一低の傾斜地巧みに生かしたプラン秀 末長組「青葉台」
「ロイヤルシーズン青葉台」
末長組が分譲中の「ロイヤルシーズン青葉台」を見学した。建ぺい率40%、容積率80%という普通のデベロッパーだったらまず手掛けない第一種低層住居専用地域に位置する4・8階建て(建基法では地下1階地上3・4階建て)の全69戸。通風・採光・プライバシーにこだわったプランに唸るしかなかった。
物件は、東急田園都市線青葉台駅から徒歩8分、横浜市青葉区松風台1丁目に位置する「EAST」46戸と「WEST」23戸の全69戸。現在分譲中の住戸(19戸)の専有面積は50.40~106.47㎡、価格は3,890万~10,990万円。建物は平成30年7月3日に竣工済み。施工は同社。売主は同社のほか末長企画。販売代理はライフコーディネーター。
現地は、他社のマンション見学のため何度も足を運んだことがある比高差にして4層分くらいある傾斜地。建物は、PRC構造(プレストレス鉄筋コンクリート構造)とF2システム(PRC構造+耐震壁付ラーメン構造)を採用して、住戸内に柱・梁型が極力出ないようにし、〝2戸1〟エレベータを採用しているのが特徴。
住戸プランは、プライバシーを重視して共用廊下側に窓を極力設けないようにし、多面採光・通風プランが中心。
エントランスホール
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添付した70㎡台の3LDKのプランを見ていただきたい。今はほとんどなくなった〝2戸1〟エレベータを採用。開口部は7カ所。ルーフバルコニーとバルコニー面積を合わせると9.6坪もある。プレミアム仕様は、挽き板仕上げのフローリング、天然石のキッチンカウンタートップ、突板の建具・家具、本皮のドア把手など。
販売を担当するライフコーディネーター・由井氏も「末長組さんの物件を担当しだした頃は驚きの連続。普通のデベロッパーならやらないことをされていた。階段室にもタイルを張るかよと。お客さんに寄り添う理念は創業時から変わらない」と話した。
何よりも経済設計が優先される世の中にあって、同社は貴重な存在だ。
モデルルーム
眺望
70㎡のプラン
末長組の矜持を見た 傾斜地だからこそ生きる技術力 「ロイヤルシーズン西麻布」(2018/10/5)
積水ハウス 積和建設の木造軸組「積和の木の家」発売 坪55万円から
「PARTAGE(パルタージュ)」
積水ハウスは10月25日、同社グループの積和建設18社の木造軸組構法による戸建住宅「積和の木の家」の事業強化・拡大の一環として、11月1日(木)から初の全国統一新商品「PARTAGE(パルタージュ)」を発売すると発表した。調達や物流を一本化することで坪単価55万円~(消費税抜き)という価格を実現した。年間販売目標は300棟。
「PARTAGE(パルタージュ) 」は、積和建設18社が各社独自に運用していた商品や調達、物流などを全国で一本化し、コストパフォーマンスを高めた商品にすることで、戸建住宅取得者のボ リュームゾーンである30~40代の共働き子育て世帯の暮らしのニーズに対応するもの。
新たなブランドコンセプト「仕立てのいい家、ちょうどいい家」に基づき、家事を効率よくこなせる機能と家族の団らんや趣味を楽しめる空間をコンパクトに集約した「家事も、楽しみも、わかちあう」住まい。
モダンで優れた耐久性を持つガルバリウム鋼板の屋根や外壁、樹脂サッシ+遮熱断熱複層ガラス、国産ヒノキ材の木製玄関ドアなどグレード感の高い仕様を厳選して20プランを中心に展開する。
終わりよければすべてよし 官民協働で拓く「森林×SDGs」シンポに200名
「官民協働で拓く『森林×SDGs』シンポジウム」(全国都市会館大ホールで)
書かない(未然)、書きます(連用)、書く(終止)、書くとき(連体)、書けば(仮定)、書け(命令)-書こう。美しいし森林づくり全国推進会議と林業復活・地域創生を推進する国民会議は10月23日、「官民協働で拓く『森林×SDGs』シンポジウム~新産業創出と地方創生につなぐ、分野横断的な森づくり・木づかい~」を行った。約200名が集まった。
