三井不動産 消費エネルギーゼロのクールスポット「柏の葉スマートシティ」に設置
「COOL TREE」
三井不動産は7月20日、都市エネルギー消費ゼロのクールスポット「COOL TREE」を柏の葉スマートシティに設置したと発表した。
同社と日建設計、銘建工業、光栄、村田製作所の4社が開発したもので、様々な屋外パブリック空間で環境性とデザイン性を兼ね備えたクールスポットを創出する。
①直射日光を遮るヒノキの格子日除け②座るとひんやりするベンチ③人が近付くとセンサーが感知し作動する涼感ミスト-の3つの森林浴の再現を試みるほか、フレキシブルに組み合わせられる正六角形の形状、太陽光発電とIoT 制御による都市エネルギー消費ゼロの自立型システム、最短1日で設置でき、リユースが可能、国産の間伐材とCLTの活用によりバイオマス発電へのリサイクルが可能なのが特徴。
三井レジ 「月島」再開発タワー「MID TOWER GRAND」第1期189戸 坪単価434万円
「MID TOWER GRAND」ペントハウス
三井不動産レジデンシャルは7月17日、中央区月島1丁目の大規模複合再開発タワーマンション「MID TOWER GRAND」を7月21日から販売開始すると発表した。月島駅から徒歩2分の32階建て全503戸(分譲は387戸)で、第1期は189戸。最多価格帯7,000万円台で、坪単価は434万円。
物件は、東京メトロ有楽町線・都営大江戸線月島駅から徒歩2分、中央区月島1丁目に位置する53階建て全503戸(販売戸数387戸、事業協力者戸数116戸含む、他に店舗29戸)。専有面積は40.33~129.45㎡、第1期(189戸)の価格は5.000万~2億6,500万円(最多価格帯7,000万円台)。坪単価は434万円。入居予定は2021年1月下旬。施工は大成建設。デザインパートナーは、「東京ミッドタウン日比谷」も手掛けたホプキンスアーキテクツ日本代表・兼ホシノアーキテクツ代表・星野裕明氏。売主は同社のほか丸紅、大成建設。登録受付は7月21日(土)~22日(日)。抽選は22日(日)。
「月島一丁目西仲通り地区第一種市街地再開発事業」として開発が進められているもので、コンセプトは〝大人を愉しむレジデンス〟。最上階に、「月」の光や曲線美をモチーフにしたアーチをペントハウスのルーフ部分に取り入れた天井高約6メートル広さ約738㎡の共用施設が集約されているのが特徴。「スカイラウンジ」、「パーティルーム」、「Spa(岩盤浴・サウナ)」、「フィットネススタジオ」「ゲストルーム」「ゴルフレンジ」などが設置される。
昨年12月から資料請求を受け付けており、これまでに約5,600件の請求があり、モデルルーム来場者数は1,250組以上に上っている。
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まず坪単価。この日(17日)、モデルルームが報道陣に公開されたが、親しい同業の記者の方たちが「坪単価は400万円台の後半」と予想していた。記者は「それはあり得ない。ここ(モデルルームは聖路加タワー)なら坪500万円をはるかに突破しても不思議でないが、『月島』ですよ。わたしはもんじゃ焼きも好きではない。ズバリ430万円」と答えた。
その後、販売の責任者が「第1期の坪単価は434万円」と明かした。記者の予想とはわずか1%しか違いはなかった。
ズバリ的中したわけだが、あてずっぽうで予想したのではない。記者は約40年間、マンションを見続けている。市況や近隣物件の動向、同社の値付けの傾向などを考慮してはじき出した単価だ。この前のRBA野球大会の勝敗予想も13勝1敗だった。参考までに。
だから当然の設定だと思うし、第1期で189戸も供給するのに驚かない。高単価ではあるが、いわゆる億ションが約30戸くらいというのも理解できる。「月島」で億超えというのは壁があるような気がする。
物件の質は高いと思う。天井高約2,600ミリ、サッシ高約2,400ミリというのも貴重だ。72㎡のタイプはワイドスパンだし、白・ベージュの基調で全体として明るいカラーリングとなっているのがいい。バックカウンター・吊戸棚も標準装備。
