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「ナーサリールーム  ベリーベアー深川冬木」遊戯室棟 園庭

 9月25日に行われたキッズデザイン協議会「第12回キッズデザイン賞」受賞発表・表彰式で、積水ハウスの街をつなぐ保育園「ナーサリールーム  ベリーベアー深川冬木」が優秀賞・少子化対策担当大臣賞を、 ライフスタイル提案「トモイエ 共働きファミリーが暮らす家」が奨励賞・キッズデザイン協議会会長賞をそれぞれ受賞した。同社の受賞は2部門4点で、同賞の創設以来12年連続。

 「深川冬木」は、高速道路の高架下の空間を有効活用し、建物配置や外構計画を工夫することで、街との多様な関係が生まれるよう、「地域資源」としての取り込みが評価された。審査員は「高速道路高架沿いの全長180メートルを超える緑地帯を活用し、『街に開く』『自然を感じる』のテーマを、空間環境としても、運用としても見事に実現させている」と評価した。

 「トモイエ」は、2009年から展開しているもので、「みんな家事」をコンセプトに「洗濯」「料理」「掃除」を家族みんなで楽しく効率的にこなせるよう間取りや空間、収納、設備の工夫を行っているのが評価された。

 同賞は、子どもの安全・安心と健やかな成長発達に役立つ優れた製品・空間・サービス・活動・研究などを顕彰するもので、この日は、受賞作品252点の中から最優秀賞、優秀賞、奨励賞、特別賞など優秀作品33点が選ばれた。最優秀賞 内閣総理大臣賞は、着脱が容易で、一定の力が加わるとスライダーが外れるYKKのファスナー「QuickFree®」が選出された。

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保育室棟 内部

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 「深川冬木」はニュース・リリースで読んだような気がしたが、実物をみようと早速見学した。

 保育園は、東西線門前仲町駅から徒歩5分の高架サイドの準工エリア(建ぺい率60%、容積率300%)に位置する約200m×約22mの細長い敷地に重量鉄骨ラーメン構造の2階建て延べ床面積約2,012㎡の保育室棟と、木造平屋建て延べ床面積約290㎡の遊戯室棟から構成されている。完成は2017年3月。園児定員は200名で、運営はネス・コーポレーション。

 道路に面する敷地北側には緑地帯を設置し、高架下に面した南側には園庭を配し、フェンスを設けることで地域との緩やかな交流ができるようにしているのが特徴だ。

 保育室棟、遊戯室棟とも、内装材には無垢の柱、床材などを多用。玄関・ホールには既存樹のケヤキの高木を取り込んでいる。

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保育室棟エントランス

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既存樹のケヤキを取り込んだ保育室棟玄関・ホール

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 一昨日(23日)に同社の「江古田の杜」街びらきを取材し、緑の質と量に圧倒されたのだが、今回もけた違いの緑地帯に天にも昇る気持ちになった。

 添付した写真を見ていただきたい。道路を挟んだ対面の建物群と何と対照的であるか。記者はこれまで公開空地や緑被率を高めた建築物には容積率を緩和するとともに高さ規制を緩めるべきだと主張してきた。現行の建基法や都市計画法は単体の規制のみで、街のポテンシャル・価値を向上させるという視点が欠落していると思う。総合設計制度ももう少し弾力的に運用すべきだ。

 保育園にお願いして、玄関・ホールも見せていただいた。玄関サイドのカウンターには前日(9月24日)が「中秋の名月」であったためか、秋の七草にちなんだススキ、キキョウなどが飾られていた。

 皆さんは秋の七草ハギ、キキョウ、クズ、フジバカマ、オミナエシ、オバナ(ススキ)、ナデシコはご存じか。記者は頭文字をとって「おすきなふくは?(お好きな服は?)」と覚えることにしている。オミナエシ(女郎花)はどこにでも生えていたが、今は絶滅危惧種ではないか。

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対照的な対面との街並み

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「中秋の名月」のお飾り

中学3年・栗田哲くん キッズデザイン協議会会長賞を小中学生として初受賞(2018/9/25)

緑の質量に圧倒 エントランスに樹齢100年巨木「江古田の杜」街びらきに千数百人(2018/9/23)

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栗田哲くん(キッズデザイン賞授賞式で)

 キッズデザイン協議会「第12回キッズデザイン賞」記者発表会・表彰式が925日行われ、中学2年生の栗田哲くん(13歳)が考案した「食べ残しNOゲーム」(NPODeepPeople)が、小中学生個人の受賞としては初となる「キッズデザイン協議会会長賞 奨励賞」を受賞した。

 同ゲームは、当時、小学6年生だった栗田君がDeepPeopleの助言を受けながら考案したものを商品化したカードゲームで、プレイヤーが飲食店の店主となり、儲けを出しつつ食べ残しをどう減らすかを競うもの。遊びながら食品ロス問題を考え、その原因や解決法を楽しく学べる。

 審査委員は、「プロダクトとしてのクオリティには改善の余地はあるが、実家の飲食店でフィールドワークを行うことで気づいた問題を、その原因と消費者としてとるべき行動までを理解できる教材に仕立て、意志ある事業者がそれを社会デビューさせたプロセスを応援したい」とコメントしている。

 「未来価値創造大学校 自分学部 アドベンチャーコース 研究生」という肩書を持つ栗田くんは、大阪市で飲食店を営む栗田太樹・早苗ご夫妻の兄兄姉姉の末っ子。「飲食店を経営する父とDeepPeopleの牧さん(理事長・文彦氏)が知り合いだった縁で、6年生の時から取り組み始めました。店のゴミ箱に捨てられている食べ残しの量にびっくりしたのが、考えるようになったきっかけです。将来? まだはっきり決めていませんが、父のあとを継ぎたい」と喜びを語った。

