最高の〝働く場・接遇スペース〟 積水ハウス「SUMUFUMU TERRACE 新宿」
「SUMUFUMU TERRACE 新宿」
先日見学した積水ハウスの「SUMUFUMU TERRACE 青山」に続き、同社の〝新拠点〟「SUMUFUMU TERRACE 新宿」を見学した。「青山」とはコンセプトがやや異なり、顧客と打ち合わせをする場でもあり、スタッフが働く場でもある。建具・家具、観葉植物などは全て本物で、デベロッパーのマンション総合ギャラリーとは比べようもないほどレベルが高い。
場所は、交通案内:JR新宿駅から徒歩11分、都営大江戸線都庁前駅から徒歩5分、京王新線初台駅から徒歩9分、新宿区西新宿3丁目の「西新宿KSビル1階・2階」。定休日は火曜・水曜。新宿マインズタワーから移転した同社東京営業本部と東京西支店の事務所が併設されている。
1階も2階も飲み物が振舞われるのは「青山」と同じ。コーヒーはSTARBUCKSだった。
小池
1階の受付カウンター
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同社は「SUMUFUMU TERRACE」を〝新拠点〟と呼んでいるように、単なるショールームでも普通のオフィスでもない。記者もこの種の施設を見学したことはなく、「青山」は〝驚嘆〟と表現するほかなかった。
今回の「新宿」は、その多くはガラス張りになっているので、スタッフと顧客接遇スペースをシームレスにつなぎ、あるいは緊張感も醸し出す不思議な空間だ。比較するものがないので表現は難しいのだが、〝働く場〟〝接遇スペース〟としては最高レベルではないか。
立地条件は申し分ない。目の前は新宿中央公園と都庁。徒歩1~2分内に「パークハイアット東京」と「新宿ワシントンホテル」。
1階には、直径十数メートルありそうな半透明の白いカーテンに覆われたラウンジ空間が配されており、大小の観葉植物と湧水池のように水面がゆらぐ小池も設置されている。受付カウンターに置かれている観葉植物「ジャボチカバ」は、天井のライトにより木漏れ日のように影がカウンターに映し出されるように工夫されていた。説明書きには「ParkERs」とあった。
2階の接遇スペースの設備仕様レベルが高いのにびっくりした。中央に据えられているカウンターは古材をガラスで加工したもので、値段にしたら、この前見た目[me]の〝ただの石〟の99万円とは比較にならないほど高いはずで、壁には熊野古道の無垢の百年杉が掲げられており、その背後から音楽が流れるような仕掛けが施されていた。接遇個室のソファー類は全て本革。
オフィススペースはガラス張りになっているので、仕事をしているスタッフの姿も見える。外部の人に〝見られる〟のはいい気持ちはしないだろうが、「ParkERs」が監修した観葉植物に囲まれて仕事ができるのは幸せだ。緑空間はストレスを解消し、労働生産性を向上させる効果があることは実証されている。
2階
2階
フージャースコーポ・日本エスコン いわき市の「並木の杜シティ」再開発を着工
フージャースコーポレーション(事業比率51%)と日本エスコン(同49%)は2月16日、参加組合員として事業参画している福島県いわき市の「いわき駅並木通り地区第一種 市街地再開発事業」(並木の杜シティ)を再開発組合とともに着工したと発表した。
同事業は、市街地の高度利用と都市機能の更新を図り、いわき駅周辺の賑わい創出するのがコンセプトで、総敷地面積約1.1ha。2つの街区から構成されており、1街区には4階建ての商業棟(店舗・事務所等)、2街区には21階建て216戸の住宅棟が建築される。住宅棟はいわき市最高層の免震構造タワーマンショ ンとなる計画で、バリアフリー仕様住戸(55 戸)を設けるなど多世代居住を見込んだ次世代型分譲マンションを予定。名称は「ミッドタワーいわき」で、販売開始予定は2022年9月頃。
設計は熊谷組・UG都市建築、ランドスケープ監修はスタジオゲンクマガイ。施工は熊谷組・加地和組・堀江工業特定建設工事共同企業体。竣工予定は2024年4月15日。
中央日土地 学生レジデンス 新ブランド「BAUS CROSS(バウスクロス)」で展開
中央日本土地建物グループの中央日本土地建物は2月16日、学生レジデンス事業を住宅ブランド「BAUS(バ ウス)」シリーズに体系化し、新ブランド「BAUS CROSS(バウスクロス)」として事業化すると発表した。
同社は1986年から学生レジデンス事業を展開しており、第1号の「ラフィーヌ駒沢」を皮切りに、これまで東京都内を中心に大阪、名古屋、仙台、福岡などで全26棟約2,600戸を開発・運用している。
