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「コムレジ赤羽」

 長谷工コーポレーションは3月2日、わが国で初と思われる「社会人棟」「学生棟」「賃貸棟」からなる複合共創型レジデンス「コムレジ赤羽」が竣工したのに伴う記者内覧会を行った。赤羽駅から徒歩8分の全340戸で、レンタブル比率(有効率)は実に67%で、ICTを積極的に活用し、それぞれの棟が緩やかにつながる仕掛けが随所に施されている。建物の一部をRC造と木造のハイブリッド構造とするなど木質化の取り組みも行っている。付加価値の高いレジデンスだ。

 物件は、JR赤羽駅から徒歩8分、北区赤羽南二丁目の準工業地域に位置する敷地面積約5,197㎡、RC造8階建て(一部木造、鉄骨造)全340戸。竣工は2022年2月下旬。事業主・設計は長谷工コーポレーション。施工は長谷工・不二建設共同企業体。敷地は大日本印刷の施設跡地。

 「社会人棟」は全168戸で、専用面積は16.41~16.50㎡、賃料は107,000円/月、共益費は13,000円/月。シャワー室か浴室付き。

 「学生棟」は全112戸で、専用面積は13.50~17.85㎡、現在募集中の住戸(56戸)の賃料は80,000円/月~95,000円/月。シャワー室か浴室付き。

 「賃貸棟」は全60戸で、専用面積は29.20~58.54㎡、現在募集中(18戸)の賃料は128,000円/月~260,000円/月、共益費は24,000円/月~30,000円/月。食洗機を標準装備。

 貸主はいずれも長谷工ライブネットで、敷金・礼金・更新料は1か月(学生棟の礼金は150,000円)。家具・家電はベッド・チェア・エアコン・照明・冷蔵庫・電子レンジなど。インターネットは無料。契約は普通借家契約で、契約期間は2年間。

 地域や大学・企業とも連携したコミュニティ形成の取り組みを進めていくのが大きな特徴で、それぞれが緩やかにつながる共用部分に工夫を凝らしているほか、学習プログラム「GAKU家」を通じて様々なイベントを開催していく。

 また、顔認証、ランドリーの稼働状況、フィットネススタジオの混雑状況、CO2濃度確認、カフェテリア決済などICT(Information and Communication Technology=情報通信技術)を積極的に採用しているのも特徴の一つ。

 内覧会で、同社都市開発部門不動産投資事業部事業部長・浅野武彦氏は、「2017年に当社の若手が取り組み始めたのに端を発している。『コムレジ』には、コミュニティとコンプレックス(複合)の意味が込められており、これまでにない『賃貸』のコミュニティをどのようにして育てるかをハード・ソフト両面で実現しようというプロジェクト。新しい試みとして一部木造化も図った。共用部の設備などはすべてコミュニティに欠かせないもの。当社が保有する施設でもあり、今後もどんどんアップデートしていく」と語った。

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ツドイラウンジ・パーティルーム

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エントランス

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中庭

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フィットネススタジオ

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 数えたわけではないが、浅野氏は数分間のあいさつの中で〝コミュニティ〟の言葉を5回は使った。いうまでもなく、わが国の格差社会はどんどん進行し、家族間のコミュニティすら希薄になっていることを考えると、浅野氏がコミュニティを強調するのは分からないではないが、言うは易く行うは難し。社員、普通の賃借人、学生が交じりあうことなど不可能ではないかと思った。これまで見学した集合住宅のうち、サ高住と賃貸マンションなど2つの組み合わせはあったが、今回のように3つが同じ敷地内に収まっているのは初めてだった。

 なので、同社に聞いたら、同社も「当社の調べでは他にはない」とのことだった。入居後1年経ってから、この共創プログラムがどのように評価されているか知りたい。

 内覧会では、入居者すべてが出入りできるエントランス、社会人・賃貸棟のみ利用可のエントランス、フィットネススタジオ(115㎡)、サウンドルーム(38㎡)、学生は立ち入れない飲酒可能のツドイラウンジ・パーティルーム(220㎡)、ワーキングルーム(10室)、ゲストルーム(23㎡、2室)、カフェテリア、共用ランドリー、シェアリビングなどの共用施設を見学した。

 その多彩さと広さに驚いたのでレンタブル比率(有効率)を聞いた。何と67%だった。このレンタブル比率が全てを物語っている。一言でいえば、極めて付加価値が高いということだ。分譲マンションだったら、坪単価370万円の価値があると思う。この高さをどうアピールできるか。

◇        ◆     ◇

 前段ですべてを言い尽くしたはずだが、木質化とリーシングについても触れたい。

 木質化は、学生棟の北東側の一部で行われており、1階はRC造、2階から5階までが木造のハイブリッド構造だ。構造柱(管柱)はスギ集成材、垂木はスギ製材、梁、大引、母屋はカラマツ集成材を採用している。

 もう一つ、カフェ棟の天井部分にはカラマツの不燃化を施した木ルーバーが使用されていたが、ルーバーの総延長は1,073.1mもある。カフェ内は木の香りが心地よかった。このカフェ棟と中庭を包み込むようなコの字型の住棟配置もいい。設計を担当したのは同社エンジニアリング事業部第一設計室だ。波を打つデザインもいい。