出だしは最悪だった。冒頭、3名の方が挨拶に立たれた。このうちの2人の方はそれぞれ数分間、聴衆に向き合わず、ほとんど(文章が用意されていたのか)下を向くかプロジェクターに呼び掛けるのみで、一通りの挨拶を済ませると〝そそくさ〟と降壇した。情けない。残念至極。
〝そそくさ〟は記者が受けた印象だが、あり得ない光景だった。これが何かのプレゼンだったら、審査員はみんな×印を付けたはずだ。もう帰ろうかと思った。それでも我慢したのは「森林×SDGs」のタイトルに期待したからだ。
そのあと基調報告として登壇された川廷昌弘・博報堂DYホールディングスグループ広報・IR室CSRグループ推進担当部長は、「アドレナリンが出っぱなしといつも注意を受ける」と〝過ぎたるは猶及ばざるが如し〟を自覚されていたようだが、熱っぽく聴衆に呼び掛けた。
それからまた4人の方が合計で約2時間かけて概要報告をされた。配布されたプロジェクター用の資料は全72ページ。すべて紹介されたわけではないが、びっしり文字が書き込まれた図表を1枚につき約30秒で読まされる聴衆はたまったものじゃない。〝文字が小さい!〟と渡辺謙さんのように叫びたくなった。
それでも救いがあった。最後に登壇された東急リゾートサービス 資産企画統括部グループリーダー・徳田圭太氏は、「アカデミックな話ではなく、現場・生の声を報告したい」と切り出し、660haの「東急リゾートタウン蓼科」が2012年の土砂災害を受け、その復興に取り組むうちに単なる土木対応では災害を奉仕できないと考え、「守る」(間伐)-「つなぐ」(育てる)-「使う」(利用)することこそが「我々の使命」に気づき、「MORIGURASHI」事業を展開するようになったと話した。プロジェクターはほとんど使用しなかった。
徳田氏から〝森と山と幸と恵み〟と紹介された同じ部署の森山幸恵氏は、様々なイベントなどを行うことで「今年の夏は大盛況だった」と語った。
二人の概要報告に、パネルディスカッションのコーディネーターを務めた東京農大教授で美しいし森林づくり全国推進会議事務局長の宮林茂幸氏は「それこそSDGsの実践者」と讃えた。
パネルディスカッションでは、あらゆる生産活動、消費活動をSDGsの視点から問い直し、プラットホームを構築することが必要とパネリスト全員が確認しあった。
記者は終わりよければすべてよしと安堵した。参加者も同じ感想を抱いたのではないか。
徳田氏(左)と森山氏
宮林氏
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SDGsは、「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略で、2015年9月の国連総会で採択された「Transforming our world :the 2030 Agenda for Sustainable Development (我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ)」と題する成果文書で示された具体的行動指針。17のグローバル目標と169のターゲット(達成基準)から構成されている。
エコ・ファースト推進協議会 第9回「エコとわざ」入賞作品発表
エコ・ファースト推進協議会は10月22日、第9回「エコとわざ」コンクール審査結果を発表。応募作品630点の中から環境大臣賞には(大口町立大口中学校2年・下山樹さんの「未来の計は エコにあり」、エコ・ファースト推進協議会優秀賞には仙台市立金剛沢小学校5年・佐藤恵音さんの「とりもどせるり色の海を 脱プラで」、日本ことわざ文化学会賞入賞は東近江市立蒲生西小学校2年・和田昂志郎さんの「せかいじゅうの子どもで エコどもサミット」をそれぞれ選んだ。
各企業賞では、大和ハウス工業賞は川越市立野田中学校3年・藤井隆斗さんの「エコな家 夏はcoolに 冬はポカポカ」、一条工務店賞は磐田市立青城小学校4年・庄司悦梨さんの「木を植えて自然を作ろう人の手で、いのちのバトンつなごうよ」、積水ハウス賞は都城市立沖水小学校4年・坂元律公さんの「リビングで 家族だんらん エコ生活」がそれぞれ選ばれた。