スカイラウンジ
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今回の「月島」が坪単価434万円で好調な売れ行きを見せていることから注目されるのが、東急不動産他「豊洲」がいくらの値を付けるかだ。同社が用地を取得した段階では坪単価は400万円をはるかに超えると業界内ではささやかれていたが、さすがに最近は「400万円突破は厳しい」とも言われている。
「豊洲」は中央区でなく江東区だが、ポテンシャルは負けていないと思う。「月島」が434万円なら400万円超はありうるような気がするがどうだろう。「月島」は制振で、「豊洲」は免震。規模もはるかに大きい。チャレンジしてほしいが、戸数が1,230戸もあるのでそんな勇気があるかどうか。
野村不 戸建て「プラウドシーズン稲城南山」全87戸が早期完売へ
「プラウドシーズン稲城南山」
野村不動産の分譲戸建て「プラウドシーズン稲城南山」(93区画のうち87戸)が早期完売へ-6月中旬から分譲を開始した第1期60戸が即日完売したのをはじめ、その後追加販売した第1期2次15戸も即完し、9月に分譲予定の最終期第1期3次12戸も早期完売となる見込みで、わずか3カ月足らずで全87戸が販売することになりそうだ。
物件は、京王電鉄相模原線稲城駅から徒歩6分(戸建て街区までは徒歩11~12分)、稲城市東長沼字九号に位置する全93区画(うち6区画は販売事務所や公園として当面利用されるため分譲は87戸)。第1期3次の敷地面積は140.98~162.62㎡、建物面積は100.81~109.44㎡、価格は未定だが5,000万円台の前半から6,000万円台の半ばになる模様(既分譲の平均価格は5,870万円)。構造は木造(2×4)2階建て。施工は西武建設、東急建設、細田工務店。竣工は2018年4月・6月(竣工済)、9月下旬(予定)、11月下旬(予定)。
現地は、稲城駅からなだらかな坂を上った約87万㎡の土地区画整理事業地「スカイテラス南山」の一角に位置。同社が保留地を取得して分譲するもの。稲城市が所有する北側の土地からは比高差にして5mくらい高い傾斜地。スーパーへは徒歩1分、保育園には徒歩3分、小学校へは徒歩7分。
今回は第1工区で、このほか今年度末に土地区画整理組合と契約予定の第2工区と第3工区を含めて全体で約600戸になる予定。5区画分のクラブハウスも建設される予定。
購入者は地元稲城市居住者が中心だが、調布、府中市、その他のエリアからの広域からも集客できているのが特徴。敷地面積が140㎡以上で、北道路(北側が擁壁の住戸含む)でも眺望がよく、街並みが整っていることなどが評価された。
同社は、今回の「南山」を含め、現在施行中の「稲城上平尾」(25.1ha)と「稲城小田良」(29.5ha)土地区画整理事業地でも分譲中・計画中で、全体で約1,000戸となる。
道路幅が6mで、敷地の間口が広いのが特徴の一つ(10mくらいあったか)
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「南山」については、これまで数回記事にしている。それらを参照していただきたい。
ここの魅力は何といっても里山だ。今回の戸建て街区から徒歩数分で里山の入り口に着ける。民有地だが、道路もあり規制もないから奥深くまで歩ける。ところどころ畑もある。休日などにゆっくり親子で山に分け入るのに絶好だ。
名も知らない小鳥がきれいなさえずりで歓迎してくれるだろうし、これは大きな声でいってはいけないことかもしれないが、山椒魚が生息する沢もある(立ち入り禁止になっていたような気がするが)。
皆さんは山椒魚と言ったって、小説かテレビの映像、図鑑しか知らないだろうが、記者は小さいころ、祖母と連れ立ってよく捕りに行った。弁当箱にいっぱいになるくらい捕れた。いもりとよく似ているが、それほど不気味でもなく、滑稽な姿をしている。