 社会人棟のリーシングでは、1フロア24戸に対して同じ業種は1つに限定しているとのことだ。なるほど。1フロアに競合会社の社員が入居したら企業も入居者も問題が起きたら困る。それを避けようということか。

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一部木造の学生棟(1階と2階以上では外観も異なるのが分かる)

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学生棟 シェアリビング

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カフェ棟(天井はカラマツ材のルーバー)

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カフェ棟

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分譲にも生かせる天井高2.7m 長谷工 王子の賃貸・老人ホーム・学童の複合施設公開(2018/2/26)
 

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「コートヤード・バイ・マリオット名古屋」

読売新聞東京本社、積水ハウス、マリオット・インターナショナルの3社は31日、わが国で6軒目となる「コートヤード・バイ・マリオット」ブランドのホテル「コートヤード・バイ・マリオット名古屋」を同日に開業したと発表した。

同ホテルは、名古屋市伏見地区の中心部に位置。土地建物は読売新聞東京本社が所有し、積水ハウスはプロジェクトマネジメントと建物の設計・施工を担当、グループで一棟借りし、運営管理はマリオット・インターナショナルが担当する。

建物外観は、日本の伝統美とホテル前を流れる堀川からインスパイアされたアート作品を随所に配置したインテリアデザイン。オールディダイニング CRUST(クラスト)は、開放感ある高い天井とゆったりとした座席が特徴。会議なら最大500名、宴会なら最大250名まで利用可能な広さ440㎡のセントラルボールルームを備える。

客室は全360室で、デラックスキング (2527) 170室、デラックスツイン (28) 56室、プレミアムキング (28) 40室、プレミアムツイン (28) 84室、コートヤードスイート (56) 10室。

開業イベントで積水ハウス取締役専務執行役員・石井徹氏は、「2017年に読売新聞東京本社から当社の事業計画提案を選定していただいた、約20年ぶりに名古屋中心部にオープンする外資系シティホテル。隣接する岐阜県、三重県で展開している『Trip Base 道の駅プロジェクト』との相乗効果によって、中部エリアに新たな魅力を付加し、広く中部圏の経済活性化にも寄与しいく」とあいさつした。

マリオット・インターナショナル 日本・グアム担当エリアヴァイスプレジデント、カール・ハドソン氏は、「国内で著名な読売新聞と積水ハウスとのパートナーシップにより、コートヤード・バイ・マリオット名古屋の開業を迎えることができ大変嬉しく思っている。名古屋の街を訪れるビジネスやレジャー旅行者の皆様に最高峰のおもてなしを提供していく」と語った。

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テープカット

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セントラルボールルーム

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客室ツイン

 

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メイン

 東京ドームと三井不動産グループは3月1日、明日(2日)から始まるプロ野球オープン戦(巨人-西武)を前に、プレス内覧会「TOKYO DOME RENEWAL 2022」を実施した。取材に駆け付けた報道陣は98人(主催者発表)で、関係者を含めるとその倍はあった。西武ライオンズは昨年3月8日、同じようなセレモニーを実施したが、これほど多くはなかった。記者・関係者動員力では巨人が圧勝か。設備仕様レベルはさて…。

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オーロラビジョン

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報道陣

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 記者がもっとも注目したのは、「THE SUITE TOKYO(ザ スイート トウキョウ)」だ。2008年に開設したものをフルリニューアルしたものだ。3階の31番ゲートに設けられた専用のエントランスを小生は誰よりも先に入った。一番乗りを果たしたのは記者だ。敵地に堂々と乗り込む心意気は負けない。

 エントランスを入った途端、脚がすくんだ。広い廊下の両脇には制服を着た女性数人が歓待してくれた。アテンダントと呼ぶのか。一流ホテル・旅館と変わらない〝おもてなし〟に〝アンチ巨人〟の記者も脱帽した。

 廊下の壁などには巨人の歴史や伝統がよく分かる写真、トロフィーなどが飾ってあった。水原さん、川上さん、長嶋さん、王さん、松井さん、最近では阿部さんや坂本さんの写真やユニフォームなどか飾ってあった(記者が確認できなかっただけか、森さん、広岡さん、江川さん、桑田さんなどはなかった)。

 座席(客室)は全28室。定員は8~12人で広さは28㎡が中心。全て法人向け年間契約で料金は非開示。今期は全て契約済みとか。ワインボックス、ビールサーバーが付いており、テーブルはシート張りだが脇は突板。椅子、ソファーなどは合成皮革。カウンターは〝パークホームズ〟仕様の人造大理石。全面折れ戸開口の観覧席付き。

 「THE SUITE TOKYO」に隣接する「プレミアムラウンジ」も大幅にリニューアル。ビュッフェメニューには後楽園飯店料理長が監修する「フカヒレの姿煮入り汁そば」のほか、東京ドームホテルの料理が食べられる。

 メインビジョンは、面積としては国内スタジアムで最大規模という横幅約125m、面積約1,050㎡。従来比で約4.4倍に拡大し、画質なども国内プロ野球場最高レベルという。このほか、右中間、左中間の外野フェンスにリボンビジョンを設置し、場内のLED照明約650台をDMX連動によって制御するシステムを導入している。