記者の好きなのはライオン賞に選ばれた常滑市立青海中学校1年・佐々音羽さんの「おさがりは 幸せつなぐ エコバトン」だ。
長谷工コーポ 創業80周年記念「テクニカルセンター・マンションミュージアム」完成
「長谷工テクニカルセンター・長谷工マンションミュージアム」全景
長谷工コーポレーションは10月22日、創業80周年記念事業として建設を進めてきた多摩市の「長谷工テクニカルセンター・長谷工マンションミュージアム」が完成したのに伴う記者内覧会を行った。
施設は、京王・小田急多摩センター駅から徒歩12分、多摩市鶴巻3丁目に位置する敷地面積約17,663㎡、延床面積約8,800㎡。長谷工技術研究所、長谷工グループ技術研修センター、長谷工コミュニティ アウル24センター、長谷工マンションミュージアムからなる3階建て本館と、4階建て住宅実験棟、1階建て多目的実験棟の3棟で構成されている。このほか、地域に開放するビオトープも整備している。
マンションミュージアムは、企画展示や同社主催のコンテスト当選作品の展示、子ども向けイベントなどを開催し、事前予約制で一般に公開する。
長谷工テクニカルセンター・長谷工マンションミュージアム館長・江口均氏は、「これまでの各施設はそれぞれ分散しており手狭になっていたので、いいところはないかと探していたら、たまたま(多摩多摩)ここが見つかった。集合住宅の歴史や未来、建て替えを検討されている管理組合や一般の方々にも案内していく」と話した。
外観
HASEKOライブラリー
実験施設
多目的実験棟
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ある記者の方が「多摩市、中でも多摩ニュータウンは若者の数が少なく、高齢化が進んでいる」と発言した。
これにはカチンときた。多摩市民として黙っていられない。確かに数字はそうかもしれない。平成29年の多摩ニュータウンの高齢化率(65歳以上)は23.2%となっており、市域別で高齢化率を見ると、多摩市は29.3%で、八王子市の19.2%、稲城市の17.6%、町田市の11.8%と比べ突出して高く、東京都の平均23.3%、全国平均の27.7%よりも高いのは事実だ。
なぜなのか。簡単に言えば、昭和40年代の高度成長期、地方から流入する大量の労働者の住まいを確保するために多摩ニュータウンがつくられ、多摩市は他の市よりも早く開発が進められたからだ。
その矛盾が噴出しているのは言われなくたって理解している。西浦定継・明星大学教授は「何もしなければ多摩NTの人口は50年後に半減する」と警鐘を鳴らしている。
だからこそ多摩市は、そうならないよう「多摩ニュータウン再生」に取り組んでいる。高齢化は進んではいるが、街の美しさと緑の多さはどこにも負けない。元気な高齢者も多いはずだ。その知見を生かせば再生は可能だ。
お願いだから〝オールドタウン〟などと呼ばないでいただきたい。
今回の長谷工コーポの施設が「多摩ニュータウン再生」につながるかどうかは分からない。記者は賑わいを創出するために複合タウンを希望していたのだが、この土地は当初の都市計画で業務用とされているので、そうならなかったのは残念だ。
施設を一般に公開するのは結構なことだ。しかし、マンションミュージアムを小学高学年向け課外授業の対象にするのはやや難しすぎるのではないか。映像や年表、図表とにらめっこしても集合住宅のことを理解するのは容易ではない。むしろ学生さんや一般の方、業界関係者などが見るといい。戦後の集合住宅の変遷がよくわかるはずだ。同社が編み出した「コンバス」は、問題はたくさんあるけれども開発当初はいかに先進的で機能的だったかもわかるはずだ。
「コンパス」開発当初の広告
「コンパス」の再現(玄関床は塩ビシート、キッチン吊戸棚には耐震ラッチ)
子どもの勉強コーナー
設計担当者のデスク今昔
多摩中央公園
レンガ敷きの遊歩道「パルテノン大通り」(距離は約400m、幅員は約50m、クスノキの街路樹は60本以上)
