国内最大級「バスターミナル東京八重洲」9月17日開業 UR都市機構・京王電鉄バス

「バスタ―ミナル東京八重洲」バス出発式
東京駅前に竣工した「東京ミッドタウン八重洲」の地下1、2階に整備された、都市再生機構が所有し、京王電鉄バスが運営する国内最大級の高速バスターミナル「バスタ―ミナル東京八重洲」の第1期エリアが9月17日開業する。開業に先立つ9月15日、両社は竣工記者会見を行い、施設を公開した。
バスターミナルは、これまで各方面に向かう高速乗合バス、空港連絡バスなど約1,200便/日の停留所が東京駅前交通広場では充足できず、周辺の道路上に散在しているため、鉄道との乗り換えが不便であり、道路上での乗降により車両交通や歩行者運行が妨げられるなどの課題を解消するもの。
今回の第1期エリアでは、JR東京駅(八重洲南口改札口)から八重洲地下街を通ってアクセスが可能になり、案内カウンター、待合スペース、トイレ、授乳室などのほか、物販・サービスなどの店舗を併設。約1,200便のうち約550便/日が施設内に収容され、新たに設けられた便約50便/日と併せ、約600便/日の高速バスが発着する。三井不動産が整備した地下1階の13店舗も9月17日に同時オープンする。
第2期は令和7年度竣工予定の再開発事業「東京駅前八重洲一丁目東B地区」に、第3期は令和10年度竣工予定の「八重洲二丁目中地区」にそれぞれ整備される。全体が完成すると、20バース、約21,000㎡の国内最大級の高速バスターミナルとなる。3施設は地下通路で結ばれる。
3つの再開発事業はそれぞれ事業主体やスケジュールが異なり、また、施設の性格上、事業採算性が低いことから国からの補助を受け、UR都市機構が施設を取得し、京王電鉄バスが運営することになったもの。
記者会見でUR都市機構東日本都市再生本部都心事業部担当部長・大貫英二氏は「長期的な視点で支出を抑え、収入を増やすよう取り組んでいく」と語り、京王電鉄バス取締役ターミナル営業部長・福島八束氏は「新たな需要を創出する」と話した。
会見後には、バス発着先の千葉県、石川県、名古屋市、仙台市、大阪府の5体のキャラクターを交えたフォトセッションや、東京ミッドタウン八重洲の1~4階に併設される中央区立城東小学校6年生21名のバス出発式が行われた。

左から東京大学大学院新領域創成科学研究科特任教授・中村文彦氏、中央区副区長・吉田不曇氏、京王電鉄バス代表取締役社長・宮坂周治氏、UR都市機構東日本都市再生本部本部長・中山靖史氏、国土交通省都市局街路交通施設課課長・服部卓也氏、八重洲二丁目北地区市街地再開発組合理事長・百合達哉氏

「東京ミッドタウン八重洲」
「バスターミナル東京八重洲」に名称決定9月17日開業UR都市機構・京王電鉄バス(2022/3/16)
男性の家事・育児力 1位高知 2位沖縄 3位鳥取 ワーストは山口 積水「男性育休白書」
積水ハウスは9月14日、「男性育休白書2022」を発表。「男性の家事・育児力」都道府県ランキングは1位が高知県で、2位は沖縄県、3位は鳥取県となった。
このほか調査では、男性の育休取得率は17.2%で、前年から5ポイント上昇し、夫のリモートワークが家事・育児の分担を促進した結果、女性の家事・育児時間は勤務日4.73時間(前年−19.8分)、休日7.42時間(前年−35.4分)に減少したとしている。
一方で、国の「産後パパ育休」制度の認知は高まっているものの、本人・上司・同僚ともそれぞれ不安を感じている実態も明らかにしている。マネジメント層には「家庭を大切にしてほしい」(75.5%)と喜ぶ気持ちより「人手不足で会社の業務に支障が出る」(76.0%)と心配ごとが優先されてしまうとしている。
ランキングトップとなった高知県の濵田省司知事は「本県では、平成30年度より、県内の企業・団体のトップの方々に、従業員の『育児休業・育児休暇取得促進宣言』を行っていただき、本年7月末時点で、県内の895の企業・団体が宣言されるなど、男性の育児休業取得率を30%とする目標に向け、官民協働でさまざまな取り組みを推進しております。今回の結果は、これら取り組みが改めて評価された」とコメントを寄せている。知事自身も令和2年度に「イクボス宣言」を行ったという。
調査は、全国の小学生以下の子どもを持つ20代〜50代の男女9,400人を対象とし、①配偶者評価②育休取得日数③家事・育児時間④家事・育児参加による幸福感の4つの指標をポイントに置き換えて実施したもの。同社は、ESG経営のリーディングカンパニーを目指しており、男性の育児休業取得を促進させようと9月19日を「育休を考える日」記念日に定め、2019年から「男性育休白書」を発行している。
また、2018年9月からスタートさせた男性社員の育児休業1か月以上の完全取得を目指した特別育児休業制度では、2022年8月末時点で取得期限(子が3歳の誕生日の前日まで)を迎えた男性社員1,423名全員が1か月以上の育児休業を取得、2019年2月以降、取得率100%を継続している。