2022年2月下旬には、新ブランド第一弾「北新宿」(東京都新宿区)、第二弾「相模大野」(神奈川県相模原市)の2物件が竣工するほか、2022年度末には第三弾「板橋区加賀」が竣工する予定。
2022年度末までに、首都圏18棟約1,800戸、全国で29棟2,900戸超となる。
三菱地所 ロイヤルパークホテルを吸収合併 保有と運営の分離進める
三菱地所は2月15日、同社と完全子会社ロイヤルパークホテル(RPH)、ロイヤルパークホテルズ アンドリゾーツ(RPH&R)の組織を再編し、4月1日付で同社を吸収合併存続会社、RPHを吸収合併消滅会社とすることを決定したと発表した。
同社は2021年8月にRPHを完全子会社とし、2022年1月27日にはRPHのホテル運営機能と不動産保有機能を分離し、ホテル運営機能を同社の完全子会社RPH&Rに承継させることを決定しているが、今回、不動産保有機能を同社が承継することにしたもの。
同社は今回の決定により、一体的・有機的なグループホテル経営を進化させ、運営・開発・アセットマネジメントの各分野の役割・機能を更に強化し、ホテル事業の成長拡大を図っていくとしている。
2021年3月期のRPH&Rの売上高は9,775百万円、営業損失は7,343百万円、RPHの売上高は3,063百万円、営業損失は2,841百万円。コロナの影響を大きく受けている。
堀口会長の生まれ故郷・佐渡にアウトドアアクティビティ拠点 サンフロンティア不
「佐渡アウトドアベース」
サンフロンティア不動産は2月15日、同社創業者で現取締役会長の堀口智顕氏の生まれ故郷・新潟県佐渡市の玄関口である両津港ターミナル至近にアウトドアアクティビティの総合拠点「佐渡アウトドアベース」を3月19日(土)にオープンすると発表した。運営は同社グループのサンフロンティア佐渡(代表取締役社長:堀口智顕氏)が行う。
「佐渡アウトドアベース」は、両津港ターミナルから徒歩4分、大通りを挟んで向かい側には道の駅が所在するアクセスのよい立地。“人と人 人と自然をつなぐ”をテーマに、佐渡の様々な観光資源と地域の魅力を繋ぎ、訪れる方々の体験型観光を支える、佐渡に初めて誕生するアウトドアの拠点。
館内には総合案内、ツアー販売窓口、アウトドアショップ、レンタルコーナー(自転車、釣り・トレッキング用品レンタル)、シャワー、更衣室、カフェ、休憩所、イベントスペースなどを兼ね備え、「アドベンチャーツーリズム」を総合的にサポートする設備と機能を備えている。
ショップ
釣り・トレッキング用品レンタル
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同社は、日本トライアスロン連合(JTU)のオフィシャルスポンサーで、新潟県佐渡市とJTU共催の「佐渡国際トライアスロン大会」を応援しており、大会に参加した同社社員を取材したことがある。
堀口さん、社員から日本代表になれる選手を育ててほしい。RBA野球大会も頑張ってほしいが、ロートル揃いでは多くを望めない。
台湾の義援金に謝意を込めて 前人未到の挑戦 沖縄から台湾へ150キロのリレー遠泳(2011/9/12)
“仕掛学”でポイ捨て削減&街の美化実現 コスモスイニシア 大阪のマンション
「コスモスイニシア南森町ギャラリー<Good enough Gallery>」
コスモスイニシアは2月15日、大阪大学大学院経済学研究科・松村真宏教授の監修のもと、大阪市の分譲マンション「イニシア大手前」(84戸)のモデルルーム「コスモスイニシア南森町ギャラリー<Good enough Gallery>」に近隣住民も気軽に立ち寄れるカフェを併設し、ごみのポイ捨て行動をなくす取り組み「Good enough Garden」を開始したと発表した。
マンションギャラリーは、Osaka Metro 谷町線南森町駅から徒歩1分にあり、周辺に商業施設が多く、ゴミのポイ捨てが目立っていることから、「無理やり行動を変えさせようとするのではなく、つい行動を変えたくなるように仕向ける」“仕掛学”を提唱している松村教授の監修のもと、マンションギャラリー前に花や木を植えたプランターを置き、“水やりをしてもらう仕掛け”を施している。また、カフェ内にはパネルと投票札を設置し、マンションギャラリー前に植える植物の種類について投票してもらい、もっとも票数が多かった「ハーブ」を採用した。