想定の倍以上1,000名参加 地方と都市を繋ぐ 三菱地所「レジクラマルシェ」
「レジクラマルシェ」(「W Comfort Towers」で)
三菱地所グループの住宅系会員組織「三菱地所のレジデンスクラブ」は10月13日・14日・20日の3日間、地方創生とマンションコミュニティの活性化を目指す「レジクラマルシェ」を開催。3日間で想定の倍以上の約1,000名が集まった。
「三菱地所のレジデンスクラブ」は、今年6月に発足した住まいに関するニーズをワンストップで対応する全国で約60万世帯のユーザー会員組織。
「レジクラマルシェ」は、同組織と農業・水産・加工品を対象としたオーナー制度プラットフォーム「OWNERS」(https://owner-style.com)を運営するukka(代表取締役:谷川佳、小林俊仁氏)が連携して開催した第一弾。「レジクラマルシェ-岩手一関おいしい収穫祭-」と題し、マンションの共用スペースを会場として実施したもの。岩手県一関市農政課の職員をはじめ地元の生産者、ukkaのスタッフ、同社の関係者やマンション管理組合も参加した。
イベントは、10月13日(土)は「武蔵野タワーズ」(587戸)で、14日(日)は「ザ・パークハウス上鷺宮」(261戸)で、20日(日)はW Comfort Towers」(1149戸)でそれぞれ行われた。
ukkaは、2017年9月に創業されたITベンチャー。「100年後に続く食と農のあるべき形を創る」というミッションを掲げ、テクノロジーの技術を活用しながら、生産者と都市消費者をつなぐ新しい食材流通のプラットフォームサービス「OWNERS」を展開している。
OWNERSに掲載される全国から厳選されたこだわり食材のオーナープランに事前登録することで、その食材の1口オーナーとして生産過程や収穫の様子を楽しみながら、最も旬な時期に生産者から直接届けられるサービス。2018年9月現在、登録生産者数は約100名、ユーザー数は約4,000名。
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3日目の20日、「W Comfort Towers」(1149戸)で行われた「レジクラマルシェ」を見学取材した。ukkaの「100年後に続く食と農のあるべき形を創る」というミッションがいいではないか。
三菱地所コミュニティ都心支店管理2グループ Wコンフォートタワーズ統括所長・野村亮平氏は、「わたしたちが考えていることとukkaの目指すものは共感できる。これからのマンション管理は、居住者の高齢化や理事のなり手不足などから、コミュニティを醸成しづらくなってくる。今回のように双方が協力し合うことでWin-Winの関係が築ける。Wコンフォートでも築14年を迎え、組合の主体的なイベントがしづらくなっているが、イベントの前に行った防災訓練には例年の倍の約200名が集まったように効果もあった。大きな第一歩を踏むことができた」と話した。
30歳のukka谷川代表は「ネットを通じて第一次産業の抱えている課題を解決するのがわたしたちの役割。そのためには、都市の消費者とダイレクトにつなぐ必要がある。従来からある規模の大きい物産展は非効率で、消費者は印象に残らない。それより、もっと暮しに近くコミュニティを育て、シェアできるこれくらいの規模の街単位でのイベントのほうが反響も大きい。人と街、人と人を繋ぎ、地方創生の一翼を担いたい」と語った。
同社には、他の地方自治体からも「うちもやりたい」という声がたくさん寄せられているという。
谷川氏
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参考までに、マンションコミュニティについて以下に触れておく。
国土交通省は平成28年、「マンションの管理の適正化に関する指針」を改正し、マンションコミュニティについて「マンションにおけるコミュニティ形成は、日常的なトラブルの防止や防災減災、防犯などの観点から重要なものであり、管理組合においても、建物の区分所有等に関する法律(昭和三十七年法律第六十九号)に則り、良好なコミュニティの形成に積極的に取り組むことが望ましい」と明文化した。