◇ ◆ ◇
同社の白書をもとに、全国47都道府県のこの4年間のランキングを表にまとめた。
今年トップになった高知県は前年10位からのランクアップで、2位の沖縄県、3位の鳥取県はそれぞれランクを1つ下げた。
ワーストは前年46位の山口県で、46位は前年4位から急下降した長野県、45位は前年19位の富山県となった。前年ワーストの三重県は11ランクを上げ36位。
4年間の平均順位のベスト10は1位・沖縄県、2位・鳥取県、3位・山形県、4位・熊本県、5位・島根県、6位・沖縄県、7位・栃木県と新潟県、9位・宮崎県、10位・福井県の順。
ワースト10は、47位・山口県、46位・愛知県、45位・岐阜県、44位・広島県、43位・滋賀県、42位・静岡県、41位・群馬県、40位・秋田県、38位・大阪府と青森県。
これらの結果、4年間平均のベスト10には中国・四国・九州の6県が入っている一方で、ワースト10には底這い状態が続く山口県と隣接する広島県の中国2県が入り、東海圏の愛知県が46位、岐阜県が45位、静岡県が42位(三重県は26位)と低迷を続けていることが分かる。
いったい、これらの差はどこから由来するのか。小生は、その都道府県の経済的社会的状況のほか、気候風土などからくる県民性も影響しているのではないかと考えるのだが、同じ文化圏であるはずの3位の山形県と38位の青森県、7位の栃木県と41位の群馬県など、どうしてそんなに大きな差が生じるのか。回答者に何らかのバイアスがかかっているからなのか。過去3年間はベスト10入りしていた長野県が46位に急落した理由も知りたい。
さらにまた、ランキングに冷水を浴びせかける意図は全くないのだが、四国・九州地方の高知県や沖縄県、宮崎県、大分県、愛媛県などは離婚率が高い県として知られている。〝愛と憎しみは紙一重〟ということなのか。それとも、男も女も自立しているせいで、期待を裏切らればお互いスバッと見捨てることができるということか。それはそれで立派ではないか。
一方で、東京都や神奈川県など首都圏は意外と離婚率は低い。これは、離婚したらたちどころに住宅ローンが支払えなくなる経済的な理由が大きいからだと記者は考えている。何が幸か不幸か、分からない世の中だということか。
三重と福岡 同じ育児時間で幸福度は47位と1位 積水ハウス「男性育休白書」(2021/10/1)
8物件目〝グラン〟「三番町26」 高値更新の坪1000万円前後 三菱地所レジ

「ザ・パークハウス グラン 三番町26」
三菱地所レジデンスは9月13日、都心のフラッグシップマンションシリーズ「ザ・パークハウス グラン」(102戸)の8物件目となる「ザ・パークハウス グラン 三番町26」の報道機関向け内覧会を行い、分譲対象78戸のうち半数以上の40戸を第一期として9月17日(土)から販売開始すると発表した。平均坪単価は1,000万円前後となる模様で、バブル崩壊後の同社の分譲マンションとしては最高値となる。
物件は、東京メトロ半蔵門線半蔵門駅・市ケ谷駅から徒歩8分、千代田区三番町26番の第二種住居地域・商業地域・第二種文教地区(建ぺい率84%、容積率471%)に位置する敷地面積約1,734.28㎡、17階建て全102戸(募集対象外住戸24戸含む)。専有面積は67.99~237.69㎡、第1期は40戸で、坪単価は平均1,000万円前後となる模様。売主は同社のほか三菱倉庫。竣工予定は2024年11月下旬。施工は東急建設。
現地は、二松学舎大、大妻女子大、東京家政学院大などのキャンパスがある文教エリアの一角で、四方道路に囲まれた従前オフィスだった土地。敷地西側は桜並木が美しい「大妻通り」に面している。
事業化に当たっては、地区計画により通常なら14階くらいしか建てられないのを千代田区の総合設計制度を活用することで容積緩和・高さ規制緩和を受け17階建てとし、内廊下方式、全住戸ワイドスパンなどを採用。
デザインでは、同社の「ザ・パークハウス グラン 千鳥ヶ淵」や「ザ・パークハウス五番町」などを手掛けた三菱地所設計 シニアアーキテクト・石井邦彦氏を起用。全16本の列柱とエンタシスのフォルムのほか、低層部の水平ライン部分には自然石、エントランスにはロートアイアンを採用するなど重厚感を演出している。
敷地北側のカスケードガーデンには「三春滝桜」の子孫木を配し、敷地四方に植栽を施し、「BIO NETINITIATIVE」にも取り組んでいる。
主な基本性能・設備仕様は、リビング天井高2700~3000ミリ、100㎡超ワイドスパン、Miele、SieMatic製の水回り、脱臭機能付き専有部ごみ置き場、タモ材の居室扉・壁・床仕上げ、床大理石張り、全館空調(エアロテック)、洋室ヘリンボーンパネル(有償)、トランクルームなど。
内覧会で同社執行役員第二販売部長・岡橋志郎氏は、「当社はこれまで番町エリアで14物件846戸を手掛けているが、今回の物件を当社最高水準の〝グラン〟としたのは、豊かな緑と四方道路に囲まれた希少立地を生かすため。総合設計制度を活用し、立体的空間をキーワードに天井高を高くするとか全館空調、専有部ごみ置き場など消費者インサイトに応えられる仕様レベルにした」と語った。
これまで問い合わせは約2,700件、7月からのモデルルーム来場者は約270件。そのうち約半数は千代田区、港区居住者。在日外国人投資家からの反響もあるという。第1期で販売対象の半分以上の40戸を供給できることから好調に推移していると説明した。

