〝郊外不振〟吹っ飛ばす 全1,006戸 販売順調 住友不「八千代緑が丘」
「シティテラス八千代緑が丘ブリーズコート」完成予想図
住友不動産は6月22日、先に販売開始した「シティテラス八千代緑が丘ブリーズコート」(569戸)の記者見学会を行った。先行して販売している隣接地の「シティテラス八千代緑が丘ステーションコート」(437戸)と合わせ戸数は1,006戸。先行物件も残りわずかで、〝郊外不振〟を吹っ飛ばす勢いだ。
物件は、東京メトロ東西線直通・東葉高速鉄道八千代緑が丘駅から徒歩3分、八千代市緑が丘西一丁目に位置するⅠ敷地15階建て359戸とⅡ敷地14階建て210戸。専有面積はⅠ敷地が68.06~89.62㎡、Ⅱ敷地が74.91~90.97㎡。第1期(31戸)の価格は2,900万円台~4,000万円台(最多価格帯3,600万円台、3,800万円台、3,900万円台)、坪単価180万円。竣工予定はI敷地が平成31年9月中旬、II敷地は未定。設計・施工は長谷工コーポレーション。
現地は、開発面積約140haの西八千代北部特定土地区画整理事業が進行中で、駅前にはイオンモール八千代緑が丘のほかマンション、都市公園プラザ、ホテルなどが建ち並び、街らしい雰囲気が整いつつある。
建物は、2017年に竣工した隣接地の「シティテラス八千代緑が丘ステーションコート」(437戸)と一体となって建設されるもので、双方を合わせると敷地面積は約26,000㎡。「ブリーズコート」は6棟構成で、空地率は約64%。住棟は南西・南東向きが中心。住戸内の天井高は最大2,580ミリ。
ニュース・リリースの資料によると、双方の契約者の現居住地は八千代市が37.0%、隣接市が26.8%、千葉県その他が17.3%、東京都が14.6%、居住形態は賃貸が73.3%、職業は会社員などが64.4%、勤務地は都内が54.6%、入居人数は2人が47.4%、3人が29.6%、年齢は20歳代が16.3%、30歳代が42.2%、40歳代が20.7%。
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その前の京王相模原線若葉台駅圏の戸建ての取材が終わってから1時間43分かけて駆け付けた。新幹線にすれば東京-名古屋と一緒だ。見学会は半分以上終わっていた。〝ずいぶん遠い。こんなところで1,000戸以上供給するなんて狂気の沙汰〟と口走りそうな記者の機先を制し、わが西武の抑えの不甲斐なさに助けられ一つ勝ちを拾っただけで大満足すべきDeNAファンの同業が記者の傷口に塩を擦り込み、揶揄するように「多摩センターだって新宿から42分。ここは大手町から38分」といけしゃあしゃあと先制攻撃を仕掛けてきた。
わが多摩センターと八千代市をどして同列に扱うのかかと一喝しようとも思ったが、さすがに大人げない言動は慎むべきと自制し、都心の通勤便だけを言われたら返す言葉がないので黙るしかなかった。この際、どっちが勝ちか負けかは追究しないことに決めた。多摩センターの〝駅近〟だったら坪単価は250万円をくだらない。ここは180万円だ。
驚いたのは、売れ行きだ。2015年秋から販売を開始した全437戸の「ステーションコート」は残り19戸だという。2年半で400戸以上という計算になる。この数字は驚異的だ。
記者は2011年秋、三井不動産レジデンシャルが分譲した「パークタワー八千代緑が丘」(291戸)を取材したことがある。坪単価は160万円だった。当初は順調なスタートを切ったが、完売までは4年くらいかかったのではないか。
住友の物件は戸数が多く、価格が高いにも関わらず、販売スピードは速い。喧伝される〝郊外不振〟を吹き飛ばす勢いに〝座布団3枚〟だ。なに? それでも足りない? ええっい、全部持ってけ!
モデルルーム
中庭(ステーションコート)
中庭(ステーションコート)
三井不動産レジデンシャル「パークタワー八千代緑が丘」に注目(2011/10/31)
さすが〝プラウド〟 物件の質も営業マンのレベルも高い 野村不「東池袋」好調
「プラウドタワー東池袋」完成予想図
野村不動産が分譲中の「プラウドタワー東池袋」のモデルルームを見学した。さすが〝プラウド〟。それまでの取材で疲れ果てていたが、疲れを吹き飛ばすほどのいい物件だ。販売担当のマンションギャラリーサブチーフ・芦田和輝氏(27)の完璧と思われる説明に舌を巻くしかなかった。
物件は、東京メトロ有楽町線東池袋駅から徒歩5分・丸ノ内線新大塚駅から徒歩9分、豊島区東池袋五丁目に位置する20階建て全132戸(非分譲22戸含む)。専有面積は60.00~83.48㎡、坪単価は420万円。竣工予定は2019年2月中旬。施工は前田建設工業。
4月末から販売を開始し、これまで約7割を供給するほどの好調ぶりだ。
現地は、都の「木密地域不燃化10年プロジェクト・不燃化特区制度先行実施地区」のコア事業の指定を受け、「東池袋五丁目地区第一種市街地再開発事業」として建設されるもの。
約143haにも及ぶ池袋駅周辺エリアは、2015年5月に移転した豊島区新庁舎をはじめ、造幣局跡地利用計画、Hareza池袋、東池袋四丁目2番街区、西武鉄道本社ビル建て替え、池袋駅西口地区などの再開発が予定されており、しかも、他の新宿、渋谷、品川、東京、虎ノ門などの都心部の再開発は業務・商業が中心であるのに対し、住居系中心で進められることになっているのが特徴。
建物は、区の再開発方針の11項目をクリアしたことから容積率と高さ規制の緩和を受けており、制振構造を採用。内廊下設計、ワイドスパン、階高3.3mのリビング天井高2.6m、角住戸比率85%などを実現。
