末長組の矜持を見た 傾斜地だからこそ生きる技術力 「ロイヤルシーズン西麻布」
「ロイヤルシーズン西麻布」完成予想図
末長組が分譲中の「ロイヤルシーズン西麻布」を見学した。同社が得意とする傾斜地の自社施工マンションで、PRC構造により柱・梁型を極力なくした空間と多面採光を実現し、無垢・挽き板をふんだんに用いているのが特徴。坪単価620万円は割安感がある。
物件は、東京メトロ日比谷線六本木駅から徒歩8分・広尾駅から徒歩9分、港区西麻布3丁目の第二種中高層住居専用地域(建ぺい率60%、容積率200%)に位置する8階建て(建築基準法上は地上5階、地下3階建て)全43戸。現在分譲中の第2期(9戸)の専有面積は49.48㎡~93.38㎡、価格は7,080万~20,200万円。坪単価は620万円。竣工予定は平成31年3月中旬。施工は末長組。販売代理はライフコーディネーター。約3分の1が分譲済み。
現地は、ゆるやかな南下がりの傾斜地で、南側と北側に接道。それぞれの出入り口との比高差は4層分。南側道路のはす向かいはルーマニア大使館。
建物は、吊り橋などに採用されているPC鋼線をコンクリ内に埋め込むことで躯体の強度を高めたPRC構造(プレストレス鉄筋コンクリート構造)とF2システム(PRC構造+耐震壁付ラーメン構造)を採用して、住戸内に柱・梁型が極力出ないようにしている。また、コンクリだけで防水できる工事も施している。
住戸プランは43通り。エレベーターを4基設置し、各住戸の独立性を高めるとともに、吹き抜けを随所に設けることで多面採光を実現している。
設備仕様は、ドアに無垢のウォールナットを採用しているほか、床は大理石とウォールナットの挽き板、ディスポーザー、オリジナル食器棚、サッシ下とその周りの壁の大理石張り、Low-E複層ガラスなど。
販売担当のライフコーディネーター受託営業部長・佐藤義典氏は、「末長組は傾斜地が多い川崎市高津区で造成工事を請け負ってきた50年の歴史がある会社。多面採光が基本的理念で、土地が平らなところではやらないし、他社施工も請け負わない。差別化ができないし、コスト的にも難しい。傾斜地だからこそ技術力が生きる。2~3年前に都心のマンションも手掛けるようになった。仕入れ-施工を一貫して行っているからこそこの価格で分譲できる」と話した。
モデルルーム
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末長組のマンションを取材するのは「溝の口CASA」以来6年振りだ。その記事を添付したのでぜひ読んでいただきたい。信じられないだろうが、その物件は91戸に対して7基エレベーターが設けられていた。単純計算して13戸に1基の割合だった。今回は4基だから11戸に1基だ。
エレベーターを設置すれば避難階段も同数だけ設置することになる。これだけでも工事費が嵩むことが容易に想像できる。普通のマンションは50戸に1基ついていればいいほうだ。
出隅入隅が多いのにも驚いた。採光・開口部は、ペントハウスタイプの120㎡のタイプが11カ所なのはともかく、専用エレベーター付き151㎡のタイプが9カ所(うちコーナーサッシが3カ所)、49㎡のタイプでも6カ所だ。
無垢のウォールナットを採用したリビングドアと居室ドアは内にも外にも開くもので、リビングドアの重さは60キロだという。1枚数百万円もするドアをたくさん見てきたが、今回のドアはシンプルで美しい。
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同社の企業理念をホームページから引用する。
「末長組の思いは、創業以来一貫して変わっていません。まず、私たち自身が住みたいと思える住まいをご提供しよう。つくり手である私たちが心底好きになれるものでなければ、 住んでいただく方にご満足いただくことなど到底できない、と」
先に書いたサッシ下とその周りの壁の大理石張りは、窓を開けたとき吹き込む雨などにより床が劣化するのを防ぎ、メンテもしやすいよう、長年の経験からそのようにしていると聞いた。同社の矜持を見た。
北側からの外観
傾斜地を得意とする末長組の「ロイヤルシーズン溝の口CASA」(2012/8/24)
積水ハウスが新商品 「LDK発想」から脱却 約30畳大の〝ファミリースイート〟提案
「IS ROY+E Family Suite (イズ・ロイエファミリースイート) 」