エントランス

レジデンスラウンジ
◇ ◆ ◇
同社のこれまでの〝グラン〟シリーズのうち「南青山四丁目」を除く「三番町」「千鳥ヶ淵」「南青山」「南青山高樹町」「麻布仙台坂」「南青山四丁目」「神山町」の6物件を見学している。
今回の1,000万円前後という坪単価は、これまでの番町エリアの最高値885万円を上回り、同社のバブル後の分譲マンション単価としても高値更新するというのは、価格の上昇からして〝さもありなん〟と納得した。
基本性能・設備仕様レベルもとくに驚くようなことはなかったが、全館空調(エアロテック)をグランシリーズでは初めて採用(未確認だが)しているのと、建物デザイン・住戸プランがとてもよくできているのが印象に残った。建物は、四方道路に囲まれた長方形の敷地の利点を最大限に生かしたシンメトリックな形状がとても美しい。〝美しいもののみが機能的である〟とはよく言ったものだ。「千鳥ヶ淵」も素晴らしかったが、石井氏の最高傑作となるのだろう。
住戸プランもしかり。3~14階までは1フロア7戸。タイプは60㎡、70㎡、100㎡(2スパン)、110㎡(2スパン)、15・16階が4戸。タイプは120㎡、170㎡(2スパン)、200㎡、最上階の17階が3戸。タイプは200㎡、230㎡、240㎡。スパンは60㎡が10,515ミリ、100㎡が14,855ミリ、110㎡が19,482ミリ、200㎡が25,840ミリなどだ。
この前見学した野村不動産「プラウドタワー目黒MARC」も60㎡台で8,000ミリ以上というワイドスパンが人気だと聞いたが、こちらは比較にならないほど長い。全ての居室が窓側に面しており、廊下幅は1,200ミリ以上ある。逆梁とし全て腰窓のカウンター付きとしているのもいい。
専有部に約1㎡のごみ置き場を設けているのにはびっくりした。専有部のごみ置き場は高級物件には採用事例があるようだが、記者は初めて見た(共用部の外廊下にごみ置き場を設けた事例は取材したことがある)。操作一つでマンション管理センターに通知でき、玄関サイドに設けられたドアから掃除担当者がごみを運び出すのだという。

専有部ごみ置き場

手前からSIC、SK付きUT(この左側にごみ置き場がある)、洗濯機置き場

玄関サイドのごみ置き場出入口(右が玄関ドア)

110タイプ
◇ ◆ ◇
余計なことかもしれないが、書くべきだと判断して書く。どこのメディアの方か分からなかったが、200㎡のモデルルームを見て「これって1億円超えるの? 」と担当者に質問した。小生は唖然とした。事前の説明会で同社は坪単価は1,000万円前後と話した。200㎡だから70坪近い。1,000万円×70坪=7億円(モデルルーム住戸は中層階想定で8億円台とか)というのは子どもだって計算できるではないか。この方だったか他の方だったか、「来場者270件」の意味するもの、「全館空調」が何だか分からない記者もいた。
つまり、「猫に小判」「豚に真珠」だ。同社は詳細にわたって説明したのに、聞いている記者はマンションのことなど全然わかっておらず、坪単価、全館空調、ワイドスパン、総合設計なども何のことやらちんぷんかんぷんということだ。この素人記者の方は何を書くのだろうか。読者はその記者が書く記事から何を読み取るのか。
そこで、同社をはじめデベロッパーにお願いだ。これまでも何度も書いてきたが、この種の内覧会をどんどん実施して、よく分かっていない記者向けにはマンションのイロハから説明する機会を設けていただきたい。必死で話しても相手に伝わらない、聞く側はなにを話しているのか理解できない…こんな不幸なことはない。
一つ書き忘れた。同社の物件の背中合わせの隣接地約2,670㎡では三井不動産レジデンシャルが18階建て共同住宅を2022年11月に着工する旨の標識が掛かっていた。おそらく分譲マンションだろう。分譲時期は異なりそうなので競合はしないだろうが、三井不動産レジデンシャルだって負けていられない。坪単価は1,000万円超となるのは必至だ(階高だけなら三菱地所レジデンスが勝つのか)。
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モデルルーム リビング

