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 野村不動産は927日、東京電力エナジーパートナーが提供する太陽光PPAサービス「エネカリプラス」を同社の戸建て分譲シリーズ「プラウドシーズン」に導入する第1弾「(仮称)杉並宮前プロジェクト」を着工したと発表した。

 PPAは、Power Purchase Agreement(電力販売契約)の略称で、顧客がPPA事業者に敷地や屋根などのスペースを提供し、PPA事業者が太陽光システムなどの発電設備の設置と運用・保守を行うもの。

「エネカリプラス」は、初期費用無料で太陽光発電設備を設置させてもらい、毎月定額で利用できる東電EPの定額機器利用サービス。余剰電力は東電EPへ売電する。

 同社は今後、同様のスキームで年間300戸相当への導入を予定しており、その総発電出力はメガソーラー発電と同規模の1,000kWとなる。

 物件は、JR荻窪駅から徒歩1920分、杉並区宮前3丁目に位置する全16戸。敷地面積は90.00107.89㎡、延床面積は91.50106.06㎡。設計・施工は細田工務店、三菱地所ホーム。

野村不 首都圏戸建て年間約300戸に1,000kWの太陽光発電 購入者の負担はなし(2022/5/19

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小山氏(左)と秋元氏

 大和ハウス工業は9月26日、リアルとオンラインによる「業界動向勉強会(環境篇)」を開催。芝浦工業大学建築学部長教授・秋元孝之氏が「脱炭素社会を担う次世代の建築・住宅」と題する講演を行い、同社技術統括本部環境部長・小山勝弘氏が「大和ハウスグループの脱炭素社会への取り組み」について説明した。

 秋元氏は、2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするカーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すためのZEB、ZEHなどの取り組みの現状や課題なとについて語り、「人類の活動によって生じる温室効果ガスの増加による気候変動が、世界に深刻な災害を引き起こしている現在、地球環境への負荷低減が喫緊の課題となっている。日本政府が掲げた2030年度までにCO2を46%削減(2013年度比)するという宣言の中で、家庭部門は66%の削減を求められている。あと8年。個人が現実に喫緊の課題として受け止めているか? 無責任な目標を掲げるのではなく、国民が不利益を被らないよう配慮した取組を進めて行くためにはまだまだ議論すべきことが多い。産官学全てのプレーヤーが将来の日本に責任を持って議論に参画していくことが重要ではないか」と締めくくった。

 小山氏は、同社の脱炭素社会への取り組みについて説明。自社施設のZEB化+自社発電でRE100を中心とする再エネ100%のモノづくりと、ZEH・ZEB+全棟太陽光を中心とする再エネ100%のまちづくりを掛け合わせてカーボンニュートラルへ貢献すると話した。「2030年までに、やれることはすべてやる」と強調した。

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 同社住宅事業本部事業統括部分譲住宅グループ部長・本間生志氏が「今期計上する約1,600戸の分譲戸建てのうち8割はZEH対応。5年後には100%にする」と9月15日に話したばかりだ。

 それから、間、髪をいれず今回の勉強会だった。テーマは時宜を得たもので、両氏の話はとても分かりやすかった。秋元氏が脱炭素社会の実現は喫緊の課題と語り、小山氏は「やれることはすべてやる」と意気込みを示した。

 小生も、「誰一人取り残さない」持続可能で多様性と包摂性のある社会の実現を目指すSDGsに賛同し、実践するためにもらったバッジをいつも胸に付け、17項目の目標の一つである「つくる責任 つかう責任」を「書く責任」に置き換えて記事を書いているつもりだ。

 今回のテーマである建築・住宅分野でのカーボンニュートラルの取り組みは、速度は遅いかもしれないが確実に前進していると思う。中でも注文住宅の分野では、大手ハウスメーカーが先頭を切ってZEH化を進めており、2020年度目標である半数以上を上回る56.3%を達成している。全体では24.0%にとどまっているものの、これから加速することに期待したい。

 分譲マンションを中心とするZEH-M の取り組みも進んでいる。2021年9月現在、ZEH-Mデベロッパー登録は44社(D登録)、建築請負会社登録も33社(C登録)に達している。主要なプレーヤーがほとんど名乗りを開けていると理解できる。2025年くらいには分譲マンションの30~40%はZEH化が実現するのではないか。

 しかし、賃貸住宅もそうだが、建売住宅のZEH化は遅々として進んでおらず、この先も過大な期待は持てそうにないのが現状だ。2020年度の建売ZEHは2,886戸にとどまっており、着工戸数129,351戸の2.2%に過ぎない。建売住宅ZEHビルダー登録はわずか20件だ。

 積水ハウス、大和ハウス工業など大手ハスウメーカーなどは100%近いZEH率を達成しているが、全体市場に占めるハスウメーカーのシェアは10%にも満たないと思われる。

 一方で、記者が〝建売御三家〟と呼ぶ年間販売戸数が約4万戸の飯田グループホールディングス、約5.5千戸のオープンハウスグループ、約4.8千戸のケイアイスター不動産3社の合計販売棟数は約5万戸だ。この3社グループのうちZEH化を進めているのは飯田グループの東栄住宅1社しかない。