積水ハウスは10月3日、新コンセプトモデル「IS ROY+E Family Suite (イズ・ロイエファミリースイート) 」を発売すると発表した。
同モデルは、企業では日本初の「幸せ」を研究する住生活研究所の「住めば住むほど幸せ住まい」研究の成果と先進技術を具現化し、「わが家だけのファミリースイート」を提案するコンセプトモデル。
従来の「LDK発想」から脱却し、家族が思い思いに過ごし、家族みんながワクワクできる「新しいリビングのあり方」を提案している。
仕切りの少ない業界随一最大7mスパンの大空間リビングを、同社標準梁の約10倍の強度をもつ高強度梁により可能となった進技術と、設計士集団の「設計提案力」によって、30~40坪のコンパクトな住宅でも約30畳大のリビングを実現した。
構造は軽量鉄骨造。販売地域は全国(沖縄県を除く)で、価格は3.3㎡当たり69.5万円から(本体のみ・税抜)。
三菱地所レジデンス 最高値更新の坪850万円 「ザ・パークハウス渋谷南平台」
「ザ・パークハウス 渋谷南平台」完成予想図
三菱地所レジデンス(事業比率50%)・大林新星和不動産(同30%)・東急不動産(同20%)は10月6日、「ザ・パークハウス 渋谷南平台」(総戸数100 戸)のモデルルームをオープンする。坪単価は850万円で、三菱地所レジデンスが2014年に分譲して人気になった「ザ・パークハウス グラン千鳥ヶ淵」の坪単価800万円を越える同社としてはバブル崩壊後の最高値マンションで、設備仕様は〝グラン〟に匹敵する。
物件は、JR山手線渋谷駅から徒歩7分、渋谷区南平台町の第二種住居地域(建ぺい率70%、容積率300%)に位置する10階建て全100戸(事業協力者住戸30戸含む)。専有面積は56.44~215.30㎡、予定価格は1.2億円台~7.1億円台。坪単価は850万円。施工は東急建設。竣工予定は2019年11月中旬。販売開始は10月下旬。
現地は、高級住宅街として知られる「南平台」の一角で、「セルリアンタワー東急ホテル」へは徒歩3分の立地。敷地は元JTの事務所跡地。南平台アドレスでは11年ぶりの分譲。
建物のデザイン監修はSKM設計計画事務所取締役副代表・桐本将和氏で、共用部にはイタリア「Minotti」社のインテリアを配置。ロートアイアンをふんだんに用いたマスターラウンジからは、高さ約2m×幅約3mの「稲田石」を配した庭園が眺められるようにする。
また、車寄せで専属スタッフが入出庫を代行するバレーサービス を「ザ・パークハウス」で初導入。「セルリアンタワー東急ホテル」の会員制フィットネスクラブが利用でき、「東急百貨店」の様々なショッピングサービスも受けられる。
プランは1LDK(56.44 ㎡)~3LDK(215.30 ㎡)まで全23タイプ。室内廊下には60cm×60cm角の天然石、フローリングには天然の突板を採用する。
マスターラウンジ
215㎡の玄関・エントランス(広さは3m×3m。天井が低いのは気になったが)
215㎡のモデルルーム
ドレッシングルーム
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表参道駅に近い「青山ギャラリー」に入ったとたん、甘い花の香りが鼻腔をくすぐり、心を満たした。添付した写真の生花が放つ香りだった。生花は毎週、花屋さんにアレンジしてもらうのだという。
この瞬間、「千鳥ヶ淵」を超えるかもしれないという予感は、間違いなく超えるという確信に変わった。
一事が万事。あとは観なくても容易に想像がついた。シアターや模型、モデルルーム、担当者の話などから、この物件に賭ける三菱地所レジデンスの意気込みがストレートに伝わってきた。坪単価850万円も納得した。
わがデベロッパーは、寺院の造花のように豪華ではあるが、100円ショップで買ったようないかにも安物のフェイクを飾り立てることに何の痛痒も感じず、アンケートと称して個人情報を慇懃無礼に聞き出し、販促費に計上し、結局は購入者が負担することになる「来場者プレゼント」などと詐称ギリギリの商品券を配布する-こんな無礼なことはやめるべきで、きちんと対応するのがおもてなしではないか。価格が高い安いの問題ではない。このマンションを見習うべきだ。
青山ギャラリーの生花