モデルルーム 洗面室

モデルルーム 主寝室

現地
三菱地所レジ マンション単価もバブル後最高値更新 「神山町」は坪800万円台後半 (2021/9/15)
三菱地所レジ 「ザ・パークハウス グラン麻布仙台坂」は坪800万円(2016/7/15)
三菱地所レジ 「ザ・パークハウス グラン」第4弾「南青山」は坪800万円弱(2015/6/4)
皇居が一望できる唯一無二の地所レジ 〝グラン〟第3弾「千鳥ケ淵」(2013/8/5)
三菱地所レジ〝グラン〟第2号「ザ・パークハウス グラン三番町」(2013/5/24)
成約件数は10%減 単価・価格の上昇、在庫増続く 8月の中古マンション レインズ
東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は9月12日、2022年8月度の不動産流通市場の動向をまとめ発表。
首都圏中古マンションの成約件数は前年同月比10.3%減の2,346件、成約坪単価は同13.7%上昇の222.0万円で、20年5月から28か月連続、成約価格は同13.4%上昇の4,280万円で、20年6月から27か月連続でそれぞれ前年同月を上回った。専有面積は同0.2%縮小の63.60㎡で、21年6月から15か月連続で前年同月を下回った。8月末の在庫件数は38,344件で、前年同月比10.8%増となり、7か月連続、在庫坪単価は241.7万円で、18年2月から55か月連続でそれぞれ前年同月を上回った。
中古戸建て住宅の成約件数は同16.2%減の877件、成約価格は同10.3%上昇の3,779万円で、20年11月から22か月連続で前年同月比を上回った。
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首都圏中古マンションの今年1~8月までの累計成約件数は23,735件となり、前年同期の26,899件より11.8%減少している。しかし、成約単価、成約価格、在庫価格、在庫数などは上昇・増加を続けている。
生活必需品など一般的な商品であればありえないが、新築マンションの供給が減少する一方で、価格も上昇の一途をたどっていることと密接な関係がある。2~3年前まで、山手線沿線の新築物件は一部を除き坪400万円台で推移していたのが、いまでは軒並み500万円を突破してきている。新築と連動する中古も、よほどの住宅取得環境が変化しない限り、価格の上昇は続きそうだ。
ただ、価格・単価の調整弁的な働きをする専有面積は15か月連続縮小しており、63.60㎡というのはファミリー層にとっては譲れない面積ではないか。物件情報サイトで「東京23区」「~4,500万円未満」「~70㎡未満」「2K~3LDK」で検索したら、23区全体の約23,000件のうちヒットしたのは26件しかなく、しかも、具体的な物件は表示されず問い合わせ先のみだった。
新築に置き換えてみると、坪単価222万円以下というエリアは、都内ならば舎人ライナー、八王子以遠、神奈川県は平塚以遠、横浜線・相模原線の一部、小田急線厚木以遠、埼玉県は大宮以遠、所沢以遠、東武野田線、千葉県は千葉ニュータウン線の一部、総武線千葉以遠、内房線、外房線、京葉線の一部か。
中部地方初のABINC認証 大和ハウス「D プロジェクトみえ朝日町」

「(仮称)D プロジェクトみえ朝日町」
大和ハウス工業は9月12日、開発中の物流施設「(仮称)D プロジェクトみえ朝日町」が「中部地方※」初の「いきもの共生事業所認証(ABINC認証)」 を日本トランスシティとともに取得したと発表した。同施設は2023年6月30日の竣工と同時に日本トランスシティが取得予定。
プロジェクトでは、地域の生態系に配慮して、コナラやヤマザクラ、ツツジ類、ヤマハギなどの在来種から草木を選定。また、本計画地は三重県が準絶滅危惧種に指定するコチドリの生息地に近接することから、コチドリの営巣環境を整備するために砂や小石を敷いた環境を整備する予定。さらに、周辺の水田や水路などに生息するメダカ、ドジョウなどの生き物を敷地内に整備した水辺のあるビオトープエリアに放流する予定。
施設は、伊勢湾岸自動車道みえ朝日インターチェンジより約700m、三重県三重郡朝日町大字埋縄に位置する開発面積約77,403㎡、鉄骨造3階建て延べ床面積約64,203㎡。着工は2022年7月1日。竣工予定は2023年6月30日。
◇ ◆ ◇
これまでABINC認証を受けた128件のうち中部地方としては初、物流施設は今回で5件目、わが故郷・三重県の施設なので取り上げることにした。
まず、同町が「中部地方」に含まれていることについて。同社は中部地方とは新潟県、富山県、石川県、福井県、山梨県、長野県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県としているのでいいのだが、三重県は愛知、静岡、岐阜とともに東海地方(あるいは名古屋圏)で、学校では近畿地方に入っているはずだ。経済・文化的に近畿圏とつながっているのは伊賀地方と南部の尾鷲・熊野エリアのみなので、近畿と切り離し、東海地方として独立させたほうがいいと思う。
「朝日町」のことを全く知らなかったのでネットで調べた。四日市市に隣接する面積99K㎡という県下でもっとも小さな行政区で、人口は11,067人(令和4年3月末)とあった。
驚いたのは人口動態だ。昭和51年の7,076人をピークに漸減し、平成16年には6,721人まで減少している。しかし、その後はほぼ一貫して増加しており現在に至っている。この28年間の人口増加率は実に64.7%だ。こんな町村はほかにあるか。
ちなみに、東京都中央区は平成9年(1997年)の71,806人をボトムに、令和4年9月現在では173,198人になっており、約2.4倍増だ。平成16年からだと89.0%増となっており、おそらく人口伸び率は全国的に見ても突出しているはずだ。「HARUMI FLAG」もあるのでまだまだ爆発的に増えるのではないか。
東急リバブル 創立50周年を機にコーポレートブランド刷新
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東急リバブルは9月11日、今年3月に創立50周年を迎えたのを機に、新たなブランドスローガン「つなぐ。答えへ。未来へ。」を掲げ、コーポレートブランドを刷新すると発表した。ブランドスローガンには、同社の様々な専門領域を通じ顧客新たな価値を創造する意味が込められている。9月16日から新たなロゴを使用したTVCMを放映する。
シンボルマークの「L」は「Live」「Life」など同社が扱う物件や生活空間などの場を、二つのアルファベットをつなぐように隠れている「L」は「Livable」「Lead」「Link」など同社の役割を、「I」は「I(お客様・社員)」、「Information」「Intelligence」「Innovation」「Imagination」など同社が持っている技術・知見、社員やお客様をそれぞれ表している。
デザインは、スマートフォンなどのデジタルデバイスでも可読性が保てる垂直や水平を多用したシンプルなものとし、配色は現在のロゴにも使用しているイノベーティブブルーとプロフェッショナルブルーとした2色配置にしている。
南北・銀座戦争か? 北の「十条」と競合あるか 三菱地所レジ他「戸越公園」

