まるで植物園 五感で体験できる 野村不動産 マンション総合ギャラリー「新宿」

「プラウドギャラリー新宿」エントランス
野村不動産は2月20日、新宿野村ビル35階に新たに設けたマンションの販売拠点「プラウドギャラリー新宿」のメディア向け見学会を行った。ギャラリーは2月18日(土)にオープンしたもので、随所に本物の木を使い、観葉植物を配置するなどまるで植物園にいるかのような錯覚を覚えた。同社のギャラリー「武蔵小杉」もよかったが、環境に配慮した施設としては他社を含めて今回のギャラリーが突出している。
ギャラリーは、JR・小田急線・京王線新宿駅西口から徒歩7分の新宿野村ビル35階。広さは約400坪。予約制で、[平日は11:00~18:00、土・日・祝日は 10:00~18:00(定休日は毎週火曜・水曜・木曜)。
今後、東京都内で分譲するマンションシリーズ「プラウド」を比較検討できる拠点とする。オープン時に「王子神谷」と「南阿佐ヶ谷」2物件を紹介し、将来的には10物件以上を取り扱う予定。
首都圏の既存のプラウドギャラリーにはない取組みとして、さまざまなデジタルデバイスを活用した「LABO ZONE」を設置。ヴァーチャル音声案内システムによる情報収集、VR模型、3面スクリーンへのプロジェクター投影を活用した、間取りの可変性体験コーナーなどを設けているのが特徴。
また、ギャラリーは国産木材・再生材の積極活用による環境対応を行うとともに、世界的な基準で健康・安全性を評価する国際認証「WELL Health-Safety Rating(以下、WHSR)」を国内のマンションギャラリーとしては初めて取得。
このほか、受付スタッフは、植物由来の素材「バイオ PET」でつくられた制服を着用。コクヨ監修のもと、お客様のウェイティングスペースからは、オフィス内執務スペースの様子が見えるガラス貼りのオープン空間を設置している。

エレベータホール(左)とエントランス

ギャラリー内

接客ブース

モデルルーム
◇ ◆ ◇
悲しい性か、それとも喜ばしい性向なのか、小生はマンションモデルルームだけでなくあらゆるものを見るとき、美しいかそうでないか、本物か偽物かをかぎ分ける習性が身についている。
今回もそうだ。35階のエレベータを降りたらすぐ、エレベーターホールの壁、ギャラリーエントランスのカウンターなどに格子デザインの〝木〟らしきものに目が留まった。〝まさか〟と思い叩いてみた。カンカンではなく、コツコツという音がした。
そして、全400坪の半分を占めるプレゼンテーションルームや接客ブース、オープンスペースに案内されて、目を見張った。植物園に入ったかのように感じた。また〝まさか〟と思い観葉植物に触れてみた。本物だった(一部フェイクもある)。どこかから甘いアロマの香りが鼻腔をくすぐり、小鳥のさえずりも聞こえてきた。
ギャラリーを案内した同社住宅事業部住宅営業二課営業二課長・頼富龍介氏は、「ギャラリーはわたしたち営業担当と商品企画担当が議論を戦わせて設けたもの。お客さまには五感を通じて体感していただけるようにしました。使用している木は全て国産材、床もクロスも環境に配慮した再生材。飲料容器も同様」と話した。
この時点で同社の力の入れよう、ギャラリーの質の高さ、取材の目的は達せられと思った。疑惑は確信に変わった。〝さすがプラウド〟だと。
小生がこれまで見学したマンション総合ギャラリーは20か所あるだろうか。広さでは710坪の住友不動産「総合マンションギャラリー新橋館」にかなわないが、これほど本物の自然素材をふんだんに用いたものは他にない。(マンションモデルルームでは、積水ハウス「グランドメゾン品川シーサイドの杜」と双璧。観葉植物の量と質では「ザ・パークレックス天王洲[the DOCK]」には負けるかもしれない)
もう一つ、強調したいのは「Mi-Liful(みらいふる)」だ。これは、2015年に同社と長谷工コーポレーション、ブリヂストンの3社が共同開発した「サイホン排水システム」の商品名で、その後、同社も長谷工コーポ施工物件に採用されてきた。
今回のギャラリーでも、かなりのスペースを割いて「Mi-Liful」を紹介しているのだが、同社が直床を除く物件に標準装備していることまでは知らなかった。
これは、大きな武器だ。ライフサイクルの変化によって間取りを変更することが容易だからだ。同業もやろうと思えばやれないことはないが、床下のふところ厚を確保しないといけないので容易ではない。
そしてまた、直床が多い長谷工コーポ施工物件ではほとんど採用されていないことにも気が付いた。これは長谷工コーポがそうしないのではなく、施主が望まないということだ。「床快full」も同じ。全館空調を開発したのは三菱地所ホーム「エアロテック」だが、マンションへの実装戸数では、後発の野村不動産「床快full」に瞬く間に追いつかれ抜き去られた。
野村不動産に独走を許していいのか、沓掛社長(次期会長)の高笑いを容認するのか、鼻柱をへし折ろうとするデベロッパーはいないのかと問いたい。
断っておくが、小生はLosing to Nomura、あるいはDefeated to Nomura(この英語表記は正しいのか分からないが)-野村不動産が勝つか負けるかではなく、隈研吾氏の名著「負ける建築」(岩波書店、英語表記「Architecture of Defeat」)と同じように、避けて通れない環境問題にどう対処するかを問いたいのだ。冒頭にも書いた美しいものは本物か、本物が美しいのはなぜか、偽物は美しくないのか、偽物は美しくなれないのかという問いだ。
70㎡と100㎡のコンセプトルームは、リビング天井高を2450ミリにしているように極めてオーソドックスなものだった。これはお客さんに誤解を与えないとように最低限の基本性能・設備仕様を紹介しているからだと解釈した。
5社ブランドとの連携がいい 野村不の常設「プラウドギャラリー武蔵小杉」(2022/6/25)
自然と共生するワークスペース「コモレビズ」実装した「ザ・パークレックス天王洲」(2022/7/27)
目を見張る 710坪のマンションギャラリー 住友不「汐留」開設/第一弾は「虎ノ門」(2022/1/14)
公園隣接 分譲に負けない設備仕様 圧倒的人気 JKK東京「カーメスト興野町」