 この3社グループがZEH化を進めれば建売住宅のZEH化は一挙に進むが、いまのところその気配はない。ハードルが高いからだ。

 例えば飯田グループ。同社の2022年3月期の建売住宅の1戸当たり平均価格は2,866万円(前期比146万円増)だ。価格が上昇したのは、用地費、建築費上昇を価格に転嫁したからで、利益率は減少している。これに、ZEH化に伴う価格上昇を仮に300万円とし、価格に転化すれば平均価格は一挙に10%以上アップの約3,200万円になる。ZEH化の課題とされる「顧客の予算」「顧客の理解を引き出すことができない」「初期投資費用が高い」「投資回収年数が長い」壁が立ちはだかる。

 では、この「顧客の予算」「顧客の理解を引き出すことができない」壁をどのように突破するかだが、一つは105万円の補助金制度の活用だ。あとの200万円上昇分をどこで相殺するかだが、光熱費などのランニングコスト減だけでは20年も30年もかかる。経済的効果だけでは顧客を納得させるのは難しいと記者は考える。

 そこで、欠かせないのは快適性の〝見える化〟〝見せる化〟だ。これが決定的に欠けている。記者は、建売ZEHやZEH-Mの取材も30件以上取材しており、外断熱マンションやZEH仕様の戸建てに体験宿泊しているので、ZEHの威力を体感しているが、住宅購入検討者のうちZEHを体感している人は10人に1人もいないはずだ。取材現場で感じたことだが、Low-Eガラスや樹脂サッシの効果を理解できていない営業担当者もかなりいた。

 説明する本人がZEHを体験していなければその良さを顧客に伝えることなどまずできない。営業担当者はもちろん、顧客にもZEHを体験させる機会を設けることが欠かせない。

 一番適しているのはモデルハウスだろうが、住宅展示場は火気厳禁で、宿泊も不可だ。これを早急に改めるべきだ(一部のハウスメーカーはそのような規制を受けない単独の展示場を設けて効果をあげている)。建売住宅のZEH仕様のモデルハウスは極めて少ない。

 体験できるようにすれば、真冬でもエアコン1台で床暖房は使わなくても、トイレも浴室も廊下も室温が一定であることが分かるはずで、顧客の理解度を飛躍的に向上させることができるのだが…。妙案はないのか。

 最後に記者の提案。虫眼鏡で帽子に穴をあけるのと同じ原理で、レーザー砲が実用化される時代が来てはほしくないのだが、記者は学生時代、民家の2階の北向き3畳間に間借りしたことがある。何とか光を取り込もうと隣家の屋根に鏡を置き、反射させて成功させた。押し入れの中まで光が入った。

 いまある太陽光採光システムも原理は同じだ。コストがとてつもなくかかるようだが、技術革新によって光が届く時間を遅らせるか、光を貯めることはできないのか。

「今期分譲戸建て1,600戸の8割はZEH仕様」本間部長 大和ハウス 記者レクチャー(2022/9/18)

大和ハウス工業「平和台」 同社初の「ZEH-M Ready」 申し込み殺到 早期完売へ(2020/9/15)

 

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「ミマルスイート 東京・日本橋」

コスモスイニシアとコスモスホテルマネジメントは929日、アパートメントホテル「ミマル(MIMARU)」の新シリーズで、全室2ベッドルーム以上のスイートタイプで構成する「ミマルスイート(MIMARU SUITES)」の第2弾「ミマルスイート 東京・日本橋」を開業する。開業に先立つ26日、メディアに公開した。

物件は、東京メトロ日比谷線・都営浅草線人形町駅から徒歩2分、中央区日本橋堀留町2丁目に位置する11階建て延床面積約3,035㎡の全36室。1フロア4室で、客室は5860㎡。2階に一般の人も利用できるカフェラウンジを併設する。開業は929日。

「ミマル(MIMARU)」は、20182月開業の第一弾「MIMARU 東京 上野NORTH」を皮切りにこれまで東京で13か所、京都で7か所、大阪で3か所、合計23か所で運営しており、約40㎡以上の広い客室に食器、調理器具付きキッチンやリビング・ダイニング、洗濯機を備えているのが特徴。2ベッドルームを備えた「MIMARU SUITES」の第一弾は2021年開業の「MIMARU SUITES 京都四条」。

同社は今後、「東京日本橋」に続き、202212月には「MIMARU SUITES東京浅草」を、さらに池袋と大阪・心斎橋に2つ、合わせて5つのホテルを年内にオープンする予定。

宿泊料金は1室1泊約36,000〜。6名で宿泊の場合は1泊・1名当たり約6,000円の料金設定になっている。

運営を担当するコスモスホテルマネジメント広報担当者によると、現時点の予約者の半数が7泊以上を希望し、このところ予約は倍増しているともいう。

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リビング

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バスルーム

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 意表を突いたホテルだ。記者は、「スイート」というからには、内装はさぞかし豪華な建具・家具が備えられ、設備仕様レベルも高いのだろうと想像していたのだが、そうではなかった。広さは「スイート」にふさわしいものだが、2人宿泊を想定しているものではなく、国内外の親子、兄弟姉妹、三世代、親戚同士、友人などとのグループ旅行など多様なニーズにも対応できるものだった。(旅館タイプは多人数で宿泊できるものが多いが、いびき・歯ぎしりなどを気にし出すと眠れなくなり、朝早くから風呂に入る人もいるので、ほとんど一睡もできなかったこともしばしばあった)

何がいいかといえば、メインのトイレ、浴室のほかに、もう一つのベッドルームにはトイレ・洗面・シャワー室が備えられていることだった。双方の浴室・シャワー室にはタオル掛けも2か所についていた。非日常を演出しながら、日常のシーンも想定し、冷え切った関係を修復し、それぞれのコミュニケーションを劇的に向上させる可能性を秘めた企画がいい。6名利用したら16,000円というから、並みの20㎡前後のツインとは比較にならないほど〝豪華〟といえば豪華だ。