その一方で、「マンション標準管理規約及び同コメント」の改正点として、「従来、本条第十号に掲げる管理費の使途及び第34条の管理組合の業務として、『地域コミュニティにも配慮した居住者間のコミュニティ形成(に要する費用)』が掲げられていた。これは、日常的なトラブルの未然防止や大規模修繕工事等の円滑な実施などに資するコミュニティ形成について、マンションの管理という管理組合の目的の範囲内で行われることを前提に規定していたものである。しかしながら、『地域コミュニティにも配慮した居住者間のコミュニティ形成』との表現には、定義のあいまいさから拡大解釈の懸念があり、とりわけ、管理組合と自治会、町内会等とを混同することにより、自治会費を管理費として一体で徴収し自治会費を払っている事例や、自治会的な活動への管理費の支出をめぐる意見対立やトラブル等が生じている実態もあった。一方、管理組合による従来の活動の中でいわゆるコミュニティ活動と称して行われていたもののうち、例えば、マンションやその周辺における美化や清掃、景観形成、防災・防犯活動、生活ルールの調整等で、その経費に見合ったマンションの資産価値の向上がもたらされる活動は、それが区分所有法第65条に定める管理組合の目的である『団地内の土地、附属施設及び専有部分のある建物の管理』の範囲内で行われる限りにおいて可能である」などと財産管理団体としての管理組合と自治会、町内会活動を混同しないよう求めた。
また、指針改正の前、平成24年から27年にかけ11回行われた国土交通省「マンションの新たな管理ルールに関する 検討会」の第9回目で次のようなやり取りがあった。そのまま引用する。
【安藤委員(安藤至・日本大学大学院総合科学研究科准教授)】 私は村辻委員のご意見よりもさらに厳格にとらえるべきだと考えております。先ほど、防災の取り組みにバーベキューを組み合わせるという話ですが、これに全員が喜んで参加しているのかということが知りたいですし、また全員が喜んで参加するようなイベントであれば、参加費を本人たちから徴集すれば良いと思います。仮に、防災訓練には参加したいがバーベキューには興味がない人、かつ区分所有者の方からしたら、自分たちのお金が目的外に使われている状況なわけですから、これは明確にすべきです。勝手に流用されては困るという考え方もあるのです。
また、防災がそれほどまでに大事なのであれば、防災訓練の参加を現時点で、ちゃんと強制して行っているのかについても気になります。全員参加しているのでしょうか。それをせずに、参加できる、そして参加したい人だけで防災訓練を行い、気の合った人たちだけでバーベキューをやるというようなことにもし管理組合のお金を使っているのであれば、それこそまさに目的外使用であり、この最高裁の判例とかの考え方からすれば、もう完全に逸脱していると考えております。
【吉田委員(吉田修・弁護士)】 今の村辻先生、安藤委員のご意見に賛成なんですが、特に外部の専門家を管理者に呼ぶということを今後考えていかなければいけないという場合に、そういう外部の管理者の人が勝手に恣意的にお金を使っちゃいけないんだよと、財産管理のために必要最低限のことしか使ってはいけないんだということがなければならないと思います。これは会社法等のことでお考えいただければ簡単だと思うんですけれども、会社法の場合に、取締役が目的外使用すれば、これは特別背任とか業務上横領ということになるわけです。
現状において、どこからどこまでをどうするのかということはなかなか線引きができない。
それはそうなんですけど、基準はつくっておかないとあいまいになってしまうと思います。
ですから、バーベキューにしても、例えば最低限の文章を回すとか何とかというところまでは、通常なんだと思います。ところが、そこから上のところについては有志が有料でもって参加するんだとか、どこか線引き的なことは基準としてつけておかないと、今後、外部の専門家を管理者として入れたときに、チェックする基準がなくなってしまいますので、財産管理として必要最低限のところは、ある程度抽象的な基準として明確にしておくべきではないかと思います。