「カーメスト興野町(おきのちょう)」
東京都住宅供給公社(JKK東京)の新築賃貸マンション「カーメスト興野町(おきのちょう)」を見学した。2月2日に抽選した結果。募集98戸に対し申し込みが844件に達し、最高35倍、平均8.6倍の応募倍率を集めた理由を解明するためだった。住環境、買い物などの利便性、設備仕様レベルの高さは確認できたが、新たな謎も浮上した。
前回の記事でも書いたが、家賃は安いような気がするが、23区では相対的に安い足立区の賃料と比較してそれほど安いとも思えない。住宅供給公社の賃貸住宅の家賃は「地方住宅供給公社法施行規則」第16条によって「賃貸住宅に新たに入居する者の家賃は、近傍同種の住宅の家賃と均衡を失しないよう、地方公社が定める」と規定されているからだ。
にもかかわらず、どうして冒頭のような信じられない人気を呼んだのか。その秘密を探ろうとJKK東京に取材を申し込み、現地取材は実現した。
行きは、東武スカイライン西新井駅からタクシーを利用したので、アクセスはよく分からなかった。現地に着いたとたん、樹齢70~80年と思われるイチョウ並木の巨木が目に飛び込んできて、広々とした公園に隣接して「カーメスト興野町」はあった。昭和34年(1959年)に建設された全27棟760戸の「興野町住宅」のA号棟エリア7棟200戸を建て替えた住棟だ。公園はJKK東京が整備したもので、人気の要因の一つであることはすぐわかった。
JKK東京公社住宅事業部公社募集課営業推進係係長・山崎一徳氏から詳細な説明を受けた。844件の申し込み者の約3分の1が足立区居住者で、葛飾区、北区、荒川区、墨田区の隣接4区居住者が約15%、そのほかは都内や埼玉県の八潮、草加、神奈川などからも申し込みがあったとか。
主な基本性能・設備仕様は、直床、リビング・居室天井高2400~2500ミリ、エアコン、床暖房、3口ガスコンロ、給湯(追焚き機能付)、浴室暖房乾燥機、温水洗浄機能付き暖房便座トイレ、洗面化粧台自動水栓、ダブルロック、ディンプルキー、カラーモニター付インターホン、インターネット一括加入(Wi-Fi)、オートロック、防犯カメラ、宅配ボックス、エレベーター(タッチレス対応)、屋上太陽光パネル、蓄電池など。施工は長谷工コーポレーション。
このほか、ハザードマップでは荒川が氾濫した場合は3mの浸水の可能性があることから電気設備は2階に設置し、〝防災3点セット〟としてマンホールトイレ、防災井戸ポンプ、かまどベンチが整備されていた。外廊下のアルコーブは分譲でも見かけないような広々としたものだった。
共用部の「マルチサロン和み」はコワーキングブース3席付きで、トイレは引き戸、多目的トイレ付。中庭は、外から絵画のように見えるよう、ガラスの窓は額縁付きという凝りようだった。
住戸内の仕上げレベルは、食洗機などは付いておらず分譲より劣るとは思ったが、浴室にタオル掛けが付いており、壁、巾木、家具などの隅は面取りがされており、引き戸はソフトクローズ機能付きだった。
そして、山﨑氏が「想定外の人気」と語ったのが眺望だった。敷地南側は公園を挟んで民間の戸建て住宅街で、東京スカイツリーや東京タワーが眺望できるという。北側も高い建物はなく、徒歩12分の110店舗超の「アリオ西新井」も身近に見えた。保育園、幼稚園、小・中学校も徒歩10分圏内に揃っている。
そこで考えた。仮に分譲だったらいくらになるかだ。土地代がただでも坪150万円以下はありえない。20坪で3,000万円。これなら売れるかもしれないが、完売まで1年はかかるのではないか。用地を新たに取得し、南側に公園を整備したら坪230万円以上するはずだ。20坪で4,600万円。記者が販売担当だったら売る自信はない。
取材の帰りは、舎人ライナー江北駅まで歩いた。朝からなにも食べていなかったので、食事ができる店を探したが駅周辺の飲食店は焼き鳥屋さん1軒のみだった。開店時間の4時まで待って入った。この前取材した東武東上線の鶴瀬駅前のラーメン屋さんと同じくらいのメニュー(酒も含めて)だったが、料金は鶴瀬の倍だった。
結論は、入居者は通勤・通学に江北駅を利用せず、西新井駅まで20分歩くか、あるいは自転車か、それとも徒歩4分のバス停からバス約5分の東武大師線大師前駅を選ぶのではないかということだ。大手町まで1時間圏だ。誰かが〝マンションは徒歩7分以内を買え〟といい、その舌の根も乾かぬうちに〝マンションは足立区を買え〟と言った。小生にはそんな選好基準はないが、検討者はどちらを選べばいいのか。謎は残った。
賃貸を選ぶ人と分譲を選択する人、そして戸建てとマンション、新築と中古を志向する人の考え方は明らかに異なる。これはこれで結構なことだとは思うが、どこかに自由な選択を阻むバイアスがかかっているような気がしてならない。
JKK東京が管理する賃貸住宅は200か所約7万戸。23区内の空き住戸は極めて少ないようだが、分譲はどうなったのだろう。かつてJKK東京は分譲住宅も供給しており、バブル期に分譲された分譲戸建て「多摩ニュータウン南大沢四季の丘」(45戸)の平均競争倍率270倍はわが国の史上最高倍率だ。そしてまた、最後の分譲マンションとなった1993年竣工の「ノナ由木坂」(252戸)の売れ残り17戸が〝半値8掛け2割引き〟、つまり当初の価格から7割引きで分譲され話題となった。この値下げ幅も記録として残っている。

「カーメスト興野町(おきのちょう)」(南側の公園から)

額縁付き絵画のような中庭

中庭

「マルチサロン和み」
防災井戸

北側の眺望(8階から)

南側の眺望(8階から)

アルコーブ

面取りされている巾木、キッチンコーナー、カウンター

昭和30年代に建設された「興野町住宅」

江北駅近くの公園(樹木は無残にぶった切られていた)
舎人ライナー江北駅13分の賃貸「カーメスト興野町」98戸 申込み倍率8.6倍JKK東京(2023/2/8)
緑、樹木は増えるが問われるのは質 三井不動産など「神宮外苑」再開発 施行認可