 この日は学校が休みとかで、両親と姉と一緒に上京していた。栗田くんの嫌いな食べ物はピーマンで、好きなものは寿司、ラーメンとか。

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「食べ残しNOゲーム」(NPODeepPeople)のブース

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 栗田くん、受賞おめでとう。おじさんは、キッズデザイン賞を応援したくて取材してきたが、小中学生個人が初の受賞であることを知り、とても嬉しくなった。

 人としてもっと大切な「食」をテーマに、しかも「食品ロス」に真正面から取り組む姿勢に感動すら覚えた。奇しくも、この日の朝日新聞は「食品ロス」の問題を社説で取り上げていた。食べる量と捨てる量が同じだと。

 どうしたら改善できるか。むずかしい問題だ。おじさんも分からない。しかし、食べ物を生産する農家や、さらには森林・林業、水産業などにも思いをはせてほしい。食べていくのが大変で、山や田畑がどんどん荒れている。美しい自然や文化も危機的状況にある。

 食物を育てるのに欠かせない水だって、われわれはただのように思っているが、世界の科学者は「バーチャル・ウォーター」といって、食物を生産するのにどれだけの水を消費するかを研究している。栗田くんもこの問題に取り組んでほしい。

 こんなことを言ったら怒られるかもしれないが、この日、総理大臣賞を受賞した着脱が容易で、外れたほうが安全という考えから商品化されたYKKのファスナー「Quick Free」は結構な商品だとは思う。が、しかし、難儀しながら掛け違いなくボタンを付けられるようにする学習も必要ではないか。「ボタンの掛け違い」は死語になってもいいのか。おじさんは栗田くんのほうに1票を投じる。

 さらに言えば、キッズデザイン賞についてもわれわれは考えないといけない。この賞がもてはやされるのは、逆に考えれば、これまであまり考えられてこなかったからではないかと。

 記者は大人も子どもも、健康な人もそうでない人も高齢者も、みんなが使いやすいユニバーサルデザイン(UD)の思想が大事だと思っているが…。それぞれ大人の立場があるようだ。

 安倍総理は、この日の発表式・表彰式に「日本は、今、少子高齢化という、国難とも呼ぶべき危機に直面しています」「安倍政権は、待機児童の解消や子育て世代の負担の軽減など、未来を見据えた新たな国創りのため、子どもたちに大胆に投資していきます」とメッセージを寄せた。「『働き方改革』を断行し、仕事と子育てを両立できる環境整備も進めていきます」と述べた。

 しかし、その一方で「子どもを3人以上産め」とか「LGBTは生産性がない」(栗田くんにはちょっと難しいか)などと平気でしゃべる政治家もいる。子どもを産みたくても産めないひとはいっぱいいる。経済が許さないし、ゆとりある家にも住めない。そうした人たちを思いやる心を持ってほしい。

 それにしても、お母さんを5度も孕ませた(失礼)元気なお父さんも立派だが、お母さんはえらい。どんな痛い目をしたかおじさんは男だから分からないが、頭が下がる。

 そんな立派なきみのお父さんお母さんがいるのに、どうして「少子高齢化という、国難とも呼ぶべき危機に直面」したのか、安倍総理は他人ごとのように話すのはなぜか。おじさんは4人兄兄姉姉の末っ子だが、少なくとも昭和40年くらいまでは〝子だくさん〟はごく普通で、貧しくても生きられた時代だった。

 そして、栗田くん。この日、審査委員長の益田文和氏も触れたように、国連が定めた「持続可能な開発目標(SDGsSustainable Development Goals)」の視点を忘れずに新たな目標にチャレンジしてほしい。おじさんの記者としてのモットーは「愛」です。人にやさしい、地球環境にやさしい-この視点・モノサシでものを計ると、見えないものが見えてくるのです。頑張れ、栗田くん。

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「第12回キッズデザイン賞」記者発表会・表彰式(六本木ヒルズで)

 日本政府観光局(JNTO)は9月19日、2018年8月の訪日外客数は前年同月比4.1%増の257万8千人となり、8月として過去最高を記録したと発表した。8月までの累計は2,130万9千人となり、これまでで最も速いペースで2,000万人を超えた。

 新規就航などによる航空路線の拡充に加え、継続的に展開している訪日旅行プロモーションの効果が伸びた要因としている。

 一方で、大阪府北部の地震や7月豪雨の影響により、これまで訪日者数の伸びを牽引してきた東アジア市場の一部で訪日需要が抑えられたことが、訪日外客数全体の伸びの鈍化に影響を及ぼした。

 市場別では、イタリア、スペインが単月として過去最高を記録したほか、中国、台湾、香港、タイ、シンガポール、インドネシア、フィリピン、ベトナム、インド、豪州、米国、カナダ、英国、フランス、ドイツ、ロシアの16市場で8月として過去最高を記録した。

 

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街びらきテープカット(左から総合東京病院・渡邊貞義氏、横山副区長、子どもたち、田中氏、積水ハウス東日本建築事業本部本部長・篠崎浩士氏)

 総合東京病院、積水ハウス、都市再生機構が連携して開発を進めている住宅、医療、保育施設などからなる約3.9haの「江古田の杜プロジェクト」の街びらきが9月23日、行われた。総合東京病院が主催する「江古田のまつり」と合わせ同時開催されたもので、子育て世代から高齢者、障がい者まて〝新しい街づくりのモデルになる〟コンセプトにふさわしい多様な千数百人の人々が集まり、終日にぎわった。