販売担当の芦田氏は、「池袋初の〝プラウド〟。アクセスがよく、2017年度の山手線内側の4LDKは供給ゼロという希少性の高い物件。敷地南側の文京区エリアは低層の住宅街が広がっており、眺望もいいことからファミリーに高く評価されている。天井高も2.6m確保した。敷地西側の都電荒川線も綺麗に整備される」などと話した。
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坪単価は450万円くらいに高値追及するかと思ったが、420万円というのは街の将来性を考慮すれば割安だと感じた。70㎡台中心の住戸プランもいい。76㎡の東南向きのスパンは10m以上ある。バルコニーも都心型には珍しい奥行き2m確保している。
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言うまでもなく物件のレベルが高いからだが、芦田氏の自信たっぷりの、かといって嘘は一つもない過不足ない説明に恐れ入った。歳を聞いたらまだ27歳だった。だいたいがマンションの販売担当者はパンフレットに記載されていること以上のことは話せない人が多いが、芦田氏は記者の聞きたいことを先読みして、ぺらぺらと話した。
もともと同社の営業マンのレベルの高さは分かっているが、ひょっとしたら芦田氏はその歳にして堂々のエースか4番打者の位置を占めているのではないか。またどこかの販売現場で逢えるかもしれない。楽しみだ。
都電荒川線も整備される(販売事務所 模型)
前提条件は?だが「道」のテーマが最高にいい ポラス第5回「学生・建築コンペ」
「第5回POLUS-ポラス‐学生・建築デザインコンペティション」(ポラテックビルで)
ポラスグループのポラスは6月21日、「第5回POLUS-ポラス‐学生・建築デザインコンペティション」の公開審査会を行い、最優秀賞に山元隆志氏(明治大学大学院理工学研究科)・浜本雄也氏(同)・ 早坂覚啓氏(同)の「道的エネルギーの現像ー揺らぎうる境界風景ー」が選ばれた。
同コンペテは、大学院や大学、高等専門学校、専修学校、高等学校などの学生を対象に、建築の道を志す学生の自由で新鮮な発想(アイデア)を表現・公表する機会を設けるのが主旨。今回のテーマは「道からはじまる、これからの家」。応募総数は485件(登録845件)だった。
審査委員長の青木淳氏(青木淳建築計画事務所)は、「『道』はわたしの最大のテーマ。建物の中に道という公共的な空間をどのように創造するか、いまだによくわからない。だからこそ挑戦する意味がある。内容が濃い作品が多くうれしかった」と講評した。
審査委員の今井公太郎氏(東京大学生産技術研究所教授)今井氏は「コンペに選ばれるのは100回に1回くらい。選ばれなかった人もどんどんトライしてほしい」とエールを送った。
その他、優秀賞は丸山航氏(東京理科大学大学院工学研究科)・勝山滉太氏(同)の「コドモしか入れないフォリーのある街」、入選は大杉亮介氏(千葉大学大学院融合理工学府)の「『雨の日コミュニティ』~人々をつなぐ”雨のみち”~」、小川直人氏(工学院大学大学院工学研究科)・島田陽介氏(同大学建築学部)・木元那奈氏(同)の「握手する生活。」、河鰭公晃氏(東京理科大学大学院理工学研究科)の「窓辺群像」が選ばれた。賞金は最優秀賞50万円(1点)、優秀賞20万円(1点)、入選10万円(3点)。
審査委員は、青木氏と今井氏のほか原田真宏氏(芝浦工業大学教授)、永山祐子氏(永山祐子建築設計)、安藤欣司氏(ポラスグループ)。
最優秀賞
左から浜本氏、山元氏、早坂氏
青木氏(左)と今井氏
左から永山氏、原田氏、安藤氏
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記者が駆け付けたときはプレゼン、質疑応答などが終わっており、表彰式と審査委員の講評しか取材できなかったが、「道からはじまる…」というテーマには感動すら覚えた。
「道」といえばすぐ宮脇檀を思い出す。積水ハウスや東急不動産などの団地やマンション多く手掛けており、コモン、クルドサック、ボンエルフなどを多用した建築家だ。「高幡鹿島台ガーデン」「フォレステージ高幡鹿島台」のように住居表示に事業主の「鹿島建設」の名が採用されているものもある。街づくりはいつも「道から造った」とも聞いている。首都圏の代表作「コモア四方津」は必見だ。昨日記事にしたアキュラホーム「若葉台」の戸建てには、宮脇檀建築研究所に勤務していた二瓶正史氏のアイデアと思われるコモンが採用されていた。
さらに、「道」といえば記者が好きな魯迅の言葉「地上にはもともと道はない。歩く人が多くなれば、それが道となるのだ」を思い出す。深くて重い言葉だ。
なので、会場に展示されていた学生さんの5つの受賞模型作品をよく観察したのだが、期待するような「道」はほとんど一つも提案されていなかった。
その理由はすぐ分かった。作品の条件は、南北に6メートル道路があり、36m×36m=1,296㎡の敷地に6軒の木造住宅を建設することしか示されていない。敷地内に道など設けずに、敷地を南北に三等分し、東西に二分すれば、1戸当たり216㎡の〝邸宅〟が完成する。「道」などなくていいということか。
もう一つ、不思議なのは、これまでのコンペでも感じたのだが、作品は法令上の制限などはまったく考慮されていないのではないかということだ。第一種低層住居専用地域(建ぺい率40%)だったら違法となりそうなものや、三角形の色紙をちりばめたような使い勝手の悪い建築物とはよべないもの、隣接する敷地をまったく無視した作品もあった。小説や絵画と異なり、建築に関するコンペは法令上の制限をクリアするのが大前提ではないのか。常識の埒外なのか。