「神宮外苑地区第一種市街地再開発事業」イメージパース
三井不動産、明治神宮、日本スポーツ振興センター、伊藤忠商事は2月17日、「神宮外苑地区第一種市街地再開発事業」の施行認可の公告が出されたと発表した。
計画では、①神宮外苑地区のシンボルである4列のいちょう並木を始めとしたみどりの保存・継承と新たな樹林地の創造により、地区を南北に貫く「みどりの散策路」を整備②既存の老朽化したスポーツ施設を段階的に建て替え、次の100年に繋がる国際的な文化とスポーツの拠点として整備③広場や緑地などのオープンスペースを整備することにより地区内の歩行者の回遊性向上やイベントによるにぎわいを醸成する④青山通りやスタジアム通り沿道の複合・高度化を図り、複合市街地を整備⑤将来的なタウンマネジメントの役割を担う準備組織を設置し、市民参加型イベントなどの活動を計画-などが特徴。
今後は、2023年3月下旬にラグビー場棟の建設予定エリアである明治神宮第二球場の解体工事に着手し、2036年予定の全体完成に向けてエリアごとに順次整備を行っていく。

◇ ◆ ◇
神宮外苑の再開発にあたっては、当初、大量の樹木が伐採されることなどから反対の声もおおく寄せられていた。記者は約30年間、神宮絵画館前の軟式野球場で行われてきたRBA野球大会を取材してきたので、思い出がいっぱい詰まっている。
グラウンドは6面もあり、強打者などは隣り合うマウンドまで飛ばすのでしばし試合は中断された。故・水島新司さんが監督を務めていたチームとRBAの選抜チームが対決した試合も取材した。プロ野球団ヤクルトも練習場として使用しており、小生は平気で声を掛けた。選手会がストライキを行った2004年には、当時ヤクルトの選手だった稲葉篤紀氏にその是非を聞いたこともある。
グラウンド名にはヒマラヤ、大銀杏、コブシ、ケヤキなどの名が付けられているように樹齢100年くらいの巨木が何十本も植えられていた。再開発によってテニスコート場、広場などに代わるが、敷地内の巨木はほとんど伐採されるようだ。
計画では、計画地のオープンスペースは現行約21%から再開発後は44%へ、緑の割合は25%から30%へ、樹木は1,904本から1,998本に増えるとしている。その内訳は保存樹木889本、伐採樹木741本、移植樹木256本、移植検討樹木19本、新植樹木837本となっている。
当初計画では伐採樹木は1,000本とされていたので、減ったのは結構だと思うが、問題はその質だ。いま、千代田区の神田警察通りの街路樹である樹齢約60年のイチョウが約30本伐採され、かわりにサクラが植えられるようになっているが、樹木には失礼だが、イチョウとサクラはまるで格が違う。
再開発後の神宮外苑の緑と樹木の質はどうなるのかの論議が必要ではないか。

2018年10月の台風21号で倒木したヒマラヤスギ
歴史ある樹木・緑環境はどうなるのか 神宮外苑のまちづくり始動 三井不動産ら(2022/5/21)
中島新社長の経営力、国際力、人間力、胆力を激賞 三菱地所・吉田社長

中島氏(左)と吉田氏(同社会議室で)
三菱地所は2月16日、社長交代と取締役会長の異動を発表。4月1日付で取締役兼代表執行役執行役社長に取締役兼代表執行役執行役専務・中島篤氏(59)が就任し、取締役兼代表執行役執行役社長・吉田淳一氏は取締役会長に、取締役会長・杉山博孝氏は取締役に就任する。杉山氏は6月下旬に開催予定の総会をもって取締役を退任、特別顧問に就任する予定。
同日行った記者会見で吉田氏は「2017年4月に社長に就任してから6年が経過しました。この間、2020年4月に開始した『長期経営計画2030』を立案し3年が経過、一区切りがついたタイミングであり、今後は新しい社長のもとで『2030』を推進すべきだと判断し、社長交代を決断しました。
新社長に中島を選んだのは、経営企画部門での経験、海外留学へのチャレンジ、不動産開発部門での経験、海外事業の中核企業でもあるロックフェラーグループ社のトップとしての役割などを通じ、その経営力、国際力、人間力、胆力を着実に成長させており、グローバルな視点から日本をみて新たな価値創造にチャレンジできること、加えて、私が大事にしているインテグリティを体現したような誠実、かつ実直な人間であるからです。その明瞭な知と心でもって未来をきりひらいてくれると思います」と激賞した。
また、自らの6年間の社長時代を振り返り、「6年前の記者会見の席で心がけたいこととして3点をあげさせていただいた。一つ目は将来的な視点に立ったデベロッパーマインドによる挑戦、二つ目はグローバル対応力の強化、三つ目はインテグリティを深めることでした」と語り、新本社への移転に伴う新しいワークスタイルの提案と実践、長期営計画の発表、丸の内ネクストステージの推進、ロボット、AI、IOTの実装やDXの推進による新たな社会の基盤づくり、海外事業、投資マネジメント事業などそれぞれ成果を上げてきたことについて説明した。
社長就任について中島氏は「身が引き締まる思い。『泉パークタウン』を見学して、その壮大な事業に感銘を受けて三菱地所に入社することに決めました。これまで企画担当として7年間の海外勤務や3度の中期計画を経験しました。藤和不動産との業務提携、リーマンショックの対応、黎明期の不動産証券化などにも携わってきました。そして、2011年からのロックフェラーグループでの経験が大きな財産となっています。これらの経験を通じて、何ごとも真剣、誠実に向き合うことを学びました」と語った。
社長としての役割については「まず当社の本拠であり、DNAでもある大手町・丸の内・有楽町を圧倒的に魅力的な空間にしていくことです。グループの総力を結集してビジネスだけでなく居住、文化、エンターテイメントなどを取り込んで魅力ある空間にし、国際化にも寄与したと考えています。
第二は、グローバル化。さらに海外事業、投資事業に力を入れ、成長させたい。価値観・文化もグローバル化にとって重要。多様性の社会の実現にも貢献したい。
第三は、SDGs。サスティナブルは奥行きが深い分野であり、わたしも学んでいるところですが、会社としても脱炭素社会の実現に向け先駆的な役割を果たしていると自負しています。これからも社会から要請されていることは何かという視点を大切にし、対話、コミュニケーションを大切にしながら、よりよい社会を創造するその一翼を担っていきたい」と述べた。
中島氏は、昭和38年8月9日生。昭和61年3月、東京大学法学部卒業。同年4月、三菱地所入社。平成3年6月、海外留学(人事部在籍)、同5年6月、経理部、同10年4月、都市開発企画部、同16年4月、経営企画部副長、同23年4月、休職(ロックフェラーグループインターナショナル社)、同28年4月、執行役員 欧米事業部長、令和2年4月、執行役常務、プロジェクト企画部、都市開発部、物流施設事業部、ホテル事業部担当、同4年6月、取締役 代表執行役 執行役専務、経営企画部、サステナビリティ推進部担当、現在に至る。