「ザ・パークハウス 戸越公園タワー」
三菱地所レジデンス、大成建設、東急、首都圏不燃建築公社、大成有楽不動産の5社は9月9日、戸越公園駅から徒歩1分(50m)の再開発マンション「ザ・パークハウス 戸越公園タワー」を同日から販売開始したと発表した。
物件は、東急大井町線戸越公園駅から徒歩1分、品川区戸越5丁目に位置する23階建て全241戸(募集対象外住戸70戸含む)。専有面積は30.60~120.45㎡。第一期(65戸)の価格は4,480万~24,800万円。竣工予定は2024年2月下旬。施工は大成建設。
地域の賑わい・魅力あるまちづくりを目指す「戸越公園駅周辺まちづくりビジョン」内の市街地再開発事業「戸越五丁目19番地区第一種市街地再開発事業」で、駅前のランドマークとなる商・住複合マンション。大成建設による外観デザインと制振構法「TASS-Flex FRAME」、乃村工藝社デザインチームFOO監修による共用空間デザイン「EDIT STYLE PLAN」をそれぞれ採用する。


「EDIT YOUR LIFE」
◇ ◆ ◇
乃村工藝社デザインチームFOOに注目している。同チームは2019年にリニューアルオープンした東京會舘新本舘のレストランなどを手掛けているが、それより1年前の2018年、東京建物・三菱地所レジデンス「Brillia 一番町」を取材した際、販売事務所の企画を乃村工藝社が初めて手掛けたことを聞き、「(同社が)本格的にこの事業に乗り出したら販売事務所のあり方そのものを一変させるかもしれない」と書いた。
今回の「EDIT YOUR LIFE」が同チームによるものかどうかは分からないが、有償のメニュープランを12タイプ用意する。コンパクト住戸は、「お気に入りに囲まれる至高のシングルライフ」をテーマにできるだけ仕切りをなくし、それぞれの空間を行き来することや、住まい全体をより有意義に使えるようにしているという。例えば、例えば55Nタイプではキッチンを90°回転させたり、居室と居室の間に「マルチファンクションエリア」を設けたりする。
これは、実際に見てみないとどのようなものか分からない。取材を申し込むことにする。坪単価はいくらになるのか。野村不動産「目黒」や旭化成不動産レジデンス「五反田」よりはかなり安いはずで、東京建物「池袋」と同じ坪520~530万円くらいではないか。第一期分譲は分譲対象の半分だ。確かな手ごたえを感じているのか。
「戸越公園」といえば「戸越銀座」も近い。同じ駅1分の「十条銀座」で知られる東急不動産「十条」との競合はあるのかないのか。「銀座戦争」であり、北区と南の大田区の「南北戦争」と見ることもできる。周辺は中低層の街並みが広がっているという意味でもよく似ているし、交通便だってどこを起点にするかだが、東京駅まで双方とも約30分だ。どちらが勝つのか負けるのか。相乗効果となればめでたしめでたしだが…。部外者としては興味津々だ。
近畿・中部圏上回る地方のマンション着工 大和ハウス 秋田県で同社初&県初のZEH