精力がつくと言われており、隣の爺さんにあげたりすると飴玉をもらった。もちろん自分でもそのまま口の中にほうりこんだり焼いて食べたりしたことがある。美味しくはない。発情などもしなかった。当たり前か。
いまはみんな都心志向だ。それはそれで結構なことだが、「南山」のようなまだ自然が残る郊外で暮らせば人間性が取り戻せるかもしれない。
門柱
売電制度活用 業界初 管理費実質ゼロで年間306万円の収入 アキュラ「若葉台」分譲(2018/6/22)
「おいでよ!南山」イベントに約500人 エリアマネジメント南山・野村不(2014/9/29)
スターツ「クオン流山おおたかの森」 わずか半年で完売 歩留まりは驚異の30%
昨年、当欄で「超割安 免震、日建、横入り玄関…質も高い」と見出しに書いたスターツの「クオン流山おおたかの森」が今年5月までに完売したことが分かった。モデルルームをオープンしてから8カ月、販売を開始してからわずか半年で全162戸を成約するという驚異的な売れ行きだ。
詳細は、別掲の記事を参照していただきたいが、坪単価が210万円だった。見出しに「超割安」などと書いたのは記憶にないくらい珍しいことだった。
そればかりか、つくばエクスプレス沿線では三井不動産「柏の葉」以外ない免震工法を採用、設計は日建ハウジングシステムで横入り玄関のプラン、メーターモジュールの廊下幅なども秀逸だったので「プラン秀逸」とまで書き、絶賛した。
流山市の流山おおたかの森市有地活用事業のコンペに当選した案件でもあり、早期に完売するとは思ったが、まさか半年で完売するとは驚きだ。来場者は約560件で、歩留まり率は驚異的な約30%に達した。
申込者は、地元の流山市と隣接の柏市居住者で約50%だから、広域からも集客できていることが分かる。
郊外型の早期完売物件では、一昨年の京阪電鉄不動産の「ファインシティ東松戸」(382戸)を思い出すが、販売スピードは互角かそれ以上だ。「東松戸」の歩留まり率も25%と高かったが、こちらは30%だ。
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「母になるなら、流山市。」-8年前だ。このキャッチフレーズを見たとき、いかにも井崎義治流山市長がやりそうなことだと納得し、「やったね」とエールを送りたい気持ちになったのを覚えている。
井崎氏は住信基礎研究所、エース総合研究所(現エンタテイメントビジネス総合研究所)を経て、平成15年(2003年)の市長選で地方政治にありがちなボス・顔役が幅を利かせる旧弊を打ち破り当選した。
その後、井崎氏にインタビューしたことがあるが、激化する都市間競争に勝ち抜く決意を熱っぽく話されたのが印象に残っている。
市長に就任した2年後につくばエクスプレスが開業(2005年)したが、当時、具体的な街づくりの展望が見えたのは三井不動産が主導する「柏の葉キャンパス」しかなかった。各沿線とも前途多難を思わせた。井﨑氏には「街づくりのノウハウを持つデベロッパーに学ばれてはどうか」と話したこともある。
あれから13年。流山おおたかの森の駅前のマンションが坪210万円で瞬く間に売れる-悔しいことだが、わが多摩センターに迫る勢いだ。
市の広告には「父になるなら、流山市。」バージョンがあることを最近知った。都心ではもはや普通のファミリーは住宅価格の上昇で住めなくなっている。全ての郊外都市が「母になるなら、〇〇市。」「父になるなら、〇〇市。」と打ち出せるような時代になってほしい。
超割安 免震、日建、横入り玄関…質も高い スターツ「クオン流山おおたかの森」(2017/11/9)
野村不動産 中国での初のオフィス事業に参画
「北京発展大厦(ビル)」
野村不動産は7月9日、中国・北京市の政府系デベロッパー北京首都開発股份有限公司と共同で「北京首開野村不動産管理有限公司」を設立し、中国での初のオフィス事業となる「北京発展大厦(ビル)」(築29年、20階建て延べ床面積約55,000㎡)の運営管理業務を開始したと発表した。。