中島氏
◇ ◆ ◇
いつも馬鹿な質問をするからだろう。いくら手をあげても指名されないので、この日は質問をしないと決めていた。(手を挙げたすべての記者の方が指名された)
実は、小生も1つだけ質問したかった。海外留学2年も含めて都合7年間の海外勤務を経験されている中島氏の苦労、語学力、コミュニケーション能力についてだった。
ところが、小生は全く英語が話せない。英語が理解できない者に中島氏も説明するのは困難だろうと質問はあきらめた。中島氏はきっと、ボキャブラリーの問題ではなく、コミュニケーション能力の問題だと答えたに違いない。
このコミュニケーション能力がわが国に決定的に欠けている。母語を大切にし、同時に外国語教育をしっかり行わないとグローバル化についていけなくなるだろう。小生は20年近く前、中国・北京大学付属小学校を訪ねたことがある。3~4年生の生徒は英語がペラペラだった。これは負けると思った。その後、10年も経たないうちにGDPは中国に抜かれた。
小生の時代はどうだったか。昭和37年だ。中学1年の最初の英語の授業だった。担任の先生が、いきなり級長をしていた小生に向かって、まるで進駐軍みたいな命令口調で〝スタンド アップ〟と声を掛けた。カット頭に血が上り、知らんぷりを決め込んだ。先生は激怒した。政府が「もはや戦後ではない」と宣言したのは昭和31年(1956年)だが、三重の田舎町には当時、戦争の傷跡が色濃く残っていた。あの言葉で英語が嫌いになった(頭が悪いのだが)。
◇ ◆ ◇
両氏の会見はとても分かりやすかった。分からなかったのはメディアの的外れの質問だった。〝三菱地所は保守的なイメージ〟〝欧米中心なのか〟などと仏壇の奥に眠っているカビが生えた経典を持ち出した。
もちろん、両氏はこれを否定した。小生が説明するまでもないことだが、同社は丸ビルが竣工した20年前あたりから劇的に変わった。東京駅周辺の街も変わった。2011年に社長に就任した現取締役会長の杉山博孝氏はとても気さくな方で、広島カープファンであることを公言してはばからなかった(コーポレートカラーと一緒だからでもないはず)。同社のイメージチェンジに大きな役割を果たした。
吉田氏も社長に就任した2017年の翌年、大手町パークビルが完成したとき、〝本丸〟の本社オフィスをメディアに公開した。こんなことをした会社は少なくともデベロッパーにはなかった。吉田氏はデベロッパーのオフィス・住宅の木質化にも先導的な役割を果たした。
そして今、もっともワンダフル、ビューティフル、ハートフル、アートフル、ウォーカブル、チャレンジング(小生だってこれくらいの英語は分かる。スペルは書けないが)な活動を行っているデベロッパーこそ同社だ。コロナ禍でも見学会をきちんと行ったのは同社だけだ。
とんちんかんな質問をした記者の方には〝ペン(スマホか)を捨てて街に出よ〟といいたい。大・丸・有を歩けば三菱地所がどのような街を目指しているか、そしてまた日本橋、新宿、渋谷、池袋などとどこが異なるかすぐわかる。丸の内仲通りにはバギー姿があふれ、道路に敷かれた本物の芝生の上に素足を投げ出し、子どもに食事を与える母親がいる光景を見てごらん。
別の記者の方は中島氏が大・丸・有の開発に関わってこなかったことを質したが、中島氏が大・丸・有を知らないわけがないし、吉田氏がそんな人にバトンを渡すはずがないではないか。むしろ逆だ。中島氏は米国勤務時代、外からしっかりわが国の街づくりをそのよさと弱みを眺めていたに違いない。小生は中島氏の話を聞いていてカチンと響くものがあった。大・丸・有を含めた同社の街づくりは間違いなく変わると。
「産業デベロッパー目指し、日々妄想」植田俊・三井不動産次期社長(2022/12/11)
知る人は懐かしく、知らない人は行きたくなる 地所「TOKYO TORCH」仮囲いアート(2022/11/15)
三菱地所の本丸を見た 機能一新 士気高揚 トマト最高 地所が新本社公開(2018/2/12)
中野駅前の再開発「パークシティ中野」807戸 建物デザインは光井純氏 三井不レジ

「パークシティ中野」
三井不動産レジデンシャルと三井不動産は2月16日、参加組合員として事業参画している中野区の「囲町東地区第一種市街地再開発事業」の街区名称を「パークシティ中野」と決定したと発表した。住宅は807戸で、2025年12月に竣工する予定。建物ランドスケープは光井純アンドアソシエーツ建築設計事務所。
施行面積は約2.0haで、中野駅から事業地までペデストリアンデッキで結び、住宅807戸のほかオフィス、商業施設などを整備。設計・総合監修は佐藤総合計画、建物ランドスケープデザインは「HARUMI FLAG」や「パークシティ大崎 ザ タワー」、「パークシティ武蔵小杉 ザガーデン」などを手掛ける光井純アンドアソシエーツ建築設計事務所。建築デザインは、中野駅前にふさわしいランドマーク性のある外観デザインとし、低層部には歩行者向けの空地やデッキを設けることで、賑わいと回遊性を創出する。
このほか、路地空間や約1,000 ㎡のおみこし広場、2,000㎡超の緑地空間を整備する。
事業は、JR・東京メトロ中野駅から徒歩4分、中野区中野四丁目地内の約10,059㎡のA敷地(住宅棟、オフィス・商業棟)と約3,170㎡のB敷地(住宅棟)。A敷地の住宅棟は25階建て545戸。オフィス・商業棟は12階建て。B敷地の住宅棟は20 階建て262戸。竣工予定は住宅棟が2025年12月。オフィス開業は2026年1月。商業施設開業は2026年春。設計・総合監修は佐藤総合計画。施工は東急建設。建物ランドスケープデザインは光井純アンドアソシエーツ建築設計事務所。

