欠けるのは「愛」 記者生活40年 業界紙に期待するもの ニュースを追うな①
数回に分けて不動産業界紙について書く。昨年3月、東急不動産ホールディングス・金指潔会長が「このままでは業界紙は生き残れない」と発言して以来、事態はその通りに展開している。「週刊住宅」は自己破産し、その後復刊したもののページ数は半減した。創業70周年の老舗「住宅新報」は今年2月、分社化し、出版部門を切り離し、新聞部門は社名も「住宅新報社」から「住宅新報」に変更した。紙面が一新さることを期待したが、記事を読む限りではむしろ退化、劣化しているとしか思えない。忸怩たる思いがする。業界関係者からも批判的な声が頻々と発せられている。
批判記事を書くことは、さらに状況を悪化させないとも限らず、天に唾するようなものかもしれないが、M.J.アドラー/C.V.ドーレン「本を読む本」(講談社学術文庫)には「著者に語り返すことは、読者に与えられた機会であり、また義務でもある」とある。記者を育ててくれたのは不動産業界紙だ。書くことは業界紙への恩返しでもある。
年間100~200件の分譲マンションや戸建ての現場取材を40年近くにわたって行ってきた記者の経験、取材姿勢を伝えることは若い記者の方々に参考になるはずだ。
内容的にはかなり辛辣な言い回しもあるが、それは記者の品性の低さの反映であって、ためにするものではないことは読んでいただければ理解していただけるはずだ。なによりも業界の発展のための、記者なりのラブコールだと受け止めていただきたい。
記事量は400字原稿用紙にして18枚を超えるが、一言で結論を言えば、業界紙に欠如しているのは「愛」だ。「愛」とは、言うまでもなく惜しみなく奪う欲望であり、全てを与えたいという献身だ。
ニュースを追うな 勝てない記事を書くな
昭和60年11月7日号「週刊住宅」
〝お前はどうなんだ〟と言われそうなので書くが、記者は前職も含めてニュースを追うような記事を書いてこなかった。今も昔も業界紙は行政、民間、大手、中小、デベロッパー、ハウスメーカー、流通などといった具合に分野別に担当が振り分けられている。
記者が前職で最初に担当したのは行政だったが、当時、住宅新報には素晴らしい記者がいた。絶対勝てないと思った。なので、担当を外してもらい、〝遊軍〟記者にしてもらった。誰も競争相手がいなかった分譲マンションや建売住宅の取材をすることに決めた。
それで掴み取ったのが昭和57年11月、第1期分譲が平均41倍で即日完売した「広尾ガーデンヒルズ」の記事だ。記者は抽選会場に張り付いて〝熱狂ぶり〟をレポートした。
当時のデベロッパーは鷹揚なもので、会場には入れてくれなかったが、外で片っ端からインタビューするのを見て見ぬふりをしてくれた。
霧雨が降る寒い日だった。抽選に当たった人などに出会うことはほとんどなかったが、夕方近くだったか、満面に笑みを浮かべたきれいな女性に出会った。当選者だった。見出しにこう書いた。「その時、銀座クラブの美人ママはトイレに駆け込み歓びをかみしめた」と。
断っておくが、当時は、読売新聞などは平気で社会面の記事に「美人ママ」と書いた。記者が出会ったその銀座のクラブのママはぽっちゃりとした本当に美人(と記者は思った)だった。「今日はわたしの誕生日」とその38歳の独身美人ママは明かした。
昭和57年11月25日号「週刊住宅」
ニュースを追わなければこんな楽しい記事が書ける。もう一つ二つ紹介する。昭和60年11月の「出たァ!坪1億円」の見出しの記事も、担当を持たない軽薄短小の記者だからこそ書けたと思う。噂を聞いて銀座にすっ飛んだ。関係者に話を聞き、登記簿も調べた。確証は得られなかったが、この銀座の土地が初めて坪1億円で取り引きされたのは間違いなかったはずだ。
もう一つ、20年間くらい毎月2回発表したマンションと建売住宅の販売状況に関する記事だ。今でもそうだが、マンションと建売住宅の販売動向は不動産経済通信(同様の調査機関はほかにもあるが)の独壇場だった。他紙は「不動産経済通信の調査によれば」と二次情報として書かざるを得なかった。