同社グループは、中長期経営計画(~2025.3)の中で海外事業を成長分野の一つと位置付け、2025年3月期までにアジア諸国を中心に住宅事業及び賃貸事業(オフィス、商業、サービス・アパートメントなど)で3,000億円の投資を計画している。
すでに、タイ・バンコクでは3物件2,100戸以上の分譲住宅とサービス・アパートメント事業に、中国・瀋陽では分譲住宅事業に、フィリピン・マニラでは1,400戸の分譲住宅と商業施設からなる複合開発案件に、ベトナム・ホーチミンシティでは2,300戸の分譲住宅及びオフィスビル事業にそれぞれ事業参画している。
〝一人勝ち〟野村不動産 人形町で5物件目「日本橋富沢町」も好調
「プラウド日本橋富沢町」完成予想図
野村不動産が分譲中の「プラウド日本橋富沢町」を見学した。昨年12月から分譲を開始しており、坪単価は470万円ながら全60戸のうち約50戸が成約済みで、1億円超の3LDK26戸は完売。開校が1873年で、145年の歴史を持つ通学校・久松小学校へ徒歩2分の立地も人気の要因の一つだ。
物件は、東京メトロ日比谷線人形町駅から徒歩3分、中央区日本橋富沢町10番に位置する13階建て全60戸。専有面積は55.18~73.95㎡、坪単価は470万円。施工は木内建設。竣工予定は2019年3月下旬。
昨年12月から分譲を開始し、これまで約50戸を成約済み。このうち1億円超の70㎡台の3LDK26戸はすべて完売。残りは50㎡台の2LDKのみとなっている。
現地は、通学指定校の久松小学校へ徒歩2分、明治座へ徒歩6分、浜町公園へ徒歩7分。
敷地は南北道路に面しており、住戸プランは南道路に面した2スパン26戸が3LDK、北道路に面した3スパン34戸が2LDK。内廊下方式で、天井高は2500~2600ミリ。イタリア製ドアハンドル、御影石カウンター、ディスポーザー、食洗機、ミストサウナ、三面鏡木製フレーム、廊下幅1メートル(モデルルーム)などが標準。
同社はこれまで人形町駅周辺で平成26年10月竣工の「プラウド日本橋人形町」(58戸)を皮切りに「プラウド人形町」(78戸)「プラウド日本橋人形町ディアージュ」(38戸)、「プラウド日本橋人形町パサージュ」(39戸)を分譲しており、今回の物件は5物件目。
モデルルーム
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日本橋・人形町・浜町エリアでは現在、7~8物件が供給されているが、これほど順調に売れているのは〝プラウド〟しかないはずだ。〝一人勝ち〟の様相を呈している。都営新宿線浜町駅から徒歩5分の「プラウド日本橋浜町」(33戸)は坪単価390万円で、こちらも残りわずかだという。
他社物件はそれほど見ていないので断定的なことは言えないが、富裕層の心をとらえるモデルルームの見せ方が巧みだ。オーダーメイドにもきちんと対応している。
3LDKがすでに完売しているというが、ここ人形町エリアは意外とファミリー向けの需要が高い。同社もこれまでの分譲事例からそのような市場性を学んでいるはずだ。
ご存じない方に久松小学校について少し紹介する。冒頭にも書いたが開校145年の歴史を持つ公立小学校はほかにないはずだ。昭和天皇皇后両陛下も行幸されている。卒業者には立原道造、山田五十鈴、四代目江戸家猫八などかいる。プラウドの購入者も久松小学校に通わせるため購入した人が多いという。
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物件見学は、先週末見学した「プラウドタワー東池袋」のマンションギャラリーサブチーフ・芦田和輝氏(27)のお勧めで実現した。
芦田氏については「東池袋」でも書いたが、若干27歳にして堂々の〝プラウド〟のエースか4番バッターの位置を占めそうな風格すら漂う営業マンだったが、今回の物件担当者の青木憲大氏(25)は、芦田氏がインストラクターだという。
青木氏の言うことがまた面白い。「わたしは1番バッターを狙います」。茨城県の公立高校まで硬式野球部に所属していたそうだ。土日がしことなので、同社の野球チームが参加しているRBA日曜ブロックには出場できないのは残念。