◇ ◆ ◇
建物ランドスケープデザインを光井純アンドアソシエーツ建築設計事務所が担当することに注目したい。添付した記事と一緒に読んでいただきたい。
今回のプロジェクトと中野駅を挟んだ反対側では、2024年2月竣工予定の住友不動産が参画する約2.4haの「中野二丁目地区第一種市街地再開発事業」が進行中で、オフィス棟のほか約400戸の住宅棟が予定されているが、賃貸住宅になる模様だ。
「HARUMI FLAG」で美しい花を咲かせたい 光井純氏 建築美を語る(2023/1/30)
調布には迫らないはずだが…リストが販売代理の日本エスコン「橋本」全230戸
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「レ・ジェイドシティ橋本」
リストグループのリストインターナショナルリアルティは2月16日、日本エスコンとファーストコーポレーションが売主の「レ・ジェイドシティ橋本」の販売代理を受託し、3月中旬に分譲開始すると発表した。京王相模原線・JR橋本駅から徒歩4~5分の全3棟230戸。リニア中央新幹線・新駅へも徒歩10分であることから、売れ行きが注目される。
今回分譲される物件は、京王電鉄相模原線橋本駅から徒歩4分、JR横浜線・相模線橋本駅から徒歩5分、相模原市緑区橋本2丁目に位置する8階建て「Ⅰ」69戸と「Ⅱ」87戸の計156戸(このほか計画戸数74戸の「Ⅲ」は建築確認未取得)。専有面積は31.81~81.51㎡。竣工予定は2023年11月上旬。施工はファーストコーポレーション。
橋本駅南口より徒歩5分以内のマンション分譲は約26年ぶりで、WEBサイト公開後約3か月で資料請求件数は1,300件を超えている。
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資料請求件数が多いのか少ないのか分からないが、リニア中央新幹線・新駅へも徒歩10分であることから注目を集めているようだ。
取材を申し込みレポートする予定だが、皆さんは価格をいくらだと予想されるか。記者は今から10年前の2013年の段階で「マンションの単価は現在、駅近で180万円くらいだが、(リニア新幹線の新駅が誕生したら)調布と同じ300万円くらいになるかもしれない」と書いた。翌年の2014年に多摩センター駅圏で分譲された免震の三菱地所レジデンス「ザ・パークハウス 多摩センター」は210万円くらいだった。
いまはどうか。調布駅の立地条件のいいところは坪350~400万円、多摩センターや聖蹟桜ヶ丘駅圏は坪260~270万円だ。
橋本駅圏では、リリースにもあるように徒歩5分圏内の分譲事例は最近ないが、昨年6月に見学取材した駅から徒歩6分のコンパクトマンション、マリモ「ソルティア橋本」(40戸)は坪320万円だった。
さて、今回はどうなるか。リストも日本エスコンもいまもっとも勢いのある会社だ。わが多摩センターが抜かれるのは間違いない…街のポテンシャルを象徴する「京王プラザホテル多摩」も開業から33年の今年1月15日をもって閉店となった。地盤沈下が否めない。橋本の後塵を拝するとは…。まさか調布には迫らないだろう。
リニア開業後の資産性を訴求 駅圏 初のコンパクト マリモ「橋本」販売好調(2022/6/28)
駅近の免震 最初で最後 三菱地所レジデンス「ザ・パークハウス 多摩センター」(2014/6/6)
六本木ヒルズに隣接 54階建てマンション500戸とホテル 野村不・ケンコーポ

「西麻布三丁目北東地区第一種市街地再開発事業」
野村不動産とケン・コーポレーションは2月15日、参加組合員として事業参画している「西麻布三丁目北東地区第一種市街地再開発事業」が同日に権利変換計画について認可を受けたと発表した。2023年度に工事着工し、2028年度に竣工する予定。
事業の施行地区は、東京メトロ日比谷線・都営大江戸線六本木駅から約300m、「六本木ヒルズ」に隣接する約1.6ha。計画では、地上54階地下4階建て制震構造延べ床面積約約97,010㎡の超高層棟に住宅約500戸のほか事務所、商業機能を導入するほか外資系ラグジュアリーホテルブランドを誘致する。また、地区内の3つの寺社を再整備し、約11~15mの寺社3棟延べ床面積約2,740㎡を建設する。2019年4月に都市計画決定、2020年9月に再開発組合が設立認可されていた。
基本設計は梓設計、実施設計は梓設計・大成建設、特定業務代行者は大成建設。
◇ ◆ ◇
先日記者発表があった東急不動産「Shibuya Sakura Stage」内に建設されるマンションは坪1,500~2,000万円と書いた。こちらは「六本木ヒルズ」に隣接だ。「Shibuya Sakura Stage」より高くなるのは間違いない。
プレス・リリースには、外資系ラグジュアリーホテルとしか記載されていないが、同じ建物内にホテルを併設するのは最近の流れでもある。
近いものでは、「横浜ベイシェラトン ホテル&タワーズ」が入居する相鉄不動産・東急「THE YOKOHAMA FRONT」のほか、「Four Seasons Hotel」が併設される東京建物「Brillia Tower 堂島」、「ヴィラフォンテーヌ」が入る住友不動産「梅田ガーデンレジデンス」があり、その走りでもある東急不動産他「ブランズ横濱馬車道レジデンシャル」を思い出す。
このほか、「The Apartment Bay YOKOHAMA」が入居する積水ハウス「ウェスティンホテル横浜」、ホテルなどとの複合開発では野村不動産「プラウド恵比寿ヒルサイドガーデン」、住友不動産「有明ガーデン」、三井不動産レジデンシャル他「横浜北仲ノット」、スターツ「クオン流山おおたかの森」、大和ハウス工業他「ONE 札幌ステーションタワー」、「ホテルコンドミニアム」と「ホテルレジデンス」が併設される東急不動産・サンケイビル「BLISSTIA(ブリスティア)箱根仙石原」などがある。
相鉄不・東急 横浜駅直結タワマン 第1期129戸完売 坪717万円(2022/1/26)
〝どう見ても美しい〟大阪の市場を変える 東京建物「堂島」は坪単価650万円(2021/11/25)
野村不動産の最高峰マンション 「プラウド六本木」最高のモデルルームの出来(2018/7/19)
野村不・ケンコーポ 六本木ヒルズに隣接の1.6ha再開発 住宅は500戸(2020/9/10)
JR東日本&東急不HD 期間限定10年の業務提携 他社は手を握れるのか 愛は不滅か