ひねくれ者の記者は他人のふんどしで相撲を取りたくなかった。自らが情報発信者にならなければ記者として自立できないという自覚があった。意を決し自分で調べることにした。毎日、マンションの広告をながめた。
最初は容易ではなかった。取材意図が通じないモデルルームの現場からは「何? 『週刊住宅』? 知らねえよ。どこの馬の骨ともわからないお前に、どうして販売状況を教えなきゃならないんだ。しかもフリーダイアルの電話を使いやがって」と罵られた。
それでも、必死で訴えた。「コーヒー1杯分(新聞の料金)でお宅の物件も含めて全ての物件の販売状況が分かる。その数字が嘘か本当か、少なくとも1物件はあなたが知ることができる」と。訴えが通じたのか、協力してくれるデベロッパーが増えていった。
調査表には販売日、売主、用途地域、物件名、販売戸数、契約戸数(即日完売は最高、平均倍率)、月間契約率、交通便、最多価格帯、坪単価を掲載した。物件数は多い月はマンション、戸建て合わせて300件を超えたときもあった。これを約1週間で調べた。不動産経済通信より1~2週間早く発表した。
建売住宅の物件捕捉率は6割くらいに達した。不動産経済通信は今でも建売住宅の捕捉率は1~2割くらいではないか。
経験を積むうちに物件概要を読むだけで売れ行きが予測できた。いまでもマンションの坪単価を言い当てることができるのは、この調査のお陰だ。
ここに例示したのはバブルがはじけた平成4年3月の1面記事だ。見出しは「マンション市場に〝春一番〟」で、都内のマンション月間契約率は50.3%とある。白山が坪700万円、綱島が坪500万円、下総中山は坪370万円…、千葉県布佐の戸建ては6,000万円超だ。若い方は信じられないだろうが、それが〝バブル〟だった。
平成4年3月19日号「週刊住宅」
〝祝〟西武開幕3連勝 三重高ベスト4 住友不動産販売が全面広告に菊池雄星投手起用
4月2日付日経新聞 住友不動産販売の広告
わが西武ライオンズが3年ぶりに開幕3連勝を飾り、これまたわが故郷・三重県の三重高校が選抜高校野球で49年ぶりのベスト4進出を決めた。記者は朝から晩まで11時間、一滴の酒も飲まずカップラーメン一杯だけで、ハラハラドキドキ、テレビにくぎ付け、野球観戦に酔いしれた。
その翌日、4月2日付日経新聞の住友不動産販売の全面カラー広告に、何と西武の菊池雄星投手がサッカーの中村俊輔選手とバスケットボールの田臥勇太選手と並んでいるではないか。
キャッチコピーは〝プロだから、頼りになる。〟菊池投手も住友販売の広告に載るような世界に通用する投手になったかと思うと感無量だ。
住友販売はヤクルトのスポンサーだったような気がするが、どうやらここ2年低迷するツバクローに嫌気がさし、〝頼りになる〟西武ファンに寝返ったようだ。
非常に結構なことだ。記者も住友販売を応援しよう。〝野球は西武 不動産は住友〟。えっ、西武プロパティーズ? 西武不動産販売が不動産流通事業から撤退して18年になる。いまでもあれは間違っていたと思う。
「人間愛」「夢」「無形資産」を語る 積水ハウス仲井社長 入社式訓示
仲井社長
積水ハウス代表取締役社長・仲井嘉浩氏は4月1日、同社グループ入社式で次のように述べた。新入社員は同社487人、グループ会社179人の合計666人。うち613人が入社式に参加した。
◇ ◆ ◇
積水ハウスグループへの入社おめでとうございます。新しい仲間ができてうれしい、わくわくしているというのが、ちょうど30年前に皆さん側の席にいた私の率直な気持ちです。
当社グループの仕事は、人々の暮らしに不可欠な衣食住のうちの「住」を通じて社会に貢献でき、お客様を「幸せにできる」素晴らしい仕事です。そして住宅は地球上に皆さんの仕事の成果として残ります。このような経験は、他の仕事ではなかなか味わえません。当社の企業理念の根本哲学「人間愛」に「相手の幸せを願い、その喜びを我が喜びとする」と書かれているように、お客様の幸せを心から願って、仕事をしていただきたいと思います。これを忘れなければ必ず成果は出ます。