1月18日からプランターを設置したことで、設置前に見られたたばこの吸い殻や空き缶などのポイ捨てが、設置以降はほとんど見られなくなったとしている。
同社は新築分譲マンションの建設エリアで、すごしかたを街から考える活動「マチカツ」に取り組んでおり、今回の活動もその一環。
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面白い取り組みだ。この種の取り組みでは、〝立ちション〟をなくすため地蔵さんを置いたらそのような行動を取る人がなくなったという話を聞いている。
不動産業界ではサンフロンティア不動産やケン・コーポレーション、山万、日新ハウジングなどの社員による地域清掃活動が知られており、ナイスは仲介店舗に「住まいるCafe」を併設している。マンションギャラリーにそのような仕掛けを施した事例などないのではないか。首都圏でもやってほしい。
東京建物 2021年12月期決算 売上高は5期連続過去最高 ビル、マンションなど好調
東京建物は1月14日、2021年12月決算を発表。売上高は3,404億円(前期1.6%増)、営業利益は587億円(同18.4%増)、経常利益は462億円(同1.7%減)、純利益は349億円(同10.0%増)となった。売上高は5期連続で過去最高を更新、純利益は6期連続で増益を達成した。
売上高、営業利益が増加したのはビル事業が堅調に推移したことと、マンション分譲事業、投資家向け物件売却が好調に推移したため。経常利益が減少したのは、海外事業の一部プロジェクトで事業計画の見直しを行い、投資損失108億円を計上したため。期末配当は当初予想の24円から3円増配して27円にする。
セグメント別では、ビル事業は「Hareza Tower(ハレザタワー)」(東京都豊島区)が通期稼働し、投資家向け物流施設の開発に注力したほか、中規模オフィスビル、都市型ホテルなどの新規開発を推進した結果、売上高は1,556億円(前期比7.7%増)、営業利益は444億円(同10.0%増)となった。
住宅事業は、分譲マンション計上戸数は前期の1,196戸から1,109戸へ減少したが、戸当たり単価は6,485万円(前期5,388万円)へ上昇、粗利益率も24.4%(前年同四半期22.4%)となったことなどから、売上高1,205億円(前期比21.6%増)、営業利益170億円(同137.6%増)と増収増益。
竣工在庫は83戸(うち契約済み37戸)となり、前期末の177戸(うち契約済み27戸)から大幅に改善。未計上契約戸数は1,968戸(前期末1,314戸)に達している。
2022年12月期の通期予想は、売上高3,600億円(前期比5.7%増)、営業利益600億円(同2.1%増)、経常利益600億円(同29.7%増)、純利益400億円(同14.4%増)の増収増益を見込む。年間配当も59円(前期51円)へ増配する予定。
目に物見せる目[me]は何者だ 驚愕の積水ハウス「SUMUFUMU TERRACE 青山」
「SUMUFUMU TERRACE 青山(スムフム テラス アオヤマ)」
積水ハウスが2月1日に開設した「SUMUFUMU TERRACE」の第5弾、「SUMUFUMU TERRACE 青山(スムフム テラス アオヤマ)」を見学した。東京メトロ銀座線外苑前駅から徒歩1分の一等地に位置し、約70坪のスペースはガラス張りで、100本を超える中低木・シダ類が植えられており、アートギャラリーそのもの。デベロッパーが展開するマンションギャラリーやハウスメーカーの住宅展示場などとは全く異なる。唖然とするほかなかった。
「SUMUFUMU TERRACE」は、「家族みんなが住むコトに〝フムフム〟納得しながら家づくりをしてほしい」という想いを込めた〝新拠点〟で、「青山」は昨年11月にオープンした「新宿」「立川」「錦糸町」、12月に開設した「池袋」に続き5か所目。
施設デザインはデザイナー・佐藤オオキ氏が率いるデザインオフィスnendoが担当。〝庭〟に着目したガラスと植物で仕切られた回廊型の空間で、足を進めるにつれて家づくりのアイデアがどんどん膨らんでいく体験を得られる仕掛けを施している。
特徴の一つは、絵本作家の荒井良二氏や写真家の石川直樹氏、アートチームの目[mé]、東京藝術大学などの学生のアート作品などが展示されており、購入も可能になっていること。
場所は、東京メトロ銀座線外苑前駅1b出口から徒歩1分(数十秒)、港区南青山2丁目の「D-LIFEPLACE南青山」の1F。公開されている広さは約70坪。営業時間は10:00~18:00(休館日:火曜日・水曜日・夏季休暇・年末年始)。入場は無料だが、原則として予約制。コーヒーなどの飲み物のサービスも受けられる。