そして、2階のロビー、ラウンジ、カフェコーナーがまたいい。広さは、記者が見学したこれまでの「MIMARU」より広く、備えられている器やアート、約300冊の書籍などを客室に持ち込むことが可能で、食器類や小物などは購入できるようになっていた。それらは決して高額な商品ではなく、小生の家庭でも使っているような日常的に使えるものばかりだった。

書籍は、外国人利用も想定してか、わが国の浮世絵や伝統的な文化や歴史に関する写真付きのものが多い。そして、嬉しいことに、人形町界隈の酒屋から取り寄せた日本酒を無料(飲み放題ではないが)で試飲できるというではないか。

書籍といえば、昨年4月に見学した積水ハウスの民泊運用型セカンドハウス「YANAKA SOW」を思い出した。「愛とエロス」と名付けられた客室があり、客室に備えられていた背表紙に「Shunga」と書かれた書籍には北斎、英泉、国貞、歌麿らによるくんずほぐれつの、知らない人は卒倒しそうな春画が描かれていた。「MIMARU」はそんな本は置けないのはよく分かる…。

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ロビー

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額装されたアート

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ロビー

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ロビー

〝骨太ニッチ〟アパートメントホテルで独走 コスモスイニシア第一弾「上野」開業(2018/2/2

高評価に驚愕 コスモスイニシア 7件目「MIMARU京都 新町三条」に体験宿泊(2018/10/17

旅と暮らしを紡ぐ コンセプト最高 愛とエロスなど13室「YANAKA SOW」開業(2021/4/22

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「ザ・タワー十条」

 業界関係者の間で話題になっている東急不動産・日鉄興和不動産の「ザ・タワー十条」578戸の第1期1次105戸の登録申し込みが9月23日から始まった。当初、第1期1次の販売戸数は分譲対象394戸の半分近い186戸とされていたが、その半数強に減少した。申し込み締め切りは10月2日で、3日に抽選が行われる。

 物件は、JR十条駅から徒歩1分、北区上十条二丁目の商業地域(建ぺい率66%、容積率797%)に位置する39階建て全578戸(事業協力者住戸184戸含む)。第1期1次(105戸)の専有面積は58.23~127.37㎡、価格は8,290万~30,000万円(最多価格帯11,100万円台)。竣工予定は2024年9月末日。販売代理は東急リバブル。施工は前田建設工業。事業コンサルタントは日本設計。

 現地は、住宅・商業・公益一体の複合開発「十条駅西口地区第一種市街地再開発事業」(地区面積約1.7ha)。2005年11月に十条駅西口地区まちづくり協議会が発足してから2012年10月の都市計画決定、2021年3月の着工を経て今回の分譲開始となった。両社は参加組合員として事業参画している。

 1階〜4階の一部は商業・業務フロア、住戸は6階からで平均専有面積74.32㎡と広いのが特徴。今回の分譲対象は26階以上の高層階となっている。

◇        ◆     ◇

 物件ホームページには基本性能・設備仕様レベルなどは公開されておらず、記者は見学していないのでいい加減なことは書かない。いいか悪いか、買うか買わないかは検討者が考えることだ。

 ただ、坪単価にはびっくりした。最低価格の住戸が専有面積約58㎡の住戸であるとすれば坪470万円だし、最高価格住戸の専有面積が約127㎡であれば坪777万円だ。(比較にはならないが、今春に分譲開始され、3か月で完売した十条駅から徒歩4分の三菱地所レジデンス「ザ・パークハウス十条」41戸の坪単価は353万円だった。地所レジ関係者はどう思っているのか、切歯扼腕しているのか)

 建物の四方は開けており、下層階でも眺望が妨げられる要因は今のところなく、この26階の坪470万円が平均値になる可能性が高い。(個人的には最上階と思われる住戸はとても安いと思う。単価通りのラッキーセブンだ。どこにでもお金持ちはいる。坪1,000万円でも安いのではないか)。

 だとすると、この坪470万円は周辺の今後予定されている周辺物件の値付けに大きな影響を与えるのは必至だ。さしずめ、同じような立地条件から競合しそうなのは、先に分譲開始された三菱地所レジデンス他「ザ・パークハウス 戸越公園タワー」であり、住友不動産の各物件だ。中でも住友不動産は周辺エリア、あるいは単価的に同レベルと思われる大規模物件を続々供給する。以下の通りだ。

・住友不動産「シティタワーズ板橋大山」(ノースタワー88戸、サウスタワー239戸) 来年1月分譲予定。竣工は2024年7月上旬。

・住友不動産「シティタワー千住大橋」466戸(駅5分、今年11月分譲予定)。竣工予定は2025年4月中旬。

・住友不動産「シティタワー綾瀬」427戸(駅1分、来年1月分譲予定)。竣工は2024年12月中旬。

・住友不動産「シティテラス赤羽」438戸(駅7分、THE EAST300戸、THE WEST 138戸)。今秋から来年1月分譲予定。竣工予定は2024年12月。

・「赤羽一丁目第一地区第一種市街地再開発事業」(住友不動産が事業参画。開発準備組合が設立された段階)

・「上板橋駅南口駅前地区第一種市街地再開発事業」(住友不動産が事業参画する)