皆さんは新入社員ですが、私自身も社長としては新任です。私には「住宅を通じてお客様にもっと幸せを提供する」という夢があり、日々必死で勉強しています。当社はトップレベルの住宅の「安全性」やネット・ゼロ・エネルギー・ハウスをはじめとする「環境配慮」「快適性」などを追求してきました。今後、もう一段上の幸せを提供するために、IoTなどの先進技術の導入やハードだけでなく、新たなサービスの提供などが考えられます。皆さんも「夢」を持って働いてほしいと思います。
皆さんは今日から社会人であり、住宅のプロとしての自覚が必要です。どのような職業でもプロであり続けるためには、生涯にわたって勉強しなければなりません。住宅の建築法規や性能、資金計画、ライフサイクルコストなど、学ぶべきことはたくさんありますので、焦らずに 計画的にコツコツ勉強してください。成功のためには、マラソンのように一つのことに長い間じっくりと取り組んで 「やり抜くこと」が何よりも大切です。
人生100年時代には、住宅や土地などの「有形資産」だけでなく、家族や友人、健康、スキルなどの「無形資産」が大切です。当社も働き方改革を推進しています。メリハリをつけて一生懸命に働いて、オフの時間も家族や友人との時間を大事にしたり、習いごとをするなど、仕事と同じように自分の時間にもエネルギーを使ってください。これらがすべて自らの人生の財産となる「無形資産」になります。
当社は、グループ会社間の連携に力を入れています。これから皆さんはそれぞれ配属先で異なる業務に就きますが、グループで連携し、情報共有することでより、お客様により良い提案ができ、大きな成果を上げることができます。
本日は、積水ハウス、積和不動産、積水ハウスリフォームの新入社員が参加していますが、グループを超えた同期のつながりも大切にしてください。私自身もそうでしたが、つらい壁に当たった時、きっと支えになってくれるはずです。共に必死に勉強して、積水ハウスグループを発展させていきましょう。
住宅1,247戸など 複合の「白金一丁目東部北地区」権利変換認可 長谷工コーポ
「白金一丁目東部北地区第一種市街地再開発事業」
長谷工コーポレーションは3月30日、同社が事業参画している1.7haの “住・商・工”複合の街づくり「白金一丁目東部北地区第一種市街地再開発事業」が東京都から権利変換計画認可の許可を受けたと発表した。
東京メトロ南北線・都営三田線白金高輪駅に近接する市街地再開発事業として、超高層マンション1棟(地上45階)、高層マンション1棟(地上19階)を含む住宅約1,247戸のほか店舗、工場など “住商工一体”の街づくりを目指す。完成予定は平成34年度。
同社は検討段階より事業協力者として参画しており、コンサルタントの佐藤不動産鑑定コンサルティング、梓設計、上野計画事務所、日本工営などとともに事業を推進してきた。
参加組合員に東京建物、長谷工コーポ、住友不動産、野村不動産、三井不動産レジデンシャルなどが参画している。
4月1日発 都心のビッグプロジェクトは容積率無制限に RBAに国民栄誉賞
モリカケ問題の対応に苦慮する政府関係筋は4月1日、一発逆転、怒髪天の打開策を検討していることを明らかにした。
その目玉として、世界に冠たる国際都市にふさわしいプロジェクトを奨励するため都心の容積率を無制限にし、建物の絶対高さ規制もなくす。
これを受け、三菱地所は「常盤橋再開発プロジェクト」に坪単価5,000万円のペントハウスマンションを追加することを表明し、三井不動産は「(仮称)日本橋空中都市構想」を打ち出し、東京制圧を目指す住友不動産は都心5区を「東京マッドタウン」として商標登録することを決めた。