 街びらきイベントに出席した中野区・横山克人副区長は、「このプロジェクトは区が10年以上前から取り組んでいるもので、本来は酒井直人区長が出席すべきですが、本日は、棟方志功にゆかりのある自治体の関係者が集う『棟方志功サミット』が富山県で行われており、区長は公務でそちらに出張していますので、わたしが代わりご挨拶させていただきます。棟方志功は昭和の初期、江古田の近く大和町に約10年住み、江古田の里山や緑をたくさんスケッチしたとても縁の深いところです。区は子育て先進国として、この『江古田の杜』を位置づけ〝新しい街づくりのモデル〟になるよう取り組んでおります」と述べた。

 平成20年に国家公務員宿舎跡地約4.4haを国から取得し、プロジェクトを主導してきた都市再生機構東日本都市再生本部本部長・田中伸和氏は、「多世代・子育て、防災、緑、健康・スポーツという4つのテーマを設定し、総合東京病院さんと積水ハウスの協力を得て協議会を立ち上げ整備してきました。今後は、管理組合や積水さんを中心とする新たなステージを担うリブインラボ協議会にバトンタッチしますが、立派な街づくりを行っていただきたい」と語った。

 公園にシートを敷き子どもと食事をしていた40歳代の女性は、「近所に住んでいます。子どもは3人。専業? いえ、働いたりそうでなかったり。ここはいいわよ。学校も公園も病院も近いから。ちょっと駅まで遠いけど。わたし? 中野までは自転車、新江古田駅を利用するときは歩きます」と話した。

 別の30代の夫婦は、「マンション? もうちょっと安くてもいいのでは(坪単価300万円弱)。この環境に価値があると思う人にはいいかも」とイベントに急いだ。

 プロジェクトは、積水ハウスの531戸の分譲マンション「グランドメゾン江古田の杜」(A街区、施工:長谷工コーポレーション)、総合東京病院B棟(B街区、施工:熊谷組)、積水ハウスの子育て世帯向け賃貸263戸、サ高住121戸、学生向けマンション85戸、医療従事者向けマンション56戸、介護付き有料老人ホーム94室などからなる「プライムメゾン江古田の森」(施工:積水ハウス)の3街区で構成。認可保育所や学童クラブも誘致予定。

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植樹祭

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 積水ハウスの「5本の樹計画」はたくさん見学しており、マンションは「東京テラス」「玉川上水」「杉並」「伊勢山」「狛江」などの植栽に圧倒されたのを思い出す。

 今回の「江古田」も一部は見学しているが、完成した街を歩いて、緑の質と量に言葉を失った。

 最初に目に飛びこんできたのは、「グランドメゾン江古田の杜」の900㎡もあるエントランスに植えられているユリノキの巨木だった。メジャーを借りて計ったら胴回りは約3.14m、つまり直径約1mあった。樹齢は100年超と推測した。しかし、ちょっと待てよ、ユリノキは外来種ではないか。同社の「里山」は在来種で構成されているのでは? 

 その謎はすぐ解けた。メインストリートの街路樹はハナミズキだ。明治45年、わが国がアメリカにサクラを贈ったお礼としてハナミズキがアメリカからもたらされ、江古田の森に植えられたと横山副区長が説明した。記念の植樹もハナミズキだった。

 なるほど。ユリノキもまたハナミズキと一緒に輸入されたのだと確信した。明治45年に植えられたとすれば、樹齢100年超は符合するではないか。その巨木をマンションのエントランスに移植する-これが積水だ。

 江古田の森公園の前身、東京市療養所(後の国立療養所中野病院)が設けられたのは1919年5月とある。約100年前だ。公園内にはヒマラヤスギの大木がたくさんある。これらは全てアメリカから贈られたものに違いない。

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エントランスのユリノキ

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計測した胴回り

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エントランス

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マンションの外周グリーンベルト(幅は13mくらいか)

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 同社のサ高住+子育て支援住宅は「古河庭園」を見学しているが、今回は今春竣工した「グランドマスト勝どき」(サ高住62戸+子育て支援住宅44戸)についで3棟目だそうだ。

 バルコニーの外にすぐ「杜」が展開するのに驚いたが、62㎡のサ高住のトイレは幅102cm×182cmもあった。同業の100キロの巨漢記者は「おお、俺でも楽に入れる」と歓声をあげた。普通のマンションもこれくらいの広さがあっていい。谷崎潤一郎はエッセー「厠のいろいろ」で、投げ出したくなるような〝蘊蓄〟を披瀝しているが、デベロッパーはもっとトイレの商品企画に力をいれるべきだ。

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サ高住の居室とトイレ

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 ニチイの介護付き有料老人ホーム「ニチイホーム江古田の杜」も見学した。この種の施設は、特養に体験宿泊もし、オリックスや東急不動産の富裕層向けなどを見ているが、ニチイの施設は全体的にレベルが高いという印象を受けた。食器類も立派なものが使われており、ある〝食〟が売りの施設とは雲泥の差だった。同社は約30年の実績があり、今回で74棟目というのも納得だ。

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「ニチイホーム江古田の杜」エントランスホール(左)と食事メニュー例

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サニーテーブルの無料サービスに長蛇の列

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持続可能な街づくり推進 積水ハウスなど 「江古田の杜プロジェクト」説明会(2017/10/26)

江古田の杜 コミュニティ施設に「Casita(カシータ)」のサニーテーブル(2017/12/12)

積水ハウスUR都市機構と江古田三丁目で「画期的」な複合タウン(2015/3/9)