記者個人的には、受賞作品より二上和也氏・師田侑一郎氏(東京大学大学院)の「2本の道-図地反転を繰り返す家と庭」に一票投じたくなった。隈研吾氏は見る方向で表情を変えるデザインを多用する。ひょっとしたらお二人は隈氏の研究員生か。
それと、宮野健士郎氏(東京工業大学大学院)の「けものみち」に興味がそそられた。「人道」から解き放たれ、「けものみち」がまかり通るようになったらいったい人間の生活や暮らしはどうなるのだろう。法を無視していいのなら、これが最優秀賞でもよかった。
審査会に参加していたある大学院生は「バリエーションが少なかったという指摘もあったが、自分が想定していたものより案はそれぞれよくつめられていた。既成概念にとらわれないところがいい」と、また別の大学3年生は「自分たちとのレベルの差を痛感した」とそれぞれ感想を語った。
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永山氏の作品をネットで調べた。「中之島新線駅企画デザインコンペ優秀賞」受賞とあった。記者が見て感動したあの美しい駅のことか。マンションは手掛けないのか。原田氏の作品は、この前これまた木が美しいCLTのモデルハウスを見学した。
ポラス 学生コンペ 実物件化モデルハウスを公開 ミニ開発の難点を解消(2017/8/12)
売電制度活用 業界初 管理費実質ゼロで年間306万円の収入 アキュラ「若葉台」分譲
「ヒルサイドテラス若葉台」
今日(22日)、3カ所のマンション・分譲戸建ての取材をこなした。どこを起点にするかだが、取材先はわが多摩センターからだと若葉台(12分)-八千代緑ヶ丘(1時間43分)-池袋(1時間30分)-多摩センター(55分)。移動だけで4時間33分。新幹線だと東京-広島か。
どこから書いてもいいのだが、まず若葉台から。この日、アキュラホームは京王相模原線若葉台駅から徒歩17分の分譲戸建て「ヒルサイドテラス若葉台」の報道陣向け現地記者見学会を行った。全51区画の同社としては素地から取得して分譲する初の大型プロジェクトで、宮沢俊哉社長が直々に出席、「理想の住まい、年を経るごとに価値が高まる街づくりを実現した」と熱っぽく語った。
物件は、京王相模原線若葉台駅から徒歩17分、稲城市若葉台4丁目に位置する開発面積約12,000㎡の全51区画。土地面積(建築確認済住戸24戸)は174.33~247.75㎡、建物面積は90.26~120.27㎡、価格は未定だが5,000万円台前半~6,000万円台後半の予定。竣工(予定)は平成30年4月下旬、7月下旬。構造は木造軸組工法2階建。施工はアキュラホーム東京中央・アキュラホーム埼玉中央・イトーピアホーム・細田工務店・小田急ハウジング。6月30日(土)、モデルハウスを一般公開する。販売開始は7月下旬。販売代理は東急リバブル。これまでの資料請求は約330件。
現地は、駅からなだらかな坂を上った多摩ニュータウン若葉台地区のマンション群(若葉台パークヒルズ)と、多摩カントリークラブ・里山保全区域に隣接する比高差約4mの南傾斜地。3年半前に同社がUR都市機構から用地を取得した。
あらゆるモノ・コト・空間をシェアすることでコミュニティを育む街づくりがコンセプト。延べ床面積約108㎡の木造平屋建て集会施設「センターハウス」を建設し、その屋根と分譲する棟に太陽光発電を搭載、国の固定価格買い取り制度を利用して売電収入を街の維持管理費用に充当、余ったお金は管理組合法人の収入とするほか、全戸数の約半数が3~4戸が共同利用する「コモン付き」となるのが特徴。
見学会に臨んだ同社・宮沢俊哉社長は、「素地から取得して道を付け、企画・設計して分譲するのは初めてだが、多くの専門家の方々の知見を得て、これまで考えてきた理想の住まい、年を経るごとに価値が向上する〝経年増価〟の街づくりを実現した」「バブル崩壊でそれまでの価値観が変わった。これからは生活を豊かにする、利用価値を高める、資産価値を向上するような市場を創造することが求められる。その価値を可視化できるかどうかだ」などと熱弁をふるった。
コモンスペース
「センターハウス」
センターハウスの天井(ラミナ張弦梁)
宮沢氏
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同社の分譲戸建ては「むさしのiタウン」や「浦和美園E-フォレスト」が印象深く記憶に残っている。このプロジェクトは1~2年前から聞いていたので、どのようなコンセプト、企画になるのか楽しみにしていた。
発表会には宮沢社長のほか、同社住生活研究所長・伊藤圭子氏、同社まちづくくり推進部長・中道弘敬氏、基本計画段階から参画している市浦ハウジング&プランニング社長・川崎直宏氏が参加し、挨拶・説明を行った。質疑応答を含めたっぷり1時間を費やした。
そして、宮沢氏が「価値を可視化できるかどうか」と締めくくった言葉はまさに正鵠を射たものだと思った。物件特性を分かりやすく消費者に訴え切れるかどうかがプロジェクトの成否のカギを握っている。
コンセプトの一つであるコミュニティ-これは戸建てもマンションも同様、ここ数年大きなテーマになっている。しかし、これが販促に結びついたプロジェクトは多くないはずだ。
むしろ、コミュニティの大切さを訴えれば訴えるほど、コミュニティが希薄になり、人々は孤立を深め、閉塞感が強まり、まるで白内障のような色彩を濃くする社会を浮き彫りにするだけではないかと、記者などはしらけ切ってしまう。それよりも、ストレートに実利を消費者訴えることのほうが効果的ではないかと。