 新しい観客席の取り組みでは、4人席×18区画の全72席の白が基調の「THE 3rd PLATINUM BOX」のほか、4~8人席の半個室の「MASU CABANA(マス カバナ)」(84席)、ペア観戦用の「CRAFT COUNTER(クラフト カウンター)」(48席)など。バックネット裏の黒が基調の「ダイヤモンドボックス」も160席から290席に増設している。

 新しいサービスとしては、ドーム内の全売店、客席販売、チケット販売などで完全キャッシュレス化を実施。一部にはパナソニックの技術を利用した顔認証入場・決済も行う。

 場内(一部場外)にはグラフィックデザイナー・河村康輔氏によるデザインを施し、「非日常的な空間」を演出している。

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「THE SUITE TOKYO(ザ スイート トウキョウ)」ゲート

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ゲート前の報道陣

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ゲートエントランス

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客室

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プレミアムラウンジ

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プレミアムラウンジのメニューの一部(「強くあれ巨人(焼酎芋・麦)」もあった)

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王さんの「756号」の写真

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金田さんの写真もあった

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 以下は、西鉄時代も含めて西武ライオンズファン・アンチ巨人歴六十余年の記者が書くことだから、相当の偏見に満ちた記事であることを承知の上で読んでいただきたい。

 まず、西武ドーム(今季からベルーナドームに変更)との比較。立地は東京ドームと比較にならないし、施設は冬はより寒く夏はより暑い西武が完敗。

 完全キャッシュレス化、顔認証も東京ドームはさすがだと思うが、スマホをまともに扱えない小生などはどうなるのだろう。付添人がいないと観戦できない。

 後楽園飯店の「フカヒレ」はいくらか分からないが、確かに後楽園飯店の中華はおいしい。(西武ドームの応援はいつも池袋の西武デパートの弁当を買っていくので、比較は困難)。売店では、東京ドームがサントリーの「TOKYO CRAFT」ビールを売っているのがいい。小生はあまりビールを飲まないが、この「TOKYO CRAFT」は別格だ。最高においしい(これは好みがあるが)。

 ここまで書いてくると、どうも西武のほうが劣勢だが、西武が勝っている(我田引水かもしれないが)とすればデザインだ。西武カラーはジャイアンツカラーより美しい(これまた好みの問題か)。

 観客席だって西武は負けていない。西武の観客席はすり鉢状なので階段のステップは緩やかで、縦も横も移動は比較的楽だ。しかし、一方の東京ドームの階段幅は狭く、ステップもかなりきつい。席と席の間隔も西武のほうが広いような気がする。

 「THE SUITE TOKYO」は、そもそも西武にはそんな席はないので比べられない。東京ドームは全28室とも契約済みだとか。ご同慶の至りだ。

 気になる料金だが、非開示ということなのでさっぱり分からない。10人くらい利用できるから、一人1.5万円として1.5×10(人)×70(年間試合数)=1,050万円になる。マンション単価予想なら自信があるのだが、これは当たっているかどうか自信はない。

 2勝1敗ペースで勝てれば、お金持ち巨人ファンにとっては安い買い物だが、過去10年間の巨人の戦績は1,410試合742勝603敗65分、勝率.552だ(西武は.517)。

 つまり、勝ったり負けたりだ。〝球界の盟主〟を標榜するチームのファンのストレスは相当なものだろう。年間1,000万円の価値は果たしてあるのか。

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「THE 3rd PLATINUM BOX」(3塁側で「白星」を願ってか)

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「ダイヤモンドボックス」は黒づくし

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3塁側ベンチ(大和ハウスの広告も。積水ハウスはライト側のフェンスに以前から広告がある)

五感で楽しむ観戦体験へ 「東京ドーム」大規模リニューアル 三井不動産など(2021/12/14)

開幕前に西武〝日本一〟 素晴らしいボールパーク化工事完了 人材流失に終止符 更新(2021/3/9)

 

 

 

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「オーベル習志野大久保」

 大成有楽不動産が分譲開始した「オーベル習志野大久保」を見学した。駅から徒歩9分のマンションや戸建てが建ち並ぶ住宅街の一角で、坪単価(170万円台半ば)から判断してコストパフォーマンスが高いマンションだ。線路に近いことから二重サッシ(一部除く)を採用し、居室側は樹脂サッシにすることで省エネ性にも配慮している。

 物件は、京成本線京成大久保駅から徒歩9分、習志野市大久保2丁目の第一種中高層住居専用地域、第一種住居地域に位置する6階建て全82戸。先着順で分譲中の第1期2次(15戸)の専有面積は57.83~77.46㎡、価格は3,288万~4,388万円(最多価格帯3,700万円台)、坪単価は170万円台の半ば。竣工予定は2023年1月下旬。設計・施工・監理は長谷工コーポレーション。販売代理は長谷工アーベスト。

 2月14日に抽選分譲し、即日完売した第1期(14戸)の専有面積は57.83〜77.98㎡、価格は2,998万〜4,298万円。問い合せ件数は304件 来場者数は63組(2月16日現在)。