積水ハウス 住宅メーカーにこだわり医療・介護事業を強化(2013/12/13)

子育て住宅と高齢者住宅の複合賃貸 積水ハウス・積和不動産「古河庭園」(2012/3/1)

里山を見るような見事な植栽 積水ハウス「グランドメゾン狛江」竣工(2013/9/21)

億ションの歴史を変える積水ハウス「グランドメゾン伊勢山」(2011/5/13)

景観美に圧倒される積水ハウス他「グランドメゾン東戸塚」(2008/3/25)

積水ハウス「グランドメゾン杉並」で見た売主の〝良心〟(2006/9/1)

植栽が見事「東京テラス」「玉川上水グランドメゾン」(2006/5/31)

 

 

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「ことしな北浦和」

 ああ、あそこ。いまはポラスさんが住宅を建てているところ? あそこはね、以前は雑木林だったところで、車を停め、窓から足を出して昼寝したもんです。タヌキなども生息していて、近所の人たちは「今日は出るかもね」などと楽しみにしてたもんです。今は世知辛い世の中で、全部位置情報で会社に分かるからね。成績のいい運転手は見て見ぬぬりをしてもらえるが、成績が上がらない者は呼び出しを食らっちゃう。それにしても、ポラスさんは偉いね。大きなことをする。あそこの社長が阿波踊りを初めて、いまでは埼玉で1、2位を争う祭りに育てた。(えっ。ポラスさんってそんなに大きいんですか)いゃ、大したもんですよ。

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 ポラスグループのポラスタウン開発が分譲中の分譲戸建て「ことしな北浦和」を見学した。冒頭は、同社広報マンと北浦和からタクシーに乗って、行き先を伝えたところ、運転手さんが〝勝って〟に話したことをそのまま紹介した。タクシーの運転手さんも〝雑木林〟と話したように、現地は以前、一軒の邸宅が建っていたところで、その環境を極力残そうと飛騨古川の町並みをモチーフにしたランドスケープデザインと、住戸プランが秀逸だ。

 物件は、JR京浜東北線 北浦和駅からバス10分バス停徒歩1~2分、さいたま市浦和区瀬ヶ崎3丁目、建ペイ率60%、容積率172%の第二種中高層住居専用地域・第一種住居地域に位置する全42棟。現在分譲中の住戸の土地面積は約100~108㎡、建物面積は約94~102㎡、価格は4,380万~5,380万円。構造は木造2階建(在来工法)。建物は一部完成済み。

 現地は、木崎中学に近接、浦和高校も徒歩圏の文教エリアの一角。地域住民からも親しまれていた住環境を少しでも残そうと企画。「相場崩しを嫌う」(伝統の街並みを壊すみっともないものは建てないという意味)飛騨古川の町並みを担当者が歩き商品化した。

 街並みを形作る大きなアイテムである犬矢来、戸格子、下見板、大和塀、隈寄席など古来の建築様式を現代風にアレンジしたのが特徴。大きな提供公園にはクスノキを植えている。舗装材には遮熱、透水性の高い素材を採用。

 住戸の配棟計画では、敷地境界に塀を設けず、洗い出しの色やタマリュウ、トクサなどの植物で見分けられるようにしたり、2~3戸で共有するコモンガーデンを設置したりして緑被率を上げるとともにオープンな街並みを演出している。

 各住戸には、銘木フローリングのほか、化粧梁、柱見せ(壁で隠さずに敢えて見せる)、タモ材の腰壁などの木を多用。壁は珪藻土塗り壁・左官壁を採用。

 今年2月から分譲が始まっており、半分以上が成約済みという。

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洗い出しの色によって敷地境界が分かるようにしている(中央の樹木はイロハモミジ)

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コモンガーデン

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 広報担当から企画をしたのは同社の百瀬修氏であることを知らされた。「ああ、あの百瀬さんか」とすぐ思い出した。

 百瀬氏の「作品」に最初に出会ったのは8年前だ。注文住宅モデルハウス「『ARZILL(アルジール)』~街のCOTTAGE ~」だった。「ダイニング・寝室・リビング」といった既成の概念を「食べる・寝る・遊ぶ」スペースに置き換えたプランに驚嘆した。

 その後、百瀬氏が主導したモデルハウスや販売現場を取材し、その都度、間接的に会話を交わしてきたような気がする。

 今回の「ことしな北浦和」は、百瀬氏の街や住まいに対する思想が全て盛り込まれていると思った。敷地境界に黒竹を配する都市型戸建てなど絶対にないはずだ。犬矢来、戸格子、下見板、大和塀などはわれわれの世代にとって日常的な風景だった。それが〝フェイク〟ではあったが、至るところに採用されていた。

 モデルハウスもよくできている。いかにも百瀬らしい土間の提案もさることながら、記者が感動したのは若手の建築士、内田里絵氏による敷地延長プランだった。コモンガーデン-玄関-坪庭--土間-和室-キッチンを緩やかにつなぐブランが抜群だ。建具・家具を古民家風にまとめているのもプランとマッチする。〝敷延は売りづらい〟という既成概念をこのプランは覆した。

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モデルハウス

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わずか2週間で14戸成約 徒歩19分のハンディ克服 ポラスグループ「朝霞」(2017/2/6)

ポラス 1棟1棟にこだわりのデザイン「グレースヴィラ越谷レイクタウン」(2014/5/1)

ポラス 新越谷に2棟のモデルハウス「音楽好き」と「くるま好き」を想定(2010/10/18)

ポラス 一挙に5棟のモデルハウスオープン(2010/6/18)