【村専門委員(村裕太・三井不動産レジデンシャル開発事業本部都市開発二部部長)】 新築のマンションの分譲の立場から申し上げたいと思うのですが、昨今の購入者のご意向として、このコミュニティの形成というのは非常にニーズが高いというか、ご希望が多いことでございます。おそらく意識としては、震災等で自助、公助以外に共助をしていかなければいけないという部分があったりとか、防犯、防災とか、各先生からご指摘があったようなこともあるのですが、コミュニティの形成が良好なマンションというものが、よく清掃が行き届いていたりとか、設備の保守、維持がちゃんとできていたりと同等になるぐらい、やっぱり資産価値を高める、もしくは維持するのに必要なソフトだという認識がご購入者の方に強いからだというふうに私ども分譲主としては思っておりまして、逆に、売り主としてはコミュニティの形成に必要ないろいろなイベントなどを企画したりサポートしたりというようなことをむしろ積極的にお勧めしたり、お手伝いをしたりというようなことをやっております。おそらく購入者は今そういう意識をお持ちなのだと思います。
【安藤委員】 今、村専門委員がおっしゃったことが仮に正しいのであれば、別に管理組合がお金を出さなくても、住人全員が自分たちで進んで町内会に参加し、町内会の経費でそのような取り組みをするはずですので、まさに管理組合と町内会とを混同する必要がないということを、ご説明されたのではないでしょうか。
記者は、マンションコミュニティ形成については、「自分勝手の合理主義を貫けば、居住者間はもちろん地域や街のコミュニティをズタズタに切り裂き、活力をそぎ、やがてはそのマンションの価値すらも減じることにつながるはずだ。マンション単体で価値を維持・向上させるのは絵空事に過ぎない」というのが持論だ。
迷走する「マンションの新たな管理ルールに関する検討会」コミュニティや議決権などめぐり激しい論議(2012/8/20)
マンションコミュニティを否定するのか 国交省マンション管理検討会(2015/4/4)
〝赤坂の隠れ家〟 本物志向の大和ハウス「プレミスト赤坂翠嶺」
「プレミスト赤坂翠嶺」エントランス
大和ハウス工業が11月に分譲するマンション「プレミスト赤坂翠嶺」を見学した。販売担当の販売事務所長・島田隆弘氏が「六番町? その比ではない」と豪語した通り、設備仕様レベルは高い。全19戸(非分譲1戸含む)の小規模物件だが、すでに半数くらいに申し込み要望が入っているという。
物件は、東京地下鉄丸ノ内線赤坂見附駅から徒歩6分、千代田線赤坂駅から徒歩6分、港区赤坂四丁目の敷地面積約457㎡の第2種住居地域に位置する11階建て全19戸。専有面積は65.81~71.12㎡、価格は未定だが坪単価は650万円になる模様。施工は日本国土開発。竣工予定は平成31年3月上旬。
現地はかつて政財界人がよく利用したというヒルトップの料亭跡地。住戸は1フロア2戸(11階は1戸のみで非分譲)。全戸南向き。4~5層くらいまでは前建の影響を受けるが、それ以上は開けている。
デザイン監修は、同社の人気マンション「プレミスト九段」を手掛けたデザイン・ファーム合同会社代表・向井裕氏。モデルルームのインテリアデザインは数多くの高額マンションを担当している三井デザインテック・黒須理枝氏。
主な設備仕様は、挽き板フローリング、突板建具家具、リビング・キッチン・居室床暖房、バキューム式ディスポーザー、ミーレ社製食洗器、電子コンベック、ウルトラ・セラミックストーンのキッチン天板、リビング天井高2600ミリなど。
販売担当の同社東京本店マンション事業部第一事業部営業第一課販売事務所長・島田隆弘氏は、「周辺はコンパクトマンションが中心。当社の物件は1フロア2戸だが、四方に緑を配したランドスケープデザイン、一枚一枚手張りの外壁、隠れ家を演出したエントランス、料亭の土間をイメージしたアプローチ、光天井、ロートアイアン格子、版築、本物の木の庇などを使用したホール、竹林の庭などしっかり造りこんだ。キッチンはセラミック製、浴室のタイルは600角、バルコニーの手摺はロートアイアン…どこにも負けません」と話した。