深澤氏(左)と西川氏(オークラ東京で)
東日本旅客鉄道(以下「JR東日本」)と東急不動産ホールディングス(以下「東急不HD」)は2月14日、包括的業務提携契約を締結したと発表した。両社グループが持つまちづくりに関わるアセット、ノウハウ、人材などを活用した高いシナジー効果を追求するためで、住宅事業と再生可能エネルギー事業を軸に、その他海外事業展開などを含めた事業を推進していくのが目的。提携期間は2033年2月までの10年間。
環境共生・コミュニティ自助型の持続可能なまちづくりの柱の一つである住宅事業では、第1号案件として、JR東日本の所有する船橋市市場一丁目に位置する社宅跡地約4.5haにマンション800戸や商業施設、再エネ発電施設を整備する。完成時期は2026年度。
再生可能エネルギー事業では、総定格容量約1,400MWの自社発電施設を有する東急不HDの再生可能エネルギー施設の開発・運営ノウハウや、JR東日本グループが保有する土地・建物資産などを活用し、太陽光発電施設などの開発を進め、概ね5年以内に5か所程度の再生可能エネルギー事業開発を推進する。また、東急不HDが所有する宮城県を中心とした既存の再生可能エネルギー施設2~3か所をシードアセットとし、来年度に100億円規模のファンドを組成する予定で、今後10年間で1,000億円規模を目指す。
このほか、JR東日本がもつASEAN各国鉄道会社とのネットワーク、東急不HDのインドネシアを中心とする不動産開発の実績をベースに、環境共生・コミュニティ自助型の持続可能なまちづくり事業を展開していく。
また、ニューノーマル時代の「新しいワークスタイル」として、モビリティや通勤顧客へのサービスを提供するJR東日本と、さまざまな形態のオフィス開発・運営、リゾート&ホテル事業を手掛ける東急不HDの強みを生かし、軽井沢などの東急ハーヴェストクラブ会員権に新幹線往復チケットを付けるなど利便性の高いワーケーション商品の開発を行う。
さらにまた、JR東日本グループと東急不HDが保有する多様なアセットを活用し、新たな価値創造と事業収益の獲得を目指していく。
記者会見でJR東日本代表取締役社長・深澤祐二氏は、「提携により2023年度から5年程度で1,000億円規模の売り上げを目指す。両社が連携しグローバルアジェンダの解決に果敢に挑戦していく。タッグを組むことで、これまでどちらか一方では実現できなかった心豊かで輝く未来を実現していく」と語った。提携の決め手については、「中期ビジョン、環境共生、ユニバーサルビジョンなどが一致するから」とし、「当社はこりまでモビリティが中心だったが、生活ソリューション事業を拡充し、将来的には事業比率を5:5にする目標を掲げている。その中で不動産事業は大きなウエイトを占めている。スピード感をもって進めていく」と話した。
東急不動産ホールディングス代表取締役社長・西川弘典氏は、「当社グループの長期ビジョン『GROUP VISION 2030』では全社方針として環境経営を、事業方針の一つとしてパートナー共創を掲げ取り組んでいる。連携は非常に高いシナジー効果が期待できる。国内外の様々な課題解決をリードする存在になる。今回の提携を契機に幅広く連携し、新たなお客さま価値の創造と企業収益の拡大を目指す」と語り、連携の決め手については「不動産会社として成長していくため、重要な戦略として関与資産をいかに拡大していくかが課題となっている。そのためパート―ナー共創を掲げ、関与資産拡大の機会を探ってきた。両社の中長計画がほぼ同じであること、両社が持っている経営資源などのリソースは補完性が非常に高いと判断した」と述べた。
◇ ◆ ◇
両社が包括的業務提携契約を締結すると案内があったとき、記者は仰天した。青天の霹靂、逆転満塁サヨナラホームランを浴びたような気がした。
なぜか。デベロッパーとしたら、JR東日本が所有する駅舎などの土地は垂涎の的だ。土地代はただ同然で、容積など半分以上余しているはずだ。やろうとすれば、駅地下・駅中・駅上開発ができる。郊外では寝過ごし客相手の仮眠・宿泊施設を設けたら連日連夜満室だろう。シェアオフィス需要だって取り込める。三顧の礼、三跪九叩頭して提携をお願いしたい企業だ。日本郵政も同じだが、同社は2018年4月2日、デベロッパー日本郵政不動産を立ち上げた。社長は2代にわたって三井不動産グループ出身者だ。
そんなこともあり、記者はJR東日本と〝婚約〟発表をするのは、最近いくつかの共同事業を行っているあるデベロッパーしかないと思っていた。相思相愛、ラブラブだと信じて疑わなかった。相手が東急不HDとは毫ほども考えていなかった。そのデベロッパーは振ったのか、振られたのか謎だ。
そこで考えた。そのデベロッパーになく、東急不HDにあるもの・強みは何か。ホテル&リゾートだと結論づけた。双方の事業規模を調べる余裕はないが、同じくらいか。双方合わせれば100か所くらいになるのではないか。タッグを組めばドラスティックな改革も可能で、面白い展開ができると。
ただ、他の住宅などの不動産開発は、土地は持っているが、その土地を生かすノウハウを持たないJR東日本はフリーハンドで好きなとき、好きなデベロッパーと手を組んだほうが優位に立てるはずで、業務提携によって手かせ足かせをはめるのは得策ではないから、その点を質そうと、質疑応答で最初から最後まで手を上げ続けた。いつも馬鹿な質問をするからだろう。今回も指名されることはなかった。質問を許されたのはいつものメンバーだった。(これはやめるべき。記者はその手口を小学生のとき知った。それを許すメディアにも責任がある。みんなが手をあげればMCもスタッフもパニックに陥る)
少し横道にそれる。これまで鉄道事業会社の不動産開発をいくつか取材してきた。一言でいえば稚拙。ごく一部を除き、ゼネコンやデベロッパーに丸投げ、ぶら下がるだけ。〝揺りかごから墓場まで〟(福祉施設のことを言っているのではない)あらゆる事業で沿線住民にサービスを提供しているのに、収穫することを行ってこなかった。許認可権を握る国の責任でもあるが…。
まあ、こんな繰り言をいってもしょうがない。仕方がないので、両社の担当者に直接聞いた。JR東日本には「自由恋愛と同じように、だれとでも手を組むほうがいいのではないか」と(こんな質問をするから嫌われる)。
ところがどうだ。その担当者の方は「仰る通り。案件によっては他社と組むこともある」と。さすがJR東日本、強かな読みがある。
東急不HDには、「JR東日本さんは自ら手を縛らないと言っています。好きなように他社と手を握られたら、東急さんだって面白くないのではないか」と(これまた失礼な質問)。すると、同社担当者の方は「企画力を向上させ、選ばれるようにする」と語った。不動産仲介の専属専任媒介ではない主旨のことも話されたので、一般仲介に近いのか。
これで疑問は氷解した。他のデベロッパーにもつけ入るチャンスはあるということだ。深読みすれば、JR東日本は今回の提携により、デベロッパー間の競争を促し、より有利な開発を行おうとしているとも読める。
ただ、東急不HDの強みはほかにもある。両社社長が強調したように、環境共生やユニバーサルデザインの取り組みを、東急不HDはどこよりも早く着手したのを思い出した。再生可能エネルギー事業もそうだ。街づくりといえば東急だった。西川社長は渋沢栄一の創業精神を紹介したようにそのDNAは健在であることを思い知らされた。両社が協業の話し合いを始めたのは昨秋というから、ほとんど即断即決なのだろう。善は急げか。
もう一つ、どうしても確認したいことがあったので質問した。会見場はJR東日本のクラシックホテル「東京ステーションホテル」でも、東急グループのフラッグシップホテル「ザ・キャピタル東急」や「セルリアンタワー渋谷」でもない点だ。
これについて、JR東日本担当者は「お互いの色が付いていないから」と話した。なるほど。
そこでまた考えた。愛は惜しみなく奪うのか、限りなく尽くすのか。色に染まるのはどっちか。何? JR東日本も東急不HDもコーポレートカラーは青? ならばなおさらだ。記者はどっちの青にも染まず毅然として傍観者の「白鳥」の立場を貫くぞ!「白鳥は悲しからずや」と詠んだ牧水は自身が病んでいたらで、白鳥は健康そのものと高校のテストで答えたら×だった。今でも小生の答えが正解だと思っている。
公園隣接・近接 天井高2650ミリ、ワイドスパン…大激戦制すか アンビシャス「鶴瀬」