 現地は、幅員約4~7mの緑道が整備され、立派なケヤキやサクラの街路樹(一部除く)が植えられているハミングロードから一歩入った中層マンションや戸建てが建ち並ぶ住宅街の一角。市立中学校が隣接(徒歩2分)し、市立小学校へも徒歩6分。

 建物は全82戸のうち69戸が南向きで、敷地南側には駐車場を挟んで京成線の線路が走っていることから、線路側に面した住戸は二重サッシを採用し、居室側は樹脂サッシとして遮音性と断熱性を高めている。

 主な基本性能・設備仕様は、直床、床暖房、リビング天井高2450ミリ、食洗機、浴室タオル掛け2か所、同社オリジナルの「オレンジラボ」、物干し金物のほか、LDKに隣接するスペースにホームライブラリ―(38戸)、マルチスペース(5戸)、こもルーム(6戸)を提案。共用部には「キッズスペース・ラウンジ(集会室)」のほか、Wi-Fi環境が整った900誌以上の雑誌が手持ちのスマホを利用して無料で楽しめる「J:COM ブックス スポット」や「スタディルーム」2室、コープみらいの「宅配サービス」の配達物を一時置きできる鍵付きの「食配ステーション」を採用している。

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タオル掛け2か所

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現地近くのハミングロード

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 同社のマンションは、数年間ほとんど全てといっていいくらい見学している。特別な理由はない。プレス・リリースをそのまま記事にするのはためらわれるからで、さらにいえば同社を含めて芙蓉グループのデベロッパーが好きだからだ。東京建物、安田不動産、中央日本土地建物、ヒューリックなどだ。それぞれ旧グループが異なり社風も微妙に異なるが、共通するのは何事も〝真面目〟〝一生懸命〟に取り組んでいることだ。

 RBA野球にそれはよく表れている。生き馬の目を抜くような戦略を取ることはなく(これは欠点でもあるが)、現有勢力で精いっぱい戦っている。大成有楽は〝出ると負け〟を繰り返しているが、応援したいチームだ。

 マンション事業も同様だ。同社は「オレンジラボ」に象徴されるように、生活者目線の商品企画に力を入れている。それがマンション購入検討者に評価されているはずだ。

 しかし、今回の見学では危惧することが一つあった。坪単価は相場からしてこんなものだろうと思うが、利益率を高めるために基本性能・設備仕様レベルを落としているのではないかということだった。

 モデルルームを見学して危惧は杞憂であることが分かった。その一つは前段で書いた二重・樹脂サッシを採用していることだった。敷地から線路まで20m以上あったので、それほど騒音は気にならないはずだが、同社はきちんと対応している。樹脂サッシのよさは住んでみればよく分かるはずだ。

 もう一つ、安堵したのは浴室のタオル掛けを2か所に設けていたことだ。これまで何回か書いたが、建築費の上昇などを吸収し、グロス価格を抑制するためにタオル掛けを2つから一つに減らすどころか、1つもつけないマンションが増えている。特に千葉方面は多いような気がする。

 なので、恐る恐る浴室を覗いたらちゃんと2つ付いていた。嬉しくなってそのことを、物件の説明を受けた同社マンション事業部・平井氏に伝えたら、平井氏は「最初の仕様では1つしかなかったのですが、2つないとファミリーは不便だよねと話し合って2つ付けることにしました。」と話した。この言葉に記者は感動した。

 読者の皆さんは〝たかが、そんなこと〟というかもしれないが、記者は逆のことを考える。タオル掛けは1本せいぜい2万円くらいのはずだ。それを削ってでもコストを下げ、利益を上げようとする姑息な手段を取るデベロッパーやゼネコンが許せないのだ。顧客主義とは真逆だ。

 一事が万事という言葉もある。タオル掛け1本をけちるようなデベロッパーは他でも消費者が見逃してしまうステルス値上げをしているのは間違いない。

 この記事を読む購入検討者の方には、ついていなければ文句の一つや二つぶつけてみることを勧める。十中八九は〝無料〟で付けてくれるはずだ。タオル掛けが付いているかついていないか、1つか2つか、デベロッパーの良心を計る簡単なモノサシだ。

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建設現場


 

 国土交通省は228日、20221月の新設住宅着工戸数をまとめ発表。総戸数は59,690戸となり、前年同月比2.1%増、11か月連続の増加。利用関係別では、持家は18,130戸(前年同月比5.6%減、2か月連続の減少)、貸家は23,083戸(同16.6%増、11か月連続の増加)、分譲住宅は18,154戸(同4.9%減、4か月ぶりの減少)。分譲住宅のうちマンションは7,071戸(同19.4%減、3か月ぶりの減少)、一戸建住宅は11,003戸(同7.7%増、9か月連続の増加)。

首都圏マンションは2,957戸(同42.9%減)で、都県別では東京都1,315(同56.8%減)、神奈川県981戸(同35.4%減)埼玉県180戸(同37.7%減)、千葉県481戸(同48.5%増)。

令和3年度(令和34月~令和41月)の首都圏マンション累計戸数は39,075戸(前年同期比15.6%減)で、内訳は東京都24,010戸(同13.5%減)、神奈川県8,698戸(同2.1%減)、埼玉県3,344戸(同33.9%減)、千葉県3,023戸(同33.9%減)。これが来年度以降の供給動向にどのような影響を与えるのか。

