。われわれ業界紙の記者が知りえない、生々しい現場の情報を把握しているのは間違いない。コンサル会社の強みだ。クライアントにとっても極秘情報が外にでる心配がないから、本音を語れる。
ここでは、頂いた貴重なデータを公表することはしないが、一つだけ、杉原氏の了解を得たので、レポートの雑感(総括)をそのまま紹介する。次のようにある。
◇ ◆ ◇
2022年の前半戦の首都圏マンション市場は、概ね昨年の好調継続ということになるが、ポイントには割安な郊外マーケットの復調があげられる。所得の上昇が難しい中、都心中心にマンション価格は上昇を続けており、賃貸を脱出したい一般層は中古や割安な郊外マンションを検討せざるを得ず、郊外物件の販売が好転した(23区でも割安な練馬区や城北エリアの販売が好転)。今年前半の売れ行きの特徴の一つに、アクセスが良い割に意外と割安なエリアでの販売好調事例の増加があげられる。
一次取得層は予算が限られている中、検討エリアを広げてマンションを探し始めている。そしてその際、重要視しているのは、都心アクセスと割安感。そしてその良好なアクセスにも関わらず割安なエリアは、デベロッパーの沿線・エリア(地位)評価が低く、供給側に人気がないエリアである。
エンドユーザーは、エリアの持つ過去のネガティブなイメージよりも、将来の発展性に期待し、先取りする(しかも過去のイメージはほとんど知らない)ため、デベロッパーサイドも、これまでのエリアイメージにとらわれることなく、アクセスの良さや、将来性が感じられる穴場の路線・エリアを開拓していくことが必要なのではないだろうか。
デベロッパーは現在4つの不安要素を抱えている。①建築費の更なる上昇(人件費・建築資材・設備の高騰、ZEH-M対応によるコストアップ等)②地価の更なる上昇(マンション用地不足)③住宅ローン金利の上昇④物価高騰と生活防衛意識の高まりによる顧客マインドの低下-である。
そして、それらを乗り越えるためには、エンドユーザーのニーズ(アクセスと割安感)にもっと応えられる新しい視点での供給戦略が必要であり、そのためには、これまでの固定観念は捨てて、沿線・エリア評価の見直しを行っていく必要があるのではないだろうか。
◇ ◆ ◇
記者もほぼ同じ考えだ。住宅ローン金利上昇懸念だが、これは懸念が杞憂に終わることを願いたい。仮に金利が0.5%でも上昇したらわが国の経済社会はパニック状態に陥る。住宅購入どころではない。変動金利で借りている人は立ちどころに返済に窮す。ローン破綻が激増し、経営が行き詰まるデベロッパーもリーマン・ショック時の比ではないはずだ。黒田日銀総裁もそのような愚は犯さないと思う。
さて、問題は、雑感がいう「将来性が感じられる穴場の路線・エリア」の開拓と、「エンドユーザーのニーズ(アクセスと割安感)にもっと応えられる新しい視点」をどう構築するかだ。
不動産に穴場など存在しないし、現時点で新しい視点などどこも持ち合わせていないのではないか。売れ行きがいいのを背景に、利益を確保するため基本性能・設備仕様レベルをどんどん落とし、競合物件が高値追求してくれることを願い、漁夫の利を得ようとしているのではないか。
強いてアクセスがよく、割安感のあるエリアをあげるとすれば、マンション空白区ではないか。直近の事例では、日鉄興和不動産・三菱地所レジデンス「リビオタワー羽沢横浜国大」がある。過去10年間にさかのぼって供給が1件もない首都圏駅は100駅を下らないのでは。舎人ライナーを〝穴場〟とする人もいるが、交通利便性よりも緑環境を重視する小生は勧められない。
他では、小生が注目しているのは東京駅から30分圏内の京葉線南船橋だ。ららぽーとがあり競馬場もある。供給はいつか分からないが、三井不動産レジデンシャルがマンションを分譲する。利便性から言えば坪350万円でも安いと思うが、そんな高値にはならないはずだ。
もう一つは、現在は地区計画によって居住が不可の新木場だ。規模は皇居より広い151haだ、地区計画を変更し、インフラも整備して複合都市を建設することになるのはそんな遠い将来でもないような気がする。新木場駅から東京駅までは10分だ。