そんなことを考えながら宮沢氏などの話を聞いていたのだが、その実利が中道氏から具体的に語られた。
中道氏は、前述したように固定価格買い取り制度を利用し、売電価格18円、センターハウスの維持管理費・修繕積立金を5,000円/戸と設定し、余剰売電価格は5,000円/戸と試算していると話した。つまり5,000円×51戸(センターハウス除く)×12カ月=306万円が組合の年間収入となる。
戸建て団地でも管理組合が設立される例は珍しくない。月額1万円を超えるケースもある。それが実質無料になるばかりか、年間にして306万円の収入になる。同社によるとこのような事例は全国初という。これはインパクトがある。
「コモン付き」も真新しい提案ではないが、訴求力がある。これは宮脇檀建築研究所に勤務していた二瓶正史氏のアイデアだろうと思う。管理組合の運営には齊藤広子氏が関わるのも後押しとなる。無電柱化、隣接の里山保全地域も価値がある。住棟は長期優良、マルチパーパスルーム、マルチユーティリティ付きが特徴で、これもいい。
これらを徹底して可視化=見せる化できれば、早期に完売できるのではないか。
同駅より1駅都心寄りの稲城駅から徒歩6分の野村不動産「プラウドシーズン稲城南山」第1期60戸(平均5,769万円)が6月16日抽選の結果、即日完売した。競合は相乗効果を生むかもしれない。
現地に隣接する里山保全地域
モデルハウス(観葉植物はフェイクが多かったが、果物類は本物)
グランピンググッズ(ビール、鳥の丸焼きなど飲食料は本物=報道陣に供されたわけではない。見るだけ)
どこにも負けない先進の街づくり「浦和美園E-フォレスト」竣工 街びらき(2017/3/27)
GWに126組来場 アキュラホーム「エコモデルハウス」(2010/5/6)
「むさしのiタウン」平均3.7倍の申し込み倍率に(2007/2/13)
環境・利便性は三鷹・武蔵野 価格は練馬 東建70年定借の「三鷹」順調スタート
「Brillia City 三鷹」完成予想図
東京建物と住友商事のJVマンション「Brillia City 三鷹」のモデルルームを見学した。期間70年の定期借地権付きの全436戸の大規模物件で、坪単価は215万円。第1期3次まで100戸強が成約・申し込み済み。順調なスタートを切った。
物件は、JR三鷹駅バス10分バス停下車徒歩2分、練馬区関町南四丁目に位置する10階建て全436戸。専有面積は62.88~92.14㎡(平均74㎡)、坪単価は215万円。竣工予定は2019年10月下旬。設計・施工は長谷工コーポレーション。
現地アドレスは、「練馬区」で、敷地の道路を挟んだ南側は武蔵野市。三鷹駅からだとバス便だが、道路はほぼ一直線。バスレーン、自転車専用レーンも整備されており、街路樹の桜並木が美しい。建物は南向きの4棟構成。大型商業施設が隣接し、保育所施設も併設される予定。販売担当の東京建物住宅営業第一部営業グループ課長・小保内剛氏は、「ハイブリッドマンション。環境・利便性は武蔵野市、価格は練馬区」と、物件特性を端的に表現した。
「コミュニケーションスペース」
◇ ◆ ◇
見学するまでは、三鷹駅が最寄り駅のNTT社宅跡地で、単価が215万円の定借マンションという予備知識しかなかったが、武蔵野市役所など公共施設が近くにあり、環境がよく、住むには「武蔵野市」の最高の立地だと思っていた。アドレスが「練馬区」だとは全然知らなかった。
小保内氏の「ハイブリッドマンション。環境は武蔵野、価格は練馬」は言いえて妙。もう笑うしかなかった。
そして、この物件特性を端的に表現したホームドラマ仕立ての読売広告社による約10分のシアターには舌を巻いた。
「人が主役であるために…建物に物語を…」などと、出だしは手垢にまみれた耳にするだけで恥ずかしくなるようなコピーではあったが、「15年前、妻と喧嘩した…ささいなことだった…」にはドキリとさせられた。〝俺のことではないか〟と。この後は、都心のマンションは思惑とは真逆の仕事と家族の時間の両立が難しいという意想外の展開となり、最後はハッピーエンドとなった。
この際、「目黒」「代々木」「一番町」とどう整合するのかという難しい問題には踏み込まない。率直に評価しよう。かつて総合地所は〝泣かせるシアター〟を放映したことがあるが、今回はそれに勝るとも劣らない出来栄えだった。「妻」を「恋人」に 「喧嘩」を「破綻」「死別」にそれぞれ置き換えれば、コンパクトにもそのまま流用できるかもしれない。
モデルルーム
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全体として環境・利便性は武蔵野市、価格は練馬区」の特徴がよく表現されている。販売事務所・モデルルームには本物の観葉植物が多用されていたのも正解だと思う。
モデルルームはワイドスパンの92㎡と75㎡の標準的な2タイプ。75㎡の約2畳大の多目的に利用できるセレクトプランの「コミュニケーションスペース」の提案がいい。
商品企画のよさ・特徴 もっとアピールを ポラス「浅草」好調スタートしたが…
「ルピアコート浅草」完成予想図
ポラスグループの中央住宅が分譲中のマンション「ルピアコート浅草」のモデルルームを見学した。販売開始1カ月で販売戸数の約半分が成約・成約見込みとなるなど好調。同社オリジナルのピアキッチンを全戸数の4分の3に採用し、コンパクトが多く、ファミリーが少ない周辺の市場性に着目した商品企画が的中した。