 

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第1回「壁-1(カベワン)グランプリ」(埼玉・ものつくり大学で)

 昨年度の第20回で終了した「木造耐力壁ジャパンカップ」に代わって新たに企画された第1回「壁-1(カベワン)グランプリ」が9月15日~17日、埼玉県・ものつくり大学で行われ、参加した12体の耐力壁が予選を戦い、勝ち残った8体による決勝トーナメント戦の結果、チーム匠(アキュラグループ+東大木質材料学研究室+篠原商店)の「一位の壁」がグランプリを獲得、従来の「ジャパンカップ」を含めて初参加の三井ホームGT「G-WALL HD」が、トーナメント戦を制した。

 グランプリは、性能(耐震性+デザイン性)を材料費や環境負荷費で割った数値がもっとも大きかった耐力壁に贈られる。トーナメントは強さのみで競われる。

 トーナメント常勝軍団のポラスグループのポラス暮し科学研究所は参加しなかった。

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ジャッキで引き合うトーナメントでは敗退したが、グランプリ優勝した「チーム匠」の壁(左)

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 耐力(体力)、知力、気力、忍耐力、想像力、生産力…などあらゆる「力」で劣る記者は、だからこそこの種の「力」の差がはっきり出るイベントが大好きで、今回の「カベワン」は「ジャパンカップ」を含め10回目くらいの取材になる。

 取材の第一の目的は、「ジャパンカップ」から「カベワン」に衣替えしたのはなぜかを聞き出すことだった。

 これまで「ジャパンカップ」を主導してきた東大大学院木質材料学研究室教授・稲山正弘氏は「若い人に交代したほうがいい。わたしは引退。一出場者(チーム匠)として参加していく」と話した。

 稲山氏からバトンタッチを受けた「カベワン」代表で東大大学院 農学生命科学研究科 生物材料科学専攻 助教・落合陽氏(32)は「稲山先生も還暦(60歳)。スタッフの高齢化も進み、マニアックになりすぎていたことを反省し、今後は広く一般の方に木造建築のよさと技術を発信し、人材も育成することに貢献したい」と語った。

 従来と大きく変わったのは、耐力壁の大きさだ。これまでは柱は4本で、柱と柱の間は一間(910ミリ=1P)、つまり3Pだったのを、柱を3本に減らし2Pにした。

 これによって狭いスペースでも組み立てることができ、コスト的にも抑えることができるようになったという。

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落合氏(左)と稲山氏

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 準々決勝戦は波乱含みで始まった。過去の「ジャパンカップ」で何度も総合優勝している稲山氏と落合氏もチームの一員として参画しているチーム匠の「一位の壁」がKAMAGIC「ねじと斜材と平成最後の夏」に初戦で敗れた。

 稲山氏は「壊れていない。ジャッキを引ききった時点の数値が下回った。あと10センチあったら勝っていたはず」と悔しさをにじませ、落合氏は「それぞれの接合部分に力を分散するつもりだったが、1カ所に集中してしまった」と敗因を分析した。

 「一位」が「平成最後の夏」に敗れるという何とも形容しがたい結果に記者は戸惑ったが、結局は、チーム匠がデザイン性やコストなどが評価され逆転勝利した。

 驚いたのは、2×4の三井ホームがトーナメント戦で大活躍したことだ。

 配布されたパンフレットの触れ込みがすごい。「K-1グランプリに金肉ムキムキの野獣が殴り込み!『ホゾ? ヌキ? ナンダソレハ? 』木造技術を圧倒的な金力で破壊してやる!(『金』は〝metal〟なのか〝money〟なのか…)」と挑発し、「当社オリジナル木ねじによる耐力壁『Gウォール』を壁-1用にアレンジしました。シンプルなツーバイフォー耐力壁で挑戦」とあった。

 「金」は金物=金がかかるという意味のようで、その威力をまざまざと見せつけた。耐力を示す数値では65キロニュートンという、かつてポラスがマークした最高値に並んだ。

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三井ホームGT「G-WALL HD」のメンバー

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解体された壁を前に話し込む稲山氏

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 過去数度の優勝を飾っているポラスグループのポラス暮し科学研究所はノミネートしなかった。関係者は「若手中心の大会になると聞かされていたので、ポラス建築技術訓練校だけを参加させた」と〝敵前逃亡〟は否定した。

 その訓練校チームは予選を8位で突破、準々決勝戦に勝ちあがったが、予選2位の「ねじと斜材と平成最後の夏」に負荷30キロニュートンの時点で敗れた。

 チームを代表してプレゼンした池畑蓮氏(18)は「ノミとかマルノコの扱さえ知らなったわれわれが日本家屋を彷彿とさせる壁を造った。無謀にも金物を使わずチャレンジした。温かい目で見てほしい」と思いのたけを訴えた。

 チームは敗退し、みんな落ち込んでいると思いきや、メンバーの一人、奈良雄也氏(18)は「そんなことはありません。闘志がわいてきた」と前を向いた。

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壁の前でプレゼンする池畑氏(左端)

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解体作業(左)とそのメンバー

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 「美しいもののみが機能的である」と語ったのは丹下健三だ。だがしかし、わが国は、美しくて機能的なその壁をイチジクの葉っぱのようにせっこうボードで覆い隠さないと建てられない。

 実行委員会には是非ともこの不可思議な問題にも踏み込んでいただきたい。どうせ隠さないとだめなのだから、デザインなどどうでもいいという暴論も正論に聞こえるし、準々決勝戦で敗れるチームがどうしてグランプリを獲得し、圧倒的な力持ちの壁が覇者になれないのか。耐震評価とデザイン評価の配点はどうなっているのか、材料費などのコスト計算はどうなのか-よく分からない。