新しいサービスでは、三井不動産レジデンシャルの大規模修繕工事を長周期化することで、運用段階のライフサイクルCO2排出量を約38%削減する取り組みと、入居者が読み終えた本を次の読み手に届けるサービス「循環するライブラリ」に注目している。基本性能・設備仕様の退行を補って余りある価値があると思う。
ZEH、全館空調、樹脂サッシは差別化の必須要件になるはずだ。
入居者の読み終えた本を貸し出す「循環ライブラリ」 三井不レジ「文京本駒込」(2022/8/6)
駅1分の利便性・資産性受けたか 県外が5割 日鉄興和「羽沢横浜国大」好調スタート(2022/6/25)
「しつこく繰り返し」仕上げる月例レポート トータルブレイン副社長・杉原禎之氏(2021/8/31)
戸建てに押され縮小するマンション市場/九州勢の着工 軒並み上位 近畿圏抜く

「レーベン福岡天神 ONE TOWER」




わが業界もすっかり夏休みモードに入ったようだ。長谷工総合研究所の「CRI」8月号は首都圏と近畿圏の「分譲マンション市場動向」を特集にしており、コンサルトント会社のトータルブレインも20ページにも及ぶ「2022年前半戦の首都圏マンション市場動向 及び後半戦以降の課題と展望」と題するレポートを発刊した。これらについては機会を改めて書くことにして、国土交通省の住宅着工のマクロデータから、マンション市場について考えることにした。
◇ ◆ ◇
過去10年間の分譲住宅の着工戸数そのものは25万戸前後で推移しているが、分譲マンションの比率は漸減しており、2021年度は41.4%まで減少しており、2012年度より8.3ポイント下落している。地価・建築費上昇などによる適地難が背景にありそうだ。その一方で、分譲戸建てがメインの飯田グループ、オープンハウス、ケイアイスター不動産などが価格の安さを武器に全国展開を強化している。
都市圏別では、首都圏マンションは2012年度の約7.2万戸から2021年度は約4.9万戸に、2012年度比31.8%減少。分譲住宅全体に占める割合も2012年度の54.4%から2021年度は45.3%と9.1ポイント下落し、過去10年間で最少を記録した。
中部圏のマンションは増加傾向にあり、全国に占める割合は2012年度の5.5%から2021年度は8.9%へ伸びている。圏域に占めるマンション比率はこの10年間ほぼ横ばい、30%前後で推移している。
近畿圏のマンションは年度によって増減が目立つが、全国着工に占める割合はほぼ20%台の前半、圏域に占めるマンション割合は50%台の前半でそれぞれ推移している。
その他地方の分譲住宅は増加傾向にあり、2017年度に6万戸台に乗ると、2020年度は約5.9万戸と6万戸を下回ったが、2021年度は約6.7万戸と2012年度比48.1%増加している。マンションも年度によって多少の増減はあるが、2021年度は過去10年で最多の約2.3万戸となり、全国に占める割合も過去10年間で最高の22.5%ととなり、近畿圏を抜いた。圏域に占めるマンション割合もほぼ中部圏を上回っている。
◇ ◆ ◇
さらに過去5年間(2017年度~2021年度)に絞って、マンション着工動向を見た。
トップはもちろん東京都。5年間トータルで17,056戸となり、全国着工戸数550,526戸のうち31%を占めている。ただ、着工戸数の減少傾向は続いており、2022年度は2021年度の29,216戸を下回る可能性が大きい。用地難と価格上昇などが原因と思われる。首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)は5年間合計で277,771戸となり、全国の50.5%を占めている。
2位の大阪府は5年間合計78,633戸で、東京都の46.0%。近畿圏(大阪・滋賀・京都・兵庫・奈良・和歌山)合計は119,659となり、全国の21.7%となっている。
3位は神奈川県の57,794戸、4位は愛知県の38,062戸。中部圏(愛知・静岡・岐阜・三重)は48,575戸で、全国比8.8%。3大都市圏の合計は446,005戸で、全国に占める割合は81.0%となっている。