芦田氏も青木氏も、この若さでプラウドの都心のレベルが高い物件を担当できるのだから、楽しくてしょうがないのでは。
エントランス
さすが〝プラウド〟 物件の質も営業マンのレベルも高い 野村不「東池袋」好調(2018/6/23)
2Lで60㎡台〟新たな需要喚起するか 野村不「プラウド日本橋人形町パサージュ」(2017/5/9)
野村不・長谷工 女性による商品企画「OSEKKAI(おせっかい)」 記者も〝おせっかい〟
共用トイレ(左)と階段
野村不動産と長谷工コーポレーションは6月29日、女性の視点で暮らしを楽しくする商品企画「OSEKKAI(おせっかい)」プロジェクトを共同で開始し、第一弾として「プラウドシティ東雲キャナルマークス」へ導入すると発表した。
両社の女性担当者が中心となり、分譲マンションの共用部・専有部に、女性ならではの気遣いを“おせっかい” と称し、「あったらちょっと嬉しい、ちょっと元気になる」アイデアを採用するもので、今後の物件へ展開していく。
これまで野村不動産は「Luxmore(ラクモア)」、長谷工コーポレーションは「Uʼs-style(ユーズスタイル)」というマンション専有部の商品開発を行っているが、それらに“OSEKKAI” の要素を加え深化させ、共用部にも広げるもの。
◇ ◆ ◇
女性による商品企画といえば、三井不動産レジデンシャル「パークホームズ赤羽西」のキッチンを動かせる「Imagie(イマジエ)」に驚愕したし、「パークタワー東雲」で共用部分に喫煙室を設けたのも確か女性担当者だった。
東京建物の女性スタッフ「Bloomoi(ブルーモワ)」が企画した「Brillia日本橋三越前」や「Brillia大山Park Front」は圧倒的支持を得た。
タカラレーベンの〝レディ・ガガ〟こと高荒美香氏は同社のマンションイメージを一新したし、明和地所の女性建築士も同社の商品企画をリードしている。
はっきり言えば、今回の女性担当者による商品企画は期待が大きかった分だけ失望も深く、この程度のアイデアなのかと肩透かしを食らったような感想しか持てない。文字通り〝おせっかい〟の域を越えず、ぬいぐるみの客寄せパンダの類ではないかと。
リリースで紹介されているアイデア例を見た。共用部では、壁一面をデザインウォールにして気分が明るくなる場所にするとか、階段を上るごとに消費するカロリーを表示するとか、壁や蹴上部分にイラストやメッセージをデザインする、トイレはベビーカーのまま入ることができる広さにすることなどが紹介されている。
また、専有部では、玄関には姿見+マグネットボードを設置する、新聞受けにフック機能を付ける、トイレは壁面マグネットボード仕様でお気に入りのインテリアを演出するなどと記されていた。
それぞれ面白いとは思ったが、商品企画の核心に迫るものではない。ユーザーが期待しているのは〝ちょっと〟ではなく、劇的に変えることではないのか。記者の指摘がそれこそ大きなお世話、おせっかいに終わることを望む。
玄関収納
三井不動産レジデンシャル「パークタワー東雲」見どころ多い「レジデンシャルスマート」(2012/10/24)
業界最大級の60万世帯 業界初の検討者・契約者向け組織を発足 三菱地所グループ
三菱地所グループは6月28日、住宅事業グループ各社が運営している4つの住宅系会員組織を統合し、業界最大級の約60万世帯の顧客を対象とした「三菱地所のレジデンスクラブラウンジ」を発足させたと発表した。
当プロジェクトを通じ、事業主体やサービスの提供窓口に関する組織的障壁を取り払い、グループ一体での営業販促活動を実現するとともに、住まいに関するあらゆるニーズをワンストップでカバーするアクティブな会員組織を目指す。このような検討者と契約者の会員組織を統合するのは業界初の試み。
統合する組織は、マンション・戸建ての検討者向け「The Parkhouse Club」(会員約22万世帯)、マンション・戸建て居住者向け「三菱地所のResidence Club」(会員約38万世帯)、注文住宅オーナー向け「三菱地所ホーム倶楽部」(会員約2万世帯)、住まいの総合窓口「レジデンス ラウンジ」(会員約2万世帯)で、これによりサービス対象顧客数は約60万世帯となる。