 

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 東京都の新型コロナ感染者は、このところ漸減傾向にはあるが、絶対数そのものは第5波と比べ桁違いで、年少者や30~40代の感染者比率が高まっていることからその影響が心配される。都のモニタリング会議の専門家のコメントや都のデータから分かること、分からないことをまとめてみた。

 まず、2月25日行われた東京都のモニタリング会議での専門家の主なコメントを以下に紹介する。

ア)新規陽性者数の7日間平均は、2月23日時点で約13,057人/日に減少したものの、依然として極めて高い値で留まっており、同規模の感染状況が長期化する危機に直面している

イ)小中学校の学級閉鎖や、保育園・幼稚園の休園により、欠勤せざるを得ない保護者等が多数発生しており、社会機能の低下が危惧される。家庭や日常生活において、誰もが、感染者や濃厚接触者となる可能性があることを意識し、自ら身を守る行動を徹底する必要がある

ウ)感染の中心である若年層及び高齢者層を含めた誰もが、感染者や濃厚接触者になる可能性があることを意識し、自ら身を守る行動を徹底する必要がある

エ)重症化リスクの高い65歳以上の新規陽性者数の7日間平均は、非常に高い値で推移している

オ)今週の濃厚接触者における感染経路別の割合は、同居する人からの感染が68.7%と最も多かった。次いで施設(施設とは「特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、病院、保育園、学校等の教育施設等」をいう)及び通所介護の施設での感染が19.2%、職場での感染が5.4%、会食による感染が0.9%であった

 また、接触歴等不明者数については次のようにコメントしている。

①接触歴等不明者数は、依然として極めて高い値で推移している。接触歴等不明者の周囲には陽性者が潜在していることに注意が必要である

②新規陽性者における接触歴等不明者の増加比が100%を超えることは、感染拡大の指標となる。2月23日時点の増加比は、前回の約79%から約86%となった

③今週の年代別の接触歴等不明者の割合は、20 代で70%を超えている

④いつどこで感染したか分からないとする陽性者が、幅広い年代で高い割合となっている

 さらに注目すべきことも報告されている。「今週の保健所別届出数を多い順に見ると、多摩府中6,628人(6.8%)と最も多く、次いで江戸川6,494人(6.6%)、世田谷6,387人(6.5%)、大田区5,381人(5.5%)、足立5,115人(5.2%)であった」というデータだ。これらの地域は人口が多いエリアではあるが、感染者は都心部から準都心部へ広がりつつあるということのようだ。

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 都の感染状況データから、第5波(2021年10月1日まで)と第6波(2022年1月1日~2月26日)の年代別・性別感染者をグラフで示した。

 年代別感染者比率を第5波⇒第6波で示すと、10歳未満4.3%⇒14.3%、10代7.5%⇒11.6%、20代28.9%⇒19.5%、30代19.8%⇒17.4%、40代15.8%⇒16.2%、50代11.9%⇒9.7%、60代4.9%⇒4.8%、70歳以上6.7%⇒6.4%となっている。

 この数字から、10歳未満は10ポイント、10代は4.1ポイントそれぞれ増加している一方で、20代は絶対数も減少し、比率は9.4ポイント減と激減していることが分かる。他の年代では40代が0.4ポイント増加しているほかは各年代で減少。年少者の感染が増えていることとワクチン接種率との関係は不明だ。

 もう一つの特徴は男女比だ。第5波の感染者約38万人の男女比は男性56.0%:女性44.0%と男性比率が高く、年代では40代では男性61.1%:女性38.9%、30代では男性59.6%:女性40.4%とほぼ6:4の比率で、20代は男性53.3%:女性46.7%となっている。女性のほうが人口比率が高い高齢者を除いて男性が多数を占めている。

 ところが第6波の約59万人の感染者の男女比は全体で男性50.7%:女性49.3%と接近し、20代、30代、40代では女性比率が男性比率を上回る逆転現象が起きている。

 いったいこれはなぜか。ヒントになるのは、前段で紹介した「今週の濃厚接触者における感染経路別の割合は、同居する人からの感染が68.7%と最も多かった。次いで施設(施設とは「特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、病院、保育園、学校等の教育施設等」をいう)及び通所介護の施設での感染が19.2%、職場での感染が5.4%、会食による感染が0.9%」というデータだ。

 経路不明率が6割を超えることをさておき、三密が避けられない家庭や施設での感染が多く、意外と職場や会食は少ないことが分かる。

 しかし、家庭であろうと施設であろうと、コロナが自然発生するわけがないから、専門家が「いつどこで感染したか分からないとする陽性者が、幅広い年代で高い割合となっている」とコメントしているように杳として分からないのが現状のようだ。

 感染経路不明者割合はほぼ一貫して6割を超えている。積極的疫学調査は機能していないと言わざるを得ない。どこで感染するか分からず、「自ら身を守る行動を徹底する必要がある」と言われても、どうしたらいいか分かる人はいないのではないか。

 2月26日現在、累計感染者は約97万人、死者数は3,593人に達している。


 