◇ ◆ ◇

「HIYORI オーシャンリゾート沖縄」
九州勢の着工増が目立っている。福岡県の5年間の着工戸数は約26,000戸で、埼玉、千葉、兵庫より上位の堂々5位に入っている。
着工増を象徴するのが、記者も見学取材したタカラレーベン「レーベン福岡天神 ONE TOWER」(153戸)だ。同社の創業50周年記念物件で、圧倒的な人気を呼んでいる。坪単価は書かないという約束なので、紹介できないのは残念だが、過去の博多駅圏の最高値を更新した。
「福岡天神」が高値更新したことで、他の物件に好影響を与えているのか、西日本鉄道・大和ハウス工業「ブライトクロス博多」(183戸)は、2021年10月1日~2022年3月31日の成約戸数120戸は、九州で分譲された新築分譲マンションの中で最多と、ホームページに公表している。
リゾートマンション・分譲ホテルなど首都圏の富裕層にも人気が高い沖縄県は13位で、熊本県は16位、長崎県は19位、鹿児島県は20位、大分県は21位。過去4年間は年間平均231戸だった宮崎県も2021年度は673戸と3倍増に近い戸数を着工し31位に浮上した。
沖縄県では、サンフロンティア不動産の分譲ホテル「HIYORI オーシャンリゾート沖縄」(203室)が今年3月までに竣工完売した。坪単価は350万円だった。
熊本県では、タカラレーベン西日本は7月29日から熊本市の駅前再開発街区に、ランドマークトなる15階建て3棟構成の「レーベン熊本駅レクシア」(全167戸)の分譲を開始した。坪単価は分からないが、300万円近いのではないか。
長崎市の中心市街地活性化事業の玄関口に位置する大京・穴吹工務店・三菱地所レジデンス・エヌ・ティ・ティ都市開発・JR西日本プロパティーズの5社JVの26階建て「ライオンズタワー新大工町」(240戸)もホームページを見た限りでは販売は好調のようだ。
住友不動産は8月12日、宮崎市内過去最大級のマンション「シティテラス宮崎」第1期29戸の登録申し込みを受け付ける。JR宮崎駅から徒歩5分の15階建て全204戸。第1期の専有面積は70.14~75.30㎡、価格は3,180万~5,080万円(最多価格帯3,500万円台)。竣工予定は2024年2月中旬。施工は穴吹工務店。
同社関係者によると、市内郊外部の一戸建てに住んでいるシニア層の〝都心回帰〟需要を取り込んでいるようだ。
どうして九州地方のマンション着工が増加しているのか。頻発・激甚化する自然災害や、コンパクトシティ・中心市街地活性化事業などの取り組みなどと関連するのかどうか詳細な分析が必要だ。
3大都市圏以外では、指定都市を抱える広島県(広島市)が9位、宮城県(仙台市)が12位、岡山県(岡山市)が15位、新潟県(新潟市)が25位にランクされている。
他では、過去4年間の年間平均は431戸だった茨城県が2021年度は1,405戸に増やし18位に浮上。現在、西日本鉄道・東レ建設・長谷工不動産の3社JV「つくばウェルビーイングプロジェクト」(569戸)や名鉄都市開発「メイツつくば」(166戸)などが分譲されている。
最下位の福井県は、過去4年間で154戸しかなかったが、2021年は308戸が着工された。タカラレーベン「レーベン福井二の宮CROSS FRONT」(84戸)のほか、福井駅から徒歩4分の28階建て再開発のコスモスイニシア「ザ・福井タワー イニシアグラン」(106戸)が着工増に寄与しているようだ。
ブービーの山梨県だが、タカラレーベンは、甲府市内の一等地・丸の内一丁目に位置する岡島の百貨店跡地を取得し、28階建て約360戸の商・住複合タワーマンションを建設すると先に発表した。竣工予定は2028年。
単価の安さに驚愕 立地よく設備仕様レベル高い 駅圏最大級の野村不他「金沢」287戸(2022/7/30)
穴吹工務店 「サーパス」最大級の「新潟万代」329戸 市内初のZEH-M仕様(2022/8/1)
福岡の最高峰 第1期100戸 圧倒的な人気 タカラレーベン50周年「福岡天神」(2022/3/15)
北海道最高峰は坪415万円 大和ハウス他「ONE 札幌ステーションタワー」始動(2022/2/8)