「アンビシャスガーデン鶴瀬」
アンビシャスの「アンビシャスガーデン鶴瀬」を見学した。1つの公園に隣接、もう一つの公園に徒歩3分の住環境に恵まれた4階建て中層の全69戸で、リビング天井高2650ミリ(一部除く)、ワイドスパンのエアリールーム付きなど商品企画の差別化もできており、坪単価210万円は割安感がある。早期完売する可能性が高いと見た。
物件は、東武東上線鶴瀬駅から徒歩7分、富士見市鶴瀬東二丁目の第1種住居地域(建ぺい率60%、容積率200%)に位置する4階建て69戸。専有面積は54.36~73.18㎡、第1期15戸の専有面積は58.73~73.18㎡、価格は3,630万~5,010万円(最多価格帯4500万円台)、坪単価は210万円。竣工予定は令和5年6月30日。設計・監理はソシアル綜合設計。施工は吉原組。
現地は、区画整理事業により整備が進行中の駅東口からフラットな生活道路を進んだ低中層住宅街の一角。貝戸の森公園に隣接しているほか、緑の散歩道権平山へは徒歩3分。徒歩10分圏内に保育園・幼稚園・小学校が揃っている。ららぽーと富士見へは自転車で約8分。
敷地は東西軸が約120mの細長い形状で、建物は貝戸の森公園に隣接する「GREDEN SIDE」(30)と、戸建て街に面した「AIRY SIDE」(39戸)に分棟。住戸は全て南南東向き。「GREDEN SIDE」の1階は専用庭付き。「AIRY SIDE」は6850~8100ミリのワイドスパンで、約4.5~5.2畳大の多目的利用が可能な「エアリールーム」付き。
主な基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、リビング天井高は1階と3階が2650ミリ(2階は2450ミリ、4階は2400ミリ)、食洗機、床暖房、ソフトクローズ機能付き開き戸・引き戸、ホーローキッチンパネル、浴室タオル掛け2か所など。
取締役営業部長・瀬賀崇広氏は「お客さまの反響はとてもよく、公園隣接・近接の住環境のほかワイドスパンを生かしたエアリールーム付き、2650ミリの天井高、その他設備仕様など全体の商品企画の差別化もできています。6か月で完売? できるはずです」と早期完売に自信を見せていた。

貝戸の森公園
◇ ◆ ◇
他社物件を見学はしておらず、競合するかどうかは不明だが、同じ沿線(和光市~上福岡駅)ではプラウド、オハナ、ブリリア、シャリエ、サンクレイドル、プレシス、クレヴィア、パークホームズ、ルピアコート、エクセレントシティ…大手・中堅が入り乱れて大激戦が展開されており、その戸数は約2,500戸(予定含む)にも上っている。
価格(単価)も上昇を続けており、記者が2019年に見学取材した物件より軒並み2~3割アップしている。和光市駅圏では坪単価は300万円をはるかに突破し、志木、朝霞台でも200万円台の後半に迫っている。第一次取得層の取得限界と思われる坪250万円(20坪で5,000万円)を突破する物件もかなりある。
さて、同社の物件はどうか。貝戸の森公園に面した「GREDEN SIDE」は申し分ない。いまは真冬なのでケヤキ、クヌギなどの高木は葉っぱを落としているが、春から秋にかけての借景は素晴らしいはずだ。「AIRY SIDE」の1、2階住戸は前建が気にならないわけではないが、ワイドスパンだからこそ実現した「エアリールーム」付きがいい。この種のプランは少ないはずで、ヒットする可能性を秘めている。(ここでは書かないが、業界は平凡なnLDKから脱却すべき)
このほか、2650ミリの天井高、タオル掛け2か所などは、前述した物件の施工会社からして優位に立てるのではないか。瀬賀氏に教えてもらったのだが、駅から物件まで、自転車も通行不可だが、信号を一つも通らず、線路際と公園を通り抜けてたどり着ける細道もある。
皆さんいかがか。再開発が進行中の駅前から徒歩7分、公園に隣接・近接、ららぽーとに自転車で8分、天井高2650ミリ(一部除く)、他にない多目的ルーム、タオル掛け2か所…これだれ条件が揃い坪単価は210万円。相手に不足はない。販売担当だって燃えないわけがない。早期完売できなければ鼎の軽重が問われる。