政府はまた、絶滅危惧種の大阪弁を臆することなく首都・東京で堂々と話し、戸建てでデベロッパーを圧倒している関西のハウスメーカー〝御三家〟の住友林業・矢野龍氏、大和ハウス工業・樋口武男氏、積水ハウス・和田勇氏を人間国宝として永久にその名誉を称えることを決定した。
さらにまた、国民の厭世気分が広がっていることを憂慮し、その気持ちを〝忖度〟し、だれもが活躍できる社会を構築するため、太陽は東から西へ沈み、水は上から下へ流れるのと同じように、野球こそが人類を熱狂させる普遍の真理であることに着目、今年30周年を迎えるRBA野球大会に国民栄誉賞を授与し、大会参加チームに無課税の使途を問わない金一封を贈与することを検討する模様だ。
JR川口駅東口の再開発組合設立 マンションは475戸 野村不動産
「川口栄町3丁目銀座地区第一種市街地再開発事業」
野村不動産は3月30日、埼玉県川口市の「川口栄町3丁目銀座地区第一種市街地再開発事業」の市街地再開発組合を設立したと発表した。2023年3月の竣工を目指す。
事業地は、JR川口駅東口から東へ約300mに位置した約1.1ha。不正形な敷地や老朽化建物が多く、耐震安全性に課題がある建物の更新が必要とされてきた。同社は2013年8月に事業協力者として参画し、事業協力を行ってきた。
再開発事業により、川口の表玄関にふさわしい魅力ある商業業務機能の拡充や土地の高度利用を目指し、商業業務施設、都市型住宅などの施設整備を行う。住宅は約475戸の予定。
三井不動産「東京ミッドタウン日比谷」開業 初日の入場者は10万人超
オープン前の行列
三井不動産は3月29日、「東京ミッドタウン日比谷」をオープンした。初日の20時時点の入場者数は10万人を超えた。初日の入場者数は31万人の六本木ヒルズや15万人の東京ミッドタウン六本木に及ばないが、昨年オープンした「GINZA SIX」の9万人を上回った。
オープニングセレモニーでは千代田区 副区長・山口正紀氏、TOHOシネマズ代表取締役社長・瀬田一彦氏と同社代表取締役社長・菰田正信氏らが登壇。スペシャルゲストの女優の宮﨑あおいさんが登場し、テープカットセレモニーが行われた。
宮﨑さんかは「CM撮影の3日間は、本当に楽しい撮影でした。大きな階段のある広場であったり、素敵なバーであったり、ここから色々なことが生まれていくんだなというワクワクを感じました」とコメントした。
テープカット
◇ ◆ ◇
記者は所用でオープンセレモニーは取材できなかったが、17:00ころに見学した。たくさんの人が行列をなしていた。男女の比率は3:7か4:6で女性のほうが多く、年齢的には中年以上の人が中心だったようだ。前回書いた予告通り3階の理容「ヒビヤ」で散髪をし、地下1階の「BOSTON OYSTER&CRAB」で生カキを食べた。
散髪代は8,100円。ちょっと高いが、日本国憲法第25条を実践する理髪店ということを考えれば〝安い〟と思う人もいるかもしれない。洗髪が抜群で、かなり強く洗ってもらったが、毛が抜ける気配はなく心地よかった。
禿の人は毛か生えてくるのではないかと思った。スタッフの方は笑って「どうですかね」と話したが、まんざらでもなかった。頭皮を刺激したら毛は生えないのか。毛がないのだから洗ってもらう必要もないか。ガハハハハ。
オイスターバーは目当ての的矢カキが入荷していなかったのが残念だが、他のカキは普段食べるカキより確かに美味しかった。
3階のコンセプトが最高 「東京ミッドタウン日比谷」 プレス内覧会に1,000人超(2018/3/22)
省エネ対策に感服 三井不動産+青木茂建築工房 「林マンション」リファイニング完成
「林マンション リファイニング工事」
三井不動産と青木茂建築工房は3月30日、「林マンション リファイニング工事」完成見学会を行った。見学者は約360~370名になる模様。
両社が業務提携してから2号目になる案件で、昭和41年に建築された「検査済証のない共同住宅兼店舗」を耐震補強と大規模修繕を行い、検査済証を取得するリファイニング計画。