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渋谷の再開発については触れるまでもないが、渋谷駅圏では、三井不動産レジデンシャルが期間70年の定期借地権付き「パークコート渋谷 ザ・タワー」505戸(販売戸数355戸)を近く分譲するし、旭化成不動産レジデンスの渋谷駅直結の「宮益坂ビルディング」建て替えマンションもある。
「渋谷」は定借付きだから価格は異なるはずだし、「宮益坂」はコンパクトが中心になりターゲットは異なるが、地所レジとしては後塵を拝するわけにはいかない。仕様レベルを上げ、機先を制す狙いだと読んだ。
最高価格の7.1億円台の215㎡のモデルルームには、カリマンタン エボニーの突板壁が採用されていた。カキノキ科カキノキ属の広葉樹で、心材は比重が1を超え水に沈む高級家具材のようだ。紫檀や黒檀などと比べ木目の濃淡がでるので美しい。一時期シャム柿が流行したが、それとは異なる。
什器・調度品も同様。見学に同行してもらった同社の女性広報担当は「これはバカラ、これはフェラガモ、あれはエルメス」などと言い当てた。この日は野球の取材でラフな格好をしていたが、ハイヒールの値段は記者が普段履いている革靴より数倍もした。
〝グラン〟を冠しなかったのは、共同事業物件のためで、担当者は「仕様レベルはグランと同じ」と話した。7.1億円の住戸には複数の申し込みがあるはずだ。同駅圏の最近の高級マンションでは、鹿島の「センチュリーフォレスト」と同クラスか。
キッチン
「駅2分」だけじゃない ワイドスパンなどプラン秀 明和地所「日暮里」「神田」
「クリオ神田」完成予想図
明和地所の「クリオ日暮里セントラルマークス」と「クリオ神田」の共通モデルルームを見学した。いずれも駅から徒歩2分の商業地エリアに立地するが、プランがなかなかいい。価格も抑制気味で、単身者、DINKSなどに支持されそうだ。
「日暮里」は、JR日暮里駅から徒歩2分、荒川区西日暮里2丁目に位置する敷地面積304㎡の14階建て41戸(住戸は36戸)。専有面積は32.34~70.00㎡、坪単価は370万円。施工は坂田建設。竣工予定は2020年5月下旬。
「神田」は、JR神田駅から徒歩2分、千代田区鍛冶町2丁目に位置する敷地面積507㎡の14階建で52戸(住戸36戸、事業協力者住戸14戸、事業協力者店舗1戸、管理事務室1戸)。専有面積は32.34~60.45㎡。価格は未定だが、坪単価は420~430万円位になる模様。竣工予定は2020年12月下旬。施工は未定。
「クリオ神田」(左)と「クリオ日暮里セントラルマークス」
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同社のコンパクトマンションシリーズ〝ラベルヴィ〟にしなかったのは、専有面積60㎡以上の3LDKもほぼ1フロアに1~2戸含まれているためで、同社は3LDKのニーズもあると読みプランニングしたと思われる。
そのプランがいい。間取り図を紹介したが、「日暮里」の53㎡の2LDKは北向きだが3面最高で、33.00㎡の1LDKは間口が7.0m。70.00㎡の3LDKは7.5mスパンの東南角住戸。
「神田」も、南向き60.45㎡の3LDKの間口は7.7mで、32.34㎡の1LDK専用ポーチ付きで北西角住戸。
同社は2018年3月期末で契約残高393億円(857戸)を確保。未契約住戸は172億円(403戸)で、完成在庫は10億円(22戸)。完成在庫は2019年3月期にはゼロを目指す。
「クリオ日暮里セントラルマークス」の53㎡のプラン
「クリオ神田」の60㎡のプラン
人数も構成比率も過去最高を更新 東京都港区 課税標準額1000万円以上の納税者
東京都港区の平成30年度特別区民税課税標準額1,000万円以上の納税義務者数は22,163人で、全納税義務者に占める割合は前年度の15.0%を0.7ポイント上回る15.7%となり、人数も比率も過去最高記録を更新した。
全納税者の総所得金額は1兆3,007億円で、前年度の1兆2,312億円から5.6%増加した。
長谷工グループ 第4回「長谷工の森林」CSR活動に70名参加
「長谷工の森林(もり)」プロジェクト
長谷工グループ9月29日(土)、長野県茅野市の「長谷工の森林(もり)」で第4回森林整備活動を実施した。
「長谷工の森林」プロジェクトは、創業80周年記念事業の一環として2017年にスタートしたCSR活動で、長野県茅野市と和歌山県田辺市で開催している。