 三井ホームに依頼したら、「G-WALL HD」が送られてきた。材料はベイマツ、カラマツ、スギの集成材。確かに他チームとは全く異なる。これが軸組工法と枠組工法の違いだ。三井ホームは強さで他を圧したが、グランプリを逸した。デザインの評点が低かったのか、コストなどが高かったのか、現段階で詳細なデータは発表されていないので何とも言えないが、〝美は単調にあり〟(瀬戸内晴美は「美は乱調にあり」)も真理だと思う。同社の足立区の老人ホームの工事現場も見たが、とても美しかった。

 グランプリに輝いた「チーム匠」の壁は、縦貫にシラカシを用いているのが特徴。関係者は「シラカシはほとんど流通していない。マキにしか利用されない。需要はあるはず」と話していた。

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三井ホームGT「G-WALL HD」

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ポラス建築技術訓練校の壁(左)と勝利した法大宮田研究室の壁

わが国初CLT床材を利用した高層建築物 三菱地所 仙台「高森2丁目」現場見学会(2018/9/15)

アキュラホーム 第20回木造耐力壁ジャパンカップで総合優勝 大会はいったん幕(2017/9/25)

 大和ハウス工業が11月に分譲する「プレミスト梅田」が大阪府の過去最高の坪単価になることが確実となった。9月13日、同社マンション推進事業部開発推進部部長・藤原淳一氏が「価格は未定だが、坪単価は大阪府の過去最高になる」と明らかにした。

 物件は、阪急梅田駅から徒歩5分、JR大阪駅から徒歩8分、大阪市北区中崎西二丁目に位置する16階建てS棟58戸と17階建てN棟75戸の合計133戸。専有面積は54.73~122.40㎡、価格は未定だが、坪単価は300万円台の後半になる模様。施工は大末建設。竣工予定は平成32年3月上旬。

 藤原氏は、「現段階で価格は未定。坪単価400万円は難しいかもしれないが、大阪府の過去最高値になるのは間違いない」と語った。

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 記者は8月、野村不動産・大林新星和不動産「プラウドタワー北浜」を取材した。坪単価362万円の高額ながら売れ行きは絶好調だった。

 関西圏のマンション市場は全く分からないが、「北浜」より「梅田」のほうが高くなりそうなのは容易に想像できる。近い将来、一等地なら坪単価は500万円台になるのではないか。だから藤原氏に質問したのだが、果たしていくらになるか。先に積水ハウスなどが発表した51階建て「グランドメゾン新梅田タワー」(871戸)は大阪駅からややあるので坪単価は350~360万円くらいに落ち着くのではないか。

 関西圏の最高坪単価マンションは、7月に取材した東急不動産「ブランズ芦屋 ザ・レジデンス」(15戸)で、610万円だ。これには遠く及ばないが、関西圏も首都圏と同様、アッパーミドル・富裕層向けの資産性や利便性に優れたマンションが市場をリードしているようだ。

〝首都圏に負けない〟レベル 販売好調 野村不・大林新星和不「プラウドタワー北浜」(2018/9/1)

首都圏の億ションに負けない 関西最高峰の坪610万円 東急不「芦屋」(2018/7/23)

 

 

 

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「(仮称)泉地区高森2丁目プロジェクト」

三菱地所は9月11日、林野庁と国交省のそれぞれの補助事業に採択されているCLTを床材に用いたわが国初の高層建築物「(仮称)泉地区高森2丁目プロジェクト」の施工現場見学会を行った。

物件は、宮城交通宮城大学線寺岡六丁目・泉アウトレットバス停から徒歩3分、宮城県仙台市泉区高森2丁目に建築中の10階建て延床面積約3,6049㎡の全39戸の賃貸住宅。(専用面積は51.4489.43㎡。構造は木造(CLT床・耐震壁、燃エンウッド)+鉄骨造のハイブリッド構造。建築主は三菱地所、設計・監理・施工は竹中工務店、監修は三菱地所設計。完成予定は2019年3月。C LT利用箇所は床の一部(約1,000㎡/床全体の約30%)、壁の一部(約110㎡)。材積約230m

2時間耐火の大臣認定を受けたCLT床、竹中工務店の特許技術「燃エンウッド」を柱に採用。竣工後は賃貸住宅として運営し、継続的に建物性能に関するデータ等を収集する実証建物。

見学会で三菱地所住宅業務企画部CLTユニット主事・海老澤渉氏は、「職人不足による労務費の高騰や工期の長期化など、今後厳しくなる事業背景を打破する社内新規事業提案制度に採択された」と、若手4人からなる同ユニットが2年前に誕生した経緯について語り「今後、木造建築物の設計・施工機能や不動産情報ネットワークを生かし、各地の木造関係プレーヤーと連携することで、当社のアセット開発事業に寄与したい」と抱負を述べた。

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室内

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室内

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CLT搬入(左)と荷下ろし(これほど広いスペースが必要なら一般住宅は難しいか)

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 CLTを採用した建築物を見学するのは今回で4回目。ほとんどのCLT構造材はせっこうボードなどで被覆されており、現わしの燃エンウッドも少ししか見えなかったが、スギの表情がやはり美しい。木造は現しにすべきともう百万遍も書いてきたのでもう止めるが、ゴヤの「裸のマハ」と「着衣のマハ」のどちらが美しいか-いうまでもない(美意識は個人によるが)。