建て替えた場合、現行法の日影規制・高度地区の高さ制限・容積率制限など既存建物のボリュームが確保できないことから、既存建物のボリュームが維持でき、コスト削減・相続対策・環境負荷低減につながるリファイニング建築手法をオーナーが選択して実現した。
中性化対策として4、5、6階の梁に亜硝酸リチウム圧入工法を採用。物件は、特定緊急輸送道路沿いの耐震助成金の交付が予定されており、2018年3月末日に建物全体の検査済証を取得する予定。
商品企画では、既存3つのフレーム(スパン)内に各階4住戸(専用面積29㎡)だったのを、フレーム内に新規耐震補強壁を設け、各階3住戸(同34~40㎡)に変更することで競争力を高めた。断熱・遮音性能が高いLow-E複層ガラスを採用しているのも特徴。
見学会で、三井不動産ソリューションパートナー本部レッツ資産活用部チーフコンサルタント・宮田敏雄氏は「わたしの個人的な考えだが、普通のリフォーム、リノベーションでは省エネ性が確保できないものが多いが、今回の物件はLow-E複層ガラスの採用でそれがかなり向上している」と語った。
物件は、都営浅草線馬込駅から徒歩10分、大田区北馬込1に位置する6階建て全17戸の賃貸住宅と店舗。賃料は34㎡が11万円台の半ば、40㎡が12万円台の後半。設計監理は青木茂建築工房、総合企画は三井不動産レッツ資産活用部、商品企画・サブリースは三井不動産レジデンシャルリース。先日21日に入居者向けの内覧会を行い、当日だけで募集15戸に対して6戸の申し込みがあった。その後キャンセルが1件出たので申し込みは現在5件。
エントランス(左)と居室内
「マイミュート」のLow-E複層ガラス(左)と有孔折板
◇ ◆ ◇
この案件については昨年10月の工事現場見学会を取材しているし、今年2月に行われた青木氏の記念講演でオーナーの方にお会いしているので、そちらの記事を参照していただきたい。今回は完成物件を見て驚いたこと2つ3つに留める。
驚いたのは、最初に見学した6階の住戸の浴室にミストサウナが付いていたことだ。賃料は相場の9割と聞いていたので、これも商品力をアップするための策かと思ったら、これはオーナーサイドが入居するための特別仕様ということだった。
それより驚いたのは、サッシにLow-E複層ガラスが採用されていたのもさることながら、ガラスは旭硝子の「マイミュート」だったことだ。この製品は優れた断熱性能と防音・結露防止機能をあわせ持つのが特徴で、通常の複層ガラスの遮音等級「T―2等級」よりワンランク遮音性能が高い。額縁付きなのでデザイン性にも優れる。
「マイミュート」は値段が高く、分譲マンションでも採用しているところは少ないはずだ。このようなところにお金をかけるのがすごい。
もう一つ。環7通りに面した外壁には3ミリの鉄に塗装を施した有孔折板が採用されていた。デザイン性に優れるとともに15年間くらいは錆びずにメンテもしやすいという。
◇ ◆ ◇
この前も書いたが、青木氏は首都大学東京の特任教授を退任された。今後はリファイニング建築の普及に全力を尽くされるのではないか。仕事も多忙を極めているようだ。今回の見学会も参加希望を断らなければならないほど盛況だった。
配布された資料には、CLT材をふんだんに用いた岡山県の「真庭市中央図書館」と、廃墟となっていた建物を再生する福岡県の「上川端ビル」の見学案内とともに、スタッフ募集のA4の紙が添付されていた。建築を学んでいる人のほかプレス・秘書、学生アルバイトなど「再生建築及びリファイニング建築に興味があること」が応募条件だ。
応募希望者は電話03-5789-0488かE-mail:このメールアドレスはスパムボットから保護されています。閲覧するにはJavaScriptを有効にする必要があります。へ。
青木氏とその友人の方々(青木氏は今度は上下ともイッセイミヤケだそうだ)
◇ ◆ ◇