「プレミスト秋田中通ザ・レジデンス」
大和ハウス工業は9月9日、秋田市の旧ホテルハワイ・ラグーン跡地で開発中の分譲マンション「プレミスト秋田中通ザ・レジデンス」の概要が決定したと発表した。9月17日(土)にマンションギャラリーをオープンし、11月下旬から販売開始する。
物件は、JR秋田駅から徒歩15分、秋田市中通3丁目に位置する敷地面積約5,209㎡、14階建て全147戸。専有面積は64.66~86.77㎡、予定価格帯は2,900万円台~5,500万円台。設計・監理は創建設計。施工は錢高組。竣工予定は2024年7月。
現地は、1965年創業の老舗ビジネスホテル・旧ホテルハワイ・ラグーン跡地で、同社初の秋田県での分譲マンションで、県初の「ZEH-M Oriented」仕様とし、「BELS」による第三者認証で最高等級を取得。住戸内の一次エネルギー消費量を住棟全体で 24%削減する。
また、東北初となる「TSUTAYA」プロデュースの「ブック&コワーキングラウンジ」を設置。「TSUTAYA」セレクトによる書籍約500冊を用意、テレワークやWeb会議も可能な空間とする。「パーティー&キッチンスタジオ」「ゲストルーム」も設ける。
◇ ◆ ◇
知名度は全国区の同社による秋田県初の開発マンション&県内初の「ZEH-M」&県内初「TSUTAYA」がどれほどの威力があるか分からないのだが、概要から坪単価は200万円を切り、坪180万円くらいではないか。
これは高いのか安いのかさっぱり分からないが、この夏見学した人口約42万人の富山市の中心市街地で分譲された穴吹工務店「サーパス富山三番町レジデンス」は坪180~190万円だった。秋田市の人口は約30万人、中心市街地の老舗ホテルの跡地開発などをと比べるとよく似ている。地方都市の坪単価は坪200万円前後が相場か。
このところ、首都圏をはじめ三大都市圏でのマンション着工が減少し、地方圏で増えている。7月住宅着工でもマンションは前年同月比で首都圏は12.8%、中部圏は39.4%、近畿圏は22.0%それぞれ大幅に減少した一方で、その他の地域は25.2%増加した。令和4年1~7月でも、その他の地方の着工戸数は15,564戸で、首都圏の48,014戸には大きく引き離されているが、中部圏の5,269戸の3倍近く、近畿圏の13,596戸を上回っている。
ハウスメーカーもデベロッパーも地価・建築費の上昇で、価格は中堅所得層の取得能力を超えてきており、そのリスクを回避し、まだまだ低価格で供給できる地方圏に触手を伸ばし、あるいは軸足を移しつつあるような気がする。ZEHは地方のほうが先行しているようだ。
弘前市で〝2戸1〟エレベーター 一頭地を抜くプラン 第1期は一挙60戸 タカラL東北(2022/9/5)
戸建てに押され縮小するマンション市場/九州勢の着工 軒並み上位 近畿圏抜く(2022/8/7)
ZEH取得件数断トツ オリックスGr 穴吹工務店「富山」で同社初のZEH-M(2022/7/31)
単価の安さに驚愕 立地よく設備仕様レベル高い 駅圏最大級の野村不他「金沢」287戸(2022/7/30)
福岡の最高峰 第1期100戸 圧倒的な人気 タカラレーベン50周年「福岡天神」(2022/3/15)
北海道最高峰は坪415万円 大和ハウス他「ONE 札幌ステーションタワー」始動(2022/2/8)
旧九段会館を保存・復原 最新鋭のオフィスとの融合 東急不・鹿島「九段会館テラス」
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「九段会館テラス(KUDAN-KAIKAN TERRACE)」
東急不動産と鹿島建設は9月8日、登録有形文化財「旧九段会館」の保存・復原プロジェクト「九段会館テラス(KUDAN-KAIKAN TERRACE)」 が完成したのに伴う記者説明会・内覧会を行い、10月1日(土)に開業すると発表した。「水辺に咲くレトロモダン」をコンセプトに、旧九段会館の創建時の技術・素材を活かした保存部分と、IoTを活用した最新鋭のオフィスとの新旧融合を図っているのが特徴で、数十社のメディアが駆けつけるなど関心の高さをうかがわせた。
新築の17階建てオフィスは制震構造、保存部分の5階建て旧九段会館は免震構造を採用。保存・復原では、創建時の写真などをもとに忠実に再現したゲストルームのほか、バンケットホール、玄関ホール・プラザなどは残せるものは残し、意匠・デザインを損なわないようLED照明、建材などを厳選して採用。単に展示して眺めるだけの場にせず、日常利用を続ける動態保存としている。
創建時のまま残されている外壁には、経年により風合いを増したスクラッチタイルや擬石を活用できるよう温水高圧洗浄や表面微細研磨を行ったうえで、安全対策としてスクラッチタイルには約54,000本、擬石には約7,300本のアンカーピンニングを実施している。
オフィス部分には、国内のオフィスビルへの導入は初となるスマートガラス「View Smart Glass」を採用。建物屋上に設置したセンサーとAIにより、太陽の位置や天候に合わせてガラスの透過率を4段階で自動調整し、室内に差し込む自然光・熱量を最適化。空調や照明によるエネルギー消費量を最大約20%削減する。2~4階には約20~80坪の小規模オフィス・ラウンジ「Classic Office& Classic Lounge」(2~4階)を設けている。
現在、オフィス部分のリーシングは約9割が、「Classic Office& Classic Lounge」は約5割がそれぞれ成約済み。緑と水辺に近い、他にはない特性が評価されているという。
企業の健康経営をサポートし、オフィスワーカーの多様な働き方を実現するウェルネスオフィスとしているのも特徴の一つ。地階のシェアオフィスには、MONOSUS社食研が運営する新しい形の職域食堂「九段食堂KUDAN- SHOKUDO for the Public Good」を併設、食材は全国の農家から直送されるオーガニックなものを中心に提供する。1階には内科・皮膚科・耳鼻科・歯科・薬局などのクリニックモールを開設。入居企業は、健康経営の達成度や成果を確認することができる。
保存部分屋上には、一部来館者も利用可能な屋上庭園とラウンジを整備。地元・行政と連携した交流の場として「九段ひろば」「お濠沿いテラス」「九段こみち」も整備する。
説明会で東急不動産取締役常務執行役員都市開発ユニット長・榎戸明子氏は「歴史的建造物の復原の取り組みは当社初。『レトロモダン』をテーマに、例を見ない希少性を生かし、ポテンシャルの高い事業にも対応できる新しい形の施設とし、オフィスワーカーの安心・健康などの仕掛けも盛り込んだ。90年の歴史の重みを受け止め、今後しっかり運用していく」と語った。
来賓として登壇した財務省理財局国有財産業務課長・梅野雄一朗氏は「極めて難易度の高いプロジェクト」にチャレンジした3社を讃えた。
トークセッションでは、同社都市事業ユニット開発企画本部執行役員本部長・根津登志之氏は、創建時の建物保存とオフィスの事業性を両立させるのに苦心したなどと述べた。
また、施工を担当した鹿島建設九段会館テラス工事事務所長・神山良知氏は「旧九段会館の建設に携わった職人技に感動を覚え、それを原動力に高い次元で検討を重ね、最高の建物が完成した。プロジェクトに参加できてとても嬉しい。建物保存では親和性を重視した」などと語った。
施設は、東京メトロ・都営新宿線九段下駅から徒歩1分、千代田区九段南一丁目に位置する敷地面積約8,765㎡、地下3階地上17階建ての延床面積約68,036㎡。設計は鹿島・梓設計・工事監理業務共同企業体。施工は鹿島建設。竣工は2022年7月29日。開業は10月1日。期間70年の定期借地権付き。
旧九段会館は1934年(昭和9年)に完成。昭和初期の時代性を表現した「帝冠様式」と呼ばれる外観的特徴を備えているのが特徴で、主に軍の予備役・後備役の訓練・宿泊に利用された。1936年の二・二六事件では戒厳令司令部が設置され、1937年には愛心覚羅溥傑と嵯峨浩との結婚式場ともなった。
終戦後はGHQに撤収され、その後、1957年(昭和32年)に日本遺族会に無償で払い下げられ、名称を「九段会館」に変更しレストラン・結婚式場として再開業された。2011年の東日本大震災時にホールの天井が崩落したことをきっかけに国に返還された。
東急不動産、鹿島建設、梓設計の3社は2018年3月、登録有形文化財「旧九段会館」の保存・復原プロジェクトコンペで選定され、今回の竣工となった。
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外観(田安門から)
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外観正面(低層が保存部分)