4回目となる今回はグループ社員とその家族70名が参加。地元業者による大木伐採のデモンストレーション見学と森林内散策を行いながら、生物多様性の意義や重要性を学んだ。
Jプロ 首都圏での不動産事業強化 「日吉」の次は大激戦の「鷺沼」に挑戦
「ディアスタ鷺沼」完成予想図
今年7月1日付で社名を菱重プロパティーズから「JR西日本プロパティーズ」(略称:Jプロ)に変更した同社が首都圏でのマンション事業を強化する。先に紹介した「ジェイグランディア日吉」に続き、今回は「ディアスタ鷺沼」を紹介する。
物件は、東急田園都市線鷺沼駅から徒歩10分・宮前平駅から徒歩9分、川崎市宮前区有馬1丁目に位置する6階建て全83戸。専有面積は64.98~92.02㎡、10月中旬分譲予定の第1期(戸数未定)の価格は4,900万円台~8,100万円台(最多価格帯5,800万円台)、坪単価は270万円くらいになる模様。竣工予定は2020年2月下旬。施工は風越建設。売主は同社(事業比率50%)のほか東急不動産(同)。販売代理は三井不動産レジデンシャル。
現地は、三菱重工社宅跡地で、緩やかな南下がりの傾斜地。建物は南東・南西向きが中心の3棟構成で、逆梁アウトフレーム工法を採用。青山フラワーマーケットの空間事業部「RarkERs(パーカーズ)」とコラボし、モデルルームインテリアと植栽を演出している。
主な設備仕様は、ディスポーザー、食洗機、御影石キッチンカウンターなど。リビング天井高は2450ミリ、サッシは2.2m。
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物件が所在する宮崎台-宮前平-鷺沼駅圏は現在、数物件が分譲されており、今後も続々新規物件が販売される大激戦地。
同社の物件は、急行停車駅が最寄で、懸念される坂もそれほどきつくない高台立地が特徴。価格も宮崎台や宮前平の物件とほぼ同等か若干高いくらいに収まりそうだ。
先に紹介した「日吉」の第1期は52戸に決まったようだ。全86戸だから約6割を供給する。
電鉄(系)会社各社は首都圏でのマンション・戸建て事業を強化しているが、JR西日本もJプロを通じて首都圏での事業強化を本格化させる。「日吉」に続き、この大激戦の「鷺沼」でも存在感を示すことができるか。
「RarkERs(パーカーズ)」について一言。コスモスイニシアも「RarkERs(パーカーズ)」を起用して、圧巻のデザインを提案した。
ついでにもう一つ。最近、価格を抑えるため専有面積を圧縮し、設備仕様、たとえばディスポーザーをつけないとか食洗機はオプションにするとかの物件が増えているが、「鷺沼」はきちんと標準装備している。3LDKの間口もほとんどが6200ミリ以上だ。これは評価できる。
エントランス
圧巻の1・2階の天井・サッシ2.72mだからこそ不満も 大和ハ「xevoΣ PREMIUM」
「xevoΣPREMIUM(ジーヴォシグマプレミアム)」完成予想図
大和ハウス工業は10月1日、富裕層をターゲットとした住宅業界最高クラスの鉄骨住宅商品「xevoΣPREMIUM(ジーヴォシグマプレミアム)」の販売を開始する。販売に先立つ28日、モデルハウスを報道陣に公開した。
新商品は、①業界最高水準の断熱・耐震性能及び長期保証②天井高2.72mまで達するサッシやドアの「グランフルデザイン」③業界最大級となる彫りの深さ12mm を実現した新外壁を開発・装備しているのが特徴。
同社取締役常務執行役員 住宅事業全般担当・大友浩嗣氏は、「2014年に発売開始した『xevoΣ 』の天井高2.72mの採用率は80%を超え、累計13,500棟を販売するなど評価されているが、当社の(同業他社と比較して)若干弱い富裕層向けを強化するのが狙い。4月から始めたプレ販売では7月、8月は月間10棟を契約するなど手応えは十分。年間600棟の販売目標はクリアできる」と話した。
同社住宅事業推進部商品開発部長・藤原陽介氏ら関係者は、「xevoΣ」と比較して1.6倍の開口部を設けることができたこと、軽くてデザイン性に優れる高さ2.72mの「グランフルサッシ」を開発し、2階も2.72m天井を提案していること、業界最大級となる柄の深さ12mmの新外壁「ベルサイクス」の良さなどを強調した。
新商品の坪単価は90万円~120万円。販売目標は年間600棟(北海道・沖縄除く)。
「グランフルデザイン」
2階の天井高2.72m提案
◇ ◆ ◇