物件は、東京スカイツリーライン浅草駅から徒歩15分、東京メトロ銀座線浅草駅から徒歩17分、台東区東浅草1丁目に位置する13階建て全48戸((非分譲1戸含む)。第2期(9戸)の専有面積は54.35~70.27㎡、価格は3,700万円台~5,900万円台、坪単価246万円。入居予定は2019年3月中旬。施工は川口土木建築工業。販売代理は東京中央建物。
5月20日から契約を開始し、これまでに第1期1次15戸を即日完売するなど19戸が成約・申し込み済み。今週末に第2期(9戸)の販売を開始する。
周辺には新築が少なく、中古も1Lや2Lが多く、ファミリータイプが少ないことから、角住戸タイプの3LDKの比率を約50%にし、多様な使い方ができる同社オリジナルのピアキッチンの設置比率を4分の3(4スパンのうち3スパン)に高め、全戸に大容量キッチン収納を採用したことなどが評価された。1Lや2Lからの買換えが目立つことからも企画がヒットしたことをうかがわせる。
販売担当の東京中央建物営業部部長・小林潔氏は「浅草のポラスさんの物件を販売するのは2件目。女性目線の企画がいいので、売りやすい」と語った。
ピアキッチン
◇ ◆ ◇
同社が都内のマンションではじめてピアキッチンを採用したのは2012年だった。記者はその時の記事で、「実用新案取得済みの同社オリジナルの対面キッチンのカウンターとダイニングテーブルの機能をあわせ持つ「ピアキッチン」を標準装備した都内初の物件」「なかなかのスグレモノ」と書いた。
ピアキッチンのよさは単に機能的で美しいということだけではなく、大型のキッチン収納を標準装備(オプションなら約80万円)し、これは強調したいのだが、排水に工夫を凝らすことで天井高はリビングと同じ高さにできることだ。限られたスペースを有効に生かせるメリットもある。
以来、10物件はピアキッチン付きマンションを見学したか。しかし、設置比率をここまで高めた物件はなかった。その理由は知らないが、狭いスパンでは採用しづらいこと、コストが嵩むこと、独立型キッチンを望むお客さんも少なくないことなどだろう。
課題を指摘すれば、その良さをモデルルームでは訴求できているが、パンフレット、チラシなどでは動線のよさを含め訴えきれていないことだ。今回の物件でも、他にカラーページはあるが、ペラ1枚にまとめたモデルルーム22の特長のうちピアキッチンの扱いは他のアイテムとほぼ同じ扱いだ。
もっと言えば、その22の特長のうち出窓付き、共用廊下側のアウトフレーム、「とどかない錠」、引き戸の開閉双方のソフトクローズ採用、マイギャラリー、巾木の角を丸める-などは他社にはあまりないもので、これらももっと強調すべきだ。
他社物件でも標準装備しているアイテムとピアキッチンなどの「スグレモノ」を同列に扱ったら、モデルルーム見学者など知らない人はなにが優れているのか全然判断できないではないか。
同社にはさらに厳しいことをいう。販売事務所・モデルルームのフェイクの観葉植物だ。「フェイクの観葉植物はやめよ」と記者はここ最近口を酸っぱくして書いているが、今回の物件はかなり本物を採用している。これはこれで結構なのだが、モデルルームの主寝室にはお寺の祭壇の飾り物じゃあるまいし、100円ショップで買ってきたような造花が置かれていた。
ピアキッチンとセットの80万円もする大型収納を気前よく標準装備する同社がどうしてこのようなまがいものの花を、しかも主寝室に置くのか。これはインテリアコーディネーターの質だけの問題ではない。
さらにもう一つ。住宅情報誌の企画による物件〝宣伝用〟のいわゆるパブリシティが接客テーブルの上に置かれていた。〝著名評論家〟の顔写真が掲載されていた。
二流三流会社のパブリシティには効果があるかもしれないが、同社のような優れたマンション商品企画にはそぐわない(記者はこの種のパブリシティは読まないが、読むと嫌悪するのは間違いない)。
同社には、やや薹が立ったかもしれないが、商品企画に熱心なマンションディビジョンのNさんや広報のKさんのようなかわいい(この「かわいい」という言葉は、記者がいうからセクハラにはならない。お二人は絶対不愉快な思いはしないはずだ。「薹が立った」というのも極めて正確な表現)女性がいるではないか。二人で対談させ、女性目線の商品企画を語らせたら、一幅の絵になり、タダで(は失礼か)消費者の心に響く効果てきめんのアピールができるはずだ。一考を。
これはすべてのデベロッパーにいえることだ。〝評論家〟なるものがどのような人たちか消費者はみんな知っている。そんな人たちに頼るより、自前の女性を起用したほうが安上がり(これは言い過ぎ)で消費者の心をとらえる。全135戸を約半年で完売した東京建物「Brillia大山Park Front」を研究すべきだ。タカラレーベンのレディ・ガガは同社のイメージを一変させた。明和地所は女性建築担当が頑張っている。
そんな素養が全くないからでもあるが、記者は死んでも〝評論家〟なんぞにならない。RBA野球記事とともにマンションの商品企画の記事を死ぬまでフリーの立場で書き続けるつもりだ。嘘は書かない。記事はタダ。一人でも多くのマンション商品企画・販売担当の方々に読んでいただきたい。
蛇足。東建、東建不販、ポラス、タカラレーベン、明和に共通するのは野球が弱いこと(東建、ポラスは中の上だが)。情けない。それでも男か。会社が悪いのか。
ポラス中央住宅「ライフピア新宿中落合」初の都内で「ピアキッチン」搭載(2012/10/9)
ポラス 浅草のど真ん中の「浅草二丁目」で単価割安の「ライフピア浅草」(2011/5/24)
東京建物「Bloomoi(ブルーモワ)」が企画 機能的で美しい 公園隣接の「大山」(2017/9/25)