お濠沿いテラス

お濠のハス

5階ルーフトップガーデン
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5階のウエルネスガーデン(菜園)

九段ひろば
◇ ◆ ◇
小生も旧九段会館はコンサートやイベントなどのほか、近くに取材する機会があったときなどはレストランも利用したことがあるが、内装などを今回ほどじっくり見学するのは初めてだった。梅野氏が「極めて難易度の高いプロジェクト」と語り、神山氏が「職人技に感動を覚え、それを原動力にした」「真正性を重視した」という言葉がとても強く印象に残った。
その当時の職人技と、それを再現した同社の技術力の高さは素人の記者でも手に取るように分かる。
応接室・役員室として使用されていた2階のゲストルーム「葵」と「雅」は、GHQが白いペンキで塗りつぶしていたという壁、天井などのペンキをはがし、当時の雰囲気を忠実に再現している。無垢のチーク材の扉、真鍮の丁番・蝶番、寄木張りの床、絹織物の天井、皇族用としか採用されなかった金と銀をテーマにした文様の布クロスなどだ。
腰壁に採用されているえも言われぬ文様の腰壁の石について、神山氏は「この石は国産に間違いないが、どこの石か調べても分からない。全部で採用されている石は21種でうち国産は11種」と話した。
玄関ホールも見事という他ない。創建時採用されていた褐色の大理石は、国会議事堂の総理大臣室の暖炉などにも採用されている長州オニックスと呼ばれる希少な素材で、その素材感などを損なうことなく新たな空間として演出されている。
天井高約7.2m、広さ298㎡の「真珠」と「鳳凰」のバンケットルームは、当時の写真などをもとに一部の床はナラ材のエイジングを施したヘリンボーン仕上げとし、織物クロス、真鍮下地に錫メッキを施した「真珠」をモチーフにした金属装飾を復原して採用している。
外観・外壁には、創建時のスクラッチタイル、擬石をそのまま採用。約28,000枚の屋根瓦のうち半数はそのまま転用し、新たに採用した瓦は復原前の「織部色」を再現するため釉薬の配合比率を変えながら40枚以上の試作を繰り返し、その中から4枚を採用している。階段や壁に使用されている貴重な大理石なども、熟練石工の職人技で復原されている。
玄関ホールには、1枚250㎏のブロンズ製扉4枚からなるものが3か所に採用されているが、下地のスチールは腐食が進んでいたため、ステンレス製に作り直し・組み直しを行って再生している。
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玄関ブロンズ扉
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玄関ブロンズ扉正面