72㎡のAタイプ(左)と68㎡のDタイプ

タオル掛け2か所
◇ ◆ ◇
少し視点を変えて、東武東上線のマンション市場を概観してみる。別表・グラフは国土交通省の建築・住宅着工統計から、東武東上線沿線に位置する埼玉県側の各市の分譲住宅着工動向を見たものだ。
分譲住宅であるため分譲戸建ても含まれるが、比率は戸建てのほうが若干多いかほぼ半々とみられる。
これによると、2021年は6市合計で3,058戸となり、2017年比で56.7%増となっている。2022年のデータはまとまっていないが、1~9月の賃貸マンションも含む共同住宅の着工戸数は6,192戸となっており、2021年通期の6,194戸に並んでいる。最近の着工動向からすれば、2022年の分譲住宅は2021年を上回る可能性が高い。前段で戸数は約2,500戸(予定含む)に達すると書いたのを裏付けている。
各市別では、2021年にふじみ野市で975戸と例年の3~4倍に激増しているのは、東京建物など4社JV「Brillia City ふじみ野」708戸が着工されたためだ。2018年の川越市で1,070戸と1,000戸を超えたのは、三菱地所レジデンス・大栄不動産「ザ・パークハウス川越タワー」173戸など複数のマンションの着工があったためだ。
東京都に近い和光市や志木市がほぼ横ばいで推移しているのは、市域面積が狭く、相対的に地価水準が高いことからデベロッパーのターゲット層にマッチしないことなど様々な要因が考えられる。
今後の動向はよく分からないが、大山駅圏では人気のうちに完売した三菱地所レジデンス「ザ・パークハウス 板橋大山 楠ノ杜」に続いて、いよいよ住友不動産の「シティタワーズ板橋大山」分譲されるし、少し先にはなりそうだが、和光市駅北口では再開発による三菱地所レジデンスなどの超高層マンションが計画されている。東上線は当分デベロッパーの草刈り場になるのか。



建設現場(手前は貝戸の森公園)
和モダン見事に表現 出色の出来アクタス・モデルルーム 明和地所「川越大手町」(2022/10/15)
沿線人気くっきり 坪単価307万円でも販売好調 大和ハウス「和光丸山台」(2021/11/15)
反響3000件超 ランドスケープ抜群 三菱地所レジ他「板橋大山 楠ノ杜」(2021/12/11)
駅前の免震タワーは坪320万円 京王・聖蹟桜ヶ丘を抜き去る 三菱地所レジ他「川越」(2021/12/11)
売れ行き好調 完成販売 駅に近く環境もよい三交不「プレイズ和光市本町」(2019/1/10)
踊り場に差し掛かった中古マンション市場 金利動向から目が離せない レインズデータ
東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は2月10日、2023年1月の不動産流通市場の動向をまとめ発表。首都圏の中古マンション成約件数は2,581件(前年同月比6.5%減)となり、6か月連続して前年同月を下回った。新規登録件数は16,588件(同31.7%増)、在庫件数は43,688件(同19.3%増)で、在庫件数は12か月連続で前年同月を上回った。
成約価格は4,276万円(同3.1%増)で、20年6月から32か月連続で前年同月を上回った。成約㎡単価は68.31万円(坪単価225.4万円)となり、前年同月比6.4%上昇、20年5月から33か月連続で前年同月を上回った。前月比では2.3%下落した。
新規登録㎡単価は74.31万円(同245.2万円)となり、前年同月比6.2%上昇、前月比も1.9%上昇した。在庫㎡単価は73.94万円(同244.0万円)㎡となり前年同月比4.1%上昇、18年2月から60か月連続で前年同月を上回った。前月比もプラス0.7%となった。専有面積は62.61㎡(同3.2%減)となった。
地域別では、東京都区部の成約㎡単価は100.05万円(同330.0万円)となり、前年同月比5.5%上昇、20年5月から33か月連続で前年同月を上回った。このほか神奈川、埼玉、千葉とも成約単価は上昇したが、多摩は50.11万円(同165.4万円)となり、21年2月以来23か月ぶりに前年同月を下回った。
中古戸建て住宅の成約件数は946件(前年同月比5.1%減)、13か月連続で前年同月を下回った。成約価格は3,827万円(同9.4%上昇)、20年11月から27か月連続で前年同月を上回った。土地面積は151.94㎡(同7.1%増)、建物面積も104.09㎡(同0.2%増)となった。
◇ ◆ ◇
この中古マンションデータをどう読むべきか。在庫数の5.9%(過去1年間で在庫数に占める成約比率がもっとも高かったのは2022年3月の9.0%)しか成約しないのに、新規登録数も新規登録単価も上昇しているのは、一般的な商品ならあり得ない。賞味期間がある食品類なら〝投げ売り〟〝大暴落〟してもおかしくない。
そうならないのは、〝ハコ〟としての住宅の耐用年数は無期限とまではいかなにしろ、向こう100年は顕在(「マンションは廃墟化する」などと、「国家は死滅する」と言ったマルクス・エンゲルと同じような過激なことを仰る方はいるが)だからであり、もう一つは、分譲マンションの賃貸化が進んでおり、売り急ぎなどの事情ではなく、投資対象として市場に出回っていることが考えられる。
マンションの賃貸化に関する正確なデータはないが、首都圏のストック数を約400万戸とすると、少なくともその10%、40万戸以上は賃貸化されていると推測されている。レインズの在庫件数は賃貸化されているマンションの10分11と考えれば、決して多くない。空き家になっている物件もあるだろうが、賃貸利回りと天秤にかけ、売却したほうが得と考える投資家が多いということなのだろう。
であれば、今後の中古マンション市場は金利、賃貸、新築マンション市場動向などによって大きく変化するということだろう。踊り場に差し掛かっているともいえそうだ。
もう一つ、成約、新規登録、在庫の単価がほぼ一貫して上昇を続けている一方で、成約専有面積は反比例するように縮小していることに注目している。2023年1月の専有面積は62.61㎡(前年同月比3.2%減)となっており、過去10年間では2013年1月の66.44㎡をピークに減少し続けている(暦年の最大面積は2009年の65.79㎡)。2013年1月比では3.83㎡(1.16坪)、5.8%減少していることになる。
さらにもう一つ注視したいのは、成約単価の上昇率が鈍化していることだ。上昇率は2022年12月の9.0%に引き続いて2カ月連続して10%を下回った。また、在庫単価上昇率も2022年7月以降は10%を割っており、2023年1月は4.1%増にとどまった。
これらの数値から、実需としての中古マンション市場もまた踊り場に差し掛かっていると言えるのではないか。金利動向から目が離せない展開がしばらくは続きそうだ。