〝時短〟テーマ 袖壁・庇・通風窓付き 総合地所「キラリスナ」 紅白ランが歓迎
「キラリスナ」の袖壁・庇・通風窓
総合地所(事業比率60%)は6月12日、NIPPO(同20%)と名鉄不動産(同20%)とのJVマンション「TOKYOキラリスナPROJECT」の記者見学会を行った。アルコーブの代わりに袖壁・庇・通風窓を設けているのが特徴で、そのアイデアに唸ってしまった。販売事務所には両性具有の紅白のランの花が飾ってあったのにも驚愕した。
物件は、東京メトロ東西線南砂町駅から徒歩13分、江東区東砂8丁目に位置する15階建て267戸。専有面積は65.04~80.00㎡、予定価格は3,900万円台~6,800万円台、坪単価は約250万円。設計・施工は長谷工コーポレーション。販売代理は長谷工アーベスト。第1期は6月下旬で約70戸を供給する。
現地は準工エリアだが、マンション化が進み、嫌悪施設は見当たらなかった。敷地東側のスーパー堤防までは徒歩2~3分。小学校は徒歩2分、中学校は徒歩3分。建物内に認可保育園を併設する。
建物は、荒川の花火大会が眺望できる(5層以上か)東向きと南向き中心の3棟構成。共用施設には大型ランドリーも設置する。専有部はディスポーザー、食洗機、2.1メートルハイサッシなど。
記者発表会で同社分譲事業部営業二部営業課主事・石井大祐氏は「都心への利便性に加え、共用施設・専有部分の〝時短〟に結びつく商品企画にこだわった自信作」とアピールした。
「TOKYOキラリスナPROJECT」完成予想図
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坪単価250万円は相場か。高くもないが安くもない。グロス価格を抑えるため戸当たり面積を圧縮(69㎡の3LDKが中心)する一方で、間口を6メートル確保し、アルコーブの代わりに袖壁・庇・通風窓を設けているのが特徴。モデルルームも69㎡のタイプ。
これには正直驚いた。この種のアイデアを見たことがない。庇付きというのはおそらく業界初だろう。袖壁の奥行きは約50センチ。これ以上奥行きをとると外廊下に影響するためか。お客さんの評価も高いという。
記者は、そこまでやるなら室外機の上には花台を設けるとか、室外機に面する居室は腰窓にするなどしたほうがよかったと思った。
玄関を入ってすぐにメニュープランの「グリーンパティオ」を提案しているのもいい。半畳ほどの広さだが、フェイクでなく本物の観葉植物を展示していた。ここにフェイクの観葉植物を置いたら、間違いなくお客さんからは総スカンを食らったはずだ。他の専有部にも本物の観葉植物が配されていた。記者の主張が少しは理解されたかと勝手な解釈をした。
モデルルームを見学しながら競合物件のことを考えた。販売担当は「当社も売主になっている『ALOHA(アロハ)』と競合している。部署は隣りあわせ。お互いが相乗効果となり成功するように願っている」と話した。
モデルルーム(観葉植物はほとんどが本物だった)
ガーデニアラウンジ
◇ ◆ ◇
どうでもいいことを一つ。販売事務所に入ってすぐ、立派な3鉢のランが目に飛び込んできた。記者の目を射たのはランの花そのものではない。そのうちの1つの鉢は3本立てだが、何と花は赤と白に分かれていたからだ。フェイクかと思って触ってみたが本物だった。訳知り顔が気になったが、受付の女性も「こんなの見たことない」と、驚きを隠さなかった。
もう取材どころでなくなった。紅白に二分されたランの花などどこかで見たような気もするが、突然変異か新種か、ノーベル賞ものか、ずっと考えた。
帰りしな、失礼だとは思ったが、スカートの裾をめくるように重なっている花の後ろ側と花弁の裏をのぞいた。瞬時に理解した。地は白。花弁の表がスプレーか何かで着色(今回は赤)されていたのは間違いない。
これにはもう絶句。称賛もした。本物とフェイクを越えたと。しかし、すぐばれるような嘘はつかないほうがいい。記者は裏の裏をかくのが仕事だ。記者のような助平もいることを念頭に入れるべきだった。
紅白に2分されたランの花
業界初? 都心の眺望風呂付き 西畠氏監修のガーデン付き 三井不「五反田」ホテル開業
「三井ガーデンホテル 五反田」
三井不動産と三井不動産ホテルマネジメントは6月14日、グループ22店舗目の宿泊主体の「三井ガーデンホテル 五反田」を6月29日(金)に開業すると発表した。同日、開業に先駆け報道陣に公開、併設されるレストランの朝食を振舞った。
五反田駅から徒歩3分、デザインコンセプトは「SKY & GARDEN RESORT」。外構デザイン監修は西畠清順、15階のスカイロビー&フロントに天井高約4メートルの展望空間を設け、最上階には業界初と思われる都心が一望できる男性用展望風呂(女性風呂はなし)付き、1階のイタリアンレストラン「TANTO TANTO」は約300㎡(ガーデンテラス席含め)の緑が楽しめるのが特徴。
発表会に臨んだ三井不動産ホテル・リゾート本部 ホテル事業部長・小田祐氏は「大変ユニークなホテルが出来上がった。当社がこれまで地元と一緒になって取り組んできた大崎・五反田エリアのミクストユースの街づくりにふさわしい眺望がよく、気持ちがいいホテル」と語った。
ADR(平均客室単価)は約15,000円、稼働率は85%を目指す。
物件は、JR五反田駅から徒歩3分、品川区東五反田2 丁目に位置する16階建て。客室数370室。客室面積は約18~36㎡(最多は18㎡)。施設はレストラン「タント タント ザ ガーデンズ 」、コンビニエンスストア「ローソン」、大浴場など。大崎電機が所有する土地に三井不動産が建物を建て、三井不動産ホテルマネジメントに賃貸する。