外観模型
モデルルーム(サッシ廻りは天然石)
◇ ◆ ◇
島田氏が豪語するだけのレベルにある。冒頭の「六番町」とは、同社が2年前に分譲したマンションで、記者は「三井不動産のパークマンションに負けない仕様」と書いた。
その「六番町」と今回の「赤坂翠嶺」の仕様レベルについては、何とも言えない。同社内でも意見が分かれるのではないか。
だが、本物志向で美しいというのは共通している。模型写真を見ていただきたい。「六番町」もそうだったが、シンメトリーの外観が美しい。組子・格子をデザインに取り込み、手張りでタイルを張ったという。バルコニーに本物のロートアイアンを使用するマンションは最近見たことがない。
モデルルームの出来もいい。三井デザインテック・黒須氏を起用したのにも力が入っていることをうかがわせた。
もう一つ。モデルルームはホテル・オークラと繋がっている新紀尾井町ビルにあるのだが、ここでは「プレミスト代々木公園パークフロント」35戸の接客を兼ねており、坪単価675万円ながら残りは2~3戸と聞いてびっくりした。
この仕様レベルで大規模なマンションを見たいのだが…。
モデルルーム キッチン
三井不動産 ミッキーマウス スクリーンデビュー90周年記念イベント実施
三井不動産は10月18日、ミッキーマウスのスクリーンデビュー90周年記念に合わせ、「ディズニー ミッキー90周年 マジック オブ カラー(Disney Mickey 90th Anniversary Magic of Color)」を11月16日から開催すると発表した。
東京ミッドタウンを皮切りに約1年間かけて各地の施設・店舗で、ミッキーマウス90周年関連商品を販売するスペシャルポップアップショップや、90体のミッキーマウス立像の展示を展開し、限定商品を販売する。
詳細は専用ホームページ http://www.magic-of-color.jpへ。
高評価に驚愕 コスモスイニシア 7件目「MIMARU京都 新町三条」に体験宿泊
「MIMARU京都 新町三条」
コスモスイニシアが11月8日(木)オープンするアパートメントホテル「MIMARU京都 新町三条」に体験宿泊した。関係者に試泊してもらい、アンケートなどによる声を開業に生かそうという試みだ。
ホテルは、京都市営地下鉄烏丸線・東西線烏丸御池駅から徒歩5分、京都市中京区新町通三条上る町頭町105に位置する敷地面積約1046㎡の5階建て全69室。運営はコスモスホテルマネジメント。
試泊したのは約40㎡のファミリータイプ。記者は第一弾の「上野」と「京都六角」も取材しているので驚きはしなかったが、一般の方ならこの広さに驚くはずだ。ラグジュアリーホテルのツインくらいの広さがある。
しかし、ラグュアリーホテルと根本的に異なるのは、子どもが喜びそうな大人使用も可能な2段ベッド付きの寝室のほか、リビングルームがあり、冷蔵庫・食器類などを備えたミニキッチンがあり、洗濯乾燥機が置いてあることだ。設備仕様を含め、いわゆるコンパクトマンションに限りなく近い。共用部には喫煙室はあるが、レストランなど飲食施設もルームサービスもない(もちろんケータリングは可能)。
つまり、家族、あるいはグループで連泊するお客さんをメインターゲットにしているホテルだ。料金設定もルームチャージ制で、定められた人数以内であれば、たくさん泊まったほうが一人当たりの宿泊費は安くなるというのがミソだ。
記者は、チェックインを済ますとすぐ先斗町と祇園に繰り出し、かみさんと一緒に食事をし、11時前に戻り、翌日は大阪の取材に朝早く出かけたので、キッチンも洗濯機も冷蔵庫も使わなかった。洗面の水栓は確かグローエ、家具類は無印か。
ホテルの〝売り〟の一つである持ち出し可能のスマホは、日本語設定方法が分からず(分かっても使い方を記者は知らないし、かみさんも頼りない)、これも使わなかった。
建物は間口が広く、外観は黒(濃紺か)が基調で同じ色の格子が美しい。