新しい組織は、住まいに関するワンストップの相談窓口を設置(三菱地所のレジデンスクラブラウンジ、集中コールセンターなど)するほか、会員WEBサイト・アプリを通じて会員のニーズに合わせたサービス情報を提供し、よりきめ細かな対応をするとともに、会員限定イベント、会員優待特典など会員サービスの充実を図る。
2013年に開設した東京・有楽町の総合相談窓口(ラウンジ)での相談件数は、2014年度が約400件だったのが、2017年度は1,200件近くまで3倍近くに増加している。ラウンジは新しい組織「三菱地所のレジデンスクラブラウンジ」に生まれ変わる。
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最近の同社グループの動きからして、今回の「レジデンスクラブ」の立ち上げは十分予測できたことだ。同社の前社長・杉山博孝氏(現会長)は「バリューチェーンの強化」をことあるごとに話していた。「バリューチェーン」とは住宅系であることは言うまでもないことだ。
もともと三菱地所グループの住宅系は三井不動産、住友不動産、野村不動産などに大きく引き離されていた。マンションは藤和不動産を実質吸収するまでは年間数百戸くらいしか供給していなかった。戸建てもバブル崩壊後はほとんど〝撤退〟していた。不動産流通部門もリテール部門は同業他社の後塵を拝している。注文住宅は全館空調の先駆けである「エアロテック」を開発したにもかかわらず、これまた同業他社に比べ圧倒的に販売戸数は少ない。
最近は、マンション事業が三井、住友、野村とともに〝4強〟市場を形成しているが、抜け出すまでには至っていない。
こうした状況を記者ですら歯噛みしているのだから、同社関係者はそれこそ切歯扼腕、イライラを募らせていることは容易に想像できる。
そうした状況を一変させようという意気込みは〝業界最大級〟〝業界初〟という文言にも表れている。新しい竈と鍋は用意できた。そこからどんな煮物をつるのか、楽しみだ。ごった煮にはならないはずだ。
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検討者向けのワンストップサービスでは、やはり三井不動産が圧倒的優位に立っている。すまいとくらし選びにワンストップで対応する「三井のすまいモール」と様々なサービスを提供する「三井のすまいLOOP 」を立ち上げたのは2012年だ。
窓口は「目黒」駅前だったが、その後、同じような施設を「横浜」と「武蔵小杉」に開設した。
いま、同社に「三井のすまいモール」と「三井のすまいLOOP 」の会員数がどれくらいで、「三井のすまいモール」の相談件数はどれくらいかを問い合わせている。果たして返ってくるか。
効果てきめん 三菱地所ホーム 全館空調「エアロテック」記者も宿泊体験(2017/10/30)
三菱地所グループ みなとみらい地区の仲介・リフォーム強化 ショールーム開設(2017/4/13)
住まいサービス ワンストップ提供 三菱地所グループ(2013/4/12)
激化するマンション顧客囲い込み競争 三井不動産レジデンシャル 体感型ミュージアム(2013/3/28)
三井不動産グループ 他社と差を広げる戦略「三井のすまいモール」「三井のすまいLOOP」(2012/4/12)
〝スマートホーム〟マンション 三菱地所レジデンス「表参道」分譲
「ザ・パークハウス アーバンス 表参道」完成予想図
三菱地所レジデンスは7月1日、ザ・パークハウスで初めてKDDIのIoTサービス「with HOME」を導入し、スマートスピーカー「Google Home」を通じて家電操作などができる〝スマートホーム〟マンション「ザ・パークハウス アーバンス 表参道」の分譲を開始する。