受かる可能性が高くなるとは保証できないが、応募希望者の方はぜひ記者が書いた記事も参考にしていただきたい。「青木茂 RBA」で検索すれば10本くらい記事がヒットするはずだ。この日の見学会で「マイミュート」が採用されていることを見抜く人はそうないはずで、人が気づかないことをほめる(けなす)のが受かる秘訣だ。
プレス・秘書も募集しているそうなので、面接の際には「先生もお気づきでしょうが、先日配布された資料には『雑誌掲載のご案内 新建築4月号(2018年4月1日発売) 日系アーキテクチュア(2018年4月12日号)』とありました。わたしは絶対このようなミスは見逃しません」と一発見舞うことをお勧めする。
さらにまた、「先生はイッセイミヤケがお気に入りのようですが、わたしなら先生の中身も含めてリファイニングして差し上げます」くらいぶちかましてはいかがか。
馬込で摘んだハナニラ
リファイニング建築の考案者 首都大学東京特任教授・青木茂氏が退官へ 記念講演会(2018/2/13)
東急電鉄 渋谷再開発に1,200億円、沿線開発に800億円 新中期3か年経営計画
髙橋氏
東京急行電鉄は3月27日、2018年度を初年度とする中期3か年経営計画を発表した。
現行の中期3か年経営計画を目標通りに達成したことを受け、次期計画では“Make the Sustainable Growth”(持続可能な成長をめざして)をスローガンに掲げ、サステナブルな「街づくり」「企業づくり」「人づくり」の「3つのサステナブル」を進める。鉄道事業では安全・安定輸送の確保、混雑緩和など快適性向上の取り組みを強化し、都市開発では「渋谷ストリーム」「渋谷スクランブルスクエア東棟」「南町田グランベリーパーク」などを開業させる。
経営指標として、2020年度の東急EBITDA(営業利益+減価償却費+のれん償却費+固定資産除却費+受取利息配当+持分法投資損益)2,064億円(2017年度見込み比18.4%増)、営業利益970億円(同16.9%増)、有利子負債率5.3倍(2017年度見込5.6倍)、自己資本比率8.4%(同10.6%)を目標とする。
人事異動も発表。4月1日付で取締役専務執行役員・髙橋和夫氏が代表取締役社長に、代表取締役社長・野本弘文氏は代表取締役にそれぞれ就任する。
◇ ◆ ◇
他の取材があったため、懇親会から出席した。冒頭、4月1日付で代表取締役社長に就任する髙橋氏は、記者発表会で十分話したためか、「中計はわたしが責任者としてまとめた。酒が入れば舌が滑らかになるかもしれない」などと笑わせ、具体的なことは話さなかった。
記者が注目したのは3点。1点目はどうして同社を含めて電鉄会社がいま元気なのか、2点目は東急不動産との役割分担・連携をどう進めるのか、3点目は渋谷の再開発、沿線の大規模団地の再生・活性化をどうするかだ。
3点目については、渋谷再開発には1,200億円(2018-2022年合計で1,350億円)を投資するほか、田園都市線の南町田など5つのリモデル開発を進め、向こう3年で約800億円(同1,200億円)を投資する。
1点目と2点目について髙橋氏は「そもそも鉄道と開発が事業の柱だった。他の電鉄会社とは勝つとか負けるとかではなくて収益構造を重視していく。東急不動産とは渋谷の再開発を中心にできるだけ一緒にやっていく」と話した。
◇ ◆ ◇
大変失礼だが、鉄道会社は〝地味〟というイメージしかない。わが西武ライオンズの鉄道も、50年近く住む京王も他の電鉄会社もデパートでは三越伊勢丹や高島屋に圧倒的に負けていると思う。
マンションもそうだ。最近は相鉄や京急、さらには阪急や京阪電鉄が度肝を吹く商品企画のマンションを分譲しだしたが、電鉄会社全体としてデザイン性・商品企画は大手デベロッパーに引けを取る。