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興味深いのは、わが国では極めて珍しいこの種のホテル利用者がどのような感想を抱いたかだ。早速、口コミサイトをチェックしてみた。概ね評価が高いのにびっくりした。
「とても良い(76%)」「家族の夕食を作るためにキッチンを利用することを強くお勧めします」「今までに滞在した最高のホテル」(以上「上野」)、「とても良い(85%)」「この値段はあり得ない」「お部屋に乾燥機付洗濯機が入っているのは、本当に有難かった」「部屋は最高でした!」(以上、「京都六角」)。
いったい何を基準に評価するかが問題だが、「上野」は上野駅圏でもっともいいと思うホテルより総合点で上回っていたのに2度驚いた。
さらに驚いたのは、同社から紹介された「トリップアドバイザー」のサイトでは、「MIMARU東京 日本橋水天宮前」が都内の名だたるラグジュアリーホテルを抑え堂々の2位にランクされていることだ。自慢でもないが、記者は「マンションの究極はホテル」だと思っているので、いいホテルは泊まるようにしてきた。このサイトでベスト30に入っているうち10近くは宿泊している。トップにランクされている渋谷のホテルはコーヒーしか飲んだことはないが、系列の銀座のホテルの朝食バイキング(デザート)をかみさんは絶賛した。
これも何を基準にしているか調べなかったが、もう「凄い!」としか言いようがない。口コミの凄さは記者でもわかる。
同社の「MIMARU」は「京都新町三条」で7施設目。当分は〝空白区〟のこの種のホテルで独走するのか。間違いなく2番手、3番手が現れる。「マンション? もうあきまへんわ。ホテルに勝てない」タクシーの運転手さんもホテルラッシュにあきれ返っていた。
ファミリールームタイプ
寝室
ロビー
〝家族に愛されるホテル目指す〟 コスモスイニシア「MIMARU京都 堀川六角」開業(2018/4/13)
骨太ニッチ〟アパートメントホテルで独走 コスモスイニシア第一弾「上野」開業(2018/2/20)
三菱地所ホーム 国産材使用率82%に 2×4住宅メーカーでトップクラス
三菱地所ホームは11月以降の全ての受注物件に国産材の壁枠組を採用する。これにより、国産材使用率は82%となり、ツーバイフォー工法による住宅メーカーとしてはトップレベルに引き上げる。
同社の市川ホームギャラリーの施工事例によると、構造材の使用割合は、国産壁枠組が32%、国産合板が35%、国産床枠組が15%、輸入材が18%。
同社は、2015年以降、JAS規格、構造計算指針の改定などで、輸入木材以外でも設計しやすい環境が整いつつあり、品質管理を十分行った材料を使用すること、輸入材の価格が上昇し、コスト的にも対応できるようになってきたことから標準採用したといっている。
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記者は木造ファンだから、とても嬉しい。ことの当否はともかく、消費増税に伴うエコポイント制が復活しそうだ。記者は、是非ともこのような国産材を採用した住宅建設のメーカーと消費者にこそ税の減免税措置を取るべきだと思っている。
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わが国の森林・林業が危機的状況にあることは言うまでもないことだが、国土に占める森林の割合が66%に達しているのに、林業関係のGDPは2,016億円(平成28年)しかなく、もはや「林業」と呼べないような悲惨な状況にある。林業従事者も昭和55年の14.6万人から4.5万人に激減している。
参考までに。林野庁の平成31年度予算概算要求は3,452億円(平成30年度当初予算額比15.2%増)なのに対し、防衛予算は5兆2,926億円(同7.2%増)。自衛隊員は約25万人(定員)。国を守る人と山を守る人の数字がこんなに違っていいのか。国破れて山河在りはどういう意味だ。
三菱地所ホーム 第一次取得層向け「エアロテックFit」発売開始(2018/10/16)
三菱地所ホーム 「エアロテックFit」記念キャンペーン 坪50万円台の定額制企画設計(2018/10/16)