高天井がいいのは言うまでもない。今回の新商品は2階も天井高2.72mを確保し、しかも掃き出し窓をフラットにしている。これはいい。富裕層向けの分譲戸建ても天井の高さ競争に拍車がかかっている。
LIXIL製という「グランフルサッシ」は障子枠を従来の9cmから5cmに細くし、閉めたときの収まりもよく、しかも軽いのに驚いた。開口部を多くしてもZEH対応が可能というのも納得だ。
しかし、「弱い富裕層向けを強化する」のが狙いであるとすれば、不満も残った。第一に、せっかくの2階も含めた天井高2.72m(一部3m)の圧倒的な大空間が十分演出できていない点だ。
その理由は、今回公開された港北インター住宅公園展示場の敷地形状のためなのか別にあるのか分からないが、約71坪の建物の階段室を建物のほぼ中央に配したことで、廊下部分にもかなりのスペースが取られており、その分リビング、各居室などが窮屈に感じられた。主寝室は8畳大もなかったのではないか。
もう一つ、設備仕様レベルは富裕層を納得させるものかどうかという疑問だ。
1階の床は挽き板が、約5畳大の防音室にはヘリンボーンがそれぞれ採用されていたが、その他の建具・家具の多くはシート張りだった。キッチンカウンターは一見してすぐそのレベルが分かった。
マンションの例だが、三井不動産の「パークマンション」「パークコート」が圧倒的な支持を受けているのは、質がけた違いだからだ。7年前だが、「パークコート六本木ヒルトップ」は階高を3,400~3,450ミリ確保したため廊下、キッチンの天井高も最低2,350ミリあった。
近鉄不動産「グランド ミッドタワーズ大宮」は、ザ・ペニンシュラ東京を手がけたデザイナー橋本夕紀夫氏を起用し、天井高は3m、リビングの床全面を亀甲仕上げとし、建具・面材は全てクリ、トチなどの突き板、廊下幅は1~1.2m、ドアはイタリア製だった。
橋本夕紀夫氏を起用した最近のマンションでは、坪単価750万円の東京建物「Brillia 一番町」が絶好調だ。
ヘリンボーンでは、昨年見た「サンウッド青山」は「マダガスカル・ローズウッド、パリサンダー」と呼ばれる希少高級材が床全面に張られていた。
同業のハウスメーカーの富裕層向けも、三井ホームはかつて坪単価250万円のモデルハウスを設けたことがあったし、積水ハウスや三菱地所ホームなども圧倒的な存在感がある。
この日、配布されたパンフレットには、様々な敷地形状にも対応できる1~5までのプランが紹介されている。1や2、5はとてもいいプランだ。今度、どこかでは同業他社に負けない〝突き抜ける〟モデルハウスをつくってほしい。
高断熱アルミ樹脂複合サッシ
「ベルサイクス」
木の美しさを全面に 天井高3m実現 三井ホームが新商品「LANGLEY(ラングレー)」(2018/4/11)
大和ハウス 天井高2.8mの「xevoΣ」ロビーに公開 一般住宅との差が一目瞭然(2017/4/26)
効果てきめん 三菱地所ホーム 全館空調「エアロテック」記者も宿泊体験(2017/10/30)
積水ハウス 古河に2億円「イズ・ステージ」と1.2億円「グラヴィス・ヴィラ」(2016/7/17)
埼玉県の過去最高レベルマンション 近鉄不動産他「グランド ミッド タワーズ大宮」(2010/6/2)
アキュラホームの「チーム匠」 第1回壁-1グランプリで総合優勝
「チーム匠」の木造耐力壁「一位の壁」
アキュラホームは9月27日、東京大学木質材料学研究室、篠原商店と共同開発した木造耐力壁「一位の壁」が「第1回 壁-1グランプリ」で総合優勝したと発表した。従来の木造耐力壁ジャパンカップを含め通算5回目の総合優勝。
大会は埼玉県行田市・ものつくり大学で9月15~17日にかけて行われたもので、12チーム(体)が参加。二体の木造耐力壁の足元を固定した状態で桁を互いに引き合わせ、どちらか一方の壁が破壊されるまで行う形式で争われた。
同社チーム(チーム名:チーム匠)は、8体による決勝トーナメントでは準々決勝戦で敗退したが、耐震性、加工、施工、コスト、環境負荷、デザイン性のトータルバランスが優れている壁に贈られるグランプリを獲得した。このほか、デザイン、加工・施工、オーディエンスの3部門でも部門賞を受賞した。
「一位の壁」は、赤松、イチイ樫、白樫で構成され、「イチイ樫」を使用した縦貫材を並べ応力を分散させることで粘りを発揮させ、白樫を使った補強斜材を用い、土台の欠損を最小限にさせ、適切な位置にビスを使用することで、高耐力を生み出す耐力壁。