 上記のうち「赤羽一丁目」と「上板橋」はあと2~3年先にならないと詳細は固まらないだろうが、「十条」によって価格を上方修正するのではないか(その逆もあり得ないわけではないが)。ほくそ笑んでいるかもしれない。

 同じ北区では、企画力がある大和地所レジデンスが30周年記念プロジェクトとしてフラッグシップブランド〝グラン〟を冠した「ヴェレーナグラン北赤羽 マスタープレイス&マナープレイス」571戸(駅5分、マスタープレイス318戸、マナープレイス253戸)のエントリーを開始した。来春分譲開始予定で、竣工は2024年末から2025年初。概要には「工業地域」とあるので、価格を抑え、企画で勝負に出るのは間違いない。

 また、着工したばかりで競合は微妙だが、板橋駅前では野村不動産と東日本旅客鉄道が事業参画している「板橋駅板橋口地区第一種市街地再開発事業」がある。

 「十条」の影響はこれだけにとどまらない。再開発計画がたくさんある城東エリアだ。野村不動産が事業参画している「平井五丁目駅前地区第一種市街地再開発事業」(住宅は370戸、竣工予定は2024年度内)や三井不動産レジデンシャルと日鉄興和不動産が事業参画している「JR小岩駅北口地区第一種市街地再開発事業」(住宅は730戸、竣工予定は2027年度)にも影響を及ぼすことになる。街のポテンシャル、東京駅までの交通便を考えれば、「十条」には負けないと考えるのが妥当だ。坪単価は400万円をはるかに突破してもおかしくない。

 参考までに、最近分譲された周辺物件と準都心部のマンションの記事を以下に紹介する。

反響3000件超 ランドスケープ抜群 三菱地所レジ他「板橋大山大楠ノ杜」(2021/12/11)

三菱地所レジ「十条」41戸は坪353万円3か月で完売/台風の目「ザ・タワー十条」(2022/8/1)

南北・銀座戦争か? 北の「十条」と競合あるか 三菱地所レジ他「戸越公園」(2022/9/10)

エリアの最高値更新へ 三菱地所レジ コンパクト&ファミリー「赤羽」(2021/9/17)

第1期は全227戸の約6割の135戸 大和ハウス他「王子神谷」圧倒的な人気(2021/12/3)

 

総武線(亀戸~小岩)の開発に拍車 再開発中心に5000戸超 「亀戸」の上値圧力も(2021/9/1)

 

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「プロスタイル札幌 宮の森」(写真は全てリリース、物件ホームページ)

 プロポライフグループのログスイート(LogSuite)とプロスタイル(Prostyle)は9月21日、隈研吾氏が設計を担当した「プロスタイル札幌 宮の森」が3年3か月の工期を経て8月31日に竣工。同時に、棟内モデルルームと現地事務所を設け、販売を開始したと発表した。第一種低層住居専用地域の高級住宅地に立地する全20戸の傾斜地マンションで、坪単価は市内のこれまでの記録を大幅に更新する700万円超ながら、すでに申し込みが5件入ったという。

 物件は、札幌市営地下鉄東西線円山公園駅から車で約7分、札幌市中央区宮の森4 条の第一種低層住居専用地域(建ぺい率40%、容積率60%)に位置する敷地面積約4,413㎡、11階建て(建基法では地下2階地上3階建)延べ床面積約4,997㎡(容積対象面積約2,634㎡)の全20戸。専有面積は124.26~176.65㎡(他にテラス26.78~122.75㎡、プライベートガーデン17.58~105.87㎡など)、価格は18,800万~40,000万円(最多価格帯26,000万円台3戸)、坪単価は700万円強。設計・監修は隈研吾建築都市設計事務所。施工は砂子組。

 現地は、「例えるならば渋谷・松濤、横浜・山手町」「札幌の街を一望できる眺望と残された自然の借景を、全ての住戸に取り入れています。特徴である天然木を贅沢に用いたデザインで、自然に溶け込んだ斬新な集合住宅」(リリース)というのが特徴。

 建物は、モノレール型のエレベーターを採用、外気に面する梁・壁の室内側に約55㎜厚、最下階住戸の床下に約35㎜~約50㎜厚の結露発生を抑制する断熱材を施工。主な基本性能・設備仕様は、IHヒーター、食洗機、天然無垢材建具・家具・床仕上げ、デュポン・コーリアン製天板、DURAVIT社製スタルク浴槽、プライベートサウナ、高断熱トリプルガラスなど。

 隈氏は、物件ホームページのインタビューで「今回僕自身で現地に足を運び、非常に魅力的な敷地だと感じました。丘を生かした建築を構想していました。それを実際に成立させるためにはかなりの時間をかけたプロジェクトでしたね(設計期間は3年半、施工期間は3年3か月)。恐らく今後、そう容易く誰もがここまでの建築に取りくむチャンスがあるわけではないと思う」「事業主のProstyle社とLogSuite社は、天然無垢材を必ず採用することにこだわった会社です。これに共鳴した部分が大きくあります」「コンクリートを流す枠に無垢の丸太を使うことは大変稀で、技術としても非常に難しいものです。木を自然な形で使用できるこの丸太の残存型枠は、一般的な都会型のマンションではできない、今回ならではの挑戦でした」などと語っている。