入居時に渡されるスマートスピーカー「Google Home」と連携して、音声による照明のオンオフ切り替えやエアコンの電源・温度調整・冷暖房切り替え、テレビのチャンネル変更や音量調整、その他赤外線リモコンに対応した家電のオンオフ切り替えが可能となる。
また、外出先からでも、1 種類のスマートフォンアプリによってエアコンのオンオフをはじめ、複数の家電が操作可能となる。入居者に限り月額料金(税抜490円)が1年無料(同社負担)で初期訪問料も無料。
同社は近く分譲するさいたま市の「ザ・パークハウス 浦和レジデンス」でも同様のサービスを導入する。
物件は、東京メトロ銀座線・半蔵門線・千代田線表参道駅から徒歩9分、渋谷区神宮前3丁目に位置する5階建て全23戸(事業協力者住戸11戸含む)。専有面積は29.92~55.59㎡、価格は5,450万~12,660万円。施工は東亜建設工。竣工予定は2019年3月上旬。
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モデルルームを見学しようと思ったが、戸数も少なく設置しないと聞いた。スマートフォンですら満足に扱えない記者でもスマートスピーカーがどのようなものか知っている。声を掛ければその通りエアコンなどが作動する。
が、しかし、例えば「暑いな、もっと温度を下げてくれよ」と言ったら、「何言ってんのよ、わたしは寒い。もっと上げてよ」という別の人が言ったらロボットは誰に反応するのか。
この程度だったらまだいい。「ごめん、酒癖が悪い上司に飲め飲めと言われたもんだから…これから帰る」「いま何時だと思ってんのよ。帰ってこなくていいから。鍵なんか開けないからね」と言われ、家から締め出される事態にはならないのか。主導権は誰が握るのか。家庭不和の原因にならないか、それが心配だ。猫に小判-そんなものとは無縁の我が家は安泰だが…。
坪単価は700万円くらいするのかと思ったら、600万円だという。現地を見ていないし、設備仕様も分からないので何とも言えないが、安いような気もする。
「指名買い増えた」ブランド力じわり浸透 売上、経常は過去最高 ポラス 2018年3月期
中内氏
ポラスグループは6月28日、2018年3月期の決算説明会・記者懇親会を行った。売上高は1,995億円(前期比103.2%)、営業利益122億円(同92.4%)、経常利益148億円(同107.3%)、純利益42億円(同116.8%)となり、2期連続で増収経常増益を達成し、売上高、経常利益、純利益は過去最高となった。
契約棟数は分譲住宅が2,300棟(同103.7%)、注文住宅が683棟(同84.6%)、マンションが256戸(同100.8%)で、その他賃貸などを含めた合計は3,313棟・戸(同96.8%)。分譲住宅は6年連続で2,000棟を超え、マンション売上高が100億円を突破した。
このほか、プレカット事業は、佐賀工場の稼働で国内5工場体制となり、ロボット導入など生産性向上や非木造住宅の市場も開拓した効果もあり、構造材生産坪数が過去最高を更新した。
説明会に臨んだポラスグループ代表・中内晃次郎氏は、「『西大宮』『浦和美園』など大型かつ特徴的な街づくり提案が市場の支持を得たほか、独自の耐震技術やデザイン提案で大型木造施設建築の受注を拡大し、プレカット佐賀工場の稼働や生産性向上を進めた結果」と、好調な業績の要因について話した。
2019年度は売上高2,050億円、経常利益170億円を目指す。京葉地区での注文住宅の単独展示場を船橋に、柏に新規出展する。浦和美園、西大宮地区では戸建てとマンションの複合開発を拡大する。
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いつも感心するのだが、同社グループは商圏とする都内の練馬、板橋、北、足立、葛飾、江戸川、墨田、江東各区や、さいたま・越谷・松戸エリアの36行政区のマーケットを把握している。自社で詳細な市場を把握し分析しているところは戸建て事業会社では同社だけかもしれない。
2017年度の分譲市場着工戸数は22,025棟で、同社グループは2,439棟で、実に11.1%を占める。本拠地の越谷エリアでは18%くらいに達している。