ブロンズ扉のサーベルをあしらった装飾

1階プラザ

1階玄関ホール

ゲストルーム「葵」

ゲストルーム床

ゲストルーム「雅」

敷地内のケヤキを活用したテーブル

ゲストルーム前室扉
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3階階段室

階段室レリーフ

3階バンケットルーム「真珠」

「真珠」の間レリーフ

地階の九段食堂
◇ ◆ ◇
「九段会館及び同敷地に関する検討委員会」の委員長を務めた、都市計画問題に深くかかわった伊藤整の息子でもある東大名誉教授・伊藤滋氏(93)も元気な姿をみせ、トークセッションに参加した。
MCからコメントを求められると、伊藤氏は「二・二六の日はね、私は5歳か6歳で、凄い雪の日で、上野から中野までバスでおばさんの家に行ったのだが、凄い積雪があったのが頭に残っている。軍人会館は、小学5年生のとき、空軍の偵察機に乗ることになった従妹に連れられて行ったことがある。軍人会館がぼくの頭にこびりついている。『九段会館テラス』のネーミングはとてもいいし、軍人会館はすぐ戦争を思い出すように強烈な個性があったが、(3社の)提案はそれほど自己主張していなかったのがよかった」などと語った。

神山氏もどこの産か分からない「雅」の腰壁の石

3階「真珠」のヘリンボーン

壁クロスの文様

左から東急不動産都市事業ユニット開発企画本部開発第一部統括部長・入谷宏一氏、神山氏、榎戸氏、根津氏
東京メトロの保守用宿泊所をSOHOにリノベ リビタ「メトロステージ代々木上原」

「メトロステージ代々木上原」
リビタが企画・プロデュースした東京メトロ所有の築44年の寄宿舎・休憩所をリノベーションして共同住宅(SOHO)に用途変更した「メトロステージ代々木上原」を見学した。全5戸の小規模ではあるが、「LIVING SPACE」と「BUFFER SPACE」を一体として利用でき、法人登記も可能にするなど賃借人の多様なニーズに応えられるのが特徴。
建物は、東京メトロの鉄道保守部門の宿泊・休憩所として使用されていた築44年の寄宿舎をSOHO型賃貸住宅へと用途変更してリノベーションしたもの。旧耐震ではあるが、診断の結果、耐震性には問題がないことを確認済み。構造躯体に変更は加えていない。
商品企画では、「LIVING SPACE」と「BUFFER SPACE」を一体として利用できるように提案。居室としての条件を満たすために窓を新設したり、腰窓を掃き出し窓にしたりしているほか、既存の窓には障子を新設。
さらに、法人登記も可能にしており、賃貸住宅と事務所との二重賃料負担をなくしている。
物件は、東京メトロ千代田線・小田急線代々木上原駅から徒歩2分、渋谷区西原3丁目に位置する敷地面積約285㎡、鉄筋コンクリート造地上2階建て延べ床面積約277㎡のSOHO型賃貸住宅全5戸。専用面積は29.84~55.95㎡。間取りは1R /1R+S /1LDK+S /1LDK+テラス。月額賃料は13.8~25.6万円。建築年は1978年。リノベーション竣工年は2022年9月。管理はリビタ。


イメージ図
◇ ◆ ◇
これまで見学してきたSOHO(Small Office Home Office)はほとんどマンションタイプだったので、今回の物件は、それらとは全く異なっていた。
図を見ていただきたい。広さも形状も様々だ。例えば1階の101号室(約39㎡)。約14帖の住空間と約5.6帖のBUFFER SPACEが共用部の廊下を挟んで完全に分離されている。2階の201号室(約29㎡)は、半分が土間仕上げのBUFFER SPACEとなっており、202号室(約55㎡)は、従来は腰壁(腰窓)だったのを掃き出し窓にし、外部に広いルーフテラスを設置している。
賃料は、相場の坪1.5~1.6万円とそれほど変わらないが、新築並みにリノベした同社のソリューション能力が高いということだろう。既存の寄宿舎は数年間使用されていなかったそうだ。

専用部

専用部

専用部(ルーフテラス付き)

共用の屋上テラス

階段室