 現地の販売担当者は「数か月で完売できるのではないか」と話していた。

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外壁は北海道産のスギ

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エントランス

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 このマンションは、不動産流通研究所のWeb「R.E.port」が9月22日に報じるまで全く知らなかった。隈氏が設計したのに驚いたのだが、それ以上に仰天したのは価格だった。最低でも坪単価は500万円を突破するではないか。現在の札幌市内の最高値マンションは、大和ハウス「ONE 札幌ステーションタワー」の415万円のはずだが、それを一気に抜き去った。(抜かれた大和ハウスは福岡・大濠公園の近くでこれまでの市内の最高単価をはるかに超えるマンションを計画していると聞く)

 早速、ログスイートとプロスタイル、物件ホームページで確認した。両社は持ち株会社プロポライフグループの会社で、同社グループは創業15年間で約2,000件のリノベーションマンションの実績があるとしている。しかも全てスケルトンリノベを施し、二重床・二重天井にし、床から建具・家具、天井に至るまで無垢材仕上げにしているとあった。扱う物件も都心部のアッパーミドル・富裕層をターゲットにした億ションが中心だった。

 これに合点がいった。床や建具・家具は天然木がいいのに決まっている。バブル期は最高級のマホガニー、チーク、紫檀・黒檀などが当たり前だったし、数年前まではモリモトが突板仕上げなどで他社との差別化を図って成功していた。分譲戸建てではポラスグループが「木」にこだわっており、構造材の現し、挽板仕上げが多い。

 話を元に戻す。「プロスタイル札幌 宮の森」の物件概要には、建ぺい率40%、容積率60%(田園調布、山手町、芦屋市・六麓荘も40%、80%)とあるではないか。設計に3年半、施工に3年3か月かけたことでも法規制をクリアするのに苦労したであろうことは素人の記者でも分かる。傾斜地であることを巧みに生かし、建基法の地盤面規定を利用して実現したのだろう。

 傾斜地マンションといえば、〝傾斜の魔術師〟と呼ばれた故・井出共治氏設計の「ヒルサイド久末」(清水建設施工)「ヒルサイドテラス平山城址」(同)「ゆりが丘ヴィレッジ」(鹿島建設施工)を思い出す。他では、竹中工務店施工の「テラス寺尾台」もいい物件だった(安藤忠雄氏の「六甲」は見ていない)。「プロスタイル札幌 宮の森」もまた、わが国の代表的な傾斜地マンションとして歴史に刻まれるのだろうか。近ければ飛んでいきたい。以下に隈氏が手掛けたマンションを紹介する。

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隈研吾氏がデザイン 〝グランデ〟首都圏第一号 阪急不「ジオグランデ元麻布」(2017/3/6)

新国立競技場だけでない 三井レジ「赤坂檜町」も隈氏デザイン監修 圧倒的人気(2015/12/22)

究極の隈研吾マンション 豊島区庁舎と一体の東京建物「Brillia Tower 池袋」(2013/3/19)

「神楽坂『赤城の杜』プロジェクト」完成 三井不レジが見学会(2010/8/20)

驚嘆の安さ 坪318万円 隈研吾氏がデザイン監修 三井不・東電不「パークコート神宮前」(2008/11/19)

 

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「オンサイトPPA」を採用した物流施設「DPL 三郷Ⅱ」

 大和ハウス工業は9月22日、再生可能エネルギー供給を加速するため、同社が建設・開発する商業施設・事業施設の全ての屋根に、太陽光発電システムを提案すると発表した。

 同社グループは、「第7次中期経営計画(2022~2026 年度)」で、2023年度には業界初となる「RE100」達成、2030年度までに国内でZEB・ZEH率100%を目指すことを打ち出している。今年度から分譲住宅を含む戸建て住宅全商品をZEH仕様としたほか、賃貸住宅もZEH-M仕様の提案を強化している。

 また、着工中の一部の事業施設でも10月1日から商業施設・事業施設の全ての屋根に、太陽光発電システムの提案を本格的に開始する。

 今回の提案では、顧客との通常の請負方式に加え、同社が屋根を借りて太陽光発電システムを無償で設置し、発電した電力を供給する「オンサイトPPA」方式を活用。発電した再生可能エネルギーを入居テナント企業に使用してもらうことで、顧客のCO2削減にも寄与する。

 

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「ナインアワーズ大手町」(Nine Hours Otemachi - Imperial Palace

コスモスイニシアは926日、同社が保有するカプセルホテル「ナインアワーズ大手町」(Nine Hours Otemachi - Imperial Palace)に遮音性の高い新型静音カプセル「9h sleep dock」を初導入し、睡眠解析サービス「9h sleep fitscan」の提供を開始する。運用・サービス提供を前にした921日、プレス内覧会を実施した。

新型カプセル「9h sleep dock」(計8床)は、ヤマハ発動機と共同開発したもので、従来はロールカーテンで仕切られていたカプセルの入り口を遮音性に優れたハッチ型にすることで、いびき音や廊下を歩く音などを聞こえづらくする「静音空間」のほか「個別温湿度管理」「クリーン換気」機能を持つ。

睡眠解析サービス「9h sleep fitscan」は、202112月から導入を開始したもので、宿泊客に了解の上で、睡眠データを赤外線カメラ、集音マイク、体動センサーで収集・解析し、後日、心拍数やいびき、無呼吸になった回数・時間などをレポート形式で提供する。サービス利用者は現在1万人を超え、約7%の睡眠時無呼吸症候群が検出されている。

今後、同社が運営する19店舗、年間利用者100万人に近い利用者へサービスを拡大することで、数年以内には数百万人~1千万人規模の睡眠データベースの構築を見据えている。