トーナメント戦では三井ホームGT「G-WALL HD」が優勝した。
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この大会の結果については別掲の通り記事にしたのでこれ以上書かないが、圧倒的に強い壁がグランプリを獲得できず、準々決勝戦で敗退する壁が総合優勝するということが素人には釈然としない。
ただ、なるほどと合点がいくものはある。
現段階では、成績表が公開されていないが、前回の第20回木造耐力壁ジャパンカップの例からすると、チーム匠は、会場での施工時間に作業者数を乗じた人工数に5を乗じた施工費で他を圧している。
総合評価は、耐震点とデザイン点を合わせた数値を材料点、加工点、施工点、解体点、環境点を合わせた数値で割って算出するのだが、チーム匠の施工点は0.734点で、もっとも高かったチームの7.731より一桁小さく、トーナメント優勝したポラス暮し科学研究所の3.188とも大きな差をつけている。次位チームの2.032も大きく引き離している。
この差が今回も総合優勝に大きく作用したということであれば、これはこれで納得できる。職人不足が深刻化する中、いかに人員を減らし、施工時間を削減するかが最大の課題なのではないか。その意味ではチーム匠は称賛に値する。
三井ホームGT「G-WALL HD」
チーム匠がグランプリ 初参加の三井ホームはトーナメント制す 第1回「カベワン」(2018/9/18)
「鷺沼」の再現なるか 大成有楽不動産「オーベル藤が丘」
「オーベル藤が丘」完成予想図
大成有楽不動産「オーベル住吉マスターテラス」に続いて「オーベル藤が丘」を紹介する。駅から2分の閑静な住宅街に立地。人気になった「オーベル鷺沼マスターレジデンス」と同様の売れ行きを見せるかどうかに注目したい。
物件は、東急田園都市線藤が丘駅から徒歩2分、横浜市青葉区藤が丘二丁目に位置する地下2階・地上5階建て全51戸。専有面積は58.35~74.73㎡、価格は未定。竣工予定は2019年7月下旬。設計・監理は陣設計。施工は南海辰村建設。販売予定は10月下旬。
現地は、中層マンションが建ち並ぶ住宅街の一角。敷地は企業の社宅跡地。建物は、傾斜地・敷地形状を生かし、エントランスを地下2階、駐車場入口を2階に設置。歩車分離動線を実現。外壁は重厚感を出す工夫を施している。
プランは、角住戸の「プライバシー重視」(6タイプ)、7.8m以上のワイドスパン「ワイドスパン」(11タイプ)、廊下面積を少なくした「収納充実」(6タイプ)の全23バリエーションを用意。
設備仕様は、人気になった「鷺沼」と同様、オレンジ収納を採用。。キッチン天板はフィオレストーン。
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注目される価格だが、「藤が丘」は各駅停車駅だから、坪単価320万円だった「鷺沼」よりは間違いなく安くなる。同社は坪300万円以上を予定しているようだ。
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それにしても、田園都市線は相対的に価格が高い。昨年、見学した「ドレッセWISEたまプラーザ」は坪400万円近くても売れたし、都内の「二子玉川」は坪500万円が相場になりつつある。一駅先の「青葉台」でも〝駅近〟なら坪300万円をはるかに突破するはずだ。
わが多摩センター駅圏はというと、坪180万円台でも厳しい。藤が丘は渋谷へ、多摩センターは新宿へそれぞれ30分圏なのに、大きな差をつけられている。街のポテンシャルは多摩センターのほうが上回っていると思うのだが…。
なぜ、これほどの差があるのか、その責任の一端は同社にもある。同社は2011年、現在は桜美林大学の施設になっている厚生年金施設「サンピア多摩」の駐車場跡地で「オーベルグランディオ多摩中央公園」358戸を分譲した。多摩中央公園に隣接する一等地のマンションだったにもかかわらず、坪単価は170万円台に抑えられた。
同社が「多摩中央公園」の設備仕様レベルも上げ、もっと高い値段で売っていれば、多摩センターの市場も変わっていたはずだ。
多摩センターは立川や新百合ヶ丘に坪単価にして100万円くらいの差をつけられている。残念。
ヒルトップの社宅跡地 「オレンジラボ」がいい 大成有楽不「鷺沼」(2018/5/8)