アート作品が展示されている回廊型のギャラリー
ふんだんに植えられている緑
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見学を申し込んだのは、佐藤オオキ氏がデザインを担当していることをプレス・リリースで紹介されていたからだ。見学する前は、デベロッパーの総合マンションギャラリーのようなものだろうと想像していたが、全然そうではなかった。冒頭に書いたようにアートギャラリーそのものだった。すぐ賃料を計算した。坪5万円はくだらないはずだ。
それ以上に驚いたのは、〝売らんかな〟の雰囲気が全くなかったことだ。申し込めば家づくりや家探しなどの相談にも応じるとのことだったが、営業担当がぴったりとくっつき、手八丁口八丁の売り込みをするイメージが強いマンションギャラリーなどとは天と地ほどの差があった。
アート作品は、好みもあるので何とも言えないが、記者は東京藝大の鈴木萌恵子氏の1点6.6万円、全6点の作品にほれ込んだ。(記者は油絵を描くので多少の審美眼はあると思っている)
目の玉が飛び出し、息が詰まりそうなほど驚いたアートもあった。「目[me]」の「matter α」作品だ。
撮影は不可だったので、もらったパンフレットのコピーをそのまま紹介する。「一見してどこにでもありそうな石。しかし、実は、目[me]によって極めて精緻に、長い時間をかけて、別の実在する石から手でトレースコピーされた驚愕のオブジェクト。注文が増えれば、その数だけ同じ〝どこにでもありそうな石〟が、複数の家に同時に出現します。アートとは、オリジナルとは、価値とは何か? を揺さぶる目[me]らしい作品」とある。
サイズ・素材はH65×W160×D120ミリ、砂、石、岩の粒子ほか。納期は約3か月。価格は990,000円(税込)。
皆さん、価格は桁違いではない。0の数は間違っていない。何と1個99万円だ。コピーには〝一見してどこにでもありそうな石〟とあるが、何度見てもどこにでも転がっていそうなただの石だ。広大な砂漠の中からダイヤモンドを探し出すことはほとんど不可能であるのと全く逆だ。ただの石ころ(砂岩のはず)に99万円の値段を付ける目に物見せる目[me]とは何者だ。神をも恐れぬ所業として断罪されても記者はしらないぞ。
だが、しかし、目[me]にも言い分がある。やはりパンフレットから引用する。「制作の始まりは、川へ行き、無数に転がる石の中から、思い描く形の完璧な〝普通の石〟を探すこと。それをオリジナルとして、もう一方の石は、砂を硬化させて形を作り、体積、苔、傷、模様など細部にいたるまですべてを模倣し(彼らはその工程をレタッチと呼ぶ)、まったく同じ〝石〟をこの世に存在させる。また、その中で、オリジナルと、制作した石をシャッフルし、ひとつを川に投げる。彼らでさえも、いま手元にあるのがオリジナルか、制作した石なのか分からないのだ」
ン? 99万円の価値があるのはオリジナルの石なのか、それとも模倣の石なのか。化学分析したらすぐ分かるのではないか。
外壁材もアートとして展示されている
「目[me]」アーティスト・荒神明香氏、ディレクター・南川憲二氏、インストーラー・増井宏文氏 写真:阿部 健(Takeshi Abe)氏
Wリビングの提案がいい コスモスイニシア「イニシアクラウド渋谷笹塚」(2016/10/24)
売却価格は安すぎる 「ザ・プリンス パークタワー東京」だけで1,500億円の価値あり
当欄2月10日付で「プリンスホテル売却へ30か所で1,500億円は安すぎないか/西武は分譲に力入れて」の記事を書いた当日、西武ホールディングスは、子会社プリンスホテル(PH)が保有する「ザ・プリンス パークタワー東京」などホテル・レジャー施設31物件をシンガポールの政府系ファンドGICに約1,500億円で譲渡すると発表した。2021年5月13日に公表した中期経営計画に基づき、より強固な財務・事業体質を構築するための経営改革の一環で、譲渡による帳簿価額を前提とした譲渡益は800億円程度となる見通し。
譲渡する施設の運営は昨年末に設立した「西武・プリンスホテルズワールドワイド(SPW)」が行い、PHは2022年4月1日付で「西武プロパティーズ」に吸収合併、「西武プロパティーズ」は「西武リアルティソリューションズ」に商号変更する予定。
「西武リアルティソリューションズ」は総合不動産会社として今後本格化する品川・高輪・芝の再開発事業や軽井沢・箱根などのリゾート事業を強化し、向こう10年間に国内外のホテル拠点を84か所から250か所に拡大するとしている。