 海外では簡易な塗料を塗るだけで内装制限をクリアできると海老澤は語ったが、わが国では不可で、不燃処理を施した木材は高価なのでなかなか普及しないそうだ。

 2時間耐火のCLT床パネルについて触れておくと、厚さは210ミリ、その上下に振動音対策などのトップコンクリート(厚さ80ミリ)、耐火被覆のせっこうボード(厚さ60ミリ)などを重ねるので全体の厚さは410ミリにもなる。通常の賃貸住宅の床厚は180ミリだそうで、2倍以上だ。そのうえダクトなどを通すから10階建てといっても1層近く高くなる勘定だ。今回の建物の天井高は210023002500ミリという。

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「裸のマハ」(左)と「着衣のマハ」

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 多くの報道陣からはいつものようにコスト、工期について質問が飛んだ。「RCと比べどうか」と。

 海老澤氏らはその都度、「(RCなどと比較して)工期は14カ月から11カ月」「職人の数は3040人から数人」「コスト自体は3割高」などと答えた。しかし、もうこんな馬鹿馬鹿しい質疑は止めたほうがいい。そもそも性質、利点弱点が異なるものを同じ土俵、まな板に乗せ論じるのはフェアじゃない。

 どちらが森林国、木と紙の住文化にふさわしいか、人と地球環境にやさしいかに比重を置いて論じるべきだ。論を待たないではないか。

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近接する仙台ロイヤルパークホテルから(左後方にクレーンが見える。素晴らしいホテルだ)

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完成予想図

ナイス 同社国内最大 延べ床5,000㎡の軸組「久喜ことぶき苑」特養見学会に200名(2018/9/8

美と機能性は離反していいか? CLTを採用したアキュラホーム 港北「キラクノイエ」(2018/5/20

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 「中万市」

 あんたさんら、「松阪(まっさか)」ゆうたら、松阪牛くらいしか思いつきなさらんと思いますんやけど、県外の人からは「ええな、いつでもようけ松阪牛食えるで」と、よお、ゆわれるんですが、グラム何千円もするんやで、そんなことでけへんです。そやけど、松阪の誇りですわ。

 わしらの在所はなあ、「中万(ちゅうま)」いう、ほとんどが農家の田舎ですんや。120軒ぐらいやけど、60歳以上47%という高齢化も進んどるところですんや。

 あんたさんらも知っといでいるやろと思いますけど、江戸時代に三井高利という松坂出身の人が江戸に出て、越後屋という店を出しました。松坂商人という人らですな。

 わたしんとこの中万からも江戸に店を出した家(うち)が何軒かあって、今でもその名残りゆうか、蔵が50軒ぐらい残っとるんですわ。そこで、「この蔵や門が並ぶ町並みを残そやないか」ゆうことで、「中万まちなみ保存委員会」ちゅうもんをつくって、松阪市さんと一緒になって、なっとしたらええか、勉強してきたんやですわ。

 わしら、中万を観光地にしょとは思てないんやけど、保存すんのには、やっぱりお金いるんととがうか、そんなら、金儲けせなあかん、とやってや、そや、中万市やろ…中万市は川原で開かれていましたんで、「川原市」というもんですが、そんなわけでやな、60年ぶりに復活ということになったんですわ。

 「いせいも」や、江戸に店を出さんした竹口っさんが今も作っといでいる中万の古い地名からとった「乳熊(ちくま)」味噌」や、いろんなものを売ったり、古くからの家を見せてもろたりしましたらな、びっくりするほどのようけの人がおいででなあ、1,000人は超えとったんとちがうんかいな。売り切れの店がようけあって、初めてにしてはまあ儲けさしてもらいました。「今年は出店料もいくらか貰お」て、みんなゆうとんのですわ。

 「儲けた」ちゅうとなんかイメージがあんまりええことないみたいやけど、大事なことは「中万市で、お金を稼ごう、稼いだお金で町並みメンテナンス」やでなあ。そのメンテナンスやけどなあ、柿渋で門を洗ろたらなあ、見違えるほどよおなりました。

 えっ、わたしの歳かな。いくつやったかいな? あんた、昭和24年生まれの69歳? そや、わしは23年生まれや。ハハハハ

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西村氏

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 ハウジングアンドコミュニティ財団(理事長:大栗育夫・長谷工コーポレーション代表取締役会長)が、平成29年度「地域・コミュニティ活動助成事業」の対象となった10団体の活動成果発表会&まちづくりNPO交流の集いを9月1日に行ったことを先に紹介した。

 その10団体の一つに、三重県松阪市の「豪商のふるさと中万のまちなみメンテナンス」が選ばれており、代表者の西村篤史氏(70)が団体の設立の経緯、活動の内容や成果、今後の課題などについて約10分にわたって報告した。

 西村氏は標準語(東京弁)で話したのだが、同じ三重県出身(伊勢・度会)の記者は西村氏の語る言葉の端々に「故郷」がにじみ出ているのを捉えた。

 「ふるさとの 訛なつかし 停車場の 人ごみの中に そを聴きにゆく」(石川啄木)-故郷の言葉はいつ聞いてもいいものだ。西村氏が地元の言葉で語ったらどんな話ぶりになるか、とっくに忘れてしまった「伊勢のなことば」で文章を書き、西村氏に送り、添削していただいたのが冒頭の文章だ。

 松阪商人(多くの人は三井高利も伊勢商人と呼ぶ)の強かな商法が見事に語られているではないか。

※松阪市 三重県のほぼ中央に位置する人口約16万人。北は津市に接し、南は多気郡を挟んで伊勢市。気候は温暖。江戸時代、紀州方面と結ぶ和歌山街道と伊勢神宮参拝のための伊勢街道が合流する交通の要衝であったことから宿場町として栄えた。三井家の始祖・三井高利、国学者・本居宣長の出身地