東急電鉄は昨年分譲の「ドレッセWIZEたまプラーザ」はよかったが、まだまだ東急不動産には負けると思っているが、この日、都市創造本部長兼開発事業部長、運営事業部長の肩書を持つ取締役執行役員・髙橋俊之氏(4月1日付で常務執行役員 都市創造本部 渋谷戦略事業部長に就任予定)の目もあやなネクタイに記者の目が点になった。〝これはただ者ではない〟と。
他の記者と歓談していたのに割って入って「わたしのネクタイも安物ではありませんが、最高に素敵なネクタイですね」と話したら、「これは確か娘にプレゼントされたもの」と裏返し「TAYA」のブランドであることを示した(記者はもちろん髙橋氏も「TAYA」がなんであるか知らなかったはず。娘さんをほめるべきか)。
人は見てくれで判断すべきではないと思うが、ネクタイは髙橋氏の娘さんか東急ハンズにコーディネートしてもらったらどうか。マンションの商品企画・デザインは専門家を起用すべきだ。
その髙橋氏に紹介してもらったのが、取締役専務執行役員・渡邊功氏だ。渡邊氏からは抱腹絶倒の話を聞いたが、「個人情報だからね。書いちゃダメ」と何度もダメ押しをされたので書けないのが残念。
もう一つヨイショ。懇親会場のサ・キャピトルホテル東急は最高にデザインがいいホテルだ。
髙橋氏(左)と渡邊氏
髙橋氏のネクタイ(人には好みがありますが)
圧倒的人気 「CASBEE横浜」S評価 東急電鉄他「ドレッセWISEたまプラーザ」(2017/8/23)
住友不動産 国分寺駅直結の商・住複合の再開発タワー竣工 販売は順調に推移
「シティタワー国分寺ザ・ツイン」
住友不動産は3月27日、JR国分寺駅直結の商・住複合の免震ツインタワー「シティタワー国分寺ザ・ツイン」のプレス向け竣工内覧会を行った。分譲554戸のうち約350戸が成約済みで、販売は順調に進捗している。
物件は、JR中央本線国分寺駅から徒歩1分、国分寺市本町三丁目に位置する36階建てウエスト棟(299戸、店舗18区画)、35階建てイースト棟(284戸、うち事業協力者住戸30戸)の合計583戸(分譲は554戸)。専有面積は48.33~120.45㎡。坪単価は400万円強。設計・監理・施工は竹中工務店。
駅北口のランドマークとなるもので、再開発計画が持ち上がった昭和40年から約50年、都市計画決定から約28年、バブル崩壊、リーマン・ショックなどで再三計画の変更を経て竣工した。
同社は2013年に国分寺市に代わって工事を行う「特定事業者」に選定され、2015年7月に着工した。施行面積は約2.1ha、総事業費は447億円。
4月1日に市の公益フロア「cocobunjiプラザ」、4月7日に三越伊勢丹グループの商業施設「ミーツ国分寺」がそれぞれオーブンする。
内覧会で同社住宅事業分譲事業本部第二統括営業所長・岡本和也氏は「2016年2月に販売を開始して以来、順調に推移している。駅直結・複合・タワーのランドマークとして益々注目を集める」と話した。
◇ ◆ ◇
同社が明らかにした契約者分析は、物件の特性をよく反映している。居住地は国分寺市(22%)、隣接市(24%)のほか武蔵野市、杉並区、新宿区、三鷹市、立川市など中央線沿線が目立つ。
年齢は60歳以上が33%にのぼり、以下50歳代、40歳代がそれぞれ23%、30歳代以下が22%となっている。
職業は経営者、医師、無職(地主・シニア)が全体の6割を占め、会社員など(23%)は共働きや自己資金のある人が目立ったという。
購入目的は実需が8割で、投資+セカンドハウス用が2割。現在の居住形態は持ち家戸建てが37.6%、分譲マンションが28.1%。
-中央線の駅近マンションは、富裕層やアッパー三ドルしか購入できず、賃貸からの〝脱出組〟の取得は絶望的となっている。
面白いのは「グレーシアタワー三鷹」との競合だが、販売責任者の永田太郎氏は「ほとんどない」と語った。
エントランスホール
早期完売間違いなし 三鷹駅直結の相鉄不・三菱地所レジ「グレーシアタワー三鷹」(2017/12/21)
駅直結の「シティタワー国分寺ザ・ツイン」 即日完売スタート(2016/4/1)