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発表された施設31か所のうち記者が知っているのは「ザ・プリンスタワー東京」「サンシャインシティプリンス」「ザ・プリンス京都宝ヶ池」しかない。知らないことは書けないが、「ザ・プリンスタワー東京」の〝価値〟だけでも1,500億円あると思っているし、創業から60年以上の「苗場プリンス」を含む31施設で簿価を基準にした譲渡益は800億円にしかならないのは理解できない。なぜそんなに安いのか。「ザ・プリンス パークタワー東京」を詳しく見てみよう。
「ザ・プリンス パークタワー東京」は、都営大江戸線赤羽橋駅から徒歩2分、都営三田線芝公園駅から徒歩3分、港区芝公園四丁目に位置。1990年(平成11年)、都市計画法第59条4項(特許事業)の認可を受けて建設されたもので、従前は昭和の時代から親しまれていた西武鉄道所有の「芝ゴルフ練習場」だった。
敷地面積は約3.7haで、30階建て延べ床面積約9.1haの全603室。客室面積は約28~325㎡。宿泊料金はホームページによると約7万~254万円。設計は丹下都市建築設計、施工は鹿島建設。開業は2005年4月。
ホテルに何を求めるかで評価は変わってくるが、記者は都内のラグジュアリーホテルの中でベスト10入りするのではないかと思っている。
なによりも素晴らしいのは四方八方が芝公園という立地・眺望だ。こんなホテルは他にない。設備も充実しており、客室面積も平均40㎡以上だ。文字通り「西武・プリンスホテルズワールドワイド(SPW)」にふさわしいホテルだ。
仮に、何の法的規制もないと仮定したら、地価相場からして坪1,300万円でも安いはずなので、敷地の評価額はざっと1,500億円だ。ここにマンションを建てたら坪単価800万円以下はありえず、販売総額は数千億円になるはずだ。
ただ、実際はこのホテルには減価要因もある。前述したように都市公園と一体として開発する条件付きの特許事業だからだ。容積率の規制も受けており、他の用途に変更することなどはまず認められない。西武がこのホテルを売却の対象にしたのは法的規制が強いからということも考えられる。
もう一つは稼働率の低さだ。このホテルはコロナ前からも稼働率の低さが指摘されていた。PHはホテルブランドを最上位の「ザ・プリンス」から「グランドプリンス」「プリンス」「プリンス スマート イン」まで4つに分けているが、「プリンス」が圧倒的に多いためか、あるいは「西武」のイメージがいま一つであるためか、「ザ・プリンス」の浸透度はいま一つのようだ。ブランディングに課題がありそうだ。外資系ホテルに学ぶ点は多い。
さらに言えば、これはPHだけの問題ではないが、わが国のホテルの格付けだ。現在、フォーブスの「5つ星」を筆頭とする日本ホテル格付けが知られてはいるが、それほど浸透しているとも思えない。旅行代理店のサイトも肝心の質についてはどこも触れていない。わが不動産情報サイトと同じだ。
それにしても売却価格は低すぎる。不動産鑑定の仕組みはどうなっているのか。GICにしてみればどうしても手に入れたかった物件であり、西武としては名を捨てて実を取ったということか。
プリンスホテル売却へ30か所で1,500億円は安すぎないか/西武は分譲に力入れて(2022/2/10)
成約件数は大幅減ながら価格・単価上昇続く 首都圏の1月の中古住宅市場 レインズ
東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は2月10日、首都圏の2022年1月度の流通市場動向をまとめ発表した。
中古マンションの成約件数は2,760件(前年同月比20.7%減)、成約坪単価211.8万円(同11.5%上昇)、成約価格は4,149万円(同10.0%上昇)、専有面積は64.65㎡(同1.3%縮小)。
地域別では、成約件数はすべての地域で減少。東京都区部と横浜・川崎市、神奈川県他は前年比で2割を超える大幅減となった。成約単価はすべての地域が前年比で上昇が続き、東京都区部は21か月連続、横浜・川崎市と埼玉県は20 か月連続、千葉県は18か月連続で前年同月を上回った。
中古戸建住宅は、成約件数は前年比17.9%減の2ケタ減となり、成約価格は前年比で7.0%上昇し、20年11月から15か月連続で前年同月を上回った。土地面積は前年比で3.8%縮小、建物面積は同マイナス 0.2%となった。