この種の「睡眠ビッグデータ」は世界に類がなく、睡眠障害は統合失調症、うつ病、パーキンソン病、認知症などの疾患と関連があることから、データが疾病メカニズムの解明や治療に貢献すると期待されているという。

施設は、東京メトロ東西線竹橋駅から徒歩3分・神保町駅から徒歩4分、千代田区神田錦町3丁目に位置する敷地面積約166㎡、8階建て延べ床面積約829㎡、客室数129室(男性76/女性53室)。チェックイン・アウトは14:0010:00、宿泊料金は変動制でこの日(21日)は約3,000円(「9h sleep dock」は+1,000円)。

東京駅や大手町、皇居に近いため出張や旅行の際のトランジットサービスとして、宿泊や仮眠などさまざまな需要に応えるカプセルホテルで、皇居ランナーなどにはシューズロッカーの提供やランニングウェア、ランニングシューズのレンタルサービスも行っている。

10月には、コワーキングスペースとして電源・Wi-Fi完備のデスク・ラウンジが使える当日/月額プランの販売を開始する予定。

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新型カプセル「9h sleep dock

 

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ピクトサイン

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洗面室

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 カプセルホテルは苦い経験しかない。大成有楽不動産が一昨年開業した「BAYHOTEL東京浜松町」を取材したときも書いたが、終電に間に合わず家に帰るよりはるかに安く済むので同僚などと何回か利用したことがある。ゴムひも付きのカギを手首にはめさせられ、囚人服のようなパジャマを着せられ、2段ベッドに押し込められるのには閉口した。浜に打ち寄せられたトドの死骸のよう格好の湯上り姿のサラリーマン(さすがにそんな女性はいなかった)を見ると、情けないやら悲しいやら、酔いがぶり返した。その都度〝絶対、お前らとは飲まないぞ〟と誓ったが、酒の誘惑には勝てなかった。

 今回のカプセルは、昔利用したものとは異なっていた。テレビはなかった。スマホがあればいいのだそうだ。酔っぱらいなどはあまり利用しないことも初めて知った。

白を基調にした内装デザイン、廣村デザイン事務所によるピクトサインは美しく、シャワー室のシャワーヘッドは立派なものだったのが印象に残った。ただ、人間洗濯機のようなカプセルはどうしても馴染めなかった。

 睡眠解析サービスについてはよく分からないが、無呼吸、いびき・歯ぎしりは重大な疾患と関係があることは身内、知人を通じてよく知っている。カプセルだけでなく、同社の「MIMARU」に導入してもいいのではないか。

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コワーキングスペース

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外観

大成有楽不 ホテル&カプセル 「BAYHOTEL東京浜松町」424日開業(2020/3/18

 

 

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キッズデザイン賞 受賞36作品

 キッズデザイン協議会は9月21日、第16回「キッズデザイン賞」受賞作品214点の中から優秀作品へノミネートされた最優秀賞、優秀賞、奨励賞、特別賞など36点を発表した。9月28日に表彰式、シンポジウムが開催される。

 最優秀賞の内閣総理大臣賞には茨城県の黒田潤三アトリエ/なないろレディースクリニック「なないろこまち」が選ばれた。受賞理由は「カフェのような待合室、別荘のような病室など、クリニックの枠を超えて、小さな町をそのまま実現し、リアルな触れ合いを大切にした良質な取組」であること。

 住宅・不動産業界からは、奨励賞(キッズデザイン協議会会長賞)に中央住宅「育てることで育む『農』のある暮らし ハナミズキ春日部・藤塚」と、積水ハウス「エルミタージュクール」がそれぞれ選ばれた。

 中央住宅の受賞作は「住まいながら農に関わり、自らの食の成り立ちや消費を学べる、社会提案性の高い取組であり、建築はベーシックな機能と意匠を押さえており、すっきりとしたデザインで評価できる」点が、積水ハウスの受賞作は「子育て世帯ならではのニーズ、例えば見守りをしながら家事のしやすい動線、外遊びを自由にさせられるような中庭、一時預かりに使えるような空間や遊び場などを備えた、『子育て』に特化した思い切った空間提案」が評価された。

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 両社の受賞作のうち「ハナミズキ春日部・藤塚」は見学取材している。記者は調整区域で開発したことに価値があり、だからこそ農園付きで土地面積が広く、価格もリーズナブルな商品にしたのが肝だと思う。受賞理由にある、子どもが「住まいながら農に関わり、自らの食の成り立ちや消費を学べる」かどうかは親次第だ。

 積水ハウスの受賞作は機会があったら見学したい。

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中央住宅「育てることで育む『農』のある暮らし ハナミズキ春日部・藤塚」

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積水ハウス「エルミタージュクール」

 

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 今回から受賞作品発表・表彰式の方法が変わった。従来は受賞作発表と表彰式は同時だったのが、今回は受賞作発表と表彰式まで1週間の期間が設けられた。メディアがこの間に各受賞作を見学取材できるよう配慮したと小生は受け止めた。結構なことだと思う。小生は前回の第15回表彰式の記事でも「記者が見る機会を与えてほしい」旨の記事を書いた。

 しかし、28日までは3連休を挟んでいるので、休祝日を取材に充てられないことはないが、実質3日間しかない。しかも、多くのメディア関係者はすでに日程を組んでいるはずで、自分の目で確認できる機会は限られる。もう少し期間を開けていただきたい。