最上階の展望風呂
スカイロビー
レストラン
ガーテンテラス
◇ ◆ ◇
最初に断っておく。記者の取材フィールドは主にマンションや分譲戸建てだ。1万件くらいの物件のデータは頭の中にインプットされており、すぐアウトプットする自信は多少ある。富裕層向けからアッパーミドル、コンパクト、郊外ファミリー向けまで、それぞれの基準で良否を判断できるが、ホテルはよく分からない。どうしても〝究極のマンションはホテル〟という固定観念から抜け出せない。
今回の「五反田」も、大崎・五反田エリアにはラグジュアリホテルがないかどうかを考え、ないと結論付けた。渋谷、恵比寿、品川のそれらと比較はできないだろうが、大崎・五反田エリアのナンバーワンホテルという評価は間違っていないと思う。
ある同業の女性記者が「あらっ、風呂が付いている」と素っ頓狂な声を上げたのにはたまげた。「えっ、風呂なしのホテルなんてあるのか」と。また別の男性記者が「民泊の影響はあるか」と質問したが、「えっ、三井のホテルと民泊(記者は民泊なるものを見たことがないが)と比較になるのかよ」と驚いた(記者は、水回りはパークホームズのほうがレベルが高いと判断した)。
それはともかく、15階の眺望ロビーがいいし、16階の眺望風呂が圧巻。記者は貧相な体をさらけ出す風呂は疲れるだけで好きではないが、都心のビルを眺めながら露店風呂(ここは接地型でないので露天風呂とは呼べないのだろうが)に入れるところは経験したことがないし、入ってみたいと思った。関係者に聞いたが、「これほど規模が大きく、周囲のビル群が眺められるのはおそらく初めて」とのことだった。
同業の女性記者や同社の女性ホテル関係者は「ちょっと抵抗感がある」とのことで、男性用のみというのは正解なのだろう(同社のミッドタウン日比谷には裸で日比谷公園が見降ろせる女性用のシャワーブースがあるが)。
1階のホテルも、西畠氏が監修した約300㎡のガーデンを眺め、植わっているハーブを摘まんでも黙認してもらえそうでいい。一般の人は朝食ブッフェが1,800円で利用できる。これは安い。
レストランのテラス(正面はオリーブ、足元にはハーブ)
外構
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一つだけ、画竜点睛を欠く油絵3点がレストランの入り口に飾られていたのが我慢ならない。記者は自分で絵を描くし、真贋を見抜く力もあると思っている。写真の絵はサインがなく、オークションにかけたら3点で1万円もしないのではないか。新宿のある寿司屋には30号くらいのビュッフェの本物のリトグラフが掲げられていた。朝食ブッフェが美味しかっただけに残念。
レストランの内装などに三井不動産は関与していないそうだが、ならば三井倶楽部や三井記念美術館に私蔵されている絵画を貸与したらどうか。三井倶楽部には正面にターナーの絵が、霞が関の月曜会クラブには荻須高徳、中川一政などが無造作に飾られている。
レストランエントランス
「ビジネスとして確立しているとは言い難い」 岡本・マンション管理協理事長
岡本氏(週刊住宅提供)
マンション管理業協会は6月12日、定時総会後の懇談会を開いた。
冒頭、挨拶に立った岡本潮理事長(東急コミュニティー会長)は、「本日は、期せずして、トランプ大統領と金正恩委員長の史上初めての米朝トップ会談という特別の日になりました」と切り出し、次のように語った。
「マンション管理業は、マンションの資産価値と居住価値を維持し、向上させていくという大変重要な社会的な意義を持つ事業です」「マンション管理業界は、この社会的役割を自覚し、その役割をしっかりと果たし、管理組合、ユーザー、また社会全般からの『高い評価と厚い信頼』を得ていかなくてはなりません」「中期事業計画では…『マンション管理業の成長発展・社会的評価の向上』、『業界従事者の処遇改善・社会的評価の確立』という2つのミッションを確実に実現していく、具体的な個別課題を5年間の実施工程表にまとめ…課題を一つひとつ実現していくことを目指してまいります」
「現状では、マンション管理業は、『ビジネス』として確立しているとは言い難い状況にあると思います。その中で、特に私が強調したいと思うキーワードが『マネジメント力』です。昨今の、急速に進む少子高齢化・人口減少、大規模災害の発生確率の増大、マンションの建物と居住者の2つの高齢化、また業界の人手不足といったマンションを巡る事業環境の変化は急速です。今後この変化のスピードは益々上がっていくことが予想されます」
そして、「マネジメント力」については、管理組合に対する組合会計改善についてのマネジメント提案と、管理会社自身の経営マネジメントレベルの向上を訴え、「今後は、自らのビジネスモデルの変革を進め、『マネジメント力』を磨き上げていかなくては、その社会的役割を果たすことができなくなっていく」と締めくくった。
◇ ◆ ◇
記者は、他の取材があり、懇親会に駆け付けたときは、すでに岡本理事長の挨拶は終わっていたが、幸運にも挨拶文を入手することができた。岡本理事長がこの通りに話されたかどうかは分からないが、九分九厘この通りに話されたはずだ。
記者はこの文書を読んで、「現状では、マンション管理業は、『ビジネス』として確立しているとは言い難い状況にある」という文言にショックを受けた。