 記者はテレビドラマをほとんど見ない。記憶にあるのは、かみさんが夢中になっていたので小生もはまってしまった韓流ドラマ・チャングムくらいか。

 そんな記者ではあるが、本日(2月26日)フジテレビで放映された1時間ドラマ「木のストロー」を視聴した。アキュラホームと宮沢俊哉社長が大好きで、原作者の同社広報担当の西口さんにも大変お世話になっているからだが、何よりも原作が素晴らしいからだ。同社が上場企業だったら、著作もドラマ化も絶対ありえない。

 とはいえ、追従記事を書いても意味がない。正直に書く。ドラマは消化不良、制作サイドの意図は全然伝わってこなかったというのが率直な感想だ。1時間ドラマで、ほとんど実話の著作内容を全て映像化するのは、その影響の大きさを考えると難しいとは思うが、どこに焦点を当てているのか、理解できなかった。

 それでも、西口さん役の堀田真由さんは好演したのではないか。記者の知る西口さんとよく似ていた。西口さんは著作でも書いているが、〝普通〟の社員ではない。入社後、いきなりトップクラスの営業成績を上げるほど優秀で、チアリーダーをこなせるほど器用なのにおっちょこちょいでもあるようだ。「堀越課長」を飛び越して「鈴木役員」に直談判し、「鈴木役員」を激怒させるのもそんなところだ。

 そんな常識外れの西口さん(堀田さん)を「鈴木役員」の鈴木保奈美さんはどう扱うか注目していたのだが、〝悪女〟になり切れていなかったのが残念だった。断っておくが、記者は「鈴木役員」は断じて悪女ではなく、会社役員として当然の判断をされたと思っている。稟議、企画書なしで、海のものとも山のものとも分からない話に乗れるわけがない。

 それでも「木のストロー」が開発され、実用化されたのはゴーサインを出した宮沢社長の決断力だ。ドラマではそのあたりの経緯は不明で、「鈴木役員」が突如プロジェクトの〝推進役〟になったのかも描かれていない。

 もう一人、重要な役割を果たすのではないかと思っていた「先輩役」の片寄涼太さんは「堀越課長」ではないようだ。ドラマでも重要な役割は果たしていなかった。

 肝心の宮沢社長はどのような役割を果たしたのかドラマは明らかにしていない。原作でも社長が登場する場面はほとんどないが、これは一介の広報担当が課長や部長越しに直談判などできるはずはないからだと思う。西口さんも唯一、社長同席の飲み会のことしか書いていない。だが、しかし、宮沢社長がどうして「木のストロー」開発にGOサインを出したか、その謎をドラマで暴き出してほしかった。社長役を演じた小日向文世さんはどこか宮沢社長に似ていたが…杳として役割は分からなかった。

 微笑ましい場面もあった。宮沢社長がドラマの最後の場面で登場したことだ。ザ・キャピトルホテル東急での「木のストロー」記者発表会の記者席に記者役として出演しており、人相が悪い男性記者ばかり(小生もその一人か)の中でひとりテレビ画面を意識して微笑みかけていた。(記者の好きな宮尾登美子さんも映画によく出演した)

 これでおしまいにする。ドラマには失望したが、小説であろうとノンフィクションであろうと著作物を超える映像作品はない。原作を読んでいない人は是非読んでいただきたい。

 ドラマは、スポンサーのアキュラホームなどのCMが数えただけで5回あったので閉口した。1回につき3~4分として1時間で15~20分だ。これは仕方のないことかもしれないが、プロ野球中継でこれをやったら非難が殺到する。

アキュラホーム「木のストロー」開発秘話 フジテレビ2月26日にドラマ放映決定(2022/1/28)

アキュラホーム カンナ社長・宮沢氏も感動 西口彩乃さん「木のストロー」本(2020/10/24)

「ド素人 女子社員の赤裸々の体験」綴る 西口彩乃さん著「木のストロー」発行(2020/10/17)

アキュラホーム「木のストロー」「rooms 41」に出展(2020/10/15)

世界初のカンナ削りの「木のストロー」 アキュラホーム 「Rooms40」に出展(2020/2/23)

〝木を愛する人は美しい〟 アキュラホーム1,000万本の木のストローPJ 始動(2020/1/19)

横浜版「SDGsストロー・ヨコハマ」1本50円で販売開始 麦わらストローはどうか(2019/11/7)

アキュラホーム&キャピトル東急 世界初の「木材ストロー」開発・導入へ(2018/12/11)

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高崎のIKIモデルハウス

 ケイアイスター不動産のグループ会社Casa robotics(カーザロボティクス)は2月25日、規格型平屋注文住宅IKI(イキ)の2022年1月のWeb反響数が前年同月比で約3.4倍に伸び、Web反響のうち来場予約の約7割が無人内覧を希望しており、過去最高の割合となったと発表した。

 IKIを専門に手掛けるカーザロボティクスは、現在、関東エリア10か所にあるIKI展示場すべてに独自のリモート接客システムを導入済み。2021年6月にはリモート接客を専門に行う部署・ロボット部を立ち上げている。部設立後の7月から11月までの5か月間でリモート接客回数は300回を超えたとしている。