※伊勢のなことば 語尾に「な」を付けるのが特徴であることからそう呼ばれている

※松阪商人 伊勢商人と松坂商人が櫛田川を挟んで張り合ったためか仲が悪いと言われたが、記者は〝目糞鼻糞を笑う〟の類だと思っていた。松坂商人より伊勢商人がメジャーになり、「伊勢は津で持つ津は伊勢で持つ」の伊勢音頭がまるで県歌のように広まったのは松阪には気の毒。県民性を表す「近江泥棒、伊勢乞食」と言う言葉があるが、本来は、近江商人は強引で、伊勢商人は手摺り足すりの商法を妬んだ言葉と言われる

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 同財団評議員・加藤種男氏の著書「芸術文化の投資効果」(本体3,200円)が水曜社から9月25日に発売される。多くの企業メセナが紹介されている。

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柿渋塗り

驚嘆!3,000㎡の田んぼを私設公園に 来園者5万人 釜石市「こすもす公園」(2018/9/2)

 

 

 

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「ヴェレーナ多摩永山ザ・シーズンズ」完成予想図

 大和地所レジデンスが分譲中の「ヴェレーナ多摩永山ザ・シーズンズ」を見学した。新宿から約30分圏の緑豊富な住宅街の一角。分譲開始から3カ月で全80戸のうち約4割が契約・申し込み済みというから順調な売れ行きだ。

 物件は、京王相模原線京王永山駅・小田急多摩線小田急永山駅から徒歩13分、多摩市永山三丁目に位置する10階建て全80戸。専有面積は70.15~95.74㎡、現在分譲中の第2期2次住戸(8戸)の価格は3,879万~5,059万円(75.02~91.12㎡)、坪単価は170万円台。竣工予定は平成31年6月下旬。設計・監理・施工は長谷工コーポレーション。

 現地は、瓜生せせらぎ散歩道と永山さくら通りに挟まれ、永山第3公園、貝取北公園などに近接、保育園、幼稚園、小・中学校なども徒歩10分圏内の高台立地。

 建物はTの字型で、住戸プランは南向き30戸、西向き50戸の構成。専有面積平均75㎡、奥行き3mバルコニーや、全面ウッド調デッキ敷のオープンエアデッキ付き、プライベートデッキ・ガーデン付など多彩なプランが特徴。

 南西角住戸の78㎡のコーナーサッシ付きモデルルームは、コーナーサッシを利用した約3畳大の多目的に利用できる「コンサバトリー」を提案。

 販売担当の同社長島学氏は「販売は順調。緑の環境と、コンサバトリーの提案が評価されている」と話している。

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コンサバトリー

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モデルルーム

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 現地周辺には、一度も車道を通らずに子どもと一緒に自転車に乗って遊びに行ったことがある。永山駅からだとなだらかな坂を上ることになるが、ここも車道を通ることなく行けるのではないか。

 〝母になるなら流山〟などと憎いコピーで子育て世帯を引きつけた流山市だが、多摩市は〝住むなら多摩〟だ。坂がきついところもないわけではないが、駅から徒歩20分圏内の自宅まで車の姿を見ることもなく信号待ちすることもなくたどり着けるのは、ここ多摩ニュータウンしかないはずだ。

 坪単価はこんなものか。先にあげた流山市の「流山おおたかの森」当たりと同じくらいか。多摩センター駅圏の坪単価180万円そこそこのマンションも販売が長期化しているのが現状だ。

 個人的には、街の熟成度や生活利便施設の集積、緑の住環境など総合的に評価すればはるかに流山市などを上回るはずなのに、この程度にしか設定できないのは情けないと思う。

 何かが欠けている。一言で言えば、ここ多摩市に住めばどのような生活ができるかをどこのデベロッパーも訴え切れていない。

 一つ例を示す。多摩市には市限定販売の石川酒造「原峰のいずみ」という日本酒がある。多摩市の原峰で生産された米を使って製造・販売されている純米酒だ。

 これが実に美味しい。こんなことを書くと怒られるかもしれないが、わが三重県の伊勢志摩サミットの乾杯式に供用された「作(ざく)」と比べてもそん色ないばかりか、勝る(味覚には個人差がある)。入荷が少ない地元の酒屋はすぐ売れてしまう。大型スーパーでは販売しておらず、京王プラザホテル多摩からもいつのまにか姿を消した。

 そんな話を長島氏や同社広報担当と話したのだが、何とその幻の酒「原峰のいずみ」が駅前の多摩市と長野県富士見町のアンテナショップ「Ponte(ポンテ)」で売っているではないか。10本以上あった。1本買った。

〝感動を売る〟のが商売だ。伊藤忠都市開発「クレヴィア碑文谷」では「亀屋万年堂」のお菓子をプレゼントされた。記者は感動した。身も心も酔わせる「原峰のいずみ」を振舞う勇気は大和地所レジデンスにはあるかどうか。

 馬鹿なことを書いたが、同社は前期、売上計上の900戸を全て売り切り、「完成在庫ゼロ」を達成した。同社広報によると「仕入れが順調に進み、販売も好調で、工期の平準化が実現した結果」と話した。駅から徒歩15分の「ヴェレーナ浦和ザ・ハウス」52戸が半年で完売したように商品企画もよくなっている。

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専用庭

駅から15分 克服できる商品企画 大和地所レジ「ヴェレーナ浦和ザ・ハウス」(2017/12/1)

 

 

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