そしてすぐ、2012年に行われた国交省の第2回「マンションの新たな管理ルールに関する検討会」で、安藤至大委員(当時、日本大学大学院総合科学研究科准教授)が、プリンターのリース料を安くして、トナーなどの維持管理費で儲けるという例えとして管理業を皮肉り、村裕太専門委員(当時、三井不動産レジデンシャル開発事業本部都市開発二部部長)がその発言に不快感を示し、結局、安藤氏が発言は適切でなかったとして取り消した場面を思い出した。
今回は身内のしかも業界団体の長の発言だ。ズシリと重い。
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この日で任期満了に伴い副理事長を退任した栗原清氏(大京顧問、前大京アステージ会長)は「今年度を初年度とする協会の中期事業計画がスタートしたばかりで退任することになり、実行したいことが何一つできなかったのが残念」と、無念さをにじませた。
どこの業界団体も同じだろうが、理事などの役員は、本人の意向より所属会社の意向・決定が優先する。
岡本理事長の「管理業はビジネスとして確立しているとは言い難い」発言と共に考えないといけないことかもしれない。米朝会談の記事に使用されているマスコミの写真は外国の通信社からの借りもの(ただではないはず)だったのには失望した。岡本氏の写真はただではなく、バーターです。
〝駒込駅圏ナンバーワン〟 三菱地所レジ 第2号シェアハウス「駒込」完成
「ザ・パークレックス駒込」
三菱地所レジデンスは6月12日、グループ第2号シェアハウス「ザ・パークレックス駒込」の報道陣向け見学会を行った。すでに6月9日から契約を開始しており、2戸が契約済み。関係者は早期に満室になると見込んでいる。
物件は、JR山手線駒込駅から徒歩5分、豊島区駒込1丁目に位置する敷地面積約74㎡、延床面積約324㎡の7階建て19室。個室面積は7.02~8.45㎡。賃料は7.9万~8.2万円(共益費7,000円込み)。築30年の建物で、従前は会社の事務所、社宅などとして利用されていたが、雨漏りなどでここ10年間は全フロアの半分以上が使用されていなかった。
オーナーの依頼を受けて、同社が期間10年の賃貸借契約を結び、リノベーションを施しシェアハウスに再生。運営をシェアハウス事業の最大手オペレーター会社オークハウスに委託する。
リノベーショ ンに当たっては、適法性を確保するため避難通路、天井高(法律は2.1メートル以上だが、躯体をむき出しにすることで2.6~2.8メートル確保)、開口・採光窓(居室面積の7分の1以上)を設けた。
1階には駐輪場のほかシアタールームとライブラリー、2階には共用のリビング・ダイニングとシャワーブース、7階にランドリーを設置した。
「古い建物を有効利用したい」という企業のニーズに応える同社Reビル事業部は、2014年の第一号案件「ザ・パークレックス岩本町」を皮切りに、今回の物件を含めてビル8棟、住宅3棟をリノベーションしている。
1階ライブラリー(左)と2階リビング
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断っておくが、見出しに「駒込駅圏ナンバーワン」としたのは、記者ではなくオークハウスの担当者がオークハウスの担当者が「駒込駅圏ナンバーワン」と評価したのをそのまま頂いた。記者はこれまでシェアハウスなるものをトータルして10件も見ていない。全くの素人だ。
よって、3.5畳大~4.2畳大の個室が広いのか狭いのか(学生時代、北向き3畳間に間借りしたことが一時期ある。タバコは吸えたし、女人禁制でもなかった)、電気、ガス、水道代込みで、ベッド、冷蔵庫、机付きの賃料が高いのか安いのか、エレベータホールのところで靴を脱がなければならないのがいいのか悪いのか、女性専用フロアにはカギがかかるのに他はフリーなのが妥当かどうか、タバコは火災のリスクと汚れるからという理由で「全館禁煙」なのは基本的人権を侵害しているのかどうかなど全く分からない。
契約は6カ月で、更新料はないというのも、入居者は9カ月くらいで他のシェアハウスに移る人が多いというのも、日本人と外国人の比率が半々というのもコメントのしようがない。
一つ、考えさせられるのは、同社のこの事業に込める意気込みの高さだ。事業費にしたらこれまでの全案件で100億円どころかせいぜい50億円くらいだろう。1兆1,940億円(2018年3月期)もの売り上げがある同社の0.004%にしかならない。例えは悪いが、一網打尽の商売が似合う同社なのに、貧農が痩せこけた陽も当たらない北向きの狭い棚田に肥桶を担いで肥料をやるような仕事だ。
しかし、こうした仕事は間違いなく他の事業に大輪の成功をもたらすと確信している。地所のすごいところはこういうところではないか。
個室
2階廊下
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それなのに、わが業界の記者はたった6人しか集まらなかった。しかも、もっとも若い人でも50歳以上、69歳の記者が最年長かどうかは分からないが、平均年齢はひっくるめてリノベしたほうがよさそうな63歳くらいだという。
他の若い記者の方たちはリノベに精通しているからかもしれないが、他紙と競い合うのが必至の大きなニュースだけを追い、しかし、結局、現場を知らないので当たり障りのないリリースを引き写すしかないクズ同然の記事にはならないのか心配だ。
蛇足だが、記者は暇だから駆け付けたのではない。RBA野球が明日開幕するので、そのための記事を金曜から月曜まで10本以上書いた。400字原稿用紙にして50枚くらいになる。質はともかく、枚数だけは他の業界紙の記者の比ではない。三菱地所グループの野球部が弱いのはどうしてだ。