 IKIは2020年8月に販売開始。シンプル+スマート+効率的+ローコストによる無駄を省いた商品で、建物本体価格は17坪(約57.9㎡)649万円(税込)~。

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同社のプレス・リリース

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◇        ◆     ◇

 記者は、理想の一戸建ては「平屋」だと思っている。敷地は100坪くらいで、建物は30~40坪。敷地内には果実がなる好きな中低木を植え、池には魚を放ち、自家消費用の畑をつくり、パターの練習もできるようにする。水琴窟の仕掛けも施す。これが最高だ。

 仮に都心部でこれを造れば10億円でも足りないだろうが、地方なら数千万円以下で建てられるはずだ。

 同社のIKIのモデルハウスを見学したいのだが、本拠の高崎なので、コロナ禍でそのためだけに時間とお金をかけるのはためらわれるので実現しないのだが、とても興味はある。

 建築着工統計でも平屋住宅が伸びているのは確認できる。グラフにしたのがそれだ。2012年の居住専用住宅着工戸数は約44.8万戸で、そのうち1階建て(平屋)は約3.0万戸となっており、占める割合は6.8%だ。その後、着工戸数は多少の波はあるが漸減傾向を示しており、その一方で平屋は戸数、比率とも増加の一途。2021年は約5.6万戸となり、全体に占める割合は12.5%に達している。この10年間で戸数は1.8倍、比率は5.7ポイントも上昇している。

 同社が本拠とする群馬県はどうか。2012年は全着工戸数8,362戸のうち平屋は10.5%に当たる882戸だったのが、2021年は全体8,551戸に対し、平屋は25.8%の2,202戸へ比率は15.3ポイント、戸数は2.5倍へ激増している。

 同県での平屋の着工増とIKIとの関連は不明だが、同社が平屋の流れを捉え、加速させようと考えているのは確かだ。今後も人口減少・少子化は加速するし、働き方も変わる。平屋が注目されるのは間違いない。朝廷もお殿様も住んでいたのは平屋だ。2階建てが普及しだしたのは、絶対的戸数が少なかった戦後以降だ。

 参考まで。かつてバブルのころ、木下工務店は千葉県郊外でプロ仕様の芝を張ったバンカー付きのパッティンググリーンを設けた建売住宅を分譲したことがある。値段は忘れたが売れるまで時間はかからなかった。平屋の建売住宅も結構分譲された。

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国土交通省 建築着工統計から。比率は全体に占める平屋の割合(%)
 

 大和ハウス工業は2月24日、報道関係者向けの「第16回業界動向勉強会」をオンラインで開催。米国やオーストラリア、中国などの分譲・賃貸住宅事業が好調に推移していることから、今回は海外事業について同社取締役常務執行役員海外事業本部長・一木伸也氏が約30分説明し、メディアの質問にも約30分の時間をかけて丁寧に対応した。

 一木氏は、海外に本格的に進出した2010年以降について説明。開発物件の売却やM&A済みの各社の事業が好調に推移していることから、2022年3月期の売上高は4,000億円(前年度は3,000億円)に達する見込みだと報告した。

 海外進出のミッションについては、「共創」を重視し、①地域密着②顧客目線③グループ総合力の3点が伸長を支えており、マンション管理などオペレーションもできるのが同社の強みであると強調した。

 重点エリアの一つである中国については、この10年間で7,400戸超の販売実績があり、開発案件3件のうち2件は販売が完了し、新たなマンション開発事業(蘇州)の社内決済を取得し、事業化を進めていると語った。

 米国の事業については、「スマイルゾーン」での賃貸事業が中心で、住宅価格の上昇(2021年は前年比18%超)、ミレニアル世代の旺盛な戸建て住宅取得意欲の高まりを背景に、2021年度の供給実績は5,400戸になる見込みであることを明らかにした。

 豪州では、小田急電鉄との共同事業で、シドニー郊外の「ボックス・ヒル・プロジェクト」(1,551区画)の開発を推進中で、2018年にグループ入りしたRawson Groupの2021年度の引き渡し戸数は1,127戸(売上高216億円)の見込みであると話した。

◇        ◆     ◇

 わが国のハウスメーカー、デベロッパー、商社、電鉄会社などがこぞって海外に進出しており〝全員参加型〟のマーケットを形成しているようだ。

 記者は不動産業の海外事業については全く知らないし、〝知らないことは聞くな〟をモットーとしているのだが、質問しないと主催者に失礼だとも考えているので、次のような質問をした。

 一つ目は、「私は海外は中国、モンゴルしか知りませんが、建築物の施工現場を目視した限りでは、わが国のハスウメーカー・デベロッパーの住宅開発・施工技術・オペレーションは図抜けている印象を受けますが、いかがでしょうか。一木さんは先ほど『トップクラス』と仰いましたが、トップではないのでしょうか。なにが足りないのでしょうか」と。

 これについて、一木氏は「トップクラスと言いたいが、日系ゼネコンは質は高いのだがコストがやや高い」と答えた。なるほど。質と価格は難しい問題だ。

 もう一つの質問は、「カントリーリスクをどう考えていらっしゃるか」と。

 この問題について、一木氏は「中国については、災害リスクもそうだが、突然の制度変更や外資ハラスメントも過去にはあった。これについては常にチェックし、モニタリングしている」と話した。(「戦争は経済の延長」と言われるが、どうしてみんな好戦的な動きをしているのか。第2次世界大戦が勃発してまだ80余年しか経っていない)