この市場調査能力の高さが、分譲住宅の価格が市場価格より500万円前後高いにも関わらず確実に伸ばし、シェアを拡大させている要因の一つだろうと思う。
記者が注目したのは、中央住宅社長・品川典久氏やポラス コミュニケーション部マーケテイング部長・伊藤賀一氏が「指名買いの増加が特徴」と、全体として反響はそれほど伸びていないが、来場者に占める成約率の高さを強調したことだ。
配布された決算単短信には「『ルピアコート川口戸塚』(全200戸)が、来場からの契約歩留まり28.9%と販売好調を維持し完売」とある。驚異的な数字だ。
両氏はなぜそうなったかについて具体的に語ったわけではないが、戸建てでいえばリビング天井高を2.7m確保し、外構をしっかり造りこみ、挽き板など木のぬくもりをふんだんに盛り込む商品企画が突出しており、マンションでは「ピアキッチン」その他の設備仕様レベルが総じて高いからだ。
さらに言えば、経営理念がしっかりしており、地域密着、農耕型経営、コミュニティ重視の街づくりなどが本拠地エリアだけでなくその周辺部にじわじわと浸透しているからだといえる。(浦和レッズのスポンサー契約は本業にどれほどの効果があるかは今度聞いてみよう)
そのことを証明するかの発言を品川氏自身が行った。「『宮前平』のマンションだけは売れ行きが悪い」と話したのだ。戸数は33戸で、価格的には相場並みということのようだ。
ひねくれ者の記者はこの発言に刺激された。「川口戸塚」では歩留まりが30%近くに達し、好調裡に完売したのになぜピアキッチンを盛り込んだ人気沿線のマンションが売れないのか-神奈川県で同社がマンションを分譲するのは初めてでブランド力がないと言ってしまえばそれまでだが、果たしてそれだけか。その要因を探れば同社の課題も見えてくるはずだ。近く見学してレポートしたい。
同社には注文もある。報道陣から「郊外マンションは売れないのか」という質問に対して品川氏は「駅に近いのはそうでもないが、遠いのは売れない」と話した。
その通りかもしれない。しかし、それでは同社の戸建ては駅に近いか。徒歩10分圏内の戸数比率は30%もないのではないか。それなのに年間2,000棟を成約している。
〝駅近〟一色の市場をこのまま放置すれば、間違いなく大手にほとんどすべてを握られる。資金力があり、ブランド力がある大手に対抗するには商品企画以外ありえない。同社だったらできると記者は思っている。
そもそも〝駅近〟はデマゴーグとまでは言わないが、一部の腕力のあるデベロッパーの極めて巧妙な世論誘導ではないか。それに乗っかったマスコミも悪いし、便乗しようとする中堅デベロッパーは自分の首を絞めるようなものだといったら失礼か。
マンションは〝駅近〟しか売れず、マンションと同等の市場規模がある戸建ては〝駅遠〟でも売れるのか-これにまともに答えられる人などいないはずだ。
駅から多少遠くても売れるマンションをつくるのがプロではないか。日照が確保されず、交通事故の心配が高く、空気も悪く、嫌悪施設だらけの犯罪の温床にもなりかねない、緑もない、しかも価格が高いそんな子育てに最悪の〝駅近〟マンションに、お金持ちならいざ知らず、生きるのに精いっぱいの庶民までが雪崩れ込もうとしている悲しい現象に歯止めをかけなければならない。国の責任も重い。
品川氏からはいいことも聞いた。自前のマンション販売部隊を立ち上げる計画があるという。今後年間300~400戸を供給するのであれば、直接お客さんから声を聞くことが大事だと思う。これは絶対必要だ。
木崎さん
決算説明会のあとで、同社グループの新入社員で2016年度から浦和レッドダイヤモンズレディース の選手として活躍している木﨑あおいさん(20)が紹介された。埼玉県出身で、ポジションはMF。背番号13。同社広報に勤務する長嶋洸さんの後輩。(羨ましい。どうして同社の野球選手は紹介されないのか。この前、アラフィフの3人トリオが大活躍した)
待つわ〟ピアキッチン4割に設置 レベル高いが一層の差別化を ポラス「浦和美園」(2018/6/2)