 さらに言えば、キッズデザイン賞に限ったことではないが、応募・審査の方法を改め、直接消費者が参加できるようにしてはどうかということだ。

 建築物などは竣工から1~2年が経過しているものが多いはずだ。応募する側としては、実態・実績がないと応募しづらい事情もあるのだろうが、中央住宅の受賞作は2年前、積水ハウスの賃貸住宅は3年前の竣工だ。今回、総理大臣賞を受賞した「なないろこまち」も1年以上前だ。これだけ間延びすると、受賞の有難みも薄れるというものだ。

 いまの若い人は新聞もテレビも観ないと聞く。スマホ一つであらゆる情報を収集するのだそうだ。ならば、SNSを利用して、消費者から推奨してもらえるようにすれば賞の〝格〟は飛躍的に高まるはずだ。前回の第15回のときの菅義偉総理も今回の岸田文雄総理も人気がないようだ。そんなお墨付きをもらって嬉しい子どもなどいるのだろうか。ネットで調べたら、世の中には内閣総理大臣賞・杯は競馬、競輪をはじめ院展、パソコン入力など60以上あった(岸田総理はいくつご存じか)。いい加減、このような事大主義から脱却すべきだ。権威に縋りつこうとする国民性にも問題がある。それより赤胴鈴之助とか月光仮面、ドラえもん、クレヨンしんちゃん、アンパンマン…はどうか。

厳しくなる調整区域の宅地開発/ポラス・春日部の記事 メディアはなぜ触れない(2020/7/10)

調整区域の市民農園付き200㎡邸宅 ポラス「ハナミズキ春日部・藤塚」企画秀逸(2021/7/3)

積水、旭化成、ケイアイスターが受賞/記者にも見る機会を 第15回キッズデザイン賞(2021/9/30)

 

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「三井不動産ロジスティクスパーク(MFLP)海老名I」

 三井不動産は9月20日、同社のロジスティクス事業のフラッグシップとなる「三井不動産ロジスティクスパーク(MFLP)海老名I」が竣工、満床稼働すると発表した。免震構造、太陽光発電、地中熱活用、屋上緑化、グリーンインフラ、間伐材利用、天井高3.5mのスケルトン天井ワークプレイス、雨水貯留池などを整備して同社初の最高ランク「ZEB」認証を取得しているのが特徴。同日、メディア向け内覧会を行った。

 施設は、圏央道「海老名」ICと海老名運動公園に隣接する海老名市中新田の工業・準工業地域に位置する敷地面積約54,847㎡、鉄骨造・免震構造6階建て延べ床面積約122,180 ㎡。設計・施工は日鉄エンジニアリング。着工は2021年5月、竣工は2022年9月20日。

 施設は、従前採石場として利用されていたところで、建物デザインはオーストラリアのデザイン事務所JACKSON TEECEを起用。圏央道からよく見える3階以上は見る角度によって表情が変わる木調ルーバー(ある女性記者は「木琴のよう」と形容した)を採用。

 最大の特徴は、同社初の「ZEB」(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)認証を取得したことで、太陽光発電、Low-Eガラス、地中熱ヒートポンプ、デシカント空調、屋上緑化などを整備することで、全体のCO2排出量を実質ゼロにする「グリーンエネルギー倉庫」を実現した。

 このほか、環境配慮では「海老名の森・グリーンインフラ」をコンセプトに、桜並木をはじめ約1,500本の高中木、約15,000本の低木類などを植樹。最大貯水量2,100m³の雨水貯水池を整備し、樹木の水遣りなどに活用する。また、三井不動産グループの約5,000haの社有林から生じる間伐材をエントランスやラウンジの仕上げ材に多用している。

 さらに、地域との親和性を重視し、施設の使用開始(10月1日)前の9月25日(日)に、近隣の子どもや住民に開放し、マルシェ、ランニング教室、ヨガ教室、間伐材工作プログラム、スノーピークビジネスソリューションズ監修によるテント設営体験会や焚火体験などのイベントを行う。この種の取り組みは継続して行っていく予定。

 快適なワークプレイスを提供するため、共用部にはスケルトン天井(約6m)の開放感あるワークプレイス(天井高3.5m)や、WEB会議にも対応した個人ブースを設置するほか、事務所に面したバルコニーやスカイデッキには緑化を施し、最上階には相模川越しに丹沢連峰や富士山を一望できるラウンジを配している。BCP対応は72時間稼働の非常用発電機や免震装置など。

 同社ロジスティクス本部ロジスティクス事業部事業グループ統括・田中耕一郎氏は「フラッグシップと位置づけた施設で、インターチェンジに隣接する恵まれた立地を生かし、当社初のZEB認定などの環境配慮、デザイン、地域連携などで他社との差別化を図っている。テナントからもお褒めの言葉を頂いている」と話した。

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表情が変わる木調ルーバー

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エントランス

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スケルトン天井の事務所スペース

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スカイデッキの横の屋上緑化(草はセダン)

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 免震にZEB認証、天井高3.5m(倉庫部分は5.5m)、Low-Eガラス、スカイラウンジ・スカイデッキ、間伐材利用のラウンジ仕上げ、木調ルーバーの外観デザイン…素晴らしい施設だ。同社がメディア向け内覧会を実施した理由がよく分かる。

 マンションに例えたら、同社の〝パークホームズ〟に負けないどころか、はるかに勝るレベルだと思った。厚木駅前では坪単価200万円のマンション「ファーストリンクレジデンス」(193戸のうち170戸超が成約済みとか)が建設中で人気にもなっているが、ここなら坪単価250万円でも売れるのではないかと思ったほどだ。