 マンション管理業協会は2月22日、「マンション イノベーション フォーラム2021」を開催。第一部の①マンションライフ・シニアライフ部門②工事・メンテナンス部門③防災部門④管理組合運営部門の各賞を表彰する「マンション・バリューアップ・アワード(MVA)2021」のグランプリは、防災部門で「コミュニティの再構築とマンション自主防災力の強化」をテーマにプレゼンテーションを行ったつづじが丘ハイム管理組合理事長・久保田潤一郎氏が受賞した。グランプリ以外の各賞受賞者は次の通り。

 ①マンションライフ・シニアライフ部門 「自治体と地域住民(団体)および管理組合との連携による『街なか花壇事業(花植え活動)』の実施について」報告した東急コミュニティー マンション事業本部第一事業部 東京中央支店営業チームE所長・米藤健太氏

 ②工事・メンテナンス部門 「管種の異なる共用部分排水管全体の一斉樹脂化更新工事による長寿命化への試み」 野村不動産パートナーズ建築事業本部技術管理部商品開発課 一級建築士/一級施工管理技士/マンション管理士・桒原千朗氏

 ④管理組合運営部門 「建物の老朽化と居住者の高齢化に対処した管理組合の活性化対策構築および活動」 シャルム浦安管理組合支援委員会 島﨑齊氏

 グランプリを受賞した久保田氏には、グランプリ30万円+部門賞10万円の合計40万円が、その他の受賞者にはそれぞれ部門賞10万円の副賞が贈られた。

 久保田氏は受賞について「当初はこのような賞のことは知らず2か月間断っていたが、居住者などの勧めでぎりぎり応募した。防災マニュアルは著作権もありませんので、全国の管理組合の防災対策のひな型として使っていただき、一人でも多く助けられる防災に強い日本にしていただきたい」と語った。

 マンション管理業協会理事長・岡本潮氏(東急コミュニティー特別顧問)は、「応募があった424作品の一部を読ませていただいたが、みんな素晴らしいものばかり。4名の方のプレゼンには感心させられたので、全員をグランプリにできないかと話したほどだ。ルールとのことでそれはできなかったが、各作品が広く業界に届くことを願っている」と述べた。

 フォーラムは、2017年から行っていた「マンションいい話コンテスト」を2019年にリニューアルし、マンション管理の様々な取り組みや事例について新たなナレッジ共有を図りながら、次世代のマンション管理について考え、今後のマンション業界の課題解決とイノベーションを進める活動の一環として実施しているもの。2021年はコロナ禍のため開催されなかった。今回の4部門のエントリーは424事例だった。フォーラムは会場開催とともに、関係者向けにオンラインでも配信された。

 このほかフォーラムでは、第二部として元アップル米国本社副社長兼日本法人代表のリアルディア代表取締役社長・前刀禎明氏による「学び続ける知性」と題した特別講演、第三部では岡本氏のほか同管理協副理事長・石﨑順子氏(大和ライフネクスト社長)、横浜市立大学国際教養学部教授・齊藤広子氏、マンションライフ継続支援協会理事長・三橋博巳氏、一級建築士・宮城秋治氏による「変わるマンションと、暮らす・生きる・考える」をテーマとしたスペシャルセッションが行われた。

◇        ◆     ◇

 フォーラムは、2度の休憩時間を挟み午後13:30~17:00過ぎまでの長丁場。メモを取るのに必死だったが、審査員の方々が「夢と希望と勇気を頂いた」(齊藤氏)を筆頭に「素晴らしい」「感動した」「感心した」「分かりやすい」などを連発した第一部がとてもよかった。岡本理事長が「グランプリは4氏に渡したかった」と述べたのもその通りだと思う。このほか優秀賞、審査員特別賞、佳作を含めた他の応募作品にも苦労に報いる何かしらのご褒美があっていい。

 グランプリ受賞の「つつじヶ丘ハイム」は築50年だが、住友商事が売主で竹中工務店が施工した最高のマンションだと思う。東急コミュニティーが受賞した「南千住」のマンションは記者も取材したことがある「ブランズタワー南千住」のはずで、取り組みによって路上迷惑駐輪が激減し、マンションの駐輪場収入が90万円/年増加したというのにびっくりした。

 野村不動産パートナーズの「コープ野村東六郷」の改修提案力にも脱帽するし、「シャルム浦安」も外注すれば400万円/年の経費を削減できたという提案もまた凄い。

 スペシャルセッションでは、岡本理事長の「将来価値が増加するのか減少するのかを織り込んで現在価格を評価すべきだが、現状はそうなっていない。DXを駆使してそれを〝見える化〟し、業界を根本的に変えたい」旨の発言に注目したい。

 新築も中古もマンションの質に関する様々な評価制度はあるが、管理を含めた総合的な総合評価制度はない。マンション管理業協会が主導するかどうかはともかく国や不動産協会、不動産流通経営協会(FRK)などが一堂に会して論議すべきではないか。

グランプリは西京極大門ハイツ・佐藤氏 管理協 バリューアップ アワード2019(2019/12/14)

 


 

 

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