 実際は圏央道の騒音が凄いのでマンションは無理だが、これほど高いレベルであれば共同住宅などとの複合開発(同社の「羽田」は梓設計の本社が入居している)の可能性もあるのではと田中氏に聞いた。田中氏も「機会があれば商業、オフィス、住宅などの複合開発をやってみたい」とまんざらでもなさそうだった。バブル期は倉庫がディスコなどで賑わったではないか。

 もう一つ。田中氏が「倉庫は車の出入りが多いことなどで『嫌悪施設』と言われるが、そうでないことを地域の方々にも理解してもらえるよう9月25日には施設を開放し、マルシェや子供のかけっこ、ヨガ教室気などを行う」と語った「嫌悪施設」について。

 記者は2018年の記者会見で、当時、常務執行役員ロジスティクス本部長だった三木孝行氏(現取締役専務執行役員)が「もはや、後発ではない。嫌悪施設ではない」と語ったのを鮮明に覚えている。昨年には、「嫌悪施設」とは何かの記事も書いた。「嫌悪施設」は不動産流通促進センターが例示したのを業界がそのまま受け入れ運用しているもので、概念などない。「嫌悪施設」は、風俗も含めていわゆるエッセンシャルワーカーが働いている施設も多い。職業差別にもなりかねない。見直す必要があるのではないか。「駅近」がいいと決めたのは誰だ。

 さらにもう一つ。今回の施設は最高に素晴らしいのだが、画竜点睛、だからこそ欠けているものが一つだけある。オフィス内のフェイクの観葉植物だ。本物の緑を配置すれば就労環境は劇的に向上し、「倉庫」のイメージは一変する。用途規制も見直されることになるかもしれない。やらない、やります、やる、やるとき、やれば、やろう…号令を下せるのは三木さんしかいない。

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スカイラウンジ

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間伐材を活用したラウンジ

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非常用発電機

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スカイラウンジと分散配置となるサブラウンジ

「心理的瑕疵」「嫌悪施設」とは何か 釈然としない国交省「死の告知ガイドライン」(2021/10/10)

梓設計が本社機能 三井不 街づくり型「インダストリアルパーク羽田」満床稼働(2019/7/5)

「最早、後発でない」「嫌悪施設でもない」 三井不 ロジスティクス本部長・三木氏(2018/5/21)
平均74㎡、競合物件意識した商品企画 マリモ・小田急不の駅前再開発「厚木」(2021/11/3)

 

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「レ・ジェイド北海道ボールパーク」

 日本エスコンは9月20日、来春に開業する北海道日本ハムファイターズの新球場「ES CON FIELD HOKKAIDO」に徒歩1分のマンション「レ・ジェイド北海道ボールパーク」全118戸が9月19日に全戸完売したと発表した。2022年2月の分譲開始からわずか8か月だった。

 物件は、北海道日本ハムファイターズの新球場「ES CON FIELD HOKKAIDO(エスコンフィールド北海道)」を核とする約23,814haの「北海道ボールパークFビレッジ」プロジェクトの一角にあり、JR千歳線北広島駅から車で約5分・徒歩22分、北海道北広島市共栄の商業地域(建ぺい率80%、容積率400%)に位置する14階建て全118戸。専有面積は43.43~137.55㎡。価格は3,500万円台~1.5億円台。竣工予定は2023年2月下旬。設計・監理は浅井謙建築研究所、施工は中山組。販売代理はライズパートナーズ。

 商品企画は、暖炉を囲んで過ごせる憩いの場「ウォームリビング」や、本格的なキッチンを備えた「クラブハウス」、北海道の原生林を見渡せる「屋上共用テラス」など共用部の充実を図り、専有部は、セカンドハウスやワーケーションなど様々なライフスタイルに合わせて選択できる20タイプを用意。バルコニーの隣にサンルーム「Fテラス」を設けた。購入者は引渡しから10年間利用できる球場への入場フリーパス付き。

 同社は人気の要因を、①新球場から約80mの希少立地②物件周辺の「沢エリア」が広がり、BBQやキャンプ・グランピングといったアクティビティが充実③最寄りのJR北広島駅は、新千歳空港駅へ電車で約21分、札幌駅へ電車で約17分などが評価されたとしている。

 購入者の属性は、居住地は6割が道内、4割が道外。年齢は50代が4割、40代、60代が各2割。日ハムファンを中心にスポーツ好きの人が多いという。

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 話は聞いていたが、凄いの一言だ。ハウスメーカーは逆だが、首都圏に進出し成功した大阪発祥のデベロッパーは少ないはずだが、平成27年分譲の「レ・ジェイド世田谷 砧」(25戸)を取材し、28~29年の「若松町」「渋谷富ヶ谷」と30年の中部電力との資本提携あたりで、何かをしでかすのではないかという予感はあった。

 そして、2020年1月、北海道日本ハムファイターズの新球場のネーミングライツ(命名権)を取得したとき、予感は確信に変わった。他の球団のように単なるCM看板にとどまらず、不動産事業と抱き合わせであるはずだと思った。その後の経緯は省略するが、その通りになった。

 昨年分譲し、早期完売した「パーク レ・ジェイド白金レジデンス」(55戸)は三菱地所レジデンスとのJVだが、メインは同社だ。大手デベロッパーを従えさすことができる中堅デベロッパーは同社のほかはモリモトくらいだ。

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全戸にホワイエ(屋内廊下)土地の価値を最大限引き出す日本エスコン「渋谷富ヶ谷」(2017/4/24)

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